以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタの実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタのうち、主要部を示す概略構成図である。
プリンタには、図1に示した構成の他に、PC(パソコン)等から送られた画像データを処理し露光データに変換するプリントコントローラ(後述の図5に符号410で示す。)、高圧を発生させる高圧発生装置(後述の図5に符号416で示す。)、画像形成動作を制御する制御部(後述の図5に符号406で示す。)、記録部材としての記録紙Pの供給を行う図示しない給紙装置、記録紙Pを手差し給紙させるための図示しない手差しトレイ、画像形成済みの記録紙Pが排紙される図示しない排紙トレイ等が設けられている。
図1において、200という符号で示されているのは、転写手段としての転写ユニットである。この転写ユニット200は、駆動ローラ201、クリーニングバックアップローラ202、1次転写ニップ入口ローラ203、4つの1次転写ローラ204Y,C,M,K、2次転写ニップ入口ローラ205、中間転写ベルト206、ベルトクリーニング装置207、2次転写ローラ208、クリーニングローラ209等を有している。そして、ベルト部材としての無端状の中間転写ベルト206を、ベルトループ内側に配設された複数のローラによって張架しながら、駆動ローラ201の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。なお、4つの1次転写ローラを示す符号の末尾に付されたY,C,M,Kという添字は、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラック用の部材であることを示している。以下、他の符号に付されたY,C,M,Kという添字も同様である。
中間転写ベルト206は、厚みの最も大きいベルト基体層のおもて面上に、弾性層と表面層とが順次積層された3層構造になっている。ベルト基体層は、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や、伸びの大きなゴム材料に帆布などの伸び難い材料を組み合わせた材料からなる。また、弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリルーブタジエン共重合ゴムなどからなり、ベルト基体層のおもて面に積層されている。また、表面層は、弾性層のおもて面に、例えばフッ素系樹脂がコーティングされることで形成されている。
転写ユニット200の下方には、作像手段としてのY,C,M,K用の4つの画像形成ユニットが、中間転写ベルト206の下部張架面に沿って並ぶように配設されている。これら画像形成ユニットは、ドラム状の感光体101Y,C,M,K、現像装置103Y,C,M,K、ドラムクリーニング装置120Y,C,M,Kなどを有している。そして、感光体101Y,C,M,Kの周面の頂部を中間転写ベルト206の下部張架面に当接させて、Y,C,M,K用の1次転写ニップを形成している。
転写ユニット200の上方には、図示しないY,C,M,Kトナーをそれぞれ個別に収容しているY,C,M,K用のトナーボトル90Y,C,M,Kが、中間転写ベルト206の上部張架面に沿って並ぶように配設されている。トナーボトル90Y,C,M,Kに収容されているY,C,M,Kトナーは、それぞれ図示しないY,C,M,K用のトナー補給装置の駆動によって現像装置103Y,C,M,Kに補給される。そして、トナーボトル90Y,C,M,Kは、画像形成装置本体に対してそれぞれ個別に着脱可能になっており、内部のトナーが無くなった時点で新たなものと交換される。
ベルト下部張架面に沿って並んでいる4つの画像形成ユニットの下方には、光書込ユニット290が設けられている。この光書込ユニット290は、画像情報に基づいて、光書込ユニット290の内部に設けられている図示しない半導体レーザーを駆動してY,C,M,K用の書込光Lbを出射する。そして、それら書込光Lbにより、潜像担持体たる感光体101Y,C,M,Kを光走査して、図中反時計回り方向に回転駆動する感光体101Y,C,M,Kの周面に静電潜像を書き込む。なお、書込光Lbの出射は、レーザーに限るものではなく、例えばLED(light emitting diode)であってもよい。
次に、K用の画像形成ユニットを例にして画像形成ユニットの構成を説明する。他色(Y,C,M)用の画像形成ユニットは、使用するトナーの色が異なる点の他は同様の構成であるので説明を省略する。
図2は、K用の画像形成ユニットを示す拡大構成図である。K用の画像形成ユニットを構成する各種の部材や機器を示す符号の末尾には、Kという添字を付すべきであるが、同図では便宜上、かかる添字の付記を省略している。K用の画像形成ユニットにおいては、ドラム状の感光体101の周囲に、感光体101を一様帯電させる帯電装置102、現像装置103、ドラムクリーニング装置120などが配設されている。
帯電装置102は、図示しない電源によって帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体101に接触させる接触帯電方式のものであり、帯電ローラと感光体101との間に放電を生じせしめることで感光体101の周面を一様帯電させる。帯電ローラを採用した接触帯電方式の代わりに、帯電ブラシを採用した接触放電方式や、スコロトロンチャージャーを採用した非接触帯電方式を採用してもよい。
現像装置103は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を撹拌する攪拌部104と、後述の現像スリーブを収容している現像部105とをケーシング内に有している。攪拌部104では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が攪拌されながら搬送される。より詳しくは、攪拌部104には、第1スクリュウ部材106と第2スクリュウ部材107とが平行配設されており、両スクリュウの間には仕切板が設けられている。この仕切板により、両スクリュウを収容する空間が個別に仕切られているが、仕切板におけるスクリュウ軸線方向の両端部にはそれぞれ開口が形成されている。これにより、両空間はそれぞれスクリュウ軸線方向の両端部で連通している。以下、第1スクリュウ部材106が収容されている空間を第1撹拌室、第2スクリュウ部材107が収容されている空間を第2撹拌室という。
第2スクリュウ部材107は、現像部105の下方に位置しており、自らの周面の上端側を、現像部105内に収容されている現像スリーブ109の下端側に対面させている。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動されながら、第2撹拌室内の現像剤を図紙面に直交する方向の奥側から手前側へと搬送する過程で後述の現像スリーブ109に供給したり、現像スリーブ109から使用済みの現像剤を受け取ったりする。第2スクリュウ部材107によって図中の手前側端部まで搬送された現像剤は、仕切板の開口を通って第1撹拌室に進入する。
