JPH08141728A - コバルトを含まないNi基合金の接合方法 - Google Patents

コバルトを含まないNi基合金の接合方法

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JPH08141728A
JPH08141728A JP28374094A JP28374094A JPH08141728A JP H08141728 A JPH08141728 A JP H08141728A JP 28374094 A JP28374094 A JP 28374094A JP 28374094 A JP28374094 A JP 28374094A JP H08141728 A JPH08141728 A JP H08141728A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材(弁箱、弁体等)および合金材料(弁
座)の化学組成を変化させずに接合を行い、且つ接合部
に内部欠陥を発生させない接合方法を提供する。 【構成】 コバルトを含まないNi基合金12を基材1
1と被覆部材13とで気密に包囲した後、管状部材15
の一端を被覆部材に差し込んで内部のコバルトを含まな
いNi基合金に連通させ、他端は吸引装置に接続する。
次に、吸引装置の作動により内部にある気体を吸引する
と共に真空状態とする。作動終了後の吸引装置は除去さ
れる。そして、コバルトを含まないNi基合金に熱を加
えて半溶融または全溶融状態にすると共に、圧力を加え
ながら前記基材に接合し、接合後は被覆部材を除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コバルト(Co)を含
まない合金材料、即ちコバルトフリーのNi基合金材料
の組成を厳密に制御しながら接着する接合方法に関する
もので、特に、弁箱および弁体等にある弁座のように、
相互に摺動する部材のための合金材料の接合方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的には、合金材料の接合はガ
ス溶接および電弧溶接によって実施されてきたが、ガス
溶接は、溶接作業者の非常に高い技量が必要であると共
に、ガス溶接に使用するアセチレン炎からの浸炭が、合
金材料および基材(ベースメタル)に生じ、場合によっ
ては、機械的性質を低下させ、また、耐食性の低下をも
たらすことがあった。
【0003】例えば、AWS(アメリカ溶接学会)の仕
様(A5.11−54)に規定する、RNiCr−Cの
溶接棒、即ち化学組成(重量パーセント表示で)が、C
r(クロム):12.0〜18.0%、Si(ケイ素):
3.5〜5.5%、Fe(鉄):3.5〜5.5%、C(炭
素):0.5〜1.0%、B(ホウ素):2.5〜4.5%
である溶接棒によりガス溶接を行うと、溶着金属の炭素
が約0.2%〜0.8%増加して溶接層が硬化して割れる
場合があった。また、基材がオーステナイト系ステンレ
ス鋼の場合には、基材にアセチレン炎からの浸炭が生
じ、熱影響部の炭素が増加して、腐食環境においては粒
界腐食が生じたり、場合によっては、溶接部が剥離する
ことがあった。
【0004】一方、電弧溶接では、基材の溶融を伴うた
めに、溶接部が基材金属からの希釈を受け、その希釈量
は、10〜30%にまで達するために、合金材料の機械
的性質を劣化させることがあった。
【0005】上述したことは、弁装置を構成する部材を
製造する際にも大きな問題となっている。弁の構成部材
には、相互に摺動接触する弁座を有する弁箱、弁体等が
あり、これらの弁座には、耐磨性の高い合金材料が用い
られ、この合金材料は、弁箱、弁体等の基材に溶接によ
り接合されていた。しかし、現実には、機械的性質の劣
化という上述の理由によって、弁座自体の耐磨性が低下
し、弁箱、弁体等から弁座が剥離したり割れたりする等
の問題が生じていた。
【0006】また、弁座の材料については、耐磨耗およ
び耐食性が必要なところから、コバルト基合金材料が使
用されてきたが、原子力発電プラントの冷却材系におい
