JP5699287B2 - 触媒微粒子、カーボン担持触媒微粒子、触媒合剤、及び電極の各製造方法 - Google Patents

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本発明は、燃料電池等に使用された際に、特に高温条件下における運転時の性能劣化を抑制する触媒微粒子、カーボン担持触媒微粒子、触媒合剤及び電極の各製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、現在の最新技術の電極触媒に必要な量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現可能にするには依然として高価である。貴金属単価が触媒価格に与える影響は大きく、このため更なる貴金属の単位質量当たりの活性の向上が望まれる。
また、高電位環境下においては、白金イオンが溶出する一方、低電位環境下においては、白金イオンが析出する。したがって、高電位放電と低電位放電が交互に繰り返されると、白金粒子の凝集が起こる。このような白金粒子の凝集は、有効電極面積の低下を招き電池性能の低下の一因となる。
触媒活性と触媒耐久性との双方の向上を目的とした研究の1つとして、いわゆるコア−シェル構造を有する電極触媒の研究がある。特許文献1には、導電性担体に白金等の貴金属を含有した粒子を担持させた燃料電池用電極触媒であって、該貴金属含有粒子は、少なくとも白金等の貴金属を含むコア部とその外周に形成された白金酸化物等の貴金属酸化物のシェル部とのコア−シェル構造を有することを特徴とする、燃料電池用電極触媒が開示されている。
特開2005−100713号公報
上記特許文献1には、当該文献に開示された燃料電池用電極触媒をカソードに含む膜・電極接合体の発電性能の実験結果が記載されている(明細書の段落[0058]〜[0064]、図3)。しかし、特許文献1には、運転温度の変化に伴う発電性能の変化については、実施例を含め一切記載されていない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、燃料電池等に使用された際に、特に高温条件下における運転時の性能劣化を抑制する触媒微粒子、カーボン担持触媒微粒子、触媒合剤及び電極の各製造方法を提供することを目的とする。
本発明の触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、前記酸溶液は、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする。
本発明の触媒微粒子の製造方法において、前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸であることが好ましい。
本発明の触媒微粒子の製造方法において、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を1〜6時間接触させることが好ましい。
本発明の触媒微粒子の製造方法において、前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸であることがより好ましい。
本発明の触媒微粒子の製造方法においては、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に前記酸溶液を接触させる工程が、前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4〜2.0となる条件下で行われることが好ましい。
本発明の触媒合剤の第1の製造方法は、上記製造方法により製造された触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、電解質を準備する工程、前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする。
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子の製造方法であって、カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、前記酸溶液は、前記カーボン担体に担持されかつ前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする。
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法において、前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸であることが好ましい。
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法において、前記カーボン担体に担持されかつ前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を1〜6時間接触させることが好ましい。
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法において、前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸であることがより好ましい。
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法においては、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に前記酸溶液を接触させる工程が、前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4〜2.0となる条件下で行われることが好ましい。
本発明の触媒合剤の第2の製造方法は、上記製造方法により製造されたカーボン担持触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、電解質を準備する工程、前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記カーボン担持触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする。
本発明の電極の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子を含む電極触媒層、並びにガス拡散層を備える電極の製造方法であって、カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、ガス拡散シートを準備する工程、前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、前記ガス拡散シート上に、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子を含む電極触媒層を形成する工程、及び、少なくとも前記電極触媒層に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、前記酸溶液は、前記電極触媒層と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする。
本発明の電極の製造方法において、前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸であることが好ましい。
本発明の電極の製造方法において、少なくとも前記電極触媒層に、前記酸溶液を1〜6時間接触させることが好ましい。
本発明の電極の製造方法において、前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸であることがより好ましい。
本発明の電極の製造方法においては、前記電極触媒層に前記酸溶液を接触させる工程が、前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4〜2.0となる条件下で行われることが好ましい。
本発明によれば、白金被覆に欠陥のある触媒微粒子について、予め酸溶液処理によって欠陥のある触媒微粒子のみを溶出させ除去できるため、当該触媒微粒子を燃料電池の電極触媒に使用した際に、運転時にパラジウムが溶出するおそれがなく、燃料電池の性能低下を抑制することができる。
