JP5888485B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被印字媒体に所望の印刷を行う印刷装置に関する。
パルスモータの駆動力を利用して被印字媒体を搬送し、所望の印字を行う印刷装置に関する技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この従来技術の印刷装置では、搬送手段により被印字媒体(記録紙)が搬送され、その搬送される被印字媒体に対し、サーマルヘッドにより所望の印字が形成される。このとき、搬送手段は、パルスモータ(搬送モータ)の駆動力を用いて被印字媒体を搬送する。パルスモータはパルス指令を1つ与えること(励磁相を次の状態に切り替えること)で所定角度の回転(ステップ回転)を行うことから、パルスモータの回転速度は、複数のパルス指令によって、印字データに対応して設定された目標速度となるように制御される。
このとき、パルスモータは、上記パルス指令が入力される毎に所定角度の回転を繰り返すことから、モータ回転時に振動が発生する。特に回転子やギアなどの回転系の固有振動数と上記パルス指令の間隔(駆動周波数)が一致すると、共振現象が発生して上記振動が大きくなり、振動が著しくなると、パルスモータの回転の上記複数のパルス指令への追従性が乱れる脱調現象が発生する場合がある。例えばこの共振周波数は、通常、100〜200Hz程度の比較的低い周波数帯域付近に存在することが多い。したがって、印刷動作を行う際には、このような脱調現象が発生する可能性のある、共振周波数の存在する周波数帯域を回避することが望ましい。
上記従来技術では、上記の観点から、脱調現象が起こり得ると想定される上記共振周波数の存在する周波数帯域を予め固定的に設定し、その周波数帯域を回避するように上記目標速度が決定される。
特開2005−59521号公報
しかしながら、上記従来技術には、以下の課題が存在する。すなわち、共振現象のパルスモータ側の原因となる固有振動数は、例えば同一仕様(形式)の複数のモータであっても、個別の各モータそれぞれに固有の値であって各モータごとに微妙に異なる値となる。したがって、上記従来技術のように、複数のパルスモータに対して共通に上記周波数領域を設定しその定められた周波数領域を回避するように目標速度を設定する場合、各モータに対し個別にきめ細かく対応することができない。すなわち、本来であれば脱調が生じず目標速度の修正の必要がないパルスモータに対して目標修正を行う無駄が生じたり、逆に目標速度の修正が必要なパルスモータに対して目標修正が行われない修正漏れが生じたりするおそれがある。この結果、確実に脱調のない円滑なパルスモータ駆動を行うことは困難であった。
本発明の目的は、パルスモータの脱調を確実に防止し円滑な駆動を行うことができる印刷装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、複数のパルス指令を出力するパルス出力手段と、前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令に追従して回転駆動するパルスモータと、前記パルスモータの駆動力を用いて被印字媒体を搬送するための搬送手段と、前記被印字媒体を前記搬送方向に印字解像度に区分してなる各印字ライン上にドットをそれぞれ形成する複数の発熱素子を備え、印字データに基づく所望の印字を前記被印字媒体に形成するサーマルヘッドと、所定のパルス数範囲における加速開始点から第1目標速度となる加速完了点までの前記パルスモータの加速挙動をそれぞれパターン化した複数種類の加速テーブルと、前記所定のパルス数範囲における前記第1目標速度の減速開始点から減速完了点までの前記パルスモータの減速挙動をそれぞれパターン化した複数種類の減速テーブルと、特定の前記加速テーブルでパターン化された前記加速挙動のうち前記加速完了点の前記第1目標速度だけを第2目標速度に修正した修正加速テーブルと、特定の前記減速テーブルでパターン化された前記減速挙動のうち前記減速開始点の前記第1目標速度だけを前記第2目標速度に修正した修正減速テーブルと、を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶された1つの前記加速テーブルを用いて前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させ、前記印字データに対応して設定された前記第1目標速度となるように前記パルスモータの回転速度を増大させるとともに、前記記憶手段に記憶された1つの前記減速テーブルを用いて前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させ、前記第1目標速度から停止するように前記パルスモータの回転速度を減少させる、搬送制御手段と、前記第1目標速度に対応した通電タイミングの間隔である印字周期に対応して、前記印字データを1つの前記印字ライン単位に分割したライン印刷データごとに通電態様を切り替える通電制御を行う印字制御手段と、を有する印刷装置であって、前記搬送制御手段により前記1つの加速テーブルを用いて前記パルスモータの加速制御が開始されるか若しくは前記1つの減速テーブルを用いて前記パルスモータの減速制御が開始された後、前記パルスモータを含む回転系の固有振動数との共振に由来して当該パルスモータの回転における前記複数のパルス指令への追従性が乱れる脱調現象が生じているか否かを判定する、脱調判定手段と、を有し、前記脱調判定手段により前記脱調現象が生じていると判定された場合に、前記搬送制御手段は、それまで使用していた前記加速テーブル又は前記減速テーブルに代えて、前記第1目標速度V1に対しV1<V2≦1.2V1又は0.8V1≦V2<V1のいずれかに選択し修正された前記第2目標速度V2に対応した、前記修正加速テーブル又は前記修正減速テーブルを用いて、前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させることを特徴とする。
本願発明においては、搬送手段により被印字媒体が搬送され、その搬送される被印字媒体に対し、サーマルヘッドにより、印字データに基づく所望の印字が形成される。このサーマルヘッドは、複数の発熱素子を備えている。それら複数の発熱素子は、被印字媒体の各印刷ライン上にドットを形成することにより、印字形成を行う。具体的には、印字制御手段の制御により、搬送手段により被印字媒体が搬送され発熱素子の位置を被印字媒体の印刷ラインが順次通過していくのに対応して、発熱素子の通電態様がライン印刷データごとに順次切り替えられる。これにより、サーマルヘッドは、搬送手段による被印字媒体の搬送速度に合わせた印刷速度で、印字形成を行うことができる。
このとき、本願発明では、搬送手段が、パルスモータの駆動力を用いて被印字媒体を搬送する。パルスモータの回転速度は、パルス出力手段からの複数のパルス指令によって制御される。パルスモータはパルス指令を1つ与えること(励磁相を次の状態に切り替えること)で所定角度の回転(ステップ回転)を行う。本願発明においては、パルス出力手段が、搬送制御手段の制御に基づき、複数のパルス指令どうしの間隔を短くしたり長くしたりすることで、当該複数のパルス指令に追従させて回転速度の制御を行う。当該間隔を徐々に短くすることで回転速度を加速することができ、当該間隔を徐々に長くすることで回転速度を減速することができる。搬送制御手段は、印字データに対応して設定された目標速度(第1目標速度)に応じて、記憶手段に記憶された加速テーブル(又は減速テーブル)を用いてパルス出力手段からのパルス指令の出力態様を変化させることで、パルスモータの回転速度が上記第1目標速度となるように制御する。
そして、本願発明においては、脱調判定手段が設けられている。脱調判定手段は、上記搬送制御手段の制御によってパルスモータの加速制御又は減速制御が開始された後、脱調現象が生じているかどうかを判定する。脱調現象が生じていた場合には、搬送制御手段は、それまで使用していた加速テーブル又は減速テーブルに代えて、(脱調現象が生じなくなるような新たな第2目標速度に対応した)修正加速テーブル又は修正減速テーブルを用いて、パルス出力手段からのパルス指令の出力態様を変化させる
このように、脱調現象が生じたときには加減速制御に用いるテーブルを切り替えることにより、上述した共振現象の発生により脱調現象が生じていたとしても、パルスモータの回転速度を変更して振動時の周波数をずらすことで上記共振現象が起こらないようにし、脱調現象を解消することができる。これにより、脱調のない円滑なパルスモータ駆動を行うことができ、印字品質を向上することができる。
