JP5783014B2 - 軸受用棒鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受用棒鋼に関し、詳しくは、球状化焼鈍などの熱処理を行うことなく、圧延ままで優れた冷間鍛造性を有し、かつ転動疲労寿命に優れた、主に冷間鍛造用途で使用される軸受用棒鋼に関する。
自動車や産業機械などに用いられる軸受部品は、一般に、JIS G 4805(2008)に規定されたSUJ2〜5に代表される高炭素クロム軸受鋼の圧延鋼材を素材として、熱間鍛造や切削加工など、いわゆる「2次加工」の工程を経て、所望の形状に仕上げられている。
近年、軸受部品の製造コスト低減や歩留まり向上の観点から、軸受用棒鋼(以下、単に「棒鋼」ということがある。)をそのまま冷間鍛造あるいは切削加工する製造プロセスのニーズが高まっている。
しかし、高炭素クロム軸受鋼の熱間圧延ままのミクロ組織は、一般に、パーライトの単相組織であって、硬さが高いものである。したがって、熱間圧延ままの軸受用棒鋼をそのまま冷間鍛造や切削加工などに供すると、冷間鍛造の際に割れが発生したり、工具寿命が低下するなどの問題が生じてしまい、適用が困難とされてきた。
このため、従来、冷間鍛造や切削加工の前処理として「球状化焼鈍」と呼ばれる20hを超えるような長時間の熱処理を施し、ミクロ組織をフェライトと球状セメンタイトの混合組織に変えることが行われてきた。
しかしながら、上記長時間の球状化焼鈍は、高価な熱処理設備を必要とするうえに多大なエネルギーを消費し、しかも、生産性を低下させてしまうので、コスト上昇を招く処理である。
したがって、この前処理としての球状化焼鈍を省略するか、あるいは省略できないまでもその時間を大幅に短縮して、エネルギー消費を少なくするとともに設備コストも下げ、生産性の向上を図りたいとの要望が大きくなっている。
なお、最終製品である軸受部品の性能として、長い転動疲労寿命が必要である。上記の転動疲労寿命(転動疲労特性)は、鋼中の非金属介在物(以下、単に「介在物」ともいう。)、特に、酸化物により低下することが知られている。そのため、従来は、製鋼プロセスによって鋼中の酸素含有量を少なくする試みがなされてきた。その結果、近年では酸素の含有量が質量%で10ppmを下回る鋼材を安定して製造することが可能となり、それに伴って転動疲労寿命も向上してきた。
しかし、近年のエンジンの高出力化や周辺部品の小型化によって、転動疲労寿命に対する要求が厳しくなり、単に酸素の含有量を低減させるだけでは、要求される良好な転動疲労寿命を確保することができず、このため、転がり軸受に対してより一層長い転動疲労寿命が実現できる鋼材への要求が強くなっている。
このように、球状化焼鈍を省略化あるいは簡略化しても冷間鍛造が可能で、かつ転動疲労寿命が大幅に向上する軸受用棒鋼が求められているのが現状である。
そこで、これらの要望に応えるべく、例えば、特許文献1に、球状化焼鈍を省略化あるいは簡略化ができる技術が開示されている。
具体的には、特許文献1に、質量%で、C:0.6〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、Si:0.05〜1.2%、Cr:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、残部:鉄および不可避的不純物からなり、必要に応じてさらに、Al:0.01〜0.03%、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.1%以下から選んだ1種または2種以上を含有する鋼組成を有し、かつセメンタイトのうちアスペクト比(長径/短径)が2以下であるものの割合が70%以上であることを特徴とする「熱間圧延ままで球状化炭化物組織を有する軸受け用線材・棒鋼」およびその製造方法が開示されている。
また、特許文献2および3に、転動疲労寿命を向上させるための技術が開示されている。
すなわち、特許文献2に、機械部品に使用される際に鋼材の表面硬さを58HRC以上として用いる機械構造用鋼、軸受鋼などの機械部品用の鋼において、鋼材断面100mm2中の非金属介在物の最大介在物径の測定を30箇所において行い極値統計処理を用いて算出される30000mm2中における硫化物の最大介在物径の予測値√area maxが40μm以下であることを特徴とする「転がり疲労寿命に優れた機械用部品に使用される鋼」が開示されている。
特許文献3に、機械部品に使用する際の鋼の表面硬さが58HRC以上であり、かつ質量割合でOが20ppm以下、Alが0.010%未満を満足する機械構造用鋼であって、介在物径を(縦×横)1/2と定義するとき、その鋼中に存在する検鏡面積3000mm2に存在する最大介在物径を有する酸化物系非金属介在物あるいは15μm以上の介在物径を有する全ての酸化物系非金属介在物の組成が質量%でSiO2:30%以上であることを特徴とする「転がり疲労寿命に優れた機械用部品に使用される鋼」が開示されている。
さらに、本発明者らも、特許文献4において、連続圧延のままで高い量の炭素とクロムを含む軸受鋼鋼材に従来の球状化焼鈍した場合と遜色のないミクロ組織を確保させることができる技術を提案した。
具体的には、本発明者らは、特許文献4において、質量%で、C:0.7〜1.2%、Cr:0.8〜1.8%、Mn:0.2〜1.2%およびS:0.015%以下を含み、かつ、MnとSの含有量の比であるMn/Sの値が20〜170である化学組成を有する被圧延材を、Ae1点〜Aem点の温度域に加熱した後、2以上の圧延工程と、最初の圧延工程から最後の圧延工程までの間に1以上の中間冷却工程とを備える全連続式熱間圧延方法により圧延し、さらに、圧延終了後に、400℃までの温度域を冷却速度が5℃/s以下の条件で最終冷却する軸受鋼鋼材の製造方法であって、該全連続式熱間圧延方法が、〔1〕各圧延工程中の被圧延材の表面温度が、680℃〜(Aem点−30℃)の範囲内であること、〔2〕中間冷却工程において、冷却開始から冷却終了後被圧延材の表面温度がAe1点以上に復熱するまでの時間Δtが10s以下であることおよび〔3〕総減面率が30%以上であることの全てを満足することを特徴とする「軸受鋼鋼材の製造方法」を提案した。
特開2006−63402号公報 特開2009−242923号公報 特開2008−240019号公報 特開2009−275263号公報
周世栄ら:鉄と鋼、87(2001)12、p.22 瀬戸浩蔵:叢書 鉄鋼技術の流れ 第2シリーズ 第9巻 軸受用鋼(1999)、p.79〔監修・発行:社団法人 日本鉄鋼協会〕 長尾実佐樹ら:Sanyo Technical Report Vol.12(2005)No.1、p.38
前述の特許文献1で開示された軸受け用線材・棒鋼は、熱間加工のままで球状化炭化物組織を有するものの、介在物の組成制御ができていない。このため、延伸介在物を回避できない場合があり、必ずしも安定して転動疲労寿命の長寿命化を達成できるといえるものではなかった。
特許文献2で開示されている鋼は、局部的には転動疲労寿命に優れるが、実際の軸受部品のような疲労損傷が生じる可能性がある部位の総体積が大きい場合には、粗大な介在物が存在する可能性があり、早期剥離を招く場合がある。
特許文献3で開示されている鋼は、延伸した粗大な、酸化物および硫化物が存在している可能性があるため、優れた転動疲労寿命が得られない場合がある。
したがって、特許文献2および3で開示された技術は、近年における転がり軸受の厳しい使用環境下では、その転動疲労寿命は必ずしも十分といえるものではない。しかも、これらの技術は、棒鋼圧延後の球状化焼鈍の省略化あるいは簡略化については何ら配慮されていない。
また、本発明者らが特許文献4で提案した技術の具体的な目的は、熱間での線材圧延および棒鋼圧延といった圧延のままで球状化組織を有し、球状化焼鈍時間を従来の半分程度に短縮することが可能な高炭素クロム軸受鋼鋼材の製造方法を提供することであり、さらには、従来の球状化焼鈍で得られる球状セメンタイトを球状化熱処理を行わずとも得ることが可能な高炭素クロム軸受鋼鋼材の製造方法を提供することである。このため、冷間鍛造で必要となる成形能については十分な配慮がなされている。しかしながら、最終的な軸受部品として要求される製品性能、特に転動疲労寿命の長寿命化という点からは、必ずしも十分ではないところもある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、優れた転動疲労寿命を確保できるとともに、圧延後の球状化焼鈍を省略化あるいは簡略化しても冷間鍛造が可能な軸受用棒鋼を提供することを目的とする。
一般に、転動疲労は、鋼材中に存在する介在物に繰返し荷重が加わり、応力集中によってき裂が生じ、その後、繰り返し荷重によってき裂が徐々に進展し、最終的に剥離に至る現象である、と理解されている。
