JP5784362B2 - 澱粉せんべい及び澱粉せんべいの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は澱粉せんべい及び澱粉せんべいの製造方法に関する。
澱粉せんべいとは、小麦粉、砂糖、卵等を主原料とする瓦せんべい、南部せんべい、オランダせんべいに代表される甘味せんべい、米を主原料とする醤油せんべい、塩せんべい、おかき等に代表される米菓せんべい等と異なり、澱粉を主原料として魚介類の乾燥品、調味料を混合して焼成又は油ちょうして製造され、愛知県の知多半島の名物となっている海老せんべい等が知られる。
澱粉せんべいには馬鈴薯澱粉が主に利用されており、馬鈴薯澱粉特有の膨化・糊化物性による適度な硬さと一定以上の力を加えるとパリッと割れるような食感を示すことが知られる。このように澱粉せんべいは独特の食感を有することが特徴であり、馬鈴薯澱粉以外の澱粉を利用する例は認められるものの、製品硬度・食感等の点で、馬鈴薯澱粉主原料の澱粉せんべいの特性が得られないことが知られている。
澱粉せんべいの製造方法に関して、例えば、下記特許文献1には、分級馬鈴薯澱粉の小粒子区分を利用して、膨化性、食感、口溶け、形状に優れた澱粉せんべいを製造する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、馬鈴薯澱粉にワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を含有させることで、製品形状のムラ、不安定な糊化を改良した澱粉せんべいを製造する方法が記載されている。
特開2002−281904号公報 特開2007−244311号公報
しかしながら、上記特許文献1では分級馬鈴薯澱粉の小粒子区分を利用するものであるが、基本的に一期作である馬鈴薯は作付け量や天候によって収穫量が変化し易く、これを原料としている馬鈴薯澱粉は供給量や販売価格が不安定であるという問題があった。
また、上記特許文献2は馬鈴薯澱粉にワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を含有させるものであるが、ワキシーポテト澱粉は市場における流通量が非常に少ないため、馬鈴薯澱粉以上に供給量や販売価格が不安定であった。
更に、一般に馬鈴薯澱粉及び加工馬鈴薯澱粉は老化性が高く、調理後の食感の経時変化を起こすため、商品価値が低下し易いという問題もあった。
従って本発明の目的は、供給量や販売価格が不安定である馬鈴薯澱粉を他の澱粉に代替しても、澱粉せんべい本来の適度な硬さと一定以上の力を加えるとパリッと割れるような食感が得られ、良好な食感が調理後にも長期間維持される澱粉せんべい、及びその澱粉せんべいの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、多期作であるキャッサバ芋を原料とする澱粉であり供給量や販売価格が安定なタピオカ澱粉に着眼して、これを微弱にエステル化したエステル化タピオカ澱粉を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるエステル化タピオカ澱粉を含有する澱粉せんべいを提供するものである。
本発明の澱粉せんべいにおいては、前記エステル化タピオカ澱粉の加熱溶解度が15〜40%であることが好ましい。
また、前記エステル化タピオカ澱粉は、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉、及びアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
また、前記エステル化タピオカ澱粉は、アセチル基含量が0.1〜1質量%のアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉及び/又はアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉であることが好ましい。
また、前記エステル化タピオカ澱粉は、アジピン酸基含量が0.01質量%を超えないアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉であることが好ましい。
また、更に馬鈴薯澱粉を含有し前記エステル化タピオカ澱粉と該馬鈴薯澱粉の質量比が10:90〜100:0であることが好ましい。
一方、本発明のもう1つは、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるエステル化タピオカ澱粉を含有するせんべい生地を調製し、これを加熱調理することを特徴とする澱粉せんべいの製造方法を提供するものである。
本発明の澱粉せんべいの製造方法においては、前記せんべい生地が更に馬鈴薯澱粉を含有し、前記エステル化タピオカ澱粉と該馬鈴薯澱粉の質量比が10:90〜100:0であることが好ましい
本発明によれば、供給量や販売価格が不安定である馬鈴薯澱粉を他の澱粉に代替しても、澱粉せんべい本来の適度な硬さと一定以上の力を加えるとパリッと割れるような食感が得られ、良好な食感が調理後にも長期間維持される澱粉せんべいを得ることができる。
澱粉の糊化物性を測定するアミログラフィー分析の一例を示す図表である。
本発明の澱粉せんべいは、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるエステル化タピオカ澱粉を含有することを特徴としている。
