JP4105004B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる鏡筒 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる鏡筒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物からなる鏡筒に関し、より詳しくは、ハロゲンやリンを含まず、難燃性、耐熱性、高剛性及び良好な表面外観を有し、レンズ、プリズム及びミラー等の光学素子を保持する、光学系に組み込まれる鏡筒に関する。具体的には、液晶プロジェクターにおける鏡筒及びプロジェクションTVにおける鏡筒などに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃特性、耐熱性、電気的特性、寸法安定性等により、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器及び家庭電化機器等の電気・電子機器分野、自動車分野及び建築分野等様々な分野において幅広く利用されている。
このポリカーボネート樹脂は、各種熱可塑性樹脂の中では酸素指数が高く、一般的に自己消火性を有する樹脂であるが、OA機器や電気・電子機器分野、その他各種用途における安全上の要求を満たすために、さらに難燃性を高めた樹脂組成物が強く求められている。例えば、ポリカーボネート樹脂組成物を液晶プロジェクターの鏡筒を形成する素材として用いる場合には、投射用ランプからの熱によって光学系の光軸ずれが大きくなることのないような高度の耐熱性、焦点合わせの際のねじれ変形に耐え得る高剛性を有することが求められる。
【0003】
従来、高剛性の鏡筒としては、ガラス繊維入りポリカーボネート樹脂組成物からなる鏡筒が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、難燃性は考慮されていない。難燃性ポリカーボネート樹脂組成物としては、ハロゲン系難燃剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)が、この組成物は、成形時に発生するガスにより、成形機や金型が腐食し易く、モールドデポジットも出現し易いという問題がある。なお、成形体における130℃以上の荷重撓み温度は、ハロゲン系難燃剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物でも達成できるが、上記のような問題があるため好ましくない。
リン系難燃剤を含むポリカーボネート樹脂組成物としては、表面外観改良のためにリン酸エステルを添加したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)が、この組成物からなる成形体は、荷重撓み温度が極端に低下し、また、加熱により成形体表面が曇り外観が悪くなるという問題がある。
【0004】
難燃性ポリカーボネート樹脂組成物としては、リン酸エステル系難燃剤にホウ素化合物を添加した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献5及び特許文献6参照)、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献7参照)、フッ素化ポリオレフィンを含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献8参照)、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩と、一価アルコール又は多価アルコールの硫酸エステル金属塩を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献9参照)も提案されている。これらは、ノンハロゲン系難燃剤を含有する組成物であり、この組成物は、ハロゲン系難燃剤を含有する組成物と比較すると、成形機や金型の腐食、成形時の臭気がない点で優れており、リン系難燃剤を含有する組成物と比較すると、成形時において発生ガスや金型付着物が少なく、耐熱性においても優れている。
しかしながら、これらのポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、いずれも、液晶プロジェクターにおける鏡筒及びプロジェクションTVにおける鏡筒などに必要な特性、すなわち、難燃性、耐熱性、高剛性及び良好な表面外観のバランスの点で、満足できるものではなく、上記鏡筒の素材として好適な難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−211609号公報
【特許文献2】
特公昭47−44537号公報
【特許文献3】
特開昭59−202240号公報
【特許文献4】
特開平9−48912号公報
【特許文献5】
特開平10−30056号公報
【特許文献6】
特開平10−46017号公報
【特許文献7】
特公昭47−40445号公報
【特許文献8】
特開昭51−45159号公報
【特許文献9】
特開平6−287427号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる、難燃性、耐熱性、高剛性及び良好な表面外観のバランスの点で優れた鏡筒を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂とガラス繊維とを特定の割合で使用し、これらの合計量に対して、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩及びポリテトラフルオロエチレンを特定の割合で配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られる鏡筒が、難燃性、耐熱性、高剛性及び良好な表面外観のバランスの点で優れていることを見出した。すなわち、ポリカーボネート樹脂組成物にリン系難燃剤を添加した場合、熱変形温度が著しく低下するが、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩では、このような低下がなく、例えば、プロジェクター等の鏡筒として成形体を用いた場合でも、高温において良好な剛性を保持することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜95質量部と(B)ガラス繊維40〜5質量部の合計量100質量部に対して、(C)パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩0.03〜0.4質量部及び(D)ポリテトラフルオロエチレン0.1〜0.5質量部を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする鏡筒を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂組成物において、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々のものを挙げることができる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法により反応させて製造されたものを用いることができる。
【0009】
二価フェノールとしては、様々なものを挙げることができるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4' −ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。
【0010】
特に、好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特に、ビスフェノールAを主原料としたものである。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等である。この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン及びカテコール等を挙げることができる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
