この種の荷台移動式運搬車の代表例として被運搬車両を運搬するのに使用する車両運搬車があるが、この種の車両運搬車は、例えば図11に示すように、運搬車1のシャシフレーム11上に荷台2を後方移動及び後傾させ得るように載置しているとともに、荷台2の後端部に後煽り3を起伏自在に取付けている。尚、図11の車両運搬車は、特開2001−105963号公報(特許文献1)に記載されたものである。
そして、図11の車両運搬車において、荷台2上に被運搬車両Sを載せ降ろしする際には、荷台2を鎖線図示(符号2′)するように後方移動及び後傾(荷台後端部を接地)させた後、後煽り3を鎖線図示(符号3′)するように倒伏させて後煽り後端部を接地させることで、荷台2′及び後煽り3′を車両積込み姿勢にすることができる。
ところで、この種の車両運搬車では、走行時には荷台2をシャシフレーム11上に格納し且つ後煽り3を鉛直姿勢に立起させておくが、該後煽り3は立起状態で倒伏不能に姿勢保持させておく必要がある。
後煽り3を立起状態で姿勢保持させるための後煽り支持装置として、特許第4255590号公報(特許文献2)に示されるものがある。尚、この公知例の発明の名称は、「後煽り装置」であるが、本願発明と対比するために、この公知例のものも「後煽り支持装置」と称する。
この公知例(特許文献2)の後煽り支持装置は、図12及び図13に示すものであるが、同各図において左側が「前」で右側が「後」である。
図12及び図13に示す公知例の後煽り支持装置は、荷台102の後端部121に支軸131により後煽り103を起伏自在に枢支し、荷台102の後部寄り位置にガイドレール106を前後方向に向けて設置し、該ガイドレール106にスライダー105を前後スライド自在に取付け、後煽り103の側部とスライダー105とをアーム104で連結しているとともに、スライダー105の係止部151をロック部材107のフック171で係止することによって、スライダー105及びアーム104を介して後煽り103を図12に示す立起姿勢で位置保持できるようにしている。
アーム104の後端部は、後煽り103の側面における起伏中心(支軸131)から所定距離だけ離間した位置に支軸111で枢支している一方、該アーム104の前端部は、スライダー105の上面に取付けたブラケット152に支軸112で枢支している。
他方、後煽り103の起伏動作時には、アーム104及びスライダー105を介してガイドレール106に対して押上げ力や押下げ力が働く関係で、該ガイドレール106の両端部をかなり強固に保持(固定)しておく必要がある。そして、この公知例のものでは、ガイドレール106の前端部を支持台161に固定する一方、該ガイドレール106の後端部を荷台102の後端部121に固定している。
又、荷台102上には、ロック部材107をロック解除するためのロック解除レバー108が設けられており、該ロック解除レバー108を引き上げることによって、図13に示すようにロック部材107のフック171をスライダー105の係止部151から外す(ロック解除する)ことができるようになっている。そして、ロック部材107がロック解除されると、図13に示すようにスライダー105が後方移動可能となり、立起状態にあった後煽り103′を作業員が手動操作で後方に倒伏させることができるようになっている。
アーム104、スライダー105、ガイドレール106、ロック部材107、及びロック解除レバー108は、それぞれ車両幅方向の両側に一対あるとともに、両側の各ロック部材107の下端部が前後2本のワイヤーケーブル110A,110Bでタスキ掛けに連結されていて、一方のロック解除レバー108をロック解除操作すると両方のロック部材107が連動して同時にロック解除動作するようになっている。尚、ロック部材107はスプリング109によってロック方向に付勢されており、ロック解除レバー108から手を離すとロック部材107がスプリング109の付勢力によって自動的にロック方向に作動するようになっている。
そして、この公知例の後煽り支持装置では、後煽り103を図12の立起姿勢から図13の倒伏姿勢に移行させるのに、一人の作業員が荷台102側においてロック解除レバー108をロック解除操作し(図13の状態)、別の作業員が立起姿勢にある後煽り103を図13のように倒伏させる。尚、ロック解除レバー108をロック解除操作した後、後煽り103が立起姿勢のままでロック解除レバー108から手を離すと、ロック部材107がスプリング109の付勢力で図12に示すロック位置に戻ってしまう(フック171がスライダー105の係止部151に係止される)ので、立起姿勢にある後煽り103を後傾操作するまではロック解除レバー108をロック解除位置に保持しておく必要がある。従って、後煽り103を立起姿勢から倒伏姿勢に移行させるには、ロック解除レバー108を操作する作業員とロック解除状態の後煽り103を支持及び倒伏させる作業員の二人が必要である。
