JP5511513B2 - 導電性粒子の製造方法及びそれによって製造した導電性粒子 - Google Patents
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基材ポリマー粒子に対して、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調整する1次ドープ工程と、該ポリマー/ヨウ素複合体に対して金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調整する2次ドープ工程と、該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へと還元し、基材ポリマー表面にメッキ膜の核となる金属微粒子を点在させる還元工程と、還元工程で得られた基材ポリマー粒子表面に点在する金属を核としてメッキ膜を成長させる無電解メッキ工程、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープ(添加)して、ポリマー/ヨウ素複合体を調製する工程である。本発明で言うポリマー/ヨウ素複合体とは、ポリマーにポリヨウ素が分散・吸着し、包含されてなるものである。特許文献3記載のように、例えば、ポリマーの分子間の水素結合によりポリヨウ素が包摂されている構造や、分子鎖又は側鎖上のアミド基等を配位座としてポリヨウ素が配位した構造や、結晶等の分子鎖の凝集によって分子鎖間に配位座が形成されるもの、単分子鎖であっても分子鎖上の極性基の配列やらせん構造のピッチ変化によって配位座が形成されるものが挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の高分子材料としては、ヨウ素を包含可能な高分子化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、懸濁重合、シード重合、ソープフリー重合、分散重合、乳化重合、静電噴霧法、インクジェット法、マイクロチャンネル法などが挙げられる。また、市販品を用いることもできる。
前記モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン誘導体、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、共役ジエン類、多官能性単量体などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物などが挙げられる。前記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、8,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。前記アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
前記重合の温度としては、特に制限はなく、使用するモノマーの種類、重合開始剤などに応じて適宜選択することができるが、25℃〜100℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましい。
なお、前記懸濁重合のように、所望のCv値、すなわち、粒度分布の変動係数が得られない場合や、所望の粒子径が得られない場合、分級操作により、前記粒度分布を調整することが必要である。前記分級操作の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、乾式分級法、湿式分級法などが挙げられる。前記乾式分級法としては、例えば、乾式サイクロンや風力を利用して分級を行う方法などが挙げられる。前記湿式分級法としては、例えば、水ひ分級、湿式サイクロン、静電分級などの水中で行う方法が挙げられる。前記製造方法により得られた基材ポリマー粒子が、本発明の導電惟粒子の製造に用いる基材ポリマー粒子として適当か否かは、得られた基材ポリマー粒子の粒子径、粒子径の変動係数、表面抵抗値、強度、圧縮同復率などにより決定される。
前記基材ポリマー粒子の粒子径としては、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができるが、数平均粒子径が、0.5μm〜500μmが好ましく、1μm〜100μmがより好ましい。前記数平均粒子怪が、0.5μm未満であると、後述する無電解メッキ工程において、前記基材ポリマー粒子の凝集が生じやすく、凝集を生じた前記基材ポリマー粒子から得られる導電性粒子は、粒子怪の大きな巨大粒子になり、隣接電極間の短絡を引き起こす原因になる。また、粒子径精度より電極の精度のバラツキが相対的に大きく、導通信頼性が著しく低下する。前記数平均粒子径が、500μmを超える場合は、その用途が非常に限られる。本発明の導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子が、スペーサとして使用される場合には、前記基材ポリマー粒子の粒子径は、液晶セルのギャップに依存し、異方性導電材料として使用される場合には、隣接電極間距離に依存する。前記異方性導電材料は、一般に、電極の微小化、及び隣接電極間距離の低間隔化が進んでおり、粒子径も3μm以下の微小化の傾向にある。ただし、液晶以外のスペーサとして用いられる場合には、20μm〜50μm程度の大きな粒子を使用する場合もある。
前記粒子径を求める方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、光学顕微鏡により測定する方法、電子顕微鏡により測定する方法、光散乱式粒度分布計により測定する方法、コールターカウンターにより測定する方法などが挙げられる。前記数平均粒子径は、これらの方法で測定した粒子径を、統計的に処理して求めることができる。
