JP5599076B2 - ナノカーボン水系分散液及びナノカーボン分散樹脂組成物 - Google Patents
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(1)A−Bブロックコポリマーが、90質量%以上がメタクリル系モノマーで構成されている
(2)A−BブロックコポリマーのAブロックは、芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーを少なくとも70質量%以上構成成分とし、且つ酸価が0〜30mgKOH/gであり、且つゲルパーミエーションクロマトグラフにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜5,000、重量平均分子量/数平均分子量(分子量分布)が1.3以下である
(3)A−BブロックコポリマーのBブロックは、酸性基を有するメタクリル系モノマーを少なくとも構成成分とし、酸価が100〜300mgKOH/gであり、A−Bブロックコポリマーの数平均分子量からAブロックの数平均分子量を引いた分子量が1,000〜10,000である
(4)A−Bブロックコポリマーの分子量分布が1.6以下であること
前記ナノカーボン物質が、カーボンナノチューブ類、カーボンナノホーン類又はナノグラフェン類のいずれかであること。
前記ナノカーボン物質と前記高分子分散剤との質量比率が、ナノカーボン物質:高分子分散剤=20〜80:80〜20であり、分散液中のナノカーボン物質の質量が15%以下であること。
前記要件(2)における芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーが、ベンジルメタクリレートであること。
前記要件(3)における酸性基を有するメタクリル系モノマーが、メタクリル酸であること。
前記A−Bブロックコポリマーが、有機ヨウ素化合物を開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物または炭素化合物のいずれかを触媒とするリビングラジカル重合法である可逆連鎖移動触媒重合(RTCP)法によって合成されたものであること。
前記リン化合物は、ハロゲン化リン、フォスファイト系化合物またはフォスフィネート系化合物のいずれかであり、前記窒素化合物は、イミド類またはヒダントイン類であり、前記酸素化合物は、フェノール系化合物であり、前記炭素化合物は、ジフェニルメタンまたはシクロアルケン系化合物であること。
本発明は、少なくともナノカーボン物質、水系溶剤及び高分子分散剤を含有してなるナノカーボン水系分散液を提供するものである。以下、本発明のナノカーボン水系分散液を構成する材料について、それぞれ説明する。
<ナノカーボン水系分散液>
(ナノカーボン物質)
本発明に用いるナノカーボン物質としては、カーボンナノチューブ類、カーボンナノホーン類、ナノグラフェン類を挙げることができる。ナノカーボン物質は、炭素原子の共有結合によって形成する六員環グラファイト構造の1層(グラフェンシート)からなるナノサイズの形状を持つ物質であり、今までの炭素化合物にない特性や新規機能を発現する次世代の材料として注目されており、幅広い分野で、その特性・性能を活かした使用が期待されている。ナノカーボン物質の一種であるカーボンナノチューブ類は、グラフェンシートが丸まって円筒の形状をしたナノカーボン物質である。その種類としては、1層のみからなる単層カーボンナノチューブ(SWNT)、同心円状にカーボンナノチューブが重なった構造の多層カーボンナノチューブ(MWNT)がある。また、カーボンナノホーン類は、カーボンナノチューブのようにグラフェンシートが丸まった形状であるが、真っ直ぐな円筒状ではなくチューブの先端が閉じてホーン(角)の形状をしたナノカーボン物質である。ナノグラフェン類は、ナノサイズのグラフェンシートそのものであり、1原子の厚みしかない薄膜形状のナノカーボン物質である。
本発明に用いる水系溶剤としては、水または水及び親水性有機溶剤の混合液を挙げることができる。取り扱い易さや環境への負荷を考慮した場合、単独で水を用いることが好ましいが、分散時のナノカーボン物質の濡れ性を改善したり、凝集状態のナノカーボン物質を解きやすくしたり、ナノカーボン物質の分散を助けるために親水性有機溶剤を水と混合して使用することができる。親水性有機溶剤は、水と混合した時に相溶し得る溶剤であり、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの親水性有機溶剤は、単独でも複数混合しても用いることができる。
