JP5827749B2 - 静電容量式タッチパネルおよびその製造方法、入力デバイス - Google Patents
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Description
また、本発明は静電容量式タッチパネルの製造方法、および、入力デバイスにも関する。
特許文献1(特に、図6参照)においては、抵抗膜式タッチパネルの側端部の面にエポキシ樹脂を塗布して側端強化層28を形成し、外部からの水分、薬品の浸入を防止し、透明接着層の軟化を防止することが開示されている。
また、特許文献2(特に、図9)においては、タッチパネル中の上部電極板1や下部電極板3の端部周囲を覆うようにシール材を塗布してシール層21を形成し、水分の侵入を防いで粘着層5の劣化を防ぐことが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の方法では、静電容量式タッチパネルにおいて、塩水の影響を十分に抑制することができなかった。
また、静電容量式タッチパネルの歩留りに関しても、より高いレベルが要求されており、従来の技術では必ずしも満足できるものではなかった。
少なくとも、絶縁層と基板との間から露出している透明樹脂層の周縁部の表面上、および、引き出し配線部の露出面上のそれぞれに封止層が配置され、
封止層の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、封止層の層厚が1.0μm以上である、静電容量式タッチパネル。
(2) 絶縁層と、絶縁層の表面上に配置された複数の第1電極部と、絶縁層の表面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する第1電極部に接続された複数の第1引き出し配線部と、第1引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、第1電極部および第1引き出し配線部上に配置された第1透明樹脂層と、第1透明樹脂層上に配置された第1保護基板と、
絶縁層の裏面上に配置された複数の第2電極部と、絶縁層の裏面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する第2電極部に接続された複数の第2配線部と、第2引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、第2電極部および第2引き出し配線部上に配置された第2透明樹脂層と、第2透明樹脂層上に配置された第2保護基板と、を有し、
少なくとも、絶縁層と第1保護基板との間から露出している第1透明樹脂層の周縁部の表面上および絶縁層と第2保護基板との間から露出している第2透明樹脂層の周縁部の表面上と、第1引き出し配線および第2引き出し配線の露出面上とに封止層が配置され、
封止層の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、封止層の層厚が1.0μm以上である、(1)に記載の静電容量式タッチパネル。
(3) 封止層が、フッ素系樹脂を含む、(1)または(2)に記載の静電容量式タッチパネル。
(4) 封止層が、フッ素原子を1質量%以上含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネル。
(5) 封止層が、封止層形成用組成物により形成された層であり、
封止層形成用組成物の表面張力が20mN/m以下であり、
封止層形成用組成物の粘度が100cps以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネル。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネルを備える入力デバイス。
(7) (2)〜(5)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネルの製造方法であって、
絶縁層と、絶縁層の表面上に配置された複数の第1電極部と、絶縁層の表面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する第1電極部に接続された複数の第1引き出し配線部と、第1引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように第1電極部および第1引き出し配線部上に配置された第1透明樹脂層と、第1透明樹脂層上に配置された第1保護基板と、第1保護基板の主面上に剥離可能に配置された第1保護フィルムと、絶縁層の裏面上に配置された複数の第2電極部と、絶縁層の裏面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する第2電極部に接続された複数の第2配線部と、第2引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、第2電極部および第2引き出し配線部上に配置された第2透明樹脂層と、第2透明樹脂層上に配置された第2保護基板と、第2保護基板の主面上に剥離可能に配置された第2保護フィルムとを有する積層体を、封止剤を含む封止層形成用組成物に接触させる工程を備える、静電容量式タッチパネルの製造方法。
(8) 接触が、スプレー処理、浸漬処理、またはディスペンスによって行われる、(7)に記載の静電容量式タッチパネルの製造方法。
(9) 絶縁層と、絶縁層の少なくとも一方の主面上に配置された複数の電極部と、絶縁層の複数の電極部が配置された主面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する電極部に接続された複数の引き出し配線部と、引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、電極部および引き出し配線部上に配置された透明樹脂層と、透明樹脂層上に配置された基板と、を備え、
JIS Z 2371の塩水噴霧試験24時間後に測定した隣り合う引き出し配線部間の直流抵抗が300kΩ以上である、静電容量式タッチパネル。
(10) 少なくとも、絶縁層と保護基板との間から露出している透明樹脂層の周縁部の表面上、および、引き出し配線部の露出面上に封止層が配置され、封止層の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、封止層の層厚が1.0μm以上である、(9)に記載の静電容量式タッチパネル。
(11) 引き出し配線部が銀を含む、(9)または(10)に記載の静電容量式タッチパネル。
(12) 電極部が、金属酸化物からなる透明電極部である、(9)〜(11)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネル。
(13) 電極部が、平均ワイヤ径50nm以下で、平均ワイヤ長5μm以上である金属ナノワイヤからなる透明電極部である、(9)〜(11)のいずれかに記載の静電容量式タッチパネル。
図1(A)および(B)に、本発明の静電容量式タッチパネルの第1の実施形態の模式図を示す。図1(A)は、静電容量式タッチパネル100の平面図であり、(B)は断面図である。なお、図1(B)は、静電容量式タッチパネル100の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
図1(A)および(B)に示すように、静電容量式タッチパネル100は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の主面上(表面上)に配置される第1電極部12と、第1引き出し配線部14と、第1透明樹脂層16と、第1保護基板18と、絶縁層10の他方の主面上(裏面上)に配置される第2電極部20と、第2引き出し配線部22と、第2透明樹脂層24と、第2保護基板26と、封止層28と、フレキシブルプリント配線板30とを備える。
以下では、まず、本発明の特徴点の一つでもある封止層28の態様について詳述し、その後各部材の説明を行う。
図1において、封止層28は、絶縁層10、第1引き出し配線部14およびフレキシブルプリント配線板30上に配置される封止層28aと、絶縁層10、第2引き出し配線部22およびフレキシブルプリント配線板30上に配置される封止層28bと、静電容量式タッチパネル100の端面を覆うように配置された封止層28cとから構成される。
封止層28aは、第1透明樹脂層16によって覆われていない第1引き出し配線部14の他端側(フレキシブルプリント配線板30がある側)の第1透明樹脂層16の端面(側面)、並びに、第1透明樹脂層16およびフレキシブルプリント配線板30によって覆われていない第1引き出し配線部14の露出面を覆うように、絶縁層10、第1引き出し配線部14、およびフレキシブルプリント配線板30上に配置された層である。
封止層28bは、第2透明樹脂層24によって覆われていない第2引き出し配線部22の他端側(フレキシブルプリント配線板30がある側)の第2透明樹脂層24の端面(側面)、並びに、第2透明樹脂層24およびフレキシブルプリント配線板30によって覆われていない第2引き出し配線部22の露出面を覆うように、絶縁層10、第2引き出し配線部22、およびフレキシブルプリント配線板30上に配置された層である。
