JP5640250B2 - 太陽光コジェネレイションモジュール - Google Patents
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Description
エネルギー効率の点では、太陽光発電装置に照射される太陽光エネルギーが電力へ変換される変換効率(ECR)は実用化されている装置で12〜14%程度であり、残りのエネルギー量88〜86%は利用できていない。これがエネルギー供給装置として大面積の装置を必要とし、発電された電力コストが商用電力で得られるコストである23円/KWhの2倍近く即ち40円/KWh程度の高価格になってしまい、前述した初期投資の回収期間は40年程度に長期化し、普及が進まない主な原因となっている。このため発電セル自体の変換効率(ECR)の向上のための新しい技術開発が期待されている。
例えば家庭用の3KWの太陽光発電装置では通常30平方メーターの受光面積が必要であり、そのため設置スペース上の制約が大きいばかりでなく、実際の据付工事が極めて大変な作業を伴う事も価格アップ要因であり、且つ普及拡大を妨げている要因である。
その結果、商用の系統電力が日本国内で現在23円/KW程度であるのに対し太陽電池単独の場合の出力電力価格はその寿命を20〜25年と想定すると30〜40円/KWh程度となってしまい、このためにその普及が進んでいない。
またシリコンアモルファスをガラス面乃至はプラスチックフィルム面に形成したもの乃至はそれをシリコン結晶と積層させてECRを向上させたものも出現している。このアモルファスを建材用窓ガラス上に形成してビルなどの窓材として用いて窓が発電するようにしたものも実用化されている。また銅やインヂュームなどシリコンと異なった材質をセル材料としてガラス基板に極薄で蒸着させたものもシリコン基盤セルの代替として資源不足を回避するものも有望である。セルの電極基板としてアルミニウム薄板を用いた方式の太陽電池も商品化されてきている。これは1mm程度の直径の小さな球状のシリコンを多数のすり鉢状の壺を形成したアルミニウムの基板の該すり鉢状の穴の中に埋め込んだ構造で、該すり鉢状の穴の表面が球状シリコンに集光させる光反射機能を有し、また電極の機能を有している。このアルミニウム基板電極型発電セルはその基板が伝熱性の良好なアルミニウム製であることが本発明の対象である太陽光コジェネレイション装置の高性能化に極めて有効な構造となっている。
即ち発電セルの基板としてシリコンそのもの、ガラス板、樹脂板、アルミ板など多くの種類のものがある。
数十年前から、同じ受光体で電力と温熱を得ることができる太陽光コジェネレイションモジュールの研究及び開発が検討されてきている。即ち発電セルの背面にヒートシンクとしての金属板を設置し、その金属板と一体化された配管や媒体通路に水や冷媒を通じて発電セルで生じた温熱を収集するものである。この方式によれば太陽光発電装置と太陽熱温水器を別々に設置したものに比べて全体の受光面積が小型化でき、コストダウンと同時に設置スペースの削減という二つの基本効果が達成でき、また装置の設置工事も簡略化できる。さらに発電セルを強制的に冷却する事により発電セルの温度を低下させることができ、発電セルの発電効果が向上されるという利点が生じる。また家庭や店舗で用いた場合に電力と給湯用温熱や暖房用温熱が同時に得られるという利点がある。
本発明が扱う技術分野が目指す太陽光コジェネレイションモジュールの出力の価格はその初期価格を温熱出力で50〜60%を負担でき、出力電力の負担は初期価格の40〜50%の負担に軽減される。 その結果、出力電力は市販の商用電力より低い価格即ち20円/KWh程度の価格を実現できるという大いなる効果がある。
その理由は
1、複雑な材料からなる高機能複合体になるため実用上の長期信頼性の確保が難しい。
即ち、発電セルの材料はシリコン、ガラスなど熱膨張係数が極めて小さくかつ伝熱性 能が悪い材料からなるが、一方その背面に配置されるヒートシンクや冷却配管に使わ れる材料は伝熱性能が高い金属材料で、線膨張係数が極めて大きい。この結果モジュ ールの性能・効率を高めるための密着構造と、広範囲の温度変化によって生じる大き な熱歪に対応した信頼性重視のための分離構造の双方の要求を解決する実用的で安価 に実現できる構造及び材料技術が確立されていない。
