JP5535507B2 - 導電性粒子、及びその製造方法 - Google Patents
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また、バインダー樹脂などに混合され、例えば、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、異方性導電シートなどのACF(Anisotoropic Conductive Film:異方性導電膜)用導電材料として、広く用いられている。
酸化防止のために、ニッケルメッキの上に、更に金メッキを施す場合もあるが、こういったケースであっても、ニッケルメッキの割れや剥がれを金メッキが保護しきれず、ニッケルメッキ単独の場合と同様に、電気抵抗が増大することや絶縁性になることなどが問題であった。
即ち、本発明は、基材ポリマー粒子の有する良好な圧縮特性を保持し、圧縮変形を受けた後も導電性の低下が少なく、メッキ皮膜層により酸化防止効果、及びマイグレーション防止効果を有し、更に、粒子自体が導電性を有するため、前記メッキ皮膜層が剥がれた後でも電気抵抗が増大することや、絶縁性になることがなく、導通信頼性に優れた導電性粒子、及び該導電性粒子を製造するための導電性粒子の製造方法を提供することを目的とする。
<1> 基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調製する1次ドープ工程、該ポリマー/ヨウ素複合体に対し、金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調製する2次ドープ工程、該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する還元工程、を少なくとも含むことを特徴とする導電性粒子の製造方法である。
<2> 金属微粒子ドープ粒子を無電解メッキする無電解メッキ工程、を含む前記<1>に記載の導電性粒子の製造方法である。
<3> 1次ドープ工程が、基材ポリマー粒子を、少なくともヨウ素を含む溶液中に浸漬することにより行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<4> 1次ドープ工程が、超音波照射処理下で行われる前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<5> 1次ドープ工程が、0℃〜90℃の温度条件下で行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<6> 基材ポリマー粒子が、少なくとも一部架橋しており、粒子径が1μm〜100μmであり、粒子の変動係数(CV値)が10%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<7> 2次ドープ工程が、金属ヨウ化物コンポジットを、金属種を含む溶液中に浸漬することにより行われる前記<1>から<6>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<8> 2次ドープ工程が、超音波照射処理下で行われる前記<1>から<7>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<9> 2次ドープ工程が、0℃〜90℃の温度条件下で行われる前記<1>から<8>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<10> 金属種が、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、鉄、及びスズの少なくともいずれかである前記<1>から<9>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<11> 金属種を含む溶液が金属塩溶液であり、前記金属塩が、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び金属ヨウ化物、並びに、それらの配位化合物のいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法である。
<12> 前記<1>から<11>に記載の導電性粒子の製造方法により得られることを特徴とする導電性粒子である。
<13> 表面抵抗値が、105Ω以下である前記<12>に記載の導電性粒子である。
<14> 導電スペーサ、及び異方性導電フィルムの少なくともいずれかに用いられる前記<12>から<13>のいずれかに記載の導電性粒子である。
本発明の導電性粒子の製造方法は、基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調製する1次ドープ工程、該ポリマー/ヨウ素複合体に対し、金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調製する2次ドープ工程、該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する還元工程、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープ(添加)して、ポリマー/ヨウ素複合体を調製する工程である。
前記ポリマー/ヨウ素複合体とは、前記ポリマーに、ポリヨウ素あるいは分子状ヨウ素などのヨウ素成分が、分散・吸着し、包含されてなるものである。
前記基材ポリマー粒子の高分子材料としては、ヨウ素を包含可能な高分子化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩ビ樹脂、酢ビ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂などが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、架橋アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル重合体、ケイ素樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、架橋アクリル樹脂、ビニル重合体、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。
