JP5605192B2 - 楽音信号合成方法、プログラムおよび楽音信号合成装置 - Google Patents

楽音信号合成方法、プログラムおよび楽音信号合成装置 Download PDF

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Description

本発明は、自然楽器における発音機構(発音メカニズム)に立脚した所定の物理モデルに従って、シミュレーションを行うことにより楽音信号を合成する技術に関する。特に、弦および本体(弦を支持し、空気中に音響を放射する部品)を有する3次元構造の楽器から発せられる音が有する特質をリアルに表現した疑似楽器音を生成するのに好適な楽音信号合成方法、プログラムおよび楽音信号合成装置に関する。
従来から、汎用コンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等のデジタル信号処理装置、集積回路、大規模集積回路等を含んで構成された専用ハードウエア装置において、自然楽器の発音機構(発音メカニズム)に立脚した所定の物理モデルに従って、シミュレーションを行うことにより、自然楽器の楽音を疑似的(仮想的)に合成する方法が知られている。例えば、疑似ピアノ音を発生させたい場合、弦の物理モデルに従って、汎用コンピュータでシミュレーション演算を実行させることにより、楽音信号を合成するということが行われている。例えば、遅延手段を用いた閉ループに励起信号を入力することにより生じる巡回信号に基づいて楽音信号を合成する楽音合成装置がある。このような楽音合成装置は、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。
特許第2820205号公報 特許第2591198号公報
ピアノの弦は、その一端が本体の一部であるフレーム上のベアリングで支持され、他の一端が本体の一部である響板上の駒で支持されている。鍵を押すと、対応する弦がダンパから解放されると同時に、ハンマに運動エネルギが与えられる。ハンマが弦を打つことによって弦の中に励起した波動のエネルギは、一部がこれらの支持端を介して本体に透過し、残りが支持端で反射されることによって弦の中に留まる。弦の中に生まれた波動が弦支持端間の往復を繰り返すことによって、振動が生まれる。弦の軸方向に直交する方向の振動、即ち、曲げ振動は、最初、ハンマによって打たれた方向に生じるが、3次元運動を行う駒の影響により、それと直交する方向にも生じる。弦は、上記2方向の曲げ振動の他に弦軸方向の振動、即ち、縦振動も行う。
ピアノの発音は、弦が振動するだけでなく、響板、フレーム、支柱、側板、棚板などから構成される複雑な3次元形状を有する本体を振動させて、本体の全表面から空気中に音響が放射されることによって、豊かで立体的なピアノ特有の楽音が生成される。
しかしながら、音階を生成する部品である弦と、弦を支持し、空気中に音響を放射する部品である本体とを有する3次元構造体であるピアノから発せられる楽音の特徴をリアルに表現するための方法(計算アルゴリズム)は未だ提案されていない。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、弦および本体を有する3次元構造の楽器から発せられる音が有する特質を、リアルに表現した疑似楽器音を生成することができる楽音信号合成方法、プログラムおよび楽音信号合成装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成する楽音信号合成方法であって、前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端の少なくとも一端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算過程と、前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算過程と、前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算過程とを備えることを特徴とする楽音信号合成方法を提供する。
また、別の好ましい態様において、前記本体モデル計算過程においては、前記第2の情報に基づいて、前記弦支持端の少なくとも一端における変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第3の情報を算出し、前記弦モデル計算過程においては、前記演奏情報に応じた励起信号に加えて、前記第3の情報に応じた励起信号を前記閉ループに入力することを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記楽器は、押下されることにより前記本体に衝突する鍵、および前記鍵の押下により前記弦の特定の位置を打つハンマを有するピアノであり、前記演奏情報に応じた前記ハンマの位置と、前記弦の前記特定の位置における変位を表す第4の情報とに基づいて、前記ハンマが前記弦に及ぼす力を表す第5の情報を算出するハンマモデル計算過程をさらに備え、前記弦モデル計算過程においては、前記第5の情報に応じた励起信号を、前記演奏情報に応じた励起信号として入力し、前記巡回信号に基づいて、前記第4の情報を算出することを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記楽音信号計算過程においては、前記本体の前記各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)と空気中の観測点における音圧との間のインパルス応答を表す第6情報を取得し、前記本体モデル計算過程において算出された前記第2の情報と前記第6の情報との畳み込み演算を前記本体の固有振動モード毎に行った後、前記各畳み込み演算結果を足し合わせることによって、空気中の観測点における音圧を、前記楽音信号として算出することを特徴とする。
また、本発明は、コンピュータに、振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算手段と、前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算手段と、前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算手段として機能させるためのプログラムを提供する。
また、本発明は、振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成する楽音信号生成装置であって、前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算手段と、前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算手段と、前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算手段とを具備することを特徴とする楽音信号生成装置を提供する。
本発明によれば、弦および本体を有する3次元構造の楽器から発せられる音が有する特質をリアルに表現した疑似楽器音を生成することができる楽音信号合成方法、プログラムおよび楽音信号合成装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る変換部と楽音信号合成部との関係を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 標準的なグランドピアノの構成を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る化粧音生成部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る演算部を有する楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る弦モデル計算部の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る第1、第2、第3弦WG計算部の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例9に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例10に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例10に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例11に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例11に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例12に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例12に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例13に係る楽音信号合成部の構成を示すブロック図である。
<第1実施形態>
[電子楽器1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子楽器1の構成を示すブロック図である。電子楽器1は、例えば、電子ピアノであり、制御部11、記憶部12、ユーザ操作部13、演奏操作部15および放音部17を有している。これらの各部は、バス18を介して互いに接続されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、DSP11b、他の図示しない周辺回路、ROM(Read Only Memory)11c、RAM(Random Access Memory)11d、信号インターフェイス11eおよび内部バス11fを有する。DMA(Direct Memory Access)コントローラ、ビデオプロセッサは他の周辺回路として含まれていてもよい。CPU11aは、ROM11cに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAM11dにロードして実行することにより、電子楽器1の各部について、バス18を介して制御し、後述する楽音信号合成処理を行う楽音信号合成部100、演奏情報を楽音信号合成部100に入力される信号に変換する処理を行う変換部110などを実現する。また、RAM11dは、CPU11aが各データの加工などを行う際のワークエリアとして機能する。
記憶部12は、例えば、ハードディスクなどの記憶手段であって、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データなどの楽音制御データ、後述する楽音信号合成処理により生成した楽音信号などを記憶する。楽音制御データは、この例においては、鍵の押込量、ダンパペダル踏込量、シフトペダル踏込量(さらに、ハンマ速度が含まれていてもよい)の時刻の進行に応じた変化を示すデータを含んでいる。これらのデータは、情報記憶媒体DP(例えば、コンパクトディスク)からロードされたり、ネットワークを介してサーバからダウンロードされたりしたものであってもよく、必ずしも記憶部12に記憶されていなくてもよい。
また、記憶部12は、化粧音を示す波形データを記憶している。波形データは、この例においては、鍵を押下したときに生じる棚板音の振動波形のデータである。化粧音としては、他にも、副系列の倍音、リンギングサウンド(標準的な88鍵ピアノのおよそ第40鍵より下の音域においては、「リンリン」、「ヒンヒン」、あるいは「ヒーン」、「キーン」といった、鈴がなるような、あるいは金属的な非調和音)などであってもよいし、シフトペダル、ダンパペダルを踏込んだときの動作音などであってもよい。
この例においては、記憶部12は、特定の鍵が押下された場合の棚板音を示す波形データを、各鍵の位置に対応して複数記憶している。なお、各鍵の位置は、鍵番号およびシフトペダルの踏込量により規定される。波形データのデータ構成についての詳細は後述する。
ユーザ操作部13は、操作パネル13aおよび表示部14を有する。操作パネル13aには、例えば、マウス13b、操作スイッチ13c、キーボード13dなどである。ユーザがマウス13b、操作スイッチ13c、キーボード13dを操作するとその操作内容を表すデータが制御部11へ出力される。これにより、ユーザは電子楽器1に指示を行う。表示部14は、映像を画面に表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部11に制御され、メニュー画面などの各種画面を表示する。メニュー画面は、電子楽器1に電力が供給されると、自動的に表示されるようにしてもよい。
