始めに、実施例1のシートフレームの構成について、図1〜図11を用いて説明する。本実施例の「シートフレーム」は、図1に示すように、自動車の助手席シートとして構成された車両用シート1のシートバック2の骨組みを成すシートバックフレーム10として構成されたものである。ここで、車両用シート1は、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭の凭れ部となるヘッドレスト4と、を有して構成されている。
シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、シートクッション3の左右両サイドの後端部に対して、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能する図示しない円盤状のリクライニング装置を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートバック2は、シートクッション3に対して、背凭れ角度の調節が行えるように連結された状態とされている。シートクッション3は、車両のフロア上に、図示しない左右一対のスライド装置を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートクッション3は、フロアに対して、前後方向の位置調節が行えるように設けられた状態とされている。なお、上記図示しないリクライニング装置やスライド装置の基本構造は、特開2011−116303号公報や特開2010−221935号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これらについての具体的な説明は省略することとする。
ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に装着されて設けられている。具体的には、ヘッドレスト4は、その下部から突き出る2本の棒状のステーが、それぞれ、後述するシートバックフレーム10のアッパフレーム12上に固定された2本の角筒状のホルダー13内にそれぞれ装着されて設けられる図示しない筒状のサポート部材内にそれぞれ上方側から差し込まれて装着されることにより、シートバック2の上部に装着されて固定された状態とされている。なお、上記ヘッドレスト4の図示しないステーをシートバックフレーム10に固定された各ホルダー13内に差し込んで装着する構成は、特開2008−239075号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これについての具体的な説明は省略することとする。
以下、図2〜図11を参照しながら、シートバックフレーム10の具体的な構成について説明する。図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10は、シートバック2の左右両側部の骨格を成す二股状に開け広げられた形のサイドフレーム11と、シートバック2の上側部の骨格を成すアッパフレーム12と、アッパフレーム12上の左右2箇所の位置に結合された2個の角筒状のホルダー13と、各サイドフレーム11の下端部にそれぞれ結合された高張力鋼板から成るパネル部材14と、各サイドフレーム11の下部間に架け渡された横長板状の架橋パネル15と、から構成されている。ここで、アッパフレーム12が本発明の「繋ぎフレーム」に相当し、架橋パネル15が本発明の「架橋フレーム」に相当する。
上記シートバックフレーム10は、次のように成形されている。先ず、図7に示すように、1本のアルミニウム合金の押出し材を形成し、これをプレス加工により逆U字状の形に折り曲げて、上述した各サイドフレーム11とアッパフレーム12とがひと繋がりとなる形のフレーム材を形成する。このとき、上記の折り曲げに先立って、もしくは折り曲げの後に、各サイドフレーム11に対して、これらを後に二股状に開け広げるための切込み11Cを入れておく(切込み工程)。また、アッパフレーム12上の各ホルダー13が結合される箇所(図9参照)にも、各ホルダー13を後にシート前方側から嵌め込むための切欠き12Aを入れておく(切欠き工程)。この段階(シートバックフレーム10が前後方向に曲げられていない平面形状の段階)で上記の切込み11Cや切欠き12Aを入れておくことにより、各切込み11Cを入れる作業が真っ直ぐな簡単な加工作業で済むと共に、各切欠き12Aを入れる際にシートバックフレーム10を切削加工用の治具にセットしやすくなるため、加工が容易となる。各切込み11Cは、各サイドフレーム11の上端近傍の箇所から下端側に貫通する位置まで高さ方向に真っ直ぐに入れられている。なお、上述した各切込み11Cや切欠き12Aは、シートバックフレーム10の後述する曲げ加工や開き加工が全て終わった後に入れるようにしても良い。
次に、図8に示すように、各サイドフレーム11の中間部を、それぞれ、プレス加工によりシート後方側に弓状に湾曲させた形に曲げ加工する(曲げ工程)。具体的には、各サイドフレーム11の上記切込み11Cによって分けられた前後に並ぶ各枝フレーム11A,11Bを、それぞれひとまとめに一緒にシート後方側に押し曲げるようにプレス加工する。これにより、各枝フレーム11A,11Bが、これらの並び方向となる前後方向に同じ形となるように湾曲した形に押し曲げられて、これらの中間部に互いの曲げられた形状同士が合致する形の曲げ部11A2,11B2が形成される。