実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2の酸処理後のカーボン担持触媒微粒子について、触媒活性及びパラジウム溶出量をまとめたグラフである。 実施例8の膜・電極積層体の放電曲線を示したグラフである。 実施例8及び比較例4の膜・電極積層体の、RDE評価結果に基づく触媒活性を比較した棒グラフである。 実施例7及び実施例8の膜・電極積層体の放電曲線を重ねて示したグラフである。 実施例1、及び、実施例9−実施例13の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、洗浄に用いた硝酸の濃度と、パラジウム溶出量及び活性変化率との関係をまとめたグラフである。 実施例1、及び、実施例9−実施例13の酸洗浄後(15〜25℃)のカーボン担持触媒微粒子について、パラジウム溶出量に対する白金溶出量の比(溶出比率(Pt/Pd))と、活性変化率との関係を示したグラフである。 実施例1の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子、及び、原料として用いた酸未洗浄のカーボン担持触媒微粒子について、80℃の0.1M−HSOを用いたときのパラジウム溶出量及び白金溶出量を比較した棒グラフである。 比較例5及び比較例6の膜・電極積層体の、電流密度が0.2A/cmのときの電圧値を比較した棒グラフである。 比較例4の膜・電極積層体の放電曲線を示したグラフである。
1.触媒微粒子の製造方法
本発明の触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有することを特徴とする。
上述した特許文献1の請求項3及び4には、シェル部に白金酸化物を、コア部に白金よりも溶出しやすいパラジウムを使用した燃料電池用電極触媒が記載されている。本発明者らが検討した結果、この様にシェル部よりコア部が溶出しやすい触媒の場合には、コア部がシェル部により被覆されていない部分(以下、欠陥部と称する場合がある。)が存在すると、当該欠陥部からコア部を構成する成分が溶出することが明らかとなった。
本発明者らは、特許文献1に開示された触媒についてさらなる検討を行った結果、コア部に使用されたパラジウムの溶出量は、運転温度が上昇することにより増大することを見出した。例えば、80℃という高温条件下の運転によりパラジウムの溶出量が増大すると、触媒層中にパラジウムイオンが多く留まり、シェル部表面に再析出する。その結果、特許文献1に開示された触媒を使用した燃料電池を高温条件下で運転した場合、同じ燃料電池を低温条件下で運転した場合と比較して運転性能が低下するという課題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を、予め酸洗浄することにより、当該触媒微粒子を燃料電池に使用した際、プロトン抵抗の増大を抑制しつつ、温度上昇に伴う電圧低下を抑制できることを見出した。また、本発明者らは、当該触媒微粒子を含む電極触媒層を、予め酸洗浄することにより、当該電極触媒層を備える電極を燃料電池に使用した際、温度上昇に伴う電圧低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(1)パラジウム含有粒子を準備する工程、(2)酸溶液を準備する工程、(3)パラジウム含有粒子に白金を含む最外層を被覆する工程、及び、(4)最外層が被覆されたパラジウム含有粒子に酸溶液を接触させる工程を有する。本発明は、必ずしも上記4工程のみに限定されることはなく、上記4工程以外にも、例えば、後述するような乾燥工程、及び担持工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(4)並びにその他の工程について、順に説明する。
1−1.パラジウム含有粒子を準備する工程
パラジウム含有粒子は、予め合成したものを用いることもできるし、市販品を用いることもできる。なお、本発明でいうパラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
後述するように、最外層は白金を含む。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値であることから、白金−パラジウム間で格子不整合が生じず、白金によるパラジウムの被覆が十分に行われる。
パラジウム合金粒子に含まれるパラジウム以外の金属成分としては、イリジウム、ルテニウム、金、コバルト、ニッケル等が挙げられる。
パラジウム含有粒子の平均粒径は、後述する触媒微粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。なお、パラジウム含有粒子1つ当たりのコストに対する、パラジウム含有粒子の表面積の割合が高いという観点から、パラジウム含有粒子の平均粒径は、好ましくは4〜40nm、特に好ましくは5〜10nmである。
なお、本発明に使用される粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍のTEM(透過型電子顕微鏡)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
1−2.酸溶液を準備する工程
本発明に使用される酸溶液は、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液である。
一般的に、金属単体の溶解度は、当該金属単体のイオン化傾向、すなわち、当該金属単体の標準電極電位E(すなわち、25℃、且つpH=0の水溶液中の電極電位)により決まる。パラジウムの標準電極電位E Pdは+0.915V(vs SHE)であるのに対し、白金の標準電極電位E Ptは+1.188V(vs SHE)である。したがって、パラジウムのイオン化傾向は、白金のイオン化傾向よりも大きい。
ただし、上記標準電極電位Eによるイオン化傾向は、25℃、且つpH=0の水溶液中に限られる。また、酸処理の対象となるのは直径数nmの微粒子等であることから、実際には、温度や酸濃度等の処理条件によっては、前記電位にて、必ずしも白金よりもパラジウムを選択的に溶出できるとは限らない。
本工程において準備する酸溶液は、パラジウムを溶出できる十分な酸化力を持ち、且つ、白金溶出を最小限に留めることができる酸溶液である。具体的には、酸化還元電位がパラジウム溶出電位の0.915V(vs SHE)近傍の値であり、白金溶出電位の1.188V(vs SHE)未満であることが好ましい。
本工程において準備する酸溶液は、具体的には、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が挙げられる。
特に、パラジウムを溶解できるのに十分な酸化力を持つという観点から、硝酸が好ましい。なお、酸溶液の濃度、及びバブリングによる酸溶液内の雰囲気制御は、酸の種類ごとに適宜調節すればよい。
このように、酸溶液処理に用いられる酸溶液が、白金と比較してパラジウムを選択的に溶解する溶液であるため、後述する酸溶液処理において、白金を含む最外層を損なうことがない。
1−3.パラジウム含有粒子に白金を含む最外層を被覆する工程
パラジウム含有粒子に最外層を被覆する工程は、1段階の反応を経て行われてもよいし、多段階の反応を経て行われてもよい。
以下、2段階の反応を経て最外層が被覆される例について主に説明する。
2段階の反応を経る被覆工程としては、少なくとも、パラジウム含有粒子を単原子層によって被覆する工程、及び、当該単原子層を、白金を含む最外層に置換する工程を有する例が挙げられる。
本例の具体的な態様としては、アンダーポテンシャル析出法によって予めパラジウム含有粒子表面に単原子層を形成した後、当該単原子層を当該最外層に置換する方法が挙げられる。アンダーポテンシャル析出法としては、Cu−UPD法を用いることが好ましい。
特に、最外層に白金層を使用する場合には、Cu−UPD法によって、白金の被覆率が高く耐久性に優れる触媒微粒子を製造できる。
以下、Cu−UPD法の具体例について説明する。
まず、導電性炭素材料に担持されたパラジウム(以下、Pd/Cと総称する)粉末を水に分散させ、ろ過して得たPd/Cペーストを電気化学セルの作用極に塗工する。なお、Pd/Cペーストは、ナフィオン(商品名)等の電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。当該作用極としては、白金メッシュや、グラッシーカーボンを用いることができる。
次に、電気化学セルに銅溶液を加え、当該銅溶液中に上記作用極、参照極及び対極を浸し、Cu−UPD法により、パラジウム含有粒子の表面に銅の単原子層を析出させる。Cu−UPD法の具体的な条件の一例を下記に示す。
・銅溶液:0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.2〜0.01mV/秒
・電位:0.8V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで掃引した後、0.4V(vsRHE)で電位を固定する。
・電位固定時間:30分間
上記電位固定時間が終了した後、速やかに作用極を白金溶液に浸漬させ、イオン化傾向の違いを利用して銅と白金とを置換メッキする。置換メッキは、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。白金溶液は特に限定されないが、例えば、0.1mol/L HClO中にKPtClを溶解させた白金溶液が使用できる。白金溶液は十分に攪拌し、当該溶液中には窒素をバブリングさせる。置換メッキ時間は、90分以上確保することが好ましい。
