JP2003213595A - 艶消し塗工紙 - Google Patents

艶消し塗工紙

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JP2003213595A
JP2003213595A JP2002004827A JP2002004827A JP2003213595A JP 2003213595 A JP2003213595 A JP 2003213595A JP 2002004827 A JP2002004827 A JP 2002004827A JP 2002004827 A JP2002004827 A JP 2002004827A JP 2003213595 A JP2003213595 A JP 2003213595A
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pulp
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JP2002004827A
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Masato Suzuki
政人 鈴木
Koji Okago
幸治 大篭
Masato Yamaguchi
正人 山口
Hiroichi Morii
博一 森井
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低密度、柔軟性かつ実用に適した不透明度を
有し、白紙光沢度が低いにも関わらず、相対的に良好な
インク着肉性および印刷光沢度が高く、特にオフセット
印刷時の耐ブリスター性に優れ、層間剥離が発生しない
印刷適性の優れる艶消し塗工紙を提供することにある。 【解決手段】 原紙上に顔料および接着剤を含有する塗
工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙において、内添填
料を原紙重量当たり13重量%以上25重量%以下含有
し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合
物を含有する原紙に塗工量が片面当たり4g/m以上
10g/m以下の塗工層を有し、層間強度が600k
Pa以上であることを特徴とする艶消し塗工紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白紙光沢度が低い
にも関わらず、優れた印刷適性を備えた艶消し塗工紙に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷物に対し、写真や図案を多用
し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力
に伝達できる高品質印刷用塗工紙への強い要望がある。
一方、省資源、輸送および郵送コストなどの点から印刷
物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望
は相反するものであり、高品質印刷塗工紙は原紙および
塗工量が多く、また表面処理による平滑化などにより、
同一坪量で比較して密度が高いものであり、軽量化の要
望にそぐわない。印刷物の軽量化には低坪量の用紙を選
択することが可能であるが、密度が同等であれば軽量化
にともない紙厚も低くなり、冊子のボリューム感を損な
うため好まれない。このため、すなわち同一坪量で比較
して紙厚の高い、もしくは同一紙厚で比較して坪量の低
く、すなわち低密度(嵩高)でかつインク着肉性等の印
刷適性が良好な塗工紙が求められている。
【0003】また雑誌等に用いられている塗工紙は、風
合い、手触り、めくりやすさといった性質が重要であ
る。特に最近はボリューム感(紙厚が高い)がありなが
ら軽くすなわち嵩高(低密度)であり、かつ本にした場
合にめくり易い等の柔軟性も求められてきている。従来
紙厚を高くすれば、紙のこわさが増加し、逆にめくりに
くくなるため、ボリューム感とめくり易さを両立するこ
とは困難であった。
【0004】塗工紙は、光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大
別される。光沢塗工紙は、高級印刷に用いられているア
ート紙、スーパーアート紙、あるいはカタログ、雑誌、
パンフレットなどに用いられているコート紙等があり、
印刷仕上がりが白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調であ
る。艶消し塗工紙は、ダル調、マット調があり、グロス
調よりも白紙光沢や印刷光沢が低いものである。マット
調はダル調よりも白紙光沢が低いものである。特にマッ
ト調の艶消し塗工紙は、従来のグロス調のものに比べ
て、印刷後の文字部が読みやすく、近年需要が増えてい
る。
【0005】例えばマットコート紙として坪量157g
/m、両面塗工量30〜50g/m、密度(緊度)
0.88g/cm3、のマットコート紙の典型的品質
は、75°光沢度12%、60°印刷光沢度27%(4
色重刷部)となっている(印刷と用紙188頁 紙業タ
イムス社 1996年発行)。このマット調艶消し塗工
紙を軽量化しようとして、例えば上記マットコート紙の
原紙坪量および塗工量を半分にして総坪量80g/m
のものとすると、印刷光沢度が著しく低下し、また不透
明度が低下して裏抜けの問題が発生するおそれが増大す
る。総坪量80g/mのままで、印刷光沢度を改善す
べく、塗工層の塗工量を多くすれば、その分原紙坪量を
