JP4210507B2 - 印刷用嵩高塗工紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用嵩高塗工紙に関し、特に柔軟性があり枚葉オフセット、輪転オフセットいずれにも使用でき、印刷作業性、インキ受理均一性の優れた塗工紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年印刷用紙の分野、特に書籍用紙の分野において従来品にくらべ同一厚みで重量の低いいわゆる嵩高紙が脚光をあびている。嵩高紙あるいは紙の軽量化といった概念は決して新しいものではないが、嵩高紙がもてはやされる理由としては軽量化と結びついた省資源の観点、さらには本にした場合の持ち運びにおける利便性、ボリューム感、嵩高でありながら従来品とかわらぬ印刷適性の維持が大幅の価格アップをともなわずにできる技術面の進歩等各種の理由が挙げられる。
【0003】
嵩高化とともに書籍用紙では紙の柔軟性も要求されている。すなわち、本を開いた場合に自然に閉じたり、ページをめくる場合に抵抗があったりしないように紙にしなやかさが要求される。非塗工紙では柔軟性を付与するために厚みと強度が若干犠牲にはなるが、柔軟剤の使用や填料の使用量を増やすことで比較的容易に達成できる。
【0004】
一方、塗工紙においても嵩高紙への要求がたかまっているが、本来原紙よりも密度の高い塗工層をもうけることから密度も増加する方向であり、また単純に原紙の密度を下げてもその後の仕上げ工程によっては厚みが大幅に減少する危険性があることから、非塗工紙とは違った配慮が必要となる。厚みを重視するあまり、平滑度が犠牲になると、印刷品質面での劣化が問題となる。塗工紙は通常多色印刷されることから、印刷品質についても特段の注意が必要となる。
【0005】
塗工紙の場合は非塗工紙と比べると、同一坪量では厚みが小さく、したがって剛度も低いのが通常である。したがって同一坪量では塗工紙は非塗工紙よりも柔軟であり、特に薄物においては柔軟化よりも剛度をあげることが従来の課題であった。ただ、嵩高塗工紙の登場による軽量化や厚み増に伴い従来の塗工紙よりも剛度が上がる方向であり、特に坪量が90g/m2以上の中厚物においては非塗工紙と同様、柔軟性の要求がでてきている。
【0006】
嵩高紙を製造する方法としては各種の方法が提案されている。近年の特徴としては密度を減少させるために嵩高剤と称する界面活性剤を添加する例が多い(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。また嵩のでる特定の繊維を配合する技術も公知である(例えば特許文献6、特許文献7参照)。特別に処理した繊維を使用することで嵩をだす技術も公知である(例えば特許文献8、特許文献9、特許文献10参照)。また特定の充填剤を使用する技術も公知である(例えば特許文献11、特許文献12)。
【0007】
嵩と同時に柔軟性を付与した紙も公知である(例えば特許文献13、特許文献14、特許文献15)。
【0008】
一方塗工紙の分野では、特許文献16に、緊度0.7g/cm3未満の原紙に、サチン、重質炭酸カルシウムを含有した塗料を塗工することで紙腰が強く嵩高な塗工紙を製造する技術が、また特許文献17に機械パルプと無定形シリカを含有する原紙上に特定の粒径分布を有する顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙がそれぞれ開示されている。
【0009】
上記の如く、嵩高紙を製造する方法として多くの提案がなされているが、特に塗工紙において柔軟性があり印刷適性に優れた嵩高塗工紙についてはあまり提案がなされていない。
【0010】
嵩高な塗工紙を製造する際には、非塗工紙において周知の技術が適用されるが、非塗工紙とは別の配慮も必要となる。前記したことに加え、以下のことを注意する必要がある。嵩高剤や嵩高なパルプの使用等嵩高にするための方法は強度、特に紙層の内部結合強度の低下を伴いやすい。非塗工紙においては、多少内部結合強度が低下してもそもそも透気性が良好なことから印刷インキの乾燥を熱によって行う輪転オフセット印刷においてもトラブルは発生しにくい。しかし塗工紙においては非塗工紙に比べ透気性が悪く、内部結合強度がある値を超えて低下すれば、輪転オフセット印刷においてブリスターと呼ばれる紙層破壊を伴う膨れが発生し、印刷品質を著しく損ね使用に耐えないものとなる。嵩高剤の使用は通常繊維間の結合を阻害することから、柔軟性も付与されるが、内部結合強度を補強するために紙力増強剤の使用を強化すると今度は剛度があがり柔軟性が犠牲になる。非塗工紙では填料を増加させることで柔軟性を上げることができるが、塗工紙においてこの方法を採用すると再び内部結合強度を低下させブリスタートラブルを発生しやすい。