次に、本発明を特徴付ける高分子分散剤について説明する。本発明で用いる高分子分散剤は、その主成分が、下記に挙げる(1)〜(4)の要件を全て満たすA−Bブロックコポリマーであることを要するが、以下、これらの要件について説明する。
(1)A−Bブロックコポリマーが、90質量%以上がメタクリル系モノマーで構成されている。
(2)そのAブロックは、芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーを少なくとも70質量%以上構成成分とし、且つ酸価が0〜30mgKOH/gであり、且つゲルパーミエーションクロマトグラフにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜5,000、重量平均分子量/数平均分子量(分子量分布)が1.3以下である。
(3)そのBブロックは、酸性基を有するメタクリル系モノマーを少なくとも構成成分とし、酸価が100〜300mgKOH/gであり、A−Bブロックコポリマーの数平均分子量からAブロックの数平均分子量を引いた分子量が1,000〜10,000である。
(4)A−Bブロックコポリマーの分子量分布が1.6以下である。
次に、本発明を特徴づける上記した構成の高分子分散剤の主成分であるA−Bブロックコポリマーを簡便に得ることができる合成方法について説明する。本発明では、高分子分散剤としてA−Bブロックコポリマーを用いるが、A−Bブロックコポリマーの合成には、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。リビングラジカル重合とは、ラジカル重合において、分子構造の明確な高分子を得ることができる方法である。重合時、生長鎖末端のラジカルが安定化させるため、あるモノマーを重合した後に、続けて別のモノマーを添加することで、再び重合を進行させることができ、異なる重合体セグメントを有するブロックコポリマーを合成することができる。
上記重合機構は、触媒の種類によって変わる可能性があるが、次のように進むと考えられる。式1では、ラジカル開始剤から発生したP・が触媒であるXAと反応して、in siteで触媒ラジカルA・が生成する。A・はP−Xの活性化剤として作用して、この触媒作用によってP−Xは高い頻度で活性化する。
「A−Bブロックコポリマーの理論分子量」=「重合開始化合物1モル」×「モノマー分子量」×「モノマーのモル数/重合開始化合物のモル数」 ・・・(2)
本発明のナノカーボン水系分散液を調製する際に行う、上記したA−Bブロックコポリマーを主成分とする高分子分散剤を用いてのナノカーボン物質の分散処理方法としては、限定するものでなく、従来公知の方法で実施することができる。例えば、超音波分散、ビーズミル分散、乳化装置などを用いた分散等の分散方法を用いることができるが、分散の効果が高いことから超音波分散が好ましい。本発明のナノカーボン水系分散液は、少なくともナノカーボン物質、水系溶剤、高分子分散剤を混合し、分散処理を行うことで容易に作成することができる。
本発明では、上記で説明した本発明のナノカーボン水系分散液に別途樹脂組成物を添加することで、様々な形態のナノカーボン分散樹脂組成物を得ることができる。樹脂組成物としては、従来公知の樹脂組成物を用いることができる。具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等の樹脂を含有してなる樹脂組成物を用いることができる。その形状としては、樹脂固形物でもよく、その水系溶剤の樹脂溶液でもよい。また複数の樹脂の混合物を用いてもよい。
(製造例1)
(高分子分散剤−1の合成)
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管を取り付けた反応装置に、ジメチルジグリコール(以下、DMDGと略す)100部、ベンジルメタクリレート(以下、BzMAと略す)60部、ヨウ素1.5部、ジフェニルメタン(以下、DPMと略す)0.2部、重合開始剤としてV−70(和光純薬工業社製)5.0部を添加した。そして、窒素ガスを導入しながら攪拌し、マントルヒーターにて40℃に昇温した。反応系をそのまま40℃に保ち、7時間重合した。重合の進行は、反応系中の固形物濃度より算出し、重合率は81%であった。また、GPCにより分子量を算出し、数平均分子量(以下、Mnと略す)で3,900、重量平均分子量(以下、Mwと略す)で4,700であった。分子量分布(以下、PDI値と略す)は1.21であった。次に、続けて反応系にメタクリル酸(以下、MAAと略す)15部及びメチルメタクリレート(以下、MMAと略す)25部の混合液を添加し、40℃で4時間重合した。反応系中の固形物濃度より算出した結果、トータルの重合率は93%であった。また、GPCより分子量を算出したところ、Mnで7,300、Mwで10,000であった。PDI値は1.37であった。重合後、ブチルジグリコール(以下、BDGと略す)50部を加えて希釈し、またアンモニア水(アンモニア濃度:6.5%)50部を加えて樹脂中のカルボン酸を中和して、A−Bブロックコポリマーからなる高分子分散剤−1を得た。