又、後煽り103を倒伏姿勢(図13)から立起姿勢(図12)に移行させるには、スライダー105をガイドレール106に対して前方にスライドさせる必要があるが、後煽り103の立起操作でスライダー105を前方にスライドさせるには、図13に示すように、アーム104の前後各端部を枢支している2つの枢支部(各支軸111,112部分)を結ぶ線Lがガイドレール106の指向方向線Mに対して角度を持つ必要がある。つまり、アーム104の各端部の両支軸111,112を結ぶ線Lがガイドレール106の指向方向線Mに対して角度を持っていないと、図13の状態から後煽り103を立起させようとしてもアーム104を立ち起こすための作用力が働かないので、該後煽り103を立起させることができない。
そのため、この公知例の後煽り支持装置では、アーム104の前端部をスライダー105の上面に立設したブラケット152に支軸112で枢支して、後煽り103の倒伏姿勢(図13)においてアーム104両端部の両支軸111,112を結ぶ線Lがガイドレール106の指向方向線Mに対して角度を持つようにしている。
ところが、上記した公知例(図12及び図13)の後煽り支持装置では、次のような問題があった。
(1) 後煽り103を起伏動させる際のアーム104の前端部を前後動させるのに、スライダー105とガイドレール106との2部材が必要であり、そのための部品点数が多くなる。
(2) ガイドレール106を高剛性状態で支持する必要から、該ガイドレール106の前後両端部(2箇所)をそれぞれ固定しているが、このようにガイドレール106の前後両端部をそれぞれ固定したものでは、その固定構造が複雑となる。
(3) 後煽り103を図13の倒伏状態から立起させるときに、アーム104の前端部でスライダー105を前方に押し移動させる必要から、アーム前端部の枢支部(支軸112部分)を後煽り倒伏状態におけるアーム後端部の枢支部(支軸111部分)より高位置に設ける必要があるが、このようにアーム前端部の枢支部(支軸112部分)を高位置に位置させると、図13に示す後煽り倒伏状態において、アーム104やスライダー105に設けているブラケット152等が後煽り103の上面103aより上方に突出して、その上方突出部分が邪魔になったり積み降ろし荷物が干渉する虞れがある。
(4) 立起姿勢にある後煽り103を後傾操作するまではロック解除レバー108をロック解除位置に保持しておく必要があるが、ロック解除レバー108が荷台102部分に設置されている(後煽り3から離れている)ので、後煽り103を立起姿勢から倒伏姿勢に移行させるのに、ロック解除レバー108を操作する作業員と後煽り103を支持及び倒伏させる作業員の二人が必要である。
そこで、本願発明は、荷台移動式運搬車の後煽り支持装置において、後煽りを起伏自在に支持するための支持構造を簡単にするとともに、後煽りを倒伏させた作業姿勢状態で後煽り支持部材(アーム)が荷台上面及び後煽り上面より上方に突出しないようにすることを第1の目的とし、さらに後煽りを立起状態から倒伏させるのに一人の作業員で行えるようにすることを第2の目的としてなされたものである。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、荷台を後方移動及び後傾させ得るとともに荷台の後端部に後煽りを起伏自在に枢支した荷台移動式運搬車において、後煽りを立起状態で姿勢保持するための後煽り支持装置を対象にしたものである。尚、以下の説明において、荷台の後端部を単に荷台後端部と称することがある。
本願発明で使用される荷台移動式運搬車は、運搬車の荷台後端部に後煽りを起伏自在に枢支したものである。尚、以下の説明において、「前」とは車両の前方向のことであり、「後」とは車両の後方向のことである。
荷台は、運搬車のフレームに対して後方移動及び後傾し得るもので、作業姿勢状態では荷台後端部が接地するようになっている。又、後煽りは、荷台後端部が接地した状態で、後方に倒伏させることにより作業姿勢状態にすることができる。尚、上記作業姿勢状態とは、荷台が後方移動及び後傾して荷台後端部が接地し、さらに後煽りが後方に倒伏(後煽り後端部が接地)した荷物載せ降ろし可能状態のことである。
又、この作業姿勢状態では、後煽り上面と荷台上面とがほぼ同一面状に連続するようになっている。尚、この作業姿勢状態において、後煽り上面と荷台上面とが微小な角度を持つことは許容範囲のことである。
