JP5655457B2 - 印刷装置、及び、印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
印刷装置の一つとして、媒体に対してインク(流体)を噴出するノズルが所定方向に並
んだノズル列を備えるインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プ
リンターとして、ノズル列を所定方向と交差する移動方向に移動させながらノズルからイ
ンクを噴出させる画像形成動作と、媒体を所定方向である搬送方向に搬送する搬送動作を
繰り返すプリンターなどが知られている。
また、シアン、マゼンタ、イエローといったカラーインクの他に、白色のインクを用い
て印刷を行う印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプリンタ
ーでは、例えば、白インクによる背景画像とカラー画像を重ねて印刷することで、媒体の
地色に影響されずに、発色性の良いカラー画像を印刷することができる。そのため、背景
画像とカラー画像を重ねて印刷する「背景色インク使用モード」とカラー画像だけを印刷
する「カラーモード」のうちの何れか一方のモードを選択して印刷を実施するプリンター
がある。
特開2002−38063号公報
背景色インク使用モードが選択された場合、背景画像とカラー画像のうち、媒体に先に
印刷する画像用のノズルを、後に印刷する画像用のノズルよりも、媒体搬送方向の上流側
のノズルに設定する。そうすることで、背景画像を形成する画像形成動作とカラー画像を
形成する画像形成動作を異ならせることができる。ただし、背景画像とカラー画像を各々
印刷する画像形成動作を異ならせたとしても、背景画像とカラー画像とを形成する時間間
隔が短い場合には、背景画像とカラー画像との間で滲みや混色が発生してしまう。
本発明では、背景色インクとカラーインクとを重ねて印刷する際に、画像の滲みや混色
を抑制することを目的としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、背景色インクを噴出して媒体に背景色インク
ドットを形成する背景色インクノズル列と、カラーインクを噴出して媒体にカラーインク
ドットを形成するカラーインクノズル列と、前記背景色インク及び前記カラーインクの噴
出動作を制御する制御部と、を有する印刷装置であって、前記背景色インクドットと前記
カラーインクドットとが、前記媒体上に重ねて形成される際に、前記制御部は、前記背景
色インクが噴出されるタイミングと前記カラーインクが噴出されるタイミングとの間隔を
、前記背景色インク及び前記カラーインクが噴出される環境の条件に応じて変更すること
を特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンター1の構成を示すブロック図である。 図2Aは、プリンター1の構成を説明する概略図である。図2Bは、プリンター1の構成を説明する断面図である。 ヘッド41の構造を示す断面図である。 ヘッド41に設けられたノズルNzの説明図である。 「背景色インク使用モード」の「双方向印刷」により背景色インクによる背景画像とカラーインクによる実画像を形成する場合の印刷例を説明する図である。 プリンタードライバーが行う印刷処理のフローを示す図である。 第1実施形態におけるインク噴出間隔の調整を行うための具体的な処理フローを示す図である。 「単方向印刷」によってインク噴出タイミングを調整する方法を説明する図である。 図8とは異なる「単方向印刷」によってインク噴出タイミングを調整する方法を説明する図である。 異なる湿度条件における、背景色インクドットの明度の時間変化の様子を示す図である。 湿度予測処理で行われる具体的動作を説明するフロー図である。 湿度予測処理で用いられるテストパターンの一例を示す図である。 第4実施形態におけるインク噴出間隔調整処理の具体的動作を説明するフロー図である。 第5実施形態におけるインク噴出間隔調整処理の具体的動作を説明するフロー図である。 プリンター2の全体構成を示すブロック図である。 プリンター2の構成を説明する概略図である。 ヘッド41の下面における複数の小型ヘッドの配列を説明する図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
中空ポリマー微粒子を含有する背景色インクを噴出して媒体に背景色インクドットを形成する背景色インクノズル列と、カラーインクを噴出して媒体にカラーインクドットを形成するカラーインクノズル列と、前記背景色インク及び前記カラーインクの噴出動作を制御する制御部と、を有する印刷装置であって、前記背景色インクドットと前記カラーインクドットとが、前記媒体上に重ねて形成される際に、前記制御部は、前記背景色インクが噴出されるタイミングと前記カラーインクが噴出されるタイミングとの間隔を、前記背景色インク及び前記カラーインクが噴出される環境の条件に応じて変更し、前記背景色インクドットについて測定された明度あるいは明度に基づいて予測された前記環境の条件と、所定の基準との比較を行い、前記制御部は、前記比較の結果によって前記間隔を長くすることを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、背景色インクとカラーインクとを重ねて印刷する際に、
画像の滲みや混色を抑制することができる。
また、このような印刷装置によれば、湿度条件を考慮して、湿度が高い場合にのみインク噴出間隔を長くすることで、なるべく短い時間で滲みや混色を抑制した印刷を実行することができる。
かかる印刷装置であって、温度を検出する温度検出部を備え、前記温度検出部によって
検出された印刷時の温度が所定の基準温度以下である場合に、前記制御部は、前記間隔を
長くすることが望ましい。
このような印刷装置によれば、温度条件を考慮して、低温時にのみインク噴出間隔を長
くすることで、なるべく短い時間で滲みや混色を抑制した印刷を実行することができる。
かかる印刷装置であって、前記背景色インクノズル列及び前記カラーインクノズル列を
有するヘッド部が、前記媒体の搬送方向と交差する走査方向に移動しながら前記背景色イ
ンク及び前記カラーインクを噴出する印刷装置において、検出された前記温度が前記基準
温度以下である場合には、前記制御部は、前記ヘッド部が前記走査方向を移動しながら前
記背景色インクを噴出する第1印刷動作と、前記ヘッド部が前記走査方向を移動しながら
前記カラーインクを噴出する第2印刷動作と、の間に休止時間を設けることが望ましい。

このような印刷装置によれば、パスとパスとの間の待ち時間によってインク噴出間隔を
確保することで、先に形成されたインクドットを十分乾燥させることができる。
かかる印刷装置であって、前記媒体と対面する位置に前記背景色インクノズル列及び前
記カラーインクノズル列が設置され、前記媒体が搬送方向に搬送される間に前記背景色イ
ンクノズル列及び前記カラーインクノズル列から前記背景色インク及び前記カラーインク
を噴出する印刷装置において、検出された前記温度が前記基準温度以下である場合には、
前記制御部は、前記媒体の搬送速度を遅くすることが望ましい。
このような印刷装置によれば、媒体の搬送速度を変更することによってインク噴出間隔
を確保することで、先に形成されたインクドットを十分乾燥させることができる。
かかる印刷装置であって、前記背景色インク及び前記カラーインクは、水を主溶媒とし
て含有するインクであり、前記媒体は前記水を吸収する媒体であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、吸湿性媒体に対して水性インクを用いる際に、媒体上に
形成されたインクドットの乾燥時間を確保することで、インクの滲みを抑制することがで
きる。
かかる印刷装置であって、前記背景色インクまたは前記カラーインクの少なくとも一方
が、グリセリンを含有することが望ましい。
このような印刷装置によれば、グリセリンを含有するために乾燥しにくいインクを用い
て重ね打ち印刷を行う場合でも、インクの滲みを抑制することができる。
また、背景色インクノズル列から中空ポリマー微粒子を含有する背景色インクを噴出して媒体に背景色インクドットを形成することと、カラーインクノズル列からカラーインクを噴出して媒体にカラーインクドットを形成することと、前記背景色インクドットと前記カラーインクドットとが、前記媒体上に重ねて形成される際に、前記背景色インクが噴出されるタイミングと前記カラーインクが噴出されるタイミングとの間隔を、前記背景色インク及び前記カラーインクが噴出される環境の条件に応じて変更することと、前記背景色インクドットについて測定された明度あるいは明度に基づいて予測された前記環境の条件と、所定の基準との比較を行い、前記比較の結果によって前記間隔を長くすること、を特徴とする印刷方法が明らかとなる。
===印刷装置の基本的構成===
発明を実施するための印刷装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター
1)を例に挙げて説明する。
<プリンターの構成>
図1は、プリンター1の全体構成を示すブロック図である。
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を記録(印刷)する液体噴出
装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされる。プリンタード
ライバーは、表示装置にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログ
ラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。この
プリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コ
ンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバ
ーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である
。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じ
た印刷データをプリンター1に出力する。
プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット4
0と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、外部
装置であるコンピューター110から受信した印刷データに基づいて各ユニットを制御し
、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており
、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出
器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
<搬送ユニット20>
図2Aは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する概略図である。図2Bは、プリ
ンター1の構成を説明する断面図である。