そこで、発明者らは、転動疲労寿命の長寿命化に関して、介在物の形態と組成に着目して検討を行い、少なくとも、鋼材の長手方向に認められる介在物の長さを短くすることが長寿命化を実現するためには必要であり、酸化物および硫化物の組成を制御することで介在物の長さを短くすることが可能であることを見出し、この知見に基づいて、既に特願2010−207644において、安定して良好な転動疲労寿命を得ることができ、「玉軸受」、「コロ軸受」等の転がり軸受の素材として用いるのに好適な「圧延軸受鋼鋼材」を提案した。
上記技術を提案した後、本発明者らは、転動疲労寿命の長寿命化について、さらなる検討を進めた。
その結果、転動疲労寿命の長寿命化に対して、確かに、介在物の長さを短く制御することは極めて有効であるが、介在物長さのみならず、介在物の幅(介在物の「長さ」と直角方向の寸法)も短く制御することによって、転動疲労寿命を大幅に長寿命化できることを見出した。
先ず、転動疲労寿命は、疲労き裂の進展速度と良い相関を持つことが判明した。この疲労き裂の進展速度は、初期き裂の大きさに依存するものである。したがって、転動疲労寿命を向上させるためには、初期き裂自体の発生を抑制する、あるいは初期き裂の大きさをできる限り小さくする必要があることが明らかになった。
初期き裂の発生には、き裂発生起点となる介在物の幅と長さが影響する。このため、介在物の長さに加えて幅を制御することによって、初期き裂発生の抑制や発生した初期き裂の大きさを小さくする効果が得られるとの結論に至った。
次に、本発明者らは上述した技術的思想に基づき、転動疲労寿命の長寿命化に必要な介在物の幅、長さを精査した。
その結果、転動疲労寿命を評価するスラスト式転動疲労試験での試験片10本分における評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物幅Wが20μm以下で、かつ予測される最大介在物長さLが800μm以下であれば、転動疲労寿命の一層の長寿命化が達成されることを確認した。
そこでさらに検討を加えた結果、介在物の幅と長さの調整に関して、下記の(a)〜(c)の重要な知見を得た。
(a)酸化物および硫化物の組成を制御することによって、すなわち、酸化物中に適量のCaOを、また、硫化物中にCaSを含有するように組成を制御することによって、それぞれの介在物の長さを短くすることができる。
(b)鋼中に微量のCaを含有させることによって、(a)の介在物の組成制御ができるだけではなく、介在物の分散化が可能になる。通常、微量のCaを含有させない場合には、介在物が偏在して群集化するため、一つ一つの介在物の長さは短くできても、疲労初期き裂形成に対しては、群集化した介在物があたかも一つの粗大な介在物と同じ挙動を示して転動疲労寿命を著しく低下させる。しかし、微量のCaを含有させることによって、介在物の分散と介在物長さの短尺化の二つの効果により、介在物の幅も小さくすることができる。
(c)介在物を制御した棒鋼を製造した際に、所望の介在物組成および形態が得られているか評価する場合において、特に、介在物の形態を評価する場合において、介在物が三次元形状をしているため、棒鋼の任意断面を検鏡観察する、いわゆる二次元的な評価では、過小評価することが考えられる。したがって、三次元的に十分な体積が確保された評価を行う必要がある。このためには、棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対して調質処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行って破壊し、非特許文献1に示されている方法に準じて、三次元的に十分な体積が確保された状態で疲労起点となった介在物形態を極値統計処理により評価することが有効であり、転動疲労試験における評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物幅Wが20μm以下で、かつ予測される最大介在物長さLが800μm以下を満たすように制御できているかを確認すればよい。
本発明者はさらに、上述した球状化焼鈍の省略化の技術的思想および、軸受け部品の製品性能である転動疲労寿命の長寿命化の技術的思想に基づいて、圧延後の球状化焼鈍を省略しても冷間鍛造が可能な棒鋼のミクロ組織について検討を行った。
その結果、圧延材のミクロ組織と冷間鍛造時の割れ発生(成形能)が相関を持つことを見出し、下記(d)〜(h)の知見を得た。
(d)軸受用棒鋼圧延材のミクロ組織は、通常、ごく一部に初析セメンタイトが存在する場合があるが、光学顕微鏡などで組織観察した場合には、パーライトの面積占有率(以下、単に「面積率」という。)がほぼ100%となる。このパーライトは硬質で延性が低下するため、冷間鍛造を行った際に、いわゆる割れが生じる。
(e)上記の割れ発生を抑制するためには、割れが問題となる部位である棒鋼の表面からR/2部(「R」は棒鋼の半径を表す。)位置までにおいて、延性が低下するパーライトを可能な限り抑制する必要がある。具体的には、冷間鍛造時の割れ発生を抑制するためには、少なくともパーライトの面積率を40%以下に抑制する必要があり、棒鋼圧延の冷却過程で生じるラメラーセメンタイトを抑制し、球状セメンタイトを形成させればよい。つまり、棒鋼の表面からR/2部のミクロ組織を球状セメンタイトを主体とする組織にすればよい。
(f)全圧下比が15以上となる2以上の圧下工程のうちの最終圧下工程である棒鋼圧延工程における条件として、被圧下材の加熱条件およびその圧下工程中の被圧下材の表面温度をより厳しく制御することによって、(e)項に記載の組織を有する棒鋼を安定して造り込むことができる。
(g)パーライトの面積率と棒鋼圧延材の硬さとの間には相関があり、パーライト面積率が40%以下の場合、硬さはビッカース硬さで290以下になる。なお、パーライト面積率が0%の場合のビッカース硬さは200程度である。
(h)冷間鍛造時の割れ発生を安定して抑制するためには、硬さをビッカース硬さで270以下にするのが好ましい。その際のパーライト面積率は30%以下となる。
本発明は、上記の技術的思想とそれに基づく知見によって完成されたものであり、その要旨は下記(1)に示す軸受用棒鋼にある。
(1)質量%で、C:0.95〜1.2%、Si:0.15〜0.35%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Cr:0.80〜1.80%、Al:0.005%を超えて0.040%以下、Ca:0.0003〜0.0015%およびO:0.0010%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学成分を有する軸受用棒鋼であって、
棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、Cスケールを用いたロックウェル硬さで、58〜66の範囲に調整するための焼入れおよび焼戻しの熱処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行って破壊し、
その破壊起点介在物が酸化物の場合には、該酸化物は、平均組成が、質量%で、CaO:2.0〜20%、MgO:0〜20%およびSiO2:0〜10%で、かつ残部がAl23であって、CaOとAl23の2元系酸化物、CaO、MgOとAl23の3元系酸化物、CaO、SiO2とAl23の3元系酸化物およびCaO、MgO、SiO2とAl23の4元系酸化物のうちのいずれかからなり、
かつ、前記破壊起点介在物が硫化物の場合には、該硫化物は、平均組成が、質量%で、CaS:100%のCaSの1元系硫化物、または、CaS:1.0%以上、MgS:0〜20%で、かつ残部がMnSであって、CaSとMnSの2元系硫化物もしくはCaS、MgSとMnSの3元系硫化物からなる、とともに、
酸化物、硫化物の区別をせずに前記破壊起点介在物の幅と長さを各々、極値統計処理を行った場合の、評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物幅Wが20μm以下で、かつ前記評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物長さLが800μm以下であり、
さらに、棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さがビッカース硬さで290以下であること、
を特徴とする冷間鍛造性に優れた軸受用棒鋼。
ただし、「R」は軸受用棒鋼の半径を表す。
残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものであって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