上記置換メッキによって、パラジウム含有粒子表面に白金の単原子層が析出した触媒微粒子が得られる。
最外層は、白金のみからなる層であってもよいし、白金の他に他の金属を含んでいてもよい。他の金属としては、白金よりも標準還元電位が高い金等が挙げられる。
1−4.最外層が被覆されたパラジウム含有粒子に酸溶液を接触させる工程
酸溶液による洗浄時間については、最外層被覆後のパラジウム含有粒子表面の被覆の欠陥部の割合や、酸溶液の種類、濃度及び温度等の条件ごとに最適化できる。最適化方法としては、例えば、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode;以下、RDEと称する場合がある)法による評価を用いて、活性が向上する範囲、活性が維持される範囲、活性が低下する範囲等を確認する方法が挙げられる。酸溶液による洗浄時間は、例えば、30分〜2時間程度であるが、最適化の結果によっては、洗浄時間を延長/短縮してもよい。
最外層が被覆されたパラジウム含有粒子に酸溶液を接触させる方法は、特に限定されないが、十分に酸処理が進行するという観点から、当該パラジウム含有粒子を酸溶液中に浸漬させることが好ましい。
最外層が被覆されたパラジウム含有粒子に酸溶液を接触させる工程は、酸溶液によりパラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、酸溶液により最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4〜2.0となる条件下で行われることが好ましい。
従来の白金触媒を用いて公知の方法により作製された膜・電極接合体は、RDE評価で確認された白金触媒活性に対応する電圧を示す。これは、従来の白金触媒は、コア−シェル構造を有する触媒のようにコア部とシェル部が異なる材料からなるということがなく、コア部の溶出に起因するメリット及びデメリットが考えられないためである。
パラジウムをコア部に、白金をシェル部に用いたコア−シェル構造の触媒は、標準電極電位の差により、シェル部の白金よりもコア部のパラジウムの方が溶出しやすい。また、温度が高い程パラジウムの溶出量も多くなる。そのため、パラジウムコア−白金シェルの構造を有する従来の触媒を燃料電池に用いた場合、燃料電池の運転温度が上昇するにつれてパラジウム溶出量が増大するおそれがあった。また、溶出したパラジウムが触媒層中にパラジウムイオンとして滞留し、白金を含むシェル部の表面に最析出するため、反応に寄与できる白金表面積が減り、燃料電池の電圧低下が生じるおそれがあった。
本発明者らは、コア−シェル構造を有する触媒を所定の条件下で酸洗浄することにより、触媒微粒子中の、最外層により被覆されていないパラジウムを溶出させて中心粒子の粒径を酸洗浄前より小さくし、且つ、最外層により中心粒子を再度被覆して白金被覆率を向上させる効果、いわゆるセルフヒーリング効果が発現することを見出した。このセルフヒーリング効果により、触媒微粒子の初期活性(すなわち、燃料電池に使用される前の触媒微粒子の活性)の向上と、当該触媒微粒子を用いた燃料電池の電圧低下の抑制が達成される。
触媒微粒子を単に酸溶液と接触させるだけでは、白金被覆率の向上や、触媒活性の向上の効果が享受できないおそれがある。このようなデメリットは、特に弱酸性の溶液や濃度の低い酸溶液を用いた場合に、触媒微粒子中の欠陥部のパラジウムが溶出しないことにより生じる。また、後述する実施例において示すように、酸洗浄により触媒活性の低下が生じ、触媒が劣化するおそれもある。このようなデメリットは、特に強酸性の溶液を用いた場合に、欠陥部のパラジウム以外に最外層の白金をも溶出してしまうことにより生じる。
酸溶液によりパラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、酸溶液により最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4未満の場合には、中心粒子となるパラジウム含有粒子の溶出量が多すぎるため、欠陥のある触媒微粒子が溶出しすぎる結果、製造効率が低下するおそれがある。一方、比(M/M)が2.0を超える場合には、中心粒子の溶出量が少なすぎるため、欠陥のある触媒微粒子が十分量溶出せず、酸洗浄の効果が十分に享受できないおそれ、又は、最外層を溶出させすぎてしまい、触媒劣化が生じてしまうおそれがある。比(M/M)は、0.5〜1.5であることがより好ましい。
例えば、中心粒子がパラジウム粒子であり、最外層が白金層である場合には、酸溶液によりパラジウムが溶出する質量に対する、酸溶液により白金が溶出する比(以下、溶出比率(Pt/Pd)と称する場合がある。)が0.4〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
上記比(M/M)を0.4〜2.0とする方法としては、例えば、用いる酸溶液の濃度を調整する方法や、用いる酸溶液の種類を適宜選択する方法、酸溶液を2種類以上組み合わせてその配合比を調製する方法、酸溶液の温度を調節する方法、酸洗浄中の雰囲気を変える方法、酸洗浄の時間を調整する方法等が挙げられる。酸洗浄中の雰囲気を変える方法には、酸溶液中にバブリングする気体を変える方法、例えば、窒素を酸素に変える方法等も含まれる。また、酸洗浄の時間については、酸洗浄の初期はパラジウム含有粒子が比較的急速に溶け出しやすいが、酸洗浄時間の経過につれて、パラジウム含有粒子の溶出速度が徐々に落ちることを考慮に入れる。
上記方法の中でも、酸溶液を1種類用意して適宜希釈する簡便な方法であるという観点から、用いる酸溶液の濃度を調整して比(M/M)を0.4〜2.0とする方法が好ましい。後述する実施例において示すように、例えば、硝酸を酸洗浄に用いた場合、硝酸の濃度は、10−4〜2M(mol/L)であることが好ましく、10−3〜1M(mol/L)であることがより好ましく、10−2〜10−1M(mol/L)であることがさらに好ましい。
パラジウムの溶出電位は0.915V(vsSHE)、白金の溶出電位は1.188V(vsSHE)であることが知られている。ただし、これらの溶出電位の値は、これらの金属がバルクである場合の値である。燃料電池内に実際に用いられる触媒微粒子は数nm〜数十nmの粒子であるため、実際の溶出電位は上記溶出電位よりも低くなる。したがって、上記比(M/M)を0.4〜2.0とする場合も、公知の上記溶出電位の差から推測するより、実際の中心粒子の溶出量及び最外層の溶出量について予め検討することが好ましい。
このように、最外層に欠陥を有するため、触媒微粒子表面に露出したパラジウムを予め酸溶液により溶出させることにより、当該触媒微粒子を燃料電池に用いた際に、パラジウムイオンが燃料電池内に拡散することを抑制できる。その結果、高温運転時にも電圧低下が生じない燃料電池が得られる。
1−5.その他の工程
上記酸処理工程の後には、触媒微粒子の乾燥が行われてもよい。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、40〜60℃の温度条件で1〜4時間乾燥させるという方法が挙げられる。
また、上記酸処理工程の後には、担体への触媒微粒子の担持が行われてもよい。使用できる担体としては、触媒微粒子を高分散担持させるために十分な比表面積を有し、集電体として十分な導電性を有し、且つ電気抵抗を低くすることができるものであれば、特に制限されず、具体的には、後述するカーボン担体の他、金属粒子や金属繊維等の金属材料等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる触媒微粒子は、使用時において、パラジウムの溶出をより抑制できるという観点から、中心粒子に対する最外層の被覆率が、0.95〜1であることが好ましい。
仮に、中心粒子に対する最外層の被覆率が0.95未満であるとすると、電気化学反応において中心粒子を構成するパラジウム等が溶出してしまい、その結果、触媒微粒子が劣化してしまうおそれがある。
なお、ここでいう「中心粒子に対する最外層の被覆率」とは、中心粒子の全表面積を1としたときの、最外層によって被覆されている中心粒子の表面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例としては、TEMによって触媒微粒子の表面の数か所を観察し、観察された全面積に対する、最外層によって中心粒子が被覆されていることが観察によって確認できた面積の割合を算出する方法が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる触媒微粒子は、最外層が単原子層であることが好ましい。このような微粒子は、2原子層以上の最外層を有するコアシェル型触媒と比較して、最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、本発明の製造方法により得られる触媒微粒子の平均粒径は、4〜40nm、好ましくは5〜10nmである。