前記基材ポリマー粒子の粒子径のCv値(変動係数)は、その値が低い程、粒子径の変動は小さくなるため、全ての粒子に均一に圧力が加わることになり、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子は、著しく導通信頼性が高まる。前記Cv値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下が特に好ましい。前記Cv値が10%を超えると、前記導電性微粒子が、相対向する電極間隔を任意に制御することが困難になる。前記CV値(変動係数)は、下記計算式により求めることができる。
Cv値(%)=(σ/Dn)×100%
前記計算式中、「σ」は粒子径の標準偏差(μm)を表し、「Dn」は数平均粒子径(μm)を表す。
前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(デジタルマルチメータ)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の基材ポリマー粒子の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、基材ポリマー粒子の表面抵抗値とすることができる。
前記基材ポリマー粒子の強度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、圧縮変形強度を測定する方法、圧縮破壊荷重値を測定する方法などが挙げられる。
前記基材ポリマー粒子の圧縮変形とは、圧縮荷重下における材料の変形をいい、前記基材ポリマー粒子の1個の粒子に、10gの荷重を加えて、粒子径が10%変形(以下、「10%圧縮変形」と称することがある)した時の荷重値を、S10強度(10%圧縮強度)という。前記S10強度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、選択することができる。例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記平松式により求めることができる。
S10=2.8×l03P×1/πd2
前記平松式中、「S10」は、前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)、「P」は前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)、「d」は、前記基材ポリマー粒子の半怪(mm)を表す。
前記基材ポリマー粒子の圧縮破壊荷重値とは、圧縮荷重下において、前記基材ポリマー粒子の破壊が生じ始めた時の荷重値をいう。前記圧縮破壊荷重値としては、300MPa〜3,000MPaが好ましく、400MPa〜1,500MPaがより好ましい。前記圧縮破壊荷重値が上記の範囲を下回ると、圧縮変形したときに前記基材ポリマー粒子が破壊し、導電材料としての機能を果たさなくなる。前記圧縮破壊荷重値が上記範囲を上回ると、スペーサとして使用する場合、カラーフィルターを破壊したり、低温時にLCD中に真空状態が発生するいわゆる低温発泡が発生しやすくなったりするため好ましくない。
前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率とは、前記基材ポリマー粒子を圧縮した後、荷重を減らしていく際の、荷重値と圧縮変形との関係をいう。前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。前記圧縮同復率が20%未満であると、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子を圧縮した場合、変形しても元に戻らないため、温度変化によるICや端子、硬化したバインターなどの膨張、及び収縮に追従できず、接続不良を起こすことがある。
前記圧縮回復率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)により測定することができる。具体的には、前記基材ポリマー粒子を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除く際の終点を原点加重値0.98mNとし、負荷、及び負荷除去における庄縮速度を0.284mN/秒として測定したときに、反転の点までの変位(L1)と、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位(L2)との差である復元量(L1−L2)と、反転の点までの変位である圧縮量(L1)との比(L1−L2)/(L1)に100を乗じて表した値を回復率(%)とすることができる。すなわち、下記計算式により求めることが出来る。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×100=100×(L1−L2)/L1
前記計算式中、「L1」は、反転までの変位(μm)、「L2」は、原点荷重値までの変位(μm)を表す。
前記ヨウ素は、少なくとも単体ヨウ素を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。前記ヨウ素の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。前記ヨウ素が溶液の状態(以下、「ヨウ素溶液」と称することがある。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨウ素化合物、有機化合物などが挙げられる。ヨウ素濃度は、上述のように従来よりも希薄にすることが好ましい。ヨウ素濃度を希薄にすることで、金属ヨウ化物コンポジットの形成を適度に抑えて、基材ポリマー粒子表面に析出する金属微粒子を少なくし、金属微粒子が点在した状態とすることができる。