第1スクリュウ部材106は、図示しない駆動手段によって回転駆動されながら、第1撹拌室内の現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送する。第1撹拌室の底壁には、トナー濃度センサー(以下、Tセンサーという)108が固定されており、第1スクリュウ部材106によって搬送される現像剤のトナー濃度を検知する。この検知結果は、トナー濃度信号として図示しない制御部に送られる。制御部は、トナー濃度信号に基づいて、図示しないK用のトナー補給装置を適宜駆動することで、第1撹拌室内に適量のトナーを補給させる。これにより、現像部105での現像に伴ってトナー濃度を低下させた現像剤のトナー濃度が回復する。第1スクリュウ部材106によって図中の奥側端部まで搬送された現像剤は、仕切板に設けられたもう一方の開口を通って、第2撹拌室内に進入する。このようにして、現像装置103内の現像剤は、第1撹拌室→第2撹拌室→現像部→第2撹拌室→第1撹拌室という経路で循環搬送される。そして、第1撹拌室内においてトナー濃度が調整される。
現像部105には、図示しない駆動手段によって回転駆動される筒状の現像スリーブ109が配設されており、この現像スリーブ109は現像装置103のケーシングに設けられた開口から自らの周面の一部をケーシング外に露出させている。そして、その露出箇所を、所定のギャップを介して感光体101に対向させている。また、現像スリーブ109は、その中空内に図示しないマグネットローラを内包している。このマグネットローラは、現像スリーブ109に連れ回らないように回転不能に固定されている。
上述した第2撹拌室内において第2スクリュウ部材107によって搬送される現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ109の表面に引き寄せられて、スリーブ表面に汲み上げられる。そして、スリーブの回転に伴って、スリーブと規制ブレード110との間のギャップを通過する際にスリーブ上の層厚が規制された後、感光体110に対向する現像領域に搬送される。
非磁性材料からなる現像スリーブ109の内側には、図示しない現像電極が配設されており、これには現像バイアスが印加されている。そして、現像領域では、感光体101の静電潜像と、現像スリーブ109との間に現像電界が形成される。現像領域に搬送された現像剤は、マグネットローラの図示しない現像磁極の発する磁力によって穂立ちして磁気ブラシを形成し、そのブラシ先端を感光体101に摺擦させる。そして、磁気ブラシ中のトナーは、前述の現像電界の作用によって磁性キャリアから離脱して感光体101の静電潜像に転移する。この転移により、感光体101上の静電潜像が可視像としてのトナー像に現像される。
現像スリーブ109の回転に伴って現像領域を通過した現像剤は、第2撹拌室との対向位置まで来ると、マグネットローラの図示しない2つの同極磁極によって形成される反発磁界の作用により、スリーブ表面から離脱して第2撹拌室に落下する。
これにより、現像剤中のトナーは、感光体101上の静電潜像部分に転移し、感光体101上の静電潜像は可視像化され、トナー像が形成される。現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ109から離れ、攪拌部104に戻される。
なお、2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用した現像装置103について説明したが、磁性キャリアを含まない1成分現像剤(トナー)を用いる1成分現像方式の現像装置を採用していもよい。
感光体101の周面に形成されたトナー像は、感光体101の図中時計回り方向の回転に伴って、感光体101と中間転写ベルト206との当接による1次転写ニップに進入して、中間転写ベルト206のおもて面に1次転写される。1次転写ニップを通過した感光体101表面は、ドラムクリーニング装置120との対向位置に進入する。
ドラムクリーニング装置120は、例えばポリウレタンゴム等からなるクリーニングブレード121を有しており、これの先端を感光体101に押し当てている。上述の1次転写ニップを通過した感光体101の表面には、中間転写ベルト206に転写されなかった若干量の転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニングブレード121によって感光体101表面から掻き取られて、ドラムクリーニング装置120内に回収される。
ドラムクリーニング装置120は、クリーニングブレード121との接触位置に進入する直前の感光体101の表面に当接しながら回転する導電性のファーブラシ122を備えており、このファーブラシ122によっても転写残トナーを除去する。
クリーニングブレード121やファーブラシ122によって感光体101から除去されたトナーは、ドラムクリーニング装置120の内部に収容され、排出スクリュウ123によって装置外に排出される。そして、排出されたトナーは、図示しない廃トナーボトル内に回収される。
先に示した図1において、帯電装置(図2の102)によって感光体101Kの表面は例えば−700[V]に一様帯電され、光書込ユニット290によってレーザー光が照射された静電潜像部分の電位は、例えば−120[V]となる。これに対して、現像スリーブ(図2の109)に印加される現像バイアスの電圧は例えば−470[V]であり、これによって350[V]の現像ポテンシャルが発生する。このような作像条件は電位ポテンシャル制御の結果によって適時変更される。
転写ユニット200の1次転写ローラ204Y,C,M,Kは、中間転写ベルト206におけるY,C,M,K用の1次転写ニップの裏側に当接している。このようにベルト裏面に当接する1次転写ローラ204Yには、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,C,M,K用の1次転写ニップには、感光体101Y,C,M,K上のトナー像を感光体表面からベルト側に向けて静電移動させる1次転写電界が形成される。本プリンタでは、1次転写電界を形成する手段として、1次転写ローラ204Y,C,M,Kを採用したが、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどを採用してもよい。
中間転写ベルト206は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過する。そして、そのおもて面にY,C,M,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。これにより、K用の1次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト206のおもて面には、Y,C,M,Kトナー像の重ね合わせによる重ね合わせトナー像が形成されている。
中間転写ベルト206のループ外側に配設された2次転写ローラ208は、ループ内側に配設された駆動ローラ201との間にベルトを挟み込むようにして、ベルトのおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップの周囲においては、駆動ローラ201が接地されているのに対し、2次転写ローラ208にトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されている。これにより、2次転写ニップには、トナーをベルトおもて面側から、第2転写手段たる2次転写ローラ208側に静電移動させる2次転写電界が形成される。