なお、以下の説明において、上述の「評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物幅W」を省略して、「予測最大介在物幅W」といい、同様に、「評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物長さL」を省略して、「予測最大介在物長さL」と称する。
以下、上記(1)の軸受用棒鋼に係る発明を「本発明」という。
本発明の軸受用棒鋼は、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命が長いことから、各種の産業機械や自動車などに使用される「玉軸受」や「コロ軸受」といった転がり軸受の素材として好適に用いることができる。また、本発明の軸受用棒鋼は、冷間鍛造性に優れるため、圧延後の球状化焼鈍を省略することが可能で、製造コストを低減することができる。
パーライトの面積率と棒鋼圧延材のビッカース硬さの関係について説明する図である。 直径70mmの棒鋼から、実施例で用いた超音波疲労試験片を採取した方法を説明する図である。図中の寸法の単位は「mm」である。 実施例で用いた超音波疲労試験片の板材から切り出したままの粗形状を示す図である。図中の寸法の単位は「mm」である。 実施例で用いた超音波疲労試験片の仕上げ形状を示す図である。図中の寸法の単位は「mm」である。 超音波疲労試験後の破面に観察される破壊起点介在物の組成分析方法を示す図である。図中(a)は、起点介在物が酸化物の場合であり、また、(b)は起点介在物が硫化物系の場合である。 実施例で用いた超音波疲労試験片の最大応力の90%までの範囲である46mm3を基準体積として説明する図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素、酸化物および硫化物の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)軸受用棒鋼の化学成分:
C:0.95〜1.2%
Cは、焼入れ時の硬さを確保して転動疲労寿命を向上させる元素であり、0.95%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、Cの含有量が多くなって、特に1.2%を超えると、耐摩耗性は向上するものの、棒鋼圧延工程における加熱段階で、粗大な初析セメンタイトが多く分散することになり、冷間鍛造性の悪化を招く。また硬さ増加を招き、切削時の工具寿命の低下、焼割れの原因となる。したがって、Cの含有量を0.95〜1.2%とした。なお、C含有量の好ましい下限は0.97%である。また、好ましい上限は1.1%である。
Si:0.15〜0.35%
Siは、焼入れ性を高めて転動疲労寿命を向上させるのに有効な元素であり、0.15%以上含有させなければならない。しかしながら、0.35%を超えてSiを含有させると、母材の硬さが高くなって鍛造後の切削時の工具寿命の低下を招く。したがって、Siの含有量を0.15〜0.35%とした。なお、Si含有量の好ましい下限は0.20%である。また、好ましい上限は0.32%である。
Mn:0.05〜0.5%
Mnは、焼入れ性を高めて転動疲労寿命を向上させるのに有効な元素であり、0.05%以上含有させなければならない。しかしながら、0.5%を超えてMnを含有させると、母材の硬さが高くなって、鍛造後の切削時の工具寿命の低下を招く。さらには、焼割れの原因ともなる。したがって、Mnの含有量を0.05〜0.5%とした。なお、Mn含有量の好ましい下限は0.10%である。また、好ましい上限は0.45%である。
P:0.025%以下
Pは、結晶粒界に偏析して転動疲労寿命を短くしてしまう。特に、その含有量が0.025%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.025%以下とした。好ましいP含有量の範囲は0.020%以下である。
S:0.010%以下
Sは、硫化物を形成する元素であり、その含有量が0.010%を超えると、粗大な硫化物が残存するため冷間鍛造性の劣化や転動疲労寿命を著しく短くしてしまう。したがって、Sの含有量を0.010%以下とした。なお、転動疲労寿命の向上という観点からは、Sの含有量は低ければ低いほど好ましく、好ましい上限は、0.001%である。
Cr:0.80〜1.80%
Crは、鋼の焼入性を高めるとともに、セメンタイトを熱的に安定化させ、高温域におけるセメンタイトのマトリックス中への固溶を抑止する作用を有する。この効果はCrの含有量が0.80%以上で発揮される。しかしながら、Crの含有量が1.80%を超えると、前記の効果が飽和するだけでなく、最終形状にした後に行う焼入れ処理の際に、焼割れを生じやすくなり、また、耐疲労特性など機械的性質の低下を招く。したがって、Crの含有量を0.80〜1.80%とした。なお、Cr含有量の好ましい下限は0.90%である。また、好ましい上限は1.60%である。
Al:0.005%を超えて0.040%以下
Alは、精錬工程で脱酸を行うために使用する元素であり、0.005%を超えて含有させなければ、Alによる脱酸効果が得られない。しかし、Alの含有量が0.040%を上回ると粗大な酸化物として残存しやすくなり、転動疲労寿命の低下を招く。したがって、Alの含有量は0.005%を超えて0.040%以下とした。なお、Al含有量の好ましい下限は0.007%である。また、好ましい上限は0.038%である。
Ca:0.0003〜0.0015%
Caは、硫化物系介在物中に固溶し、CaSを形成することで、硫化物系介在物の延伸・粗大化を抑制する効果がある。さらに、CaSを形成することで晶出形態が変化するため、硫化物系介在物が均一分散する効果がある。また、酸化物系介在物を形成することで、酸化物系介在物が均一分散する効果があり、これらの効果によって、転動疲労寿命の低下を抑制できる。これらの効果はCaの含有量が0.0003%以上で発揮される。しかしながら、Caの含有量が0.0015%を超えると、前記の効果が飽和するだけでなく、粗大な酸化物系介在物を生成し、転動疲労寿命の低下を招く。したがって、Caの含有量を0.0003〜0.0015%とした。なお、Ca含有量の好ましい下限は0.0004%である。また、好ましい上限は0.0013%である。
O:0.0010%以下
Oは、酸化物を生成する元素であり、極力低下させる必要がある。Oの含有量が多くなって、特に0.0010%を上回ると、粗大な酸化物として残存しやすくなり、転動疲労寿命の低下を招く。したがって、Oの含有量を0.0010%以下とした。Oの含有量は0.0008%以下であることが好ましい。
上記の理由から、本発明に係る軸受用棒鋼は、C、Si、Mn、P、S、Cr、Al、CaおよびOを上述した範囲で含有し、残部はFeおよび不純物の化学成分からなることと規定した。
なお、上述した軸受用棒鋼の不純物としては、スクラップからCu、Ni、MoおよびTiの混入を避けることはできないが、Cu、Niのような炭化物を形成しない元素の含有量は、Cu:0.2%以下、Ni:0.25%以下程度であれば、転動疲労寿命や鍛造時のミクロ組織形成には影響しない。一方、不純物のうち炭化物を形成する元素の場合は、特にMoについて、その含有量を0.08%以下とするのが好ましい。
また、粗大なTiNが生成すると転動疲労寿命が著しく低下するため、不純物中のTiの含有量は0.003%以下とすることが好ましい。
(B)超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物の平均組成:
(B−1)破壊起点介在物が酸化物の場合:
本発明に係る軸受用棒鋼は、棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、調質処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物が酸化物の場合には、該酸化物は、平均組成が、質量%で、CaO:2.0〜20%、MgO:0〜20%およびSiO2:0〜10%で、かつ残部がAl23であって、CaOとAl23の2元系酸化物、CaO、MgOとAl23の3元系酸化物、CaO、SiO2とAl23の3元系酸化物およびCaO、MgO、SiO2とAl23の4元系酸化物のうちのいずれかからなるものでなければならない。以下、質量%での酸化物の平均組成における含有量を「濃度」ともいう。
本発明でいう「酸化物」は、CaO、MgO、SiO2とAl23の4元系を基本として構成されるものであり、酸化物の平均組成が上記の範囲にある場合には、長く延伸した、または点列状の、粗大な酸化物の生成が抑制され、過酷な使用環境下においても優れた転動疲労寿命を確保することが可能になる。
以下に、各酸化物組成の限定理由を示す。
CaO:2.0〜20%