2、太陽電池と異なり、コジェネレイションモジュールでは集熱機能を持たせるために、 セルとヒートシンクの周囲は出来る限り断熱性能の高い材料構造を用いる事になり、 太陽光の照射量の変化、さらにはその出力となる温熱を利用する場合と利用しない場 合とでその構造部材が晒される温度環境は大きく変化し、その温度範囲は日本国内の 様な温暖化地域でもマイナス20〜プラス120℃と極めて広い温度範囲になるため 前記1、の課題は極めて厳しいものとなる。
3、一方、温熱を利用するための冷却媒体(一般には水、不凍液)を広い範囲に渡って設 置される装置システム全体に循環させる構造であり、結露による錆、接合箇所からの 媒体漏洩、など多くの信頼性リスク項目が多く、媒体の循環ポンプ寿命の問題もある 。太陽電池システムに比べてその実用的な寿命年限が短くなる要因となり、時には半 減する危険性がある。
4、最大の課題は前述した発電セル層とヒートシンク及び冷却を行う冷却媒体回路体との 接合が長期的な使用により剥がれてしまうというリスクである。積雪加重、大風の風 圧や振動、水分や湿分、温度変化、日照といった過酷な運転環境における複合構造物 としての長期寿命を確保するための構造と材料及び製造方法が確立できていないこと である。
5、これら課題を解消するため、高機能材料使用のコストが増し、さらに構造が複雑にな ってそのコストが高くなり勝ちであり、コジェネレイションの出力向上効果を相殺し てしまい、単純な太陽電池と同等な経済効果しか得られないということもある。
以上の様な課題がある。
その技術分野は
発電セルの材料特性にマッチし、モジュール全体を支えるに十分な強度と温熱を伝える伝熱特性と発電セルを乗せるための平坦面を持ち尚且つ商品化できるコストを実現できるモジュールの構造体の基盤としてのモジュール基板と、発電セルで生じた温熱をこのモジュール基板を通して取り出すための長期的な信頼性の高い且つ商品化可能なコストを実現できる冷却構造体(本発明ではこれを冷却媒体回路体と表現していると)、更にセル及びモジュール基板及び冷却媒体回路体を接合するための生産性が高く商品化可能な信頼性とコストを実現できる製造方法などに関するものである。
本発明が実現しようとしているコジェネレイションモジュールの目標を以下の様に定めて技術開発を進めてきた。
1、光照射エネルギーを電力と温熱に変換する上での高い変換効率の達成
電力:10〜13%以上(太陽電池と同等乃至はより優れた発電特性)
温熱:40%以上(太陽熱温水器と同等な効率)
トータルエネルギー:50%程度(最高効率の達成)
以上の変換効率の達成を目標としている。
2、コスト目標:太陽電池モジュールに対しコストアップ25%以下のコスト達成
3、太陽電池と同等の運転寿命:20年以上(修理、メンテナンスを含め)の達成
4、以上により太陽光コジェネレイションモジュールの出力電力価格として前述した様に商用系統電力価格を下回る、即ち20円/KWhを目標として検討する。
こうした背景の中で、太陽光発電装置から同時に熱を得るための太陽光コジェネレイション装置の技術は多くの研究や開発がされて来ている。
その中で特許文献1は集熱パネルと熱コレクタの組み合わせを基本として一次冷媒による冷却方法などについての技術が提示されている。しかしながら発電セルはEVA樹脂と透明ガラス基板を通して放熱してしまい温熱の獲得熱量は大幅に少なくなる。また冷媒通路は上部集熱板と下部集熱板を接着乃至は溶接して形成しているから冷媒のリークのリスクは大きい。屋根上に設置後に多数のパネルの一箇所でもリークが発生すればその発見と修理の困難度からみて商品価値は台無しになる危険があり、採用できない。 アルミ製の上部集熱板の発電セルへの熱歪の緩和についての工夫も無く、長期使用中にヒートサイクルの繰り返しによる発電セルの破損、不具合発生のリスクは大きい。上部集熱板と下部集熱板はアルミのブロック構造であるためその重量は増加してコストの上昇及びその重量増の点で据付工事性の問題がある。以上の点でこの様な構造では商品化は大きな困難を含んでいる。
特許文献2はコジェネレイションモジュールの基本構造を提示しているが、セル上面からガラスを通じての放熱ロスが決定的に性能低下をきたす事、モジュール全体の平面強度を確保するための基盤となる部品が無く白色ガラスと集熱器では積雪や 台風などによる風圧振動などの負荷に対し全体の強度が不足する、集熱板は細切れ形状であり、フィルムとの接着を行うEVAフィルムなどの接合強度の信頼性は著しく劣化し、数年の使用で剥離することが考えられる。また各EVA接合は別工程で熱溶着されており、一回の加熱操作で全体を接合する方式に比べ生産性の低下、品質の低下が心配である。
