JP2009052062A - 熱間圧延棒鋼または線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延ままの状態で、400℃以下、なかでも200℃以下でシャー切断しても割れを生じることが少ない、シャー切断性に優れる熱間圧延棒鋼または線材の提供。
【解決手段】C:0.2〜0.35%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.4〜1.5%、S:0.003〜0.05%、Cr:0.8〜3.0%、Al:0.01〜0.05%、N:0.008〜0.025%を含有し、残部はFeと不純物からなり、不純物中のO(酸素)≦0.002%及びP≦0.025%の化学組成を有し、熱間圧延ままの状態において、平均ビッカース硬さ≦240、表層部のビッカース硬さ≦180で、且つ、ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上で、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下である熱間圧延棒鋼または線材。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や産業機械などの高強度機械部品である歯車、プーリーやシャフトなどの素材として用いられ、熱間圧延ままの状態において400℃以下でのシャー切断性、なかでも200℃以下でのシャー切断性に優れる熱間圧延棒鋼または線材に関する。
熱間鍛造や冷間鍛造によって所望の形状に成形される鋼製機械部品の素材として、一般に、長尺の棒鋼または線材を一定長さに切断したものが用いられている。
上記の切断方法としては、シャー切断やノコ切断などの方法があるが、生産効率やコストの観点からは、いわゆる「冷間や温間」でのシャー切断が優れている。
しかしながら、シャー切断の場合、被切断材である棒鋼や線材の直径が大きくなったり強度が高くなると、シャー切断刃の寿命が著しく短くなることを避けられず、また、切断端面に割れが発生するという問題も生じやすくなる。
特に、近年では、自動車の燃費向上やエンジンの高出力化への対応のために、歯車、プーリーやシャフトなど機械部品を軽量化、小型化および高応力負荷化したいとの産業界からの強い要望がある。これらの機械部品の軽量化、小型化および高応力負荷化を達成するためには、浸炭焼入れ、あるいは浸炭窒化焼入れを施した部品の強度、その中でも疲労強度を高めることが必要であり、特にその中でも面疲労強度を高める必要がある。そのために機械構造用合金鋼として、従来のJIS規格のSCr420鋼やSCM420鋼よりも合金元素を多く含有する鋼材が使用されることが多くなっている。それに伴って、熱間圧延ままの状態での強度が高くなり、400℃以下、特に200℃以下におけるシャー切断が困難になっている。
温間や冷間でのシャー切断性を高める技術は、例えば、特許文献1〜3に提案されている。
すなわち、特許文献1には、熱間仕上げ圧延直後に、その表面を、200℃以下とならないように、5秒〜15秒間の範囲内にて水冷して焼入れすると共に、内部保有熱にてセルフテンパーさせて、その断面表層部に硬化層を形成させる「冷間シャー切断性に優れる棒鋼素材の製造方法」が開示されている。
また、特許文献2には、Tiを0.001〜0.015重量%の範囲で含み、かつJIS規格の結晶粒度試験方法で測定した中心部の結晶粒度が、主として6番以上になっている「鋼材」が開示されている。
特許文献3には、C:0.15〜1.50mass%を含有し、炭化物の長径/短径の平均が2.50以下、かつ長径/短径2.50以下の炭化物の全炭化物に占める体積割合が70%以上である「冷間切断性に優れる棒鋼線材」が開示されている。
特開平2−209429号公報 特開2005−320610号公報 特開平10−60595号公報
特許文献1で提案された技術は、冷間シャー切断に際して、切断面の切断方向の端部に”かえり”が発生することを防止するものである。そして、この技術は、合金元素の含有量が少ない鋼種や直径があまり大きくない場合には、シャー切断性を高めることが可能であった。
しかしながら、合金元素の含有量が多いために強度が高くなった鋼種や直径が大きい場合には、”かえり”の発生を防止しても棒鋼や線材を熱間圧延ままの状態において必ずしも安定してシャー切断することができなかった。
特許文献2で提案された技術は、シャー切断に際して、その切断端面に生じる時効割れ等の発生を抑制するものである。そして、この技術も、合金元素の含有量が少ない鋼種の場合には、シャー切断性を高めることが可能であった。
しかしながら、合金元素の含有量が多いために強度が高くなった鋼種の場合には、切断端面に生じる時効割れを抑制しても棒鋼や線材を熱間圧延ままの状態において必ずしも安定してシャー切断することができなかった。
特許文献3で提案された技術は、熱間圧延した後、球状化焼きなまし(以下、「球状化焼鈍」という。)を行うことで炭化物を球状化させ、冷間シャー割れの発生を抑制するものである。このため、合金元素の含有量が多いために強度が高くなった鋼種や直径が大きい場合にも安定してシャー切断することができる技術である。