演奏操作部15は、鍵盤部15aおよびペダル部16を有する。鍵盤部15aは、電子ピアノなどの鍵盤部分に相当するものであって、複数の鍵(黒鍵15b、白鍵15c)が並べられた鍵盤を有する。また、鍵盤部15aにおける各鍵15b、15cには、各鍵を押し込まれると、その鍵の押込量を表す情報を出力する鍵位置センサ15d、および押込速度を表す情報を出力する鍵速度センサ15eが設けられている。鍵盤部15aは、鍵の押込量を表す情報をアナログ形式からデジタル形式に変換した情報KSを出力し、また、押込速度を表す情報をアナログ形式からデジタル形式に変換した情報KVを、バス18を介して制御部11の信号インターフェイス11eまで定期的に出力する。鍵盤部15aは、これらの情報KS、KVを、押し込まれた鍵を表す情報KC(例えば、鍵番号)とともに出力する。このとき、ハンマ速度は、制御部11において、鍵盤部15aから出力される情報をもとに算出される。なお、押込速度については、鍵位置センサ15dから出力される鍵の押込量から算出されるようにして、鍵速度センサ15eについては設けられていなくてもよい。この場合には、鍵盤部15aに鍵の押込量から押込速度を算出する算出部を設けてもよい。また、制御部11のCPU11aにおいて、情報KSから押込速度を算出するようにしてもよい。鍵盤部15aから出力される情報には、押込加速度を示す情報が含まれていてもよい。
ペダル部16は、ダンパペダル16aおよびシフトペダル16bに相当する複数のペダルを有する。また、ダンパペダル16aおよびシフトペダル16bには、ペダルが踏み込まれると、そのペダルの踏込量を表す情報を出力するペダル位置センサ16cが設けられている。ペダル部16は、ペダルの踏込量を表す情報をアナログ形式からデジタル形式に変換した情報PSを、バス18を介して制御部11の信号インターフェイス11eまで定期的に出力する。ペダル部16は、この情報PSを、踏込まれたペダルを表す情報PCとともに出力する。このように、鍵盤部15aおよびペダル部16は、操作されることにより、上記の各情報(演奏情報)を出力する。
放音部17は、デジタルアナログ変換器17a、図示しないアンプおよびスピーカ17bを有する。制御部11の制御により入力される楽音信号は、デジタルアナログ変換器17aにおいてデジタル形式からアナログ形式に変換され、アンプで増幅され、スピーカ17bから音として出力される。この楽音信号は、この例においては、後述する楽音信号合成処理の結果生成されるものである。以上が、電子楽器1の構成の説明である。
[変換部110の構成]
次に、制御部11が制御プログラムを実行することによって実現される楽音信号合成部100および変換部110について図2、図3を用いて説明する。なお、以下に説明する楽音信号合成部100および変換部110における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。
図2は、変換部110と楽音信号合成部100との関係を説明する図である。図2(a)に示すように、変換部110は、鍵盤部15aおよびペダル部16から出力される演奏情報を取得し、予め記憶されている変換テーブルに基づいて、楽音信号合成部100において用いられる信号に変換して出力する。このようにして変換部110から出力された信号は、楽音信号合成部100に入力される。楽音信号合成部100における入力信号としては、鍵盤部15aから出力される鍵の押込量を表す情報KS、KCに応じて生成される信号(以下、入力信号1(e(nΔt))という)、鍵の押込速度(押込加速度であってもよい)を表す情報KV、KCに応じて生成されるハンマ速度を表す信号(以下、入力信号2(V(nΔt))という)、ペダル部16から出力されるダンパペダルの踏込量を表す情報PS、PCに応じて生成される信号(以下、入力信号3(e(nΔt))という)、シフトペダルの踏込量を表す情報PS、PCに応じて生成される信号(以下、入力信号4(e(nΔt))という)の4信号である。これらの4信号はそれぞれ、離散時間軸(t=nΔt; n=0,1,2,・・・)上の信号として楽音信号合成部100に入力される。なお、これらの4信号は、制御部11が記憶部12に記憶されている楽音制御データを読み出して、変換部110において変換されたものであってもよい。
変換部110における変換処理について、情報KSから入力信号1(e(nΔt))への変換処理を代表して説明する。図2(b)は、変換部110が、あるタイミングに取得した情報KSに対応して入力信号1(図中においては「e」)に変換するための変換テーブルの一例を示す図である。この例においては、eは、鍵がレスト位置(rest)から一定量押込まれると「1」から減少し始め、エンド位置(end)に至る一定量前の段階で「0」に至るように決められている。このような変換テーブルは、各入力信号に対応して設けられている。
[楽音信号合成部100の構成]
図3は、楽音信号合成部100の構成を示すブロック図である。楽音信号合成部100は、以下で説明する複数モデル(ダンパモデル、ハンマモデル、弦モデル、本体モデル、空気モデル)から構成される物理モデルにより、擬似ピアノ音を示す楽音信号を合成する。標準的なピアノは、鍵盤には88個の鍵が備わっており、各鍵に対応して、ハンマが1個、弦が1〜3本、ダンパが0〜複数個(弦と複数点で接触することを意味する)、備わっている。なお、弦の本数、ダンパの個数については、音域毎に異なるものとなっている。
図4は、標準的なグランドピアノの構成を説明する図である。上記複数のモデルは、図4に示す標準的なグランドピアノ(アコースティックピアノ)21を前提としている。グランドピアノ21は、88の鍵21aを含む鍵盤21b、アクション機構21dを介して鍵21aと接続されたハンマ21c、弦21e、弦21eと接触可能なダンパ21f、棚板21k、ダンパペダル21m、およびシフトペダル21nを有する。弦21eは、その一端で駒21eaと、他端でベアリング21ebと接続されている。鍵21a、ハンマ21c、アクション機構21d、弦21e、ダンパ21f、棚板21kは、大部分がキャビネット21h内に収められている。弦21eの数およびダンパ21fの接触点の数は、音域によって変化する。キャビネット21h、フレーム、木製フレーム、駒21ea、ベアリング21ebおよびピアノ音を放射する他の振動部分(響板、支柱など)は、本体21jを構成する。以下の説明において、弦、ハンマ、ダンパおよび本体は、標準的なグランドピアノ21における構成を示し、電子楽器1に含まれている構成を示すものではない。
図3に示す楽音信号合成部100は、比較部101、ダンパモデルを対応する弦毎に計算するダンパモデル計算部102−1、102−2、ハンマモデルを計算するハンマモデル計算部103、弦モデルを弦毎に計算する弦モデル計算部104−1、104−2、本体モデルを計算する本体モデル計算部105、空気モデルを計算する空気モデル計算部106、および化粧音(棚板音)に応じた化粧音情報を生成する化粧音生成部200を有する。
ダンパモデル計算部102−1、102−2は、ダンパモデルにより、ある弦21eの振動を計算する。弦モデル計算部104−1、104−2は、弦モデルにより、ある弦21eの振動を計算する。ハンマモデル計算部103、本体モデル計算部105および空気モデル計算部106は、それぞれハンマモデル、本体モデル、空気モデルにより、ある弦21eの振動を計算する。
比較部101は、ダンパモデル計算部102−1、102−2に接続されている。ダンパモデル計算部102−1、102−2は、それぞれ、弦モデル計算部104−1、104−2に接続されている。ハンマモデル計算部103は、弦モデル計算部104−1、104−2の双方に接続されている。弦モデル計算部104−1、104−2は、本体モデル計算部105と接続されている。本体モデル計算部105は、空気モデル計算部106と接続されている。化粧音生成部200は、弦モデル計算部104−1、104−2から本体モデル計算部105に入力される情報に対して補正を行う。楽音信号合成部100における出力信号は、空気モデル計算部106から出力される「空気中の観測点における音圧」の波形を示す楽音信号(以下、楽音信号(P(nΔt))という)である。
楽音信号合成部100の楽音信号合成処理によって得られる楽音信号は、特定の鍵において、対応する弦が2本である場合の物理モデルによるものである。即ち、本体モデルを計算する本体モデル計算部105に対して、弦モデルを計算する弦モデル計算部104−1、104−2が並列に接続されている。ここで、弦が3本以上であれば、本体モデル計算部105に対して、並列に接続される弦モデル計算部104−iw(iw=3,4,・・・)および弦モデルに接続されるダンパモデル計算部102−iw(iw=3,4,・・・)を増やせばよい。また、鍵が複数存在する場合には、鍵の数に応じて、ダンパモデル計算部102、ハンマモデル計算部103および弦モデル計算部104の組を増やして、各鍵に対応する弦モデル計算部104を本体モデル計算部105に接続すればよい。したがって、図3に示す楽音信号合成部100は、一般性を有している。
まず、この例における楽音信号合成部100における楽音信号合成処理の物理モデルにおいては、以下に示す27の仮定がなされている。
(仮定1)重力は無視する。
(仮定2)軸力を受けて真っ直ぐに静止している状態(以下、静的平衡状態という)にある弦は細長い円柱形状であるものとする。
(仮定3)弦の太さは不変であるものとする。即ち、はり理論を採用するものとする。
(仮定4)弦の中心軸に垂直な断面は、変形後も平面を保ち、かつ中心軸に垂直であるものとする。即ち、ベルヌイ・オイラーの仮定を採用するものとする。
(仮定5)弦の振幅は小さいが、必ずしも微小ではないものとする。
(仮定6)弦は均質であるものとする。
(仮定7)弦の応力は、ひずみに比例する成分とひずみ速度に比例する成分の和として与えられるものとする。即ち、弦には内部粘性減衰(剛性比例粘性減衰ともいう)が働くものとする。
(仮定8)弦の一端は本体の一部であるベアリング上の点で支持され、他の一端は本体の一部である駒上の点で支持されているものとする。(弦は支持端において回転を拘束されないものとする。)
(仮定9)弦と空気との間の作用・反作用は無視する。
(仮定10)ハンマの弦に接触する部分(以下、ハンマ先端という)の形状は、円柱状であるものとし、その円柱の底面半径は無限小であるとし、その円柱の高さは他の弦と干渉しない程度であるものとする。
(仮定11)1個のハンマに対応する弦が複数本ある場合には、それらの弦の静的平衡状態における中心軸は、同一平面上にあるものとする。
(仮定12)1個のハンマに対応する弦が複数本ある場合には、その1個のハンマは、それらの弦の数と同じ数のハンマ先端を有するものとする。
(仮定13)ハンマ先端(円柱)の中心軸の方向は、静的平衡状態にある弦(円柱)の中心軸の方向に直交するものとする。
(仮定14)ハンマ重心は1つの直線上でのみ運動するものとする。
(仮定15)ハンマ重心の運動方向は、ハンマ先端(円柱)の中心軸の方向と静的平衡状態にある弦(円柱)の中心軸の方向の両方に直交するものとする。
(仮定16)ハンマの変形する方向は、ハンマ重心の運動方向に一致しているものとする。
(仮定17)ハンマの圧縮力-圧縮量関係式は、指数を正の実数とするべき関数で与えられるものとする。
(仮定18)ハンマ先端と弦表面との間には摩擦は無いものとする。
(仮定19)ハンマと空気との間の作用・反作用は無視する。
(仮定20)ダンパが備わっている弦については、弦の曲げ振動を静止させようとするダンパによる抵抗力が、弦の中心軸上の点(以下、止音点という)に作用するものとする。
(仮定21)ダンパの抵抗力−速度関係式は、1次式で与えられるものとする。
(仮定22)本体の振幅は微小であるものとする。
(仮定23)本体は近似的に比例粘性減衰系として扱えるものとする。
(仮定24)本体が空気から受ける反作用は無視する。
(仮定25)空気は均質であるものとする。
(仮定26)空気の圧力-体積ひずみ関係式は、1次式で与えられるものとする。
(仮定27)空気は渦無しであるとする。
また、この例における弦の物体座標の表現には、右手系(x,y,z)を用いる。ここで、静的平衡状態にある弦の中心軸にx軸を一致させ、ベアリング側支持端を原点(0,0,0)とし、駒側支持端がx>0なる領域に含まれる様にx軸の方向を定め、ハンマ重心の打弦時運動方向をz軸の正方向と定める。また、本体および空気の物体座標の表現には、右手系(X,Y,Z)を用いる。時刻の進行(時間変数)はtで表す。
