JP5511513B2 - 導電性粒子の製造方法及びそれによって製造した導電性粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性粒子の製造方法、及び該導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子に関する。
導電性粒子は、一般に、導電スペーサとして、液晶ディスプレイのガラス基板の上下導通をとるために使用される。また、バインダー樹脂などに混合され、例えば、異方性導電ペースト(ACP: Anisotropic Conductive Paste)、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム(ACF: Anisotropic Conductive Film)、異方性導電シートなどの異方性導電材料として、広く用いられている。
これらの導電性粒子は、例えば、液晶テレビ、プラズマテレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、家電製品などの電子機器において、配線回路基板同士を電気的に接続したり、半導体素子などの小型部品を配線同路基板に電気的に接続したりするために、配線回路基板や電極端子の間に挟み込んで使用しており、機器の微小化と軽量化、及びフラット化に伴い、今後も使用量は増加の一途をたどるものと予想されている。
従来、導電スペーサや異方性導電材料に対して好適な導電性粒子としては、粒子径の均一な樹脂微粒子やガラスビーズなどの非導電性微粒子を基材粒子として用い、基材微粒子の表面に、無電解メッキによってニッケルなどの金属メッキ膜を形成させた導電性微粒子が報告されている(特許文献1及び2参照)。
特許文献2の[0010]及び[0011]に記載されているように、無電解メッキに際しては、まず、基材微粒子の表面を脱脂した後、クロム酸等でエッチングを施す。その後、クロム酸を塩酸等で除去し、次いでエッチングにより凸凹となった基材微粒子の表面にパラジウム等の触媒金属を析出させて、この触媒を核として無電解メッキによりメッキ層を形成する。
基材微粒子にメッキ膜を強く密着させてアンカーリング効果を得るには、エッチングが不可欠である。しかし、クロム酸は環境負荷が高く、また人体にも有害であることからエッチングに替わる表面処理の方法が求められていた。また、エッチング処理によって平滑性が損なわれてしまい、さらには、エッチング処理による表面の粗化により圧縮特性が低下することが問題であった。
一方、本発明者らは、過去に特許文献3の導電性素材を開発したが、導電性能及び圧縮特性について必ずしも満足できるものではなかった。さらに、本発明者らは、先にポリマー/ヨウ素複合体に金属種を反応、還元して導電性粒子を製造する方法も提案したが(特願2009−083096号)、導電性及び圧縮特性について、さらなる改善の余地があった。
特開平09−306231号公報 特開2003−064500号公報 再表2007−086392号公報
本発明は、基材ポリマー粒子の有する良好な圧縮特性を保持し、圧縮変形を受けた後もメッキ皮膜の密着力が低下せず導電性の低下がなく、しかも、環境と人体に負荷の少ない優れた導電性粒子、及び該導電性粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材ポリマー粒子に対して、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調整する1次ドープ工程と、該ポリマー/ヨウ素複合体に対して金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調整する2次ドープ工程と、該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へと還元し、基材ポリマー表面にメッキ膜の核となる金属微粒子を点在させる還元工程と、還元工程で得られた基材ポリマー粒子表面に点在する金属を核としてメッキ膜を成長させる無電解メッキ工程と、からなることを特徴とする導電性粒子の製造方法により上記の課題を解決する。
本発明者らは、上述の特許文献3で以下の知見を得た。すなわち、ポリマー基材(フィルム)を、ポリヨウ素イオン(In:nは3又は5)を含む溶液に浸漬することにより得られたポリヨウ素コンプレックス(ポリマー/ヨウ素複合体)は、未処理のポリマー基材よりもイオンや分子の拡散性及び透過性が高いため、2次ドープした金属イオンが容易に拡散し、拡散した前記金属イオンとポリヨウ素イオンとが反応することにより金属微粒子が前記ポリマー基材の内部で生成し([0008]記載)、大気中で加熱等することにより、ポリマー基材の表面に金属微粒子が析出することである。
本発明は上記の知見を基に開発した応用発明である。本発明では、まず、基材ポリマー粒子を所定濃度のポリヨウ素イオンを含む溶液に浸漬するなどして(1次ドープ工程)、ポリマー/ヨウ素複合体を形成する。次いで、該ポリマー/ヨウ素複合体を所定濃度の金属種を含む溶液(金属塩溶液)に浸漬するなどして、金属ヨウ化物コンポジットを微量形成する(2次ドープ工程)。そして、該金属ヨウ化物コンポジットを還元することで、金属微粒子をポリマー粒子の表面に点在させて、ポリマー粒子表面を凹凸形状とする(還元工程)。さらに、ポリマー粒子表面の金属を核としてメッキ膜を無電解メッキにより成長させる(無電解メッキ工程)。
本発明と特許文献3及び特願2009−083096号を対比した場合の最大の特徴は、金属ヨウ化物コンポジットの形成量をごく微量とすることによりポリマー粒子表面に析出する金属微粒子を微量としたことである。すなわち、本発明は、1次ドープする単体ヨウ素を従来よりも希薄とする、又は、2次ドープする金属種を従来よりも希薄にすることで、生成する金属ヨウ化物コンポジットの量を少なくするのである。金属ヨウ化物コンポジットの絶対量が少ないために、これを還元すると、ポリマー粒子表面に金属微粒子が点在した状態となる。これにより粒子表面は、あたかもエッチングを行ったかのごとく、凸凹形状となるのである。本発明はこの凸凹形状によって良好なアンカーリング効果を得て、メッキ膜の定着をより強固なものとするものである。
1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子対して、ヨウ素をドープして、ポリマー/ヨウ素複合体を調整する工程である。単体ヨウ素を希薄として、ポリマー粒子表面に微量の金属粒子を析出させる場合は、基材ポリマー粒子を5×10−6〜5×10−3Nの単体ヨウ素を含む溶液に浸漬することによって行えばよい。単体ヨウ素の濃度は、より好ましくは1×10−5〜5×10−3Nで、特に好ましくは1×10−4〜3×10−3Nある。続く2次ドープ工程にて、化学当量で等量以上(1×10−4〜8×10−2N、より好ましくは1×10−3〜5×10−2N)の金属種をドープすれば、微量の金属ヨウ化物コンポジットを形成することができる。単体ヨウ素の濃度が上記の範囲を上回ると、単体ヨウ素に対して過剰量の金属種を2次ドープ工程で添加する場合、基材ポリマー粒子に析出する金属微粒子の量が過多となる。これにより基材ポリマー粒子表面の凸凹化が不十分となり、アンカーリング効果が得られない。さらには、基材ポリマー粒子の表面が歪み、均一な導電性を持つ導電性粒子とすることができない。一方、単体ヨウ素の濃度が上記の範囲を下回ると、やはり、基材ポリマー粒子表面の凸凹化が不十分となり、アンカーリング効果が得られなくなってしまう。
ヨウ素は水にはあまり溶けないので、溶媒を水とする場合は、必要に応じてその他の成分を添加してもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨウ素化合物、有機化合物などが挙げられる。
前記2次ドープ工程とは、1次ドープ工程で形成されたポリマー/ヨウ素複合体に対し、金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調製する工程である。ここでいう、金属ヨウ化物コンポジットとは、前記ポリマー/ヨウ素複合体中に、前記金属種が拡散し、前記ポリマー/ヨウ素複合体の構成要素であるポリヨウ素から分離したヨウ素イオンと、前記金属種とが反応して金属ヨウ化物を形成してなるものである。