塩基性酸化物であるCaOは、スラグの主要成分の1つであり、脱硫時の媒溶剤として用いられる。CaO濃度が2.0%以上になると、長く延伸した、または点列状の、Al23およびスピネルの生成を抑制する効果が得られる。一方、CaO濃度が20%を上回ると、大型のCaOを主体とする粗大な酸化物が生成されてしまう。したがって、酸化物の平均組成におけるCaO濃度を2.0〜20%とした。
MgO:0〜20%
MgOは塩基性酸化物であり、溶解度が低いため硬質のMgO(ペリクレース)相として、さらには、Al23とともにMgO・Al23(スピネル)相として晶出する。これらは点列状の粗大な酸化物となって鋼材中へ残存し、転動疲労寿命を低下させる場合があるため、MgO濃度に上限を設け、20%以下に制限する。なお、酸化物中にMgOは存在していなくても構わない。このため、酸化物の平均組成におけるMgO濃度を0〜20%とした。
SiO2:0〜10%
酸性酸化物であるSiO2は、スラグの主要成分の1つであり、酸化物中に含有される可能性があり、10%までは許容できるものの、10%を上回ると酸化物が延伸して粗大となって、転動疲労寿命が低下する場合がある。なお、酸化物中にSiO2は存在していなくても構わない。したがって、酸化物の平均組成におけるSiO2濃度を0〜10%とした。
なお、CaO濃度が2.0%以上になると、酸化物の残部であるAl23が、長く延伸したり、点列状になることが抑制される。このため、残部としてのAl23の濃度は、CaOとAl23の2元系酸化物でかつ、CaO濃度が2.0%の場合の98.0%であってもよい。
上述の理由から、本発明に係る軸受用棒鋼は、超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物が酸化物の場合には、該酸化物は、平均組成が、質量%で、CaO:2.0〜20%、MgO:0〜20%およびSiO2:0〜10%で、かつ残部がAl23であって、CaOとAl23の2元系酸化物、CaO、MgOとAl23の3元系酸化物、CaO、SiO2とAl23の3元系酸化物およびCaO、MgO、SiO2とAl23の4元系酸化物のうちのいずれかからなるものと規定した。
なお、上記酸化物の平均組成は、次のようにして求めればよい。
超音波疲労試験を行った際の破面に観察される破壊起点介在物に対して、エネルギー分散型X線分光法によって、先ず、破壊起点介在物が酸化物であるのか硫化物であるのかを確認する。酸化物であることを確認した後、その酸化物を図5(a)に示すように、任意の複数箇所(例えば5箇所)に対して、点分析による組成分析を行う。超音波疲労試験で破壊起点介在物が酸化物であることが確認された試験片全て(例えば、後述する実施例の表3に示す試験番号1の場合には7本)に対して、同様に組成分析を行い、得られた組成を算術平均(例えば、上記表3の試験番号1の場合には、5箇所×7本=35で算術平均)する。
(B−2)破壊起点介在物が硫化物の場合:
本発明に係る軸受用棒鋼は、棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、調質処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物が硫化物の場合には、該硫化物は、平均組成が、質量%で、CaS:100%のCaSの1元系硫化物、または、CaS:1.0%以上、MgS:0〜20%で、かつ残部がMnSであって、CaSとMnSの2元系硫化物もしくはCaS、MgSとMnSの3元系硫化物からなるものでなければならない。以下、質量%での硫化物の平均組成における含有量を「濃度」ともいう。
本発明でいう「硫化物」は、CaS、MgSとMnSの3元系を基本として構成されるものであり、硫化物の平均組成が上記の範囲にある場合には、延伸した粗大な硫化物の生成が抑制され、過酷な使用環境下においても優れた転動疲労寿命を確保することが可能になる。
以下に、各硫化物組成の限定理由を示す。
CaS:1.0%以上
CaSは、脱硫反応によって生成する硫化物である。CaS濃度が1.0%以上になると、延伸した粗大な硫化物の生成を抑制する効果が得られる。硫化物としてCaSだけが存在しても、つまり、CaS濃度が100%であっても構わない。したがって、硫化物の平均組成におけるCaS濃度を1.0%以上とした。
なお、硫化物がCaSとMnSの2元系硫化物、またはCaS、MgSとMnSの3元系硫化物からなる場合のCaS濃度は、100%に近い値であっても構わない。
MgS:0〜20%
精錬段階にて鋼中にMgが取込まれ、硫化物中にMgSが混入する場合がある。MgS濃度が20%を上回ると、前述した酸化物中のMgO濃度が増加し、点列状の粗大な酸化物の生成を招くため、MgS濃度は20%以下に制限する。なお、硫化物中にMgSは存在していなくても構わない。したがって、硫化物の平均組成におけるMgS濃度を0〜20%とした。
なお、CaS濃度が1.0%以上になると、延伸した粗大な硫化物の生成が抑制される。このため、残部としてのMnSの濃度は、CaSとMnSの2元系硫化物の場合には、CaS濃度が1.0%の場合の99.0%であってもよい。また、CaS、MgSとMnSの3元系硫化物の場合には、CaS濃度が1.0%で、MgS濃度が0%に近い値の場合の99.0%に近い値であってもよい。
上述の理由から、本発明に係る軸受用棒鋼は、超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物が硫化物の場合には、該硫化物は、平均組成が、質量%で、CaS:100%のCaSの1元系硫化物、または、CaS:1.0%以上、MgS:0〜20%で、かつ残部がMnSであって、CaSとMnSの2元系硫化物もしくはCaS、MgSとMnSの3元系硫化物からなるものと規定した。
なお、上記硫化物の平均組成は、酸化物の平均組成と同様に、次のようにして求めればよい。
超音波疲労試験を行った際の破面に観察される破壊起点介在物に対して、エネルギー分散型X線分光法によって、先ず、破壊起点介在物が酸化物であるのか硫化物であるのかを確認する。硫化物であることを確認した後、その硫化物を図5(b)に示すように、任意の複数箇所(例えば5箇所)に対して点分析による組成分析を行う。超音波疲労試験で破壊起点介在物が硫化物であることが確認された試験片全て(例えば、後述する実施例の表3に示す試験番号1の場合には12本)に対して、同様に組成分析を行い、得られた組成を算術平均(例えば、上記表3の試験番号1の場合には、5箇所×12本=60で算術平均)する。
(C)超音波疲労試験を行った際の破壊起点介在物の予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さL:
本発明に係る軸受用棒鋼は、棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、調質処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行って破壊し、破壊起点介在物の幅と長さを各々、極値統計処理した場合に、予測最大介在物幅Wが20μm以下で、かつ予測最大介在物長さLが800μm以下でなければならない。
なお、本発明(1)でいう「調質処理」とは、Cスケールを用いたロックウェル硬さ(HRC)で、58〜66の範囲に調整するための「焼入れ−焼戻し」の熱処理である。この硬さを得るためには、例えば、非特許文献2の表4.2に記載されているように、高炭素クロム軸受鋼鋼材SUJ2の場合には、焼入れ温度810〜850℃、焼戻し温度120〜180℃で行えばよい。
非特許文献1に記載の方法で、具体的には、例えば次に示すような手順で極値統計処理を行い、介在物形態を評価する。
〈1〉超音波疲労試験片において、疲労試験中に試験片に作用する最大応力の90%までの範囲を試験片1本あたりの基準体積V0として、基準体積V0(mm3)を決める。超音波疲労試験片を1本疲労破壊させた場合、観察される破壊起点介在物は、上記基準体積V0中での最大介在物となる。
〈2〉そこでn本の超音波疲労試験片について超音波疲労破壊させ、各々の破壊起点介在物の幅と長さを測定する。ここで、i番目(i=1〜n)の超音波疲労試験片で測定した破壊起点介在物の幅をWi(μm)、長さをLi(μm)とする。
〈3〉測定したn本の破壊起点介在物の幅Wi(i=1〜n)と長さLi(i=1〜n)を小さい順に並べ直し、それぞれWj(j=1〜n)とLj(j=1〜n)とする。
〈4〉それぞれのjについて下記の基準化変数yjを計算する。
j=−ln[−ln{j/(n+1)}]。
〈5〉極値確率用紙の座標横軸にWjを、座標縦軸に基準化変数yjをとって、j=1〜nについてプロットし、最小二乗法により破壊起点介在物の幅についての近似直線を求める。また、同様に極値確率用紙の座標横軸にLjを、座標縦軸に基準化変数yjをとって、j=1〜nについてプロットし、最小二乗法により破壊起点介在物の長さについての近似直線を求める。
