以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図1は本発明が適用されるライン型インクジェットプリンタの概略構成を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態のライン型インクジェットプリンタ(請求項中のカラーインクジェット印刷装置に相当。以下、「インクジェットプリンタ」と略記する。)1は、筐体100の内外に、制御ユニット10と、給紙部101と、プリンタ部102と、ディスプレイ103と、ベルトプラテン機構部104と、記録紙循環搬送路部105と、排紙部106と、外部記憶装置107とを設けて構成されている。
給紙部101は、筐体100の側面に配設されたサイド給紙台21と、筐体100内の左下方部位に配設された複数の給紙台22,23とを備えている。サイド給紙台21は記録紙S(請求項中の記録媒体に相当。)のサイズを検出しながら適宜なサイズの記録紙Sを積層可能になっている。一方、複数の給紙台22,23は例えばA4サイズ,A3サイズなど特定のサイズの記録紙Sをそれぞれ積層可能になっている。
そして、サイド給紙台21又は複数の給紙台22,23上に積層された未印刷の記録紙Sのうち各最上層の記録紙Sが、各給紙ローラ24によって1枚ずつローラ等の駆動機構による給紙搬送路KRに給紙される。給紙された記録紙Sは、給紙搬送路KRに沿って記録紙循環搬送路部105中のレジストローラ対51に搬送される。このレジストローラ対51では、記録紙Sの先頭位置が揃うようにタイミング合わせが行われる。
プリンタ部102は、給紙部101の下流側で且つ記録紙循環搬送路部105の上流側に固定設置されており、筐体100内の略中央部位に位置している。
このプリンタ部102では、複数色のインクと対応して複数のライン型インクジェットヘッド(請求項中のインクジェットヘッドに相当。以下、「インクジェットヘッド」と略記する。)31が配置されている。具体的には、記録紙Sの搬送方向における上流側から下流側に向かって、C(シアン)用,K(ブラック)用,M(マゼンタ)用,Y(イエロー)用の順に、各インクジェットヘッド31が配置されている。各色のインクジェットヘッド31は、ヘッドホルダ32に取り付けられて、ベルトプラテン機構部104による記録紙Sの搬送方向Xに等間隔をおいて配置されている。
ここで、各色ごとに設けた複数のインクジェットヘッド31は全て同じ構造に形成されている。詳細な図示を省略するが、各色のインクジェットヘッド31には、複数のノズルを図1の紙面と垂直な主走査方向に沿って配列させたヘッドブロックが多数設けられている。そして、主走査方向に沿った一のライン上に沿って複数個のヘッドブロックが配置され、且つ、主走査方向と直交する副走査方向(搬送方向Xと同方向)に計2ラインに分けてヘッドブロックが配置されている。なお、隣り合うライン1,2では各ヘッドブロックが一部重なりあうように互い違いに千鳥状に配置されている。
各インクジェットヘッド31は、同一画素にノズル(図示せず)から吐出するインクのドロップ数を変化させることができるマルチドロップのインクジェット方式で印刷画像の印刷を行う。一つの画素に対するインクの最大吐出ドロップ数は、記録紙Sの種類(例えば、マット紙、インクジェット用紙、普通紙等)によって個別に定められている。各画素に各色のインクジェットヘッド31から吐出されるインク液滴のドロップ数は、印刷用多値データによって規定される。印刷用多値データは、クライアント端末14から入力される印刷ジョブのポストスクリプトデータに基づいて、制御ユニット10の後述するCPU90によって生成される。
なお、ヘッドホルダ32には、ベルトプラテン機構部104を昇降可能に吊り下げ支持するヘッドギャップ調整ユニット33が設けられている。ヘッドギャップ調整ユニット33は、プーリ及びワイヤからなるヘッドギャップ調整機構34及びモータ35を有している。そして、モータ35によりプーリを回転させワイヤを巻き取り繰り出しすることで、ワイヤにつながれて吊り下げ支持されたベルトプラテン機構部104を昇降させるように構成されている。
このヘッドギャップ調整ユニット33は、プリンタ部102の一部として制御ユニット10に接続されており、制御ユニット10の制御により駆動される。ヘッドギャップ調整ユニット33によるベルトプラテン機構部104の昇降は、例えば、記録紙Sの種類に応じた印刷モードの変更の際に行われる。その一例として、普通紙に比べると紙厚が大きい封筒に印刷する印刷モードを選択した場合に、ベルトプラテン機構部104を上昇させて、インクジェットヘッド31からの距離、つまり、ヘッドギャップを通常よりも広げる場合が挙げられる。
また、プリンタ部102は、各色のインクジェットヘッド31にそれぞれ供給される各色のインクの温度を測定する温度センサ58a〜58dを有している。制御ユニット10は、温度センサ58a〜58dの出力信号に基づいて各色のインクの温度を検出し、温度に対応する各色のインクの粘度に応じて、対応する色のインクジェットヘッド31からのインクの吐出速度を調整することができる。