ては、高温高圧の流体、即ち水が使用されており、弁は
この高温高圧の水にさらされるため、Co基合金材料を
弁座に用いた場合、高温高圧水の腐食作用や弁の開閉動
作に伴う弁座相互の摺動により、コバルトの磨耗粉が発
生し炉内循環水中に混入することが起こる。そして、上
述したコバルト摩耗粉は、炉内循環水を介して炉心内に
入り、中性子の照射を受けて放射能化し、質量数60の
同位元素“60Co”となって冷却材中を循環して、配
管、弁、その他の機器に付着する。このため、原子力発
電プラントの放射能レベルは増大し、定期検査時等にお
ける作業員の被曝量が増す可能性があった。
【0007】従って、最近では、例えば特開平4−27
6038号公報に開示されるように、被曝低減のため、
コバルトを使用しないコバルトフリーのNi基合金を使
用した軽水原子炉用弁が発案されている。コバルトフリ
ーのNi基合金は、コバルト基合金と同様に弁箱および
弁体の弁座にガス溶接および電弧溶接で肉盛溶接される
のが通常であり、特開平4−276038号公報のコバ
ルトフリーのNi基合金もまた、そのような溶接法で接
合されている。
【0008】しかし、コバルトフリー合金材料として用
いられるNi基合金は、Fe基合金と同様に、Co基合
金に比較して、一般に摺動特性が劣り、これをさらに劣
化させずに接合するためには、接合時に弁座の肉盛溶接
層の組成を変化させないように正確な組成制御が必要で
あるが、従来の溶接法、ガス溶接または電弧溶接等では
不可能であり、是非とも従来の溶接方法に代わる接合方
法が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、基材に
合金材料を溶接する際、その化学組成を制御しようとし
ても、溶接方法および溶接条件によって、容易に溶接部
の特性が変化し、溶接後に常に同一な性能が得られな
い。また、場合によっては溶接過程で溶接部に内部欠陥
が内在し、部材の品質を損なうことがあった。
【0010】従って、本発明は、上述した従来技術の問
題を解決するためになされたものであって、基材(弁
箱、弁体等)および合金材料(弁座)の化学成分を変化
させずに接合を行い、且つ接合部に内部欠陥を発生させ
ない接合方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明によれば、コバルトを含まな
いNi基合金を基材と被覆部材とで気密に包囲した後、
前記Ni基合金に熱を加えて半溶融または全溶融状態に
すると共に、該Ni基合金に圧力を加えながら前記基材
に接合する。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、管状部材
の一端を前記被覆部材に差し込んで内部の前記Ni基合
金に連通させ、前記管状部材の他端を吸引装置に接続し
て、該吸引装置の作動により前記内部にある気体を吸引
し真空状態とする。請求項3に記載の発明によれば、作
動終了後の前記吸引装置を前記管状部材との接続から解
放し、該吸引装置と接続していた管状部材の端部を封止
して気密性を確保する。請求項4に記載の発明によれ
ば、前記Ni基合金を前記基材と前記被覆部材とで包囲
するに際し、該基材と該被覆部材との接触部を溶接によ
り気密に接合し、且つ、前記管状部材を前記被覆部材に
差し込むに際し、該管状部材と該被覆部材との差し込み
部を溶接により気密に接合する。請求項5に記載の発明
によれば、前記基材の対象が、相互に摺動する弁座部分
を有する弁構成部材である。
【0013】請求項6に記載の発明によれば、前記Ni
基合金として、その化学成分が、弁箱の弁座および弁体
の弁座のうち、何れか一方には、重量パーセント表示
で、クロムが10〜15%、ケイ素が3〜7%、鉄が1
0%以下、タングステンが2〜4%、ホウ素が1%以
下、炭素が1%以下で、残りがニッケルであるCr−S
i−Fe−W系のNi基合金を、他方には、重量パーセ
ント表示で、クロムが15〜20%、ケイ素が5〜10
%、鉄が15%以下、タングステンが1〜3%、スズが
0.5〜1%、ホウ素が1%以下、炭素が1%以下で、
残りがニッケルであるCr−Si−Fe−W系のNi基