前記高分子材料は、1種単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記高分子材料の性質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性基、及び極性基のいずれかであることが、前記ヨウ素のドープ量を高めることができる点で好ましい。ただし、前記高分子材料の性質が、親水性基、及び極性基のいずれかでない場合であっても、アルカリ溶液で基材ポリマー粒子表面部を部分的に加水分解することで、ヨウ素親和性を付与し、ヨウ素ドープ量を高めることもできる。また、有機溶媒を混合した溶媒を使用し、その混合比を調整することによってもヨウ素ドープ量を高めることもできる。
前記アルカリ溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム水溶液などが挙げられる。
なお、本明細書中において、前記高分子材料は、前記アルカリ溶液で、部分的に加水分解したものも含まれる。
また、前記ヨウ素を包含可能な高分子化合物とは、前記ヨウ素成分が内部まで拡散し、かつ分子内に吸着、又は非共有結合で会合した構造をとりうる高分子化合物を意味する。
前記基材ポリマー粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合、シード重合、ソープフリー重合、分散重合、乳化重合、静電噴霧法、インクジェット法、マイクロチャンネル法などが挙げられる。また、市販品を用いることもできる。
前記シード重合とは、ポリスチレン、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの種を、水中に析出して均一な微小粒子を作り、前記微小粒子にモノマーを吸収、肥大化させた後、加熱して、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記ソープフリー重合とは、界面活性剤が存在しない条件で、主として過硫酸塩などの陰イオン性ラジカル重合開始剤を用いてシード粒子を形成し、このシード粒子にビニル系モノマーなどを吸収、重合し、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記分散重合とは、アルコールなどの有機溶媒中でシード粒子を形成し、このシード粒子にビニル系モノマーなどを吸収、重合し、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記乳化重合とは、均一な孔から均一なモノマー液滴を形成した後、加熱して粒子を得る、いわゆるメンブレン乳化分散や、SPG(シラスポーラスガラス)乳化により、液滴を形成した後、加熱硬化して、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記静電噴霧法とは、ポリマー溶液をシリンジに入れ、高電圧、及び圧力を加えて均一な液滴を作るとともに、溶媒を蒸発させ、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記インクジェット法とは、インクジェトでポリマー溶液を均一に液滴にすると同時に、溶媒を蒸発させて、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記マイクロチャンネル法とは、微小な特殊形状の孔からモノマーを出し、均一液滴を形成した後、加熱硬化して前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
これらの中でも、シード重合や、その他の重合方法で得た粒子を更に分級する方法が、均一な粒子径を得ることができる点で好ましい。
前記モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン誘導体、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、共役ジエン類、多官能性単量体などが挙げられる。
前記スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
前記不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリルなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸トリフルオロエチルなどが挙げられる。
前記共役ジエン類としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
前記多官能性単量体としては、例えば、2官能の、ブタンジオールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン;2官能以上の、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、テトラメチロ−ルプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、スペーサなどの圧縮強度を要求される場合には、2官能以上の単量体が、圧縮弾性を有しギャップを好適に維持できる点で好ましい。
一方、異方性導電材料のように圧縮変形させて導通を維持する場合には、2官能性単量体単独、若しくは2官能性単量体と単官能単量体との共重合が、粒子を柔軟に出来る点で好ましい。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物などが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、8,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
前記重合の温度としては、特に制限はなく、使用するモノマーの種類、重合開始剤などに応じて適宜選択することができるが、25℃〜100℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましい。
なお、前記懸濁重合のように、所望のCV値、即ち、粒度分布の変動係数が得られない場合や、所望の粒子径が得られない場合、分級操作により、前記粒度分布を調整することが必要である。