(高分子分散剤−2の合成)
ヨウ素2.0部、DPM0.3部、重合開始剤としてV−70の6.7部を使用したこと以外は製造例1と同様にして重合を実施し、A−Bブロックコポリマーからなる高分子分散剤−2を得た。BzMAの重合においては、重合率は84%であり、分子量はMnで3,100、Mwで3,700、PDI値は1.19であった。また最終的な重合率は92%であり、分子量はMnで5,900、Mwで8,000、PDI値は1.36であった。
(高分子分散剤−3の合成)
BzMA60部を使用する代わりに、BzMA45部及びシクロヘキシルメタクリレート(以下、CHMAと略す)15部の混合液(芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーが75質量%)を使用したこと以外は製造例1と同様にして重合を実施し、A−Bブロックコポリマーからなる高分子分散剤−3を得た。BzMA及びCHMAの重合においては、重合率は80%であり、分子量はMnで3,600、Mwで4,400、PDI値は1.22であった。また最終的な重合率は90%であり、分子量はMnで6,900、Mwで9,500、PDI値は1.38であった。
(高分子分散剤−4の合成)
BzMA60部を使用する代わりに、BzMA30部及びCHMA30部の混合液を使用し、芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーの使用量を50質量%に減じたこと以外は製造例1と同様にして重合を実施し、A−Bブロックコポリマーからなる高分子分散剤−4を得た。BzMA及びCHMAの重合においては、重合率は80%であり、分子量はMnで3,500、Mwで4,200、PDI値は1.21であった。また最終的な重合率は92%であり、分子量はMnで6,800、Mwで9,500、PDI値は1.40であった。
(高分子分散剤−5の合成)
ヨウ素0.75部、DPM0.15部、重合開始剤としてV−70の4.0部を使用したこと以外は製造例1と同様にして重合を実施し、A−Bブロックコポリマーからなる高分子分散剤−5を得た。BzMAの重合においては、重合率は78%であり、分子量はMnで6,800、Mwで9,000、PDI値は1.32であり、分子量および分子量分布ともに本発明で規定するAブロックの範囲外であった。また最終的な重合率は89%であり、分子量はMnで12,900、Mwで19,700、分子量分布は1.53であった。
(高分子分散剤−6の合成)
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた反応装置に、DMDG150部を添加し、攪拌しながらマントルヒーターにて75℃に昇温した。一方、BzMA60部、MMA25部、MAA15部の混合液に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す)4.0部を溶解させた後に滴下ロートに仕込み、反応系が75℃に保つように2時間かけて滴下した。その後、反応系を75℃に保ち、5時間重合して、ランダムコポリマーを得た。重合の進行は、反応系中の固形物濃度より算出し、重合率は98%であった。また、GPCにより分子量を算出し、Mnで8,800、Mwで18,600であった。PDI値は2.11であった。重合後、BDG75部を加えて希釈し、またアンモニア水(アンモニア濃度:4.3%)75部を加えて樹脂中のカルボン酸を中和して、高分子分散剤−6を得た。
(カーボンナノチューブ水系分散液−1の作成)
ナノカーボン物質としてカーボンナノチューブ(以下、CNTと略す)(平均径:15nm、平均長:3.0μm、MWNTを使用)、分散媒体として水及びBDGの混合溶液(水:BDG=75%:25%)を用い、分散剤として先に調製した高分子分散剤−1を用い、下記のようにしてCNT水系分散液の作成を行った。まず、200ミリリットルのポリカップに、CNT2.0部、水68.7部、BDG22.9部、CNT重量に対する分散剤の樹脂成分が100%となるように高分子分散剤−1(樹脂固形分:31.5%)6.4部を仕込んだ。この段階では、CNTは混合液に湿潤したが、その形状のまま底に沈んだ状態であり、上部は透明層であった。次に、ポリカップ中に攪拌子を入れて、マグネチックスターラーで攪拌し、出力300Wの超音波分散機で60分間超音波を照射させた。超音波を照射させることで、液は均一に黒くなり、CNTの凝集状態が解れた状態となった。超音波照射処理後、分散液を遠心分離処理することで、十分に分散しきれないCNT固形物を沈降分離させた。そして、その上澄み液を取り出し、CNT水系分散液−1とした。得られた分散液−1の写真の図を図1に示した。