合金を使用する。
【0014】請求項7に記載の発明によれば、前記Ni
基合金として、その化学成分が、弁箱の弁座および弁体
の弁座のうち、何れか一方には、重量パーセント表示
で、クロムが5〜15%、ケイ素が3〜7%、鉄が10
%〜40%、タングステンが1〜4%、ホウ素が1%以
下、炭素が1%以下で、残りがニッケルであるCr−S
i−Fe−W系のNi基合金を、他方には、重量パーセ
ント表示で、クロムが15〜20%、ケイ素が3〜7
%、鉄が35%以下、タングステンが1〜4%、スズが
0.5〜1%、ホウ素が1%以下、炭素が1%以下で、
残りがニッケルであるCr−Si−Fe−W系のNi基
合金を使用する。
【0015】
【作用】コバルトを含まないNi基合金を基材と被覆部
材とで気密に包囲した後、管状部材の一端を前記被覆部
材に差し込んで内部の前記Ni基合金に連通させ、他端
は吸引装置に接続する。該基材と該被覆部材との接触部
を溶接により気密に接合し、且つ、該管状部材と該被覆
部材との差し込み部を溶接により気密に接合する。次
に、該吸引装置の作動により前記内部にある気体を吸引
すると共に真空状態とする。作動終了後の前記吸引装置
は前記管状部材から除去され、該吸引装置と接続してい
た管状部材の端部を折り曲げて塞ぎ、さらに溶接をして
気密性を確保する。そして、前記Ni基合金に熱を加え
て半溶融または全溶融状態にすると共に、該Ni基合金
に圧力を加えながら前記基材に接合し、接合後は前記被
覆部材を除去する。
【0016】
【実施例】次に、本発明の方法の好適な実施例について
添付図を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は
同一または対応する部分を示すものとする。本発明は、
コバルトを含まないNi基合金を接合する際に広く採用
されうるが、特に必要性の高い原子炉用の弁装置に実施
する場合について説明する。図1の原子炉用の仕切り弁
は、弁箱1、弁体2、弁蓋3およびギヤケース5から構
成される。弁箱1の内部には、流体が流れる通路が画成
されており、同通路を垂直に遮断するように弁体2が設
けられていて、これは、弁棒4を介して上方のギヤケー
ス5により駆動される。弁箱1の上には弁蓋3があり、
弁蓋3と弁棒4との隙間を埋めるようにネッキブッシュ
7が設けられている。そして、当然のことながら弁体2
には、他の部材と接触する部分、即ち弁箱1の弁座1a
と接触する弁座2aがあり、この弁座1a,2a,およ
び弁が全開した場合に弁棒4の4a部と接触して、外部
漏洩を防止するネッキブッシュ7の弁座(逆座とも称す
る)7aに、コバルトフリーのNi基合金材料は使用さ
れる。
【0017】図2は、弁座の粗製品の断面図を示し、符
号11で示される部分は、弁箱もしくは弁体等、弁座を
有する弁構成部材(材質は本実施例ではS25Cとす
る)で、その形状は、接合完了後、弁装置用に加工され
るため、説明上、簡略化するために図に示す形状とす
る。また、本発明を弁装置以外に実施することも可能な
ので、総称として“基材”という言葉を用いることにす
る。基材には、予じめ接合したい合金材料の容積分だけ
空間を確保しておく。本実施例では、基材11は、弁座
用合金粉末12を充填するための環状の溝部11aが設
けられている。弁座用合金粉末12の上には、溝部11
aを塞ぐように薄い環状板の蓋(被覆部材)13が載置
されており、その内外周縁は、溶接等、適当な密閉接合
手段により基材11に接合されている。符号14は、そ
の溶接部であり、これによって、基材11と蓋13との
間には、気密性が確保されている。ちなみに、該蓋13
は、基材11と類似の材質で作られたものが望ましい。
また、弁座用合金粉末12は、本実施例のように粉末状
ではなく、板状のものでもよい。
【0018】図3は、前述した蓋に真空ポンプと連通す
る細管が差し込まれている状態を示す。溝部11aの真
上部分には、細管(管状部材)15の一端が同溝部11
aと連通するように蓋13を貫通して差し込まれ、その
他端は、真空ポンプ(吸引装置)17と連通している。
蓋13と細管15とは、溶接(その他、適当な密閉接合