ベルトプラテン機構部104は、プリンタ部102と対向して複数のインクジェットヘッド31の下方に配設されている。
このベルトプラテン機構部104では、帯状のベルトプラテン41が、モータ45により回転駆動される駆動プーリ42と従動プーリ43との間に掛け渡されている。ベルトプラテン41は、給紙部101で給紙された未印刷の記録紙S、又は、後述する循環搬送路JRによって搬送された片面が印刷済みの記録紙Sを、搭載しながら搬送する。
モータ45によるベルトプラテン41の移動速度、つまり、ベルトプラテン41による記録紙Sの搬送速度は、エンコーダ47の出力により制御ユニット10で検出することができる。駆動プーリ42と従動プーリ43との間には、記録紙Sをベルトプラテン41上にエア吸引する負圧を発生させるためのサクションファン44が設けられている。
図2はベルトプラテン上の記録紙とインクジェットヘッドとのヘッドギャップにおける気流の状態を示す説明図である。図2に示すように、ベルトプラテン41は、複数の吸引孔41aを有している。各吸引孔41aは、ベルトプラテン41の裏側に配置された上述のサクションファン44(図1参照)に連通しており、サクションファン44が発生させる吸引力が各吸引孔41aに供給される。したがって、ベルトプラテン41上の記録紙Sには、記録紙Sが塞いだ吸引孔41aの負圧によるベルトプラテン41側への吸引力が作用する。
そして、ベルトプラテン機構部104(図1参照)では、帯状のベルトプラテン41上に記録紙Sを搭載したときに、この記録紙Sをベルトプラテン41上の吸引孔41aによりエアー吸引する。そして、吸引した記録紙Sをベルトプラテン41上に固定した状態でベルトプラテン41の回転より記録紙Sを搬送方向X(副走査方向)に搬送する。搬送中の記録紙Sは、その通過経路上の上方に配置されたプリンタ部102(図1参照)の複数のインクジェットヘッド31により印刷画像がフルカラー印刷される。なお、図2ではインクジェットヘッド31を代表して1つのみ示している。
また、ベルトプラテン41の搬送方向Xにおける位置は、図1に示すように、ベルトプラテン41の上方に配置したホームポジションセンサ46がベルトプラテン41のホームポジション検出用の位置検出孔(図示せず)を検出することで、制御ユニット10によって認識される。
図2に示すように、上述したベルトプラテン41上の記録紙Sとインクジェットヘッド31とのヘッドギャップにおいては、サクションファン44(図1参照)の吸引力によって、ヘッドギャップから吸引孔41aを経てベルトプラテン41の裏側に向かう気流A1が生じる。また、ベルトプラテン41に吸引されて搬送される記録紙Sによって、搬送方向X(副走査方向)における上流側からヘッドギャップに巻き込まれる気流A2も生じる。
したがって、インクジェットヘッド31から記録紙Sに向けて吐出されるインク液滴は、これらの気流A1,A2に乗って搬送方向X(副走査方向)における下流側に流される。これにより、インク液滴の着弾位置ずれが生じる。インク液滴の着弾位置ずれ量(シフト量)は、質量が大きい多ドロップ数のインク液滴ほど少なくなり、反対に、質量が小さい相対的に少ドロップ数のインク液滴ほど多くなる。
図1に示すように、記録紙循環搬送路部105は、記録紙Sをプリンタ部102を経由して循環させる循環搬送路JRを有している。この循環搬送路JRは、給紙部101で給紙された記録紙Sに対してプリンタ部102で片面印刷又は両面印刷するために、記録紙Sを搬送する。また、記録紙循環搬送路部105には、循環搬送路JR中にサイド給紙台21側からの未印刷の記録紙Sを搬送する給紙搬送路KRと、排紙台71側に印刷済みの記録紙Sを搬送する排紙搬送路HRとが分岐して設置されている。
また、上記した循環搬送路JRは、プリンタ部102により記録紙Sの片面(表面)に印刷された印刷済みの記録紙Sをそのまま排紙する方向に搬送する通常搬送路CRと、記録紙Sの搬送方向を切り換えスイッチバックを行って両面(表面及び裏面)を印刷するためのスイッチバック搬送路SRとで、環状に設置されている。スイッチバック搬送路SRは、片面(表面)が印刷された記録紙Sを、電磁弁などを用いた第1,第2搬送路切替えレバー52,53により、通常搬送路CRの途中からスイッチバックさせる。
そして、循環搬送路JRにより、両面印刷したい記録紙Sがプリンタ部102を経由して循環可能になっている。
この際、循環搬送路JR中の通常搬送路CRは、プリンタ部102の下方を通過し、この後、印刷済みの記録紙S上のインクが乾燥できる時間を確保するためにプリンタ部102の上方に廻り込むように屈曲されている。排紙対象となる印刷済みの記録紙Sは通常搬送路CRから排紙搬送路HRを経て排紙部106の排紙台71に向かうように搬送されている。