しかしながら、球状化焼鈍を行うためには焼鈍炉を設置する必要があることに加えて製造工程が増えることになるし、しかも、球状化焼鈍自体が多大なエネルギーを消費するばかりか、生産性を低下させる処理である。このため、製造コストが上昇し、また、製造の長期間化も避けることができなかった。
そこで、本発明の目的は、熱間圧延ままの状態で、400℃以下、なかでも200℃以下でシャー切断しても割れを生じることが少ない、シャー切断性に優れる熱間圧延棒鋼または線材を提供することである。
なお、本発明における「熱間圧延棒鋼」とは、棒状に熱間圧延された鋼で所定の長さに切断された鋼材を指す。また、「線材」とは、棒状に熱間圧延された鋼で、コイル状に巻かれた鋼材を指し、いわゆる「バーインコイル」を含む。
従来、特許文献3に提案されているように、球状化焼鈍を施して炭化物を球状化し、軟質化することによって、冷間でのシャー切断性を向上させることができることはよく知られている。しかしながら、既に述べたように、この方法では製造コストの上昇や生産性の低下を避けることができない。
そこで、本発明者らは、合金元素の含有量が多いために強度が高くなった鋼種、さらには直径が大きい場合にも、熱間圧延ままの状態で、400℃以下、なかでも200℃以下でシャー切断しても割れを生じることが少ない、シャー切断性に優れる熱間圧延棒鋼または線材を提供するために、シャー切断時の起点となる表層部および断面全体の硬度ならびにミクロ組織が前記温度域におけるシャー切断性に与える影響について調査・研究を重ねた。その結果、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)熱間圧延棒鋼または線材の表層部は、シャー切断の起点となる。このため、シャー切断性を高めるためには表層部を軟質化する必要がある。
(b)シャー切断性を高めるためには上記(a)の熱間圧延棒鋼または線材の表層部だけではなく、平均硬度も特定のレベル以下にしておく必要がある。
(c)シャー切断性を高めるためには、熱間圧延棒鋼または線材の硬さ管理に加えて、ミクロ組織を制御する必要もある。具体的には、軟質なフェライト相を面積率で特定の割合以上含んでいる必要がある。これは、フェライト相がシャー切断時の亀裂を容易に進展させるためと推定される。
(d)硬質なパーライト相やベイナイト相は、ミクロ偏析によって熱間圧延棒鋼または線材の圧延方向に連続して生成しやすいが、圧延方向において、上述した硬質な相(組織)が連続して長く存在する場合には、シャー切断性が低下する。これは、上記の硬質な相(組織)がシャー切断時の亀裂進展時の障害になっていると推定される。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)および(2)に示す熱間圧延棒鋼または線材にある。
(1)質量%で、C:0.2〜0.35%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.4〜1.5%、S:0.003〜0.05%、Cr:0.8〜3.0%、Al:0.01〜0.05%、N:0.008〜0.025%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のO(酸素):0.002%以下およびP:0.025%以下の化学組成を有し、熱間圧延ままの状態において、平均ビッカース硬さが240以下、表層部のビッカース硬さが180以下で、且つ、ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上であって、しかも、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下であることを特徴とする熱間圧延棒鋼または線材。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.8%以下、Nb:0.08%以下およびV:0.15%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
なお、「平均ビッカース硬さ」とは、鏡面研磨した圧延方向に垂直な断面(以下、「C断面」ともいう。)について、ビッカース硬さ試験機を用い、9.807Nの試験力で中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で10点測定して求めた硬さの算術平均値を指す。
また、「表層部のビッカース硬さ」とは、鏡面研磨したC断面について、ビッカース硬さ試験機を用い、0.9807Nの試験力で表面から50μm、100μmおよび150μmの位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で15点測定して求めた硬さの算術平均値を指す。
さらに、「ミクロ組織」とは、中心線を通って圧延方向に切り出した断面を鏡面研磨した後、ナイタールで腐食して、中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置を倍率50倍、視野の大きさを1.6mm×1.2mmとしてそれぞれ、任意に各5視野合計で10視野観察した場合のものを指す。そして、フェライト相の面積率とは、上記のようにして観察した10視野におけるフェライト相の各面積率の算術平均値である。ここで、フェライト相とは、ナイタールで粒界以外は、ほとんど腐食されずに、他に較べて明るいコントラストを呈する部分である。また、フェライト相の各面積率とは、その視野中のフェライト相の面積を通常の画像解析の手法によって算出し、それを視野の総面積で除した数値を100倍にしたものである。
