JP5716050B2 - 弾性波素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電効果を利用した弾性波素子に関するものである。
近年誘電体膜を具備し温度特性を改善された弾性波素子が盛んに開発されている。従来の弾性波素子11を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)は、IDT電極パターン図、図7(b)は図7(a)におけるB−B’線の断面図、図7(c)は図7(b)の要部拡大図である。
図7(a)〜(c)において、弾性波素子11は、圧電基板12とIDT電極13と反射器電極14と誘電体膜15と励振空間16を有する。IDT電極13は、圧電基板12の上に形成された電極であり、間隙を介して互いに噛みあうように配置された一対の櫛歯状の電極からなる。反射器電極14は、圧電基板12の上でIDT電極13を挟むように形成された一対の格子状の電極である。誘電体膜15は、圧電基板12とIDT電極13と反射器電極14を覆う誘電体の保護膜である。励振空間16は、IDT電極13が励振するための空間である。このような構成を有する弾性波素子11は、封止体(図示せず)によって励振空間16を密封されて電子部品を構成する。
このような弾性波素子11を直列腕共振器と並列腕共振器として用いて、直列腕の共振周波数と並列腕の***振周波数がほぼ一致するようにして作製したラダー型弾性波フィルタにおいて、通過帯域内にリップルを生じないようにするためには、ラダー型弾性波フィルタの動作原理から直列腕共振器の共振周波数近傍において不要波によるスプリアスが十分に小さいこと、および並列腕共振器の***振周波数近傍においてスプリアスが十分小さいことが必要である。
従来の弾性波素子11は、共振周波数近傍または***振周波数近傍に出現する不要波スプリアスを抑圧する手段として、図7(b)、(c)に示すように、圧電基板12上に誘電体膜15を堆積し、さらに電極上方に誘電体膜15の突起を形成することで不要波を抑圧する手法が用いられている。
なお、この出願の発明に関する先行技術情報としては、例えば、特許文献1、非特許文献1が知られている。
国際公開第2011/052218号
H.nakamura著、Suppression of Transverse Mode Spurious in SAW RESONATORSon an SiO2/Al/LiNbO3 Structure for Wideband CDMA Applications、Proc. IEEE IUS 2008、594−597
しかしながら、従来の弾性波素子は誘電体膜上の不要波スプリアスの抑圧条件となる突起の形状制御が容易ではないため、スプリアスを十分に抑圧した弾性波素子を容易に製造することが難しいという課題があった。
そこで、本発明では作製が容易で、共振周波数近傍または***振周波数近傍の不要波スプリアスを十分に小さくすることができる弾性波素子の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明の弾性波素子は、圧電基板の上方に形成されたIDT電極と、圧電体基板と前記IDT電極に挟まれるように形成された媒質と、媒質およびIDT電極間に形成された誘電体膜とを備え、IDT電極の上面は、誘電体膜の上面より圧電基板上方に高く形成され、IDT電極の密度は、圧電基板の密度および媒質の密度および誘電体膜の密度のいずれよりも大きいことを特徴としたものである。
上記構成により、レイリー波の音速に対し、SH波の音速は遅くなり、主要波と不要波の音速差を広げることができる。この結果、共振周波数近傍または***振周波数近傍の不要波スプリアスが十分に小さい弾性波素子が実現できる。またこのような弾性波素子を用いてラダー型弾性波フィルタを構成することで通過帯域内のリップルが小さいラダー型弾性波フィルタを得ることができる。
(a)本発明の一実施の形態における弾性波素子の上面模式図、(b)同弾性波素子の断面模式図、(c)同弾性波素子の要部拡大図 比較例の弾性波素子のアドミッタンス特性図 本発明の構造の実施例1の弾性波素子のアドミッタンス特性図 本発明の構造の実施例1の弾性波素子を用いたラダー型フィルタの通過特性とアドミッタンス特性を示す図 本発明の構造の実施例2の弾性波素子のアドミッタンス特性図 本発明の構造の実施例2の弾性波素子を用いたラダー型フィルタの通過特性とアドミッタンス特性を示す図 (a)従来の弾性波素子の上面模式図、(b)同弾性波素子の断面模式図、(c)同弾性波素子の断面要部拡大図 比較例の弾性波素子の断面要部拡大図 本発明の一実施の形態における弾性波素子を用いた高周波フィルタの回路図