一方、循環搬送路JR中のスイッチバック搬送路SRは、通常搬送路CR中で排紙部106に向かう手前を第1搬送路切替えレバー52で切り替えて、記録紙Sの搬送方向を変更する。搬送方向を変更した後の記録紙Sは、排紙部106の排紙台71の裏面に形成した記録紙ガイド枠72内に向かう。そして、記録紙ガイド枠72内で記録紙Sの先頭位置を反転させた後に、第2搬送路切替えレバー53で切り替えて記録紙Sの搬送方向を変更する。これにより、記録紙Sは再度レジストローラ対51に向かい、この後、プリンタ部102及びベルトプラテン機構部104に搬送される。
また、記録紙循環搬送路部105内には、光反射型(又は光透過型)の第1〜第4記録紙検出用光センサ54〜57が設置されている。第1記録紙検出用光センサ54は、給紙搬送路KR中のレジストローラ対51よりも下流に設置されて記録紙Sの給紙状態を検出する給紙センサとして機能する。また、第1記録紙検出用光センサ54は、給紙部101が給紙する記録紙Sの主走査方向における最大幅以上の寸法を有するラインセンサで構成されている。したがって、第1記録紙検出用光センサ54は、給紙部101が給紙する記録紙Sの主走査方向における寸法と、記録紙Sの通過時間とから、記録紙Sのサイズを検出する記録紙サイズセンサ(コンタクトイメージセンサ:CIS)としても機能する。
第2記録紙検出用光センサ55は、記録紙Sが排紙搬送路HR又はスイッチバック搬送路SRに到達する前の状態を検出する搬送路切替え前センサとして機能する。また、第3記録紙検出用光センサ56は、排紙搬送路HRに沿って設置され、排紙台71に向かう記録紙Sの排紙状態を検出する排紙センサとして機能する。更に、第4記録紙検出用光センサ57は、第1搬送路切替えレバー52と第2搬送路切替えレバー53との間に設置され、スイッチバック搬送路SRでスイッチバックされて循環搬送路JRに循環される記録紙Sの有無状態を検出する循環記録紙有無検出センサとして機能している。
排紙部106は、筐体100に対して斜めに傾斜して設置された排紙台71を備えている。
この排紙台71は、記録紙循環搬送路部105内に設けた通常搬送路CR及び排紙搬送路HRによって搬送された印刷済みの記録紙Sを収納する機能と、この排紙台71の裏面に形成した記録紙ガイド枠72で片面(表面)が印刷された記録紙Sに対して裏面を印刷するためにスイッチバックして記録紙Sの先頭位置を反転させる機能とを備えている。
図3は、図1の制御ユニット10の電気的構成を示すブロック図である。制御ユニット10には、外部インタフェース部11を介して、クライアント端末14からの印刷ジョブを受け取る。制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブから印刷画像データを生成する。インクジェットプリンタ1は、印刷ジョブにおいて指定された条件で、印刷画像の記録紙Sへの印刷をプリンタ部102において実行する。
プリンタ部102の各色のインクジェットヘッド31が印刷画像の各画素に対応してそれぞれ吐出するインク液滴のドロップ数を規定する印刷用多値データは、クライアント端末14から入力される印刷ジョブのポストスクリプトデータに基づいて、制御ユニット10のCPU90によって生成される。
また、制御ユニット10のCPU90には、ディスプレイ103が接続されている。このディスプレイ103は、図1に示すように、インクジェットプリンタ1の上部に配置されている。このディスプレイ103は、インクジェットプリンタ1の各種動作に関連する入力デバイスと情報出力デバイスとして利用することができる。
上述したプリンタ部102に印刷動作を行わせるインクジェットプリンタ1の制御ユニット10は、図3に示すように、CPU90を備える。このCPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ103から入力設定される内容に応じたプリンタ部102の動作を制御する。
なお、制御ユニット10にはRAM92が設けられており、RAM92にはフレームメモリ領域が設けられている。このフレームメモリ領域には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブからCPU90が生成する印刷画像データや、これに後述するスムージング処理を施した印刷画像データが、プリンタ部102に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
制御ユニット10のCPU90は、文字の輪郭に対するスムージング処理のステータスがONのときに、ROM91に格納されているプログラムに基づいて、印刷画像データに対してスムージング処理を施す。具体的なスムージング処理の方法としては、例えばオーバーサンプリング法がある。オーバーサンプリング法によるスムージング処理では、文字のエッジ部分の画素に中間濃度のドットを配置することで、文字のエッジのガタ付きを目立たなくする。その具体的な処理内容については、例えば、本出願人の先願である特開2007−142505号公報を参照されたい。なお、スムージング処理のステータスは、例えば、クライアント端末14から出力される印刷ジョブにおいて、印刷条件の一つとして設定することができる。
