JP2012177541A - 太陽光コジェネレイションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】
太陽光発電は次世代のエネルギー供給源として期待の星である。しかしながら発電セルのエネルギー変換効率が15%前後である現在、何れの設置サイトに置いても必要な受光面積が大きく、設置スペースやエネルギー単価等の点に於いて石油、ガスを用いたエネルギー装置に比し実用的な不利は否めない。そこで電力と同時に温熱を獲得するコジェネレイション方式が有望であるがこれを製品として具体化する上で多くの課題がある。
【解決手段】
発電セルの背面に温熱を収集する金属製の基板を配設し、電力と温熱をコジェネレイションして高いエネルギー変換効率を実現するシステムに関し、発電セルに発生する熱歪の緩和と耐熱性確保、エネルギー変換効率向上、設置工事性確立、電熱負荷バランス調整、などの基本課題に関する技術策と商品化の方法を提示した。
【選択図】 図3

Description

現在日本国内はもとより海外でも太陽光発電装置及び太陽熱温水器(太陽光集熱装置)が注目されてきており、石油資源の消費削減、地球温暖化防止、石油資源関連部材の価格高騰の抑制、その他の地球環境的要請乃至は社会的ニーズに合った装置システムとして伸張が期待されている。しかしながらその市場規模は何れも日本国内の家庭用としても年間10万台の販売規模に満たない。一方ガス・石油給湯装置が400万台規模であり家庭用エアコンが700万台規模であるものと比べ極めてニッチェであり、市場規模は未だ小さい。このためガス石油を消費しないその省エネルギー性、地球温暖化防止効果、都心のヒートアイランド削減などの優位性は充分な効果をあげていない。
本発明の技術が適用される技術分野は民生用特に家庭用、業務用、さらには工業用に使われる太陽光を利用したエネルギー供給システム装置に関する分野である。その装置は太陽光を受けて発電と温熱供給とを行う太陽光利用装置(以下太陽光コジェネレイション装置と呼ぶ)と、その太陽光発電セルを支持する背面基板をヒートシンクとして利用し、これにより集熱される太陽光温熱を冷却配管などに伝える方式を組み合わせたシステムである。これにより現在の単独機能の太陽光発電装置及び太陽熱温水器の市場分野を大きく拡大進展させることが期待される。
単独機能の太陽光発電装置と太陽熱温水器の市場規模が伸びない理由はその装置への投資価格に対し出力効果が不十分であるためである。即ち初期投資を回収する期間(PBT)が7年〜30年であり、家庭用太陽電池では投資の回収に30年もかかる場合があるためである。
さらに太陽光発電装置では広い受光面積が必要で、このため設置可能な場所が限定されることもその大きな要因となっている。例えば家庭用の3KWの太陽光発電装置では通常30平方メーターの受光面積が必要であり、そのため設置スペース上の制約が大きいばかりでなく、実際の据付工事が極めて大変な作業を伴う事も価格アップ要因であり、且つ又
普及拡大を妨げている要因である。
他方、太陽光温水器の場合は以上の課題は決定的では無いが、寒冷地の水の凍結の問題があり且つそのエネルギー出力の使い途が温水に限られており、その他多くの種類のエネルギー用途を賄えない点も広く普及する事を妨げている。
またエネルギー効率の点でも太陽光発電装置に照射される太陽光エネルギーが電力へ変換される変換効率(ECR)は実用化されている装置で14%程度であり、その他86%は利用できていない状況にあり、発電セル自体のECRの向上が期待され、多くの研究機関、企業が検討を進めている状況にある。今後の商品の普及拡大にはこの技術進歩に大きな期待が寄せられている。
そこで、数十年前から、同じ受光面で電力と温熱を得ることができる太陽光コジェネレイション装置の研究及び開発が検討されてきている。即ち発電セルの背面にヒートシンクとしての金属板を設置し、その金属板と一体化された配管に水や冷媒を通じて発電セルで生じた温熱を収集するものである。この方式によれば太陽光発電装置と太陽熱温水器を別々に設置したものに比べて全体の受光面積が小型化でき、コストダウンと同時に設置スペースの削減という二つの基本効果が達成でき、また装置の設置工事も簡略化できる。さらに発電セルを強制的に冷却する事により発電セルの温度を低下させることができ、発電セルの発電効果が改善されるという利点が生じる。また家庭や店舗で用いた場合に電力と給湯用温熱と暖房用温熱が同時に得られるという利点がある。しかしながら数十年来の技術研究を経た現在でもこの方式は具体的な商品の形で市場で実現されていない。
本発明が実現しようとしている技術はこの太陽光から電力と温熱の双方を同時に発生させる太陽光コジェネレイション装置を実用的な形で実現するための構造、材料、方式に関するものである。太陽光コジェネレイション装置の技術面の狙いは単位受光面積あたりのエネルギー変換効率(TCR:トータルコンバージョンレシオ)を単一機能である太陽光発電装置の電気エネルギー変換効率(ECR)や太陽光温水器の熱エネルギー変換効率(HCR)の値に比べて大幅に向上させる事にある。
太陽光発電装置の最近の研究開発は目覚しいものがある。シリコン結晶のセルを用いたものでも多結晶化、シリコン結晶の薄板化、結晶事体の発電特性向上や結晶表面の受光特性改善などの研究が進展している。またシリコンアモルファスをガラス面乃至はプラスチックフィルム面に形成したもの乃至はそれをシリコン結晶と積層させてECRを向上させたものも今後の期待である。このアモルファスを建材用窓ガラス上に形成してビルなどの窓材として用いて窓が発電するようにしたものも実用化されている。また銅やインヂュームなどシリコンと異なった材質をセル材料として用いてECRを向上させたり、シリコン材料の代替として材料不足を回避するものも有望である。本発明の太陽光コジェネレイション装置に関わる発明はこれらの太陽光発電装置そのもの乃至はその改善品及びその技術を利用して太陽光コジェネレイション装置として仕上げるための技術分野に関するものである。
以上の様な実用上もエネルギー効率上も効果の高い太陽光コジェネレイション装置が実用化されていない理由は多々ある。それは太陽光発電モジュールと集熱装置としての冷却配管の構成が未熟で据付を含めた実用性があるものが開発できていない事がまづ挙げられる。さらには集熱する目的を満たすためモジュールの構造は外界と断熱構造にすることにより変換効率は高くなるが、このため集熱装置が作動していない時は太陽光によりセル及びセル周囲が100℃程度の高温度に晒されることになる。この耐熱性のあるセル及びその周囲構造が完成されていない事も理由の一つである。更にはシリコンなどの発電セルと金属製のヒートシンクは伝熱性の高い密着構造にする必要があるため、その線膨張係数の違いを吸収できずに発電セルが破壊し易い事も理由の一つである。また、発電量と集熱量が実際に設置され利用される家庭や店舗の電力及び温熱量の利用比率にあった太陽光コジェネレイション装置をサイトサイトに適したコジェネレイション装置として商品化し、用意することは実用上難しくコスト上昇要因になり勝ちな事も理由といえる。
こうした背景の中で、太陽光発電装置から同時に熱を得るための太陽光コジェネレイション装置の技術は多くの研究や開発がされて来ている。その中で特許文献1は集熱パネルの表面に太陽電池を設ける方式の太陽光コジェネレイション装置を用い、その発電電力でヒートポンプを作動させている。
特許文献2は太陽電池を表面に装着した熱交換器をヒートポンプ装置で冷却して電池セルの温度を下げて電池セルのエネルギー変換効率であるECRを向上させている。
特許文献3も太陽光集熱器における集熱を低温度で行いその収集熱を低温度蓄熱槽に蓄熱することにより太陽電池の温度を低温度に保ち発電効率を向上させたものである。
特許文献4は太陽光発電セルの背面に集熱体を設けこの集熱体に冷却用集熱管を取り付ける構造方式に関する技術を提示している。特許文献5は太陽光発電セルの裏面の熱伝導板からヒートポンプの配管へと伝熱させる技術についての発明である。こうした方式の熱特性のシュミレーション分析を行った技術報告が非特許文献1に見られる。
特許文献6には別方式の太陽光コジェネレイション方式が提示されている。窓などのガラスにシースルー状態の太陽電池セルを設置し、そこを通過した太陽光をその奥に設けた熱媒配管を有する集熱板に照射させて温熱を得る方式の太陽光コジェネレイション装置である。
本発明で取り上げる太陽光コジェネレイション装置の最大の狙いはコンパクトでコスト効果の高いシステムであるから、電気エネルギー変換効率(ECR)の高い発電セルを用い。発電効率の高い装置に仕上げる事を最優先としている。このためECRの低いシースルー型発電セルは採用できない。対象とする方式は発電セルをヒートシンク基板上に設置して発電セルで発生する温熱を直接ヒートシンク基板へと伝熱させて集熱する構造の方式であり、特許文献6の方式は採用できない。
太陽光コジェネレイション装置は太陽光発電装置と違い生じた温熱を放散させること無く集熱して熱を利用しようとするものであるから、装置の周囲は断熱構造を採用する。電池セルの上面は空気空間を介して上面ガラスを設けるし、集熱用のヒートシンク基板の下面は断熱材乃至は真空パネルなどの断熱層を設ける。熱の収集は冷却配管内に収集用媒体を循環させる事により行い、集熱と同時に発電セルを冷却する。装置停止時にこの熱収集用媒体を循環させない時間帯は装置全体は太陽光の照射を受けて温度が上昇する。特許文献7にはこの場合に上述した空気空間を空気が循環して冷却を行うことが出来る様に換気口を設け、それを開閉する技術が提示されている。
特許文献8に見られるように太陽光熱発電装置のセル表面乃至は放熱面に光の波長選択吸収特性を付与する微細加工技術がある。