特許文献4は太陽光発電セルの背面にアルミ板によるバックシートを設けこのバックシートに集熱管を押える集熱板を接着している。この集熱板をピンにより機械的に押さえ込んで接着させている。この接着は小さな金属片からなる集熱板はそれが小さい故にモジュールが台風などで風圧を受けて振動すると容易に端面部から接着剥がれが生じる。これを防ぐ意味で金属ピンにより機械的にバックシートと固定する方法はある程度の強度と信頼性向上に寄与するが、完全に剥がれを防止することは難しいと考えられる。且つ集熱管は多数本がヘッダー管にロー付け接続されておりこの部分からの冷却媒体の漏洩のリスクは大きく不安定な構造と言える。また、前述したピンによる接着接合は製造工程上も多くの手間と接合時間が必要となり生産性の悪化は製造コストの上昇を招くと考えられる。
(1)構造強度
発電セルと冷却機構は安定して強固に保持されており、積雪、地震、台風、装置全 体の変形歪などのストレスに耐える構造、接合、材料が必要である。このため冷却 機構自体が高い強度を有するか、これとは別に高い強度の基板状の構造物が必要と 考えられる。この強度部材は強度のみでなく、錆などに強い材料で、軽量で、且つ 低コストで製造できることが必要である。
(2)平坦度
この強度部材乃至は基板の上面は破断し易い発電セルを支持するために精度の高い 平面であることが必要である。
(3)熱歪
この強度部材乃至は基板は発電セル材料と熱的に密着した関係に接合されるから、 温度変化によって生じる熱歪みにより生じる応力歪にも対応できることも重要とな る。即ち、シリコン結晶やガラスは温度変化に対し線膨張係数が極めて小さな材料 である(2.7〜3.5/百万/℃)のに対しアルミニウムではその十倍以上の熱 歪みによる変形が生じるため、その歪の差を緩和して、尚熱的な接合が維持されね ばならない。
(4)伝熱性能
発電セルにおいて生じる温熱を取り出す場合には発電セルと冷却機構とをできる限 り密着させる事が必要で、全ての部分に於いて、前述した様に温度変化による相対 歪を吸収できる構造と材料であることが求められる。 銅、アルミニウム、鉄、ガ ラス、樹脂の順に熱伝導に優れ、一方樹脂、アルミニウム、銅、鉄、ガラス、シリ コン基板の順に温度膨張係数が高い。これらの特性を活かして温熱を効率よく取り 出し且つ相互の熱歪みを吸収する構造と材料の利用が求められる。
冷却用の媒体は水、不凍液が使われるが、この媒体を発電セルの運転寿命と同等の 20年以上の期間にわたり漏れの発生が無く安定して運転させるため、簡略化され た構造の冷却機構とそれを構成する冷却媒体回路の構造が必要である。基本的には 溶接や接合の無い構造で、長期使用に耐える金属材料が望ましい。二枚板の溶接構 造などはどんなに精度の高い溶接を行っても完全に漏れを防止することが最重要と いう視点から見て採用できない。冷却配管の錆びの問題を解決する方法として冷却 回路を樹脂製にする方法も有力であるが、樹脂は線膨張係数がアルミより更に大き く(20〜90/百万/℃)熱伝導率が極めて小さい(0.3W/m℃)という問 題がある。
(6)発電セル〜冷却配管の接合信頼性
冷却配管をモジュールの基板に接合する方法はロー付け、接着など多くの方策があ るが、配管を基板に単純に接合する方法は基板内の伝熱特性、冷却管周囲の伝熱特 性、接合の剥がれ、基板の変形、等という視点で適した方法が見出せない。この部 分の接合には以下に記す様に、ホットメルト接合のための下面のカバー材としての 機能と基板から冷却配管に効果的に伝熱させる機能を果たし且つ軽量で低コストで あるアルミニウム製の薄板でカバーするなどの方法が適している。その形状もまた 以下に詳しく述べる様なニーズを満たすものが望まれる。
モジュールの基板を間にサンドイッチ状態に挟んで発電セルと冷却配管及びそのカ バー材を伝熱可能な状態で、且つ夫々の材料の熱歪み量の差により剥がれたり材料 破損させることが無く、且つ生産性に優れた、且つ製造コストに優位な接合方法に よる接合が必要である。
モジュールの運転環境は温度範囲:−20℃〜50℃、湿度範囲:10〜100%、
風速:40m/秒を想定している。この環境条件で作動したときのモジュール最 高温度は冷却媒体機能が停止したときには125℃程度となる。こんなに高温度に なるのは温熱収集装置として上面と下面及び外周の断熱を強化するためである。
