JP5615578B2 - 印刷用艶消し塗工紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた印刷適性を備えた艶消し塗工紙及びその製造方法に関する。
近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達できる高品質印刷用塗工紙への強い要望がある。一方、省資源、輸送および郵送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望は相反するものであり、高品質印刷用塗工紙は原紙および塗工量が多く、また表面処理による平滑化などにより、同一坪量で比較して密度が高いものであり、軽量化の要望にそぐわない。印刷物の軽量化には低坪量の用紙を選択することが可能であるが、密度が同等であれば軽量化にともない紙厚も低くなり、冊子のボリューム感を損なうため好まれない。このため、すなわち同一坪量で比較して紙厚の高い、もしくは同一紙厚で比較して坪量が低く、すなわち低密度(嵩高)でかつ印刷面感や印刷光沢度等の印刷適性が良好な塗工紙が求められている。
また雑誌等に用いられている塗工紙は、風合い、手触り、めくりやすさといった性質が重要である。特に最近はボリューム感(紙厚が高い)がありながら軽くすなわち嵩高(低密度)であり、かつ本にした場合にめくり易い等の柔軟性も求められてきている。従来紙厚を高くすれば、紙のこわさが増加し、逆にめくりにくくなるため、ボリューム感とめくり易さを両立することは困難であった。
塗工紙は、光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。光沢塗工紙は、高級印刷に用いられているアート紙、スーパーアート紙、あるいはカタログ、雑誌、パンフレットなどに用いられているコート紙等があり、印刷仕上がりが白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は、ダル調、マット調があり、グロス調よりも白紙光沢や印刷光沢が低いものである。マット調はダル調よりも白紙光沢が低いものである。特にマット調の艶消し塗工紙は、従来のグロス調のものに比べて、印刷後の文字部が読みやすく、近年需要が増えている。また、印刷後の光沢度が白紙の光沢度と比較して相対的に高い、すなわちデルタグロス(印刷光沢度から白紙光沢度を引いた値)が高い紙は、印刷部に立体感があることからより高品質な塗工紙として、特に好まれる傾向にある。
オフセット印刷の用途で使用される嵩高塗工紙は、印刷されたインキを乾かすためのドライヤーの熱によるブリスター(火膨れ)トラブルが発生しやすく、ブリスターに対する強度をある一定レベル以上にすることが望まれており、印刷された後の折り工程で用紙が折られる際の強度が特に必要であり、ある一定以上の折り割れ強度が望まれている。
紙の風合い、手触り、めくり易さといった性質については、風合いの改善を目的として、填料として特定の紡錘状炭酸カルシウムを使用し、保水値が100〜150%の機械パルプを配合した薄葉書籍用紙が開示されている(特許文献1参照)。また、フリーネスがCSF500ml以上の広葉樹クラフトパルプを90重量%以上含有し、該広葉樹クラフトパルプはフタバガキ類のパルプを50〜100重量%含有し、填料として炭酸カルシウムを含有した、密度が0.60〜0.40g/cmの低密度書籍用紙が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらは特殊なパルプを配合する必要があるため、コスト的には不利であり、紙自体の柔軟性も不十分で、風合い、手触り、めくり易さが優れているものではなかった。
さらに、嵩高な艶消し軽量塗工紙としては、特許文献3〜5が開示されている。
特許文献3には、化学パルプを主原料とする原紙に主成分として炭酸カルシウムを含有しないカオリンとバインダーからなる塗工液をロールコーター方式にて塗工する方法が記載されている。しかし、原紙に繊維間結合を阻害する有機化合物を含有しておらず、低密度でこわさが低い塗工紙を得ることができない。また、単に原紙に繊維間結合を阻害する有機化合物を配合した場合は、印刷面感やブリスター適性が劣るため好ましくない。
特許文献4には濾水度250〜450mlに叩解したパルプを40重量%以下混合したパルプを用いて抄造した原紙を用いた手法が記載されているが、これは、低濾水度のクラフトパルプを配合していないことやクラフトパルプの配合量自体が本願発明よりも少ないことなどから、印刷面感が劣り、柔軟性、ブリスター適性のある塗工紙が得られない。
特許文献5にも、艶消し塗工紙の製造方法が記載されているが、低濾水度パルプの配合量が少なく、低密度の塗工紙を得ることができず、また、こわさに関しても、本願発明よりも高い塗工紙が得られる。
例えばマットコート紙として坪量157g/m、両面塗工量30〜50g/m、密度(緊度)0.88g/cm、のマットコート紙の典型的品質は、75°光沢度12%、60°印刷光沢度27%(4色重刷部)となっている(非特許文献1)。このマット調艶消し塗工紙を軽量化しようとして、例えば上記マットコート紙の原紙坪量および塗工量を半分にして総坪量80g/mのものとすると、印刷光沢度が著しく低下し、また不透明度が低下して裏抜けの問題が発生するおそれが増大する。総坪量80g/mのままで、印刷光沢度を改善すべく、塗工層の塗工量を多くすれば、その分原紙坪量を下げざるを得ず、ますます不透明度と剛度が不足し実用的ではない。この不透明度と剛度が実用的な程度にまで改善すべく原紙坪量を増加させれば、その分今度は塗工量を極めて少なくした場合、表面の被覆性が不足して印刷光沢度がきわめて低い不鮮明な画像となってしまう。また、不透明度を改善する方法として、原紙に不透明度が大きい二酸化チタンのような無機填料を内添する方法が公知であるが、無機填料を内添すると原紙の密度は逆に増大してしまう。