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)
に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方
向である。搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラ
ー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する(図2A及び図2B)。
給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内に給紙するためのローラ
ーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを印刷可能な
領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。搬送モーター
22の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。プラテン24は、印
刷中の紙Sを、紙Sの裏側から支持する部材である。排紙ローラー25は、紙Sをプリン
ターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けら
れている。
<キャリッジユニット30>
キャリッジユニット30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジ31を所
定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのもので
ある。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモ
ーターとも言う)とを有する(図2A)。
キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって
駆動される。キャリッジモーター32の動作はプリンター側のコントローラー60により
制御される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能
に保持している。
<ヘッドユニット40>
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット4
0は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設
けられ、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そ
して、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に噴出することによって、移動方
向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
図3は、ヘッド41の構造を示した断面図である。ヘッド41は、ケース411と、流
路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411はピエゾ素子群PZ
Tを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット
412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有す
る。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫
通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成され
ている。弾性板412bはピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412hを
有する。そして、アイランド部412hの周囲には弾性膜412iによる弾性領域が形成
されている。
インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズル
Nzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形
成されたプレートである。ノズル面では、イエローインクを噴出するイエローノズル列Y
と、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴出するシアンノ
ズル列Cと、ブラックインクを噴出するブラックノズル列Kと、背景色インクを噴出する
背景色ノズル列Wとが形成されている。
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有し、ノズルNzに
対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部HCなどが実装された配線基板(不図示
)によって、ピエゾ素子に駆動信号COMが印加され、駆動信号COMの電位に応じてピ
エゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412h
は圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部
412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇・下降すること
により、ノズルからインク滴が噴出される。
図4は、ヘッド41に設けられたノズルNzの説明図である。図4に示されるようにC
MYKWの各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬
送方向に所定間隔Dにて並ぶことにより構成されている。各ノズル列は、#1〜#180
の180個のノズルNzをそれぞれ備える。なお、各ノズル列における実際のノズル数は
180個には限られず、例えばノズル数が90個であったり360個であったりしてもよ
い。また、図4において、各ノズル列は移動方向に沿って並列に並んでいるが、搬送方向
に沿って縦列に並ぶような構成とすることもできる。また、CMYKWの各色についてそ
れぞれ1列ずつのノズル列を有するのではなく、各色についてそれぞれ複数のノズル列を
有する構成であってもよい。
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には
、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサー53、光学セ
ンサー54、及び温度センサー55が含まれる(図2A及び図2B)。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー
式エンコーダ52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給
紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられ
ている発光部と受光部により、対向する位置の紙Sの有無を検出し、例えば、移動しなが
ら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は
、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬
送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
温度センサー55はプリンター1の周囲の温度を検出する。これにより、印刷時におけ
る気温を測定する。温度センサー55としては熱伝対や、サーミスタを利用した抵抗温度
計を用いることができ、プリンター1本体からの放熱等の影響を受けにくく、印刷領域付
近の温度を検出しやすい位置に設置される(図2A参照)。
温度センサー55は、CPU62からの指令により、任意のタイミングでプリンター1
の周囲の温度(印刷環境の温度)を検出することができる。
<コントローラー60>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である
。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、
ユニット制御回路64とを有する。
インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との
間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算
処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等
を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。
そして、CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制
御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
<測色器150>
測色器は、画像の所定範囲の表色値を測定して該所定範囲の測色値として取得するため
の分光測色計であり、コンピューター110に接続される(図1参照)。測色器150は
、後述する背景色インクによって印刷されるテストパターンについて、印刷面の明度を測
定するために用いられる。
後述するテストパターンの測色において、測色器150により取得される測色値はL*
a*b*色空間の各色成分値として表される値である。ただし、他の色空間(例えば、X
YZ色空間やL*u*v*色空間)の各色成分や、分光反射率として表される値であって
もよい。
<プリンター1の印刷動作>
プリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴出
させて媒体上にドットを形成するドット形成処理と、媒体を搬送方向に搬送する搬送処理
(媒体の移動動作に相当)とが繰り返される。そうすることで、先のドット形成処理(以
下、パスともいう)により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後のドッ
ト形成処理にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することがで
きる。
コントローラー60は、記録すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理
とを交互に繰り返し、ドットラインにより構成される画像を徐々に紙に記録する。そして
、記録すべきデータがなくなると、排紙ローラーを回転させてその紙を排紙する。なお、
排紙を行うか否かの判断は、記録データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次の紙に記録を行う場合は同処理を繰り返し、行わない場合は、記録動作を終了する。
===白色の定義===
本実施形態で印刷に使用される背景色インクの一例として「白色」のインクも含まれる
。ここで、「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色であ
る厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上白色と呼
ばれる色も「白色」に含まれるものとする。
「白色」とは、例えば、(1)X−rite社製の測色器eye−one Proを用
いて測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透
明フィルムで測色した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びそ
の内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製の測
色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色
した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びその内側にあり、か
つL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公
報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色かをいい、背景として
用いられるのであれば純粋な白に限られない。
===印刷モードの説明===
<単方向印刷と双方向印刷について>
本実施形態のプリンター1では、ヘッド41のホームポジションHPが図2Aにおいて
移動方向の右側に位置する。そして、プリンター1は、ヘッド41が移動方向の右側から
(ホームポジションから)左側へ移動する往路時にノズルからインク滴を噴出させ、ヘッ
ド41が移動方向の左側から右側へ移動する復路時にはノズルからインク滴を噴出させな
い「単方向印刷」と、往路時にも復路時にもノズルからインク滴を噴出させる「双方向印
刷」のうちの、何れか一方の印刷方法を選択し、印刷を実施することができる。
「双方向印刷」では、往復でインク滴を噴出するので、「単方向印刷」よりも印刷速度
が早くなる。一方、「双方向印刷」では往路時と復路時とでインク滴の媒体への着弾位置
にずれが生じる場合があるため、画質を優先した印刷を行いたい場合には「単方向印刷」
が選択されることが多い。なお、プリンター1における通常の印刷では快適な印刷速度を
担保するために、印刷モードは「双方向印刷」に設定されている。
単方向印刷では往路時の動作が1回のパスに相当する。そして、単方向印刷の復路時に
おいてヘッド41がインク滴を噴出させずに移動方向に移動する動作を「戻り動作」と呼
ぶ。なお、単方向印刷において往路時にはノズルからインク滴を噴出させず復路時にノズ
ルからインク滴を噴出させてもよい。一方、双方向印刷では往路時の動作および復路時の
動作がそれぞれ1回のパスに相当する。
<背景色インク使用モードの印刷について>
プリンター1は、4色のカラーインク(CMYK)によってカラー画像(モノクロ画像
も含む)だけを媒体上に印刷する「カラーモード」と、背景色インク(W)による背景画
像とカラー画像(主画像に相当)とを重ねて媒体上に印刷する「背景色インク使用モード
」のうちの、何れか一方のモードにて媒体上に画像を形成する。背景色インク使用モード
のようにカラー画像の背景に白色等の背景画像を設けることで、媒体が白色でない場合で
も発色性の良い画像を印刷することができる。なお、背景色インク使用モードにおいて、
カラー画像を先に印刷して背景画像とし、その上に背景色インクによる画像を形成するこ
とも可能である。
図5は、「背景色インク使用モード」の「双方向印刷」により背景色インクによる背景
画像とカラーインクによる実画像を形成する場合の印刷例を示す図である。図では説明の
簡略のため、1ノズル列に属するノズル数をそれぞれ10個(#1〜#10)として描く
。また、4色のカラーインク(CMYK)を各々噴出するノズル列をまとめて「カラーノ
ズル列Co」と示す。すなわち、ヘッド41はカラーノズル列Co及び背景色ノズル列W
によって構成される。図5で、カラーノズル列Coの各ノズルは丸印で表され、背景色ノ
ズル列Wの各ノズルは三角印で表される。そして、黒く着色されているノズルは、そのパ
スにおいてインクを噴出するノズルを表している。
なお、図5はバンド印刷を示している。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバン
ド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスタライン(移動方向
に沿うドット列)の間に他のパスのラスタラインを形成しない印刷方法である。
ヘッド41は1パス目に左側(図5において、ホームポジションを左側として説明する
)から右側に移動(往動)しつつ、背景色ノズル列Wの各ノズル(#1〜#10)から背
景色インクを噴出して移動方向に沿って第1〜第10の各ラスタライン上に背景色インク
ドット列を形成し、背景画像を印刷する。次に、媒体を搬送させない状態で、ヘッド41
は2パス目に右側から左側に移動(複動)しつつ、Coノズル列の各ノズル(#1〜#1
0)からカラーインクを噴出する。これにより、第1〜第10の各ラスタラインに形成さ
れている背景色インクドット列の上にカラーインクドット列を形成し、実画像を印刷する
。すなわち、ヘッド41が移動方向を1回往復する間に、10ラスタライン分の幅の背景
画像が形成され、該背景画像の上に10ラスタライン分の実画像が形成される。
その後、搬送ユニット20によって、媒体が搬送方向に10ラスタライン分(10ノズ
ル分)搬送される。そして、再びヘッド41が移動方向を1回往復する間(3パス及び4
パス)に第11〜第20ラスタラインが形成される。この動作を繰り返すことで画像が印
刷される。
ところで、背景色インクのみを使用して背景画像を印刷すると、背景画像を印刷する背
景色インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、例えば、「白色」の背景色
インクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用
する背景色インクによってユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてし
まう場合がある。また、印刷物によっては、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する
背景画像が所望されることもある。また、白い媒体を用いる場合、白い媒体においても媒
体の種類によって白色の色味が若干異なる。そのため、白い媒体に背景画像を印刷する際
に、背景画像の白色と媒体の白色が異なると、背景画像が目立ってしまう。
そこで、本実施形態では、背景色インクと共に、少量のカラーインク(CMYK)を適
宜使用して、所望の色の背景画像(例えば、調整された白色の背景画像)を印刷する。こ
の場合、背景画像を印刷する際に、プリンター1が噴出可能なカラーインクの中の少なく
とも1色のカラーインクを使用すればよく、例えば、4色のカラーインクを全て使用して
もよいし、2色のカラーインクを使用してもよい。このように、背景色インクが若干の色
彩を有する場合、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷することで、背景画像
を無彩色に近づけることもできる。
このとき、背景画像を印刷する背景色ノズル列Wのノズルの搬送方向の位置と、同じく
背景画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置とを等しくする。そう
すると、背景画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスで背景色インクと
カラーインクとが噴出される。その結果、背景色インクとカラーインクとが混ざり、背景
画像の粒状感を低減することができる。また、背景画像を構成するカラーインクドットの
割合は背景色インクドットの割合に比べて相対的に小さくなるので、背景画像におけるカ
ラーインクの粒状感を低減するためには、カラーインクドットをなるべく均一に分散させ
ることが好ましい。
なお、所望の色の背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンタ
ー1が予め記憶するようにしても良いし、プリンタードライバーが作成するようにしても
良い。プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして、所望
の背景画像の色の選択を行う場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データが生
成されるようにするとよい。
===インクと記録媒体について===
本実施形態では、インクと該インクを吸収するインク吸収性の有る媒体(インク吸収性
記録媒体)を用いる。インク吸収性記録媒体としては、インク吸収性の有る基材からなる
記録媒体や基材にインク受容層を設けた記録媒体が使用可能である。インク吸収性の有る
基材としては、紙、布などが挙げられる。
インクはインク吸収性媒体に吸収されるものであればよいが、インク吸収性媒体への吸
収性を確保するために蒸発性の溶媒を含むことが好ましい。また、溶媒として少なくとも
水を含む「水系インク」が特に好ましい。インクを構成する他の成分としては、色材とし
ての染料や顔料がある。また、インクヘッドからの噴出安定性のために水溶性の有機溶媒
を含有していてもよいし、保湿剤、浸透促進剤、ph調整剤、防虫剤、紫外線吸収剤など
を必要により含有していてもよい。このようなカラーインクとして、例えば、特開200
8−81693、特開2005−105135、特開2003−292834に記載のイ
ンクを使用できる。
記録媒体は、インク組成物の溶媒を吸収することでインク組成物の色材を固着するもの
である。例えば、紙、布などのインクを吸収する基材を用いた媒体でも良いし、インクを
吸収する基材或いはインクを吸収しない基材にインクを吸収するインク受容層を設けたも
のでもよい。透明性の有る媒体を用いる場合は、例えば、特開2009−925、特開平
9−99634、特開平9−208870に記載の記録媒体が使用できる。
インク受容層としては、インクジェット記録方法用の記録媒体上に通常設けられる公知
のインク受容層を用いることができる。公知のインク受容層としては、例えば、樹脂から
なるインク受容層が知られており、インク受容層に用いられる樹脂の例としては、例えば
、特開昭57−38185号、同62−184879号公報等に開示されているようなポ
リビニルピロリドンもしくはビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、特開昭60−16
8651号、同60−171143号、同61−134290号公報に開示されているよ
うなポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物、特開昭60−234879号公報に
開示されているようなビニルアルコールとオレフィン又はスチレンと無水マレイン酸との
共重合体、特開昭61−74879号公報に開示されているようなポリエチレンオキサイ
ドとイソシアネートとの架橋物、特開昭61−181679号公報に開示されているよう
なカルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物、特開昭61−13
2377号公報に開示されているようなポリビニルアルコールにメタクリルアミドをグラ
フト化したポリマー、特開昭62−220383号公報に開示されているようなカルボキ
シル基を有するアクリル系ポリマー、特開平4−214382号公報等に開示されている
ようなポリビニルアセタール系ポリマー、特開平4−282282号、同4−28565
0号公報に開示されているような架橋性アクリル系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマ
ーを挙げることができる。
また、公知のインク受容層としては、特開平4−282282号、同4−285650
号公報等には架橋性ポリマーから構成されるポリマーマトリックスと吸収性ポリマーとを
併用したインク受容層が開示されている。更に、アルミナ水和物(カチオン性アルミナ水
和物)を用いたインク受容層も知られており、例えば、特開昭60−232990号、同
60−245588号公報、特公平3−24906号公報、特開平6−199035号、
同7−82694号公報等には、微細な擬ベーマイト形アルミナ水和物を水溶性バインダ
ーと共に基材表面に塗工した記録媒体が開示されている。また、例えば特開平10−20
3006号公報には、一次粒子径が3nm〜30nmである主として気相法による合成シ
リカを使用するインク受容層が開示されている。更にまた、特開2001−328344
号公報には、無機顔料及び高分子接着剤を含むインク受容層が開示されている。本実施形
態においては、これらの各インク受容層を設けたフィルム基材を用いることが好ましい。
本実施形態においては、背景画像用の背景色インク組成物として、インクジェット記録
方法において通常使用されている任意の白色インク組成物を用いることができる。このよ
うな白色顔料としては、例えば、無機白色顔料や有機白色顔料、白色の中空ポリマー微粒
子を挙げることができ、白色インク組成物としては、着色剤成分として中空ポリマー微粒
子を含有する水系インク組成物を用いることが好ましい。
無機白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム
等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシ
ウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられ
る。特に酸化チタンは、隠蔽性、着色性及び分散粒径が好ましい白色顔料として知られて
いる。
有機白色顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平
11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミ
ン誘導体が挙げられる。上記白色顔料の具体的な商品としては、ShigenoxOWP
、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、Sh
igenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名
)などが挙げられる。
着色剤成分として含有させる中空ポリマー微粒子は、例えば、その外径が約0.1〜1
μm、内径が約0.05〜0.8μmの微粒子であることができ、白色インク組成物の溶
媒に不溶で、その他の成分、例えば、バインダー樹脂成分とは化学的に反応しないもので
あることが必要である。この中空ポリマー微粒子は、壁が液体を透過可能な合成重合体で
つくられ、中空ポリマー微粒子中央部の空間はその壁を透過して液体の出入りが可能であ
る。したがつて、この中空ポリマー微粒子中央部の空間はインク組成物の状態では溶媒に
よって満たされ、中空ポリマー微粒子の比重とインク組成物の比重が実質的に同一になり
、中空ポリマー微粒子はインク組成物中に安定に分散されている。一方、このインク組成
物を印字面に印字して乾燥すると、中空ポリマー微粒子中央部の空間は空気で置換される
ため、樹脂と空間部で入射光が乱反射されて、実質的に白色を呈する。なお、後述する第
4実施形態においては、中空ポリマー微粒子のこのような性質が利用される。
また、中空ポリマー微粒子は、前記のように、印刷前には微粒子内に液体を含有してい
るが、その微粒子内に入り込んでいた液体が印刷後に微粒子の璧を通過して拡散し、微粒
子の微細気孔を空気で充満させるというタイプであるか、もしくは最初から内部に空気を
含んだ完全密封タイプであることもできる。白色インク組成物に用いられる中空ポリマー
微粒子はインク組成物中で沈殿しないことが望まれるため、インク組成物溶液の比重とほ
ぼ同等の比重を有するものが好ましい。このため、必要に応じてグリセリンのような比重
調整剤を用いてインク組成物溶液の比重を調節することが好ましい。なお、グリセリンは
インクの保湿性を確保するための増粘防止剤としての役割も有する。
上記の性質を満たす中空ポリマー微粒子市販品としては、例えば、ローム・アンド・ハ
ース(Rohm and Haas)社から市販されているロペーグ(Ropaque)O
P−62等を挙げることができる。これは、アクリル・スチレン共重合体からなる中空ポ
リマー微粒子を38重量%含んだ水分散液である。この微粒子の内径は約0.3μmで、
外径は約0.5μmであり、内部には水が充満している。
また、前記中空ポリマー微粒子は、公知の製造方法、例えば米国特許第4,089,8
00号明細書に開示されている方法により得ることもできる。この中空ポリマー微粒子は
、実質的に有機重合体で作られており、熟可塑性を示す。中空ポリマー微粒子の製造に使
用される熱可塑性樹脂としては、好ましくは、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリオ
レフィン、ポリアミド、ポリカーポネート、ポリスチレン、スチレン若しくは他のビニル
モノマーの共重合体、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル又はビニルブチ
ラールのホモ重合体あるいは共重合体のようなビニルポリマー、ジエンのホモ重合体及び
共重合体等を挙げることができる。特に好ましい熱可塑性重合体としては、2−へキシル
アクリレートの共重合体、メチルメタアクリレートの共重合体のような共重合体、スチレ
ンとアクリロニトリルのようなその他のビニルモノマーとの共重合体を挙げることができ
る。
本実施形態で用いる背景色インク組成物中の中空ポリマー微粒子の含有量は、例えば、
0.1〜20重量%とすることができる。中空ポリマー微粒子の含有量を0.1重量%以
上にすると、充分な白色度を得ることができる。一方、20重量%以下にすると、インク
ジェット印刷用インク組成物に要求される粘度を確保するために必要なインクバインダー
樹脂成分を充分な量で含有させることができ、その結果として、充分な印字密着性を確保
することができる。
本実施形態においては、前記の白色顔料を単独で用いてもよいし、併用してもよい。顔
料の分散には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘン
シェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、
ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加
することも可能である。
本実施形態で用いる背景色インク組成物は、背景色着色剤成分の他に、インクジェット
印刷用インク組成物に通常含有される種々の成分、例えば、樹脂成分、分散剤成分、溶媒
成分(特に水)などを含有することができる。また、中空ポリマー微粒子を白色着色剤と
して含有する白色インク組成物としては、例えば、特許第3562754号公報(特許文
献1)又は特許第3639479号公報(特許文献2)に記載の組成物を用いることもで
きる。
本実施形態で用いるカラー画像用の非背景色インク組成物は、例えば、カラーインク組
成物、黒色インク組成物、又は灰色インク組成物である。また、カラーインク組成物とし
ては、例えば、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、あ
るいはライトシアンインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、更には、レッドインク
組成物、グリーンインク組成物、又はブルーインク組成物等を挙げることができる。非白
色インク組成物は、前記の各種インク組成物を1種又は2種以上の組合せで用いることが
できる。
非背景色インク組成物としては、インクジェット記録方法において通常使用されている
任意の非背景色インク組成物を用いることができ、着色剤成分として染料又は顔料を含有
する水系インク組成物を用いることが好ましい。特に、透明フィルム基材又はインク受容
層に対して良好な特性(例えば、発色性や定着性)を示すインク組成物を用いることが好
ましい。
背景色インク、非背景色インク共に、増粘防止剤としてグリセリン(以下、GLYとも
呼ぶ)を含有していることが望ましい。GLYは保湿性に優れ、インクにGLYを含有さ
せることによって、インクがノズル内で固化する等の問題が起こりにくくなり、インクの
噴出安定性を確保することができる。GLYの含有量によってインクの増粘のし易さも変
化するが、本実施形態で想定する背景色インクはGLYを7%以上含有し、媒体上に形成
されたインクドットが乾燥するまでに要する時間が通常のインクよりも長い。そのため、
他のインクと重ね打ちをする場合には十分な乾燥時間を確保しないと、インク同士で滲み
や混色を引き起こしやすくなる。
===第1実施形態===
第1実施形態では、背景色インクとカラーインクとを重ね打ちする際に、背景色インク
の噴出タイミングとカラーインクの噴出タイミングとを、印刷時の温度に応じて変更する
。これによって背景画像となるインクドット(背景色インクドット)が媒体上に形成され
てから、該背景色インクドットの上に実画像となるインクドット(カラーインクドット)
が形成されるまでの間の乾燥時間を確保して、滲み等の発生を抑制する。
<プリンタードライバーによる印刷処理について>
図6に、印刷時にプリンタードライバーが行う印刷処理のフローを示す。
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プ
リンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンター1に出力す
る。アプリケーションプログラムから画像データを印刷データに変換する際に、プリンタ
ードライバーは、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理、
などを行う。以下に、プリンタードライバーが行う各種の処理について説明する。
印刷開始に先んじて、まずコンピューター110とプリンター1とが接続され(図1参
照)、プリンター1に同梱されているCD−ROMに記憶されたプリンタードライバー(
若しくは、プリンター製造会社のホームページからダウンロードしたプリンタードライバ