また、共振現象のパルスモータ側の原因となる固有振動数は、各モータそれぞれに固有の値であって各モータごとに微妙に異なる値となる。本願発明では、共振現象による脱調現象が実際に起こったことを検出してから、そのときの目標速度の値を修正して共振を回避する。したがって、予め複数のパルスモータに対して共通に適宜に定められた周波数領域を回避するように目標速度を設定する手法に比べて、各モータに対し個別にきめ細かく対応することができる。その結果、本来であれば脱調が生じず目標速度の修正の必要がないパルスモータに対して目標速度修正を行う無駄が生じたり、逆に目標速度の修正が必要なパルスモータに対して目標速度修正が行われない修正漏れが生じたりする可能性がなく、確実に脱調のない円滑なパルスモータ駆動を行うことができる。
本発明によれば、パルスモータの脱調を確実に防止し円滑な駆動を行うことができる。
本発明の一実施形態によるテープ印刷装置を上カバーを取り外した状態で表す斜視図である。 テープ印刷装置の上カバーを取り外した状態を表す斜視図、及び、W部の拡大斜視図である。 上カバーを取り外した状態のテープ印刷装置の側断面図である。 ロールシートホルダを表す前側上方からの斜視図、及び、下側後方からの斜視図である。 テープ印刷装置の回路構成を示す回路ブロック図である。 シート送りモータの速度制御に用いられる加速テーブルである。 シート送りモータの速度制御に用いられる減速テーブルである。 シート送りモータの加減速挙動の例を表す説明図である。 センサの出力電圧のしきい値電圧の一例を示す説明図である。 センサの出力電圧の電位差の一例を示す説明図である。 脱調現象による搬送異常の発生を説明するための説明図である。 CPUにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、印刷装置として、テープ印刷装置に本発明を適用した場合の実施形態である。
<テープ印刷装置の構成>
まず、本実施形態に係るテープ印刷装置の構成について図1〜図3により説明する。図1〜図3に示すように、テープ印刷装置1は、本体筐体2と、被印字媒体としての無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシート(図示省略)が巻回されたロールシートホルダ3がロールシートホルダ収納部4に収納され、後側上端縁部に開閉自在に取り付けられた図示しない透明樹脂製の上カバーによって上部が覆われる。また、この図示しない上カバーの前側略中央部に対向するように立設される透明樹脂製のトレー6と、このトレー6の前側に配置される電源ボタン7と、前側側面部に左右移動可能に設けられてカッターユニット8(図3参照)を左右に移動させるカッターレバー9等から構成されている。また、本体筐体2の背面部には一方の側端部に電源コード10(図3参照)が接続されると共に、他方の側端部には図示しないパーソナルコンピュータ等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)等から構成されるコネクタ部(図示省略)が設けられている。
また、この無定長ロールシート3Aは、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して剥離紙が張り合わされた長尺状の感熱シート等で構成され、裏面側が外側になるように巻芯に巻回されている。また、無定長ロールシート3Aの裏面側には、後述の光学センサとしてのフォトセンサ11に対向する位置に、搬送方向に所定ピッチp(例えば、10[mm]、20[mm]、30[mm]等)で複数のエンコーダマーク5(被検出マーク)が形成されている。なおこの例では、各エンコーダマーク5の搬送方向寸法は、上記所定ピッチpの半分、すなわちp/2にて形成されている。このとき、無定長ロールシート3Aの裏面側は白地なので光反射領域となり、エンコーダマーク5は黒色の光吸収領域となっている。
なお、上記ダイカットラベルシートは、詳細な図示を省略するが、長尺状の剥離紙の表面側に自己発色性を有する感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)で形成された複数のラベルが粘着剤を介して剥離紙の長手方向に沿って配列するよう仮着され、剥離紙の裏面側が外側になるように巻芯に巻回されている。また、ダイカットラベルシートの裏面側には、後述のマーク検出センサとしてのフォトセンサ11に対向する位置に、各ラベルの搬送方向側の端縁部に対向するように上記同様のエンコーダマーク5が形成されている。
また、テープ印刷装置1は、ロールシートホルダ収納部4の搬送方向に対して略垂直方向の一方の側端縁部(図2中、右側側端縁部)に、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材12の外側方向に突設される断面略矩形状の取付部材13を嵌め込むことができるホルダ支持部材15が設けられている。このホルダ支持部材15には、上方に開口する正面視略縦長コの字状の第1位置決め溝部16が形成されている。また、このホルダ支持部材15の内側基端部には、位置決め保持部材12の下端部に突設される弾性係止片12A(後述の図4参照)が係合される係合凹部15Aが形成されている。
また、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートを挿入する挿入口18の後端縁部からロールシートホルダ収納部4の前側上端縁部まで略水平に延出されて、後述のロールシートホルダ3を構成するガイド部材20の先端部が載置される載置部21が設けられている。また、この載置部21の搬送方向後側の端縁角部には、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの複数の幅寸法に対応して断面略L字状の4個の第2位置決め溝部22A〜22Dが形成されている。この各第2位置決め溝部22A〜22Dは、図3に示すように、ロールシートホルダ3を構成するガイド部材20の載置部21に当接する部分の一部を上方から嵌め込むことができるように形成されている。また、このロールシートホルダ3を構成するガイド部材20の先端部は、挿入口18まで延出されている。
また、ロールシートホルダ収納部4の底面部には、ホルダ支持部材15の内側基端部から第2位置決め溝部22Aに対向する位置まで搬送方向に対して略垂直に平面視横長四角形の位置決め凹部4Aが所定深さ(例えば、約1.5〜3[mm]の深さである)で形成されている。この位置決め凹部4Aの搬送方向幅寸法は、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材12及びガイド部材20の各下端縁部の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。また、位置決め凹部4Aのホルダ支持部材15の内側基端部には、位置決め保持部材12の下端縁部から略直角内側方向に延出される後述のシート判別部60(後述の図4参照)に対向する部分が、位置決め凹部4Aよりもさらに所定深さ(例えば、約1.5〜3[mm]の深さである)だけ深くなるように形成された搬送方向に縦長の平面視長四角形の判別凹部4Bが形成されている。
また、この判別凹部4Bには、プッシュ式のマイクロスイッチ等から構成されて、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマークの搬送方向ピッチp等を判別するための5個のシート判別センサS1,S2,S3,S4,S5がL字状に設けられている。この各シート判別センサS1〜S5は、プランジャーとマイクロスイッチ等から構成される公知の機械式スイッチからなり、各プランジャーの上端部は、判別凹部4Bの底面部から位置決め凹部4Aの底面部近傍まで突き出るように設けられている。そして、この各シート判別センサS1〜S5に対してシート判別部60の後述の各センサ孔60A〜60E(後述の図4参照)が有るか否かを検出して、そのオン・オフ信号により、ロールシートホルダ3に装着された無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマークの搬送方向ピッチp等が検出される。
なお、この例では、各テープ判別センサS1〜S5は、そのプランジャーが常には、判別凹部4Bの底面から位置決め凹部4Aの底面部近傍まで突き出しており、マイクロスイッチがオフ状態になっている。そして、シート判別部60の各センサ孔60A〜60Eが、各シート判別センサS1〜S5に対向する位置に有る場合には、プランジャーが押下されずマイクロスイッチがオフ状態にあるので、オフ信号が出力される。一方、シート判別部60の各センサ孔60A〜60Eが、各シート判別センサS1〜S5に対向する位置に無い場合には、プランジャーが押下されてマイクロスイッチがオン状態になるので、オン信号が出力される。従って、各シート判別センサS1〜S5によって5ビットの「0」、「1」信号が出力され、各シート判別センサS1〜S5が全てオフ状態の場合、すなわち、ロールシートホルダ3が装着されていない場合には、5ビットの「00000」の信号が出力される。