以下、本発明の一実施の形態における弾性波素子1について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の一実施の形態における弾性波素子1の上面模式図、図1(b)は図1(a)におけるA−A’線の断面模式図、図1(c)は図1(b)の要部拡大図である。
図1(a)〜(c)において、本発明の一実施の形態における弾性波素子1は、圧電基板2と媒質3とIDT(InterDigital Transducer)電極4と誘電体膜5と反射器電極6と励振空間7を有する。圧電基板2は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような圧電性の単結晶基板である。媒質3は、圧電基板2の表面において、IDT電極4と反射器電極6の下に配置した層である。IDT電極4および反射器電極6は、媒質3を介して圧電基板2の上に形成された電極であり、その上面は励振空間7に面している。IDT電極4は、間隙を介して互いに噛みあうように配置された一対の櫛歯状の電極からなる。反射器電極6は、圧電基板2の上でIDT電極4を挟むように形成された一対の格子状の電極である。誘電体膜5は、圧電基板2の表面に形成された誘電体からなる膜であり、IDT電極4と反射器電極6の側面方向の電極指間を埋めるように形成したものである。励振空間7は、IDT電極4が励振するための空間である。このような構成を有する弾性波素子1は、封止体(図示せず)によってIDT電極4と励振空間7を密封されて電子部品を構成する。
そして、本発明の一実施の形態における弾性波素子1は、IDT電極4の密度が、圧電基板2の密度と媒質3の密度と誘電体膜5の密度のいずれよりも大きく、かつIDT電極4の上面は、誘電体膜5の上面より圧電基板2の上方に高く形成されたことを特徴とするものである。
上記構成において、密度の大きい媒体に集中して伝搬するSH(Shear−Horizontal)波は、IDT電極4の上面に近い表面付近に振幅分布が集中するためIDT電極4のグレーティング構造による音速低下が圧電基板2の表面付近に集中して伝搬するレイリー波より大きく、SH波とレイリー波の音速差を拡大することができる。これにより、SH波とレイリー波の一方を弾性波素子1の主要波として選択した場合、不要波となる他方の周波数を主要波の周波数から遠ざけて必要とする周波数帯域から外すことができ、必要周波数帯域における不要波スプリアスを十分に小さくすることができる。IDT電極4の上面が、誘電体膜5の上面より圧電基板2の上方に高く形成された構成とすることでSH波をより遅くしレイリー波との音速差を大きくでき、不要波スプリアスをより遠ざけることができる。更に、媒質3の膜厚を増やすことによってSH波が圧電基板2の表面から離れるため、音速差をより拡大でき、不要波スプリアスの現れる周波数を調整することができる。
次に、本発明の一実施の形態における弾性波素子を用いた高周波フィルタであるラダー型弾性波フィルタの回路図を図9に示す。図9は、上記構成の弾性波素子1を直列腕共振器8および並列腕共振器9として用いてラダー型弾性波フィルタ10を構成した回路図であり、直列腕共振器8の共振周波数と並列腕共振器9の***振周波数がほぼ一致するようにして設計したもので、並列腕共振器9の共振周波数と直列腕共振器8の***振周波数の間に通過帯域が形成されるとともに、並列腕共振器9の共振周波数と直列腕共振器8の***振周波数により通過帯域の下端および上端に減衰極が形成され、バンドパスフィルタが形成できる。
本発明の一実施の形態による弾性波素子1は、主要波の共振周波数および***振周波数に対し不要波の共振周波数および***振周波数を通過帯域から外すことによって、主要波の共振周波数の近傍および***振周波数の近傍から主要なスプリアスを排除することができ、ラダー型弾性波フィルタ10の通過帯域内におけるリップルを十分に低減することができ、良好なフィルタ特性を実現できる。
