始めに、実施例1のシートフレーム及びその製造方法について、図1〜図10を用いて説明する。本実施例の「シートフレーム」は、図1に示すように、自動車の助手席シートとして構成された車両用シート1のシートバック2の骨組みを成すシートバックフレーム10として構成されたものである。ここで、上記車両用シート1は、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭の凭れ部となるヘッドレスト4と、を有して構成されている。
シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、それぞれ、シートクッション3の左右両サイドの後端部に対し、回転止め可能な回転軸装置として機能する図示しない円盤状のリクライニング装置を間に介して連結された構成となっている。これにより、シートバック2は、シートクッション3に対して、背凭れ角度の調節が行えるように連結された状態とされている。シートクッション3は、車両のフロア上に、図示しない左右一対のスライド装置を間に介して設けられた状態とされている。これにより、シートクッション3は、フロアに対して、前後方向の位置調節が行えるように設けられた状態とされている。なお、上記図示しないリクライニング装置やスライド装置の基本構造は、特開2011−116303号公報や特開2010−221935号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これらについての具体的な説明は省略することとする。
ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に装着されて設けられている。具体的には、ヘッドレスト4は、その下部から突き出る2本の棒状のステーが、それぞれ、シートバックフレーム10のアッパフレーム12に固定された2本のホルダー13内にそれぞれ装着されている図示しない筒状のサポート部材にそれぞれ上方側から差し込まれて装着されることにより、シートバック2の上部に装着されて固定された状態として設けられている。なお、上記ヘッドレスト4の図示しないステーをシートバックフレーム10に固定された各ホルダー13内に差し込んで装着する構成は、特開2008−239075号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これについての具体的な説明は省略することとする。
以下、図2〜図10を参照しながら、シートバックフレーム10の具体的な構成について説明する。図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10は、シートバック2の左右両側部の骨格を成す二股状に開け広げられた形のサイドフレーム11と、シートバック2の上側部の骨格を成すアッパフレーム12と、アッパフレーム12上の左右2箇所の位置に結合された2個の角筒状のホルダー13と、各サイドフレーム11の下端部に結合された高張力鋼板から成るパネル部材14と、から構成されている。ここで、各サイドフレーム11が本発明の「二股フレーム」に相当し、各パネル部材14が本発明の「取付部材」に相当する。
上記シートバックフレーム10は、次のように成形されている。先ず、図7に示すように、1本のアルミニウム合金から成る押出し材をプレス加工により逆U字状の形に折り曲げて、上述した各サイドフレーム11とアッパフレーム12とをひと続きに備える形に形成する。このとき、上記の折り曲げに先立って、もしくは折り曲げの後に、各サイドフレーム11に対して、これらを後に二股状の形に開け広げられるようにするための切込み11Cを入れておく(切込み工程)。また、アッパフレーム12上の各ホルダー13が結合される箇所(図9参照)に対しても、各ホルダー13を後にシート前方側から嵌め込めるようにするための切欠き12Aを入れておく(切欠き工程)。この段階(シートバックフレーム10が前後方向に曲げられていない平面形状の段階)で上記の切込み11Cや切欠き12Aを入れておくことで、各切込み11Cを入れる作業が真っ直ぐに入れるだけの簡単な加工で済むと共に、各切欠き12Aを入れる際にシートバックフレーム10を切削加工用の治具にセットしやすくなるため、加工が容易となる。各切込み11Cは、各サイドフレーム11の上端側の近傍箇所から下端側に貫通する位置まで高さ方向に真っ直ぐに入れられている。なお、上述した各切込み11Cや切欠き12Aは、シートバックフレーム10の後述する曲げ加工や開き加工が全て終わった後から入れるようにしても構わない。