また、挿入口18のホルダ支持部材15側の側端縁部(図2中、右端縁部)は、該ホルダ支持部材15に嵌め込まれる位置決め部材12の内側端面に対向する位置に形成されている。また、この挿入口18のホルダ支持部材15側の側端縁部には、案内リブ部が立設されている。
また、ロールシートホルダ収納部4の他方の側端縁部(図2中、左方の側端縁部)の搬送方向前端部には、サーマルヘッド31(図3参照)の上下動操作等を行うレバー27が設けられている。すなわち、このレバー27を上方に回動させることにより、サーマルヘッド31が下方に移動されてプラテンローラ26(搬送手段。図3参照)から離間し、該レバー27を下方に回動させることにより、サーマルヘッド31が上方に移動されて無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートをプラテンローラ26に押圧付勢して印字可能な状態になる。
サーマルヘッド31は、無定長ロールシート3Aをテープ搬送方向に印字解像度に区分してなる各印字ライン上にドットをそれぞれ形成する、テープ搬送方向と直交する直交方向に配列された複数の発熱素子(図示せず)を備えている。サーマルヘッド31は、印字データにしたがって上記発熱素子に通電することによって、プラテンローラ26との間で挟持した無定長ロールシート3Aに対し上記印字データに応じた印刷を行う。
また、ロールシートホルダ収納部4の下側には、外部のパーソナルコンピュータ等からの指令により各機構部を駆動制御する制御回路部61(後述の図5参照)が形成された制御基板32(図3参照)が設けられている。
巻芯に巻回されたロールシート3A又はダイカットラベルシートが装着されたロールシートホルダ3は、位置決め部材12の取付部材13をホルダ支持部材15の第1位置決め溝部16に嵌め込み、該位置決め部材12の下端部に突設される弾性係止片12Aをホルダ支持部材15の内側基端部に形成される係合凹部15Aに係合させると共に、ガイド部材20の先端部下面を各第2位置決め溝部22A〜22Dに嵌め込んで該ガイド部材20の下端部を位置決め凹部4A内に嵌入して当接させることによって、ロールシートホルダ収納部4に着脱自在に取り付けられる。また、位置決め部材12の内側下端縁部に設けられたシート判別部60が判別凹部4B内に挿入され、判別凹部4Bに配設される各シート判別センサS1〜S5に対向する該シート判別部60の各センサ孔60A〜60Eが有るか否か検出可能となる。すなわち、ロールシートホルダ3に装着された無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの種別などを検出可能となる。
そして、レバー27を上方に回動させて、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの一方の側端縁部をガイド部材20の内側面に当接させつつ、この無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの他方の側端縁部を挿入口18の側縁部に立設される案内リブ部に当接させながら挿入口18内に挿入して、該レバー27を下方に回動させることにより、印刷可能となる。
ここで、図3に示すように、レバー27を下方に回動させることにより、挿入口18から挿入されたロールシート3Aは、ライン型のサーマルヘッド31によってプラテンローラ26に向かって押圧されるように付勢される。そして、該プラテンローラ26を、シート送りモータ72(後述の図5参照)により回転駆動しつつ、該サーマルヘッド31を駆動制御することによって、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートを搬送しながら感熱シートの印字面に順次画像データを印字できる。また、トレー6上に排出された無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートは、カットレバー9を右側方向に移動操作することによって、カッターユニット8により切断される。
そして、上記のようにして搬送される無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの裏面側が摺動する下端面部の、ホルダ支持部材15側の端縁部近傍位置に、光学センサとしての反射型光センサであるフォトセンサ11が配置されている。これにより、該無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの裏面に形成される上記エンコーダマーク5は、フォトセンサ11により検出される。なお、フォトセンサ11は、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの最小幅寸法の裏面側に対向する位置に設けられていればよい。これにより、該無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの各幅寸法の全種類に対応することができる。
<ロールシートホルダ>
次に、ロールシートホルダ3の概略構成について図4に基づいて説明する。なお、ロールシートホルダ3には、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートが周方向に回転可能に装着されるが、同一構成のため、無定長ロールシート3Aが装着された状態を例にとって説明する。
図4に示すように、巻芯に巻回された無定長ロールシート3Aが装着されるロールシートホルダ3は、ガイド部材20を備えており、ガイド部材20の内側面には、第1筒部(図示省略)が立設されている。また、これに対応して、上記位置決め保持部材12の内側面に第2筒部(図示省略)が立設されている。無定長ロールシート3Aの巻芯の筒孔の一端側端縁部に上記第1筒部(図示省略)が嵌挿され、これによって当該ガイド部材20の内側面に無定長ロールシート3Aの一方の端面が当接されている。また、無定長ロールシート3Aの巻芯の筒孔の他端側端縁部に上記第2筒部(図示省略)が嵌挿され、これによって当該位置決め保持部材12の内側面に無定長ロールシート3Aの他方の端面が当接されている。そして、上記ガイド部材20と位置決め保持部材12との間に略筒状のホルダ軸部材40が設けられている。ホルダ軸部材40の一端側端部は、ガイド部材20の一端側端面の外周部に形成されるフランジ部36に取り付けられ、ホルダ軸部材40の他端側端部は、位置決め保持部材12の第2筒部内に嵌挿されて取り付けられる。これにより、ホルダ軸部材40の長さ寸法を変更することにより、異なる幅寸法の無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートが装着された複数種類のロールシートホルダ3を容易に製作することができる。
また、このガイド部材20は、第1筒部の外側端面の下側外周部から下側方向に延出されて、ロールシートホルダ収納部4の底面部に形成される位置決め凹部4Aに嵌入されて該位置決め凹部4Aの底面に当接される第1延出部42が形成されている。また、ガイド部材20は、無定長ロールシート3Aの前側方向略1/4円周上の外側端面部を覆うように外側方向に延出される第2延出部43が形成されている。また、この第2延出部43の外周部から無定長ロールシート3Aの挿入口18(図3参照)近傍まで上側端縁部が前下がり状に延出される第3延出部44が形成されている。この第3延出部44の先端部の下端面は略水平に形成され、テープ印刷装置1の載置部21上に当接して、該第3延出部44と第2延出部43の内側面によって装着された無定長ロールシート3Aの一側端縁部を挿入口18まで案内するように構成されている。
また、この第3延出部44の下端面の載置部21の搬送方向後端縁部に対向する位置から第1延出部42まで所定長さ延出される第4延出部45が形成され、該第3延出部44の下端面が載置部21上に当接された場合には、この第4延出部45の搬送方向先端部分が、装着された無定長ロールシート3Aのシート幅に対向する各第2位置決め溝部22A〜22Dのいずれかに嵌入されるように構成されている(図3参照)。
このとき、ガイド部材20の内側面に立設された第1筒部と位置決め保持部材12の内側面に立設された第2筒部とによって、無定長ロールシート3Aが巻回された巻芯が回転可能に保持される。なお、ホルダ軸部材40は、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの巻芯の各長さ寸法に対応して複数種類の長さ寸法のものが設けられている。
また、位置決め部材12の外側端面部の搬送方向略中央部に、すなわち、ホルダ軸部材40の軸心の端縁部から該軸心に対してほぼ直交するように、上下方向に縦長の断面略矩形状の取付部材13が突設されている。この取付部材13は、正面視下方向に幅狭になるように形成され、テープ印刷装置1のホルダ支持部材15の下方向に幅狭な上記第1位置決め溝部16(図1等参照)内に密着可能に形成されている。また、この取付部材13の突出高さ寸法は、この第1位置決め溝部16の幅寸法にほぼ等しく形成されている。