以下、この例において説明する各パラメータを表す記号について説明する。
以下の「数1」から「数5」については、各モデルの計算にあたって入力される情報である。「数1」は、時刻の進行に伴い変動するパラメータ(時間変動パラメータ)である。一方、「数2」から「数5」は、時刻の進行に伴う変動が無いパラメータ(時間不変パラメータ)であって、予め設定されるものである。
以下の「数1」は、演奏に関するパラメータ、即ち、楽音信号合成部100における入力信号に相当するものを示している。鍵、弦、ハンマ、ダンパ、本体は、それぞれ、標準的なグランドピアノ21の構成要素21a、21e、21c、21f、21jを示す。
Figure 0005605192
以下の「数2」は、設計に関するパラメータである。
Figure 0005605192
以下の「数3」は、本体の設計および空気中観測点の位置に関するパラメータである。
Figure 0005605192
以下の「数4」は、調律に関するパラメータである。
Figure 0005605192
以下の「数5」は、数値計算に関するパラメータである。
Figure 0005605192
以下の「数6」は、各モデルの計算により出力される情報、即ち、楽音信号である。
Figure 0005605192
以下の「数7」、「数8」、「数9」は、各モデルの計算上必要なその他のパラメータである。
Figure 0005605192
ここで、1個のハンマに対応する弦が1本の場合には、Z、X、Y、およびθが与えられると、βk’kは一意に定まる。1個のハンマに対応する弦が複数本ある場合には、Z、X、Yが与えられると、βk’kは一意に定まる。
Figure 0005605192
Figure 0005605192
以下の「数10」は、上記各パラメータにおいて上付き文字として記載されているインデックスの説明である。
Figure 0005605192
以下、この例における楽音信号合成部100の各部の処理内容について、図2を用いて順に説明する。なお、以後の説明においては、インデックスを全て書くと式が煩雑になって読みづらくなるため、説明上不可欠な場合を除いて、省略することとする。
また、変数e(t)、e(t)、e(t)には初期値(t=0における値)として「1」が設定されている。即ち、鍵(黒鍵15b、白鍵15c)の押し込み、ダンパペダル16a、シフトペダル16bの踏み込みはされていない状態として設定されている。また、その他の全ての「t」に関する変数には、初期値として「0」が設定されているものとする。
比較部101は、入力信号1(e(nΔt))および入力信号3(e(nΔt))を取得し、小さい方の値をe(nΔt)として出力する。これは、以下の式(1)で表される。
Figure 0005605192
[ダンパモデル]
ダンパモデル計算部102は、1番目の弦(iw=1)に対応するダンパについて計算するダンパモデル計算部102−1、2番目の弦(iw=2)に対応するダンパについて計算するダンパモデル計算部102−2を有する。以下の説明においては、弦のインデックスが異なるだけであるから、ダンパモデル計算部102として説明する。なお、弦が3本以上存在する場合には、上述したように、ダンパモデル計算部102−iw(iw=3,4,・・・)を弦(iw=3,4,・・・)に対応させて設ければよい。
弦モデル計算部104は、1番目の弦(iw=1)について計算する弦モデル計算部104−1、2番目の弦(iw=2)について計算する弦モデル計算部104−2を有する。以下の説明においては、弦のインデックスが異なるだけであるから、弦モデル計算部104として説明する。なお、弦が3本以上存在する場合には、上述したように、弦モデル計算部104−iw(iw=3,4,・・・)を、本体モデル105に対して並列に設ければよい。(弦モデル計算部104の計算については、後述する。)
ダンパモデル計算部102は、比較部101から出力されるe(nΔt)、および後述するようにして弦モデル計算部104から出力されるu(x,nΔt)(k=1,3)を取得して、これらを用いて、以下に示す計算を行った結果得られるfDk(nΔt)を弦モデル計算部104に出力する。
以下、ダンパモデル計算部102における計算について説明する。
初期状態におけるピアノの弦は、ダンパによって振動を抑制された状態にある。ピアノの鍵を押し込んでいくと、対応するダンパが対応する弦から徐々に離れ出し、やがて弦はダンパの抵抗から完全に解放され、ハンマによる打弦に備える。また、ピアノにおいては、鍵の押込量だけでなくダンパペダルの踏込量によってもダンパと弦との接触度合を変えることができ、音の止まり方や弦共鳴の度合をきめ細かく制御することができる。
このようなピアノにおけるダンパのメカニズムは、以下の式(2)に示すダンパの抵抗力fDk(t)とダンパ変形量u(x,t)との関係式をもって簡潔に表現することができる。
Figure 0005605192
この例においては、比較部101から出力されるe(nΔt)を式(2)に代入することで、ダンパの粘性係数に相当する量「b(nΔt)」を離散時間軸(t=nΔt; n=0,1,2,・・・)上で逐次変化させるというアイデアにより、自然楽器のピアノと同様な自然で連続的な止音および弦共鳴の制御を可能にしている。
以上が、ダンパモデル計算部102の説明である。
[ハンマモデル]
ハンマモデル計算部103は、入力信号2(V(nΔt))および入力信号4(e(nΔt))を取得し、また、後述するようにして弦モデル計算部104から出力されるu(x,nΔt)を取得し、これらを用いて、以下に示す計算を行った結果得られるf(nΔt)を弦モデル計算部104に出力する。
以下、ハンマモデル計算部103における計算について説明する。
上述した物理モデルに関する仮定に、ニュートンの運動の法則を適用するとハンマの運動方程式は、式(3)のように書かれる。
Figure 0005605192
また、ハンマ先端が弦表面に及ぼす力とハンマ圧縮量の関係式は、式(4)のようになる。
Figure 0005605192
ただし、ハンマ先端が弦表面に接触しているときは式(5)、ハンマ先端が弦表面から離れているときは式(6)、(7)が適用される。
Figure 0005605192
演奏情報に基づいてハンマ速度V(t)が与えられるとき、ハンマ先端が弦表面から離れているという条件のもとに、w(t)=W、dw(t)/dt=V(t)として、ハンマの状態を初期化すればよい。
さて、ピアノにおけるシフトペダルのメカニズムとは、それを踏み込むとハンマの位置が高音側へシフトし、ハンマの弦に接触する部分を変化させる、あるいは、ハンマと一部の弦との接触を不完全な状態にすることによって音色を制御するという機構であるが、この例においては、入力信号4(e [iS](nΔt))を式(4)に代入することにより、ハンマの弾性係数に相当する量K [iS](nΔt)を離散時間軸(t=nΔt; n=0,1,2,・・・)上で逐次変化させるというアイデアにより、自然楽器のピアノと同様な自然で連続的な音色の制御を可能にしている。以上が、ハンマモデル計算部103の説明である。
[弦モデル]
弦モデル計算部104は、弦に及ぼす力となる、ダンパモデル計算部102から出力されるfDk(nΔt)(k=1,3)およびハンマモデル計算部103から出力されるf(nΔt)、また、後述するようにして本体モデル計算部105から出力されるuBk(nΔt)(k=1,2,3)をそれぞれ取得し、これらを用いて、以下に示す計算を行った結果得られるfBk(nΔt)(k=1,2,3)を本体モデル計算部105に出力し、また、u(x,nΔt)(k=1,3)をダンパモデル計算部102に出力し、u(x,nΔt)をハンマモデル計算部103に出力する。
以下、弦モデル計算部104における計算について説明する。
上述した物理モデルに関する仮定において、ニュートンの運動の法則を適用すると弦の運動方程式は、式(8)、(9)、(10)のように書かれる。
Figure 0005605192
ただし、式(8)および式(10)において、有限振幅に起因する非線形項は、それによる効果が小さいため省略してある。同様に、式(9)において、ハンマが弦軸方向に与える力についても、それによる効果が小さいため省略してある。なお、式(8)はハンマ重心の運動方向に対応する弦の曲げ振動に、式(10)はハンマ重心の運動方向とは直交する方向に対応する弦の曲げ振動に、式(9)は弦の縦振動に、それぞれ対応している。
また、弦の境界条件は、式(11)、(12)のように書かれる。
Figure 0005605192
いま、「弦の変位」を「2つの支持端を結んだ直線に対する相対変位」と「2つの支持端を結んだ直線の変位」との和によって表した上で、更に、「2つの支持端を結んだ直線に対する相対変位」を「任意の時間関数を係数とする有限フーリエ正弦級数」によって表すことにする。即ち、「弦の変位」を式(13)により表現する。ここで、式(13)に含まれる正弦関数は、弦中心軸の弦支持端における変位を拘束した場合の弦の固有振動モードに他ならない。また、「2つの支持端を結んだ直線の変位」とは、「弦支持端の変位による弦の静的な変位」を意味している。
Figure 0005605192
このとき、式(13)は任意の時刻tについて境界条件式(11)、(12)を満足している。
偏微分方程式(式(8)、(9)、(10))に式(13)を代入してから、sin(ikπx/l)(ik=1,2,・・・,Mk; k=1,2,3)をそれぞれ掛けて区間「0≦x≦l」で積分すると、以下に示す2階常微分方程式(式(14)、(15)、(16))が導かれる。
Figure 0005605192
Figure 0005605192
弦が弦支持端に及ぼす力と支持端変位との関係式は、式(25)、(26)のように書かれる。
Figure 0005605192
更に、式(25)、(26)に式(13)を代入することによって、式(28)、(29)が導かれる。ただし、非線形項と回転慣性に関する項は省略した。
Figure 0005605192
また、打弦点および止音点の変位は、式(13)より、式(30)、(31)のように書かれる。
Figure 0005605192
以上が、弦モデル計算部104の説明である。
[化粧音生成部200の構成]
化粧音生成部200は、入力信号2(V(nΔt))および入力信号4(e(nΔt))を取得して、化粧音により弦支持端に及ぼす力FBk(nΔt)(k=1,2,3)を示す化粧音情報を生成する。そして、化粧音生成部200は、FBk(nΔt)に基づいて、弦モデル計算部104から出力されて本体モデル計算部105に入力されるfBk(nΔt)に対して補正を行う。この例においては、化粧音生成部200は、FBk(nΔt)を出力して、fBk(nΔt)に加算することにより補正する。このFBk(nΔt)は、fBk(nΔt)と同様に、i、i、iのインデックスをもつ。なお、FBk(nΔt)において、k=2,3については、「0」として、加算の対象をk=1のみとしてもよい。また、fBk(nΔt)にFBk(nΔt)を単純に加算するのではなく、減算、重み付けをして加算、積算、除算などにより合成をすることで補正してもよい。
図5は、化粧音生成部200の構成を示すブロック図である。化粧音生成部200は、生成制御部210、波形読出部220、DCA(Digital Controlled Amplifier)230、およびDCF(Digital Controlled Filter)240を有する。生成制御部210は、入力信号2(V(nΔt))および入力信号4(e(nΔt))を取得し、これらの信号に基づいて、波形読出部220、DCA230およびDCF240を制御する。なお、化粧音生成部200は、これらの信号ではなく、演奏情報を取得するようにしてもよい。
波形読出部220は、記憶部12に記憶されている波形データのうち、生成制御部210の制御により選択される波形データを読み出して出力する。ここで、記憶部12に記憶されている波形データについて説明する。
記憶部12に記憶されている波形データは、上述したように標準的なグランドピアノ21においていずれかの鍵21aを押下したときに生じる棚板音の振動波形を示すデータである。具体的には、この波形データは、例えば、以下のようにして生成されたものである。
