JP3387036B2 - 平滑性及び透気性向上剤 - Google Patents

平滑性及び透気性向上剤

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JP3387036B2
JP3387036B2 JP35164299A JP35164299A JP3387036B2 JP 3387036 B2 JP3387036 B2 JP 3387036B2 JP 35164299 A JP35164299 A JP 35164299A JP 35164299 A JP35164299 A JP 35164299A JP 3387036 B2 JP3387036 B2 JP 3387036B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプシートの平
滑性及び透気性向上剤に関する。
【0002】
【従来の技術】パルプシート、特に印刷用紙や情報用紙
には、鮮明な印刷や印字をする上で、高い平滑性が求め
られる。パルプシートの平滑性を高めるには、一般にプ
レスの線圧を高くしたりカレンダー処理等の装置面の改
良や叩解度を増大したパルプを使用する方法が知られて
いる。しかしながらこれらの方法では、高密度の緻密な
シートになることで、透気性の小さいシートとなり、オ
フセット印刷時ブリスターが発生しやすくなる。一方、
プレスの線圧を低くしたり、叩解度の小さいパルプを用
いる方法で得られたシートは、低密度で透気性の高いシ
ートであるが、平滑性の低いシートとなる。また、架橋
パルプを用いる(特開平4-185792号等)、合成繊維と混
抄する(特開平3-269199号等)、パルプ繊維間に無機物
等の充填物を満たす(特開平3-124895号等)、空隙をも
たらす(特開平5-230798号等)等の方法により低密度の
透気性の高い紙を得ることができるが、パルプのリサイ
クルが不可能であったり、シートの平滑性が損なわれた
りする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、印刷
時に伴う前記諸問題を解決することであり、具体的に
は、パルプ表面を改質することで、平滑性の向上と透気
性の向上を同時に達成する剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記に定義す
る離水度が4%以上となる化合物であって、且つ下記
(i)〜(iii)の何れか1つ以上の紙質向上効果をも
たらす化合物からなり、抄紙工程以前に添加されるパル
プシートの平滑性及び透気性向上剤に関する。 (i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上 (ii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上 (iii)標準不透明度向上度が0.5ポイント以上 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 α:平滑性及び透気性向上剤となる化合物をパルプ100
重量部に対し5重量部添加して抄紙して得た湿潤シート
の含水率 α0:平滑性及び透気性向上剤となる化合物をパルプに
添加しないで抄紙して得た湿潤シートの含水率 本発明における離水度、標準嵩向上度、標準白色度向上
度及び標準不透明度向上度の測定方法を詳述する。
【0005】〔離水度の測定方法〕 (A)使用パルプ JIS P 8209のパルプ試験用手すき紙の調製法により調製
した手すきパルプシートのハンター白色度(JIS P 812
3)が80±5%であるブナ由来の広葉樹晒しパルプ(以
後、LBKPという)を使用する。 (B)離水度の測定 LBKPを、25±3℃で一定量をビーターにて離解そ
してカナダ標準濾水度(JIS P 8121)で460±10mLに叩
解してパルプ濃度が1.0重量%のLBKPスラリーを得
る。このパルプスラリーを抄紙後のシートのLBKP分
の坪量が80±2g/m2になるように量り取ってから、硫
酸アルミニウムでpHを4.5に調整した後、平滑性及び透
気性向上剤の1.0重量%のエタノール溶液をパルプ100重
量部に対して5重量部(純分)添加し、丸型タッピ抄紙
機にて150メッシュワイヤー(面積200cm2)で抄紙し湿
潤シートを得る。湿潤シートの上に坪量320±20g/m2
のろ紙(直径185mm)2枚を重ね、更にその上にコーチ
プレートを重ねコーチングした後、湿潤シートを取り出
す。次いで湿潤シートを前記のろ紙2枚で上下をはさ
み、圧力340±10kPaで5分間プレスする。プレス後、速
やかに湿潤シートの重量w(g)を秤量する。次に105
±3℃、60分間乾燥し、得られた乾燥シートの重量Wd
(g)を秤量する。 上記で求めたW、Wdから、(1)式により含水率α
(%)を求める。 α(%)=(W−Wd)/W×100 (1) また、平滑性及び透気性向上剤となる化合物を添加しな
いで同様にシートを調製し、同様にして求めた含水率を
α0とする。 上記で求めた含水率α、α0から、下式(2)より離
水度を求める。 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 (2)。