ここで、共振器の共振周波数frと***振周波数faの差をΔfとしたとき、共振周波数frの近傍とはfr±0.9×Δfの周波数範囲を指し、***振周波数faの近傍とはfa±0.9×Δfの周波数範囲を指すことと定義する。共振器のQ値(尖鋭度)が有限な値であることを考慮すると、この定義で規定された直列腕共振器8の共振周波数の近傍および並列腕共振器9の***振周波数の近傍がすなわちバンドパスフィルタの通過帯域であり、この通過帯域においてスプリアスを十分に低減できればラダー型弾性波フィルタ10の通過帯域内のリップルを十分に低減することができる。
なお、本発明の一実施の形態における弾性波素子1はIDT電極4の上面が励振空間7に面している。このような構造は、圧電基板2上にIDT電極4と反射器電極6を形成後、誘電体膜をスパッタやCVDなどの方法で成膜した後、誘電体膜を研磨することで得られる。誘電体膜に比べIDT電極4を構成する金属材料のほうが硬い材料を選択すれば、IDT電極4を構成する金属材料が化学機械研磨等の機械的研磨法におけるストッパーの役割を果たす。このため、弾性波素子1の上面の平坦化が容易かつ安定的に製造できる。また、機械的研磨法の条件を選択することにより、IDT電極4の上面は、誘電体膜5の上面より圧電基板2の上方に高く形成された構造を安定的に作製することができる。
圧電基板2は例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような主要波と不要波の音速が近い圧電単結晶基板からなる。より具体的には、SH波とレイリー波の近い118〜138°回転YカットX伝搬LiNbO3などがある。
媒質3は、例えばSiO2(酸化珪素)やアルミニウムを主成分とするが、媒質3の密度が圧電基板2およびIDT電極4の密度より小さい材料であれば構わない。特に媒質3としてSiO2を用いた場合、SiO2の音速の温度特性が圧電基板2の音速の温度特性と異なり高温で音速が速くなる性質を有するため、共振周波数および***振周波数の温度特性が弾性波素子1の温度特性改善ができる。また媒質3にアルミニウムを用いた場合、電気機械結合係数を大きくできる。
IDT電極4は、櫛形電極が交差する様に形成された金属電極であり、例えば、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、若しくはモリブデンからなる単体金属、又はこれらを主成分とする合金又はそれらの金属が積層された構成である。特に、タングステンやモリブデンを用いると、媒質3や誘電体膜5より密度を大きくすることが容易であり、硬さも大きい材料であるので、本発明の一実施の形態における弾性波素子1のIDT電極4として好ましい。
なお、図1(a)では、IDT電極4は、IDT電極4の電極指の交差幅が一定の正規型の構成を示したが、高次横モードスプリアス抑圧のために、IDT電極4の中央から反射器電極6に近づくに従って交差幅が小さくなるようなアポタイズ重み付けが施されていても良い。
誘電体膜5は、例えばSiO2を主成分とするが、誘電体膜5の密度がIDT電極4の密度より小さい材料であれば構わない。
IDT電極4の主成分をモリブデンとし、媒質3の主成分をSiO2とした場合、携帯電話などの通信システムに対応したフィルタ特性を得るために実用的な7%以上の電気機械結合係数を得るためにモリブデンの膜厚は0.0375λ以上である必要がある。ここで、λは図1(c)に示すようにIDT電極4の1波長分の周期で決まる長さである。一方、媒質3の主成分をアルミニウムとした場合、IDT電極4の膜厚を0.0125λ以上とすることで、主要波の共振周波数より低周波数側に不要波スプリアスを離すことができ、主要波の共振周波数近傍から不要波スプリアスを排除することができる。このような構成とすることで、本実施の形態の弾性波素子を直列腕共振器と並列腕共振器としたラダー型弾性波フィルタ10を作製した際、通過帯域内リップルの小さなフィルタ特性を得ることができる。
(比較例)
以下、図7(a)、図8の構成を有する比較例の弾性波素子11について説明する。比較例の弾性波素子11は、図7の従来の弾性波素子11から誘電体膜15の突起を取り除いたものである。
比較例の弾性波素子11において、圧電基板12は128°回転YカットX伝搬のニオブ酸リチウム基板、IDT電極13の電極指周期はλ=4.0μm、IDT電極13および反射器電極14の主成分はモリブデンで膜厚は0.075λ、誘電体膜15の主成分はSiO2である。IDT電極13の設計は、電極指の交差幅が20λ、電極指対数が100対、電極指のデューティ比(電極指幅/(λ/2))が0.5であり、反射器電極14の電極指本数は30本である。圧電基板12の表面からの誘電体膜15の膜厚は0.0881λである。