2次ドープ工程で添加する金属種を微量として、ポリマー粒子表面に微量の金属粒子を析出させる場合は、ポリマー/ヨウ素複合体を5×10−6〜5×10−3Nの金属種を含む溶液に浸漬することによって行えばよい。金属種の濃度は、より好ましくは1×10−5〜5×10−3Nで、特に好ましくは1×10−4〜3×10−3Nある。この場合、先立つ1次ドープ工程にて、化学当量で等量以上(1×10−4〜8×10−2N、より好ましくは1×10−3〜5×10−2N)のポリマー/ヨウ素複合体を形成しておけば、微量の金属ヨウ化物コンポジットを形成することができる。金属種の濃度が上記の範囲を上回ると、基材ポリマー粒子に析出する金属微粒子の量が過多となる。これにより基材ポリマー粒子表面の凸凹化が不十分となり、アンカーリング効果が得られない。さらには、基材ポリマー粒子の表面が歪み、均一な導電性を持つ導電性粒子とすることができない。一方、金属種の濃度が上記の範囲を下回ると、やはり、基材ポリマー粒子表面の凸凹化が不十分となり、アンカーリング効果が得られなくなってしまう。
本発明の製造方法によれば、表面抵抗値が5〜10Ω、5〜20Ω等の導電性に優れた導電性粒子を製造することができる。上述の通り、加圧変形後も高い導電性を維持できるので、導電スペーサや異方性導電ペーストなど、加圧下での用途に好ましく使用することができる。
本発明の方法により形成したメッキ膜は優れた圧縮特性を有し、前記メッキの皮膜層容易にが割れたり、剥がれたりすることがない。そのため、圧縮時においても電気抵抗が増大することがなく、高い導通性を有する導電性粒子とすることができる。しかも、本発明の製造方法によれば、人体と環境の双方にとって負荷が高く問題であったエッチング工程を省くことができる。さらには基材ポリマー粒子に析出した微量の金属微粒子が触媒として機能し、メッキ膜の生成を促進するという効果をもたらす。
また、エッチング工程を省くことで、基材ポリマー粒子そのものの良好な圧縮特性を維持することができる。さらには、本発明の製造法によれば、導電性粒子の表面の平滑性を確保して、粒子間で導電性のばらつきを減じることができる。
本発明の製造方法によれば、表面抵抗値が5〜10Ωである導電性粒子を容易に製造することができる。
導電性粒子の圧縮導電性を測定する方法の概念図である。 実施例1のメッキ膜を付与した導電性粒子の圧縮変位時における圧縮変位(μm)と試験力(gf)との関係を示したグラフである。 実施例1のメッキ膜を付与した導電性粒子の圧縮変位時の圧縮変位(μm)と抵抗値(Ω)の関係を示したグラフである。 実施例2の導電性粒子のTEM画像である。導電性粒子は還元工程後のものを使用し、メッキ膜を付与する前の状態である。 実施例2の導電性粒子のSEM画像である。導電性粒子は還元工程後のものを使用し、メッキ膜を付与する前の状態である。 実施例5の導電性粒子のTEM画像である。導電性粒子は還元工程後のものを使用し、メッキ膜を付与する前の状態である。 実施例5の導電性粒子のSEM画像である。導電性粒子は還元工程後のものを使用し、メッキ膜を付与する前の状態である。
(導電性粒子の製造方法)
基材ポリマー粒子に対して、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調整する1次ドープ工程と、該ポリマー/ヨウ素複合体に対して金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調整する2次ドープ工程と、該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へと還元し、基材ポリマー表面にメッキ膜の核となる金属微粒子を点在させる還元工程と、還元工程で得られた基材ポリマー粒子表面に点在する金属を核としてメッキ膜を成長させる無電解メッキ工程、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<1次ドープ工程>
前記1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子に対し、ヨウ素をドープ(添加)して、ポリマー/ヨウ素複合体を調製する工程である。本発明で言うポリマー/ヨウ素複合体とは、ポリマーにポリヨウ素が分散・吸着し、包含されてなるものである。特許文献3記載のように、例えば、ポリマーの分子間の水素結合によりポリヨウ素が包摂されている構造や、分子鎖又は側鎖上のアミド基等を配位座としてポリヨウ素が配位した構造や、結晶等の分子鎖の凝集によって分子鎖間に配位座が形成されるもの、単分子鎖であっても分子鎖上の極性基の配列やらせん構造のピッチ変化によって配位座が形成されるものが挙げられる。
―基材ポリマー粒子―
前記基材ポリマー粒子の高分子材料としては、ヨウ素を包含可能な高分子化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩ビ樹脂、酢ビ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂などが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、架橋アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル重合体、ケイ素樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、架橋アクリル樹脂、ビニル重合体、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。前記高分子材料は、1種単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記アルカリ溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム水溶液などが挙げられる。本明細書中において、前記高分子材料は、前記アルカリ溶液で、部分的に加水分解したものも含まれる。また、前記ヨウ素を包含可能な高分子化合物とは、前記ヨウ素成分が内部まで拡散し、かつ分子内に吸着、又は非共有結合で会合した構造をとりうる高分子化合物を意味する。
―製造方法―
前記基材ポリマー粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、懸濁重合、シード重合、ソープフリー重合、分散重合、乳化重合、静電噴霧法、インクジェット法、マイクロチャンネル法などが挙げられる。また、市販品を用いることもできる。
前記懸濁重合とは、モノマーを、保護コロイドの添加された水溶液に滴下し、撹拌して、モノマー白身の表面張力により液滴を作り、加熱して、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記シード重合とは、ポリスチレン、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの種を、水中に析出して均一な微小粒子を作り、前記微小粒子にモノマーを吸収、肥大化させた後、加熱して、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記ソープフリー重合とは、界面活性剤が存在しない条件で、主として過硫酸塩などの陰イオン性ラジカル重合開始剤を用いてシード粒子を形成し、このシード粒子にビニル系モノマーなどを吸収、重合し、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記分散重合とは、アルコールなどの有機溶媒中でシード粒子を形成し、このシード粒子にビニル系モノマーなどを吸収、重合し、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記乳化重合とは、均一な孔から均一なモノマー液滴を形成した後、加熱して粒子を得る、いわゆるメンブレン乳化分散や、SPG(シラスポーラスガラス)乳化により、液滴を形成した後、加熱硬化して、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記静電噴霧法とは、ポリマー溶液をシリンジに入れ、高電圧、及び圧力を加えて均一な液滴を作るとともに、溶媒を蒸発させ、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記インクジェット法とは、インクジェトでポリマー溶液を均一に液滴にすると同時に、溶媒を蒸発させて、前記基材ポリマー粒子を得る方法である。