(CNT水系分散液−2の作成)
分散剤として高分子分散剤−2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液をCNT水系分散液−2とする。
(CNT水系分散液−3の作成)
分散剤として高分子分散剤−3を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液をCNT水系分散液−3とする。
(CNT水系分散液−4の作成)
分散剤として高分子分散剤−4を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液をCNT水系分散液−4とする。
(CNT水系分散液−5の作成)
分散剤として高分子分散剤−5を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液をCNT水系分散液−5とする。
(CNT水系分散液−6の作成)
分散剤として高分子分散剤−6を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液をCNT水系分散液−6とする。
(CNT水系分散液−7の作成)
CNT4.0部、水62.5部、BDG20.8部、高分子分散剤−1(樹脂固形分:31.5%)12.7部を用い、超音波照射時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様の方法でCNT水系分散液を作成した。得られた分散液を水系分散液−7とする。得られた分散液−7の写真の図を図2に示した。
(ナノグラフェン水系分散液−1の作成)
ナノカーボン物質としてナノグラフェン(平均径:5μm、平均厚:6−8nm)、分散媒体として水及びBDGの混合溶液(水:BDG=75%:25%)を用い、分散剤として高分子分散剤−1を用いたナノグラフェン水系分散液の作成を実施した。まず200ミリリットルのポリカップにナノグラフェン10.0部、水43.7部、BDG14.6部、ナノグラフェン重量に対する分散剤の樹脂成分が100%となるように高分子分散剤−1(樹脂固形分:31.5%)31.7部を仕込んだ。次に、ポリカップ中に攪拌子を入れて、マグネチックスターラーで攪拌し、出力300Wの超音波分散機で60分間超音波を照射させた。超音波照射処理後、得られた分散液は、粘性液体であった。得られた分散液をナノグラフェン水系分散液−1とする。得られた分散液の写真の図を図3の左側に示した。
(ナノグラフェン水系分散液−2の作成)
ナノグラフェン10.0部、水67.5部、BDG22.5部を用い、分散剤を用いないこと以外は実施例5と同様にしてナノグラフェン水系分散液を得た。得られた分散液はペースト状態であった。得られた分散液をナノグラフェン水系分散液−2とする。得られた分散液の写真の図を図3の右側に示した。
実施例1から3及び比較例1から3で作成したCNT水系分散液の遠心分離後のCNT濃度を算出することで、その分散性の評価を実施した。濃度の算出には分光光度計を用い、濃度既知のサンプルの吸光度を測定して検量線を作成し、測定サンプルを吸光度測定可能な濃度に希釈して吸光度を測定し、検量線から濃度を算出した。また、遠心分離後のCNT水系分散液を1ヶ月静置させて、分散液の状態を確認した。使用した高分子分散剤について表1に示した。また、上記のようにして行った分散性評価結果を表2に示した。表2中の分散安定性*は、遠心分離後のCNT水系分散液のCNT濃度を、設計したCNT濃度で除して得た値を%で表示したものである。100%に近いほど分散性が良好であることを示している。
実施例5及び比較例4で作成したグラフェン水系分散液を比較すると、分散剤を用いないナノグラフェン水系分散液−2がペースト状であるのに対し、本発明の高分子分散剤−1を用いたナノグラフェン水系分散液−1は粘性液体であった。また粒度分布を測定し、ナノグラフェン水系分散液−2では粗大粒子がみられ平均粒子径が4.5μmであったのに対し、ナノグラフェン水系分散液−1では粗大粒子が確認されず平均粒子径が3.5μmであり、本発明の高分子分散剤の分散効果が示唆された。