なお、図1中、封止層28aおよび28bは、第1保護基板18および第2保護基板26の端面の一部を覆うように配置されているが、該形態に限定されない。例えば、第1保護基板18および第2保護基板26の端面の全体を覆うように配置されていてもよい。
封止層28cは、図1中の長尺状の静電容量式タッチパネル100のフレキシブルプリント配線板30が配置される側の一辺においては、絶縁層10の端面を覆うように配置されている。
図1中、封止層28cは、第1保護基板18および第2保護基板26の端面の一部を覆うように配置されているが、該形態に限定されない。例えば、第1保護基板18および第2保護基板26の端面の全体を覆うように配置されていてもよい。
また、視認性により優れると共に、動作不良の発生がより抑制される点から、第1保護基板18および第2保護基板26のそれぞれの外側の主面18aおよび26a以外の絶縁層10、第1透明樹脂層16、第1保護基板18、第2透明樹脂層24、および第2保護基板26の周縁部(静電容量式タッチパネル100の周縁部)に封止層が配置されていることが好ましい。なお、静電容量式タッチパネル100の全面(露出する面)に封止層が配置されていてもよい。
一方、封止層28の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)超の場合、タッチパネルの塩水に対する耐性が低下し、塩水試験後に引き出し配線部間の絶縁抵抗が変動し、動作不良が発生しやすくなる。
なお、水蒸気透過度の測定方法としては、JIS K 7129に準じた、感湿センサー法で行う。また、「25℃90%RH、25μm」とは、水蒸気透過度の測定条件を示し、封止層の層厚が25μmで、25℃で90%RHの環境下での測定結果であることを意図する。また、透過度の単位「g/m2/24h/atm」は、「g/m2・24hr・atm」と同義である。
一方、封止層28の厚みが1.0μm未満の場合、タッチパネルの塩水に対する耐性が低下し、塩水試験後に引き出し配線部間の絶縁抵抗が変動し、動作不良が発生しやすくなる。
なお、封止層28の厚みは、封止層28の任意の20箇所以上の場所の厚みを測定し、それらを算術平均した平均値である。
なかでも、塩水試験後のタッチパネルの動作不良発生がより抑制される点で、フッ素系樹脂が好ましく、特に、(A)炭素数1〜12の(パー)フルオロアルキル基および/または(パー)フルオロポリエーテル基を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、(B)フッ素を含有しない、炭素−炭素二重結合を有するモノマーを共重合してなるフッ素系樹脂がより好ましい。なお、ここで(パー)フルオロアルキル基とは、フルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基の意味であり、(パー)フルオロポリエーテル基とは、フルオロポリエーテル基またはパーフルオロポリエーテル基の意味である。
また、(A)成分における官能基は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基が好ましい。これらの基を有することで後に詳述する溶剤に対する溶解性がさらに向上する。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、スチレン系モノマーとしてはスチレンなどが、オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレンなどが、ビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
上記(B)成分は、一種を単独で、または二種以上を混合して用いることができ、その含有量は、(A)成分と(B)成分を共重合してなるフッ素系樹脂を基準に、5〜50質量%の範囲であることが好ましい。(B)成分が5質量%未満であると、封止層28がもろくなり、また50質量%を超えると溶剤への溶解性が低くなる場合がある。以上の観点から(B)成分は、10〜40質量%の範囲であることがさらに好ましい。
該フッ素系樹脂はコーティング剤中に、8〜60質量%の範囲で含有されることが好ましい。8質量%以上であると、高膜厚になるため、高い防湿性が得られ、一方、60質量%以下であると、適切な粘性があるため、塗布性および乾燥性に優れる。以上の観点から、コーティング剤におけるフッ素系樹脂の含有量は、10〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
コーティング剤は、上記フッ素系樹脂の他に不燃性フッ素系溶剤を含有することが好ましい。不燃性フッ素系溶剤は、構造中にフッ素を含有することによって引火点を生じない物質をいい、常温で液体であることが好ましく、またコーティング剤を塗布した後の乾燥性の観点から、沸点は55℃以上であることが好ましい。沸点が55℃以上であると乾燥速度が速すぎず、平滑な均一の皮膜を得ることができる。沸点の上限については、特に制限はないが、高い生産性で皮膜が得られるとの観点から180℃以下であることが好ましい。
不燃性フッ素系溶剤としては上記物性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。これらの不燃性フッ素系溶剤は、一種単独で、または二種以上を混合して使用することができる。
また、上記不燃性フッ素系溶剤に加えて、コーティング剤全体として引火性を有しない範囲内であれば、その他の溶剤を加えることができる。例えば、トリフルオロプロパノール、メタキシレンヘキサフロライドなどの引火性を持つフッ素系溶剤やアルコール、パラフィン系溶剤、エステル系溶剤などの有機溶剤を混合することができる。
絶縁層10の厚み(絶縁層が2層以上の複層の場合は、それらの合計厚み)は特に制限されないが、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。上記範囲内であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
絶縁層10の全光線透過率は、85〜100%であることが好ましい。
絶縁樹脂層を構成する材料としては、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアミド、ポリアリレート、ポリオレフィン、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。なかでも、透明性に優れる理由から、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース樹脂であることが好ましい。
第1電極部12は、第1方向(X方向)に延び、第1方向と直交する第2方向(Y方向)に配列された電極であり、所定のパターンを含む。第2電極部20は、第2方向(Y方向)に延び、第1方向(X方向)に配列された電極であり、所定のパターンを含む。図1においては、第1電極部12は5つ、第2電極部20は4つ設けられているが、その数は特に制限されず複数あればよい。
図1中、第1電極部12および第2電極部20は、導電性細線により構成される。図2に、第1電極部12の拡大平面図を示す。図2に示すように、第1電極部12は、導電性細線36により構成され、交差する導電性細線36による複数の格子38を含んでいる。なお、第2電極部20も、第1電極部12と同様に、交差する導電性細線36による複数の格子38を含んでいる。
なお、図1においては、第1電極部12および第2電極部20は、共に長尺状の電極であるが、その形状は該態様に限定されず、ダイヤ形状が直列につながったいわゆるダイヤモンドパターンでもよい。
バインダーとしては、導電性細線36と絶縁層10との密着性がより優れる理由から、水溶性高分子であることが好ましい。バインダーの種類としては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。なかでも、導電性細線36と絶縁層10との密着性がより優れる理由から、ゼラチンが好ましい。
なお、ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
なお、金属とバインダーの体積比は、導電性細線36中に含まれる金属およびバインダーの密度より計算することができる。例えば、金属が銀の場合、銀の密度を10.5g/cm3として、バインダーがゼラチンの場合、ゼラチンの密度を1.34g/cm3として計算して求めるものとする。
導電性細線36の厚みは特に制限されないが、導電性と視認性との観点から、0.00001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、0.01〜9μmがさらに好ましく、0.05〜5μmが最も好ましい。
第1電極部12および第2電極部20では、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、所定領域において第1電極部12または第2電極部20中の導電性細線36を除いた透過性部分が全体に占める割合に相当する。