手段)により接合されており、符号16は、その溶接部
を示す。これによって、蓋13と細管15との間には、
気密性が確保されている。
【0019】図4は、細管が溶接で塞がれた後の拡大図
である。細管15を介して溝部11aと連通していた真
空ポンプ17が除去され、同真空ポンプ17と連通して
いた側の細管15の先端が折り曲げられた後、溶接(そ
の他、適当な密閉接合手段)により接合され密封されて
いる。そして、符号18は、その溶接部である。また、
後に説明するように、基材11、蓋13および各溶接部
には、符号19で矢視されるような圧力が作用すること
になる。
【0020】弁座用合金としては、弁箱の弁座および弁
体の弁座のうち、何れか一方に、重量パーセント表示
で、クロムが5〜15%、ケイ素が3〜7%、鉄が10
%〜40%、タングステンが1〜4%、ホウ素が1%以
下、炭素が1%以下、で残りがニッケルであるCr−S
i−Fe−W系のNi基合金を、そして別のもう一方
に、重量パーセント表示で、クロムが15〜20%、ケ
イ素が3〜7%、鉄が35%以下、タングステンが1〜
4%、スズが0.5 〜1%、ホウ素が1%以下、炭素が
1%以下、で残りがニッケルであるCr−Si−Fe−
W系のNi基合金を用いたり、このNi基合金以外に、
弁箱の弁座および弁体の弁座のうち、何れか一方を、重
量パーセント表示で、クロムが10〜15%、ケイ素が
3〜7%、鉄が10%以下、タングステンが2〜4%、
ホウ素が1%以下、炭素が1%以下、で残りがニッケル
であるCr−Si−Fe−W系のNi基合金、そして別
のもう一方を、重量パーセント表示で、クロムが15〜
20%、ケイ素が5〜10%、鉄が15%以下、タング
ステンが1〜3%、スズが0.5 〜1%、ホウ素が1%
以下、炭素が1%以下、で残りがニッケルであるCr−
Si−Fe−W系のNi基合金を用いてもよく、このよ
うに厳選することにより、特に耐食性および耐摩耗性
(耐摺動性)の向上において効果を発揮する。
【0021】尚、前者のCr−Si−Fe−W系のNi
基合金は、本出願人により平成6年5月10日に出願さ
れた特願平6−96500号明細書に記載されている発
明の合金の組成と同じ組成の合金で、高温高圧下におい
ても優れた耐摩耗性および耐摺動性を有する装置の提供
を可能にしている。また、後者のCr−Si−Fe−W
系のNi基合金は、本出願人による特許出願であって、
平成4年10月1日に出願公開された特開平4−276
038号公報に開示されている発明の合金の組成と同じ
組成の合金で、特に原子力プラントに用いた際、発生す
る放射線量が少なく、優れた耐摩耗性および耐摺動性を
有する装置の提供を可能にしていた。
【0022】本発明では、上述した特開平4−2760
38号の合金に相当する、下記の表1に示す2種類の合
金の組み合わせを実施例に、本発明の接合方法の手順を
説明する。第一の合金は、弁体の弁座用合金粉末に用
い、第二の合金は、弁箱の弁座用合金粉末に用いた。そ
して、二つの合金の化学組成、凝固点および融点は、下
記の表1に示す通りであり、その粉末は、粒度が+70
〜+210メッシュの範囲に入るものを使用した。
【0023】
【表1】
【0024】まず、基材11に設けられた溝部11a
に、弁座用合金粉末12を充填する。その後、充填した
弁座用合金粉末12を覆い、且つ溝部11aを塞ぐよう
に、蓋13を基材11上に載置し、その内外周縁を溶接
によって基材11と接合する(図2参照)。次に、外側
より蓋13を貫通し、内側の環状の溝部11aに連通す
るような穴を、薄い環状板の蓋13の一箇所に、場合に
よっては二箇所以上に、穿設する(勿論、この穴は、予
じめ穿設しておいてもよい)。そして、この穴に細管1
5の一端を差し込み、同細管15と蓋13との接触部を
符号16で示すように溶接して接合する。一方、細管1
5の他端には、真空ポンプ17を接続しておく(図3参
照)。
【0025】そして、前述した細管15と蓋13との溶
接接合が完了した後、基材11を約300℃に加熱しな
がら真空ポンプ17を作動させ、基材11と蓋13との
間に存在している、或は、弁座用合金粉末12内部また