2.カーボン担持触媒微粒子の製造方法
本発明のカーボン担持触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子の製造方法であって、カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有することを特徴とする。
本発明は、予めカーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子(以下、カーボン担持パラジウム含有粒子と称する場合がある)を原料に用いる点で、上述した触媒微粒子の製造方法とは異なる。
本発明は、(1)カーボン担持パラジウム含有粒子を準備する工程、(2)酸溶液を準備する工程、(3)カーボン担持パラジウム含有粒子に白金を含む最外層を被覆する工程、及び、(4)最外層が被覆されたカーボン担持パラジウム含有粒子に酸溶液を接触させる工程を有する。本発明は、必ずしも上記4工程のみに限定されることはなく、上記4工程以外にも、例えば、上述した乾燥工程等を有していてもよい。このうち、工程(2)〜(4)は、パラジウム含有粒子の替わりにカーボン担持パラジウム含有粒子を用いること以外は、上述した触媒微粒子の製造方法と同様である。
以下、上記工程(1)について説明する。
本発明に使用されるカーボン担持パラジウム含有粒子は、予め合成したものを用いることもできるし、市販品を用いることもできる。
カーボン担体としては、触媒微粒子を高分散担持させるために十分な比表面積を有し、集電体として十分な導電性を有し、且つ電気抵抗を低くすることができるものであれば、特に制限されない。
カーボン担体としては、具体的には、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、活性炭、メゾフェースカーボン、黒鉛、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理した活性炭;グラファイト化カーボン等のカーボンを主成分とするもの、カーボン繊維、多孔質カーボン微粒子、カーボンナノチューブ、カーボン多孔質体等を使用することができる。BET比表面積は、100〜2000m/gであることが好ましく、より好ましくは200〜1600m/gである。この範囲であれば、触媒微粒子を高分散担持することができる。特に本発明においては、カーボン材料として、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、活性炭、メゾフェースカーボン、黒鉛等のカーボンブラックを用いることが好ましい。これらのカーボン材料を含む担体は、触媒微粒子を高分散担持することができるため、高い活性を有する電極触媒が得られる。
また、有機相若しくは水相への分散を考慮して、使用する担体表面若しくは担体自体の親水性・疎水性を制御しても良い。
本発明に使用されるカーボン担持パラジウム含有粒子の平均粒径は、カーボン担体の平均粒径によって決定される。以下、本発明に使用されるカーボン担持パラジウム含有粒子を、燃料電池の触媒層に用いる場合に仮定して説明する。実用的な燃料電池用担体カーボン(例えば、ketjenEC、VulcanXC−72等)の平均粒径は、最大でも30nm程度であり、当該担体カーボンに担持できる触媒粒子の最大平均粒径は10nm程度、担持できる触媒粒子の数は2個である。平均粒径が30nm以上のカーボン粒子であればさらに平均粒径を大きくすることは可能であるが、触媒層の厚みに背反があり、好ましくない。
3.触媒合剤の製造方法
本発明の触媒合剤の第1の製造方法は、上記製造方法により製造された触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、電解質を準備する工程、前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする。
本発明の触媒合剤の第2の製造方法は、上記製造方法により製造されたカーボン担持触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、電解質を準備する工程、前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記カーボン担持触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする。
本発明でいう硬度とは、機械的強度のことを指す。したがって、いわゆるモース硬度やビッカース硬度等の、一般的に硬度(いわゆるひっかき強度)として知られるものに限らず、破壊強度(破壊エネルギー)やせん断応力、降伏応力等も、本発明でいう「硬度」に含まれる。
本発明における硬度の指標としては、例えば、上述したモース硬度が挙げられる。下記表1は、モース硬度と、対応する代表的な材料の種類を列挙した表である。例えば、モース硬度4の欄に記載された白金及びパラジウムは、いずれも、モース硬度4の標準物質である蛍石によりひっかくと傷がつかず、モース硬度5の標準物質である燐灰石によりひっかくと傷がつく。
Figure 0005699287
上記表1によれば、最外層に使用される白金のモース硬度は4.3である。したがって、本発明において最外層に白金を使用する場合には、ボールミル用のボールのモース硬度は4.3未満である必要があり、4未満であることが好ましい。
このように、ボールミル用のボールは、最外層に使用される材料の硬度を考慮して、最適な材料を選んで用いることができる。ボールに含まれる材料としては、例えば、PTFE、銅、鉛、又はスズ等が挙げられる。ボールミル用のボールは、これらの材料を2種以上含んでいてもよい。また、ボールミル用のボールは、テフロン(登録商標)を含んでいてもよい。
本発明においては、最外層に含まれる材料の硬度と、ボールミル用のボールに含まれる材料(以下、ボール材料と称する場合がある。)の硬度との差が大きければ大きい程よい。例えば、上述したモース硬度を用いると、最外層に含まれる材料がモース硬度4以上の材料であり、ボール材料がモース硬度2〜3の材料であってもよい。
この様な材料の組み合わせとしては、例えば、最外層にモース硬度4.3の白金を、ボール材料にモース硬度2のPTFEを採用した組み合わせが挙げられる。
その他の組み合わせとしては、例えば、最外層にモース硬度2の金を、ボール材料にモース硬度1.5の鉛を採用した組み合わせ;最外層にモース硬度4.3の白金を、ボール材料にモース硬度4の銅を採用した組み合わせ;最外層にモース硬度4.3の白金を、ボール材料にモース硬度1.8のスズを採用した組み合わせ;等が挙げられる。
本発明に使用される電解質は、通常、燃料電池に使用される電解質であれば特に限定されない。本発明に使用される電解質は、高分子電解質であることが好ましい。高分子電解質とは、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質等が挙げられる。
以下、本工程の典型例について具体的に説明する。
まず、上述した触媒微粒子又はカーボン担持触媒微粒子(以下、触媒微粒子等と称する場合がある。)及び電解質を混合し、触媒合剤の前駆体を調合する。この際、適宜溶媒を加えることが好ましい。
触媒合剤の前駆体の調合に使用できる溶媒は、触媒微粒子の被覆構造や、電解質の特性を損なわず、触媒の分散性を妨げない溶媒であれば特に限定されない。触媒合剤の前駆体の調合に使用できる溶媒としては、具体的には、水や、メタノール、エタノール等のアルコール、若しくはこれらの水溶液、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
触媒微粒子等と電解質の混合比は、触媒微粒子等の質量を100質量%としたときに、電解質の質量が70〜400質量%となることが好ましい。触媒微粒子等の質量を100質量%としたときに、電解質の質量が70質量%未満である場合には、触媒微粒子等を十分に分散できないおそれがあり、電解質の質量が400質量%を超える場合には、触媒微粒子等の含有割合が少なすぎるため、触媒合剤としての役割を果たせないおそれがある。
なお、溶媒を用いる場合には、触媒微粒子等の質量を100質量%としたときに、溶媒の全質量が1000〜3000質量%であることが好ましい。
溶媒を用いる場合には、触媒微粒子等、電解質及び溶媒を一度に混合してもよいが、触媒微粒子等と溶媒を混合した後、当該混合物に電解質をさらに混合することが好ましい。特に、水と、水以外の溶媒を用いる場合には、初めに触媒微粒子等と水を混合し、次に当該混合物に水以外の溶媒を混合した後、さらに当該混合物に電解質を混合することが好ましい。この様に段階を経て混合することにより、触媒微粒子等、溶媒及び電解質を十分に馴染ませることができる。
