本発明は、式Iの化合物、又はその塩又はプロドラッグを提供する。
本発明はまた、式I
の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグであって、
上記式中、
BはH、C1−C6アルキル又はC2−C6アルケニルであり;
前記C1−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;
A及びA’はそれぞれ独立してH、C1−C6アルキル、又はC2−C6アルケニルであり;
それぞれのC1−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;又は
A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており;
各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;
X及びYはそれぞれ独立して、ハロゲン、メチル、SCH3又はトリフルオロメチルであり;
R1はH、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C5−C6シクロアルケニル、又はC2−C6アルキニルであり;
それぞれのアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、又はアルキニル基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されており、そして
前記C3−C6シクロアルキル基の1つ又は2つの環炭素原子は、独立してO、N、又はSで場合により置換されており;又は、
R1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜5つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい5又は6原子複素環基であり、該複素環基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されており;そして
R2はH、ハロゲン、ヒドロキシ、アジド、シアノ、シアノメチル、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C5−C6シクロアルケニル、又はC2−C6アルキニルであり、それぞれのアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、又はアルキニル基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されている、
式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを提供する。
1つの従属的な実施態様の場合、X及びYは両方ともハロゲンである。
別の従属的な実施態様の場合、Xはハロゲンであり、そしてYはCH3、CH2F、CHF2、又はCF3である。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、XがFであり、そしてYがBr又はIである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYは両方ともハロゲンである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、XがCH3、CH2F、CHF2、又はCF3であり、そしてYがハロゲンである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、そしてR1が上記のように場合により置換されたC1−C6アルキルである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X、Y及びR2がハロゲンであり、そしてR1が上記のように場合により置換されたC1−C6アルキルである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がHであり、そしてR1が上記のように場合により置換されたC1−C6アルキルである式I化合物を提供する。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X、Y及びR2がハロゲンであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロプロピル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別のより具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がH又はメチルであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロプロピル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X、Y及びR2がハロゲンであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロブチルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、C1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別のより具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がHであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロブチルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロブチル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X、Y及びR2がハロゲンであり、R1がC2−C6アルケニルであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、C1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別のより具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がH又はメチルであり、R1がフリル、ピロリル、又はチエニルであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロプロピル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X、Y及びR2がハロゲンであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロペンチルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロペンチル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別のより具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がH又はメチルであり、R1がC1−C6アルキルであり、C(A)A’がシクロブチルであり、そしてBがH又はC1−C6アルキルであり、シクロブチル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロブチルであり、Bがジヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C6アルキルであり、シクロブチル及びC1−C6アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
より具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロブチルであり、Bがジヒドロキシ−C1−C4アルキルであり、そしてR1がC1−C4アルキルであり、シクロブチル及びC1−C4アルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがジヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1が、フルオロメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで場合により置換されたC1−C6アルキルである式I化合物を提供する。
別のより具体的な従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがジヒドロキシ−C1−C4アルキルであり、そしてR1が、フルオロメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで場合により置換されたC1−C4アルキルである式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがモノヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C6アルキルであり、アルキル及びシクロプロピル基が上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがモノヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C6アルキルであり、アルキル及びシクロプロピル基が上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがモノヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C4アルキルであり、アルキル及びシクロプロピル基が上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、XがCF3、CHF2、CH2F、又はFであり;Yはハロゲンであり;R2がハロゲンであり;C(A)A’がシクロプロピルであり;そしてBがH又はジヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C6アルキルであり、すべてのアルキル基が上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
別の従属的な実施態様の場合、本発明は、X及びYがハロゲンであり、R2がハロゲンであり、C(A)A’がシクロプロピルであり、Bがジヒドロキシ−C1−C6アルキルであり、そしてR1がC1−C4アルキルであり、すべてのアルキルが上記のように場合により置換されている式I化合物を提供する。
式I化合物のいくつかの実施態様の場合、X及びYは両方ともハロゲンである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、XはFである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、YはBr又はIである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、YはBrである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、YはIである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、XはFであり、そしてYはBrである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、XはFであり、そしてYはIである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、X及びYのうちの一方はメチル、SCH3又はトリフルオロメチルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、X及びYは独立してメチル、SCH3又はトリフルオロメチルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成している。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロブチル基を形成している。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロペンチル基を形成している。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されている。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はH、C1−C6アルキル、又はC3−C6シクロアルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はHである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC3−C6シクロアルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたC3−C6シクロアルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC3−C6シクロアルキルであり、1つの環炭素原子は、O、N、又はSで置換されている。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC3−C6シクロアルキルであり、1つの環炭素原子は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたO、N、又はSで置換されている。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC3−C6シクロアルキルであり、2つの環炭素原子は、O、N、又はSで置換されている。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はC3−C6シクロアルキルであり、2つの環炭素原子は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたO、N、又はSで置換されている。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R2はH、ハロゲン、又はC1−C3アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R2はHである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R2はハロゲンである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R2はC1−C3アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜4つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい5原子複素環基である。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜5つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい6原子複素環基である。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1はフリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリル、ピペリジニル、ピリジル、又はチエニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてR1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜4つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい5原子複素環基である。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてR1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜5つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい6原子複素環基である。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてR1はフリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリル、ピペリジニル、ピリジル、又はチエニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたC2−C6アルケニル又はC2−C6アルキニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてR1は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されたC2−C6アルケニル又はC2−C6アルキニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは無置換型C1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン又は置換型アミン基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのアルコキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのオキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのアミン又は置換型アミン基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、2つのヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは無置換型C2−C6アルケニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、1つのヒドロキシ基で置換されたC2−C6アルケニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、Bは、2つのヒドロキシ基で置換されたC2−C6アルケニルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてBは無置換型C1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてBは、1つのヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており、各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており、そしてBは、2つのヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキルである。
式I化合物のさらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はそれぞれ独立してH、C1−C6アルキル、又はC2−C6アルケニルであり、それぞれのC1−C6アルキルは、独立して1つ又は2つのヒドロキシ基で場合により置換されており、そしてそれぞれのC2−C6アルケニルは、独立して1つ又は2つのヒドロキシ基で場合により置換されている。
式I化合物はMEK阻害剤であり、従って、癌及びその他の過剰増殖性疾患の治療薬としての潜在能力を有している。
別の実施態様によれば、本発明は、疾患の治療又は予防に使用するための、上記一般式(I)の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、N酸化物、水和物、溶媒和物、又は塩、特に医薬的に許容されるその塩、又はこれらの混合物に関する。
他の態様では、本発明は、有効量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物はさらに、医薬的に許容される担体を含む。このような組成物は、アジュバント、賦形剤、及び保存剤、吸収遅延剤、充填剤、バインダー、吸着剤、緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、他の担体、及び他の不活性成分を含有していてよい。このような組成物の製剤方法は当業者によく知られている。
いくつかの態様では、本発明は、前記疾患に罹っている個体における疾患を治療する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、哺乳動物の障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、ヒトの障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における過剰増殖性障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における炎症性の疾患、状態、又は障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物又は誘導体を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における炎症性の疾患、状態、又は障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物又は誘導体を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるMEKカスケードによって調節される疾患又は状態を治療する方法であって、前記カスケードを調節するのに有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物又は誘導体を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。特定の患者に適した投与量は、当業者によって周知の方法に従って決定することができる。
他の態様では、本発明は、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、経口投与に適した形態を成している。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液の形態、滅菌溶液、懸濁液又はエマルジョンとしての非経口注射用、軟膏又はクリームとしての局所投与用、座剤としての直腸投与用である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位投与量形態を成している。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.002〜約6g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.005〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は哺乳動物への投与を目的としている。さらなる又は付加的な実施態様の場合、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物はさらに、医薬担体、賦形剤及び/又はアジュバントを含む。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物はさらに少なくとも1種の治療薬を含む。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は式I化合物の医薬的に許容される塩を含む。
他の態様では、本発明は、MEK酵素を阻害する方法に関する。いくつかの実施態様の場合、この方法は、MEK酵素を、前記酵素を阻害するのに十分な量の、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む組成物と接触させ、前記酵素を阻害することを含む。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約1%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約2%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約3%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約4%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約5%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約10%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約20%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約25%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約30%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約40%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約50%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約60%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約70%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約75%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約80%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は少なくとも約90%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、酵素は事実上完全に阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK酵素はMEKキナーゼである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK酵素はMEK1である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK酵素はMEK2である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、接触は細胞内部で生じる。さらなる又は付加的な実施態様の場合、細胞は哺乳動物細胞である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、哺乳動物細胞はヒト細胞である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK酵素は式I化合物の医薬的に許容される塩を含む組成物で阻害される。
1実施態様によれば、本発明は、一般式(I)の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、N酸化物、水和物、溶媒和物、又は塩、特に医薬的に許容されるその塩、又はこれらの混合物の、疾患の治療又は予防のための使用に関する。
1実施態様によれば、本発明は、一般式(I)の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、N酸化物、水和物、溶媒和物、又は塩、特に医薬的に許容されるその塩、又はこれらの混合物の、疾患を治療又は予防する薬剤を製造するための使用に関する。
1実施態様によれば、本発明は、上記使用に関し、前記疾患は、制御されない細胞成長、増殖及び/又は生残、不適切な細胞免疫応答、又は不適切な細胞炎症応答であり、具体的には、制御されない細胞成長、増殖及び/又は生残、不適切な細胞免疫応答、又は不適切な細胞炎症応答は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MEK−ERK)経路によって媒介され、さらに具体的には、制御されない細胞成長、増殖及び/又は生残、不適切な細胞免疫応答、又は不適切な細胞炎症応答の疾患は、血液腫瘍、固形腫瘍、及び/又はこれらの転移腫瘍、例えば白血病及び骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、脳腫瘍及び脳転移腫瘍を含む頭頸部腫瘍、非小細胞及び小細胞肺腫瘍を含む胸部の腫瘍、胃腸腫瘍、内分泌腫瘍、乳癌及びその他の婦人科腫瘍、腎腫瘍、膀胱腫瘍及び前立腺腫瘍を含む泌尿器腫瘍、皮膚腫瘍、及び肉腫、及び/又はこれらの転移腫瘍である。
他の態様では、本発明は、前記疾患に罹っている個体におけるMEK媒介障害を治療する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、経口投与に適した形態を成している。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液の形態、滅菌溶液、懸濁液又は乳剤としての非経口注射用、軟膏又はクリームとしての局所投与用、座剤としての直腸投与用である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位投与量形態を成している。さらなる又は付加的な実施態様の場合、医薬組成物はさらに、医薬担体、賦形剤、及び/又はアジュバントを含む。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、MEK媒介障害に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。いくつかの実施態様の場合、MEK媒介障害は、炎症性疾患、感染症、自己免疫障害、卒中、虚血、心疾患、神経障害、線維形成障害、増殖性障害、過剰増殖性障害、癌以外の過剰増殖性障害、腫瘍、白血病、新生物、癌、癌腫、代謝疾患、悪性疾患、血管再狭窄、乾癬、アテローム性動脈硬化、関節リウマチ、骨関節炎、心不全、慢性疼痛、神経因性疼痛、ドライアイ、閉塞隅角緑内障、広隅角緑内障から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK媒介障害は過剰増殖性疾患である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、MEK媒介障害は、腫瘍、白血病、新生物、癌、癌腫、及び悪性疾患から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、又は白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、線維形成障害は、強皮症、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、又は肺線維症である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
他の態様では、本発明は、癌細胞を劣化させるか、成長阻害するか又は殺す方法であって、前記細胞を、前記細胞を劣化させるか、成長阻害するか又は殺すのに十分な量の、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む組成物と接触させることを含む方法に関する。いくつかの実施態様の場合、癌細胞は脳、***、肺、卵巣、膵臓、前立腺、腎臓、又は結腸直腸の癌細胞を含む。さらなる又は付加的な実施態様の場合、組成物は、少なくとも1種の治療薬と一緒に投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。いくつかの実施態様の場合、癌細胞が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の1%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の2%が劣化される。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の3%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の4%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の5%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の10%が劣化される。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の20%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の25%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の30%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の40%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の50%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の60%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の70%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の75%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の80%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の90%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の100%が劣化される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の事実上すべてが劣化される。いくつかの実施態様の場合、癌細胞が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の1%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の2%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の3%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の4%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の5%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の10%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の20%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の25%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の30%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の40%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の50%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の60%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の70%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の75%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の80%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の90%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の100%が殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の事実上すべてが殺される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約1%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約2%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約3%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約4%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約5%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約10%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約20%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約25%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約30%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約40%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約50%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約60%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約70%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約75%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約80%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約90%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌細胞の成長が約100%阻害される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む組成物が使用される。