前記分級操作の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾式分級法、湿式分級法などが挙げられる。
前記乾式分級法としては、例えば、乾式サイクロンや風力を利用して分級を行う方法などが挙げられる。
前記湿式分級法としては、例えば、水ひ分級、湿式サイクロン、静電分級などの水中で行う方法が挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数平均粒子径が、0.5μm〜500μmが好ましく、1μm〜100μmがより好ましい。前記数平均粒子径が、0.5μm未満であると、後述する無電解メッキ工程において、前記基材ポリマー粒子の凝集が生じやすく、凝集を生じた前記基材ポリマー粒子から得られる導電性粒子は、粒子径の大きな巨大粒子になり、隣接電極間の短絡を引き起こす原因になる。また、粒子径精度より電極の精度のバラツキが相対的に大きく、導通信頼性が著しく低下する。前記数平均粒子径が、500μmを超える場合は、その用途が非常に限られる。
前記異方性導電材料は、一般に、電極の微小化、及び隣接電極間距離の低間隔化が進んでおり、粒子径も3μm以下の微小化の傾向にある。ただし、液晶以外のスペーサとして用いられる場合には、20μm〜50μm程度の大きな粒子を使用する場合もある。
前記粒子径を求める方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光学顕微鏡により測定する方法、電子顕微鏡により測定する方法、光散乱式粒度分布計により測定する方法、コールターカウンターにより測定する方法などが挙げられる。前記数平均粒子径は、これらの方法で測定した粒子径を、統計的に処理して求めることができる。
前記基材ポリマー粒子の粒子径のCV値(変動係数)は、その値が低い程、粒子径の変動は小さくなるため、全ての粒子に均一に圧力が加わることになり、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子は、著しく導通信頼性が高まる。
前記CV値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下が特に好ましい。前記CV値が10%を超えると、前記導電性微粒子が、相対向する電極間隔を任意に制御することが困難になる。
CV値(%)=(σ/Dn)×100%
前記計算式中、「σ」は粒子径の標準偏差(μm)を表し、「Dn」は数平均粒子径(μm)を表す。
前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT−W200J:島津製作所(株)製)に、前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(RS−232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の基材ポリマー粒子の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、基材ポリマー粒子の表面抵抗値とすることができる。
前記基材ポリマー粒子の強度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧縮変形強度を測定する方法、圧縮破壊荷重値を測定する方法などが挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の圧縮変形とは、圧縮荷重下における材料の変形をいい、前記基材ポリマー粒子の1個の粒子に、10gの荷重を加えて、粒子径が10%変形(以下、「10%圧縮変形」と称することがある。)した時の荷重値を、S10強度(10%圧縮強度)という。
S10=2.8×103P×1/πd2
前記平松式中、「S10」は、前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)、「P」は、前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)、「d」は、前記基材ポリマー粒子の半径(mm)を表す。
前記基材ポリマー粒子の圧縮破壊荷重値とは、圧縮荷重下において、前記基材ポリマー粒子の破壊が生じ始めた時の荷重値をいう。
前記圧縮破壊荷重値としては、300MPa〜3,000MPaが好ましく、40MPa〜1,500MPaがより好ましい。
前記圧縮破壊荷重値が300MPa未満であると、圧縮変形したときに前記基材ポリマー粒子が破壊し、導電材料としての機能を果たさなくなる。前記圧縮破壊荷重値が3,000MPaを超えると、スペーサとして使用する場合、カラーフィルターを破壊したり、低温時にLCD中に真空状態が発生するいわゆる低温発泡が発生しやすくなったりするため好ましくない。
前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率とは、前記基材ポリマー粒子を圧縮した後、荷重を減らしていく際の、荷重値と圧縮変形との関係をいう。
前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。前記圧縮回復率が20%未満であると、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子を圧縮した場合、変形しても元に戻らないため、温度変化によるICや端子、硬化したバインターなどの膨張、及び収縮に追従できず、接続不良を起こすことがある。
前記圧縮回復率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT−W200J:島津製作所(株)製)により測定することができる。
具体的には、前記基材ポリマー粒子を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除く際の終点を原点荷重値0.98mNとし、負荷、及び負荷除去における圧縮速度を0.284mN/秒として測定したときに、反転の点までの変位(L1)と、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位(L2)との差である復元量(L1−L2)と、反転の点までの変位である圧縮量(L1)との比(L1−L2)/(L1)に100を乗じて表した値を回復率(%)とすることができる。