なお、「フェライト・パーライト組織」とは、フェライト相とパーライト相との混合組織を意味する。同様に、「フェライト・パーライト・ベイナイト組織」とは、フェライト相、パーライト相およびベイナイト相の3相からなる混合組織を意味する。
また、「パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さ」とは、図1の模式図に示すように、圧延方向において、連続するパーライト相の長さ、連続するベイナイト相の長さ、およびパーライト相とベイナイト相が連続する場合の長さのうちでの最大長さを指す。
既に述べたように、本発明における「熱間圧延棒鋼」とは、棒状に熱間圧延された鋼で所定の長さに切断された鋼材を指す。また、「線材」とは、棒状に熱間圧延された鋼で、コイル状に巻かれた鋼材を指し、いわゆる「バーインコイル」を含む。
以下、上記(1)および(2)の熱間圧延棒鋼または線材に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」および「本発明(2)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材は、熱間圧延ままの状態で、400℃以下、なかでも200℃以下でシャー切断しても割れを生じることが少なく、シャー切断性に優れるので、製造コストの上昇や生産性の低下をきたすことがない。しかも、高い疲労強度を得ることができるため、自動車や産業機械などの高強度機械部品である歯車、プーリーやシャフトなどの素材として適している。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、以下の説明における各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)熱間圧延棒鋼または線材の化学組成
C:0.2〜0.35%
Cは、浸炭焼入れ、あるいは浸炭窒化焼入れしたときの部品の強度を確保するために必須の元素である。近年の疲労強度向上のニーズを満たすためには、その含有量が0.2%未満では不十分で、0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、Cの含有量が0.35%を超えると、本発明で規定する他の項目を満たしていても、シャー切断性が不十分になる。したがって、Cの含有量を0.2〜0.35%とした。なお、Cの含有量は0.25〜0.35%とすることが好ましい。
Si:0.3〜1.5%
Siは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。近年の疲労強度向上のニーズを満たすためには、その含有量が0.3%未満では不十分で、0.3%以上含有させる必要があり、その含有量が0.5%以上になると、高強度化が顕著になる。しかしながら、Siの含有量が1.5%を超えると、強度を高める効果が飽和するだけでなく、本発明で規定する他の項目を満たしていても、シャー切断性が不十分になる。したがって、Siの含有量を0.3〜1.5%とした。より好ましいSiの含有量は0.5〜1.5%である。
Mn:0.4〜1.5%
Mnは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。近年の疲労強度向上のニーズを満たすためには、その含有量が0.4%未満では不十分で、0.4%以上含有させる必要がある。しかしながら、Mnの含有量が1.5%を超えると、疲労強度を高める効果が却って低下する。したがって、Mnの含有量を0.4〜1.5%とした。なお、Mnの含有量は0.8〜1.5%とすることが好ましい。
S:0.003〜0.05%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を高める作用を有する。しかしながら、その含有量が0.003%未満では、前記の効果が得難い。一方、S量が多くなると、粗大なMnSを生成しやすくなり、疲労強度を低下させる傾向があり、その含有量が0.05%を超えると、疲労強度低下が顕著になる。したがって、Sの含有量を0.003〜0.05%とした。なお、Sの含有量は0.01〜0.03%とすることが好ましい。
Cr:0.8〜3.0%
Crは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。近年の高強度化のニーズを満たすためには、その含有量が0.8%未満では不十分で、0.8%以上含有させる必要があり、その含有量が1.3%以上になると、疲労強度の向上が顕著になる。しかしながら、Crの含有量が3.0%を超えると、焼入れ性が高くなりすぎてシャー切断性が不十分になる。したがって、Crの含有量を0.8〜3.0%とした。より好ましいCrの含有量は1.3〜3.0%である。
Al:0.01〜0.05%