他の態様では、本発明は、個体における増殖性疾患を治療又は予防する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施態様の場合、増殖性疾患は、癌、乾癬、再狭窄、自己免疫疾患、又はアテローム性動脈硬化である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、増殖性疾患は過剰増殖性疾患である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、増殖性疾患は、腫瘍、白血病、新生物、癌、癌腫、及び悪性疾患から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、又は白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、線維形成障害は、強皮症、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、又は肺線維症である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、又は白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、又は副腎皮質癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は脳腫瘍である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は卵巣癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は膵臓癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は前立腺癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は腎臓癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は結腸直腸癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は骨髄性白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌はグリア芽腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は濾胞性リンパ腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は前駆B細胞急性白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は慢性リンパ球性B白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は中皮腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は小細胞肺癌である。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。いくつかの実施態様の場合、組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、増殖性疾患に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
他の態様では、本発明は、個体における炎症性疾患を治療又は予防する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。さらなる又は付加的な実施態様の場合、炎症性疾患は、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、急性関節リウマチ、腸症型関節炎、神経因性疼痛、乾癬性関節炎、化膿性関節炎、アテローム性動脈硬化、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、逆流性食道炎、クローン病、胃炎、喘息、アレルギー、呼吸窮迫症候群、膵炎、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、乾癬、湿疹、又は強皮症から選択される。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。いくつかの実施態様の場合、組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、炎症性疾患に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
他の態様では、本発明は、個体における癌を治療又は予防する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、又は白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、線維形成障害は、強皮症、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、又は肺線維症である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、又は白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は、脳腫瘍、又は副腎皮質癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は脳腫瘍である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は卵巣癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は膵臓癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は前立腺癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は腎臓癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は結腸直腸癌である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は骨髄性白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌はグリア芽腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は濾胞性リンパ腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は前駆B細胞急性白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は慢性リンパ球性B白血病である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は中皮腫である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、癌は小細胞肺癌である。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。いくつかの実施態様の場合、組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、癌に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
他の態様では、本発明は、個体における腫瘍サイズを低減するか、腫瘍サイズ増大を阻害するか、腫瘍増殖を低減するか、又は腫瘍増殖を防止する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施態様の場合、腫瘍サイズが低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも1%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも2%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも3%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも4%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも5%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも10%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも20%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも25%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも30%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも40%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも50%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも60%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも70%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも75%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも80%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも85%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも90%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍サイズは少なくとも95%だけ低減される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、腫瘍は全滅させられる。いくつかの実施態様の場合、腫瘍サイズは増大しない。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも1%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも2%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも3%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも4%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも5%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも10%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも20%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも25%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも30%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも40%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも50%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも60%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも70%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも75%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも75%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも80%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも90%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が少なくとも95%だけ低減される。いくつかの実施態様の場合、腫瘍増殖が防止される。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、細胞毒性薬、血管新生阻害剤及び抗新生物薬の群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、抗新生物薬は、アルキル化薬、抗代謝薬、エピドフィロトキシン;抗新生物酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位錯体、生物学的反応修飾物質、及び成長阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、及び造血成長因子から成る群から選択される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、治療薬は、タキソール、ボルテゾミブ又はその両方である。いくつかの実施態様の場合、組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、癌に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
他の態様では、本発明は、患者において効果を達成する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を患者に投与することを含む方法に関する。効果は、種々様々な癌、免疫疾患、及び炎症性疾患の阻害から成る群から選択される。いくつかの実施態様の場合、効果は癌の阻害である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、効果は免疫疾患の阻害である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、効果は炎症性疾患の阻害である。いくつかの実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、付加的な療法と組み合わせて投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、付加的な療法は放射線療法、化学療法、又は両者の組み合わせである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物を含む組成物は、少なくとも1種の治療薬との組み合わせで投与される。いくつかの実施態様の場合、組成物は、経口、十二指腸内、非経口(静脈内、皮下、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約1000mg/kg体重/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.5〜約50mg/kg/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.001〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.01〜約7g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.02〜約5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.05〜約2.5g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の量は約0.1〜約1g/日である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の下限を下回る投与レベルが、極めて好適であることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、前記範囲の上限を上回る投与レベルが必要になることがある。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日1回の単回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回以上の複数回投与で投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり2回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり3回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり4回投与される。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物は1日当たり5回以上投与される。いくつかの実施態様の場合、癌に罹っている個体は哺乳動物である。さらなる又は付加的な実施態様の場合、個体はヒトである。さらなる又は付加的な実施態様の場合、式I化合物の医薬的に許容される塩を含む有効量の組成物が投与される。
参照による引用
本明細書中で言及するすべての刊行物及び特許出願明細書は、あたかもそれぞれの個々の刊行物及び特許出願明細書が参照することにより組み入れられるように具体的且つ個別に指示されているかのように、同じ程度に、参照することにより本明細書中に組み入れられる。
詳細な説明
本発明の新規の特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に示されている。本発明の原理が利用されている例示のための実施態様を記述する以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。
本発明の好ましい実施態様を示して説明しているが、このような実施態様は一例として提供されるにすぎない。いうまでもなく、ここに記載した本発明の実施態様の種々様々な代替物を本発明の実施の際に採用してもよい。当業者には明らかなように、本発明を逸脱することなしに、数多くの変更、変化及び置換が可能である。下記請求項が本発明の特徴の範囲を定義し、またこれらの請求項の範囲に含まれる方法及び構造、並びにこれらの等価物がカバーされるものとする。
本明細書中に使用したセクションの見出しは、編成上の目的で記載したにすぎず、記載の主題を限定するものと解釈してはならない。特許明細書、特許出願明細書、論説、書籍、マニュアル、及び論文を含む、本出願において引用されたすべての文書又は文書部分は、あらゆる目的で全体的に参照することによって、ここに明示的に組み入れられる。
特定の化学用語
他に定義されない限り、本明細書中に使用されるすべての技術・科学用語は、主張された主題が属している分野の当業者によって共通に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中に複数の用語定義がある場合には、このセクションのものが優先する。URL又はその他のこのような識別子又はアドレスが言及されている場合には、言うまでもなく、このような識別子が変更になり、そしてインターネット上の具体的な情報が去来することはあり得るものの、インターネット又はその他の適切な参照源を検索することによって、同等の情報を見いだすことができる。これを参照することは、このような情報の利用可能性及び普及を明らかにする。
いうまでもなく、前述の一般的な説明及び下記の詳細な説明は一例を解説するためのものにすぎず、主張されたいかなる主題も限定しない。本出願では、単数形の使用は、特に断りのない限り複数形を含む。注意しなければならないのは、明細書中及び添付の請求項中で使用する単数形「a」、「an」及び「the」が、文脈が明らかに他のことを示すのでない限り、複数の指示対象を含むことである。また、「又は」の使用は特に断りのない限り「及び/又は」を意味する。さらに注意しなければならないのは、「含む(including)」並びに他の形、例えば「include」、「includes」、及び「included」という用語の使用は制限的でないことである。
標準化学用語の定義は、Carey and Sundberg "ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED." Vols. A(2000)及びB(2001), Plenum Press, New York
を含む参考書に見いだすことができる。他に指示がない限り、質量分析、NMR、HPLC、IR、及びUV/Vis分光分析、及び薬理分析のコンベンショナルな方法が当業者の技能範囲内で採用される。具体的な定義が提供されるのでない限り、分析化学、合成有機化学、及び薬剤・医薬化学との関連において採用される用語、及びこれらの実験室手順及び技術は当業者に知られているものである。化学合成、化学分析、医薬製剤、調製、及び配送、並びに患者の治療のために、標準的な技術を用いることができる。反応・精製技術は、製造業者の仕様キットを使用して、又は当業者において普通に達成されるように、又は本明細書中に記載されているように実施することができる。前記の技術及び手順は概ね、当業者によく知られているコンベンショナルな方法から、そして本明細書全体を通して引用されて考察された種々の一般的な参考文献及びより具体的な参考文献に記載されているように、実施することができる。明細書全体を通して、基及びこれらの置換基は、安定な部分及び化合物を提供するように、当業者によって選ぶことができる。
置換基が、左から右に向かって書かれたこれらのコンベンショナルな化学式によって指定されている場合、これらは右から左に向かって構造を書くことから生じるであろう化学的に同一の置換基を等しく含む。非制限的な例として、−CH2O−は、−OCH2−と等価である。
他に断りのない限り、一般化学式、例えば「アルキル」、「アミン」、「アリール」は、場合により置換された形と等価である。本明細書中に使用される例えば「アルキル」は、場合により置換されたアルキルを含む。
本明細書中に提供された化合物は、1つ又は2つ以上の立体中心を有していてよく、それぞれの中心はR又はS形態、又はこれらの組み合わせの形態を成して存在していてよい。同様に、本明細書中に提供された化合物は、1つ又は2つ以上の二重結合を有していてもよく、そしてそれぞれの結合はE(trans)又はZ(cis)の形態、又はこれらの組み合わせの形態を成して存在していてよい。1つの特定の立体異性体、位置異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、又はエピマーが提供されるときには、これらは、すべての可能な立体異性体、位置異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、又はエピマー、及びこれらの混合物を含むと理解されたい。こうして、本明細書中に提供された化合物は、すべての別個の構造的な立体異性体、位置異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、又はエピマーの形、並びにこれらの対応混合物を含む。特定の立体中心を反転するか又は不変のままにする技術、及び立体異性体の混合物を分離する技術は、当業者に知られており、特定の状態のための適切な方法を選ぶことは当業者の能力範囲内に十分に含まれる。例えばFurniss et al.(編), VOGEL'S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5th ed., Longman Scientific and Technical Ltd. Essex, 1991, 809-816;及びHeller, Acc. Cehm. Res. 1990, 23, 128を参照されたい。
本明細書中に使用される「部分」、「化学部分」、「基」、及び「化学基」という用語は、分子の特定のセグメント又は官能基を意味する。化学部分はしばしば、分子内に埋め込まれた、又は分子に付加された化学物質として認識される。
「結合」又は「単結合」という用語は、2つの原子間、又は結合によって接合された原子が、より大きいサブ構造の一部であると考えられるときには2つの部分間の化学結合を意味する。
「触媒基」という用語は、反応に対する活性化バリアを低くするように作用することによって、触媒を支援する化学官能基を意味する。
「随意の」又は「場合により」という用語は、続いて記述された事象又は環境が生じるかもしれないし生じないかもしれないこと、そして、その記述が、前記事象又は環境が生じる場合と、生じない場合とを含むことを意味する。例えば「場合により置換されたアルキル」は、下記に定義される「アルキル」又は「置換型アルキル」を意味する。さらに、場合により置換された基は、無置換型(例えば−CH2CH3)、完全置換型(例えば−CF2CF3)、一置換型(例えば−CH2CH2F)、又は完全置換型と一置換型との間に位置する任意のレベルの置換型(例えば−CH2CHF2、−CH2CF3、−CF2CH3、−CFHCHF2など)であってよい。1つ又は2つ以上の置換基を含有するいかなる基に関しても当業者には明らかなように、このような基は、立体的に実行不能な且つ/又は合成的に実現不能な置換又は置換パターン(例えば置換型アルキルは場合により置換されたシクロアルキル基を含み、これらのシクロアルキル基は、場合により置換されたアルキル基を含むものと定義され、これが潜在的には無限に続く)を導入するようには意図されていない。従って、記載されたいずれの置換基も、最大分子量が約1,000ダルトンであり、より典型的には最大約500ダルトンであると概ね理解されたい(マクロ分子置換基、例えばポリペプチド、多糖、ポリエチレングリコール、DNA、及びRNAなどが明らかに意図されている場合を除く)。
本明細書中に使用されるC1−Cxは、C1−C2、C1−C3... C1−Cxを含む。一例として挙げるならば、「C1−C4」と呼ばれる基は、その部分内に1〜4つの炭素原子があること、すなわち、炭素原子数1、炭素原子数2、炭素原子数3、又は炭素原子数4であり、並びにC1−C2及びC1−C3の範囲を含有する基を示す。従って、一例として挙げるならば、「C1−C4アルキル」は、アルキル基内の炭素原子数が1〜4であること、すなわち、アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルから選択されていることを示す。数値範囲、例えば1〜10が本明細書中に現れるときはいつでも、所与の範囲内のそれぞれの整数を意味する。例えば「炭素原子数1〜10」とは、その基の炭素原子数が1,2,3,4,5,6,7,8,9,又は10であることを意味する。