また、位置決め部材12の取付部材13の下端部には、該取付部材13の下端部よりも左右方向に各々外側方向に所定長さ(この例では、約1.5[mm]〜3[mm]である)突出する正面視略四角形の平板状(この例では、約1.5[mm]〜3[mm]の厚さ寸法である)の案内部57が形成されている。これにより、ロールシートホルダ3を装着する場合は、取付部材13の下端部に形成される案内部57をホルダ支持部材15の外側端面に当接させつつ、取付部材13を第1位置決め溝部16に挿入することによって、該ロールシートホルダ3を容易に位置決めしつつ装着することができる。
また、位置決め部材12の延出部56の下端縁部は、ガイド部材20の下端縁部よりも所定長さ(この例では、約1[mm]〜2.5[mm]である)下側方向に突出するように延出されると共に、該下端縁部には、略直角内側方向に所定長さ延出される略長四角形のシート判別部60が形成されている。
また、図4(B)に示すように、このシート判別部60には、上述したように、各シート判別センサS1〜S5に対向する所定位置に各センサ孔60A〜60Eが略L字状に配置されて穿設されている。これにより、各センサ孔60A〜60Eは、最大5個穿設されるため、1つひとつの有無を「1」と「0」に対応させることにより、該ロールシートホルダ3に装着された無定長ロールシート3A及びダイカットラベルシートの種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp等を5ビットの符号によって表示することができる。
また、位置決め部材12の取付部材13の下端部には延出部56に縦長四角形の貫通孔62が穿設され、該貫通孔62の上端縁部には、下側方向に先端部に外側方向に突出する突起部が形成された弾性係止片12Aが設けられている。
<テープ印刷装置の回路構成>
次に、上記のように構成されたテープ印刷装置1の回路構成について図5に基づき説明する。図5に示すように、テープ印刷装置1の制御基板32上に形成される制御回路部61は、CPU62、CG(キャラクタジェネレータ)ROM63、ROM64、フラッシュメモリ(EEPROM)65、RAM66、入出力インターフェース(I/F)67、及び通信用インターフェース(I/F)68等を備えている。また、CPU62、CGROM63、ROM64、フラッシュメモリ65、RAM66、入出力インターフェース(I/F)67、及び通信用インターフェース(I/F)68は、バス線69により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
ここに、CGROM63には各キャラクタに対応するドットパターンデータが記憶されており、ドットパターンデータがCGROM63から読み出され、そのドットパターンデータに基づいて無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの感熱シート上にドットパターンが印刷される。
また、ROM64は、各種のプログラムが記憶されており、後述の無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの搬送処理プログラムなどのテープ印刷装置1の制御上必要な各種のプログラムが記憶されている。また、ROM64には、エンコーダマーク5の複数種類の搬送方向幅寸法と、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートのいずれが使用されるかに応じた、フォトセンサ11の出力電圧の電位差が格納されたマーク長さ出力電圧テーブル75が記憶されるマーク長さ出力電圧テーブル記憶領域64Aが設けられている。また、各シート判別センサS1〜S5から入力される5ビットの各符号に対する無定長ロールシート3A及びダイカットラベルシートの種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp等を記憶するロールシート種類記憶領域64Bが設けられている。
例えば、ロールシート種類記憶領域64Bには、各シート判別センサS1〜S5から入力される5ビットの符号が「11100」に対して、種別:「無定長ロールシート3A」、感熱シートの材質:「材質A」、ロールシート幅:「100[mm]」、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp:「5[mm]」等が記憶されている。また、該5ビットの符号が「11000」に対して、種別:「無定長ロールシート3A」、感熱シートの材質:「材質B」、ロールシート幅:「100[mm]」、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp:「5[mm]」等が記憶されている。また、該5ビットの符号が「10110」に対して、種別:「ダイカットラベルシート」、感熱シートの材質:「材質A」、ロールシート幅:「100[mm]」、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp:「5[mm]」等が記憶されている。また、該5ビットの符号が「10100」に対して、種別:「ダイカットラベルシート」、感熱シートの材質:「材質B」、ロールシート幅:「100[mm]」、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp:「5[mm]」等が記憶されている。
なお、感熱シートの材質が「材質A」の場合には、サーマルヘッド31を介して印字可能な該感熱シートの最大搬送速度は、80[mm/sec]であり、感熱シートの材質が「材質A」の無定長ロールシート3Aの搬送速度として「80[mm/sec]」が予めROM64に記憶されている。また、感熱シートの材質が「材質B」の場合には、サーマルヘッド31を介して印字可能な該感熱シートの最大搬送速度は、20[mm/sec]であり、感熱シートの材質が「材質B」の無定長ロールシート3Aの搬送速度として「20[mm/sec]」が予めROM64に記憶されている。
そして、CPU62はこのようなROM64に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算を行う。また、ROM64には、多数の文字等のキャラクタのそれぞれについて、各キャラクタの輪郭線を規定する輪郭線データ(アウトラインデータ)が各書体(ゴシック系書体、明朝体系書体等)毎に分類されてコードデータに対応して記憶されている。このアウトラインデータに基づいてドットパターンデータが印字バッファ66A上に展開される。
また、フラッシュメモリ65は、外部のコンピュータ装置などから受信した外字データ等のドットパターンデータや各種図柄データのドットパターンデータ等に登録番号を付して記憶する。フラッシュメモリ65は、テープ印刷装置1の電源をオフしても記憶内容を保持している。
また、RAM66は、CPU62により演算された各種の演算結果を一時的に記憶する。RAM66には、印字バッファ66A、ワーク領域66B等の各種のメモリが設けられている。また、印字バッファ66Aには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納され、サーマルヘッド31はこのような印字バッファ66Aに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。
また、入出力I/F67には、シート判別センサS1〜S5と、フォトセンサ11と、サーマルヘッド31を駆動するためのサーマルヘッド駆動回路71(印字制御手段)と、プラテンローラ26を回転駆動する上記シート送りモータ72を駆動するための複数のパルス指令を出力するモータ駆動回路73(パルス出力手段)と、がそれぞれ接続されている。
サーマルヘッド制御回路71は、サーマルヘッド制御回路71は、サーマルヘッド31の上記発熱素子に対し、上記印字データに対応した通電制御を行う。具体的には、サーマルヘッド制御回路71は、プラテンローラ26による無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートの搬送の開始後、シート送りモータ72の目標速度(後述)に対応した通電タイミングの間隔(印字周期)に対応して、上記印字データを1つの印字ライン単位に分割したライン印刷データごとに通電態様を切り替える。
シート送りモータ72は、パルスモータで構成されており、上記モータ駆動回路73の上記複数のパルス指令に追従して回転駆動する。なお、本実施形態では、以下、シート送りモータ72について、1ライン−1パルスとして対応づけられている場合を例にとって説明する。また、すなわち、シート送りモータ72への1パルスの付与により、プラテンローラ26の回転駆動によって、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートが、搬送方向に印字解像度に区分した印刷ラインの1ライン分だけ搬送されるようになっている。しかしながら、これに限られるものではなく、その他1ライン−2パルス等、他の対応付けであってもよい。