下げざるを得ず、ますます不透明度と剛度が不足し実用
的ではない。この不透明度と剛度が実用的な程度にまで
改善すべく原紙坪量を増加させれば、その分今度は塗工
量を極めて少なくした場合、表面の被覆性が不足して印
刷光沢度がきわめて低い不鮮明な画像となってしまう。
また、不透明度を改善する方法として、原紙に不透明度
が大きい二酸化チタンのような無機填料を内添する方法
が公知であるが、無機填料を内添すると原紙の密度は逆
に増大してしまう。
【0006】また、塗工紙の印刷品質、特にインクの着
肉濃度や画線部の印刷光沢度を向上させるためには、塗
工紙の平滑性を高めることが有効な手段のひとつであ
る。このため、光沢塗工紙や、ダル調と呼ばれる艶消し
塗工紙と光沢塗工紙の中間的な白紙光沢度を有する塗工
紙では、スーパーカレンダー等の表面平滑化処理を施す
ことが一般的である。しかし、これらの処理は用紙を加
圧して表面の平滑性を高めるのもであるため、同時に白
紙光沢度が高く、用紙の紙厚が低くなり、スーパーカレ
ンダー処理単独では目標とする印刷品質を得るには十分
ではなかった。
【0007】低密度で紙厚と不透明度を保ちながら原紙
を軽量化する方法として、中空の合成有機物のカプセル
を配合する方法、抄紙時のドライヤーの熱で発泡させる
合成有機発泡性填料(例えば商品名EXPANSEL、
日本フィライト株式会社製)を配合する方法等が知られ
ている。しかし、これらの方法は、抄紙時の乾燥条件な
ど、安定した操業条件を得ることが困難であり、大量生
産が必要な品種には適当とはいえない。また、填料では
ないが、特開平8−13380号公報に微細フィブリル
化セルロースを添加する方法が提案されている。しかし
この方法では、微細フィブリル化セルロースを別に調整
する必要があり操業上煩雑になり、実用的ではない。
【0008】また、原紙の低密度化(嵩高化)の方法と
して、繊維が剛直で低密度化に効果的である機械パル
プ、特に砕木パルプを用いることが知られている。しか
しながら、砕木パルプは機械パルプであり、上質紙への
配合は規格上問題があり、また、配合したことによって
紙質、例えば白色度の低下などの品位上でも問題が生じ
易い。サーモメカニカルパルプも同様である。
【0009】紙の風合い、手触り、めくり易さといった
性質については、風合いの改善を目的として、特開平8
−246390号公報には、填料として特定の紡錘状炭
酸カルシウムを使用し、保水値が100〜150%の機
械パルプを配合した薄葉書籍用紙が開示されている。ま
た、特開平10―204790号公報には、フリーネス
がCSF500ml以上の広葉樹クラフトパルプを90
重量%以上含有し、該広葉樹クラフトパルプはフタバガ
キ類のパルプを50〜100重量%含有し、填料として
炭酸カルシウムを含有した、密度が0.60〜0.40
g/cm3の低密度書籍用紙が開示されている。しかし
ながら、これらは特殊なパルプを配合する必要があるた
め、コスト的には不利であり、紙自体の柔軟性も不十分
で、風合い、手触り、めくり易さが優れているものでは
なかった。
【0010】また、特開2001−234497号公報
には、密度、裂断長、ヤング率の3者の積を規定して、
嵩高で、柔軟性のある印刷用紙が記載されている。しか
しながら、この紙を塗工原紙として使用し、顔料と接着
剤を含有する塗工層を設けた場合、柔軟性が劣り、めく
り易くなく、強度等が劣る問題があった。このように従
来の技術の単なる応用では所望の特性を持った軽量化し
た艶消し塗工紙を得ることは困難であった。
【0011】このように、従来の技術の単なる応用では
所望の特性を持った軽量化した艶消し塗工紙を得ること
はできない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑み
て、本発明の課題は、低密度、柔軟性かつ実用に適した
不透明度を有し、白紙光沢度が低いにも関わらず、相対
的に良好なインク着肉性および印刷光沢度が高く、特に
オフセット印刷時の耐ブリスター性に優れ、層間剥離が
発生しない印刷適性の優れる艶消し塗工紙を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
について鋭意研究した結果、原紙上に顔料および接着剤
を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙にお
いて、内添填料を原紙坪量当たり13%重量以上25重
量%以下含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を
持つ有機化合物を含有する原紙に塗工量が片面当たり4
g/m以上10g/m以下で層間強度が600kP
a以上にすることにより、低坪量でも低密度で紙厚およ
び柔軟性があり、高不透明度を有することができ、オフ
セット印刷時の耐ブリスター性に優れ、層間剥離が発生
せず、白紙光沢度は低いままで、相対的に良好なインク
着肉性および印刷光沢度が高いといった印刷適性を得る
ことができ、前記課題が解決されることを見出し本発明
に至った。
【0014】低密度で柔軟性を発現するために、原紙に
特定量の填料とパルプの繊維間結合を阻害する作用を持
つ有機化合物を含有し、更に塗工量を低くすることが重
要である。本発明においては、内添填料を13%以上2
5%以下、更に好ましくは15%以上20%以下配合
し、また、原紙に塗工量が片面4g/m以上10g/
以下、更に好ましくは片面6g/m以上8g/m
以下の塗工層を有することにより、耐ブリスター性が