また、塗工紙の印刷品質、特に印刷面感や画線部の印刷光沢度を向上させるためには、塗工紙の平滑性を高めることが有効な手段のひとつである。このため、光沢塗工紙や、ダル調と呼ばれる艶消し塗工紙と光沢塗工紙の中間的な白紙光沢度を有する塗工紙では、塗工後にスーパーカレンダー等の表面平滑化処理を施すことが一般的である。しかし、これらの処理は用紙を加圧して表面の平滑性を高めるものであるため、同時に白紙光沢度が高く、用紙の紙厚が低くなり、スーパーカレンダー処理単独では目標とする印刷品質を得るには十分ではなかった。
低密度で紙厚と不透明度を保ちながら原紙を軽量化する方法として、中空の合成有機物のカプセルを配合する方法、抄紙時のドライヤーの熱で発泡させる合成有機発泡性填料(例えば商品名EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)を配合する方法等が知られている。しかし、これらの方法は、抄紙時の乾燥条件など、安定した操業条件を得ることが困難であり、大量生産が必要な品種には適当とはいえない。また、填料ではないが、特開平8−13380号公報に微細フィブリル化セルロースを添加する方法が提案されている。しかしこの方法では、微細フィブリル化セルロースを別に調整する必要があり操業上煩雑になり、実用的ではない。
また、密度、裂断長、ヤング率の3者の積を規定して、嵩高で、柔軟性のある印刷用紙が記載されている(特許文献6参照)。しかしながら、この紙を塗工原紙として使用し、顔料と接着剤を含有する塗工層を設けた場合、柔軟性が劣り、めくり易くなく、強度等が劣る問題があった。
また、繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を配合し、原紙灰分、塗工量、層間強度を規定した特許が開示されている(特許文献7参照)が、この方法では、本願発明で製造した塗工紙と同等の密度での比較において、デルタグロスが特に高く印刷面感が良好で、折り割れ強度や表面強度が良好な塗工紙を得ることは困難である。このように、従来の技術の単なる応用では所望の特性を持った軽量化した艶消し塗工紙を得ることはできない。
特開平08−246390号公報 特開平10―204790号公報 特開2001−234497号公報 特開2006−274513号公報 特開2004−277975号公報 特開2001−234497号公報 特開2003−213595号公報
「印刷と用紙」188頁、紙業タイムス社、1996年発行
このような状況に鑑みて、本発明の課題は、低密度、柔軟性かつ実用に適した不透明度や白色度を有すること、加えてデルタグロス(=印刷光沢度−白紙光沢度)が特に優れて高いことを前提に、少なくとも印刷面感、ブリスター適性及び表面強度のいずれかが良好なオフセット印刷用の艶消し塗工紙及びその製造方法を提供することである。
さらに、低密度、柔軟性且つ実用に適した不透明度や白色度を有すること、デルタグロスが特に優れて高いことを前提に、印刷面感及び印刷光沢度が高く、折り割れ、ブリスター適性、表面強度がいずれも良好であるオフセット印刷用の艶消し塗工紙及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。上記課題を達成するために、原料にクラフトパルプを主として用い、さらに特定の濾水度の広葉樹クラフトパルプを含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有することにより、印刷面感などの品質に優れた艶消し塗工紙を得ることができることを見出した。
すなわち、以下の発明を包含する。
原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙において、前記原紙が、原料として、クラフトパルプを全パルプ絶乾重量当たり90重量%以上含有し、かつ、前記クラフトパルプとして、100ml以上350ml以下の濾水度の広葉樹クラフトパルプを全クラフトパルプ絶乾重量当たり65重量%以上含有し、かつ、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有することを特徴とする印刷用艶消し塗工紙。(請求項1)
原紙中の灰分率を原紙重量当たり5〜20%としたことを特徴とする請求項1に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項2)
塗工層を設ける前の原紙上に、接着剤を片面あたり0.3〜3.0g/m塗布した塗布層をフィルムトランスファー方式の塗布方法にて設けることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項3)
フィルムトランスファー方式の塗布方法としてゲートロールコーター又はロッドメタリングサイズプレスを採用してなる請求項3に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項4)
前記塗工層の塗工量が片面当たり4〜10g/mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項5)
前記塗工層の顔料として、平均粒径が0.2〜1.5μmの炭酸カルシウムを65〜100重量部含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項6)