Alは、脱酸作用を有すると同時に、Nと結合してAlNを形成しやすく、焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Alの含有量が0.01%未満では前記の効果は得難い。一方で、Alは硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、Alの含有量が0.05%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Alの含有量は0.03〜0.05%とすることが好ましい。
N:0.008〜0.025%
Nは、Al、NbおよびVと結合してAlN、NbNおよびVNを形成しやすい。上記のAlN、NbNおよびVNは焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Nの含有量が0.008%未満では前記の効果は得難い。一方、Nの含有量が0.025%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.008〜0.025%とした。なお、Nの含有量は0.015〜0.025%とすることが好ましい。
本発明においては、不純物中のO(酸素)およびPの含有量を下記のとおりに制限する。
O(酸素):0.002%以下
Oは、鋼中に不純物として存在し、Alと結合して硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、疲労強度を低下させてしまう。特に、Oの含有量が0.002%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、不純物中のOの含有量を0.002%以下とした。なお、不純物中のOの含有量はできる限り少なくすることが望ましいが、製鋼でのコストを考慮すると、0.001%以下にすることが好ましい。
P:0.025%以下
Pは、不純物として鋼中に存在する元素であり、粒界偏析して粒界を脆化させ、疲労強度の低下を招き、特に、その含有量が0.025%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、不純物中のPの含有量を0.025%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
上記の理由から、本発明(1)に係る熱間圧延棒鋼または線材は、C、Si、Mn、S、Cr、AlおよびNを上述した範囲で含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のO(酸素):0.002%以下およびP:0.025%以下の化学組成を有することと規定した。
なお、本発明(1)に係る熱間圧延棒鋼または線材は、上記本発明(1)におけるFeの一部に代えて、Mo:0.8%以下、Nb:0.08%以下およびV:0.15%以下のうちの1種以上を含有することができる。
すなわち、Mo、NbおよびVは、疲労強度を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を添加し、含有させてもよい。
以下、上記の元素に関して詳しく説明する。
Mo:0.8%以下
Moは、疲労強度を高めるのに有効な元素である。すなわち、Moは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高め、これによって疲労強度を高める作用を有するので、この効果を得るために添加し、含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が多くなり、特に、0.8%を超えると、焼入れ性が高くなりすぎてシャー切断性が不十分になる。したがって、添加する場合のMoの含有量を0.8%以下とした。
なお、前記したMoの効果を確実に得るためには、Mo含有量を0.1%以上とすることが好ましい。このため、添加する場合のより望ましいMo含有量は0.1〜0.8%であり、0.2〜0.5%であれば一層好ましい。
Nb:0.08%以下
Nbは、疲労強度を高めるのに有効な元素である。すなわち、Nbは、CおよびNと結合してNbC、NbNおよびNb(C、N)を形成しやすく、前述したAlNによる焼入れ部の結晶粒微細化を補完するのに有効で、これによって疲労強度を高める作用を有するので、この効果を得るために添加し、含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が多くなり、特に、0.08%を超えると、中心偏析部に粗大なNb(C、N)が生成しやすくなり、却って疲労強度が低下する。したがって、添加する場合のNbの含有量を0.08%以下とした。
なお、前記したNbの効果を確実に得るためには、Nb含有量を0.01%以上とすることが好ましい。このため、添加する場合のより望ましいNb含有量は0.01〜0.08%であり、0.02〜0.06%であれば一層好ましい。
V:0.15%以下
Vも疲労強度を高めるのに有効な元素である。すなわち、Vは、CおよびNと結合してVNおよびVCを形成しやすく、このうち、VNは前述したAlNによる焼入れ部の結晶粒微細化を補完するのに有効で、疲労強度を高める作用を有する。また、浸炭窒化時にVNが析出すると、疲労強度をより高める効果がある。このため、前記した効果を得るためにVを添加し、含有させてもよい。しかしながら、Vの含有量が多くなり、特に、0.15%を超えると、熱間圧延棒鋼や線材の強度が高くなりすぎて、本発明で規定するビッカース硬さの範囲を満たすことができなくなり、シャー切断性の低下をきたす。したがって、添加する場合のVの含有量を0.15%以下とした。