ー)が、コンピューター110にインストールされる。このプリンタードライバーは、図
6の各処理をコンピューターに実行させるためのコードを備えている。
ユーザーがアプリケーションプログラム上から印刷を指示して印刷が開始されると、プ
リンタードライバーが呼び出され、印刷対象となる画像データ(印刷画像データ)をアプ
リケーションプログラムから受け取り(S101)、その印刷画像データに対して解像度
変換処理が行われる(S102)。
解像度変換処理とは、画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に
印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、記録解像度が720
×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベク
ター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データ
に変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間によ
り表される各階調(例えば256階調)のRGBデータである。
次に、プリンタードライバーは、色変換処理を行う(S103)。色変換処理とは、プ
リンター1のインク色の色空間に合わせて画像データを変換する処理である。ここでは、
RGB色空間の画像データが、CMYK色空間の画像データに変換される。この色変換処
理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけた3D−LUTに基
づいて行われる。これにより、CMYK色空間の画像データが得られる。なお、色変換処
理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調の8ビットCMYKデー
タである。
色変換処理の後、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理を行う(S104)。ハ
ーフトーン処理とは、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低階調数のデータ
に変換する処理である。ここでは、256階調の印刷画像データが、2階調を示す1ビッ
トデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理方法としてデ
ィザ法・誤差拡散法などが知られており、本実施形態もこのようなハーフトーン処理を行
う。ハーフトーン処理されたデータは、記録解像度(例えば720×720dpi)と同
等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビッ
トの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの
有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
次に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理を行う(S105)。ラスタライズ
処理は、印刷画像データ上の画素データの並び順を、プリンター1に転送すべきデータ順
に変更する処理である。例えば、各ノズル列のノズルの並び順に応じて、画素データを並
び替える。その後、プリンタードライバーは、プリンター1を制御するための制御データ
を画素データに付加することによって印刷データを生成し、その印刷データをプリンター
1に送信する。
プリンター1は、受信した印刷データに従って、印刷動作を行う。具体的には、プリン
ター1のコントローラー60は、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット
20などを制御し、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御して各ノ
ズルからインクを噴出する。
<温度条件に応じたインク噴出間隔の調整>
本実施形態においては、背景色インクとカラーインクとの重ね打ちを行う場合に温度条
件に応じてヘッドユニット40(キャリッジユニット30)の動作を変更することで、背
景色インクの噴出タイミングとカラーインクの噴出タイミングとの間隔を長くする。これ
により、先に形成されたインクドットの乾燥時間を適切に確保してから次のインクドット
を形成することができるようになり、インクドット同士の滲みや混色の発生を抑制する。

図7に、インク噴出間隔の調整を行うための具体的な処理フローを示す。
(S201:背景色インク使用モードの判断)
まず、プリンター1のCPU62はプリンタードライバーから受信した印刷データにつ
いて、「背景色インク使用モード」の印刷であるか否かの判断を行う。すなわち、背景色
インクとカラーインクとが重ね打ちされるか否かが判断される(S201)。本実施形態
で用いる背景色インクは、前述のようにGLYを含有し乾燥しにくいという性質を有する
。また、背景色インクにより形成される背景画像とカラーインクにより形成されるカラー
画像とを媒体において重ねて形成する。そのため、背景色インクドットが形成されてから
十分な乾燥時間を確保しておかないと、他のインクを重ね打ちした場合に滲みや混色が発
生するおそれがある。一方、背景画像を形成せずにカラー画像を形成する「カラーモード
」印刷では、カラー画像の形成においてカラーインク同士が高ドット密度で重ね打ちされ
ることはないためインク噴出間隔を調整しなくても滲み等の問題は生じにくい。
したがって、印刷が「カラーモード」と判断された場合には、インク噴出間隔の調整は
行われず、そのまま印刷が実行される。一方、印刷が「背景色インク使用モード」と判断
された場合には、次の温度検出処理(S202)に移行する。
なお、S201において「背景色インク使用モード」の判断を行うのではなく、使用す
るインクが所定%以上のGLYを含有するか否かを判断してもよい。つまり、印刷に使用
されるインクが乾燥しにくいインクであるか否か(インク噴出間隔を調整する必要がある
か否か)を直接判断する。この場合、印刷に使用されるインクの種類(GLY含有率等の
情報)に基づいて、印刷開始時にユーザー自身で判断を行うようにすることもできる。
(S202:温度検出)
S201の結果、背景色インク使用モードにて印刷が行われると判断された場合は、温
度データの検出が行われる。本実施形態では、媒体上に形成されるインクドットを乾燥さ
せるのに要する時間は、印刷時の気温に大きく影響される。そのため、本工程によって検
出される温度データがインク噴出間隔調整時の基準となる。
プリンター1のCPU62は温度センサー55によってプリンター1が設置された環境
における温度(気温)kを検出し、メモリー63に一時的に記憶する。なお、温度検出自
体は前述の印刷処理(S101〜S105)よりも前のタイミングで行われてもよいが、
印刷時の温度条件をより正確に検出するためには、実際に印刷が行われる段階に近いタイ
ミングで温度検出を行うのが好ましい。
(S203:検出温度kと基準温度Kとの比較)
続いて検出された温度kと、所定の基準温度Kとの比較が行われる。前述したように、
GLYを含有するインクでは、GLYの吸湿性に起因して乾燥性が悪くなることがあるが
、この性質は温度が一定以下の場合に顕著に表れる。例えば、本実施形態において印刷に
使用される背景色インク(GLY含有率7%)の場合、20℃以下の温度条件下において
乾燥性が著しく低下する。一方、20℃よりも高い温度条件下では乾燥性が大きく低下す
ることは無い。したがって、印刷環境が20℃以下であれば、乾燥時間をなるべく長く確
保するために背景色インクとカラーインクとの噴出間隔の調整が必要となる。逆に、印刷
環境が20℃よりも高ければ通常通りの乾燥時間を確保できればよいので、インク噴出間
隔の調整を行わずそのまま印刷を実行することができる。なお、本実施形態において各カ
ラーインクはGLY含有率16%である。
CPU62は、S202において検出されメモリー63に記憶された印刷環境の温度k
(℃)と、あらかじめ設定されメモリー63に記憶されている基準温度K(℃)(上述の
例の場合は20℃)とを比較して、検出された温度k(℃)が基準温度K(℃)以下であ
ればインク噴出間隔の調整を行い(S204)、K(℃)よりも高ければインク噴出間隔
の調整を行わずに印刷を続行する。
なお、基準温度Kは使用インクの種類毎に複数設定されており、ユーザーインターフェ
イス(不図示)を介してユーザーが使用インクを選択すると、そのインクに応じた基準温
度が選択されるようにしておく。また、印刷された画像を確認した後で、該ユーザーイン
ターフェイスを介してユーザー自身がKの設定を変更できるようにしておくと良い。
(S204:インク噴出間隔調整)
背景色インクの噴出タイミングとカラーインクの噴出タイミングとの調整方法(S20
4)について具体例を用いて説明する。
<パス間待ち時間の調整>
「双方向印刷」モードで1パス目(往動時)に背景色インクを噴出し、2パス目(複動
時)にカラーインクを噴出するような印刷において、1パス目の印刷動作が終了してから
2パス目の印刷動作が開始されるまでの時間(以下、パス間待ち時間とも呼ぶ)を長くす
ることによって、1パス目に形成される背景色インクドットの乾燥時間を確保する。
例えば図5において、CPU62はユニット制御回路64を介してヘッド41(キャリ
ッジユニット30)を動作させ、往動時に背景色インクドットを形成させる。その後、す
ぐに複動を開始させるのではなく、所定の時間間隔(例えば2秒)を空けてから複動を開
始するように、キャリッジユニット30の動作を制御する。つまり、媒体の所定領域に対
して背景画像が印刷されてから、次の実画像の印刷が開始されるまでの間に、背景画像を
乾燥させるための休止時間(インターバル)を設ける。これにより、1パス目(往動時)
で形成された背景色インクドットを乾燥させて他色のインクドットと混合しない程度に硬
化させてから、該背景色インクドットの上に次のカラーインクドットを形成することがで
きる。つまり、背景色インクドットとカラーインクドットとの滲みや混色を抑制しやすく
なる。
なお、パス間待ち時間の時間設定は、ユーザーインターフェイス(不図示)を介してユ
ーザーが自由に変更できるようにしておくとよい。ユーザーは印刷された画像の画質を確
認して、所望の印刷画質と印刷時間のバランスを考慮してパス間待ち時間を設定すること
により、ストレス無く印刷を行うことができるようになる。
また、1パス目(往動時)にカラーインクが噴出され、2パス目(複動時)に背景色イ
ンクが噴出されるような印刷方式である場合にも、パス間待ち時間を長くする方法は有効
である。この場合、カラーインクドットの上に背景色インクドットが形成されることにな
るが、カラーインクドットの乾燥状態が不十分であると、背景色インクに含有されるGL
Yがカラーインクドットの水分を吸収することによって滲みが発生するおそれがある。そ
こで、1パス目と2パス目との間のパス間待ち時間を長くして、先に形成されたカラーイ
ンクドットを乾燥させておくことで、該カラーインクドットの上に形成される背景色イン
クドットとの混色等を抑制することができる。