前記炭酸カルシウムが、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを出発物質として濃度50%以下で湿式粉砕することによって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上であることを特徴とする炭酸カルシウムである請求項6に記載の印刷用艶消し塗工紙。(請求項7)
原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙の製造方法において、原料として100ml以上350ml以下の濾水度の広葉樹クラフトパルプを全パルプ絶乾重量当たり65重量%以上含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有する紙料を抄紙した原紙に、接着剤を塗布した塗布層を設けた後に、更に顔料と接着剤を塗工して塗工層を形成することを特徴とする印刷用艶消し塗工紙の製造方法。(請求項8)
本発明によれば、低密度、柔軟性かつ実用に適した不透明度や白色度を有し、デルタグロス(=印刷光沢度−白紙光沢度)が高く、また少なくとも印刷面感、ブリスター適性及び表面強度のいずれかが良好なオフセット印刷用の艶消し塗工紙及びその製造方法が得られる。
さらに、印刷面感及び印刷光沢度が高く、折り割れ、ブリスター適性、表面強度がいずれも良好であるオフセット印刷用の艶消し塗工紙、及びその製造方法を得ることができる。
本発明者らは、嵩高な塗工紙において、柔軟性と剛度を両立させるために、特定の濾水度の広葉樹クラフトパルプを用いデルタグロスが良好で、かつ、少なくとも印刷面感、ブリスター適性及び表面強度のいずれかを良好にするために、密度と塗工量を最適な組み合わせとし、加えて、トランスファー方式で原紙にバランスをとり、接着剤を含有する層を顔料塗工層の下層に塗布すること、さらには、原紙が含有する灰分や澱粉の塗工量を特定の範囲とし、さらに特定の澱粉塗布方式を採用することにより、印刷面感及び印刷光沢度が高く、折り割れ、ブリスター適性及び表面強度がいずれも向上した。
原紙に配合するパルプ
原紙の低密度化(嵩高化)の方法として、繊維が剛直で低密度化に効果的である機械パルプ、特に砕木パルプを用いることが知られている。しかしながら、砕木パルプは機械パルプであり、上質紙への配合は規格上問題があり、また、配合したことによって紙質、例えば白色度の低下などの品位上でも問題が生じ易い傾向にあり、本発明においては、クラフトパルプを主体として用いる。
本発明の原紙に配合するパルプは、主としてクラフトパルプが好ましい。全原料パルプの絶乾重量に対して、90重量%以上、このましくは95重量%以上含有することができる。経時による褪色を少なくするためには、クラフトパルプを単独使用することが好ましい。クラフトパルプであれば、針葉樹を原料とするもの(以下、針葉樹クラフトパルプという)であっても、広葉樹を原料とするもの(以下、広葉樹クラフトパルプという)であってもどちらでも良い。柔軟性の点から、広葉樹クラフトパルプを、針葉樹クラフトパルプより多く含有することが好ましい。但し、針葉樹クラフトパルプを含有すると、剛度が上がり、更に棒じわも抑制できるため、一定量含有する方が好ましい。針葉樹クラフトパルプの配合量は、全クラフトパルプに対し、35重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
本発明の原紙に配合する広葉樹クラフトパルプは、濾水度(以下、フリーネスということがある)100ml以上350ml以下のものを全クラフトパルプに対して、65重量%以上配合することができる。嵩高にするためにはパルプの濾水度を上げた方がよいのだが、濾水度を、一般的なものより低い100ml以上350ml以下とすることにより、原紙に平滑性や剛度を適度に付与することができる。より好ましくは、濾水度240ml以上310ml以下である。
濾水度100ml以下とすると、製造工程で叩解機に負荷がかかり生産性が低下する傾向にあり、濾水度350ml以上とすると、印刷面感に劣りブリスター発生や表面強度不足などの懸念があるので好ましくない。また、濾水度100ml〜350mlの広葉樹の化学パルプを65重量%未満とすると印刷面感やデルタグロスの低下などが発生するので好ましくない。
クラフトパルプ全体のトータルの濾水度は、200ml〜450ml、好ましくは、300ml〜400mlである。200mlより小さいと、製造工程で叩解機に負荷がかかり生産性が低下する傾向にあり、濾水度450mlより大きいと、印刷面感に劣りブリスター発生や表面強度不足などの懸念があるので好ましくない。
その他パルプとしては化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ(古紙パルプ)を単独もしくは任意の割合で混合使用してもよい。
また原紙に配合する填料の種類としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。その他に必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤等を含有してもよい。
原紙中の紙中灰分率は、1重量%〜30重量%であるが、5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜15重量%程度がより好ましい。灰分が5重量%未満であると剛度が上がる可能性があり、30重量%以上であると原紙の層間強度が弱くなり、25重量%を超えてもその傾向がみられる。