次に、図9に示すように、上記折り曲げられた各サイドフレーム11の前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、シート前方側に開け広げるように曲げ加工する(開け広げ工程)。具体的には、前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、これらの枝分かれの開始点となる上端を支点にシート前方側に開け広げるように曲げ加工する。これにより、各サイドフレーム11が、前後方向に二股状に開け広げられた形に形成されて、上端側から下端側に向かってその形状の前後幅が漸次広がっていく形に形成された状態となる。
次に、上記各サイドフレーム11の開け広げられた各開口端部に、高張力鋼板から成るパネル部材14をそれぞれ差し込んで一体的に組み付ける(組付け工程)。更に、先程の工程でアッパフレーム12上に切欠かれた各切欠き12A上に、各ホルダー13を嵌め込んで溶接により一体的に結合する。次に、図10に示すように、上記各サイドフレーム11の下部間に、架橋パネル15を架け渡して溶接により一体的に結合する。ここで、上記架橋パネル15の各端部15Bは、その上縁部と下縁部とが、中央部に対して前方側に切り起こされた形に形成されており、上記折り曲げられた上縁部と下縁部とから成る各枝部15B2と、中央の枝部15B1と、に二股状に枝分かれした形に形成されている。上記架橋パネル15の各端部15Bは、各中央の枝部15B1が、各サイドフレーム11の後側の枝フレーム11Aのシート内側の面部に突き当てられて溶接されており、上縁部と下縁部の枝分かれした各枝部15B2が、各サイドフレーム11の前側の枝フレーム11Bのシート内側の面部に突き当てられて溶接されている。これにより、架橋パネル15の各端部15Bが、各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11B間に跨ってそれぞれ一体的に結合されて設けられた状態とされている。以上の工程により、図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10が、アルミニウム合金の押出し材により形成されて、両サイドフレーム11が二股状に開け広げられて軽量化される一方で、各パネル部材14の差し込みと、架橋パネル15の架け渡しと、によって構造強度が適切に高められた状態として形成されている。
続いて、シートバックフレーム10の各部の構成について詳しく説明する。シートバックフレーム10は、図5に示すように、上述したアルミニウム合金の押出し成形によって形成される横断面形状が、閉じ断面形状の第1の横断面部10Aと、閉じ断面形状の第2の横断面部10Bと、が互いに前後方向に繋がって形成される横断面形状に形成されている。上記シートバックフレーム10は、図7で前述したように、これが逆U字状の形に折り曲げられるときには、その全周において、前側に第2の横断面部10Bが位置し、後側に第1の横断面部10Aが位置する関係が保たれるように、これらの並び方向に対して垂直な方向に曲げられて形成されている。これにより、シートバックフレーム10は、各サイドフレーム11の横断面と、アッパフレーム12の横断面とが、シートバックフレーム10の内周側から外周側に向かって互いに同じ形となる状態に形成された状態とされている。
図5に示すように、上記第1の横断面部10Aは、シート前方側に面を向ける平坦面形状の取付面部10A1と、取付面部10A1の各縁部からシート後方側に延びて無端状の横断面形状を成す補強面部10A2と、を有し、これらによって無端状に閉じた横断面形状に形成されている。詳しくは、上記取付面部10A1は、シートバックフレーム10の前方側に対して内周側(図5では下方側)に斜めに面を向けた平坦面形状に形成されている。
第2の横断面部10Bは、上述した第1の横断面部10Aのシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)の縁部からシート前方側へ延びる繋ぎ面部10B1と、繋ぎ面部10B1のシート前方側の縁部からシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)へ延びて後ろ側に巻いて閉じる断面形状とされた閉じ断面部10B2と、を有する横断面形状に形成されている。上記第2の横断面部10Bの閉じ断面部10B2と、その後ろ側の第1の横断面部10Aの取付面部10A1と、の間には、隙間となるシート内周側(図5では下側)に開口する開口部10Cが形成されている。この開口部10Cは、上述した取付面部10A1の傾斜した形状によって、その開口形状がシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に向かって末広がり状に開いた形に形成されている。