〈6〉評価予測体積をV(mm3)、T=(V+V0)/V0として次の式から評価予測体積Vにおける基準化変数yの値を求める。
y=−ln[−ln{(T−1)/T}]
〈7〉前記〈5〉で求めた破壊起点介在物の幅についての近似直線において、座標縦軸の値が上記yである場合の座標横軸の値が、その評価予測体積Vにおける予測最大介在物幅Wとなる。また、同様に前記〈5〉で求めた破壊起点介在物の長さについての近似直線において、座標縦軸の値が上記yである場合の座標横軸の値が、その評価予測体積Vにおける予測最大介在物長さLとなる。
上記の手順で極値統計処理を行い、予測最大介在物幅Wが20μmを上回ると、たとえ予測最大介在物長さLを短くした場合でも、介在物を起点として転動初期き裂が生じ、生じたき裂サイズが大きくなるため、結果として転動疲労寿命が低下することがある。なお、望ましい予測最大介在物幅Wは10μm以下である。
予測最大介在物幅Wが20μm以下の場合、転動初期き裂の発生が遅延され転動疲労寿命が向上するが、単に予測最大介在物Wが20μm以下を満足しただけでは、十分な転動疲労寿命を実現することはできないことがある。その原因として、転動初期き裂の発生に対して介在物長さの影響があるからである。例えば、予測最大介在物幅Wが20μm以下であっても、予測最大介在物長さLが800μmを超える場合、転動初期き裂の発生が十分に抑制されず、転動寿命が低下することがある。望ましい予測最大介在物長さLは780μm以下である。
なお、介在物の幅と長さの測定方法に関しては、非特許文献3に記載の光学顕微鏡による測定方法を参考にし、超音波疲労試験の破壊起点である介在物の短径を幅(W)として、長径を長さ(L)として測定すればよい。また、群集化して存在する介在物では、超音波疲労試験の破壊起点として影響を及ぼした部分での介在物群を一つの介在物であると考え、その最大幅と最大長さを評価すればよい。
具体的には、介在物の長径は、単体または複数からなる群にて存在する介在物の端と端を結んだ最大の辺とし、その長径の辺と平行な線で挟んだ介在物の最大幅を短径とすればよい。また、群にて存在する介在物では、介在物間の距離と小さい方の介在物の大きさ(√AREA=(L×W)1/2)とを比較し、小さいほうの介在物の大きさである√AREAの値が介在物間の距離よりも大きい場合には両者は一体と判断すればよく、一方、小さい方の介在物の大きさである√AREAの値が介在物間の距離より小さい場合には両者は別々の介在物と判断すればよい。
なお、例えば、後の(E)項で述べる方法によって、上記破壊起点介在物の予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さLにすることができる。
(D)棒鋼の表面からR/2部位置までの硬さ:
本発明に係る軸受用棒鋼は、棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さがビッカース硬さで290以下でなければならない。
一般に、例えばSUJ2に代表される軸受用棒鋼圧延材のミクロ組織は、パーライトの単相組織であり、ビッカース硬さは400程度である。そのため、冷間鍛造や切削加工を行うためには圧延後に球状化焼鈍を行い軟質化する必要がある。
しかしながら、図1に示すように、棒鋼圧延工程の冷却過程で生じるラメラーセメンタイトを抑制し、球状セメンタイトを形成させて、パーライト面積率を40%以下に制御することによって、棒鋼圧延材の硬さはビッカース硬さで290以下になる。そして、割れが問題となる部位である棒鋼の表面からR/2部位置までにおいて、最大硬さがビッカース硬さで290以下であれば冷間鍛造時の割れの発生を抑制することができ、さらに、切削加工も容易になる。
したがって、本発明に係る軸受用棒鋼について、その表面からR/2部位置までの最高硬さがビッカース硬さで290以下であることとした。
なお、冷間鍛造時の割れを安定して抑制するためには、上記部位における平均断面硬さがビッカース硬さで270以下であることが好ましい。この場合には、パーライト面積率は30%以下になる。上記の平均断面硬さはビッカース硬さで250以下であることがさらに好ましい。
なお、上記部位における平均断面硬さが低ければ低いほど優れた冷間鍛造性が得られるが、冷間鍛造時の割れ抑制のためにパーライト面積率を0%にした場合の平均断面硬さはビッカース硬さで200程度であるし、平均断面硬さをビッカース硬さで200以下にするためには、球状化したセメンタイトをより大きく成長させるために、工業的に実施されている球状化焼鈍をさらに長時間行うことが必要となり、製造コストの大幅な増加を招く。
したがって、本発明に係る軸受用棒鋼の表面からR/2部位置までの平均断面硬さは、ビッカース硬さで200を超えることが好ましい。
なお、次の(E)項で述べるような、鋳片または鋼塊に、分塊圧延工程と棒鋼圧延工程によって全圧下比が15以上となる圧下を加えて軸受用棒鋼を製造する場合の棒鋼圧延工程において、
被圧下材の加熱温度、
圧下工程中の被圧下材の表面温度、および
圧下比
を適正化すれば、上記の表面からR/2部位置までのセメンタイトの球状化が促進されので、上記部位における最大硬さを安定してビッカース硬さで290以下にすることができる。
棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さおよび平均断面硬さは、例えば、棒鋼を長手方向と垂直に切断した面である「横断面」(以下、「C断面」という。)を鏡面研磨した後、表面下0.5mm程度の位置からR/2部位置までを、ビッカース硬さ試験機を用いて、JIS Z 2244(2009)に記載された条件を満足するようにほぼ等間隔で、10点測定した後、測定点の最大値、算術平均をそれぞれ、求めればよい。既に述べたように、上記の「R」は軸受用棒鋼の半径を指す。
(E)軸受用棒鋼の製造方法:
本発明に係る軸受用棒鋼は、例えば、次に述べる製造方法によって得ることができる。
先ず、転炉で酸化精錬を行った後、転炉からの出鋼時にAlを添加して脱酸処理を行い、その後さらに除滓処理を実施する。
次いで、CaO:30〜70%、Al23:5〜40%、SiO2:10%以下(0%を含まない)、MgO:0〜10%、CaF2:0〜30%、CaO/SiO2:6以上およびCaO/Al23:1.5〜15を含有するスラグを、溶鋼1トン当たり、5〜20kgの範囲で調整し、アーク式加熱装置付き真空溶鋼撹拌装置(以下、「VAD」という。)でArガスによる撹拌および精錬処理を実施し、RH真空脱ガス装置にて30minの処理を実施し、前記(A)項で述べた化学成分を有する溶鋼を連続鋳造して横断面が300mm×400mmの鋳片にする。
あるいは、上記RH真空脱ガス装置にて30minの処理を実施した後、前記(A)項で述べた化学成分を有する溶鋼を鋳型に鋳込んで3トン鋼塊にする。
上記成分のスラグ組成およびVADでの処理は、酸化物および硫化物の組成制御を目的とするものである。そして、RH真空脱ガス装置における処理は、酸化物系介在物の総量低減を目的として実施する処理である。
続いて、上記の鋳片または鋼塊に、分塊圧延工程と棒鋼圧延工程によって全圧下比が15以上となる圧下を加える場合の棒鋼圧延工程において、下記の〔1〕〜〔3〕の全てを満たすようにして圧下し、さらに、棒鋼圧延工程における圧下を終了した後400℃までの温度域を5℃/s以下の冷却速度で冷却することによって安定して製造することができる。
〔1〕被圧下材をAe1点〜Aem点の温度域に加熱して圧下を開始すること、
〔2〕圧下工程中の被圧下材の表面温度が、680℃〜(Aem点−30℃)の温度範囲内であること、
〔3〕圧下比が4以上であること。
なお、「全圧下比」とは、鋳片または鋼塊の断面積を、棒鋼圧延工程における最終の圧下によって得られた軸受用棒鋼の断面積で除した値を指し、また、「棒鋼圧延工程での圧下比」とは、棒鋼圧延工程で圧下が加えられる前の被圧下材の断面積を棒鋼圧延工程における最終の圧下によって得られた軸受用棒鋼の断面積で除した値を指す。
さらに、「Ae1点」および「Aem点」はそれぞれ、平衡状態における共析温度および平衡状態においてセメンタイトがオーステナイトに完全に固溶する温度を指す。
以下、本発明に係る軸受用棒鋼を例に、これらの棒鋼を製造する方法について詳しく説明する。
(A)項で述べた化学成分を有する鋳片または鋼塊に、分塊圧延工程と棒鋼圧延工程によって全圧下比が15以上となる圧下を加えて、具体的には、例えば、常法どおり1000℃を超える温度域で分塊圧延して得た鋼片を用いて、これにさらに、熱間での棒鋼連続圧延の工程で圧下を加え、全圧下比が15以上となるようにして最終の棒鋼に加工する。
上記工程において、鋳片または鋼塊を最終の棒鋼に加工する場合の全圧下比が15を下回る場合には、たとえ前述の精錬方法で溶鋼としても、軸受用棒鋼に前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wの条件を満足させることができず、このため、過酷な使用環境下において、所望の優れた転動疲労寿命を確保させることができないことがある。