本発明においては、オフセット印刷時にブリスターを発生させないために、Lorentzen and Wettre社製引っ張り試験機で層間強度を500kPa以上、透気抵抗度を5000秒以下とすることが好ましい。層間強度500kPa以下の場合や、透気抵抗度が5000秒以上であると、実用上、ブリスター発生の懸念が多く好ましくない。
層間強度が500kPaより小さいと、層間剥離が起きやすく、印刷適性が低下する傾向にある。層間強度は、より好ましくは、550kPa以上である。
パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物
本発明においては、原紙にパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有させることにより、密度を低く、嵩高にすることができる。
本発明のパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物は、以下の試験により選定することができる。目的の用紙を構成するパルプ組成物に絶乾パルプ100重量部に対して0.3重量部の試験する有機化合物を配合したパルプスラリーを用いて、実験用配向性抄紙機(熊谷理機社製)で、回転速度900rpmにて抄紙し、JIS 8209の方法に従ってプレス、乾燥を行った。
なお、乾燥条件については、送風乾燥機により、50℃、1時間処理した。この試験用紙を23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、JIS P8113に従って、引っ張り強さを測定する。引っ張り強さが低下する化合物が、本発明の繊維間結合を阻害する作用をもつ有機化合物である。
このときの低下率があまりにも少ないものは嵩高効果が少なく、そのため多量に添加する必要がある。低下率が大きいものは少量の添加で嵩高効果がある。
従って、引っ張り強さが低下する有機薬品であればいずれのものも使用可能であるが、0.3%配合時の低下率が5〜30%のものが好ましく、特に8〜20%のものが好ましい。
本発明のパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物(以下、「結合阻害剤」という。)は、疎水基と親水基を持つ化合物であった、上記試験で引っ張り強度の低下作用を有するものである。
最近、製紙用で紙の嵩高化のために上市された低密度化剤(又は嵩高剤)は、本発明の結合阻害剤として適しており、高級アルコールのエチレン及び/又はプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸モノアミド、脂肪酸ジアミド、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体、脂肪酸ポリアミドアミンなどを例示することができ、好ましくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸モノアミド、脂肪酸ジアミド、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体等である(例えば、WO98/03730号公報、特開平11−200284号公報、特開平11−350380号公報等参照)。
販売されている嵩高薬品としては、BASF社のスルゾールVL、Bayer社のバイボリュームPリキッド、花王(株)のKB−08T、08W、KB110、115、三晶(株)のリアクトペイクといった薬品があり、単独又は2種以上を併用してもよい。
本発明の艶消し塗工紙は、嵩高で、柔軟な用紙にするために、パルプの結合阻害剤をパルプ100重量部当たり0.1〜10重量部含有することが好ましく、特に0.2〜1.0重量部を含有することが好ましい。
接着剤の塗布
本発明においては、塗工原紙上に澱粉、ポリビニルアルコールなどの接着剤を塗工することが好ましい。
塗工量は、片面当たり、0.3g/m〜3g/mとすることができ、好ましくは1.0〜2.0g/mである。0.3g/mよりも少ない場合は、表面強度低下が懸念されるため好ましくなく、3g/mよりも多い場合は、操業時に接着剤溶液の塗布濃度を高くする必要が生じるためボイリングや接着剤の凝集物発生等の問題が発生するので好ましくなく、また、印刷後の折り割れが発生し易くなるため好ましくない。
塗工方式は、いずれの方法を用いても構わないが、ポンド式や、ゲートロールコータやロッドメタリングサイズプレスなどのフィルム転写式塗工方式が好ましい。
また、接着剤の塗布にポンド式サイズプレスを使用すると、ブリスター適性は向上するが、マシン上で澱粉液の吸液量が多くなり抄速がダウンすることや、印刷後に折り割れ強度が著しく低下することがある。
マシンカレンダー
本発明の原紙は、必要に応じて原紙製造後、マシンカレンダー(プレカレンダー)やホットソフトニップカレンダーと呼ばれるカレンダー装置において、原紙表面を平滑にすることができる。
本発明においては、カレンダー処理をしなくとも十分な印刷品質を得ることができるため、密度を低くしたい場合は、カレンダー処理をしない方が好ましい。
カレンダーで処理をすることで、白紙光沢度が同等で印刷光沢度が高い、すなわちデルタグロスが高くなる傾向にある。塗工量が少ない場合は、カレンダー処理すれば、印刷面感が良好な嵩高塗工紙を得ることができる。
カレンダー処理をする場合は、目標とするデルタグロス(=印刷光沢度―白紙光沢度)や製品密度によって、適宜、線圧、ニップ数、金属ロールの表面温度を調整することができる。デルタグロスが高く印刷面感が良好で、かつ、低密度の塗工紙を得るためには、マシンカレンダー条件として、1〜2ニップ処理、線圧5〜100kN/m、金属ロール表面温度20〜200℃の弱処理条件が好ましい。更に、1〜2ニップ処理、線圧5〜30kN/m、金属ロール表面温度20〜100℃が好ましい。ニップ数が多すぎる、もしくは線圧が高すぎると密度が上昇するため好ましくなく、また、デルタグロスも低くなり印刷面の立体感がなくなるため好ましくない。
