JP5616599B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
金属部品での放熱回路による対策も取られているが、小型化される機器では、放熱回路が複雑になってしまうため、樹脂筐体と放熱回路とを一体化可能な、熱伝導性に優れ、かつ、筐体としての機械的強度にも優れる樹脂材料が要求されている。
また、小型電子機器においては、筐体、シャーシにおいても薄肉化が要求され、それに伴って薄肉での難燃性も要求されている。
しかしながら、特許文献2では、難燃性評価において厚さ2.5mmでしか評価がなされていない。また、かかる樹脂組成物では、黒鉛として天然黒鉛(鱗片状黒鉛)を使用しても、厚さ1.5mmでのUL94垂直燃焼(V試験)は取得不可であった。
例えば特許文献3では、熱安定性の改善を達成し得るために、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜90質量部と(B)黒鉛10〜40質量部との合計100質量部に対し、(C)アミノ基および/またはエポキシ基をもつ、シラン化合物および/またはシリコーン化合物0.001〜5質量部を含んでなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献3には難燃性についての記述はなく、かかる樹脂組成物でも、電子機器等の筐体に要求される厚さ1.5mm程度において十分な難燃性が得られないと考えられる。
例えば特許文献4では、発熱体が収容される放熱筐体であって、熱可塑性樹脂〔A〕と特定の熱伝導フィラー〔B〕とから成り、熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対する熱伝導フィラー〔B〕の配合量が10〜1,000質量部である熱伝導性樹脂組成物にて構成されている放熱筐体が開示されている。
しかしながら、特許文献4には、電子機器等の筐体に要求される難燃性に関する記述はなく、難燃剤、ドリップ防止剤の添加がないことから、十分な難燃性を有していないと考えられる。
一方、ドリップ防止剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用している従来技術は、各種の規制・規格でうたわれている非ハロゲン系難燃材料を対象としている場合が多く、このため、クレーム上はPTFEの添加量が広く取られていても、実施例ではその添加量が樹脂組成物全体の0.5質量%以下の場合が殆どである(例えば、特許文献2参照)。
また、シリコーン化合物を添加した熱伝導性樹脂組成物では筐体等に適用する場合、塗装が必要となるが、シリコーンの影響により塗装性が低下してしまう。
そのため、本発明では、シリコーン化合物を添加しなくても、厚さが1.2〜1.0mm程度でも良好な難燃性を有し、熱伝導性、熱安定性、機械的特性、耐衝撃性、流動特性及び濡れ性に優れた成形体を与える難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、下記の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供する。
2.(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、(B)人造黒鉛を30〜70質量部、(C)含フッ素滴下防止剤を1〜5質量部及び(D)難燃剤としてパーフルオロブタンスルホン酸カリウム及びトリフルオロメタンスルホン酸カリウムから選ばれる少なくとも1種類を0.15〜0.25質量部含有し、シリコーン化合物を含有しない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
3.(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、さらに(E)酸化防止剤を0.001〜1質量部含有する上記1又は2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
4.(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、さらに(F)離型剤を0.3〜2質量部含有する上記1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
5.上記1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体。
6.電気・電子機器用部品である上記5に記載の成形体。
7.電気・電子機器用シャーシである上記5に記載の成形体。
8.放熱部品、熱伝達用部品である上記5に記載の成形体。
((A)ポリカーボネート樹脂)
本発明において、(A)成分であるポリカーボネート樹脂としては、優れた耐衝撃性を得るために、粘度平均分子量が19,000〜30,000であること好ましく、成形性の観点から、粘度平均分子量が19,000〜27,000であることがさらに好ましい。また、ポリカーボネート樹脂を2種類以上混合して使用する場合には、(A)成分全体として粘度平均分子量を上記範囲に調整して使用することが望ましい。
なお、粘度平均分子量は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10-5Mv0.83の式により算出した値である。
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールA又はビスフェノールAを主原料としたものである。
また、芳香族ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
本発明において、(B)成分である人造黒鉛を含有することにより、樹脂組成物は熱伝導性を得ることができる。また、人造黒鉛は、石油コークス等を成形、焼成し、さらに超高温で高度黒鉛化したものであり、人造黒鉛は成形時に配向し難いため、強度が得られやすく、機械的強度に優れた樹脂組成物とすることができる。
一方、本発明は薄肉での難燃性を得ることを目的とするものであり、天然黒鉛のほか、膨張黒鉛、球状黒鉛、天然黒鉛を解砕した薄片黒鉛等を使用すると本発明の上記目的を達成することができないため、本発明では人造黒鉛を使用する。
また、固定炭素分が99.0質量%以上のものが好ましく、灰分が0.5質量%以下のものが好ましく、揮発分が0.4質量%以下のものが好ましい。揮発分が多いと、成形時にガス巻きが発生し、外観を損なう場合がある。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、30〜70質量部である。30質量部未満であると十分な熱伝導性が得られず、70質量部超であると薄肉での難燃性を得ることができず衝撃強度の低下、造粒時におけるポリカーボネート樹脂の分子量低下を引き起こす。好ましくは40〜50質量部である。