本プリンタは、図示しない給紙カセットを備えており、その内部には複数の記録紙が厚み方向に重ね合わされた紙束の状態で収容されている。給紙カセットは、所定のタイミングで紙束の一番上の記録紙を給紙路に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、給紙路の末端付近に配設されているレジストローラ対250のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対250は、自らの2つのローラを回転駆動させながら記録紙Pの先端部を両ローラ間に挟み込むが、その直後に両ローラの回転駆動を停止させる。そして、2次転写ニップで記録紙Pを中間転写ベルト206上の重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、両ローラの回転駆動を再開する。2次転写ニップに挟み込まれた記録紙Pに対しては、上述の2次転写電界の作用によって中間転写ベルト206上の重ね合わせトナー像が一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。なお、転写ユニット200において、2次転写電界を形成する手段として、2次転写ローラ208に代えて、転写チャージャを用いてもよい。
2次転写ニップの上方には、定着装置260が配設されている。この定着装置260は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ261と、加圧ローラ262とを互いに当接させて定着ニップを形成している。そして、両ローラを定着ニップで互いに同方向に表面移動させるように回転駆動する。2次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置260に進入した後、定着ニップに挟み込まれる。そして、ニップ圧や加熱によってフルカラー画像が定着せしめられる。
中間転写ベルト206の周方向における全領域のうち、クリーニングバックアップローラ202に対する掛け回し箇所には、ベルトクリーニング装置207の片持ち支持されるクリーニングブレード210のエッジが当接している。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト206の表面に付着している転写残トナーや後述する階調パターン像は、クリーニングブレード210によってベルト表面から除去される。
本プリンタを用いてプリントを行う場合、まず、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)のプリンタドライバにより、本プリンタに画像情報を送信する。本プリンタは、その画像情報を制御部及び画像処理部に送る。
画像情報を受けた制御部は、図示しない各種の駆動モータを駆動させて、中間転写ベルト206を無端移動させる。また、これと同時に、各画像形成ユニットの感光体101Y,C,M,Kも回転駆動する。また、画像処理部は、画像情報に基づいて生成した光書込信号を光書込ユニット290に送る。光書込ユニットは、光書込信号に基づいてY,C,M,K用の書込光Lbをそれぞれ生成して、感光体101Y,C,M,K上を光走査する。これにより、各感光体101Y,C,M,Kに、Y,C,M,K用の静電潜像が形成され、現像装置103Y,C,M,Kによって可視像化される。このようにして、感光体101Y,C,M,Kには、Y,C,M,Kトナー像が形成される。これらY,C,M,Kトナー像は、Y,C,M,K用の1次転写ニップで中間転写ベルト206に重ね合わせて1次転写されて重ね合わせトナー像になる。
一方、図示しない給紙カセットでは、給紙ローラの回転駆動によって記録紙Pが送り出される。送り出された記録紙Pは、図示しない分離ローラで1枚に分離されて給紙路に入り込まれた後、レジストローラ対250に挟み込まれる。なお、図示しない給紙カセットにセットされていない記録紙Pを使用する場合、図示しない手差しトレイにセットされた記録紙Pを図示しない給紙ローラによって送り出し、図示しない分離ローラで1枚に分離した後、レジストローラ対250に送り込む。
レジストローラ対250は、中間転写ベルト206上に形成された重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。なお、レジストローラ対250については、一般的には接地して使用することが多いが、記録紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加するようにしてもよい。
レジストローラ対250によって送り出されて2次転写ニップに挟み込まれた記録紙Pには、中間転写ベルト206上の重ね合わせトナー像が一括2次転写される。その後、記録紙Pは、定着装置260を経由した後、機外へと排出される。なお、定着装置260によって一方の面にトナー像が定着された記録紙Pの他面にも画像を形成する場合には、まず、定着装置260を通過した記録紙Pを図示しないスイッチバック装置によって裏表反転せしめながらレジストローラ対250に再送する。
図3は、転写手段たる転写ユニットを示す斜視図である。中間転写ベルト206の周方向における全域のうち、駆動ローラ201に対する掛け回し箇所には、第1反射型光学センサー130、第2反射型光学センサー136、及び第3反射型光学センサー137がそれぞれ、所定の間隙を介して対向している。第1反射型光学センサー130は、前記掛け回し箇所におけるベルト幅方向の中央部に対向するように配設されている。また、第2反射型光学センサー136は、前記掛け回し箇所におけるベルト幅方向の一端部に対向するように配設されている。また、第3反射型光学センサー137は、前記掛け回し箇所におけるベルト幅方向の他端部に対向するように配設されている。
図4は、第1反射型光学センサー130を示す拡大構成図である。同図において、第1反射型光学センサー130は、発光素子としてのLED131、正反射型受光素子132、拡散反射型受光素子133、集光レンズ134、ケーシング135等を有している。なお、発光素子として、LEDに代えてレーザー発光素子等を用いてもよい。また、正反射型受光素子111、拡散反射型受光素子112としては、何れもフォトトランジスタを用いているが、フォトダイオードや増幅回路等からなるものを用いてもよい。
LED110から発せられた赤外光は、集光レンズ113を透過した後、中間転写ベルト206に形成されたテスト用トナー像に到達する。そして、赤外光の一部は、テスト用トナー像の表面で正反射して正反射光になった後、集光レンズ113を再透過して正反射型受光素子111に受光される。正反射型受光素子111は、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値は、図示しないA/Dコンバーターによってデジタルデータに変換された後、後述する制御部に入力される。また、赤外光の他の一部は、テスト用トナー像の表面で拡散反射して拡散反射光となった後、集光レンズ113を再透過して拡散反射型受光素子112に受光される。拡散反射型受光素子112は、受光量に応じた電圧を出力する。この出力値は、図示しないA/Dコンバーターによってデジタルデータに変換された後、後述する制御部に入力される。
なお、正反射型受光素子111については、専用の図示しない筒部材の内部に配設してLED131や拡散反射型受光素子112から独立させており、その筒部材の開口を、上述した正反射光を受け入れる方向に向けている。また、拡散反射型受光素子112については、専用の図示しない筒部材の内部に配設してLED131や正反射型受光素子111から独立させており、その筒部材の開口を、上述した拡散反射光を受け入れる方向に向けている。こうすることで、正反射光や拡散反射光の受光指向性を高めている。