まず、鍵21aを押下したときに弦21eが振動しない状態にしておき、利用者は、変位を検出するセンサなどを用いて、特定の鍵21aを押下することにより生じた棚板音の振動が伝達される弦支持端(駒21eaおよびベアリング21eb)における変位を、全ての弦21eの支持端について検出する。弦21eが振動(発音)しない状態とは、例えば、弦21eを取り外した状態、ハンマ21cを取り外した状態、または弦21eをダンプした状態などであればよい。
検出を開始するタイミングは、鍵21aを押下し始めてから、棚板音が生じるまでの間のいずれかのタイミングとして規定しておけばよい。
そして、検出した変位から、離散時間軸(t=nΔt; n=0,1,2,・・・)上における弦支持端に与える力FBk(nΔt)が算出される。このFBk(nΔt)は、特定の鍵21aが特定の速度で押下された場合の波形データに対応する。
記憶部12には、このように算出されたFBk(nΔt)に対応する波形データが、各鍵21aに対応して記憶されている。また、鍵21aと棚板21kとの衝突位置は、シフトペダル21nの踏込量によっても変化するため、これらの波形データは、シフトペダル21nの踏込量が「0」の場合だけでなく、シフトペダル21nの踏込量を変化させた場合についても、同様に踏込量に対応して記憶部12に記憶されている。すなわち、記憶部12は、各鍵21aの鍵番号(演奏情報の情報KCに対応)と、シフトペダル21nの踏込量(演奏情報の情報PSに対応)との組み合わせに対応して、波形データを記憶している。
波形読出部220は、生成制御部210の制御により、生成制御部210が取得したV(nΔt)のインデックスiに対応した鍵21aの番号、およびe(nΔt)に対応したシフトペダルの踏込量の組み合わせに対応する波形データを読み出して、DCA230に出力する。波形読出部220が波形データを読み出すタイミングは、例えば、V(nΔt)の値の変化に応じて決めておけばよく、鍵(15b、15c)が操作され、鍵(15b、15c)が棚板21kと衝突すると想定されるタイミングで、楽音信号P(nΔt)が示す音に棚板音が発生するように制御されればよい。
DCA230は、生成制御部210の制御により、生成制御部210が取得したV(nΔt)に応じた増幅率で波形データを増幅する。この増幅率は、この例においては、V(nΔt)が示すハンマ速度が速いほど大きくなるように制御される。
DCF240は、波形データの高周波数成分を減衰させるローパスフィルタであって、生成制御部210が取得したV(nΔt)に応じたカットオフ周波数が設定される。このカットオフ周波数は、この例においては、V(nΔt)が示すハンマ速度が速いほど高い周波数になるように制御される。化粧音生成部200は、このようにDCA230およびDCF240において加工された波形データをFBk(nΔt)として出力する。
このようにして出力されるFBk(nΔt)が、弦モデル計算部104から出力されたfBk(nΔt)に加算されることにより、弦支持端に及ぼす力には、弦の振動による力だけでなく、棚板音の振動による力が含まれることになる。
以上が、化粧音生成部200の説明である。
[本体モデル]
本体モデル計算部105は、弦モデル計算部104から出力され、化粧音生成部200により補正されたfBk(nΔt)を取得し、これを用いて、以下に示す計算を行った結果得られるA(nΔt)を空気モデル計算部106に出力し、uBk(nΔt)(k=1,2,3)を弦モデル計算部104に出力する。なお、空気モデル計算部106における説明において、入力される「fBk(nΔt)」については、弦モデル計算部104から出力された値そのものではなく、化粧音生成部200によって補正された後の値(弦および化粧音が弦支持端に及ぼす力)であるものとして説明する。
以下、本体モデル計算部105における計算について説明する。
上述した物理モデルに関する仮定により、本体の運動方程式は、以下のようなモード毎の2階常微分方程式(式(32))として記述することができる。
Figure 0005605192
ところで、ピアノの本体は、木材や金属などから構成されるが、このうち、木材は「低周波成分に比べ高周波成分の振動減衰能が大きい」という特徴を有しており、このことがピアノ(あるいは木材で本体を構成された楽器)特有の「耳に心地よく温かい響き」の原因ともなっている。このような木材の音響的性質は、木材を「弾性係数と構造減衰係数の両方に3次元直交異方性を有する材料」としてモデル化することによって説明することができる(例えば参考文献1:日本機械学会(編). 先端複合材料,pp.68-70. 技報堂出版,1990.)。
「弾性係数と構造減衰係数の両方に3次元直交異方性を有する材料」を含むように構成された本体モデルは、一般構造減衰系(非比例構造減衰系、あるいは、一般ヒステリシス減衰系ともいう)となるため、実固有値解析によって減衰行列を対角化することができない(参考文献2)が、ここでは、減衰行列の非対角項を無視することによって、近似的に比例構造減衰系(比例ヒステリシス減衰系ともいう)とみなすことにする。
(参考文献2:長松昭男. モード解析. 培風館,1985.)
更に、比例構造減衰系を比例粘性減衰系で近似する、即ち、「モード構造減衰係数/2」でモード減衰比を表すこととする。このとき、式(32)に含まれる固有角振動数、モード減衰比、固有振動モードは、任意3次元形状の本体に対し、商用の有限要素法ソフトを用いた実固有値解析を行うことによって算出することができる。ここで、モード減衰比は、近似的モード減衰比というべきものであるが、ここでは、便宜上、単にモード減衰比ということとする。
なお、弦支持端の変位は、以下の式(34)を用いることによって算出できる。
Figure 0005605192
以上が、本体モデル計算部105の説明である。
[運動方程式の求解]
次に、上記の各モデルにおける運動方程式の解法の例について説明する。以下の説明では、ハンマの運動方程式(上記式(3))、弦のモード毎運動方程式(上記式(14)、(15)、(16))、および本体のモード毎運動方程式(上記式(32))をまとめて、「ハンマ−弦−本体の運動方程式」と呼ぶことにする。これらの運動方程式に、上記式(2)、(4)、(5)、(6)、(28)、(29)、(30)、(31)、(34)を代入することにより、部分構造間の相互作用を表す変数fDk [iD](t)、f [iW](t)、w(t)、fBk [iB](t)、u(x,t)、u(x [iD],t)、uBk [iB](t)を消去すれば、「ハンマ−弦−本体の運動方程式」は、ハンマ重心の変位wH(t)、弦の各固有振動モードのモード座標上での変位A [mk](t)(mk=1,2,・・・,Mk; k=1,2,3)、本体の各固有振動モードのモード座標上での変位A [m](t)(m=1,2,・・・,M)に関する連立非線形常微分方程式となる。いま、初期条件として演奏前の状態、即ち、静止状態を設定することにより、ここで扱っている問題は、いわゆる「連立非線形常微分方程式の初期値問題」と考えることができる。「連立非線形常微分方程式の初期値問題」は、なんらかの数値積分法(参考文献3)を用いることで、連立非線形代数方程式を離散時間軸上で逐次解いていく問題に変換することができる。
(参考文献3:日本機械学会編. 数値積分法の基礎と応用. コロナ社,2003.)
以下に、いくつかの解法例を示す。
[全体をまとめて解く方法]
まず、ハンマモデル、弦モデル、本体モデルの運動方程式全体をまとめて解く方法を示す。上記の「ハンマ−弦−本体の運動方程式」(連立非線形常微分方程式)にニューマークβ法を適用すると、「ハンマ重心の加速度あるいは加速度増分」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での加速度あるいは加速度増分」、および、「本体の各固有振動モードのモード座標上での加速度あるいは加速度増分」を未知量とする連立非線形代数方程式を導出することができる。ここで、「加速度あるいは加速度増分」と書いた理由は、ニューマークβ法として知られている数値積分法には、加速度を未知量とするアルゴリズムと、加速度増分を未知量とするアルゴリズムとの2通りが存在することによるものである。
この連立非線形代数方程式に、ニュートン法を適用するか、あるいは、区間線形化法(参考文献3)によって連立線形代数方程式を導出した上で、直接法(例えばLU分解法)または反復法(例えば共役勾配法)を適用することで、以下に説明する演算部120は、上記の未知量を離散時間軸上で逐次決定することができる。このように、全体をまとめて解く方法で演算を行う場合の構成について、図6を用いて説明する。
図6は、演算部120を有する楽音信号合成部100の構成を示すブロック図である。全体をまとめて解く方法で演算を行う楽音信号合成部100は、比較部101、演算部120、および空気モデル計算部106Zを有する。
演算部120は、上記のダンパモデル計算部102、ハンマモデル計算部103、弦モデル計算部104および本体モデル計算部105における計算をまとめた「ハンマ−弦−本体の運動方程式」を用いた演算を行う。演算部120は、比較部101からe(nΔt)を取得し、また、入力信号2(V(nΔt))および入力信号4(e(nΔt))を取得し、化粧音生成部200からfBk(nΔt)を補正するためのFBk(nΔt)を取得し、これらの情報と「ハンマ−弦−本体の運動方程式」とを用いた演算により、上記の未知量を逐次算出して決定する。ここでは、未知量のうち、「本体の各固有振動モードのモード座標上での速度」を示す情報(d/dt(A(nΔt)))を空気モデル計算部106Zに出力する。
ここで、「本体の各固有振動モードのモード座標上での速度」は、「本体の各固有振動モードのモード座標上での変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)」であってもよい。なお、速度は、変位が既知である場合には、変位の数値微分として、加速度が既知である場合には、加速度の数値積分として、簡単に算出することができる。
[部分構造毎に解く方法]
続いて、ハンマモデル、弦モデル、本体モデルの運動方程式を部分構造(以下、ハンマモデル計算部103、弦モデル計算部104、本体モデル計算部105を総称して単に部分構造という)毎に解く方法を示す。この方法は、上述の「ハンマ−弦−本体の運動方程式」の説明において消去した部分構造間の相互作用を表す変数f [iW](t)、fBk [iB](t)、u(x,t)、u(x [iD],t)、uBk [iB](t)の値を陽に計算し、部分構造間でそれらの値の授受を行いながら、部分構造毎に計算を進めるというものである。
この解法を用いるとき、ハンマの運動方程式(上記式(3))を解くときに、弦と本体に関する未知量が含まれ、弦のモード毎運動方程式(上記式(14)、(15)、(16))を解くときに、本体に関する未知量が含まれていることになるが、弦と本体に関する未知量を過去の値から外挿するなどして仮に定めておき、繰り返し計算を行うことで、安定に計算を進めることができる。以下に、数値積分法の違いによる3つの例を示す。
第1の例として「差分方程式を導出する方法」について説明する。
ハンマの運動方程式(上記式(3))に対して、中央差分法を適用し、弦のモード毎運動方程式(上記式(14)、(15)、(16))および本体のモード毎運動方程式(上記式(32))に対して、双一次s−z変換法を適用することによって、一連の差分方程式が導出される。各差分方程式は、一般的な2次IIRフィルタ演算によって解くことができる。この方法では、「ハンマ重心の変位」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での変位」、および、「本体の各固有振動モードのモード座標上での変位」を未知量として、それらの値を離散時間軸上で逐次決定していくことになる。
第2の例として、「ガラーキン法」について説明する。
ハンマの運動方程式(上記式(3))、弦のモード毎運動方程式(上記式(14)、(15)、(16))および本体のモード毎運動方程式(上記式(32))に対して、時間に関する3次関数を試験関数とするガラーキン法(参考文献4)を適用することで、「ハンマ重心の加速度および加加速度」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での加速度および加加速度」、「本体の各固有振動モードのモード座標上での加速度および加加速度」を未知量として、それらの値を離散時間軸上で、逐次決定するアルゴリズムが得られる。ここで、時間に関する3次関数ではなく4次関数を試験関数とするガラーキン法を用いた場合は、加速度、加加速度および加加加速度を未知量とするアルゴリズムが得られる。
(参考文献4:加川幸雄.有限要素法による振動・音響工学/基礎と応用. 培風館,1981.)