なお、図2においては、導電性細線36はメッシュパターンとして形成されているが、この態様には限定されず、ストライプパターンであってもよい。
また、電極部のパターニングは、電極部の材料に応じて選択でき、フォトリソグラフィー法やレジストマスクスクリーン印刷−エッチング法、インクジェット法、印刷法などを用いてもよい。
第2引き出し配線部22は、第2電極部20と後述するフレキシブルプリント配線板30とを接続するための配線である。第2引き出し配線部22は、第2電極部20の周縁部に配置され、その一端が第2電極部20に接続され、他端がフレキシブルプリント配線板30中の図示しない端子と電気的に接続している。つまり、第2引き出し配線部22の他端は、後述する第2透明樹脂層24の外側にまで延在しており、その延在部上に上述した封止層28が配置されている。
なお、図1に示すように、第1引き出し配線部14および第2引き出し配線部22のそれぞれの他端は集合して、フレキシブルプリント配線板30と接続する他端部を構成する。また、図1においては、第1引き出し配線部14は5本、第2引き出し配線部22は4本記載されているが、その数は特に制限されず、通常、電極部の数に応じて複数配置される。
金属ナノワイヤを構成する金属は、特に制限はなく、1種の金属だけからなるものでもよく、2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金を用いることも可能である。具体的には、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金などが挙げられる。銀を質量比で50%以上含有する銀ナノワイヤが好ましい。
第1透明樹脂層16および第2透明樹脂層24の厚みは特に制限されないが、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。上記範囲内であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
第1透明樹脂層16および第2透明樹脂層24の全光線透過率は、85〜100%であることが好ましい。
上記粘着性絶縁材料の好適態様であるアクリル系粘着性絶縁材料は、アルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーを主成分としたものである。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アクリル系粘着性絶縁材料のなかでも、粘着性がより優れる点から、アルキル基の炭素数が1〜12程度であるアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーであることが好ましく、上記炭素数のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位および上記炭素数のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーがより好ましい。
上記アクリル系ポリマー中の繰り返し単位のなかには、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位が含まれていてもよい。
第1保護基板18および第2保護基板26として、透明基板であることが好ましくプラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等が用いられる。層の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン系樹脂(COP)等を用いることができる。
また、第1保護基板18および第2保護基板26として、液晶ディスプレイや偏光板、円偏光板などを用いてもよい。
絶縁層10上に第1電極部12および第1引き出し配線部14、並びに、第2電極部20および第2引き出し配線部22を形成する方法としては、例えば、絶縁層10の両主面上に形成された金属箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する金属箔をエッチングする方法が挙げられる。
または、絶縁層10の両主面上に金属微粒子または金属ナノワイヤを含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行う方法が挙げられる。
また、絶縁層10上にスクリーン印刷版またはグラビア印刷版によって印刷形成する方法、または、インクジェットにより形成する方法も挙げられる。
以下に、各工程に関して説明する。
工程(1)は、絶縁層10の両面に、ハロゲン化銀とバインダーとを含有する感光性層を形成する工程である。
感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀およびバインダーを含有する感光性層形成用組成物を絶縁層10に接触させ、絶縁層10の両面上に感光性層を形成する方法が好ましい。
以下に、上記方法で使用される感光性層形成用組成物の態様について詳述した後、工程の手順について詳述する。
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。ハロゲン化銀としては、例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、更に臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
使用されるバインダーの種類は、上述の通りである。また、バインダーはラテックスの形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
感光性層形成用組成物中に含まれるハロゲン化銀およびバインダーの体積比は特に制限されず、上述した導電性細線36中における金属とバインダーとの好適な体積比の範囲となるように適宜調整される。
使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
使用される溶媒の含有量は特に制限されないが、ハロゲン化銀およびバインダーの合計質量に対して、30〜90質量%の範囲が好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましい。
感光性層形成用組成物と絶縁層10とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、感光性層形成用組成物を絶縁層10に塗布する方法や、感光性層形成用組成物中に絶縁層10を浸漬する方法などが挙げられる。
形成された感光性層中におけるバインダーの含有量は特に制限されないが、0.3〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g/m2がより好ましい。
また、感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されないが、導電性細線36の導電特性がより優れる点で、銀換算で1.0〜20.0g/m2が好ましく、5.0〜15.0g/m2がより好ましい。
工程(2)は、上記工程(1)で得られた感光性層をパターン露光した後、現像処理することにより第1電極部12および第1引き出し配線部14、並びに、第2電極部20および第2引き出し配線部22を形成する工程である。
まず、以下では、パターン露光処理について詳述し、その後現像処理について詳述する。
感光性層に対してパターン状の露光を施すことにより、露光領域における感光性層中のハロゲン化銀が潜像を形成する。この潜像が形成された領域は、後述する現像処理によって導電性細線を形成する。一方、露光がなされなかった未露光領域では、後述する定着処理の際にハロゲン化銀が溶解して感光性層から流出し、透明な膜が得られる。
露光の際に使用される光源は特に制限されず、可視光線、紫外線などの光、または、X線などの放射線などが挙げられる。
パターン露光を行う方法は特に制限されず、例えば、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。なお、パターンの形状は特に制限されず、形成したい導電性細線のパターンに合わせて適宜調整される。
現像処理の方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
現像処理の際に使用される現像液の種類は特に制限されないが、例えば、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がより好ましい。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、7秒〜50秒がより好ましい。
現像処理後の露光部(導電性細線)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
(下塗層形成工程)
絶縁層とハロゲン化銀乳剤層との密着性に優れる理由から、上記工程(1)の前に、絶縁層の両面に上記バインダーを含む下塗層を形成する工程を実施することが好ましい。