【0011】
特許文献1:特許第3128248号公報、
特許文献2:特開平11−200283号公報、
特許文献3:特開平11−200284号公報、
特許文献4:特開平11−200285号公報、
特許文献5:特開平11−268799号公報、
特許文献6:特開2000−256986号公報、
特許文献7:特開平11−302991号公報、
特許文献8:特開平10−121395号公報、
特許文献9:特開平7−189168号公報、
特許文献10:特開平7−54293号公報、
特許文献11: 特開2001−214395号公報、
特許文献12: 特開2000−282392号公報、
特許文献13:特開2000−288690号公報、
特許文献14:特開2000−288691号公報、
特許文献15:特開2001−271292号公報、
特許文献16:特開平8−92894号公報、
特許文献17:特開2001−214395号公報。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は嵩高でかつ柔軟性があり枚葉オフセット印刷、輪転オフセット印刷いずれにも使用でき、印刷作業性、インキ受理均一性の優れた印刷用塗工紙を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、原紙とともに塗料処方を最適化することで上記課題が一挙に解決されることを見出した。
【0014】
すなわち本発明は、木材パルプを主体とする、少なくとも嵩高剤、紙力向上剤、填料を含有した原紙の両面に顔料塗工層を設けた塗工紙において、該顔料塗工層の弾性率が原紙の弾性率よりも20%以上低く、かつ、該顔料塗工層のバインダーが35重量%以上のブタジエン含有量、10〜40重量%のスチレン含有量、5〜20重量%のアクリロニトリル含有量を有するSBRラテックスであり、該SBRラテックスの使用量が顔料100重量部当たり8重量部以上であること、又は該顔料塗工層の該バインダーに加え補助バインダーを含み、該補助バインダーの使用量が顔料100重量部当たり2重量部以下であることを特徴とする印刷用嵩高塗工紙に関する。
【0017】
本発明の他の有利な一つの実施態様においては、塗工紙の比容積が1.0以上で、下記の式で計算される剛度の厚さ補正値が1.7以下である:
【0018】
【外2】
Figure 0004210507
T:縦方向の剛度(mN)、SY:横方向の剛度(mN)、t:厚さ(mm)
本発明では特に塗工層と原紙の弾性率に注目している。一般にn層から構成される材料の曲げこわさ(以下剛度という)は下記の式で表現される。
【0019】
S=ΣEnIn、In=hnXn2+hn3/12
ここでSは剛度、Enは第n層の弾性率、Inは第n層の断面2次モーメント、hnは第n層の厚さ、Xnは第n層中心の中立軸からの距離を示す。上式より全体の剛度は各層の弾性率と断面2次モーメントの積を足したものとして表現される。弾性率は材料の特性によって決まり、断面2次モーメントは断面の厚みと中立軸からの距離によって決定される。断面が中心線に対して対称構造になっている場合、中立軸は断面の中心線と一致する。上式は中立軸から離れた位置にある層程、全体の剛度への寄与が高いことを意味する。両面塗工紙は両面に塗工層、中央に原紙層から成る3層対称構造とみなすことができる。ここで塗工層は最外層に位置することから中立軸からの距離が長く、塗工層の弾性率と厚さによって塗工紙全体の剛度に大きく寄与し得る可能性があることを示している。すなわち原紙層の弾性率と比較して塗工層の弾性率が低い場合には同じ厚さの原紙からだけ構成される紙に比べ塗工紙の剛度は低下することがわかる。さらに、弾性率の差が大きいほど、低下の度合いは大きくなる。通常のオフセット印刷用塗工紙では剛度が高いことが好ましい特性であり、スターチやCMC等硬い天然バインダーを比較的硬いラテックスと併用することが多く、塗工層弾性率は原紙弾性率より高い場合が多い。一方嵩高剤を使用する原紙に従来の塗料をそのまま適用した塗工紙では嵩高剤により原紙の弾性率が低下する分塗工層弾性率は原紙弾性率よりさらに高い値となる。本発明では嵩高な原紙に塗工層を設ける際に原紙の弾性率と比較し弾性率が相対的に低くなるような塗工層を設けることを特徴としている。塗工層弾性率は低いほど塗工紙の剛度低下は大きくなるが、塗工層の厚みが原紙の厚みに比べ小さいために、塗工紙剛度として10%程度下げるためには塗工層弾性率は原紙弾性率よりも最低でも20%以上下げることが好ましい。剛度として10%の差は触感として認知できる差である。さらに好ましくは40%以上である。こうすることで単に嵩高な原紙を使用し、従来の塗工層を設けた場合に比べより柔軟な印刷用塗工紙を得ることができる。また塗工紙の柔軟性は塗工層で付与できることから嵩高剤添加で低下した原紙の内部結合強度は紙力増強剤の添加で補うことができる。
