JP5521113B2 - 高強度、高耐熱電解銅箔及びその製造方法 - Google Patents

高強度、高耐熱電解銅箔及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解銅合金箔、例えば銅(Cu)−モリブデン(Mo)系銅合金等の電解銅合金箔と、その製造方法に関するものである。
従来から電解銅箔は、リジッドプリント配線板、フレキシブルプリント配線板、電磁波シールド材料を初めとする種々の分野で使用されてきた。
これらの分野の内、ポリイミドフィルムと張り合わせたフレキシブルプリント配線板(以下「FPC」と称する)に関する分野では、ハードディスクドライブ(以下「HDD」と称する)サスペンション材料、或いはテープオートメーティド・ボンディング(以下「TAB」と称する)材料として銅箔の強度向上が要求されてきている。
HDDに搭載されているサスペンションは、高容量化が進むに従い従来使用されてきたワイヤタイプのサスペンションから、記憶媒体であるディスクに対し浮力と位置精度が安定した配線一体型のサスペンションへ大半が置き換わってきている。
この配線一体型サスペンションには、(1)FSA(フレックス・サスペンション・アッセンブリ)法と呼ばれるフレキシブルプリント基板を加工し接着剤を用いて張り合わせたタイプ、(2)CIS(サーキット・インテグレーティッド・サスペンション)法と呼ばれるポリイミド樹脂の前駆体であるアミック酸を形状加工した後、ポリイミド化し更に得られたポリイミド上にメッキ加工を施すことにより配線を形成するタイプ、(3)TSA(トレース・サスペンション・アッセンブリ)法と呼ばれるステンレス箔−ポリイミド樹脂−銅箔からなる3層構造の積層体をエッチング加工により所定の形状に加工するタイプ、の三種類のタイプがある。
この内、TSA法サスペンションは高強度を有するステンレス箔を銅箔と積層することによって、容易にフライングリードを形成させることが可能であり、形状加工での自由度が高いことや比較的安価で寸法精度が良いことから幅広く使用されている。
TSA法により形成されるサスペンションでは、ステンレス箔の厚さは12〜30μm程度、ポリイミド層の厚さは5〜20μm程度、銅箔の厚さは7〜14μm程度の材料を用いて積層体が製造されている。
積層体の製造は、まず基体となるステンレス箔上にポリイミド樹脂前駆体含有液を塗布する。塗布後、予備加熱により溶媒を除去した後、さらに加熱処理してポリイミド化を行い、続いてポリイミド化したポリイミド樹脂層の上に銅箔を重ね合わせ、300℃程度の温度で加熱圧着してラミネートし、ステンレス層/ポリイミド層/銅層からなる積層体を製造する。
この300℃程度の加熱で、ステンレス箔には寸法変化はほとんど見られない。しかし、従来の電解銅箔を使用すると、電解銅箔は300℃程度の温度で焼鈍され、再結晶が進み軟化して寸法変化が生ずる。このため、ラミネート後に積層体に反りが生じ、製品の寸法精度に支障をきたしていた。
ラミネート後に積層体に反りを生じさせないためには、銅箔には加熱時の寸法変化ができるだけ小さいことが求められ、通常0.1%以下が要求されている。
この要求を満たす銅箔として従来は圧延銅合金箔が使用されている。圧延銅合金箔は300℃程度の温度では焼鈍されにくく、加熱時の寸法変化が小さく、機械的強度変化も少ない。
圧延銅合金箔とは、銅を主成分として、錫、亜鉛、鉄、ニッケル、クロム、リン、ジルコニウム、マグネシウム、シリコン等の銅以外の少なくとも一種以上の元素を含有する銅合金を圧延加工によって箔化した箔である。これらの圧延銅合金箔は元素の種類、組み合わせによって300℃程度の加熱では焼鈍されにくく、引張強さ、0.2%耐力、伸び等がそれほど変化しないものがある。
例えば、Cu−0.2mass%Cr−0.1mass%Zr−0.2mass%Zn(Cu−2000ppmCr−1000ppmZr−2000ppmZn)のような圧延銅合金箔は、TSA法サスペンションの他、HDDサスペンション材としても好適に使用されている。
また、TAB材料においてもTSA法サスペンションやHDDサスペンション材料と同様、銅箔の高強度化が要求されている。
TAB製品においては、製品のほぼ中央部に位置するデバイスホールに配されるインナーリード(フライングリード)に対し、ICチップの複数の端子を直接ボンディングする。
このときのボンディングは、ボンディング装置(ボンダー)を用いて、瞬間的に通電加熱して、一定のボンディング圧を付加して行う。このとき、電解銅箔をエッチング形成して得られたインナーリードは、ボンディング圧で引っ張られて伸びすぎるという問題がある。