【0006】〔標準嵩向上度の測定方法〕 LBKPを、25±3℃で一定量をビーターにて離解そ
してカナダ標準濾水度(JIS P 8121)で460±10mLに叩
解してパルプ濃度が1.0重量%のLBKPスラリーを得
る。このパルプスラリーを抄紙後のシートのLBKP分
の坪量が80±0.5g/m2になるように量り取ってから、
硫酸アルミニウムでpHを4.5に調整した後、平滑性及び
透気性向上剤の1.0重量%のエタノール溶液をパルプ100
重量部に対して0.5重量部(純分)添加し、丸型タッピ
抄紙機にて150メッシュワイヤー(面積200cm2)で抄紙
し湿潤シートを得る。湿潤シートの上に坪量320±20g
/m2のろ紙(直径185mm)2枚を重ね、更にその上にコ
ーチプレートを重ねコーチングした後、湿潤シートを取
り出す。次いで湿潤シートを前記のろ紙2枚で上下をは
さみ、圧力340±10kPaで5分間プレスする。プレス後、
シートのみ鏡面ドライヤーを用い105±3℃で2分間乾
燥する。乾燥されたシートを20±1℃、湿度65±2%の
条件で5時間調湿する。 調湿されたシートの重量を測定し、下記計算式(3)
により坪量(g/m2)を求める。 坪量(g/m2)=シート重量/0.02 (3) 次に調湿されたシートの厚さを、紙用マイクロメータを
用いて圧力54±5kPaで、10カ所測定し、得られる平均
値を厚さ(mm)とする。 上記で得られた坪量と厚さから緊度d(g/cm3)を下
式(4)により求める。 d=(坪量)/(厚さ)×0.001 (4) また、平滑性及び透気性向上剤となる化合物を添加しな
いで同様にシートを調製し、同様にして求めた緊度をd
0とする。 上記で求めた緊度d、d0から、下式(5)より標準
嵩向上度を求める。 標準嵩向上度(g/cm3)=d0−d (5)。
【0007】〔標準白色度向上度の測定方法〕 標準嵩向上度の測定方法のと同じ。 調湿されたシートはJIS P 8123、ハンター白色度によ
り白色度Bを測定する。また、平滑性及び透気性向上剤
となる化合物を添加しないで同様にシートを調製し、同
様にして得られた白色度をB0とする。 上記で求めた白色度B、B0から、下式(6)より標
準白色度向上度を求める。 標準白色度向上度(ポイント)=B−B0 (6)。
【0008】〔標準不透明度向上度の測定方法〕 標準嵩向上度の測定方法のと同じ。 調湿されたシートはJIS P 8138Aにより不透明度Pを
測定する。また、平滑性及び透気性向上剤となる化合物
を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして得ら
れた不透明度をP0とする。 上記で求めた不透明度P、P0から、下式(7)によ
り標準不透明度向上度を求める。 標準不透明度向上度(ポイント)=P−P0
(7)。
【0009】このように、所定の方法により1.0重量%
のLBKPスラリーを調製し、対パルプ5重量%の添
加で離水度を測定する、対パルプ0.5重量%の添加で
標準嵩向上度、標準白色度向上度、標準不透明度向上度
を測定することにより、本発明の平滑性及び透気性向上
剤は容易に特定される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で定義する離水度が4%以
上となる化合物は、パルプに定着するとパルプ表面を疎
水化するので、パルプと水溶液の界面張力が増大し、抄
紙時パルプ間に空隙が多くなり、嵩高いパルプシートが
得られたり、光学的にも反射率が大きくなることによ
り、本発明で規定する(i)標準嵩向上度、(ii)標準
白色度向上度、及び(iii)標準不透明度向上度を満たす
ものと考えられる。さらに、抄紙時パルプ間の空隙が多
くなることにより、プレスやカレンダー等のシート表面
の平滑化工程での効率が良くなると同時にシート内部は
低密度のため透気度が向上するものと考えられる。従
来、離水度及びこれら(i)〜(iii)の向上度と平滑性
向上及び透気性向上との関係については知られていなか
ったが、本発明者はこの両者に相関があることを見出し
た。具体的には、上記で規定する離水度が4%以上、好
ましくは5%以上となる化合物であって且つ(i)〜(i
ii)の何れか1つ以上の紙質向上効果をもたらす化合物
を用いた場合に、少量添加でも平滑性および透気性の両
方を向上できることを見出した。なお、パルプシートと
はJIS P0001に記す紙及び板紙を総称していう。
【0011】本発明の離水度が4%以上となる化合物
は、本発明で定義する(i)標準嵩向上度が0.02g/cm3
上、好ましくは0.025g/cm3以上、更に好ましくは0.03
g/cm3以上、(ii)標準白色度向上度が0.5ポイント以
上、好ましくは0.7ポイント以上、更に好ましくは0.9ポ
イント以上、及び(iii)標準不透明度向上度が0.5ポイン
ト以上、好ましくは0.7ポイント以上、更に好ましくは
0.9ポイント以上の(i)〜(iii)の何れか1つ以上、好ま
しくは2つ以上を満たすものであり、より好ましくは3
つを満たす化合物である。
【0012】本発明において、離水度が4%以上となる
化合物は、パルプ表面に吸着するための親水基とパルプ
表面を疎水化するための疎水基を有する有機化合物が好
ましく、(A)オルガノシロキサン、(B)グリセリルエーテ
ル、(C)アミド、(D)アミン、(E)アミン酸塩、(F)4級ア