また、制御ユニット10のCPU90は、印刷画像中の黒ベタ部分を印刷する際に、第1のブラック印刷と第2のブラック印刷とを使い分ける。第1のブラック印刷は、黒ベタ部分のドットを、無彩色インク(K(ブラック))と有彩色インクの全色(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))とで印刷する方法である。第2のブラック印刷は、黒ベタ部分のドットを、第1のブラック印刷よりも少ない色のインクで印刷する方法である。具体的には、第2のブラック印刷では、黒ベタ部分のドットを、無彩色インク(K(ブラック))のみで印刷するか、あるいは、有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のうち一部の色のインクと無彩色インク(K(ブラック)とで、黒ベタ部分のドットを印刷する。
図4(a),(b)は、濃度に対するインク量の相関を、第1のブラック印刷と第2のブラック印刷とで比較して示すグラフである。なお、ここでは、第2のブラック印刷に無彩色インク(K(ブラック))のみを用いる場合を示している。
図4(a)に示すように、第1のブラック印刷では、黒レベル=100を、インク量=100のK(ブラック)のインクだけでなく、若干量の有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))を使って再現する。一方、図4(b)に示す第2のブラック印刷では、黒レベル=100をインク量=100のK(ブラック)のインクだけで再現する。第1のブラック印刷は、黒レベル=100の再現に若干量の有彩色インクを併用することで、K(ブラック)のインクのみを用いる第2のブラック印刷に比べて、黒レベル=100の黒色を高濃度で再現することができる利点がある。
ところで、図4(a)の第1のブラック印刷では、濃度の薄いグレーの領域を、K(ブラック)を用いず有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のみで再現する。クレーの濃さが濃くなるに連れて、無彩色インク(K(ブラック))を徐々に使用し、その分、有彩色インクの使用量を減らす。このため、図4(a)中の丸い枠で囲んだ、有彩色インクのみで再現される濃度の薄いグレーの領域では、少ドロップ数の有彩色インクの液滴が多く発生する。
一方、図4(b)に示す第2のブラック印刷では、濃度の濃い薄いに関係なく全ての濃さを、有彩色インクを一切使わず無彩色インク(K(ブラック))のみで再現する。そして、グレーの濃度が低いほど、無彩色インクの使用量を減らす。このため、図4(b)中の丸い枠で囲んだ、濃度の薄いグレーの領域では、少ドロップ数の無彩色インクの液滴が多く発生する。
少ドロップ数のインク液滴には、図2を参照して上述したように、着弾位置ずれが起こりやすい。そのため、少ドロップ数のインク液滴が多く発生する濃度の薄いグレーの領域では、第1のブラック印刷においては有彩色インクの着弾位置ずれが起こりやすく、第2のブラック印刷においては無彩色インクの着弾位置ずれが起こりやすい。
少ドロップ数のインク液滴の着弾位置ずれが起こった場合、無彩色インクの着弾位置ずれが起こる第2のブラック印刷よりも、有彩色インクの着弾位置ずれが起こる第1のブラック印刷の方が、正しい位置に着弾したインクによる再現色である黒色乃至グレーとの色相差が大きいことから、着弾位置ずれしたインクの存在が目立ちやすい。
そこで、図3に示す本実施形態の制御ユニット10のCPU90は、印刷画像の黒ベタ部分を印刷する際に、印刷ジョブの内容やインクジェットプリンタ1の各部の状態等に基づいて、第1のブラック印刷と第2のブラック印刷のどちらを黒ベタ部分の印刷に用いるかを決定する。その詳細については後述する。
また、制御ユニット10のCPU90には、外部記憶装置107が接続されている。外部記憶装置107は、例えばハードディスクによって構成することができる。この外部記憶装置107には、着弾位置ずれデータが記憶されている。この着弾位置ずれデータは、記録紙S上の、吐出ドロップ数が少ないとインク液滴が着弾位置ずれする傾向が高い領域を示すデータである。この着弾位置ずれデータは、記録紙Sのサイズ毎に記憶されている。
上述した記録紙Sのサイズ毎の着弾位置ずれデータは、各サイズの記録紙Sの全画素にそれぞれ少ドロップ数のインク液滴を実際に吐出するテスト印刷を行って取得する。具体的には、テスト印刷により各画素に形成されたドットからずれて着弾した(着弾位置ずれした)インク液滴の記録紙S上での座標値を特定して、これを着弾位置ずれデータとして取得する。
なお、テスト印刷は、有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のうち第2のブラック印刷の際に使用しない色のインクを、一色ずつ用いて行うか、あるいは、全色同時に用いて行う。また、本実施形態では、少ドロップ数の上限を2ドロップと定義し、各画素に2ドロップのインク液滴を吐出することでテスト印刷を行う。したがって、本実施形態では、2ドロップよりも一つ上の3ドロップが、請求項中のインク量閾値に相当することになる。