また、通信用I/F68は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等から構成され、外部のコンピュータ装置とUSBケーブル等によって接続され、双方向データ通信が可能になっている。
<本実施形態の特徴>
上記構成において、本実施形態の特徴は、エンコーダマーク5の検出結果に応じてシート送りモータ72に脱調現象が生じているかを判定し、脱調現象が生じている場合にはシート送りモータ72の回転速度を増減修正することにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
<パルスモータの一般的特性>
上述したように、パルスモータであるシート送りモータ72は、無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシート(以下適宜、「無定長ロールシート3A等」という)を搬送するプラテンローラ26の駆動源であり、その回転速度は上記モータ駆動回路73によって制御される。シート送りモータ72はパルス1つを与えること(励磁相を次の状態に切り替えること)で所定角度の回転を行い、当該パルスを与える間隔(パルス周期)を短くしたり長くしたりすることで回転速度の制御が行われる。当該間隔を徐々に短くすることでシート送りモータ72の回転速度を加速することができ、当該間隔を徐々に長くすることでシート送りモータ72の回転速度を減速することができる。
本実施形態においては、このようなシート送りモータ72の加速挙動(若しくは、減速挙動)を実現するために、予め、パルス付与間隔の最小値及びその最小値まで減少させるときの態様(若しくは、最大値及びその最大値まで増大させるときの態様)がパターン化され、ROM64内に、複数種類の上記加速テーブル及び減速テーブルとして用意されている(後述の図6及び図7参照)。これにより、モータ駆動回路73が実際にシート送りモータ72の回転速度を制御する際には、その複数種類のテーブルからいずれか1つを選択し、当該選択した加減速テーブルに沿ってシート送りモータ72へパルスを発することにより、所望の加速挙動(若しくは減速挙動)を容易に実現することができる。
<基本モータテーブル>
ここで、モータは、慣性の大きな回転子を回転させる構成であることから、急加速や急減速は困難である。また、各モータの特性上、停止状態から最高速度状態まで、効率のよい駆動制御を行えるパルス−速度相関が概ね一意的に定まる。そこで、一般的には、パルスモータの停止状態から最高速度状態までの間に対応したパルス数範囲(本実施形態では後述の図6(a)、図7(a)に示されるように8パルスである)を1単位として、上記複数種類用意される加減速テーブルにおいては、上記加減速パルス数における加減速開始点から加減速完了点までの加減速挙動が定められる。
本実施形態においては、シート送りモータ72の、停止状態と最高速度状態との間での基準加減速特性を定めた上記パルス−速度相関が、基本モータテーブル(図示せず)として実測によって決定されている。そして、上記複数種類用意される加速テーブル・減速テーブルにおいては、上記8パルス(前述の1ライン−1パルスの前提において8ラインに相当)を1単位として、加速開始点から加速完了点までの加速挙動、及び、減速開始点から減速完了点まで減速挙動が定められることとなる。この場合、速度制御時には、現在から上記パルス数範囲(8パルス)だけ後において実現すべきシート送りモータ72の目標速度が設定され、現在速度と、上記8パルス後の上記目標速度との偏差に応じて上記加速テーブル又は減速テーブルが選択され、モータ速度が制御されることとなる。なお、本実施形態では後述のように目標速度が「最高速」「高速」「中速」「低速」の4段階に離散的に設定されている。
<加速テーブル>
加速テーブルの例を図6(a)〜(g)に示す。各テーブルにおいて、シート送りモータ72の回転速度は、当該回転速度を実現するためにシート送りモータ72に印加するパルスの間隔である「周期[ms]」に換算して表している。また、「ライン」は、前述した、無定長ロールシート3A等を搬送方向に印字解像度に区分した印刷ラインを表している。
図6(a)は、停止状態から最高速(この例では周期1.6[ms])まで加速するときに用いられる第1加速テーブルを示している。この例では、シート送りモータ72は、停止状態から1ライン後の第1ライン(第1パルス)では周期50[ms]となり、その次の第2ライン(第2パルス)では周期40[ms]となり、以降、次第に加速していって、最終の第8ライン(第8パルス)では上記最高速に対応した周期1.6[ms]に達する特性となっている(後述の図8(a)も参照)。
図6(b)は、停止状態から、2番目に速い速度(以下適宜、単に「高速」という。この例では周期2[ms])まで加速するときに用いられる第2加速テーブルを示しており、上記同様、第1ラインで周期50[ms]、第2ラインで周期40[ms]、以降、次第に加速していって、第7ラインで上記高速に対応した周期2[ms]となった後は等速となり、最終の第8ラインでも同速の周期2[ms]となっている(後述の図8(a)も参照)。
図6(c)は、停止状態から、2番目に遅い速度(以下適宜、単に「中速」という。この例では周期4[ms])まで加速するときに用いられる第3加速テーブルを示しており、上記同様、第1ラインで周期50[ms]、第2ラインで40[ms]、以降、次第に加速していって、第6ラインで上記中速に対応した周期4[ms]となった後は等速となり、その次の第7ライン、及び最終の第8ラインでも同速の周期4[ms]となっている(後述の図8(a)も参照)。
図6(d)は、最も遅い速度(以下適宜、単に「低速」という。この例では周期6[ms])から、上記最高速まで加速するときに用いられる第4加速テーブルを示している。すなわち、シート送りモータ72は、低速状態から1ライン後の第1ラインで上記中速に対応した周期4[ms]、第2ラインで上記高速に対応した周期2[ms]、第3ラインで上記最高速に対応した周期1.6[ms]となった後は等速となり、最終の第8ラインでも同速の周期1.6[ms]となっている(後述の図8(b)も参照)。
図6(e)は、上記低速から、上記高速まで加速するときに用いられる第5加速テーブルを示しており、第1ラインで上記中速に対応した周期4[ms]、第2ラインで上記高速に対応した2[ms]となった後は等速となり、最終の第8ラインでも同速の周期2[ms]となっている(後述の図8(b)も参照)。
図6(f)は、上記中速から、上記最高速まで加速するときに用いられる第6加速テーブルを示しており、第1ラインで上記高速に対応した周期2[ms]、第2ラインで上記最高速に対応した1.6[ms]となった後は等速となり、最終の第8ラインでも同速の周期1.6[ms]となっている(後述の図8(c)も参照)。
なお、図6(g)に示す第3′加速テーブル及び第3″加速テーブルについては、後述する。
<減速テーブル>
減速テーブルの例を図7(a)〜(g)に示す。「周期[ms]」「ライン」については、前述と同様である。
図7(a)は、上記最高速から停止状態まで減速するときに用いられる第1減速テーブルを示している。この例では、シート送りモータ72は、最高速に対応した周期2[ms]から、1ライン後の第1ライン(第1パルス)では上記高速に対応した周期2[ms]となり、その次の第2ライン(第2パルス)では上記中速に対応した周期4[ms]となり、以降、次第に減速していって、最終の1つ前の第7ライン(第7パルス)で周期50[ms]となった後に最終の第8ラインで停止する特性となっている(後述の図8(a)も参照)。
図7(b)は、上記高速から停止状態まで減速するときに用いられる第2減速テーブルを示しており、上記同様、高速に対応した周期2[ms]の状態から第1ラインまで同速の周期2[ms]であり、それ以降減速が開始され、第2ラインで周期4[ms]、第3ラインで周期6[ms]、以降、次第に減速していって、第7ラインで周期50[ms]となった後に最終の第8ラインで停止する特性となっている(後述の図8(a)も参照)。
図7(c)は、上記中速から停止状態まで減速するときに用いられる第3減速テーブルを示しており、上記同様、中速に対応した周期4[ms]の状態から第2ラインまで同速の周期4[ms]であり、それ以降減速が開始され、第3ラインで周期6[ms]、第4ラインで周期10[ms]、以降、次第に減速していって、第7ラインで周期50[ms]となった後に最終の第8ラインで停止する特性となっている(後述の図8(a)も参照)。
図7(d)は、上記最高速から低速まで減速するときに用いられる第4減速テーブルを示しており、上記同様、最高速に対応した周期1.6[ms]の状態から第5ラインまで同速の周期1.6[ms]であり、それ以降減速が開始され、第6ラインで周期2[ms]、第7ラインで周期4[ms]、最終の第8ラインで上記低速に対応した周期6[ms]となる(後述の図8(b)も参照)。