本明細書中で使用される「A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成している」という用語は、以下の式I及びIIの化合物の構造を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「炭化水素」という用語は、炭素原子と水素原子とだけを含有する化合物又は化学基を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヘテロ原子」又は「ヘテロ」という用語は、炭素又は水素以外の原子を意味する。ヘテロ原子は独立して、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、セレニウム及び錫の中から選択されてよいが、これらの原子に制限されない。2つ又は3つ以上のヘテロ原子が存在する実施態様の場合、2つ又は3つ以上のヘテロ原子は、互いに同じであってよく、或いは2つ又は3つ以上のヘテロ原子のうちのいくつか又はすべてがそれぞれ互いに異なっていることが可能である。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルキル」という用語は、炭素原子数が1〜約10、より好ましくは1〜6の場合により置換された直鎖、又は場合により置換された分枝鎖飽和型炭化水素モノラジカルを意味する。一例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−アミル及びヘキシル、及びより長いアルキル基、例えばヘプチル、及びオクチルなどが挙げられる。数値範囲、例えば「C1−C6アルキル」又は「C1−6アルキル」が本明細書中に現れるときはいつでも、これはアルキル基の炭素原子数が1,2,3,4,5,又は6であることを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現をもカバーする。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルキレン」という用語は、上で定義したモノラジカルであるアルキルから誘導されたジラジカルを意味する。一例としては、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、及びイソプロピレン(−CH(CH3)CH2−)などが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルケニル」という用語は、1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭素原子数2〜10、より好ましくは炭素原子数2〜約6の場合により置換された直鎖、又は場合により置換された分枝鎖炭化水素モノラジカルを意味する。基は二重結合を中心としたcis又はtrans配座を成していてよく、両異性体を含むものと理解されたい。一例としては、エテニル(−CH=CH2−)、1−プロペニル(−CH2CH=CH2)、イソプロペニル[−C(CH3)=CH2]、ブテニル、及び1,3−ブタジエニルなどが挙げられる。数値範囲、例えば「C2−C6アルケニル」又は「C2−6アルケニル」が本明細書中に現れるときはいつでも、これはアルケニル基の炭素原子数が2,3,4,5,又は6であることを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない「アルケニル」という用語の出現をもカバーする。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルケニレン」という用語は、上で定義したモノラジカルであるアルケニルから誘導されたジラジカルを意味する。一例としては、エテニレン(−CH=CH−)、及びプロペニレン異性体(例えば−CH2CH=CH−及び−CH(CH3)=CH−)などが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルキニル」という用語は、1つ又は2つ以上の炭素−炭素三重結合を有する炭素原子数2〜10、より好ましくは炭素原子数2〜約6の場合により置換された直鎖、又は場合により置換された分枝鎖炭化水素モノラジカルを意味する。一例としては、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジイニルなどが挙げられる。数値範囲、例えば「C2−C6アルキニル」又は「C2−6アルキニル」が本明細書中に現れるときはいつでも、これはアルキニル基の炭素原子数が2,3,4,5,又は6であることを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない「アルキニル」という用語の出現をもカバーする。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルキニレン」という用語は、上で定義したモノラジカルであるアルキニルから誘導されたジラジカルを意味する。一例としては、エチニレン(−CH≡CH−)、及びプロパルギレン(例えば−CH2−C≡C−)などが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「脂肪族」という用語は、場合により置換された、直鎖又は分枝鎖、非環状、飽和型又は部分不飽和型、又は完全不飽和型の非芳香族炭化水素を意味する。従ってこの用語は集合的にアルキル、アルケニル及びアルキニル基を含む。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」、という用語は、骨格鎖炭素原子(及び適切な場合には、任意の連携する水素原子)のうちの1つ又は2つ以上がそれぞれ独立してヘテロ原子(すなわち炭素以外の原子、一例としては酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、錫又はこれらの組み合わせ)、又はヘテロ原子基、一例としては−O−O−、−S−S−、−O−S−、−S−O−、=N−N=、−N=N−、−N=N−NH−、−P(O)2−、−O−P(O)2−、−P(O)2−O−、−S(O)−、−S(O)2−、−SnH2−などで置換された、上記のような、場合により置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニル構造を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、及び「ハロアルキニル」、という用語は、1つ又は2つの水素原子がフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、又はこれらの組み合わせによって置換されている、上記のような、場合により置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニルを意味する。いくつかの実施態様の場合、2つ又は3つ以上の水素原子が、互いに同じハロゲン原子で置換されていてよい(例えばジフルオロメチル)。他の実施態様の場合、2つ又は3つ以上の水素原子が、互いにすべてが同じではないハロゲン原子で置換されていてよい(例えば1−クロロ−1−フルオロ−1−ヨードエチル)。ハロアルキル基の一例としては、フルオロメチル及びブロモエチルが挙げられる。ハロアルケニル基の一例としては、ブロモエテニルが挙げられる。ハロアルキニル基の一例としては、クロロエチニルが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ペルハロ」という用語は、水素原子のすべてが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、又はこれらの組み合わせによって置換されている基を意味する。従って、一例としては、「ペルハロアルキル」は、H原子のすべてがフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、又はこれらの組み合わせによって置換されている、本明細書中に定義されたアルキル基を意味する。ペルハロアルキルの一例としては、ブロモ、クロロ、フルオロメチルが挙げられる。ペルハロアルケニルの一例としては、トリクロロエテニルが挙げられる。ペルハロアルキニルの一例としては、トリブロモプロピニルが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「炭素鎖」という用語は、線状、環状、又はこれらの任意の組み合わせであるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニルを意味する。鎖がリンカーの一部であり、そのリンカーがコア・バックボーンの一部として1つ又は2つ以上の環を含む場合には、鎖長を計算する目的上、「鎖」は、所与の環の下側又は上側(両側ではない)を構成する炭素原子だけを含み、環の上側及び下側の長さが等価でない場合には、鎖長を割り出す際に短い方の距離を使用するものとする。鎖はバックボーンの一部としてヘテロ原子を含有する場合には、これらの原子は炭素鎖長としては計算されない。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「環(cycle, ring)」、「環状」、及び「員環」という用語は、本明細書中に記載される脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、及び多環式縮合又は非縮合環系を含む、共有結合閉鎖構造を意味する。環は場合により置換することができる。環は縮合環系の一部を形成することができる。「員」という用語は、環を構成する骨格原子の数を示す。従って一例を挙げるならば、シクロヘキサン、ピリジン、ピラン及びピリミジンは6員環であり、またシクロペンタン、ピロール、テトラヒドロフラン及びチオフェンは5員環である。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「縮合」という用語は、2つ又は3つ以上の環が1つ又は2つ以上の結合を共有している環構造を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「シクロアルキル」という用語は、環炭素原子数が3〜約15、又は3〜約10の、場合により置換された飽和型の炭化水素モノラジカル環を意味するが、付加的な非環炭素原子を置換基として含んでいてもよい(例えばメチルシクロプロピル)。数値範囲、例えば「C3−C6シクロアルキル」又は「C3−6シクロアルキル」が本明細書中に現れるときはいつでも、これはシクロアルキル基の炭素原子数が3,4,5又は6であること、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘプチルであることを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない「シクロアルキル」という用語の出現をもカバーする。この用語は、縮合、非縮合、架橋及びスピロ・ラジカルを含む。縮合シクロアルキルは、結合する環がシクロアルキル環であり、他の個別の環が脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい2〜4つの縮合環を含有していてよい。一例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリニル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプチル及びアダマンチル環系が挙げられる。一例としては下記部分が挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「シクロアルケニル」という用語は、環炭素原子数が3〜約20、3〜約12、又は3〜約10の場合により置換された炭化水素非芳香族モノラジカル環を意味する。この用語は、縮合、非縮合、架橋及びスピロ・ラジカルを含む。縮合シクロアルケニルは、結合する環がシクロアルケニル環であり、他の個別の環が脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい2〜4つの縮合環を含有していてよい。縮合環系は、炭素−炭素単結合又は炭素−炭素二重結合である結合部位にわたって縮合されていてよい。シクロアルケニルの一例としては、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン環系が挙げられる。一例としては下記部分が挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アリシクリル」及び「脂環式」という用語は、環炭素原子数が3〜約20、3〜約12、又は3〜約10の場合により置換された飽和型、部分不飽和型、又は完全不飽和型の非芳香族炭化水素環系を意味する。従ってこの用語は集合的にシクロアルキル、及びシクロアルケニル基を含む。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「非芳香族ヘテロシクリル」及び「ヘテロアリシクリル」という用語は、環原子数が3〜約20の場合により置換された飽和型、部分不飽和型、又は完全不飽和型の非芳香族環モノラジカルであって、環原子のうちの1つ又は2つ以上が、独立して酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、セレニウム及び錫の中から選択される(しかしこれらの原子に制限されない)、炭素以外の原子であるものを意味する。2つ又は3つ以上のヘテロ原子が環内に存在する実施態様の場合、2つ又は3つ以上のヘテロ原子は、互いに同じであってよく、或いは2つ又は3つ以上のヘテロ原子のうちのいくつか又はすべてがそれぞれ互いに異なっていることが可能である。この用語は、縮合、非縮合、架橋及びスピロ・ラジカルを含む。縮合非芳香族複素環式ラジカルは、結合する環が非芳香族複素環であり、他の個別の環が脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい2〜4つの縮合環を含有していてよい。縮合環系は、単結合又は二重結合にわたって、また炭素−炭素、炭素−ヘテロ原子、ヘテロ原子−ヘテロ原子である結合部位にわたって縮合されていてよい。この用語はまた、骨格炭素原子数3〜約12のラジカル、並びに骨格炭素原子数3〜10のラジカルを含む。非芳香族複素環式サブユニットのその親分子に対する結合は、ヘテロ原子又は炭素原子を介して行うことができる。同様に、付加的な置換もヘテロ原子又は炭素原子を介して行うことができる。一例として挙げるならば、イミダゾリジン非芳香族複素環を、そのN原子のうちのいずれか(イミダゾリジン−1−イル又はイミダゾリジン−3−イル)、又はその炭素原子のいずれか(イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、又はイミダゾリジン−5−イル)を介して親分子に結合することができる。或る特定の実施態様の場合、非芳香族複素環は、1つ又は2つ以上のカルボニル又はチオカルボニル基、例えばオキソ−及びチオ含有基を含有する。一例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル及びキノリジニルが挙げられる。非芳香族複素環とも呼ばれるヘテロシクロアルキル基の例は次のものを含む。
これらの用語はまた、例えば単糖、二糖、及びオリゴ糖を含む、炭水化物のすべての環形態を含む。
本明細書中で使用される「芳香族」は、4n+2個のπ電子を含有する非局在化π電子系を有する平面状、環状、又は多環式の環部分を意味する。芳香族環は5,6,7,8,9,又は10個以上の原子によって形成することができる。芳香族化合物は場合により置換することができ、そして単環式又は縮合環であることが可能である。芳香族という用語は、全炭素含有環(例えばフェニル)、及び1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含有する環(例えばピリジン)を含む。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アリール」という用語は、環炭素原子数が6〜約12の場合により置換された芳香族炭化水素ラジカルを意味し、縮合又は非縮合アリール環を含む。縮合アリール環ラジカルは、結合する環がアリール環であり、他の個別の環が脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい2〜4つの縮合環を含有していてよい。さらに、アリールという用語は、環炭素原子数6〜約12の縮合及び非縮合環、並びに環炭素原子数6〜約10の縮合及び非縮合環を含む。単環アリール基の一例はフェニルを含み、縮合環アリール基はナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、アズレニルを含み、そして非縮合ビアリール基はビフェニルを含む。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アリーレン」という用語は、上で定義したモノラジカルであるアリールから誘導されたジラジカルを意味する。一例としては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、及び1,2−ナフチレンなどが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヘテロアリール」という用語は、骨格環原子数約5〜約20の場合により置換された芳香族モノラジカルであって、環原子のうちの1つ又は2つ以上が、独立して酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、セレニウム及び錫の中から選択される(しかしこれらの原子に制限されない)ヘテロ原子であり、ただし前記基の環が2つの隣接するO又はS原子を含有しないことを条件とするものを意味する。2つ又は3つ以上のヘテロ原子が環内に存在する実施態様の場合、2つ又は3つ以上のヘテロ原子は、互いに同じであってよく、或いは2つ又は3つ以上のヘテロ原子のうちのいくつか又はすべてがそれぞれ互いに異なっていることが可能である。ヘテロアリールという用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有する場合により置換された縮合及び非縮合ヘテロアリール・ラジカルを含む。ヘテロアリールという用語はまた、骨格環原子数5〜約12の縮合及び非縮合ヘテロアリール、並びに骨格環原子数5〜約10の縮合及び非縮合ヘテロアリールを含む。ヘテロアリール基に対する結合は、炭素原子又はヘテロ原子を介して行うことができる。従って、一例として挙げるならば、イミジアゾールを、その炭素原子のいずれか(イミダゾル−2−イル、イミダゾル−4−イル、又はイミダゾル−5−イル)、又はそのN原子のうちのいずれか(イミダゾル−1−イル又はイミダゾル−3−イル)を介して親分子に結合することができる。同様に、ヘテロアリール基は、その炭素原子のいずれか又はすべて、及び/又はそのヘテロ原子のいずれか又はすべてを介してさらに置換することができる。縮合ヘテロアリール・ラジカルは、結合する環がヘテロ芳香環であり、他の個別の環が脂環式、複素環式、芳香族、複素環式芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい2〜4つの縮合環を含有していてよい。単環ヘテロアリール基の一例はピリジルを含み、縮合環ヘテロアリール基はベンズイミダゾリル、キノリニル、アクリジニルを含み、そして非縮合ビヘテロアリール基はビピリジニルを含む。ヘテロアリールのさらなる例としては、フラニル、チエニル、オキサゾリル、アクリジニル、フェナジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、インドリル、イソキサゾリル、イソキノリニル、インドリジニル、イソチアゾリル、イソインドリルオキサジアゾリル、インダゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピラジニル、ピラゾリル、プリニル、フタラジニル、プテリジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアジニル、チアジアゾリルなど、そしてこれらの酸化物、例えばピリジル−N−オキシドが挙げられる。ヘテロアリール基の例は次の部分を含む。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヘテロアリーレン」という用語は、上で定義したモノラジカルであるヘテロアリールから誘導されたジラジカルを意味する。一例としては、ピリジニル及びピリミジニルが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロアリシクリル及びヘテロアリール基をまとめて意味する。ここでは、複素環内の炭素原子数が示されている(例えばC1−C6複素環)ときにはいつでも、少なくとも1つの非炭素原子(ヘテロ原子)が環内に存在していなければならない。「C1−C6複素環」のように指定された場合、これは環内の炭素原子数だけを意味し、環内の総原子数を意味しない。4〜6員複素環のように指定された場合、これは環内に含まれる総原子数を意味する(すなわち4、5、又は6員環においては、少なくとも1つの原子が炭素原子であり、少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、そして残りの2〜4つの原子は炭素原子又はヘテロ原子である)。2つ又は3つ以上のヘテロ原子を有する複素環の場合、これらの2つ又は3つのヘテロ原子は互いに同じであることも異なっていることも可能である。複素環は場合により置換することができる。非芳香族複素環基は、環内原子数が3でしかない基を含むのに対して、芳香族複素環基は、環内原子数が少なくとも5でなければならない。複素環に対する結合(すなわち親分子に対する結合又はさらなる置換)は、ヘテロ原子又は炭素原子を介して行うことができる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「カルボシクリル」という用語は、飽和型、部分不飽和型、又は完全不飽和型、又は芳香族であってよいアリシクリル及びアリール基、すなわち全炭素、共有結合閉鎖環構造をまとめて意味する。炭素環は場合により置換することができる。この用語は、炭素環を、環バックボーンが炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含有する複素環と区別する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ハロゲン」、「ハロ」、又は「ハロゲン化物」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ヒドロキシ」という用語はモノラジカル−OHを意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「シアノ」という用語はモノラジカル−CNを意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「シアノメチル」という用語はモノラジカル−CH2CNを意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「ニトロ」という用語はモノラジカル−NO2を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「オキシ」という用語はジラジカル−O−を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「オキソ」という用語はジラジカル=Oを意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「カルボニル」という用語はジラジカル−C(=O)−を意味する。これは−C(O)−と書くこともできる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は部分−C(O)OHを意味する。これは−COOHと書くこともできる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「アルコキシ」という用語は、−O−脂肪族基及び−O−カルボシクリル基を含むアルキルエーテル・ラジカル、−O−アルキルを意味する。アルキル、脂肪族、及びカルボシクリル基は場合により置換することができる。アルキル、脂肪族、及びカルボシクリルという用語は、本明細書中に定義された通りである。アルコキシ・ラジカルの一例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「スルフィニル」という用語は、ジラジカル−S(=O)−を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「スルフォニル」という用語は、ジラジカル−S(=O)2−を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「スルホンアミド(sulfonamide)」、「スルホンアミド(sulfonamido)」、及び「スルホンアミジル」という用語は、ジラジカル基−S(=O)2−NH−及び−NH−S(=O)2−を意味する。
単独又は組み合わせで本明細書中で使用される「スルファミド(sulfamide)」、「スルファミド(sulfamido)」、及び「スルファミジル」という用語は、ジラジカル基−NH−S(=O)2−NH−を意味する。
本明細書中で使用される「反応体」という用語は、共有結合を形成するために使用される求核試薬又は求電子試薬を意味する。
言うまでもなく、構造に結合された置換基を定義するために、2つ又は3つ以上のラジカルを連続して使用する場合に、最初に名を挙げられたラジカルは末端基であると考えられ、そして最後に名を挙げられたラジカルは当該構造に結合されていると考えられる。従って、例えばアリールアルキルというラジカルは、アルキル基によって当該構造に結合されている。
特定の医薬用語
本明細書中で使用される「MEK阻害剤」という用語は、本明細書中に概略的に記載されたMek1キナーゼ・アッセイで測定して、約100μM以下又は約50μM以下の、MEK活性に対するIC50を示す化合物を意味する。「IC50」とは、酵素(例えばMEK)の活性を最大半量まで低減する阻害剤の濃度である。本明細書中に記載された化合物は、MEKに対する阻害作用を示すことが判っている。本発明の化合物は、本明細書中に記載されたMek1キナーゼ・アッセイで測定して、好ましくは約10μM以下、より好ましくは約5μM以下、さらに好ましくは約1μM以下、そして最も好ましくは約200nM以下の、MEK活性に対するIC50を示す。
障害などに罹っている個体に関連して本明細書中で使用される「被験者」、「患者」又は「個体」という用語は、哺乳動物及び哺乳動物以外の動物を含む。哺乳動物の一例としては、哺乳類の任意の員:ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー、及びその他のサル種;家畜、例えば牛、馬、羊、山羊、豚;家庭用動物、例えばウサギ、犬、及び猫;齧歯類を含む実験動物、例えばラット、マウス、及びモルモットなどが挙げられる。哺乳動物以外の動物の一例としては、鳥類、及び魚類などが挙げられる。本明細書中に提供された方法及び組成物の1実施態様において、哺乳動物はヒトである。
本明細書中で使用される「治療する」又は「治療」という用語、及びその他の文法的等価用語は、疾患又は状態症状を軽減、緩和又は改善すること、付加的な症状を防止すること、症状の根底を成す代謝原因を改善又は防止すること、疾患又は状態を阻害すること、例えば疾患又は状態の進行を阻むこと、疾患又は状態を緩和すること、疾患又は状態の退行を生じさせること、その疾患又は状態に起因する状態を緩和すること、又は疾患又は状態の症状を停止させることを含み、そして予防を含むものとする。これらの用語はさらに、治療効果及び/又は予防効果を達成することを含む。治療効果とは、治療中の基礎障害の根絶又は緩和を意味する。また治療効果は、患者が基礎障害にまだ罹っているにもかかわらず、患者に改善が観察されるように、基礎障害に伴う生理学的症状のうちの1つ又は2つ以上を根絶又は緩和することによって達成される。予防効果に関しては、特定の疾患を進行させるリスクのある患者に、この疾患の診断がまだ為されていなくても、組成物を投与することができる。
本明細書中で使用される「有効量」、「治療的に有効な量」又は「医薬的に有効な量」は、治療されている疾患又は状態の症状のうちの1つ又は2つ以上をある程度緩和するであろう、投与中の少なくとも1種の薬剤又は化合物の十分な量を意味する。その結果、兆候、症状、又は病因を低減又は緩和し、又は生体系の他の所望の変化をもたらすことができる。例えば治療用途の「有効量」は、疾患を臨床的に有意に低減するのに必要とされる、本明細書中に開示された化合物を含む組成物の量である。任意の個体の事例において適切な「有効」量は、投与量漸増試験のような技術を用いて決定することができる。
本明細書中で使用される「投与する」及び「投与」などの用語は、所期の生物学的作用部位への化合物又は組成物の送達を可能にするように用いることができる方法を意味する。これらの方法の一例としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸投与が挙げられる。当業者であれば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 現行版;Pergamon; Remington's Pharmaceutical Sciences(現行版), Mack Publishing Co., Easton, Pa.で論じられているような、本明細書中に記載された化合物及び方法とともに採用することができる投与技術には精通している。好ましい実施態様の場合、本明細書中に記載された化合物及び組成物は経口投与される。
製剤、組成物、又は成分に関して本明細書中で使用される「許容し得る」という用語は、治療されている被験者の全般的な健康状態に対して、持続的な有害な影響を及ぼさないことを意味する。
本明細書中で使用される「医薬的に許容される」という用語は、本明細書中に記載された化合物の生物的活性又は特性を無効にすることがなく、そして比較的非毒性である担体又は希釈剤のような材料を意味する。すなわちその材料は、不所望な生物学的作用を引き起こすことなしに、又はこれを含有する組成物の成分のうちのいずれかと有害な形で相互作用することなしに、個体に投与することができる。
本明細書中で使用される「医薬組成物」という用語は、少なくとも1種の医薬的に許容される化学成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、及び/又は賦形剤と場合により混合された生物学的に活性の化合物を意味する。
本明細書中で使用される「担体」という用語は、細胞又は組織中に化合物を組み入れるのを容易にする比較的非毒性の化合物又は化学物質を意味する。
本明細書中で使用される「アゴニスト」という用語は、別の分子の活性又は受容体部位の活性を増強する分子、例えば化合物、薬物、酵素アクチベータ又はホルモン・モジュレータを意味する。
本明細書中で使用される「アンタゴニスト」という用語は、別の分子の作用又は受容体部位の活性を弱めるか又は阻止する分子、例えば化合物、薬物、酵素阻害剤、又はホルモン・モジュレータを意味する。
本明細書中で使用される「調節する」という用語は、例えばターゲットの活性を増強すること、ターゲットの活性を阻害すること、ターゲットの活性を制限すること、又はターゲットの活性を拡大することを含めて、ターゲットの活性を変えるように、ターゲットと直接又は間接に相互作用することを意味する。
本明細書中で使用される「モジュレータ」という用語は、ターゲットと直接又は間接に相互作用する分子を意味する。相互作用の一例としては、アゴニストとアンタゴニストとの相互作用が挙げられる。
本明細書中で使用される「医薬的に許容される誘導体又はプロドラッグ」という用語は、式I化合物の任意の医薬的に許容される塩、エステル、エステルの塩、又はその他の誘導体であって、受容者に投与すると、本発明の化合物又はその医薬的に活性の代謝物又はその残基を直接又は間接に提供することができるものを意味する。特に好ましい誘導体又はプロドラッグは、本発明の化合物が患者に投与されると、(例えば経口投与された化合物が血液中により容易に吸収されるのを可能にすることにより)このような化合物の生物学的利用能を増大するもの、又は親化合物の生物学的区画(例えば脳又はリンパ系)への送達を増強するものである。
本明細書中で使用される「医薬的に許容される塩」という用語は、指定された化合物の遊離酸及び遊離塩基の生物学的効果を維持する塩、及び、生物学的に又はその他の点で望ましくないことがない塩を意味する。本明細書中に記載された化合物は、酸性又は塩基性の基を有していてよく、従って数多くの無機塩基又は有機塩基、及び無機酸又は有機酸のうちのいずれかと反応することによって、医薬的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中にその場で調製するか、又は、精製された化合物の遊離塩基形を好適な有機酸又は無機酸と別個に反応させ、そしてこうして形成された塩を単離することによって調製することができる。医薬的に許容される塩の例は、本明細書中に記載された化合物と、無機酸又は有機酸又は無機塩基と反応させることによって調製された塩を含む。このような塩は、アセテート、アクリレート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ビスルフィット、臭化物、ブチレート、ブチン−1,4−ジオエート、カンフォレート、カンファースルホネート、カプロエート、カプリレート、クロロベンゾエート、塩化物、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、デカノエート、ジグルコネート、リン酸二水素、ジニトロベンゾエート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、グリコレート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、ヒドロキシベンゾエート、γ−ヒドロキシブチレート、塩酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヨウ化物、イソブチレート、ラクテート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、マンデレート、メタホスフェート、メタンスルホネート、メトキシベンゾエート、メチルベンゾエート、リン酸一水素、1−ナフタレンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、パルモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ピロスルフェート、ピロホスフェート、プロピオレート、フタレート、フェニルアセテート、フェニルブチレート、プロパンスルホネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルフィット、スクシネート、スベレート、セバケート、スルホネート、タルトレート、チオシアネート、トシレート、ウンデコネート、及びキシレンスルホネートを含む。他の酸、例えばシュウ酸は,それ自体は医薬的に許容されるものではないが、本発明の化合物及びこれらの医薬的に許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩を調製する上で採用することができる(例えばBerge他、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19)。さらに、遊離酸基を含んでよい本明細書中に記載された化合物は、好適な塩基と反応するか、例えば医薬的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩と反応するか、又はアンモニアと反応するか、又は医薬的に許容される有機第一、第二、又は第三アミンと反応することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩などを含む。塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、及びN+(C1-4アルキル)4などを含む。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びピペラジンなどを含む。なお、本明細書中に記載された化合物は、これらが含有し得る任意の塩基性窒素含有基の四級化をも含む。このような四級化によって水又は油に可溶性又は分散性の生成物を得ることができる。例えばBerge他の前掲書を参照されたい。
本明細書中に記載された医薬的に許容されるプロドラッグの一例としては、エステル、カーボネート、チオカーボネート、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第三アミンの第四誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、金属塩、硫酸エステルが挙げられる。種々のプロドラッグ形が当業者によく知られている。例えばDesign of Prodrug., Bundgaard, A. Ed.,Elseview, 1985及びMethod in Enzymology, Widder, K. et al., Ed.; Academic, 1985, vol. 42, p. 309-396; Bundgaard, H. "Design and Application of Prodrugs" in A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p.113-191;及びBundgaard, H., Advanced Drug Delivery Review, 1992, 8, 1-38を参照されたい。これらの文献のそれぞれは参照することにより本明細書中に組み入れられる。本明細書中に記載されたプロドラッグの一例としては、下記の基及びこれらの基の組み合わせ;アミン誘導プロドラッグが挙げられる。
ヒドロキシ・プロドラッグの一例としては、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル及びジスルフィド含有エステルが挙げられる。
本明細書中に記載された「増強する」という用語は、所期の効果の潜在力及び継続時間の増大又は延長を意味する。従って、治療薬の効果を増強することに関して、「増強する」という用語は、システム上の他の治療薬の効果の潜在力及び継続時間を増大又は延長する能力を意味する。本明細書中に記載された「増強効果量」とは、所期システム内の別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を意味する。
本明細書中に記載された「医薬的な組み合わせ」、「付加的な療法を施す」、及び「付加的な治療薬を投与する」などという用語は、2種以上の活性成分を混合する又は組み合わせることから生じる医薬療法を意味し、そして活性成分の固定的及び非固定的な組み合わせを含む。「固定的な組み合わせ」は、本明細書中に記載された化合物のうちの少なくとも1種と、少なくとも1種の助剤とが両方とも、単一体又は単回投与の形で同時に患者に投与されることを意味する。「非固定的な組み合わせ」は、本明細書中に記載された化合物のうちの少なくとも1種と、少なくとも1種の助剤とが、別個のものとして、同時に、並行して、又は可変の時間を間に置いた状態で順次、患者に投与される。このような投与は患者の体内に有効なレベルの2種又は3種以上の化合物を提供する。これらはまたカクテル療法、例えば3種又は4種以上の活性成分に当てはまる。
本明細書中で使用される「併用投与」、「〜との組み合わせで投与される」という用語、及びこれらの文法的等価物などは、選択される複数の治療薬を単一の患者に投与することを含むことを意味し、そして治療薬が同じ又は異なる投与経路によって、同じ又は異なる時間で投与される治療計画を含むものとする。いくつかの実施態様の場合、本明細書中に記載された化合物は他の治療薬と併用投与されることになる。これらの用語は、両治療薬及び/又はこれらの代謝物が動物体内に同時に存在するように、2種以上の治療薬を動物に投与することを含む。これらの用語は、別個の組成物の同時投与、別個の組成物の異なる時点での投与、及び/又は両治療薬が存在する組成物の投与を含む。従って、いくつかの実施態様の場合、本発明の化合物と他の治療薬とが単一の組成物として投与される。いくつかの実施態様の場合、本発明の化合物と他の治療薬とが組成物中で混和されている。
本明細書中に使用される「代謝物」という用語は、化合物が代謝されたときに形成された化合物の誘導体を意味する。
本明細書中で使用される「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝されたときに形成された化合物の生物学的に活性の誘導体を意味する。