次に、図8に示すように、各サイドフレーム11の中間部を、それぞれ、プレス加工によりシート後方側に弓状に湾曲させた形に曲げ加工する(曲げ工程)。具体的には、各サイドフレーム11の上記切込み11Cによって前後に並ぶように分けられた各枝フレーム11A,11Bを、それぞれひとまとめに一緒にシート後方側に押し曲げるようにプレス加工する。これにより、各枝フレーム11A,11Bがこれらの並び方向となる前後方向に同じ形となるように湾曲した形に押し曲げられて、これらの中間部に互いの曲げられた形状同士が合致する形の曲げ部11A2,11B2が形成される。ここで、曲げ部11A2,11B2が本発明の「曲げ部」に相当する。
次に、図9に示すように、上記折り曲げられた各サイドフレーム11の前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、シート前方側に開け広げるように曲げ加工する(開け広げ工程)。具体的には、前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、これらの枝分かれの始点となる上端を支点にシート前方側に開け広げるように曲げ加工する。これにより、各サイドフレーム11が、前後方向に二股状に開け広げられた形に形成され、上端側から下端側に向かってその形状の前後幅が漸次広がっていく形に形成された状態となる。
次に、上記各サイドフレーム11の開け広げられた各端部に、高張力鋼板から成るパネル部材14をそれぞれ差し込んで一体的に組み付ける(組付け工程)。更に、先程の工程でアッパフレーム12上に形成した各切欠き12Aに各ホルダー13を嵌め込んで溶接により一体的に結合する。以上の工程により、図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10が、両サイドフレーム11が二股状に開け広げられて軽量化される一方で、各パネル部材14の差し込みにより構造強度が高められた状態として形成される。
続いて、上述したシートバックフレーム10の各部の構成について更に詳しく説明する。シートバックフレーム10は、図5に示すように、そのアルミニウム合金の押出し成形によって形成される横断面形状が、閉じ断面形状の第1の横断面部10Aと、閉じ断面形状の第2の横断面部10Bと、が互いに前後方向に並んで繋がった形状となって形成されている。上記シートバックフレーム10は、図7で前述したように、これが逆U字状の形に曲げられるときには、その全周において、第2の横断面部10Bが前側に位置し、第1の横断面部10Aがその後ろ側に位置する関係が保たれるように、これらの並び方向に対して垂直な方向に曲げられて形成されている。これにより、シートバックフレーム10が逆U字状の形に曲げられた状態において、各サイドフレーム11の横断面と、アッパフレーム12の横断面とが、シートバックフレーム10の内周側から外周側に向かって互いに同じ形で延びる形状とされている。
図5に示すように、上記第1の横断面部10Aは、シート前方側に面を向ける平坦な面形状とされた取付面部10A1と、取付面部10A1の各縁部からシート後方側に延びて無端状に閉じる断面形状とされた補強面部10A2と、を有し、これらによって閉じた横断面形状に形成されている。詳しくは、上記取付面部10A1は、シートバックフレーム10の前方側に対して内周側(図5では下方側)に斜めに面を向けた平坦面として形状とされている。
第2の横断面部10Bは、上述した第1の横断面部10Aのシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)の縁部からシート前方側へ延びる繋ぎ面部10B1と、繋ぎ面部10B1のシート前方側の縁部からシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)へと延びて後ろ側に巻いて閉じる断面形状とされた閉じ断面部10B2と、を有する横断面形状に形成されている。上記第2の横断面部10Bの閉じ断面部10B2と、その後ろ側の第1の横断面部10Aの取付面部10A1との間には、隙間となる開口部10Cが形成されている。この開口部10Cは、シートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に開口する形に形成されている。具体的には、開口部10Cは、上述した取付面部10A1の傾斜した形状によって、その開口形状がシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に向かって末広がり状に開いた形状に形成されている。