高く、相対的に良好なインク着肉性および印刷光沢度が
高く、柔軟性のある艶消し塗工紙を得られる。内添填料
を13%未満とすると、剛度は上がる傾向にあり、本発
明に重要な柔軟性が得られない。一方で、内添填料を2
5%より高くすると、相対的に密度が高くなり、強度が
劣ってしまう。また、塗工量を10g/mより高くし
た場合、良好なインク着肉性および高い印刷光沢が得ら
れるが、オフセット印刷時の耐ブリスター性が低下し、
また、同坪量で比較した場合、相対的に密度は高くなる
傾向にある。一方、塗工量を4g/m未満とすると、
同坪量で比較した場合、密度は低くなるが、インク着肉
性および印刷光沢度が低下する。パルプの繊維間結合を
阻害する作用を持つ有機化合物を含有しないと低密度で
柔軟性のあるものが得られない。
【0015】本発明において、パルプの繊維間結合を阻
害する作用を持つ有機化合物は、以下の試験により選定
することができる。
【0016】目的の用紙を構成するパルプ組成物に絶乾
パルプ100重量部に対し0.3重量部の試験しようと
する有機化合物を配合したパルプスラリーを用いて、実
験用配向性抄紙機(熊谷理機社製)で、回転速度900
rpmにて抄紙し、JIS8209の方法に従ってプレ
ス、乾燥を行った。なお、乾燥条件については、送風乾
燥機により、50℃、1時間処理した。この試験用紙を
23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した
後、JIS P8113に従って、引っ張り強さを測定
する。引っ張り強さが低下する化合物が、本発明の繊維
間結合を阻害する作用をもつ有機化合物である。この時
の低下率があまり少ないものは嵩高効果が少なく、その
ため多量に添加する必要がある。低下率が大きいものは
少量の添加で嵩高効果がある。従って、引っ張り強さが
低下する有機薬品であればいずれのものも使用可能であ
るが、0.3%配合時の低下率が5〜30%のものが好
ましく、特に、8〜20%のものが好ましい。
【0017】本発明のパルプの繊維間結合を阻害する作
用を持つ有機化合物(以下、結合阻害剤と略称する)
は、疎水基と新水基を持つ化合物であった、上記試験で
引っ張り強度の低下作用を有するものである。最近、製
紙用で紙の嵩高化のために上市された低密度化剤(ある
いは嵩高剤)は本発明の結合阻害剤として適しており、
例えば、WO98/03730号公報、特開平11−2
00284号公報、特開平11−350380号公報等
に示される高級アルコールのエチレンおよび/またはプ
ロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン
型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加
物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価ア
ルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイ
ド付加物、あるいは脂肪酸ポリアミドアミンなどを例示
することができ、好ましくは高級アルコールのプロピレ
ンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステ
ル化合物等である。販売されている嵩高薬品としては、
BASF社のスルゾールVL、Bayer社のバイボリ
ュームPリキッド、花王(株)のKB−08T、08
W、KB110、115、三晶(株)のリアクトペイク
といった薬品があり、単独あるいは2種以上を併用して
もよい。本発明の印刷用ダル調塗工紙は、嵩高で柔軟な
用紙にするために、パルプの結合阻害剤をパルプ100
重量部当たり0.1〜10重量部含有することが好まし
く、特に0.2〜1.0重量部を含有することが好まし
い。
【0018】また、本発明においては、オフセット印刷
時に層間剥離を発生しないために、Lorentzen and Wett
re社製引っ張り試験機で層間強度を600kPa以上、
より好ましくは650kPa以上にすることが重要であ
る。層間剥離とはオフセット印刷した際、ブランケット
通過時に紙が両方向に引っ張られることによって原紙内
部からの剥離を起こすことである。一般的に塗工紙は非
塗工紙と比較してインクが紙に付着した際に、塗工層に
インク中のビヒクル成分が選択的に吸収されることで印
刷直後のインクタックが相対的に高くなり、そのため層
間剥離が発生しやすい傾向にある。塗工量を増加させた
場合も、インク中のビヒクル成分の吸収速度が高くな
り、インクタックが高くなりやすい。層間強度が600
kPaより低い場合、層間剥離を起こし、印刷トラブル
となる。層間剥離を抑制するには層間強度を上げること
が有効と考えられる。層間強度を上げるには、抄紙機で
のプレス線圧のアップ、内添填料の低下、広葉樹パルプ
から針葉樹パルプへの置き換え、結合阻害剤の低減等の
対策を単独あるいは組み合わせることが有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の原紙に配合するパルプと
しては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパ
ルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械
パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケ
ミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ(故紙パル
プ)を単独もしくは任意の割合で混合使用することがで
き、特に、経時による褪色を少なくするために、クラフ
トパルプを単独使用することが好ましい。また原紙に配
合する填料の種類としては、水和珪酸、ホワイトカーボ
ン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化
チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することが
できる。その他に必要に応じて、硫酸バント、サイズ
剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡
剤等を含有してもよい。
【0020】本発明の塗工層に用いられる顔料として
は、塗工紙用に従来から用いられている、カオリン、ク
レー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タル
ク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸
化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワ
イトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有
機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて単独または
2種類以上併用して使用できる。本発明においては、印
刷光沢度およびインクセット性等の印刷品質の点から、
2μmより小さい粒子径の累積堆積率が70%以上の炭
酸カルシウムを30〜90重量部使用することが好まし
い。
【0021】本発明に用いられる接着剤としては塗工紙
用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン
系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、
ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブ
チルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビ
ニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸
・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤:カ
ゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類:酸化澱
粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエ
チルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリ
ンなどの澱粉類:カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等
のセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種以
上を便宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料1
00重量部あたり5〜50重量部、より好ましくは10
〜30重量部程度の範囲で使用される。本発明において
は、接着剤として澱粉を顔料100重量部あたり6重量
部以上配合することが好ましい。本発明は、低密度塗工
紙に関してであり、そのためには低密度の原紙に塗工す
る必要がある。低密度の原紙は、原紙がポーラスである
ため、一般的に塗料が原紙中に浸透し、原紙被覆性が低
下しやすい。そのため、ラテックス等のバインダーと比
較して保水性が良好である澱粉を6部以上配合すること
により塗工層の被覆性は良好になる。また、保水性を向
上させる手法として、各種天然系、合成系の保水剤を配
合することも有効である。
【0022】本発明の塗工液には、分散剤、増粘剤、保
水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を
使用してもよい。
【0023】塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いら
れる坪量が30〜400g/m程度の紙ベースや板紙
ベースの原紙が便宜用いられているが、本発明の効果が
顕著となるのは、原紙の不透明が問題となってくる15
7g/m以下、特に25〜120g/mである。ま
た、本発明においては密度0.85g/cm3以下の艶
消し塗工紙を供給することが好ましく、そのために更に
低密度の塗工原紙であることが好ましい。原紙の抄紙方
法については特に限定されるものではなく、トップワイ
ヤー等を含む長網マシン、丸網マシン、二者を併用した
板紙マシン、ヤンキードライヤーマシン等を用いて、酸
性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙した原紙
のいずれであってもよい。また、サイズプレス、ビルブ
レード、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプ
レスを使用して、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予