ピーク粘度が上記範囲未満であり且つブレークダウンが上記範囲未満であると加熱調理時の粒の糊化や膨化の進行が過剰に抑制されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があり、ピーク粘度が上記範囲未満であり且つブレークダウンが上記範囲を超えると加熱調理時の粒の糊化や膨化の進行が過剰に促進されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があるので、いずれも好ましくない。
(アミログラフィー分析)
アミログラフィー分析は以下の方法に従って行うことができる。
固形分換算で6質量%の澱粉スラリーを調製し、測定開始温度を35℃で開始、1.5℃/分で95℃まで昇温、その後95℃を30分間維持の条件で澱粉の糊化物性を測定する。得られたアミログラム(温度−澱粉粘度曲線)から、95℃到達時までに記録された最大の粘度を読み取り、これをピーク粘度とする。また、ピーク粘度の発現以降に粘度が低下した際、95℃を30分間維持した時に記録された粘度を読み取り、これをボトム粘度とする。そしてピーク粘度とボトム粘度の差をブレークダウンとする。
図1にはアミログラフィー分析の一例を示す。図中実線のアミログラムが得られた場合、そのブレークダウンは図中Aで示される粘度差の値となる。また、図中点線のアミログラムが得られた場合、そのブレークダウンは図中Bで示される粘度差の値となる。
(エステル化タピオカ澱粉)
本発明に用いるエステル化タピオカ澱粉の原資澱粉はタピオカ澱粉である。タピオカ澱粉としては、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良された品種が存在するが、これらは特に限定されるものではない。例えば、ウルチ種のタピオカ澱粉に加え、ワキシータピオカ澱粉等が挙げられる。
タピオカ澱粉のエステル化としては、アセチル化、アジピン酸エステル化、コハク酸エステル化、オクテニルコハク酸エステル化、脂肪酸エステル化、リン酸エステル化等が挙げられ、特に限定されない。これらのエステル化の2種以上が組み合わせて施されていてもよい。尚、アジピン酸エステル化、リン酸エステル化等によりジエステル化により架橋構造が付与されたものは架橋タピオカ澱粉とも称される。また、これらのエステル化と組み合わせて、本発明の効果を損なわない範囲で、エーテル化(ヒドロキシプロピル化)や酸化等といったエステル化以外の加工処理を施すことに制限はなく、湿熱処理、油脂加工、ボールミル処理、微粉砕処理、α化、加熱処理、温水処理、漂白処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理等の物理加工を施すことにも制限はない。
本発明に用いるエステル化タピオカ澱粉は、その加熱溶解度が15〜40%であることが好ましく、20〜40%であることがより好ましい。加熱溶解度が上記範囲未満であると加熱調理時の澱粉粒の糊化や膨化の進行が過剰に抑制されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があり、加熱溶解度が上記範囲を超えると加熱調理時の澱粉粒の糊化や膨化の進行が過剰に促進されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があるので、いずれも好ましくない。加熱溶解度は澱粉粒を糊化させた際に粒から溶出する成分の量であり、一般的には架橋構造の付与によって溶解度が低下し、アセチル基の付与によって上昇することが知られている。従って、澱粉に付加する置換基の種類や付加量によって加熱溶解度を調整することができる。
また、エステル化タピオカ澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉、又はアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を用いることが好ましい。これらの2種以上を併用してもよい。
エステル化タピオカ澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉やアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を用いる場合、そのアセチル基含量は0.1〜1質量%であることが好ましく、0.2〜0.6質量%であることがより好ましい。アセチル基含量が上記範囲未満であると食感の経時的劣化の防止又は抑制が不十分となる傾向があり、アセチル基含量が上記範囲を超えると食感の経時的劣化の防止又は抑制は満足できるものの、加熱調理時の澱粉粒の糊化や膨化の進行が過剰に促進されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があるので、いずれも好ましくない。
また、エステル化タピオカ澱粉として、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を用いる場合、そのアジピン酸基含量は0.01質量%を超えないことが好ましい。アジピン酸基含量が上記範囲を超えると、加熱調理時の澱粉粒の糊化や膨化の進行が過剰に抑制されて目的とする食感が得られ難くなる傾向があるので好ましくない。
本発明に用いるエステル化タピオカ澱粉は、通常知られたエステル化剤を用いる方法で調製することが可能である。例えば、アセチル化剤として無水酢酸、酢酸ビニルモノマー等を用いてアセチル化されたタピオカ澱粉を調製することができる。また、アジピン酸エステル化やリン酸エステル化されたタピオカ澱粉は、アジピン酸、無水アジピン酸、無水酢酸・酢酸・アジピン酸・無水アジピン酸の平衡混合物、トリメタリン酸ナトリウム、オキシ塩化リン等を架橋剤として用いて調製することができる。ただし、上記の範囲に属するものを得て、後述の実施例で示されるように澱粉せんべいとして良好な食感を得るためには、エステル化され過ぎないように調製する必要がある。