また、上記第1の横断面部10Aと繋ぎ面部10B1との繋ぎの部分には、補強面部10A2の横断面をシート後方側に凹ませる形でポケット状に空間が空けられたレール溝10A3が形成されている。このレール溝10A3は、シート前方側に開口を持つ矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。また、第2の横断面部10Bの繋ぎ面部10B1と閉じ断面部10B2との繋ぎの部分にも、閉じ断面部10B2の横断面をシート前方側に凹ませる形でポケット状に空間が空けられたレール溝10B3が形成されている。このレール溝10B3は、上記のレール溝10A3とは前後対称にシート後方側に開口を持つ矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。これらレール溝10A3,10B3は、上述した開口部10Cを通じて互いに前後に連通した形状となっており、すなわち、開口部10Cを通じてシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に開口した形状となっており、繋ぎ面部10B1によってシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)から覆われた構成となっている。
上述した横断面形状をもつシートバックフレーム10に対し、図7で前述した各サイドフレーム11に入れられる切込み11Cは、上述した第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の繋ぎ面を構成する繋ぎ面部10B1(図5参照)に沿って入れられている(図6参照)。したがって、図6及び図9に示されるように、各サイドフレーム11を上記の各切込み11Cから二股状に開け広げることで、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Cを広げる形で、これらを互いに前後に離間させた形に開け広げることができる。これにより、開け広げられた各枝フレーム11A,11Bが、それぞれに閉じ断面形状を持つ高い構造強度を備えた状態として形成されている。
そして、図9に示すように、上記二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の開口側(下側)の端部には、それぞれ、高張力鋼板から成るパネル部材14が下側から差し込まれて取り付けられる。ここで、高張力鋼板から成る各パネル部材14は、上述したアルミニウム合金の押出し材より成る各サイドフレーム11よりも比強度が高い構成となっている。これらパネル部材14は、上述した二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の開口側の端部に差し込まれることにより、各枝フレーム11A,11Bの端部間に楔状に嵌め込まれて、これらの間を繋ぐ橋渡し材となって各サイドフレーム11の開口側の端部の構造強度を高める補強板として機能するものとなっている。
また、上記各サイドフレーム11に取り付けられた各パネル部材14は、図1に示すように、前述したシートバックフレーム10の左右両サイドの下端部を図示しないリクライニング装置を介してシートクッション3の左右両サイドの後端部に連結する際の、リクライニング装置との結合部として設定されている。具体的には、各パネル部材14は、図2に示すように、各サイドフレーム11の下端部に取り付けられた状態では、シート幅方向に面を向けた状態とされており、その板面上には、上記図示しないリクライニング装置との結合用の複数の嵌合孔14A1と、リクライニング装置のロック解除操作を行うための操作軸(図示省略)を通すための軸孔14A2とが、それぞれ軸方向に貫通して開けられた構成となっている。
図9に示すように、上記各パネル部材14の前後側の各縁部には、形状をシートバックフレーム10の内周側に向かって内向きに筒状にロールさせた筒状突起14B1,14B2が形成されている。これら筒状突起14B1,14B2は、各パネル部材14を各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの間に差し込む際に、各枝フレーム11A,11Bに形成された前述したレール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内にそれぞれ押し込まれて挿通されるようになっている。具体的には、各筒状突起14B1,14B2は、それらのロールされた筒形状が、これらの差し込まれる各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)の内径よりもひとまわり大きな外径となる筒形状とされており、各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内に圧入されることで、これらに対して強嵌合されて、差し込み方向に対して垂直な方向へは抜け外れないように強固に係合されるようになっている(図6参照)。