次に、得られた触媒合剤の前駆体に対し、ボールミルを行う。ボールミルとしては、遊星型ボールミルが好ましい。
ボールミルの各種条件は、所望の触媒合剤を得ることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルを使用する場合、ポット内に、触媒合剤の前駆体及び粉砕用ボールを加え、所定の回転数及び時間で処理を行う。粉砕用ボールを構成する材料については、上述した通りである。
遊星型ボールミルを行う際の台盤回転数としては、例えば100〜1000rpmの範囲内、中でも300〜600rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば30分間〜24時間の範囲内、中でも1〜5時間の範囲内であることが好ましい。
最後に、メッシュ等によりポットの中身を濾過し、ボールを分離することにより、本発明の触媒合剤が得られる。
得られた触媒合剤は、粒度分布の累積粒度分布(D90)が10um以下であることが好ましい。ここでいう粒度分布とは、JISB9925に定義される光散乱式液中粒子計数器にて測定できる物性値であり、液体中に乳遊している粒子の粒径と個数を示すものである。粒度分布は、その他にも、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置等でも測定できる。
本発明により得られる触媒合剤は、例えば、燃料電池の触媒層の形成に用いることができる。触媒層の形成方法としては、例えば、触媒合剤を、塗工や、スプレー塗布等により、電解質膜やガス拡散シート等の燃料電池部材上に塗布し、適宜乾燥させる方法が挙げられる。
このように、本発明により得られる触媒合剤は、酸処理した触媒を電解質膜に直接塗布できるため、電解質膜と触媒層の接合が十分に確保され、プロトン抵抗の増大及び界面の剥離を抑制できる。
4.電極の製造方法
本発明の電極の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子を含む電極触媒層、並びにガス拡散層を備える電極の製造方法であって、カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、ガス拡散シートを準備する工程、前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、前記ガス拡散シート上に、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子を含む電極触媒層を形成する工程、及び、少なくとも前記電極触媒層に、前記酸溶液を接触させる工程を有することを特徴とする。
本発明は、電極触媒層を形成した後に酸処理を行う点が、上述した触媒微粒子及びカーボン担持触媒微粒子の両製造方法と異なる。
本発明は、(1)カーボン担持パラジウム含有粒子を準備する工程、(2)酸溶液を準備する工程、(3)ガス拡散シートを準備する工程、(4)カーボン担持パラジウム含有粒子に白金を含む最外層を被覆する工程、(5)電極触媒層を形成する工程、及び、(6)電極触媒層に酸溶液を接触させる工程を有する。本発明は、必ずしも上記6工程のみに限定されることはなく、上記6工程以外にも、例えば、上述した乾燥工程等を有していてもよい。このうち、工程(1)、(2)及び(4)は、上述したカーボン担持触媒微粒子の製造方法と同様である。
以下、工程(3)、(5)及び(6)について説明する。
4−1.ガス拡散シートを準備する工程
ガス拡散層を形成するガス拡散シートとしては、電極触媒層に効率良く燃料を供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するものを採用することが好ましい、本発明に使用されるガス拡散シートとしては、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
4−2.電極触媒層を形成する工程
本工程は、上述したガス拡散シート上に、カーボン担体に担持され、さらに最外層が被覆されたパラジウム含有粒子を含む電極触媒層を形成する工程である。
電極触媒層の形成方法は、特に限定されず、例えば、カーボン担体に担持され、さらに最外層が被覆されたパラジウム含有粒子を含む触媒インクをガス拡散シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散シート表面に電極触媒層を形成してもよい。または、転写用基材表面に当該触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、当該転写シートを、ガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、ガス拡散シート表面上に電極触媒層を形成してもよい。
なお、当該触媒インクの塗布方法は、従来広く用いられている塗布方法、例えば、スプレー法、バーコーター法等を使用することができる。
4−3.電極触媒層に酸溶液を接触させる工程
酸溶液による洗浄時間については、上述した通りである。
電極触媒層に酸溶液を接触させる方法は、特に限定されないが、十分に酸処理が進行するという観点から、電極全体を酸溶液中に浸漬させることが好ましい。なお、ガス拡散シートが酸溶液に侵されやすい材料からなる場合には、電極触媒層のみを酸溶液に浸すことが好ましい。
このように、電極触媒層ごと酸溶液により処理することで、パラジウム溶出の原因となる、最外層に欠陥を有する粒子を除去することができる。後述する実施例において示すように、この酸洗浄により触媒劣化は生じず、欠陥のある触媒微粒子のみを選択的に除去できる。その結果、本発明により得られる電極を備える膜・電極接合体の運転温度を上げても、高い放電性能を得ることが可能である。
1.カーボン担持触媒微粒子の合成
1−1.銅単原子層の形成
まず、カーボン担持パラジウム粒子粉末(Basf社製、20%Pd/C)を準備した。
次に、Cu−UPD法によりパラジウム粒子上に銅単原子を被覆した。具体的には、まず、カーボン担持パラジウム粒子粉末0.5g、及びナフィオン(商品名)0.2gを水に分散させ、ろ過して得た合剤ペーストを、グラッシーカーボン電極に塗工した。
続いて、電気化学セルに、予め窒素をバブリングさせた0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液を500mL加えた。次に、当該混合溶液中にグラッシーカーボン電極(作用極)、参照極及び対極を浸した。0.05mV/秒の掃引速度で、0.8V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで掃引した後、0.4V(vsRHE)で電位を約30分間固定し、パラジウム粒子の表面に銅の単原子層を析出させた。
1−2.白金単原子層の形成
まず、0.1mol/L HClO 500mL中にKPtClを1g溶解させ、白金イオン溶液を調製した。白金イオン溶液は十分に攪拌し、予め当該溶液中に窒素をバブリングさせた。
上記「1−1.銅単原子層の形成」の項に記載した方法で銅単原子層をパラジウム粒子表面に析出させた後、上記グラッシーカーボン電極を、窒素雰囲気下で速やかに白金イオン溶液に浸漬させた。2時間浸漬させ、パラジウム粒子の表面に白金単原子層を析出させ、カーボン担持触媒微粒子を得た。
2.カーボン担持触媒微粒子の酸洗浄
[実施例1]
上記方法により得られたカーボン担持触媒微粒子を、常温(20〜25℃)下の1M硝酸中に1時間浸漬させた。その後、カーボン担持触媒微粒子を、蒸留水に1時間浸漬させた。続いて、カーボン担持触媒微粒子を蒸留水から回収し、乾燥させ、実施例1のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[実施例2]
カーボン担持触媒微粒子を、常温(20〜25℃)下の1M硝酸中に6時間浸漬させた他は、実施例1と同様に、実施例2のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[比較例1]
カーボン担持触媒微粒子を、常温(20〜25℃)下の1M硝酸中に16時間浸漬させた他は、実施例1と同様に、比較例1のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[比較例2]
カーボン担持触媒微粒子を、常温(20〜25℃)下の1M硝酸中に24時間浸漬させた他は、実施例1と同様に、比較例2のカーボン担持触媒微粒子を得た。
3.カーボン担持触媒微粒子の評価
3−1.触媒活性の評価
実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、それぞれ電極を作製し、当該電極の触媒活性を評価した。
まず、酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子:超純水:エタノールを6:1:4の割合で混合し、さらに当該混合物に極少量のアイオノマーを混ぜ、混合物全体を5分間超音波分散させた。次に、当該混合物を回転ディスク電極へ10μL塗布して自然乾燥させた。