ンモニウム塩、(G)イミダゾール、(H)アルコール又はそ
のアルキレンオキサイド付加物、(I)多価アルコール
と脂肪酸のエステル、及び(J)多価アルコールと脂肪酸
のエステルであって当該エステル化合物1モル当たり平
均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキ
レン基を有するエステルからなる群から選定することが
できる。
【0013】(A)オルガノシロキサンは、25℃の粘度が1
0〜1,000,000mPa・sのメチルポリシロキサン、グリフ
ィン法によるHLBが1〜14のポリオキシエチレンメチ
ルポリシロキサン共重合体、HLBが1〜14のポリ(オ
キシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサ
ン共重合体等が挙げられる。
【0014】(B)グリセリルエーテルは下記一般式(a)で
示される化合物等が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】(式中、R1は炭素数8〜35のアルキル基、
アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基である。) (C)アミド、(D)アミン、(E)アミン酸塩、(F)4級アンモ
ニウム塩、(G)イミダゾールは下記一般式(b)〜(j)で示
される化合物等が挙げられる。なお、アミン酸塩はイオ
ン化したものも、イオン化してないものも含む。
【0017】
【化2】
【0018】〔式中、Y1,Y2:互いに同一又は相異なっ
て、水素原子、R4、R6CO-、-(AO)n-COR3又は-(AO)n-H AO:炭素数2〜4のアルキレンオキサイド Y3:水素原子又は-COR6
【0019】
【化3】
【0020】R1:前記一般式(a)と同じ R2,R3,R6,R9:炭素数7〜35のアルキル基、アルケニル
基又はβ−ヒドロキシアルキル基 R4,R5:水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基 R7,R8:炭素数1〜3のアルキル基 R10:水素原子又はR9 n:1〜20の数で平均モル数 X-:陰イオン〕 (H)アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物と
しては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。 RO(XO)aH 式中、Rは炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
ル基もしくはアルケニル基又は炭素数4〜20のアルキル
基を有するアルキルアリール基を示し、Xは同一又は異
なった炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を
示し、aは平均付加モル数であり、0≦a≦20の範囲の数
である。
【0021】好ましくは式(1)で示される化合物
(1)である。 RO(EO)m(PO)nH (1) 式中、Rは炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
ル基もしくはアルケニル基又は炭素数4〜20のアルキル
基を有するアルキルアリール基を示し、Eはエチレン
基、Pはプロピレン基を示し、m,nは平均付加モル数であ
り、0≦m≦20の範囲の数であり、nは0≦n≦50の範囲
の数である。なお、(EO)m(PO)nは、ブロック又はランダ
ムのいずれでもよく、EOとPOのいずれが先でもよい。
【0022】好ましくは、式(1)中のRが炭素数8〜1
8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の化
合物である。
【0023】化合物(1)は、少なくとも二種以上のRO
Hの混合物にEO及びPOのいずれか又は双方を付加して得
たものも含む。また、ROHのアルコールも含む。
【0024】上記一般式(1)で表される化合物は、C6
〜C22高級アルコールやアルキルフェノール等にエチレ
ンオキサイド(以下EOという)、プロピレンオキサイド
(以下POという)等のアルキレンオキサイド(以下AOと
いう)を付加したものであるが、本発明では、特にEOの
平均付加モル数mが0≦m≦20の範囲にあるものが使用さ
れる。平均付加モル数mは好ましくは0≦m≦10、更に好
ましくは0≦m≦5の範囲である。mが20以下であると紙
に対する嵩高付与効果がより良好となる。又、POの平均
付加モル数nは0≦n≦50の範囲にあるものが使用され、
好ましくは0≦n≦20の範囲である。nが50以下であると
経済的に有利である。
【0025】また、一般式(1)中のRは炭素数6〜22の
直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基
又は炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルアリー
ル基であるが、Rとしては、炭素数8〜18の直鎖又は分
岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。Rがア