ここで、図9に示すように、上述した各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、各パネル部材14の前後幅よりも広くなるように二股状に開け広げられた状態に形成されている。これにより、各パネル部材14の差し込み時に、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1内にそれぞれ入れ込んで係合させた状態にして差し込むことで、これらの係合構造と各パネル部材14の比強度の高い剛性とによって、各枝フレーム11A,11Bが、各パネル部材14の差し込みの進行に伴って、これらの前後幅に合わせた形に弾性的に押し縮められるようにそれらの開き幅が変えられるようになっている。したがって、上記各枝フレーム11A,11Bの弾性変形により、各サイドフレーム11に各パネル部材14が差し込まれて装着された状態では、各枝フレーム11A,11Bがそれぞれ復元方向に戻ろうとする開き方向の弾発力が各パネル部材14に掛けられるため、これらの弾発力が各パネル部材14と各サイドフレーム11との結合力を更に高めるように作用して、両者がより強固に一体的に結合された状態として保持されるようになっている。
なお、各枝フレーム11A,11Bは、上述した各パネル部材14の前後幅よりも狭くなるように開け広げられて形成されていてもよい。この場合でも、各パネル部材14の差し込み時に、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1内にそれぞれ入れ込んで係合させた状態にして差し込むことで、これらの係合構造と各パネル部材14の比強度の高い剛性とによって、各枝フレーム11A,11Bが、各パネル部材14の差し込みの進行に伴って、これらの前後幅に合わせた形に弾性的に押し広げられるようにそれらの開き幅が変えられる。したがって、上記各枝フレーム11A,11Bの弾性変形により、各サイドフレーム11に各パネル部材14が差し込まれて装着された状態では、各枝フレーム11A,11Bがそれぞれ復元方向に戻ろうとする閉じ方向の弾発力が各パネル部材14に掛けられるため、これらの弾発力が各パネル部材14と各サイドフレーム11との結合力を更に高めるように作用して、両者がより強固に一体的に結合された状態として保持されるようになる。
ここで、上記各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、上述したようにその中間部がそれぞれ曲げ部11A2,11B2としてシート後方側に弓状に曲げられて形成されているものの、上述した各パネル部材14が差し込まれる上記曲げ部11A2,11B2より下側の領域部の形状は、下方側に真っ直ぐに延びるストレートな形状となっている。これにより、各枝フレーム11A,11Bに形成された各レール溝11A1,11B1も同様に、それぞれ下方側に真っ直ぐに延びるストレートな形状に形成されている。一方、各パネル部材14の両側部に形成された各筒状突起14B1,14B2も、互いにほぼ平行な状態に高さ方向に真っ直ぐに延びるストレートな筒型形状に形成されている。これにより、各パネル部材14の各サイドフレーム11への差し込みがつっかえることなくスムーズに行えるようになっている。
また、図6に良く示されるように、上記各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2が形成された各縁部の脇には、各パネル部材14の中央部を両縁部よりも外側(シートバックフレーム10の外周側:図6における右側)に張り出させる段差部14C1,14C2が形成されている。これら段差部14C1,14C2の構成により、各パネル部材14は、その両縁側の各筒状突起14B1,14B2が各レール溝11A1,11B1内に挿通されて各サイドフレーム11に取り付けられた状態では、それらの中央の板部が、各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの外側面と面一状の状態を成す良好な形に組み付けられるようになっている。また、図9に示すように、上記各パネル部材14の上縁部には、シートバックフレーム10の内周側に向かって屈曲するフランジ14Dが、プレス加工により折り曲げられて形成されている。これらフランジ14Dにより、各パネル部材14の曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、各パネル部材14の上縁部が内側に丸められた形となって、外部に角張った形状が露呈しない形状とされている。