<第1実施形態の効果>
本実施形態の方法によれば、背景色インクとカラーインクとを重ねて印刷する場合に、
先に形成されたインクドットの乾燥時間を十分に確保することによってインクドット同士
の滲みや混色を抑制し、良好な印刷画像を得ることが出来る。
また、温度条件に応じて、適切にインクの噴出間隔が調整される。つまり、印刷時の気
温が所定温度よりも低く、インクドットが乾燥しにくい場合にだけ、パス間待ち時間を長
くすることによってインク噴出間隔が調整される。これにより、なるべく短い印刷時間で
滲み等の少ない良好な画質の画像を印刷できるようになる。
===第2実施形態===
第1実施形態では、双方向印刷時の「パス間待ち時間」を調整することによってインク
噴出間隔の調整を行っていた。これに対して、第2実施形態では、印刷モードを変更する
ことによってインク噴出間隔の調整を行う。つまり、第1実施形態の図7におけるインク
噴出間隔の調整処理(S201〜S204)のうち、(S204)の工程が異なる。印刷
装置の構成や、他の印刷処理については第1実施形態と同様である。
以下、第2実施形態における、背景色インクの噴出タイミングとカラーインクの噴出タ
イミングとの調整方法について説明する。
<印刷モードの変更(単方向印刷)>
本実施形態では、インク噴出間隔調整が必要と判断された場合、印刷モードを「単方向
印刷」にして、背景色インクとカラーインクとが重ならないように同時に噴出させること
で、背景色インクの噴出タイミングとカラーインクの噴出タイミングとを調整する。
図8は、単方向印刷によってインク噴出タイミングを調整する方法を説明する図である
。図5で説明したものと同様のノズル列W及びノズル列Coが配置されたヘッド41にお
いて、それぞれのノズル列について半数のノズルのみを用いて印刷を行う。なお、図8で
は移動方向の左側がヘッド41のホームポジションとなる。
1パス目にヘッド41(キャリッジユニット30)が左側(ホームポジション)から右
側に移動する際に、ノズル列Wでは搬送方向上流側半分のノズル(図8で#6〜#10の
着色されたノズル)を用いて背景色インクを噴出する。同様に、1パス目にノズル列Co
では搬送方向下流側半分のノズル(図8で#1〜#5の着色されたノズル)を用いてカラ
ーインクを噴出する。これにより、第1〜5ラスタラインにはカラーインクからなる実画
像が形成され、第6〜10ラスタラインには背景色インクからなる背景画像が形成される
。なお、この場合、印刷開始位置は第6ラスタラインとなる。
1パス目の印刷が終了した後、ヘッド41はインクを噴出させずに右側から左側へと戻
り、媒体が搬送方向に5ラスタライン分(5ノズル分)搬送される。
2パス目の動作では、1パス目と同様、ノズル列Wでは搬送方向上流側半分のノズル(
#6〜#10)を用いて背景色インクを噴出し、ノズル列Coでは搬送方向下流側半分の
ノズル(#1〜#5)を用いてカラーインクを噴出する。これにより、1パス目で背景画
像が印刷されていた第6〜第10ラスタライン上に、2パス目でカラーインクによる実画
像が印刷され、第11〜第15ラスタラインには新たに背景画像が印刷される。その後、
ヘッド41はインクを噴出させずにホームポジション(図の移動方向左側)へと戻る。
この動作を繰り返すことによって、背景色インク使用モードの印刷が行われる。
印刷モードを「単方向印刷」にすることで、媒体の所定領域に対して先の画像(背景画
像)の印刷が終了してから後の画像(実画像)の印刷が開始されるまでの時間、すなわち
、先の画像の乾燥時間は、媒体の搬送時間とヘッド41の戻り動作時間との合計時間とな
る。
つまり、背景色インク使用モードで単方向印刷を実施することで、ヘッド41の戻り動
作の時間分だけ、先の画像の乾燥時間を長くすることができ、画像の滲みを抑制した高画
質な画像を印刷することができる。
また、インク噴出時のヘッド41の移動方向が一方向に限定されるので、往動時と複動
時とで移動方向によってインクの着弾位置にずれが生じる、というような問題は生じにく
い。よって、より安定した画質の印刷を実現しやすくなる。
<単方向印刷の変形例>
次に、「単方向印刷」によってインク噴出タイミングを調整する方法の変形例を示す。
図9は、図8とは異なる方法によってインク噴出タイミングを調整する方法を説明する図
である。図8と同様のノズル列W及びノズル列Coが配置されたヘッド41において、そ
れぞれのノズル列について全数のノズルを用いて、一つのラスタラインを2パスに分けて
印刷する。
図9において、1パス目にヘッド41(キャリッジユニット30)が左側(ホームポジ
ション)から右側に移動する際に、ノズル列Wでは全ノズル(#1〜#10)を用いて背
景色インクを噴出する。これにより、1パス目で第1〜10ラスタラインに背景色インク
によって背景画像が形成される。
1パス目の印刷が終了した後、ヘッド41はインクを噴出させずに右側から左側へと戻
る。続いて、媒体を搬送しない状態で、2パス目の動作でノズル列Coの全ノズル(#1
〜#10)からカラーインクを噴出する。これにより、1パス目で形成された背景画像の
上に実画像が形成される。その後、媒体が搬送方向に10ラスタライン分(10ノズル分
)搬送され、背景色インクの噴出動作とカラーインクの噴出動作とが繰り返される。
本変形例の場合にも、媒体の所定領域に対して先の画像が印刷されてから後の画像の印
刷が開始されるまでの時間、つまり、ヘッド41の戻り動作の時間分だけ、先の画像の乾
燥時間を長くすることができ、画像の滲みを抑制した高画質な画像を印刷することができ
る。
<第2実施形態の効果>
第2実施形態でも第1実施形態と同様に、背景色インクとカラーインクとを重ねて印刷
する場合に、温度条件に応じてインク噴出間隔が調整される。これにより、先に形成され
たインクドットの乾燥時間を十分に確保することができ、インクドット同士の滲みや混色
を抑制して良好な印刷画像を得ることが出来る。
また、インクの噴出間隔の調整は、印刷モードを「双方向印刷」から「単方向印刷」に
変更することによって行われる。印刷時のヘッド移動方向が一方向に統一されるので、イ
ンクドットの着弾位置にずれが生じることもなく、より高画質な画像を印刷することがで
きる。
===第3実施形態===
第3施形態は、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせることでインク噴出間隔の調
整を行う。つまり、図7における(S204:インク噴出間隔調整)の方法が第1・2実
施形態とは異なる。印刷装置の構成や、他の印刷処理については第1・2実施形態と同様
である。
<パス間待ち時間の調整と、単方向印刷モードとの組み合わせ>
第2実施形態で説明した単方向印刷モードにおいて、第1実施形態で説明したパス間待
ち時間の調整を行うことで、より乾燥時間を長く確保することができる。
例えば、図8において、1パス目の印刷が終わってヘッド41がホームポジションに戻
ってから、次の2パス目の動作を開始するまでに所定の時間間隔をおくようにする。これ
により、1パス目で形成された背景画像の乾燥時間をさらに長く確保することができる。
また、このような各モードの組み合わせによって、時間間隔の調整の度合いを自由に変更
しやすくなるので、より効果的に滲みや混色を抑制することができるようになる。
これらの調整方法の選択や組み合わせは、あらかじめメモリー63に複数種類設定して
おき、ユーザーの好みに合わせて選択させるようにするとよい。例えば、画質を最優先す
る場合は単方向印刷モードとパス間待ち時間調整の組み合わせが選択され、印刷時間をな
るべく短く抑えたい場合はパス間待ち時間調整のみが選択されるように設定をしておく。
そして、このような設定をユーザー自身が変更できるようにしておくことで、印刷時間と
印刷画質に関して、よりユーザー好みの印刷が可能になる。
===第4実施形態===
第4実施形態では、印刷環境の温度条件に代えて湿度条件を考慮することによって、背
景色インクとカラーインクとの噴出タイミングの間隔を調整する。
前述のように背景色インクに含有されるGLYは強い吸湿性を有するため、印刷時の湿
度が高いとGLYはより多くの水分を吸収しやすくなり、背景色インクは乾燥しにくくな
る。そこで、湿度条件に着目し、印刷時の湿度が所定の基準湿度よりも高い場合にはイン
クの噴出間隔を長くするようにすることで、先に形成される背景色インクドットの乾燥時
間を確保する。
本実施形態では、第1〜3実施形態と同様にプリンタードライバーによって図6の(1
01〜S105)の処理が行われた後、CPU62によって湿度条件に応じたインク噴出
間隔の調整が行われる。インク噴出間隔の調整の具体的方法については第1〜第3実施形
態と同様であり、温度条件に代えて湿度条件が考慮される点が異なる。
<湿度の予測について>
本実施形態では、湿度条件によってインク噴出間隔の調整を行うと説明したが、一般的
なプリンターには湿度センサー等、湿度を検出する機能が備えられていないことが多い。
そこで、本実施形態では、湿度を検出するのではなく、中空ポリマー微粒子を顔料とする
背景色インクの湿度変化による性質を利用して湿度を予測する。
前述のように、顔料として中空ポリマー微粒子を含有する背景色インクでは、該中空ポ
リマー微粒子の中央部に空間(以下、中空部とも呼ぶ)を有し、印刷前のインクでは該中
空部が溶媒によって満たされている。ノズルから噴出される前の背景色インクにおいては
、溶媒によって満たされた顔料粒子(中空ポリマー微粒子)中を光が透過するため、該顔
料粒子で光の反射が起こらず、インク自体は「透明」の状態である。一方、このインク組
成物を印刷して(インクドットを形成して)十分に乾燥させると、溶媒によって満たされ
ていた中空ポリマー微粒子の中空部が空気で置換される。そのため、中空部で入射光が乱
反射されて、実質的に「白色」を呈するようになる。
ここで、背景色インクの透明度は中空ポリマー微粒子の中空部に含まれる水分の量に影
響される。例えば、完全に乾燥した状態では中空部における光の反射率が最大になり、逆
に完全に水分で満たされた状態では中空部における光の反射率は非常に小さい。したがっ
て、媒体上に形成された背景色インクドットは当初は透明な状態(光を透過する状態)で
あり、時間の経過と共に乾燥して白色に変化していく。
一方、印刷環境の湿度が高い場合は中空部の水分が乾燥しにくくなるため、背景色イン
クは完全な白色になりにくく、やや透明がかった白色を呈する。すなわち、中空ポリマー
微粒子を顔料とする背景色インクによって形成された画像は、印刷時の湿度条件によって
「白色の度合い」が変化する。例えば、当該背景色インクによって印刷された画像は湿度
90%の環境においては、透明に近い色を示すが、その画像を湿度10%の環境で放置し
ておくと、透明だった部分が乾燥により白色化する。したがって、この「白色の度合い」
の変化から湿度を予測することができる。
本実施形態では、背景色インクドットが形成されてから所定時間が経過した後、発色が
安定した状態の該背景色インクドットについて「白色の度合い」を測定することで、背景
色インクドットが形成された環境の湿度を予測する。
まず、背景色インクを用いてテストパターンを印刷し、所定時間経過後にそのテストパ
ターン上に形成された背景色インクドットについて測色を行って、L*a*b*色空間の