は周辺に存在している空気等の気体を吸引除去して、圧
力(真空度)が10-5Torrという状態にする。その
後、細管15を適当な位置で折り曲げ切断し、真空ポン
プ17等を除去する。さらに、その切断部は、符号18
で示すように溶接によって接合した(図4参照)。
【0026】以上の手順が終了した時点で、基材11、
蓋13および細管15等(以下、粗製品と称す)をアル
ゴンガスが封入されている電気炉の中に装入する。炉内
(即ちアルゴンガス)の初期圧力は、35kgf/cm
とし、炉内の温度を、100℃/hour(1時間で
100℃)の昇温速度で800℃まで加熱した。そし
て、上記の状態からは、330(kgf/cm)/h
ourの昇圧速度で、炉内温度と同時に炉内圧力も上昇
させ、炉内温度が1130℃に達したとき、炉内圧力が
1200kgf/cmとなるようにし、約1時間程、
この状態を保持した。同状態では、粗製品に符号19で
示される圧力が作用している。そして、この温度および
圧力では、弁座用合金粉末12は、半液体半固体(半溶
融)或は全溶融状態となり(表1の凝固点および融点を
参照)、蓋13は、外側の高圧により容易に歪み、内側
の弁座用合金粉末12に圧力を加える。圧力が負荷され
ている弁座用合金粉末12は、強く圧縮され、もともと
の真空状態も手伝って、内部に空洞(内部欠陥)等が無
い状態で、基材11に接合される。
【0027】その後は、炉内の温度を、100〜150
℃/hourの降温速度で徐々に冷却し、また、炉内の
圧力は、約180kgf/cm/hourの降圧速度
で減圧し、炉内温度400℃、炉内圧力35kgf/c
となるようにした。そして、炉内温度を室温まで下
げ、アルゴンガスを空気と置換した後、粗製品を取り出
した。その後、粗製品の蓋13は、機械加工で切削し、
かくして、コバルトフリー合金材料が接合された弁座が
完成する。また、この弁座について、液体浸透検査等を
実施したところ、弁座に欠陥は認められず、極めて良好
な結果が得られた。
【0028】次に、本発明の方法により接合、製作され
た弁座および弁の機械的性質について説明する。弁座を
弁の摺動試験機に組込み、下記の表2に示すように水圧
が88kgf/cm、水温を室温および300℃とす
る二通りの高温高圧の水中で、弁座に20kgf/mm
の面圧を負荷して摺動回数100回までの摺動試験を
行なったところ、摺動状態は良好で100回摺動した後
の弁座の摺動面粗さは、1μmRa(平均粗さ)以下で
あって、極めて良好な摺動特性を示した(表2参照)。
ちなみに、粗さ1μmRaとは、弁の保守の際の摺合わ
せで、容易に気密面に復旧可能な粗さである。
【0029】
【表2】
【0030】さらに、摺動試験後、弁座部(第一の合
金、あるいは第二の合金)と基材(S25C)との接着
力を測定して、電弧溶接で最も希釈を少なくできる従来
のプセズマ・トランスファ・アーク溶接(PTA)法で
製造した場合の弁座部と基材との接着力と比較したとこ
ろ、いずれの場合も、基材自体の強度以上であって差異
が認められなかった。
【0031】次に、図5には、本方法により製造された
弁座部の断面の硬さ分布を測定したものと、上記のPT
A法で2層溶接を行って製造した弁座部の断面の硬さ分
布を測定したものとが比較して示されている。ちなみ
に、横軸上の点0は、基材と弁座用合金との境界面を示
している(図6も同様)。図5から分かるように、PT
A法で2層溶接して製造された弁座部の硬さは、溶接層
によって硬さに相違があり、基材からの希釈によってF
e分が増加し硬さが変化しているが、本発明の方法によ
り製造された弁座部には、弁座の厚さ方向に、そのよう
な変化は認められず、均質な硬さの弁座部が得られてい
ることが認められる。
【0032】また、図6には、本方法により製造された
弁座部の断面のFe分の分布をX線マイクロ・アナライ
ザーで分析した結果と、従来のPTA法で2層溶接して
製造された弁座部を同様に分析した結果とが比較して示
されている。PTA法で2層溶接して製造された弁座部
には、基材と弁座用合金との境界面より約1mmから