上記比強度の高い各パネル部材14が各サイドフレーム11の二股状に開け広げられた下端部に嵌め込まれて一体的に装着されることにより、各サイドフレーム11の下端側の開口端部が構造強度の高い部材により閉じられた状態として、シートバックフレーム10の構造強度が効果的に高められた状態となる。これにより、シートバックフレーム10は、着座乗員の背部から受ける背凭れ荷重を、各サイドフレーム11の下端部がそれぞれ片持ち状に支持された支持構造により安定的に受け止めて支持できるようになっている。
ここで、上記各パネル部材14は、それらの両枝フレーム11A,11Bの間に介在する板部のフランジ14Dの形成された上縁部が、それぞれ、前斜め上がり方向に真っ直ぐに傾斜した形状に形成されている。これにより、各パネル部材14の装着によって高められる各サイドフレーム11の高さ方向における構造強度(断面係数)の変化の割合が、各パネル部材14の形状が傾斜状となっている領域において、緩やかとなるように調節されている。詳しくは、各パネル部材14の上縁部の傾斜形状は、前上がり形状となっており、これにより、シートバックフレーム10にシート前方側からかけられる荷重が、各パネル部材14によってより高い位置で受け止められるようになっており、反対側に傾斜した形状(後ろ上がり形状)となっているものと比べて、シートバックフレーム10にかけられるシート前方側からの荷重をより強く受け止められるようになっている。
したがって、車両の後部衝突が発生するなどして、シートバックフレーム10に、着座乗員の背部が強く圧し掛かる大荷重がかけられた際には、上記前側に高い位置まで張り出す形状の各パネル部材14によって上記の大荷重を強く受け止められると共に、各パネル部材14の上縁部の形状が傾斜状となっていることで、シートバックフレーム10の構造強度の変化の割合が急激的となる部分がなくされており、シートバックフレーム10に局所的な応力集中が発生することなく、シートバックフレーム10全体で上記の大荷重を広く分散させて受け止められるようになっている。
続いて、図9に示すように、前述したアッパフレーム12上の左右2箇所の位置に取り付けられるホルダー13は、シートバックフレーム10と同様に、アルミニウム合金の押出し材によって形成されている。これらホルダー13は、四角筒状の形に形成されており、アッパフレーム12の左右2箇所の位置に形成された、シート前方側から切り込まれた各切欠き12A内に嵌め込まれて、アッパフレーム12に対して溶接により強固に一体的に結合されて設けられている。
ここで、上記各切欠き12Aは、それぞれ、図9〜図10に示すように、アッパフレーム12の第2の横断面部10Bを部分的に刳り貫く形で形成されており、これらの刳り貫きにより、第1の横断面部10Aの取付面部10A1を、各ホルダー13の取付方向側となるシート前方側に露呈させた状態とするようになっている。上記各切欠き12Aは、図3及び図9に示すように、それらの横幅が、各ホルダー13の横幅と同じ大きさに設定されており、各ホルダー13を各切欠き12A内にシート前方側から嵌め込むことにより、各ホルダー13の後面部を、それぞれ、アッパフレーム12の各取付面部10A1上に面当接させた状態としてあてがえられるようになっている。また、上記の嵌め込みにより、各ホルダー13を、各切欠き12Aに臨む第2の横断面部10Bの端面形状によって、それぞれシート幅方向への移動を拘束して規制した状態として組み付けられるようになっている。そして、上記の嵌め込み後に、各ホルダー13とアッパフレーム12との各当接面をそれぞれ溶接して接合することにより、これらが強固に一体的に結合された状態とされている。
上記の溶接にあたっては、上述した各切欠き12Aが各ホルダー13の横幅と同じ横幅に形成されていることから、各ホルダー13を各切欠き12A内に嵌め込んだ際に、これらの当接部位が各切欠き12Aの外周全体に亘って外部から見える露見した状態となる。詳しくは、各切欠き12Aは、図10に示すように、各ホルダー13を各切欠き12A内に嵌め込んで各取付面部10A1に面当接させた状態において、繋ぎ面部10B1のシート前方側の縁部が各ホルダー13の後面部に当接した状態となるように切り欠かれて形成されている。したがって、各ホルダー13を各切欠き12内に組み付けたときに外部に露見する両者の当接部位を全て溶接することができ、これら全てを溶接することで、両者が互いに広い溶接長で溶接されて強固に一体的に結合された状態となる。