以上に示した技術は太陽光コジェネレイション装置実現のための開発活動から出現したものと推定されるが、装置そのものは市場に商品の形で出現していない。この理由はいくつかあるが、最大のものは、商用電力エネルギー価格並みの価格効果のある方式乃至は装置が実現できていないためと考えられる。それは実際に装置を設置する工事を実用的に行える方式と構成を持った装置が開発されていない事及び装置の構成が複雑でコストが実用的なレベルに収まっていない事などが原因である。技術面では熱回収効果不足、耐熱温度、熱歪吸収などの問題が明確になっていないと考えられる。このような実際に商品化する上で課題解決に必要な技術は以上に示した背景技術には見つけることができない。
特開昭58−158455号広報 特開平05−066065号広報 特開平07−234020号公報 特開2003−314903号公報 特開2005−195187号公報 特開2004−317117号広報 特開2004−60972号広報 特開2003−332607号広報 松下電工技報(Mar.2002)太陽エネルギー利用設計のための熱シミュレーター
以上の内容を検討課題としてまとめると以下のように整理される。即ち太陽光コジェネレイション装置を家庭用や店舗用など、限られたスペースに設置する商品価値の高い商品として実用化する為に必要となる技術的な課題は以下のような項目が存在する。
(1)太陽光発電セルを金属製のヒートシンク基板上に配置して、発電セルに生じる太陽光温熱をヒートシンク基板に伝熱させてそれを集熱する方式の太陽光コジェネレイション装置において有効な総エネルギー変換効率(TCR)を確保する方式と構成の明確化。
(2)同上、エネルギー変換効率と変換量をさらに向上させる工夫と方式の明確化。
(3)上記方式の太陽光コジェネレイション装置の実際の設置工事特性を実用的な容易なレベルに向上させるため、発電モジュールと冷却媒体回路を分割しておき、現場で伝熱可能に固定する方式と構成の明確化及びそれを実現する為の固定の方式と構造の明確化。
(4)多数のモジュールからなる太陽光コジェネレイションシステムを現地に設置する場合に全体の設置工事を簡略化してかつ工事の品質を確保できる設置方法の明確化。
(5)太陽光コジェネレイション装置の発電セル、その周囲の材料、ヒートシンク基板などは装置全体を放熱を抑えた断熱構造を採用するため、冷却媒体が作動しないときは発電セルの周囲の最大温度が上昇する。太陽光発電装置が80℃程度であるのに対し100℃〜110℃程度に達する事も考えられる。このときに備えて耐熱材料乃至は冷却方式の採用など温度上昇への対応策の明確化が課題である。
(6)太陽光コジェネレイション装置の発電セルはシリコン結晶、乃至はアモルファスなど小さな熱膨張係数の材質からなり、一方金属製のヒートシンク基板は一般に線膨張係数が大なものが多い。特に集熱特性の点で望ましい熱伝導率の高い金属である銅、アルミニウム及びその合金は線膨張係数が大きい。従って発電セルとヒートシンク基板を伝熱し易い様にできるだけ密着した構造で尚且つ夏冬に渡る広範囲の温度変化により生じる熱歪を吸収できる構造乃至は材料の最適化が必要である。
(7)発電電力と温熱の双方を消費する現地の消費モードに合わせて双方の出力割合を設定できる太陽光コジェネレイションシステムの方式の明確化。
(8)本システムの投資効果をさらに高めるための、発電電力と温熱出力を利用する以外に、太陽光コジェネレイション装置をプラス機能で利用する新機能とその方法の実現。
などである。
以上が本発明が解決しようとしている具体的な技術課題である。これらを総合して、家庭用や店舗用の限られたスペースに設置する為の商品システムとしての技術的課題は次の三つに集約される。即ち1、太陽光コジェネレイション装置としてユーザーが必要とする全エネルギー量を賄う事ができ、且つその受光面積をできるだけ小さくし、設置面積に制約のある家庭用、民生用、においても設置出来るようにし、かつ設置工事性を向上させて、太陽光エネルギー利用の普及促進の基盤を整える。2、発電モジュール受光面積と温熱収集モジュール受光面積を同一面積として一体化した(コジェネレイション)形で受光面積当たりのエネルギー変換効率を太陽光発電のみの場合に比べ倍以上に増加させてコストパフォーマンスを向上させ、設備投資に対する実益効果を増大させる。3、厳しい作動条件に対し、簡単で確実な構成と作動により高い品質と長期の信頼性を確保できるシステムを実現して太陽光エネルギー利用装置の民生用分野での普及促進を計る。この大きな三つの商品目標課題を達成するために上記の八つの具体的な技術課題を明確にした。
前述した8項目の技術課題を全て解消する事が上記の商品システムの三つの目標課題を達成する近道である。したがって本明細書はこの8項目につき解決手段を明示していく。民生用の太陽光発電装置乃至は太陽光コジェネレイション装置は通常は屋根の上など作業環境が厳しいところに設置される。しかも現在の太陽光発電装置では実用的に有効なエネルギー量を取得するためには大きな受光面積を必要とする。例えば家庭用では平均的な装置の全受光面積は25平方メートル以上であり、装置は10〜20枚程度のモジュールに分割され、夫々のモジュール内の発電セルで発電された電力を夫々のセルからモジュールそして全体の統合された送電回路にまとめて出力する。
トータルの取得エネルギーの総和を同一とするならば、その集光面積は太陽光コジェネレイション装置の場合、太陽光発電のみの装置に比べて約3分の1以下の面積規模でほぼ同等のエネルギー量が取得できる。それは太陽光発電では電気エネルギー変換効率(ECR)が全受光エネルギーの13〜5%であるのに対し太陽光コジェネレイション装置では本発明に記載した技術を取り込んだ装置を実現すれば発電電力と温熱出力を合わせてその4倍に近いエネルギー出力が取得でき、その結果総合エネルギー取得効率(TCR)は50%以上にも達すると期待されるからである。
従って家庭用コジェネレイション装置の場合、全受光面積は10〜15平方メートル程度に小型化しても実用的な効果を満たすことができるが、その場合でも製造、運搬及び設置工事上の都合により4〜15枚程度の多数枚数のモジュールに分割して構成する事になる。これらのモジュールで発生する温熱を集熱するため、今まではは冷却管を取り付け済みのモジュールを屋根の上などに設置した後に該モジュールに設けた冷却管を順次接続して行く工程が必要であった。これは多くの接続箇所からの水乃至は冷媒などの冷却媒体のリーク不良が発生し易いし、接続工事そのものが屋根の上などの足場の悪いところの作業になるため過酷な作業となり設置工事費を高くする大きな要素になってしまうという欠点があった。
太陽光コジェネレイションの構成方式として検討されている方式の内、最近研究されている方式の太陽光を光学的に集中させる方式はエネルギー取得の点では優れるが大規模な集光装置は家庭や店舗には適しないし、コストの面でも難しい。また発電セルをシースルーにして発電部分と集熱部分とを分離した方式も技術面にはコジェネレイションに適す方式であるが、コストが高くなる事と合わせ、シースルーの発電セル自体の電気エネルギー変換効率(ECR)が低く、大面積の受光面が必要になる事からビルの窓ガラス面の利用などには適すが家庭用、店舗用には適さないと考えられる。
本発明が対象としている装置の方式は発電セルを金属製のヒートシンク基板上に機械的に直接乃至は間接に密着させた状態で設置し、発電セルで発生する温熱を周囲に放熱させずにそのヒートシンク基板に伝熱させて集熱させる方式を前提としており、その熱をさらに集める集熱配管はできる限り接続箇所を減らして信頼性を高め、且つ据付の工事を簡略化する方式を目指している。
従って前述した様な八つの項目が技術的な課題となるわけである。以上が、本発明で対象とする太陽光コジェネレイション装置の全体構成の概要である。
対象としている発電モジュールは上面カバーとなる硬質ガラス板、大気への放熱を防ぐための真空層乃至は空気層、発電セル表面に結露やセルの劣化を防ぐためのEVAなどによるシール層、発電セル層、発電セルと金属製ヒートシンク基板の間を接合し且つ電気的に絶縁し且つ両者の線膨張率の違いによる歪を吸収するための薄膜層、温熱を受け取る金属製ヒートシンク基板、さらに放熱を防ぐための断熱材層によって積層された平板状のもの(発電モジュール)の周囲をアルミなどでできたモジュール枠体などで囲って構成する。このモジュール構成に於いて課題1の性能(TCR)を高めるには発電セルで生じた温熱をヒートシンク基板に伝えるために薄膜層の伝熱性を高める事が重要である。そのためにその材質を熱伝導性に優れたものにして出来る限り薄くする事が前提となる。
本発明が対象としている太陽光コジェネレイショ装置では発電セルと金属製のヒートシンク基板の間は常に電気的に絶縁され、発電セルとヒートシンク基板の間の広範囲な温度変化による熱歪の相対差によって発電セルが破壊されたり電気回路が破断されるなどの不具合が防止され、日射量の高い時に冷却が停止されて温度が上昇した場合でも充分な耐熱性があるという三つの要素を満たしている事が必要がある。
ここで、性能面の検証として薄膜層の伝熱抵抗を計算してみる。前記薄膜層が樹脂でその平均厚さが1.0mmの場合のその薄膜層によって生じる両者間の平均温度差は以下の様に計算される。発生する温度差は熱量を熱伝導率で除したものである。即ち薄膜層の樹脂の熱伝導率0.3Wm/℃と仮定、単位面積当たりの発生熱量を太陽光1000W/平方メーターの40%と想定し400W/平方メーター、樹脂厚さ0.001mの場合生じる温度差は400*0.001/0.3となり、即ち約1.3℃となる。これはヒートシンクの平均温度に対して発電セルの温度は1.3℃高い温度の状態で集熱が行われる事を意味している。