図5は外部記憶装置107に記憶される着弾位置ずれデータの説明図である。図5では、あるサイズの記録紙Sを用いて上述したテスト印刷を行った結果、使用した有彩色インク中の少なくとも一色について、着弾位置ずれしたインク液滴の存在が点Aの箇所に認められた場合を示している。この点Aの記録紙S中における座標を特定し、その座標値を記録紙Sのサイズ(大きさ及び向き)と対応付けたものが、そのサイズの記録紙Sに関する着弾位置ずれデータとして外部記憶装置107に記憶される。なお、一つの記録紙S中の複数の点において、着弾位置ずれしたインク液滴の存在が認められた場合は、各点の座標値(実際に位置ずれして着弾したインク液滴の記録紙S上における座標位置)を記録紙Sのサイズと対応付けた着弾位置ずれデータが、外部記憶装置107に記憶される。
上述した着弾位置ずれデータは、黒色文字のスムージング処理を行う際に第1のブラック印刷を行うか第2のブラック印刷を行うかを、図3に示す制御ユニット10のCPU90が判断する際に参照される。
次に、制御ユニット10のCPU90がROM91に記憶されたプログラムを実行することにより行う印刷制御処理の手順について、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6に示すように、CPU90は、まず、クライアント端末14から印刷ジョブが入力されたか否かを確認する(ステップS1)。入力されていない場合は(ステップS1でNO)、入力されるまで待機し、入力された場合は(ステップS1でYES)、印刷画像中の文字のポイント数が所定のポイント閾値未満であるか否かを、頁単位で確認する(ステップS3)。
文字のポイント数が小さいと、文字を構成する線分が細くなり、各線分の周囲の余白が多くなる。このため、着弾位置ずれによりインク液滴が余白に着弾すると、その存在が目立ちやすくなる。反対に、文字のポイント数が大きいと、文字を構成する線分が太くなり、各線分の周囲の余白が少なくなる。このため、インク液滴が正規の位置から着弾位置ずれしても、太い線分の内側に着弾するか、あるいは、線分の外側に外れてもその距離が短くなるので、その存在が目立ちにくくなる。ポイント閾値は、着弾位置ずれしたインク液滴の目立つ度合いを考慮して、適宜な値に設定することができる。
そして、印刷画像中の黒色文字のポイント数が所定のポイント閾値未満でない場合は(ステップS3でNO)、後述するステップS13に進む。黒色文字のポイント数が所定のポイント閾値未満である場合は(ステップS3でYES)、CPU90は、印刷画像中の黒色文字のフォントが所定の細字フォント群に属しているか否かを、頁単位で確認する(ステップS5)。
細字フォント群に属していない場合は(ステップS5でNO)、後述するステップS13に進む。細字フォント群に属している場合は(ステップS5でYES)、CPU90は、有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のうち第2のブラック印刷の際に使用しない色のインクについて、インクジェットヘッド31からの吐出速度が対応する所定の速度閾値未満となるインクがあるか否かを確認する(ステップS7)。
ここで、インクジェットヘッド31からのインクの吐出速度は、インクジェットヘッド31の駆動電圧とによって定まる。インクジェットヘッド31の駆動電圧は、インクの温度が標準温度であるときに、標準速度でインクが吐出される値に設定される。インクの粘度を左右するインクの温度が標準温度よりも下がると、インクの粘度が標準温度のときの標準粘度よりも高くなるので、インクジェットヘッド31の駆動電圧がCPU90の制御により高い値に変更される。これにより、インクジェットヘッド31からのインク液滴の吐出速度が上がり、少ないドロップ数のインク液滴でも着弾位置ずれが起こりにくくなる。このように、インクジェットヘッド31からのインクの吐出速度は、インク液滴の着弾位置ずれに影響を及ぼし得るファクタである。
なお、各色毎のインク温度は、温度センサ58a〜58dにより測定することができる。また、本実施形態では、上述した速度閾値は、標準速度よりも早く、インクジェットヘッド31の駆動電圧がCPU90の制御により高い値に変更されたときの吐出速度よりも遅い速度に設定される。
そして、対象色のインクについて、インクジェットヘッド31からのインクの吐出速度が対応する速度閾値未満となるインクがある場合は(ステップS7でYES)、後述するステップS13に進む。インクの吐出速度が対応する速度閾値未満となるインクがない場合は(ステップS7でNO)、CPU90は、記録紙S(ベルトプラテン機構部104)とインクジェットヘッド31とのヘッドギャップが、所定のギャップ閾値以上であるか否かを確認する(ステップS9)。