なお、上記の全圧下比が大きいほど、前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wが小さくなって、転動疲労寿命は向上する。このため、上記全圧下比の上限は特に規定する必要はなく、鋳片や鋼塊の寸法とそれらを加工して得られる最終の棒鋼の寸法や設備面から決定される最大の値であってもよい。
なお、上記の全圧下比は30以上であることが一層好ましい。
しかしながら、軸受用棒鋼に前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wの条件を満足させるとともに、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さがビッカース硬さで290以下という条件を満足させるためには、分塊圧延工程と棒鋼圧延工程によって全圧下比が15以上を満たすようにするだけでは十分でないことがある。
これは、マトリックス(素地)の変形抵抗は硫化物に比較して小さいため、高い温度で加えられる圧下、特に、1000℃を超える温度域で加えられる圧下は、マトリックスを優先的に変形させてしまうため、上記温度域における圧下では、硫化物は延伸、分断され難く、硫化物の予測最大介在物幅Wの条件を満足させることが難しくなるからである。そして、この場合には、過酷な使用環境下において、所望の優れた転動疲労寿命を確保させることが困難である。
これに対して、圧下を加える温度域を1000℃以下に低下させれば、マトリックスと硫化物の変形抵抗の差は小さくなるので、硫化物は延伸、分断されやすくなって安定して前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wの条件を満足するようになる。
そして、分塊圧延工程と棒鋼圧延工程による上記の全圧下比が15以上を満たし、該棒鋼圧延工程において、前述した〔1〕〜〔3〕の全てを満たすようにして圧下し、さらに、棒鋼圧延工程における圧下を終了した後400℃までの温度域を5℃/s以下の冷却速度で冷却することによって、軸受用棒鋼に予測最大介在物幅Wの条件に加えて、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが可能になる。
被圧下材をAe1点〜Aem点の温度域に加熱して圧下を開始するという条件〔1〕によって、棒鋼圧延工程前の被圧下材に存在していたパーライト中の微細な粒状や球状のセメンタイトを、棒鋼圧延工程での圧下開始時に旧オーステナイト粒内に残存させることができる。
そして、棒鋼圧延工程における圧下工程中の被圧下材の表面温度が、680℃〜(Aem点−30℃)の温度範囲内であるという条件〔2〕およびその際の圧下比が4以上であるという条件〔3〕を満たし、さらに、圧下を終了した後400℃までの温度域を5℃/s以下の冷却速度で冷却することによって、上記の旧オーステナイト粒内に残存させた微細な粒状や球状のセメンタイト(以下、「残存セメンタイト」という。)付近に歪みが集積するので、上記残存セメンタイトの近傍に微細な初析セメンタイトをさらに均一に加工誘起析出させることができ、アスペクト比、つまり、「長径/短径」の極めて小さい球状に近い形態のセメンタイトを得ることができる。
それにより、(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが可能になる。
棒鋼圧延工程での被圧下材の加熱温度がAe1点より低い場合には、棒鋼圧延工程における圧下開始段階で被圧下材のパーライトそのものが残存し、圧下後の組織は板状セメンタイトが多数残存するものとなり、球状に近い形態のセメンタイト組織は得難くなる。このため、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが困難となる。
一方、上記加熱温度がAem点を超える場合には、被圧下材はオーステナイト化して残存セメンタイトがマトリックス中に完全に固溶してしまうので、棒鋼圧延工程における圧下開始段階では析出サイトとなるべき残存セメンタイトは存在しない。このため、棒鋼圧延工程中の被圧下材の表面温度を条件〔2〕の680℃〜(Aem点−30℃)という温度範囲に制御しても、微細な初析セメンタイトを旧オーステナイト粒界および粒内に均一に加工誘起析出させることができず、圧下終了後の冷却過程でオーステナイトはパーライト変態し、旧オーステナイト粒内に板状セメンタイトが析出してしまい、球状に近い形態のセメンタイト組織を得ることが困難になる。よって、この場合にも前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが困難となる。
棒鋼圧延の圧下工程中の被圧下材の表面温度が680℃を下回る場合には、多くの転位を導入できるものの、その温度で保持されることによって、オーステナイトとセメンタイトとの2相組織におけるオーステナイトがパーライト変態を開始してしまう。そして、変態によって生成したパーライトを圧下した場合には、パーライト中の一部の板状セメンタイトはわずかに分断されるものの、パーライトの面積率はあまり変化しない。このため、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが困難となる。しかも、パーライトの変形抵抗は極めて大きいので、圧下設備の負荷が極めて大きくなることを避け難い。
一方、棒鋼圧延工程中の被圧下材の表面温度が(Aem点−30℃)を超えた場合には、圧下で導入された加工歪みは容易に消失し、微細な初析セメンタイトを均一に加工誘起析出させることができなくなる。
そのため、球状に近い形態のセメンタイト組織は得られず、その結果、この場合にも前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが困難となる。
なお、上述した製造方法において、加工発熱により、棒鋼圧延工程中の被圧下材の表面温度が(Aem点−30℃)を超えてしまいそうな場合には、棒鋼圧延工程中の途中段階での中間冷却、すなわち、熱間での棒鋼連続圧延における圧延機間での中間冷却帯での冷却を行っても構わない。この場合、被圧下材の表面温度が一時的に680℃を下回る場合があるものの、続く圧下開始までに680℃以上に復熱し、被圧下材の表面温度が条件〔2〕の680℃〜(Aem点−30℃)という温度範囲で圧下を続ける程度の短時間の軽微な冷却であれば、内質にはほとんど影響を及ぼさず、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さがビッカース硬さで290以下の条件を満足させることができる。この場合、中間冷却帯での冷却開始から冷却終了後被圧延材の表面温度がAe1点以上に復熱するまでの時間Δtは10s以下であることが好ましい。
なお、上記棒鋼圧延工程における圧下比が2以上であれば、微細な初析セメンタイトを均一に加工誘起析出させ、球状に近い形態のセメンタイト組織を得て、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を満足させることができるものの、前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さLの条件を満たすことは困難なことがある。しかしながら、棒鋼圧延工程における圧下比が条件〔3〕の4以上の場合、前記(B)項で述べた予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さLの条件を安定して満たすことができる。なお、棒鋼圧延工程における圧下比が大きいほど、予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さLが小さくなる。このため、上記棒鋼圧延工程における圧下比は6以上であることが好ましく、8以上であればさらに好ましい。
上記の棒鋼圧延工程における圧下を終了した後は、400℃までの温度域を5℃/s以下の冷却速度で冷却するのは、400℃までの温度域の最終冷却速度が5℃/sを超える場合には、当該冷却時における初析セメンタイトや残存セメンタイトの成長が阻害されるとともに、パーライト変態して、板状のセメンタイトが析出してしまい、初析セメンタイトが旧オーステナイト粒界に沿ってネットワーク状に析出し、球状に近い形態のセメンタイト組織が得られず、このため、前記(D)項で述べた棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さの条件を安定して満足させることが困難になるからである。