さらにこの温度差に増加する要素は発電セルとヒートシンク基板における薄膜層側の表面の酸化、汚れ、気泡の混入などがあり、この温度差1.3℃は実際は3℃程度に拡大すると計算される。この3℃に更にヒートシンクから冷却配管への伝熱、冷却管から蓄熱槽更には給湯管への伝熱を含めて装置全体として各種熱交換乃至は伝熱損失の発生温度差は10℃を超えることが推定されている。これはユーザーが利用する温水の温度が48℃の時は発電セルの温度は58℃まで太陽光によって熱せられる必要があり、太陽光の利用効率さらには装置からの放熱ロスを考慮すると、実用上この10℃の温度差は装置全体としての許容最大限と看做しているわけである。
次に上記薄膜層について考慮しなければならない課題は前述したように、技術課題(5)(6)にあげた耐熱性と線膨張率の違いからくる相対歪をどの様に吸収させるかというものである。太陽光発電の場合は上記薄膜層を充分に肉厚とし、且つ自然放熱により最高温度を低く抑える事が可能であり、発電セルの材質の線膨張係数に近い線膨張係数の材料をヒートシンク基板に用いる事も可能である事などによりその歪を小さくできたからこの様な問題は重要ではなかった。しかしながら太陽光コジェネレイション装置の場合は前述したように性能面から薄膜層は1mm以下に薄くすることが望ましく、またヒートシンク基板も伝熱性能上の理由から金属が選定される。特に伝熱特性に優れた金属ほど線膨張係数(ラムダ)は大きい。常温付近の線膨張係数はアルミニウム24ミクロンm/m℃、銅16.5、鉄12.2、ガラス10.0、硬質ガラス3.5、シリコン3.0等の値であり発電セルに多用されるシリコン結晶に比べアルミニウムのそれは約7倍であり、温度変化による伸縮が大きく相対歪が大きく生じることがわかる。
上記の様に太陽光コジェネレイション装置では広範囲な温度変化に応じて発電セルとヒートシンク基板の相対的な熱歪によって発電セルが破壊されたり電気回路が破断されるなどの不具合を防止する工夫が装備されている必要がある。この課題に有効な多くの施策があり、例えば両者の材料の夫々の線膨張係数が近い材質を選ぶ、ヒートシンク基板上の各発電セルの面積を小さく分割し歪量を小さな値とする、薄膜層の材質を軟質材とし歪を吸収し易くする、両者の相対歪によるズレを滑らせる構造とする等の方法が効果的である。
薄膜層の材質を軟質材とする施策では、例えばポリウレタン樹脂乃至はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)乃至はエチレンメチルメタクリレート共重合樹脂(EMMA)など成型後や固形化後も軟質性を有する樹脂材料や天然ゴム、クロロプレンゴム、エティレンプロピレンゴムなどのゴム材料は、上記の両者間の歪を吸収する上で一定の効果がある。実機では上述したそれ以外の歪吸収方法との組み合わせでの採用が考慮されるべきであるが、金属製のヒートシンク基板上に軟質性の樹脂を用いて電気絶縁性と温度歪の吸収を図ることは極めて有効である。特にデュロメータ硬さのタイプDの値が45以下の材料ならば温度範囲マイナス20℃〜プラス90℃に変化した場合の温度歪を吸収する上で1mmの厚さを持った軟質材料の緩衝層による効果は充分であることがわかっている。
一方耐熱性について考察すれば、本発明の対象としている太陽光コジェネレイション装置では温熱を余すところ無く集熱するため発電セルやヒートシンク基板などからの放熱損失を最小化すべく空気層や底部の断熱部材層は十分な断熱効果になるように構造や材質が設定される。また発電セルの受光面には光の波長により輻射特性が変る選択吸収特性を持たせて表面からの放熱損失量を最小化するように工夫している。この結果、装置は受けた太陽光による温熱のほとんどをヒートシンク基板を通じて冷却配管へと伝えることが出来、TCRで示される熱取得効率が向上するわけである。通常発電セルの温度は56℃、冷却配管は53℃程度を目安に運転制御される。この状態では通常の太陽光発電装置の発電セルの夏場の作動温度よりも低温度の状態で運転されることになる。
しかしながら、装置の運転を停止されて冷却配管の冷却用の媒体の流れが停止している時には発電セル周囲部分は温度上昇が避けられず、運転地域の環境温度や太陽光の照射具合によっては100℃を超えるまで温度が高くなる事が避けられない。特許文献7では換気口を開閉して温度制御する技術が提示されている。この方法以外に、発電セルなどの温度の上昇を検知して冷却媒体を強制的に循環させる方法も有効な方法である。
現在太陽光発電装置で定番で使われているEVAは軟質性に優れている(上記のタイプDの値が45以下の特性は可能である)が融解温度は80℃近辺のものが多く、本発明の薄膜層は100℃近辺に温度上昇するためそのまま利用できない。そこで酢酸の成分量を減らして融解温度を100℃以上とする事で採用が可能となる。この材料には光透過性は全く必要がなくEVAの様に透明な樹脂でなくて有色でも構わないから、必要な成形性、電気的絶縁性、耐熱性などを考慮して多くの候補材料樹脂乃至はゴムから最適なものを選定できる。しかしながら発電セルの上面をコーティングする材料は光透過性が必要であるから耐熱性のEVA乃至はEMMAを用いた場合には上下の樹脂同士の相互の親和性が必要となる。何故なら発電モジュールには多数の発電セルをマウントするためモジュール同士の間は裏表の樹脂同士が接触する構造となるからである。
薄膜層の厚さを決定する要因は上記の様な歪吸収性、電気絶縁性、耐熱性、強度などが重要であるが、実際は発電セルとヒートシンク基板の間に薄い樹脂膜をサンドイッチした状態で熱圧着する工程を考えた時、発電セルの凸部や混入したゴミなどにより樹脂膜が破損することを防止する事を考慮する事も重要である。即ちこの樹脂膜の最小厚さは上記の歪吸収効果とこの破損の可能性回避、発電セル形状との馴染みなどを考慮して決定されるのが実用的である。発電セルに凸凹形状がある結晶型シリコンを用いた場合はこの凸凹形状をカバーすべく通常その肉厚は0.8〜1.0mmを選定する。フィルム面上に形成されたシリコンアモルファスを発電セルとして用いた場合で上記の熱歪対応策を十分に取り込んだ場合は、発電セルのフィルムが平坦である等の優位点を生かして薄膜層に用いる樹脂膜は0.8mm以下の薄膜が選定可能である。
ここで所定の耐電圧機能とは通常使用状態での漏電防止の観点から発電セルのラインと金属製ヒートシンク間の耐電圧強度は400〜2000ボルト程度を考慮すべきであり、絶縁機能としての規制限度の許容リーク電流は1ミリアンペア以下のレベルであるが実際の規制数値は機器の仕様要求により設定される。実際は発電セルの上面は湿気やごみからセルを保護するために前述した様に保護シールを被服させることになる。これには光透過性が重要でEVA乃至はEMMAを用いる。この場合電気絶縁性や歪吸収性は必要がなく、光透過性と発電セル表面への接着信頼性によって選定する。
太陽光発電装置では、発電セルと背面基板の間の層の材料としてEVAが用いられ、EVA自体をホットメルト機能即ち接着剤機能を持たせており、運転時の最高温度および工場の処理工程温度からその融解温度は80℃程度のものが用いられる。これと同程度の材質を太陽光コジェネレイション装置に使うためには発電セルないしは金属製のヒートシンク基板の積層体部分の温度を80℃程度以上には上昇させないようにする温度上昇防止機構を別途追加する事が必要である。その機構としては、その温度を検知して危険温度まで上昇した時に、例えば前述した様に特許文献7に示される様な換気冷却口を開口して冷却する、乃至は通風ファンを強制運転させる、乃至は冷却媒体回路に放熱器を追加設置しておいて冷却媒体を強制循環させて金属製のヒートシンク基板を冷却するなど幾つかの方法がある。
しかしながらこれらの追加機能はコスト増加要因になるため発電セルの材質と薄膜層に用いる材料の耐熱性を向上させる方法が実用的である。この場合は薄膜層の材質の融解温度は100℃以上かそれに近いものを選定する。100℃以上の融解温度又はそれに相応する温度を持つ耐熱材料候補は酢酸ビニル成分を少なくしたEVA、メチルメタクリレート成分を少なくしたEMMA、ポリウレタン、シリコーンゴム、エティレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムなどがある。いづれもホットメルトとして用いるかシート状のものを耐熱接着剤で接着するか等の加工方法をとる。
耐熱性に関する別の技術として、発電セルの線膨張係数と近い線膨張係数を持った固体の平板に発電セルを接着乃至は接合させる事によりその周囲の温度が大きく変動してヒートシンク基板に大きな熱歪が発生しても、発電セルがその固体の平板に支持されているから発電セルに生じる熱歪の差によるストレスは小さく、破壊や断線が生じにくい。例えばシリコン結晶(線膨張係数2.7マイクロm/m℃)の発電セルの場合であればアルミナを固めた平板(線膨張係数7.7マイクロm/m℃)乃至はガラス板(線膨張係数3.5〜10マイクロm/m℃)など、それに近い小さな線膨張係数を持った材料を薄い平板にしてその上に発電セルを接合させることにより、発電セルはヒートシンク基板(アルミ板であれば線膨張係数は24マイクロm/m℃)との間の熱歪の差の影響をあまり受けなくて済むわけである。
今後、各種の発電セルが実用化されてきてもその線膨張係数に近い固体平板を用いて発電セルを支持する方式は熱歪の吸収策として有効である。この両者の接合は接着剤乃至はホットメルト樹脂などが用いられるが、何れにしても接合面、及びこの固体平板を合わせた厚さは伝熱促進の意味から極めて薄い事が要求される。ヒートシンク基板はアルミニウムやヒートパイプを裏面に設けた鉄板などが利用されるが、この線膨張係数は大きいので、この固体平板との間を埋める材質は薄肉で且つ熱歪を吸収できるだけの柔軟性がある事が要求される。