図7(e)は、上記高速から低速まで減速するときに用いられる第5減速テーブルを示しており、上記同様、高速に対応した周期2[ms]の状態から第6ラインまで同速の周期2[ms]であり、それ以降減速が開始され、第7ラインで周期4[ms]、最終の第8ラインで上記低速に対応した周期6[ms]となる(後述の図8(b)も参照)。
図7(f)は、上記最高速から中速まで減速するときに用いられる第6減速テーブルを示しており、上記同様、最高速に対応した周期1.6[ms]の状態から第6ラインまで同速の周期1.6[ms]であり、それ以降減速が開始され、第7ラインで周期2[ms]、最終の第8ラインで上記中速に対応した周期4[ms]となる(後述の図8(b)も参照)。
なお、図7(g)に示す第3′減速テーブル及び第3″減速テーブルについては、後述する。
<加減速特性の例>
本実施形態では、以上の図6(a)〜(g)にそれぞれ示す加速テーブルから選択された特定の1つの加速テーブルと、図7(a)〜(g)にそれぞれ示す減速テーブルから選択された特定の1つの減速テーブルとを用いて、モータ駆動回路73がシート送りモータ72の回転速度を、前述の目標速度となるように制御する。そのような制御により実現されるシート送りモータ72の加減速制御の例を図8(a)〜(d)に示す。図8(a)の実線で表す特性線には、最初の8パルスで停止状態から上記最高速まで加速され(上記第1加速テーブル使用)、その後の12パルスは当該最高速の定速回転となった後、最後の8パルスで上記最高速から停止状態へ減速された(上記第1減速テーブル使用)場合を示している。図8(a)の一点鎖線で表す特性線には、最初の7パルスで停止状態から上記高速まで加速され(上記第2加速テーブル使用)、その後の10パルスは当該高速の定速回転となった後、最後の7パルスで上記高速から停止状態へ減速された(上記第2減速テーブル使用)場合を示している。図8(a)の破線で表す特性線には、最初の6パルスで停止状態から上記中速まで加速され(上記第3加速テーブル使用)、その後の12パルスは当該中速の定速回転となった後、最後の6パルスで上記中速から停止状態へ減速された(上記第3減速テーブル使用)場合を示している。
また、図8(b)の実線で表す特性線には、最初の3パルスで上記低速から上記最高速まで加速され(上記第4加速テーブル使用)、その後の18パルスは当該最高速の定速回転となった後、最後の3パルスで上記最高速から上記低速へ減速された(上記第4減速テーブル使用)場合を示している。図8(b)の一点鎖線で表す特性線には、最初の2パルスで上記低速から上記高速まで加速され(上記第5加速テーブル使用)、その後の20パルスは当該高速の定速回転となった後、最後の2パルスで上記高速から低速状態へ減速された(上記第5減速テーブル使用)場合を示している。
図8(c)の実線で表す特性線には、最初の2パルスで上記中速から上記最高速まで加速され(上記第6加速テーブル使用)、その後の20パルスは当該最高速の定速回転となった後、最後の2パルスで上記最高速から中速状態へ減速された(上記第6減速テーブル使用)場合を示している。
なお、図8(d)に示す特性線については、後述する。
<目標速度の設定>
ここで、既に述べた上記シート送りモータ72の目標速度の設定は、サーマルヘッド31での通電制御内容に対応して行われる。例えばまず、サーマルヘッド31の発熱領域への1回の通電時間Thが、例えば公知の手法で検出したテープ印刷装置1の電圧や印刷装置1の周囲の温度等の動作環境情報に基づき、決定される。一例としては、テープ印刷装置1の周囲温度が低い場合には無定長ロールシート3A等の感熱シートの発色に時間がかかることから通電時間Thが長めに設定される。あるいは、テープ印刷装置1の電圧が高めになっている場合には、高電圧印加により無定長ロールシート3A等の感熱シートの発色が短時間に完了することから通電時間Thが短めに設定される。そして、上記のようにして決定された通電時間Thに基づき、発熱素子への通電タイミング間隔である上記印字周期Tが決定され、さらにその決定された印字周期Tに応じて、目標速度が決定される。このとき、前述したように、本実施形態においては、シート送りモータ72の目標速度は「最高速」「高速」「中速」「低速」等に離散して段階的に定められ、前述の加速テーブルや減速テーブルを用いて、当該目標速度となるようにシート送りモータ72の回転速度が制御される。
<脱調現象>
ここで、パルスモータであるシート送りモータ72は、上記のようにパルス指令が入力される毎に上記所定角度の回転を繰り返すことから、モータ回転時に振動が発生する。特に回転子やギアなどの回転系の固有振動数と上記パルス指令の間隔(駆動周波数)が一致すると、共振現象が発生して上記振動が大きくなり、振動が著しくなると、シート送りモータ72の回転の上記複数のパルス指令への追従性が乱れる脱調現象が発生する場合がある。そこで、本実施形態においては、上記フォトセンサ11による上記エンコーダマーク5の検出結果に基づき、脱調現象の発生を検出する。以下、その内容を詳細に説明する。
<エンコーダマーク検出に基づく搬送状態の判定概要>
本実施形態では、前述したように、フォトセンサ11によるエンコーダマーク5の検出結果を利用して無定長ロールシート3A等の搬送状態に異常が生じているかどうかを判定し、異常が生じている場合には上記脱調現象が生じていると特定する。ここで、上記搬送状態の判定においては、この例では、被印字媒体として上記無定長ロールシート3A及びダイカットラベルシートのいずれが使用されるか、に応じて、2つの判定手法(しきい値電圧を用いる手法・電圧差を用いる手法)が使い分けられる。以下、その詳細を図9及び図10により説明する。
<被印字媒体の識別>
すなわち、まず、CPU62により、各シート判別センサS1〜S5から入力されている5ビットの符号が読み込まれる。このとき、前述したように、ロールシート種類記憶領域64Bには、上記5ビットの符号に対応する無定長ロールシート3A及びダイカットラベルシートの種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp等のデータが記憶されている。CPU62は、それら種別、感熱シートの材質、ロールシート幅、エンコーダマーク5の搬送方向ピッチp等のデータを読み出し、その読み出したデータに基づき、ロールシートホルダ3に無定長ロールシート3A又はダイカットラベルシートのいずれが装着されているかを判定する。
<無定長ロールシートのときのエンコーダマーク検出>
ロールシートホルダ3に無定長ロールシート3Aが装着されていた場合には、無定長ロールシート用に予め定められた電位差データ(例えば1.50[V])に基づき、フォトセンサ11から入力される出力信号の電圧が、上記所定ハイレベル電圧から上記電位差データの電位差分だけ所定ローレベル電圧側に変化した場合、エンコーダマーク5がフォトセンサ11に対向したと判定する。すなわち、CPU62は、後述のようにしてプラテンローラ26が回転して無定長ロールシート3Aが搬送される際、図10に示すように、フォトセンサ11の出力信号波形82の電圧が、所定ハイレベル電圧3[V]から上記電位差データ1.50[V]の電位差分のローレベル電圧側へ変化した3[V]−1.50[V]=1.50[V]の電圧になったときに、エンコーダマーク5がフォトセンサ11に対向した、と判定するのである。
<ダイカットラベルシートのときのエンコーダマーク検出>
一方、ロールシートホルダ3にダイカットラベルシートが装着されていた場合には、ダイカットラベルシート用に予め定められた電位差データ(例えば2.50[V])に基づき、フォトセンサ11の出力信号の所定ハイレベル電圧から当該電位差データの半分の電位差のローレベル側の電圧をしきい値電圧としてRAM66に記憶する。なお、この例では、上記所定ハイレベル電圧は3[V]であり、上記所定ローレベル電圧は0[V]となっている。したがって、図9に示すように、CPU62は、フォトセンサ11の出力信号波形81の所定ハイレベル電圧3[V]から、上記電位差データ2.50[V]の半分の電位差1.25[V]だけローレベル側の電圧1.75[V]を、しきい値電圧としてRAM66に記憶する。そして、CPU62は、後述のようにしてプラテンローラ26が回転してダイカットラベルシートが搬送される際、フォトセンサ11から入力される出力信号の電圧が上記しきい値電圧1.75[V]になったときにエンコーダマーク5がフォトセンサ11に対向した、と判定するのである。
<搬送状態識別に基づく脱調発生判定>
そして、上記いずれのエンコーダマーク5の検出手法であっても、本実施形態では、上記目標速度に対応した搬送速度で搬送されているという前提で、1つのエンコーダマークがフォトセンサ11に対向してから、当該搬送速度に合致した所定時間の経過後に、次のエンコーダマーク5が対向したか否か、を判定する。これにより、上記無定長ロールシート3A等の搬送状態の正常・異常を識別することができ、搬送状態が異常である場合には、前述の脱調現象が生じているとみなすことができる。