本願発明は、上記の荷台移動式運搬車において、後煽りを立起状態で姿勢保持するための後煽り支持装置を対象にしたものであるが、この後煽り支持装置は、後煽りを荷台に対して立起状態で姿勢保持する姿勢保持装置を備えている。尚、後煽りの立起状態とは、側面視において後煽りが荷台に対して上向きの角度約90°方向に向く姿勢のことである。
そして、本願発明の後煽り支持装置における上記姿勢保持装置は、次の各構成を有している。即ち、この姿勢保持装置は、上下いずれか一方の端部が荷台側部に枢支されて上下他端側が前後に揺動自在なリンクと、該リンクの上記他端側の端部と後煽りの側部とを連結しているアームと、後煽りの立起状態でリンクの揺動を禁止するロック装置と、該ロック装置をロック解除するためのロック解除レバーとを備えている。尚、以下の説明において、リンクの上記他端側の端部を揺動側端部ということがある。
上記リンクは、荷台後端部から所定距離だけ前方に離間した位置において、上下いずれか一方の端部を荷台側部に枢支している。尚、リンクの枢支部は、該リンクの上端部でも下端部でもよい。そして、このリンクは、後煽りが倒伏動作するときにリンクの反枢支側(自由端側)が後方に揺動するが、後煽りの最終倒伏状態において該リンクの全体が荷台上面より上方に突出しないように位置させている。
上記アームは、その後端部が後煽りの側部に枢支されている一方、その前端部がリンクの揺動側端部に枢支されている。アーム後端部は、後煽り側部における後煽り起伏中心から所定距離だけ離間した位置に枢支されている。尚、アーム前端部が枢支されているリンクの揺動側端部(上記他端側の端部)とは、該揺動側端部の近傍位置を含むものである。
そして、このアームは、後煽りが立起状態では後方側に上り傾斜姿勢となっているが、後煽りが倒伏状態では側面視において荷台及び後煽りとほぼ平行姿勢となって、該アームが荷台上面及び後煽り上面より上方に突出しないようになっている。
上記ロック装置は、後煽りの立起状態でリンクの揺動を禁止するものであるが、リンクに対してロック及びロック解除できるものであれば適宜の構成のものが採用できる。例えば、このロック装置としては、リンク側に設けた受けピンに対して荷台側に設けたフック部材を係脱させ得るようにしたものが採用できる。
上記ロック解除レバーは、ロック装置をロック解除操作できるものであれば適宜の構成のものが採用できる。このロック解除レバーの設置位置は、この請求項1では、荷台側と後煽り側のいずれか一方でもよいが、荷台側と後煽り側の両方に設けてもよい。尚、ロック解除レバーを荷台側と後煽り側の両方に設けたものでは、どちらのロック解除レバーでもロック装置をロック解除できるようにする。
この姿勢保持装置を構成する各部材は、荷台及び後煽りの車幅方向(以下、左右ということがある)にそれぞれ一対ずつ有しているとともに、左右一方のロック解除レバーを操作することで左右の両ロック装置を同時にロック解除させることができるようになっている(詳細は後述の実施例を参照)。
又、本願発明では、ロック解除レバーを後煽りの側面に設けている。このように、ロック解除レバーを後煽りの側面に設けたものでは、ロック解除レバーの設置位置とロック装置の設置位置とが離間しているので、該ロック解除レバーとロック装置(フック部材)とをワイヤーケーブルで連結しておく。
本願発明の後煽り支持装置は、次のように機能する。
まず、後煽りの不使用時には、後煽りが荷台後端部において立起状態にあるが、この後煽りが立起状態にあるときには、ロック装置でリンクの揺動を禁止していることにより、アームを介して後煽りを立起姿勢のまま維持させている。
他方、荷台上に荷物(主として被運搬車両)を載せ降ろしする際には、荷台を後方移動及び後傾させた状態(後煽りは立起状態のまま)で、ロック解除レバーを操作する。すると、ロック装置がロック解除されてリンクが前後揺動可能となり、そのロック解除状態で立起状態にある後煽りを作業員が手動操作で後方に倒伏させる。このとき、後煽りの倒伏動作に伴ってアームも後方側に倒伏していくとともに、アーム前端部が後方に移動することにより、アーム前端部を枢支しているリンクの揺動側端部が後方に引かれて、該リンクがリンク枢支部を中心にして後側に揺動するようになる。そして、後煽りの後端部が接地した作業姿勢状態(荷物載せ降ろし可能状態)では、荷台上面と後煽り上面とがほぼ同一面状に連続しており、さらにアームは荷台側部及び後煽り側部に跨がった位置において横倒し姿勢となっている。
このように後煽りの倒伏状態では、リンクの揺動側端部は荷台側部において荷台上面より下方に位置しており、他方、アームは後煽りの側部とリンクの揺動側端部(荷台上面より下方に位置している)とを連結しているので、後煽りの倒伏状態では、リンク全体及びアーム全体が共に荷台上面及び後煽り上面から上方に突出しないようになっている。