即ち、下記計算式により求めることが出来る。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×100=100×(L1−L2)/L1
前記計算式中、「L1」は、反転までの変位(μm)、「L2」は、原点荷重値までの変位(μm)を表す。
前記ヨウ素は、少なくとも単体ヨウ素を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記ヨウ素の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。
前記ヨウ素が溶液の状態(以下、「ヨウ素溶液」と称することがある。)の場合、前記ヨウ素溶液中の単体ヨウ素の濃度としては、特に制限はなく、母材樹脂の種類や処理時間などに応じて適宜選択することができるが、0.01N〜10Nが好ましく、0.1N〜1Nがより好ましい。前記単体ヨウ素が0.01N未満であると、ヨウ素の侵入深さが不十分であったり、ドープ後に揮発などを通じてヨウ素の脱離などが生じやすくなったりすることがあり、前記単体ヨウ素が10Nを超えると、高分子鎖の分解や化学基としての付加反応が生じる可能性があるので不適である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨウ素化合物、有機化合物などが挙げられる。
前記ヨウ素溶液中に、前記ヨウ素化合物を添加すると、前記ヨウ素溶液中での前記単体ヨウ素の溶解性を調整でき、前記基材ポリマー粒子中にドープするヨウ素成分の量、及び状態を制御できる点で好ましい。
前記ヨウ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属ヨウ化物、無機ヨウ化物などが挙げられる。
前記金属ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ニッケルなどが挙げられる。
前記無機ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。
前記ヨウ素化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記ヨウ素溶液中の、前記ヨウ素化合物の濃度としては、特に制限はなく、前記単体ヨウ素の量などに応じて適宜選択することができるが、モル比で、ヨウ素の30倍以下の濃度が好ましく、ヨウ素の10倍以下の濃度がより好ましい。前記ヨウ素化合物が、モル比で2倍以下の濃度であると、前記単体ヨウ素の溶解性を調整することが困難であり、モル比でヨウ素の30倍の濃度を超えると、水溶液へのヨウ素の溶解は容易となるが、ヨウ素の樹脂内部への拡散性能が低下する。
前記ヨウ素が溶液である場合、前記ヨウ素溶液中に、前記有機化合物を添加することで、主に基材ポリマー粒子のヨウ素溶液に対する濡れ性の制御が可能である点で好ましい。
前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一価アルコール、多価アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの、水と任意に混合される有機溶媒などが挙げられる。
前記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
前記有機化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記有機化合物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶液の状態が好ましい。
前記有機化合物の水に対する添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。前記有機化合物が5質量%未満であると、前記基材ポリマー粒子に対する、ヨウ素の拡散性能が改善できず、90質量%を超えると、前記ヨウ素化合物の溶解度が低下する。
前記1次ドープ工程において、ヨウ素をドープする方法としては、前記基材ポリマー粒子がポリマー/ヨウ素複合体を形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法、ヨウ素溶液を噴霧する方法、ヨウ素蒸気に長時間曝露する方法、ヨウ素単体と混合して溶融・成型する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法が好ましい。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜90℃が好ましく、5℃〜30℃がより好ましい。
前記ドープする時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、ヨウ素をドープする条件としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、超音波照射処理条件下で行うことが、前記ポリマー微粒子に、均一にヨウ素をドープすることができる点で好ましい。
前記ポリマー/ヨウ素複合体に対し、金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調製する工程である。
前記金属ヨウ化物コンポジットとは、前記ポリマー/ヨウ素複合体中に、前記金属種が拡散し、前記ポリマー/ヨウ素複合体の構成要素であるポリヨウ素から分離したヨウ素イオンと、前記金属種とが反応して金属ヨウ化物を形成してなるものである。
なお、該金属ヨウ化物コンポジットは、同一の金属塩を、同一のポリマー/ヨウ素複合体にドープした場合においても、前記1次ドープ工程、及び前記2次ドープ工程における条件(例えば、ヨウ素のドープ量、金属種を反応させる量、処理時間、及び温度履歴、基材ポリマー粒子の粒子径、及び形状など)に応じて、外観や特性が異なるものが得られることがある。
前記金属種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、鉄、スズなどが挙げられる。