また、上記第1の横断面部10Aと繋ぎ面部10B1との繋ぎ部分には、補強面部10A2の横断面形状をシート後方側に凹ませる形のポケット状に凹んだレール溝10A3が形成されている。このレール溝10A3は、シート前方側に開口した矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。また、第2の横断面部10Bの繋ぎ面部10B1と閉じ断面部10B2との繋ぎ部分にも、閉じ断面部10B2の横断面形状をシート前方側に凹ませる形のポケット状に凹んだレール溝10B3が形成されている。このレール溝10B3は、上記のレール溝10A3とは前後対称にシート後方側に開口した矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。これらレール溝10A3,10B3は、上述した開口部10Cを通じて互いに前後に連通した形状となっており、すなわち、開口部10Cを通じてシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に開口した形状となっており、繋ぎ面部10B1によってシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)から覆われた構成とされている。
上述したシートバックフレーム10に対して、図7で前述した各サイドフレーム11に入れられる切込み11Cは、上述した第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを繋ぐ繋ぎ面部10B1(図5参照)に沿って真っ直ぐに入れられている(図6参照)。したがって、図6及び図9に示されるように、各サイドフレーム11を上記の各切込み11Cから二股状に開け広げることにより、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Cを開け広げる格好で、これらを互いに前後に離間させた形に形成することができる。これにより、後側に開け広げられた第1の横断面部10Aが上述した後側の枝フレーム11Aとして、また、前側に開け広げられた第2の横断面部10Bが上述した前側の枝フレーム11Bとしてそれぞれ形成され、これら開け広げられた各枝フレーム11A,11Bが、それぞれに閉じ断面形状を持つ高い構造強度を備えた状態に形成された状態とされている。
そして、図9に示すように、上記二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の開口側(下側)の端部には、それぞれ、高張力鋼板から成るパネル部材14がシート下方側から差し込まれて取り付けられる。ここで、上記高張力鋼板から成る各パネル部材14は、上述したアルミニウム合金の押出し材より成る各サイドフレーム11よりも比強度が高い構成となっている。これらパネル部材14は、上述した二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の開口側の端部にそれぞれ差し込まれることにより、各枝フレーム11A,11Bの端部間に楔状に嵌め込まれた状態となって、これらの間を繋ぐ橋渡し材(補強材)となって、各サイドフレーム11の開口端部の構造強度を高めるように機能するものとなっている。
また、各パネル部材14は、図1に示すように、前述したシートバックフレーム10の左右両サイドの下端部を図示しないリクライニング装置を介してシートクッション3の左右両サイドの後端部に連結する際の、リクライニング装置との結合部として機能するものとなっている。具体的には、各パネル部材14は、図2に示すように、各サイドフレーム11の下端部に取り付けられた状態では、シート幅方向に面を向けた状態とされており、その板面上には、上記図示しないリクライニング装置との結合用の複数の嵌合孔14A1と、リクライニング装置のロック解除操作を行うための操作軸(図示省略)を通すための軸孔14A2とが、それぞれ軸方向に貫通して開けられた状態となっている。
図9に示すように、上述した各パネル部材14の前後側の各縁部には、シートバックフレーム10の内周側に向かって形状を内向きにロールさせた筒形状の筒状突起14B1,14B2が形成されている。これら筒状突起14B1,14B2は、各パネル部材14を各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの間に差し込む際に、各枝フレーム11A,11Bに形成された各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内にそれぞれ押し込まれて挿通されるようになっている。具体的には、各筒状突起14B1,14B2は、それらのロールされた筒形状が、各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)の内径よりもひとまわり大きな筒形状となる形に形成されており、各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内に圧入されることで、これらに対して強嵌合されて、差し込み方向に対して垂直な方向へは抜け外れないように強固に係合されるようになっている(図6参照)。