又、本願発明の後煽り支持装置では、ロック解除レバーを後煽りの側面に設けているので、後煽りを立起状態から倒伏させる際に、ロック装置のロック解除操作と後煽りの倒伏操作とを一人の作業員により同位置で行える。即ち、後煽りの立起状態で、一人の作業員の片方の手でロック解除レバーをロック解除操作し、そのロック解除状態を維持したまま同一作業員の他方の手を後煽りに添えて該後煽りを倒伏操作することができる。尚、後煽りを立起状態から倒伏側に所定角度傾動させると、ロック解除レバーから手を離してもロック装置がロックされることがなくなり、後は後煽りに両手を添えて倒伏操作することができる。
又、ロック解除レバーは、後煽りの側面に設けることにより、後煽りを倒伏させた状態で該後煽りの上面から上方に突出しないように設置することができる。従って、ロック解除レバーを後煽り側に設けたものでも、後煽りの倒伏姿勢(作業姿勢)において該ロック解除レバーが邪魔になりにくい。
尚、本願発明の後煽り支持装置では、上記ロック解除レバーを後煽りの側面部分のほかに荷台側にも設けることができる。
本願発明の後煽り支持装置では、荷台側部にリンクの上下いずれか一方の端部を枢支し、該リンクの他端側の端部(揺動側端部)と後煽りの側部とをアームで連結することで、後煽りの起伏動に伴うアーム前端部の前後動をリンクの前後揺動により可能にしている。
従って、本願発明の後煽り支持装置では、後煽り起伏動に伴うアーム前端部の前後動を許容するのに、リンクの揺動という簡単な構成で達成できるという効果がある。即ち、特許文献2の後煽り支持装置のように、アーム前端部の前後動を許容するのにスライダーとガイドレールを使用したものに比して、部品点数を少なくできる(1つのリンクだけでよい)とともに、取付構造が簡単となる(リンクの一端部を枢支するだけでよい)。
又、本願発明の後煽り支持装置では、アームの前端部を連結しているリンクが荷台側部において前後に揺動するので、後煽りを倒伏させた状態ではリンク及びアームが荷台上面及び後煽り上面より上方に突出しなくなり、該リンク及びアームが邪魔にならないとともに、荷物積み降ろし時に積み降ろし荷物がリンク及びアームに干渉しないという効果がある。
さらに、本願発明の後煽り支持装置では、ロック解除レバーを後煽りの側面に設けているので、後煽りを立起状態から倒伏させる際に、一人の作業員が片方の手でロック解除レバーをロック解除操作したまま他方の手を後煽りに添えて該後煽りを倒伏操作することができる。
従って、本願発明の後煽り支持装置では、後煽りの倒伏操作を一人の作業員で行える(作業人員を削減できる)とともに、ロック解除操作と同時に作業員が後煽りに手を添えることができるので、後煽りを安全に倒伏させることができるという効果がある。
又、本願発明の後煽り支持装置では、ロック解除レバーのロック解除操作と後煽りの倒伏操作とを一人で行えるので、後煽り倒伏操作時にロック解除レバーをロック解除操作しているかどうかを特別に確認することなく(自分でロック解除操作するので自明である)直ちに後煽りの倒伏操作を行うことができる(倒伏操作開始までの時間を短縮できる)という効果もある。
以下、図1〜図10を参照して本願の実施例を説明すると、図1〜図8には本願第1実施例の後煽り支持装置を装備した荷台移動式運搬車を示しており、図9〜図10には本願第2実施例の後煽り支持装置を装備した荷台移動式運搬車(第1実施例の図3及び図8相当図)を示している。
まず、各実施例の後煽り支持装置を装備している荷台移動式運搬車の基本構成について説明すると、図1に示す荷台移動式運搬車は、主として車両を運搬するための車両運搬車として使用されるものである。尚、以下の説明において、「前」とは運搬車1の前側のことであり、「後」とは運搬車1の後側のことである。又、左右とは運搬車1を後方から見たときの左右のことである。
図1の荷台移動式運搬車は、運搬車1のシャシフレーム11(実際にはシャシフレーム11上に設けたサブフレーム12)上に積込み車両を載せる荷台2を設置しているとともに、荷台2の後端部(以下、これを単に荷台後端部ということがある)21に後煽り3を起伏自在に枢支して構成されている。
尚、荷台2は、図5及び図6に示すように、載せ台部22の左右側部にそれぞれ側板23,23を有している。荷台後端部21の下面には、左右方向(車幅方向)の両端部位置にそれぞれ接地ローラ24,24(図4参照)が取付けられている。