第3の例として、「ニューマークβ法」について説明する。
ハンマの運動方程式(上記式(3))、弦のモード毎運動方程式(上記式(14)、(15)、(16))および本体のモード毎運動方程式(上記式(32))に対して、ニューマークβ法を適用することで、「ハンマ重心の加速度あるいは加速度増分」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での加速度あるいは加速度増分」、および、「本体の各固有振動モードのモード座標上での加速度あるいは加速度増分」を未知量として、それらの値を離散時間軸上で、逐次決定するアルゴリズムが得られる。
[全体をまとめて解く方法と部分構造毎に解く方法との中間の方法]
上記の「全体をまとめて解く方法」と「部分構造毎に解く方法」との中間の方法を用いることもできる。例えば、ハンマモデルと弦モデルとをまとめて、本体モデルは別に解く、あるいは、ハンマモデルをまず解いて、弦モデルと本体モデルとをまとめて解くという方法を用いてもよい。
なお、上述のとおり、未知量である「ハンマ重心の変位」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での変位」、および、「本体の各固有振動モードのモード座標上での変位」の各変位については、解法によって加速度、加加速度などである場合もある。更に、速度が、変位の数値微分として、あるいは、加速度の数値積分として、簡単に算出できることも考慮すると、「ハンマ重心の変位」、「弦の各固有振動モードのモード座標上での変位」、および、「本体の各固有振動モードのモード座標上での変位」の各変位については、変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)であってもよい。このことは、他の変位についても同様のことが言える。例えば、弦支持端の変位は、その変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)であってもよい。
[空気モデル(音響放射計算)]
空気モデル計算部106は、本体モデル計算部105から出力されるA(nΔt)を取得し、これを用いて、以下に示す計算を行った結果得られるP(nΔt)を出力する。
以下、空気モデル計算部106における計算について説明する。
任意3次元形状の本体から放射される空気中の任意の観測点における非定常音圧は、次式に示すような方法、即ち、「本体の各固有振動モードのモード座標上での速度と空気中の観測点における音圧との間のインパルス応答関数」と「本体の各固有振動モードのモード座標上での速度」との畳み込み積分を本体の固有振動モード毎に行い、それらの総和を計算するという方法によって算出することができる。
Figure 0005605192
式(37)に含まれるH[iP][iG](ω)、即ち、「本体の各音響放射要素の速度と空気中の観測点における音圧との間の周波数応答関数」は、任意3次元形状の本体に対し、商用の境界要素法ソフトを用いた周波数応答解析を離散周波数軸上で行うことによって算出することができる。また、式(36)は一般的なIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)演算によって、式(35)に含まれる積分は一般的なFIR(Finite Impulse Response)フィルタの方法によって、それぞれ計算することができる。
かくして、本体モデル計算部105から出力されるAc[m](nΔt)(m=1,2,・・・,M)あるいは、Ac[m](nΔt)(m=1,2,・・・,M)の時間に関する導関数を用いて、空気モデルからの出力信号、即ち、離散時間軸(t=nΔt; n=0,1,2,・・・)上における音圧P[iP](nΔt)(iP=1,2,・・・,IP)を逐次算出し、楽音信号として出力することができる。
ここで、式(35)中の畳み込み演算を時間領域ではなく周波数領域で行う高速畳み込み(fast convolution)と呼ばれている手法を用いることによって、更に飛躍的な高速化をはかることができる。このとき、高速畳み込みに含まれるIFFT演算は、本体固有振動モード毎周波数領域畳み込み結果の総和をとった後に行えばよく、本体の固有振動モード毎に行う必要はない。
以上が、楽音信号合成部100の構成の説明である。
このように、楽音信号合成部100は、楽器全体が3次元的に振動することによって生み出される豊かで立体的な響き、中低音域の弦を強打したときに聴こえるリンギングサウンド、鍵押し込み深さやペダル踏み込み深さに連動した多彩な音楽的ニュアンスなど、自然楽器のピアノ音が有する特質をリアルに表現する擬似ピアノ音を生成することができる。また、それらの特質を自然楽器のピアノと同じように、制御することが可能となる。さらに、擬似ピアノ音には、棚板音などの化粧音までも表現させることができる。
具体的には、以下のようなものがある。例えば、弦長(=弦支持点間の距離)あるいは打弦比(=「弦長」/「ベアリング側弦支持端と打弦点との距離」)などのパラメータを
変更することにより、リンギングサウンドのレベルをコントロールすることが可能となる。以下では、特に、このリンギングサウンドについて、式(15)を用いて説明する。ただし、ここでは説明を理解しやすくするために、式(15)において、弦支持端の変位、弦y方向の変位および弦の内部粘性減衰係数を省略した式(38)に従って説明することとする。
Figure 0005605192
式(38)は、弦の縦振動第i2次固有振動の運動方程式であるが、右辺を周期的外力とみなすことにより、1自由度粘性減衰強制振動系の運動方程式として考えることができる。よく知られているように、この方程式の一般解は、減衰する自由振動解(斉次方程式の一般解)と持続する強制振動解(非斉次方程式の特解)の和によって構成されるが、強制振動解の性質とは、系が周期的外力の振動数で振動し、その振動数が系の固有振動数に近づくにつれ振幅が大きくなり、一致した時、共振するというものである。いま、弦の曲げ振動に関する各固有振動が調和振動であると仮定する、即ち、式(39)のように書くことにする。
Figure 0005605192
このとき、式(38)の右辺{ }内は、式(40)として導かれる。
Figure 0005605192
いま、i2を固定して、式(40)に含まれる項cos2π(f1 [m1]+f1 [m1+i2])tがつくる系列に着目し、「この系列の第(2m1+i2)次振動数f1 [m1]+f1 [m1+i2]の倍音系列周波数からのずれ」を計算すると、i2が小さいとき、その値が、「曲げ振動第(2m1+i2)次固有振動数f1 [2m1+i2]の倍音系列周波数からのずれ」の約1/4であることが確認できる。自然楽器のピアノ音を分析することにより「ピアノの部分音の系列には、倍音系列からの周波数のずれが主系列の約1/4である副系列が存在する」ことが知られており、従って前記項がつくる系列こそが前記副系列にあてはまる。なお、i2が大きくなるにつれ、この“ずれ量”は少しずつ大きくなる。
また、式(40)に含まれる項cos2π(f1 [m1]+f1 [i2m1])tがつくる系列も上記副系列の形成に寄与していること、ただし、その寄与度は先の項よりも小さいことが理解できる。
式(38)に式(40)を代入した式は、副系列の第(2m1+i2)次の振動数f1 [m1]+f1 [m1+i2]が弦の縦振動の第i2次固有振動数に一致したとき共振現象が起こることを表している。これは、自然楽器のピアノ音が有する特徴的な現象である、「ピアノの部分音の系列には、倍音系列からの周波数のずれが主系列の約1/4である副系列が存在する」ことに加えて、「副系列の奇数次部分音の周波数が、弦の縦振動の奇数次固有振動数に一致するとき、又は、副系列の偶数次部分音の周波数が、弦の縦振動の偶数次固有振動数に一致するとき、副系列部分音のレベルが増大し、これがリンギングサウンドとなる」こと、より分析的な表現に変えると「弦の曲げ振動の奇数次固有振動数と偶数次固有振動数の和が、弦の縦振動の奇数次固有振動数に一致するとき、又は、弦の曲げ振動の1組の奇数次固有振動数の和、あるいは、1組の偶数次固有振動数の和が弦の縦振動の偶数次固有振動数に一致するとき、リンギングサウンドが生成される」こと(参考文献5)に対する、数学的な説明を与えるものである。
(参考文献5: J.Ellis. Longitudinal model in piano strings: Results of new research. Piano Technicians journal, pp.16-23, May 1998.)
更に、「リンリン」、「ヒンヒン」といった唸り現象については、例えば、副系列第15(=7+8=2×7+1)次と副系列第15(=6+9=2×6+3)次とでは、振動数が僅かに異なるために、その振動数差が唸りを生むとして説明することができる。なお、式(44)に含まれる項cos2π(f1 [m1]−f1 [m1+i2])tおよびcos2π(f1 [m1]−f1 [i2m1])tは、曲げ振動の固有振動数よりも僅かに高い周波数を有する部分音の存在を示すものである。
さて、弦の材料定数を固定して考えるとき、式(18)より、弦の縦振動固有振動数は、弦長にのみ依存する。なお、ピアノの低音域に通常使用される、巻弦(鋼鉄の芯線に銅線が巻かれている弦)については、この限りではない。
標準的な88鍵ピアノのおよそ第30鍵からおよそ第40鍵までの音域においては、弦長の設定が原因となって、副系列第15(=7+8=2×7+1)次の振動数と弦の縦振動基本固有振動数が近接している場合がある。そのような場合でも、打弦比を「7」または「8」に設定することで、リンギングサウンドの過剰なレベル増大を回避することができる。
なぜならば、副系列第15(=7+8=2×7+1)次は、曲げ振動の第7次固有振動と第8次固有振動による生成物であるが、打弦比を「7」または「8」に設定すると曲げ振動の第「7」次または第「8」次の固有振動は欠落してしまうため、副系列第15(=7+8=2×7+1)次は生成されないからである。この場合でも、依然として副系列第15(=6+9=2×6+3)次などは存在するが、これらが縦振動の基本固有振動と共振することは無い。
以上、リンギングサウンドの発生メカニズムとそのレベルを制御する設計因子(弦長、打弦比)について説明したが、弦の縦振動そのものは、空気中に音響を放射する能力をほとんど持ち合わせていないから、リンギングサウンドが音として聴こえるためには、いま説明した「弦の非線形(有限振幅)振動機構」に加え、「弦と本体との3次元連成振動機構」(「弦の本体に対する取り付け角度」や「駒の形状」などの設計因子がこれに含まれる)および「本体の3次元音響放射機構」(「駒の形状」はこれにも含まれる)の考慮が不可欠であることは言うまでもない。
ところで、自然楽器のピアノの開発現場において、ピアノ音の改良とは、ピアノという複雑なシステムの全体最適解を求めることに他ならないが、従来行われてきた試行錯誤的方法による最適解の模索は、ピアノのような多くの設計因子と誤差因子(天然材料の物性のばらつきや整音など人間による作業のばらつきなど)を有する巨大な音響構造体にとっては、特に、効率が悪い。本発明は、ピアノの仕様(原因)と音(結果)との因果関係を定量的に明らかにするものであるから、設計シミュレータとしてピアノ開発効率の向上にも貢献するものである。上記に加え、物理モデルによる楽音合成方法の利点は、現実のシミュレーションを超えた超自然的効果(例えば、現実には製作が困難な著しく大きなピアノなど)を仮想的に生成できる点にある。
<第2実施形態>
第2実施形態においては、上述した第1実施形態における化粧音生成部200を用いずに構成される楽音信号合成部100Aについて説明する。
図7は、楽音信号合成部100Aの構成を示すブロック図である。楽音信号合成部100Aは、第1実施形態における化粧音生成部200を有しない構成である。そのため、弦モデル計算部104から出力されるfBk(nΔt)は補正されない。したがって、楽音信号合成部100Aの本体モデル計算部100Aは、第1実施形態における本体モデル計算部100と異なり、弦モデル計算部104から出力され補正されていないfBk(nΔt)を取得する。本体モデル計算部100Aにおける具体的な計算内容については、第1実施形態と同様である。本体モデル計算部105A以外の各構成については、第1実施形態における各構成と同様であるため、説明を省略する。
このように、楽音信号合成部100Aは、化粧音生成部200を用いない構成であるため、再現する擬似ピアノ音に、棚板音など化粧音を含ませたくない場合に好適である。
<第3実施形態>