すなわち、図11(a)に示すように、シート送りモータ72に脱調現象が生じていない場合には、モータ駆動回路73のパルス指令の数に同期して無定長ロールシート3Aが一定の速度Vtで搬送される。その結果、フォトセンサ11においては、1つのエンコーダマーク5が通過してから次のエンコーダマーク5が通過するまでに要する時間tは、時間t=p/Vtとなる。例えば、速度Vtが80[mm/sec]で、エンコーダマーク5のピッチpが10[mm]である場合には、上記時間tは1/8[sec]となる。
これに対し、図11(b)に示す、シート送りモータ72に脱調現象が生じている場合には、モータ駆動回路73のパルス指令の数に同期できず、無定長ロールシート3Aは上記速度Vtよりも小さい速度Vt′で搬送される。その結果、フォトセンサ11は、1つのエンコーダマーク5が通過してから上記時間t=p/Vtが経過しても次のエンコーダマーク5を検出できない。すなわち、1つのエンコーダマーク5が通過してから次のエンコーダマーク5が通過するまでに要する時間は、上記時間t(目標所要時間に相当)よりも長い時間t′(現実の所要時間に相当)となる。したがって、フォトセンサ11における上記のようなエンコーダマーク5の検出タイミングによって、CPU62は、脱調現象が生じているかどうかを判定することができる(後述の図12のステップS70参照)。
<脱調発生時の速度変更>
前述したように、脱調現象は、回転子やギアなどの回転系の固有振動数に対し、シート送りモータ72のパルス指令の間隔(駆動周波数)が一致する共振現象によって起こる。したがって、本実施形態では、上記のようにして脱調現象が発生した場合には、上記パルス指令の間隔を若干広げる(すなわちモータ回転速度を遅くする)、若しくは、パルス指令の間隔を若干狭める(すなわちモータ回転速度を速くする)。そのために、本実施形態では、上記のようにモータ回転速度を若干変化させるために、予め目標速度の値(加速テーブルが加速後に最終的に到達する速度値)が修正された加速テーブルに切り替える。
通常、上述の共振周波数は、100〜200Hz程度の比較的低めの周波数帯域付近に存在することが知られている。そこで、本実施形態では、加速後に最終的に到達する目標速度が当該周波数帯域付近となる上記第3加速テーブル(図6(c)参照)について、周期4[ms]で表される当該目標速度を略20%遅く修正し周期4.8[ms]とした第3′加速テーブル(図6(g)参照)と、当該目標速度を略20%速く修正し周期3.2[ms]とした第3″加速テーブルと、が用意されている。なお、図7(g)に示すように、上記第3′加速テーブル及び第3″加速テーブルにそれぞれ対応した第3減速′テーブル及び第3″減速テーブルも用意されている。上記のように脱調現象が検出された場合には、使用していた第3加速テーブル(あるいは第3減速テーブル)に代えて、上記第3′又は第3′加速テーブル(あるいは第3′又は第3′減速テーブル)を用いて、シート送りモータ72の回転速度制御が行われる。
なお、このような加速・減速テーブルの切り替えは、脱調現象が生じた時点で直ちに(加速・減速制御の途中で)行ってもよいし、当該加速・減速が終了したとき、それ以降に第3加速テーブル(あるいは第3減速テーブル)が再びモータ回転制御のために選択された際に当該テーブル切り替えを行うようにしてもよい。
<制御手順>
以上の内容を実現するためにCPU62によって実行される制御手順を、図12により説明する。
図12のフローは、例えばテープ印刷装置1の上記電源ボタン7が押されることにより開始される。図12において、まず、ステップS10で、CPU62は、例えば各種メモリの初期化等、所定の初期化処理を行う。その後、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU62は、前述の動作環境情報等に基づき、サーマルヘッド31の1回の通電時間Thを決定し、その決定された通電時間Thに基づき、印字周期Tを決定する。その後、ステップS30に移る。
ステップS30では、CPU62は、上記ステップS20で決定された印字周期Tに応じた目標速度(第1目標速度)を設定する。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、CPU62は、図6(a)〜(f)及び図7(a)〜(f)に示す加速テーブル・減速テーブルの中から、加減速開始点が現在速度に一致し、加減速完了点が上記のようにして設定した目標速度であるような加速テーブル又は減速テーブルを選択し、これに応じてパルス周期を設定する。その後、ステップS50に移る。
ステップS50では、CPU62は、モータ駆動回路73に制御信号を出力して、上記ステップS40で選択した加速テーブル又は減速テーブルに沿ったパルス周期の上記複数のパルス指令により無定長ロールシート3A等の搬送を開始すると共に、サーマルヘッド制御回路71に制御信号を出力してサーマルヘッド31に対し上記パルス周期に基づいた周期で給電し、無定長ロールシート3A等に上記印字データに対応した印刷を開始させる。なお、このステップS50が、各請求項記載の搬送制御手段として機能する。その後、ステップS60に移る。
ステップS60では、CPU62は、上記フォトセンサ11による検出結果に基づき、上述した手法により、シート送りモータ72に脱調が生じているか否かを判定する。脱調が生じていなければステップS60の判定が満たされず(S60:NO)、後述のステップS80に移る。脱調が生じていた場合にはステップS60の判定が満たされ(S60:YES)、ステップS70に移る。なお、上記ステップS60が、各請求項記載の搬送状態検出手段として機能するとともに、脱調判定手段としても機能する。
ステップS70では、脱調発生に対応し、これまで使用していた加速テーブル又は減速テーブル(前述の例では第3加速テーブル又は第3減速テーブル)を、脱調発生時用に目標速度が修正された(=第2目標速度)、対応する加速テーブル又は減速テーブル(前述の例では第3′又は第3″加速テーブル、若しくは、第3′又は第3′減速テーブル)に切り替える。
なお、第3加速テーブル又は第3減速テーブルから上記のいずれに切り替えるかについては、例えば、印字品質重視であれば、第3′加速テーブル又は第3′減速テーブルに切り替えればよい。第3′加速テーブルを用いる場合は、前述のように目標速度が20%遅くなるように修正される。但し、20%以内であれば他の値でもよい。すなわち、上記第1目標速度V1に対し、上記第2目標速度V2は、0.8V1≦V2<V1となるように設定されれば足りる。一方、例えば確実な脱調解消重視であれば、第3″加速テーブル又は第3″減速テーブルに切り替えればよい。第3″加速テーブルを用いる場合は、前述のように目標速度が20%速くなるように修正される。但し、20%以内であれば他の値でもよい。すなわち、上記第1目標速度V1に対し、上記第2目標速度V2は、V1<V2≦1.2V1となるように設定されれば足りる。なお、このステップS70が、各請求項記載の目標速度修正手段として機能する。その後、ステップS80に移る。
ステップS80では、CPU62は、無定長ロールシート3A等に対し上記印字バッファ66Aに展開された上記印字データ(ドットパターンデータ)に対応した全てのライン数の印刷が終了したか否かを判定する。印字データに対応した全てのライン数の印刷が終了すれば判定が満たされ(ステップS80:YES)、このフローを終了する。印字データに対応した全てのライン数の印刷が終了していなければ判定が満たされず(ステップS80:NO)、上記ステップS50に戻り、同様の手順を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態のテープ印刷装置1においては、ステップS60においてシート送りモータ72に脱調現象が生じているかどうかが判定される。脱調現象が生じていた場合には、ステップS70で加速テーブル又は減速テーブルが切り替えられることで目標速度の値が増減修正され、結果として、脱調現象が生じなくなるような目標速度とされる。このように、脱調現象が生じたときに目標速度の値を増減修正することにより、上述した共振現象の発生により脱調現象が生じていたとしても、シート送りモータ72の回転速度を変更して振動時の周波数をずらすことで上記共振現象が起こらないようにし、脱調現象を解消することができる。これにより、脱調のない円滑なシート送りモータ72の駆動を行うことができ、印字品質を向上することができる。