前記マイクロチャンネル法とは、微小な特殊形状の孔からモノマーを出し、均一液滴を形成した後、加熱硬化して前記基材ポリマー粒子を得る方法である。これらの中でも、シード重合や、その他の重合方法で得た粒子を更に分級する方法が、均一な粒子径を得ることができる点で好ましい。
前記基材ポリマー粒子の製造方法のうち、熱を加えてモノマーを硬化させる場合、モノマーを重合するための重合開始剤が必要である。
―モノマー―
前記モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン誘導体、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、共役ジエン類、多官能性単量体などが挙げられる。
前記スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。前記ビニルエステル類としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
前記不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリルなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸エステル誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸トリフルオロエチルなどが挙げられる。
前記共役ジエン類としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。前記多官能性単量体としては、例えば、2官能の、1・4ブタンジオールジアクリレート、1・6ヘキサンジオールジアクリレート、1・9ノナンジオールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、2官能以上の、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、スペーサなどの圧縮強度を要求される場合には、2官能以上の単量体が、圧縮弾性を有しギャップを好適に維持できる点で好ましい。一方、異方性導電材料のように圧縮変形させて導通を維持する場合には、2官能性単量体単独、若しくは2官能性単量体と単官能単量体との共車合が、粒子を柔軟にできる点で好ましい。
―重合開始剤―
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物などが挙げられる。前記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、8,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。前記アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
―重合温度―
前記重合の温度としては、特に制限はなく、使用するモノマーの種類、重合開始剤などに応じて適宜選択することができるが、25℃〜100℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましい。
―粒度分布の調整―
なお、前記懸濁重合のように、所望のCv値、すなわち、粒度分布の変動係数が得られない場合や、所望の粒子径が得られない場合、分級操作により、前記粒度分布を調整することが必要である。前記分級操作の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、乾式分級法、湿式分級法などが挙げられる。前記乾式分級法としては、例えば、乾式サイクロンや風力を利用して分級を行う方法などが挙げられる。前記湿式分級法としては、例えば、水ひ分級、湿式サイクロン、静電分級などの水中で行う方法が挙げられる。前記製造方法により得られた基材ポリマー粒子が、本発明の導電惟粒子の製造に用いる基材ポリマー粒子として適当か否かは、得られた基材ポリマー粒子の粒子径、粒子径の変動係数、表面抵抗値、強度、圧縮同復率などにより決定される。
―粒子径―
前記基材ポリマー粒子の粒子径としては、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができるが、数平均粒子径が、0.5μm〜500μmが好ましく、1μm〜100μmがより好ましい。前記数平均粒子怪が、0.5μm未満であると、後述する無電解メッキ工程において、前記基材ポリマー粒子の凝集が生じやすく、凝集を生じた前記基材ポリマー粒子から得られる導電性粒子は、粒子怪の大きな巨大粒子になり、隣接電極間の短絡を引き起こす原因になる。また、粒子径精度より電極の精度のバラツキが相対的に大きく、導通信頼性が著しく低下する。前記数平均粒子径が、500μmを超える場合は、その用途が非常に限られる。本発明の導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子が、スペーサとして使用される場合には、前記基材ポリマー粒子の粒子径は、液晶セルのギャップに依存し、異方性導電材料として使用される場合には、隣接電極間距離に依存する。前記異方性導電材料は、一般に、電極の微小化、及び隣接電極間距離の低間隔化が進んでおり、粒子径も3μm以下の微小化の傾向にある。ただし、液晶以外のスペーサとして用いられる場合には、20μm〜50μm程度の大きな粒子を使用する場合もある。
―測定方法―
前記粒子径を求める方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、光学顕微鏡により測定する方法、電子顕微鏡により測定する方法、光散乱式粒度分布計により測定する方法、コールターカウンターにより測定する方法などが挙げられる。前記数平均粒子径は、これらの方法で測定した粒子径を、統計的に処理して求めることができる。
―Cv値(変動係数)―
前記基材ポリマー粒子の粒子径のCv値(変動係数)は、その値が低い程、粒子径の変動は小さくなるため、全ての粒子に均一に圧力が加わることになり、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子は、著しく導通信頼性が高まる。前記Cv値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下が特に好ましい。前記Cv値が10%を超えると、前記導電性微粒子が、相対向する電極間隔を任意に制御することが困難になる。前記CV値(変動係数)は、下記計算式により求めることができる。
Cv値(%)=(σ/Dn)×100%
前記計算式中、「σ」は粒子径の標準偏差(μm)を表し、「Dn」は数平均粒子径(μm)を表す。
―表面抵抗値―
前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記基材ポリマー粒子の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(デジタルマルチメータ)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の基材ポリマー粒子の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、基材ポリマー粒子の表面抵抗値とすることができる。
―強度―
前記基材ポリマー粒子の強度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、圧縮変形強度を測定する方法、圧縮破壊荷重値を測定する方法などが挙げられる。
―圧縮変形強度―