なお、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α' ,α" −トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等がある。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール及びp−クミルフェノール等が用いられる。
【0012】
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、テレフタル酸等の2官能性カルボン酸、又はそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂等の共重合体、又は種々のポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
【0013】
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは15,000〜25,000、より好ましくは17,000〜22,000、特に好ましくは18,000〜21,000である。この粘度平均分子量が高すぎると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が低下するため、成形性が悪くなるおそれがある。また、この粘度平均分子量が低すぎると、ポリカーボネート樹脂組成物の成形体が脆くなるため、鏡筒としての強度が不足してしまうおそれがある。
この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
【0014】
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂としては、分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ここで分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の製造において、末端停止剤として、炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールを用いることにより得ることができる。
これらのアルキルフェノールとしては、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、ノナデシルフェノール、イコシルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール及びペンタトリアコンチルフェノール等が挙げられる。
【0015】
これらのアルキルフェノールのアルキル基は、水酸基に対して、o−、m−、p−のいずれの位置であってもよいが、p−の位置が好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状又はこれらの混合物であってもよい。
この置換基としては、少なくとも1個が前記の炭素数10〜35のアルキル基であればよく、他の4個は特に制限はなく、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、ハロゲン原子又は無置換であってもよい。
【0016】
この分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂は、後述するポリカーボネート系樹脂のいずれの場合でもよく、例えば、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物との反応において、分子量を調節するために、これらのアルキルフェノールを末端封止剤として用いることにより得られるものである。
【0017】
例えば、塩化メチレン溶媒中において、トリエチルアミン触媒、前記炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールの存在下、二価フェノールと、ホスゲン又はポリカーボネートオリゴマーとの反応により得られる。ここで、炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールは、ポリカーボネート樹脂の片末端又は両末端を封止し、末端が変性される。この場合の末端変性は、全末端に対して20%以上、好ましくは50%以上とされる。すなわち、他の末端は、水酸基末端、又は下記の他の末端封止剤を用いて封止された末端である。
【0018】
他の末端封止剤として、ポリカーボネート樹脂の製造で常用されているフェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−tert−アミルフェノール、ブロモフェノール及びトリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール等を挙げることができる。中でも、環境問題からハロゲンを含まない化合物が好ましい。
また、高流動化のためには、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端は、炭素数10〜35のアルキル基であるものが好ましい。分子末端を炭素数10以上のアルキル基にすると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上する。しかし、分子末端が炭素数36以上のアルキル基では、耐熱性及び耐衝撃性が低下する。
【0019】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂組成物において、(B)ガラス繊維としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス及び無アルカリガラス等を原料としたいずれをも好適に用いることができる。これらのガラス繊維の形態は、特に制限はなく、例えば、ロービング、ミルドファイバー及びチョップドストランド等いずれの形態のものも使用することができる。
ガラス繊維は、平均繊維径が7〜15μmのものが好ましく、より好ましくは10〜13μmである。また、使用されるガラス繊維の平均繊維長は、使用するガラス繊維の形態により相違するが、チョップストランドを使用する場合は、通常1〜5mmの長さを有するガラス繊維が使用される。ガラス繊維は、混練及び成形時に切断され、組成物のペレット中で1〜500μm程度となる。
本発明において、(A)成分及び(B)成分との使用量は、(A)成分60〜95質量部及び(B)成分40〜5質量部であって合計量が100質量部となる量であるが、(A)成分65〜90質量部及び(B)成分35〜10質量部が好ましく、(A)成分80〜70質量部及び(B)成分20〜30質量部がより好ましい。(B)成分の使用量が5質量部未満であると、成形体である鏡筒において十分な剛性や耐熱性が得られず、(B)成分の使用量が40質量部を超えると、剛性や耐熱性が向上し成形収縮率は小さくなるものの、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が低下するため、成形体である鏡筒の表面外観が悪化する。
【0020】
(C)成分のパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩としては、下記一般式
(Cn 2n+1SO3 m
(式中、nは1〜10の整数を示し、Mはリチウム,ナトリウム,カリウム及びセシウム等のアリカリ金属を示し、mはMの原子価を示す。)
で表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの化合物としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものが該当する。
【0021】
上記一般式において、パーフルオロアルカンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタンスルホン酸,パーフルオロエタンスルホン酸,パーフルオロプロパンスルホン酸,パーフルオロブタンスルホン酸,パーフルオロメチルブタンスルホン酸,パーフルオロヘキサンスルホン酸,パーフルオロヘプタンスルホン酸及びパーフルオロオクタンスルホン酸等を挙げることができる。特に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