後煽り3は、図4及び図5に示すように、左右一対の道板31,31を連結材32,33で一体化させたものである。そして、この後煽り3は、その基端部側の連結材32を荷台2の後端部21に複数個(4箇所)の支軸34,34・・で枢支して、図3に示す立起姿勢と図8に示す倒伏姿勢との間で起伏させ得るようにしている。
この実施例で使用している荷台移動式運搬車は、図2に示すように、サブフレーム12の後端部に枢支された傾斜フレーム15を傾動装置13で後傾させ得るようにしている一方、荷台2を伸縮シリンダ16で傾斜フレーム15に沿って前後動させ得るようになっている。
傾斜フレーム15は、サブフレーム12の後端部に支軸18で枢支されていて、図1に示すようにサブフレーム12と平行な倒伏姿勢と図2に示す後傾姿勢の間で傾動し得るようになっている。
荷台2は、傾斜フレーム15に対して前後動自在に組付けられている。又、この荷台2は、その前端部の一点でのみ傾斜フレーム15にガイドされていて、荷台2が最大後方移動した状態では、図2に示すように傾斜フレーム15に対して荷台2が鈍角状に角度をもつようになっている。
後煽り3は、荷台後端部21において起伏自在に取付けられている。そして、後煽り3の不使用時には、後述する後煽り支持装置により荷台2に対して立起姿勢に維持されている一方、使用時には図2に鎖線図示(符号3′)するように後方に倒伏させ得るようになっている。
伸縮シリンダ16は、傾斜フレーム15に対して平行姿勢を維持した状態で伸縮動するものである。
傾動装置13は、伸縮シリンダ16と、ガイドレール14と、伸縮シリンダ16のチューブに取付けられていてガイドレール14に沿って移動するローラ17とを有している。
傾斜フレーム15の後端部には、支持脚19が取付けられている。この支持脚19は、図2に示すように傾斜フレーム15が後傾したときに接地して傾斜フレーム15の後端部を支持するものであるが、傾斜フレーム15の最大後傾状態では支持脚19が前方に傾動して傾斜フレーム後端部を比較的低位置で支持するようになっている。
この実施例で使用している荷台移動式運搬車は、図1の荷台格納状態から伸縮シリンダ16を伸長させていくと、傾動装置13のローラ17がガイドレール14に沿って後方に移動することで傾斜フレーム15を後傾させていくとともに、荷台2を傾斜フレーム15に対して後方にスライドさせていく。そして、伸縮シリンダ16の最伸長状態では、傾斜フレーム15が最大後傾し(そのとき支持脚19が前傾姿勢で接地する)、且つ荷台2の前端部が傾斜フレーム15の後端部付近に位置することで、荷台2が緩傾斜角姿勢(荷台傾斜角が地面に対して約2〜3°)で接地する。その後、立起状態にある後煽り3を後方に倒伏させる(符号3′)ことで、後煽り3を介して荷台2上に被運搬車両を載せ降ろしできるようになる。
尚、図1及び図2に示す荷台移動式運搬車(支持脚19を含む)の基本構成は、本願の「後煽り支持装置」とは直接関係のないものであるので、ここでは詳細な説明を省略するが、この荷台移動式運搬車の詳細は、特開2010−58776号公報に詳しく記載している。
この種の荷台移動式運搬車には、後煽り3の不使用時に該後煽り3を立起状態で姿勢保持しておくための後煽り支持装置が装備されているが、次に図1〜図8に示す第1実施例の後煽り支持装置と、図9〜図10に示す第2実施例の後煽り支持装置についてそれぞれ説明する。
[図1〜図8に示す第1実施例の後煽り支持装置]
この第1実施例の後煽り支持装置は、図3〜図8に拡大図示しているように、後煽り3を荷台2に対して立起状態で姿勢保持する姿勢保持装置4を備えている。
この第1実施例で使用されている姿勢保持装置4は、上端部が荷台側板23に枢支されて下部側が前後に揺動自在なリンク5と、リンク5の下端部と後煽り3の側部35とを連結しているアーム6と、後煽り3の立起状態でリンク5の揺動を禁止するロック装置7と、ロック装置7をロック解除するためのロック解除レバー8A,8Bとを備えている。
尚、この実施例では、ロック解除レバー8A,8Bは、後述するように荷台2側と後煽り3側とにそれぞれ設けている。
この姿勢保持装置4(リンク5、アーム6、ロック装置7、ロック解除レバー8A,8B)は、図4及び図5に示すように荷台2の後部寄り位置に左右一対設けているが、リンク5、アーム6、ロック装置7、及び各ロック解除レバー8A,8Bは、それぞれ左右同形であるので一方(左側)のものについて説明する。
リンク5は、図4及び図6に示すように、比較的短かい長さの2本のバー材5a,5aを左右に小間隔をもって配置したものを使用している。そして、このリンク5は、荷台後端部21から所定距離だけ前方に離間した位置において、リンク上端部を支軸51で荷台2の側板23に枢支してリンク下部側が前後に揺動し得るように設置されている。