前記2次ドープ工程に用いられる金属種は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
なお、前記金属種は、金属イオンの状態であってもよい。
前記金属塩としては、水溶性金属塩であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、沈殿を生じないものが好ましく、例えば、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、金属ヨウ化物、並びに、それらの配位化合物などが挙げられる。
前記金属塩の溶液の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mol/L〜10mol/Lが好ましく、0.1mol/L〜1mol/Lがより好ましい。
前記溶液は、水と任意に混合される有機溶媒を含んでいてもよい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記2次ドープ工程において、金属種を反応させる方法としては、前記ポリマー/ヨウ素複合体が、金属ヨウ化物のコンポジットを形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法、金属種を含む溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜90℃が好ましく、30℃〜60℃がより好ましい。
前記ドープする時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記金属種を反応させる方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、超音波照射処理条件下で行うことが、前記金属ヨウ化物をより均一に形成させることができる点で好ましい。
前記1次ドープ工程におけるヨウ素のドープ、前記2次ドープ工程における金属種の反応、及び前記洗浄時の試薬溶液の、それぞれの濃度、温度、及び処理時間により、前記ポリマー/ヨウ素複合体の内部に析出した金属塩を再溶出することや、侵入深さに応じた最適な析出をすることができるため、前記金属ヨウ化物コンポジット表面の金属種の濃度を調整することができる。
ポリマー粒子内部に残存した未反応のヨウ素成分は、後述する還元工程後あるいは無電解メッキ工程後の金属相に影響を及ぼす可能性があるが、未反応ヨウ素成分はアセトンなどの有機溶媒を用いた洗浄、あるいは高温熱処理によって、ポリマー粒子内部から除去することが可能である。なお、熱処理においては、減圧下で行うほうが、より低温で効率よくヨウ素を揮発させることができるため効果的である。
前記還元工程は、前記金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する工程である。
前記基材ポリマー粒子の表面における金属の還元は、前記金属ヨウ化物コンポジットにおいて、還元剤による電子供与により、金属イオンが金属へと還元されること、これに伴いヨウ素イオンが水溶液中へ拡散してポリマー相から放出されることによって進行する。
前記還元を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
金属ヨウ化物は、通常、室温におけるイオン伝導性が極めて低く、高温条件下(例えば、ヨウ化銀の場合、約150℃以上)でなければイオン伝導が誘起されることはないが、前記金属ヨウ化物コンポジットを形成した場合は、転移点まで昇温することなく、室温においても比較的容易にイオンの伝導や拡散が生じる。このため、前記金属ヨウ化物コンポジットは、例えば、室温に近い温度においても(例えば、5℃〜30℃)に静置することにより、金属イオンが移動しやすいため、前記金属粒子へと還元される。
前記還元を行う時間としては、金属を還元することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記還元剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性過酸化水素水、水素化ホウ素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。
前記錯イオンを形成させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アンモニア性化合物、アミン類などの錯化剤を添加した水溶液に浸漬する方法などが挙げられる。
なお、前記金属ヨウ化物コンポジットは、過剰量の金属種が反応していることが好ましく、そのような前記ヨウ化物コンポジットとしては、例えば、2次ドープ後の洗浄時間を短縮するなどして調製することができる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無電解メッキ工程、成形工程、結晶化度制御、分子量制御、ブレンドによる異性化、架橋反応による粘性制御、熱処理、熱処理時の環境雰囲気、溶媒などによる膨潤処理などが挙げられる。これらの中でも、前記還元工程で得られた金属微粒子ドープ粒子を無電解メッキする無電解メッキ工程を更に含むことが好ましい。
前記無電解メッキ工程は、前記金属微粒子ドープ粒子を無電解メッキする工程である。
前記無電解メッキは、前記金属微粒子ドープ粒子の粒子表面に形成される、導電性のメッキである。
前記無電解メッキ工程により、非常に電気抵抗の低い導電性を有し、かつ酸化防止効果や、長時間の導通により金属イオンが移動し絶縁が必要な部分にまで汚染して絶縁不良を起こす、いわゆるマイグレーション防止効果を有する導電性粒子(以下、「メッキ層付き導電性粒子」と称することがある。)を得ることができる。
前記無電解メッキ工程に用いられるメッキ剤としては、導電性の材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、材料によってはメッキ皮膜層が硬くなりすぎて割れやすくなることがある。前記メッキ皮膜層が硬くなりすぎる材料としては、例えば、ニッケル、クロムなどが挙げられる。前記ニッケル、及びクロムを前記メッキ剤として用いた場合、皮膜層が硬いため、メッキ皮膜層の厚みを薄くしたとしても必要以上にメッキ皮膜層としての効果が現れ、皮膜強度が高くなり、メッキの割れや剥がれが発生しやすい傾向にある。