以下には、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉、及びアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉の調製法の一例を示す。
(アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーにアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH7〜10に調整する。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を添加する。このとき、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が無水酢酸として0.5〜6質量%となる量で添加することが好ましく、アジピン酸として0.005〜0.05質量%となる量で添加することが好ましい。そして、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜180分間程度かけて徐々に添加することが好ましい。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得る。
(リン酸架橋タピオカ澱粉)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.1〜5質量%となる量で塩類(塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等)を添加した後に、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9〜12に調整する。次いで、リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンを添加する。このとき、トリメタリン酸ナトリウムを用いる場合は澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.01〜0.07質量%となる量で添加することが好ましく、オキシ塩化リンを用いる場合は0.002〜0.02質量%となる量で添加することが好ましい。30〜120分間程度かけて反応させた後に、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってリン酸架橋タピオカ澱粉を得る。
(アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.1〜5質量%となる量で塩類(塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等)を添加した後に、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9〜12に調整する。次いで、リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンを添加する。このとき、トリメタリン酸ナトリウムを用いる場合は澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.01〜0.07質量%となる量で添加することが好ましく、オキシ塩化リンを用いる場合は0.002〜0.02質量%となる量で添加することが好ましい。30〜120分間程度かけて反応させた後に、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーをpH7程度の中性に調整する。
上記の澱粉スラリーに対して、アセチル化剤として酢酸ビニルモノマー又は無水酢酸を添加する。
酢酸ビニルモノマーを用いる場合は、澱粉スラリーにアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH8〜11に調整し、次いで酢酸ビニルモノマーを添加する。このとき、酢酸ビニルモノマーは、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.5〜5質量%となる量で添加することが好ましい。10〜60分間程度かけて反応させた後に、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得る。
一方、無水酢酸を用いる場合は、澱粉スラリーにアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH7〜10に調整し、次いで無水酢酸を添加する。このとき、無水酢酸は、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.5〜6質量%となる量で添加することが好ましい。そして、無水酢酸は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜180分間程度かけて徐々に添加することが好ましい。無水酢酸の添加終了後に10分間程度pHを維持した後、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得る。
以下には、本発明における、加熱溶解度、アセチル基含量、及びアジピン酸基含量の測定について説明する。
(加熱溶解度の測定)
加熱溶解度とは、澱粉を加熱糊化させた際に澱粉粒から溶出する糖量度合であり、以下の方法で算出される。