本明細書中で使用される「代謝された」という用語は、特定の物質が生物によって変化させられるプロセス(例えば加水分解反応、及び酵素によって触媒される反応)の和を意味する。従って、酵素は、化合物の特定の構造変化をもたらすことができる。例えば、シトクロムP450は種々の酸化・還元反応を触媒する一方、ウリジン・ジホスフェート・グルクロニルトランスフェラーゼは、活性化されたグルクロン酸分子の、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフィドリル基への移動を触媒する。代謝に関するさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から得ることができる。
化合物
本明細書中には、式I:
の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグであって、
上記式中、
BはH、C1−C6アルキル又はC2−C6アルケニルであり;
前記C1−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;
A及びA’はそれぞれ独立してH、C1−C6アルキル、又はC2−C6アルケニルであり;
それぞれのC1−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;又は
A及びA’はこれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基を形成しており;
各シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチル基は、独立してメチル、ヒドロキシ、及びハロゲンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されており;
X及びYはそれぞれ独立して、ハロゲン、メチル、SCH3又はトリフルオロメチルであり;
R1はH、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C5−C6シクロアルケニル、又はC2−C6アルキニルであり;
それぞれのアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、又はアルキニル基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されており、そして
前記C3−C6シクロアルキル基の1つ又は2つの環炭素原子は、独立してO、N、又はSで場合により置換されており;又は、
R1は、独立してO、N、及びSから選択される1〜5つのヘテロ原子を含む飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよい5又は6原子複素環基であり、該複素環基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されており;そして
R2はH、ハロゲン、ヒドロキシ、アジド、シアノ、シアノメチル、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C5−C6シクロアルケニル、又はC2−C6アルキニルであり、それぞれのアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、又はアルキニル基は、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、及びフェニルから選択される1〜3つの置換基で場合により置換されている、
式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグが記載されている。
好ましい実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容される溶媒和物を提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容される多形体を提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容されるエステルを提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容される互変異性体を提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、本発明は式I化合物及びこれらの医薬的に許容されるプロドラッグを提供する。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、R1は、これが結合された環に縮合されている。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、BはH、C1−C4アルキル又はC2−C6アルケニルであり、前記C2−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されている。
さらなる又は付加的な実施態様の場合、A及びA’はそれぞれ独立してH、C1−C4アルキル、又はC2−C6アルケニルであり、前記C2−C6アルキルは、独立してヒドロキシ、アルコキシ、オキシ、アミン及び置換型アミンから選択される1つ又は2つの基で場合により置換されている。
基A,A’,B,D,X,Y,R1及びR2に関して上に示した定義に加えて、化学・医薬分野の当業者によって考えられ得る付加的な置換基が含まれる。
式I化合物、医薬的に許容される塩、医薬的に活性の代謝物、医薬的に許容されるプロドラッグ、及び医薬的に許容される溶媒和物は、MEK酵素の活性を調節することができ、そしてこのようなものとして、異常なMEK酵素活性が疾患又は状態の病理及び/又は症状に関与する疾患又は状態を治療するのに有用である。
合成手順
別の態様では、本明細書中に記載された化合物を合成する方法が提供される。いくつかの実施態様の場合、本明細書中に記載された化合物は、下記方法によって調製することができる。下記手順及び例は、これらの方法を説明するために意図されている。これらの手順も例も本発明を限定するものと解釈するべきでは決してない。本明細書中に記載された化合物は、当業者に知られている標準的な合成技術を用いて、又は本明細書中に記載された方法と組み合わせて当業者に知られている方法を用いて合成することもできる。加えて、本明細書中に提供された溶媒、温度、及びその他の反応条件は、当業者の技能及び知識んい応じて変化することがある。
本明細書中に記載された化合物の合成のために使用される出発材料は、商業的供給元、例えばAldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wis), Sigma Chemical Co. (St. Louis, Mo)から入手することができ、或いは出発材料は合成することもできる。本明細書中に記載された化合物、及び種々異なる置換基を有する他の関連化合物は、例えばMarch, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., (Wiley 1992); Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000, 2001),及びGreen and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYSTHESIS 3rd Ed. (Wiley 1999)(これらすべては、参照することにより全体的に本明細書中に組み入れられる)に記載されているような、当業者に知られている技術及び材料を用いて合成することができる。本明細書中に記載された化合物の一般的な調製方法は、この分野でよく知られた反応から導き出すことができ、そしてこれらの反応は、本明細書中に提供された式に見いだされる種々の部分を導入するために、当業者によって認識されているような適切な試薬及び条件を用いることにより改変することができる。参考として、次の合成方法を利用することができる。
求電子試薬と求核試薬とを反応することによる共有結合の形成
本明細書中に記載された化合物を、種々の求電子試薬又は求核試薬を使用して改質することにより、新しい官能基又は置換基を形成することができる。「共有結合及びこれらの前駆体の例」と題する下記表は、有用な共有結合及び前駆体官能基の選択される例を挙げており、これらの例は、利用可能な求電子試薬と求核試薬との種々様々な組み合わせに関する指針として使用することができる。
保護基の使用
記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ、又はカルボキシ基を、これらが最終生成物中で望まれる場合には、反応における望ましくない関与を回避するために保護することが必要な場合がある。保護基を使用することにより、いくつか又はすべての反応性部分をブロックして、保護基が除去されるまでこのような基が化学反応に関与するのを防止する。各保護基が異なる手段によって除去できることが望ましい。全体的に異種の反応条件下で切断される保護基は、差別的除去の要件を満たす。保護基は、酸、塩基及び水素化分解によって除去することができる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール及びt−ブチルジメチルシリルのような基は酸に対して不安定であり、そしてこのような基を使用することにより、水素化分解によって除去可能なCbz基、及び塩基に対して不安定なFmoc基で保護されたアミノ基の存在においてカルボキシ及びヒドロキシ反応性部分を保護することができる。カルボン酸及びヒドロキシの反応性部分は、酸に対して不安定な基、例えばt−ブチルカルバメートで、又は酸及び塩基の両方に対して安定ではあるがしかし加水分解で除去可能なカルバメートの存在において、塩基に対して不安定な基、例えばメチル、エチル、及びアセチルでブロックすることができる。カルボン酸及びヒドロキシの反応性部分は、加水分解で除去可能な保護基、例えば弁じる基でブロックすることができる一方、酸と水素結合することがでいるアミン基は、塩基に対して不安定な基、例えばFmocでブロックすることができる。カルボン酸反応性部分は、本明細書中で例示されているような単純なエステル化合物に変換することにより保護することができ、或いは、これらは、酸化的に除去可能な保護基、例えば2,4−ジメトキシベンジルでブロックすることができる一方、共存するアミノ基は、フッ化物に対して不安定なシリルカルバメートでブロックすることができる。
アリル・ブロック基が、酸保護基及び塩基保護基の存在において有用である。それというのも、アリル・ブロック基は安定であり、続いて金属又はpi−酸触媒によって除去することができるからである。例えば、アリルでブロックされたカルボン酸は、酸に対して不安定なt−ブチルカルバメート保護基又は塩基に対して不安定なアセテートアミン保護基の存在において、Pd触媒反応によって脱保護することができる。保護基のさらに別の形は、化合物又は中間体が付着することができる樹脂である。残基が樹脂に結合している限り、この官能基はブロックされており反応することができない。一旦樹脂から解放されると、官能基を反応のために利用することができる。
保護基又はブロック基は以下:
のものから選択することができる。
他の保護基、及び保護基の形成及びこれらの除去に適用できる技術の詳細な説明が、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999, 及びKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に記載されている。これらは全体的に参照することによって本明細書中に組み入れられる。
式I化合物の調製
本明細書中には、下記反応スキームに従って合成することができる式I化合物の調製が記載されている。
I. アルキルスルホニルクロリドの調製
II. アリールアミンの調製
2,6−ジクロロニコチン酸を水酸化ナトリウムと反応させることにより、2−クロロ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸を形成し、これをアルキル化し、エステル化し、そして臭素化する。対応のピリジノンは、ジメチル亜鉛を使用してメチル化するか、又は鈴木、スティル又は根岸状のカップリング反応を用いてアルキル化してよい。エステル又は酸の存在において2−X−4−Y−ベンズアミンで処理することによって、ジアリールアミンを提供する。エステルの場合、所期の酸を得るために付加的な工程が必要である。
上記スキームにおいて、項X,Y,R1及びR2は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
III. スルホンアミド、式I化合物の調製
クルチウス転位反応を用いて、カルボン酸を、対応する4−R1−3−(2X−4Y−フェニル)−6−R2−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン誘導体に変換する。対応生成物をアルキルスルホニルクロリド(AA’C(B)−SO2−Cl)とカップリングすることにより、1−(アルキルスルホニル)−4−R1−3−(2−X−4−Yフェニル)−6−R2−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオンを形成し、そして脱保護することにより、所期の式I化合物:
N−(1−R2−2−(2−X−4−Yフェニルアミノ)−5−R2−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)アルキルスルホンアミドを得る。
上記スキームにおいて、項A,A’,X,Y,R1及びR2は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
式I化合物は、下記スキームに従って調製してもよい。
上記スキームにおいて、項A,A’,X,Y,R1及びR2は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
式I化合物は、下記スキームに従って調製してもよい。
上記スキームにおいて、項A,A’,X,Y及びR1は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
式I化合物は、下記スキームに従って調製してもよい。
上記スキームにおいて、項R1及びR2は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
式I化合物は、下記スキームに従って調製してもよい。
上記スキームにおいて、項R1及びR2は、上記一般式Iの化合物の定義に関して与えられたものと同じ意味を有する。
式I化合物のさらなる形
式I化合物の異性体
本明細書中に記載された化合物は、幾何異性体として存在してよい。本明細書中に記載された化合物は1つ又は2つ以上の二重結合を有していてよい。本明細書中に記載された化合物は、cis、trans、syn、anti、entgegen(E)、及びzusammen(z)のすべての異性体を含む。いくつかの状況では、化合物は互変異性体として存在していてよい。本明細書中に記載された化合物は、本明細書中に記載された式の範囲内のすべての可能な互変異性体を含む。本明細書中に記載された化合物は、1つ又は2つ以上のキラル中心を有していてよく、そして各中心はR又はS配置で存在していてよい。本明細書中に記載された化合物は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、又はエピマー形、並びに対応するこれらの混合物を含む。本明細書中に提供された化合物及び方法の付加的な実施態様では、単一の調製工程、組み合わせ、又は相互変換の結果生じるエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物が、本明細書中に記載された用途に有用である場合もある。本明細書中に記載された化合物は、化合物のラセミ混合物と、光学活性分解剤とを反応させて、一対のジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、個々の立体異性体として調製することができる。エナンチオマーの分解は、本明細書中に記載された化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して行うことができるが、解離可能な錯体が好ましい(例えば結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは区別可能な物理特性(例えば融点、沸点、溶解度、反応性など)を有しており、これらの非類似性を利用して容易に分離することができる。ジアステレオマーは、キラル・クロマトグラフィによって、又は好ましくは、溶解度の差に基づいた分離/分解技術によって分離することができる。次いで、ラセミ化を生じさせない任意の実際的手段によって、光学的に純粋なエナンチオマーを、分解剤とともに回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分解することに適用できる技術のより詳細な説明を、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, "Enantiomers, Racemates and Resolutions", John Wiley And Sons, Inc., 1981に見いだすことができる。これは、参照することにより全体的に本明細書中に組み入れられる。
標識付き式I化合物
本明細書中にはまた、同位体標識付き式I化合物及び障害の治療方法も記載されている。例えば、本発明は同位体標識付き式I化合物を投与することにより、疾患を治療する方法を提供する。同位体標識付き式I化合物は、医薬組成物として投与することができる。従って、式I化合物はまた同位体標識付き化合物を含み、これらの同位体標識付き化合物は、1つ又は2つ以上の原子が、自然界に普通に見いだされる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられるという事実を除いて、本明細書中に挙げられたものと同一である。本発明の化合物中に組み入れることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36C1を含む。上述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本明細書中に記載された化合物、これらの医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体は、本発明の範囲に含まれる。例えば3H及び14Cのような放射性同位体が組み入れられている或る特定の同位体標識付き式I化合物は、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。三重水素、すなわち3H、及び炭素14、すなわち14Cは、これらの調製しやすさ及び検出能から特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素、すなわち2Hは、より高い代謝安定性から生じる一定の治療上の利点、例えば生体内半減期の増大、又は所要投与量の低減をもたらすことができ、従っていくつかの環境では好ましいことがある。同位体標識付き化合物、これらの医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体は一般に、本明細書中に記載された手順を実施し、非同位体標識付き試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識付き試薬を使用することにより、調製することができる。
本明細書中に記載された化合物は、例えば発色団又は蛍光部分、生物発光標識、又は化学発光標識を使用することを含む他の手段によって標識付けすることができる。
式I化合物の医薬的に許容される塩
また本明細書中には、式I化合物の医薬的に許容される塩及び障害の治療方法も記載されている。例えば、本発明は、式I化合物の医薬的に許容される塩を投与することにより、疾患を治療する方法を提供する。式I化合物の医薬的に許容される塩は、医薬組成物として投与することができる。
従って、本明細書中に記載された化合物は、親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウム・イオンによって置換されるか、又は有機塩基と一緒に配位するときに形成された、医薬的に許容される塩として調製することができる。本明細書中に記載された化合物の遊離酸形と、医薬的に許容される無機又は有機塩基、例えば有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びN−メチルグルカミンなど、並びに無機塩基、例えば水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムなどとを反応させることによって塩基付加塩を調製することもできる。加えて、開示された化合物の塩形は、出発材料又は中間体の塩を使用することによって調製することができる。
さらに、本明細書中に記載された化合物は、化合物の遊離塩基形と、医薬的に許容される無機又は有機酸、例えば無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及びメタリン酸など、並びに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、及びムコン酸とを反応させることによって形成された医薬的に許容される塩として調製することができる。
式I化合物の溶媒和物
また本明細書中には、式I化合物の溶媒和物及び障害の治療方法も記載されている。例えば、本発明は、式I化合物の溶媒和物を投与することにより、疾患を治療する方法を提供する。式I化合物の溶媒和物は、医薬組成物として投与することができる。
溶媒和物は、化学量論的な量又は非化学量論的な量の溶媒を含有しており、そして医薬的に許容される溶媒、例えば水、及びエタノールなどを用いた結晶化過程中に形成することができる。溶媒が水の場合に水和物が形成され、又は溶媒がアルコールの場合にアルコラートが形成される。本明細書中に記載された化合物の溶媒和物は、本明細書中に記載されたプロセス中に好都合に調製又は形成することができる。一例としては、本明細書中に記載された化合物の水和物は、有機溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、又はメタノールを使用して、水性/有機溶媒混合物からの再結晶化によって好都合に調製することができる。加えて、本明細書中に提供した化合物は、非溶媒和形並びに溶媒和形で存在することができる。一般に、溶媒和形は、本明細書中に提供された化合物及び方法の目的上、非溶媒和形と等価であると考えられる。
式I化合物の多形体
また本明細書中には、式I化合物の多形体及び障害の治療方法も記載されている。例えば、本発明は、式I化合物の多形体を投与することにより、疾患を治療する方法を提供する。式I化合物の多形体は、医薬組成物として投与することができる。
従って、本明細書中に記載された化合物は、多形体として知られているすべての結晶形を含む。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配列を含む。多形体は異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性、電気特性、安定性、及び溶解度を有していてよい。種々の因子、例えば再結晶化溶媒、結晶化速度、及び貯蔵温度が、単一の結晶形を優勢にする。
式I化合物のプロドラッグ
また本明細書中には、式I化合物の多形体及び障害の治療方法も記載されている。例えば、本発明は、式I化合物のプロドラッグを投与することにより、疾患を治療する方法を提供する。式I化合物のプロドラッグは、医薬組成物として投与することができる。
プロドラッグは一般に、被験者へ投与され、続いて吸収された後、何らかのプロセス、例えば代謝経路による変換プロセスを介して、活性の種、又はより活性の種に変換される。薬物の活性を低下させ、且つ/又は溶解度又は何らかの他の特性を薬物に与える化学基がプロドラッグ上に存在するようないくつかのプロドラッグがある。一旦、その化学基が切断され且つ/又はプロドラッグから改質されると、活性の薬物が発生する。プロドラッグは、いくつかの状況において、親薬物よりも投与しやすいのでしばしば有用である。プロドラッグが例えば、経口投与によって生体利用可能であるのに対して、親薬物はそうではないことがある。プロドラッグは、医薬組成物中の溶解度が親薬物を上回るように改善されている場合がある。プロドラッグの一例としては、水溶性が移動性に対して不都合に作用する細胞膜を横切って透過するのを容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、しかし次いで水溶性が有益である細胞の内部にこれが一旦入ると、代謝的に加水分解されることによりカルボン酸、つまり活性のものにされる、本明細書中に記載された化合物である。プロドラッグのさらに別の例は、酸基に結合された短ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよく、この酸基において、ペプチドは代謝されて活性部分を露出させる。
プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物輸送を増強する改質剤として使用するための可逆的な薬物誘導体として設計されてよい。今日のプロドラッグの設計は、水が主要な溶媒である部位へのターゲッティングのために治療化合物の有効水溶性を高くするようになってきている。
例えば、Fedorak et at., Am J. Physiol., 269: G210-218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405-413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283-286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm Sci., 64: 181-210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vo. 14 of the A.C.S. Symposium Series;及びEdward B. Roche, Bioreversible Carriers in Durg Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987を参照されたい。これらすべてが全体的に本明細書中に組み入れられる。
加えて、本明細書中に記載された化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に知られている方法によって調製することができる(例えばさらなる詳細に関しては、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol.4. p. 1985を参照されたい)。一例を挙げるならば、式Iの非誘導型化合物と、好適なカルバミル化剤、例えば1,1−アシルオキシアルキルカルバノクリデート、及びパラ−ニトロフェニルカルボネートなどとを反応させることによって、好適なプロドラッグを調製することができる。プロドラッグが生体内で代謝されて本明細書中に示したような誘導体を生成する、本明細書中に記載された化合物のプロドラッグ形が、請求の範囲に含まれる。実際には、本明細書中に記載された化合物のうちのいくつかは、別の誘導体又は活性化合物のためのプロドラッグであってよい。
いくつかの実施態様の場合、プロドラッグが含んでいる化合物において、アミノ酸残基、又はアミノ酸残基の数が2又は3以上(例えば2、3、又は4)のポリペプチド鎖が、アミド又はエステル結合を介して、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基に共有結合されている。アミノ酸残基は例えば、一般には3つの文字符号によって指定される20個の自然発生型アミノ酸を含み、また4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルフォンをも含む。プロドラッグの付加的なタイプも含まれる。
遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はカルボン酸基を有する式I化合物を、プロドラッグに変換することができる。例えば遊離カルボキシル基はアミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。Advanced Drug Delivery Reviews 1996, 19, 115に概説されているように、例えばヘミスクシネート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を使用して、遊離ヒドロキシ基が誘導体化されてよい。カーボネート・プロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に、ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメート・プロドラッグが含まれる。
(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてヒドロキシ基を誘導体化すること(アシル基は例えばエーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含む基で場合により置換されたアルキルエステルであってよく、又はアシル基は上記のようなアミノ酸エステルである)も含まれる。このタイプのプロドラッグは、J. Med. Chem. 1996, 39, 10に記載されている。遊離アミンをアミド、スルホンアミド、又はホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらのプロドラッグ部分のすべては、例えばエーテル、アミン、及びカルボン酸官能基を含む基を組み入れることができる。式I化合物の芳香環部分上の部位は、種々の代謝反応を受けやすく、従って、芳香環構造上に適切な置換基を組み入れると、この代謝経路を低減、最小化、又は排除することができる。
医薬組成物
本明細書中には医薬組成物が記載されている。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、有効量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を含む。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、有効量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体、及び医薬的に許容される担体を含む。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、障害の治療のためにある。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、哺乳動物における障害の治療のためにある。いくつかの実施態様の場合、医薬組成物は、ヒトにおける障害の治療のためにある。
MEK調節
本明細書中にはまた、MEK活性を調節する方法であって、MEKを、MEK活性を調節するのに十分な量の式I化合物と接触させることによる、阻害方法も記載されている。調節は、MEK活性を阻害又は活性化することができる。いくつかの実施態様の場合、本発明は、MEK活性の阻害方法であって、MEKを、MEK活性を阻害するのに十分な量の式I化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、溶液中のMEK活性の阻害方法であって、前記溶液を、前記溶液中のMEK活性を阻害するのに十分な量の式I化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、細胞中のMEK活性の阻害方法であって、前記細胞を、前記細胞中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、組織中のMEK活性の阻害方法であって、前記組織を、前記組織中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、生物中のMEK活性の阻害方法であって、前記生物を、前記生物中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、動物中のMEK活性の阻害方法であって、前記動物を、前記動物中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、哺乳動物中のMEK活性の阻害方法であって、前記哺乳動物を、前記哺乳動物中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。いくつかの実施態様の場合、本発明は、ヒト中のMEK活性の阻害方法であって、前記ヒトを、前記ヒト中のMEK活性を阻害するのに十分な量の化合物と接触させることによる、阻害方法を提供する。
異常細胞成長
本明細書中にはまた、異常細胞成長を阻害するための化合物、医薬組成物、及び方法も記載されている。いくつかの実施態様の場合、異常細胞成長は哺乳動物に発生する。異常細胞成長を阻害する方法は、有効量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を投与し、異常細胞成長を阻害することを含む。哺乳動物における異常細胞成長を阻害する方法は、哺乳動物における異常細胞成長を阻害するのに有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を投与することを含む。
いくつかの実施態様の場合、この方法は、有効量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を、所定量の化学療法薬と組み合わせて投与することを含み、化合物、塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体の量と、化学療法薬の量とが一緒に、異常細胞成長を阻害するのに有効である。多くの化学療法薬が現在、当業者に知られており、これらを本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施態様の場合、化学療法薬は、有糸***阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的反応修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤から成る群から選択される。
本明細書中にはまた、哺乳動物における異常細胞成長を阻害するための方法であって、所定量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を、放射線療法と組み合わせて投与することを含み、化合物、塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体の量は、放射線療法と組み合わせて、哺乳動物において異常細胞成長を阻害するか、又は過剰増殖性障害を治療する上で効果的である、方法も記載されている。放射線療法を施す技術は当業者に知られており、これらの技術は本明細書中に記載された併用療法において用いることができる。この併用療法における式I化合物の投与量は本明細書中に記載されているように決定することができる。
本発明はまた、哺乳動物における異常細胞成長を阻害する方法及び医薬組成物であって、医薬組成物が、所定量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体、又はその同位体標識付き誘導体と、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤から選択される1種又は2種以上の所定量の物質とを含む、方法及び医薬組成物に関する。