ところで、上述した各ホルダー13が面当接した状態にあてがえられるアッパフレーム12の各取付面部10A1は、図9で前述したように、シートバックフレーム10の各サイドフレーム11がシート後方側に弓状に湾曲した形に曲げられて形成されていることにより、シートバックフレーム10が通常、垂直よりも僅かにシート後方側に傾斜した姿勢状態で使用される状況下において、シート前方側に真っ直ぐに近い状態で面が向けられた状態とされる(図10参照)。したがって、各取付面部10A1において各ホルダー13をシート後方側から真っ直ぐ面で支持することができ、ヘッドレスト4(図1参照)にかかるシート前方側からの負荷を、アッパフレーム12において良好に支えられるようにすることができる。
また、シートバックフレーム10は、上述したように、各サイドフレーム11の中間部がシート後方側に弓状に湾曲した形となっている(曲げ部11A2,11B2)ことにより、着座乗員の腰部の両サイド位置に、各サイドフレーム11の形状がシート前方側に大きく張り出す形となって形成されており、着座乗員の腰部を両外側から支持することのできるサイドサポート部を大きく設定したり、或いは腰部をよりシート前方側の位置で強く支えたりすることのできる構成となっている。また、シートバックフレーム10は、両サイドフレーム11がシート後方側に反った形となっていることにより、後席に座る乗員が足を前に投げ出すことのできる膝元スペースをより広く確保することができる構成となっている。
このように、本実施例のシートバックフレーム10(本発明の「シートフレーム」に相当する。)の構成によれば、二股状に開け広げられて形成される各枝フレーム11A,11Bは、それらの曲げ部11A2,11B2が、各枝フレーム11A,11Bが閉じられている状態でひとまとめに一緒に同じ方向に曲げることで形成される形として設定されている。換言すると、開いた形を閉じることで、互いの曲げられた形状同士が合致する形となっている。したがって、これらをひとまとめにして一度の曲げ加工で形成することができ、二股状に形成される各枝フレーム11A,11Bに対し、曲げの形状を生産性良く加えることができる。
また、図10において前述したように、押出し材から成るシートバックフレーム10の横断面形状を、上述したような第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとから成る形状とすることにより、各ホルダー13の取り付けられるアッパフレーム12の各領域部において、第2の横断面部10Bを切り欠く(切欠き12A)ことで、第1の横断面部10Aの取付面部10A1に各ホルダー13を面当接させた状態にして結合することができる。したがって、シートバックフレーム10(アッパフレーム12)が、仮に、各ホルダー13を取り付けにくい丸みを帯びた外周面を持つ形に形成されていても、上記切欠き12Aにより、各ホルダー13を取付面部10A1に面当接させた状態にして良好に結合することができる。
また、切欠き12Aの横幅が、各ホルダー13を嵌め込み可能に各ホルダー13の横幅と同じ大きさに設定されていることにより、各ホルダー13が、各切欠き12Aに嵌め込まれた状態として、これら切欠き12Aに臨む第2の横断面部10Bの端面形状によって両サイドから支えられた状態として設けられるようになる。また、各ホルダー13が第2の横断面部10Bによって両サイドから支えられる両者の当接部にも溶接を施すことができるようになるため、両者の結合を溶接によって行う場合には、溶接長をより長く確保してこれらをより強固に結合することができる。なお、各ホルダー13のアッパフレーム12への結合は、溶接によるもの以外であってもよく、例えば、両者の間にシート幅方向に強嵌合する凹凸を設けて嵌め込みのみによって結合させられるようにしたものや、接着剤を用いて接着するようにしたものであってもよい。
また、図5において前述したように、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間に開口する開口部10Cが、取付面部10A1の傾斜した形状によって、その外部に露呈する開口形状が末広がり状に開いた形状となっていることにより、例えば、図7において前述したシートバックフレームに入れられる切込み11Cや切欠き12Aを、この開口部10Cから切断用の工具(レーザー光による切断をする場合にはそのレーザー光)を差し込んで切断する場合に、その切断位置が目視しやすくなり、作業を簡便に行えるようにすることができる。また、開口部10Cの末広がり形状により、押出し成形用の成形型を、上記開口部10Cを形成する部分において、くびれ状にすることなく寸胴な形状にすることができ、型の構造強度を高く持たせることのできる設計とすることができる。