使用されるバインダーは上述の通りである。下塗層の厚みは特に制限されないが、密着性と相互静電容量の変化率がより抑えられる点で、0.01〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。
(アンチハレーション層形成工程)
導電性細線の細線化の観点で、上記工程(1)の前に、絶縁層の両面にアンチハレーション層を形成する工程を実施することが好ましい。
アンチハレーション層に用いる材料については、特開2009−188360号の段落0029から0032の記載を参照することができる
相互静電容量の変化率がより抑えられ、また、電極部間の耐マイグレーション性に優れる理由から、アンチハレーション層には架橋剤が含有されることが好ましい。架橋剤としては、有機硬膜剤、無機硬膜剤いずれも用いることができるが、硬膜制御の観点で有機硬膜剤が好ましく、具体例としては、例えば、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸誘導体、スルホン酸エステル、トリアジン類、活性オレフィン類、イソシアネート、カルボジイミドが挙げられる。
工程(3)は、上記現像処理の後に加熱処理を実施する工程である。本工程を実施することにより、バインダー間で融着が起こり、導電性細線の硬度がより上昇する。特に、感光性層形成用組成物中にバインダーとしてポリマー粒子を分散している場合(バインダーがラテックス中のポリマー粒子の場合)、本工程を実施することにより、ポリマー粒子間で融着が起こり、所望の硬さを示す導電性細線が形成される。
加熱処理の条件は使用されるバインダーによって適宜好適な条件が選択されるが、40℃以上であることがポリマー粒子の造膜温度の観点から好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。また、絶縁層のカール等を抑制する観点から、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、絶縁層のカール等を抑制する観点、および、生産性の観点から、1〜5分間であることが好ましく、1〜3分間であることがより好ましい。
なお、この加熱処理は、通常、露光、現像処理の後に行われる乾燥工程と兼ねることができるため、ポリマー粒子の造膜のために新たな工程を増加させる必要がなく、生産性、コスト等の観点で優れる。
光透過性部には上記バインダー以外の材料が含まれていてもよく、例えば、銀難溶剤などが挙げられる。
光透過性部に銀難溶剤が含まれることにより、導電性細線間における金属のイオンマイグレーションをより抑制することができる。銀難溶剤としては、pKspが9以上であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。銀難溶剤としては特に限定されないが、例えば、TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸)などが挙げられる。
なお、銀の溶解度積Kspはこれらの化合物の銀イオンとの相互作用の強さの目安になる。Kspの測定方法は「坂口喜堅・菊池真一,日本写真学会誌,13,126,(1951)」と「A.Pailliofet and J.Pouradier,Bull.Soc.chim.France,1982,I−445(1982)」を参照して測定することができる。
なお、第1透明樹脂層16および第2透明樹脂層24を形成する際には、第1引き出し配線部14の第1電極部12と接合している一端とは反対側の他端、および、第2引き出し配線部22の第2電極部20と接合している一端とは反対側の他端が、それぞれ露出するように各層が形成される。
その後、フレキシブルプリント配線板30の図示しない端子と、露出している第1引き出し配線部14および第2引き出し配線部22の他端とを接続させ、フレキシブルプリント配線板30を配置して、積層体を得る。
例えば、第1保護基板18および第2保護基板26のそれぞれの主面18aおよび26a以外の全面に封止層を配置する場合は、上記で得られた積層体の第1保護基板18および第2保護基板26のそれぞれの主面18aおよび26a上に剥離可能な保護フィルムを配置して、得られた積層体を封止層形成用組成物と接触させ(好ましくは、封止層形成用組成物中に浸漬)、その後保護フィルムを剥がすことにより、所望の静電容量式タッチパネルを製造することができる。
なお、上述したコーティング剤は、乾燥性が高いために、常温で放置することにより容易に乾燥することができ、皮膜を得ることができるが、必要に応じて加熱して乾燥してもよい。
図3に、本発明の静電容量式タッチパネルの第2の実施形態の断面図を示す。なお、図3は、静電容量式タッチパネル200の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
図3に示すように、静電容量式タッチパネル200は、第1絶縁層40と、第1絶縁層40の一方の主面上に配置される第1電極部12および第1引き出し配線部14と、第1透明樹脂層16と、第2電極部20および第2引き出し配線部22と、第2絶縁層42と、第2透明樹脂層24と、保護基板44と、封止層28と、フレキシブルプリント配線板30とを備える。
図3に示す静電容量式タッチパネル200は、各層の順番が異なる点を除いて、図1に示す静電容量式タッチパネル200と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。なお、第1絶縁層40および第2絶縁層42は、図1に示す絶縁層10と同様の層であり、その定義は上述の通りである。また、保護基板44は、図1に示す第1保護基板18および第2保護基板26と同様の層であり、その定義は上述の通りである。
また、図3中の第1電極部12と第2電極部20とは、図1に示すようにそれぞれ複数使用されており、両者は図1に示すように互いに直交するように配置されている。
さらに、第1透明樹脂層16は、第1引き出し配線部14および第2引き出し配線部22のそれぞれの他端が露出するように、第1電極部12および第1引き出し配線部14上、並びに、第2電極部20および第2引き出し配線部22上に配置される。
図4に、本発明の静電容量式タッチパネルの第3の実施形態の断面図を示す。なお、図4は、静電容量式タッチパネル300の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
図4に示すように、静電容量式タッチパネル300は、第1絶縁層40と、第1絶縁層40の一方の主面上に配置される第1電極部12および第1引き出し配線部14と、第1透明樹脂層16と、第2絶縁層42と、第2電極部20および第2引き出し配線部22と、第2透明樹脂層24と、保護基板44と、封止層28と、フレキシブルプリント配線板30とを備える。
図4に示す静電容量式タッチパネル300は、各層の順番が異なる点を除いて、図3に示す静電容量式タッチパネル300と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
なお、図4中の第1電極部12と第2電極部20とは、図1に示すようにそれぞれ複数使用されており、両者は図1に示すように互いに直交するように配置されている。
さらに、第1透明樹脂層16は、第1引き出し配線部14の他端が露出するように、第1電極部12および第1引き出し配線部14上に配置される。また、第2透明樹脂層24は、第2引き出し配線部22の他端が露出するように、第2電極部20および第2引き出し配線部22上に配置される。
図4に示すように、封止層28は、第1絶縁層40と第2絶縁層42との間から露出している第1透明樹脂層16の周縁部の表面上および第2絶縁層42と保護基板44との間から露出している第2透明樹脂層24の周縁部の表面上を含む静電容量式タッチパネル300の周縁部の表面上、第1引き出し配線部14の第1透明樹脂層16およびフレキシブルプリント配線板30で覆われていない露出面上、および、第2引き出し配線部22の第2透明樹脂層24およびフレキシブルプリント配線板30で覆われていない露出面上にそれぞれに配置されている。
図5(A)および(B)に、本発明の静電容量式タッチパネルの第4の実施形態の模式図を示す。図5(A)は、静電容量式タッチパネル400の断面図であり、(B)は一部平面図である。なお、図5は、静電容量式タッチパネル400の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
静電容量式タッチパネル400は、第1絶縁層40の表面に、複数のジャンパー46と、第2絶縁層42と、第1電極部12と、図示しない第1引き出し配線部と、第2電極部20と、図示しない第2引き出し配線部と、透明樹脂層48と、保護基板44と、図示しない封止層28と、図示しないフレキシブルプリント配線板とを備える。
なお、透明樹脂層48は、上述した第1透明樹脂層16および第2透明樹脂層24と同様の層であり、その定義は上述の通りである。