第1反射型光学センサー130について説明したが、第2反射型光学センサー136や第3反射型光学センサー137も、第1反射型光学センサー130とほぼ同様の構成になっている。但し、第2反射型光学センサー136や第3反射型光学センサー137は、正反射型受光素子と拡散反射型受光素子とのうち、正反射型受光素子しか具備していない点が、それぞれ第1反射型光学センサー130と異なっている。
図5は、実施形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、更新手段や作像条件調整手段として機能する制御部500は、CPU(Central Processing Unit)500aを有している。また、制御プログラムや各種データを記憶したROM(Read Only Memory)500b、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)500cなども有している。この制御部500には、各種の周辺機器との間における信号送受の中継を行うI/Oユニット510を介して、各種の周辺機器に接続されているが、同図においては、それらのうち、主要なものだけを示している。画像情報取得手段としての入力ポート520は、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報を取得するものである。また、光書込制御部505は、入力ポート520によって取得された画像情報に基づいて、光書込ユニット290の駆動を制御するものである。また、トナー補給装置270は、Y,M,C,K用のトナーボトル(90Y,C,M,K)内のY,M,C,KトナーをY,M,C,K用の現像装置(103Y,C,M,K)に個別に補給するものである。また、Y,C,M,K用のTセンサー(108Y,C,M,K)は、Y,C,M,K用の現像装置(103Y,C,M,K)内の現像剤のトナー濃度を測定するものである。また、トナー補給制御回路506は、Y,M,C,K用のトナー濃度センサー108Y,M,C,Kによるトナー濃度の検知結果に基づいて、トナー補給装置270の駆動を制御するものである。また、各種電源回路507は、上述した各色用の1次転写バイアス、2次転写バイアス、各色の現像装置の現像スリーブに印加するための現像バイアスなどを出力するものである。また、第1A/Dコンバーター501は、第1反射型光学センサー130からの出力電圧値をデジタルデータに変換するものである。また、第2A/Dコンバーター502は、後述する第2反射型光学センサー136からの出力電圧値をデジタルデータに変換するものである。また、第3A/Dコンバーター503は、後述する第3反射型光学センサー137からの出力電圧値をデジタルデータに変換するものである。また、ベルト駆動モータ505は、駆動ローラ(201)や中間転写ベルト(206)の駆動源となるモータである。また、操作表示部506は、画像を表示するディスプレイや、操作者からの入力情報を受け付けるための各種キーなどを具備するものである。また、入力ポート520は、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報を受信するものである。
光書込制御回路505は制御部500からI/Oユニット510を介して入力される制御信号に基づいて光書込ユニット290の駆動を制御する。また、各種電源回路507は制御部500からI/Oユニット510を介して入力される制御信号に基づいて、各種電源回路からのバイアスの出力値を制御する。
I/Oユニット510に接続された従動エンコーダー507は、先に図1に示した2次転写入口ローラ205の回転角速度を検知するように、転写ユニット200に取り付けられている。2次転写入口ローラ205は、中間転写ベルト206の無端移動に伴って従動回転する従動ローラであり、その回転角速度はベルトの移動速度を反映している。即ち、従動エンコーダー507は、中間転写ベルト206の移動速度を検知する速度検知手段として機能している。制御部500は、従動エンコーター507からの出力信号に基づいて、中間転写ベルト206の移動速度を把握することができる。
制御部500は、以下のような作像条件調整処理を、所定時間経過毎や所定枚数プリント毎などの所定のタイミングで実施するように構成されている。即ち、まず、中間転写ベルト(206)上に階調パターン像を形成する。この階調パターン像は、図6に示すように、Y階調パターン部Py、C階調パターン部Pc、M階調パターン部Pm、及びK階調パターン部Pkを具備している。そして、Y階調パターン部Pyは、単位面積あたりのトナー付着量が互いに異なる5つのパッチ状のYテスト用トナー像を具備している。他の色の階調パターン部(Pc、Pm、Pk)も同様にそれぞれ、互いにトナー付着量の異なるパッチ状のテスト用トナー像を5つずつ具備している。これら階調パターン部を有する階調パターン像は、図示のように、中間転写ベルト206におけるベルト幅方向の中央部に形成され、各テスト用トナー像をベルト周方向に所定の間隔で並べている。これらのテスト用トナー像は、中間転写ベルト206の無端移動に伴って、第1反射型光学センサー130との対向領域を順次通過する。
各色の階調パターン部のうち、Y階調パターン部Pyを例にすると、これは、段階的にトナー付着量が徐々に増えていく5つのYテスト用トナー像からなる。これらYテスト用トナー像に対する単位面積あたりのYトナー付着量(画像濃度)は、第1反射型光学センサー130によって検知される。それらの検知結果は、Y用の転写後電圧VpYi(i=1〜5)として、制御部500のRAM500bに記憶される。転写後電圧VpYiは、中間転写ベルト206における転写後反射量を表しており、その転写後反射量はテスト用トナー像に対するトナー付着量と相関する。つまり、Y用の転写後電圧VpY1,VpY2,VpY3,VpY4,VpY5は、1,2,3,4,5番目のYテスト用トナー像に対するYトナー付着量を示している。制御部500は、それら転写後電圧VpYiなどに基づいて、個々のYテスト用トナー像に対するYトナー付着量を算出する。そして、算出結果に基づいて、目標のYトナー付着量を実現することができるように、Y用の作像条件を調整する。作像条件を調整する方法としては、特開平9−211911号公報に記載されているように、感光体一様帯電電位や現像バイアスを調整する方法が挙げられる。また、現像剤のトナー濃度を調整してもよい。Yトナー付着量だけについて説明したが、他色のトナー付着量についても同様にして算出され、それらの算出結果に基づいて他色用の作像条件が調整されて、各色の画像濃度の安定化が図られる。
このようにして各色の画像濃度の安定化を図ると、制御部500は、次に、中間転写ベルト206における幅方向の両端部にそれぞれ、図7に示すようなレジストスキュー検知用のパッチパターンを形成する。これらパッチパターンは、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ8つのテスト用トナー像を具備している。それらは、第1Yテスト用トナー像、第1Cテスト用トナー像、第1Mテスト用トナー像、第1Kテスト用トナー像、第2Yテスト用トナー像、第2Cテスト用トナー像、第2Mテスト用トナー像、第2Kテスト用トナー像という順で形成される。ベルト幅方向の一端部に形成される第1Yテスト用トナー像と、ベルト幅方向の他端部に形成される第1Yテスト用トナー像とは、互いにベルト幅方向に一直線上に並ぶ条件で形成される。他の7つのテスト用トナー像も同様である。
