JP4852311B2 - 導電性粒子、異方性導電材料及び導電接続構造体 - Google Patents
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しかしながら、このような硬質導電性粒子を用いて基板同士の電気的接続を行った場合、硬質導電性粒子と電極面との接触が点接触であったため、温度変化があったときや高湿度の環境下等では、硬質導電性粒子と該硬質導電性粒子を接着、固定する接着剤との熱膨張率や弾性率が異なることから硬質導電性粒子と電極面との接触点を充分に確保することができず、充分な接続信頼性が得られないという問題があった。
しかしながら、柔軟導電性粒子を用いて基板同士の電気的接続を行った場合、接続時の温度や圧力が不充分であると、電極との充分な接触面積が確保できず、また、接合面積を大きくするため、接続時の温度や圧力を上げて柔軟粒子の変形を大きくすると、金属薄層が弾性粒子から剥離したり部分的に破壊したりする等して接続回路の周辺に飛散したり、微細回路の接続時に隣接電極との絶縁性が不充分となるといった問題が起こりやすく、接続時の温度や圧力の制御条件設定が極めて困難であるという問題があった。
しかしながら、これらの文献に開示された導電性粒子は、電極と粒子との接触面積は増加するものの、充分に軟質樹脂を変形させるために熱及び圧力をかけた際に、軟質樹脂とともに変形した金属薄層に回路面と平行な方向に割れが生じてしまい、充分な導通が確保できないことがあった。
以下に本発明を詳述する。
本発明の導電性粒子において、上記基材粒子は、硬質粒子と多孔質層とからなるものである。
上記硬質粒子は、本発明の導電性粒子を用いて回路電極同士等の電気的な接続を行った際に、2枚の電極間に挟持され、これら2枚の電極の間隔を規制し、適正な電極間距離を維持する役割を果たすものである。また、上記軟質層は、本発明の導電性粒子を電極同士等の電気的な接続を行うために2枚の電極間に挟持した際に、電極から受ける圧力により変形し、該軟質層と電極表面との間の導電層の電極表面に対する接触面積を大きくする役割を果たすものである。更に、上記導電層は、本発明の導電性粒子を用いて電極同士等の電気的な接続を行った際に、電極間の電気的接続を担保するものである。
図1に、硬質粒子の表面の全部に多孔質層が設けられた構造の本発明の導電性粒子の一例を模式的に示す断面図を示す。
なお、図1に示した導電性粒子10において、硬質粒子11と多孔質層12とは、その断面における中心が同一となった同心円状となっているが、本発明の導電性粒子は、図2に示す導電性粒子20のように、硬質粒子21の中心と多孔質層22の中心とは異なる位置、すなわち、硬質粒子21が多孔質層22の内部の一方に偏った位置に埋設された構造であってもよい。
なお、本明細書において、上記長軸方向の長さ(c)とは、図3に示したように、硬質粒子と多孔質層とからなる基材粒子の表面の2点間を結ぶ直線のうち、最長のものを意味する。
なお、図4は、図3に示した本発明の導電性粒子を用いて基板間の電気的接続を行う様子を模式的に示す断面図である。
また、シード重合法は、分級操作を必要とせず、単分散の粒子を得ることができるので、特定の粒子経の微粒子を大量に製造する目的に適する。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所製「PCT−200」等)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円柱からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で硬質粒子を圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:硬質粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:硬質粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:硬質粒子の半径(mm)
なお、軟化点とは、熱可塑性樹脂が加熱により塑性変形する温度のことをいう。
このように、上記硬質粒子と軟質層を構成する単量体との極性、界面張力等を適宜選択することにより、複合状態を制御可能である。
また、上記媒体中には、更に、補助安定剤、pH調整剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤等を通常懸濁重合法や乳化重合法において用いられる添加剤を加えてもよい。
上記非重合性有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−ヘキサン、n−オクタン、n−ドデカン等の飽和脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの非重合性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記導電層は、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム、珪素等の金属や、ITO、ハンダ等の金属化合物が挙げられる。