透明樹脂層48は、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の他端が露出するように、第1電極部12および第2電極部20上、並びに、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部上に配置される。
保護基板44は、透明樹脂層48上に配置される。
なお、第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の他端には、図示しないフレキシブルプリント配線板が接続している。
図6(A)および(B)に、本発明の静電容量式タッチパネルの第5の実施形態の模式図を示す。図6(A)は、静電容量式タッチパネル500の断面図であり、(B)は一部平面図である。なお、図6は、静電容量式タッチパネル500の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
静電容量式タッチパネル500は、第1絶縁層40の表面に、第1電極部12と、図示しない第1引き出し配線部と、第2電極部20と、図示しない第2引き出し配線部と、第2絶縁層42と、ジャンパー46と、透明樹脂層48と、保護基板44と、図示しない封止層と、図示しないフレキシブルプリント配線板とを備える。
第1電極部12および第2電極部20には、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の一端がそれぞれ接続している。
透明樹脂層48は、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の他端が露出するように、第1電極部12および第2電極部20上、並びに、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部上に配置される。
保護基板44が、透明樹脂層48上に配置される。
なお、第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の他端には、図示しないフレキシブルプリント配線板が接続している。
図示しない封止層は、第1絶縁層40と保護基板44との間から露出している透明樹脂層48の周縁部の表面上、および、図示しない第1引き出し配線部および第2引き出し配線部の透明樹脂層48およびフレキシブルプリント配線板で覆われていない露出面上にそれぞれに配置されている。
図7(A)および(B)に、本発明の静電容量式タッチパネルの第6の実施形態の模式図を示す。図7(A)は、静電容量式タッチパネル600の断面図であり、(B)は一部平面図である。なお、図7は、静電容量式タッチパネル600の層構成に対する理解を容易にするために模式的に表したものであり、各層の配置を正確に表した図面ではない。
静電容量式タッチパネル600は、絶縁層10の表面に、複数の電極部54および複数の引き出し配線部56と、透明樹脂層48と、保護基板44と、図示しない封止層と、図示しないフレキシブルプリント配線板とを備える。
なお、電極部54は、上述した第1電極部16および第2電極部20と同様の部材であり、その定義は上述の通りである。また、引き出し配線部56は、上述した第1引き出し配線部14および第2引き出し配線部22と同様の部材であり、その定義は上述の通りである。
複数の引き出し配線部56は、それぞれ一端が対応する電極部54に接続されている。
透明樹脂層48は、引き出し配線部56の他端が露出するように、電極部54および引き出し配線部56上に配置される。
保護基板44は、透明樹脂層48上に配置される。
なお、引き出し配線部56の他端には、図示しないフレキシブルプリント配線板が接続している。
図示しない封止層は、絶縁層10と保護基板44との間から露出している透明樹脂層48の周縁部の表面上、および、引き出し配線部56の透明樹脂層48およびフレキシブルプリント配線板で覆われていない露出面上にそれぞれに配置されている。
本発明の静電容量式タッチパネルを含む入力装置の構成は特に制限されないが、例えば、図8に示す態様が挙げられる。図8(A)に示す態様はいわゆるアウトセル型の態様に該当し、バックライト110と、第1偏光板120と、液晶ディスプレイ(LCD)130と、第2偏光板140と、本発明の静電容量式タッチパネル150と、保護基板160とをこの順で含む入力装置170aが挙げられる。なお、第2偏光板140と静電容量式タッチパネル150との間は、図示しないスペーサーが配置されている。
また、入力装置の態様としては図8(A)の態様に限定されず、例えば、図8(B)に示す、バックライト110と、第1偏光板120と、液晶ディスプレイ(LCD)130と、第2偏光板140と、粘着層180と、本発明の静電容量式タッチパネル150と、保護基板160とをこの順で含む入力装置170bが挙げられる。
さらに、入力装置の別態様としては、図8(C)に示す、バックライト110と、第1偏光板120と、液晶ディスプレイ(LCD)130と、本発明の静電容量式タッチパネル150と、第2偏光板140と、保護基板160とをこの順で含む入力装置170cが挙げられる。
<実施例1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液および5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。更に、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
水 750ml
ゼラチン 9g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 8ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 10ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAgを添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整して、感光性層形成用組成物を得た。
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコロナ放電処理を施した後、上記PETフィルムの両面に、下塗層として厚み0.1μmのゼラチン層、さらに下塗層上に光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含むアンチハレーション層を設けた。上記アンチハレーション層の上に、上記感光性層形成用組成物を塗布し、さらに厚み0.15μmのゼラチン層を設け、両面に感光性層が形成されたPETフィルムを得た。得られたフィルムをフィルムAとする。形成された感光性層は、銀量6.0g/m2、ゼラチン量1.0g/m2であった。
上記フィルムAの両面に、図1に示すようなタッチパネルセンサーパターン(第1電極部および第2電極部)および引き出し配線部(第1引き出し配線部および第2引き出し配線部)を配したフォトマスクを介し、高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光を行った。露光後、下記の現像液で現像し、更に定着液(商品名:CN16X用N3X−R、富士フィルム社製)を用いて現像処理を行った。さらに、純水でリンスし、乾燥することで、両面にAg細線からなる電極パターンとゼラチン層とが形成されたPETフィルムを得た。ゼラチン層はAg細線間に形成されていた。得られたフィルムをフィルムBとする。なお、引き出し配線部のL/S(ライン/スペース)は100μm/100μmであった。
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
上記積層体を略センサーサイズの0.7mm厚のソーダライムガラスと同じ大きさに外形を整え、FPCをソニーケミカルズ社製ACF(CP906AM−25AC)で圧着接合したのちに、トップ側に上記ソーダライムガラスを貼り付け、タッチパネルを作製した。
なお、封止層の厚みは、光干渉式膜厚計(K−MAC社、ST−2000DLXn)を用いて、任意の20箇所以上の場所の厚みを測定し、それらを算術平均した平均値である。
「A」:全てのラインで動作が確認された。
「B」:一部のラインで動作不良が確認された。
「C」:全てのラインで動作不良が確認された。
上記手順に従って作製したタッチパネル50ピースを、塩水試験噴霧した後96時間吸湿させた後、更に60℃/90%環境下で240時間放置した後のタッチパネルの動作確認を実施し、全てのラインで動作が確認される「A」ランクのタッチパネルの割合(%)[(「A」ランクのタッチパネルの数/50)×100]を評価した。結果は表1に示す。なお、ラインとは、第1電極部および第2電極部を意図する。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から30mm/秒の条件に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から20mm/秒の条件に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から10mm/秒の条件に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