得られた回転ディスク電極を、電気化学セル中に設置した。電気化学セルには、基準電極として水素基準電極を、電解液として0.1M 過塩素酸を、それぞれ使用した。また、測定温度は25℃とした。
評価方法は以下の通りである。
まず、アルゴンで飽和させた電解液を用いて、サイクリックボルタモグラム(以下、CVと称する場合がある)サイクルを得た。電位の範囲を50〜1100mV、走査速度を100mV/sとし、波形が安定するまでCVサイクルを重ね、最終的に安定した段階の波形から、電気化学表面積を算出した。
次に、酸素で飽和させた電解液を用いて、酸素還元反応(ORR)サイクルを得た。電位の範囲を100mV〜OCPまで、走査速度を10mV/s、回転数を1600rpmとし、波形が安定するまでORRサイクルを重ね、最終的に安定した段階の波形から、電流値を読みとり活性を算出した。
3−2.パラジウム溶出量の測定
実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、パラジウム溶出量を測定した。まず、上記酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子と、15〜25℃の1M−HNOを、それぞれ2:3の割合で混合した。酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子を1M−HNOに所定の時間浸漬した後、硝酸を回収し、誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)法により、硝酸中のパラジウム含有量を分析した。
3−3.カーボン担持触媒微粒子の評価のまとめ
図1は、実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、触媒活性及びパラジウム溶出量をまとめたグラフである。図1は、横軸に硝酸洗浄時間(h)を、左の縦軸に触媒活性(μA/cm)を、右の縦軸にパラジウム溶出量(質量%)を、それぞれとったグラフである。図1中、三角のプロットは触媒活性の値を示し、菱形のプロットはパラジウム溶出量の値を示す。また、図1中の200μA/cmの黒い太線は、酸洗浄を行っていない触媒の活性を示す。
図1から分かるように、硝酸洗浄時間が16時間以上の比較例1及び比較例2のカーボン担持触媒微粒子は、パラジウム溶出量が3.5質量%を超えるのに伴い、触媒活性が160μA/cm未満と低い。
これに対し、硝酸洗浄時間が6時間以下の実施例1及び実施例2のカーボン担持触媒微粒子は、パラジウム溶出量を3.0質量%未満に抑制でき、且つ、触媒活性が170μA/cmを超える。特に、硝酸洗浄時間が1時間の実施例1は、パラジウム溶出量を2.0質量%未満に抑えつつ、酸洗浄を行っていない触媒と同程度の触媒活性を示すことが分かる。
4.触媒インクの調製
4−1.酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子を用いた触媒インクの調製
[実施例3]
まず、実施例1の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子0.9g及び水14.24gを遠心攪拌により混合し、カーボン担持触媒微粒子と水を馴染ませた。次に、当該混合物にエタノール8.16gを加え、同様に遠心攪拌により混合物全体を均一にした。さらに、当該混合物に電解質(デュポン社製、DE2020CS)1.9gを加え、同様に遠心攪拌により混合物を均一にし、触媒インク原料を得た。
乾燥雰囲気下、触媒インク原料20mL、及び破砕用PTFEボール(φ=2.4mm)63gを、PTFE製ポットに入れ、密閉した。その後、容器を遊星型ボールミル装置に取り付け、台盤回転数600rpm、20℃の温度条件下、処理時間1時間の条件でメカニカルミリングを行った。
メカニカルミリング終了後、メッシュにより容器内の混合物を濾過してボールを除き、実施例3の触媒インクを得た。
4−2.酸未処理のカーボン担持触媒微粒子を用いた触媒インクの調製
[実施例4]
まず、「1.カーボン担持触媒微粒子の合成」の項で述べた、酸溶液による処理を行っていないカーボン担持触媒微粒子0.9g及び水14.24gを遠心攪拌により混合し、カーボン担持触媒微粒子と水を馴染ませた。次に、当該混合物にエタノール8.16gを加え、同様に遠心攪拌により混合物全体を均一にした。さらに、当該混合物に電解質(デュポン社製、DE2020CS)1.9gを加え、同様に遠心攪拌により混合物を均一にした。さらに、当該混合物を間接ホモジナイザーにより30分間分散させ、実施例4の触媒インクを得た。
5.膜・触媒層接合体の形成
[実施例5]
実施例3の触媒インクをスプレーガン(Nordson社製、Spectrum S−920N)に充填し、電解質膜(デュポン社製、NR211)の一方の面に、触媒量300〜500μg/cm塗布し、実施例5の膜・触媒層接合体を得た。
6.電極の作製
[実施例6]
実施例4の触媒インク(酸未処理)を、スプレーガン(Nordson社製、Spectrum S−920N)に充填し、ガス拡散シート(三菱レイヨン社製、PYROFIL)の一方の面に、触媒量300〜500μg/cm塗布し、電極を得た。
得られた電極を、常温(20〜25℃)下の1M硝酸中に1時間浸漬させた。その後、電極を、蒸留水に1時間浸漬させた。続いて、電極を蒸留水から取り出し、乾燥させ、実施例6の酸洗浄後の電極を得た。
[比較例3]
酸洗浄を行わなかったこと以外は、実施例6と同様に、比較例3の電極を得た。
7.膜・電極積層体の作製
[実施例7]
実施例5の膜・触媒層接合体の、カソード触媒層が形成されていない面に、白金担持カーボン(田中貴金属社製、TEC10E50E)、及び電解質(デュポン社製、DE2020CS)を含むアノード触媒ペーストを塗布し、アノード触媒層を形成した。続いて、アノード触媒層形成後の膜・触媒層接合体を、一対のガス拡散シート(三菱レイヨン社製、PYROFIL)により挟持して圧着し、実施例7の膜・電極積層体を得た。
[実施例8]
まず、ガス拡散シート(三菱レイヨン社製、PYROFIL)の一方の面に、実施例7と同様のアノード触媒ペーストを塗布し、乾燥させ、アノード電極を作製した。その後、実施例6の酸洗浄後の電極、電解質膜(デュポン社製、NR211)、及びアノード電極を、ガス拡散シート/酸洗浄後の電極触媒層/電解質膜/アノード触媒層/ガス拡散シートとなるように積層させ、実施例8の膜・電極積層体を得た。
[比較例4]
実施例6の酸洗浄後の電極の替わりに、比較例3の酸未処理の電極を使用し、ガス拡散シート/酸未処理の電極触媒層/電解質膜/アノード触媒層/ガス拡散シートとなるように積層させたこと以外は、実施例8と同様に、比較例4の膜・電極積層体を得た。
[比較例5]
従来から燃料電池に使用されている白金担持カーボン(田中貴金属社製、TEC10E50E)、及び電解質(デュポン社製、DE2020CS)を含む触媒ペーストを、ガス拡散シート(三菱レイヨン社製、PYROFIL)の一方の面に塗布し、乾燥させ、カソード電極を得た。次に、実施例8と同様にアノード電極を作製した。その後、カソード電極、電解質膜(デュポン社製、NR211)、及びアノード電極を、ガス拡散シート/カソード触媒層/電解質膜/アノード触媒層/ガス拡散シートとなるように積層させ、比較例5の膜・電極積層体を得た。
[比較例6]
白金担持カーボン(田中貴金属社製、TEC10E50E)、及びパラジウム担持カーボン(田中貴金属社製、TECPd(ONLY)E20)を1:1の質量比で混合し、触媒混合物を得た。当該触媒混合物、及び電解質(デュポン社製、DE2020CS)を含む触媒ペーストを、ガス拡散シート(三菱レイヨン社製、PYROFIL)の一方の面に塗布し、乾燥させ、カソード電極を得た。次に、実施例8と同様にアノード電極を作製した。その後、カソード電極、電解質膜(デュポン社製、NR211)、及びアノード電極を、ガス拡散シート/カソード触媒層/電解質膜/アノード触媒層/ガス拡散シートとなるように積層させ、比較例6の膜・電極積層体を得た。
8.膜・電極積層体の放電性能評価
実施例7及び実施例8、並びに比較例4〜比較例6の膜・電極積層体について、放電性能評価を行った。評価の詳細は以下の通りである。
測定装置:1kWモジュール評価装置(espec社製、FCT−01W)
温度:40℃及び80℃
電位制御:2mV/秒
アノードガス:水素ガス
カソードガス:空気
加湿条件:フル加湿
図8は、比較例5及び比較例6の膜・電極積層体の、電流密度が0.2A/cmのときの電圧値を比較した棒グラフである。
図8から分かるように、従来の白金担持カーボンを使用した比較例5の膜・電極積層体の電圧値は、白金担持カーボンとパラジウム担持カーボンの混合物を使用した比較例6の膜・電極積層体の電圧値よりも、0.02V以上高い。したがって、パラジウム担持カーボンと白金担持カーボンとを単に混合して使用したのみでは、従来の白金担持カーボンを使用した場合よりも放電性能に劣ることが分かる。これは、放電中にパラジウムの溶出が生じ、触媒の活性が落ちるためであると考えられる。