なお、上述の5℃/s以下の冷却速度で冷却する温度域は棒鋼圧延工程における圧下を終了した後400℃までとすれば十分であって、400℃を下回る温度域については特に制限するに及ばない。このため、製造設備や生産性を勘案して、例えば、空冷(放冷)、強制風冷やミスト冷却などから適宜決定すればよい。
また、上記の400℃までの温度域の最終冷却速度の下限は、冷却速度を遅くすれば、パーライトの抑制効果が大きくなるが、冷却速度を遅くするための温度制御設備が必要となり、結果として製造コストの増加を招くことから、5℃/hとするのが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。
表1に示す種々の化学組成を有する軸受鋼1〜20を溶製した。
表1中の鋼1〜11および鋼17〜20は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼であり、鋼12〜16は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。
表1には、株式会社材料設計技術研究所で開発・販売されている状態図計算ソフトウェア「Pandat ver.6.0」によって求めた各鋼のAe1点およびAem点を併記した。
先ず、70t転炉で酸化精錬を行った後、転炉からの出鋼時にAlを添加して脱酸処理を行い、その後さらに除滓処理を行った。
次いで、VADにより、Ar雰囲気下で表2に示す条件にスラグを調整し、Arガス流量200L/min、処理時間30minの条件でArガスによる撹拌を実施した。
その後さらに、RH真空脱ガス装置による処理を30min実施した後、連続鋳造して300mm×400mmの鋳片にした。
上記の各鋳片については、これらを1250℃で均熱した後、1150〜1100℃の温度域で分塊圧延して、160mm×160mmの鋼片とした。
次いで、鋼1〜19の鋼片は、830℃に加熱した後、830〜750℃の温度域で棒鋼圧延し、圧延終了後400℃までの温度域を0.4℃/sの冷却速度で冷却して、直径70mm(以下、「φ70mm」という。)の棒鋼を製造した。なお、400℃を下回る温度域における冷却は、大気中での放冷とした。
一方、鋼20の鋼片については、1200℃に加熱した後、1150〜1050℃の温度域で棒鋼圧延し、圧延終了後400℃までの温度域を0.4℃/sの冷却速度で冷却して、φ70mmの棒鋼を製造した。なお、400℃を下回る温度域における冷却は、大気中での放冷とした。
上記のようにして得た鋼1〜20のφ70mmの棒鋼のC断面(つまり、棒鋼を長手方向である圧延方向と垂直に切断した面)に対して、表面と中心の中間位置であるR/2部を基準として圧延方向と平行な方向に厚さ14mm、幅45mm、長さ200mmの板材を切り出した。
次に、板材の幅方向の両端をフライス加工よって「平面出し」を行った後、電子ビーム溶接によって上記板材と同一鋼材を両端に溶接し、幅70mmの板状に仕上げた。
次いで、上記の全ての板材から図2に示すように幅方向から、図3に示す粗形状の超音波疲労試験片を各鋼19本ずつ採取した。
採取した粗形状の超音波疲労試験片に対して、調質処理として、830℃で30分加熱した後、油焼入れし、さらに、180℃で1時間加熱した後、大気中で室温まで放冷して焼戻しを行った。次いで、仕上げ加工して、図4に示す超音波疲労試験片を作製した。
上記仕上げ加工をした超音波疲労試験片を用いて、超音波疲労試験を実施した。
具体的には、株式会社島津製作所製の超音波疲労試験機USF−2000を用いて、周波数20kHz、応力振幅900MPa、応力比−1の条件で、破壊が起こるまで疲労試験を行った。なお、繰り返し数が1.0×107となっても破壊しなかった場合は、応力を20MPaずつ増加させることによって、破壊が起こるまで疲労試験を実施した。
破壊した試験片について、破壊起点の介在物を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)を用いて観察し、介在物の短径(つまり幅)と長径(つまり長さ)を測定するとともに、エネルギー分散型X線分光法によって、該破壊起点の介在物組成を求めた。上記破壊起点介在物の短径(幅)、長径(長さ)および組成は、各試験番号について、超音波疲労試験片19本全ての破壊起点の介在物を評価して求めた。
介在物の幅は、単体または複数からなる群にて存在する介在物の端と端を結んだ最大の幅とし、介在物の長さは、単体または複数からなる群にて存在する介在物の最大長さとした。なお、エネルギー分散型X線分光法によって破壊起点の介在物組成を求めた手順を以下に示す。
・先ず、介在物が酸化物であるのか硫化物であるのかを確認。
・次いで、該介在物の任意の5箇所に対して点分析による組成分析を実施(図5参照)。
・超音波疲労試験の評価本数である19本全てに対して、同様の方法で破壊起点介在物の組成分析を実施。
・最後に、酸化物毎または硫化物毎に、得られた組成を算術平均。
超音波疲労試験片は、図5に示すように疲労試験中に試験片に作用する最大応力の90%までの範囲を試験片1本あたりの基準体積V0とした。本試験片形状では、基準体積V0は、46mm3となる。そして、評価予測体積Vを144mm3として、非特許文献1を参考に、既に述べた極値統計処理によってy=1.28における予測最大介在物幅W、予測最大介在物長さLを求めた。
表3に、鋼1〜20の各φ70mmの棒鋼について上記のようにして測定した破壊起点介在物について、その種類、平均組成、予測最大介在物幅Wおよび予測最大介在物長さLを示す。
なお、試験番号12は、超音波疲労試験の破壊起点に硫化物が存在していなかったので、硫化物平均組成のCaS、MgSおよびMnSの欄はいずれも「−」と表記した。
同様に、試験番号13は、超音波疲労試験の破壊起点に酸化物が存在していなかったので、酸化物平均組成のCaO、MgO、SiO2およびAl23の欄はいずれも「−」と表記した。
また、上記のようにして得た鋼1〜20のφ70mmの棒鋼を長手方向と垂直に切断し、該C断面が被検面になるように樹脂に埋め込み、検鏡研磨した後、ビッカース硬さ試験機を用いて棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さおよび平均断面硬さを測定した。
具体的には、JIS Z 2244(2009)に記載の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に記載された条件を満足するように等間隔で、試験力を9.807Nとして、C断面の表面下0.5mmの位置からR/2部位置までのビッカース硬さを10点測定した後、最大値と算術平均値を求め、最大硬さおよび平均断面硬さをそれぞれ求めた。
表3に、上記の表面からR/2部位置までの最大硬さおよび平均断面硬さを併記した。なお、表3では、平均断面硬さを「平均硬さ」と表記し、さらに、ビッカース硬さを「HV」と表記した。
また、上記の埋め込み試料を再度、鏡面研磨した後、ピクリン酸アルコール(ピクラル液)で腐食して、表面からR/2部位置までの任意の箇所で倍率を5000倍としてSEMを用いて10視野についてミクロ組織画像を撮影した。なお、各視野の面積は25μm×20μmである。
次いで、上記の撮影画像を用いて、画像処理ソフトによってパーライト面積率を算出した。表3に、上記のようにして算出したパーライト面積率を「パーライト率」として併記した。
さらに、鋼1〜20のφ70mmの棒鋼から、いずれもC断面のR/4部位置、つまり表面とR/2部位置の中間の位置を基準として、直径が14mmで高さが21mmの圧縮試験片を圧延方向と一致するように切出した。この圧縮試験片を用いて冷間鍛造性を評価した。
具体的には、クランクプレスを用いて圧縮率を段階的に引き上げる方法にで、各鋼について10個の圧縮試験片を冷間圧縮し、10個のうち5個以上の試験片に目視で確認される割れが発生した圧縮率(以下、この値を限界圧縮率という。)によって、冷間鍛造性を評価した。なお、冷間鍛造性の目標は限界圧縮率が70%以上であることとした。
表3に、上記の冷間圧縮試験の結果を併記した。なお、冷間鍛造性の評価欄の「○」は限界圧縮率が70%以上という目標に達していることを示し、一方、「×」は目標に未達であることを示す。
また、転動疲労特性を評価するため、前記のようにして得た鋼1〜20のφ70mmの棒鋼の中心から、長手方向が素形材の厚みとなるように、直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材をスライスして採取した。
上記の直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材を、830℃で30min加熱した後、油焼入れし、その後さらに、180℃で1h加熱してから大気中で放冷する焼戻しを行った。
このようにして「焼入れ−焼戻し」の調質処理を行った直径が60mmで厚みが5.5mmの素形材の表面をラッピング加工して転動疲労試験片を作製し、転動疲労試験に供した。