固形分換算の試料0.2gを蒸留水19.8mlに分散して、沸騰水浴中で30分間加熱を行った後、25℃水道水浴中で30分間冷却する。次いで、この液を遠心分離(3000rpm、10分間)して沈澱層と上層に分ける。この上層に含まれる全糖量をフェノール硫酸法で測定し、その容量に対する質量%濃度として加熱溶解度を算出する。
(アセチル基含量の測定)
アセチル基含量は以下の方法で求めることができる。
澱粉試料5.0gを精密に量り、水50ml(水可溶性の場合は100ml)に懸濁し、フェノールフタレイン試液数滴を加え、液が微紅色を呈するまで0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液を滴下後、0.45mol/l水酸化ナトリウム溶液25mlを正確に加え、温度が30℃以上にならないように注意しながら栓をして30分間激しく振り混ぜる。0.2mol/l塩酸で過量の水酸化ナトリウムを滴定する。終点は液の微紅色が消えるときとする。別に空試験を行い補正する。下記式(1)により遊離アセチル基含量を求め、更に乾燥物換算を行う。
アセチル基含量(%)=(e−f)×n×0.043×100/w…(1)
上記式(1)中、eは空試験滴定量(ml)を、fは試料滴定量(ml)を、nは0.2mol/l塩酸の力価を、wは試料乾燥物重量(g)を意味する。
(アジピン酸基含量の測定)
アジピン酸基含量は以下の方法で求めることができる。
澱粉試料約1gを精密に量り、共栓三角フラスコに入れ、水50mlを加え、更に内標準溶液1mlを正確に加え、よく振り混ぜて澱粉試料を分散させた後、4mol/l水酸化ナトリウム溶液50mlを加え、5分間振とうする。内標準溶液には、グルタル酸0.10gを正確に量り、水を加えて溶かし、正確に100mlとしたものを用いる。三角フラスコを室温の水浴に入れ、塩酸20mlを注意しながら加える。冷後、内容物を分液漏斗に移し、三角フラスコを少量の水で洗い、洗液を分液漏斗に入れる。酢酸エチル100mlずつで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加えて時々振り混ぜながら10分間放置した後、ろ過する。容器及びろ紙上の残留物を酢酸エチル50mlで2回洗い、洗液をろ紙に合わせ、6.7kPaの減圧下、40℃以下で酢酸エチルを留去し、更に窒素気流で酢酸エチルを完全に除去する。酢酸エチルの留去はできるだけ速やかに行う。次いで、残留物にピリジン2ml及びN,O−ビストリメチルシリルトリフルオロアセタミド1mlを加えて栓をし、残留物を溶解する。1時間放置後、2mlをガラス製バイアル瓶にとり、直ちに密封し、総アジピン酸測定用検液とする。
一方で、澱粉試料約5gを精密に量り、共栓三角フラスコに入れ、水100mlを加え、更に上記内標準溶液1mlを正確に加える。1時間振とう後、メンブレンフィルター(孔径0.45μm)でろ過し、ろ液に塩酸1mlを加え、分液漏斗に移す。ただし、α化澱粉及び水可溶澱粉の場合は、メンブレンフィルターでろ過せず、懸濁液に塩酸1mlを加え、分液漏斗に移す。以下、総アジピン酸測定用検液と同様に操作し、遊離アジピン酸測定用検液とする。
アジピン酸0.10gを正確に量り、温湯90mlに溶かし、室温まで冷却した後、正確に100mlとする。この液1ml、5ml、10ml及び20mlを正確に量り、水を加えてそれぞれ正確に50mlとし、4濃度の標準原液とする。4個の共栓三角フラスコに、澱粉試料と同じ植物を基原とする未加工澱粉1.0gずつを量り、水50mlを加え、更に内標準溶液1mlを正確に加える。各フラスコに、濃度の異なる標準原液5mlを正確に加え、よく振り混ぜて澱粉を分散させた後、4mol/l水酸化ナトリウム溶液50mlを加え、5分間振とうする。各フラスコを室温の水浴に入れ、塩酸20mlを注意しながら加える。冷後、内容物を分液漏斗に移す。以下、総アジピン酸測定用検液と同様に操作し、4濃度の標準液とする。
総アジピン酸測定用検液、遊離アジピン酸測定用検液及び4種類の標準液をそれぞれ1μlずつ量り、次の操作条件でガスクロマトグラフィーを行う。4種類の標準液のグルタル酸のピーク面積に対するアジピン酸のピーク面積比と標準液に含まれるアジピン酸の量から検量線を作成する。総アジピン酸測定用検液及び遊離アジピン酸測定用検液のグルタル酸のピーク面積に対するアジピン酸のピーク面積比を求め、検量線より両検液中のアジピン酸の量(g)を求める。下記式(2)によりアジピン酸基含量を求める。
アジピン酸基含量=(CT/WT−CF/WF)×100 (質量%)…(2)
上記式(2)中、CTは総アジピン酸測定用検液中のアジピン酸の量(g)を、CFは遊離アジピン酸測定用検液中のアジピン酸の量(g)を、WTは総アジピン酸測定用検液中の乾燥物換算した澱粉試料の採取量(g)を、WFは遊離アジピン酸測定用検液中の乾燥物換算した澱粉試料の採取量(g)を意味する。
以下にガスクロマトグラフィーの操作条件を示す。
検出器:水素炎イオン化検出器
検出器温度:250℃
カラム:内径0.25mm、長さ15mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用50%ジフェニル−50%ジメチルポリシロキサンを0.25μmの厚さで被覆したもの。
カラム温度:120℃で5分間保持、その後150℃まで毎分5℃で昇温する。
注入口温度:250℃
注入方式:スプリット(30:1)
キャリヤーガス:ヘリウム又は窒素、流量:アジピン酸の保持時間が約8分に、グルタル酸の保持時間が約5分になるように調整する。
(澱粉せんべい)
本発明の澱粉せんべいは澱粉質原料を主原料とするせんべいであり、適度な硬さで一定以上の力を加えるとパリッと割れるような独特の食感を楽しむことのできるせんべいである。その澱粉質原料として少なくとも上記エステル化タピオカ澱粉を配合し、これに副原料及び水を加えて混練して生地を調製し、成形後、焼成又は油ちょうして得ることができる。