また、既に述べたように、共振現象のパルスモータ側の原因となる固有振動数は、各モータそれぞれに固有の値であって各モータごとに微妙に異なる値となる。本実施形態では、共振現象による脱調現象が実際にシート送りモータ72に起こったことを検出してから、そのときの目標速度の値を修正して共振を回避する。したがって、予め複数のパルスモータに対して共通に適宜に定められた周波数領域を回避するように目標速度を設定する手法に比べて、シート送りモータ72に対し個別にきめ細かく対応することができる。その結果、本来であれば脱調が生じず目標速度の修正の必要がないシート送りモータ72に対して修正を行う無駄が生じたり、逆に目標速度の修正が必要なシート送りモータ72に対して修正が行われない修正漏れが生じたりする可能性がなく、確実に脱調のない円滑なシート送りモータ72の駆動を行うことができる。
また、本実施形態では特に、図11(a)及び図11(b)を用いて前述したように、所定区間(前述の例では1つのエンコーダマーク5から次のエンコーダマーク5まで)の搬送に要した現実の所要時間t′をフォトセンサ11の検出結果に応じてステップS60で算出し、これと上記目標所要時間tとの比較によって脱調現象の発生が判定される。これにより、シート送りモータ72の回転子の回転を直接検出するエンコーダ機構等を別途設けることなく、脱調現象の有無を判定することができる。また、パルスモータであるシート送りモータ72側単体の種々の状態量からだけではなく、被印字媒体である無定長ロールシート3A等の搬送結果を加味した、総合的な脱調現象有無の判定を精度よく行うことができる。
また、本実施形態では特に、フォトセンサ11がエンコーダマーク5を検出するタイミング情報に基づいて、上記所定区間の搬送に要した現実の所要時間が算出される。これにより、比較的安価かつ簡素な構造で、精度よく搬送状態を検出することができる。
なお、上記のように、搬送された無定長ロールシート3A等の所定区間の搬送に要した現実の所要時間を検出するのに代え、無定長ロールシート3A等の現実の搬送速度又は所定時間範囲における現実の搬送量を検出してもよい。これらの場合には、上記複数のパルス指令により実現されるべき上記第1目標速度と上記現実の搬送速度との比較、又は、上記所定時間範囲における目標搬送量と上記現実の搬送量との比較、に基づき、上記脱調現象が生じているか否かを判定すればよい。この場合も同様の効果を得る。
また、本実施形態では特に、上記第3加速テーブルの第3′加速テーブルへの切替による目標速度の修正時に、上記第1目標速度V1を0.8V1≦V2<V1となる第2目標速度V2に修正する。これには以下のような意義がある。すなわち、上述したように、脱調現象は、シート送りモータ72側の構造的な固有振動数とモータ回転時に生じる振動数との一致によって生じる。したがって、目標速度を変えて回転時の振動数を変える際には、当該振動数の一致を解消すれば足り、目標速度を増大させてもよいし減少させてもよい。しかしながら、例えば印刷データのデューティが大きい場合等には、サーマルヘッド駆動回路71による通電制御の制約等により、目標速度を大きくすると無定長ロールシート3A等の搬送速度の増大に印字能力が対応しきれなくなり印字品質の低下が生じる可能性がある。そこで第3′加速テーブルでは、脱調現象の発生時に第1目標速度V1を遅くした第2目標速度V2が用いられる。これにより、上記印字品質の低下を確実に回避しつつ、脱調現象を解消することができる。
また、本実施形態では特に、上記第3加速テーブルの第3″加速テーブルへの切替による目標速度の修正時に、上記第1目標速度V1をV1<V2≦1.2V1となる第2目標速度V2に修正する。これには以下のような意義がある。すなわち、第1目標速度V1から増速して第2目標速度V2とするとき、20%程度以内の増速とすることにより、第2目標速度V2と第1目標速度V1との差を必要最小限にとどめ、搬送や印字状態の急激な変化が起こらないようにすることができる。
なお、以上において、図5に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図12に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
3A 無定長ロールシート(被印字媒体)
26 プラテンローラ(搬送手段)
31 サーマルヘッド
71 サーマルヘッド駆動回路(印字制御手段)
72 シート送りモータ(パルスモータ)
73 モータ駆動回路(パルス出力手段)
V1 第1目標速度
V2 第2目標速度

Claims (3)

  1. 複数のパルス指令を出力するパルス出力手段と、
    前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令に追従して回転駆動するパルスモータと、
    前記パルスモータの駆動力を用いて被印字媒体を搬送するための搬送手段と、
    前記被印字媒体を前記搬送方向に印字解像度に区分してなる各印字ライン上にドットをそれぞれ形成する複数の発熱素子を備え、印字データに基づく所望の印字を前記被印字媒体に形成するサーマルヘッドと、
    所定のパルス数範囲における加速開始点から第1目標速度となる加速完了点までの前記パルスモータの加速挙動をそれぞれパターン化した複数種類の加速テーブルと、前記所定のパルス数範囲における前記第1目標速度の減速開始点から減速完了点までの前記パルスモータの減速挙動をそれぞれパターン化した複数種類の減速テーブルと、特定の前記加速テーブルでパターン化された前記加速挙動のうち前記加速完了点の前記第1目標速度だけを第2目標速度に修正した修正加速テーブルと、特定の前記減速テーブルでパターン化された前記減速挙動のうち前記減速開始点の前記第1目標速度だけを前記第2目標速度に修正した修正減速テーブルと、を予め記憶した記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された1つの前記加速テーブルを用いて前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させ、前記印字データに対応して設定された前記第1目標速度となるように前記パルスモータの回転速度を増大させるとともに、前記記憶手段に記憶された1つの前記減速テーブルを用いて前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させ、前記第1目標速度から停止するように前記パルスモータの回転速度を減少させる、搬送制御手段と、
    前記第1目標速度に対応した通電タイミングの間隔である印字周期に対応して、前記印字データを1つの前記印字ライン単位に分割したライン印刷データごとに通電態様を切り替える通電制御を行う印字制御手段と、
    を有する印刷装置であって、
    前記搬送制御手段により前記1つの加速テーブルを用いて前記パルスモータの加速制御が開始されるか若しくは前記1つの減速テーブルを用いて前記パルスモータの減速制御が開始された後、前記パルスモータを含む回転系の固有振動数との共振に由来して当該パルスモータの回転における前記複数のパルス指令への追従性が乱れる脱調現象が生じているか否かを判定する、脱調判定手段と、
    を有し、
    前記脱調判定手段により前記脱調現象が生じていると判定された場合に、前記搬送制御手段は、それまで使用していた前記加速テーブル又は前記減速テーブルに代えて、前記第1目標速度V1に対しV1<V2≦1.2V1又は0.8V1≦V2<V1のいずれかに選択し修正された前記第2目標速度V2に対応した、前記修正加速テーブル又は前記修正減速テーブルを用いて、前記パルス出力手段からの前記複数のパルス指令の出力態様を変化させる
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置において、
    前記搬送手段により搬送された前記被印字媒体の現実の搬送速度、又は所定時間範囲における現実の搬送量、若しくは所定区間の搬送に要した現実の所要時間、を検出する搬送状態検出手段を有し、
    前記脱調判定手段は、
    前記搬送制御手段の制御により前記第1目標速度に応じて前記パルス出力手段から出力される前記複数のパルス指令により実現されるべき、当該第1目標速度と前記現実の搬送速度との比較、又は、前記所定時間範囲における目標搬送量と前記現実の搬送量との比較、若しくは、前記所定区間の搬送に要する目標所要時間と前記現実の所要時間との比較、に基づき、前記脱調現象が生じているか否かを判定する
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2記載の印刷装置において、
    前記搬送状態検出手段は、
    前記被印字媒体に予め搬送方向に沿って等間隔に設けられた被検出マークを光学的に検出する光学センサを備え、
    前記光学センサが前記被検出マークを検出するタイミング情報に基づいて、前記現実の搬送速度、又は前記所定時間範囲における前記現実の搬送量、若しくは前記所定区間の搬送に要した前記現実の所要時間、を算出する
    ことを特徴とする印刷装置。
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