本発明の化合物、及び本明細書中に記載された医薬組成物とともに、抗血管新生剤、例えばMMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックス・メタロプロテイナーゼ9)阻害剤、及びCOX−11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤を使用することができる。有用なCOX−II阻害剤の例は、CELEBREX(登録商標)(アレコシブ)、バルデコキシブ、及びロフェコキシブを含む。有用なマトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤の例が、国際公開第96/33172号パンフレット(1996年10月24日発行)、国際公開第96/27583号パンフレット(1996年3月7日発行)、欧州特許出願第97304971.1号明細書(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号明細書(1999年10月29日出願)、国際公開第98/07697号パンフレット(1998年2月26日発行)、国際公開第98/03516号パンフレット(1998年1月29日発行)、国際公開第98/34918号パンフレット(1998年8月13日発行)、国際公開第98/34915号パンフレット(1998年8月13日発行)、国際公開第98/33768号パンフレット(1998年8月6日発行)、国際公開第98/30566号パンフレット(1998年7月16日発行)、欧州特許出願公開第606,046号明細書(1994年7月13日発行)、欧州特許出願公開第931,788号明細書(1999年7月28日発行)、国際公開第90/05719号パンフレット(1990年3月31日発行)、国際公開第99/52910号パンフレット(1999年10月21日発行)、国際公開第90/52889号パンフレット(1990年10月21日発行)、国際公開第99/29667号パンフレット(1999年6月17日発行)、PCT国際出願PCT/IB98/01113(1998年7月21日発行)、欧州特許出願第99302232.1号明細書(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号明細書(1999年6月3日出願)、米国特許仮出願第60/148,464号明細書(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号明細書(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号明細書(1999年1月19日発行)、及び欧州特許出願公開第780,386号明細書(1997年6月25日発行)、に記載されている。これらすべては、参照することにより全体的に本明細書中に組み入れられる。好ましいMMP−2及びMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性をほとんど又は全く有さないものである。より好ましいのは、他のマトリックス−メタロプロテイナーゼ(すなわちMAP−1,MMP−3,MMP−4,MMP−5,MMP−6,MMP−7,MMP−8,MMP−10,MMP−11,MMP−12,及びMMP−13)に対してMMP−2及び/又はAMP−9を選択的に阻害するものである。本発明において有用なMMP阻害剤のいくつかの具体例は、AG−3340,RO32−3555,及びRS13−0830である。
投与様式
本明細書中には、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグが記載されている。また、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む医薬組成物も記載されている。本明細書中に記載された化合物及び組成物は単独で、又は医薬組成物中で、医薬的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と組み合わせて、標準的な薬務に従って投与することができる。
本明細書中に記載された化合物及び組成物は、化合物を作用部位に送達するのを可能にする任意の方法によって投与することができる。これらの方法は、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋内、血管内、又は輸液を含む)、局所又は直腸投与を含む。例えば、本明細書中に記載された化合物は、治療を必要とする部位に局所的に投与することができる。このことは例えば、外科手術中の局所輸液、局所適用、例えばクリーム、軟膏、注射、カテーテル、又はインプラントによって達成することができる。前記インプラントは例えば、膜、例えばシアラスティック膜、又はファイバーを含む多孔質材料、無孔質材料、又はゼラチン質材料から成る。投与は、腫瘍又は新生物組織又は前新生物組織の部位(又は元の部位)に直接に注射することによって行うこともできる。例えば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 現行版: Pergamon;及びRemington's Pharmaceutical Sciences(現行版), Mack Publishing Co., Easton, Pa.において論じられているように、当業者ならば、本発明の化合物及び方法と一緒に採用することができる製剤及び投与技術に精通している。
製剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋内、血管内、関節内、及び髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸及び局所(皮膚、バッカル、舌下、及び眼内)投与に適したものを含むが、最も好ましい経路は、例えば受容者の状態及び障害に依存することがある。製剤は、単位投与量形態で提供されるのが好都合であり、薬局分野でよく知られた方法のうちのいずれかによって調製することができる。すべての方法は、本発明の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、又は溶媒和物(「活性成分」)を、1種又は2種以上の付属成分を構成する担体と連携させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を、液体担体、又は微粉末固形担体、又はその両方と均一且つ密接に連携させ、そして次いで必要ならば、生成物を成形して所期製剤にすることにより調製される。
経口投与に適した製剤は、不連続の単位、例えばそれぞれ所定の量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤、又は錠剤として、粉末又は下流として;水性液体又は非水性液体の形の溶液又は懸濁液として;又は水中油液体エマルジョン又は油中水液体エマルジョンとして提供することができる。活性成分は、ボーラス、舐剤、又はペーストとして提供することもできる。
経口で使用することができる医薬製剤は、錠剤、ゼラチンから成る押し込み型カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールから成る軟質の密閉カプセルを含む。錠剤は、場合によりは1種又は2種以上の付属成分と一緒に、圧縮又は成形によって形成することができる。圧縮錠剤は、好適な機械内で自由流動形の活性成分、例えば粉末又は顆粒を、場合によりはバインダー、不活性希釈剤、平滑剤、界面活性剤、又は分散剤と一緒に圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末化合物の混合物を好適な機械内で成形することにより形成することができる。錠剤は場合によりコーティング又は割線入れが施されてよく、そして活性成分の遅い放出又は制御された放出を可能にするように製剤されてよい。経口投与のためのすべての製剤は、このような投与に適した用量であるべきである。押し込み型カプセルは、充填剤、例えばラクトース、バインダー、例えば澱粉、及び/又は滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム、及び場合によりは安定剤との混和物中に活性成分を含有することができる。軟質カプセルの場合、活性化合物は、好適な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール中に溶解又は懸濁してよい。加えて安定剤を添加してもよい。糖衣錠のコアは好適なコーティング膜を備えている。このことを目的として、濃縮糖溶液を使用することができる。濃縮糖溶液は場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポール・ゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有していてよい。識別のために、又は投与される活性化合物の種々異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠に色素又は顔料を添加することができる。
注射、例えばボーラス注射又は連続輸液による非経口投与のために、医薬製剤を製造することができる。注射用製剤は、単位投与量形態、例えばアンプル、又は複数投与量容器内で、添加された保存剤とともに提供されてよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンのような形態を成していてよく、そして製剤化剤、例えば懸濁液、安定剤、及び/又は分散剤を含有していてよい。製剤は単位投与量容器又は複数投与量容器内、例えば密閉アンプル及びバイアル内で提供されてよく、そして使用直前に滅菌液体担体、例えばサリン又はピロゲンなしの滅菌水を添加するだけでよい粉末形態又はフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。前述の種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から、即席の注射溶液を調製することができる。
非経口投与用の製剤は、活性化合物の水性及び非水性(油性)滅菌注射溶液を含む。この注射溶液は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を対象受容者の血液と等張性にする溶質;及び懸濁剤及び増粘剤を含んでよい水性及び非水性滅菌懸濁液を含有していてよい。好適な親油性溶媒又はビヒクルは、脂肪油、例えばごま油、又は合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエート又はトリグリセリド、又はリポソームを含む。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストランを含有していてよい。場合によりは、懸濁液は、好適な安定剤、又は高濃度溶液の調製を可能にするように化合物の溶解度を高める物質を含有していてもよい。
医薬製剤は、デポ製剤として調製されてもよい。このような長時間作用性の製剤は、埋め込み(例えば皮下又は筋内)によって又は筋内注射によって投与することができる。従って、例えば化合物は、好適な高分子又は疎水性材料(例えば許容し得る油中のエマルジョンとして)、又はイオン交換樹脂を用いて、又は難溶性誘導体、例えば難溶性塩として調製してよい。
バッカル又は舌下投与の場合、組成物は、コンベンショナルな形式で製剤された錠剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、又はゲルの形態を成していてよい。このような組成物は、香味付きベース、例えばスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含んでいてよい。
医薬製剤は、コンベンショナルな座剤基剤、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、又はその他のグリセリドを含有する、座剤又は保持浣腸のような直腸用組成物として調製することもできる。
医薬製剤は、局所、すなわち非全身性投与によって投与されてよい。このことは、表皮又は口腔に本発明の化合物を外部から適用すること、そして耳、眼及び鼻内にこのような化合物を滴下することにより、化合物が血流に顕著には入らないようにすることを含む。対照的に、全身性投与は、経口、静脈内、腹腔内、及び筋内投与を意味する。
局所投与に適した医薬製剤は、皮膚を通して炎症部位に浸透するのに適した液体又は半液体製剤、例えばゲル、湿布薬、ローション、クリーム、軟膏、又はペースト、及び眼、耳又は鼻への投与に適した滴下剤を含む。活性成分は局所投与のためには、製剤の0.001%〜10%w/w、例えば1重量%〜2重量%であってよい。もっとも、これは製剤の10%w/wもの多さであってもよいが、しかし好ましくは5%w/w未満、より好ましくは0.1〜1%w/wとなる。
吸入による投与のための医薬製剤は、吹送器、ネブライザ加圧パック、又はエアロゾル・スプレイを送達する他の好都合な手段から好都合に送達される。加圧パックは、好適な駆出剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを含んでいてよい。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するための弁を設けることによって決定することができる。或いは吸入又は吹送による投与のために、医薬製剤は、乾燥粉末組成物、例えば化合物と好適な粉末ベース、例えばラクトース又は澱粉との粉末混合物の形態を成していてよい。粉末組成物は、単位投与形態で、例えばカプセル、カートリッジ、ゼラチン、又はブリスターパック内で提供されてよく、そこから粉末は、吸入器又は吹送器によって投与することができる。
なお、具体的に上述した成分に加えて、本明細書中に記載された化合物及び組成物は、当該製剤のタイプに関連する技術分野でコンベンショナルな他の物質を含むことができる。例えば経口投与に適した物質は、香味剤を含んでよい。
製剤
本明細書中に記載された化合物及び組成物はベシクル、例えばリポソーム内で送達することができる(例えばLanger, Science 1990, 249, 1527-1533; Treat et al., Liposomes in the Therapy of infectious Disease and Cancer, Lopez-Berstein and Fidler, Ed. Liss, N.Y., pp. 353-365, 1989参照)。本明細書中に記載された化合物及び医薬組成物は、徐放システム内で送達することもできる。1実施態様の場合、ポンプを使用してよい(Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al. Surgery, 1980 88, 507; Saudek et al. N. Engl. J. Med. 1989, 321, (574)参照)。加えて、徐放システムを治療ターゲットの近くに配置することができる(Goodson, Medical Applications of Controlled Release, 1984, Vol. 2, pp. 115-138参照)。本明細書中に記載された医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、又はシロップ又はエリクシルの形態で活性成分を含有することもできる。経口使用のために意図された組成物は、当業者に知られた任意の医薬組成物の製造方法に従って調製することができ、そしてこのような組成物は、医薬的に洗練された、口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤から成る群から選択される1種又は2種以上の物質を含有していてよい。錠剤は、錠剤製造に適した非毒性の、医薬的に許容される賦形剤との混和物中に活性成分を含有する。これらの賦形剤は例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;顆粒化剤、崩壊剤、例えば微結晶性セルロース、クロスカルメースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば澱粉、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアカシア、及び平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤は、コーティングを施さなくてもよく、又は周知の技術によってコーティングを施すことにより、薬物の味をマスキングするか又は胃腸管内の崩壊及び吸収を遅らせ、そしてこれにより長時間にわたる継続作用を可能にすることもできる。例えば、水溶性の味マスキング材料、例えばヒドロキシプロピルメチル−セルロース又はヒドロキシプロピルセルロース、又は時間遅延材料、例えばエチルセルロース、又はセルロースアセテートブチレートを必要に応じて採用することができる。経口使用のための製剤は、硬質ゼラチン・カプセル(活性成分は不活性固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合される)、として、又は軟質ゼラチン・カプセル(活性成分は水溶性担体、例えばポリエチレングリコール又は油媒質、例えば落花生油、液体パラフィン、又はオリーブ油と混合される)として提供されてもよい。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混和物中に活性成分を含有している。このような賦形剤は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガムであり;分散剤及び湿潤剤は、自然発生型ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液は、1種又は2種以上の保存剤、例えばエチル、又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1種又は2種以上の着色剤、1種又は2種以上の香味剤、及び1種又は2種以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン、又はアスパルテームを含有していてもよい。
油性懸濁液は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ごま油又はココナツ油中、又は鉱物油、例えば液体パラフィン中に活性成分を懸濁させることにより製剤されていよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールを含有していてよい。上述のような甘味剤、及び香味剤を添加することにより、口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファ−トコフェロールを添加することにより保存することができる。
水を添加することによる水性懸濁液を調製するのに適した分散性の粉末及び顆粒は、分散剤、湿潤剤、懸濁剤、及び1種又は2種以上の保存剤との混和物中で活性成分を提供する。好適な分散剤、湿潤剤、及び懸濁剤は、すでに上述したものによって例示される。付加的な賦形剤、例えば甘味剤、香味剤、及び着色剤が存在していてもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を添加することによって保存されてよい。
医薬組成物は、水中油エマルジョンの形態を成していてもよい。油性相は植物油、例えばオリーブ油又は落花生油、又は鉱物油、例えば液体パラフィン、又はこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は、自然発生型ホスファチド、例えば大豆レシチン、及び脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されたエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。エマルジョンは甘味剤、香味剤、保存剤、及び抗酸化剤を含有していてもよい。
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともに製剤されてよい。このような製剤は、粘滑剤、保存剤、香味剤、着色剤、及び抗酸化剤を含有していてもよい。
医薬組成物は、滅菌注射溶液の形態を成していてよい。採用してよい許容し得るビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。滅菌注射用製剤は、活性成分が油性相中に溶解されている滅菌注射用水中油マイクロエマルジョンであってよい。例えば、活性成分は、先ず大豆油とレシチンとの混合物中に溶解することができる。次いで、油溶液を、水とグリセロールとの混合物中に導入し、そしてマイクロエマルジョンを形成するように処理する。注射溶液又はマイクロエマルジョンは、局所的なボーラス注射によって患者の血流中に導入することができる。
或いは、当該化合物の一定の循環濃度を維持するように、溶液又はマイクロエマルジョンを投与することが有利な場合もある。このような一定の濃度を維持するために、連続静脈内送達装置を利用することができる。このような装置の一例は、Deltec CADD-PLUS(登録商標)モデル 5400静脈内ポンプである。医薬組成物は、筋内及び皮下投与のための滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態を成していてよい。懸濁液は、上述した好適な分散剤、湿潤剤、及び懸濁剤を使用して、種々の技術に従って製剤することができる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。加えて、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒質として従来より採用されている。これを目的として、合成モノ−又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を採用することができる。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸が注射液の調製に際して使用される。
医薬組成物は、薬物の直腸投与のための座剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、阻害剤と、常温では固形であるが直腸の温度では液体であるので、直腸内で溶融して薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤とを混合することにより、調製することができる。このような材料は、ココアバター、グリセリン処理されたゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを含む。
局所用途の場合、本発明の化合物又は組成物を含有するクリーム、軟膏、ジェリー、溶液、又は懸濁液などを使用することができる。本明細書中で使用される局所適用は、口洗剤及びうがい薬を含む。
医薬組成物は、好適な鼻腔内ビヒクル及び送達装置を局所使用することを介して、又は、当業者によく知られている経皮皮膚パッチの形態を使用して、経皮経路を介して、鼻腔内形態で投与することができる。経皮送達システムの形態で投与されるように、投薬はもちろん、投薬計画全体を通して間欠的ではなく、連続的に行われることになる。
投与量
投与される医薬組成物の量は先ず、治療されている哺乳動物に依存することになる。医薬組成物がヒトの患者に投与される場合、一日投与量は通常、処方する医師によって決められ、投与量は一般に、個々の患者の年齢、性別、食習慣、体重、全般的な健康、及び反応、患者の症状の重症度、治療されている正確な兆候又は状態、治療されている兆候又は状態の重度、投与時間、投与経路、組成物の生体内分布、排出速度、薬物の組み合わせ、及び処方する医師の判断に従って変化する。また、投与経路は状態及びその重症度に応じて変化することがある。好ましくは医薬組成物は単位投与形態を成す。このような形態の場合、製剤は適量の活性成分、例えば所期目的を達成するのに有効な量の活性成分を含有する単位投与量に小分けされる。特定の状況に適した投与量は、当業者の能力範囲内で決定される。一般に、治療は、化合物の最適投与量を下回る少量の投与量で始められる。その後、その状況下での最適な効果に達するまで、投与量は少しずつ増大される。便宜上、一日の総投与量は分割され、所望の場合にはその一日間にわたって複数の部分で投与されてもよい。本明細書中に記載された化合物の投与量及び投与頻度、及び該当する場合には、他の治療薬及び/又は治療は、上記のような要因を考慮して主治医の判断に基づいて調節される。投与されるべき医薬組成物の量は幅広く変化することがある。投与は、約0.001mg/kg体重/日〜約100mg/kg体重/日(単回で投与又は分割して投与)、より好ましくは、少なくとも約0.1mg/kg体重/日で行うこともできる。具体的な治療薬投与量は、例えば約0.01mg〜約7000mgの化合物を含むことができ、そして好ましくは、例えば約0.05mg〜約2500mgの化合物を含む。製剤単回投与量中の活性化合物の量は、具体的な用途に従って、約0.1mg〜1000mg、好ましくは約1mg〜300mg、より好ましくは10mg〜200mgで変化させるか又は調節することができる。いくつかの事例では、前記範囲の下限を下回る投与レベルが十分以上であり得るのに対して、他の事例では、より多くの投与量を、一日全体を通して投与するためにいくつかの少量部分に分割することにより、有害な副作用を引き起こすことなしに採用することがある。投与量は、使用される化合物の特定のIC50値に応じて変化することになる。その化合物が単独の療法ではない組み合わせでの適用の場合、より少量の化合物を投与して、依然として治療又は予防効果を有することが可能である。
投与形態
医薬組成物は例えば、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液としての経口投与に適した形態、滅菌溶液、懸濁液又はエマルジョンとしての非経口注射に適した形態、軟膏又はクリームとしての局所投与に適した形態、座剤としての直腸投与に適した形態を成していてよい。医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位投与量形態を成していてよい。医薬組成物はコンベンショナルな医薬担体又は賦形剤、及び活性成分として本発明による化合物を含む。加えて、医薬組成物は、他の薬剤又は医薬剤、担体、アジュバントなどを含んでよい。
模範的な非経口投与形態は、滅菌水溶液、例えば水性プロピレングリコール溶液、又はデキストロース溶液中の活性化合物の溶液又は懸濁液を含む。このような投与形態は所望の場合には、好適に緩衝することができる。
好適な医薬担体は、不活性の希釈剤又は充填剤、水、及び種々の有機溶媒を含む。医薬組成物は、所望の場合には、付加的な成分、例えば香味剤、バインダー、及び賦形剤などを含有する。こうして経口投与の場合には、種々の賦形剤、例えばクエン酸を含有する錠剤が、種々の崩壊剤、例えば澱粉、アルギン酸、及び或る特定の複合ケイ酸塩、並びに結合剤、例えばスクロース、ゼラチン、及びアカシアと一緒に採用されてよい。付加的に、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクも、錠剤形成を目的とする場合にしばしば重要である。同様のタイプの固形組成物が、軟質及び硬質の充填ゼラチン・カプセル内で採用されててもよい。従って好ましい材料は、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールを含む。経口投与のために水性懸濁液又はエリクシルが望まれる場合には、その中の活性化合物を、希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、又はこれらの組み合わせと一緒に、種々の甘味剤、香味剤、着色剤、又は色素、及び所望の場合には乳化剤、又は懸濁剤と組み合わせることができる。
特定量の活性化合物を有する種々の医薬組成物を調製する方法が当業者に知られており、或いは当業者には明らかである。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa. 18th Edition (1990)を参照されたい。
併用療法
本明細書中に記載された化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグは、単独の療法として投与されてよい。本明細書中に記載された化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグは、別の治療と組み合わせて投与されてもよい。
別の実施態様によれば、本発明は医薬組成物であって:
− 一般式(I)の1種又は2種以上の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、N酸化物、水和物、溶媒和物、又は塩、特に医薬的に許容されるその塩、又はこれらの混合物と;
− タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、又はタキソール;エポチロン、例えばイキサベピロン、パツピロン、又はサゴピロン;ミトキサントロン;プレジニゾロン;デキサメタゾン;エストラムスチン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ドキソルビシン;アドリアマイシン;イダルビシン;ダウノルビシン;ブレオマイシン;エトポシド;シクロホスファミド;イフォスファミド;プロカルバジン;メルファラン;5−フルオロウラシル;カペシタビン;フルダラビン;シタラビン;Ara−C;2−クロロ−2’−デオキシアデノシン;チオグアニン;抗アンドロゲン、例えばフルタミド、シプロテロンアセテート、又はビカルタミド;ボルテゾミブ;白金誘導体、例えばシスプラチン又はカルボプラチン;クロラムブシル;メトトレキサート;及びリツキシマブから選択される1種又は2種以上の物質と
を含む医薬組成物に関する。
一例を挙げると、本明細書中に記載された化合物のうちの1種を受容したときに患者が被る副作用の1つが高血圧であるならば、高血圧剤を化合物と組み合わせて投与することが適当である。或いはこれも一例にすぎないが、本明細書中に記載された化合物のうちの1種の治療効果は、アジュバントの投与によって増強されることがある(すなわち、アジュバントはそれ自体では最小限の治療効果しか有さないが、しかし別の治療薬と組み合わせると、患者に対する治療効果全体が増強される)。或いはこれも一例にすぎないが、患者が被る効果は、本明細書中に記載された化合物のうちの1種を、やはり治療効果を有する別の治療薬(これもまた治療計画を含む)と一緒に投与することによって高めることができる。一例を挙げるならば、本明細書中に記載された化合物のうちの1種の投与を伴う糖尿病の治療において、別の糖尿病治療薬も患者に提供することにより、治療効果を高くすることができる。いずれの場合にも、治療されている疾患、障害、又は状態とは無関係に、患者が受ける効果は単純に2種の治療薬の相加効果であるか、又は患者は相乗効果を受けることもある。
他の療法の一例としては、他の治療薬、放射線療法、又はその両方を施すことが挙げられる。本明細書中に記載された化合物が他の治療薬と一緒に投与される場合、本明細書中に記載された化合物は、他の治療薬と同じ医薬組成物として投与される必要はなく、そして物理・化学特性が異なるという理由から、異なる経路によって投与されてよい。例えば、これらの化合物/組成物は、良好な血中濃度を発生させこれを維持するために、経口投与してよく、これに対して、他の治療薬は静脈内投与してよい。投与様式、及び可能な場合に同じ医薬組成物中で投与することの妥当性は、熟練した臨床医の知識範囲内に含まれる。初期投与は、当業者に知られた確立されたプロトコルに従って行うことができ、次いで、観察された効果、投与量、投与様式、及び投与時間に基づいて、熟練した臨床医によって修正することができる。化合物(及び必要に応じて他の治療薬及び/又は放射線)の具体的な選択は、主治医の診断、及び患者の状態の判断、及び適切な治療プロトコルに依存することになる。他の治療薬は、化学療法薬、例えば抗腫瘍物質、例えば、***抑制因子、例えばビンブラスチン;アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン、及びシクロホスファミド;抗代謝薬、例えば5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、及びヒドロキシウレア、又は例えば、欧州特許出願公開第239362号明細書に開示された好ましい抗代謝薬のうちの1種、例えばN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルエチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸;成長因子阻害剤;細胞周期阻害剤;挿入抗生物質、例えばアドリアマイシン、及びブレオマイシン;酵素、例えばインターフェロン;及び抗ホルモン、例えば抗エストロゲン{例えばNolvadex(登録商標)(タモキシフェン)}、又は例えば抗アンドロゲン{例えばCasodex(登録商標)(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)}を含んでよい。このような共同治療は、個々の治療化合物を同時に、順次に、又は別個に投与することによって達成することができる。
本明細書中に記載された化合物及び組成物(及び必要に応じて他の治療薬及び/又は放射線)は、疾患の性質、患者の状態、及び/又は化合物及び組成物と併せて(すなわち単一の治療プロトコル内で)投与されるべき化学療法薬及び/又は放射線の実際の選択に応じて、並行して(例えば同時に、事実上同時に、又は同じ治療プロトコル内で)、又は順次投与することができる。
組み合わせでの適用及び使用の場合、化合物/組成物、及び化学療法薬及び/又は放射線は、同時に又は事実上同時に投与される必要はなく、そして化合物/組成物、及び化学療法薬及び/又は放射線の投与順序は重要でないことがある。本発明の化合物/組成物を最初に投与し、これに続いて、化学療法薬及び/又は放射線の投与を投与してよく、或いは化学療法薬及び/又は放射線の投与を最初に投与し、これに続いて、本発明の化合物/組成物を最初に投与してもよい。交互の投与が単一の治療プロトコル実施中に繰り返されてもよい。治療プロトコル実施中の投与順序、及びそれぞれの治療薬の投与の反復回数を決定することは、治療中の疾患及び患者の状態の評価後、熟練医師の知識範囲内に十分に含まれる。例えば化学療法薬及び/又は放射線が、これが細胞毒性剤の場合には最初に投与され、次いで本発明の化合物/組成物の投与によって治療が続けられ、続いて、有利であると判断される場合には、化学療法薬及び/又は放射線が投与される、というように、治療プロトコルが完了するまで投与が続けられる。従って、医師は経験及び知識に従って、治療が進むに伴って、個々の患者のニーズに応じて、治療のための化合物/組成物のそれぞれの投与プロトコルを修正することができる。主治医は、治療がその投与量で効果をもたらすかどうかを判断する上で、患者の全般的な健康状態、並びに、より明確な兆候、例えば疾患に関連する症状の軽減、腫瘍成長の阻害、実際の腫瘍収縮、又は転移の阻害を考慮に入れることになる。腫瘍のサイズは、標準的な方法、例えば放射線研究、例えばCAT又はMRIスキャンによって測定することができ、逐次の測定を利用して、腫瘍の成長が遅延しているか、そればかりか反転しているか否かを判断することができる。疾患に関連する症状、例えば痛み、及び状態全体の改善を利用して、治療効果の判断を助けることもできる。