軟質の樹脂やゴムがこの材質に該当する。例えばEVA、EMMA(エチレンメチルメタ栗レート共重合樹脂)、ポリウレタン樹脂、天然ゴム(ただし熱に弱い)、シリコンゴム、クロロプレンゴムなどが候補材料である。これらの材料はホットメルト効果があればそれを直接に加熱接合させれば良いし、そうでなければシート材にして接着剤で貼り付けることになる。その樹脂やゴムの層の厚さは伝熱特性確保の意味から1mm以下であることが望ましい。
さらに前述した固体の平板の熱伝導が悪ければこの厚さはさらに薄くすることが必要になる。この点ではガラス板やアルミナを固めた平板の場合は熱伝導はそれほど悪くないので、この1mmという厚さの規準はそのままでも良いと考えられる。
薄膜層を構成する材質として樹脂やゴムなどのシート乃至はフィルムを用いる方法も有効である。このシート乃至はフィルムを発電セルの裏面及び金属製のヒートシンク基板の上面に接着する事により薄膜層の一部を構成させるもので、この方法によればこのシート材乃至はフィルム材は耐熱性とし100℃以上の融解温度をもった材質を使用し、それを常温乃至は80℃程度のホットメルトにより接着する事が可能である。これによりシート乃至はフィルムは耐熱性を有し、接合には高温度の工程を必要としないという利点がある。さらに100℃に近い環境でも上記のシート乃至はフィルムは融解しないので薄膜層の寸法を維持し易いという利点がある。
発電セルは前述したように多くの方式が開発され、多くの種類の材質が使われている。そこにはシリコン結晶やガラス基板のように100℃程度の温度には充分な耐熱性を有している。しかしながらシリコンアモルファスや合金の金属薄膜を樹脂フィルムに蒸着させた構造のものではフィルム層の耐熱性さらには薄膜の伸縮性が不十分な場合がある。またシリコン結晶の発電セルの間を連結する電気リードが温度変化により断裂が生じるなどの不具合が生じる可能性もある。
発電セルの選定は、まづは耐熱性の確認を行いたい。プラスチック部材が使われているか否か、使われているならばその耐熱性、融解温度は充分高温か?について確認を行い、太陽光コジェネレイション装置として必要な最高温度に対して充分な耐熱性を有しているか否かが問題となる。プラスチック部材のみでなく発電セル全体が少なくとも太陽光コジェネレイション装置に使われる場合は通常は100℃以上の温度環境で問題が生じないかどうかがポイントである。問題ありの場合は他の発電セルに変更するか、太陽光コジェネレイション装置の冷却機構を設置する事を考えなければならない。
装置のほとんど全ての材料が耐熱であることが前提で、その上でさらに太陽光コジェネレイション装置として前述した通り、100℃以上の所定温度に所定時間晒した後に正規の発電特性を有しているか否かを確認する必要がある。この評価は装置として作動させる必要があり発電セル単体では充分な評価が行えない。特に実際の設置状態での評価確認が必要であり、最も厳しい評価となる設置状態で評価するのが前提である。通常設置面は傾斜面が多いが垂直面も評価範囲に含まれる。電気エネルギー変換効率ECRは例えば多結晶シリコンの場合には13〜16%といった数値である事が多いが、ここではこの高温度保持後の評価で同等のECRが得られることが要求される。
発電セルと金属製ヒートシンク基板の間に生じる熱歪を吸収する機構に関する技術である。発電セルがシリコン結晶乃至はアモルファスである場合の線膨張係数と金属性ヒートシンク基板に使われる熱伝導性の良い金属のそれとは大きな違いがある。特に最も伝熱特性と材料価格の点でヒートシンク基板として有望なアルミニウムとは10倍に近い係数の違いがある。
線膨張係数の大きなアルミニウムを用いたヒートシンク基板に線膨張係数の小さなシリコン結晶を用いた発電セルの組み合わせでは薄膜層に軟質のホットメルト樹脂で接着した方式では大きな温度変化によりシリコンセルや電気リードが破断したりする危険があり、この接合面を摺動させて歪を殆ど吸収する方式は極めて有効である。接合面はプラスチックフィルムやシート及びアルミなどの金属平面などは変形が少なく平坦面を維持できるもので構成させる必要がある。この平坦面の接合を補助する意味で接合面には耐熱グリスを塗って置くのも有効である。さらに必要な事はこの接合面を常に接合した状態に保つための機構が必要な事である。そこで発電セルと薄膜層及び金属製のヒートシンク基板を複数個所貫通させた留め金でその積層体の厚さを保持させる方法などが採用される。発電セルとヒートシンク基板を圧接させるためにバネを留め金に加えた構造は接合面の維持に更に有効である。
留め金の変わりに小さなループを持った固定バンドを用いても良い。これと同等の効果を発揮させるために、発電セルを金属製のヒートシンク基板に押し付ける方式も有効である。発電モジュールの表面部材は硬質ガラスを用いるので、このガラスを利用してガラスと発電セルの間に複数の支柱を設置して常に発電セルをヒートシンク基板に押し付けても良い。支柱の形状は制約はあるが、少なくとも弾性効果を持たせたものが発電セルを押さえつける上で効果的と考えられる。
太陽光コジェネレイション装置は熱の放散を少なくするために上面のガラス板の下に断熱用の空気層乃至は真空パネル層を設ける。その厚さは5mmから20mm程度が選定される。従ってその下の積層体の発電セルの上面はその空気層乃至は真空パネル層に接しており発電セルの表面への結露を防止するためにはこの空気層乃至は真空パネル層更にはその発電セルとの接する面は外界の空気とは密閉構造とする必要がある。完全密閉構造でない場合は発電セルの表面にはEVAなどの透明なホットメルト樹脂で被覆して皮膜層とすることが必要である。太陽光発電で用いるEVAより15℃から30℃高い融解温度を有したEVAを用いて100℃程度の高温度に耐えるようにする必要がある。この皮膜層の表面部材として硬質ガラス乃至はEVAシートを追加して積層体の平坦度の精度を向上させ製造工程を安定させる方法も採用される。
ヒートシンク基板には伝熱特性即ちエネルギー回収効率の点では熱伝導性の高いアルミニウムや銅を用い、必要によってはそれにヒートパイプを追加してさらに伝熱特性を向上させる方法が有効である事は公知である。一方熱伝導性の良いこれらの金属は何れも熱による線膨張係数が大きい。ヒートシンク基板に鉄板やステンレス板を利用する方法も提案されており、その方がその線膨張係数が小さく発電セルのシリコン結晶などのそれに近い値である事から熱歪を低減させる事ができる点では有利である。
二枚のアルミ板を重ね合わせて間に管路を形成する所謂ロールボンド方式はこのヒートシンクに適しており、ヒートパイプ用にその管路を利用して熱伝導性を高めることができる。一列に並んだ穴を持った外形が平板状のアルミニウムの押し出し成型管もほぼ同等の特性を得ることができる。但しこの場合はヒートパイプの方向は一方向となる。また、アルミニウムの平板の裏側にアルミ管をロー付けしてヒートパイプを設置する方式も実用性がある。何れの場合も発電セル側が平坦面で積層体を形成し易い事が重要である。
この方式は材料が線膨張係数の大きなアルミニウムであるから熱歪を緩和させる方式との組み合わせが必須となる。
太陽光利用装置は通常は屋根の上など、設置が困難な場所に設置する。従ってその大きさと重量及び運搬のし易さ、設置工事のし易さなどが重要である。太陽光コジェネレイション装置を冷却配管から分離した状態で運搬設置を行い、設置後に冷却配管を取り付ける方式を実現するための技術が必要である。装置に冷却配管を取り付けておいて設置する従来のやり方では装置の重量が増すこと、設置後に沢山の装置間に渡って冷却配管を連結していく工事が大変であると共に、配管の連結部の信頼性が問題となる事が多く、20年、30年の間に冷却媒体である水乃至は冷媒などがリークすることは極力避けなければならない。何故ならリーク箇所の特定もその修理も極めて大変な作業を伴うからである。最も良いのは屋根上などでロー付けや配管接続などの作業は行わず地上でそれらを行う方式が望ましい。これを実施事例で説明する。
このため一本の連続した冷却配管を使用する方法を考えると、装置を設置した後に装置の下面にこの配管を伝熱可能に取り付ける方法は多くの問題がある。まづ、一本の配管を沢山の装置の下面にレイアウトして配置させるには極めてフレキシブルな配管が必要で例えば信頼性の高い通常の銅管などではその作業は難しい。また装置との固定は屋根との狭い隙間の作業となりしっかりと固定することは難しく、装置の設置場所と方法に制約となる。そこでヒートシンク基板の端面乃至は端部乃至は発電モジュールを設置したモジュール部分から更に外部へ延長させた部分を設け、そこを熱出力部分として予め銅配管を固定し易い形状構造に加工しておく方法がある。この装置を設置した後に一本の銅パイプを各熱出力部分に固定できる形状に成型して、それを宛がって固定するという方法が実際の商品として可能性の高い方法である。
勿論冷却配管は銅管でなくても良いが、その外周とヒートシンク基板の熱出力部分を接触させて締め付けることにより充分な伝熱が行える様な材質であり寸法である必要がある。さらにこの熱出力部分は四角いヒートシンク基板の一辺のほぼ全長に渡って設けられている事が望ましい。冷却管との接触面積を最大限確保し、冷却配管の配置形成が容易で、両者の固定する作業が容易である事を実現するためである。折り返した冷却配管をヒートシンク基板の2辺や3辺に渡って固定させる方式では作業性が悪いし、ヒートシンク基板の一辺の一部(例えば半分程度)に固定するのでは接触面積が不足する可能性が高いからである。隣り合うモジュールのヒートシンク基板に連続的に配管を設置する上での合理的なやり方と言える。