電解銅箔を高強度することによりインナーリードのたるみ、破断がしにくくなる。そこで、電解銅箔の強度が小さすぎると塑性変形によってインナーリードにたるみが発生し、著しい場合には破断するという問題がある。
一方、銅箔表面を低粗度化することにより、TABの配線をエッチングにより形成する時、配線の側壁がオーバーエッチングにより過剰に細るのを防ぐことができ、細線をエッチング形成することが可能である。この理由は、以下の通りである、一般に、HDD、TABの配線は銅箔をポリイミド基材に加熱ラミネートした後、レジストを施し、エッチングにより形成する。この時、銅箔表面の粗さが粗いとポリイミド表面に銅箔が食い込んで、食い込んだ部分をエッチングにより取り除こうとすると配線の側壁がオーバーエッチングされて線幅が細ってしまう。これを避けるために銅箔表面を低粗度化することが望ましい。
従って、インナーリードの線幅を細線化するには、使用する電解銅箔は低粗度化された粗面を持ち、かつ高強度であることが要求される。
この場合も、常態(25℃1気圧、以下同様)で銅箔または銅合金箔が高強度であるとともに、加熱した後でも高強度であることが必要である。
TAB用途の場合には、銅箔とポリイミド層が張り合わされた2層のFPC、または銅箔とポリイミド層と接着剤層とが張り合わされた3層のFPCが、使用される。3層のFPCでは銅箔にポリイミドを張り合わせる時、エポキシ系の接着剤を使用し、180℃前後の温度で張り合わせる。またポリイミド系の接着剤を使用した2層のFPCでは、300℃前後の温度で張り合わせを行う。
仮に常態で機械的強度が大きい銅箔であっても、ポリイミドに接着した時に軟化しては意味がない。従来の高強度の電解銅箔は、常態での機械的強度が大きく、180℃前後で加熱してもほとんど機械的強度は変化しないが、300℃程度で加熱した場合は、焼鈍され再結晶が進むため、急速に軟化して機械的強度が著しく低下してしまう。
銅箔のポリイミド樹脂基材と張り合わせる面(通常は銅箔の粗面)が低粗度で、且つ、機械的強度にも優れた電解銅箔として、以下に示すように種々の研究が行われてきた。
例えば、特許文献1には、プリント配線板用途やリチウム二次電池用負極集電体用途に好適な銅箔として粗面粗さRzが2.0μm以下で均一に低粗度化された粗面を持ち、180℃における伸び率が10.0%以上である低粗面電解銅箔が記載されている。
そして、硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、ポリエチレンイミン又はその誘導体、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、濃度20〜120mg/Lの塩素イオン(塩化物イオン)及び所定濃度のオキシエチレン系界面活性剤を存在させることによって、上記の電解銅箔が得られるとしている。
また、特許文献2には、電解銅箔の粗面粗さRzは2.5μm以下であり、電着完了時点から20分以内に測定した25℃における引張強さが820MPa以上であり、電着完了時点から20分以内に測定した25℃における引張強さに対する電着完了時点から300分経過時に測定した25℃における引張強さの低下率が10%以下である電解銅箔が記載されている。
そして硫酸−硫酸銅水溶液を電解液として、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンイミン、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、アセチレングリコール、及び濃度20〜120mg/Lの塩化物イオンを存在させて上記の電解銅箔が得られるとしている。
更に、特許文献3には、本質的に円柱状粒子および双晶境界がなく、10μmまでの平均粒子サイズを有する粒子構造を持つ電着銅箔であって、該粒子構造が実質的に一様でランダムに配向する粒子構造である、制御された低プロファイルの電着銅箔が記載されている。
この電着銅箔は、23℃における最大引張強さが87,000〜120,000psi(600MPa〜827MPa)の範囲にあり、180℃における最大引張強さが25,000〜35,000psi(172MPa〜241MPa)である、としている。
特許文献4には、硫酸酸性硫酸銅電解液中に、タングステン若しくはタングステン化合物と、さらにニカワと20〜120mg/Lの塩化物イオンとを加えた電解液で電解銅箔を製造する方法が記載されている。その効果として180℃における熱間伸び率が3%以上であり、粗面の粗さが大きく、ピンホール発生の少ない銅箔が製造可能であると記載されている。