転動疲労試験は、スラスト型の転動疲労試験機を用いて、潤滑油中で最大接触面圧5230MPa、繰返し速度1800cpm(cycle per minute)の条件で行った。なお、鋼球としてJIS G 4805(2008)に規定されたSUJ2の調質材を用いた。
転動疲労試験結果は、ワイブル分布確率紙上にプロットし、10%破損確率を示すL10寿命を「転動疲労寿命」として転動疲労特性を評価した。なお、転動疲労寿命の長寿命化の判断については、L10寿命が2.0×107以上を満足した場合を長寿命化とし、これを目標とした。
表3に、上記のようにして求めた転動疲労寿命を併せて示した。
表3に示すように、本発明例の試験番号1〜11の場合、鋼1〜11の化学組成は本発明で規定する条件を満たし、さらに棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、調質処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行って破壊した際の破壊起点である介在物の予測最大介在物幅Wは20μm以下と小さく、かつ予測最大介在物長さLは800μm以下と短く、本発明で規定する条件を満たしている。また、破壊起点である酸化物の平均組成および破壊起点である硫化物の平均組成についても全て本発明で規定する条件を満たしている。しかも、棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さが260〜280で本発明で規定する条件を満たしている。
このため、上記本発明例の試験番号1〜11の場合、転動疲労寿命は3.5×107以上で、転動疲労寿命の長寿命化が達成できており、さらに、限界圧縮率も71%以上で目標を達成して冷間鍛造性にも優れている。
これに対して、用いた鋼12〜16の化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号12〜16の場合、転動疲労寿命が短く目標に達していない。
すなわち、試験番号12は、用いた鋼12のO含有量が本発明で規定する値を上回る0.0021%であり、しかも、超音波疲労試験を行って破壊した際の破壊起点介在物である酸化物の予測最大介在物幅Wおよび予測最大介在物長さLが本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が8.0×106と短い。
試験番号13は、用いた鋼13のS含有量が本発明で規定する値を上回る0.016%であり、しかも、破壊起点介在物である硫化物の予測最大介在物長さLが本発明で規定する値を上回っているとともに、硫化物中のCaS濃度が本発明で規定する値を下回っている。このため、L10寿命が5.0×106と短い。
試験番号14は、用いた鋼14のCa含有量が本発明で規定する値を下回る0.0001%で、しかも、硫化物中のCaS濃度が本発明で規定する値を下回り、さらに、破壊起点介在物の予測最大介在物長さLが本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が7.0×106と短い。
試験番号15は、用いた鋼15のCa含有量が本発明で規定する値を上回る0.0023%で、しかも、酸化物中のCaO濃度が本発明で規定する値を上回り、さらに、破壊起点介在物の予測最大介在物幅Wが本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が1.2×107と短い。
試験番号16は、用いた鋼16のS含有量とO含有量がそれぞれ、本発明で規定する値を上回る0.011%と0.0015%で、しかも、破壊起点介在物の予測最大介在物幅Wおよび予測最大介在物長さLがともに本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が6.0×106と短い。
また、用いた鋼17〜19の化学組成が本発明で規定する条件を満足する場合であっても、前記の超音波疲労試験を行って破壊した際の破壊起点である介在物が、本発明で規定する、酸化物の平均組成、硫化物の平均組成、予測最大介在物幅Wおよび予測最大介在物長さLに関する4つの条件全てを同時に満たすことができていない試験番号17〜19は、転動疲労寿命が短い。
すなわち、試験番号17は、酸化物中のSiO2濃度が本発明で規定する値を上回っており、しかも、破壊起点介在物の予測最大介在物幅Wと予測最大介在物長さLの双方が本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が7.5×106と短い。
試験番号18は、酸化物中のSiO2濃度が本発明で規定する値を上回っており、しかも、破壊起点介在物の予測最大介在物長さLが本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が6.5×106と短い。
試験番号19は、酸化物中のMgO濃度が本発明で規定する値を上回っており、しかも、破壊起点介在物の予測最大介在物長さLが本発明で規定する値を上回っている。このため、L10寿命が5.0×106と短い。
なお、試験番号20は、用いた鋼20の化学組成が本発明で規定する条件を満足し、しかも、前記の超音波疲労試験を行って破壊した際の破壊起点である介在物が、本発明で規定する、酸化物の平均組成、硫化物の平均組成、予測最大介在物幅Wおよび予測最大介在物長さLに関する4つの条件全てを満たしているので、L10寿命は3.8×107であって目標に達している。しかしながら、棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さはビッカース硬さで410であって、本発明で規定する範囲を上回っている。このため、冷間鍛造性の評価は「×」で目標に達していない。したがって、圧延後の球状化焼鈍を省略化あるいは簡略化して冷間鍛造することができない。
本発明の軸受用棒鋼は、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命が長いことから、各種の産業機械や自動車などに使用される「玉軸受」や「コロ軸受」といった転がり軸受の素材として好適に用いることができる。また、本発明の軸受用棒鋼は、冷間鍛造性に優れるため、圧延後の球状化焼鈍を省略することが可能で、製造コストを低減することができる。なお、本発明の軸受用棒鋼は、冷間鍛造の素材として好適ではあるが、特開2009−24218号公報で開示された温間鍛造の素材にも用いることができる。





Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.95〜1.2%、Si:0.15〜0.35%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Cr:0.80〜1.80%、Al:0.005%を超えて0.040%以下、Ca:0.0003〜0.0015%およびO:0.0010%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学成分を有する軸受用棒鋼であって、
    棒鋼の直径方向と試験片の軸方向が平行となるように採取した疲労試験片に対し、Cスケールを用いたロックウェル硬さで、58〜66の範囲に調整するための焼入れおよび焼戻しの熱処理を行い、該疲労試験片を用いて超音波疲労試験を行って破壊し、
    その破壊起点介在物が酸化物の場合には、該酸化物は、平均組成が、質量%で、CaO:2.0〜20%、MgO:0〜20%およびSiO2:0〜10%で、かつ残部がAl23であって、CaOとAl23の2元系酸化物、CaO、MgOとAl23の3元系酸化物、CaO、SiO2とAl23の3元系酸化物およびCaO、MgO、SiO2とAl23の4元系酸化物のうちのいずれかからなり、
    かつ、前記破壊起点介在物が硫化物の場合には、該硫化物は、平均組成が、質量%で、CaS:100%のCaSの1元系硫化物、または、CaS:1.0%以上、MgS:0〜20%で、かつ残部がMnSであって、CaSとMnSの2元系硫化物もしくはCaS、MgSとMnSの3元系硫化物からなる、とともに、
    酸化物、硫化物の区別をせずに前記破壊起点介在物の幅と長さを各々、極値統計処理を行った場合の、評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物幅Wが20μm以下で、かつ前記評価予測体積144mm3中に予測される最大介在物長さLが800μm以下であり、
    さらに、棒鋼の表面からR/2部位置までの最大硬さがビッカース硬さで290以下であること、
    を特徴とする冷間鍛造性に優れた軸受用棒鋼。
    ただし、「R」は軸受用棒鋼の半径を表す。
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