実施例1と同様に作製したタッチパネルのハードコートフイルムおよびガラス面上に、タッチパネルサイズより1mm小さなサイズに切った保護フィルム(PAC3-70、サンエー化研)を貼った状態で、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後、50mm/秒の条件で引き上げ、室温で30分乾燥させ、保護フィルムを剥がして、FG−3030C−20より形成される封止層をタッチパネル側面端部にコートさせたタッチパネルを得た。なお、タッチパネル端部に形成された封止層の厚みは10μmであった。
実施例5で得られたタッチパネルは、保護フィルムで保護したハードコートフイルムおよびガラス面上以外の部分(主に、側端部)に封止層が配置されている。
実施例1で実施したFG−3030C−20中への浸漬を実施せず、封止層を作製しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
封止層の厚みを10μmから0.5μmとなるようにした以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
FG−3030C−20の代わりにアクリル樹脂(UV硬化型接着剤NOA76、NORLAND社製)を使用して、UV硬化を行い、全面コートした以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
FG−3030C−20の代わりにエポキシ樹脂(アラルダイトスタンダード、チバガイギー社製)を使用して、UV硬化を行い、全面コートした以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
FG−3030C−20の代わりにシリコーン系樹脂(HIPEC−R6101/東レダウコーニング)を使用して、UV硬化を行い、全面コートした以外は、実施例1と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
一方、封止層を設けていない比較例1においては、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
また、封止層の厚みが0.5μmである比較例2、所定の水蒸気透過度を示さない封止層を使用した比較例3〜5においても、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
(銀ナノワイヤ分散物の調製)
銀ナノワイヤは、CAMBRIOS社の米国出願特許に記載されている合成方法((公開番号 US2008/0210052、EXAMPLE 8)に沿って作製した。以下に詳細条件を示す。
導電層の形成は、CAMBRIOS社の米国出願特許に記載されている塗布液処方(公開番号US2008/0259262、EXAMPLE 2)に沿って調製した。以下に詳細条件を示す。
銀ナノワイヤ: 0.2重量%
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース): 0.4重量%
Triton-X100: 0.025重量%
水: 49.375重量%
イソプロパノール: 50.0重量%
調製した塗布液を、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム表面上に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、100℃で1分間乾燥し、「導電層A」を形成した。導電層Aの表面抵抗値をロレスター四端子法で測定した結果、50Ω/□であった。
下記化合物を混合・攪拌して、保護層塗布液を調製した。
綜研化学(株)製フォレットGS-1000(直鎖アクリル系樹脂、固形分濃度30質量%):500g
ダイキン工業(株)製オブツールDAC(固形分濃度20質量%):0.75g
酢酸エチル:1501.25g
調製した保護層塗布液を上記導電層Aの上に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥し、800nmの保護層を設け、導電積層体を形成した。
上記方法で得られた導電積層体表面に、エッチングマスク材をネガ型フォトレジスト方式で形成し、銀を溶解するエッチング液に浸漬することで導電層の導電部と非導電部を形成した。
〔ネガレジスト処方〕
(合成例1)バインダー(A−1)の合成
共重合体を構成するモノマー成分として、MAA(メタクリル酸;7.79g)、BzMA(ベンジルメタクリレート;37.21g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル);0.5g)を使用し、これらを溶剤PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;55.00g)中において重合反応させることにより下記式で表されるバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
バインダー(A−1)3.80質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、感光性化合物としてのKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)1.59質量部、光重合開始剤としてのIRGACURE379(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.159質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.150質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.002質量部、およびPGMEA19.3質量部を加え、攪拌し、感光性組成物(1)を調製した。
−レジストパターニング(エッチングマスク材付与)工程−
上記で得られた導電積層体上に、感光性組成物(1)を乾燥膜厚5μmとなるようバー塗布し、150℃のオーブンで5分間乾燥した。この基板に露光ガラスマスク上から、高圧水銀灯i線(365nm)を400mJ/cm2(照度50mW/cm2)露光を行った。
露光後の基板を、1%水酸化ナトリウム水溶液(35℃)でシャワー現像60秒間を行った。シャワー圧は0.08MPa、ストライプパターンが出現するまでの時間は30秒であった。純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、レジストパターン付導電積層体を作製した。
なお、露光ガラスマスクは、静電容量式タッチパネルのセンサー電極が形成可能なマスクを用いた。
−エッチング工程−
レジストパターン付導電積層体を、エッチング液(硝酸)に浸漬した。35℃に調整したエッチング液に2分間浸漬させてエッチング処理を行い、純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、レジストパターン付パターン状導電積層体を作製した。
−レジスト剥離工程−
エッチング後のレジストパターン付パターン状導電積層体を、35℃に保温した2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でシャワー現像75秒間を行った。シャワー圧は3.0MPaであった。純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、第1電極パターン部材を作製した。作製した第1電極パターン部材の電極部の端子間抵抗値をテスターで測定した結果、所望の抵抗値を示し、隣接電極部間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
次に、第1電極パターンの形成方法と向きが90度異なる以外は同様な方法で第2電極パターン部材を作製した。得られた第2電極パターン部材の電極部の端子間抵抗値をテスターで測定した結果、所望の抵抗値を示し、隣接電極部間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
上記パターニングにより形成された、第1電極パターン部材中の第1電極パターンおよび第2電極パターン部材中の第2電極パターンに接続された引き出し配線(周辺配線)は、以下の様に作製した。すなわち、銀ペースト(ドータイトFA−401CA、藤倉化成製)をスクリーン印刷機で印刷した後、130℃、30分アニール処理することにより硬化し、引き出し配線(周辺配線)を形成した。なお、引き出し配線のL/S(ライン/スペース)は100μm/100μmであり、隣接する引き出し配線間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
なお、スクリーン印刷版は静電容量式タッチパネル用周辺配線が形成可能な印刷版を用いた。