前記基材ポリマー粒子の圧縮変形とは、圧縮荷重下における材料の変形をいい、前記基材ポリマー粒子の1個の粒子に、10gの荷重を加えて、粒子径が10%変形(以下、「10%圧縮変形」と称することがある)した時の荷重値を、S10強度(10%圧縮強度)という。前記S10強度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、選択することができる。例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記平松式により求めることができる。
S10=2.8×l03P×1/πd2
前記平松式中、「S10」は、前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)、「P」は前記基材ポリマー粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)、「d」は、前記基材ポリマー粒子の半怪(mm)を表す。
―圧縮破壊荷重値―
前記基材ポリマー粒子の圧縮破壊荷重値とは、圧縮荷重下において、前記基材ポリマー粒子の破壊が生じ始めた時の荷重値をいう。前記圧縮破壊荷重値としては、300MPa〜3,000MPaが好ましく、400MPa〜1,500MPaがより好ましい。前記圧縮破壊荷重値が上記の範囲を下回ると、圧縮変形したときに前記基材ポリマー粒子が破壊し、導電材料としての機能を果たさなくなる。前記圧縮破壊荷重値が上記範囲を上回ると、スペーサとして使用する場合、カラーフィルターを破壊したり、低温時にLCD中に真空状態が発生するいわゆる低温発泡が発生しやすくなったりするため好ましくない。
前記圧縮破壊荷重値の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧縮端面で、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の前記基材ポリマー粒子の圧縮を行い、前記基材ポリマー粒子が破壊したときの荷重値を測定する方法などが挙げられる。
―圧縮回復率―
前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率とは、前記基材ポリマー粒子を圧縮した後、荷重を減らしていく際の、荷重値と圧縮変形との関係をいう。前記基材ポリマー粒子の圧縮回復率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。前記圧縮同復率が20%未満であると、前記導電性粒子の製造方法により得られる導電性粒子を圧縮した場合、変形しても元に戻らないため、温度変化によるICや端子、硬化したバインターなどの膨張、及び収縮に追従できず、接続不良を起こすことがある。
―測定方法―
前記圧縮回復率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)により測定することができる。具体的には、前記基材ポリマー粒子を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除く際の終点を原点加重値0.98mNとし、負荷、及び負荷除去における庄縮速度を0.284mN/秒として測定したときに、反転の点までの変位(L1)と、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位(L2)との差である復元量(L1−L2)と、反転の点までの変位である圧縮量(L1)との比(L1−L2)/(L1)に100を乗じて表した値を回復率(%)とすることができる。すなわち、下記計算式により求めることが出来る。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×100=100×(L1−L2)/L1
前記計算式中、「L1」は、反転までの変位(μm)、「L2」は、原点荷重値までの変位(μm)を表す。
―ヨウ素―
前記ヨウ素は、少なくとも単体ヨウ素を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。前記ヨウ素の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。前記ヨウ素が溶液の状態(以下、「ヨウ素溶液」と称することがある。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨウ素化合物、有機化合物などが挙げられる。ヨウ素濃度は、上述のように従来よりも希薄にすることが好ましい。ヨウ素濃度を希薄にすることで、金属ヨウ化物コンポジットの形成を適度に抑えて、基材ポリマー粒子表面に析出する金属微粒子を少なくし、金属微粒子が点在した状態とすることができる。
―ヨウ素化合物―
前記ヨウ素溶液中に、前記ヨウ素化合物を添加すると、前記ヨウ素溶液中での前記単体ヨウ素の溶解性を調整でき、前記基材ポリマー粒子中にドープするヨウ素成分の量、及び状態を制御できる点で好ましい。前記ヨウ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属ヨウ化物、無機ヨウ化物などが挙げられる。前記金属ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ニッケルなどが挙げられる。前記無機ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。前記ヨウ素化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。前記ヨウ素溶液中の、前記ヨウ素化合物の濃度としては、特に制限はなく、前記単体ヨウ素の量などに応じて適宜選択することができるが、モル比で、ヨウ素の30倍以下の濃度が好ましく、ヨウ素の20倍以下の濃度がより好ましい。前記ヨウ素化合物が、モル比で2倍以下の濃度であると、前記単体ヨウ素の溶解性を調整することが困難であり、モル比でヨウ素の30倍の濃度を超えると、水溶液へのヨウ素の溶解は容易となるが、ヨウ素の樹脂内部への拡散性能が極端に低下し、樹脂内部で金属ヨウ化物コンポジットがほとんど形成されなくなる。
―有機化合物―
前記ヨウ素が溶液である場合、前記ヨウ素溶液中に、前記有機化合物を添加することで、主に基材ポリマー粒子のヨウ素溶液に対する濡れ性の制御が可能である点で好ましい。前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一価アルコール、多価アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの、水と任意に混合される有機溶媒などが挙げられる。前記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。前記有機化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。前記有機化合物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶液の状態が好ましい。前記有機化合物の水に対する添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。前記有機化合物が5質量%未満であると、前記基材ポリマー粒子に対する、ヨウ素の拡散性能が改善できず、90質量%を超えると、前記ヨウ素化合物の溶解度が低下する。
―ヨウ素のドープ方法―
前記1次ドープ工程において、ヨウ素をドープする方法としては、前記基材ポリマー粒子がポリマー/ヨウ素複合体を形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法、ヨウ素溶液を噴霧する方法、ヨウ素蒸気に長時間曝露する方法、ヨウ素単体と混合して溶融・成型する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記基材ポリマー粒子を、ヨウ素溶液中に浸漬する方法が好ましい。