ベルト幅方向の一端部に形成されたパッチパターン内の各テスト用トナー像は、第2反射型光学センサー136によって検知される。また、ベルト幅方向の他端部に形成されたパッチパターン内の各テスト用トナー像は、第3反射型光学センサー137によって検知される。一端部と他端部とで、テスト用トナー像がベルト幅方向に沿って一直線上の位置で並んでいれば、それぞれは同じタイミングで反射型光学センサーによって検知される。しかし、ベルト周方向に僅かにずれて形成されると、それらテスト用トナー像の検知タイミングがずれる。制御部500は、このずれに基づいて、画像の傾きを検出する。
また、同じパッチパターン内において、第1Yテスト用トナー像、第1Cテスト用トナー像、第1Mテスト用トナー像、及び第1Kテスト用トナー像がそれぞれ位置ずれなく形成されていれば、これら4つのテスト用トナー像を等しい時間間隔で反射型光学センサーに検知される。第2Yテスト用トナー像、第2Cテスト用トナー像、第2Mテスト用トナー像、及び第2Kテスト用トナー像も同様である。しかし、各色間でテスト用トナー像の位置が相対的にずれていると、検知の時間間隔が等間隔でなくなる。制御部500は、その時間間隔に基づいて、各色間におけるトナー像の位置ずれ量を把握する。
このようにして画像の傾きや位置ずれ量を把握すると、制御部500は、作像条件として、光書込ユニット209による各色感光体への光書込開始タイミングを調整したり、光学ミラーの傾きを調整したりして、各色のトナー像の位置ずれや画像の傾きスキューを抑える。
なお、図6に示した階調パターン像における各色の階調パターン部Py,Pc,Pm,Pkとしてそれぞれ、互いにトナー付着量の異なる5つのテスト用トナー像を具備するものを示したが、互いにトナー付着量の異なる6つ以上のテスト用トナー像を具備する階調パターン部を形成してもよい。
各色の階調パターン部における個々のテスト用トナー像上で反射して得られる転写後反射光量(転写後電圧Vpi)を第1反射型光学センサー130によって検知してそれぞれのテスト用トナー像に対するトナー付着量を求めるためには、それに先立って、第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regや、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difを測定しておく必要がある。第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regは、テスト用トナー像が転写されるベルト領域におけるトナー像転写前の状態での正反射光量を検知している第1反射型光学センサー130の正反射型受光素子(111)からの出力電圧値である。また、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difは、同状態での拡散反射光量を検知している第1反射型光学センサー130の拡散反射型受光素子(112)からの出力電圧値である。第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regは、Kテストトナー像におけるKトナー付着量を求める際に利用される。また、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difは、Y,M,Cテストトナー像におけるY,M,Cトナー付着量を求める際に利用される。
図8は、中間転写ベルト206の周方向における位置と第1転写前正反射出力電圧Vsg_regとの関係を示すグラフである。中間転写ベルト206における地肌部の反射光量は、理論的にはベルト周方向の位置にかかわらず一定である。しかし、実際には、ベルト周方向の位置の違いにより、第1転写前正反射出力電圧Vsg_regの値が大きく異なってくる。これは、中間転写ベルト206に局所的な汚れや傷があるためである。このため、上述したK階調パターン部Pkについての転写後電圧VpKiは、第1転写前正反射出力電圧Vsg_regの変動の影響を受ける。例えば、5つのKテスト用トナー像からなるK階調パターン部Pkをベルト移動方向に複数並べて形成して転写後電圧VpKiを測定した場合、図9に示すようなグラフが得られるが、そのグラフにおける赤丸で囲った箇所は、図8における赤丸で囲った箇所の変動の影響を受けているため、その値はKトナー付着量を正確に反映していない。そこで、トナー付着量については、例えば、転写後電圧VpKiと第1転写前正反射出力電圧Vsg_regとの差分に基づいて把握するのである。そうすることで、例えば、図10に示すように、第1転写前正反射出力電圧Vsg_regの変動の影響を受けない正確なKトナー付着量を把握することができるのである。なお、Kトナー付着量を、転写後電圧VpKiと第1転写前正反射出力電圧Vsg_regとの差分に基づく代わりに、両者の比によって把握してもよい。また、Kトナー付着量について説明したが、Y,M,Cトナー付着量についても、同様にして、転写後電圧VpYi、VpMi、VpCiと第1転写前拡散反射出力電圧Vsg_regとの差分や比に基づいて把握する必要がある。
また、第2反射型光学センサー136や第3反射型光学センサー137については、ベルト地肌部の汚れや傷に起因する地肌部の正反射光量の増加により、テスト用トナー像を検知できなくなるおそれがある。具体的には、例えば、図11は、ベルト上のパッチパターンを検知している第2反射型光学センサー136からの出力電圧と、ベルトの周方向における位置との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、丸印で囲った箇所は、それぞれテストトナー像の検知タイミングに対応する箇所である。このため、赤丸で囲った箇所では、本来であれば、図12に示すように、出力電圧が大きく減少しなければならないにもかかわらず、地肌部に傷や汚れがあると、図11に示すように、十分に減少しないことから、テストトナー像として検知されなくなるおそれがある。そこで、テストトナー像の検知については、テストパターン検知中の出力電圧と、第1転写前正反射出力電圧Vsg_regとの差分に基づいて把握する必要がある。なお、第2反射型光学センサー136の正反射型受光素子から出力される転写前正反射出力電圧の値は、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_regとして記憶される。また、第3反射型光学センサー137の正反射型受光素子から出力される転写前正反射出力電圧の値は、第3転写前正反射出力電圧Vsg3_regとして記憶される。
従来の画像形成装置においては、中間転写ベルト206に階調パターン像やパッチパターンを形成するのに先立って、中間転写ベルト206を1周させて1周分の転写前正反射出力電圧Vsg_regや転写前拡散反射出力電圧Vsg_difをサンプリング及び更新して、トナー付着量の算出に用いたり、テストトナー像の検出に用いたりしていた。そして、中間転写ベルト206をそのように1周させることで、ユーザーの待ち時間を長くしていた。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図1において、中間転写ベルト206としては、その裏面における周方向の特定位置にホームポジションマーク(目印)が付されたものを用いている。中間転写ベルト206のループ内側には、反射型フォトセンサーからなる目印検知センサー138がベルト裏面に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。中間転写ベルト206の裏面に付されたホームポジションマークは、中間転写ベルト206の無端移動に伴って目印検知センサー138との対向位置を通過する際に、目印検知センサー138によって検知される。このようにホームポジションマークをセンサーに検知させるベルト無端移動位置が、中間転写ベルト206のホームポジションである。目印検知センサー138から出力される目印検知信号は、先に図5に示したように、光書込制御回路505や更新記憶処理回路519に入力される。更新記憶処理回路519は、演算回路519aと、情報記憶手段たるフラッシュメモリー519bとを有している。