−20℃に近い低温度環境での凍結についても十分な担保策が取られている必要 がある。
(8)生産性
問題となるのは発電セルと冷却媒体回路体の接合に関するところである。前述した 信頼性を担保するために複雑な製造方法を採用する事はコストアップになるため避 けなければならない。モジュールは一軒で多数枚数を使用するから、その製造の生 産性は通常の単一機器のそれより格段に洗練化させることが必要である。
以上の機能要求を満たす構造と材料と製造方法の開発は高度な技術を必要とする と同時に実用化を難しくしている。さらにそれらの機能を満足するものはその材料 、構造共に高機能なものとなるため、そのコストが高騰し、民生用の装置として実 用化が難しくなる。
(10)製造設備投資
コジェネレイションモジュールは複合機能を実現するための複雑な構造になり勝 ちであり、その製造工程も通常は幾つもの工程が必要で、そのための製造設備投資 は大きくなり、製造コストの高騰及び初期設備投資の増大は事業参画の障壁となる 。
以上、(1)〜(10)を満たしたモジュールの開発の成功実現を目指して本発明の各種技術は研究、検討されてきた技術である。
(A)出力エネルギー目標として電力は太陽電池単独と同等、温熱も太陽熱温水器単独に 対し同等マイナス数%以上の性能レベルを達成する。
(B)運転寿命として20年、サービスメンテナンスを前提として30年を達成する。
(C)モジュールコストとして単一機能の太陽電池をベースに20〜30%コストアッ
プ以下を目標とする。
以上の目標課題の設定値は、これを実現する事により出力エネルギー価格半減という最大の目標を達成できると試算されるからである。
従って家庭用コジェネレイション装置の場合、単独の太陽光発電セル方式(約30平方メートル)に比べて全受光面積は10〜15平方メートル程度に小型化しても実用的な効果を満たすことができる。一方、従来の太陽熱温水器の受光面積が4〜6平方メートルであるのに較べ大面積であるが、電力出力があることさらには得られる温熱量が充分で温水給湯ばかりでなく暖房にも利用可能となるなど、その出力エネルギーの利用価値が高いことが優位である。
この太陽光コジェネモジュールは家屋の屋根上などに設置するもので、全体を平板状に構成し、固定用アングルなどで屋根上等に固定して設置する。
しかしてこのモジュールの中核をなす太陽電池を構成する発電セル組み立ては個々の発電セルを電気リードで連結して構成したものをさす。発電セルはシリコン結晶の薄板であるバルクシリコンと呼ばれるものやガラス板に銅、インジューム、セレン、ガリュームなどの金属成分を蒸着して電池層を形成したCISGと呼称されるものや、薄膜の樹脂の表面に塗装膜状に形成したアモルファスシリコン乃至は色素増感型と呼ばれるもの、更には前述した極く小さな球状のシリコン球をアルミ基盤にマウントした球状シリコンタイプと呼ばれるものなど多くの種類のものがある。ここに発電セル組み立てとはそれらのセルを多数並べてそれらを電気的に連結して全体として太陽電池機能を保持させた全体が薄板状のものを意味している。
その材質は鉄板、アルミ板、SUS板およびその表面塗装やメッキ加工したもの、樹脂コートしたものなどが使用される。その肉厚は強度、重量、コストなどを勘案して0.5mm〜1.2mm程度が選定される。その表面処理は受光した光の吸収特性向上、電気絶縁性、錆などの長期信頼性を勘案して最適な処理方法を選択する。
以上の四つの平板状の部材の間に三層の接合用樹脂フィルムをサンドイッチした七層の平面構造として一緒に接合し強度のある一体化された本体を構成させることができる。ここではそれを太陽電池コアと呼称する。太陽電池コアは前述した様にほぼ同じ面積形状の七層の部材からなる平板状のものである。
モジュール基板と冷却媒体回路体との接合にも熱応答性の接合用樹脂を用いる。前述した透明のEVAを用いても良いし、必ずしも透明では無い熱応答性の樹脂フィルムを用いても良い。
本発明の接合作業は単独のラミネーション作業及び必要によっては架橋のための保温作業のみに乃至はその双方を行なうことにより実現が可能であることが特徴である。従来は冷却媒体回路体とモジュール基板の接合は螺子占め、溶接、ロー付け、化学的接着などにより行い、発電セル組み立てとモジュール基板の接合はEVAによるホットメルト接合を行なうことが通例である。