ここで、ギャップ閾値は、上述した着弾位置ずれデータを取得するためにテスト印刷を行った際の、記録紙S(ベルトプラテン機構部104)とインクジェットヘッド31とのヘッドギャップの値よりも小さい値に設定される。ヘッドギャップは、記録紙Sの種類(シートか封筒かを含む)等に応じて調整される。ヘッドギャップが大きければ、インク液滴の飛翔距離が相対的に大きくなり、サクションファン44が発生させる気流等の影響によるインク液滴の着弾位置ずれ量が相対的に大きくなる。反対に、ヘッドギャップが小さければ、インク液滴の着弾位置ずれ量が相対的に小さくなる。このように、ヘッドギャップは、インク液滴の着弾位置ずれに影響を及ぼし得るファクタである。なお、インクジェットヘッド31とベルトプラテン機構部104とのヘッドギャップは、エンコーダ47の出力に基づいて検出することができる。
そして、記録紙S(ベルトプラテン機構部104)とインクジェットヘッド31とのヘッドギャップが、所定のギャップ閾値以上でない場合は(ステップS9でNO)、後述するステップS13に進む。ギャップ閾値以上である場合は(ステップS9でYES)、CPU90は、記録紙Sの画素に対するインク液滴の最大ドロップ数が所定のドロップ閾値未満であるか否かを確認する(ステップS11)。
CPU90が印刷画像データから印刷用多値データを生成する際、インク液滴の最大ドロップ数が少ない場合は、最大ドロップ数が多い場合に比べて、割り当てられる印刷用多値データの値(インク液滴の吐出ドロップ数)が相対的に少なくなる。印刷画像データの値が同じでも、割り当てられるインク液滴の吐出ドロップ数が少ないと、インク液滴の着弾位置ずれが相対的に起こりやすくなる。
インク液滴の最大ドロップ数は、印刷に使用する記録紙Sの種類によって異なる。例えば、本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合、ドットゲインが小さいマット紙では最大ドロップ数が7ドロップとなり、0〜7ドロップの8階調で印刷が行われる。IJ(インクジェット)用紙では最大ドロップ数が6ドロップとなり、0〜5ドロップの7階調で印刷が行われる。普通紙では最大ドロップ数が5ドロップとなり、0〜5ドロップの6階調で印刷が行われる。なお、各用紙別のデジタル値とドロップ値との対応テーブルは、図7の説明図に示すようになる。
したがって、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のいずれかについて、印刷画像データの8ビットのデジタル値(0〜255)が110である場合、マット紙とIJ用紙では3ドロップが割り当てられ、普通紙では2ドロップが割り当てられる。このように、最大ドロップ数が少ないと、同じデジタル値に対して割り当てられるドロップ数が相対的に少なくなる。そのため、最大ドロップ数が少ない用紙ほど、着弾位置ずれしやすい少ドロップ数のインク液滴が発生しやすくなる。このように、インク液滴の最大ドロップ数は、インク液滴の着弾位置ずれに影響を及ぼし得るファクタである。なお、本実施形態では、ドロップ閾値を6ドロップとしているが、ドロップ閾値は適宜な値に設定することができる。
そして、図6のステップS11において、最大ドロップ数がドロップ閾値未満である場合は(YES)、後述するステップS15に進む。最大ドロップ数がドロップ閾値未満でない場合は(ステップS11でNO)、CPU90は、後述するステップS13に進む。
ステップS13では、CPU90は、該当頁の黒色文字の印刷に第1のブラック印刷を適用する。その後、後述するステップS33に進む。
ステップS15では、CPU90は、該当頁の印刷画像データをN×N(又は、N×M)の画素のマトリクスで構成されるn個のブロック領域に分割する。続いて、CPU90は、ブロック領域のカウント数をm=1に設定し(ステップS17)、さらに、m個目のブロック領域が、着弾位置ずれデータ中の図5に示す着弾位置ずれ点A(少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所)を含んでいるか否かを確認する(ステップS19)。
図8の説明図に示すように、m個目のブロック領域が着弾位置ずれ点Aを含んでいない場合は(図6のステップS19でNO)、後述する図6のステップS27に進む。着弾位置ずれ点Aを含んでいる場合は(ステップS19でYES)、CPU90は、図6に示すように、m個目のブロック領域に印刷画像中の黒色文字が配置されているか否かを確認する(ステップS21)。
図9の説明図に示すように、着弾位置ずれ点Aを含むm個目のブロック領域に、印刷画像中の黒色文字が配置されていない場合は(図6のステップS21でNO)、後述する図6のステップS27に進む。図10の説明図に示すように、m個目のブロック領域に黒色文字が配置されている場合は(ステップS21でYES)、CPU90は、図6に示すように、文字の輪郭に対するスムージング処理のステータスがONであるか否かを確認する(ステップS23)。
スムージング処理のステータスがONである場合は(ステップS23でYES)、m個目のブロック領域に配置された黒色文字の印刷に第2のブラック印刷を適用する(ステップS25)。その後、後述するステップS29に進む。スムージング処理のステータスがONでない場合は(ステップS23でNO)、後述するステップS27に進む。