前記ドープする温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、室温でも実施可能であるが、加熱して行うことが、ドープ時間を短縮できる点で好ましい。前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜90℃が好ましく、5℃〜30℃がより好ましい。前記ドープする時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、ヨウ素をドープする条件としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、超音波照射処理条件下で行うことが、前記ポリマー微粒子に、均一にヨウ素をドープすることができる点で好ましい。
―金属種―
前記金属種としては、基材ポリマー粒子の表面に析出して、無電解メッキによるメッキ膜形成の核となる金属であることが好ましい。ここでいう「核」とは、メッキ膜の付着を促す核の意味である。具体的には基材ポリマー粒子表面に金属微粒子が点在する状態とすることで、表面を凹凸として、エッチングなしでも粒子表面に強固に固着したメッキ膜を得ることができる。これらドープする金属については無電解メッキの金属微粒子ドープ粒子を核として無電解メッキできる金属であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムおよび白金族元素などが挙げられる。前記金属種は、金属イオンの状態であってもよい。
前記金属種を、前記ポリマー/ヨウ素複合体に反応させる場合、前記金属種は、溶液の状態であることが好ましく、前記金属種を含む溶液は、金属塩の溶液であることが好ましい。前記金属塩としては、水溶性金属塩であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、沈殿を生じないものが好ましく、例えば、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、金属ヨウ化物、並びに、それらの配位化合物などが挙げられる。前記溶液は、水と任意に混合される有機溶媒を含んでいてもよい。前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
逆に、単体ヨウ素の濃度を希薄にすることに替えて、金属塩溶液の濃度を希薄にして、金属ヨウ化物コンポジットの形成量を抑えてもよいし、単体ヨウ素及び金属塩溶液の双方の濃度を低く抑えて、金属ヨウ化物コンポジットの形成量を抑える方法としてもよい。
―金属種のドープ方法―
前記2次ドープ工程において、金属種を反応させる方法としては、前記ポリマー/ヨウ素複合体が、金属ヨウ化物のコンボジットを形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法、金属種を含む溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記ドープする温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。室温でも実施可能であるが、加熱して行うことが、ドープ時間を短縮できる点で好ましい。前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜90℃が好ましく、30℃〜60℃がより好ましい。前記ドープする時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記金属種を反応させる方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、超音波照射処埋条件下で行うことが、前記金属ヨウ化物をより均一に形成させることができる点で好ましい。
前記2次ドープ工程は、前記ポリマー/ヨウ素複合体を、金属種を含む溶液に浸漬後、又は、前記ポリマー/ヨウ素複合体に、前記金属種を含む溶液を噴霧後、前記金属ヨウ化物コンポジットを、前記ヨウ素や前記金属種を含まない溶液で洗浄することにより、停止することができる。
前記1次ドープ工程におけるヨウ素のドープ、前記2次ドープ工程における金属種の反応、及び前記洗浄時の試薬溶液の、それぞれの濃度、温度、及び処理時間により、前記ポリマー/ヨウ素複合体の内部に析出した金属塩を再溶出することや、浸入深さに応じた最適な析出をすることができる。これにより、前記金属ヨウ化物コンポジット表面の金属種の濃度を小さくしてもよい。
ポリマー粒子内部に残存した未反応のヨウ素成分は、後述する還元工程後あるいは無電解メッキ工程後の金属層に影響を及ぼす可能性があるが、未反応ヨウ素成分はアセトンなどの有機溶媒を用いた洗浄、あるいは高温熱処埋によって、ポリマー粒子内部から除去することが可能である。なお、熱処埋においては、減圧下で行うほうが、より低温で効率よくヨウ素を揮発させることができるため効果的である。
<還元工程>
前記還元工程は、前記金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へ還元し、金属微粒子ドープ粒子を調製する工程である。本発明においては、金属ヨウ化物コンポジットの絶対量が少ないので、表面に析出する金属微粒子の絶対量も少ない。前記基材ポリマー粒子の表面における金属の還元は、前記金属ヨウ化物コンポジットにおいて、還元剤による電子供与により、金属イオンが金属へと還元されること、これに伴いヨウ素イオンが水溶液中へ拡散してポリマー相から放出されることによって進行する。前記還元を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。金属ヨウ化物は、通常、室温におけるイオン伝導性が極めて低く、高温条件下(例えば、ヨウ化銀の場合、約150℃以下)でなければイオン伝導が誘起されることはないが、前記金属ヨウ化物コンポジットを形成した場合は、転移点まで昇温することなく、室温においても比較的容易にイオンの伝導や拡散が生じる。このため、前記金属ヨウ化物コンポジットは、例えば、室温に近い温度においても(例えば、5℃〜30℃)に静置することにより、金属イオンが移動しやすいため、前記金属微粒子へと還元される。前記還元を行う時間としては、金属を還元することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記還元は、還元剤、錯イオン形成、加熱などの方法によって金属微粒子への還元を促進することができる。前記還元剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性過酸化水素水、水素化ホウ素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。前記錯イオンを形成させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アンモニア性化合物、アミン類などの錯化剤を添加した水溶液に浸漬する方法などが挙げられる。なお、前記金属ヨウ化物コンポジットは、触媒としての適正量の金属種が反応していることが好ましい。
<無電解メッキ工程>
無電解メッキ工程は、ポリマー基材粒子表面に析出、点在する金属微粒子を核として無電解メッキする工程である。点在する金属微粒子によるアンカーリング効果によってメッキ膜が強固に密着した、非常に電気抵抗の低い導電性導電性粒子を形成する。無電解メッキ工程においては、1層目のメッキ膜の上に、2層目のメッキ膜を形成してもよい。2層目のメッキ膜は、1層目のメッキ膜とは異なる種類の金属でメッキを施すことにより、1層のメッキでは達成できなかった機能、例えば、酸化防止効果や、長時間の導通により金属イオンが移動し絶縁が必要な部分にまで汚染して絶縁不良を起こす、いわゆるマイグレーション防止効果を与えることが出来る。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2層目の無電解メッキ工程、成形工程、結晶化度制御、分子量制御、ブレンドによる異性化、架橋反応による粘性制御、熱処埋、熱処哩時の環境雰囲気、溶媒などによる膨澗処埋などが挙げられる。
―メッキ剤―