ヒートシンク基板の内部の伝熱をヒートパイプによって向上させたものである場合は熱発生部分であるモジュール部分から熱出力部分に渡って該ヒートパイプを設置して熱を効率よく伝える。この場合ヒートパイプの基本機能が有効に作動するには熱発生部分は熱出力部分より低い位置にある事が絶対条件である。従ってヒートシンク基板の熱出力部分の一辺が最上部となるように装置を設置する必要がある。ヒートパイプのパイプの中には水などが媒体としてチャージされており、下部で熱を受け取り水が蒸発して上部で凝縮して放熱するからである。装置が平坦に乃至は上下が逆に設置される場合はヒートパイプつきのヒートシンク基板を用いた装置を使用することはエネルギー回収効率を著しく損なう事となる。
一本の冷却配管で多数の太陽光コジェネレイション装置を順次連通させて冷却を行う方式を提示している。この効果は設置作業の容易化、配管工事の信頼性向上ひいてはコストの低減に貢献するものである。一つのシステムを一本の配管でカバーする場合もあるが、大きなシステムでは2本以上必要な本数の配管で全体を連結させる方法がとられるが、何れにしろ幾つかのモジュールを一本の配管で賄うのが合理的である。また配管の分流箇所や接続箇所は地上で確認、作業できる位置にすることが望ましい。
実際に多数のモジュールを屋根の上に設置し、各モジュール枠体の端面に開口している熱出出力部分に合わせて一本の銅パイプを形成し、予め嵌めあうように形成されている熱出力部分にこの銅パイプをはめ込んでネジで締め付けるという作業は実用的であり高い信頼性とコスト低減の実現に貢献できる。
ヒートシンク基板に伝えられた太陽熱は冷却配管へ向けて流れる。この際の基板内の温度差を最小とし、且つ基板の金属材料の使用量を最小にするための技術を説明する。ヒートパイプを利用せずに金属材料の伝熱のみを利用する場合はその金属使用材料の量はコストと装置重量に繋がる重要項目である。冷却配管によって集熱する場合、冷却配管に近寄るほどヒートシンク基板内の伝熱量は増加するから、一定の厚さの金属板では効率が悪い。よって冷却配管に近い部分を漸次肉厚にする事が望ましい。例えばアルミニウムの金属板が1.2メーター四方の面積であり、一辺の端面に冷却配管を取り付ける場合、その肉厚は1.0〜4.0ミリメーター程度の傾斜肉厚に設計される事が考えられる。
発電セルが太陽光を受けてそれを吸収し発電しつつセルの温度は上昇する。セルからは伝熱と輻射により熱放散され冷却されて熱バランスでその温度は決まる。太陽光発電の単一機能装置であるならばセルの表面の輻射率は温度波長によらずフラットで黒体の様に1.0の特性が望まれる。100℃近くに温度上昇した発電セル表面からも輻射により放熱してそれ以上の温度の上昇を抑える効果があるからである。一方通常の発電セルの性能温度特性は温度が上昇するほど発電効率が低下するから、発電を促進するためにも有効であるといえる。しかしながら太陽光コジェネレイション装置の場合は照射された太陽光を全て発電と温熱に変えて取り込む事が必要になるためできるだけ太陽光スペクトルでの輻射率(吸収率)が高く90%以上で、50℃以上の温度の黒体での輻射スペクトルに対しては輻射率が低い50%以下のセル表面特性が望まれる。
特に本発明では発電セルの温度をヒートシンク基板により56℃程度以下の温度に冷却しながら運転する。従ってこの温度の輻射波長スペクトルにおいて輻射率の低い特性を発電セルの表面に付与することができれば、太陽光を充分吸収した後に輻射放熱の少ない発電セルが得られる。この結果、太陽光による温熱を放散させないで高いトータルエネルギー変換効率(TCR)を実現し易い。56℃の温度の輻射波長スペクトルはプランクの法則から知れ、平均波長は約10ミクロンメーターである。この10ミクロンメーター前後の波長の輻射が少ない、輻射率の小さな発電セル表面であればこの効果は大きくなる。この輻射率を黒体(輻射率1.0)の50%以下の輻射率となるような、所謂選択吸収特性を有する発電セルを用いることが出来ればこれが実現できる。
この50%の数値は厳密には設定できるものではないが、以下の様にして設定した。即ち黒体では太陽光輻射エネルギー(1000W/平方メーター)を受けて集熱できる熱量は装置平均で約その40%である(400W/平方メーター)。55℃の温度の物体表面からの放射エネルギーはステファンボルツマンの式から黒体で約66W、即ち太陽光熱量400Wに対しその17%であり、輻射係数が黒体の40%であればこの値は約7%となり26W/平方メーターである。そこでこのレベルの放射による熱ロス割合7%は入力熱量400Wに対し許容範囲との判断である。これに対し実際の選択吸収特性の実現性を加味して50%という輻射係数を目標値に設定した。これに対し理想的な選択吸収膜といわれるブラックニッケルが約10%となる特性であるから50%の輻射係数は実現可能であるとの判断である。
この選択吸収特性は発電セルの表面材質の特性で決まる。代表的な選択吸収特性のあるブラックニッケルは太陽光スペクトルに対し95%、55℃の物体からのスペクトルに対し10%程度となり理想の選択吸収特性を有するが、太陽光発電セルのセル材料で同等の選択吸収特性を得る事は材質の点から困難である。そこででは太陽光スペクトルと55℃黒体の輻射スペクトルの双方の谷間となる波長3〜4ミクロンメーターを境に3ミクロンメーター以下で100%黒体輻射であり4ミクロンメーター以上で小さな輻射係数となる表面特性をセル表面に付与することが有効である事を提示したい。これはある波長範囲の寸法をピッチとした微細な凸凹乃至は連続する穴構造をセル表面に付与、形成する事がその波長範囲の光を吸収乃至は輻射させる上で有効であるという以下の報告をベースとしている。
特許文献7には熱光起電力発電システムの太陽光受熱器に用いる選択吸収膜についての新技術が提示されている。この場合受熱器の温度は1500℃と高温度でありその温度の黒体の輻射スペクトルの波長範囲は1.2〜3ミクロンメーターである。一方吸収したい太陽光(5400℃)のスペクトルは1.2ミクロンメーターより小さな範囲となる。そのため選択吸収面に形成すべきキャビティーの径は1.2ミクロンメーターより小さな0.4ミクロンメーター程度の極めて小さなキャビティーが有効である。一方本発明は受熱板となる発電セルの温度は55℃程度でありその温度の黒体の輻射スペクトルは4〜15ミクロンメーターの範囲となる。
従ってこの55℃の物体から放射される光の波長範囲の輻射率を低下させる表面キャビティーの大きさは4〜15の範囲外の4ミクロンメーター以下の寸法となる。結果として0.3〜4.0ミクロンの範囲の微細寸法を単位寸法とした微細な連続する凸凹乃至は穴乃至は溝などからなる周期的な微細キャビティー構造が有効となるわけである。この微細構造は太陽光の吸収特性を黒体に近づけるという効果も有する。従って太陽光発電の発電セルにおいてもこれと同様な微細構造を付与している事例もある。ここで重要な事は4ミクロンメーター以下の微細構造を太陽光コジェネレイション装置の発電セルに用いた場合、太陽光の受光効率の向上とそれにより得た温熱を表面から輻射する損失低減の双方に効果がある事であり、その為には微細構造の単位寸法を4ミクロンメーター以下の製造し易い寸法の微細構造を選択することが出来るということを明確にした事である。この技術は太陽光コジェネレイション装置が最大の総合エネルギー変換効率(TCR)を得ることに有効である。
本発明になる太陽光コジェネレイション装置の発電セル上面への受光量を増加させるために発電モジュールの外側に太陽光を発電セル上に反射させるための反射板を取り付ける
事は有効である。熱出力部分をモジュールの一端乃至は外側に設けてそこに冷却配管を固定する場合はその作業スペースがある事が望ましい。このスペースに太陽光反射板を設置して総合エネルギー変換効率(TCR)を向上させる方法は実際的である。反射板を取り外し可能としておけば、そのスペースは発電モジュール及び出力電力リード及び冷却配管などの工事、修理、サービス用のスペースに利用することが可能となり性能向上と合わせてその効果は大きい。反射板の構造と位置さらに反射面の特性は、その反射光を一部の発電セルのみに集中させないように工夫する必要がある。例えば反射面は鏡面では無く散乱面とする事が望ましい。
金属製のヒートシンク基板は伝熱性の高い材料である事が重要であるが、ヒートパイプを取り付けてヒートシンク基板内の伝熱を補う場合には、基板に鉄板や鋼板を使う事も有効である。それは鉄板の線膨張係数は12X10のマイナス6乗/℃でアルミニウムの半分以下であり、このため発電セルとの熱膨張差による歪は小さくなり、発電セルが熱歪で破壊されるなどの危険が少なくなるからである。特に鉄板は安価で加工しやすく銅パイプ製のヒートパイプを溶接接合する事も容易であるから製造面でもまたコストの面でも優位な場合がある。
太陽光コジェネレイション装置のモジュール、従ってヒートシンク基板を長方形とするとその発電モジュール部も長方形となる。ヒートシンク基板から熱を受け取る冷却配管をそのヒートシンク基板に伝熱関係に固定する場合前述したようにその基板の熱出力部分をヒートシンク基板の長尺の一辺の全幅に広がる部分としてそれに冷却配管を固定する事が推奨される。何故ならヒートシンク基板内の短辺方向に熱が流れ冷却配管に流れ込む方が伝熱経路が短く温度降下が少なくて済むし、一方冷却配管は長尺の一辺をフルに使ってその熱を受け取るのでその部分の温度降下も少なくて済む。この結果エネルギー効率の向上に貢献できる。
一方冷却配管は各発電モジュールとの伝熱部分を蛇行させたりすること無く直管となるので成形性も取り付け性も優位である。