第3実施形態においては、上述した第1、第2実施形態における弦モデル計算部104における計算内容とは別の計算を行う場合について説明する。この例においては、第1実施形態における弦モデル計算部104を、別の計算を行う弦モデル計算部104Bに置き換えた楽音信号合成部100Bについて説明する。
図8は、楽音信号合成部100Bの構成を示すブロック図である。楽音信号合成部100Bは、弦モデル計算部104B(104B−1、104B−2)以外の各構成については、第1実施形態における楽音信号合成部100における各構成と同様であるため、説明を省略する。弦モデル計算部104Bは、遅延手段(ディレイ)および特性制御手段(フィルタ)を含む閉ループを用いて、弦21eの振動を表す巡回信号を生成して、弦21eの振動の計算(ウェーブガイドモデル)を行う。
図9は、弦モデル計算部104Bの構成を示すブロック図である。弦モデル計算部104Bは、弦21eのk=1(z方向)の振動の計算を行う第1弦WG計算部1041B、弦21eのk=2(x方向)の振動の計算を行う第2弦WG計算部1042B、弦21eのk=3(y方向)の振動の計算を行う第3弦WG計算部1043Bを有する。これらの各構成について、図10を用いて説明する。
図10は、第1WG計算部1041B(図10(a))、第2WG計算部1042B(図10(b))、第3弦WG計算部1043B(図10(c))の構成を示すブロック図である。
図10(a)に示すように、第1WG計算部1041Bは、ディレイD1、D2、D3、D4、およびフィルタ1041B−Fを有する閉ループを有する。また、第1WG計算部1041Bは、閉ループに接続された力変換部1041B−1、1041B−2、および変位変換部1041B−3を有する。
ディレイD1、D2、D3、D4は、それぞれ設定された遅延時間での遅延処理を行う。フィルタ1041B−Fからの出力が閉ループを一巡して再びフィルタ1041B−Fから出力されるまでの遅延時間(ディレイD1、D2、D3、D4、およびフィルタ1041B−Fの遅延時間の合計)は、振動を再現する弦21e上のある点の波が弦21eを伝播し両支持端を経由してその同じ点に戻ってくるまでの遅延時間に対応している。ピアノの弦21eは、それぞれ対応する音高に応じて調律されているのであるから、この遅延時間も該音高に対応するよう調整される。また、ディレイD1、D2、D3、D4のそれぞれの遅延時間は、各ディレイ間が弦21e上の位置に対応するように決められている。この例においては、各ディレイ間の位置が、弦21eにおける、ハンマ21c、ダンパ21f(i=1、2)、弦支持端(駒21ea(i=0)、ベアリング21eb(i=1))の接触位置に対応するように、各ディレイの遅延時間が決められている。例えば、駒21eaとハンマ21cの接触位置との長さと、ベアリング21ebとハンマ21cの接触位置との長さとの比は、ディレイD1、D2の遅延時間の和と、ディレイD3、D4の遅延時間の和との比に対応する。
なお、この例においては、ダンパ21fの弦21eへの接触点は2つ(i=1、2)であるものとする。また、閉ループ中の各加算器は、実際の加算器による遅延分を、隣接するディレイ乃至フィルタに組み込むことにより、遅延がないものとされている。
フィルタ1041B−Fは、弦21eにおける振動の伝播に伴う、振動の減衰または周波数特性の変化を模擬するためのフィルタであり、閉ループにおける巡回信号を減衰させるフィルタである。フィルタ1041B−Fは、入力されるfDk(nΔt)(k=1)が大きいほど早く減衰させるように制御する。なお、フィルタ1041B−Fは、巡回信号を減衰させるだけでなく、巡回信号の周波数分布を変化させる周波数特性を有したフィルタであってもよい。
本体モデル計算部105から出力されるuBk(nΔt)(k=1)、およびハンマモデル計算部103から出力されるf(nΔt)は、それぞれ、弦21eに対して作用する位置に応じた閉ループ上の位置に、励起信号として入力される。これにより、閉ループ上に巡回信号が発生する。
Bk(nΔt)(k=1)は、弦支持端(駒21ea(i=0)、ベアリング21eb(i=1))に応じた閉ループ上の位置に入力される。この例においては、uBk(nΔt)(k=1,i=0)は、フィルタ1041B−FとディレイD1との間の位置、uBk(nΔt)(k=1,i=1)は、ディレイD4とフィルタ1041B−Fとの間の位置に入力される。
(nΔt)は、ハンマ21cが弦21eと接触する位置に応じた閉ループ上の位置、すなわち、ディレイD2とD3との間の位置に入力される。このとき、f(nΔt)は変位変換部1041B−3により変位に変換されて入力される。変位変換部1041B−3は、f(nΔt)について、時間に関する積分を2回行うことにより変位に変換する。
ダンパモデル計算部102から出力されるfDk(nΔt)(k=1)については、フィルタ1041B−Fに入力され、フィルタ制御に用いられる。
弦モデル計算部104Bから本体モデル計算部105に出力されるfBk(nΔt)(k=1)、ダンパモデル計算部102に出力されるu(x,nΔt)(k=1)、および、ハンマモデル計算部103に出力されるu(x,nΔt)は、それぞれ、弦21eに対して作用する位置に応じた閉ループ上の位置における巡回信号として取り出される。
Bk(nΔt)(k=1)は、上述のuBk(nΔt)(k=1)と同様に、fBk(nΔt)(k=1,i=0)は、フィルタ1041B−FとディレイD1との間の位置、fBk(nΔt)(k=1,i=1)は、ディレイD4とフィルタ1041B−Fとの間の位置から出力される。このとき、閉ループ上の巡回信号は変位を示しているため、力変換部1041B−1,1041B−2によりfBk(nΔt)(k=1)に変換される。力変換部1041B−1,1041B−2は、閉ループから出力される巡回信号が示す変位を、例えば、上述した式(25)を用いてfBk(nΔt)(k=1)に変換する。
(x,nΔt)(k=1)は、ダンパ21fが弦21eと接触する位置に応じた閉ループ上の位置から出力される。この例においては、u(x,nΔt)(k=1,i=1)についてはディレイD1とD2との間の位置から出力され、u(x,nΔt)(k=1,i=2)についてはディレイD3とD4との間の位置から出力される例を示している。
(x,nΔt)は、ハンマ21cが弦21eと接触する位置に応じた閉ループ上の位置、この例においては、ディレイD2とD3との間の位置から出力される。
図10(b)に示す第2WG計算部1042Bについては、第1WG計算部1041Bにおけるk=1をもつ各パラメータを、k=2をもつ各パラメータの入出力にしただけであるから、説明を省略する。なお、力変換部1042B−1、1042B−2における変換は、上述した式(26)を用いる点で異なっている。また、フィルタ1042B−Fにおける減衰の速さは、fDk(nΔt)の入力がないため、ダンパに応じて制御されない。さらに、第2WG計算部1042Bは、f(nΔt)が入力されないため、変位変換部に相当する構成を有していない。
図10(c)に示す第3WG計算部1043Bについては、第1WG計算部1041Bにおけるk=1をもつ各パラメータを、k=3をもつ各パラメータの入出力にしただけであるから、説明を省略する。また、第3WG計算部1043Bは、第2WG計算部1042Bと同様に、f(nΔt)が入力されないため、変位変換部に相当する構成を有していない。
このようにすると、第1実施形態における場合に比べて、弦モデルの計算を簡易にすることができる。
なお、弦モデル計算部104Bは、弦21eのz方向の振動の計算を行う第1弦WG計算部1041B、弦21eのx方向の振動の計算を行う第2弦WG計算部1042B、弦21eのy方向の振動の計算を行う第3弦WG計算部1043Bを全て有している必要はなく、少なくとも弦21eのz方向の計算を行う構成を有していればよい。したがって、弦モデル計算部104Bは、第1弦WG計算部1041Bおよび第2弦WG計算部1042Bを有し、第3弦WG計算部1043Bを有しない構成であってもよいし、第1弦WG計算部1041Bおよび第3弦WG計算部1043Bを有し、第2弦WG計算部1042Bを有しない構成であってもよい。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した第1(第3)実施形態においては、波形データは、弦21eを振動しない状態にしておき、支持端の変位を検出した結果から作成されていたが、別の態様で作成されてもよい。
まず、弦21eを振動する状態にしておき、特定の鍵21aが特定の速度で押下された場合の弦支持端の変位を検出する。そして、同じ条件となるように、特定の鍵21aに対応する鍵(15b、15c)が特定の速度で押下された場合を想定して楽音信号合成部100において化粧音生成部200における補正無く計算されたfBk(nΔt)と、検出された弦支持端の変位から算出される力との差分を、FBk(nΔt)に対応する波形データとしてもよい。このようにすれば、本体モデル計算部105に入力されるfBk(nΔt)は、実際に検出された弦支持端の変位から算出される力に近いものに補正されることになる。
なお、FBk(nΔt)に対応する波形データは、棚板音が生じることによる本体21jの振動波形を物理的にモデル計算して生成されてもよい。
[変形例2]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音生成部200は、fBk(nΔt)の補正を行っていたが、fBk(nΔt)の補正を行わない構成とする一方、化粧音を示す楽音信号を生成し、楽音信号P(nΔt)と加算するなどして、楽音信号P(nΔt)と化粧音とを合成してもよい。この場合には、記憶部12に記憶される波形データは、弦21eが振動しない状態にしておき、特定の鍵21aを押下することにより生じた棚板音を空気中の任意の観測点(例えば、楽音信号P(nΔt)の算出に用いた観測点)において録音して得られる波形により生成されてもよい。
なお、変形例1の作成方法を適用して、波形データを作成してもよい。すなわち、弦21eを振動する状態にしておき、特定の鍵21aが特定の速度で押下された場合で録音を行った結果得られる信号と、同じ条件となるように、特定の鍵21aに対応する鍵(15b、15c)が特定の速度で押下された場合を想定して楽音信号合成部100において計算された楽音信号P(nΔt)との差分を、波形データとしてもよい。なお、波形データは、棚板音の振動波形を物理的にモデル計算して生成されたものであってもよい。
[変形例3]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音生成部200は、弦モデル計算部104から出力されて本体モデル計算部105に入力されるfBk(nΔt)に対して補正を行っていたが、本体モデル計算部105から出力され、弦モデル計算部104に入力されるuBk(nΔt)に対して補正を行うようにしてもよい。この場合には、化粧音生成部200は、波形データに基づいて、化粧音に応じた弦支持端の変位を示す化粧音情報を生成すればよい。なお、波形データが化粧音に応じた弦支持端の変位を示すものであってもよい。
[変形例4]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音生成部200は、fBk(nΔt)の補正を行っていたが、弦モデル計算部104の計算で用いられる「前記弦の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階微分」に対して、補正をするようにしてもよい。この場合には、記憶部12に記憶される波形データは、ハンマ21cを取り外しておき、特定の鍵21aの押下による棚板音が伝達された弦21eについての振動を、センサを用いて検出した結果から作成されればよい。
[変形例5]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音生成部200において、fBk(nΔt)の補正を行っていたが、本体モデル計算部105において、変換部110からの信号を取得して、鍵21aと棚板との衝突により生じる棚板音による振動についてもモデル計算を行うようにしてもよい。
[変形例6]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音として棚板音を再現する構成を説明したが、ダンパペダル21m、シフトペダル22nの操作による動作音を再現する場合には、化粧音生成部200は、これらの操作により出力される演奏情報、e(nΔt)、e(nΔt)を取得するようにすればよい。このとき、化粧音生成部200は、ダンパペダル21m、シフトペダル22nの操作速度を算出してDCA230、DCF240などの制御に用いてもよい。