本発明は、パルプの繊維間結合を阻害する有機化合物を含有して、原紙を低密度化し、柔軟性も付与する一方で、広葉樹クラフトパルプの濾水度を350ml以下とすることで若干高密度化はするが原紙表面を平滑にし、剛度も合わせて付与し、トータルとして、上記手法を行なわない場合と比較して、低密度で高平滑の原紙を得ることができる。
本発明では同原紙上に塗料を塗工することで、嵩高でデルタグロスが高く印刷面感が良好な嵩高マット調塗工紙を提供することができることを見出している。
塗工層の顔料
本発明の塗工層に用いられる顔料としては、塗工紙用に従来から用いられている、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて単独または2種類以上併用して使用できる。本発明においては、炭酸カルシウムを主として用いることが好ましい。
本発明においては、デルタグロスおよびインキセット性等の印刷品質の点から、平均粒径が0.2〜1.5μmの炭酸カルシウムを65〜100重量部、好ましくは、75〜100重量部使用することができる。0.2μmよりも小さいとインキセット性が速くなり、デルタグロス(印刷光沢度―白紙光沢度)が小さくなる傾向がある。1.5μmよりも大きいと白紙光沢が低下して、印刷光沢度も低下する傾向がある。
本発明で使用する顔料としての炭酸カルシウムは、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを出発物質として濃度50%以下で湿式粉砕することによって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上であるエンジニアード炭酸カルシウムを使用することが好ましい。また、本発明においては、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましく、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が1.4〜3.0μmであり、BET比表面積が4〜12m/gであることがより好ましい。さらに、本発明においては、マルチパス型粉砕機を使用して湿式粉砕を行うことが好ましい。
このようなエンジニアード炭酸カルシウムを顔料として使用することにより、嵩高、高不透明度、(高白紙光沢発現性)、高白色度という特長を有する塗工紙を得ることができる。
塗工層の接着剤
本発明に用いられる接着剤としては塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤:カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類:酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類:カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種以上を便宜選択して使用される。
これらの接着剤は顔料100重量部あたり5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部程度の範囲で使用される。本発明においては、接着剤として澱粉類を顔料100重量部あたり4重量部以上配合することが好ましい。
本発明は、低密度塗工紙に関する発明であり、そのためには低密度の原紙に塗工する必要がある。低密度の原紙は、原紙がポーラスであるため、一般的に塗料が原紙中に浸透し、原紙被覆性が低下しやすい。そのため、ラテックス等のバインダーと比較して保水性が良好である澱粉を4重量部以上配合することにより塗工層の被覆性は良好になる。また、保水性を向上させる手法として、各種天然系、合成系の保水剤を配合することも有効である。
本発明の塗工液には、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を使用してもよい。
原紙
一般の塗工原紙としては、坪量が30〜400g/m程度の紙ベースや板紙ベースの原紙が適宜用いられているが、本発明の効果が顕著となるのは、原紙の不透明が問題となってくる157g/m以下、特に25〜120g/m、更に45〜100g/mである。
また、本発明においては密度0.90g/cm以下、より好ましくは0.85g/cm以下の艶消し塗工紙を供給することが好ましく、そのために更に低密度の塗工原紙であることが好ましい。
原紙の抄紙方法については特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン、二者を併用した板紙マシン、ヤンキードライヤーマシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙した原紙のいずれであってもよい。
顔料塗工層の塗工方法
原紙に、調整された塗工液を塗工する方法としては、ブレードコーター、バーコータ、ロールコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、サイズプレスコータ、ゲートロールコーター等を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面ずつもしくは両面同時に両面塗工する。