一方ヒートシンク基板にヒートパイプ機構を取り付けて伝熱を向上させたものではヒートシンク基板内の伝熱は良好であるので必ずしも短尺方向にヒートパイプを設定する必要は無い。むしろヒートパイプの長さを長くして本数を少なくする方がコスト上優位となる。この場合、ヒートパイプの端部となるヒートシンク基板の熱出力部分においてヒートパイプに直行させて冷却配管をヒートシンク基板に伝熱関係に固定する方法がとられる。
ヒートシンク基板の背面からの熱ロスを低減させることは重要である。10ヶ以上の太陽光コジェネレイションモジュールをシステムとして屋根の上などに設置すれば、ヒートシンク基板の背面の総面積は大きなものとなるからその熱ロスは全体の熱効率に極めて大きな影響を持つ。さらにこの部分は十数年の間装置の底部として変形、錆、劣化などが無く強度も充分なものが要求される。さらに装置の軽量化という点からその材質と形状は極めて重要な要素となる。最近冷蔵庫の壁面などに利用される真空パックの断熱効果をここに活かし、尚且つ重量対強度の点で極めて優れたハニカム構造パネルを組み合わせた構造を以下に提示する。
真空断熱ブロックは最近では冷蔵庫などの壁面内に用いられ、その断熱効果は冷蔵庫の運転エネルギー効率向上と冷蔵庫壁面の薄型化による庫内容積向上に寄与している。しかしながらその壁面形成と強度は不十分で鉄板の外壁で構成された筐体の内部に取り付けている。この断熱ブロックを支持するものとして軽量で平板強度としては理想的なハニカムパネルをその下に置き組み合わせることにより目的を達成する。ハニカムコアは例えば1センチメーターの幅のアルミニウムの薄板を接着などで組み合わせて蜂の巣構造にしたもので、このコアを2枚のアルミニウムの薄板の間にサンドイッチして接着し全体が平板状の構造体を構成したものがハニカムパネルである。その平坦度、強度、軽さ、断熱性の4点で極めて優れた構造材である。ハニカムコアのアルミニウムの薄板に予め多数の穴を空けておけば更に全体の軽量化と2枚の薄板間の伝熱の低減を図ることができる。
平板状の断熱ブロックは内部は充填物質以外の大半の空間は真空である事が望ましいが、
不活性ガスを充填しても良い。ハニカムパネル平板に代わり同等の効果をもったプラスチックの発泡材を用いても良い。以上の積層構造は断熱ブロックをさらに断熱性のある平板上に
積層した構造であり、その断熱特性は極めて有効である。
以上述べてきた太陽光コジェネレイション装置を多数組み合わせたシステムを実際に屋根の上等に設置する時の工事性はその商品性の中でも極めて重要な項目の一つである。即ち太陽光コジェネレイション装置を設置する数だけ設置場所に設置して固定し電気配線を施工する。ここまでは現在の太陽光発電装置とほぼ同様である。この後例えば銅配管を全部又は全体の何分の一の装置に渡って各装置の熱出力部分に固定できるようにその形状を成型する。この成型作業は地上で行えればその様に行うし、スペースその他の点で難しければ設置する場所、例えば屋根上で行う。熱出力部分はヒートシンク基板の一辺の端部乃至はその外部に延長した部分に設けてあり、そこには銅管などが嵌って簡単に取り付けられるように内側が半円環状に成型してあり、ネジにより締め付け可能になっている。
従って銅配管は周囲には熱伝導グリースなどを塗って各ヒートシンク基板の各熱出力部分の当該取り付け部分に容易に取り付けることが可能である。その後にモジュール枠体開口部にカバーを取り付けてその枠大が完成され雨水進入防止のシールがされる。乃至は、当該取り付け部分を覆うモジュール枠体の外に取り付けられるカバー部材を取り付けてシールが完成される。最後に必要であれば、この配管取り付け部分である発電モジュール同士の間の空間の上部に太陽光反射板を設置する。その効果は太陽光補足量を増加させてエネルギー変換効率を増加させるものである。
冷却配管に温水や高温度媒体を連通させて太陽光コジェネレイション装置を加熱し、装置のガラスの上面に積もった雪を融雪する事は実用上極めて有効であり、既に検討がされている。この加熱機能を太陽光コジェネレイション装置に持たせるための方法を示している。ガラス面上の雪を温めて半融雪状になった時に雪はガラス面状をすべり落ちる。このときモジュール枠体の下辺部がガラス面より上部に突出しているとこの半ば融けた雪が滑り落ちることができない。従ってガラスの最下端部分はモジュール枠がその上面より突出しない構造にすることが重要である。
本発明の装置の実際の据付場所は家庭、店舗などが多く、出力である電力と温熱の消費量のモードは夫々異なる。例えば温熱の消費量の多い風呂店、床屋さんなどでは太陽光コジェネレイション装置と太陽熱温水装置を所用複数台を夫々設置して必要な温熱量を確保しかつ全体の装置システムのコストを低減させる。また温熱の消費量の少ないコンビニ店舗などでは太陽光発電装置の台数を増やして温熱出力を少なくして消費量とのマッチングをはかり全体の装置システムのコストを低減させる。この時に各種類の装置モジュールの寸法と取り付け方法、従って取り付けベースを標準化させることが望ましい。それにより簡単にシステム内の装置の種類の選択と設置工事が容易になるわけである。
複数の太陽光コジェネレイション装置に渡って冷却配管を連通させて太陽光温熱を収集させそれを温水タンクの温水に放熱させる媒体の回路を考える。例えば媒体に水を使用すれば、熱交換量は水の温度変化をもたらすから最初の装置では低温度の温水はその次の装置に於いて更に温度上昇され、最後に高温度になって温水タンクに戻る。この温度差を少なくするには循環水量を増加させなければならず、従って循環ポンプの動力は増加する。また冷たい冷却水は発電セルの表面に結露を発生させる心配があり、また温まった冷却水は発電セルの温度を上昇させ、発電効率を低下させたり、装置からの放熱ロスを増大させるという不都合がある。
そこでこういった問題を解消するには蒸発潜熱によって温熱を吸収できる所謂冷媒を使用する事が行われる。例えばプロパンガス、ブタンガス、炭酸ガスなどが有力候補である。そこでこれら蒸発と凝縮により熱交換する冷媒は当然2相流となる。この気液2相流を安定して流すには複数の装置を複数の冷媒回路を用いる、所謂並列回路を極力排除して一本の直列回路とする事が望ましい。従って複数の装置に渡って一本の冷媒回路で構成させることが選択される。家庭用の太陽光コジェネレイション装置に使われる発電モジュールの大きさでは、少なくとも三つ以上の装置を一本の回路で分担させることが実用的である。
家庭用、民生用分野で消費されるエネルギーを充分に賄え、環境に優しい装置システムを実現するために従来も多くの検討がなされて来た。その一つとして従来からも太陽光発電と太陽光温水器を一体化してエネルギー変換効率を大幅に高めたコジェネレイションシステムはその有力手段として長く検討されてきた。今回の広範な技術発明の効果はそのコジェネレイションシステムの実現に極めて高い見通しを与えることができたものであると考えられる。この内容は先に述べた様に以下の三つに纏める事ができる。
即ち、太陽光コジェネレイション装置としてユーザーが必要とする全エネルギー量を賄う事ができ、且つその受光面積をできるだけ小さくし、面積と工事性に制約のある家庭用、民生用、においても設置出来るようにして設置工事性を向上させる。同時に発電モジュール受光面積と温熱収集モジュール受光面積を同一面積として一体化した(コジェネレイション)の形で受光面積当たりのエネルギー変換効率を太陽光発電のみの場合に比べ倍以上に増加させ、設備投資に対するコストパフォーマンス効果を増大させる。さらに簡単で確実な構成と作動により高い品質と長期の信頼性を確保できるシステムを実現する。
この三つの目標を実現するため、先に述べた8項目の技術課題に解決策を提示したものである。これらは太陽光エネルギー利用効率を著しく増大させ、化石燃料に匹敵するエネルギーコストと利便性で太陽光利用エネルギー装置を実現するための革新的な技術である。 これにより家庭用、民生用、工業用のエネルギー装置として電力と利用可能な温熱を供給でき、それを給湯や冷暖房その他に利用できる太陽光エネルギーシステムを実現し、自然エネルギーをフルに利用した民生用のエネルギーシステムの実現の道を拓いた。以上により今後推進されていくであろう化石燃料から自然エネルギー利用による再利用可能なエネルギー供給システムへの転換に向けて具体的な技術施策の道筋を与えることができたと考える。
以下、本発明の実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
図1は家庭の屋根の上に設置した本発明による太陽光コジェネレイション装置の代表事例を概略の断面構造によって示している。図2は図1の装置を複数使った全体システムを屋根上に設置した場合のレイアウトを示している。図3は図1の装置の一部を拡大した断面構造を示している。図4は熱歪を吸収する上で図1と別の方式である摺動方式の太陽光コジェネレイション装置の断面構造を示している。図5は冷却配管の配置では図1と別の方式である分離方式の太陽光コジェネレイション装置の構造を示している。図6は本発明による太陽光コジェネレイション装置によって得られる電力と温熱を利用したシステム商品の事例を示したものである。
図1に示した代表事例は太陽光コジェネレイション装置を6台組み合わせた太陽光コジェネレイションシステムの一つのコジェネレイション装置の断面を示している。一つの装置は従ってモジュールと呼ばれる。モジュールはモジュール枠体7で全体を支えて構成されたもので、そのモジュール枠体は据付用の縦桟、及び横桟により屋根に取り付けられている。太陽光13は上面ガラスカバー1と反射板8に受けて発電セル3に照射され、発電及び温熱を発生させるが、一部は反射されて外界に放散する。発電された電力は発電セル3内のリード回路(図示せず)を通りモジュール外部に導かれ、他の発電モジュールからのリードと合わされ、電力変換器を通して商用電力に合流できる電力モードに調整されて逆潮流される。この逆潮流された電力は電力会社が買い取り太陽光コジェネレイションシステムの所有者にその購入額が支払われる。