【0020】
塗工層弾性率はPETフィルム等に塗料を所定量両面塗工し基材と塗工後の厚み、剛度を測定することで計算により求めることができる。原紙弾性率は原紙の厚みと剛度を測定することで直接求めることができる。塗工紙から原紙、塗工層の弾性率を簡便的に推定するにはまず塗工紙の剛度、厚さを測定し、ついで塗工層を剛度が無視できる程度に柔軟なポリエチレンフィルム等に熱融着させ原紙部分を銅エチレンジアミン溶液で溶解させる。得られた塗工層とフィルムの一体化物の剛度と厚さを測定することで塗工層弾性率を求め、その値をもとに原紙剛度を計算で求める。
【0021】
本発明の顔料塗工層のバインダーは上述の組成のSBRラテックスであり、その使用量は顔料100重量部当たり8重量部以上である。バインダーの他に補助バインダーを使用してもよく、その場合には、顔料100重量部当たり2重量部以下の量で使用するのが好ましい。バインダー使用量が8重量部に満たない場合には、枚葉オフセット印刷に耐える表面強度が得られない。上限は印刷適性を考慮して通常20重量部以下、好ましくは18重量部以下である。20重量部を超えて使用すると印刷時のインキセットが遅くなり、また塗工層が柔軟であるために、塗工紙同士が加圧化で接着するブロッキングが発生する恐れがある。
【0022】
ここで補助バインダーとは酸化澱粉、デキトリン、カチオン澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等の澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子であり、保水性とバインダー機能を有する薬品類を包含する。これら水溶性高分子を単独で使用した塗工層弾性率は通常原紙の弾性率よりも2〜5倍程度高い値となることから、その使用は極力少なくすることが必要であり、上限は上記の通り、2重量部である。2重量部を超えて使用すると柔軟なラテックスの使用による塗工層弾性率低下効果を阻害し十分な効果が得られない。好ましくは1.5重量部以下であり、保水性確保や操業性の悪化を来さない範囲で必要最小限の量にすべきである。使用するSBRラテックスはブタジエン含有量が35重量%以上、スチレン含有量が10〜40重量%、アクリロニトリル含有量が5〜20重量%である。ブタジェンは弾性率が低く、スチレン、アクリロニトリルは弾性率の高い皮膜を造るために、このようなモノマー組成のラテックスを使用することで柔軟性に優れ印刷適性も良好な塗工層が得られる。このようにして得られる顔料塗工層の弾性率は通常の塗工原紙、上質紙、嵩高紙など、広い範囲の非塗工紙の弾性率にくらべてもはるかに低い弾性率を示す。但しブタジエン含有量の下限、スチレン、アクリロニトリル含有量の上限、いずれか一つでも範囲から外れると満足すべき塗工層弾性率が得られない可能性がある。その他、上記組成範囲を外さない範囲でメチルメタアクリレート等公知のモノマーを使用してもかまわない。本発明のバインダー組成は塗工層弾性率を低くする効果の他に、補助バインダーを極力減らした効果により、塗工層自体がよりポーラスになることで、インク受理性がより均一になる。何よりも低いキャレンダー線圧で平滑、光沢が出やすい効果があり、その結果塗工紙の柔軟化に加え嵩高剤を添加した効果との組み合わせ効果により、キャレンダー、ソフトキャレンダー、スーパーキャレンダー等の仕上げ工程後における塗工紙の嵩高化にも大いに寄与する。
【0023】