上記粒子状有機材料の粒子径は、上記硬質粒子の粒子径及び本発明の導電性粒子の用途によっても異なるが、上記硬質粒子の粒子径の1/10以下であることが好ましい。1/10を超えると、絶縁粒子の粒子径が大きくなりすぎて、本発明の導電性粒子を用いる効果が期待できなくなる。また、1/10以下である場合、ヘテロ凝集法により本発明の導電性粒子を製造する際に、効率よく導電層上に絶縁粒子を吸着させることができる。また、本発明の導電性粒子を異方性導電材料として用いる場合は、上記絶縁粒子の粒子径の好ましい下限は5nm、好ましい上限は1000nmである。5nm未満であると、隣接する導電性粒子間の距離が電子のホッピング距離より小さくなり、リークが起こりやすくなり、1000nmを超えると、熱圧着する際に必要な圧力や熱が大きくなりすぎることがある。より好ましい下限は10nmであり、より好ましい上限は500nmである。
なお、上記絶縁性有機材料が粒子状の場合、被覆面積は、粒子の投影面積をもって、被覆面積とする。
なお、本明細書において、異方性導電材料には、異方性導電膜、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等が含まれる。
このような本発明の導電性粒子を対向する基板間に配置し基板同士の電気的接続を行うと、基板から加えられる圧力により、上記多孔質層の基板と接触する部分は、多孔質層表面に設けられた導電層とともに変形し、基板表面と導電層とが面接触となり接触面積が増大する。このとき、多孔質層の基板と接触する部分で生じた変形は、その内部に存在する気孔により充分吸収されるため、上記基板と接する部分以外の部分の導電層には、上記多孔質層の変形に起因した基板面と平行な方向に割れが生じることがなく、基板同士の電気的接続を確実に確保することができる。
すなわち、本発明によると、接続信頼性に優れた導電性粒子、異方性導電材料及び導電接続構造体を提供できる。
(1)導電粒子[1]の作製
セバラブルフラスコ内に、ジビニルベンゼン15重量部、イソオクチルアクリレート5重畳部、及び、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重畳部を投入し、均−に攪拌混合した。
次に、ポリビニルアルコール(ゴーセノールGL−03、日本合成化学製)の3重量%水溶液20重量部及びドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部を投入し、均一に攪拌混合した後、イオン交換水140重量部を投入した。
次いで、窒素ガス気流下、この水溶液を攪拌しながら80℃で15時間重合反応を行って微粒子を得た。得られた微粒子を熱水及びアセトンで充分に洗浄した後、分級操作を行い、硬質粒子を作製した。得られた硬質粒子の平均粒子径は5μmであり、CV値は3.0%、10%K値は3000Mpaであった。
次に、反応系を窒素ガスで置換し、30℃で2時間攪拌を継続した。
次いで、反応系に1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液10重量部を添加し、5時間重合反応を行った後、反応液を取り出し、3μmのメンブランフィルターを用いて粒子と反応液とを濾別した。得られた粒子をTHF及びメタノールで充分に洗浄し、シェルシード粒子[1]を得た。得られたシェルシード粒子[1]の平均粒径は5.06μm(CV値は3.0%)であり、基材粒子の表面に厚さ0.03μmのシェルシード層を形成した。
また、別に、イオン交換水160重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(ライトアクリレート4EG−A、共栄社製)1.8重量部、ジビニルベンゼン1.8重量部、キシレン0.8重量部、過酸化ベンゾイル0.1重量部、及び、ドデシルスルホン酸ナトリウム1.2重量部をホモジナイザーで均一に乳化し、重合性単量体乳化液を得た。
次いで、攪拌速度を200rpmとした後、5%ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−20、日本合成化学製)水溶液50重量部を添加し、80℃に加熱することにより重合性液滴を重合させ、更に、95℃で加熱することにより、多孔質層有する複合粒子[1]を得た。
得られた複合粒子[1]の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、図1に示すように、硬質粒子の表面に多孔質層が設けられた構造であった。複合粒子[1]の粒径は7μm(CV値は3.0%)であった。複合粒子[1]の10%K値は1000Mpaであった。
次に、所定の方法に従って建浴、加温した無電解Niメッキ浴に浸漬し、Niメッキ層を形成した。
次に、ニッケル層の表面に無電解置換金メッキを行い導電層を形成して導電性粒子[1]を得た。得られた導電性粒子[1]の表面に設けられたNiメッキの厚みは90nmであり、金メッキの厚みは30nmであった。
バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製:「エピコート828」)100部及びトリスジメチルアミノエチルフェノール、トルエン100部を、遊星式攪拌機を用い、充分に分散混合させ、離型フィルム上に乾燥後の厚みが10μmとなるように一定の厚みで塗布し、トルエンを蒸発させ、導電性粒子を含有しない接着性フィルムを得た。
得られた導電性粒子[1]を含有する接着性フルムに導電性粒子を含有しない接着性フィルムを常温でラミネートすることにより、2層構造を有する厚さ17μmの異方性導電フィルム[1]を得た。
導電性粒子[2]の作製
硬質粒子として、実施例1と同様の粒子を用いた。
セパラブルフラスコに、イオン交換水80重量部、エタノール320重量部、ポリビニルピロリドン(K−30)0.5重量部、スチレン5重量部、及び、硬質粒子10重量部を秤量し、均一に攪拌混合して硬質粒子分散液を得た。
得られたシェルシード粒子について、粒度分布計(コールター社製)を用いて粒径測定を行ったところ、平均粒径は5.01μmであり、厚み50nmのシェルシード層が形成されていた。
また、別に、イオン交換水160重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(ライトアクリレート4EG−A、共栄社製)1.8重量部、ジビニルベンゼン1.8重量部、キシレン0.8重量部、過酸化ベンゾイル0.1重量部、及び、ドデシルスルホン酸ナトリウム1.2重量部をホモジナイザーで均一に乳化し、重合性単量体乳化液を得た。
次いで、攪拌速度を200rpmとした後、80℃に加熱することにより重合性液滴を重合させた。更に、100℃に加熱することにより、硬質粒子表面に多孔層を有する複合粒子[2]を得た。
得られた複合粒子[2]の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、図3に示すように、硬質粒子の表面の一部に軟質層が設けられた構造であった。軟質層部の見かけ直径は7.2μmであり、長軸方向の長さは10μmであった。また、軟質層部の10%K値は1000Mpaであった。
その後、実施例1と同様にして異方性導電フィルム[2]を調製した。
硬質粒子として、実施例1と同様の粒子を用いた。
セパラブルフラスコに、ポリエチレングリコールジアクリレート(ライトアクリレート4EG−A、共栄社製)1重量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学)及びポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)2重量部、過酸化ベンゾイル0.1重量部をメタノール200部へ添加し、均一に攪拌混合して、50度で5時間反応させることで、粒径550nmの柔軟粒子を得た。
得られた複合粒子[3]について、脱脂、センシタイジング、アクチベイチングを行い硬質粒子及び軟質層の表面にPd核を生成させ、無電解メッキの触媒核とした。
次に、所定の方法に従って建浴、加温した無電解Niメッキ浴に浸漬し、Niメッキ層を形成した。
次に、ニッケル層の表面に無電解置換金メッキを行い導電層を形成して導電性粒子[3]を得た。得られた導電性粒子の表面に設けられたNiメッキの厚みは90nmであり、金メッキの厚みは30nmであった。
その後、実施例1と同様にして異方性導電フィルム[3]を調製した。
実施例1、2及び比較例1で得られた異方性導電フィルム[1]〜[3]について、ITO電極(幅100μm、高さ0.2μm、長さ2cm)を有したガラス基板(幅1cm、長さ2.5cm)の一方に、異方性導電フィルムを5×5mmに切断し、ほぼ中央部に貼り付けた後、同じITO電極を有したガラス基板を互いの電極が90度に重なるように位置合わせを行って貼り付けた。ガラス基板の接合部を120℃、200Nの圧力下、30秒間熱圧着した後、4端子法により抵抗値を測定し、5Ω以下の割合を求めた。本試験はn=20で行った。なお、接合した電極間のギャップは5μmであった。
11、21、31 硬質粒子
12、22、32 多孔質軟質層
13、23、33 導電層
40 基板
Claims (5)
- 基材粒子と前記基材粒子の表面に形成された導電層とからなる導電性粒子であって、前記基材粒子は、硬質粒子と前記硬質粒子の表面に形成された多孔質層とからなり、前記多孔質層は、熱可塑性樹脂からなり、前記多孔質層の10%K値が前記硬質粒子の10%K値の1/2以下であることを特徴とする導電性粒子。
- 多孔質層は、硬質粒子の表面の全部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の導電性粒子。
- 多孔質層は、比表面積が1〜100m2/gであることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性粒子。
- 請求項1、2又は3記載の導電性粒子が絶縁性のバインダー樹脂中に分散されていることを特徴とする異方性導電材料。
- 請求項1、2若しくは3記載の導電性粒子、又は、請求項4記載の異方性導電材料により導電接続されてなることを特徴とする導電接続構造体。
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