次に比較例の弾性波素子のアドミッタンス特性を図2に示す。図2において、縦軸はアドミッタンス特性を示し、横軸は共振周波数での規格化された規格化周波数を示す。
図2において、主要波であるレイリー波の共振周波数の規格化周波数frは1.000、***振周波数の規格化周波数faは1.059であり、***振周波数と共振周波数の規格化周波数の差Δfは0.059である。一方、不要波であるSH波スプリアスの規格化周波数fxは1.011である。本明細書において共振周波数の近傍とはfr±0.9×Δfと定義しているので、SH波スプリアスは共振周波数近傍に存在することになる。このような比較例の弾性波素子をラダー型フィルタの直列腕共振器として用いた場合には、フィルタの通過帯域にSH波スプリアスに起因するリップルを生じてしまう。
(実施例1)
以下、図1(a)〜(c)の構成を有する本発明の弾性波素子1の実施例1について説明する。
実施例1の弾性波素子1において、圧電基板2は128°回転YカットX伝搬のニオブ酸リチウム基板、IDT電極4の電極指周期はλ=4.0μm、媒質3および誘電体膜5の主成分はSiO2、媒質3の規格化膜厚は0.0114λ、誘電体膜5の規格化膜厚は0.0814λ、IDT電極4および反射器電極6の主成分はモリブデン、IDT電極4および反射器電極6の規格化膜厚は0.075λである。IDT電極4の設計は、電極指の交差幅が20λ、電極指対数が100対、電極指のデューティ比(電極指幅/(λ/2))が0.5であり、反射器電極6の電極指本数は30本である。ここで、IDT電極4の規格化膜厚と媒質3の規格化膜厚の比は、1対0.152である。IDT電極4の上面と、誘電体膜5の上面の凹部との高さの差Hdifは20nmであり、電極周期で規格化すると0.005λである。誘電体膜5の上面はIDT電極4に接する側において高く、IDT電極4とIDT電極4の中間位置において低くなるように高さが変化しており、前述のHdifは高さの最大差の値を示す。なお、規格化膜厚とは、電極周期で規格化した膜厚をいう。
このとき、SiO2を主成分とする媒質3および誘電体膜5の密度は2.20×103kg/m3であり、128°YカットX伝搬のニオブ酸リチウム基板からなる圧電基板2の密度は2.70×103kg/m3であり、IDT電極4であるモリブデンの密度は10.28×103kg/m3である。
次に、本発明の弾性波素子1の実施例1のアドミッタンス特性を図3に示す。
図3において、主要波であるレイリー波の共振周波数の規格化周波数frは1.000、***振周波数の規格化周波数faは1.033であるため、Δfは0.033である。一方、不要波であるSH波スプリアスの規格化周波数fxは0.968であり、共振周波数近傍fr±0.9×Δfおよび***振周波数近傍fa±0.9×Δfに大きなスプリアスはない。媒質3のSiO2の膜厚が0.0114λより厚い条件においてはSH波の音速がより遅くなるためSHスプリアスの規格化周波数fxがより低くなり、さらに共振周波数の近傍より離れる。IDT電極4と、誘電体膜5の上面の凹部の高さの差Hdifを0.005λ以上とするとSH波の音速がより遅くなるためSHスプリアスの規格化周波数fxがより低くなり、さらに共振周波数の近傍より離れる。なお、媒質3の主成分としてSiO2を用いることにより、電気機械結合係数が9%程度から7%程度に低下したが、共振周波数の温度特性が−64ppm/℃から−56ppm/℃に、***振周波数の温度特性が−56ppm/℃から−39ppm/℃に改善した。
図4は、上記実施例1の構成を有する弾性波素子1を直列腕共振器8および並列腕共振器9に用い、その直列腕共振器8の共振周波数fSrとその並列腕共振器9の***振周波数fPaがほぼ一致するようにIDT電極周期を異ならせて作製したラダー型弾性波フィルタ10の通過特性と直列腕共振器8および並列腕共振器9のアドミッタンス特性を示した図である。