しかして、全体で七層の構造物としての太陽電池コアを最も平易な方法により製作することができるわけである。
七層の太陽電池コアはその構造上、製造上の特徴から次の様な特長を有する。
1、七層という多層で一体の立体構造のためその強度が高い。
2、全接合面が密着するため伝熱特性に優れる。
3、一層枚に接合用樹脂層が介在するので相互の熱歪みを緩和する機能があり、特にモジ ュール基板という層の存在は熱歪み緩衝に最適な金属材料を選択使用を可能にする。
4、全面積を接合しているから真空効果により剥がれに対し、信頼性が高い。
5、生産性が高く、製造設備投資が少なくて済む。
6、中間層の部材は完全に外界と隔離できるから、錆、劣化などを防止する事ができる。
7、溶接や螺子占めなど其の他多くの接合加工が無く、製造不良のリスクも小さく、製品 の長期使用の信頼性を高める事が容易である。
8、熱処理接合による組み立てであり、接合対象となる部材の構造、材料、形状などを自 由に選択可能であり、最適な組み合わせが可能である。
9、以上の結果コスト的に優位である。
という、商品化する上での極めて優位な成果を得ることができる。
さらに、接合して完成された太陽電池コアの外周部を耐候性塗料を塗布して密封することによりその信頼性をより高める事が可能である。
請求項2では冷却媒体回路体として、前記温熱を出力するために一本の金属製の冷却配管を曲げ成形し金属製の冷却配管カバーの上面に形成した凹部に埋め込んで上面が大略平坦になる様に双方を組み合わせた冷却媒体回路体を提示している。ここで一本の冷却配管とは一つの太陽光コジェネモジュールに使われる冷却媒体用の流路として金属製の配管である銅管やアルミ管やSUS管を用いることを大前提としている。
冷却媒体回路体として例えば樹脂製で内部に冷却媒体の回路を持った平板状の構造体や、二枚のステンレス板を溶接してその間に冷却媒体を流す方式のもの、上面が平板状のアルミ母体の中を冷却媒体回路を構成させたものなど多くの方式が提案されてきた。しかしながら本発明技術の目指すものは、屋根上に多数枚設置されるモジュールの設置性と長期信頼性を両立させることを考えたもので、軽量で設置し易く、且つ30年にも渡って長期間使用しても絶対に冷却媒体が漏れることが無いことが絶対必要条件である。従って長時間使用で劣化の心配のある樹脂と金属板を溶接接合して冷却媒体回路を構成したものなど製造ミスや長期使用による劣化が完全に排除できないものは適さないと考えている。一箇所でも屋根上で漏れが生じれば全体のシステムは作動不良となり、修理サービスの間は使用者に多大の迷惑をかける恐れがあるからである。唯一その目的に合う冷却媒体の方式は連続する一本の金属製の冷却管を用いて構成させるべきであるというのが本発明者の結論であり基本技術のベースになっている。
それは基本的にこの基本技術の考え方に含まれるからである。この連続する冷却配管を平板状のモジュール基板に熱的にかつ構造的に接合させるため、請求項1、2、3は薄板のアルミニウム板である冷却配管カバーでこの配管の下面をカバーして上面のモジュール基板に接合させる方式を提示している。この冷却配管カバーは生産性、製品重量、接合の信頼性、コストなどの視点からみて0.4mm〜1.2mmの肉厚の薄板を用い、接合面を全体に渡って平坦面にするため、アルミ薄板を成形して凹部を持たせたところに冷却配管を埋め込んで、両社の上面が平坦になる様に組み合わせる構造により上記の要請は達成される。
この構造方式の冷却媒体回路体を請求項1に提示した太陽電池コアに採用する事により本発明の目的である実用性のある太陽光コジェネレイションモジュールの基本構想が完成するものである。
枠体は上面カバー、太陽電池コア、下部断熱層の外周を被い保持する。樹脂製、アルミ製、SUS製のものなどが優れている。そのポイントはモジュール全体を支持、保持する強度と、降雪により上面カバー上に積雪する雪が融け落ちる事を邪魔しないように上面カバーからの出っ張り寸法を少なくする事が重要であり、少なくともモジュールの下端面では上面カバーからの出っ張りを無くす様な構造設計が求められている。
請求項1、2、3に示す簡単な全体構造はシステムの性能確保、運転信頼性確保、コスト低減の上で極めて重要な実用化技術である。