前記ヨウ素溶液中に、前記ヨウ素化合物を添加すると、前記ヨウ素溶液中での前記単体ヨウ素の溶解性を調整でき、前記基材ポリマー粒子中にドープするヨウ素成分の量、及び状態を制御できる点で好ましい。前記ヨウ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属ヨウ化物、無機ヨウ化物などが挙げられる。前記金属ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ニッケルなどが挙げられる。前記無機ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。前記ヨウ素化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。前記ヨウ素溶液中の、前記ヨウ素化合物の濃度としては、特に制限はなく、前記単体ヨウ素の量などに応じて適宜選択することができるが、モル比で、ヨウ素の30倍以下の濃度が好ましく、ヨウ素の20倍以下の濃度がより好ましい。前記ヨウ素化合物が、モル比で2倍以下の濃度であると、前記単体ヨウ素の溶解性を調整することが困難であり、モル比でヨウ素の30倍の濃度を超えると、水溶液へのヨウ素の溶解は容易となるが、ヨウ素の樹脂内部への拡散性能が極端に低下し、樹脂内部で金属ヨウ化物コンポジットがほとんど形成されなくなる。
前記ヨウ素が溶液である場合、前記ヨウ素溶液中に、前記有機化合物を添加することで、主に基材ポリマー粒子のヨウ素溶液に対する濡れ性の制御が可能である点で好ましい。前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一価アルコール、多価アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの、水と任意に混合される有機溶媒などが挙げられる。前記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。前記有機化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。前記有機化合物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶液の状態が好ましい。前記有機化合物の水に対する添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。前記有機化合物が5質量%未満であると、前記基材ポリマー粒子に対する、ヨウ素の拡散性能が改善できず、90質量%を超えると、前記ヨウ素化合物の溶解度が低下する。
前記1次ドープ工程において、ヨウ素をドープする方法としては、前記基材ポリマー粒子がポリマー/ヨウ素複合体を形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法、ヨウ素溶液を噴霧する方法、ヨウ素蒸気に長時間曝露する方法、ヨウ素単体と混合して溶融・成型する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法が好ましい。
前記金属種としては、基材ポリマー粒子の表面に析出して、無電解メッキによるメッキ膜形成の核となる金属であることが好ましい。ここでいう「核」とは、メッキ膜の付着を促す核の意味である。具体的には基材ポリマー粒子表面に金属微粒子が点在する状態とすることで、表面を凹凸として、エッチングなしでも粒子表面に強固に固着したメッキ膜を得ることができる。これらドープする金属については無電解メッキの金属微粒子ドープ粒子を核として無電解メッキできる金属であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムおよび白金族元素などが挙げられる。前記金属種は、金属イオンの状態であってもよい。
前記2次ドープ工程において、金属種を反応させる方法としては、前記ポリマー/ヨウ素複合体が、金属ヨウ化物のコンボジットを形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法、金属種を含む溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記還元工程は、前記金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する工程である。本発明においては、金属ヨウ化物コンポジットの絶対量が少ないので、表面に析出する金属微粒子の絶対量も少ない。前記基材ポリマー粒子の表面における金属の還元は、前記金属ヨウ化物コンポジットにおいて、還元剤による電子供与により、金属イオンが金属へと還元されること、これに伴いヨウ素イオンが水溶液中へ拡散してポリマー相から放出されることによって進行する。前記還元を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。金属ヨウ化物は、通常、室温におけるイオン伝導性が極めて低く、高温条件下(例えば、ヨウ化銀の場合、約150℃以下)でなければイオン伝導が誘起されることはないが、前記金属ヨウ化物コンポジットを形成した場合は、転移点まで昇温することなく、室温においても比較的容易にイオンの伝導や拡散が生じる。このため、前記金属ヨウ化物コンポジットは、例えば、室温に近い温度においても(例えば、5℃〜30℃)に静置することにより、金属イオンが移動しやすいため、前記金属微粒子へと還元される。前記還元を行う時間としては、金属を還元することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
無電解メッキ工程は、ポリマー基材粒子表面に析出、点在する金属微粒子を核として無電解メッキする工程である。点在する金属微粒子によるアンカーリング効果によってメッキ膜が強固に密着した、非常に電気抵抗の低い導電性導電性粒子を形成する。無電解メッキ工程においては、1層目のメッキ膜の上に、2層目のメッキ膜を形成してもよい。2層目のメッキ膜は、1層目のメッキ膜とは異なる種類の金属でメッキを施すことにより、1層のメッキでは達成できなかった機能、例えば、酸化防止効果や、長時間の導通により金属イオンが移動し絶縁が必要な部分にまで汚染して絶縁不良を起こす、いわゆるマイグレーション防止効果を与えることが出来る。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2層目の無電解メッキ工程、成形工程、結晶化度制御、分子量制御、ブレンドによる異性化、架橋反応による粘性制御、熱処埋、熱処哩時の環境雰囲気、溶媒などによる膨澗処埋などが挙げられる。