更新記憶処理回路519の演算回路519aは、中間転写ベルト206がホームポジションの姿勢をとったときに目印検知センサー138から送られてくる目印検知信号の受信タイミングと、ベルト移動速度と、前記受信タイミングからの経過時間とに基づいて、中間転写ベルト206について、周方向におけるどの領域を反射型光学センサーとの対向位置に進入させているのかを逐次把握することができる。また、第1反射型光学センサー130、第2反射型光学センサー136、第3反射型光学センサー137のそれぞれについて、フラッシュメモリー519bに記憶されている転写前正反射出力電圧Vsg_regや、転写前拡散反射出力電圧Vsg_difのデータを、新たにサンプリングした値に更新する更新処理を、通常のプリントジョブ中に実施する。通常のプリントジョブとは、外部のパーソナルコンピューター等から送られてきた画像情報に基づいて、中間転写ベルト206や各感光体などの各機器の駆動を開始してから、画像のプリントを終えて、各機器の駆動を停止するまでの動作である。
光書込制御回路505や更新記憶処理回路519は、中間転写ベルト206を周方向に100[μm]の間隔で区切った複数の区画を区別して認識するようになっている。具体的には、中間転写ベルト206がホームポジションの姿勢にあるときに、3つの反射型フォトセンサーに対向している100[μm]の長さのベルト領域を最終区画として認識する。また、この最終区画に対してベルト移動方向下流側で隣設している100[μm]の区画を第0001区画として認識する。以降、下流側に向けて、100[μm]のピッチで、第0002区画、第0003区画・・・と順次認識する。転写前正反射出力電圧Vsg_regや転写前拡散反射出力電圧Vsg_difについては、区画毎に分けて測定する。具体的には、更新記憶処理回路519の演算回路519aは、データを一時的に記憶する一時記憶回路を具備している。そして、画像形成動作中には、0.1[msec]間隔で各種の転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射出力電圧をサンプリングして一時記憶回路の仮記憶する。仮記憶とするのは、サンプリング対象になった領域が、トナー付着のない地肌部ではなく、トナー付着のある画像部である可能性があるからである。この場合、サンプリング結果を転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射出力電圧として採用することはできないため、後に更新対向から外すことになるが、とりあえずは、地肌部であるか画像部であるかにかかわらず、サンプリング結果を区画名に対応させて一時記憶回路に仮記憶していくのである。
第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regを例にすると、目印検知センサー138から目印検知信号が送られてきたタイミング(以下、HPタイミングという)から、0.1、0.2、0.3、0.4[msec]後にそれぞれ得られるサンプリング結果は、それぞれ第0001区画に対応するものである。そこで、
・Vsg1_reg0001−1
・Vsg1_reg0001−2
・Vsg1_reg0001−3
・Vsg1_reg0001−4
として一時記憶回路に順次記憶した後、それら4つの値を一時記憶回路から削除しつつ、それら4つの値の平均値を、
・Vsg1_reg0001
として仮記憶し直す。
また、HPタイミングから、0.5、0.6、0.7、0.8[msec]後にそれぞれ得られるサンプリング結果は、それぞれ第0002区画に対応するものである。そこで、
・Vsg1_reg0002−1
・Vsg1_reg0002−2
・Vsg1_reg0002−3
・Vsg1_reg0002−4
として一時記憶回路に順次記憶した後、それら4つの値を一時記憶回路から削除しつつ、それら4つの値の平均値を、
・Vsg1_reg0002
として仮記憶し直す。
同様にして、第0003区画から最終区画までの第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regのサンプリング結果を仮記憶していく。
第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regのサンプリング結果の仮記憶について説明したが、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_dif、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_reg、第3転写前正反射出力電圧Vsg3_regについても、同様にして、0.1[msec]間隔のサンプリングを行いながら、4つのサンプリング値の平均値を区画名に関連付けて仮記憶していく。
なお、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体や中間転写ベルト206のプロセス線速を250[mm/sec]に設定する標準プリントモードと、プロセス線速を150[mm/sec]に設定する高画質プリントモードとをユーザーの命令に応じて切り換えるようになっている。これまで説明してきたサンプリング結果の仮記憶は、標準プリントモードで実行されるものである。
高画質プリントモードの場合には、次のような仮記憶が行われる。即ち、例えば、HPタイミングから0.6[msec]後には、ベルトがホームポジションから90[μm]進んでいる。よって、HPタイミングから、1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6[msec]後にそれぞれ取得された6つのサンプリング結果は、何れも第0001区画に対応している。その後、0.7[msec]後〜1.3[msec]後までの期間に0.1[msec]間隔で取得される7つのサンプリング結果は、何れも第0002区画に対応している。第0001区画に対しては6つのサンプリング結果が対応しているのに対し、第0002に対しては7つのサンプリング結果が対応しているのである。第0001区画のような奇数番号の区画に対しては、6つのサンプリング結果が対応するのに対し、第0002区画のような偶数番号の区画に対しては、7つのサンプリング結果が対応する。そこで、更新記憶処理回路519は、奇数番号の区画については、6つのサンプリング結果を平均した結果を仮記憶する。また、偶数番号の区画については、7つのサンプリング結果を平均した結果を仮記憶する。