一方発電セル3に照射された太陽光のエネルギーの内、数十パーセントは温熱に変わり、それが発電セルの背面に配設されたヒートシンク基板4へと伝わり、さらに基板内をモジュール部分15から熱出力部分14へと流れ、冷却配管6へと伝わりその内部を流れる媒体に伝わりこれを加熱する。冷却媒体としてここではプロパンガスを用いており、この加熱によりプロパン液を蒸発させてガスに変える。発電セル3の上面には約1.5センチメーターの厚さの空気層2があり、ヒートシンク基板の背面には発泡ウレタン樹脂製の1.5センチメーターの厚さの断熱部材5が貼り付けられている。これにより発電セルとヒートシンク基板4との積層体から外部への熱の伝導を最小に抑えている。
冷却配管内を流れるプロパンガスは図2の様に全ての太陽光コジェネ装置9のヒートシンク基板の温熱出力部分14を連続する一本の銅パイプの中を流れて全てのヒートシンク基板を冷却している。この間プロパンガスは気液混合状態で流れるのでその温度は全配管長に渡って殆ど同じである。従って発電セルの温度が下がりすぎて結露したり上がり過ぎて発電効率を無用に悪化させたり高温度により周辺材料を劣化させる危険が少ない。また冷却配管は途中で分流が無いから、何本にも分流した場合に液冷媒の分流がうまくいかなかったり、途中で液冷媒が滞留するなどの問題が無い。さらに大容量のシステムの場合は冷却配管内の冷媒の流動抵抗が大きくなるので複数本の冷却配管を用いて冷媒の分流を行わせる必要が生じる。
この場合は分流をうまく行わせるための制度の高い分流器を用いたり、各冷却配管の長さを合わせこむ等の工夫が必要になる。従って出来る限り分流を少なくする事が重要である。複数のモジュールに渡って一本の冷却配管を配設し、できるだけ分流を少なくし、一方温熱を温熱タンク21に蓄熱する温水に放熱させる熱交換器(温熱タンク内に設置、図示せず)を循環回路に組み込んで簡単な冷媒循環回路を構成させる。勿論この冷媒を循環させるためにこの熱交換器の出口にプロパン液用の液ポンプ(図示せず)を設ける。この場合このポンプの動力は水を使った同様の冷却回路に比べて約半分以下で済むというデータがある。これは潜熱熱搬送であるため媒体の循環量が少なく且つ冷却配管と熱交換器などにおける流動抵抗が少なくなる為である。
図2と図3から知れる様に、冷却配管6は太陽光コジェネレイション装置9のモジュールから分離できる構造になっている。即ち装置のモジュールは冷却配管を取り付けていない状態で従来の太陽光発電装置の様に屋根上に設置できるから工事が容易であり且つ請求項1で示したように各モジュールは太陽光発電装置、太陽光コジェネレイション装置、太陽光集熱装置のうち必要なものを選んでそれらを適正に組み合わせて設置することが容易となる。
冷却配管6の全長、直径はシステムの性能、工事性、品質、信頼性に大きな影響を与える。その意味で、前述した様に冷媒のリークを防ぎ工事性を高めるため接合部の少ない連続するパイプによる管路の構成とともに、ヒートシンク基板4の熱出力部分14をモジュールの端部に設けて分離できる様にしており、図3で示されている。
モジュールを設置した後で、冷却配管を図2に示すように適正に配置させる。その上でモジュール枠体7の開口部17を開けるとヒートシンク基板熱出力部分がその内部にあり、そこに冷却配管を宛がってはめ込み、熱伝導グリースを塗りこんで固定金具18で締め付ける事によりヒートシンク基板と冷却配管は熱伝導が良好な状態で固定される。
以上の様なモジュールと冷却配管の全体の構成は現地において全体の装置を据付し工事完成させる上で極めて重要である。この事例の様に家庭の様に小さなシステムでも勿論、大きな業務用システム、例えばホテル、郊外レストラン、スーパー銭湯の様な比較的大きなシステムの場合は据付工事が容易であり信頼性の高い工事ができる事が一層要請されるからである。
図2で知れる通り、冷却配管はヒートシンク基板の長い方の一辺に固定している。例えば受光モジュールが短辺が1mで長辺が2mの長方形の場合、同じ支持基板厚さの場合熱の流れる向きでそのヒートシンク基板内の温度差は4倍になる。従って全体のエネルギー変換効率(TCR)を高めるには短辺方向に熱を流し、冷却配管は図のように長手方向の一辺に配置させる事が重要である。図の事例では図には示していないが、ヒートシンク基板はアルミニウム製でそのプレートの肉厚は配管固定部近傍が4mm、その反対側が0.5mmになるように傾斜肉厚にしてある。これにより温熱を伝え易く且つ全体のアルミニウム材料使用量を減少させている。平均肉厚は2.2mmであり、短長片を反対にした場合は同じ伝熱特性を得るには平均肉厚はその4倍で8.8mmとなり、極めて多量のアルミニウムを使用しなければならず且つ重量が大きくなり屋根上まで発電モジュールを屋根上まで持ち上げる作業に悪影響を来たす。
図4には、ヒートシンク基板4を鉄板としその伝熱性を補うためにヒートパイプ24を溶接した方式を示す。この場合はむしろ長短辺はその逆でも問題無い。何故ならヒートパイプ自体が極めて優れた伝熱特性を持つため長辺方向に付けてもその温度傾斜は小さい事と、逆にむしろヒートパイプの設置本数を少なくした方が、即ち長辺方向にヒートパイプを設置し短辺方向に冷却配管を設置したほうが全体の最適化とコスト低減が図れるからである。ヒートパイプ内の作動冷媒は水乃至は自然冷媒が用いられる。
図3で発電セル周りの詳細の説明を行う。ここでは発電セル3はシリコン結晶をベースとした小面積の発電セル素子の複数個をハイブリッドに組み合わせてモジュールとしたもので、現在最も一般的に用いられている太陽光発電セル方式である。このセルの表面は約3ミクロン単位の凸凹がエッチングにより形成されており、その表面は太陽光を吸収しやすく、56℃の黒体輻射スペクトル(3ミクロンの波長は含まない長波長である)は輻射しにくい特性をもっているから太陽光は吸収し易く、輻射放熱ロスは少ない。太陽光照射により発電セルは加熱されるが冷却媒体であるプロパンガスの循環量を調整する事により、約56℃前後に制御されている。
ここに用いられている積層体は最上面の被服層20が1.5mm厚さで融解点温度100℃のEVAホットメルト(酢酸ビニル含有量その他の調整により融解温度を確保)、その下に前述した発電セル3、その下の薄膜層19に1.0mm融解点温度100℃のEVAホットメルト、その下に平均肉厚2.2mmの前述のアルミ製のヒートシンク基板4からなっている。被服層はセル表面の結露、ごみの付着などを防止し発電セル3を確実に発電セル下面の薄膜層ホットメルトと接合させる効果も有する。
薄膜層ホットメルトのEVAは電気絶縁性と耐電圧性を持ち、尚且つ太陽光温熱をヒートシンク基板4に伝熱するためにその厚さを極力薄く(1mm)している。且つ又冬の低温度と夏の高温度におけるその部分の温度環境範囲としてマイナス20〜プラス95℃の環境に耐える材料であり、その間の発電セル3とアルミ製のヒートシンク基板4の相対的熱歪によるストレスを吸収できる軟質の特性を有している。この事例の場合、発電セルのシリコン基板の辺長は20cm以下であり且つ電気リードは歪吸収ができる構造にしているため、ヒートシンク基板として線膨張係数の大きなアルミニウムであっても、歪の緩衝用に厚さ1mmと薄いEVAを用いてもその相対熱歪を吸収させる事ができるわけである。
ところが、もっと辺長の大きな規模のシリコン基板や大面積アモルファス、その他線膨張係数が小さくて引っ張り歪に弱い発電セルを用いた場合には一層の歪吸収の工夫が必要になる。例えば薄膜層19の歪緩衝効果を高めるか、発電セル3を線膨張係数が小さいアルミナ等の固体の平板乃至はガラス板などに接合させたものを用いるか、ヒートシンク基板4そのものが線膨張係数の小さい鉄板などを用いることなどが有効となる。乃至はヒートシンクの温度が60〜80℃程度に達したら強制的に冷却する機構を設けるなどの対策が必要になるわけである。
この積層体と上面ガラス1の間のスペース支持の目的でプラスチック支柱16が使われ、ヒートシンク基板4の下面には発泡樹脂の断熱部材が接着されている。上面ガラス1とアルミのヒートシンク基板4を構造基板としてその外周をモジュール枠体7により固定してモジュール装置を構成している。以上の基本構成により、冷却配管6を取り付ける前の太陽光コジェネレイション装置としてのモジュールは、従来の太陽光発電装置と同等の構造、重量、設置構造を有し、その据付は太陽光発電装置、太陽光集熱装置と同等の工事性を持たせる事が構造上で容易であるという効果がある。同等の工事性により前述したような太陽光発電装置、太陽光集熱装置とミックスさせて顧客や建物に最適な組み合わせシステムを容易に提供できる。
勿論、以上のようにモジュールを設置後に冷却配管6を取り付けるのが容易な事は既に述べたとおりである。このモジュールの冷却配管を取り付けた部分の上部スペースを利用して太陽光の反射板8を取り付けてある。この反射板の面積はモジュールの受光面積の15%に相当する大きさで、結果として受光面積あたりのトータルエネルギー変換効率(TCR)を向上させる効果を狙ったものであり、7〜8%の向上が期待できる。反射板表面は反射光を散乱させて反射させるようにスモーク状に処理した鏡面である。これにより反射光はモジュールの発電セルの全体を柔らかにカバーする。また反射板8側の隣のモジュールとの間は反射板がそのモジュールの受光面に日陰を作らないようにスペース(図示せず)が取られており、これが装置のサービススペースを兼ねている。