図4において、実線Aがラダー型弾性波フィルタ10の通過特性、点線Bが直列腕共振器8のアドミッタンス特性、破線Cが並列腕共振器9のアドミッタンス特性である。図4において、並列腕共振器9の共振周波数fPrにより通過帯域の低域側に減衰極が生成され、直列腕共振器8の***振周波数fSaにより、通過帯域の高域側に減衰極が生成され、バンドパスフィルタが形成される。ここで、並列腕共振器9の共振周波数fPrと直列腕共振器8の不要波スプリアスの周波数fSxをほぼ一致させたことにより、直列腕共振器8のSH波スプリアスは通過帯域の低域側の減衰極により減衰しており、通過帯域内にリップルを生じさせない。また、並列腕共振器9のSH波スプリアスの周波数fPxは直列腕共振器8のSH波スプリアスの周波数fSxより更に低い位置に現れるためフィルタの通過帯域内特性に悪影響を与えない。そして、媒質3の膜厚を0.0114λより厚くすることにより、SH波の音速をより遅くすることができ、SH波のスプリアスにより生ずるリップルを通過帯域内からより遠ざけることができる。以上より、IDT電極4の主成分をモリブデン、媒質3の主成分をSiO2としたときに、電極周期で規格化したIDT電極4の規格化膜厚と媒質3の規格化膜厚の比を、1対0.152以上とすることにより、フィルタの通過帯域内のリップルが小さいラダー型弾性波フィルタ10が実現できる。
(実施例2)
以下、図1(a)〜(c)の構成を有する本発明の弾性波素子1の実施例2について説明する。
実施例2の弾性波素子1において、圧電基板2は128°YカットX伝搬のニオブ酸リチウム基板、IDT電極4の電極指の周期はλ=4.0μm、媒質3の主成分はアルミニウム、媒質3の膜厚は0.0603λ、IDT電極4および反射器電極6の主成分はモリブデン、IDT電極4および反射器電極6の膜厚は0.05λ、誘電体膜5の主成分はSiO2、誘電体膜5の膜厚は0.1053λである。IDT電極4の設計は、電極指交差幅が20λ、電極指の対数は100対、電極指のデューティ比(電極指幅/ピッチ)は0.5であり、反射器電極6の電極指本数は30本である。ここで、IDT電極4の規格化膜厚と媒質3の規格化膜厚の比は、1対1.206である。IDT電極4の上面と、誘電体膜5の上面の凹部との高さの差Hdifは20nmであり、電極周期で規格化すると0.005λである。
このとき、アルミニウムを主成分とする媒質3の密度は2.70×103kg/m3であり、SiO2を主成分とする誘電体膜5の密度は2.20×103kg/m3であり、128°YカットX伝搬のニオブ酸リチウムからなる圧電基板2の密度は2.70×103kg/m3であり、モリブデンを主成分とするIDT電極4の密度は10.28×103kg/m3である。
次に、本発明の弾性波素子1の実施例2のアドミッタンス特性を図5に示す。
図5において、主要波であるレイリー波の共振周波数の規格化周波数frは1.000、***振周波数の規格化周波数faは1.045であるため、Δf=0.045となる。一方、不要波であるSH波スプリアスの規格化周波数fxは0.957であり、共振周波数近傍fr±Δfおよび***振周波数近傍fa±ΔfにSH波スプリアスはない。媒質3のアルミニウムの膜厚が0.0603λより厚い条件においてはSH波の音速がより遅くなるためSH波スプリアスの周波数が低くなり、主要波の共振周波数近傍より周波数の低い側へより離れる。なお、このとき媒質3をアルミニウムにすることで、電気機械結合係数は9%程度と大きい値が得られる。
図6は、上記実施例2の構成を有する弾性波素子1を直列腕共振器8および並列腕共振器9に用いて、その直列腕共振器8の共振周波数fSrとその並列腕共振器9の***振周波数fPaがほぼ一致するようにIDT電極周期を異ならせて作製したラダー型弾性波フィルタ10の通過特性と直列腕共振器8および並列腕共振器9のアドミッタンス特性を示した図である。
図6において、実線Dがラダー型弾性波フィルタ10の通過特性、点線Eが直列腕共振器8のアドミッタンス特性、破線Fが並列腕共振器9のアドミッタンス特性である。図6において、並列腕共振器9の共振周波数fPrと直列腕共振器8のSH波スプリアスの周波数fSxがほぼ同じであるため、直列腕共振器8側のSH波スプリアスは通過帯域の低域側の減衰極により減衰している。媒質3の膜厚を0.0603λより厚くすることにより、SH波の音速をより遅くすることができ、SH波のスプリアスにより生ずるリップルをフィルタの通過帯域内から排除できる。以上より、IDT電極4の主成分をモリブデン、媒質3の主成分をアルミニウムとしたときに、電極周期で規格化したIDT電極4の規格化膜厚と媒質3の規格化膜厚の比を1対1.206以上とすることにより、フィルタの帯域内のリップルが小さいラダー型弾性波フィルタ10が実現できる。