ここで、図9に示すように、上述した各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、各パネル部材14の前後幅よりも広くなるように二股状に開け広げられた形に形成されている。これにより、各パネル部材14の差し込み時に、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1内にそれぞれ入れ込んで係合させた状態にして差し込むことで、これらの係合構造と各パネル部材14の比強度の高い構造強度とによって、各枝フレーム11A,11Bが、各パネル部材14の差し込みの進行に伴って、これらの前後幅に合わせた形に弾性的に押し縮められるようにそれらの開き幅が変えられるようになっている。したがって、これら枝フレーム11A,11Bの弾性変形により、各サイドフレーム11に各パネル部材14が差し込まれて装着された状態では、各枝フレーム11A,11Bがそれぞれ開き方向に復元しようとする弾発力が各パネル部材14に掛けられるため、これらの弾発力が各パネル部材14と各サイドフレーム11との結合力を更に高めるように作用して、両者がより強固に一体的に結合された状態として保持されるようになっている。
なお、各枝フレーム11A,11Bは、上述した各パネル部材14の前後幅よりも狭くなるように開け広げられていてもよい。この場合でも、各パネル部材14の差し込み時に、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1内にそれぞれ入れ込んで係合させた状態にして差し込むことにより、これらの係合構造と各パネル部材14の比強度の高い構造強度とによって、各枝フレーム11A,11Bが、各パネル部材14の差し込みの進行に伴って、これらの前後幅に合わせた形に弾性的に押し広げられるようにそれらの開き幅が変えられるようになっている。したがって、これら枝フレーム11A,11Bの弾性変形により、各サイドフレーム11に各パネル部材14が差し込まれて装着された状態では、各枝フレーム11A,11Bがそれぞれ閉じ方向に復元しようとする弾発力が各パネル部材14に掛けられるため、これらの弾発力が各パネル部材14と各サイドフレーム11との結合力を更に高めるように作用して、両者がより強固に一体的に結合された状態として保持されるようになる。
ここで、上記各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、上述したようにその中間部がそれぞれ曲げ部11A2,11B2としてシート後方側に弓状に曲げられて形成されているものの、上述した各パネル部材14が差し込まれる各曲げ部11A2,11B2より下側の領域部の形状は、下方側に真っ直ぐに延びるストレートな形状となっている。これにより、各枝フレーム11A,11Bに形成された各レール溝11A1,11B1も同様に、下方側に真っ直ぐに延びるストレートな形に形成された状態とされている。そして、各パネル部材14の両側部に形成された各筒状突起14B1,14B2も、互いにほぼ平行な状態に高さ方向に真っ直ぐに延びるストレートな筒型形状に形成されている。したがって、各パネル部材14の各サイドフレーム11への差し込みが、途中でつっかえることなくスムーズに行えるようになっている。
また、図6に良く示されるように、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2が形成された前後側の各縁部の脇には、各パネル部材14の中央部を前後側の各縁部よりも外側(シートバックフレーム10の外周側:図6における右側)に張り出させる形の段差部14C1,14C2が形成されている。これら段差部14C1,14C2により、各パネル部材14は、その前後側の各筒状突起14B1,14B2が各レール溝11A1,11B1内に挿通されて各サイドフレーム11に取り付けられた状態において、それらの中央の板部が、各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの外側面と面一状の状態を成す一体感のある形に組み付けられた状態とされている。また、図9に示すように、上記各パネル部材14の上縁部には、シートバックフレーム10の内側に向かって屈曲するフランジ14Dが、プレス加工により折り曲げられて形成されている。これらフランジ14Dにより、各パネル部材14自体の曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、各パネル部材14の上縁部が内側に丸められた形となることで、外部に角張った形状が露呈しない形に形成された状態とされている。
上記各パネル部材14が各サイドフレーム11の二股状に開け広げられた開口端部にそれぞれ嵌め込まれて一体的に装着されることにより、各サイドフレーム11の開口端部が構造強度の高い部材により閉じられた状態として、シートバックフレーム10全体の構造強度が効果的に高められた状態とされている。これにより、シートバックフレーム10は、着座乗員の背部から受ける背凭れ荷重を、各サイドフレーム11の下端部がそれぞれ片持ち状に支持された支持構造により強く受け止めて支持することができるようになっている。