なお、前記したVの効果を確実に得るためには、V含有量を0.02%以上とすることが好ましい。このため、添加する場合のより望ましいV含有量は0.02〜0.15%であり、0.05〜0.15%であれば一層好ましい。
上記のMo、NbおよびVは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種以上の複合で含有することができる。
上記の理由から、本発明(2)に係る熱間圧延棒鋼または線材は、本発明(1)におけるFeの一部に代えて、Mo:0.8%以下、Nb:0.08%以下およびV:0.15%以下のうちの1種以上を含有することと規定した。
なお、本発明において、より優れた疲労強度を得るために、不純物中のTiの含有量を下記のとおりに制限することが好ましい。
Ti:0.003%以下
Tiは、Nと結合してTiNを形成しやすい元素である。TiNは非常に硬質で、且つ、形状が角状であるため疲労破壊の起点となりやすいので、疲労強度の低下を招いてしまう。特に、不純物中のTiの含有量が0.003%を超えると、TiNが容易に形成されるようになって、疲労強度の低下が著しくなることがある。したがって、本発明の熱間圧延棒鋼または線材において、不純物中のTiの含有量は0.003%以下とすることが望ましい。
(B)熱間圧延ままの状態における硬さと組織
本発明者らの検討によって、本発明に係る熱間圧延棒鋼または線材は、熱間圧延ままの状態において、平均ビッカース硬さが240以下、表層部のビッカース硬さが180以下で、且つ、ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上であって、しかも、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下でなければならないことが明らかになった。以下、上記の事項について詳しく説明する。
本発明者らは、先ず、表1に示す前記(A)項で述べた化学組成を満たす鋼αおよび鋼βを70トン転炉で成分調整した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、連続鋳造を行って、400mm×300mm角のブルームを得た。
なお、鋼αおよび鋼βのTi含有量はそれぞれ、0.001%と0.002%であった。
Figure 2009052062
次いで、上記のブルームに次の3条件での均質化処理を施した。
(イ)無し、
(ロ)1280℃×5時間、
(ハ)1280℃×12時間。
均質化処理後、通常の条件で分塊圧延して180mm×180mm角のビレットを作製した。なお、上記(イ)の均質化処理を施さなかったブルームは、加熱炉で1250℃×1時間の加熱処理を行ってから分塊圧延し、一方、上記(ロ)および(ハ)の均質化処理したブルームは、均熱炉から取り出してそのまま分塊圧延した。
次いで、上記の180mm×180mm角のビレットは、そのコーナー部のみ手入れして、表2に示す条件で熱間圧延して直径が70mmの棒鋼を得た。なお、上記熱間圧延における圧下比、つまり「圧延前のビレットの断面積/圧延製品(圧延棒鋼)の断面積」は8.4である。
Figure 2009052062
上記のようにして得た直径が70mmの各棒鋼について、熱間圧延ままの状態における平均ビッカース硬さ(以下、ビッカース硬さを「Hv硬さ」という。)、表層部のHv硬さ、ミクロ組織およびシャー切断性を、次の方法で調査した。
先ず、直径70mmの棒鋼の圧延方向に垂直な断面(C断面)を鏡面研磨した後、JIS Z 2244(2003)における「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠し、Hv硬さ試験機を用いて、9.807Nの試験力で中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で10点測定し、その算術平均値から「平均Hv硬さ」を求めた。また、0.9807Nの試験力で表面から50μm、100μmおよび150μmの位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で15点測定し、その算術平均値から「表層部のHv硬さ」を求めた。
次に、直径70mmの棒鋼の中心線を通って圧延方向に切り出した断面を鏡面研磨した後、ナイタールで腐食して、中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置を倍率50倍、視野の大きさを1.6mm×1.2mmとしてそれぞれ、任意に各5視野合計で10視野観察して相の特定を行った。
また、通常の方法による画像解析を実施し、各視野におけるフェライト相の面積率を求め、合計10視野におけるフェライト相の面積率の平均値を算出した。ここで、フェライト相とは、ナイタールで粒界以外は、ほとんど腐食されずに、他に較べて明るいコントラストを呈する部分である。また各視野におけるフェライト相の面積率とは、その視野中のフェライト相の面積をその視野の総面積で除した数値を100倍したものである。