考えられ得る併用療法の具体例としては、本発明の化合物を、下に示す次のような薬物療法分類に見いだされる薬剤とともに使用することが挙げられる。これらのリストは、閉じられたものと解釈されるべきではなく、現在のところ関連治療分野に共通する一例として役立つはずのものである。さらに併用投薬計画は、種々の投与経路を含んでよく、経口、静脈内、眼内、皮下、皮膚、及び吸入、局所を含むことになる。
腫瘍疾患、増殖性障害、及び癌の治療のために、本発明による化合物は、アロマターゼ阻害剤、抗エステロゲン、抗アンドロゲン、コルチコステロイド、ゴナドレリン・アゴニスト、トポイソメラーゼ1及び2阻害剤、微小管活性物質、アルキル化剤、ニトロソウレア、抗新生物薬、抗代謝薬、白金含有化合物、脂質又はタンパク質キナーゼ標的剤、IMiD、タンパク質又は脂質ホスファターゼ標的剤、抗血管新生剤、Akt阻害剤、IGF−I阻害剤、FGF3モジュレータ、mTOR阻害剤、Smac模倣剤、HDAC阻害剤、細胞分化誘発剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンフォカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、ビスホスファネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、Rasイソフォームの阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、及びアミノペプチダーゼ阻害剤を含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
腫瘍疾患、増殖性障害、及び癌の治療のために、本発明による化合物は、
ダカルバジン(DTIC)、アクチノマイシンC2,C3,D,及びF1、シクロホスファミド、メルファラン、エストラムスチン、マイタンシノール、リファマイシン、ストレプトバリシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、エソルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシンA,A2,及びB、カンプトテシン、Irinotecan(登録商標)、Topotecan(登録商標)、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、ボルテゾミブ、テモゾロミド、TAS103、NP10052、コンブレタスタチン、コンブレタスタチンA−2、コンブレタスタチンA−4,カリケアマイシン、ネオカルシノスタチン、エポチロンA,B,C、及び半合成形、Herceptin(登録商標)、Rituxan(登録商標)、CD40抗体、アスパラギナーゼ、インターロイキン、インターフェロン、ロイプロリド、及びペガスパルガーゼ、5−フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、プトラフル、5’−デオキシフルオロウリジン、UFT、MITC、S−1カペシタビン、ジエチルスチベストロール、タモキシフェン、トレメフィン、トルムデックス、チミタク、フルタミド、フルオキシメステロン、ビカルタミド、フィナステリド、エストラジオール、トリオキシフェン、デキサメタゾン、ロイプロエリンアセテート、エストラムスチン、ドロロキシフェン、メドロキシプロゲステロン、メゲステロールアセテート、アミノグルテチミド、テストラクトン、テストステロン、ジエチルスチルベストロール、ヒドロキシプロゲステロン、マイトマイシンA,B及びC、ポルフィロマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テトラプラチン、白金DACH、オルマプラチン、タリドミド、レナリドミド、Cl−973、テロメスタチン、CHIR258、Rad001、SAHA、ツバシン、17−AAG、ソラフェニブ、JM−216、ポドフィロトキシン、エピドドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、Tarceva(登録商標)、Iressa(登録商標)、Imatinib(登録商標)、Miltefosine(登録商標)、Perifosine(登録商標)、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロ−メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、アザツオプリン、アロプリノール、クラドリビン、フルダラビン、ペントスタチン、2−クロロアデノシン、デオキシシチジン、シトシンアラビノシド、シタラビン、アザシチジン、5−アザシトシン、ゲンシタビン、5−アザシトシン−アラビノシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ロイロシン、ロイロシジン、ビンデシン、パクリタキセル、タキソテール、及びドセタキセルを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
炎症性疾患、及び痛みの治療のために、本発明による化合物は、コルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、筋肉弛緩剤及び筋肉弛緩剤と他の薬剤との組み合わせ、麻酔剤及び麻酔剤と他の薬剤との組み合わせ、去痰薬及び去痰薬と他の薬剤との組み合わせ、抗うつ剤、抗けいれん剤及びこれらの組み合わせ;抗高血圧薬、オピオイド、局所用カンナビノイド、及びその他の薬剤、例えばカプサイシンを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
炎症性疾患、及び痛みの治療のために、本発明による化合物は、ベータメタゾンジプロピオネート(増強型及び非増強型)、ベータメタゾンバレレート、クロベタゾールプロピオネート、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ジフロラゾンジアセテート、ハロベタゾールプロピオネート、アムシノニド、デキサメタゾン、デキソシメタゾン、フルオシノロンアセトノニド、フルオシノニド、ハロシノニド、クロコルタロンピバレート、デキソシメタゾン、フルランドレナリド、サリチレート、イブプロフェン、ケトプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、メクロフェナメートナトリウム、ナプロキセン、ピロキシカム、セレコキシブ、シクロベンザプリン、バクロフェン、シクロベンザプリン/リドカイン、バクロフェン/シクロベンザプリン、シクロベンザプリン/リドカイン/ケトプロフェン、リドカイン、リドカイン/デオキシ−D−グルコース、プリロカイン、EMLAクリーム{局所用麻酔剤の共融混合物(リドカイン2.5%及びプリロカイン2.5%)、グアイフェネシン、グアイフェネシン/ケトプロフェン/シクロベンザプリン、アミトリプチリン、デオキセピン、デシプラミン、イミプラミン、アモキサピン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、デュロキセチン、ミルタゼピン、ニソキセチン、マプロチリン、レボキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、カルバマゼピン、フェルバメート、ラモトリジン、トピラメート、チアガビン、オクスカルバゼピン、カルバメジピン、ゾニサミド、メキシレチン、ガバペンチン/クロニジン、ガバペンチン/カルバマゼピン、カルバマゼピン/シクロベンザプリン、クロニジンを含む抗高血圧薬、コデイン、ロペラミド、トラマドール、モルフィン、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、レボルファノール、ブトルファノール、メントール、冬緑油、カンフル、ユーカリ油、テレピン油;CB1/CB2リガンド、アセトアミノフェン、インフリキシマブ;n)一酸化窒素シンターゼ阻害剤、具体的には誘導型一酸化窒素シンターゼの阻害剤;他の薬剤、例えばカプサイシンを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
眼科的障害、及び眼疾患の治療のために、本発明による化合物は、ベータ遮断薬、カルボニックアンヒドラーゼ阻害剤、al−アドレナリン・アンタゴニストを含むアルファ及びベータ−アドレナリン・アンタゴニスト、アルファ2アゴニスト、縮瞳薬、プロスタグランジン類似体、コルチコステロイド、及び免疫抑制剤を含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
眼科的障害、及び眼疾患の治療のために、本発明による化合物は、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、プロプラノロール、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、ニプラジロール、イオピジン、ブリモニジン、ピロカルピン、エピネフリン、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、ウノプロストン、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、アザチオプリン、シクロスポリン、及び免疫グロブリンを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
自己免疫障害の治療のために、本発明による化合物は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、プロスタグランジン類似体、及び抗代謝薬を含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
自己免疫障害の治療のために、本発明による化合物は、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、アザチオプリン、シクロスポリン、免疫グロブリン、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、ウノプロストン、インフリキシマブ、ルツキシマブ、及びメトトレキサートを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
代謝障害の治療のために、本発明による化合物は、インスリン、インスリン誘導体及び模倣体、インスリン分泌促進剤、インスリン増感剤、ビグアニド剤、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インスリン分泌促進スルホニル尿素受容体リガンド、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、GSK3(グリコーゲン・シンターゼ・キナーゼ−3)阻害剤、GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1類似体、DPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、RXRリガンドナトリウム依存性グルコース共輸送体阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤、AGEブレーカー、PPARモジュレータ、及び非グリタゾン型PPARSアゴニストを含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
代謝障害の治療のために、本発明による化合物は、インスリン、メトホルミン、グリピジド、グリブリド、アマリル、メグリチニド、ナテグリニド、レパグリニド、PT−112、SB−517955、SB4195052、SB−216763、NN−57−05441、NN−57−05445、GW−0791、AGN−104,204、T−1095、BAY R3401、アカルボース、エキセンジン−4、DPP728、LAF237、ビダグリプチン、MK−0431、サキサグリプチン、GSK23A、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、国際公開第03/043985号パンフレットに実施例4の化合物として記載された(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾル−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸、及びGI−262570を含む群から選択される薬剤と一緒に投与されてよい。
疾患
本明細書中には、前記疾患に罹っている個体における疾患を治療する方法であって、式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、多形体、エステル、互変異性体、又はプロドラッグを含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法が記載されている。
本発明はまた、MEKキナーゼが関与する疾患又は障害、例えば腫瘍学的、血液学的、炎症性的、眼科的、神経学的、免疫学的、心臓血管的、及び皮膚科学的な疾患、並びに例えばヒト、又はその他の哺乳動物における過剰な又は調節されないTNF、IL−1、IL−6、及びIL−8産出を含む、過剰な又は調節されない炎症促進性サイトカイン産出によって引き起こされる疾患を予防又は治療することにまで範囲が及ぶ。
直接に、又はサイトカインTNF、IL−1、IL−6、及びIL−8を含む炎症促進性サイトカインを介してMEKキナーゼが関与する疾患又は障害の一例としては、ドライアイ、緑内障、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨破壊疾患、増殖性障害、神経変性疾患、ウィルス疾患、アレルギー、感染性疾患、心臓発作、血管新生障害、発作時の再潅流/虚血、血管過形成、器官低酸素症、心臓肥大、トロンビン誘導による血小板凝集、及びプロスタグランジン・エンドペルオキシダーゼ・シンテターゼ−2(COX−2)が挙げられる。
本発明の或る特定の態様では、疾患は、ヒト又は動物の体内の過剰増殖状態、例えば癌、過形成、再狭窄、炎症、免疫障害、心臓肥大、アテローム性動脈硬化、痛み、偏頭痛、血管新生に関連する状態又は障害、医学的状態、例えば手術、血管形成術、又はその他の状態後に誘発される増殖である。
さらなる実施態様の場合、前記過剰増殖状態は、血液学的癌及び非血学的癌から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記血液学的癌は、多発性骨髄腫、白血病、及びリンパ腫から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記白血病は、急性及び慢性白血病から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記急性白血病は、リンパ性白血病(ALL)、及び急性非リンパ性白血病(ANLL)から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記慢性白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記リンパ腫は、ホジキン・リンパ腫、及び非ホジキン・リンパ腫から成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、前記血液学的癌は、多発性骨髄腫である。他の実施態様の場合、前記血液学的癌は、低悪性、中悪性、又は高悪性である。他の実施態様の場合、前記非血液学的癌は、脳腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳癌、生殖器系、消化器系、膵臓癌、及び泌尿器系から成る群から選択される。さらなる実施態様の場合、前記消化器系の癌は、上部消化管又は結腸直腸の癌である。さらなる実施態様の場合、前記泌尿器系の癌は、膀胱癌又は腎細胞癌である。さらなる実施態様の場合、前記生殖器系の癌は前立腺癌である。
本明細書中に記載された化合物及び方法を用いて治療することができる癌の付加的なタイプは、口腔及び咽頭の癌、呼吸器系の癌、骨及び関節の癌、軟組織の癌、皮膚癌、生殖系の癌、眼及び眼窩の癌、神経系の癌、リンパ系の癌、及び内分泌系の癌を含む。或る特定の実施態様の場合、これらの癌は、舌、口、咽頭、又は他の口腔の癌;食道癌、胃癌、又は小腸の癌;結腸癌、又は直腸、肛門又は肛門直腸の癌;肝臓、肝内胆管、胆嚢、膵臓、又は他の胆管又は消化器の癌;喉頭、気管支、及び他の呼吸器癌;心臓癌、メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、他の非上皮細胞癌;子宮又は子宮頸癌;子宮体癌;卵巣、外陰部、膣、又は他の女性生殖器癌;前立腺、睾丸、陰茎、又は他の***癌;膀胱癌;腎臓癌;腎臓、骨盤、又は尿道の癌、又は他の泌尿生殖器癌;甲状腺癌、又は他の内分泌癌;慢性リンパ性白血病;及び顆粒性及び単球性双方の皮膚T細胞性リンパ腫から成る群から選択されてよい。
本明細書中に記載された化合物及び方法を用いて治療することができる癌のさらに他のタイプは、腺癌線維腫、血管肉腫、星状細胞腫、聴神経腫、未分化星状細胞腫、基底細胞癌、ブラストグリオーマ、軟骨肉腫、絨毛腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、皮膚黒色腫、嚢胞腺癌、内皮肉腫、胎生期癌、上衣腫、ユーイング腫瘍、上皮性腫瘍、線維肉腫、胃癌、泌尿生殖器癌、多形性膠芽腫、血管芽細胞腫、肝細胞癌、肝癌、カポジ肉腫、大細胞癌、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮症、甲状腺髄様癌、髄芽腫、髄膜腫、中皮腫、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、神経線維肉腫、オリゴデンドログリオーマ、骨肉腫、上皮性卵巣癌、乳頭癌、乳頭腺癌、上皮小体腫瘍、褐色細胞腫、松果体腫、形質細胞腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、脂腺癌、セミノーマ、皮膚癌、メラノーマ、小細胞肺癌、扁平上皮癌、汗腺癌、滑液腫瘍、甲状腺癌、ブドウ膜メラノーマ、及びウィルムス腫瘍を含む。
また、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の式I化合物、又はその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物又は誘導体を、抗腫瘍剤と組み合わせて、前記哺乳動物に投与することを含む方法も記載されている。いくつかの実施態様の場合、抗腫瘍剤は、有糸***阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的反応修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤から成る群から選択される。
本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法を用いて治療されるべき疾患は、血液学的障害であってよい。或る特定の実施態様の場合、前記血液学的障害は、鎌状赤血球貧血、骨髄異形成障害(MDS)、及び骨髄増殖性障害から成る群から選択される。さらなる実施態様の場合、前記骨髄増殖性障害は、真性赤血球増加症、骨髄線維症、及び本態性血小板血症から成る群から選択される。
本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、有害な副作用が著しく少ないという付加的な利点を有する抗炎症剤として有用なことがある。本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、関節炎、例えば関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、急性関節リウマチ、腸症型関節炎、神経因性疼痛、乾癬性関節炎、化膿性関節炎を治療するのに有用である。本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、骨粗しょう症、及び他の関連する骨障害を治療する上でも有用である。本明細書中に記載されたこれらの化合物、組成物、及び方法は、胃腸の状態、例えば逆流性食道炎、下痢、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、及び潰瘍性大腸炎を治療するために用いることもできる。本明細書中に記載されたこれらの化合物、組成物、及び方法は、肺炎症、例えばウィルス感染症、及び嚢胞性線維症を伴う肺炎症の治療に用いてもよい。加えて、本明細書中に記載されたこれらの化合物、組成物、及び方法はまた、臓器移植患者において単独で、又はコンベンショナルな免疫モジュレータとの組み合わせにおいて有用である。さらに、本明細書中に記載されたこれらの化合物、組成物、及び方法は、掻痒症及び白斑の治療において有用である。具体的には、本明細書中に記載されたこれらの化合物、組成物、及び方法は、特定の炎症性疾患、関節リウマチを治療する上で有用である。
予防又は治療することができるさらなる炎症性疾患の一例としては、喘息、アレルギー、呼吸窮迫症候群、又は急性又は慢性膵炎が挙げられる。さらに、例えば慢性閉塞性肺疾患及び肺線維症を含む呼吸器系疾患を、予防又は治療することができる。加えて、本明細書中に記載されたMEKキナーゼ阻害剤は、プロスタグランジン・エンドペルオキシダーゼ・シンテターゼ(COX−2)産出にも関連する。アラキドン酸から誘導されるシクロオキシゲナーゼ経路の炎症促進性メディエーター、例えばプロスタグランジンは、誘導型COX−2酵素によって産出される。COX−2の調節により、これらの炎症促進性メディエーターが調節される。これらのメディエータは、種々様々な細胞に影響を及ぼし、種々様々な病状及び状態の重要且つ決定的な炎症性メディエータである。具体的には、これらの炎症性メディエータは痛み、例えば痛み受容体の増感、及び浮腫に関与する。このように、予防又は治療することができる、MEKキナーゼで媒介される付加的な状態は、浮腫、無痛覚症、発熱、及び痛み、例えば神経筋痛、頭痛、歯痛、関節痛、及び癌に起因する痛みを含む。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、眼科的障害であってよい。血管新生が発病に関与し、治療又は予防することができる眼科疾患、及び他の疾患の一例としては、ドライアイ(シェーグレン症候群を含む)、黄斑変性症、閉塞隅角及び広隅角緑内障、網膜神経節変性、眼虚血、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼羞明、及び眼組織の急性損傷に伴う炎症及び痛みが挙げられる。本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、緑内障網膜症及び/又は糖尿病網膜症を治療するために用いることができる。本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、白内障手術及び屈折矯正手術のような眼科手術から生じるような手術後炎症を治療するために用いることもできる。さらなる実施態様の場合、前記眼科障害は、ドライアイ、閉塞隅角緑内障、広隅角緑内障から成る群から選択される。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、自己免疫疾患であってよい。予防又は治療することができる自己免疫疾患の一例としては、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、潰瘍性大腸炎、クローン病、歯周病、顎関節疾患、多発性硬化症、糖尿病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、溶血性貧血、自己免疫性胃炎、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、アトピー性皮膚炎、移植片対宿主疾患、及び乾癬が挙げられる。予防又は治療することができる炎症性疾患の一例としては、胃炎、喘息、アレルギー、呼吸窮迫症候群、又は急性又は慢性膵炎が挙げられる。具体的には、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、特定の自己免疫疾患、関節リウマチ、及び多発性硬化症を治療するのに有用である。
本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、皮膚科障害であってよい。特定の実施態様において、前記皮膚科障害は、例えばメラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、他の非上皮細胞癌から成る群から選択され、また乾癬、及び持続的掻痒、皮膚及び皮膚構造に関連する他の疾患を、本発明のMEKキナーゼ阻害剤で治療又は防止することができる。
治療又は防止することができる代謝疾患の一例としては、代謝症候群、インスリン耐性、及び1型及び2型糖尿病が挙げられる。加えて、本明細書中に記載された組成物は、インスリン耐性、及び他の代謝障害、例えば典型的には過剰炎症シグナリングを伴うアテローム性動脈硬化を治療するために使用することができる。
本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合部疾患、多発性硬化症を含む白質疾患、サルコイドーシス、腎炎、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、歯周病、過敏性、負傷後に生じる腫れ、心筋虚血を含む虚血、心臓血管虚血、及び心不全に続いて生じる虚血などのような疾患における組織損傷を治療する上でも有用である。本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、内毒素性ショック症候群、及びアテローム性動脈硬化を治療するために用いることもできる。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、心臓血管状態であってよい。或る特定の実施態様の場合、前記心臓血管状態は、アテローム性動脈硬化、心臓肥大、特発性心筋症、心不全、血管新生に関連する状態又は障害、及び医療状態の後に誘発された増殖、例えば手術及び血管形成術から生じた再狭窄から成る群から選択される。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、神経学的障害であってよい。或る特定の実施態様の場合、前記神経学的障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、及び発作、虚血、及び外傷から生じる中枢神経系損傷から成る群から選択される。他の実施態様の場合、前記神経学的障害は、てんかん、神経因性疼痛、うつ、及び双極性障害から成る群から選択される。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、癌、例えば急性骨髄性白血病、胸腺、脳、肺、扁平上皮、皮膚、眼、網膜芽、眼内メラノーマ、眼窩及び口腔咽頭、膀胱、消化器、胃、膵臓、膀胱、***、子宮頸部、頭部、頸部、腎臓、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、睾丸、婦人科、甲状腺、CNS、PNS、AIDSに関連するAIDS関連(例えばリンパ腫及びカポジ肉腫)、又はウィルス誘発型の癌であってよい。いくつかの実施態様の場合、化合物、及び組成物は、非癌性の過剰増殖性障害、例えば良性の皮膚過形成(例えば乾癬)、再狭窄、又は前立腺(たとえば良性の前立腺肥大(BPH))を治療するためにある。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、哺乳動物における膵炎、腎臓疾患(増殖性糸球体腎炎及び糖尿病誘発型腎臓疾患を含む)、痛み、脈管形成又は血管新生に関連する疾患、腫瘍の血管新生、慢性炎症性疾患、例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化、皮膚疾患、例えば乾癬、湿疹、及び強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性症、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、及び卵巣、***、肺、膵臓、前立腺、結腸、及び扁平上皮の癌であってよい。
さらに、本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法によって治療されるべき疾患は、哺乳動物における未分化胚芽細胞の着床の阻止であってよい。
本明細書中に記載された化合物、又は前記化合物の医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体を用いて、本発明の方法に従って治療することができる患者は、例えば乾癬;再狭窄;アテローム性動脈硬化;BPH;乳癌、例えば乳腺内の管組織中の腺管癌、髄様癌、膠様癌、管状腺癌、及び炎症性乳癌;上皮性卵巣腫瘍、例えば卵巣内の腺癌、及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌を含む卵巣癌;子宮癌;子宮頸癌、例えば扁平上皮癌及び腺癌を含む、頸部上皮における腺癌;前立腺癌、例えば腺癌、又は骨内に移動した腺癌;膵臓癌、例えば膵管組織内の上皮癌、及び膵管内の腺癌;膀胱癌、例えば膀胱内の移行細胞癌、尿路上皮癌(移行細胞癌)、膀胱をライニングする尿路上皮細胞内の腫瘍、扁平上皮癌、腺癌、及び小細胞癌;白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄異形成、及び骨髄増殖性障害;骨癌;肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)(これは扁平上皮癌に分割される)、腺癌、及び大細胞未分化癌、及び小細胞肺癌;皮膚癌、例えば基底細胞癌、メラノーマ、扁平上皮癌、及び光線性角化症(これは扁平上皮癌に成長することのある皮膚の状態である);眼の網膜芽腫;皮膚又は眼内メラノーマ;原発性肝癌(肝臓内で始まる癌);腎臓癌;甲状腺癌、例えば乳頭、濾胞、髄様及び未分化癌;AIDS関連リンパ腫、例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、及び小型非開裂細胞性リンパ腫;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌を含むウィルス誘導型癌;ヒト・リンパ向性ウイルス1型(HTLV−1)、及び成人T細胞白血病/リンパ腫;及びヒト・パピローマウイルス(HPV)及び子宮頸癌;中枢神経系癌(CNS)、例えばグリオーマ(星状細胞腫、未分化星状細胞腫、又は多形性膠芽腫)を含む原発性脳腫瘍、希突起グリオーマ、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、神経鞘腫、及び髄芽腫;末梢神経系(PNS)癌、例えば聴神経腫、及び神経繊維腫及び神経鞘腫を含む悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、及び悪性混合ミュラー腫瘍;口腔及び口腔咽頭癌、例えば下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽腔癌、及び口腔咽頭癌;胃癌、例えばリンパ腫、胃間質腫瘍、及びカルチノイド腫瘍;睾丸癌、例えば、セミノーマ及び非セミノーマを含む胚細胞腫瘍(GCT)、及び、ライディッヒ細胞腫瘍及びセルトリ細胞腫瘍を含む性腺間質腫瘍;胸腺癌(thymus cancer)、例えば胸腺腫、胸腺癌(thymic carcinoma)、ホジキン病、非ホジキン・カルチノイド、又はカルチノイド腫瘍;直腸癌;及び結腸癌と診断されている患者を含む。
キット
本明細書中に記載された化合物、組成物、及び方法は、本明細書中に記載されているもののような障害を治療するためのキットを提供する。これらのキットは、容器内の本明細書中に記載された化合物、又は組成物、及び任意には、本明細書中に記載された種々の方法及びアプローチに従ってキットを使用することを教示する指示書を含む。このようなキットは、科学的な参考文献、添付資料、治験結果、及び/又はこれらの要約のような情報などを含んでよい。これらは組成物の活性及び/又は利点を指示又は確立し、且つ/又は調薬、投与、副作用、薬物相互作用、又は医療関係者に有用な他の情報について記載している。このような情報は、種々の研究、例えばin vivoモデルを伴う実験動物を使用した研究、及びヒトに対する治験に基づく研究の結果をベースにしていてよい。本明細書中に記載されたキットは、医師、看護師、薬剤師、及び処方薬当局職員などを含む医療関係者に対して提供、市販、且つ/又は販売促進することができる。キットはいくつかの実施態様では、消費者に直接に市販することもできる。
本明細書中に記載された化合物は、診断のために、そして研究試薬として利用することができる。例えば、本明細書中に記載された化合物は、単独で又は他の化合物と組み合わせて、細胞及び組織の内部で発現する遺伝子の発現パターンを解明するための差分解析及び/又は組み合わせ解析におけるツールとして使用することができる。一例として挙げると、1種又は2種以上の化合物で処理された細胞又は組織内部の発現パターンを、化合物で処理されない対照細胞又は組織と比較し、そして生成されたパターンを差異のある遺伝発現レベルに関して解析する。それというのもこれらのパターンは例えば、試験された遺伝子の疾患関連性、シグナル伝達経路、細胞局在、発現レベル、サイズ、構造、又は機能に関係するからである。これらの分析は刺激された又は刺激されていない細胞上で、発現パターンに影響を及ぼす他の化合物の存在又は不存在において実施することができる。
ヒトの治療にとって有用であることの他に、本発明の化合物及び製剤は、哺乳動物、及び齧歯類などを含む伴侶動物、珍しい動物、及び家畜の獣医学的な治療にも有用である。より好ましい動物は馬、犬、及び猫を含む。
下に提供する例及び調製は、本発明の化合物、及びこのような化合物の調製方法を明らかにし、裏付ける。言うまでもなく、本発明の範囲は下記の例及び調製の範囲によって決して限定されることはない。下記例において、単一のキラル中心を有する分子は、特に断りがなければ、ラセミ混合物として存在する。2つ又は3つ以上のキラル中心を有する分子は、特に断りがなければ、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。当業者に知られている方法によって、単独のエナンチオマー/ジアステレオマーを得ることができる。
例
略語及び頭字語
有機化学業者によって使用される略語の総覧が、ACS Style Guid (第3版)又はGuideline for Authors for the Journal of Organic Chemistryにある。前記リストに含まれる略語、及び有機化学業者によって利用されるすべての略語は、参照することによって本明細書中に組み入れられる。本発明の目的上、化学元素は、元素周期表、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87に従って識別される。
より具体的には、下記略語をこの開示全体を通して使用する場合、これらは下記意味を有する:
Ac2O無水酢酸
ACN アセトニトリル
AcO(又はOAc) アセテート
anhyd 無水物
aq 水性
Ar アリール
atm 大気
ATP アデノシントリホスフェート
b.i.d. 1日2回
Biotageシリカゲル・クロマトグラフィ・システム、
Biotage Inc.