ここで、上記各パネル部材14は、それらの両枝フレーム11A,11Bの間に介在する板状のフランジ14Dが形成された各上縁部が、それぞれ、前斜め上がり方向に真っ直ぐに傾斜した形状に形成されている。これにより、各パネル部材14の装着によって高められる各サイドフレーム11の高さ方向の構造強度(断面係数)の変化の割合が、各パネル部材14の形状が傾斜状となっていることで、緩やかとなるように調節されている。詳しくは、各パネル部材14の上縁部の傾斜形状は、前上がり形状となっており、これにより、シートバックフレーム10にシート前方側からかけられる荷重が、各パネル部材14によってより高い位置で受け止められるようになっており、反対側に傾斜した形状(後ろ上がり形状)となっているものと比べて、シートバックフレーム10にかけられるシート前方側からの荷重をより強く受け止められるようになっている。
したがって、車両の後部衝突が発生するなどして、シートバックフレーム10に、着座乗員の背部が強く圧し掛かる大荷重がかけられた際には、上記前側に高い位置まで張り出す形の各パネル部材14によって、上記の大荷重を強く受け止められると共に、各パネル部材14の上縁部の形状が傾斜状となっていることで、シートバックフレーム10の構造強度が急激的に変化しないようになっており、シートバックフレーム10に局所的な応力集中が発生することなく、シートバックフレーム10全体で上記の大荷重を広く分散させて受け止められるようになっている。
また、図2及び図10に示すように、上記二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の下部間には、アルミニウム合金の押出し材によって形成された横長板状の架橋パネル15が、一体的に架け渡された状態とされて設けられている。ここで、架橋パネル15は、アルミニウム合金の押出し材によって形成されており、その上縁部と下縁部とが、中央部よりも厚肉化された形に形成されている。上記架橋パネル15は、その各サイドフレーム11と結合される左右の各端部15Bの形状が、上記厚肉化された上縁部と下縁部とが、シート前方側に切り起こされて前側の各枝フレーム11Bと結合される枝部15B2として形成されており、各端部15Bの中央部は、折り曲げられることなく、架橋パネル15の本体部15Aと面一状に形成されて、後側の各枝フレーム11Aと結合される枝部15B1としてそれぞれ形成されている。
上記架橋パネル15の後側の各枝フレーム11Aと結合される各端部15Bの中央の各枝部15B1は、後側の各枝フレーム11Aのシート内側の面部にそれぞれ突き当てられて溶接により強固に一体的に結合された状態とされている(図6参照)。また、前側の各枝フレーム11Bと結合される架橋パネル15の各端部15Bの上縁部と下縁部の各枝部15B2は、上記中央の各枝部15B1に対して前斜め外方側に延びるように切り起こされた状態とされており、更にその切り起こされた先の端部が、それぞれシート外側に折り曲げられて、前側の各枝フレーム11Bのシート内側の面部にそれぞれ突き当てられて溶接により強固に一体的に結合された状態とされている(図6参照)。
詳しくは、上記架橋パネル15の二股状に分けられた各端部15Bの各枝部15B1,15B2は、図6に示すように、各枝フレーム11A,11Bの前後方向の配置間領域(前側の枝フレーム11Bと後側の枝フレーム11Aとの間の領域)の内側の位置から外開き状に開くように延びて各枝フレーム11A,11Bに別々に突き当てられて筋交い状に突き当てられて結合された状態とされている。これにより、架橋パネル15を大きく屈曲させることなく、各枝フレーム11A,11Bに架橋パネル15の形状を行き届かせることができ、各枝フレーム11A,11Bにかけられる荷重が、直接、架橋パネル15の本体部15Aにかけられて強く支えられる構成となっている。また、架橋パネル15の二股状に分けられた各端部15Bの各枝部15B1,15B2が、各枝フレーム11A,11Bと架橋パネル15との間で筋交い状につっかえるように設けられた状態とされていることにより、各枝フレーム11A,11Bにかけられる荷重が、架橋パネル15の本体部15Aによって比較的強く支えられるようになって、各枝フレーム11A,11Bの構造強度が更に高められた状態とされている。
詳しくは、図6に示すように、シートバック2の各サイドフレーム11を構成する各枝フレーム11A,11Bは、前述したパネル部材14の装着によって構造強度が高められた構成とされているが、具体的には、各枝フレーム11A,11Bと各パネル部材14との結合は、各パネル部材14の両縁部に形成されたロール状の筒状突起14B1,14B2が、各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内にそれぞれ強嵌合された結合構造とされている。したがって、各サイドフレーム11に対して、後側から或いは前側から強い押圧力がかけられると、後側の枝フレーム11A或いは前側の枝フレーム11Bが、上述したパネル部材14との結合縁部(筒状突起14B1,14B2)を支点に押し回されるような曲げ力がかけられる。しかし、これら枝フレーム11A,11Bに対しては、上述した架橋パネル15の各端部15Bが二股状に分けられて筋交い状につっかえるように別々に突き当てられて結合された状態とされている。これにより、各枝フレーム11A,11Bが、上記のような押し回される力がかけられても耐えられるように、架橋パネル15によって強く支えられた状態とされている。