そこで本発明者等は、硫酸−硫酸銅電解液中にタングステン若しくはタングステン化合物を加え、さらにニカワと20〜120mg/Lの塩化物イオンを加えた電解液で電析させる実験を繰り返し行って、特許文献4が、目的とする180℃における熱間伸び率が3%以上であり、粗面の粗さが大きく、ピンホール発生の少ない銅箔を製造することができることを確認した。しかし、この銅箔を分析した結果、この電解銅箔中には、タングステンが共析していないことが判明した。即ち、電解銅合金箔(銅−タングステン系銅合金箔)を得ることができなかった。
従って、特許文献4に記載の方法では、粗面が低粗度であり、常態で大きな機械的強度を備え、高温で加熱しても機械的強度が低下しにくい電解銅合金箔を製箔することができない。
この原因等についての見解は後述する。
また、特許文献6には、銅が微細結晶粒として存在しており、SnOが超微粒子として分散している分散強化型電解銅箔が記載されている。
特許文献6には、硫酸酸性硫酸銅電解液中に、銅イオン、硫酸イオン及び錫イオンと、ポリエチレングリコールなどの有機添加剤とを含有させ、酸素含有ガスでバブリング処理して電解液中にSnO超微粒子を生成させ、この電解液を用いて前記分散強化型電解銅箔を得ることが記載されている。
さらに、特許文献7には、銀(Ag)を含む電解銅箔が記載されている。
特許文献7には、この電解銅箔を、所定濃度の銀イオンを与える銀塩を添加した硫酸酸性硫酸銅電解液を用いて電解銅箔を得ることが記載されている。銀はこの電解銅箔中に共析して存在しているとされている。
特許第4120806号公報 特許第4273309号公報 特許第3270637号公報 特許第3238278号公報 特開2009−221592号公報 特開2000−17476号公報 特許第3943214号公報
しかし、上記特許文献1〜4、6及び7に記載された電解銅箔の場合、いずれも常態での機械的強度は大きいものの、約300℃といった高温で加熱した場合には著しく機械的強度が低下する。
上記特許文献1〜4及び6に記載されている電解銅箔の場合、いずれも硫酸−硫酸銅系電解液を用い、添加剤の種類は特許文献1〜4及び6で異なるが、いずれも有機化合物を添加剤として使用している(本書においては、有機添加剤と記す)。
有機添加剤は通常は結晶の成長を抑制する効果のあるものが多く、結晶粒界に取り込まれると考えられている。この場合、結晶粒界に取り込まれる有機添加剤の量が多いほど機械的強度が向上する傾向にある(特許文献5参照)。
有機添加剤が結晶粒界に取り込まれた特許文献1〜4及び6に記載された電解銅箔の場合、いずれも常態での機械的強度が大きいものの、約300℃といった高温で加熱した場合には著しく機械的強度が低下する。これは、結晶粒界に取り込まれた有機添加剤が約300℃といった高温で加熱した場合には分解してしまい、その結果として機械的強度が低下するものと考えられる。
一方、有機添加剤を用いない特許文献7に記載の電解銅箔においても、前記有機添加剤を用いた電解銅箔と同様に、約300℃という高温で加熱した場合には著しく機械的強度が低下することが分かった。
そこで本発明は、常態の機械的強度が大きく、かつ、例えば前記約300℃の高温で加熱しても機械的特性が熱劣化しにくい電解銅合金箔を提供することを課題とする。
さらに本発明は、従来は治金的には銅との合金形成が不可能であったMo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属を電解銅合金箔中に取り込ませることによって、高導電率、高抗張力かつ耐熱性に優れた電解銅合金箔を提供することを別の課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、前記有機添加剤を用いないで、かつ、塩化物イオン濃度を所定の低濃度に調整した電解液から電解析出(電析あるいは電着ともいう)させることによって、常態の機械的強度が大きく、かつ、約300℃で加熱しても機械的強度の熱劣化が小さい電解銅合金箔が得られることを見い出した。
また、本発明者らは、Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属の金属塩を溶解した水溶液と、硫酸銅水溶液とを混合して得た電解液であって、塩化物イオン濃度を所定の低濃度に調整した電解液を使用して製箔を行なうことで、該金属の酸化物の超微粒子及びその一部が還元された金属の超微粒子を電解銅箔に取り込ませることによって、高導電率、高抗張力かつ耐熱性に優れた電解銅合金箔が得られることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