光書込制御回路505は、光書込中のドットについて、HPタイミングからの経過時間に基づいて、中間転写ベルト206におけるどの区画に転写されるものであるのかを特定することが可能である。更に、区画における第1被検領域、第2被検領域、あるいは第3被検領域に転写されるものであるのか否かを、主走査方向の書込位置に基づいて特定することも可能である。より詳しくは、例えば、中間転写ベルト206の第0001区画であっても、ベルト幅方向の位置の違いにより、反射光量の測定対象になる領域と、測定対象にならない領域とが存在する。第0001区画のうち、第1反射型光学センサー130に対向する領域だけが、第1転写前正反射光量Vsg1_regや第1転写前拡散反射光量Vsg_difの測定対象となる。このように、ベルト幅方向において、第1反射型光学センサー130による反射光量の測定対象となる領域が、第1被検領域である。また、第2反射型光学センサー136による反射光量の測定対象となる領域が第2被検領域である。また、第3反射型光学センサ−137による反射光量の測定対象となる領域が第3被検領域である。
光書込制御回路505は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、光書込を開始させると、開始時における1ライン目について、中間転写ベルト206におけるどの区画に転写されるものになるのかを、HPタイミングからの経過時間に基づいて把握する。そして、その区画における第1被検領域、第2被検領域、第3被検領域ついてそれぞれ、ドットフラグ情報と区画番号と被検領域番号とを組み合わせた区画内ドット情報を、更新記憶処理回路519に送信する。例えば、光書込を開始したときの1ライン目が、中間転写ベルト206の第0001区画に転写されるものであったとする。すると、光書込制御部505は、第0001区画第1被検領域について、Y,M,C,Kのどれか1色でも光書込したドットがあるか否かを判定する。そして、光書込したドットがある場合には、「0001-1-ON」という区画内ドット情報を更新記憶処理回路519に送信する。この区画内ドット情報における初めの4桁の数値は、中間転写ベルト206の区画番号を示している。第0001区画に関する区画内ドット情報であるので、「0001」という4桁の数字になっている。また、2つのハイフンに挟まれる1桁の数値は、被検領域の番号を示している。第1被検領域に関する区画内ドット情報であるので、「1」という1桁の数字になっている。また、末尾のアルファベットは、ドットフラグ情報を示している。光書込されたドットがある場合には「ON」というアルファベットになる。これに対し、光書込されたドットがない場合には「OFF」というアルファベットになる。なお、実施形態に係る複写機は、600[dpi]の解像度で画像を形成するので、1ドットの径は42.3[μm]である。よって、中間転写ベルト206における1つの区画には、ベルト移動方向において、約2.4個のドットを並べることが可能である。そこで、光書込制御回路505は、1ライン分の光書込結果だけでなく、互いに連続する3ライン分の光書込結果に基づいて、各区画の各被検領域について、光書込したドットがあるか否かを判定する。また、互いに連続する2つの区画に跨るドットがある場合には、光書込したドットありと判定する。このような処理を、光書込処理を終えるまで繰り返し行う。
更新記憶処理回路519が転写前正反射出力電圧Vsg_regや転写前拡散反射出力Vsg_difの仮記憶を開始してしばらくすると、光書込制御回路505が光書込を開始して、区画内ドット情報を更新記憶処理回路519に送信するようになる。更新記憶処理回路519は、区画内ドット情報を受信すると、それに対応する仮記憶データを特定する。例えば、区画内ドット情報の内容が「0013-1-ON」であったとする。すると、この区画内ドット情報は、中間転写ベルト206の第0013区画第1被検領域について光書込したドットがあることを示しているため、第0013区画第1被検領域は地肌部ではないことになる。そこで、更新記憶処理回路519は、仮記憶した複数の第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regのうち、第0013区画に対応するVsg1_reg0013のデータを、一時記憶回路から削除する。また、仮記憶した複数の第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difのうち、第0013区画に対応するVsg1_dif0013のデータを、一時記憶回路から削除する。
一方、例えば、区画内ドット情報の内容が「0013-1-OFF」であったとする。すると、この区画内ドット情報は、中間転写ベルト206の第0013区画第1被検領域について光書込したドットがないことを示しているため、第0013区画第1被検領域は地肌部であることになる。そこで、更新記憶処理回路519は、仮記憶した複数の第1転写前正反射出力電圧Vsg1_regのうち、第0013区画に対応するVsg1_reg0013のデータを、一時記憶回路から削除する。同時に、フラッシュメモリー519b内に記憶されているVsg1_reg0013の値を、仮記憶していた値に更新する。つまり、区画内ドット情報におけるドットフラグ情報が「ON」である場合には、対応する仮記憶データが、地肌部でないベルト領域からサンプリングされたものであるため、その仮記憶データを削除する。これに対し、ドットフラグ情報が「OFF」である場合には、対応する仮記憶データが、地肌部であるベルト領域からサンプリングされたものであるため、一時記憶回路から削除しつつ、フラッシュメモリー内の値を更新するのである。同様の処理を、第2被検領域や第3被検領域についても行う。
なお、画像形成動作が開始された後、初めに光書込制御回路290によって生成された区画内ドット情報に対応する区画よりも上流側の区画は、全て地肌部である。よって、更新記憶処理回路519は、初めに送られてきた区画内ドット情報の区画よりも上流側の区画については、全て仮記憶データを更新する。例えば、初めに送られてきた区画内ドット情報の内容が「0013-1-OFF」であったとする。この場合、第0013区画のデータよりも先行してサンプリングしたデータ(第00012区画、00011区画、00010区画・・・・に対応するデータ)については、全てフラッシュメモリー519b内の値を更新する。
図13は、更新記憶処理回路519の演算回路519aにおける第1演算部によって実施される仮記憶処理の処理フローを示すフローチャートである。第1回路は、画像形成動作が開始されると、従動エンコーター(507)からの出力信号に基づいて、中間転写ベルト206の速度について250[mm/sec]あるいは150[mm/sec]に安定するのを待機する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、安定化したら、次に、HPタイミングが到来するのを待機し(S2)、到来したら第1転写前正反射出力電圧Vsg1_reg、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_dif、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_reg、及び第3転写前正反射出力電圧Vsg3_regの仮記憶処理を開始する(S3)。その後、所定の限界値を超えるベルト速度変動を検知すると(S4でY)、その時点で仮記憶を中止した後(S5)、次のHPタイミングが到来すると(S2でY)、仮記憶処理を再開する(S3)。また、画像形成動作が終了した場合には(S6でY、S7でY)、仮記憶処理を終了する(S8)。