また、上記した観察方法によって、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さを測定した。
さらに、一般的なシャー切断装置を用い、室温において、直径70mmの棒鋼の圧延方向に垂直な方向に長さが150mmになるように切断してシャー切断性を調査した。なお、切断端面に長さ2mm以上の割れがある場合を不合格とし、各棒鋼について長さ150mmのものを50個切断したときの不合格の個数が1個以下の場合に、シャー切断性が良好とした。
表3および表4に、上記の各調査結果をまとめて示す。なお、表3および表4における均質化処理欄の記号(イ)〜(ハ)はそれぞれ、「均質化処理無し」、「1280℃×5時間の均質化処理を実施」および「1280℃×12時間の均質化処理を実施」を意味する。また、ミクロ組織欄の「F」、「P」および「B」はそれぞれ、フェライト相、パーライト相およびベイナイト相を、また、「P、B最大長さ」は、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さを意味する。
Figure 2009052062
Figure 2009052062
表3および表4から、熱間圧延ままの状態において、
・平均Hv硬さが240以下、
・表層部のHv硬さが180以下、
・ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上、
・パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下、
という条件をすべて満たす場合に、不合格の個数が1個以下で、シャー切断性が良好なことが明らかである。
そこで、本発明に係る熱間圧延棒鋼または線材は、熱間圧延ままの状態において、平均Hv硬さが240以下、表層部のHv硬さが180以下で、且つ、ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上であって、しかも、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下であることと規定した。
なお、本発明におけるC含有量は0.2%以上であることから、フェライト相の面積率の上限は、75%程度となる。
また、圧延仕上げ温度を750℃以下にするには、コストが嵩むことから、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さ下限は、50μm程度となる。
なお、表3および表4から、平均Hv硬さが210以下で表層部のHv硬さが150以下の場合には、不合格の個数が0、つまり、切断端面に長さ2mm以上の割れが生じておらず、シャー切断性が特に良好であった。
したがって、本発明に係る熱間圧延棒鋼または線材の熱間圧延ままの状態における平均Hv硬さおよび表層部のHv硬さはそれぞれ、210以下および150以下であることが好ましい。
ただし、本発明におけるC含有量は0.2%以上であることから、平均Hv硬さの下限は、130程度となる。
また、表層部のHv硬さの下限は、100程度となる。
なお、熱間圧延ままの状態におけるHv硬さと組織には、鋼の化学組成、成分の偏析状態、熱間圧延条件および圧延後の冷却速度などが影響する。
そこで、C:0.2〜0.25%、Si:0.3〜0.8%、Mn:0.5〜0.8%およびCr:1.3〜1.8%を含有する鋼を例に挙げると、前記の熱間圧延ままのHv硬さと組織は、例えば、次の<1>〜<6>に示す条件を満たすことによって得ることができる。
<1>溶鋼の電磁攪拌を十分に行う、
<2>ブルームに1250〜1300℃で5時間以上均質化熱処理を行う、
<3>ビレットの手入れはコーナー部以外は行わない、
<4>ビレットの加熱は、加熱温度を1150〜1230℃とし、さらに加熱時間を1時間以上とする、
<5>圧延仕上げ温度を850〜950℃とし、仕上げ圧延後は放冷以下の冷却速度で600℃以下まで冷却する、
<6>ビレットから棒鋼または線材への圧下比、つまり「圧延前のビレットの断面積/圧延製品(圧延棒鋼または線材)の断面積」を6以上として圧延する。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
表5に示す化学組成を有する鋼aを70トン転炉で成分調整した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、連続鋳造を行って、400mm×300mm角のブルームを得た。
次いで、上記のブルームに1280℃×12時間の均質化処理を施した後、均熱炉から取り出してそのまま通常の条件で分塊圧延し、160mm×160mm角のビレットを作製した。
Figure 2009052062
また、表6に示す化学組成を有する鋼b〜nを30kg真空炉で溶解した後、インゴットに鋳造した。
表6中の鋼c〜fは、本発明で規定する化学組成を満たす鋼である。一方、鋼bおよび鋼g〜nは、本発明で規定する化学組成の条件から外れた鋼であり、このうち鋼bは、JIS規格のSCr420に相当する鋼である。
Figure 2009052062
上記鋼b〜nの各インゴットを1250℃で10時間保持し、一旦室温まで放冷した後、再度1200℃で1時間加熱し、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造して、直径30mmの棒鋼を得た。