本発明において、(C)成分である含フッ素滴下防止剤は、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。ここで、フィブリル形成能とは、せん断力等の外的作用により、樹脂同士が結合して繊維状になる傾向を示すことをいう。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に溶融滴下防止効果を付与し、優れた難燃性を発現させる。具体例としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)等を挙げることができる。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」ということがある)が好ましい。
また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えばアルゴフロンF5〔ソルベイ ソレクシス株式会社製〕、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100〔ダイキン工業株式会社製〕等が挙げられる。これらのPTFEは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明においては、(D)成分である難燃剤として、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム及びトリフルオロメタンスルホン酸カリウムから選ばれる有機スルホン酸アルカリ金属塩を使用し、これらを特定の割合で含有させる。
また、(D)成分としてパーフルオロブタンスルホン酸カリウム及び/又はトリフルオロメタンスルホン酸カリウムを使用する場合、その含有量は(A)成分100質量部に対して、0.15〜0.25質量部である。0.15質量部未満であると難燃剤としての効果が発揮されず、0.25質量部超であっても優れた難燃性の効果を得ることができないばかりか難燃性の低下を引き起こし、さらに0.5質量部超であると熱安定性及び衝撃強度の低下を引き起こす。
本発明の樹脂組成物には、(E)成分である酸化防止剤を含有させることができる。(E)酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤等が好適に用いられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールドデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス−(p−トリル)ホスフィン、トリス−(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス−(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(アセトキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(β−エチルカルボキシエチル)−ホスフィン、トリス−(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス−(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−β−シアノエチルホスフィン、ジフェニル−(p−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン、ジフェニル−1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、成形時の生産性向上や成形体の寸法精度の向上を目的として、(F)成分として離型剤を含有させることができる。(F)成分としては、特に制限はなく、公知の離型剤、例えば脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素オイル、パラフィンワックス等を使用することができる。
なかでも脂肪酸エステルが好ましく、例えばステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート等の部分エステルが好ましく、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレートがより好ましい。これら離型剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物には、前述の(A)〜(F)成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤を含有させてもよい。各種添加剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム等の無機充填剤等が挙げられる。
一方、添加剤として難燃性の向上を目的としたシリコーン系難燃剤等のシリコーン化合物を添加することが知られているが、シリコーンの影響により成形品の塗装性が低下するため、塗装等により意匠性に富んだ成形品の製造にシリコーン化合物を含有する樹脂組成物を適用することは必ずしも好ましいとはいえない。そこで、本発明の樹脂組成物は、シリコーン化合物を含有させないことで塗装性に優れ、さらに前述の各成分を含有することにより良好な難燃性等を有する成形体を与える樹脂組成物とすることができる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、前述の(A)〜(F)成分や各種添加剤を常法により配合し、溶融混練することにより得ることができる。例えば、(C)含フッ素滴下防止剤等は、そのまま配合した場合に凝集するおそれがあるものもあり、(A)ポリカーボネート樹脂でマスターバッチ化してから配合してもよい。ただし、高速ミキサー等を使用する場合は、必ずしもマスターバッチ化する必要がない場合もある。
溶融混練としては、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いて行うことができる。溶融混練における加熱温度は、通常250〜330℃程度が適当である。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば、中空成形、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、熱曲げ成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等を適用することにより、難燃性、熱伝導性、熱安定性、機械的特性、耐衝撃性、流動特性及び濡れ性に優れた薄肉の成形体とすることができる。