図14は、更新記憶処理回路519の演算回路519aにおける第2演算部によって実施される更新処理の処理フローを示すフローチャートである。第1演算部によって仮記憶処理が開始されると(S1でY)、第2演算部は、光書込制御回路から送られてくる区画内ドット情報の受信を待機する(S2)。そして、区画内ドット情報を受信すると、区画内ドット情報中のドットフラグ情報が「OFF」である場合だけ(S3でY)、フラッシュメモリー内のデータを仮記憶データと同じ値に更新する(S4)。その後、区画内ドット情報に対応する仮記憶データを削除する(S5)。このような処理を、仮記憶データがなくなるまで繰り返す(S6)。
以上の構成において、更新記憶処理回路519は、中間転写ベルト206の周方向における全域のうち、ドットが形成されている区画については、転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射電圧の更新を行わず、ドットが形成されていない区画についてのみ、転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射電圧の更新を行う。ドットが形成されていることから、更新を行わなかった区画であっても、その後、中間転写ベルト206が画像形成動作によって周回移動する過程で、やがてはドットが形成されていない区画になって、転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射出力電圧の更新を行うことが可能になる。このように、画像形成動作中に転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射出力電圧の更新を行っておくことで、連続画像形成動作中に作像条件調整処理の実施タイミングが到来したときには、連続画像形成動作を一時中断した後、ベルト1周分に渡る出力電圧の更新を行うことなく、作像条件調整処理を直ちに開始することが可能である。よって、作像条件調整処理を開始するのに先立って、中間転写ベルト206を1周に渡って移動させてフラッシュメモリー内のデータを更新することによるユーザーの待ち時間の長期化を回避することができる。
なお、工場出荷直後の状態では、フラッシュメモリー519b内に、各区画に対応する転写前正反射出力電圧や転写前拡散反射出力電圧のサンプリング値が全く記憶されていない。また、中間転写ベルト206が交換された場合、フラッシュメモリー519b内のデータは全て交換後のベルトに対応するものではなくなる。工場出荷後、初めに電源が投入されたときや、中間転写ベルト206の交換を検知したときには、ユーザーは直ちにプリントを実施しようとしていない可能性が高いことから、本プリンタは、このタイミングを利用して、ベルトを1周させて全てのデータをサンプリングしながらフラッシュメモリー519b内に記憶する新規記憶処理を実施するようになっている。
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した実施例のプリンタについて説明する。
実施例に係るプリンタの更新記憶処理回路519に搭載されている演算回路519aの第2演算部は、一時記憶回路に仮記憶している仮記憶データについて、ドットフラグ情報がONであるという条件に加えて、転写前拡散反射出力電圧が所定の閾値を超えているという条件(転写前拡散反射光量が所定の閾値を下回っているという条件)を具備したものだけ、それに対向するフラッシュメモリー内データを更新する処理を実施する。転写前拡散反射光量が所定の閾値以上である場合、それに対応する区画のクリーニング処理が何らかの原因によって適正になされずに、その区画にトナーが付着している可能性が高いからである。
なお、転写前拡散反射出力電圧を出力するのは、3つの反射型光学センサーのうち、第1反射型光学センサーだけであるが、残りの2つの反射型光学センサーについては、第1反射型光学センサーによる転写前拡散反射出力電圧のサンプリング結果を参考にして、サンプリング値の更新を行うか否かを決定する。例えば、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_reg0011は、第0011区画についての第2転写前正反射出力電圧であるが、これについては、同じ区画からサンプリングされた第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_dif0011に基づいて、更新するか否かを判断する。第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_dif0011が、所定の閾値を超えていない場合には、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_reg0011を、区画内ドット情報の内容にかかわらず、更新しないのである。これは、同じ区画であれば、第1被検領域に汚れがある場合、第2被検領域や第3被検領域にも汚れている可能性が高いからである。
かかる構成においては、フラッシュメモリー内のデータを、中間転写ベルト206のクリーニング不良に起因して汚れてしまっている地肌領域からサンププリングした値に更新してしまうことによるトナー付着量やトナー像位置の検出精度の悪化を回避することができる。
以上、実施例に係るプリンタにおいては、複数の反射型光学センサーの1つである第1反射型光学センサー130として、中間転写ベルト206表面上での正反射光量及び拡散反射光量のうち、少なくとも拡散反射光量を検知するものを用いている。そして、第1転写前拡散反射光量の検知結果が所定の閾値を超えた区画については、フラッシュメモリー内の第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difの更新を取り止める処理を実施するように、更新記憶処理回路519構成している。かかる構成においては、第1転写前拡散反射出力電圧Vsg1_difを、中間転写ベルト206のクリーニング不良に起因して汚れてしまっている地肌領域からサンププリングした値に更新してしまうことによるトナー付着量の検出精度の悪化を回避することができる。
また、実施例に係るプリンタにおいては、第1反射型光学センサー130とは別の第2反射型光学センサー136として、ベルト表面上での正反射光量及び拡散反射光量のうち、正反射光量だけを検知するものを用いている。そして、ベルトの全域のうち、画像情報に基づくトナー像を転写されていない状態で第2反射型光学センサー130との対向位置を通過する第2被検領域が、画像情報に基づくトナー像を転写されていない状態で第1反射型光学センサーとの対向位置を通過し且つ転写前反射光量を所定の閾値よりも大きくしてしまう第1被検領域、と同じ区画内に存在する場合(ベルト幅方向に沿って並んでいる場合)には、その第2被検領域について、第2転写前正反射出力電圧Vsg_regの更新を取り止める処理を実施するように、更新記憶処理回路519を構成している。かかる構成においては、第2転写前正反射出力電圧Vsg2_regを、中間転写ベルト206のクリーニング不良に起因して汚れてしまっている第2被検領域からサンププリングした値に更新してしまうことによるテストトナー像の検出精度の悪化を回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、工場出荷後に初めに電源が投入された際や、中間転写ベルト206が新品に交換された際には、更新処理の代わりに、新規記憶処理を実施するようになっている。かかる構成では、工場出荷後の初めの作像条件調整処理を実施するときや、ベルト交換後の初めの作像条件調整処理を実施するときから、ベルトを1周させてデータをサンプリングすることなく、作像条件調整処理を直ちに開始することができる。