好ましくは、塗工量が片面4g/m以上10g/m以下、更に好ましくは片面6g/m以上9g/m以下の塗工層を有することにより、相対的にブリスター適性が高く、良好な印刷面感および印刷光沢度が高く、柔軟性のある艶消し塗工紙を得られる。また、塗工量を10g/mより高くした場合、良好な印刷面感および高い印刷光沢が得られるが、オフセット印刷時のブリスター適性が低下し、また、同坪量で比較した場合、相対的に密度は高くなる傾向にある。一方、塗工量を4g/m未満とすると、同坪量で比較した場合、密度は低くなるが、印刷面感および印刷光沢度が低下する。
湿潤塗工層を乾燥させる手法としては、例えば蒸気加熱シリンダー、加熱熱風エアドライヤー、ガスヒータードライヤー、電気ヒータードライヤー、赤外線ヒータードライヤー、高周波ヒータードライヤー等各種の方法が単独または併用して用いられる。
以上のように塗工乾燥された塗工紙は、スーパーカレンダー、高温ソフトニップカレンダー等で平滑処理を行うことができる。本発明の効果は、特に坪量が25〜120g/m、白紙光沢度が20%以上40%以下のマット調艶消し塗工紙において優れるものである。本発明では低密度でデルタグロスが高い用紙を提供するために、塗工後のカレンダー処理はできるだけ弱処理もしくは未処理としたほうが好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。尚、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ重量%を示す。また、塗工液および得られた艶消し塗工紙について以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
〈評価方法〉
(1)白紙光沢度:JIS P8142に基づいて測定した。
(2)不透明度:JIS P8138に基づいて測定した。
(3)層間強度:Lorentzen and Wettre社製の層間剥離強度試験機を用いて評価した。
(4)印刷光沢度、デルタグロス: 東芝製オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製 レオエコーSOY−M)を用い印刷速度500rpmでベタ部のインキ着肉濃度が墨1.85、藍1.65、紅1.55、黄1.40(ジャパンカラー標準印刷に準拠、X-Rite社製 X-Rite520にて測定)となる様に墨藍紅黄の順に印刷した後、紅藍ベタ2色重ね部の印刷光沢度を測定した。デルタグロスは、得られた印刷光沢度から白紙光沢度を除した値。
(5)ISO曲げこわさ: Lorentzen and Wettre社製の剛度測定試験機を用い、塗工紙のMD方向(マシン方向)を測定した。なお、単位換算のため、Xa値(平均値、角度15°)を3.352倍してμNm/mとして記載した。
(6)印刷面感: 上記(4)の印刷で得られたオフセット輪転機による印刷物について、紅の網点が50%の箇所の印刷面感を目視にて評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:若干劣る、×:劣る
(7)折り割れ強度(折り部の強度測定): オフセット輪転機(東芝製B2T−600)を使用し、ドライヤー後の紙面温度130℃で乾燥させた直後に折加工を行った印刷物について、折り部の状態を目視で評価した。
○:良好、△:若干劣る、×:劣る
(8)ブリスター適性: オフセット輪転機(東芝製B2T−600)を使用し、印刷速度500rpmで印刷し、紙面温度を上げていき、ブリスターが発生したときの温度から、ブリスター適性を評価した。
(9)表面強度: RI−II型印刷試験機を用い、東洋インキ製造株式会社製枚葉プロセスインキ(商品名:SMXタックグレード20)を0.40cc使用して印刷を行ったのち印刷面を台紙に写し取った。写し取った台紙から以下のように表面強度を評価した。
◎:表面の剥けは全く見られない。○;表面の剥けはほどんど見られない。△;表面の剥けが若干認められるが、使用上は問題ない。×;表面の剥けが酷く、使用できない。
(10)平均粒子径、シャープ度: 炭酸カルシウムの粒度分布はマイクロメリテックス社製セディグラフ5100(X線透過法の粒度分布測定器)を使用して測定し、d30(積算30重量%の粒子径)、d50(積算50重量%の粒子径)、d70(積算70重量%の粒子径)を得た。平均粒子径はd50により評価した。粒度分布のシャープさの指標(シャープ度)として、(d30/d70×100)を用いた。値が100に近いほど、粒度分布が狭いことを意味する。
(11)BET比表面積: 窒素吸着法(島津社製マイクロメリティックス・ジェミニ2360)で測定した。
[実施例1]
軽質炭酸カルシウム77部(平均粒子径0.95μm)、微粒カオリン(J.M.Huber社製、ジャパングロス)23部からなる顔料に、対顔料で分散剤0.2部を添加して、セリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調整した。このようにして得られた顔料スラリーにスチレン・ブタジエン系ラテックス8.5部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉4.8部を加え、さらに水を加えて固形分濃度64%の塗工液を得た。
パルプとして濾水度が250mlの晒広葉樹クラフトパルプを80%、晒針葉樹クラフトパルプを20%用い、内添填料として軽質炭酸カルシウムを原紙重量当たり20%含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物として嵩高薬品(花王製、KB110)を原紙重量当たり0.5%含有した坪量81.5g/mの上質原紙に、両面塗布量が固形分で1.5g/mになるようにゲートロールコータにて酸化澱粉を塗布したのち、カレンダー処理を1ニップ、15kN/m、金属ロール表面温度50℃で行った。その後、固形分で片面塗工量が9g/mになるように、700m/分の塗工速度のブレードコータで上記塗工液を塗工し、乾燥し、艶消し塗工紙を得た。