[変形例7]
上述した第1、第2実施形態においては、運動方程式を用いて弦21eの振動を計算し、第3実施形態においては、遅延手段と特性制御手段とを有する閉ループを用いて弦21eの振動を計算したが、弦に及ぼす力および弦支持端の変位を用いて、弦21eの振動を計算する方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
[変形例8]
上述した第3実施形態においては、遅延手段と特性制御手段とを有する閉ループを用いて弦21eの振動を計算したが、このような閉ループを用いて本体21jの振動を計算するようにしてもよい。
[変形例9]
上述した第1(第2、第3)実施形態において、弦モデル計算部104は、弦に及ぼす力として、ダンパモデル計算部102から出力されるfDk(nΔt)(k=1,3)、ハンマモデル計算部103から出力されるf(nΔt)、および本体モデル計算部105から出力されるuBk(nΔt)(k=1,2,3)をそれぞれ取得していたが、fDk(nΔt)(k=1,3)とf(nΔt)との一方または双方については、他の計算方法により算出されたものを取得するようにしてもよい。また、第1(第2、第3)実施形態において、空気モデル計算部106は、本体モデル計算部105から出力されるA(nΔt)に基づいて、空気モデルを用いた計算により楽音信号P(nΔt)を算出していたが、他の計算方法により楽音信号P(nΔt)を算出してもよい。
Dk(nΔt)(k=1,3)とf(nΔt)との双方が他の計算方法により算出され、楽音信号P(nΔt)が空気モデル以外を用いた計算方法により算出される場合の構成について図11を用いて説明する。
図11は、本発明の変形例9に係る楽音信号合成部100Cの構成を示すブロック図である。楽音信号合成部100Cは、第1(第2、第3)実施形態における比較部101、ダンパモデル計算部102およびハンマモデル計算部103に代えて力計算部107を有し、第1(第2、第3)実施形態における空気モデル計算部106に代えて楽音信号計算部108を有する。
力計算部107は、変換部110から出力され楽音信号合成部100Cに入力される各入力信号に基づいて、fDk(nΔt)(k=1,3)とf(nΔt)とに相当する情報を算出して、弦モデル計算部104Cに出力する。
力計算部107は、f(nΔt)とに相当する情報を算出するに当たり、弦モデル計算部104Cからu(x,nΔt)を取得せず、予め決められたu(x,nΔt)を用いる。力計算部107は、このu(x,nΔt)を各入力信号に基づいて予め決められた算出式により算出してもよい。
また、力計算部107は、fDk(nΔt)(k=1,3)とに相当する情報を算出するに当たり、弦モデル計算部104Cからu(x,nΔt)(k=1,3)を取得せず、予め決められたu(x,nΔt)(k=1,3)を用いる。力計算部107は、このu(x,nΔt)(k=1,3)を各入力信号に基づいて予め決められた算出式により算出してもよい。
なお、力計算部107は、第1(第2、第3)実施形態における比較部101、ダンパモデル計算部102およびハンマモデル計算部103と置き換えたものとして説明したが、ハンマモデル計算部103を第1(第2、第3)実施形態と同じ構成として、比較部101およびダンパモデル計算部102を置き換えたものとしてもよい。逆に、力計算部107は、比較部101およびダンパモデル計算部102を第1(第2、第3)実施形態と同じ構成として、ハンマモデル計算部103を置き換えたものとしてもよい。すなわち、弦モデル計算における結果のうち、第1(第2、第3)実施形態において弦に及ぼす力の計算に用いられているu(x,nΔt)とu(x,nΔt)(k=1,3)
との一方または双方を用いずに、弦に及ぼす力が計算されるようにしてもよい。
楽音信号計算部108は、本体モデル計算部105から出力されるA(nΔt)に基づいて、楽音信号P(nΔt)を算出する。楽音信号計算部108は、この楽音信号P(nΔt)の算出において、A(nΔt)を用いた予め決められた算出式を用いて計算するものであればよい。このとき、楽音信号P(nΔt)は、空気中の任意の観測点における非定常音圧を示すものでなくてもよく、本体の任意の位置における振動を示すものであってもよい。なお、楽音信号計算部108は、本体モデル計算部106から弦モデル計算部104Cに出力されるuBk(nΔt)(k=1,2,3)に基づいて、楽音信号P(nΔt)を算出してもよい。
[変形例10]
上述した第1(第2、第3)実施形態において、シフトペダル16bが取り除かれた構成の電子楽器を用いてもよい。この場合の構成について、図12、図13を用いて説明する。
図12は、本発明の変形例2に係る電子楽器1Dの構成を示すブロック図である。電子楽器1Dは、例えば、電子ピアノであり、制御部11D、記憶部12D、ユーザ操作部13D、演奏操作部15Dおよび放音部17Dを有している。これらの各部は、バス18Dを介して互いに接続されている。ユーザ操作部13D、放音部17Dおよびバス18Dは、第1(第2、第3)実施形態に係る電子楽器1におけるユーザ操作部13、放音部17およびバス18と同様な機能を有するため、説明を省略する。
演奏操作部15Dは、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15とは異なり、シフトペダル16bが取り除かれている。そのため、ペダル位置センサ16Dcは、ダンパペダル16aの踏込量を検出する。演奏操作部15Dにおける他の構成は、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15と同様な機能を有するため、説明を省略する。
記憶部12Dは、第1(第2、第3)実施形態における記憶部12とは異なり、ハンマ先端が弦表面に及ぼす力f(nΔt)を記憶している。この値は、第1(第2、第3)実施形態におけるシフトペダル16bが踏込まれていない状態(レスト位置)における値を示す。
制御部11Dは、第1(第2、第3)実施形態における制御部11とは異なり、制御プログラムを実行して実現される楽音信号合成部100のうち、ハンマモデル計算部103を用いない楽音信号合成部100Dを実現する。
図13は、楽音信号合成部100Dの構成を示すブロック図である。図13に示すように、楽音信号合成部100Dには、ハンマモデル計算部103がない。弦モデル計算部104D−1、104D−2は、ハンマモデル計算部103から出力されるf(nΔt)を取得するのではなく、記憶部12Dに記憶されたf(nΔt)を取得する。化粧音生成部200Dについては、入力信号2(V(nΔt))を取得するが、入力信号4(e(nΔt))を取得しない。すなわち、記憶部12Dに記憶されている波形データは、シフトペダルの踏込量とは関係なく、鍵21aの番号に対応している。楽音信号合成部100Dにおける他の構成については、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100と同様の機能を有するため、説明を省略する。
なお、ハンマモデル計算部103が存在しない構成としなくても、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100において、e(nΔt)=1に固定(シフトペダルがレスト位置に固定)された状態にすることにより、シフトペダルが存在しない場合を実現してもよい。
[変形例11]
上述した第1(第2、第3)実施形態において、ダンパペダル16aが取り除かれた構成の電子楽器を用いてもよい。この場合の構成について、図14、図15を用いて説明する。
図14は、本発明の変形例3に係る電子楽器1Eの構成を示すブロック図である。電子楽器1Eは、例えば、電子ピアノであり、制御部11E、記憶部12E、ユーザ操作部13E、演奏操作部15Eおよび放音部17Eを有している。これらの各部は、バス18Eを介して互いに接続されている。ユーザ操作部13E、放音部17Eおよびバス18Eは、第1(第2、第3)実施形態に係る電子楽器1におけるユーザ操作部13、放音部17およびバス18と同様な機能を有するため、説明を省略する。
演奏操作部15Eは、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15とは異なり、ダンパペダル16aが取り除かれている。そのため、ペダル位置センサ16Ecは、シフトペダル16bの踏込量を検出する。演奏操作部15Eにおける他の構成は、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15と同様な機能を有するため、説明を省略する。
記憶部12Eは、第1(第2、第3)実施形態における記憶部12とは異なり、ダンパの抵抗力fDk(nΔt)を記憶している。この値は、第1(第2、第3)実施形態におけるダンパペダル16aが踏込まれていない状態(レスト位置)における値を示す。
制御部11Eは、第1(第2、第3)実施形態における制御部11とは異なり、制御プログラムを実行して実現される楽音信号合成部100のうち、比較部101およびダンパモデル計算部102−1、102−2を用いない楽音信号合成部100Eを実現する。
図15は、楽音信号合成部100Eの構成を示すブロック図である。図15に示すように、楽音信号合成部100Eには、比較部101およびダンパモデル計算部102−1、102−2がない。弦モデル計算部104E−1、104E−2は、ダンパモデル計算部102から出力されるfDk(nΔt)を取得するのではなく、記憶部12Eに記憶されたfDk(nΔt)を取得する。楽音信号合成部100Eにおける他の構成については、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100と同様の機能を有するため、説明を省略する。
なお、比較部101およびダンパモデル計算部102−1、102−2が存在しない構成としなくても、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100において、ep(nΔt)=1に固定(ダンパペダルがレスト位置に固定)された状態にすることにより、ダンパペダルが存在しない場合を実現してもよい。
[変形例12]
上述した第1(第2、第3)実施形態において、ダンパペダル16aおよびシフトペダル16bが取り除かれた構成の電子楽器を用いてもよい。この場合の構成について、図16、図17を用いて説明する。
図16は、本発明の変形例4に係る電子楽器1Fの構成を示すブロック図である。電子楽器1Fは、例えば、電子ピアノであり、制御部11F、記憶部12F、ユーザ操作部13F、演奏操作部15Fおよび放音部17Fを有している。これらの各部は、バス18Fを介して互いに接続されている。ユーザ操作部13F、放音部17Fおよびバス18Fは、第1(第2、第3)実施形態に係る電子楽器1におけるユーザ操作部13、放音部17およびバス18と同様な機能を有するため、説明を省略する。
演奏操作部15Fは、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15とは異なり、ペダル部16が取り除かれている。そのため、ペダル位置センサも存在しない。演奏操作部15Fにおける他の構成は、第1(第2、第3)実施形態における演奏操作部15と同様な機能を有するため、説明を省略する。
記憶部12Fは、第1(第2、第3)実施形態における記憶部12とは異なり、ダンパの抵抗力fDk(nΔt)、およびハンマ先端が弦表面に及ぼす力f(nΔt)を記憶している。これら値は、第1(第2、第3)実施形態におけるダンパペダル16aおよびシフトペダル16bが踏込まれていない状態(レスト位置)における値を示す。
制御部11Fは、第1(第2、第3)実施形態における制御部11とは異なり、制御プログラムを実行して実現される楽音信号合成部100のうち、比較部101、ダンパモデル計算部102−1、102−2、およびハンマモデル計算部103を用いない楽音信号合成部100Fを実現する。
図17は、楽音信号合成部100Fの構成を示すブロック図である。図17に示すように、楽音信号合成部100Fには、比較部101、ダンパモデル計算部102−1、102−2およびハンマモデル計算部103がない。弦モデル計算部104F−1、104F−2は、ダンパモデル計算部102から出力されるfDk(nΔt)およびハンマモデル計算部103から出力されるf(nΔt)を取得するのではなく、記憶部12Fに記憶されたfDk(nΔt)およびf(nΔt)を取得する。化粧音生成部200Fについては、入力信号2(V(nΔt))を取得するが、入力信号4(e(nΔt))を取得しない。すなわち、記憶部12Fに記憶されている波形データは、シフトペダルの踏込量とは関係なく、鍵21aの番号に対応している。楽音信号合成部100Fにおける他の構成については、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100と同様の機能を有するため、説明を省略する。