ステップS27では、m個目のブロック領域に配置された黒色文字の印刷に第1のブラック印刷を適用する。その後、後述するステップS29に進む。
ステップS29では、ブロック領域のカウント数mが分割数であるnに達した(m=n)か否かを確認し、nに達していない場合は(ステップS29でNO)、カウント数mを「1」インクリメント(m=m+1)した後(ステップS31)、ステップS19にリターンする。また、カウント数mがnに達した場合は(ステップS29でYES)、後述するステップS33に進む。
ステップS33では、CPU90は、1頁分の印刷画像データを、各色別の印刷用多値データとして生成しプリンタ部102の各色のインクジェットヘッド31に出力する。そして、CPU90は、印刷ジョブを構成する設定頁数の印刷画像データ(印刷用多値データ)の出力が終了したか否かを確認し(ステップS35)、終了していない場合は(ステップS35でNO)、ステップS3にリターンする。一方、終了した場合は(ステップS35でYES)、一連の処理を終了する。
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図6のフローチャートにおけるステップS25が、請求項中の第2のブラック印刷手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、図6中のステップS13及びステップS27が、請求項中の第1のブラック印刷手段に対応する処理となっている。
なお、図6のフローチャートにおいて、印刷ジョブ単位で確認すれば済むステップS7乃至ステップS11を、頁単位で確認する必要があるステップS3及びステップS5と分けて行うようにしてもよい。即ち、ステップS3及びステップS5を印刷ジョブの印刷画像の1頁毎に行い、ステップS7乃至ステップS11は印刷ジョブの入力時に1度だけ行うようにしてもよい。
このように構成された本実施形態のインクジェットプリンタ1では、印刷画像の黒色文字をスムージング処理して第1のブラック印刷により印刷すると、スムージング処理対象画素部分において、有彩色インクが少ドロップ数で吐出されることになる。そして、このスムージング処理対象画素部分が、図5を参照して説明した、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に存在すると、スムージング処理対象画素部分の少ドロップ数で吐出された有彩色インクが、本来の位置からずれて着弾する傾向が高くなる。
ところで、記録紙S(ベルトプラテン機構部104)とインクジェットヘッド31とのヘッドギャップがギャップ閾値よりも小さければ、少ドロップ数(本実施形態では2ドロップ以下)のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所においても、着弾位置ずれ量は大きくならないものと判断される。
また、有彩色インクのうち第2のブラック印刷の際に使用しない色のインクのインクジェットヘッド31からの吐出速度が、いずれも、各色毎の所定の速度閾値以上であれば、インクジェットヘッド31の駆動電圧が上がってインク液滴の吐出速度が上がる。そのため、少ドロップ数(本実施形態では2ドロップ以下)のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所においても、それらの色の有彩色インクに大きな着弾位置ずれは生じないものと判断される。
さらに、インク液滴の最大ドロップ数がドロップ閾値以上であれば、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に、実際に少ドロップ数が割り当てられる確率が小さくなる。そのため、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所においても、実際の少ドロップ数のインク液滴による着弾位置ずれは生じにくいものと判断される。
また、黒色文字のポイント数がポイント閾値以上であれば、あるいは、黒色文字のフォントが細字フォント群に属していなければ、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれし易い箇所においても、ある程度の太さを有する黒色文字の線分からインク液滴が大きく着弾位置ずれすることはないものと判断される。
したがって、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、上述した5つの要件がいずれも満たされない場合に、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に印刷画像の黒色文字のスムージング処理対象画素部分が存在するか否かを確認するようにしている。そして、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に黒色文字のスムージング処理対象画素部分が存在すれば、そのスムージング処理対象画素部分を、第1のブラック印刷よりも有彩色インクの使用色を減らした第2のブラック印刷で印刷する。