(2)Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、塩素を10ppm未満含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
(3)Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、塩素を1ppm未満含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
(4)母材の銅が粒子サイズ(GS)5〜500nmの微細結晶粒として存在しており、前記金属の金属酸化物が粒子径0.5〜20nmの微粒子として母材に分散していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
)常態における抗張力の値が500MPa以上であり、300℃で1時間の加熱処理後の抗張力の値の常態での抗張力の値に対する比が60%以上である(1)〜()のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
)硫酸銅水溶液と、上記金属の金属塩の水溶液と、3mg/L以下の塩化物イオンとを含有してなる電解液を用いて製造された(1)〜()のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
)硫酸銅水溶液と上記金属の金属塩の水溶液との混合液に、3mg/L以下の塩化物イオン濃度となるように塩酸若しくは水溶性塩素含有化合物を添加して電解液を準備し、前記電解液を用いて電解析出により電解銅合金箔を製造する(1)〜()のいずれか1項に記載の電解銅合金箔の製造方法。
本発明の電解銅合金箔は、例えばCu−Mo合金などの銅合金の電解箔であるために、常態での機械的強度が大きく、かつ、約300℃の高温で加熱しても機械的強度の熱劣化が小さい。
なお、ここで機械的強度とは引張強さ、0.2%耐力等を指す。
また、本発明の電解銅合金箔は、従来治金的には銅との合金化が困難であったMo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属(本書において単に金属ともいう。)を電解銅合金箔中にその金属の酸化物の超微粒子として取り込ませることで、高導電率、高抗張力であって、かつ耐熱性に優れる。ここで、該金属酸化物のごく一部は金属に還元されて金属超微粒子として本発明の電解銅合金箔に取り込まれる場合もある。本発明においては、本発明の電解銅合金箔中に存在するこれらの金属酸化物の超微粒子及び金属の超微粒子を合わせて、電解銅合金箔中に取り込まれた金属という。
このため、本発明の電解銅合金箔は、フレキシブルプリント配線板(FPC)やリチウムイオン二次電池用負極集電体などの各種用途に好適に用いることができる。
また、本発明の電解銅合金箔の製造方法は、簡便な手法で前記電解銅合金箔を製造する方法として好適なものである。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、下記の記載からより明らかになるであろう。
(電解銅合金箔の組成)
本発明の電解銅合金箔は、Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属をその酸化物の超微粒子としてまたは還元された金属の超微粒子として含む。本発明の電解銅合金箔は、塩素を10ppm未満(塩素フリー、つまり塩素含有量0ppmの場合も含む)の量で含有することが好ましく、塩素を1ppm未満の量で含有することがさらに好ましい。
まず、前記金属としては、Mo、TiまたはTeの少なくとも1種である。好ましくは、これらの金属種の内のいずれか1種を含む。
電解銅合金箔中でのこれらの金属の含有量(取り込み量)は、該金属として換算して80〜2610ppmであり、100〜2500ppmが好ましく、110〜2460ppmがさらに好ましい。この含有量が少なすぎると、耐熱効果が著しく減少し、例えば300℃で加熱した後の抗張力常態の抗張力に対する比として60%以下と低くなってしまう。一方、この含有量が多すぎると、前記抗張力の向上効果にそれ以上の改善が見られず、また、導電率が低下する。