ルキル基又はアルケニル基の場合、炭素数が6〜22の範
囲であると、またアルキルアリール基の場合は炭素数4
〜20のアルキル基を有するアルキルアリール基である
と、紙に対する平滑性及び透気性向上効果がより良好と
なる。
【0026】一般式(1)中の(EO)m(PO)n基がポリオキ
シエチレンとポリオキシプロピレンの混合形態の場合、
C2H4O基とC3H6O基の付加形態はランダムでもブロックで
もよい。その場合、好ましくはポリオキシプロピレン基
(C3H6O基)を全平均付加モル数中の50モル%以上、特に
好ましくは70モル%以上含むものが良い。なお、R基に
結合するAO基は、EO、POのいずれが先であってもよい。
【0027】本発明の平滑性及び透気性向上剤として
は、(I)多価アルコールと脂肪酸のエステル及び(J)多価
アルコールと脂肪酸のエステルであって、当該エステル
1モル当たり平均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4
のAO基を有するアルキレンオキサイド付加エステルから
なる群から選ばれる化合物が好ましい。
【0028】また、(I)、(J)の化合物を構成する多価ア
ルコールは、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2
〜24の2〜14価アルコールが好ましく、2〜8価アルコ
ールがより好ましく、3〜6価アルコールが特に好まし
い。2価アルコールとしては、エーテル基を含んでいて
もよい総炭素数2〜10のもの、例えばプロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、
ジブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ
る。3価以上のアルコールとしては、エーテル基を有し
ていてもよい総炭素数3〜24のアルコールで、1分子中
の総水酸基数/総炭素数=0.4〜1であるもの、例えば
グリセリン、ポリグリセリン(平均縮合度2〜5)、ペ
ンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビ
トール、ソルビトール、スタキオース、エリトリット、
アラビット、マンニット、グルコース、ショ糖等が挙げ
られる。特に好ましくはエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、エーテル基を有
していてもよい総炭素数3〜12のアルコールで、1分子
中の水酸基数/総炭素数=0.5〜1である3価以上のア
ルコールである。更に好ましくはグリセリン、ポリグリ
セリン(平均縮合度2〜4)、ペンタエリスリトールで
ある。
【0029】また、これらのエステルを構成する脂肪酸
は、炭素数1〜24、好ましくは炭素数10〜22の脂肪酸が
挙げられ、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでもよ
く、特に直鎖脂肪酸が好ましい。更に好ましくは、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
オレイン酸、ベヘン酸である。
【0030】これらのエステルは、公知のエステル化反
応及びAO付加反応を行うことで得ることができる。例え
ば、脂肪酸と多価アルコールの混合物に要すればエステ
ル化触媒を添加し、150〜250℃で反応させることにより
エステルが得られ、更にアルカリ触媒等の存在下に炭素
数2〜4のAOを付加することにより、アルキレンオキサ
イド付加エステルが得られる。また、脂肪酸あるいは多
価アルコールにAOを付加後、エステル化してもよい。更
に脂肪酸にAO付加のみを行って得られる場合もある。
【0031】このエステルのエステル平均置換度は、好
ましくは1モルの多価アルコール当たり、アルコール中
のOHが10〜95当量%置換されたものであり、特に好まし
くは1モルの多価アルコール当たり1〜2モルのエステ
ル基を有するものである。
【0032】アルキレンオキサイド付加エステルを用い
る場合、AOの付加モル数は、エステル1モル当たり平均
で0モル超12モル未満であり、0.1〜6モルが好まし
い。なお、エチレングリコール等のようにAO基となり得
る多価アルコールを使用した場合においては、それらも
AO基の数に算入する。AOはEO、POが好ましい。これらは
EO、POの単独あるいはEOとPOの混合の何れでもよい。本
発明では、AO基を含まない多価アルコールと脂肪酸のエ
ステルを用いることが特に好ましい。
【0033】本発明の平滑性及び透気性向上剤は、液体
品はそのままで添加してもよいが、固体品は粉砕後ある
いは加熱溶融して又は水等で希釈して添加してもよい。
また、要すればノニオン系、アニオン系、カチオン系、
両性系の界面活性剤を、平滑性及び透気性向上剤の乳化
剤もしくは分散剤として使用してもかまわない。好まし
くはアニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤界面活
性剤であり、更に好ましくは、下記のものである。 ・高級脂肪酸塩 例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリ
スチン酸、ラウリン酸、ロジン酸及びトール油脂肪酸の
ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩等。 ・高級アルコール硫酸エステル塩 例えばラウリル硫酸エステル、ミリスチル硫酸エステ
ル、パルミチル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル
及びオレイル硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム
塩、及びアンモニウム塩。 ・アルキルベンゼンスルフォン酸塩 例えば直鎖ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム及
び分岐鎖ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等。 ・スルホコハク酸ジエステル塩 例えばスルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステル
ナトリウム塩、スルホコハク酸ジイソトリデシルエステ
ルナトリウム塩及びスルホコハク酸ジシクロヘキシルス
ルホコハク酸等。 ・ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物 ・ポリカルボン酸塩 例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリマレ
イン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及び
アンモニウム塩、あるいはアクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸及びスチレンの群から選ばれる2種以上から
なる共重合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム
塩及びアンモニウム塩等。 ・第4級アンモニウム塩 ラウリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルア
ンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム及びジ
ステアリルジメチルアンモニウムの塩酸塩等。
【0034】その際の本発明の平滑性及び透気性向上剤
と界面活性剤との比率は、本発明の平滑性及び透気性向
上剤/界面活性剤=99.9/0.1〜70/30(重量比)、好
ましくは99.8/0.2〜80/20である。
【0035】本発明の平滑性及び透気性向上剤は、サー
モメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、LBK
P等の化学パルプ等のヴァージンパルプ、古紙パルプ等
のパルプ原料に広く適用できる。古紙パルプを配合する
場合は、その配合量は原料パルプ中10重量%以上が好ま
しく、30重量%以上がより好ましい。
【0036】本発明の平滑性及び透気性向上剤は、抄紙
工程以前の何れかにおいて添加される(内添)。その添
加場所としては、パルプ原料の稀薄液が金網上を進む間
に濾水されて紙層を形成する抄紙工程以前で、パルパー
やリファイナー等の離解機や叩解機、マシンチェストや
ヘッドボックスや白水タンク等のタンク、あるいはこれ
らの設備と接続された配管中に添加してもよいが、リフ
ァイナー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加する
等、均一にパルプ原料にブレンドできる場所が望まし
い。本発明の平滑性及び透気性向上剤は、パルプ原料に
添加後、そのまま抄紙されパルプシート中に大部分残存
することが好ましい。
【0037】なお、抄紙時にはサイズ剤、填料、歩留り
向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤等を添加してもよ
い。特に、本発明の平滑性及び透気性向上剤がその機能
を発現するためには、パルプに定着することが重要であ
り、そのために定着を促進する剤を添加することが好ま
しい。定着を促進する剤としては、硫酸アルミニウム、
カチオン化デンプン、アクリルアミド基を有する化合
物、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着を促進す
る剤の添加量はパルプ原料100重量部に対して0.01〜5
重量部が好ましい。
【0038】本発明の平滑性及び透気性向上剤は、パル
プ原料に対して0.01〜10重量%、更に0.1〜5重量%、
特に0.1〜2重量%添加するのが好ましい。
【0039】
【実施例】例中、特記しない限り「部」は重量部であ
り、「%」は重量%である。 〔1〕パルプシートの平滑度試験方法 20℃、65%RHの条件下で、JIS P 8119に準じて測定し
た。平滑度の値が大きいほど平滑性が高い。 〔2〕パルプシートの透気度試験方法 20℃、65%RHの条件下で、JIS P 8117に準じて測定し
た。透気度の値が小さいほど透気性が高い。
【0040】実施例1 原料パルプとして、脱墨晒古紙パルプ(BDIP、白色度67
%、csf 220ml)40%とLBPK(csf 550ml)60%を配合した
パルプを使用し、表1に示す平滑性及び透気性向上剤0.