このリンク5は、図3に示す後煽り立起状態では鉛直方向に向く姿勢でリンク上端部が荷台2の上面2aと同高さに位置している。そして、後煽り3が倒伏動作するときにリンク5の下部側が後方に揺動するが、後煽り3の最終倒伏状態(図8)においてもリンク5の全体が荷台上面2aより上方に突出しないようになっている。
アーム6は、所定長さを有したバー材を使用している。そして、このアーム6は、アーム後端部が後煽り3の側部35における後煽り起伏中心(支軸34)から所定距離だけ離間した位置に支軸61で枢支されている一方、アーム前端部がリンク5の下端部に支軸62で枢支されている。
そして、このアーム6は、後煽り3が立起状態(図3)では後方側に上り傾斜姿勢となっているが、後煽り3が倒伏状態(図8)では側面視において荷台2及び後煽り3の側部においてほぼ平行姿勢となって、該アーム6が荷台上面2a及び後煽り上面3aより上方に突出しないようになっている。
ロック装置7は、後煽り3の立起状態(図3〜図6)でリンク5の揺動を禁止するものであるが、この実施例のロック装置7は、リンク5側に設けた受けピン70に対して荷台側板23に設けたフック部材71のフック72を係脱させ得るようにしたものを採用している。
リンク5側の受けピン70は、2本のバー材5a,5aの上下中間位置に前方向きに突出させた2つの突出部52,52の先端部間に設けている。
フック部材71は、リンク5の左右バー材5a,5a間の間隔内に進入し得る厚さの板材が使用されている。そして、このフック部材71は、支軸75で荷台側板23に枢支されていて、該フック部材71を揺動させることによりフック72をリンク5側の受けピン70に対して係脱(ロック又はロック解除)させ得るようになっている。
フック部材71の上部には、ロック解除レバー8Aが一体的に設けられている。このロック解除レバー8Aは荷台側ロック解除レバーとなるもので、該荷台側ロック解除レバー8Aを上動操作することで直接フック部材71のフック72をリンク5側の受けピン70に対して係止解除させ得るようになっている(図7参照)。尚、この第1実施例では、リンク5の下部側が後方に揺動するときにリンク5の受けピン70が後方側の斜め下方に弧回動する関係で、フック部材71のフック72を受けピン70に対して上部側から係止させるようにしている。
フック部材71の下部には下向きに突出する突部(以下、これを下向き突部という)74が設けられており、この下向き突部74をスプリング76で前方側に付勢していることで、フック72をリンク5の受けピン70に対して係止状態に維持させるようになっている。尚、このフック部材71の上部寄り後面には、図3及び図6に示すロック状態からフック72がさらに下動側(ロック方向側)に回動するのを禁止するためのストッパー10が当てがわれている。
そして、このフック部材71は、図7に示すようにロック解除レバー8Aを引き上げるとフック72が受けピン70に対してロック解除位置に弧回動し、リンク5が鎖線図示(図7の符号5′)するように後方側に揺動可能となる。又、フック部材71がロック解除状態(図7)でロック解除レバー8Aから手を離すと、スプリング76の付勢力によって自動的に元のロック位置まで戻るようになっている(フック部材71がストッパー10に衝合して、それ以上ロック側に回動しない)。
ところで、後煽り3の立起状態では、図3及び図6に示すように、フック部材71のフック72が受けピン70を係止していることでリンク5を介してアーム6が後方側に移動するのを禁止している(後煽り3が後方側に回動しない)が、該アーム6が前方側に移動するのを禁止する手段も必要となる。
そこで、この第1実施例では、後煽り3の立起状態(図3)において、アーム6の前端部6a(リンク5の下端寄り前面でもよい)に衝合するストッパー手段を設けている。このストッパー手段は、荷台側板23に固定された剛体ストッパー25の後面に弾性体からなる緩衝材9を取付けて構成されている。
そして、このストッパー手段の緩衝材9は、後煽り3の立起状態において、走行時に後煽り3が前後に振動する際のアーム6の前方側への押圧力を弾性的に吸収して、アーム前端部6aが衝合する部分のヘタリを防止し得るようにしている。又、アーム前端部6aを緩衝材9に衝合させることで、アーム前端部6aとストッパー手段との間のガタつきを防止できる。
この実施例では、フック部材71と一体化された上記の荷台側ロック解除レバー8Aのほかに、後煽り3(道板31)の側部にも別のロック解除レバー8Bを設けている。この後煽り側ロック解除レバー8Bは、道板31の側面における道板厚さの範囲内の位置で、道板外方側に操作し得るように設置されている。