発電セルの主要部材とは以下の様に定義される。平板のパルクシリコン結晶セルをリード線で回路連結した場合はシリコン結晶が主要部材である。ガラス基板に金属化合物を蒸着させたものは発電セルは金属化合物であるが主要部材はガラス基板となる。樹脂板に発電セル材料を塗装したものでは樹脂板が主要部材である。また、アルミ基盤に無数の球状のシリコン結晶を配置した球状セル方式ではアルミ板が主要部材となる。主要部材とはモジュール基板に対して接合される基盤となる部材を意味している。
即ち、発電セルがガラス、シリコン系の場合(線膨張係数が2〜5×10の六乗)は線膨張係数ECが小さいので最もECが小さくて実用的な金属材料である鉄板、鋼板、ステンレス鉄板(EC=12〜18×10の六乗)を用いる。線膨張係数が近い材料を用いて発電セルに生じる歪み応力を軽減させて、亀裂や断線やそりが生じる事を防止する事が出来る。その意味で発電セルの基板がアルミニウム(EC=24×10の六乗)や樹脂(EC=20〜90×10の六乗)の場合には最もECが大きく実用的な金属材料であるアルミニウムを用いる事が推奨される。
鉄板を用いる。この肉厚は積雪などに耐えるための耐圧強度とモジュールの全重量軽減、コスト低減などを勘案して決定する。鉄板であればその熱伝導性、熱歪み、平坦度、強度、加工性の各評価項目について及第点を得る事ができるし、何よりも材料価格の安いことが最大の利点である。実際にはモジュール基板に鉄板を用いる場合は長い年月の使用を想定して錆の発生が懸念されるし、発電セルとの絶縁を確実にするために塗装を施したり、樹脂皮膜を施したり、メッキを施してそれを防止する事が望ましい。同様に請求項6に示した様にアルミニウムを用いた場合も伝記絶縁を考慮してその表面に樹脂皮膜を施したりアルマイト処理したり塗装したものを用いる事が望ましい。
しかしながら、鉄板やステンレス鋼板をモジュール基板として利用する場合にはその材料としての熱伝導の悪さを考慮した設計が必要である。アルミ平板(肉厚2mm)の場合には100mm程度の広いピッチ間隔で冷却配管をアルミ平板の背面に熱的に接合すれば伝熱は良好であるが、鉄板(肉厚2mm)の場合には狭いピッチ間隔として設置するなど冷却配管本数を増やす必要がある。できればモジュール基板の下面の全面を冷却媒体で直接冷却させる事が望ましい。これは冷却媒体のモジュール基板への接触面積をどのようにして増加させるかという課題である。モジュール基板下面の全面を冷却媒体を接触させて流す事は構造上、従ってコスト上で問題がある。そこで提案者はどの程度の面積を冷却させれば良いのかをシュミレイションし且つ試験評価をおこなって冷却配管のピッチを最適化する必要がある。
請求項2に関して前述した様に冷却配管カバーを極力大面積なものを用い樹脂接合面の密封状態を確保する事が接合剥がれを防ぐ意味で重要である。しかしながら請求項11でカバー薄板を一枚では無くて2〜9枚に分割したのは、温度変化による熱歪みを吸収するための工夫である。特に冷却配管の長手方向には熱歪み吸収の仕掛けが不可欠でありそちらの方向は冷却配管カバーは二つ以上に分団せざるを得ない。この分断ラインは切断ラインであるが、一部連結部を残した大部分が切込みされて実質的に分断されたものとか、応力歪みを吸収するための山形ビードをライン状に形成したものでも良い。
分断部分のシールを行っておけば、接合用樹脂が溶けてはみ出てくるのを防止することも
可能である。加熱接合時には冷却配管カバーのアルミ板は大きく膨張し、接合完了後に平温まで冷却した時には前記の分断面には隙間のラインができる。通常0.5mm程度の隙間のラインとなる。従って実際の運転の再に高温度に晒された時にはその隙間が熱歪みを吸収するための伸び代に対する余裕となる。
このため、冷却媒体は冷却配管の最下部分から導入されて最上部から排出される方式をとり、冷却管の構成は下から上に向けて常に水平か登り勾配になっている事が必要である。
上部断熱層である空気層を用いる方法が有効な方法である。温度検知型の開閉扉は90℃前後で開となり、75℃程度の温度で閉となる様にバイメタルサーモに連動したバネ機構によって自動開閉させる方法が適切である。接合用樹脂などの耐熱仕様限界温度は100℃以上であり、コジェネレイションモジュールの正常運転時の出力温熱温度は最大60℃程度に設定すると想定し、上記の開閉温度の仕様が決定される。
1、太陽光を利用して電力と温熱を同時に同一のセルから獲得する機能(コジェネレイ ション)を持った太陽光コジェネレイションモジュールを実用化するための基本方式、 構造に関する基本技術を提示し、製品化を可能にした。