5%、填料として軽質炭酸カルシウム(TP-121 6S:奥多
摩工業社)8%、内添サイズ剤としてAKD(AS-262:日本
PMC社)0.05%、カチオン化澱粉CATO302(日本エヌエヌ
シー社)0.5%、PAM系紙力増強剤ハーマイドEX-360(ハ
リマ化成社)0.1%を添加した。歩留向上剤(RD810:日
本PMC社)を100ppm添加し、ツインワイヤー抄紙機で毎
分800mで抄造した。この際サイズプレスで、表面サイズ
剤(酸化澱粉100部、アクリル系表面サイズ剤0.5部、食
塩0.05部)を片面0.6g/m2ずつ両面に塗布し、坪量66
g/m2の紙を得た。この紙に対し上記〔1〕〔2〕の
評価試験を行った。また、比較例1として平滑性及び透
気性向上剤を用いずに同様の紙を製造し同様の評価を行
った。それらの結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【化4】
【0043】化合物D:ペンタエリスリトールステアレ
ート(エステル平均置換度45当量%)4.5gとドデシル
硫酸ナトリウム0.5gとを、70℃の温水95g中に添加
し、撹拌均一化した後、1時間25℃で放置して調製した
有効分5%の分散液。 化合物E:ペンタエリスリトールステアレート(エステ
ル平均置換度45当量%)4.0gとセチルトリメチルアン
モニウム塩酸塩1.0gとを、70℃の温水95g中に添加
し、撹拌均一化した後、1時間25℃で放置して調製した
有効分5%の分散液。
【0044】実施例2 原料パルプとして、LBKP(csf 500ml)100%配合したパル
プを使用し、平滑性及び透気性向上剤として表1のNo.1
0を用いて実施例1と同様に紙を得、上記〔1〕〔2〕
の評価試験を行った。また、比較例2として平滑性及び
透気性向上剤No.10を用いずに同様の紙を製造し同様の
評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】実施例3 原料パルプとして、脱墨晒古紙パルプ(BDIP、白色度67
%、csf 220ml)40%とLBPK(csf 550ml)60%を配合した
パルプを使用し、表1の平滑性及び透気性向上剤No.10
を0.5%、填料としてカオリン(インドネシア産)10
%、内添サイズ剤としてロジンエマルションサイズ剤(A
L100:日本PMC社)0.5%、硫酸アルミニウム2%、ポリ
アクリルアミド系紙力増強剤ハーマイドEX-360(ハリマ
化成社)0.1%を添加した。歩留向上剤(RD810:日本PM
C社)を100ppm添加し、以下実施例1と同様にして紙を
得、上記〔1〕〔2〕の評価試験を行った。また、比較
例3として平滑性及び透気性向上剤No.10を用いずに同
様の紙を製造し同様の評価を行った。それらの結果を表
3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】(結果)表1〜3の結果から、本発明の平
滑性及び透気性向上剤を添加することにより、得られる
パルプシートの平滑性と透気性の両方が向上しているこ
とがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、印刷用紙に要求される
平滑度と透気度の両方を向上できる平滑性及び透気性向
上剤が提供される。また、本発明の平滑性及び透気性向
上剤によれば平滑度及び透気度の両方を向上したパルプ
シートを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許3283246(JP,B2) 特許3283248(JP,B2) 特許2971447(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に定義する離水度が4%以上となる
    化合物であって、且つ下記(i)〜(iii)の何れか1
    つ以上の紙質向上効果をもたらす化合物からなり、抄紙
    工程以前に添加されるパルプシートの平滑性及び透気性
    向上剤。 (i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上 (ii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上 (iii)標準不透明度向上度が0.5ポイント以上 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 α:平滑性及び透気性向上剤となる化合物をパルプ100
    重量部に対し5重量部添加して抄紙して得た湿潤シート
    の含水率 α0:平滑性及び透気性向上剤となる化合物をパルプに
    添加しないで抄紙して得た湿潤シートの含水率
  2. 【請求項2】 化合物が、(A)オルガノシロキサン、(B)
    グリセリルエーテル、(C)アミド、(D)アミン、(E)アミ
    ン酸塩、(F)4級アンモニウム塩、(G)イミダゾール、
    (H)アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物、
    (I)多価アルコールと脂肪酸のエステル、及び(J)多価
    アルコールと脂肪酸のエステルであって当該エステル化
    合物1モル当たり平均で0モル超12モル未満の炭素数2
    〜4のオキシアルキレン基を有するエステルからなる群
    から選ばれる請求項1記載の平滑性及び透気性向上剤。
  3. 【請求項3】 更に(a)アニオン界面活性剤及び(b)カチ
    オン界面活性剤から選ばれる一種以上の化合物を含有す
    る請求項1又は2記載の平滑性及び透気性向上剤。
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