[実施例2]
実施例1において、顔料として、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM、平均粒子径2.2μm)を固形分濃度20%にし、ポリアクリル酸塩系分散剤(花王社製:ポイズ535M)を1.5重量部加えて、スラリーとした。
得られたスラリーを、マルチパス型粉砕機(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して粉砕した。粉砕した炭酸カルシウムは、X線透過法の粒度分布測定器で測定した平均粒子径が0.38μm、BET比表面積が22.5m/gであり、シャープ度が62だった。
粉砕して得られた炭酸カルシウム77部及び微粒カオリン23部(J.M.Huber社製:ジャパングロス)を含・BR>Lする顔料100部にして調整した以外は、実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、パルプの繊維間結合を阻害する有機化合物として、脂肪酸のモノアミド化合物を原紙重量当たり0.3%含有した以外は実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、内添填料を原紙重量当たり10%とした以外は、実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、内添填料を原紙重量当たり30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例6]
パルプとして濾水度が250mlの晒広葉樹クラフトパルプを70%、晒針葉樹クラフトパルプを30%とし、内添填料として軽質炭酸カルシウムを原紙重量当たり11%とし、カレンダー処理を行わない以外は、実施例1と同様の方法で、艶消し用塗工紙を得た。
[実施例7]
内添填料を原紙重量当たり6重量%とした以外は、実施例6と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例8]
実施例1において、片面塗工量3g/m、原紙坪量93.5g/mとした以外は、実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例9]
カレンダー処理を行わなかった以外は、実施例4と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例10]
ポンド式サイズプレスで澱粉を塗布した以外は、実施例4と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例11]
ロットメタリングサイズプレスで澱粉を塗布した以外は、実施例4と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[実施例12]
ポンド式サイズプレスで澱粉を塗布し、カレンダー処理を行わなかった以外は、実施例4と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、濾水度が400mlの広葉樹クラフトパルプを用いた以外は実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、パルプとして広葉樹クラフトパルプを50%、針葉樹クラフトパルプを50%使用した以外は実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を無配合とした以外は、実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、パルプとして広葉樹クラフトパルプを80%、サーモメカニカルパルプを20%使用した以外は実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、片面塗工量が12g/m,原紙坪量75.5g/mとした以外は実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。
以上の結果を表1−3に示した。
Figure 0005615578
Figure 0005615578
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表1−3の結果より、実施例1〜4は、デルタグロスが良好で、低密度、柔軟性かつ実用に適した不透明度を有し、また印刷面感が良好で、表面強度、ブリスター適性や折り割れ強度等に優れた艶消し塗工紙を得ることができる。
実施例5の結果から、原紙の灰分率を上げると、デルタグロスは良好であるが、印刷面感が良好で、不透明度が高く、曲げこわさが低くなり、ブリスター適性がやや劣る傾向にあることが分かる。
実施例6、7の結果から、カレンダー処理をしないと、層間強度が高くブリスター適性、折り割れ性及び表面強度が良好性を保ったまま、低密度とすることができる。
実施例8の結果によれば、澱粉の塗工量が減少すると、デルタグロス、ブリスター適性、折り割れ性は良好であるものの、印刷面感と表面強度が低下することが解る。
実施例9及び11の結果からみて、原紙の灰分が10重量%である場合、カレンダー処理の有無、澱粉の塗布方式がゲートロール及びロッドメタリングサイズプレスであれば、デルタグロスが良好であると共に、表面強度、折り割れ性、ブリスター適性が良好であることがわかる。