本発明における塗工紙の比容積を1.0以上、剛度の厚さ補正値を1.7以下にすることで塗工紙の中で最も嵩があり、したがって剛度の高い範疇に属するマット紙分野で従来の一般オフセット印刷用塗工紙に比べすべての坪量範囲で従来品と明らかに区別ができる。剛度の厚さ補正値として縦、横の幾何平均値を規定したのは塗工層の弾性率を下げる方法がかならずしも塗工紙の剛度を縦、横均一に低下するようには作用しないためである。本発明の塗工紙では通常、横方向の剛度低下がより大きいが、縦と横の幾何平均で比較することで初めて塗工層弾性率を操作したことによる効果を定量的に評価することができる。特定方向の剛度をより低下させたい場合には、周知の抄紙技術上の方法で原紙の縦横比を制御することで可能である。また本発明では剛度調整を主として塗工層の弾性率で調整するため、原紙の強度を低下させる必要性が少なく、内部結合強度を200mJ以上に維持でき、枚葉オフセット印刷はもちろんとして輪転オフセット印刷にも耐え得る塗工紙が得られる。
【0024】
本発明を構成する原紙の原料としては通常の漂白化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等の木材パルプが主として使用される。嵩をだすためにはこれら原料パルプの選定も重要であるが、本発明で嵩高効果を確実のものとするために嵩高剤を使用する。本発明で使用する嵩高剤については特に限定するものではないが、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性いずれか単独または混合物からなる各種界面活性剤やそれ以外の有機性嵩高剤が使用できる。一例として高級アルコールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、脂肪族ポリアミドアミン等を例示できる。嵩高剤は嵩高効果と強度のバランスの中で適切なものを選定する。特に同一厚さすなわち同一比容積で比較した場合、内部結合強度の低下が少ない薬品が好ましい。しかしながら、嵩高剤の使用によって程度の差はあるものの内部結合強度の低下はさけられないことから、通常紙力向上剤を併用する。紙力向上剤としては公知の各種薬品が内添または外添で使用できる。通常使用される紙力向上剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉等の各種澱粉類、各種イオン性のポリアクリルアマイド、澱粉とアクリルアマイドのグラフト共重合物、メラミン樹脂、ポリアミドエピクロリン樹脂等を例示できる。また不透明度や白色度を高めるために各種填料が添加されるが、填料の添加は紙を柔軟にする効果はあるものの、反面内部結合強度を低下させるために、本発明では必要最低量にすることが好ましい。すなわち、原紙中において10重量%以下にする必要がある。通常使用される填料としては、タルク、カオリンクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。嵩高剤、紙力向上剤、填料の添加量は、内部結合強度が200mJより低くならないようにそれぞれの添加量を調節する必要がある。
【0025】
その他必要に応じて、製紙の際に一般的に使用されるサイズ剤、染料、蛍光染料、歩留向上剤、濾水促進剤等を紙料に添加し、抄紙する。抄紙方法は特に限定されるものではなく、公知の抄紙機、すなわち長網、円網、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等を使用し、プレス工程、乾燥工程を経て塗工原紙を作成する。途中の工程で、サイズプレス、フィルムトランスファーロールコーター、メタリングサイズプレスを使用して、澱粉、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアマイド等単独または混合物、あるいは予備塗工として顔料とバインダーからなる塗料を原紙に塗工することができる。塗工原紙の坪量は特に限定するものではないが通常50〜150g/m2程度の範囲にあり、厚くなるほど本発明の優位性が発揮できる。
【0026】
塗工原紙に塗料を塗工する装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター等が使用できるが、ファウンテンノズルタイプのブレードコーターが好ましい。また塗工方式はオンマシンまたはオフマシンどちらでも良い。塗工量は片面あたり乾燥重量として7〜15g/m2が好ましい。塗工量が7g/m2より少ないと原紙の被覆が不十分であり、印刷時にざらつき感が発生する。一方、塗工量が15g/m2を超えると、原紙の嵩高性が打ち消され結果として塗工紙としての嵩高性が損なわれる。
【0027】