副原料としてはアミノ酸、核酸、蛋白分解物、食塩、砂糖、ステビア等の調味料、エビ、イカ、ウニ、カラスミ等の魚介類、野菜類、乳製品、肉製品、豆加工品等の風味材料、唐辛子、ワサビ等の香辛料、油脂等が挙げられる。特に、油脂を配合すると、食感が軽くなるので好ましい。
本発明の澱粉せんべいは、上記澱粉せんべいの生地として、澱粉質原料を乾燥物換算で70〜98質量%、副原料を乾燥物換算で2〜30質量%含有せしめた生地を用いて調製することが好ましい。
澱粉質原料としては、上記エステル化タピオカ澱粉のほか、馬鈴薯澱粉、その他の澱粉、穀粉、小麦粉、米粉等の他の澱粉質原料を配合してもよく、その場合、馬鈴薯澱粉を配合することが好ましい。後述する試験例で示すように、馬鈴薯澱粉に上記エステル化タピオカ澱粉を併用する態様によれば、馬鈴薯澱粉を単独で用いたときに問題となる調理後の経時的な食感の劣化を、防止又は抑制することができる。この場合、上記エステル化タピオカ澱粉と馬鈴薯澱粉の質量比が10:90〜100:0であることが好ましい。馬鈴薯澱粉としては、未加工の馬鈴薯澱粉に加え、加工馬鈴薯澱粉(エステル化、エーテル化、酸化等)や物理加工馬鈴薯澱粉(湿熱処理、油脂加工、α化等)等を用いることができる。
上記エステル化タピオカ澱粉の配合量としては、上記澱粉せんべいの生地中に、乾燥物換算で70〜98質量%含有せしめて調製することが好ましい。また、更に馬鈴薯澱粉を配合する場合には、上記澱粉せんべいの生地中に、上記エステル化タピオカ澱粉を乾燥物換算で35〜49質量%、馬鈴薯澱粉を乾燥物換算で35〜49質量%含有せしめて調製することが好ましく、上記エステル化タピオカ澱粉を乾燥物換算で63〜88.2質量%、馬鈴薯澱粉を乾燥物換算で7〜9.8質量%含有せしめて調製することがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1に示す各種澱粉を用いて調製した澱粉せんべいについて評価を行った。
各澱粉は以下のようにして調製し又は入手した。
(澱粉No.1)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、アルカリ剤(水酸化ナトリウム水溶液)を添加してpH8.5に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が無水酢酸として1〜2質量%、アジピン酸として0.03質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら50〜100分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.2)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量がアジピン酸として0.02質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.3)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量がアジピン酸として0.01質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.4)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が無水酢酸として3〜4質量%、アジピン酸として0.01質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.5)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.5質量%となる量で塩類(塩化カルシウム)を添加した後に、アルカリ剤(水酸化ナトリウム水溶液)を添加してpH10に調整した。次いで、リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.05質量%となる量で添加した。60分間反応後に塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってリン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.6)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.03質量%となる量で添加した以外は澱粉No.5と同様にしてリン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.7)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.02質量%となる量で添加した以外は澱粉No.5と同様にしてリン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.8)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.5質量%となる量で塩類(塩化カルシウム)を添加した後に、アルカリ剤(水酸化ナトリウム水溶液)を添加してpH10に調整した。次いで、リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.05質量%となる量で添加し、60分間反応後に塩酸で澱粉スラリーをpH7に調整した。