前記無電解メッキ工程に用いられるメッキ剤の金属としては、ポリマー粒子基材の表面に析出、点在してアンカーリング効果を高めるものであれば特に限定されない。例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、スズ、アルミニウム、鉄などを使用することができる。前記メッキ剤の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶液の状態が好ましい。前記溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水とエタノールとの混合溶液が好ましい。前記水とエタノールとの混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水:エタノールが、1:4〜4:1(V/V)が好ましい。前記水溶液中の前記メッキ剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
―無電解メッキ方法―
前記メッキ剤により、前記金属微粒子ドープ粒子を核としてメッキする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法、前記メッキ剤を含む混合溶液を噴霧する方法などが挙げられるが、これらの中でも、前記金属微粒子ドープ粒子を、前記メッキ剤を含む混合溶液に浸漬する方法が好ましい。
前記メッキを行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5℃〜80℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましい。前記メッキを行う時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1時間〜120時間が好ましく、メッキの均一性と生産性とを考慮すると、1時間〜24時間がより好ましい。
―無電解メッキ皮膜層の構造―
前記無電解メッキ皮膜層の構造としては、第1層目のメッキ層が、基材ポリマー粒子の表面に析出、点在した金属微粒子を核として成長するものであれば、それ以外には特に限定されない。目的に応じて適宜選択することができ、前記材料の中から選択した1種単独の層からなる一層構造(例えば、単一金属構造)であってもよいし、複数の材料(例えば、複数の金属層)からなる積層構造であってもよい。
前記皮膜層の厚みとしても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが1nm以上が好ましく、2nm〜1,000nmがより好ましく、3nm〜200nmが特に好ましい。前記皮膜層の厚みが1nm未満であると、メッキ皮膜層が欠如する部分が発生する可能があるため導通信頼性を低下させる危険がある。前記皮膜層の厚みが100nmを超えても導電性の向上に取り立てて効果が無く、また基材ポリマーの圧縮特性が低下するので好ましくない。
<メッキ層付き金属ドープ粒子>
前記メッキ層付き導電性粒子の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Ω以下が好ましく、10Ω以下がより好ましい。前記表面抵抗値を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電圧縮試験により確認する方法などが挙げられる。
<導電圧縮試験>
前記導電圧縮試験の概略を、図1を用いて説明する。微小圧縮試験機(例えば、MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電性粒子の表面抵抗値が測定できるように、直怪50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(RS-232C)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個の導電性粒子2の圧縮を行い、粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いることができる。
<用途>
メッキ層付き金属ドープ粒子は、前記基材ポリマー粒子、前記金属ヨウ化物コンポジットの調製に用いられる前記金属種、及び第2層目の前記無電解メッキに用いられる金属などの組合せや、前記基材ポリマー粒子の粒子径などに応じ、各種機能性材料として用いることができる。例えば、導電スペーサ、ACF用導電材料、ACP用導電材料、電子ペーパー用導通材、ハンダボールなどに用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1:導電スペーサ用導電性粒子]
<1次ドープ工程>
―基材ポリマー粒子―
導電スペーサの基材ポリマー粒子は、ハヤビーズL-11(早川ゴム(株)製)(粒子形状:球状)を用いた。
―粒子怪―
アクリル樹脂球の粒子径を、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)により30,000個測定した後、付属のソフトを用いコンピューターで統計的に処埋して数平均粒子径を求めたところ、6.60μmであった。求めた数平均粒子径(μm)を「Dn」とし、粒子径の標準偏差(μm)を「σ」として、上記計算式より、粒子のCv値(変動係数)を求めた。
Cv値(%)=(σ/Dn)×100%
アクリル樹脂球の粒子のCv値(変動係数)は、4.5%であった。
―表面抵抗値―
微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記アクリル樹脂の表面抵抗値が測定できるように、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子、金属製試料台、及び抵抗測定器(デジタルマルチメータ7351E ADCコーポレーション製)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂の圧縮を行い、アクリル樹脂が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を測定したところ、アクリル樹脂の表面抵抗値は、4.8×1015Ωであった。
―圧縮破壊荷重値―
微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧縮端面で、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で、1個のアクリル樹脂球の圧縮を行い、前記アクリル樹脂球が破壊したときの荷重値を測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値は、1,100MPaであった。
―10%圧縮強度―
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を直怪50μmのダイアモンド製円錐からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記平松式により求めた。
10=2.8×10P×1/πd2
アクリル樹脂球の10%圧縮強度は、680MPaであった。
―圧縮回復率―
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)を用い、アクリル樹脂球を反転荷重値9.8mNまで圧縮した後、荷重を除き、その終点を原点荷重値0.98mNとして、負荷、及び負荷除去における圧縮速度を0.284mN/秒として測定した。反転の点までの変位を「L1」とし、反転の点から原点荷重値をとる点までの変位を「L2」として、下記計算式により求めた。
圧縮回復率(%)=復元率/圧縮率×l00=100×(L1-L2)/L1
アクリル樹脂球の圧縮回復率は、90%であった。
―ヨウ素のドープ―
前記アクリル樹脂球3gを、0.01mMヨウ素、及び0.2mMヨウ化アンモニウムを溶解させた20mLの50質量%エタノール水溶液(以下、「ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」と称することがある)に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。10℃に保った前記ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液に、10分間〜20分間浸漬し、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