第2のブラック印刷においては、第1のブラック印刷で用いる有彩色インクのC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のうち一部又は全部の色を使用しない。このようにすることで、黒色文字のエッジ部分をスムージング処理すると発生する少ドロップ数のインク液滴の着弾位置ずれを、K(ブラック)以外の色について減らし、あるいは無くす。これにより、K(ブラック)との色相差により着弾位置ずれの存在が目立たないようにすることができる。
なお、第2のブラック印刷において有彩色インクの一部の色のインクを使用する場合、どの色のインクを使用するかについてはいくつか考え方がある。例えば、C(シアン)はM(マゼンタ)やY(イエロー)に比べて、黒色文字の色(K(ブラック))との色相差が小さい。このため、仮に、C(シアン)のインクが少ドロップ数で吐出されて着弾位置ずれしても、黒色文字との色相差では目立ちにくい。よって、第2のブラック印刷の際に、M(マゼンタ)やY(イエロー)を用いず、C(シアン)のみを用いるようにしてもよい。
また、Y(イエロー)はM(マゼンタ)やC(シアン)に比べて、記録紙Sの白色との色相差が小さい。このため、仮に、Y(イエロー)のインクが少ドロップ数で吐出されて着弾位置ずれしても、記録紙Sとの色相差では目立ちにくい。よって、第2のブラック印刷の際に用いる有彩色インクにY(イエロー)を加えてもよい。
また、別の考え方として、第2のブラック印刷においては、記録紙Sの色である白色又はK(ブラック)のインクとの色相差が所定以上の色のインクを、少なくとも使用しないようにしてもよい。つまり、第2のブラック印刷において、記録紙Sや無彩色インクとの色ズレが目立つ有彩色インクを使用しなくすることは、有彩色インクの着弾位置ずれを目立たなくする上で実質的な意味(効果)がある。しかし、記録紙Sや無彩色インクとの色ズレが元々目立たない有彩色インクを使用しなくしても、有彩色インクの着弾位置ずれを目立たなくする上では、実質的な意味(効果)は乏しい。そこで、記録紙Sや無彩色インクとの色ズレを基準に、第2のブラック印刷で使用する(使用しない)有彩色インクを決定してもよい。
記録紙Sや無彩色インクとの色ズレは、次のようにして判断してもよい。まず、記録紙Sと有彩色インクとの色ズレについては、実験的に、色相差が既知である記録紙S(白紙又は色紙)と有彩色インクとを用い、着弾位置ずれしやすいように有彩色インクのドロップ数を少なくして印刷を行う。そして、着弾位置ずれにより色ズレした有彩色インクが、視覚上で目立つとユーザが判断した際に、そのときの記録紙Sと色ズレした有彩色インクとの色相差を取得する。このようにして色相差を取得することで、第2のブラック印刷で使用しない有彩色インクを決める際の基準とする所定以上の色相差を、取得した色相差に基づいて数値的に決定することができる。
無彩色インクとの色ズレは、次のようにして判断してもよい。まず、無彩色インクと有彩色インクとの色ズレについては、実験的に、色相差が既知である無彩色インク(K(ブラック))と有彩色インクとを用い、着弾位置ずれしやすいように有彩色インクのドロップ数を少なくして印刷を行う。そして、着弾位置ずれにより色ズレした有彩色インクが、視覚上で目立つとユーザが判断した際に、そのときの無彩色インクと色ズレした有彩色インクとの色相差を取得する。このようにして色相差を取得することで、第2のブラック印刷で使用しない有彩色インクを決める際の基準とする所定以上の色相差を、取得した色相差に基づいて数値的に決定することができる。
このように、第2のブラック印刷の際に有彩色インクのうち一部の色をK(ブラック)と共に使用するようにすれば、有彩色インクを全色使用する第1のブラック印刷で得られたドットに対する濃度の低下を極力抑制し、濃度面における印刷品質を第2のブラック印刷でも高く維持することができる。
なお、図6のフローチャートにおけるステップS3乃至ステップS11の一部又は全部のステップを省略してもよい。即ち、上述した5つの要件の一部又は全部について、その要件が満たされるか否かに関係なく、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に、印刷画像の黒色文字のスムージング処理対象画素部分が配置されるときに、そのスムージング処理対象画素部分を第2のブラック印刷で印刷するものとしてもよい。
また、これに加えて、あるいは、これとは別に、図6のフローチャートにおけるステップS19を省略し、少ドロップ数のインク液滴が着弾位置ずれしやすい箇所に配置されるか否かに関係なく、印刷画像の黒色文字のスムージング処理対象画素部分を、一律に第2のブラック印刷で印刷するものとしてもよい。その場合は、黒色文字のスムージング処理対象画素部分以外の画素部分を含む印刷画像の黒ベタ部分を、第1のブラック印刷で印刷することになる。言い換えれば、印刷画像データ中の、スムージング処理することで少ドロップ数のインク液滴が画素に割り当てられる黒色文字のエッジ部分を、一律に第2のブラック印刷によって印刷するようにしてもよい。