なお、成分の含有量表示に使用した単位「ppm」は、「mg/kg」を意味する。また、0.0001mass%=1ppmである。
次に、電解銅合金箔中での塩素の含有量(取り込み量)は、10ppm未満である。電解銅合金箔の塩素含有量が10ppm以上の場合、金属酸化物の取り込み量が極端に減少し、抗張力、耐熱性の向上効果が著しく低下する。
(電解銅合金箔の結晶粒と分散粒子)
本発明の電解銅合金箔中では、母材の銅が微細結晶粒として存在しており、前記金属の金属酸化物が超微粒子として母材に分散している。
母材の銅の微細結晶粒の粒子サイズ(GS)は、5〜500nmであり、好ましくは5〜50nmである。
一方、前記金属を含有する金属酸化物の微粒子の粒子径は、0.5〜20nmであり、好ましくは0.5〜2nmである。また、前記金属が超微粒子として存在する場合、その粒子径は0.5〜20nmであり、好ましくは0.5〜2nmである。
(電解銅合金箔の製造方法)
本発明の電解銅合金箔は、次の製造方法によって製造することができる。
まず、硫酸銅水溶液と上記金属の金属塩の水溶液との混合液に、3mg/L以下の塩化物イオン濃度となるように塩酸若しくは水溶性塩素含有化合物を添加して電解液を準備し、前記電解液を用いて電解析出により電解銅合金箔を製造する。
1.電解液組成
電解液として、銅イオン濃度50〜120g/L、遊離の硫酸イオン濃度30〜150g/L、塩化物イオン濃度3mg/L以下に調製した硫酸銅含有水溶液を基本の電解液組成とする。ここで、本発明において、塩化物イオンを含まないとは、塩化物イオン濃度が3mg/L以下であることをいう。
銅イオンと遊離の硫酸イオンは、硫酸銅水溶液を前記各イオン濃度を与えるように調整すれば得られる。あるいは、所定の銅イオン濃度を与える硫酸銅水溶液に、追加で硫酸を加えてこれらのイオン濃度を調整してもよい。
塩化物イオンは、塩酸若しくは水溶性塩素含有化合物によって与えればよい。水溶性塩素含有化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムなどを用いることができる。
2.金属塩の添加
前記金属の塩を溶解させた金属塩水溶液を硫酸酸性の電解液に添加することで、金属酸化物の超微粒子を電解液中に分散させ、これを電解析出時に銅箔中に取り込む。
前記金属塩としては、水(pHがpH4より高くpH9未満)、アルカリ(pH9以上)、熱濃硫酸などの溶媒中でイオン化し、硫酸酸性下では酸化物となるものであればよく、その種類に特に制限はない。これらの金属塩の例としては、金属がMoであればその酸素酸塩を、金属がTiであればその硫酸塩を挙げることができる。例えば、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウムなどのモリブデン酸塩、硫酸チタンなどのチタン塩を用いることができる。
また、厳密には金属塩に該当しないが、溶媒中でイオン化し、硫酸酸性下では酸化物となるものであればよい。例えば酸化テルルは、熱濃硫酸中でイオン化するため、本発明に用いることができる。
これらの金属塩水溶液の濃度は、1mg/L〜500mg/L(当該金属として)が好ましく、10mg/L〜250mg/L(当該金属として)がさらに好ましい。この濃度が低すぎると目的の金属が十分に銅箔中に取り込まれにくくなる。一方、この濃度が高すぎると目的の金属が銅箔中に過剰に取り込まて、導電率が低下したり、耐熱性の向上効果が飽和して逆に耐熱性が低下してしまい加熱後の抗張力が低下したりしてしまう場合がある。
本発明においては、前記所定の塩化物濃度に調整するために、電解液や金属塩水溶液を調製する為に用いる水が塩化物イオンを極力含まないことが好ましい。この点では、金属塩水溶液の調製を、金属塩を純水中に溶解させて行うことが好ましい。ここで、純水とは、金属イオンおよび塩化物イオンをなるべく含まない水が好ましい。具体的には、塩化物イオン濃度が3mg/L以下の水が好ましく、塩化物イオン濃度が1mg/L未満の水がさらに好ましい。
3.製造条件
電解析出時の条件は以下の通りである。
電流密度30〜100A/dm
温度30〜70℃
以上の条件で、箔厚が例えば12μmの電解銅合金箔を製造することができる。
(メカニズム)
電解液に金属塩水溶液を添加するのは、銅箔中に取り込む金属をそのイオンとして水溶液中に存在させておいて、これを電解液に投入するためである。このような投入形態とすることによって、金属イオンが硫酸酸性の電解液中で酸化物に変換される際に金属酸化物の超微粒子を形成する。これに対して、金属塩を直接電解液に投入しても金属酸化物の超微粒子は形成されず、よって抗張力、耐熱性の向上効果は得られない。