とりわけ、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、使用時に薄い肉厚(1.2〜1.0mm程度)で難燃性が要求される部位に用いられる成形品、例えば、電気・電子用部品、電気・電子機器用シャーシ、放熱部品、熱伝達用部品、通信機器用部品等の製造に好適に使用される。
なお、後述の実施例及び比較例で得られたサンプルの物性測定及び評価は、以下の方法により行った。
(1)難燃性
幅12.7mm、長さ127mm、厚さ1.2mm又は1.0mmの試験片を射出成形にて成形した。この試験片を用い、UL94垂直燃焼(V試験)に準拠した方法にて燃焼試験を行い、難燃性のランクを判定した。なお、試験結果がV−0〜V−2の基準を満たさなかったものをNOTとした。
(2)熱伝導性(熱伝導率)
ホットディスク法にて測定した。
(3)引張破断強度
ASTM D638に準拠して測定した。
(4)曲げ強度・曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して測定した。
(5)耐衝撃性
・IZOD衝撃強度(ノッチ有)/(ノッチなし):ASTM D256に準拠して測定した。
・シャルピー衝撃強度(フラットワイズ、ノッチなし):JIS K7111に準拠して測定した。
(6)流動特性
JIS K7199に準拠して、温度320℃/温度360℃,荷重980Nにて測定した。
(7)濡れ性(表面張力)
JIS K6768に準拠して表面張力を測定した。
(A)ポリカーボネート樹脂
・FN1900A〔出光興産株式会社製、粘度平均分子量:19500〕
・FN2200A〔出光興産株式会社製、粘度平均分子量:22500〕
・FN2500A〔出光興産株式会社製、粘度平均分子量:25000〕
・FN2600A〔出光興産株式会社製、粘度平均分子量:26500〕
上記ポリカーボネート樹脂を使用し、粘度平均分子量(仕込み分子量)が19,000〜30,000となるように調製しながら混合したものを使用した。
・人造黒鉛PAG−420〔日本黒鉛工業株式会社製〕
固定炭素分:99.4%以上、揮発分:0.3%以下、灰分:0.3%以下、
不定形、50%累積径:30−40μm(50μm以上 50%以下)、
見かけ密度:0.29−0.37g/cm3
・人造黒鉛PAG−120〔日本黒鉛工業株式会社製〕
固定炭素分:99.6%以上、揮発分:0.2%以下、灰分:0.2%以下、
粒径分布 150−250μm:10%以下、75−150μm:60%以上、
75μm以下:10%以下
・天然黒鉛CB−150〔日本黒鉛工業株式会社製〕
固定炭素分:98%以上、灰分:1%以下、揮発分:1%以下
鱗片状、粒度分布 63μm以下:77−87%、106μm以上:5%以下、
50%累積径:31−48μm、 見かけ密度:0.2−0.3g/cm3
・膨張黒鉛EXP−P〔日本黒鉛工業株式会社製〕
固定炭素分:98.48%(規格93.00%以上)、
揮発分:1.14%(規格5.00%以下)、
灰分0.38%(規格2.00%以下)、
見かけ密度:0.07g/cm3(規格0.03−0.08g/cm3)
・薄片黒鉛UP−35N〔日本黒鉛工業株式会社製〕
固定炭素分:99.61%、灰分:0.19%、揮発分:0.2%、
50%累積径:33.38μm、 見かけ密度0.11g/cm3
・PTFE〔ソルベイソレクシス株式会社製、アルゴフロンF5〕
(D)難燃剤
・パーフルオロブタンスルホン酸カリウム〔三菱マテリアル製、エフトップKFBS〕
・トリフルオロメタンスルホン酸カリウム〔三菱マテリアル製、エフトップEF−12〕
・パラトルエンスルホン酸ナトリウム〔DAH DIING CHEMICAL INDUSTRY 製、純度93%以上、不純物として硫酸ナトリウム3質量%以下、水分5質量%以下〕
(E)酸化防止剤
・JC263〔城北化学工業株式会社製、トリフェニルホスフィン〕
・Irgafos168〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト〕
・ADK Stab C〔株式会社ADEKA製、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト〕
・Irganox1076〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
(F)離型剤
・S−100A〔理研ビタミン株式会社製、グリセリンモノステアレート〕
・EW−440A〔理研ビタミン株式会社製、ペンタエリストールテトラステアレート〕
(その他)
・シリコーン化合物〔信越化学工業株式会社製、KR−511(フェニル基、メトキシ基及びビニル基を有するオルガノポリシロキサン)〕
各表に示す組成を二軸押出機(東芝機械株式会社製、機種名TEM35)に配合し、バレル温度300〜320℃、スクリュー回転数100〜600回転、吐出10〜30kg/hrにて溶融混練し、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルの物性測定及び評価を前記の方法に従って行い、結果を表に示した。
Claims (8)
- (A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、(B)人造黒鉛を30〜70質量部、(C)含フッ素滴下防止剤を1.49〜5質量部及び(D)難燃剤としてパラトルエンスルホン酸ナトリウムを0.15〜0.73質量部含有し、シリコーン化合物を含有しない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、(B)人造黒鉛を30〜70質量部、(C)含フッ素滴下防止剤を1.49〜5質量部及び(D)難燃剤としてパーフルオロブタンスルホン酸カリウム及びトリフルオロメタンスルホン酸カリウムから選ばれる少なくとも1種類を0.15〜0.25質量部含有し、シリコーン化合物を含有しない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、さらに(E)酸化防止剤を0.001〜1質量部含有する請求項1又は2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、さらに(F)離型剤を0.3〜2質量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体。
- 電気・電子機器用部品である請求項5に記載の成形体。
- 電気・電子機器用シャーシである請求項5に記載の成形体。
- 放熱部品、熱伝達用部品である請求項5に記載の成形体。
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