<2次ドープ工程>
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、濾過しながら、50質量%エタノール水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球の内部や表面に生成したヨウ素複合体を50mM硝酸銀―50質量%エタノール水溶液に4日間浸漬することで金属種と反応させ、ヨウ化銀コンポジットを得た。
<還元工程>
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化銀コンボジットを、50質量%エタノールで洗浄した後、更に、大気中で180℃にて72時間〜150時間加熱することにより、金属銀に還元し、銀微粒子を基材ポリマー粒子の表面に析出させた。
<無電解メッキ工程>
前記還元工程で得られた、銀微粒子を析出させた粒子を、0.05Mの硝酸銀を溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間〜120時間の反応条件で銀メッキ皮膜層を形成させた。これらの粒子の中から、透過光による高倍率の光学顕微鏡下で観察することにより、黒く写った粒子をメッキ処理されていた微粒子として選択し、導電スペーサ用導電粒子を得た。
<導電圧縮試験>
―方法―
前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を、図1に示す導電圧縮試験により測定した。すなわち、微小圧縮試験機(MCT-W200J:島津製作所(株)製)に、前記導電スペーサ用導電性粒子の表面抵抗値を測定するため、直径50μmの金属製円錐からなる平滑な圧子1、金属製試料台3、及び抵抗測定器4(デジタルマルチメータ7351E ADCコーポレーション製)を取り付け、圧縮速度2.2mN/秒、最大試験荷重10gの条作下で、1個の導電スペーサ用導電性粒子2の圧縮を行い、導電スペーサ用導電性粒子が圧縮変位し破壊するまでの間に得られた抵抗値のうち最小の値を、導電性の評価として用いた。
―結果―
図3に、上記の方法で測定した最小抵抗値を示した。図3から明らかなように実施例1のメッキ膜を付与した導電性粒子においては、15.0Ωであった。また、図2に示したように、実施例1の導電性粒子が破壊された時の荷重は5.0gfであった。この結果より、実施例1で得られた導電スペーサ用導電性粒子は、基材ポリマー粒子であるアクリル樹脂の良好な圧縮特性を保持しており、なおかつ、粒子表面に形成された銀メッキ皮膜により、優れた導電性を有することが認められた。
さらに、実施例1で得られた導電性粒子を電子顕微鏡で観察したところ非常に滑らかな表面が観察できた。上記の最小抵抗値の測定及び破壊点の測定は、実施例1にかかる導電性粒子を10点用意して行ったが、全ての導電性粒子で最小抵抗値、破壊点の数値にばらつきは見られなかった。
実施例1の導電性粒子を導電スペーサとして使用したところ、長期間に亘って良好な導電性を維持し、高い圧縮信頼性を発揮した。
[実施例2:ACF用導電性粒子]
<1次ドープ工程>
―基材ポリマー粒子―
ACF用導電性粒子の基材ポリマー粒子は、以下の方法により製造したアクリル樹脂球状粉末を用いた。すなわち、分散重合において、エタノール180gにPVP(ポリビニルピロリドン)K-30((株)日本触媒製)9gを溶解した後、スチレンモノマー(東ソー(株)製)5gにアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製)0.05gを溶解した液を加え、窒素を吹き込みながら50rpm、80℃にて16時間撹拌することにより反応させ、ポリスチレン400nmの均一粒子分散液(ポリスチレン分散液)を得た。
次いで、1質量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を溶解した水50gに1―クロロドデカン10gを加え、超音波ホモジナイザで1時間分散処理することにより、分散液1を得た。前記分散液1を前記ポリスチレン分散液に加え、50rpmで16時間常温撹拌して、ポリスチレン粒子に1―クロロドデカンを吸収させ、1―クロロドデカン吸収ポリスチレン粒子分散液を得た。
BPO:過酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製)1.5gを、ポリエチレングリコールジメタクリレート(日立化成工業(株)製)100gに溶解させ、1質量%SDSを溶解した水2,000gに加えて、高速ホモジナイザで30分間分散することにより、分散液2を得た。
前記分散液2に、前記1―クロロドデカン吸収ポリスチレン粒子分散液を加え、50rpm、常温にて16時間撹絆することにより、ポリエチレングリコールジメタクリレートをポリスチレン粒子に吸収させた分散液3を得た。
前記分散液3を、50rpm、80℃にて24時間撹拌することにより反応させ、均一粒子径のアクリル樹脂球分散液を調製した。前記アクリル樹脂球分散液を濾過し、純水で洗浄して更に濾過した後、乾燥させることにより、アクリル樹脂球粉末を得た。
―粒子径―
アクリル樹脂球の数平均粒子径を実施例1と同様の方法で求めたところ、3.2μmであった。また、粒子のCV値(変動係数)は、2.6%であった。
―圧縮破壊荷重値―
アクリル樹脂球の圧縮破壊荷重値を実施例1と同様の方法で測定したところ、1gの圧縮で破壊しなかった。
―10%圧縮強度―
アクリル樹脂球の10%圧縮変形強度は、試験荷重10gを加え、実施例1と同様の方法で測定したところ、600MPaであった。
―圧縮回復率―
アクリル樹脂球の圧縮回復率を実施例1と同様の方法で測定したところ、アクリル樹脂球の圧縮回復率は、45%であった。
―ヨウ素のドープ―
前記アクリル樹脂球2gを、ヨウ素2mM、ヨウ化カリウム4mMを溶解させた50m1の水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))混合溶液に投入した。このとき、大きな樹脂微粒子の凝集体はあらかじめ解砕しておいた。50℃に保った溶液を、1時間超音波照射しながら、微粒子中ヘヨウ素の導入を行い、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を得た。
<2次ドープ工程>
1次ドープ工程で得られた、アクリル樹脂球ヨウ素複合体を、0.2質量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。アクリル樹脂球ヨウ素複合体の表面に付着したヨウ素溶液を、1mMの塩化パラジウムを含む0.15質量%塩化アンモニウム水溶液100mLに投入して、80℃、1時間の条件で、ヨウ素とパラジウムイオンを反応させて、ヨウ化パラジウムコンポジットを得た。
<還元工程>
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化パラジウムコンポジットを、0.025質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液で金属パラジウムに還元し、パラジウムを表面に析出させたアクリル酸樹脂球を得た。
<無電解メッキ工程>
前記還元工程で得られた、パラジウムを表面に析出させたアクリル酸樹脂球を、0.05mo1/Lの硝酸ニッケルを溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間〜120時間の反応条件でニッケルメッキ皮膜層を形成させた。これらの粒子の中から、透過光による高倍率の光学顕微鏡下で観察することにより、黒く写った粒子をメッキ処理されていた微粒了として選択し、ACF用導電性粒子を得た。
<圧縮導電試験>
―方法―
前記ACF用導電性粒子について、実施例1と同様の条件で図1に示す圧縮導電試験により表面抵抗値の測定を行った。
―結果―