2.4mmまでの第1層に20%、約2.4mm以上の第
2層に、10%程度のFeの溶け込みが認められた。そ
れに対して、本発明の方法により製造された弁座部に
は、基材と弁座用合金との境界面より約0.05mmの
幅でわずかなFeの溶け込みが認められるだけで、それ
以外の部分の弁座用合金内部では、合金そのものに含有
しているFeのみが検出され、基材からの希釈の影響は
受けていないという結果が得られている。
【0033】尚、本発明の実施例では、合金の半溶融状
態を含む状態で接着を行なった場合を示したが、基材に
比して合金の融点が顕著に低い場合は、合金を全溶融状
態にして接合を行ってもよい。また、本発明の接合方法
は、弁構成部材の弁座および部品への適用のみに限られ
るものではなく、コバルトフリー合金材料の接合が必要
な装置及び部品に広く適用することが可能である。ま
た、本発明の接合方法は、基材と合金の接合に適用され
るばかりでなく、合金材料同士を接合して部品を製造す
る場合にも適用できる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明によれば、コバルトを含まないNi基合金を基材と
被覆部材とで気密に包囲した後、前記コバルトを含まな
いNi基合金に熱を加えて半溶融または全溶融状態にす
ると共に、該コバルトを含まない合金に圧力を加えなが
ら前記基材に接合するため、従来の溶接接合において発
生していた、基材および合金材料への浸炭が全く発生せ
ず、しかも、接合部材同士の化学成分の溶け込みが、極
めて微量であり且つ境界面近傍の微小領域でしか発生し
ないので、部材本来の化学成分の変化および機械的性質
の劣化がなく、接合後に常に同一な性能の製品が実現で
きる。
【0035】請求項2に記載の発明によれば、管状部材
の一端を前記被覆部材に差し込んで内部の前記コバルト
を含まないNi基合金に連通させ、前記管状部材の他端
を吸引装置に接続して、該吸引装置の作動により前記内
部にある気体を吸引し真空状態とするため、接合が完了
した合金の内部に気泡等が原因で起こる内部欠陥が生ぜ
ず、強固な接合が実現できる。
【0036】請求項3および4に記載の発明によれば、
作動した後の前記吸引装置を前記管状部材との接続から
解放し、該吸引装置と接続していた管状部材の端部を封
止して気密性を確保し、前記コバルトを含まないNi基
合金を前記基材と前記被覆部材とで包囲するに際し、該
基材と該被覆部材との接触部を溶接により気密的に接合
し、且つ、前記管状部材を前記被覆部材に差し込むに際
し、該管状部材と該被覆部材との差し込み部を溶接によ
り気密的に接合するため、上述した真空状態を確実なも
のとし、強固な接合が実現できる。
【0037】請求項5に記載の発明によれば、前記コバ
ルトを含まないNi基合金を相互に摺動する弁座部分と
して弁構成部材に接合するため、弁座の性能を落とさず
に、定期検査時等において作業者の被曝の恐れのない、
コバルトを含まない原子力発電プラント用の弁装置が製
造可能となる。請求項6および7に記載の発明によれ
ば、同請求項に掲げる化学組成のCr−Si−Fe−W
系のNi基合金を使用することで、特に、耐食性および
耐摩耗性の高い軽水原子炉用弁の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に従って接合された弁座を有
する弁装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】 本発明の実施例においてコバルトを含まない
Ni基合金を基材と被覆部材とで包囲する工程を説明す
る断面図である。
【図3】 本発明の実施例において被覆部材に管状部材
を差し込み、管状部材に吸引装置が取り付ける工程を説
明する断面図である。
【図4】 本発明の実施例において吸引装置が除去され
管状部材を塞いだ後、外部より圧力がかけられている工
程を説明する断面図である。
【図5】 本発明の実施例による接合方法で製造された
弁座と従来のPTA法によって製造された弁座の硬さを
比較した図である。
【図6】 実施例の方法で製造された弁座とPTA法に