2、太陽光コジェネレイションモジュールの設計、製造に必要な構造、材料其の他の基本
的な技術を明確化した。
3、本発明に提示した技術により高性能で実用的な、高い信頼性で長寿命、生産性の高い コスト対応力のある太陽光コジェネレイションモジュールの実現ができる。
4、このモジュールを組み込んだ分散型エネルギー利用システムを実現する見通しを立て ることが可能であり、このシステム実現のための検討を進める事ができる。
5、このシステムを実現して普及させ、エネルギー価格に優れた、CO2発生の少ない地 球環境保護に貢献させる事が可能になると期待される。
図1は太陽光コジェネレイションモジュールの従来事例の構造断面図とその一部分(X部分)の拡大図を示す。発電セル組み立て9、モジュール基板8、冷却媒体回路形成板22などから成る太陽電池コアはモジュール基板8を通して枠体20に留め金23により固定されている。モジュール基板8は肉厚0.8mmの一枚の平坦なステンレス鋼板製で、肉厚0.5mmのステンレス鋼板を図の様に成型した冷却媒体回路形成板22と図中L2で示された部分でシーム溶接されて接合されている。 ここではモジュール基板8と冷却媒体回路形成板22は幅L1で示された冷却媒体流路11を形成しており、全体としてその回路は蛇行状にモジュール基板8のほぼ全面積に渡って冷却媒体を行渡らせる様に形成されている。その回路はピッチ(L1+L2)の間隔の並行部分と両端のUターン部分で蛇行状に連続する様に構成されている。
他の事例として樹脂製の構造の冷却媒体回路をモジュール平板に接着する方式も考案されている。この場合は樹脂製で冷却媒体回路自体を完成させた状態でモジュール平板に接着させるため製造性、品質面では優位な方式であるが、厳しい運転環境の中で樹脂製の構造体は長期間の信頼性は期待できない。材料劣化による亀裂による冷却媒体の漏れ、変形によるモジュール基板との剥がれなどを回避することは難しい。多数本の冷却配管をヘッダー管から分流させる冷却媒体回路も提案されているが、これも多数の配管の接合・溶接箇所がその製品の信頼性を損ねる。
1、冷却用媒体が一本の配管内を流れる構成であれば、複合型流路に比較しロー付け不良 、溶接不良、局部的な錆などにより媒体が漏れると言う最も重要視される不良の発生の 危険が極めて少ない。従って、本発明の前提としてこの一本の配管を使って平坦な発電 セルから熱収集する特殊な構造体を作り上げた。これは高品質高信頼性で製作しやすく 低コストであり、従って実用性に優れた構造体を提供できる。
2、太陽電池コアは全体として一体化された七層の積層体であり、夫々の部材は薄く且つ 強度的には平均的な材質から構成されているが、全体の構造強度が極めて強く、積雪、 暴風、据付の取り扱いなどのリスクに強い構造を実現できる。
3、溶接加工などを施していないため、完全な平坦度と平面度を保つことが可能な金属製 のモジュール基板をこのコアの中心に配置し、その上下に接合用樹脂の緩衝層を挟んで 発電セル組み立てと冷却媒体回路体を接合したから接合加工によるセル及び媒体回路体 への悪影響が無く安定した接合が得られるから適正な接合構造を実現し易い。
5、七層の構造は三層の接合用樹脂EVAで接合されているから、相互の熱歪みを段階的 に緩和させる事が容易であり、使用温度範囲を広げる事が可能である。
6、発電セルで発生する温熱はモジュールの全面積を通して冷却配管中の冷却媒体に伝熱 されるため電熱特性に優れる。
7、モジュール基板は鉄板製、冷却配管は一本の配管、冷却配管カバーは薄肉のアルミ板 、
接合用樹脂は太陽電池の生産に大量に使用されているホットメルト樹脂、製造はラミ ネーションの一発接合、これらの基本方式は安い製品コストの実現に極めて有効。
8、特有の製造設備の主なものは真空ラミネーション装置のみであり、設備投資の最小化 とともに生産性の向上を達成できる。
2 上部断熱層
3 セル上面カバー
4 発電セル
5 発電セルリード線
6 接合用樹脂A
7 接合用樹脂B
8 モジュール基板
9 発電セル組立て
10 冷却配管
11 冷却媒体流路
12 接合用樹脂C
13 冷却配管カバー
14 冷却配管埋込部
15 アルミブロックスペーサー
16 分断ライン
17 上部平坦面
18 接合用樹脂C
21 下部断熱層
22 冷却媒体回路形成板
23 留め金具
Claims (5)