前記メッキ剤に用いる材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、スズ、アルミニウム、鉄などが好ましく、これらの中でも、微粒子の形状を維持した金属被膜が形成される点で、銅、パラジウムがより好ましい。
前記無電解メッキ工程に用いられるメッキ剤は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記メッキ剤の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。前記溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水とエタノールとの混合溶液が好ましい。前記水とエタノールとの混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水:エタノールが、1:4〜4:1(V/V)が好ましい。
前記水溶液中の前記メッキ剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記メッキ剤により、前記金属微粒子ドープ粒子にメッキする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法、前記メッキ剤を含む混合溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記メッキを行う時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1時間〜120時間が好ましく、メッキの均一性と生産性とを考慮すると、1時間〜24時間がより好ましい。
前記無電解メッキ皮膜層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記材料の中から選択した1種単独の層からなる一層構造(例えば、単一金属構造)であってもよいし、複数の材料(例えば、複数の金属層)からなる積層構造であってもよい。
前記皮膜層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm以上が好ましく、2nm〜100nmがより好ましく、3nm〜20nmが特に好ましい。前記皮膜層の厚みが1nm未満であると、メッキ皮膜層が欠如する部分が発生する可能性があるため導通信頼性を低下させる危険がある。前記皮膜層の厚みが100nmを超えると、従来の導電性粒子のメッキ皮膜層と同様の状態となり、メッキ皮膜層自体の強度が強くなりすぎ、大きく割れたり、剥がれやすくなったりする。
本発明の導電性粒子の製造方法により得られた、本発明の導電性粒子は、前記基材ポリマー粒子の表面が、金属微粒子により導電化された粒子である。
前記導電性粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、105Ω以下が好ましく、103Ω以下がより好ましい。
前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電圧縮試験により確認する方法などが挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の表面が、金属微粒子により導電化された導電性粒子は、その表面に、更に前記無電解メッキ工程により無電解メッキ皮膜層が形成された、メッキ層付き導電性粒子であることが好ましい。
前記メッキ層付き導電性粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、102Ω以下が好ましく、10Ω以下がより好ましい。
前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電圧縮試験により確認する方法などが挙げられる。
前記導電圧縮試験の概略を、図1を用いて説明する。微小圧縮試験機(例えば、MCT−W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電性粒子の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(RS−232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の導電性粒子2の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いることができる。
前記導電性粒子、及びメッキ層付き導電性粒子は、前記基材ポリマー粒子、前記金属ヨウ化物コンポジットの調製に用いられる前記金属種、及び前記無電解メッキに用いられる金属などの組合せや、前記基材ポリマー粒子の粒子径などに応じ、各種機能性材料として用いることができ、例えば、導電スペーサ、ACF用導電材料、電子ペーパー用導通材、ハンダボールなどに用いることができる。
<1次ドープ工程>
−基材ポリマー粒子−
導電スペーサの基材ポリマー粒子は、ハヤビーズL−11(早川ゴム(株)製)(粒子形状:球状)を用いた。
アクリル樹脂球の粒子径を、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)により30,000個の粒子を測定した後、付属のソフトを用いコンピューターで統計的に処理して数平均粒子計を求めたところ、5.11μmであった。
求めた数平均粒子径(μm)を「Dn」とし、粒子径の標準偏差(μm)を「σ」として、下記計算式より、粒子のCV値(変動係数)を求めた。
CV値(%)=(σ/Dn)×100%
アクリル樹脂球の粒子のCV値(変動係数)は、4.0%であった。
微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)に、前記アクリル樹脂の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(RS−232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂の圧縮を行い、アクリル樹脂が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を測定したところ、アクリル樹脂の表面抵抗値は、6.8×1015Ωであった。