図4にはヒートシンク基板として別の方式を用いた事例の積層体の断面を示した。前述した様に、熱歪に弱い発電セルである場合には、先ず線膨張係数の小さな例えば鉄板などを用いたヒートシンク基板を用いなければならない。この場合、線膨張係数の小さな金属は大概、熱伝導が悪く、内部で大きな温度差を発生させるから発電セルと冷却配管の間に10℃などという大きな温度差を発生させ、コジェネレイション装置としてのエネルギー変換効率(TCR)を悪化させる。そこで図4に示した事例では1mmの厚さの鉄板に8mm直径の銅パイプからなるヒートパイプを20cm間隔で溶接して取り付けたものを用いる。この場合薄膜層(図3における19)にはEVAより柔らかで歪吸収に優れた例えばEMMA(エチレンメチルメタクリレート共重合樹脂)などを用いる事などを合わせて採用すると効果は高くなる。
ヒートパイプ24の作動流体であるヒートパイプ媒体25は水である。この場合、発電モジュールは冷却配管6が取り付けられる辺を上部に配置して装置を設置し、ヒートパイプがヒートシンク基板内の上下方向の熱伝導を補助する方向にその軸を合わせて用いる事が必要条件となる。この様にしても発電セルが熱歪により破損したりその作動が不良になる場合に対応するための施策を図4に示している。これが第3の事例である。それは薄膜層19に関わるもので、図4に示したように発電セル3は固形の平坦な軟質の樹脂シート22に接合されている。場合によれば樹脂シート22にはさらに発電セルと線膨張係数の近いアルミナなどの金属板(図示せず)により補完されて硬い平坦面を保つ様に工夫されている。この樹脂シート22はヒートシンク基板4とは接合面23を介して接合されている。その接合面には熱伝導性のある耐熱グリースが塗布され、常に樹脂シート22とヒートシンク基板4は接合面23を介して相互に摺動できる様になっており耐熱グリースがその摺動を滑らかに行える様に助けている。
接合面23が常に接合されて伝熱ができる状態を維持するために、この積層体を厚さ方向に結束する結束バンド26を設けた。これは積層体に設けた貫通穴を貫通し、ヒートシンク基板4と発電セル3の上の皮膜層20とを締め付けることにより前記の接合面23を接合した状態に維持させる目的のもので、一つの発電モジュールあたり1〜数十箇所に結束バンドを設ける。結束バンドは細いが強靭な樹脂で両端に設けた拡大部分乃至はナット状部分が積層体の厚さ方向の膨らみを防止し接合面を接合状態に維持する。必要により結束バンド26に伸縮効果を持たせて接合面を接合方向に常に押し付ける事も有効である。積層体に設けた結束バンド用の貫通穴は結束バンドより僅かに大きくしてあるので、接合面での摺動は妨げられない。勿論一つのモジュールに用いる多数の結束バンドは連結され一体化されて成型された樹脂でも良い。この場合、図3に見られるプラスチック支柱16と結束バンド26を一体化した樹脂で形成することは実用上の効果は大きい。結束バンド26を積層体に挿入した後にその先端に嵌め込んでネジ乃至は溶着で固定する部品としてのナット状のもの自体に積層体を結束軸方向に押す様に働くバネ効果を持たせる方法などは実用的である。
冷却配管の構成についての別の案を図5に提示した。この方式はヒートシンク基板4の発電モジュール部15がモジュール枠体7の内部に収められ、温熱出力部14はモジュール枠体の外部まで延長されている構成である。この方式では冷却配管を温熱出力部14に固定するのは一層容易である。しかしながらヒートシンク基板4がモジュール枠体7を貫通して外に延長されているから、その部分の雨仕舞には工夫が必要となるし、温熱出力部には別のカバー(図示せず)により保護が必要になるので工事運搬の際の強度を考慮しておく必要がある。しかしながら沢山の発電モジュール装置を組み合わせ、冷却配管を太くして一本のパイプを利用しようとする場合には有効な構成である。
太陽光コジェネレイションシステムの発電量と温熱量を利用者の要望にあわせて調整するにはまづ設置するモジュールの種類を調整する事である。熱エネルギー利用の少ない南国のコンビニエンスストアなどでは太陽光発電装置を多くし、太陽光コジェネレイション装置の少ないシステムとする。但し暖房負荷の大きな地域では太陽光コジェネレイション装置を増やすほうが良い。一方給湯負荷の大きな床屋などでは太陽光コジェネレイション装置を増やすことが適当である。一般の家庭では太陽光コジェネレイション装置を規準とし、暖房負荷の小さな且つ入浴の少ない家庭では太陽光発電装置の割合を増加させるのが望ましい。こうした調整がほとんど不要で、どの様な需要モードにも適応し易い高機能システム商品も可能であり、その概要を図6に示した。
本発明の技術を活かした太陽光コジェネレイション装置をシステムとして作動させる商品サービスの代表事例は既に述べた様に、電力出力は商用電力に逆潮流させ(売電し)、温熱を温熱タンク21に蓄熱して温水として給湯や暖房に利用するシステムである。しかしながらさらに高レベルの利用システムとして電力、暖冷房、給湯をフルに供給するフルシステムに組み込んで利用する事例を図6に示す。これは太陽光コジェネレイション装置(図では装置を一つのモジュールで表現しているが、実際は複数装置によるシステムである)の温熱出力をヒートポンプ装置28で最適状態で得られる様に調整して冷熱と温熱蓄熱槽30、31に蓄熱させてその熱を給湯ライン38、温冷水ライン39を通して冷暖房給湯に利用するもので、これは太陽光コジェネレイションシステムにヒートポンプ装置を加えたもので、請求項2に記載したとおり、次の効果が期待できる。
1、発電セルの温度の最適制御(TCRの最大化を含む)。2、温冷熱蓄熱の蓄熱温度の最適制御。3、大気熱源ヒートポンプ運転による冷熱蓄熱が可能。4、冷熱運転の排熱を温熱蓄熱可能。5、エネルギー需要モードに合わせた電力、温熱、冷熱供給量の調整。6、太陽光不足の日にも大気熱源ヒートポンプで効率良い温熱確保。7、深夜電力の利用によるエネルギーコストの低減、などである。即ち、太陽光利用システムと大気熱源ヒートポンプシステムおよび商用電源の利用を複合させて、極めて合理的で顧客ニーズに合わせた運転を最高度に実現する事が可能になるわけである。このシステムによれば雨の日の分まで賄う様な大きな容量規模の太陽光コジェネレイションシステムを設置せずに済むし、年間需要エネルギー量の70〜80%を太陽光で賄い、雨、曇りの日には電力を利用した供給システムにする事で全体のシステムを最適にし、最もコンパクトなシステムを実現できると考えられている。
信頼性
太陽光コジェネレイション装置への期待は安定したエネルギーの供給の側面と長期使用による初期投資コストの吸収という二つの側面がある。従って長期使用の信頼性は極めて重要である。そのため本発明では発電セルに生じる熱歪ストレス、高温度環境、絶縁特性という技術側面を焦点とした課題の解決技術を提示した。また設置工事が容易になるような方式と構成と構造を提示した。何故なら工事性に問題のある装置システムは設置状態で信頼性の高いシステムとはならないと認識するからである。またエネルギー変換効率の向上のための幾つかの技術も提示した。それは商品の完成度という点で車の両輪であり、切り離す事ができないと考えるからである。
太陽光コジェネレイション装置屋根上設置状態の概略断面構造図 太陽光コジェネレイション装置システム屋根上設置レイアウト図 太陽光コジェネレイション装置代表事例の断面構造図 太陽光コジェネレイション装置摺動方式の断面構造図 太陽光コジェネレイション装置冷却配管分離方式の構造図 システム出力電力及び熱の利用システム商品事例の該略図
1 上面ガラスカバー
2 空気層
3 発電セル
4 ヒートシンク基板
5 断熱部材
6 冷却配管
7 モジュール枠体
8 反射板
9 太陽光コジェネレイション装置
10 据付け用縦桟
11 据付け用横桟
12 屋根
13 太陽光
14 ヒートシンク基板温熱出力部
15 ヒートシンク基板発電モジュール部
16 プラスチック支柱
17 モジュール枠体開口部
18 冷却配管固定金具
19 薄膜層
20 皮膜層
21 温熱タンク
22 樹脂プレート
23 接合面
24 ヒートパイプ
25 ヒートパイプ媒体
26 結束バンド
27 冷却配管固定ネジ
28 ヒートポンプ装置
29 送風ファン
30 冷熱蓄熱槽
31 温熱蓄熱槽
32 パワーコントローラー
33 送電線ライン
34 ヒートポンプ電源
35 冷却冷媒ライン
36 加熱冷媒ライン
37 水道水
38 給湯ライン
39 温冷水ライン
40 空調用ファンコイルユニット
41 床暖房壁面暖房パネル

Claims (2)

  1. 発電セルの上面に投射される太陽光により発電用セルから電力且つヒートシンク基板から温熱の双方を収集する太陽光コジェネレイション装置において、ヒートポンプ装置と組み合わせて発電セル温度と前記電力の最適制御乃至は前記温熱の温度の最適制御を行うことを特徴とした太陽光コジェネレイションシステム
  2. 太陽光発電装置と、前記太陽光コジェネレイション装置とを複数設置したシステムに於いて、それらの装置のモジュールの形状及び寸法を大略同等にし、且つ屋根その他の設置場所への取り付け方法を同一にし、それらの装置を臨機に選択して設置して顧客のエネルギーの種類のニーズに応えるシステムを構成できることを特徴とした請求項1に記載の太陽光コジェネレイションシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103574916A (zh) * 2013-11-29 2014-02-12 兰州理工大学 多介质太阳能集热辅助热泵***
WO2015045190A1 (ja) * 2013-09-27 2015-04-02 会川鉄工株式会社 太陽光発電装置、太陽光発電装置の融雪方法および冷却方法

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