一方、実施例10及び12のように、澱粉の塗布方式がポンド式の場合には、得られる塗工紙はデルタグロスは良好であるが、折り割れ性が悪化する。
比較例1の結果から、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)の濾水度が高いため、原紙の灰分率を20%としてもなお、印刷光沢度、白紙光沢度、印刷面感、ブリスター適性、表面強度が劣り、層間強度も弱く、好ましくない。
比較例2は、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)の配合量が多いため、印刷面感、表面強度が弱く、こわさが高く、ブリスター適性が劣るため、好ましくない。
比較例3は、嵩高剤を添加していないため、印刷面感、折り割れ、ブリスター適性、表面強度が良好であっても、もともと本発明により得ようとしている、低密度であっても、印刷面感、折り割れ、ブリスター適性、表面強度の内のいくつかが良好であるという性質の塗工紙を得るものではなく、密度が高いので好ましくない。
比較例4は、機械パルプを配合しているため、密度は低いものの、印刷面感が劣り、ブリスター適性、表面強度が劣るため好ましくない。
比較例5は、塗工量が多いため、白紙光沢度等が良好であっても、ブリスター適性が劣る。
上記の通り、本発明は、原料として低濾水度の広葉樹クラフトパルプを高含有することにより、デルタグロスが良好で、さらに少なくとも印刷面感、ブリスター適性及び表面強度のいずれかが良好である塗工紙を得ることができる。
さらに、原紙の灰分を少なくし、澱粉の塗工量を多くし、しかも澱粉をゲートロール方式又はロッドメタリングサイズプレス方式により塗工する場合には、デルタグロスが良好であり、かつ印刷面感及び印刷光沢度が高く、折り割れ、ブリスター適性、表面強度がいずれも良好であるオフセット印刷用の艶消し塗工紙とすることができる。
また、嵩高塗工紙は、印刷時に塗工層表面がはがれる白抜けと呼ばれる印刷トラブルを発生し易いため、ある一定レベル以上の表面強度が望まれている。
さらに、原紙上に澱粉類を含有する接着剤を片面あたり0.3〜3.0g/m塗布することにより、印刷面感を向上させることができ、顔料として、平均粒径が0.2〜1.5μmの炭酸カルシウムを65〜100重量部含むことにより、デルタグロスを向上させることができる。

Claims (7)

  1. 原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙において、
    前記原紙が、原料として、クラフトパルプを全パルプ絶乾重量当たり90重量%以上含有し、
    かつ、前記クラフトパルプとして、100ml以上350ml以下の濾水度の広葉樹クラフトパルプを全クラフトパルプ絶乾重量当たり65重量%以上含有し、
    かつ、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有し、
    前記塗工層の塗工量が片面当たり4〜10g/mである、
    ことを特徴とするオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  2. 原紙中の灰分率を原紙重量当たり5〜20%としたことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  3. 塗工層を設ける前の原紙上に接着剤を片面あたり0.3〜3.0g/m塗布した塗布層をフィルムトランスファー方式の塗布方法にて設けることを特徴とする請求項1または2に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  4. フィルムトランスファー方式の塗布方法としてゲートロールコーター又はロッドメタリングサイズプレスを採用してなる請求項3に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  5. 前記塗工層の顔料として、平均粒径が0.2〜1.5μmの炭酸カルシウムを65〜100重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  6. 前記炭酸カルシウムが、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを出発物質として濃度50%以下で湿式粉砕することによって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
    シャープ度=(d30/d70)×100
    [式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
    で表される粒度分布のシャープ度が50以上であることを特徴とする炭酸カルシウムである請求項5に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
  7. 原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙の製造方法において、原料として100ml以上350ml以下の濾水度の広葉樹クラフトパルプを全パルプ絶乾重量当たり65重量%以上含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有する紙料を抄紙した原紙に、接着剤を塗布した塗布層を設けた後に、更に顔料と接着剤を塗工して塗工層を形成することを特徴とするオフセット印刷用艶消し塗工紙の製造方法。
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