原紙に塗工する塗料としては顔料、バインダー組成物、助剤から構成されるが本発明では特にバインダー組成物の構成が重要であり、これについては前述した通りである。使用する顔料については特に限定するものでは無く、従来から一般的に使用されている、カオリンクレー類、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、シリカ等無機顔料、プラスチックピグメント等有機顔料が挙げられる。助剤としては分散剤、保水剤、増粘剤、潤滑剤、耐水化剤、着色剤、防腐剤等が適宜使用される。
【0028】
塗工後の乾燥はシリンダードライヤー、熱風ドライヤー、赤外線ヒータードライヤー等公知のドライヤーで行われる。塗工後乾燥工程を経て得られた塗工紙は、必要に応じて仕上げ工程で加圧処理される。仕上げ工程はオンマシン、オフマシンいずれでも可能である。仕上げ工程を経ることで塗工紙に平滑性、光沢性を付与でき、印刷適性は向上するが、一方厚みが減少することから処理条件は注意する必要がある。仕上げ装置としてはキャレンダー、ソフトキャレンダー、スーパーキャレンダー、ラスタープレス等が使用できる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお特に断らない限り、実施例中の部及び%はそれぞれ重量部、重量%を示す。
【0030】
実施例1
[原紙の製造]
原料としてLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)90%、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)10%の配合からなるパルプをCSF500mlまで叩解し、対原料(乾燥重量)、填料として軽質炭酸カルシウム5%、カチオン澱粉1%、嵩高剤として花王(株)製KB115(商品名)を1.0%添加した。該紙料をハイブリッドフォーマーにより抄紙し、オンマシンゲートロールコーターで酸化澱粉2g/m2(両面)を付与し、坪量75g/m2の塗工原紙を得た。
【0031】
[塗料の調製]
カオリン(商品名UW90:エンゲルハード社製)/湿式重質炭酸カルシウム(商品名カービタル90:イメリス社製)=50重量部/50重量部からなる顔料スラリーを調製し、表1に示すモノマー組成の異なるSBRラテクッスA〜G(旭化成工業合成品)の7種を用い、添加部数、補助バインダーの種類、部数を変えて#1〜#11の塗料(固形分60%)を調製した。ラテックスAはアルカリで増粘する増粘剤を含有し補助バインダーを必要としないいわゆるソールバインダーである。尚、補助バインダーとしては次の商品を使用した。
尿素燐酸エステル化澱粉(商品名MS#4600:日本食品化工製)
CMC(商品名セロゲンPR:第一工業製薬製)。
【0032】
[弾性率の測定]
ガーレー剛度計を用い、ガーレー剛度と厚さから弾性率を求めた。原紙の弾性率は式(1)により求めた。#1〜#11の塗料から形成される塗工層の弾性率はPETフィルム上に各塗料を片面あたり10g/m2で両面塗工し、塗工前後の剛度、厚さを測定し式(2)により算出した。
(1)式
Eb=9.14×105×Gb/h3
Eb:原紙弾性率(GPa)
Gb:原紙の剛度(mN)
h :原紙の厚さ(μm)
(2)式
Es=4.57×105×(Gt−Gc)/(3hs×(hc+hs)2 +hs3
Es:塗工層弾性率(GPa)
Gt:塗工後の剛度(mN)
Gc:塗工前の剛度(mN)
hs:塗工層厚さ(片面あたり)(μm)
hc:塗工基材厚さ(μm)
[塗工紙の作製]
上記塗工原紙にブレードコーターを用い、#1の塗料を塗工量が片面あたり10g/m2になるよう原紙F面次いでW面に塗工し、坪量95g/m2の両面塗工紙を作製した。次いで該塗工紙をソフトキャレンダーで110℃、線圧50kN/mで処理し、印刷用塗工紙を得た。
【0033】
実施例2〜5
実施例1において#1の塗料のかわりに#2〜#5の塗料を用いた以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0034】
比較例1
[原紙の製造]
原料としてLBKP90%、NBKP10%の配合からなるパルプをCSF500mlまで叩解し、対原料(乾燥重量)、填料として軽質炭酸カルシウム5%、カチオン澱粉1%、を添加した。該紙料をハイブリッドフォーマーにより抄紙し、オンマシンゲートロールコーターで酸化澱粉2g/m2(両面)を付与し、坪量85g/m2の塗工原紙を得た。
【0035】
[塗工紙の作製]
上記塗工原紙にブレードコーターを用い、#10の塗料を塗工量が片面あたり10g/m2になるよう両面塗工し、坪量105g/m2の塗工紙を作製した。次いでソフトキャレンダーで110℃、線圧50kN/mで処理し、印刷用塗工紙を得た。