図2は、実施例8の膜・電極積層体の放電曲線を示したグラフであり、図9は、比較例4の膜・電極積層体の放電曲線を示したグラフである。なお、両グラフとも、横軸に電流密度の対数(log(A/cm))を、縦軸に電圧(V)を、それぞれとったグラフである。
図9から分かるように、酸洗浄を一切行わなかった比較例4の膜・電極積層体の80℃の放電結果は、40℃の放電結果と比較して、0.01V程度電圧が低い。一方、図2から分かるように、酸洗浄した電極を用いた実施例8の膜・電極積層体の80℃の放電結果は、40℃の放電結果とほぼ全く差はない。
比較例4に使用したカーボン担持触媒微粒子は、白金よりも溶出しやすいパラジウムを中心粒子に使用しており、且つ、酸洗浄を一切行っていない。したがって、比較例4に使用したカーボン担持触媒微粒子には、パラジウム中心粒子の表面に白金最外層で被覆されていない欠陥部が存在し、特に高温条件下において当該欠陥部からパラジウムが溶出する。また、溶出したパラジウムイオンは、白金最外層上に再析出し、白金の触媒活性を低減させると考えられる。したがって、図9より、酸洗浄を一切行わなかった比較例4の膜・電極積層体は、少なくとも80℃の温度条件下においてパラジウムが大量に溶出していることが示唆される。
一方、実施例8に使用した電極からは、酸洗浄により欠陥部のある触媒微粒子のみが予め除去されているため、パラジウムイオンの溶出が低減できている。したがって、図2に示されるように、酸洗浄後の電極を使用した実施例8の膜・電極積層体は、80℃の温度条件下においても放電性能が落ちることがない。
図3は、実施例8及び比較例4の膜・電極積層体の、RDE評価結果に基づく触媒活性を比較した棒グラフである。図3から分かるように、酸洗浄した電極を用いた実施例8の触媒活性は、酸洗浄を一切行わなかった比較例4の触媒活性とほぼ変わらない。この結果は、予め酸洗浄を行っても、触媒活性にほとんど影響がないことを示す。
図4は、実施例7及び実施例8の膜・電極積層体の放電曲線を重ねて示したグラフである。なお、両グラフとも、横軸に電流密度(A/cm)を、縦軸に電圧(V)を、それぞれとったグラフである。また、両グラフとも、温度条件を80℃とした放電曲線のグラフである。
図4から分かるように、酸洗浄したカーボン担持触媒微粒子を用いた実施例7の膜・電極積層体の電圧と、酸洗浄した電極を用いた実施例8の膜・電極積層体の電圧との差は、電流密度が高くなるほど開くことが分かる。特に、両電圧の差は、0.7A/cmで0.05Vを超える。
実施例7及び実施例8の膜・電極積層体の放電実験結果から、直接酸洗浄したカーボン担持触媒微粒子を用いた場合は、酸洗浄した電極を用いた場合よりも、プロトン抵抗が抑制できることが分かる。この結果から、実施例7の膜・電極積層体が、電解質膜に酸洗浄した触媒を直接塗布して製造されたため、電解質膜と触媒層の接合が十分担保され、プロトン抵抗の増大及び界面の剥離を抑制できることが示唆される。さらに、この結果から、実施例7の膜・電極積層体は、高電流密度側でのプロトン抵抗が増大することに伴う物質輸送律速の発生を防ぎ、放電性能の低下を防止できることが示唆される。
9.触媒微粒子の酸洗浄条件の検討
9−1.試料の作製
[実施例9]
実施例1において、酸洗浄に用いる硝酸の濃度を1M(1mol/L)から2M(2mol/L)に替えたこと以外は、実施例1と同様に、実施例9のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[実施例10]
実施例1において、酸洗浄に用いる硝酸の濃度を1M(1mol/L)から10−1M(10−1mol/L)に替えたこと以外は、実施例1と同様に、実施例10のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[実施例11]
実施例1において、酸洗浄に用いる硝酸の濃度を1M(1mol/L)から10−2M(10−2mol/L)に替えたこと以外は、実施例1と同様に、実施例11のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[実施例12]
実施例1において、酸洗浄に用いる硝酸の濃度を1M(1mol/L)から10−3M(10−3mol/L)に替えたこと以外は、実施例1と同様に、実施例12のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[実施例13]
実施例1において、酸洗浄に用いる硝酸の濃度を1M(1mol/L)から10−4M(10−4mol/L)に替えたこと以外は、実施例1と同様に、実施例13のカーボン担持触媒微粒子を得た。
9−2.触媒活性の評価
実施例9−実施例13の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、それぞれ電極を作製し、当該電極の触媒活性を評価した。触媒活性の評価方法は、上記「3−1.触媒活性の評価」の項に記載した方法と同様である。
9−3.パラジウム溶出量及び白金溶出量の測定(15〜25℃)
実施例9−実施例13の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、パラジウム溶出量を測定した。パラジウム溶出量の測定方法は、上記「3−2.パラジウム溶出量の測定」の項に記載した方法と同様である。
実施例1、及び、実施例9−実施例13の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、白金溶出量を測定した。まず、上記酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子と、15〜25℃の1M−HNOを、それぞれ2:3の割合で混合した。酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子を1M−HNOに所定の時間浸漬した後、硝酸を回収し、ICP−MS法により硝酸中の白金含有量を分析した。
9−4.パラジウム溶出量及び白金溶出量の測定(80℃)
実施例1の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子、及び、原料として用いた酸未洗浄のカーボン担持触媒微粒子について、80℃の0.1M−HSOを用いて、上記測定方法と同様にパラジウム溶出量及び白金溶出量の測定を行った。
9−5.触媒微粒子の酸洗浄条件の検討のまとめ
図5は、実施例1、及び、実施例9−実施例13の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子について、洗浄に用いた硝酸の濃度と、パラジウム溶出量及び活性変化率との関係をまとめたグラフである。図5は、横軸に洗浄に用いた硝酸の濃度(M)を、左の縦軸に酸洗浄におけるパラジウム溶出量(質量%)を、右の縦軸に活性変化率(%)を、それぞれとったグラフである。図5中、菱形のプロットは活性変化率の値を示し、棒グラフはパラジウム溶出量の値を示す。なお、活性変化率とは、測定した触媒活性(μA/cm)を、酸洗浄を行っていない触媒の活性(μA/cm)で除してさらに100を乗じた値である。したがって、図5中の活性変化率100%の破線は、酸洗浄を行っていない触媒と等しい活性を有することを示す。
図5から分かるように、硝酸の濃度を上げるほど、パラジウム溶出量は向上する。したがって、酸溶液の濃度が低すぎると酸洗浄の効果が享受できず、欠陥のある触媒微粒子を除去しきれないおそれのあることが分かる。
一方、硝酸の濃度を上げるほど活性変化率も向上するが、10−1Mの硝酸を用いた際の活性変化率(132%)をピークとして、硝酸の濃度を上げるほど活性変化率が低減する。この結果は、酸溶液の濃度が高すぎると、酸洗浄の効果以外に白金を含む最外層の破壊も同時進行してしまい、欠陥のある触媒微粒子を除去すると共に、欠陥のなかった触媒微粒子に新たな欠陥が生じてしまうおそれがあることを示唆している。
図6は、実施例1、及び、実施例9−実施例13の酸洗浄後(15〜25℃)のカーボン担持触媒微粒子について、パラジウム溶出量に対する白金溶出量の比(以下、溶出比率(Pt/Pd)と称する。)と、活性変化率との関係を示したグラフである。図6は、横軸に溶出比率(Pt/Pd)(%)を、縦軸に活性変化率(%)を、それぞれとったグラフである。
図6に示すように、溶出比率(Pt/Pd)=0.40のとき(硝酸濃度:2M、実施例9)の活性変化率は96%である。溶出比率(Pt/Pd)=0.45のとき(硝酸濃度:1M、実施例1)の活性変化率は103%である。溶出比率(Pt/Pd)=0.60のとき(硝酸濃度:10−1M、実施例10)の活性変化率は132%である。溶出比率(Pt/Pd)=1.5のとき(硝酸濃度:10−2M、実施例11)の活性変化率は118%である。溶出比率(Pt/Pd)=2.0のとき(硝酸濃度:10−4M、実施例13)の活性変化率は100%である。また、図6から、溶出比率(Pt/Pd)=0.40未満の場合、又は、溶出比率(Pt/Pd)=2.0を超える場合には、活性変化率は100%未満となることが推測される。