実施例2で得られた無電解メッキ後の導電性粒子は、変形率70%においてもメッキ皮膜層の破壊は生じなかった。基材ポリマー粒子も良好な圧縮特性を保持しており、メッキ皮膜層もまた良好な圧縮特性を有しているため、変形率70%においても15Ωの低い電気抵抗値を維持していることが分かった。これは、金属微粒子(パラジウム)を基材ポリマー粒子の表面に点在させてアンカーリング効果を向上させたことにより、ニッケルメッキ膜が強固に基材ポリマー粒子に固着したためであると考えられる。
この粒子について10点の導電圧縮試験を行ったが全ての粒子において破壊するまで低い抵抗値を維持していた。実施例2で得られた無電解メッキ後の導電性粒子10個について、導電圧縮試験を行った。いずれの粒子についても破壊するまで15Ωの低い抵抗値が維持されていることが確かめられた。また、導電性粒子が破壊された時の圧縮荷重は5.0gfであることが確かめられた。それぞれの粒子を電子顕微用で観察したところ、非常に滑らかなメッキ膜が形成されていることが確認された。この滑らかなメッキ膜によって、何れの粒子においても抵抗値にぶれがなく15Ωとすることができたとものと思われる。
実施例2のメッキ層付き導電性粒子を、エポキシ樹脂と硬化剤に添加して押し出し成型でフィルムに成形して、異方性導電フィルムとした。この異方性導電フィルムは、長期間に亘って良好な導電性を維持し、高い圧縮信頼性を発揮した。上記から明らかなように、導電スペーサ用導電性粒子を製造するにあたってエッチング工程は行っていないが、導電性粒子の圧縮特性が損なわれることはなかった。
[実施例3:導電ペースト用導電性粒子]
市販の架橋高密度ポリエチレン粒子 住友精化(株)製フロービーズHE3040(平均粒子径11μm)を用いて以下の処理を行った。
―ヨウ素のドープ―
前記ポリエチレン樹脂球3gを、1mMヨウ素、及び10mMヨウ化アンモニウムを溶解させた20mLの50質量%エタノール水溶液(ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」に投入した。10℃に保った前記ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液に、20分間浸漬し、ポリエチレン樹脂球ヨウ素複合体を得た。
<2次ドープ工程>
1次ドープ工程で得られた、ポリエチレン樹脂球ヨウ素複合体を、濾過しながら、50質量%エタノール水溶液で洗浄した。ポリエチレン樹脂球の内部や表面に生成したヨウ素複合体を10mM塩化金酸―50質量%エタノール水溶液に2日間浸漬することで金属種と反応させ、ヨウ化金コンポジットを得た。
<還元工程>
前記2次ドープ工程で得られた、ヨウ化金コンボジットを、50質量%エタノールで洗浄した後、更に、大気中で160℃にて72時間加熱することにより、金属に還元し、金微粒子ドープ微粒子を得た。
<無電解メッキ工程>
前記還元工程で得られた、金微粒子ドープ粒子を、0.05Mの硝酸銀を溶解させた水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))の混合溶液に投入し、60℃、24時間の反応条件で銀メッキ皮膜層を形成させた。
以上の工程で得られた異方性導電ペースト用粒子を実施例2と同様の条件にて圧縮試験を行った。
変形率70%圧縮でもメッキ皮膜層は破壊せず、ポリマー粒子は良好な圧縮物性を示し、10点の導電圧縮試験において、全ての粒子が15Ωの低い抵抗値を維持した。
本発明のメッキ層を付与した導電性粒子をキシレンに溶解したスチレンエチレンブチレンエラストマー(旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックM−1913)に添加混合した後、スクリーン印刷して乾燥させ、導電接続した。この導電ペーストは長期間に亘って良好な導電性を維持し、高い圧縮信頼性を発揮した。
[実施例4:導電スペーサ用導電性粒子]
1次ドープ工程のヨウ素を100mM、ヨウ化カリウムを200mM、2次ドープ工程の塩化パラジウムを硝酸ニッケル1mMに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、導電スペーサ用導電性粒子を製造した。
実施例4で得られた導電スペーサ用導電性粒子は、基材ポリマー粒子であるアクリル樹脂の良好な圧縮特性を保持しており、なおかつ、粒子表面に形成された銀メッキ皮膜により、優れた導電性を有することが認められた。
さらに、実施例4で得られた導電性粒子を電子顕微鏡で観察したところ非常に滑らかな表面が観察できた。上記の最小抵抗値の測定及び破壊点の測定は、実施例1にかかる導電性粒子を10点用意して行ったが、全ての導電性粒子で最小抵抗値、破壊点の数値にばらつきは見られなかった。
実施例1の導電性粒子を導電スペーサとして使用したところ、長期間に亘って良好な導電性を維持し、高い圧縮信頼性を発揮した。
[実施例5]
実施例2の導電性粒子の製造方法の1次ドープ工程において、「ヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液」の組成を、ヨウ素0.5M、ヨウ化カリウム2Mを溶解させた50ml水/エタノール(水:エタノール=1:1(V/V))混合溶液とし、塩化パラジウム溶液を6mMとした他は、実施例2と同様の条件にて、ヨウ化パラジウムコンポジットを製造し、還元処理を行った。
実施例2の還元処理を終えたヨウ化パラジウムコンポジット及び実施例5の還元処理を終えたヨウ化パラジウムコンポジットについて、実施例2と同様の方法で還元して、基材ポリマー粒子の表面に金属微粒子を析出させた。実施例2及び実施例5の基材ポリマー粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)によって、基材ポリマー粒子を観察した。撮影した写真を図4から図7に示す。
図4及び5から明らかなように、実施例2の製造方法によれば、基材ポリマー粒子の表面にごくわずかのパラジウム金属微粒子が析出し、点在していることがわかる。微量のパラジウム金属微粒子を析出させた基材ポリマー粒子に、メッキ膜を付与した導電性粒子の圧縮特性と導電性が従来よりも優れることは既述(実施例2)の通りある。これは、ごくわずかのパラジウム金属微粒子が基材ポリマー粒子の表面に析出していることに起因すると思われる。すなわち、本発明においては基材ポリマー粒子の表面に、金属微粒子が点在しそれによって凸凹形状が形成されアンカーリング効果が高められたものと推測される。
一方、図3及び図4から明らかなように、実施例5例の製造法では、基材ポリマー粒子の表面に多量のパラジウム金属微粒子が析出している。表面形状の歪みも観察される。この多量のパラジウム金属微粒子が析出したポリマー基材粒子について、実施例2と同様の方法で、メッキ膜を付与した。これについて表面抵抗値を計測したところ、平均で2.0×10Ωであった。表面形状が歪なためか、各粒子の抵抗値にばらつきがみられた。また、圧縮特性については、上記と同様の試験方法を行ったところ、変形率55%にてメッキ皮膜層が破壊された。
1 圧子
2 導電性粒子
3 金属製試料台
4 抵抗測定器

Claims (4)

  1. 基材ポリマー粒子に対して、ヨウ素をドープしてポリマー/ヨウ素複合体を調整する1次ドープ工程と、
    該ポリマー/ヨウ素複合体に対して金属種を反応させて金属ヨウ化物コンポジットを調整する2次ドープ工程と、
    該金属ヨウ化物コンポジットを金属微粒子へと還元し、基材ポリマー表面にメッキ膜の核となる金属微粒子を点在させる還元工程と、
    還元工程で得られた基材ポリマー粒子表面に点在する金属を核としてメッキ膜を成長させる無電解メッキ工程と、からなることを特徴とする導電性粒子の製造方法。
  2. 1次ドープ工程は、基材ポリマー粒子を5×10−6〜5×10−3Nの単体ヨウ素を含む溶液に浸漬する工程である請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
  3. 2次ドープ工程は、ポリマー/ヨウ素複合体を5×10−6〜5×10−3Nの金属種を含む溶液に浸漬する工程である請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造された、表面抵抗値が5〜10Ωである導電性粒子。
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