L*値(以下、明度とも呼ぶ)として検出する。そして、あらかじめ調べておいた明度と
湿度との関係を利用して、検出された明度に対応する湿度を算出する。
ここで、背景色インクドットの明度と湿度との関係は、異なる湿度条件毎にあらかじめ
白色インクドットの明度を測定しておくことによって求められる。具体的には、ある湿度
条件下で白色インクドットの明度を定期的に測定して、背景色インクドットの明度の時間
変化の様子を調べる。これを異なる湿度条件について繰り返し、その結果をテーブルにし
て、プリンター1のメモリー63に記憶しておく。
図10に、異なる湿度条件における、背景色インクドットの明度の時間変化の様子の一
例を示す。図に示されるように、湿度50%の場合は、印刷終了後(時間0に時点)から
徐々に明度が上昇していき、所定時間経過後に明度が上限値L1に達する。そして、その
後は一定の明度L1を示す。一方、比較的湿度が低い場合(例えば湿度30%の場合)は
印刷終了後から急激に明度が上昇し、明度の上限値はL2となる(L1<L2)。また、
比較的湿度が高い場合(例えば湿度80%の場合)では明度が非常に緩やかに上昇し、明
度の上限値はL3となる(L3<L1)。
この性質を利用して、テストパターンを印刷した後t分後(発色が安定した後)の背景
色インクドットの明度を測定し、上述のテーブルとの比較を行うことで、対応する湿度が
予測できるようになる。なお、印刷後t分経過前(背景色インクドットの発色が安定しな
いうち)に明度が測定された場合、当該明度データをメモリー63に保存する際にエラー
が表示されるようにしておく。これにより、なるべく信頼性の高い明度データを用いて、
正確な湿度を予測できるようになる。
<湿度予測時の動作>
図11に、湿度予測を行う際の具体的な動作のフローを示す。
まず、プリンター1を用いて、中空ポリマー微粒子を顔料とする背景色インクを被印刷
媒体に噴出してテストパターンを印刷する(S301)。図12に、印刷されるテストパ
ターンの一例を示す。テストパターンは、該背景色インクによって所定の階調値(例えば
階調値255)で形成される複数のパッチから構成される。それぞれのパッチの形状やパ
ッチの個数は任意である。図ではパッチの位置が確認しやすいように、CMYKのカラー
インクで各パッチの輪郭を枠線として印刷している。また、背景色についての明度を測定
するため、背景となる媒体の色は黒等とし、少なくとも背景色(例えば「白色」)の明度
を測色可能な色を選択する。
テストパターンの印刷が終了して背景色インクドットの発色が安定した後、コンピュー
ター110に接続された測色器150(図1参照)を用いてテストパターンの各パッチの
明度の測定が行われる(S302)。各パッチを測定することによって得られた明度値は
コンピューター110を介して、メモリー63にそれぞれ記憶される(S303)。そし
て、複数のパッチ毎に測定された明度の平均値が算出される(S304)。この平均値が
背景色インクドットの明度値となる。CPU62は、あらかじめ記憶してあった明度と湿
度とのテーブルを用いて、算出された明度から印刷環境の湿度hを予測する(S305)

例えば、図10に示されるようなテーブルが記憶されている場合、算出された平均明度
がL1であれば湿度は50%であり、L2であれば30%ということである。また、算出
された平均明度がLn(L1<Ln<L2)である場合は、L1とL2のデータから2次
補間等の方法により予測湿度を算出する。
このような、テストパターン印刷、測色を含む湿度予測処理(S301〜S305)は
印刷開始直前にあらかじめ行っておく。
<湿度条件に応じたインク噴出間隔の調整>
背景色インクとカラーインクとの重ね打ちを行う場合の各インクの噴出タイミングを、
前述の方法によって予測された湿度条件に基づいて調整し、適切なインク乾燥時間を確保
する。
図13にインク噴出間隔調整処理における具体的な動作のフローを示す。
(S401)の「背景色インク使用モード」を判断する工程は第1実施形態の(S20
1)と同様である。
(S402)において、プリンター1のCPU62は、前述の(S301〜S305)
において予測された湿度hと、あらかじめ設定された所定の基準湿度H(例えば60%)
との比較を行う。そして、予測された湿度hが基準湿度H以上の大きさであればインク噴
出間隔の調整を行い(S403)、基準湿度Hよりも低ければインク噴出間隔の調整を行
わずにそのまま印刷を続行する。なお、基準湿度Hの大きさは、実際に印刷された画像を
確認した後に、ユーザー自身がユーザーインターフェイス画面等を利用して、設定を変更
できるようにしておくとよい。これにより、良好な印刷画質と快適な印刷時間を両立でき
るようになる。
前述のとおり、インク噴出間隔の具体的調整方法(S403)は、パス間待ち時間の調
整(第1実施形態参照)、印刷モードの変更(第2実施形態参照)、及びその組み合わせ
(第3実施形態参照)によって行われ、できるだけ乾燥時間を長く確保できるようにする
。なお、図11では、測定した明度から予測湿度を求め、図13では、予測湿度を基準湿
度(基準)と比較しているが、測定した明度を、基準となる湿度に対応する基準明度(基
準)と比較してもよい。
<第4実施形態の効果>
本実施形態によれば、湿度条件を考慮することで、GLYを多く含有する背景色インク
とカラーインクとを重ね打ちする際に、インク噴出間隔を適切に調整することができるよ
うになる。すなわち、印刷環境の湿度が所定の湿度条件以上の場合にだけインク噴出間隔
が長く調整され、湿度が低い場合(調整が不要な場合)には従来どおりの印刷が行われる
。これにより、ユーザーは湿度条件に影響されにくい良好な画質の画像を得つつ、快適な
印刷時間で印刷を行うことができるようになる。
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態では、湿度条件を考慮しているが、考慮するのが温度条件であっても良い
。図10に示されたような、湿度が異なる場合に経過時間に伴う明度変化が異なる現象は
、温度が異なる場合にも発生する。そこで、明度を測定して、測定された明度から温度を
予測して、予測した温度と基準温度(基準)とを比較し比較に基づいて、噴出タイミング
の調整を行ってもよい。明度から予測される環境条件は、温度でも湿度でもよく、あるい
は温度と湿度を考慮した環境条件であるとしてもよい。なお、環境条件によって明度変化
が異なるのであるから、明度から予測する条件は環境条件であると言える。また、明度測
定により予想した環境条件と温度センサーにより検出した温度条件とを両方用いて環境条
件に応じた高精度な噴出タイミング調整を行うこともできる。
===第5実施形態===
第5実施形態では、印刷環境の温度条件に加えて湿度条件も考慮することによって、背
景色インクとカラーインクとの噴出タイミングの間隔を調整する。
図14に、温度条件と湿度条件とが共に考慮される場合のインク噴出間隔調整処理にお
ける具体的な動作のフローを示す。
はじめに、背景色インク使用モードで印刷が行われるか否かが判断される(S501)
。背景色インク使用モードが選択されている場合には、続いて温度検出が行われ、温度セ
ンサー55によって印刷環境の温度kが検出される(S502)。そして、あらかじめ設
定されている基準温度Kと検出された温度kとが比較される(S503)。
検出された温度kが基準温度K以下の場合には、続けて予測湿度hと基準湿度Hとの比
較が行われる(S504)。そして、予測湿度hが基準湿度H以上の場合には、インク噴
出間隔の調整が行われる(S505)。インク噴出間隔の調整の具体的な方法は第1〜第
3実施形態の場合と同様である。予測湿度は第4実施形態と同じ方法で予測したものでも
よいし、プリンターが湿度センサーを備え、湿度センサーで検出した湿度を使用してもよ
い。ただし、温度は温度センサーで検出したものを用い、湿度は明度を測定することによ
り予測したものを用いることで、湿度センサーを備える必要が無く、環境条件に応じた高
精度なインク噴射環境の調整が可能である。この場合、明度測定により予想するのは湿度
に限らない環境条件であるとしてもよい。
なお、温度条件の比較(S502・S503)と、湿度条件の比較(S504)との順
番を逆にすることも可能である。しかし、温度条件の方がインクの乾燥時間に与える影響
が大きいため、図14に示されるように温度条件の比較を先に行う方が好ましい。
<第5実施形態の効果>
本実施形態によれば、温度条件と湿度条件とを合わせて考慮することにより、より適切
なインク噴出間隔で印刷を実行することができるようになる。
===第6実施形態===
第6実施形態では印刷装置として、ラインプリンター(プリンター2)を用いる。ライ
ンプリンターは、所定の方向に搬送される媒体に対して、媒体の上方に設置されたヘッド
からインクを噴出することによって印刷を行うプリンターである。
<プリンター2について>
図15は、プリンター2の全体構成を示すブロック図である。また図16は、プリンタ
ー2の概略図である。
プリンター2は、搬送ユニット20と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コン
トローラー60と、を有する。コントローラー60の機能は、前述のプリンター1とほぼ
同様である。また、プリンター1と同様に、印刷時は制御装置であるコンピューター11
0に接続される。コンピューター110には湿度予測を行う際に使用される測色器150
が接続される。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という
)に搬送させるためのものである。搬送ユニット20は、上流側ローラー26A及び下流
側ローラー26Bと、ベルト27とを有する(図16)。不図示の搬送モーターが回転す
ると、上流側ローラー26A及び下流側ローラー26Bが回転し、ベルト27が回転する
。給紙された紙Sは、ベルト27によって、印刷可能な領域(ヘッドユニット40と対向
する領域)まで搬送される。なお、搬送中の紙Sは、ベルト27に静電吸着又はバキュー
ム吸着されている。
また、ベルト27の上方には温度センサー55が備えられている。
ヘッドユニット40は、インクを媒体に噴出するためのものであり、搬送中の紙Sに対
してインクを噴出することによって、紙Sにドットを形成し、画像を紙Sに印刷する。ヘ
ッドユニット40は紙幅分のドットを一度に形成することができる。ヘッドユニットとし
て、搬送方向の上流側に背景色インクを噴出する背景色インクヘッド(W)41を、搬送
方向の下流側にCMYKのカラーインクを噴出するカラーインクヘッド(C、M、Y、K
)41をそれぞれ有する(図16)。
図17は、ヘッド41の下面における複数の小型ヘッドの配列の説明図である。図に示
すように、ヘッド41では紙幅方向に沿って、複数の小型ヘッド43が千鳥列状に並んで
いる。各小型ヘッド43は、インクを噴出する複数のノズルからなるノズル列を備えてい
る。各ノズル列の複数のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチで並んでいる
<印刷処理について>
このようなプリンター2では、コントローラー60が印刷データを受信すると、まず、
搬送ユニット20によって給紙ローラ(不図示)を回転させ、印刷すべき紙Sをベルト2