- 上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力する平板状の太陽光コジェネレイションモジュールに於いて、
夫々近似の面積形状の、太陽光透過性のある樹脂乃至はガラス製平板のモジュールカバーと、その下部の太陽電池コアーと、さらにその下に断熱層を積層してその外周に枠体を用いて構成し、
前記太陽電池コアーとして平板状乃至はフィルム状のセル上面カバー、電力を出力するシリコン結晶の発電セルを電気リードで連結し平板状に構成した発電セル組み立て、一枚の平板からなる鉄板乃至はメッキ鉄板製のモジュール基板、前記温熱を冷却吸収するために一本の銅製の冷却配管を繰り返しU字に曲げ成形して全体を平面状に構成した冷却配管、及びアルミニウムの薄板の上面に形成した凹部に前記冷却配管を埋め込んで全体の上面が大略平坦状になるように形成した冷却配管カバーを順次積み重ねて夫々の部材間を樹脂接合剤により接合させて全体を一体化したものを用い、
前記セル上面カバーと前記冷却配管カバーとの間で前記発電セル組み立てとモジュール基板と前記冷却配管の全体を包み込んで前記樹脂接合剤により接合した構成としたことを特徴とする太陽光コジェネレイションモジュール。 - 上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力する平板状の太陽光コジェネレイションモジュールに於いて、
夫々近似の面積形状の、太陽光透過性のある樹脂乃至はガラス製平板のモジュールカバーと、その下部の太陽電池コアーと、さらにその下に断熱層を積層してその外周に枠体を用いて構成し、
前記太陽電池コアーとして平板状乃至はフィルム状のセル上面カバー、電力を出力するシリコン結晶の発電セルを電気リードで連結し平板状に構成した発電セル組み立て、一枚の平板からなる鉄板乃至はメッキ鉄板製のモジュール基板、前記温熱を冷却吸収するために一本の銅製の冷却配管を繰り返しU字に曲げ成形して全体を平面状に構成した冷却配管、及びアルミニウムの薄板の上面に形成した凹部に前記冷却配管を埋め込んで全体の上面が大略平坦状になるように形成した冷却配管カバーを順次積み重ねて夫々の部材間を樹脂接合剤により同時成形で接合させて全体を一体化したものを用い、
前記セル上面カバーと前記冷却配管カバーとの間で前記発電セル組み立てとモジュール基板と前記冷却配管の全体を包み込んで前記樹脂接合剤により接合した構成としたことを特徴とする太陽光コジェネレイションモジュール。 - 上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力する平板状の太陽光コジェネレイションモジュールに於いて、
夫々近似の面積形状の、太陽光透過性のある樹脂乃至はガラス製平板のモジュールカバーと、その下部の太陽電池コアーと、さらにその下に断熱層を積層してその外周に枠体を用いて構成し、
前記太陽電池コアーとして平板状乃至はフィルム状のセル上面カバー、電力を出力するシリコン結晶の発電セルを電気リードで連結し平板状に構成した発電セル組み立て、一枚の平板からなる鉄板乃至はメッキ鉄板製のモジュール基板、前記温熱を冷却吸収するために一本のアルミニウム製の冷却配管を繰り返しU字に曲げ成形して全体を平面状に構成した冷却配管、及びアルミニウムの薄板の上面に形成した凹部に前記冷却配管を埋め込んで全体の上面が大略平坦状になるように形成した冷却配管カバーを順次積み重ねて夫々の部材間を樹脂接合剤により接合させて全体を一体化したものを用い、
前記セル上面カバーと前記冷却配管カバーとの間で前記発電セル組み立てとモジュール基板と前記冷却配管の全体を包み込んで前記樹脂接合剤により接合した構成としたことを特徴とする太陽光コジェネレイションモジュール。 - 前記金属製の冷却配管の側面に平坦面を形成し、該平坦面を前記金属製の冷却配管カバーの成形後の上面とで上部平坦面を形成する様に組み合わせた前記冷却媒体回路体を用いたことを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の太陽光コジェネレイションモジュール。
- 前記冷却配管として内面を樹脂をコートされたアルミニウム管を用いたことを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の太陽光コジェネレイションモジュール。
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