電解液中の塩化物イオンを3mg/L以下の低濃度に抑えるのは、金属酸化物超微粒子の析出時に塩素が銅表面に特異吸着することによって、金属酸化物超微粒子の吸着を阻害することを防ぐためである。塩化物イオンの濃度が3mg/Lよりも高いと、電解銅合金箔中への金属の取り込みが減少し、抗張力、耐熱性の向上効果が急激に低下する。
(転位の阻害効果)
銅箔を含めて金属材料は、再結晶温度以上に加熱することによって再結晶して結晶粒が粗大化し、その結果、強度が低下する。ここで、再結晶過程の起点となるのは転位(格子欠損等の不安定な状態)の移動である。本発明の電解銅合金箔においては、金属酸化物超微粒子が母相内に分散することによって、該微粒子周囲の転位の移動を阻害する。従って、より高温で加熱しなければ軟化しないので、高い耐熱性が得られる。
本書においては、このことを「転位の阻害効果が高い」という。
(電解銅合金箔の箔厚)
本発明の電解銅合金箔の箔厚には特に制限はなく、使用用途での要求箔厚に応じて調整すればよい。例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)用には3〜20μmとすればよい。一方、リチウムイオン二次電池用負極集電体用には5〜30μmとすればよい。
(電解銅合金箔の物性)
本発明の電解銅合金箔は、導電率が65%IACS以上であ、70%IACS以上であることが特に好ましい。導電率の上限には特に制限はなく、100%IACSを超える場合もある。
本発明の電解銅合金箔は、常態における抗張力の値が500MPa以上であることが好ましく、600MPa以上であることがさらに好ましい。常態における抗張力の上限には特に制限はなく、通常1100MPa以下である。
本発明の電解銅合金箔は、300℃で1時間の加熱処理後の抗張力の値の常態での抗張力の値に対する比が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、この比が90%以上であることが特に好ましい。この比の上限には特に制限はなく、100%を超える(つまり、加熱後に抗張力が増加する)場合もある。
これに対して、前述したように、従来の、硫酸−硫酸銅系の電解液に添加される有機添加剤は、電解液中で金属元素、塩素とともに化合物を形成すると考えられる。この場合金属元素は銅である。従って、硫酸−硫酸銅電解液中で銅−有機添加剤−塩素の化合物が形成される。この電解液による銅電析により電解銅箔を形成すると、銅−有機添加剤−塩素の化合物が結晶粒界に吸着され、結晶核の成長が抑制され、結晶粒が微細化され、常態で大きな機械的強度を備えた電解銅箔が形成される
しかし、この銅箔は結晶粒界に存在する物質が、銅−有機添加剤−塩素化合物であるため銅はバルクの銅結晶と結合あるいは吸収され、結晶粒界に存在する物質が、有機添加剤と塩素のみとなってしまうため、これらの有機添加剤と塩素は300℃程度の高温にさらされると分解し、その結果として機械的強度が低下すると考えられる
300℃程度の高温で加熱した場合に引張強さが著しく低下する理由は、上記のように結晶粒界に存在する化合物が有機化合物(有機添加剤)であり、該有機化合物は300℃程度の加熱により分解しやすいため、機械的強度が低下すると考えられる
特許文献1〜4及び6に記載された技術では各々異なる有機化合物を使用して電解銅箔を製造しているが、いずれも有機添加剤と塩素を含む硫酸−硫酸銅電解液から製造されたものであり、電解銅箔の結晶粒界に吸着しているのは有機化合物成分であるため、かかる電解銅箔が約300℃の高温に曝された場合、著しく機械的強度が低下するのは、結晶粒界に吸着している化合物がいずれも約300℃の高温加熱で分解しやすい有機化合物であるからと考えられる
本発明の電解銅合金箔は、フレキシブルプリント配線板(FPC)やリチウムイオン二次電池用負極集電体などに好適に用いることができる。
前述のようにFPCの場合は低粗度であること、及びポリイミドをキャスト或いは加熱ラミネートした後に一定以上の強度が必要である。
また、リチウムイオン二次電池用負極集電体では、バインダーにポリイミドを使用した場合、ポリイミドを硬化させるため負極に加熱処理を行う。この加熱後に銅箔が軟化して、その強度が小さくなりすぎると、充電放電時に活物質の膨張収縮の応力が銅箔に加わり、銅箔に変形が起こる場合がある。さらに著しい場合には銅箔が破断が発生する場合がある。従って負極集電体用銅箔は、加熱後に一定以上の強度が必要である。