前記無電解メッキ工程に用いられるメッキ剤の金属としては、ポリマー粒子基材の表面に析出、点在してアンカーリング効果を高めるものであれば特に限定されない。例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、スズ、アルミニウム、鉄などを使用することができる。前記メッキ剤の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。前記溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水とエタノールとの混合溶液が好ましい。前記水とエタノールとの混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水:エタノールが、1:4〜4:1(V/V)が好ましい。前記水溶液中の前記メッキ剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記メッキ剤により、前記金属微粒子ドープ粒子を核としてメッキする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法、前記メッキ剤を含む混合溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記無電解メッキ皮膜層の構造としては、第1層目のメッキ層が、基材ポリマー粒子の表面に析出、点在した金属微粒子を核として成長するものであれば、それ以外には特に限定されない。目的に応じて適宜選択することができ、前記材料の中から選択した1種単独の層からなる一層構造(例えば、単一金属構造)であってもよいし、複数の材料(例えば、複数の金属層)からなる積層構造であってもよい。
前記メッキ層付き導電性粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、102Ω以下が好ましく、10Ω以下がより好ましい。前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電圧縮試験により確認する方法などが挙げられる。
前記導電圧縮試験の概略を、図1を用いて説明する。微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電性粒子の表面抵抗値が測定できるように、直怪50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(RS-232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の導電性粒子2の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いることができる。
メッキ層付き金属ドープ粒子は、前記基材ポリマー粒子、前記金属ヨウ化物コンポジットの調製に用いられる前記金属種、及び第2層目の前記無電解メッキに用いられる金属などの組合せや、前記基材ポリマー粒子の粒子径などに応じ、各種機能性材料として用いることができる。例えば、導電スペーサ、ACF用導電材料、ACP用導電材料、電子ペーパー用導通材、ハンダボールなどに用いることができる。
<1次ドープ工程>
―基材ポリマー粒子―
導電スペーサの基材ポリマー粒子は、ハヤビーズL-11(早川ゴム(株)製)(粒子形状:球状)を用いた。
アクリル樹脂球の粒子径を、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)により30,000個測定した後、付属のソフトを用いコンピューターで統計的に処埋して数平均粒子径を求めたところ、6.60μmであった。求めた数平均粒子径(μm)を「Dn」とし、粒子径の標準偏差(μm)を「σ」として、上記計算式より、粒子のCv値(変動係数)を求めた。
Cv値(%)=(σ/Dn)×100%
アクリル樹脂球の粒子のCv値(変動係数)は、4.5%であった。
微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記アクリル樹脂の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(デジタルマルチメータ7351E ADCコーポレーション製)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂の圧縮を行い、アクリル樹脂が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を測定したところ、アクリル樹脂の表面抵抗値は、4.8×1015Ωであった。
微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧縮端面で、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂球の圧縮を行い、前記アクリル樹脂球が破壊したときの荷重値を測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値は、1,100MPaであった。
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を直怪50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記平松式により求めた。
10=2.8×103P×1/πd2
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、680MPaであった。