(CNT分散インキ塗膜の表面抵抗)
実施例1で作成したCNT水系分散液−1及び水性スチレンアクリル樹脂溶液(樹脂組成:スチレン/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メタクリル酸、固形分:40%、Mn:20,000、酸価:105)を混合し、固形分濃度が14%から16%の間になるように水で希釈してCNT分散インキを作成した。厚さ100μmのPETフィルムの表面に、バーコーターを用いて1μmまたは5μmの厚さになるように塗工し、70℃で30分間乾燥させて、導電性の塗膜を形成した。CNT含有量を各々変えた塗膜を作成して表面抵抗値を測定し(三菱化学製ハイレスタ使用)、CNT含有量に対する表面抵抗値の関係について検討した。結果を表3に示した。また、図4は、結果をグラフ化したものである。一方、上記で形成したCNT分散塗膜のCNT分散状態を確認するため、CNT分散塗膜の走査型電子顕微鏡(SEM)観測を実施した。その一例として、CNT含有量が1.0%、膜厚が1μmのCNT分散インキ塗膜のSEM写真(倍率:30,000倍)を図5に示した。
Claims (9)
- 少なくともナノカーボン物質、水系溶剤及び高分子分散剤を含有してなるナノカーボン水系分散液において、高分子分散剤の主成分が、下記(1)〜(4)の要件を全て満たすA−Bブロックコポリマーであることを特徴とするナノカーボン水系分散液。
(1)A−Bブロックコポリマーが、90質量%以上がメタクリル系モノマーで構成されている
(2)A−BブロックコポリマーのAブロックは、芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーを少なくとも70質量%以上構成成分とし、且つ酸価が0〜30mgKOH/gであり、且つゲルパーミエーションクロマトグラフにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜5,000、重量平均分子量/数平均分子量(分子量分布)が1.3以下である
(3)A−BブロックコポリマーのBブロックは、酸性基を有するメタクリル系モノマーを少なくとも構成成分とし、酸価が100〜300mgKOH/gであり、A−Bブロックコポリマーの数平均分子量からAブロックの数平均分子量を引いた分子量が1,000〜10,000である
(4)A−Bブロックコポリマーの分子量分布が1.6以下である - 前記ナノカーボン物質が、カーボンナノチューブ類、カーボンナノホーン類又はナノグラフェン類のいずれかである請求項1に記載のナノカーボン水系分散液。
- 前記ナノカーボン物質と前記高分子分散剤との質量比率が、ナノカーボン物質:高分子分散剤=20〜80:80〜20であり、且つ分散液中のナノカーボン物質の質量が15%以下である請求項1または2に記載のナノカーボン水系分散液。
- 前記要件(2)における芳香族骨格を有するメタクリル系モノマーが、ベンジルメタクリレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノカーボン水系分散液。
- 前記要件(3)における酸性基を有するメタクリル系モノマーが、メタクリル酸である請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノカーボン水系分散液。
- 前記A−Bブロックコポリマーが、有機ヨウ素化合物を開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物または炭素化合物のいずれかを触媒とするリビングラジカル重合法である可逆連鎖移動触媒重合(RTCP)法によって合成されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノカーボン水系分散液。
- 前記リン化合物は、ハロゲン化リン、フォスファイト系化合物またはフォスフィネート系化合物のいずれかであり、前記窒素化合物は、イミド類またはヒダントイン類であり、前記酸素化合物は、フェノール系化合物であり、前記炭素化合物は、ジフェニルメタンまたはシクロアルケン系化合物である請求項6に記載のナノカーボン水系分散液。
- 請求項1〜7に記載のナノカーボン水系分散液に樹脂組成物が添加されてなることを特徴とするナノカーボン分散樹脂組成物。
- ナノカーボン分散樹脂組成物の用途が、ナノカーボン物質を分散した塗料、インキまたはプラスチックのいずれかである請求項8に記載のナノカーボン分散樹脂組成物。
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