このように、フレキシブルプリント配線板(FPC)とリチウムイオン二次電池用負極集電体のいずれの場合でも、ポリイミドの加熱硬化には300℃位の温度で加熱が行われる。従って、銅箔は300℃×1H程度の温度で加熱されても、その後に一定以上の強度が必要である。
本発明の電解銅合金箔においては、これらの機械的機特性の合格レベルの目安は、各項目について以下の通りである。粗面粗さ(M面粗さ)がRa≦0.5μm、Rz≦2.5μmである。常態での引張強さがTS≧500MPa、0.2%耐力がYS≧300MPa、伸びがEl≧2%である。180℃加熱後の引張強さがTS≧310MPa、0.2%耐力がYS≧200MPa、伸びがEl≧1.5%である。300℃×1H加熱後の引張強さがTS≧280MPa、0.2%耐力がYS≧150MPa、伸びがEl≧2.5%である。また、300℃×1H加熱後の抗張力の常態での抗張力に対する比(%)は、60%以上である。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない
実施例1〜4、参考例1〜8、比較例1〜2及び従来例
実施例1〜4及び参考例1〜8では、硫酸−硫酸銅系の電解液として以下の浴を基本浴組成として用いた。
Cu=80〜120g/L
SO=80〜120g/L
前記基本浴に、添加剤として表1に記載の各種金属塩化合物(各種金属源)と塩化ナトリウム(塩化物イオン源)とを添加して、表1に記載の通りの金属塩濃度と塩化物イオン濃度に調整して、電解液を得た。
この各種電解液のいずれかを用いて以下の条件で電析を行い、各々12μm厚さの電解銅合金箔を製造した。
電流密度=50〜100A/dm
温度=50〜70℃
比較例1は、特許文献6(特開2000−17476号公報)に基づいて以下の通り作成した。CuSO・5HO、HSO、及びSnSOを含有する電解液を空気でバブリング処理して、CuSO・5HO=250g/dm(g/L)、HSO=50g/L、SnO超微粒子=3g/L、SnSO=10g/L、ポリエーテルとしてポリエチレングリコール=0.001〜0.1g/Lからなる電解液を調製した。この電解液を用いて電流密度=10A/dm、浴温度=50℃の条件で電析を行い、12μm厚さの電解銅合金箔を製造した。
比較例2は、特許文献7(特許第3943214号公報)に基づいて以下の通り作成した。銅イオン濃度70〜120g/L、硫酸イオン濃度50〜120g/Lの硫酸酸性硫酸銅溶液中に銀イオンを50ppm添加した電解液を用いた。この電解液を用いて電流密度=120A/dm、電解液温度=57℃の条件で電析を行い、12μm厚さの電解銅箔を製造した。
従来例としては、12μm厚さの市販のCu−0.015〜0.03Zr圧延銅合金箔(商品名:HCL(登録商標)−02Z、日立電線株式会社製)を用いた。
得られた各実施例、参考例及び比較例の電解銅(合金)箔並びに従来例の圧延銅合金箔について、常態での抗張力(引張強さ、TS)、その300℃×1H加熱後の抗張力、それらの比、導電率(EC)、塩素含有量、金属含有量を、それぞれ次のようにして測定した。
抗張力は、JISZ2241−1880に基づき測定した。銅箔の常態における抗張力の値が500MPa以上を良好、500MPa未満を不良と判断した。また、さらに好ましい態様での条件として、銅箔を300℃で1時間(300℃×1H)加熱処理後の抗張力の値の常態での抗張力の値に対する比が60%以上を良好、80%以上を特に良好、60%未満を不良と判断した。
導電率は、JIS−K6271に基づき、4端子法(電流電圧法)で測定した。銅箔の導電率が65%IACS以上を優、65%IACS未満を不良と判断した。
銅箔中のW等の金属とClの含有量については、一定質量の電解銅(合金)箔を酸で溶解した後、得られた溶液中のW等の金属量をICP発光分光分析法により分析することで求めた。また、得られた溶液中の塩素含有量を塩化銀滴定法(検出限界:10ppm)により求めた。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0005521113
実施例1と実施例4はモリブデン(Mo)の酸化物超微粒子を、実施例2はチタン(Ti)の酸化物超微粒子を、実施例3はテルル(Te)の酸化物超微粒子を、それぞれ電解銅合金箔中に取り込ませた例である。いずれの実施例も、500MPa以上の高い常態抗張力を有し、300℃加熱後の抗張力の低下率も低く抑えられている。導電率も65%以上と高い。金属酸化物としてタングステン(W)の酸化物超微粒子を用いた参考例1〜4についても同様である。