次いで、上記の直径が30mmの各棒鋼に、925℃で1時間加熱してから室温まで放冷する処理を行った後、機械加工により図2(a)に示す形状のローラーピッチング試験用小ローラーを作製した。
上記のローラーピッチング試験用小ローラーには、ガス浸炭炉を用いて、図3に示す条件で浸炭焼入れを行い、次いで、170℃で2時間の焼戻しを行った後、熱処理ひずみを除く目的で、つかみ部の仕上げ加工を行い、さらに、試験部を20μm研削した。なお、図3における「CP」は、カーボンポテンシャルを意味する。
上記のようにして得たローラーピッチング試験用小ローラーおよび表1に示す鋼aを素材とし、図2(b)に示す形状、すなわち、直径が130mmで、接触部のR形状が150mmRの形状のローラーピッチング試験用大ローラーを用いて、表7に示す条件でローラーピッチング試験を行った。
なお、上記ローラーピッチング試験用大ローラーは一般的な製造工程、つまり、「焼きならし、試験片加工、ガス浸炭炉による共析浸炭、低温焼戻しおよび研磨」の工程によって作製したものである。
鋼b〜nのそれぞれについて、ローラーピッチング試験における試験数は5とし、縦軸に面圧、横軸にピッチング発生までの繰り返し数をとったS−N線図を作成し、繰り返し数1.0×107回での面圧を、面疲労強度とした。
なお、小ローラーの試験部の表面が損傷している箇所のうちで、最大のものの面積が1mm2以上になった場合をピッチング発生とした。
そして、JIS規格のSCr420に相当する鋼である鋼bの面疲労強度を1.00と規格化し、その1.15倍以上の面疲労強度を有することを目標とした。これは、既に述べたように、機械部品の軽量化、小型化および高応力負荷化を達成するためには、浸炭焼入れ、あるいは浸炭窒化焼入れを施した部品の強度、その中でも疲労強度を高めることが必要であり、特にその中でも面疲労強度を高める必要があるためである。
表8に、上記のローラーピッチング試験結果をまとめて示す。
Figure 2009052062
Figure 2009052062
表8から明らかなように、Cの含有量が0.2%を下回る鋼g、Mnの含有量が0.4%を下回る鋼h、Sの含有量が0.05%を上回る鋼i、Crの含有量が0.8%を下回る鋼k、Alの含有量が0.05%を上回る鋼l、Nの含有量が0.025%を上回る鋼m、Oの含有量が0.002%を上回る鋼nおよびPの含有量が0.025%を上回る鋼jの場合には、目標とする面疲労強度が得られていない。
そこで次に、目標の面疲労強度を得ることができた成分系について、シャー切断性について調査することとした。
すなわち、C、MnおよびCrの含有量がそれぞれ、0.2%以上、0.4%以上および0.8%以上で、さらに、S、Al、N、O及びPの含有量がそれぞれ、0.05%以下、0.05%以下、0.025%以下、0.002%以下および0.025%以下であって、しかもSiの含有量が0.3%以上である表9に示す鋼o〜xを70トン転炉で成分調整した後、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、連続鋳造を行って、400mm×300mm角のブルームを得た。
Figure 2009052062
次いで、上記のブルームに次の3条件での均質化処理を施した。
(イ)無し、
(ロ)1280℃×5時間、
(ハ)1280℃×12時間。
均質化処理後、通常の条件で分塊圧延して180mm×180mm角のビレットを作製した。なお、上記(イ)の均質化処理を施さなかったブルームは、加熱炉で1250℃×1時間の加熱処理を行ってから分塊圧延し、一方、上記(ロ)および(ハ)の均質化処理したブルームは、均熱炉から取り出してそのまま分塊圧延した。
次いで、上記の180mm×180mm角のビレットは、そのコーナー部のみ手入れして、表2に示した条件で熱間圧延して直径が70mmの棒鋼を得た。なお、上記熱間圧延における圧下比、つまり「圧延前のビレットの断面積/圧延製品(圧延棒鋼)の断面積」は8.4である。
上記のようにして得た直径が70mmの各棒鋼について、熱間圧延ままの状態における平均Hv硬さ、表層部のHv硬さ、ミクロ組織およびシャー切断性を、次の方法で調査した。
先ず、直径70mmの棒鋼の圧延方向に垂直な断面(C断面)を鏡面研磨した後、JIS Z 2244(2003)における「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠し、Hv硬さ試験機を用いて、9.807Nの試験力で中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で10点測定し、その算術平均値から「平均Hv硬さ」を求めた。また、0.9807Nの試験力で表面から50μm、100μmおよび150μmの位置をそれぞれ、任意に各5点ずつ合計で15点測定し、その算術平均値から「表層部のHv硬さ」を求めた。
次に、直径70mmの棒鋼の中心線を通って圧延方向に切り出した断面を鏡面研磨した後、ナイタールで腐食して、中心から半径の1/3、および2/3の距離の位置を倍率50倍、視野の大きさを1.6mm×1.2mmとしてそれぞれ、任意に各5視野合計で10視野観察して相の特定を行った。