Bn ベンジル
bp 沸点
Bz ベンゾイル
BOC tert−ブトキシカルボニル
n−BuOH n−ブタノール
t−BuOH tert−ブタノール
t−BuOK カリウムtert−ブトキシド
calcd 計算
CDI カルボニルジイミダゾール
CD3OD メタノール−d4
Celite(登録商標) 珪藻土濾過剤, Celite Corp.
CI−MS 化学イオン化質量分析
13C NMR 炭素13核磁気共鳴
conc 濃縮
DCC ジシクロヘキシカルボジイミド
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
dec 分解
DIBAL 水酸化ジイソブチルアルミニウム
DMAP 4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
E entgegen(立体配置)
e.g. 例えば
EI 電子衝撃
ELSD 蒸発光散乱検出器
eq 当量
ERK 細胞外シグナル調節キナーゼ
ESI エレクトロスプレーオン化
ES−MS エレクトロスプレー質量分析
et al. 〜他
EtOAc エチルアセテート
EtOH エタノール(100%)
EtSH エタンチオール
Et2Oジエチルエーテル
Et3Nトリエチルアミン
GC ガスクロマトグラフィ
GC−MS ガスクロマトグラフィ質量分析
h 時間
1H NMR プロトン核磁気共鳴
HCl 塩酸
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
Hex ヘキサン
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
HMPT ヘキサメチルリン酸トリアミド
HPLC 高性能液体クロマトグラフィ
IC50 50%の阻害に必要となる薬物濃度
i.e. すなわち
insol 不溶性
IPA イソプロピルアミン
IR 赤外線
J 結合定数
LAH 水素化アルミニウムリチウム
LC 液体クロマトグラフィ
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MAPK マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ
MeCN アセトニトリル
MEK MAPK/ERKキナーゼ
MHz メガヘルツ
min 分
μL マイクロリットル
mL ミリリットル
μM マイクロモル
mp 融点
MS 質量スペクトル、質量分析
Ms メタンスルホニル
m/z 質量対電荷比
NBS N−ブロモスクシンイミド
nM ナノモル
NMM 4−メチルホルホリン
obsd 観測
p 頁
PBS リン酸緩衝生理食塩水
pp 頁
PdCl2ppf [1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pd(OAc)2 酢酸パラジウム
pH 水素イオン濃度の負の対数
pK 平衡定数の負の対数
pKa 会合平衡定数の負の対数
PS−DIEA ポリスチレン結合ジイソプロピルエチルアミド
q 四重項(nmr)
qt 五重項(nmr)
Rf 保持因子(TLC)
RT 保持時間(HPLC)
rt 室温
TBAF フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム
TBST トリス緩衝食塩水
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TFFH フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート
TLC 薄層クロマトグラフィ
TMAD N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
TMSCl 塩化トリメチルシリル
Ts p−トルエンスルホニル
v/v 単位体積当たりの体積
w/v 単位体積当たりの重量
w/w 単位重量当たりの重量
Z zusammen(立体配置)
試験の具体的な説明
以下の試験の具体的な説明におけるNMRピークの形は、これらがスペクトルで現れた通りに述べられており、考えられ得るより高次の効果は考慮しなかった。化合物の名称はACD/Name Batch version 12.00を使用して作成した。いくつかの事例では、商業的に入手可能な試薬の一般に受け入れられている名称を使用した。マイクロ波照射を採用する反応は、ロボット・ユニットを場合により備えたBiotage initator(登録商標)マイクロ波炉で実施することがある。マイクロ波加熱を採用した報告された反応時間は、指示された反応温度に達した後の固定的な反応時間として理解されたい。本発明の方法に従って製造された化合物及び中間体は、精製を必要とすることがある。有機化合物の精製は、当業者に知られており、同じ化合物を調製するのにいくつかの方法があることがある。いくつかの事例では、精製が必要とならない。いくつかの事例では、化合物を結晶化によって精製する。いくつかの事例では、不純物は好適な溶媒を使用して攪拌によって除去する。いくつかの事例では、Spartisのプレパックされたシリカゲル・カートリッジ、例えばIsolute(登録商標) Flashシリカゲル、又はIsolute(登録商標) Flash NH2シリカゲルを、Flashmaster II自動精製装置(Argonaut/Biotage)、及びヘキサン/エチルアセテート又はDCM/エタノールの勾配のような溶離液と組み合わせた状態で使用して、クロマトグラフィ、具体的にはフラッシュ・カラム・クロマトグラフィによって化合物を精製する。いくつかの事例では化合物は、例えばWaters自動精製装置を使用して、調製HPLCによって調製する。この精製装置は、ダイオード・アレイ検出器及び/又はオンライン・エレクトロスプレー質量分析計を、好適なプレパックされた逆相カラム、及び添加剤、例えばトリフルオロ酢酸又はアンモニア水を含有してよい水とアセトニトリルとの勾配のような溶離剤と組み合わせた状態で備えている。いくつかの事例では、上記精製方法は、塩の形態で十分に塩基性又は酸性の官能基を有する本発明の化合物、例えば本発明の化合物が十分に塩基性である場合には、例えばトリフルオロ酢酸塩又はトリフルオロ蟻酸塩、又は、本発明の化合物が十分に酸性である場合には、例えばアンモニウム塩を提供することができる。このようなタイプの塩は、当業者に知られている種々の方法によって、それぞれ遊離塩基形又は遊離酸形に変化させるか、又は後続の生物学的アッセイで塩として使用することができる。なお、本発明の化合物の単離されたときの特定形態(例えば塩、遊離塩基など)が、特定の生物学的活性を定量化するために前記化合物を生物学的アッセイに適用することができる唯一の形態というわけでは必ずしもない。
下記例において報告されたパーセンテージ収率は、最小モル量で使用された出発成分を基準としている。空気及び湿分に対して感受性の液体及び溶液は、シリンジ又はカニューラを介して移し、そしてゴム隔膜を通して反応容器内に導入した。商業的等級の試薬及び溶媒は、さらなる精製なしに使用した。「減圧下で濃縮」という用語は、ほぼ15mm Hgの最小圧力でBuchi回転蒸発器を使用することを意味する。すべての温度は摂氏(℃)で修正せずに報告する。本発明をよりよく理解するために、下記例を記載する。これらの例は、説明を目的としたものにすぎず、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。ここで言及したすべての刊行物は、参照することにより全体的に組み入れられる。
分析的LCMS条件A:
後続の試験の具体的な説明において提供されたLCMCデータは(特に断りのない場合)、下記条件を意味する:
調製HPLC条件B:
後続の試験の具体的な説明における「調製HPLCによる精製」は(特に断りのない場合)、下記条件を意味する。
分析:
調製:
キラルHPLC条件C:
後続の試験の具体的な説明において提供されたキラルHPLCデータは、下記条件を意味する。
分析:
調製:
フラッシュ・カラム・クロマトグラフィ条件A
後続の試験の具体的な説明において述べる「(フラッシュ)カラム・クロマトグラフィによる精製」は、Biotage Flashmaster II又はIsolera (SP4) 調製システムを使用することを意味する。技術仕様に関しては、www.biotage.comの「Biotage 製品カタログ」を参照されたい。
旋光条件の決定
波長589nm、20℃、濃度1.0000g/100ml、積分10秒、膜厚100.00mmで、DMSO中で旋光度を測定した。
I 化学合成
実施例1:N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド
工程a:2−クロロ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
500mL丸底フラスコに、2,6−ジクロロニコチン酸(25.0g,130mmol)、NaOH溶液(325mL,2N)を装入し、そしてその溶液を129℃で4時間にわたって還流した。反応混合物を室温まで冷やし、6N HCl水溶液で酸性化した。結果として生じた沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥させて、所期生成物(19.87g,88%)を産出した。
工程b:メチル2−クロロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
250mL丸底フラスコに、2−クロロ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(17.89g,103.42mmol)、及び乾燥DMF(100mL)を装入した。結果として生じた懸濁液に、温度を0℃で維持しながらLiH(2.16g,258.55mmol)を6ポーションで添加した。混合物をこの温度で、さらに30分間にわたって攪拌し、そしてCH3I(14.2mL,227.52mmol)を添加した。10分後、反応物を室温で温め、そして14時間にわたって攪拌した。反応混合物を飽和NH4Cl水溶液で急冷し、そしてEtOAc(100mL)及び水(100mL)で希釈した。水性層を分離し、そしてEtOAc(2x)で抽出した。有機層を合体させ、水(x3)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧下で濃縮した。結果として生じた褐色の残留物を、ヘキサン中のEtOAc(0〜30%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製して、所期生成物(10.62g,48%)を産出した。
工程c:メチル5−ブロモ−2−クロロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
250mL丸底フラスコに、メチル2−クロロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(10g,50mmol)、DMF(100mL)、及びNBS(17.8g,100mmol)を装入した。結果として生じた混合物を室温で8時間にわたって攪拌し、そしてEtOAc(100mL)で希釈した。有機層を飽和NaHSO3水溶液、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして減圧下で濃縮して、所期生成物(13.7g,97%)を産出した。
工程d:メチル2−クロロ−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
炉で乾燥させた二首フラスコに、メチル5−ブロモ−2−クロロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(5.79g,20.64mmol)、Pd(dppf)2Cl2(0.82g,1.0mmol)、及びジオキサン(60mL)を装入した。結果として生じた赤色の懸濁液をアルゴンで10分間にわたってパージし、そしてZnMe2(2.0M,10.3mL,トルエン)を添加した。反応混合物を70℃で50分間にわたって攪拌し、室温で冷却し、そしてMeOH(50mL)で急冷し、そしてEtOAc(100mL)で希釈した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で洗浄し、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そして減圧下で濃縮して、褐色の残留物を産出した。残留物を、ヘキサン中のEtOAc(0〜30%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製し、標記生成物(3.23g,73%)を産出した。
工程e:メチル2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
炉で乾燥させた二首フラスコに、2−フルオロ−4−ヨードアニリン(2.08g,8.79mmol)、及び乾燥THF(40mL)を装入した。混合物を−78℃で冷却し、そしてLiHMDS(17.79mL、1.0M,THF)を液滴状に添加した。反応物をさらに1時間にわたってこの時間で攪拌し、そして乾燥THF(30mL)中に予め溶解したメチル2−クロロ−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(1.89g,8.79mmol)を添加した。混合物を室温までゆっくりと加熱し、そしてさらに2時間にわたって攪拌し、2N HCL水溶液で急冷した。結果として生じた混合物をさらにEtOAcで希釈し、そして有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして減圧下で濃縮した。褐色の残留物をヘキサン中のEtOAc(0〜25%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物(2.9g,79%)を産出した。
工程f:2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
100mL丸底フラスコに、メチル2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(2.38g,6.72mmol)、及びTHF(80mL)を装入した。この混合物に、30mLのH2O中に予め溶解したLiOH(20mmol)を添加し、反応を室温で72時間にわたって攪拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、そしてその結果として水性層を1N HCl水溶液で酸性化した。沈殿物を濾過し、そして真空下で乾燥させることにより、標記化合物を白色固形物として産出した(2.12g,92%)。
工程g:2,5−ジオキソピロリジン−1−イル2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
250mL丸底フラスコに、2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(2.0g,5.00mmol)、及びジオキサン(100mL)を装入した。結果として生じた懸濁液に、1−ヒドロキシピロリジン−2,5−ジオン(0.63g,5.5mmol)、及びDCC(0.63g,5.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間にわたって攪拌し、そして濾過した。残留物を減圧下で濃縮し、そしてヘキサン中のEtOAc(0〜50%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物(2.1g,85%)を産出した。
工程h:2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニルアジド
100mL丸底フラスコに、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(1.2g,2.40mmol)、及びTHF/アセトン(15mL/30mL)を装入した。混合物には、H2O(10mL)中に予め溶解したNaN3(0.52g,8mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間にわたって攪拌し、そして有機溶媒を減圧下で除去して、所期生成物を淡褐色の固形物(0.98g,96%)として産出した。
工程i:3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
100mL丸底フラスコに、2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニルアジド(0.98g,2.23mmol)、及びEtOAc(60mL)を装入した。反応混合物を16時間にわたって環流させながら加熱した。有機溶媒を減圧下で除去して褐色の残留物を産出し、これをDCM中のMeOH(0〜10%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物(0.85g,96%)を産出した。
工程j:1−(シクロプロピルスルホニル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
100mL丸底フラスコに、3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(0.4g,1.0mmol)、及びDMF(10mL)を装入した。LiH(23.85mg,3.0mmol)を室温で添加し、そして反応物をこの温度で2時間にわたって攪拌した。混合物をEtOAcで希釈し、そして飽和NH4Cl水溶液を加えた。有機層を分離し、H2O(x2)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして減圧下で濃縮することにより、褐色の残留物をもたらした。粗材料を、DCM中のMeOH(0〜10%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物を淡い琥珀色の固形物(328mg,65%)として産出した。
工程k:tert−ブチル3−(シクロプロパンスルホンアミド)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
100mL丸底フラスコに、3−(シクロプロピルスルホニル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(222mg,0.46mmol)、及びTHF(5mL)を装入した。この溶液に、tert−BuOK(0.9mL,1.0M,THF)を添加し、混合物を20分間にわたって攪拌し、飽和NH4Cl水溶液で急冷し、そしてEtOAc(100mL)で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして減圧下で濃縮することにより、褐色の残留物をもたらした。粗材料を、ヘキサン中のEtOAc(0〜50%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物を淡い琥珀色の固形物(124mg,47%)として産出した。
工程l:N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド
100mL丸底フラスコに、tert−ブチル3−(シクロプロパンスルホンアミド)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(120mg,0.21mmol)を、DCM(10mL)中のTFAの20%混合物中で装入した。反応混合物を室温で14時間にわたって攪拌し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗材料を、ヘキサン中のEtOAc(0〜50%)の勾配を用いて、フラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記生成物を淡い白色の固形物(50mg,50%)として産出した。
1H−NMR(300MHz、DMSO−d6);δ[ppm]=0.61−0.86(m,4H),2.00(d,3H),2.38(m,1H),3.23(s,3H),6.30(t,1H),7.27(d br.,3H),7.34(d,1H),7.56(d br.,1H),7.92(s br.,1H),8.77(m,1H)
MS(ESI):[M+H]+=477.9
RT=1.14分
実施例2:1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパン−1−スルホンアミド
工程a:1−(1−アリルシクロプロピルスルホニル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(例1,工程g)(1.19g,2.98mmol)から例1(工程j)に従って、この化合物を合成することにより、0.95gの標記生成物(59%)を産出した。
工程b:tert−ブチル3−(1−アリルシクロプロパンスルホンアミド)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
1−(1−アリルシクロプロピルスルホニル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(800mg,1.47mmol)から実施例1(工程k)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(460mg,50%)を産出した。
工程c:tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
アセトン(160ml)中のtert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]アミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(1.5g,2.429mmol)の溶液に、水(26ml)を添加した。この混合物を0℃まで冷却し、そして4−メチルモルホリンN酸化物(7.4eq,2.106mg,17.976mmol)を添加し、続いてOsO4(t−ブタノール中2.5w.t.,1.218ml)を添加した。混合物を室温で18時間にわたって攪拌した。反応が完了しなかったので、さらに4−メチルモルホリンN酸化物(5eq,1.423mg,12.146mmol)を添加し、続いてOsO4(t−ブタノール中2.5%w.t.,1.218ml)を添加した。混合物を室温でさらに18時間にわたって攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をジクロロメタン中で希釈し、そして水で洗浄した。水性相を分離し、そしてジクロロメタンで2回抽出した。合体させた有機層をブラインで1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして真空中で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製することにより、標記化合物(961mg,61%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=652.0
RT=1.17分
工程d:1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパン−1−スルホンアミド
tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(950mg,1.458mmol)から実施例1(工程l)に従って、この化合物を合成することによって、標記化合物(485mg,60%)を産出した。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6);δ[ppm]=0.83−1.01(m,4H),1.58(dd,1H),2.01(s,3H),2.05(dd,1H),3.10−3.23(m,2H),3.26(s,3H),3.27(s,1H),3.42−3.52(m,1H),4.53(m,1H),6.26(t,1H),7.32(br.b,1H),7.41(br.s,1H),7.57(dd,1H),7.90(br.s,1H),8.81(br.s,1H)
MS(ESI):[M+H]+=551.9
RT=1.01分
工程e:1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパン−1−スルホンアミド、立体異性体A及び立体異性体B
1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパン−1−スルホンアミドのラセミ混合物にキラルHPLC分離を施すことにより、標記化合物、立体異性体A、及び立体異性体Bを産出した。
立体異性体A:RT(キラルHPLC条件C)=8.03分
立体異性体B:RT(キラルHPLC条件C)=9.12分
実施例3:N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパン−1−スルホンアミド
工程a:tert−ブチル[1,5−ジメチル−6−オキソ−3−({[
1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
窒素雰囲気下のジオキサン(38.4ml)中のtert−ブチル3−(1−アリルシクロプロパンスルホンアミド)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(2.370g,3.838mmol)の溶液に、H2O(7.7ml)を添加した。次いで、NaIO4(4eq,3.284g,15,353mmol)及び2,6−ジメチルピリジン(2eq,0.894ml,7.676mmol)を添加し、そして混合物を0℃に冷却した。この温度で、OsO4(t−ブタノール中4%,0.04eq,1.925ml,0.154mmol)を添加した。混合物を室温にさせておき、次いで18時間にわたって攪拌した。混合物をH2O(4ml)で希釈することにより、最終懸濁液を形成した。30分間の攪拌後、沈殿物を濾過して、水で洗浄し、沈殿物を溶解した。濾液を酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで1回洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記化合物(1.92g,79%)を、アルデヒドと環化1,2−チアゾリジン−3−オール 1,1ジオキシド形との混合物として産出した。
MS(ESI):[M+H]+=620.0
RT=1.28分
工程b:tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート
窒素雰囲気下の0℃のMeOH(6ml)中のtert−ブチル[1,5−ジメチル−6−オキソ−3−({[1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(304mg,0.491mmol)の溶液に、NaBH4(4eq,74mg,1.963mmol)を添加した。これらの反応混合物をこの温度で1時間にわたって攪拌し、次いで室温まで温めておいた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(10ml)、H2O(5ml)及び1N HCl水溶液(5ml)との間で分配した。水性相を分離し、酢酸エチル(10ml)で2回抽出した。合体させた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、乾燥させ(シリコーン・フィルタ)、そして減圧下で濃縮した。粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記化合物(321mg,quant)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=622.0
RT=1.23分
工程c:N−(2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパン−1−スルホンアミド
窒素雰囲気下の乾燥THF中のtert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート(324mg,0.521mmol)に、ジオキサン中のHCLの溶液(30eq,3.80ml,15.640mmol)を添加した。この混合物を室温で18時間にわたって攪拌し、その後、再びジオキサン中のHCLの溶液(8eq,1.01ml,4.055mmol)を添加し、そしてさらに18時間にわたって攪拌した。混合物を酢酸エチルとNaOH水溶液(2N)との間で分配し、水性層を酢酸エチルで2回抽出した。合体させた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、そして真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記化合物(172mg,65%)を産出した。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6);δ[ppm]=0.70−0.90(m,4H),1.78(t,2H),1.99(t,3H),3.23(s,3H),3.36(t,2H),4.49(br.s,1H),6.24(t,1H),7.30(br.d,1H),7.33(s,1H),7.56(dd,1H),7.93(br.s,1H),8.86(br.s,1H)。
MS(ESI):[M+H]+=552.0
RT=1.07分
実施例4:下に示すスキームに従って、又は合成化学分野における当業者に知られているその他の同等のものに従って、化合物(A,A’及び/又はBは、1種又は2種以上のアルコキシ、アミノ、又は置換型アミン基で場合により置換されたC1−C6アルキルである。
上記スキームにおいて、項A,A’,X,Y,R1及びR2の意味は、上記式Iの化合物の定義に関して与えられた通りである。
実施例5:N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
工程a:メチル2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
メチル2−クロロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(実施例1(工程b),5.020g,24,899mmol)から実施例1(工程e)に従って、化合物を合成することにより、表題化合物(5.872g,57%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=402.9
RT=1.25分
工程b:2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
メチル2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(2.770g,6.888mmol)から、実施例1(工程f)に従って、化合物を合成することにより、表題化合物(2.15g,80%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=388.9
RT=1.02分
工程c:3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(5.840g,15mmol)をアセトニトリル(117ml)中で懸濁し、そしてジフェニルホスホリルアジド(1.2eq.,4ml,18mmol)並びにトリエチルアミン(1.2eq.,2,5ml,18mmol)を添加した。混合物を60℃で5時間にわたって攪拌した。懸濁液を形成した。沈殿物を濾過し、そしてアセトニトリルで1回洗浄し、そして真空中で乾燥させた。残留物は十分な純度(95%,UV)の標記生成物(4.20g,69%)を提供し、そしてこれをさらなる精製なしに次の変換のために使用した。
MS(ESI):[M+H]+=385.9
RT=0.77分