上記方法で作製した第1電極パターン部材と第2電極パターン部材との電極部面同士を向かい合わせにして、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)を間に配置して、第1電極パターン部材および第2電極パターン部材を貼り合せて、積層体を得た。尚、ここに使用するOCAは、第1電極パターン部材および第2電極パターン部材の引き出し配線の他端が露出するように、FPC圧着部に相当する部分を事前にくりぬきFPCが圧着できるようにした。上記積層体に、略センサーサイズの0.7mm厚のソーダライムガラスと同じ大きさに外形を整えFPCをソニーケミカルズ社製ACF(CP906AM−25AC)で圧着接合した。その後、積層体中の第1電極パターン部材のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)、きもと社製ハードコートフイルム(G1SBF:50マイクロメートル厚)を順に積層し、積層体中の第2電極パターン部材のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)、ソーダライムガラスを貼り付けた。
上記方法で作製したタッチパネルを、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後、50mm/秒の条件で引き上げ、室温で30分乾燥させ、FG−3030C−20を全面コートさせたタッチパネルを得た。その後、得られたタッチパネルを用いて、JIS Z 2731に準拠して中性条件で塩水噴霧試験を行った。さらに、引き続き、60℃/90%の高温高湿中に晒して96時間吸湿させた後、絶縁抵抗を測定した。表2に結果を示す。なお、塩水噴霧試験前後の隣り合う引き出し配線部間の絶縁抵抗値はテスタープローブを用いて測定し、全配線部間の平均値を算出した。
「A」:全てのラインで動作が確認された。
「B」:一部のラインで動作不良が確認された。
「C」:全てのラインで動作不良が確認された。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から30mm/秒の条件に変更した以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルを、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から20mm/秒の条件に変更した以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルを、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から10mm/秒の条件に変更した以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
実施例11で実施したFG−3030C−20中への浸漬を実施せず、封止層を作製しなかった以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルの端面をマスキングした状態で、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後、2cm/Sの条件で引き上げ、室温で30分乾燥させ、FG−3030C−20をACF/FPC部のみにコートさせた構造物を得た。その後、実施例11と同様の評価を行った。表2に結果を記載した。
なお、上記構造物では、引き出し配線部の露出面上にのみ透明樹脂層が配置されており、透明樹脂層(OCA)の一部の露出側面部上に封止層(FG−3030C−20)が配置されていない。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から5mm/秒の条件に変更した以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
一方、封止層を設けていない比較例11においては、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
また、透明樹脂層の露出部分上に封止層が設けられていない比較例12、および、封止層の厚みが0.5μmである比較例13においては、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
(第1電極パターン(第1電極部)の形成)
ITO透明導電材料表面(ALDRICH社製、639281-1EA、100Ω/□)に、エッチングマスク材をネガ型フォトレジスト方式で形成し、ITOを溶解するエッチング液に浸漬することで導電層の導電部と非導電部を形成した。
ITO透明導電材料表面上に、上述した実施例Bで調製した感光性組成物(1)を乾燥膜厚5μmとなるようバー塗布し、150℃のオーブンで5分間乾燥した。この基板に露光ガラスマスク上から、高圧水銀灯i線(365nm)を400mJ/cm2(照度50mW/cm2)露光を行った。
露光後の基板を、1%水酸化ナトリウム水溶液(35℃)でシャワー現像60秒間を行った。シャワー圧は0.08MPa、ストライプパターンが出現するまでの時間は30秒であった。純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、レジストパターン付導電性部材を作製した。
なお、露光ガラスマスクは、静電容量式タッチパネルのセンサー電極が形成可能なマスクを用いた。
−エッチング工程−
レジストパターン付導電性部材を、ITO用エッチング液に浸漬した。35℃に調整したエッチング液に2分間浸漬させてエッチング処理を行い、純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、レジストパターン付パターン状導電性部材を作製した。
−レジスト剥離工程−
エッチング後のレジストパターン付パターン状導電性部材を、35℃に保温した2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でシャワー現像75秒間を行った。シャワー圧は3.0MPaであった。純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、第1電極パターン部材を作製した。作製した第1電極パターン部材の電極部の端子間抵抗値をテスターで測定した結果、所望の抵抗値を示し、隣接電極部間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
次に、第1電極パターンの形成方法と向きが90度異なる以外は同様な方法で第2電極パターン部材を作製した。得られた第2電極パターン部材の電極部の端子間抵抗値をテスターで測定した結果、所望の抵抗値を示し、隣接電極部間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
上記パターニングにより形成された、第1電極パターン部材中の第1電極パターンおよび第2電極パターン部材中の第2電極パターンに接続された引き出し配線(周辺配線)は、以下の様に作製した。すなわち、銀ペースト(ドータイトFA-401CA、藤倉化成製)をスクリーン印刷機で印刷した後、130℃、30分アニール処理することにより硬化し、周辺配線を形成した。なお、引き出し配線のL/S(ライン/スペース)は100μm/100μmであり、隣接する引き出し配線間の絶縁抵抗値は10MΩ以上であった。
なお、スクリーン印刷版は静電容量式タッチパネル用周辺配線が形成可能な印刷版を用いた。
上記方法で作製した第1電極パターン部材と第2電極パターン部材との電極面を向かい合わせにして、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)を間に配置して、第1電極パターン部材および第2電極パターン部材を貼り合せて、積層体を得た。尚、ここに使用するOCAは、第1電極パターン部材および第2電極パターン部材の引き出し配線の他端が露出するように、FPC圧着部に相当する部分を事前にくりぬきFPCが圧着できるようにした。上記積層物に、略センサーサイズの0.7mm厚のソーダライムガラスと同じ大きさに外形を整えFPCをソニーケミカルズ社製ACF(CP906AM−25AC)で圧着接合した。その後、積層体中の第1電極パターン部材側の表面上に、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)、きもと社製ハードコートフイルム(G1SBF:50マイクロメートル厚)を順に積層し、積層体中の第2電極パターン部材側の表面上に、3M社製OCA(#8146−4:100マイクロメートル厚)、ソーダライムガラスを貼り付けた。
(実施例21)
上記方法で作製したタッチパネルを、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後、50mm/秒の条件で引き上げ、室温で30分乾燥させ、FG−3030C−20を全面コートさせたタッチパネルを得た。その後、得られたタッチパネルを用いて、JIS Z 2731に準拠して中性条件で塩水噴霧試験を行った。さらに、引き続き、60℃/90%の高温高湿中に晒して96時間吸湿させた後、絶縁抵抗を測定した。表3に結果を示す。なお、塩水噴霧試験前後の隣り合う引き出し配線部間の絶縁抵抗値はテスタープローブを用いて測定し、全配線部間の平均値を算出した。