又、この後煽り側ロック解除レバー8Bは、フック部材71に対してワイヤーケーブル81で連結している。即ち、このワイヤーケーブル81は、図6に明示するように、一端を後煽り側ロック解除レバー8Bに連結している一方、他端をフック部材71の下向き突部74の下端部に連結している。
そして、この後煽り側ロック解除レバー8Bを図4に鎖線図示(符号8B′)するように外側に引くと、ワイヤーケーブル81を介してフック部材71の下向き突部74が後方側に引かれて、該フック部材71が図7に示すようにロック解除位置に回動するようになる。従って、フック部材71は、それに一体化している荷台側ロック解除レバー8Aと後煽り側ロック解除レバー8Bのどちらでもロック解除操作できるようになっている。
尚、この実施例では、ロック解除レバーとして荷台側ロック解除レバー8Aと後煽り側ロック解除レバー8Bの2つを採用しているが、本願発明では、後煽り側ロック解除レバー8Bが必須であるが、荷台側ロック解除レバー8Aを削除してもよい。
姿勢保持装置4を構成する上記の各部材(リンク5、アーム6、ロック装置7、ロック解除レバー8A,8B)は、荷台2及び後煽り3の車幅方向両端部にそれぞれ一対ずつ有している。そして、両側の各ロック装置7,7は、同時にロック又はロック解除させる必要があるが、そのために各側のフック部材71,71を2本のワイヤーケーブル82,83でタスキ掛け方式にて連結している(図5参照)。即ち、一方のワイヤーケーブル82は、その一端を一方(荷台後方から見て左側)のフック部材71における枢支部(支軸75)より上側位置に連結する一方、他端を他方(荷台後方から見て右側)のフック部材71における枢支部(支軸75)より下側位置に連結する。これとは逆に、他方のワイヤーケーブル83は、その一端を一方(荷台後方から見て左側)のフック部材71における枢支部(支軸75)より下側位置に連結する一方、他端を他方(荷台後方から見て右側)のフック部材71における枢支部(支軸75)より上側位置に連結する。
上記のように、左右各側のフック部材71,71を2本のワイヤーケーブル82,83で連結していると、左右いずれか一方のフック部材71がロック方向又はロック解除方向に作動したときに、それに連動して他方のフック部材71も同方向に作動させることができる。
この第1実施例の後煽り支持装置は、次のように機能する。
まず、後煽り3の不使用時(図1の荷台格納状態)には、後煽り3が荷台後端部21において立起状態(図3の状態)にあるが、この後煽り3が立起状態にあるときには、左右のロック装置7,7がそれぞれロック状態にあるので、左右の各リンク5,5及び左右の各アーム6,6を介して後煽り3を立起姿勢のまま維持させている。
又、この後煽り立起状態では、各フック部材71がそれぞれスプリング76によってロック方向に付勢されているので、走行時に後煽り3が振動しても不用意にロック解除されることがない。
さらに、後煽り立起状態では、アーム6の前端部6aがそのストッパー手段の緩衝材9に衝合しているので、走行時の後煽り3の振動によるアーム6の前方側への押圧力を緩衝材9で弾性的に吸収できる。従って、該緩衝材9により、アーム先端部6aが衝合するストッパー手段のヘタリを防止でき、さらにアーム前端部6aとストッパー手段との間のガタつきを防止できる。
荷台2上に荷物(主として被運搬車両)を載せ降ろしする際には、図2に示すように荷台2を後方移動及び後傾させた状態(後煽り3は立起状態のまま)で、4つのロック解除レバー(8A,8B)のうちのいずれか1つ(8A又は8B)をロック解除操作する。
すると、左右の各ロック装置7(フック部材71)が同時にロック解除されて各リンク5が前後揺動可能となり、そのロック解除状態で立起状態にある後煽り3を作業員が手動操作で後方に倒伏させる。尚、ロック解除レバー(8A又は8B)をロック解除操作した状態(図7の状態)で、後煽り3を立起状態から所定角度だけ後方に傾動させると、リンク5の受けピン70がロック不能位置まで後方移動し、その後はロック解除レバーから手を離しても(フック部材71がスプリング76の付勢力により元のロック可能位置に戻る)、フック部材71(フック72)で受けピン70がロックされることがない。
後煽り3を倒伏操作すると、それに伴って各アーム6も後方側に倒伏していくとともに、アーム前端部6aが後方に移動することにより、アーム前端部6aを枢支しているリンク5の下部側が後方に引かれて、該リンク5の下部側がリンク枢支部(支軸51)を中心にして後側に揺動するようになる。そして、後煽り3の後端部が接地した作業姿勢状態(図8の実線図示状態)では、荷台上面2aと後煽り上面3aとがほぼ同一面状に連続しており、さらにアーム6は荷台側部及び後煽り側部に跨がった位置において横倒し姿勢となっている。