また、各枝フレーム11A,11Bの間に差し込まれる各パネル部材14に板厚方向に凹凸が施されるような形状が設定されている場合に、この凹凸を、開口部10Cの領域内に侵入する位置まで広げて設定することができるようになる。すなわち、上記開口部10Cの末広がり形状によって、各サイドフレーム11の内周側に広い空きスペースを設定することができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記実施例では、本発明の「横断面が二股状に開け広げられた形に形成される二股フレーム」としてシートバックフレーム10のサイドフレーム11を例示したが、同フレームは、シートクッション3の骨格フレーム(シートクッションフレーム)等の他の骨格部位に適用されてもよい。また、上記実施例では、サイドフレーム11(二股フレーム)の各枝フレーム11A,11Bに形成される曲げ部11A2,11B2が、それぞれ同じシート後方側に弓状に曲げられたものを例示したが、曲げ部の曲げ方向は、各枝フレームが並ぶ方向の他、並ぶ方向に対して垂直な方向であってもよい。垂直な方向であっても、各枝フレームを開け広げる前にこれらをひとまとめに一度の曲げ加工で曲げ形成することができる。これにより、各曲げ部が、各枝フレームの互いの開け広げられた形を閉じることにより互いの曲げられた形状同士が合致する形として形成される。
また、本発明の二股フレームの各枝フレームに入れられる曲げは、1箇所でなくてもよく、複数箇所であってもよい。また、曲げ箇所が複数箇所である場合、各曲げ方向は統一されていなくてもよく、種々に異なる方向に曲げが入れられるものであってもよい。また、各枝フレームを開け広げる方向は、各枝フレームが並ぶ方向の他、並ぶ方向に対して垂直な方向であってもよい。また、各枝フレームに入れられる曲げ(曲げ部)は、各枝フレーム全体を広く湾曲させる形に入れられるものや、一部を部分的に屈曲させる形で入れられるものなど、種々の形態のものを適用することができる。
また、上記実施例では、本発明の「二股フレームの開け広げられる開口側の端部に差し込まれて取り付けられる取付部材」として、補強板として機能するパネル部材14を例示したが、補強板ではなく、「取付部材」は、単に二股フレームに取り付けられて設けられるブラケットであってもよい。具体的には、上記ブラケットとして、シートフレームに装着されるエアバッグ等の装着品をシートフレームに取り付けられるようにするための受け具などが挙げられる。また、上記「取付部材」は、シートフレームと同一の材質から成るものであってもよく、異なる材質から成るものであってもよい。
また、シートフレームについて、上記実施例(シートバックフレーム10)では、アルミニウム合金の押出し材から成るものを例示したが、この形態に限らず、「シートフレーム」は、マグネシウム合金や鋼材等の種々の金属材料から成る、プレス材や鍛造材等の種々の工法により形成されるものを適用することができる。また、本発明の「二股フレームを構成する各枝フレーム」の形状は、特に特定の横断面形状を持ったものに限定されず、それぞれ、閉じ断面、開き断面を問わず、種々の断面形状のものを適用することができるものである。また、上記実施例では、シートバックフレーム10(シートフレーム)が、アッパフレーム12と両サイドフレーム11とが押出し材によってひと続き状に形成されたものを例示したが、これらは互いに別個独立に形成されて、後から互いに接合されて一体に組み付けられる構成とされたものであってもよい。
また、上記実施例では、各パネル部材14(取付部材)を各枝フレーム11A,11Bの間に差し込んで取り付ける取付構造として、各パネル部材14の両側部に形成された筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bに形成されたレール溝11A1,11B1内にそれぞれ弾性的に圧入して強嵌合させた状態に係合させる構成を例示したが、各枝フレームの開き幅が取付部材の幅よりも狭い場合には、上記のような強嵌合させる構造を設けることなく、単に取付部材を各枝フレームに形成されたレール溝の間に差し込んで係合させる単純な差し込み構造としたものであってもよい。なお、取付部材と各枝フレームとは最終的な取り付けの結合強度は、接着や締結部材を用いた締結、或いは両者の間に凹凸の嵌合構造を部分的に設けて差し込みにより嵌合させられる構造を設けるなどして担保させるようにしてもよい。
また、ホルダー13は、アッパフレーム12に対してシート後方側から取り付けられる構成であってもよい。具体的には、アッパフレームを、取付面部がシート後方側に面を向ける形となるように形成し、切欠きにより取付面部をシート後方側に露見させるようにすれば、このような構成を採ることができる。