また、通常の方法による画像解析を実施し、各視野におけるフェライト相の面積率を求め、合計10視野におけるフェライト相の面積率の平均値を算出した。ここで、フェライト相とは、ナイタールで粒界以外は、ほとんど腐食されずに、他に較べて明るいコントラストを呈する部分である。また各視野におけるフェライト相の面積率とは、その視野中のフェライト相の面積をその視野の総面積で除した数値を100倍したものである。
また、上記した観察方法によって、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さを測定した。
さらに、一般的なシャー切断装置を用い、室温において、直径70mmの棒鋼の圧延方向に垂直な方向に長さが150mmになるように切断してシャー切断性を調査した。なお、切断端面に長さ2mm以上の割れがある場合を不合格とし、各棒鋼について長さ150mmのものを50個切断したときの不合格の個数が1個以下の場合に、シャー切断性が良好と判断して、これを本発明の目標とした。
表10および表11に、上記の各調査結果をまとめて示す。なお、表10および表11における均質化処理欄の記号(イ)〜(ハ)はそれぞれ、「均質化処理無し」、「1280℃×5時間の均質化処理を実施」および「1280℃×12時間の均質化処理を実施」を意味する。また、ミクロ組織欄の「F」、「P」および「B」はそれぞれ、フェライト相、パーライト相およびベイナイト相を、また、「P、B最大長さ」は、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さを意味する。
Figure 2009052062
Figure 2009052062
表10および表11から、本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号、具体的には、試験番号43〜45、試験番号48〜50、試験番号53〜55、試験番号58〜60、試験番号63〜65および試験番号68〜77の場合には、各棒鋼について長さ150mmのものを50個切断したときの不合格の個数が1個を超えており、目標とするシャー切断性が得られていないことが明らかである。
上記の比較例に対し、本発明で規定する条件を満たす本発明例の試験番号、具体的には、試験番号46、試験番号47、試験番号51、試験番号52、試験番号56、試験番号57、試験番号61、試験番号62、試験番号66および試験番号67の場合、各棒鋼について長さ150mmのものを50個切断したときの不合格の個数が1個以下という目標に達しており、良好なシャー切断性を有することが明らかである。
さらに、本発明例のうちでも、平均Hv硬さが210以下で表層部のHv硬さが150以下である試験番号46および試験番号47の場合には、不合格の個数が0、つまり、切断端面に長さ2mm以上の割れが生じておらず、シャー切断性が特に良好であることが明らかである。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材は、熱間圧延ままの状態で、400℃以下、なかでも200℃以下でシャー切断しても割れを生じることが少なく、シャー切断性に優れるので、製造コストの上昇や生産性の低下をきたすことがない。しかも、高い疲労強度を得ることができるため、自動車や産業機械などの高強度機械部品である歯車、プーリーやシャフトなどの素材として適している。
パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さについて模式的に説明する図である。 ローラーピッチング試験用ローラーの形状を説明する図で、(a)は小ローラーの形状を(b)は大ローラーの形状を示す図である。 ガス浸炭炉を用いてローラーピッチング試験用小ローラーに施した浸炭焼入れの条件を示す図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.2〜0.35%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.4〜1.5%、S:0.003〜0.05%、Cr:0.8〜3.0%、Al:0.01〜0.05%、N:0.008〜0.025%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のO(酸素):0.002%以下およびP:0.025%以下の化学組成を有し、熱間圧延ままの状態において、平均ビッカース硬さが240以下、表層部のビッカース硬さが180以下で、且つ、ミクロ組織が、フェライト・パーライト組織またはフェライト・パーライト・ベイナイト組織からなるとともにフェライト相の面積率が30%以上であって、しかも、パーライト相および/またはベイナイト相の圧延方向において連続する最大長さが600μm以下であることを特徴とする熱間圧延棒鋼または線材。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.8%以下、Nb:0.08%以下およびV:0.15%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
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