このように後煽り3の倒伏状態では、リンク5の揺動側端部は荷台側部において荷台上面2aより下方に位置しており、他方、アーム6は後煽り3の側部35とリンク5の揺動側端部(荷台上面より下方に位置している)とを連結しているので、後煽り3の倒伏状態では、リンク5全体及びアーム6全体が共に荷台上面2a及び後煽り上面3aから上方に突出しないようになっている。
このように、本願第1実施例の後煽り支持装置では、後煽り起伏動に伴うアーム前端部6aの前後動を許容するのに、リンク5の揺動という簡単な構成で達成できる。即ち、アーム前端部6aの前後動を許容する構成として、1つのリンク5だけでよいので部品点数を少なくできるとともに、リンク5の上端部を枢支するだけでよいので取付構造が簡単となる。
又、この第1実施例の後煽り支持装置では、アーム6の前端部6aを連結しているリンク5の下部側が荷台側部において前後に揺動するので、後煽り3を倒伏させた状態ではリンク5及びアーム6が後煽り3の上面より上方に突出しなくなり、従ってリンク5及びアーム6が邪魔にならないとともに、荷物積み降ろし時に積み降ろし荷物がリンク5及びアーム6に干渉しない。
又、後煽り3を立起状態から倒伏させる際に、ロック状態にあるロック装置7を後煽り側ロック解除レバー8Bでロック解除操作する場合は、一人の作業員が片方の手で該後煽り側ロック解除レバー8Bをロック解除操作したまま他方の手を後煽り3に添えて該後煽り3を倒伏操作することができる。従って、後煽り側ロック解除レバー8Bでロック解除操作する場合は、ロック装置7のロック解除操作と後煽り3の倒伏操作を一人の作業員で連続して行える。
後煽り3の倒伏状態(ロック解除レバーの非操作状態)では、フック部材71がスプリング76の付勢力によって元のロック位置に戻っている。そして、倒伏状態にある後煽り3を立起させるには、該後煽り3を手動で上方に回動させる。そのとき、リンク5の受けピン70が前方移動してフック部材71のフック72の後端面に衝合するが、フック72の後端面は傾斜面73となっているので、該受けピン70の後方移動力でフック部材71を強制的にロック解除方向に回動させるようになり、ロック解除レバーを操作することなしに受けピン70を自動的にフック部材71のフック72でロックさせることができる。
[図9〜図10に示す第2実施例の後煽り支持装置]
この第2実施例の後煽り支持装置は、上記第1実施例で採用している姿勢保持装置4の変形例を示すもので、この第2実施例では、リンク5の枢支位置(支軸51の位置)を第1実施例のものとは上下逆にしたものである。
即ち、この第2実施例では、リンク5の下端部を荷台側板23の下面部に取付けたブラケット26に支軸51で枢支して、該リンク5の上部側が前後に揺動し得るようにし、該リンク5の上端部(揺動側端部)にアーム6の前端部を支軸62で枢支している。
リンク5は、図9に示す後煽り3の立起状態において、前方側に上り傾斜する姿勢で取付けている。この場合、リンク5の上部側が後方に揺動する際に、リンク5に設けている受けピン70がフック部材71によるロック位置から後方側の斜め上方に弧回動する。従って、この第2実施例のものでは、ロック装置7のフック部材71は、そのフック72をリンク5側の受けピン70に対して下面側から係止させる構造のものを採用している。
この第2実施例でも、フック部材71をロック方向に付勢するスプリング76を設けているが、このスプリング76は、フック部材71の枢支位置(支軸75)より上部位置を前方側に引っ張っている。
又、この第2実施例では、フック部材71のロック解除方向が図9における右回転方向であるので、後煽り3側のロック解除レバー8Bからのワイヤーケーブル81の前端部は、フック部材71における枢支部(支軸75)より上部位置に連結している。
この第2実施例の後煽り支持装置におけるその他の構成は、上記第1実施例のものとほぼ同様に構成されているので、第1実施例の説明を援用する。尚、第2実施例において、第1実施例の各部材と同じ部材には第1実施例のものと同符号を付している。
第2実施例の後煽り支持装置でも、図9に示す後煽り立起状態でリンク5がロック装置7(フック部材71と受けピン70)でロックされているので、後煽り3が立起状態で位置保持されている。
又、図9の立起状態から後煽り3を倒伏させるには、4つのロック解除レバー(8A,8B)のいずれか1つをロック解除操作することでロック装置7をロック解除し、そのロック解除状態で後煽り3を手動で図10に示す倒伏位置まで回動させる。
そして、この第2実施例の後煽り支持装置でも、上記第1実施例のものとほぼ同様の機能が得られるが、その機能の説明は第1実施例のものを援用する。