工程d:1−(シクロプロピルスルホニル)−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(200mg,0.519mmol)から実施例1(工程j)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(220mg,87%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=489.7
RT=1.06分
工程e:tert−ブチル{3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル}(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
1−(シクロプロピルスルホニル)−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(220mg,0.450mmol)から実施例1(工程k)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(108mg,41%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=563.8
RT=1.23分
工程f:
N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル{3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル}(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(106mg,0.189mmol)から実施例1(工程l)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(84mg,92%)を産出した。
1H−NMR(300MHz、DMSO−d6);d[ppm]=0.63−0.84(m,4H),2.38(m,1H),3.21(s,3H),6.29(d,1H),6.38(t,1H),7.30(br.b,1H),7.41(d,1H),7.58(dd,1H),8.05(br.s,1H),8.77(s,1H)
MS(ESI):[M+H]+=463.8
RT=1.05分
実施例6:1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
工程a:1−[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(1.00g,2.596mmol)から実施例1(工程j)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(1.20g,70%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=529.8
RT=1.20分
工程b:tert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル)アミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
1−[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(990mg,1.87mmol)から実施例1(工程kj)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(649mg,55%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=603.8
RT=1.36分
工程c:tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
アセトン(20ml)中のtert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル)アミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(180mg,0.298mmol)の溶液に、水(3ml)を添加した。この混合物を0℃まで冷却し、そして4−メチルモルホリンN酸化物(7.36eq,257mg,2.195mmol)を添加し、続いてOsO4(t−ブタノール中2.5%w.t.,111μl)を添加した。混合物を室温で18時間にわたって攪拌した。反応が完了しなかったので、さらに4−メチルモルホリンN酸化物(6eq,210mg,1.790mmol)を添加し、続いてOsO4(t−ブタノール中2.5%w.t.,110μl)を添加した。混合物を室温でさらに18時間にわたって攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をエチルメチルケトン中で希釈し、そして水で洗浄した。水性相を分離し、そしてエチルメチルケトンで2回抽出した。合体させた有機層をブラインで1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして真空中で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製することにより、標記化合物(177mg,93%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=638.39
RT=1.09分
工程d:1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(130mg,0.204mmol)から実施例1(工程l)に従って、この化合物を合成することによって、標記化合物(104mg,95%)を産出した。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6);d[ppm]=0.81−0.98(m,4H),1.54(dd,1H),2.02(d br.,1H),2.43−2.52(m,1H),3.13(m,2H),3.20(s,3H),3.41−3.49(m,1H),4.52(m,1H),6.26(d,1H),6.31(t,1H),7.32(d br., 1H),7.44(d,1H),7.57(dd,1H),8.03(br.s,1H),8.80(br.s,1H)
MS(ESI):[M+H]+=537.9
RT=0.99分
工程e:1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド、立体異性体A及び立体異性体B
1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミドのラセミ混合物にキラルHPLC分離を施すことにより、標記化合物、立体異性体A(20mg,17%)、及び立体異性体B(35mg,32%)を産出した。
立体異性体A:RT(キラルHPLC条件C)=10.17分
立体異性体B:RT(キラルHPLC条件C)=12.08分
実施例7:N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパンスルホンアミド
工程a:tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[1−メチル−6−オキソ−3−({[1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート
窒素雰囲気下のジオキサン(2.30ml)中のtert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]アミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(140mg,0.232mmol)の溶液に、H2O(0.51ml)を添加した。次いで、NaIO4(4eq,198mg,0.928mmol)及び2,6−ジメチルピリジン(2eq,0.054ml,0.464mmol)を添加し、そして混合物を0℃に冷却した。この温度で、OsO4(H2O中4%,0.05eq,71μl,0.012mmol)を添加した。混合物を室温にさせておき、次いで18時間にわたって攪拌した。混合物をH2O(4ml)で希釈することにより、最終懸濁液を形成した。30分間の攪拌後、沈殿物を濾過することにより、次の変換のために十分な純度(88%,UV)の標記生成物(140mg,88%)を、アルデヒドと環化1,2−チアゾリジン−3−オール 1,1ジオキシド形との混合物として産出した。
MS(ESI):[M+H]+=605.8
RT=1.22分
工程b:tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート
窒素雰囲気下の0℃のMeOH中の粗tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[1−メチル−6−オキソ−3−({[1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート(88%UV,97mg,0.160mmol)の溶液に、NaBH4(4eq,25mg,0.641mmol)を添加した。この反応混合物をこの温度で1時間にわたって攪拌し、次いで室温まで温めておいた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(10ml)、H2O(5ml)及び1N HCl水溶液(5ml)との間で分配した。水性相を分離し、EtOAc(10ml)で2回抽出した。合体させた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、乾燥させ(シリコーン・フィルタ)、そして減圧下で濃縮した。粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(Biotage system)によって精製することにより、標記化合物(77mg,79%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=607.8
RT=1.18分
工程c:N−{2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート(75mg,0.123mmol)から実施例1(工程l)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(18mg,28%)を産出した。
1H−NMR(300MHz、DMSO−d6);δ[ppm]=0.69−0.90(m,4H),1.78(m,2H),3.20(s,3H),3.37(t,2H),4.47(br.s,1H),6.27(d,1H),6.31(t,1H),7.33(d br,1H),7.41(d,1H),7.58(dd,1H),8.06(br.s,1H), 8.87(br.s,1H)
MS(ESI):[M+H]+=507.8
RT=0.01分
実施例8:N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
工程a:2−クロロ−5−フルオロ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
2,6−ジクロロ−5−フルオロニコチン酸(商業的に入手可能、25.00g,119.52mmol)から実施例1(工程a)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(21.20g,93%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=192.3
RT=0.47分
工程b:メチル−2−クロロ−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
2−クロロ−5−フルオロ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(16.3g,85.097mmol)から実施例1(工程b)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(9.42g,52%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=220.3
RT=1.16分
工程c:メチル5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
メチル−2−クロロ−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(2.182g,9.936mmol)から実施例1(工程e)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(2.726g,65%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=421.3
RT=1.30分
工程d:5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
メチル5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(2.7g,6.426mmol)から実施例1(工程f)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(2.29g,83%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=406.8
RT=1.09分
工程e:6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(16.810g,4.391mmol)から実施例5(工程c)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(11.03g,64%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=403.8
RT=0.83分
工程f:1−(シクロプロピルスルホニル)−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(500mg,1.240mmol)から実施例1(工程j)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(334mg,51%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=508.38
RT=1.11分
工程g:tert−ブチル{3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル}(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
1−(シクロプロピルスルホニル)−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(329mg,0.648mmol)から実施例1(工程k)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(76mg,15%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=582.4
RT=1.26分
工程h:N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル{3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル}(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(146mg,0.251mmol)から実施例1(工程l)に従って、化合物を合成することにより、標記化合物(58mg,47%)を産出した。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6);d[ppm]=0.62−0.80(m,4H),2.41−2.51(m,1H),3.25−3.32(s,3H),6.41(t,1H),7.27(br.d,1H),7.42(d,1H),7.57(br.d,1H),7.94−7.99(m,1H),8.92−8.96(m,1H)
MS(ESI):[M+H]+=482.3
RT=1.10分
実施例9:1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
工程a:1−[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン
6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(5.00g,12.403mmol)から実施例1(工程j)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(4.18g,57%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=547.7
RT=1.28分
工程b:
tert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル)アミノ}−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
1−[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]−6−フルオロ−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2,5(3H,4H)−ジオン(500mg,0.914mmol)から実施例1(工程k)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(252mg,44%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=621.7
RT=1.42分
工程c:
tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
tert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル)アミノ}−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(1.59g,2.559mmol)から実施例6(工程c)に従って、この化合物を合成することにより、標記化合物(1.09g,65%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=655.8
RT=1.19分
工程d:1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル[3−({[1−(2,3−ジヒドロプロピル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(1.09g,1.663mmol)から実施例1(工程l)に従って、この化合物を合成することによって、標記化合物(366mg,40%)を産出した。
1H−NMR(300MHz、DMSO−d6);δ[ppm]=0.79−1.00(m,4H),1.51(dd,1H),2.00(d br.,1H),3.03−3.21(m,2H),3.30(s,3H),3.41(m,1H),4.53(t,1H),4.50−5.61(m,1H),6.34(t,1H),7.28(d br., 1H),7.46(d,1H),7.56(d br., 1H),7.95(s br.,1H),8.98(s br.,1H)
MS(ESI):[M+H]+=555.8
RT=0.99分
工程e:1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミド、立体異性体A及び立体異性体B
1−(2,3−ジヒドロプロピル)−N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}シクロプロパンスルホンアミドのラセミ混合物にキラルHPLC分離を施すことにより、標記化合物を立体異性体A、及び立体異性体Bとして産出した。
立体異性体A:RT(キラルHPLC条件C)=5.42分
立体異性体B:RT(キラルHPLC条件C)=6.41分
実施例10:N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパンスルホンアミド
工程a:tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−3−({[1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート
tert−ブチル(3−{[(1−アリルシクロプロピル)スルホニル]アミノ}−5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(252mg,0.406mmol)から実施例7(工程a)に従って、化合物を合成することにより、表題化合物(234mg,75%UV)を産出し、これをさらなる精製なしに次の変換のために使用した。
MS(ESI):[M+H]+=623.7
RT=1.28分
工程b:tert−ブチル[5−フルオロ−3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート
tert−ブチル(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)[5−フルオロ−1−メチル−6−オキソ−3−({[1−(2−オキソエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]カルバメート(234mg,0.375mmol)から実施例7(工程b)に従って、化合物を合成することにより、表題化合物(180mg,74%)を産出した。
MS(ESI):[M+H]+=625.8
RT=1.24分
工程c:N−{5−フルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}−1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパンスルホンアミド
tert−ブチル[5−フルオロ−3−({[1−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロピル]スルホニル}アミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル](2−フルオロ−4−ヨードフェニル)カルバメート(173mg,0.277mmol)から実施例1(工程l)に従って、化合物を合成することにより、表題化合物(46mg,30%)を産出した。
1H−NMR(300MHz、DMSO−d6);d[ppm]=0.72−0.92(m,4H),1.75(t,2H),3.29(s,3H),3.33(m,2H),4.51(t,1H),6.35(t,1H),7.29(d br., 1H),7.41(d,1H),7.57(d br., 1H),7.99(s br.,1H),9.04(s br.,1H)
MS(ESI):[M+H]+=525.8
RT=1.07分
II 生物学的活性
実施例11:IC50データ生成−MEK1活性化キナーゼ・アッセイ
キナーゼCot1は、その活性化ループをリン酸化することにより、MEK1を活性化する。MEK1のこの活性化に対する本発明の化合物の阻害活性を、以下の段落において記載されたHTRFアッセイを採用して定量化した。
昆虫細胞(SF21)内で発現させ、Ni−NTAアフィニティ・クロマトグラフィによって精製したヒトCot1(アミノ酸30−397,Miliporeから購入、カタログNo.14-703)のN末端His6標識付き組み換えキナーゼ領域を、キナーゼとして使用した。キナーゼ反応のための基質としては、不活性C末端His6標識付きGST−MEK1融合タンパク質(MiliporeカタログNo.14-420)を使用した。
アッセイに際して、DMSO中の試験化合物の100濃縮溶液50nlを、黒色低容積384ウェル・マイクロタイタープレート(Greiner Bio-One, Frickenhausen, Germany)内にピペットで入れ、アッセイ緩衝液[50mM Tris/HCl pH7.5、10mM MgCl2、2mMジチオスレイトール、0.01%(v/v)Igepal CA 630 (Sigma), 5mM β−ホスホ−グリセロール]中の24nM GST−MEK1及び166.7μM アデノシン−トリホスフェート(ATP)の溶液3μlを添加し、そして混合物を10分間にわたって22℃でインキュベートすることにより、キナーゼ反応開始前にGST−MEK1に試験化合物を事前結合させておいた。次いで、アッセイ緩衝液中のCot1の溶液2μlを添加することによってキナーゼ反応を開始し、そして結果として生じた混合物を20分の反応時間にわたって22℃でインキュベートした。アッセイにおけるCot1の濃度は、酵素ロットの活性に応じて調節し、線形範囲のアッセイになるように適宜選択した。典型的な酵素濃度は約2ng/μlの範囲にあった(5μlアッセイ体積における最終濃度)。EDTA水溶液(100mM HEPES/NaOH pH7.5中の100mM EDTA、500nM KF、0.2%(w/v)ウシ血清アルブミン)中のHTRF検出試薬(13nM 抗GST−XL665)[#61GSTXLB, Fa. Cis Biointernational, Marcoule, France]、1nM Eu−クリプテート標識付き抗ホスホ−MEK1/2(ser217/221)[#61P17KAZ, Fa. Cis Biointernational])の溶液5μlを添加することにより、反応を停止させた。
結果として生じた混合物を2時間にわたって22℃でインキュベートすることにより、抗GST−XL665及びEu−クリプテート標識付き抗ホスホ−MEK1/2抗体にリン酸化GST−MEK1を結合しておいた。続いて、ser217/221−リン酸化基質の量を、Eu−クリプテート標識付き抗ホスホ−MEK抗体から抗GST−XL665への共鳴エネルギー移動の測定によって評価した。このように、350nmにおける励起後、620nm及び665nmにおける蛍光発光をHTRFリーダー、例えばRubystar (BMG Labtechnologies, Offenburg, Germany)、又はViewlux (Perkin-Elmer)において測定した。665nm及び622nmにおける発光比を、リン酸化基質の量の尺度として求めた。データを標準化した(阻害剤のない酵素反応=阻害率0%、酵素なしを除くすべての他のアッセイ成分=阻害率100%)。通常、試験化合物は同じマイクロタイタープレート上で、20μM〜1nMの範囲の10種の異なる濃度(20μM,6.7μM,2.2μM,0.74μM,0.25μM,82nM,27nM,9.2nM,3.1nM及び1nMの希釈系列を、100倍濃縮原液レベルでのアッセイ前に、連続1:3希釈で調製した)で、それぞれの濃度毎に重複値で試験し、そしてIC50値を、インハウス・ソフトウェアを使用して4パラメータ・フィットによって計算した。
実施例12:HCT116 Cell Titer Glo(CTG)増殖アッセイ:
HCT116細胞(ヒト結腸直腸細胞、突然変異体BRAF V600Eを発現)を、96ウェル黒色−透明底組織培養プレート(Costar 3603 black/clear bottom)内で、10%ウシ胎仔血清(FBS)と安定グルタミンとを含む37℃でインキュベートされた100μl/ウェルのDMEM培地(DMEM/Ham’s F12)中で、3000細胞/ウェルの密度で平板培養した。姉妹ウェルをタイム・ゼロ測定のために別個のプレートで平板培養した。すべてのプレートを一晩にわたって37℃でインキュベートした。タイム・ゼロ・プレートを取り出し、100ml/ウェルのCTG溶液(Promega Cell Titer Glo 溶液)を姉妹プレートのタイム・ゼロ・ウェルに添加し、プレートを2分間にわたってオービタル・シェーカー上で混合することにより細胞溶解を保証し、10分間にわたってインキュベートし、ルミネッセンスをVICTOR 3 (Perkin Elmer)上で読み取った。細胞播種から24時間後に、試験化合物を50μlの媒質で希釈し、そして、最終DMSO濃度0.4%の、連続希釈における被験化合物の活性に応じて、高くは10μMから低くは300pMの最終濃度範囲で添加した。試験化合物の添加後72時間にわたって細胞をインキュベートした。次いで、Promega Cell Titer Glo Luminescent(登録商標)アッセイ・キットを使用して、酵素ルシフェラーゼとその基質ルシフェリン混合物とを含有する100μlの溶解緩衝剤をそれぞれのウェルに添加し、そして10分間にわたって室温で暗所内でインキュベートすることにより、ルミネッセンス・シグナルを安定化した。試料をルミネッセンス・プロトコルを使用して、VICTOR 3 (Perkin Elmer)上で読み取った。ゼロ点プレートの吸光度(=0%)及び未処理(0μM)細胞の吸光度(=100%)に対して測定値を標準化することにより、細胞成長の変化率パーセンテージを計算した。会社独自のソフトウェアを使用して4パラメータ・フィットによって、IC50値を割り出した。
実施例13:A549 Cell Titer Glo(CTG)増殖アッセイ:
A549細胞[ヒトの小細胞肺癌細胞系、突然変異体K-Ras G12Sを発現]を、96ウェル黒色−透明底組織培養プレート(Costar 3603 black/clear bottom)内で、10%ウシ胎仔血清(FBS)と安定グルタミンとを含む37℃でインキュベートされた100μl/ウェルのDMEM培地(DMEM/Ham’s F12)中に、2000細胞/ウェルの密度で播種した。A549細胞に対するCell Titer Glo増殖アッセイを、HCT116細胞に関して前述したのと同じプロトコルで実施した。
実施例14:A375 Crystal Violet(CV)増殖アッセイ:
A375細胞[ヒトのメラノーマ細胞系、突然変異体BRAF V600E]の細胞増殖をクリスタル・バイオレット(CV)染色によって測定した:培養A375細胞を、96ウェル・マルチタイタープレート内の成長培地(DMEM/HAMS F12)200μl内で、1500細胞/測定点の密度で平板培養した。24時間後に、プレート(ゼロ・プレート)の細胞をクリスタル・バイオレットで染色する(下記参照)一方、他のプレート内の培地を新鮮な培地(200μl)と交換した。この新鮮な培地には、試験物質を種々の濃度(0μM、及び0.3nM〜30nMの範囲;溶媒ジメチルスルホキシドの最終濃度は0.5%であった)で添加しておいた。細胞を、試験物質の存在において4日間にわたってインキュベートした。細胞増殖を、クリスタル・バイオレットで細胞を染色することにより割り出した:20μl/測定点の11%グルタルアルデヒド溶液を室温で15分間にわたって添加することにより、細胞を固定した。固定された細胞を水で3回洗浄した後、プレートを室温で乾燥させた。100μl/測定点の0.1%クリスタル・バイオレット溶液(酢酸を添加することによりpHをpH3に調節した)を添加することにより細胞を染色した。染色された細胞を水で3回洗浄した後、プレートを室温で乾燥させた。100μl/測定点の10%酢酸溶液を添加することにより色素を溶解し、そして波長595nmで光度計測定した。ゼロ点プレートの吸光度(=0%)及び未処理(0μM)細胞の吸光度(=100%)に対して測定値を標準化することにより、細胞成長の変化率パーセンテージを計算した。会社独自のソフトウェアを使用して4パラメータ・フィットによって、IC50値を割り出した。
上記のように調製された選択化合物を、本明細書中に記載した生物学的処置に従ってアッセイした。その結果を下記表に示す。
符号:ND:測定されず
本明細書中に記載された例及び実施態様は、説明を目的としたものに過ぎず、当業者に示唆される種々の改変又は変更が、本出願の思想及び範囲、及び添付の請求項の範囲に含まれるものとする。本明細書中に引用されたすべての刊行物、特許明細書、及び特許出願明細書は、あらゆる目的で参照することによってここに組み入れられる。