より詳しくは、架橋パネル15の各端部15Bの二股形状は、その中央の枝部15B1に対して、上縁部と下縁部の各枝部15B2がシート前方側に切り起こされた3つ足の二股形状とされていることにより、前側の枝フレーム11Bに対して各枝部15B2が高さ方向に離間した2点で当接して結合されると共に、その間の高さ領域内の位置で中央の枝部15B1が後側の枝フレーム11Aに当接して結合された状態とされている。これにより、架橋パネル15が、各枝フレーム11A,11Bに対して、3方向に広く足(枝部15B1,15B2)を広げた状態として捩れにくいように強固に一体的に結合された状態とされている。
このように、本実施例のシートフレーム(シートバックフレーム10)の構成によれば、架橋パネル15の各端部15Bが、二股状に分けられた各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11B間に跨って一体的に結合されることにより、結合された架橋パネル15の構造強度によって、各枝フレーム11A,11Bの構造強度を好適に高めることができる。このように、各サイドフレーム11間に架け渡される架橋パネル15を各枝フレーム11A,11B間にも跨らせて一体的に結合させた状態にして設けることにより、二股状に分けられたフレーム構造を持つシートバックフレーム10の構造強度を好適に高めることができる。
続いて、図9及び図11を参照しながら、前述したアッパフレーム12上の左右2箇所の位置に取り付けられるホルダー13の取付構造について説明する。各ホルダー13は、図9に示すように、シートバックフレーム10と同様に、アルミニウム合金の押出し材によって形成されている。これらホルダー13は、四角筒状の形に形成されており、アッパフレーム12の左右2箇所の位置に形成された、シート前方側から切り込まれた各切欠き12A内に嵌め込まれて、アッパフレーム12に対して溶接により強固に一体的に結合されて設けられている。
ここで、上記各切欠き12Aは、それぞれ、図9〜図11に示すように、アッパフレーム12の第2の横断面部10Bを部分的に刳り貫く形で形成されており、これらの刳り貫きにより、第1の横断面部10Aの取付面部10A1を、各ホルダー13の取付方向側となるシート前方側に露呈させた状態とするようになっている。上記各切欠き12Aは、図3及び図9に示すように、それらの横幅が、各ホルダー13の横幅と同じ大きさに設定されており、各ホルダー13を各切欠き12A内にシート前方側から嵌め込むことにより、各ホルダー13の後面部を、それぞれ、アッパフレーム12の各取付面部10A1上に面当接させた状態としてあてがえられるようになっている。また、上記の嵌め込みにより、各ホルダー13を、各切欠き12Aに臨む第2の横断面部10Bの端面形状によって、それぞれシート幅方向への移動を拘束して規制した状態として組み付けられるようになっている。そして、上記の嵌め込み後に、各ホルダー13とアッパフレーム12との各当接面をそれぞれ溶接して接合することにより、これらが強固に一体的に結合された状態とされている。
上記の溶接にあたっては、上述した各切欠き12Aが各ホルダー13の横幅と同じ横幅に形成されていることから、各ホルダー13を各切欠き12A内に嵌め込んだ際に、これらの当接部位が各切欠き12Aの外周全体に亘って外部から見える露見した状態となる。詳しくは、各切欠き12Aは、図11に示すように、各ホルダー13を各切欠き12A内に嵌め込んで各取付面部10A1に面当接させた状態において、繋ぎ面部10B1のシート前方側の縁部が各ホルダー13の後面部に当接した状態となるように切り欠かれて形成されている。したがって、各ホルダー13を各切欠き12内に組み付けたときに外部に露見する両者の当接部位を全て溶接することができ、これら全てを溶接することで、両者が互いに広い溶接長で溶接されて強固に一体的に結合された状態となる。
ところで、上述した各ホルダー13が面当接した状態にあてがえられるアッパフレーム12の各取付面部10A1は、図9で前述したように、シートバックフレーム10の各サイドフレーム11がシート後方側に弓状に湾曲した形に曲げられて形成されていることにより、シートバックフレーム10が通常、垂直よりも僅かにシート後方側に傾斜した姿勢状態で使用される状況下において、シート前方側に真っ直ぐに近い状態で面が向けられた状態とされる(図11参照)。したがって、各取付面部10A1において各ホルダー13をシート後方側から真っ直ぐ面で支持することができ、ヘッドレスト4(図1参照)にかかるシート前方側からの負荷を、アッパフレーム12において良好に支えられるようにすることができる。
また、シートバックフレーム10は、上述したように、各サイドフレーム11の中間部がシート後方側に弓状に湾曲した形となっている(曲げ部11A2,11B2)ことにより、着座乗員の腰部の両サイド位置に、各サイドフレーム11の形状がシート前方側に大きく張り出す形となって形成されており、着座乗員の腰部を両外側から支持することのできるサイドサポート部を大きく設定したり、或いは腰部をよりシート前方側の位置で強く支えたりすることのできる構成となっている。また、シートバックフレーム10は、両サイドフレーム11がシート後方側に反った形となっていることにより、後席に座る乗員が足を前に投げ出すことのできる膝元スペースをより広く確保することができる構成となっている。