備塗工した原紙や、ピグメントと接着剤を含む塗工液を
1層以上予備塗工した塗工原紙も使用可能である。
【0024】原紙に、調整された塗工液を塗工する方法
としては、ブレードコータ、バーコータ、ロールコー
タ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテ
ンコータ、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ等
を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面づつも
しくは両面同時に両面塗工する。
【0025】湿潤塗工層を乾燥させる手法としては、例
えば蒸気加熱シリンダー、加熱熱風エアドライヤー、ガ
スヒータードライヤー、電気ヒータードライヤー、赤外
線ヒータードライヤー、高周波ヒータードライヤー等各
種の方法が単独または併用して用いられる。
【0026】以上のように塗工乾燥された塗工紙は、未
カレンダ処理、またはスーパーカレンダー、高温ソフト
ニップカレンダー等で平滑処理を行う。本発明の効果
は、特に坪量が25〜120g/m、白紙光沢度が5
0%以下のマット調艶消し塗工紙において優れるもので
ある。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。
尚、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ重
量%を示す。また、塗工液および得られたオフセット印
刷用塗工紙について以下に示すような評価法に基づいて
試験を行った。 〈評価方法〉 (1)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定
した。 (2)印刷光沢度:マン・ローランド社の枚葉印刷機
(4色)を用いて、A3サイズの版とオフセット用印刷
インキ(東洋インキ製造(株)製 ハイエコーL)を用い
て印刷速度10000rphで印刷し、得られた印刷物
(墨藍紅3色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142
に基づいて測定した。 (3)インク着肉性:マン・ローランド社の枚葉印刷機
(4色)を用いて、A3サイズの版とオフセット用印刷
インキ(東洋インキ製造(株)製 ハイエコーL)を用い
て印刷速度10000rphで印刷し、得られた印刷物
(藍単色ベタ印刷部)のインク着肉性を4段階で目視評
価した。◎:非常に優れる、○:優れる、△:やや問題
あり、×:問題あり (4)クラーク剛度:JIS P 8143に基づいて測
定した。 (5)耐ブリスター性の評価:シリコンオイルを用いた
オイルバス法により、110〜250℃の範囲での膨れ
の有無で評価した。 (6)層間強度:Lorentzen and Wettre社製の層間剥離
強度試験機を用いて測定した。 (7)層間剥離:RI印刷において印面の膨れ発生の有
無で評価した。◎:非常に優れる、○:優れる、△:や
や劣る、×:劣る (8)柔軟性の評価:手触り、風合い、およびめくり易
さを10人のモニターにより、4段階で評価した。◎:
非常に優れる、○:優れる、△:やや問題あり、×:問
題あり (9)褪色性の評価:スガ試験機製キセノンウェザーメ
ーター(放射照度 70W/m2)を用い、経時照射後の
白色度およびL、a、bを測定し4段階で評価し
た。◎:非常に優れる、○:優れる、△:やや劣る、
×:劣る [結合阻害剤の選定] NBKP30部とリファイナー
グランドパルプ(RGP)70部を1%スラリーとし、
このスラリーに下記化合物0.3部を添加混合し、紙料
を調整した。この紙料を熊谷理機社製実験用配向性抄紙
機にて回転速度900rpmで抄紙し、JIS8209
の方法に従ってプレス、乾燥を行った。なお、乾燥条件
については、送風乾燥機により、50℃、1時間処理
し、テスト用試験紙を得た。この試験紙を温度23℃、
相対湿度50%で24時間放置した後、JIS P81
13に従って引っ張り強度を測定した。測定した結果を
表1に示した。
【0028】
【表1】 上記試験から、引っ張り強さの低下率が6%以上のもの
が好ましく、10%以上の低下率を示すものが特に本発
明に適している。次に上記試験から、良好な結合阻害的
性を示した花王(株)製KB110の1種について艶消
し塗工紙を作成して評価した。 [実施例1]微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック
(株)製 FMT−90)80部、微粒クレー(エンゲ
ルハルド(株)製 Mirasheen)20部からな
る顔料に、分散剤として対顔料でポロアクリル酸ソーダ
0.2部を添加して、セリエミキサーで分散し、固形分
濃度が70%の顔料スラリーを調整した。このようにし
て得られた顔料スラリーに非増粘型のスチレンブタジエ
ンラテックス(ガラス転移温度14℃)11部、ヒドロ
キシエチルエーテル化澱粉4部を加え、さらに水を加え
て固形分濃度64%の塗工液を得た。パルプとして晒し
クラフトパルプを用い、内填填料として炭酸カルシウム
を原紙重量当たり18%含有し、パルプの繊維間結合を
阻害する作用を持つ有機化合物として多価アルコールと
脂肪酸のエステル化合物(花王(株)製 KB110)
を原紙重量当たり0.5%含有した坪量80g/m
上質原紙に片面あたりの塗工量が、固形分で7.5g/
になるように、800m/分の塗工速度のブレード
コーターで両面塗工を行い、紙水分が4.5%になるよ
うに乾燥し、艶消し塗工紙を得た。 [実施例2]実施例1において、原紙中の炭酸カルシウ