この澱粉スラリーに対して、アルカリ剤(炭酸ナトリウム水溶液)を添加してpH10に調整し、アセチル化剤として酢酸ビニルモノマーを澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が1〜2質量%となる量で添加した。30分間反応後に塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.9)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.03質量%となる量で添加した以外は澱粉No.8と同様にしてアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.10)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.02質量%となる量で添加した以外は澱粉No.8と同様にしてアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.11)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.03質量%となる量で添加し、アセチル化剤として酢酸ビニルモノマーを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が3〜4質量%となる量で添加した以外は澱粉No.8と同様にしてアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.12)
未加工の馬鈴薯澱粉である士幌町農業協同組合製の「マル特 士幌」を使用した。
(澱粉No.13)
未加工のタピオカ澱粉であるAsia Modified Starch Co., Ltd.製の「TAPIOCA STARCH」を使用した。
(澱粉No.14)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が無水酢酸として4〜5質量%、アジピン酸として0.1質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.15)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量がアジピン酸として0.08質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.16)
アセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量がアジピン酸として0.004質量%となる量で添加した以外は澱粉No.1と同様にしてアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.17)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.08質量%となる量で添加した以外は澱粉No.5と同様にしてリン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.18)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.008質量%となる量で添加した以外は澱粉No.5と同様にしてリン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.19)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.08質量%となる量で添加した以外は澱粉No.8と同様にしてアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.20)
リン酸架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウムを、澱粉スラリーの澱粉乾燥物重量に対する添加量が0.008質量%となる量で添加した以外は澱粉No.8と同様にしてアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉No.21)
アセチル化タピオカ澱粉である日本食品化工株式会社製の「日食MT−01LL」を使用した。
(澱粉No.22)
未加工のワキシーコーンスターチである日本食品化工株式会社製の「日食ワキシースターチY」を使用した。
(澱粉No.23)
リン酸架橋ワキシーコーンスターチである日本食品化工株式会社製の「日食ネオビスC−10」を使用した。
表1には、各澱粉について、アミログラフィー分析でのピーク粘度及びブレークダウン、加熱溶解度、アセチル基含量、アジピン酸基含量の測定結果を示す。尚、参考例に用いた馬鈴薯澱粉は、加熱溶解度の測定において遠心分離によって液を沈澱層と上層に分けることができなかったため、測定不能とした。
一般に澱粉粒に架橋構造を付与することで加熱による膨潤が抑制され、ピーク粘度が低下することが知られている。また、架橋構造により澱粉粒の崩壊が生じ難くなるため、ブレークダウンが生じ難くなる。すなわち、架橋構造を付与するとピーク粘度及びブレークダウンが抑制される。これに対して、上記澱粉No.1〜11(実施例1〜11)に調製した程度に微弱に架橋構造を付与したタピオカ澱粉では、表1に示すように、ピーク粘度が上昇しつつ、ブレークダウンが適度に抑制されたものを得ることができた。これはその架橋によって、加熱による膨潤の抑制を伴わずに、澱粉粒の崩壊を抑制できるためであると考えられた。
尚、架橋構造の程度との関係を測るため、アジピン酸基含量又はリン酸基含量にして測定しようとしても、それらの下限値は、用いた通常の測定方法では検出限界以下であった。これは上記効果が、極わずかな架橋構造の付与による効果であるためと考えられた。