【0036】
比較例2〜7
実施例1において#1の塗料にかわりに#6〜#11の塗料を用いた以外は実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0037】
比較例8
比較例1における[原紙の製造]において、填料として軽質炭酸カルシウムを12%添加し、坪75g/m2の原紙を製造した以外は比較例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0038】
以上の実施例、比較例の塗工紙を下記の方法で評価して表2に結果をまとめた。
[塗工紙の評価]
坪量、厚さ、比容積: JIS P-8124に準拠し坪量を測定、次いでJIS P-8118に準拠し厚さを測定した。比容積は厚さを坪量で割ることで求めた。
【0039】
ガーレー剛度: Japan Tappi No.40に従い、縦方向、横方向各々について測定し、両者の幾何平均をとり剛度とした。
【0040】
ガーレー剛度の厚さ補正: 下記式で行った。
【0041】
【外3】
Figure 0004210507
T:縦方向の剛度(mN)、SY:横方向の剛度(mN)、t:厚さ(mm)
白紙光沢度: JIS P-8142に従い75度条件で塗工紙のF面を測定した。
【0042】
印刷強度 : RI印刷試験機を用い、特殊インキ(SMXタックグレード15;東洋インキ社製)を用い塗工紙のF面に印刷し、印刷面のピック状態を目視で評価した。◎:ピック無し、○:ピック極めて少ない、△:ピックが散見、×:ピックが非常に多い。
【0043】
内部結合強度: Japan Tappi No. 18-2に準拠して測定した。
【0044】
インキ受理ムラ: RI印刷試験機を用い、塗工紙F面についてプロセスインキ(ジオスG:DIC社製)黄を印刷後、紅を印刷しトラッピングの均一性を目視で評価した。◎:極めて均一、○:均一、△:ややムラ、×:ムラが顕著
【0045】
【表1】
Figure 0004210507
【0046】
【表2】
Figure 0004210507
【0047】
【発明の効果】
表2の結果から明らかなように、本発明による塗工紙(実施例1〜5)は、比較例1で代表されるような従来の一般的塗工紙に比べ、印刷強度、内部結合強度が同等で、嵩高かつ柔軟性のある塗工紙が得られる。加えて、塗料面での光沢発現性、インキ受理の均一性が優れることから、得られる塗工紙の白紙光沢度、印刷した場合のインキ受理均一性に優れた塗工紙が得られる。また本発明によらない比較例のように、塗工紙の柔軟化を添加する填料の量を増加させて行うと、内部結合強度が著しく低下し、その結果耐ブリスター性が悪化し、オフ輪印刷に耐えられないものとなる。本実施例ではソフトキャレンダー処理を固定した条件で実施しているが、白紙光沢度を同一にするよう処理条件を変更して塗工紙を作製した場合には、本発明の塗工紙は仕上げ条件を軽減できることから、例えば比容積において差の無い比較例2〜4、6〜8に比べ比容積においても有意性が発揮されることから、同一厚さの塗工紙を製造する場合にはより少ない原料での生産が可能である。特に高光沢度品を製造する場合にはこの差が顕著になる。本発明は従来の塗工紙に比べ、品質のみならず、より少ない原料、より低いエネルギーで塗工紙を生産できることから、省資源、省エネルギーという観点からも優れた塗工紙を提供できるものである。

Claims (2)

  1. 木材パルプを主体とする、少なくとも嵩高剤、紙力向上剤、填料を含有した原紙の両面に顔料塗工層を設けた塗工紙において、該顔料塗工層の弾性率が原紙の弾性率よりも20%以上低く、かつ、該顔料塗工層のバインダーが35重量%以上のブタジエン含有量、10〜40重量%のスチレン含有量、5〜20重量%のアクリロニトリル含有量を有するSBRラテックスであり、該SBRラテックスの使用量が顔料100重量部当たり8重量部以上であること、又は該顔料塗工層の該バインダーに加え補助バインダーを含み、該補助バインダーの使用量が顔料100重量部当たり2重量部以下であることを特徴とする印刷用嵩高塗工紙。
  2. 塗工紙の比容積が1.0以上で、下記の式で計算される剛度の厚さ補正値が1.7以下である、請求項1に記載の印刷用嵩高塗工紙。
    【外1】
    Figure 0004210507
    T:縦方向の剛度(mN)、SY:横方向の剛度(mN)、t:厚さ(mm)
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