参考例6は、常態での抗張力は十分に高いが、300℃×1H加熱後の抗張力は大きく低下した。
参考例5はタングステン(W)の酸化物超微粒子の取り込み量が多かった例である。そのため、抗張力と耐熱性の向上効果は見られるが、導電率が低かった。
参考例7は、電解液での塩化物イオン含有量が3ppmであった場合である。参考例1〜4と遜色がない結果を示した。
参考例8は10ppmより多くの塩素を含んでいる。そのためタングステン(W)の酸化物超微粒子の取り込み量が少なく、抗張力も参考例1〜4と比較して著しく低い値となった。
比較例1は特許文献6(特開2000−17476号公報)に基づいて作成した試験例である。Cu−Snは圧延合金でもよく知られている。比較例1の電界銅箔では、各種特性値や製造コストをCu−Sn圧延合金と比較しても優位性は認められない。また、硫酸酸性電解液中で酸化物ではない硫酸スズ(SnSO)を酸素バブリングによって強制的に酸化してSnO超微粒子としているため、製造上のコストがかかるだけでなく、導電率も低かった。
比較例2は特許文献7(特許第3943214号公報)に基づいて作成した試験例である。比較例2の電界銅箔では、AgはCuと固溶して金属Agとして取り込まれている。そのため金属を酸化物の超微粒子として取り込んで析出強化している本発明の実施例と比較して、300℃×1H加熱後の抗張力の常態での抗張力に対する比(%)が劣った。これは、母材に分散した粒子の粒子径が小さいほど転位の阻害効果(つまり耐熱性)が高くなるところ、比較例2では、転位の阻害効果が低く、加熱による抗張力の低下防止効果が圧倒的に低かったことを示している。
従来例はCu−0.02Zr圧延銅合金箔である。本発明の電解銅合金箔が、圧延銅合金箔と比較しても同等以上の機械的特性と導電率とを有していることがわかる。
本発明の電解銅合金箔は、加熱後でも大きな機械的強度を要求されるプリント配線板材料、例えばHDDサスペンション材料、或いはTAB材料の分野の構成材料として好適である。
また、プリント配線板材料のみならず、高温で加熱した後でも大きな機械的強度と導電性を要求される分野の構成材料としても好適に使用することができる。
さらに、本発明の電解銅合金箔は、リチウムイオン二次電池用負極集電体等の電池部材用途にも好適に用いることができる。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2011年10月31日に日本国で特許出願された特願2011−238485に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (7)

  1. Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
  2. Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、塩素を10ppm未満含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
  3. Mo、TiまたはTeの少なくとも1種の金属またはその酸化物を該金属に換算して80〜2610ppm含み、塩素を1ppm未満含み、導電率が65%IACS以上である電解銅合金箔。
  4. 母材の銅が粒子サイズ(GS)5〜500nmの微細結晶粒として存在しており、前記金属の金属酸化物が粒子径0.5〜20nmの微粒子として母材に分散していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
  5. 常態における抗張力の値が500MPa以上であり、300℃で1時間の加熱処理後の抗張力の値の常態での抗張力の値に対する比が60%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
  6. 硫酸銅水溶液と、上記金属の金属塩の水溶液と、3mg/L以下の塩化物イオンとを含有してなる電解液を用いて製造された請求項1〜のいずれか1項に記載の電解銅合金箔。
  7. 硫酸銅水溶液と上記金属の金属塩の水溶液との混合液に、3mg/L以下の塩化物イオン濃度となるように塩酸若しくは水溶性塩素含有化合物を添加して電解液を準備し、前記電解液を用いて電解析出により電解銅合金箔を製造する請求項1〜のいずれか1項に記載の電解銅合金箔の製造方法。
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