したがって、溶出比率(Pt/Pd)、すなわち、酸溶液によりパラジウム含有粒子が溶出する質量Mに対する、酸溶液により最外層が溶出する質量Mの比(M/M)が0.4〜2.0となる場合に、活性変化率が100%以上となり、酸洗浄の効果を十分享受できることが分かる。
図7は、実施例1の酸洗浄後のカーボン担持触媒微粒子、及び、原料として用いた酸未洗浄のカーボン担持触媒微粒子について、80℃の0.1M−HSOを用いたときのパラジウム溶出量及び白金溶出量を比較した棒グラフである。白の棒グラフは白金の溶出量を示す棒グラフであり、黒の棒グラフはパラジウムの溶出量を示す棒グラフである。
図7より、酸未洗浄の原料においては、白金の溶出量は1.2質量%であり、パラジウムの溶出量は14.4質量%である。一方、実施例1においては、白金の溶出量は0.8質量%であり、パラジウムの溶出量は11.3質量%である。したがって、燃料電池の通常の作動温度範囲内である80℃においても、酸未洗浄の触媒微粒子と比較して、酸洗浄後の触媒微粒子は白金の溶出量及びパラジウムの溶出量が共に低く、耐久性が高いことが証明された。

Claims (17)

  1. パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、
    パラジウム含有粒子を準備する工程、
    白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、
    前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、
    前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、
    前記酸溶液は、前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。
  2. 前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸である、請求項1に記載の触媒微粒子の製造方法。
  3. 前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を1〜6時間接触させる、請求項1又は2に記載の触媒微粒子の製造方法。
  4. 前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触媒微粒子の製造方法。
  5. 前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に前記酸溶液を接触させる工程が、
    前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mcに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Msの比(Ms/Mc)が0.4〜2.0となる条件下で行われる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の触媒微粒子の製造方法。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法により製造された触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、
    電解質を準備する工程、
    前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする、触媒合剤の製造方法。
  7. パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子の製造方法であって、
    カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、
    白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、
    前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、及び、
    前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、
    前記酸溶液は、前記カーボン担体に担持されかつ前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする、カーボン担持触媒微粒子の製造方法。
  8. 前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸である、請求項7に記載のカーボン担持触媒微粒子の製造方法。
  9. 前記カーボン担体に担持されかつ前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に、前記酸溶液を1〜6時間接触させる、請求項7又は8に記載のカーボン担持触媒微粒子の製造方法。
  10. 前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のカーボン担持触媒微粒子の製造方法。
  11. 前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子に前記酸溶液を接触させる工程が、
    前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mcに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Msの比(Ms/Mc)が0.4〜2.0となる条件下で行われる、請求項7乃至10のいずれか一項に記載のカーボン担持触媒微粒子の製造方法。
  12. 前記請求項7乃至11のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたカーボン担持触媒微粒子を含有する触媒合剤の製造方法であって、
    電解質を準備する工程、
    前記最外層に含まれる材料よりも硬度の低い材料からなるボールを用いたボールミルにより、少なくとも前記カーボン担持触媒微粒子及び前記電解質を分散・混合する工程を有することを特徴とする、触媒合剤の製造方法。
  13. パラジウムを含む中心粒子、及び白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子を含むカーボン担持触媒微粒子を含む電極触媒層、並びにガス拡散層を備える電極の製造方法であって、
    カーボン担体に担持されたパラジウム含有粒子を準備する工程、
    白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液を準備する工程、
    ガス拡散シートを準備する工程、
    前記カーボン担体に担持された前記パラジウム含有粒子に、白金を含む前記最外層を被覆する工程、
    前記ガス拡散シート上に、前記カーボン担体に担持され、さらに前記最外層が被覆された前記パラジウム含有粒子を含む電極触媒層を形成する工程、及び、
    少なくとも前記電極触媒層に、前記酸溶液を接触させる工程を有し、
    前記酸溶液は、前記電極触媒層と当該酸溶液とが接触した際の電位が0.915V(vs SHE)以上1.188V(vs SHE)未満の範囲内となるような、当該酸溶液の濃度及び温度により規定されることを特徴とする、電極の製造方法。
  14. 前記酸溶液の種類は、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、又は次亜塩素酸である、請求項13に記載の電極の製造方法。
  15. 少なくとも前記電極触媒層に、前記酸溶液を1〜6時間接触させる、請求項13又は14に記載の電極の製造方法。
  16. 前記酸溶液は、濃度10 −4 mol/L〜2mol/L及び温度20〜25℃の硝酸である、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  17. 前記電極触媒層に前記酸溶液を接触させる工程が、
    前記酸溶液により前記パラジウム含有粒子が溶出する質量Mcに対する、前記酸溶液により前記最外層が溶出する質量Msの比(Ms/Mc)が0.4〜2.0となる条件下で行われる、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
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