なお、比較部101、ダンパモデル計算部102−1、102−2およびハンマモデル計算部103が存在しない構成としなくても、第1(第2、第3)実施形態における楽音信号合成部100において、e(nΔt)=1に固定(シフトペダルがレスト位置に固定)、およびep(nΔt)=1に固定(ダンパペダルがレスト位置に固定)された状態にすることにより、シフトペダルおよびダンパペダルが存在しない場合を実現してもよい。
[変形例13]
上述した第1(第3)実施形態においては、化粧音生成部200は、化粧音により弦支持端に及ぼす力FBk(nΔt)を示す化粧音情報を生成し、これにより、fBk(nΔt)の補正を行っていたが、化粧音により本体の他の部分に及ぼす力を示す化粧音情報を生成するようにしてもよい。例えば、棚板音については、鍵21aと棚板21kとの衝突により生じるから、この衝突位置から本体に及ぼす力fEk(nΔt)が生成されるようにすればよい。以下、この場合における楽音信号合成部100Gの構成について、図18を用いて説明する。
図18は、楽音信号合成部100Gの構成を示すブロック図である。楽音信号合成部100Gは、第1実施形態における楽音信号合成部100における空気モデル計算部105および化粧音生成部200の構成が異なる。楽音信号合成部100Gにおける他の構成については、第1(第3)実施形態における楽音信号合成部100と同様の機能を有するため、説明を省略する。
化粧音生成部200Gは、入力信号2(V(nΔt))および入力信号4(e(nΔt))を取得して、化粧音により鍵の衝突位置から本体に及ぼす力fEk(nΔt)(k=1,2,3)を示す化粧音情報を生成し、本体モデル計算部105Gに出力する。このfEk(nΔt)は、iのインデックスをもつ。
ここで、化粧音生成部200Gの波形読出部により記憶部12から読み出される波形データについても、第1実施形態における波形データとは異なっている。すなわち、第1実施形態における波形データは、棚板音の振動波形を弦支持端の変位として検出して得られたものであったが、本変形例における波形データは、鍵と衝突する位置における本体の変位として検出して得られたものである点で異なっている。化粧音生成部200Gは、この波形データを加工して、鍵の衝突位置から本体に及ぼす力fEk(nΔt)を出力する。
なお、波形データは、変形例1の作成方法を適用して、波形データを作成してもよい。また、化粧音生成部200Gにおいて、物理モデルを用いて鍵21aの棚板21kへの衝突の際に生じる力を計算し、fEk(nΔt)として出力してもよい。この場合には、波形データを用いない構成とすることもできる。
本体モデル計算部200Gは、第1実施形態におけるモデル計算を行う際に、化粧音生成部200Gから出力された化粧音情報による補正をする。この例においては、本体モデル計算部200Gは、fEk(nΔt)に係数μEk [iK][m]を乗じて、本体のモード毎運動方程式(32)における右辺に加算することにより合成して補正する。すなわち、本体モデル計算部200Gは、上述の式(32)を、以下の式(41)として用いて計算を行う。なお、fEk(nΔt)において、k=2,3については、「0」として、加算の対象をk=1のみとなるようにしてもよい。また、加算ではなく、減算、重み付けをして加算、積算、除算などにより合成することで補正をしてもよい。
Figure 0005605192
このように、化粧音により本体に及ぼす力は、弦支持端に限られず、本体のどの位置におけるものであってもよい。
[変形例14]
上述した第1(第2、第3)実施形態においては、例えば、鍵盤部15a、ペダル部16の操作に応じて発音させる電子楽器1として機能させるために、リアルタイムに楽音信号合成処理を行っていたが、楽音制御データに応じて発音させる場合などにおいては、非リアルタイム処理としてもよい。
この場合には、例えば、1曲分の楽音制御データを用いて、「楽器本体の固有振動モード毎の時間軸上速度データ」の算出を先に行っておき、そのデータと「本体の固有振動モードと空気中の観測点との間のインパルス応答または周波数応答のデータ」との畳み込み演算を後から行うということもできる。これは、観測点の位置のみ変更した場合の楽音合成が容易に行えることを意味する。
[変形例15]
上述した第1(第2、第3)実施形態においては、楽音信号合成処理は、ピアノの音を模擬した楽音信号を合成処理するものであったが、ピアノに限らず、振動する弦と、弦を支持し、弦の振動が伝達されることによって空気中に音響を放射する本体とを有する3次元構造の楽器であれば、どのような楽器(例えば、チェンバロ、琴、ギターなど)であってもよい。なお、琴のように弦が張られた両端の間に柱(ピアノの駒に相当)が設けられるような場合には、弦支持端の一端は柱となる。
また、ピアノ以外の楽器の音を模擬するものであっても、楽音信号合成処理において、本体の振動により生じる音の一部を化粧音として含む楽音信号を合成処理することができる。例えば、ギターであれば、胴(本体)を叩いたときの胴と弦との連成振動を考慮した音の楽音信号が合成される。
[変形例16]
上述した第1(第2、第3)実施形態における制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、電子楽器1は、制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
1,1D,1E,1F…電子楽器、11,11D,11E,11F…制御部、11a…CPU、11b…DSP、11c…ROM、11d…RAM、11e…信号インターフェイス、11f…内部バス、12,12D,12E,12F…記憶部、13,13D,13E,13F…ユーザ操作部、13a…操作パネル、13b…マウス、13c…操作スイッチ、13d…キーボード、14…表示部、15,15D,15E,15F…演奏操作部、15a…鍵盤部、15b…黒鍵、15c…白鍵、15d…鍵位置センサ、15e…鍵速度センサ、16…ペダル部、16a…ダンパペダル、16b…シフトペダル、16c,16Dc,16Ec…ペダル位置センサ、17,17D,17E,17F…放音部、17a…デジタルアナログ変換器、17b…スピーカ、18,18D,18E,18F…バス、21…グランドピアノ、21a…鍵、21b…鍵盤、21c…ハンマ、21d…アクション機構、21e…弦、21ea…駒、21eb…ベアリング、21f…ダンパ、21h…キャビネット、21j…本体、21k…棚板、21m…ダンパペダル、21n…シフトペダル、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G…楽音信号合成部、101…比較部、102−1、102−2…ダンパモデル計算部、103…ハンマモデル計算部、104−1,104B−1,104C−1,104D−1,104E−1,104F−1,104−2,104B−2,104C−2,104D−2,104E−2,104F−2…弦モデル計算部、1041B…第1弦WG計算部、1042B…第2弦WG計算部、1043B…第3弦WG計算部、1041B−1,1041B−2,1042B−1,1042B−2,1043B−1,1043B−2…力変換部、1041B−3…変位変換部、1041B−F,1042B−F,1043B−F…フィルタ、D1,D2,・・・,D5…ディレイ、105,105A,105G…本体モデル計算部、106…空気モデル計算部、107…力計算部、108…楽音信号計算部、110…変換部、120…演算部、200,200D,200G…化粧音生成部、210…生成制御部、220…波形読出部、230…DCA、240…DCF

Claims (6)

  1. 振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成する楽音信号合成方法であって、
    前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端の少なくとも一端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算過程と、
    前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算過程と、
    前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算過程と
    を備えることを特徴とする楽音信号合成方法。
  2. 前記本体モデル計算過程においては、前記第2の情報に基づいて、前記弦支持端の少なくとも一端における変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第3の情報を算出し、
    前記弦モデル計算過程においては、前記演奏情報に応じた励起信号に加えて、前記第3の情報に応じた励起信号を前記閉ループに入力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の楽音信号合成方法。
  3. 前記楽器は、押下されることにより前記本体に衝突する鍵、および前記鍵の押下により前記弦の特定の位置を打つハンマを有するピアノであり、
    前記演奏情報に応じた前記ハンマの位置と、前記弦の前記特定の位置における変位を表す第4の情報とに基づいて、前記ハンマが前記弦に及ぼす力を表す第5の情報を算出するハンマモデル計算過程をさらに備え、
    前記弦モデル計算過程においては、前記第5の情報に応じた励起信号を、前記演奏情報に応じた励起信号として入力し、前記巡回信号に基づいて、前記第4の情報を算出する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の楽音信号合成方法。
  4. 前記楽音信号計算過程においては、前記本体の前記各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)と空気中の観測点における音圧との間のインパルス応答を表す第6情報を取得し、前記本体モデル計算過程において算出された前記第2の情報と前記第6の情報との畳み込み演算を前記本体の固有振動モード毎に行った後、前記各畳み込み演算結果を足し合わせることによって、空気中の観測点における音圧を、前記楽音信号として算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の楽音信号合成方法。
  5. コンピュータに、振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成させるプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算手段と、
    前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算手段と、
    前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算手段
    として機能させるためのプログラム。
  6. 振動する弦と、前記弦を2つの弦支持端によって支持し、前記弦の振動が前記弦支持端の少なくとも一端を介して伝達される本体とを有する3次元構造の楽器から発せられる音の楽音信号を、入力される演奏情報に応じて生成する楽音信号生成装置であって、
    前記弦を伝播する振動の遅延特性を模擬する遅延手段、および当該振動の伝播に伴う振幅特性または周波数特性の変化を模擬する特性制御手段を有する閉ループに、前記演奏情報に応じた励起信号を入力し、前記閉ループに生成される前記弦の振動を表す巡回信号に基づいて、前記弦が前記弦支持端に及ぼす力を表す第1の情報を算出する弦モデル計算手段と、
    前記第1の情報を用いた前記本体の振動を表す運動方程式に基づいて、前記本体の各固有振動モードのモード座標上での変位または変位の時間に関するn階導関数(n=1,2,・・・)を表す第2の情報を算出する本体モデル計算手段と、
    前記第2の情報に基づいて、前記楽音信号を算出する楽音信号計算手段と
    を具備することを特徴とする楽音信号生成装置。
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