[試験例1](澱粉せんべい その1)
澱粉として上記表1に示した各種澱粉を使用し、下記表2に示した配合でせんべい生地を調製した。
手焼型煎餅焼機(三鳥産業株式会社製)に、調整した生地5mlを流し込み、約230℃で1分間焼成した。焼成後、100℃で30分間オーブンにて乾燥焼きし、室温で10分間冷却し、澱粉せんべいを得た。
得られた澱粉せんべいについて、食感の官能評価を行った。
具体的には、食感についての評価基準を、澱粉せんべいの特徴である硬さとサクサクとした食感を呈することに定め、5点満点(1〜5)での評価を行った。硬さに関しての評価基準は、調製直後の馬鈴薯澱粉のみを澱粉として使用した参考例の硬くパリっと割れる食感を5点、参考例よりも若干硬さが無くパリっと割れる食感を4点、硬さは弱く、パリパリとした食感を3点、軟らかくザクザクとした食感を2点、噛んだ瞬間から崩れるように軟らかく、軽い食感を1点とした。サクサクとした食感に関しての評価基準は、調製直後の馬鈴薯澱粉のみを澱粉として使用した参考例の割れの良い食感を5点、やや割れの良い食感を4点、サクみの弱い食感を3点、やや湿気を帯びたサクみの弱い食感を2点、湿気を帯びたサクみの無い食感を1点とした。
評価は、調製直後と、開封したビニール袋に入れ室温で1週間保管した後の2度行い、経時変化を確認した。
尚、上記の官能評価は8名のパネラーにより実施され、パネラーの評点の平均点を各澱粉せんべいの点数として採用した。
その結果を表3に示す。
表3に示すように、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つブレークダウンが150〜500BUのエステル化タピオカ澱粉を用いた実施例1−1〜1−11の試験区の澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を用いた参考例に近い、硬くパリッと割れる食感であった。また、1週間保存後、馬鈴薯澱粉を用いた参考例では経時的劣化が大きく、湿気を帯びたサクみの無い食感であったが、実施例1−1〜1−11の試験区の澱粉せんべいでは、参考例と比較すると、その劣化が抑制されていた。
一方、未加工のタピオカ澱粉を用いた比較例1−1の試験区や、実施例1−1〜1−4の試験区と同じアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例1−2〜1−4の試験区では、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。実施例1−5〜1−7の試験区と同じリン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例1−5、1−6の試験区や、実施例1−8〜1−11の試験区と同じアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例1−7、1−8の試験区でも、同様に、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。更に、アジピン酸架橋を施さずに上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないアセチル化タピオカ澱粉を用いた比較例1−9の試験区の澱粉せんべいや、ワキシーコーンスターチやその加工澱粉を用いた比較例1−10、1−11の試験区の澱粉せんべいでも、馬鈴薯澱粉を用いた参考例に近い食感のものを得ることはできなかった。
尚、これらの比較例1−1〜1−11の試験区では、1週間保存後、参考例と比較すると劣化が抑制されているようであったが、これは、調製直後から軟らかい食感であったため、参考例と比較すると湿気を帯びた食感の劣化が感じられ難かったためであった。
[試験例2](澱粉せんべい その2)
表1に示した各種澱粉を、馬鈴薯澱粉に対して、質量比10:90(各種澱粉:馬鈴薯澱粉)の割合で混合して澱粉質原料として用いた以外は、試験例1と同様にして澱粉せんべいを得てその官能評価を行った。
その結果を表4に示す。
表4に示すように、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つブレークダウンが150〜500BUのエステル化タピオカ澱粉を質量比10:90の割合で馬鈴薯澱粉と混合して用いた実施例2−1〜2−11の試験区の澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を用いた参考例に近い、硬くパリッと割れる食感であった。また、1週間保存後、馬鈴薯澱粉を用いた参考例では経時的劣化が大きく、湿気を帯びたサクみの無い食感であったが、実施例2−1〜2−11の試験区の澱粉せんべいでは、参考例と比較すると、その劣化が抑制されていた。
一方、未加工のタピオカ澱粉を用いた比較例2−1の試験区や、実施例2−1〜2−4の試験区と同じアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例2−2〜2−4の試験区では、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。実施例2−5〜2−7の試験区と同じリン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例2−5、2−6の試験区や、実施例2−8〜2−11の試験区と同じアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例2−7、2−8の試験区でも、同様に、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。