よって製造された弁座のFe(鉄)の含有量の分布を比
較した図である。
【符号の説明】
1a,2a…弁座、11…基材(弁箱および弁体等、弁
の構成部材)、12…弁座用合金粉末(コバルトを含ま
ない合金)、13…蓋(被覆部材)、15…細管(管状
部材)、17…真空ポンプ(吸引装置)。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルトを含まないNi基合金を基材に
    接合する方法であって、前記Ni基合金を該基材と被覆
    部材とで気密に包囲した後、前記Ni基合金に熱を加え
    て半溶融または全溶融状態にすると共に、該Ni基合金
    に圧力を加えながら前記基材に接合する、コバルトを含
    まないNi基合金の接合方法。
  2. 【請求項2】 管状部材の一端を前記被覆部材に差し込
    んで内部の前記Ni基合金に連通させ、前記管状部材の
    他端を吸引装置に接続して、該吸引装置の作動により前
    記内部にある気体を吸引し真空状態とする請求項1に記
    載の接合方法。
  3. 【請求項3】 作動終了後の前記吸引装置を前記管状部
    材との接続から解放し、該吸引装置と接続していた管状
    部材の端部を封止して気密性を確保する請求項2に記載
    の接合方法。
  4. 【請求項4】 前記Ni基合金を前記基材と前記被覆部
    材とで包囲するに際し、該基材と該被覆部材との接触部
    を溶接により気密に接合し、且つ、前記管状部材を前記
    被覆部材に差し込むに際し、該管状部材と該被覆部材と
    の差し込み部を溶接により気密に接合した請求項2また
    は3に記載の接合方法。
  5. 【請求項5】 前記基材の対象が、相互に摺動する弁座
    を有する弁構成部材であり、且つ、前記Ni基合金の対
    象が、前記弁座である場合に使用される請求項1ないし
    請求項4の何れかに記載の接合方法。
  6. 【請求項6】 前記Ni基合金として、弁箱の弁座およ
    び弁体の弁座のうち、何れか一方には、重量パーセント
    表示で、クロムが10〜15%、ケイ素が3〜7%、鉄
    が10%以下、タングステンが2〜4%、ホウ素が1%
    以下、炭素が1%以下で、残りがニッケルであるCr−
    Si−Fe−W系のNi基合金を、他方には、重量パー
    セント表示で、クロムが15〜20%、ケイ素が5〜1
    0%、鉄が15%以下、タングステンが1〜3%、スズ
    が0.5〜1%、ホウ素が1%以下、炭素が1%以下
    で、残りがニッケルであるCr−Si−Fe−W系のN
    i基合金を使用する請求項5に記載の接合方法。
  7. 【請求項7】 前記Ni基合金として、弁箱の弁座およ
    び弁体の弁座のうち、何れか一方には、重量パーセント
    表示で、クロムが5〜15%、ケイ素が3〜7%、鉄が
    10%〜40%、タングステンが1〜4%、ホウ素が1
    %以下、炭素が1%以下で、残りがニッケルであるCr
    −Si−Fe−W系のNi基合金を、他方には、重量パ
    ーセント表示で、クロムが15〜20%、ケイ素が3〜
    7%、鉄が35%以下、タングステンが1〜4%、スズ
    が0.5〜1%、ホウ素が1%以下、炭素が1%以下
    で、残りがニッケルであるCr−Si−Fe−W系のN
    i基合金を使用する請求項5に記載の接合方法。
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JPS58167068A (ja) * 1982-03-30 1983-10-03 Kyowa Gokin Kk 粉末溶解による異種金属の複合法
JPS6029441A (ja) * 1983-07-27 1985-02-14 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 耐熱疲労性耐食部材およびその製造法

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