7上に送る。紙Sはベルト27上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット
40の下を通る。ヘッドユニット40の背景色インクヘッド(W)41の下を紙Sが通る
間に、各ノズルから背景色インクが断続的に噴出され、背景色インクドットが形成される
。つまり、ドットの形成処理と紙Sの搬送処理が同時に行われる。背景色インクドットが
形成された紙Sはさらに下流へと搬送され、ヘッドユニット40のカラーインクヘッド(
C、M、Y、K)41の下を通る間にカラーインクが噴出され、背景色インクドットの上
にカラーインクドットが形成される。
その結果、紙S上には搬送方向及び紙幅方向に沿った複数のドットからなるドット列が
形成され、画像が印刷される。そして、最後に、コントローラー60は、印刷が終了した
紙Sを排紙する。
<インク噴出間隔の調整について>
背景色インクとカラーインクとの噴出間隔の調整は、媒体の搬送速度を調整することで
行われる。それ以外の動作は前述の各実施形態と同様である。すなわち、第1〜第3実施
形態の図7における(S204)や、第4実施形態の図13における(S403)、図1
4における(S505)の工程のみが異なる。
本実施形態では、プリンター2(ラインプリンター)の特性上、前述の第1〜4実施形
態のようにパス間待ち時間や単方向/双方向印刷といった設定を変更することはできない
。そのため、背景色インクが噴出されてからカラーインクが噴出されるまでの時間間隔は
、搬送用の上下流ローラー26A・Bの回転速度を変更する等、媒体の搬送速度を遅くす
ることにより調整される。
例えば、温度条件及び湿度条件を考慮する場合、検出温度k(℃)が基準温度K(℃)
以下であり、かつ、予想湿度h(%)が基準湿度H(%)以上であるときには、CPU6
2は媒体の搬送速度を通常印刷時の0.5倍にする。搬送速度が遅くなることにより、図
16において紙Sが背景色インクヘッド(W)41の下を通過して背景色インクドットが
形成されてから、カラーインクヘッド(C、M、Y、K)41の下を通過してカラーイン
クドットが形成されるまでの時間が長くなるため、先に形成された背景色インクドットの
乾燥時間を確保することができる。なお、搬送速度の変更率についてはユーザー自身が任
意の倍率に設定することができるようにしておく。
一方、検出温度k(℃)が基準温度K(℃)よりも高い場合や、予想湿度h(%)が基
準湿度H(%)よりも低い場合は、搬送速度の変更は行われない。すなわち、インク噴出
間隔の調整は行われず、通常の印刷が行われる。
<第6実施形態の効果>
本実施形態によれば、ラインプリンターを用いて背景色インクとカラーインクとの重ね
打ちを行う際に、先に形成された背景色インクドットを乾燥させてから、該背景色インク
ドットの上にカラーインクドットを形成することができるようになる。これにより、なる
べく印刷時間が短くなるようにしつつ、滲みや混色を抑制した良好な印刷画像を得ること
が出来るようになる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容
易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、
その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含ま
れることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれる
ものである。
<使用するインクの色について>
前述の実施形態では、カラーインクとしてCMYKの4色のインクを使用して記録する
例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマ
ゼンタ、クリア等、CMYK以外の色のインクを用いて記録を行う場合にも適用すること
ができる。
<インクに含有するGLYについて>
背景色インクとカラーインクは少なくとも何れか一方がGLYを含有している場合に、
背景画像とカラー画像を重ねた場合に滲みや混色が発生する可能性があるため、背景色イ
ンクとカラーインクとを重ね打ちする際、乾燥時間を確保するためにインク噴出間隔の調
整を行うこととすればよい。背景色インクとカラーインクのうち、後から重ね打ちするイ
ンクのみがGLYを含有している場合であっても、後から重ね打ちするインクの乾燥速度
が環境条件によって遅い場合、乾燥するまでに先にドット形成したインクとの混色が発生
することがあるからである。ただし、先にドット形成するインクがGLYを含有している
場合の方が、先にドット形成するインクがGLYを含有しておらず後から重ねてドット形
成するインクがGLYを含有している場合よりも混色が発生し易いことから、先にドット
形成するインクがGLYを含有しているか否かを判断し、含有している場合は噴出タイミ
ング間隔の調整を行い、含有していない場合は後からドット形成するインクのGLY含有
有無に関係なく噴出タイミング間隔の調整を行なわないこととしても良い。なお、背景色
インクとカラーインクはいずれを先にドット形成させても良い。カラーインクとしては少
なくとも1色を使用すればよく、2色以上を使用する場合は、使用するカラーインクのう
ち少なくとも1色にGLYを含有していればカラーインクがGLYを含有することとすれ
ばよい。また、インクがGLYを含有する場合、少なくともGLYを含有していれば、重
ね打ちする際、滲みや混色が発生する可能性があるため、GLY含有率に係わらずGLY
を含有していればGLYを含有することとしてもよい。
<ノズル列の配置について>
前述の実施形態では、ヘッド部のノズル列はCMYKの順で並んでいたが、これに限ら
れるものではない。例えば、ノズル列の順番が入れ替わっていてもよいし、Kインクのノ
ズル列数が他のインクのノズル列数より多い構成などであってもよい。
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行ってもよい。その場合、プリンターと
ドライバーをインストールしたPCとで印刷装置が構成される。
1 プリンター、2 プリンター、20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、
22 搬送モーター、23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
26A 上流側ローラー、26B 下流側ローラー、27 ベルト、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモーター、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 ケース、412 流路ユニット、
412a 流路形成板、412b 弾性板、412c ノズルプレート、
412d 圧力室、412e ノズル連通口、412f 共通インク室、
412g インク供給路、412h アイランド部、412i 弾性膜、
43 小型ヘッド、50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサー、54 光学センサー、
55 温度センサー、60 コントローラー、61 インターフェイス部、
62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、
110 コンピューター、150 測色器

Claims (7)

  1. 中空ポリマー微粒子を含有する背景色インクを噴出して媒体に背景色インクドットを形成する背景色インクノズル列と、
    カラーインクを噴出して媒体にカラーインクドットを形成するカラーインクノズル列と、
    前記背景色インク及び前記カラーインクの噴出動作を制御する制御部と、
    を有する印刷装置であって、
    前記背景色インクドットと前記カラーインクドットとが、前記媒体上に重ねて形成される際に、
    前記制御部は、前記背景色インクが噴出されるタイミングと前記カラーインクが噴出されるタイミングとの間隔を、
    前記背景色インク及び前記カラーインクが噴出される環境の条件に応じて変更し、
    前記背景色インクドットについて測定された明度あるいは明度に基づいて予測された前記環境の条件と、所定の基準との比較を行い、
    前記制御部は、前記比較の結果によって前記間隔を長くすること
    を特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    温度を検出する温度検出部を備え、
    前記温度検出部によって検出された印刷時の温度が所定の基準温度以下である場合に、
    前記制御部は、前記間隔を長くすることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記背景色インクノズル列及び前記カラーインクノズル列を有するヘッド部が、前記媒体の搬送方向と交差する走査方向に移動しながら前記背景色インク及び前記カラーインクを噴出する印刷装置において、
    検出された前記温度が前記基準温度以下である場合には、
    前記制御部は、前記ヘッド部が前記走査方向を移動しながら前記背景色インクを噴出する第1印刷動作と、前記ヘッド部が前記走査方向を移動しながら前記カラーインクを噴出する第2印刷動作と、の間に休止時間を設けることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記媒体と対面する位置に前記背景色インクノズル列及び前記カラーインクノズル列が設置され、前記媒体が搬送方向に搬送される間に前記背景色インクノズル列及び前記カラーインクノズル列から前記背景色インク及び前記カラーインクを噴出する印刷装置において、
    検出された前記温度が前記基準温度以下である場合には、
    前記制御部は、前記媒体の搬送速度を遅くすることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記背景色インク及び前記カラーインクは、水を主溶媒として含有するインクであり、
    前記媒体は前記水を吸収する媒体であることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記背景色インクまたは前記カラーインクの少なくとも一方が、グリセリンを含有することを特徴とする印刷装置。
  7. 背景色インクノズル列から中空ポリマー微粒子を含有する背景色インクを噴出して媒体に背景色インクドットを形成することと、
    カラーインクノズル列からカラーインクを噴出して媒体にカラーインクドットを形成することと、
    前記背景色インクドットと前記カラーインクドットとが、前記媒体上に重ねて形成される際に、
    前記背景色インクが噴出されるタイミングと前記カラーインクが噴出されるタイミングとの間隔を、
    前記背景色インク及び前記カラーインクが噴出される環境の条件に応じて変更することと、
    前記背景色インクドットについて測定された明度あるいは明度に基づいて予測された前記環境の条件と、所定の基準との比較を行い、前記比較の結果によって前記間隔を長くすること、を特徴とする印刷方法。
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