ムが14%に変更した以外は実施例1と同様の方法で艶
消し塗工紙を得た。 [実施例3]実施例1において、原紙中の炭酸カルシウ
ムが24%に変更した以外は実施例1と同様の方法で艶
消し塗工紙を得た。 [実施例4]実施例1において、片面あたりの塗工量
が、固形分で10g/mになるように変更した以外は
実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。 [実施例5]実施例1において、片面あたりの塗工量
が、固形分で5g/mになるように変更した以外は実
施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。 [実施例6]実施例1において、原紙中のパルプ当たり
機械パルプを20%含有する以外は実施例1と同様の方
法で艶消し塗工紙を得た。 [実施例7]実施例1において、パルプとして晒しクラ
フトパルプを用い、内填填料として炭酸カルシウムを原
紙重量当たり18%含有し、パルプの繊維間結合を阻害
する作用を持つ有機化合物として多価アルコールと脂肪
酸のエステル化合物(花王(株)製 KB110)を原
紙重量当たり0.5%含有した坪量120g/mの上
質原紙に片面あたりの塗工量が固形分で10g/m
なるように変更した以外は実施例1と同様の方法で艶消
し塗工紙を得た。 [比較例1]実施例1において、炭酸カルシウムを10
%含有に変更した以外は、実施例1と同様の方法で艶消
し塗工紙を得た。 [比較例2]実施例1において、炭酸カルシウムを30
%含有に変更した以外は、実施例1と同様の方法で艶消
し塗工紙を得た。 [比較例3]実施例1において、パルプの繊維間結合を
阻害する作用を持つ有機化合物として多価アルコールと
脂肪酸のエステル化合物を添加していない以外は、実施
例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。 [比較例4]実施例1において、片面あたりの塗工量
が、固形分で12g/mになるように変更した以外は
実施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。 [比較例5]実施例1において、片面あたりの塗工量
が、固形分で3g/mになるように変更した以外は実
施例1と同様の方法で艶消し塗工紙を得た。 [比較例6]実施例1において、上質原紙抄造時のプレ
ス線圧を下げることにより、層間強度を550kPaに
なるように変更した以外は実施例1と同様の方法で艶消
し塗工紙を得た。
【0029】以上の結果を表2に示した。
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明により、低密度、柔軟性、かつ実
用に適した不透明度を有し、低白紙光沢にも関わらず相
対的に高いインク着肉性および印刷光沢度を有し、耐ブ
リスター性に優れ、層間剥離が発生しない印刷用艶消し
塗工紙を効率よく得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 正人 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社技術研究所内 (72)発明者 森井 博一 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4L055 AC01 AC06 AG11 AG12 AG27 AG34 AG48 AG63 AG76 AG89 AH01 AH02 AH37 AH50 AJ04 BE08 EA04 EA07 EA13 EA14 FA12 FA15 GA19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙上に顔料および接着剤を含有する塗
    工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙において、内添填
    料を原紙重量当たり13重量%以上25重量%以下含有
    し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合
    物を含有する原紙に塗工量が片面当たり4g/m以上
    10g/m以下の塗工層を有し、層間強度が600k
    Pa以上であることを特徴とする艶消し塗工紙。
  2. 【請求項2】 絶乾パルプ100重量部に対しパルプの
    繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を0.3重
    量部含有した原紙において、該化合物が無配合の原紙に
    対してJIS P 8113に従って測定した引張り強さ
    の低下率が5〜30%であることを特徴とする請求項1
    に記載の艶消し塗工紙。
  3. 【請求項3】 パルプの繊維間結合を阻害する作用を持
    つ有機化合物が多価アルコールと脂肪酸のエステル化合
    物、または/及び高級アルコールのプロピレンオキサイ
    ド付加物であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の艶消し塗工紙。
  4. 【請求項4】 パルプ原料にクラフトパルプを100%
    含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の艶消し塗工紙。
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