「A」:全てのラインで動作が確認された。
「B」:一部のラインで動作不良が確認された。
「C」:全てのラインで動作不良が確認された。
上記方法で作製したタッチパネルを、FG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から30mm/秒の条件に変更した以外は、実施例21と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表3にまとめて示す。
実施例21で実施したFG−3030C−20中への浸漬を実施せず、封止層を作製しなかった以外は、実施例21と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表3にまとめて示す。
上記方法で作製したタッチパネルをFG−3030C−20(フロロテクノロジー社製、フッ素系表面処理剤)中に10秒間浸漬させた後の引き上げ速度を、50mm/秒から5mm/秒の条件に変更した以外は、実施例11と同様の手順に従ってタッチパネルを製造し、各種評価を行った。結果を表3にまとめて示す。
一方、封止層を設けていない比較例21においては、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
また、封止層の厚みが0.5μmである比較例22においては、塩水試験後において絶縁抵抗が大きく低下し、塩水試験後の動作不良が起こっていた。
12 第1電極部
14 第1引き出し配線部
16 第1透明樹脂層
18 第1保護基板
20 第2電極部
22 第2引き出し配線部
24 第2透明樹脂層
26 第2保護基板
28 封止層
30 フレキシブルプリント配線板
36 導電性細線
38 格子
40 第1絶縁層
42 第2絶縁層
44 保護基板
46 ジャンパー
48 透明樹脂層
50 スルーホール
52 接続部
54 電極部
56 引き出し配線部
100,150,200,300,400,500,600 静電容量式タッチパネル
110 バックライト
120,140 偏光板
130 LCD
160 保護基板
170a,170b,170c 入力装置
180 透明樹脂層
Claims (12)
- 絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも一方の主面上に配置された複数の電極部と、
前記絶縁層の前記複数の電極部が配置された主面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記電極部に接続された複数の引き出し配線部と、
前記引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、前記電極部および前記引き出し配線部上に配置された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層上に配置された基板と、
を備え、
少なくとも、前記絶縁層と前記基板との間から露出している前記透明樹脂層の周縁部の表面上、および、前記引き出し配線部の露出面上に封止層が配置され、
前記封止層の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、前記封止層の層厚が1.0μm以上である、静電容量式タッチパネル。 - 絶縁層と、
前記絶縁層の表面上に配置された複数の第1電極部と、
前記絶縁層の表面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記第1電極部に接続された複数の第1引き出し配線部と、
前記第1引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、前記第1電極部および前記第1引き出し配線部上に配置された第1透明樹脂層と、
前記第1透明樹脂層上に配置された第1保護基板と、
前記絶縁層の裏面上に配置された複数の第2電極部と、
前記絶縁層の裏面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記第2電極部に接続された複数の第2引き出し配線部と、
前記第2引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、前記第2電極部および前記第2引き出し配線部上に配置された第2透明樹脂層と、
前記第2透明樹脂層上に配置された第2保護基板と、
を有し、
少なくとも、前記絶縁層と前記第1保護基板との間から露出している前記第1透明樹脂層の周縁部の表面上および前記絶縁層と前記第2保護基板との間から露出している前記第2透明樹脂層の周縁部の表面上と、前記第1引き出し配線および前記第2引き出し配線の露出面上とに封止層が配置され、
前記封止層の水蒸気透過度が20g/m2/24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、前記封止層の層厚が1.0μm以上である、請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。 - 前記封止層が、フッ素系樹脂を含む、請求項1または2に記載の静電容量式タッチパネル。
- 前記封止層が、フッ素原子を1質量%以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
- 前記封止層が、封止層形成用組成物により形成された層であり、
前記封止層形成用組成物の表面張力が20mN/m以下であり、
前記封止層形成用組成物の粘度が100cps以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルを備える入力デバイス。
- 請求項2〜5のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの製造方法であって、
絶縁層と、前記絶縁層の表面上に配置された複数の第1電極部と、前記絶縁層の表面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記第1電極部に接続された複数の第1引き出し配線部と、前記第1引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように前記第1電極部および前記第1引き出し配線部上に配置された第1透明樹脂層と、前記第1透明樹脂層上に配置された第1保護基板と、前記第1保護基板の主面上に剥離可能に配置された第1保護フィルムと、前記絶縁層の裏面上に配置された複数の第2電極部と、前記絶縁層の裏面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記第2電極部に接続された複数の第2引き出し配線部と、前記第2引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、前記第2電極部および前記第2引き出し配線部上に配置された第2透明樹脂層と、前記第2透明樹脂層上に配置された第2保護基板と、前記第2保護基板の主面上に剥離可能に配置された第2保護フィルムとを有する積層体を、封止剤を含む封止層形成用組成物に接触させる工程を備える、静電容量式タッチパネルの製造方法。 - 前記接触が、スプレー処理、浸漬処理、またはディスペンスによって行われる、請求項7に記載の静電容量式タッチパネルの製造方法。
- 絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも一方の主面上に配置された複数の電極部と、
前記絶縁層の前記複数の電極部が配置された主面上に配置されると共にそれぞれ一端が対応する前記電極部に接続された複数の引き出し配線部と、
前記引き出し配線部のそれぞれの他端が露出するように、前記電極部および前記引き出し配線部上に配置された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層上に配置された基板と、
を備え、
少なくとも、前記絶縁層と前記基板との間から露出している前記透明樹脂層の周縁部の表面上、および、前記引き出し配線部の露出面上に封止層が配置され、
前記封止層の水蒸気透過度が20g/m 2 /24h/atm(25℃90%RH、25μm)以下であり、前記封止層の層厚が1.0μm以上であり、
JIS Z 2371の塩水噴霧試験24時間後に測定した隣り合う前記引き出し配線部間の直流抵抗が300kΩ以上である、静電容量式タッチパネル。 - 前記引き出し配線部が銀を含む、請求項9に記載の静電容量式タッチパネル。
- 前記電極部が、金属酸化物からなる透明電極部である、請求項9または10に電容量式タッチパネル。
- 前記電極部が、平均ワイヤ径50nm以下で、平均ワイヤ長5μm以上である金属ナノワイヤからなる透明電極部である、請求項9または10に記載の静電容量式タッチパネル。
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