微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂球の圧縮を行い、前記アクリル樹脂球が破壊したときの荷重値を測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値は、1,000MPaであった。
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記平松式により求めた。
S10=2.8×103P×1/πd2
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、650MPaであった。
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除き、その終点を原点荷重値0.98mNとして、負荷、及び負荷除去における圧縮速度を2.2mN/秒として測定した。
反転の点までの変位を「L1」とし、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位を「L2」として、下記計算式により求めた。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×100=100×(L1−L2)/L1
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、75%であった。
前記アクリル樹脂球3gを、1.5mol/Lヨウ素、及び5mol/Lヨウ化アンモニウムを溶解させた20mLの50質量%エタノール水溶液(以下、「ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」と称することがある。)に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。
10℃に保った前記ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液に、10分間〜20分間浸漬し、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、濾過しながら、50質量%エタノール水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球の内部や表面近傍に生成したヨウ素複合体を、2.5mol/L硝酸銀−50質量%エタノール水溶液に4日間浸漬することで金属種と反応させ、ヨウ化銀コンポジットを得た。
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化銀コンポジットを、50質量%エタノールで洗浄した後、更に、大気中で180℃にて72時間〜150時間加熱することにより、金属銀に還元し、粒子表面に銀微粒子を有する導電スペーサ用導電性粒子を得た。
−方法−
前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を、図1に示す導電圧縮試験により測定した。即ち、微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を測定するため、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(RS−232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の導電スペーサ用導電性粒子2の圧縮を行い、導電スペーサ用導電性粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いた。
実施例1で得られた導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値は、3.5×107Ωであった。
この結果より、実施例1で得られた導電スペーサ用導電性粒子は、基材ポリマー粒子であるアクリル樹脂の良好な圧縮特性を保持しており、なおかつ、粒子表面に形成された銀微粒子により、優れた導電性を有することが認められた。
したがって、本発明の導電性粒子は、高い信頼性を有する導電スペーサとして好適に用いることが可能と考えられる。
<1次ドープ工程>
−基材ポリマー粒子−
ACF用導電性粒子の基材ポリマー粒子は、以下の方法により製造したアクリル樹脂球状粉末を用いた。
即ち、分散重合において、エタノール180gにPVP(ポリビニルピロリドン)K−30((株)日本触媒製)9gを溶解した後、スチレンモノマー(東ソー(株)製)5gにアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製)0.05gを溶解した液を加え、窒素を吹き込みながら50rpm、80℃にて16時間撹拌することにより反応させ、ポリスチレン300nmの均一粒子分散液(ポリスチレン分散液)を得た。
次いで、1質量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を溶解した水50gに1−クロロドデカン5gを加え、超音波ホモジナイザで1時間分散処理することにより、分散液1を得た。
前記分散液1を前記ポリスチレン分散液に加え、50rpmで16時間常温撹拌して、ポリスチレン粒子に1−クロロドデカンを吸収させ、1−クロロドデカン吸収ポリスチレン粒子分散液を得た。
BPO(過酸化ベンゾイル)1gを、ポリエチレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)製)100gに溶解させ、1質量%SDSを溶解した水2,000gに加えて、高速ホモジナイザで30分間分散することにより、分散液2を得た。
前記分散液2に、前記1−クロロドデカン吸収ポリスチレン粒子分散液を加え、50rpm、常温にて16時間撹拌することにより、モノマーをポリスチレン粒子に吸収させた分散液3を得た。
前記分散液3を、50rpm、80℃にて24時間撹拌することにより反応させ、均一粒子径のアクリル樹脂球分散液を調製した。
前記アクリル樹脂球分散液を濾過し、純水で洗浄して更に濾過した後、乾燥させることにより、アクリル樹脂球粉末を得た。