―圧縮回復率―
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除き、その終点を原点荷重値0.98mNとして、負荷、及び負荷除去における圧縮速度を0.284mN/秒として測定した。反転の点までの変位を「L1」とし、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位を「L2」として、下記計算式により求めた。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×l00=100×(L1-L2)/L1
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、90%であった。
前記アクリル樹脂球3gを、0.01mMヨウ素、及び0.2mMヨウ化アンモニウムを溶解させた20mLの50質量%エタノール水溶液(以下、「ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」と称することがある)に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。10℃に保った前記ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液に、10分間〜20分間浸漬し、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、濾過しながら、50質量%エタノール水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球の内部や表面に生成したヨウ素複合体を50mM硝酸銀―50質量%エタノール水溶液に4日間浸漬することで金属種と反応させ、ヨウ化銀コンポジットを得た。
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化銀コンボジットを、50質量%エタノールで洗浄した後、更に、大気中で180℃にて72時間〜150時間加熱することにより、金属銀に還元し、銀微粒子を基材ポリマー粒子の表面に析出させた。
前記還元工程で得られた、銀微粒子を析出させた粒子を、0.05Mの硝酸銀を溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間〜120時間の反応条件で銀メッキ皮膜層を形成させた。これらの粒子の中から、透過光による高倍率の光学顕微鏡下で観察することにより、黒く写った粒子をメッキ処理されていた微粒子として選択し、導電スペーサ用導電粒子を得た。
―方法―
前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を、図1に示す導電圧縮試験により測定した。すなわち、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を測定するため、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(デジタルマルチメータ7351E ADCコーポレーション製)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条作下で、1個の導電スペーサ用導電性粒子2の圧縮を行い、導電スペーサ用導電性粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いた。
図3に、上記の方法で測定した最小抵抗値を示した。図3から明らかなように実施例1のメッキ膜を付与した導電性粒子においては、15.0Ωであった。また、図2に示したように、実施例1の導電性粒子が破壊された時の荷重は5.0gfであった。この結果より、実施例1で得られた導電スペーサ用導電性粒子は、基材ポリマー粒子であるアクリル樹脂の良好な圧縮特性を保持しており、なおかつ、粒子表面に形成された銀メッキ皮膜により、優れた導電性を有することが認められた。
<1次ドープ工程>
―基材ポリマー粒子―
ACF用導電性粒子の基材ポリマー粒子は、以下の方法により製造したアクリル樹脂球状粉末を用いた。すなわち、分散重合において、エタノール180gにPVP(ポリビニルピロリドン)K-30((株)日本触媒製)9gを溶解した後、スチレンモノマー(東ソー(株)製)5gにアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製)0.05gを溶解した液を加え、窒素を吹き込みながら50rpm、80℃にて16時間撹拌することにより反応させ、ポリスチレン400nmの均一粒子分散液(ポリスチレン分散液)を得た。
アクリル樹脂球の数平均粒子径を実施例1と同様の方法で求めたところ、3.2μmであった。また、粒子のCV値(変動係数)は、2.6%であった。
アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値を実施例1と同様の方法で測定したところ、1gの圧縮で破壊しなかった。
アクリル樹脂球の10%圧縮変形強度は、試験荷重10gを加え、実施例1と同様の方法で測定したところ、600MPaであった。
アクリル樹脂球の圧縮回復率を実施例1と同様の方法で測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮回復率は、45%であった。
前記アクリル樹脂球2gを、ヨウ素2mM、ヨウ化カリウム4mMを溶解させた50m1の水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))混合溶液に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。50℃に保った溶液を、1時間超音波照射しながら、微粒子中ヘヨウ素の導入を行い、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、0.2質量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球ヨウ素複合体の表面に付着したヨウ素溶液を、1mMの塩化パラジウムを含む0.15質量%塩化アンモニウム水溶液100mLに投入して、80℃、1時間の条件で、ヨウ素とパラジウムイオンを反応させて、ヨウ化パラジウムコンポジットを得た。