[試験例3](澱粉せんべい その3)
表1に示した各種澱粉を、馬鈴薯澱粉に対して、質量比20:80(各種澱粉:馬鈴薯澱粉)の割合で混合して澱粉質原料として用いた以外は、試験例1と同様にして澱粉せんべいを得てその官能評価を行った。
その結果を表5に示す。
表5に示すように、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つブレークダウンが150〜500BUのエステル化タピオカ澱粉を質量比20:80の割合で馬鈴薯澱粉と混合して用いた実施例3−1〜3−11の試験区の澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を用いた参考例に近い、硬くパリッと割れる食感であった。また、1週間保存後、馬鈴薯澱粉を用いた参考例では経時的劣化が大きく、湿気を帯びたサクみの無い食感であったが、実施例3−1〜3−11の試験区の澱粉せんべいでは、参考例と比較すると、その劣化が抑制されていた。
一方、未加工のタピオカ澱粉を用いた比較例3−1の試験区や、実施例3−1〜3−4の試験区と同じアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例3−2〜3−4の試験区では、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。実施例3−5〜3−7の試験区と同じリン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例3−5、3−6の試験区や、実施例3−8〜3−11の試験区と同じアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉であって、その加工の程度によって上記アミログラフィー分析における澱粉の粘度特性の範囲に入らないものを用いた比較例3−7、3−8の試験区でも、同様に、調製直後に硬さが弱く、ザクザクとした食感であり、馬鈴薯澱粉を用いた参考例とは全く異なる食感であった。
以上の結果から、上記実施例の試験区に用いられたエステル化タピオカ澱粉は、馬鈴薯澱粉とは粒径や粒強度が異なるタピオカ澱粉を原料としつつも、微弱なエステル化の加工が施されることで、加熱時の粒の糊化や膨化の進行度合いが澱粉せんべいの食感を出す上で最適な物性に調節されたと考えられた。更に、上記実施例の試験区に用いられたエステル化タピオカ澱粉は、馬鈴薯澱粉と比較して糊化や膨化した後の保存中の物性変化が起こり難く、食感の経時的劣化が抑制されたものと考えられた。

Claims (7)

  1. 6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800〜1090Uであり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるエステル化タピオカ澱粉であって、下記(1)〜(3)からなる群から選ばれた1種又は2種以上である、該エステル化タピオカ澱粉を含有する澱粉せんべい。
    (1)アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉
    (2)リン酸架橋タピオカ澱粉
    (3)アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉
  2. 前記エステル化タピオカ澱粉の加熱溶解度が15〜40%である請求項1記載の澱粉せんべい。
  3. 前記エステル化タピオカ澱粉は、アセチル基含量が0.1〜1質量%のアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉及び/又はアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉である請求項1又は2記載の澱粉せんべい。
  4. 前記エステル化タピオカ澱粉は、アジピン酸基含量が0.01質量%を超えないアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉である請求項1〜のいずれか1つに記載の澱粉せんべい。
  5. 更に馬鈴薯澱粉を含有し前記エステル化タピオカ澱粉と該馬鈴薯澱粉の質量比が10:90〜100:0である請求項1〜のいずれか1つに記載の澱粉せんべい。
  6. 6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800〜1090Uであり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるエステル化タピオカ澱粉であって、下記(1)〜(3)からなる群から選ばれた1種又は2種以上である、該エステル化タピオカ澱粉を含有するせんべい生地を調製し、これを加熱調理することを特徴とする澱粉せんべいの製造方法。
    (1)アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉
    (2)リン酸架橋タピオカ澱粉
    (3)アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉
  7. 前記せんべい生地は更に馬鈴薯澱粉を含有し、前記エステル化タピオカ澱粉と該馬鈴薯澱粉の質量比が10:90〜100:0である請求項記載の澱粉せんべいの製造方法。
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