本発明にかかる弾性波素子は、移動体通信機器に用いられる高周波フィルタなどの電子機器に適用可能である。
1、11 弾性波素子
2、12 圧電基板
3 媒質
4、13 IDT電極
5、15 誘電体膜
6、14 反射器電極
7、16 励振空間
8 直列腕共振器
9 並列腕共振器
10 ラダー型弾性波フィルタ

Claims (15)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板の上方に形成されたIDT電極と、
    前記圧電基板と前記IDT電極に挟まれるように形成された媒質と、
    前記媒質及び前記IDT電極間に形成された誘電体膜とを備え、
    前記IDT電極の上面は、前記誘電体膜の上面より前記圧電基板の上方高く形成され、
    前記IDT電極の密度は、前記圧電基板の密度と、前記媒質の密度と、前記誘電体膜の密度のいずれよりも大きく、
    前記誘電体膜の主成分が前記媒質の主成分と同じである弾性波素子。
  2. 圧電基板と、
    前記圧電基板の上方に形成されたIDT電極と、
    前記圧電基板と前記IDT電極に挟まれるように形成された媒質と、
    前記媒質及び前記IDT電極間に形成された誘電体膜とを備え、
    前記IDT電極の上面は、前記誘電体膜の上面より前記圧電基板の上方高く形成され、
    前記IDT電極の密度は、前記圧電基板の密度と、前記媒質の密度と、前記誘電体膜の密度のいずれよりも大きく、
    前記IDT電極の主成分がモリブデンであり、
    前記IDT電極の電極周期での規格化膜厚が3.75%以上であり、
    前記媒質及び前記誘電体膜の主成分が酸化珪素である弾性波素子。
  3. 圧電基板と、
    前記圧電基板の上方に形成されたIDT電極と、
    前記圧電基板と前記IDT電極に挟まれるように形成された媒質と、
    前記媒質及び前記IDT電極間に形成された誘電体膜とを備え、
    前記IDT電極の上面は、前記誘電体膜の上面より前記圧電基板の上方高く形成され、
    前記IDT電極の密度は、前記圧電基板の密度と、前記媒質の密度と、前記誘電体膜の密度のいずれよりも大きく、
    前記圧電基板がニオブ酸リチウムであり、
    前記IDT電極の主成分がモリブデンであり、
    前記媒質及び前記誘電体膜の主成分が酸化珪素であり、
    前記IDT電極と前記媒質の電極周期での規格化膜厚比が1対0.152以上である弾性波素子。
  4. 前記IDT電極の上面と、前記誘電体膜の上面との高さの差が0.005λ以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波素子。
  5. 前記誘電体膜の密度が前記媒質の密度以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波素子。
  6. 前記IDT電極が励振する主要弾性波がレイリー波である請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波素子。
  7. 前記IDT電極が励振する主要弾性波がSH波である請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波素子。
  8. 前記IDT電極の主成分がモリブデンである請求項1に記載の弾性波素子。
  9. 前記IDT電極の電極周期での規格化膜厚が1.25%以上である請求項8に記載の弾性波素子。
  10. 前記媒質の主成分がアルミニウムである請求項に記載の弾性波素子。
  11. 前記圧電基板が128°回転Yカットニオブ酸リチウムである請求項1に記載の弾性波素子。
  12. 前記媒質の主成分がアルミニウムである請求項11に記載の弾性波素子。
  13. 前記誘電体膜の主成分が酸化珪素である請求項12に記載の弾性波素子。
  14. 前記IDT電極と前記媒質の電極周期での規格化膜厚比が1対1.206以上である請求項13に記載の弾性波素子。
  15. 前記IDT電極は、アポタイズ重み付けを施した請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波素子。
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