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化パラジウムコンポジットを、0.025質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液で金属パラジウムに還元し、パラジウムを表面に析出させたアクリル酸樹脂球を得た。
前記還元工程で得られた、パラジウムを表面に析出させたアクリル酸樹脂球を、0.05mo1/Lの硝酸ニッケルを溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間〜120時間の反応条件でニッケルメッキ皮膜層を形成させた。これらの粒子の中から、透過光による高倍率の光学顕微鏡下で観察することにより、黒く写った粒子をメッキ処理されていた微粒了として選択し、ACF用導電性粒子を得た。
―方法―
前記ACF用導電性粒子について、実施例1と同様の条件で図1に示す圧縮導電試験により表面抵抗値の測定を行った。
実施例2で得られた無電解メッキ後の導電性粒子は、変形率70%においてもメッキ皮膜層の破壊は生じなかった。基材ポリマー粒子も良好な圧縮特性を保持しており、メッキ皮膜層もまた良好な圧縮特性を有しているため、変形率70%においても15Ωの低い電気抵抗値を維持していることが分かった。これは、金属微粒子(パラジウム)を基材ポリマー粒子の表面に点在させてアンカーリング効果を向上させたことにより、ニッケルメッキ膜が強固に基材ポリマー粒子に固着したためであると考えられる。
市販の架橋高密度ポリエチレン粒子 住友精化(株)製フロービーズHE3040(平均粒子径11μm)を用いて以下の処理を行った。
―ヨウ素のドープ―
前記ポリエチレン樹脂球3gを、1mMヨウ素、及び10mMヨウ化アンモニウムを溶解させた20mLの50質量%エタノール水溶液(ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」に投入した。10℃に保った前記ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液に、20分間浸漬し、ポリエチレン樹脂球ヨウ素複合体を得た。
1次ドープ工程で得られた、ポリエチレン樹脂球ヨウ素複合体を、濾過しながら、50質量%エタノール水溶液で洗浄した。ポリエチレン樹脂球の内部や表面に生成したヨウ素複合体を10mM塩化金酸―50質量%エタノール水溶液に2日間浸漬することで金属種と反応させ、ヨウ化金コンポジットを得た。
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化金コンボジットを、50質量%エタノールで洗浄した後、更に、大気中で160℃にて72時間加熱することにより、金属に還元し、金微粒子ドープ微粒子を得た。
前記還元工程で得られた、金微粒子ドープ粒子を、0.05Mの硝酸銀を溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間の反応条件で銀メッキ皮膜層を形成させた。
1次ドープ工程のヨウ素を100mM、ヨウ化カリウムを200mM、2次ドープ工程の塩化パラジウムを硝酸ニッケル1mMに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、導電スペーサ用導電性粒子を製造した。
実施例2の導電性粒子の製造方法の1次ドープ工程において、「ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」の組成を、ヨウ素0.5M、ヨウ化カリウム2Mを溶解させた50ml水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))混合溶液とし、塩化パラジウム溶液を6mMとした他は、実施例2と同様の条件にて、ヨウ化パラジウムコンポジットを製造し、還元処理を行った。
2 導電性粒子
3 金属製試料台
4 抵抗測定器
Claims (4)
- 基材ポリマー粒子に対して、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調整する1次ドープ工程と、
該ポリマー/ヨウ素複合体に対して金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調整する2次ドープ工程と、
該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へと還元し、基材ポリマー表面にメッキ膜の核となる金属微粒子を点在させる還元工程と、
還元工程で得られた基材ポリマー粒子表面に点在する金属を核としてメッキ膜を成長させる無電解メッキ工程と、からなることを特徴とする導電性粒子の製造方法。 - 1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子を5×10−6〜5×10−3Nの単体ヨウ素を含む溶液に浸漬する工程である請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
- 2次ドープ工程は、ポリマー/ヨウ素複合体を5×10−6〜5×10−3Nの金属種を含む溶液に浸漬する工程である請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造された、表面抵抗値が5〜102Ωである導電性粒子。
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