本発明において、(C)成分のパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.03〜0.4質量部であり、好ましくは0.05〜0.3質量部である。(C)成分の配合量が0.03質量部未満であると、十分な難燃性を有する鏡筒を得ることができない。また、(C)成分の配合量が0.4質量部を超えても、さらに難燃性が向上するものでもない。
【0022】
(D)成分のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、燃焼時の溶融滴下防止剤として配合される。ポリテトラフルオロエチレンの平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができる。
ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能力のあるものが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えば、テフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業株式会社製)及びCD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えば、アルゴフロンF5(モンテフルオス株式会社製)、ポリフロンMPA及びポリフロンFA−100(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。
上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得ることができる。
本発明において、(D)成分のポリテトラフルオロエチレンの配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜0.5質量部であり、好ましくは0.2〜0.4質量部である。(D)成分の配合量が0.1質量部未満であると、燃焼時の溶融滴下防止効果が不十分となる。また、(D)成分の配合量が0.5質量部を超えると、ハロゲンの含有量が多くなるため、ハロゲン系難燃剤含有組成物となってしまい、好ましくない。
【0024】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂組成物には、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、必要により含有させることもできる。例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、離型剤、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤及び着色剤(染料、顔料)等を挙げることができる。
【0025】
次に、本発明で用いるポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)〜(D)成分を上記割合で、さらに必要に応じて用いられる各種添加剤を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。
配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサーなどで予備混合して、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練成形としては、押出成形機、特に、ベント式の押出成形機の使用が好ましい。なお、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂と溶融混練し、マスターバッチとして添加することもできる。
【0026】
本発明の鏡筒は、ポリカーボネート樹脂組成物で、ペレット状の成形原料を製造し、次いで、このペレットを用いて、射出成形することにより製造することができる。射出成形方法としては、外観のヒケ防止又は軽量化のためにガス注入成形を採用することもできる。このようにして製造された本発明の鏡筒は、荷重撓み温度が130℃以上のものである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらによって、何ら制限されるものではない。
実施例1〜2及び比較例1〜3
下記配合成分を、表1に示す配合量で用いた。下記配合成分のうち、ガラス繊維、リン酸エステル以外の各成分をドライブレンドし、このブレンド物を二軸押出成形機〔東芝機械(株)製:TEM−35〕のホッパーから供給し、ガラス繊維及びリン酸エステルはサイドフィードして混練し、組成物のペレットを作製した。このペレットを80℃で5時間乾燥させた後、射出形成機〔東芝機械(株)製:IS100EN〕にて成形して試験サンプルを作製し、下記の方法で、荷重撓み温度、曲げ弾性率、アイゾット(IZOD)衝撃強度及び難燃性評価試験を行った。また、上記組成物を、樹脂温度300℃、金型温度100℃で射出成形して、長さ25mm、内径40mm、肉厚3mmの筒状成形体(鏡筒)を作製し、内径の真円度の測定及び外観の評価を行った。結果を表1に示す。
【0028】
[配合成分]
(A)ポリカーボネート:出光石油化学社(株)製,タフロンA1900(粘度平均分子量19,000)
(B)ガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)製,MA409C(平均繊維径13μm,ストランドの長さ3mm)
(C)パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩:大日本インキ(株)製,F114(構造式 C4 9 SO3 K)
(D)ポリテトラフルオロエチレン:旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製,CD076
(E)リン酸エステル:大八化学(株)製,CR741(ビスフェノールAホスフェート)
【0029】
[物性試験]
(1)荷重撓み温度
ASTM D−648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
(2)曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠して測定した。
(3)アイゾット(IZOD)衝撃強度(ノッチ付き)
ASTM D−256に準拠して測定した。
(4)難燃性
UL94燃焼試験(1.6mm(1/16インチ))に準拠して測定した。
(5)真円度
真円度測定器((株)三豊製作所製)を用いて、真円度を測定した。筒状成形体の内径の最長部と最短部の長さの差を真円度とした。この差が小さい程、真円度が高い。
(6)外観評価
光沢の有無を目視で判定し、光沢のあるものを「良」、光沢のないものを「荒れ」とした。
【0030】
【表1】
Figure 0004105004
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、難燃性、耐熱性、高剛性及び良好な表面外観のバランスの点で優れた鏡筒を得ることができる。また、本発明で用いる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を使用していないので、成形時において発生ガスや金型付着物が少なく外観の良好な鏡筒を作製することができる。

Claims (3)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜95質量部と(B)ガラス繊維40〜5質量部の合計量100質量部に対して、(C)パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩0.03〜0.4質量部及び(D)ポリテトラフルオロエチレン0.1〜0.5質量部を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする鏡筒。
  2. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂の使用量が65〜90質量部、及び(B)ガラス繊維の使用量が35〜10質量部である請求項1に記載の鏡筒
  3. (A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が15,000〜25,000である請求項1又は2に記載の鏡筒。
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