アクリル樹脂球の数平均粒子径を実施例1と同様の方法で求めたところ、3.0μmであった。また、粒子のCV値(変動係数)は、4.0%であった。
アクリル樹脂球の表面抵抗値を実施例1と同様の方法で測定したところ、5.4×1015Ωであった。
アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値を実施例1と同様の方法で測定したところ、1gの圧縮で破壊しなかった。
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、試験荷重10gを加え、実施例1と同様の方法で測定したところ、50MPaであった。
アクリル樹脂球の圧縮回復率を実施例1と同様の方法で測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮回復率は、40%であった。
前記アクリル樹脂球2gを、ヨウ素0.5mol/L、ヨウ化カリウム2mol/Lを溶解させた50mlの水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))混合溶液に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。
50℃に保った溶液を、1時間超音波照射しながら、微粒子中へヨウ素の導入を行い、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、0.2質量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球ヨウ素複合体の表面に付着したヨウ素溶液を、0.1質量%の塩化パラジウムを含む0.15質量%塩化アンモニウム水溶液100mLに投入して、80℃、1時間の条件で、ヨウ素とパラジウムイオンを反応させて、ヨウ化パラジウムコンポジットを得た。
前記2次工程で得られた、ヨウ化パラジウムコンポジットを、0.025質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液で金属パラジウムに還元し、パラジウム微粒子ドープ粒子を得た。
前記還元工程で得られた、パラジウム微粒子ドープ粒子を、0.05mol/Lの硝酸銀を溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間〜120時間の反応条件で銀メッキ皮膜層を形成させた。
これらの粒子の中から、透過光による高倍率の光学顕微鏡下で観察することにより、黒く写った粒子をメッキ処理されていた微粒子として選択し、ACF用導電性粒子を得た。
−方法−
前記ACF用導電性粒子について、図1に示す圧縮導電試験により表面抵抗値の測定を行った。
圧縮導電試験は、微小圧縮試験機(MCT−W200J:島津製作所(株)製)に、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(RS−232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個のACF用導電性粒子2の圧縮を行い、ACF用導電性粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いた。
図1に、導電性粒子の圧縮導電性を測定する方法の概念図、図2に無電解メッキ前、還元工程後の導電性粒子の圧縮における変位、図3に無電解メッキ前、還元工程後の圧縮変位時に得られた抵抗値を示した。
実施例2で得られた無電解メッキ前、還元工程後の導電性粒子は、70%のACF用導電性粒子の表面抵抗値は2.0×102Ω以下、また30%の導電性粒子の表面抵抗値は1.0×102Ω以下の抵抗値を示し、優れた導電性を有することが認められた。
また、無電解メッキ後の導電性粒子は、変形率50%においてもメッキ皮膜層の破壊は生じず、基材ポリマー粒子の良好な圧縮特性を保持しており、メッキ皮膜層も良好な圧縮特性を有しているため、圧縮されても良好な導電性を保持したままであることが認められた。
したがって、本発明のメッキ層付き導電性粒子は、高い信頼性を有する異方性導電材料のとして好適に用いることが可能と考えられる。
また、本発明の導電性粒子は、導電スペーサ、及び異方性導電材料として好適に用いることができ、電気、電子機器、フラットパネルなどの導通確保による、機器の動作の信頼性を向上させることが可能である。
2 導電性粒子
3 金属性試料台
4 抵抗測定器
Claims (7)
- 基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調製する1次ドープ工程、
該ポリマー/ヨウ素複合体に対し、金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調製する2次ドープ工程、
該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する還元工程、
を少なくとも含み、
前記基材ポリマー粒子が、少なくとも一部架橋しており、粒子径が1μm〜100μmであり、粒子の変動係数(CV値)が10%以下である架橋アクリル樹脂であることを特徴とする導電性粒子の製造方法。 - 金属微粒子ドープ粒子を無電解メッキする無電解メッキ工程、を含む請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
- 1次ドープ工程が、ヨウ素と有機溶媒とを含有するヨウ素溶液に、基材ポリマー粒子を浸漬することにより行われる請求項1から2のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法。
- 金属種が、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、鉄、及びスズの少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法により得られることを特徴とする導電性粒子。
- 表面抵抗値が、105Ω以下である請求項5に記載の導電性粒子。
- 導電スペーサ、及び異方性導電フィルムの少なくともいずれかに用いられる請求項5から6のいずれかに記載の導電性粒子。
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