JP5507669B2 - 電力供給システム、電力供給方法および電力供給システムの制御プログラム - Google Patents
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Description
本発明は、電力供給システム、電力供給方法および電力供給システムの制御プログラムに関する。
近年、変電所からの交流電力の供給を受ける各需要家(たとえば、住宅や工場など)に、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電装置(太陽電池など)が設けられるケースが増加している。このような発電装置は、変電所の配下に設けられる電力系統に接続され、発電装置により発電された電力は、需要家内の電力消費装置側に出力される。また、需要家内の電力消費装置により消費されずに余った電力は、電力系統に出力される。この需要家から電力系統に向かう電力の流れは、「逆潮流」と呼ばれ、需要家から電力系統に出力される電力は「逆潮流電力」と呼ばれる。
ここで、電力会社等の電力供給者には、電力の安定供給の義務が課されており、逆潮流電力分も含めた電力系統全体における周波数や電圧を一定に保つ必要がある。たとえば、電力供給者は、変動周期の大きさに応じた複数の制御手法によって、電力系統全体の周波数を一定に保っている。具体的には、一般に20分程度以上の変動周期をもつような負荷成分については、最も経済的な発電電力の出力分担が可能なように経済負荷配分制御(EDC:Economic Dispatching Control)が行われている。このEDCは、1日の負荷変動予想に基づいた制御であり、時々刻々と変動する負荷の増減(20分程度より小さい変動周期の成分)に対する対応は困難である。そこで、電力会社は、時々刻々と変動する負荷に応じて電力系統への電力の供給量を調整し、周波数の安定化を行うための複数の制御を行っている。EDCを除いたこれらの制御は特に周波数制御と呼ばれており、この周波数制御によって、EDCで調整できない負荷変動分の調整を行っている。
より詳細には、約10秒以下の変動周期の成分については、電力系統自体の自己制御性により自然に吸収することができる。また、約10秒〜数分程度の変動周期の成分に対しては、各発電所の発電機のガバナフリー運転により対応が可能である。また、数分から20分程度までの変動周期の成分については、負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)により対応している。この負荷周波数制御では、電力供給者の中央給電指令所からの制御信号によってLFC用発電所が発電出力を調整することにより、周波数制御を行っている。
しかし、再生可能エネルギーを利用した発電装置の出力は、天候などに応じて急激に変化することがある。このような発電装置の出力の急激な変化は、連系している電力系統の周波数の安定度に大きな悪影響を与えてしまう。この悪影響は、再生可能エネルギーを利用した発電装置を有する需要家が増えるほど顕著になってくる。このため、今後、再生可能エネルギーを利用した発電装置を有する需要家がさらに増えてきた場合には、発電装置の出力の急激な変化を抑制することにより、電力系統の安定度を維持する必要が生じてくる。
そこで、従来、このような発電装置の出力の急激な変化を抑制するために、再生可能エネルギーを利用した発電装置と、発電装置により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置とを備えた発電システムが提案されている。このような発電システムは、たとえば、特開2001−5543号公報に開示されている。
上記特開2001−5543号公報には、太陽電池と、太陽電池に接続されるとともに電力系統に接続されるインバータと、インバータと太陽電池とを接続する母線に接続された蓄電装置とを備えた発電システムが開示されている。この発電システムでは、一定の時間間隔毎に発電電力データ(検出電力データ)を取得するとともに、過去の発電電力データに基づいて移動平均法により目標出力電力を算出し、その目標出力電力がインバータから出力されるように太陽電池の発電電力の変動に伴って蓄電装置の充放電を行うことにより、インバータからの出力電力の変動を抑制している。これにより、電力系統側への出力電力の変動を抑制することが可能であるので、電力系統の周波数などへの悪影響を抑制することが可能である。
しかしながら、上記特開2001−5543号公報では、発電装置の発電電力の変化に伴って蓄電装置の充放電がその都度行われるので、充放電の回数が多くなり、その結果、二次電池などからなる蓄電装置の寿命が短くなるという不都合がある。
そこで、充放電の回数を減らすために、発電電力が所定の条件を満たしたとき(たとえば、発電電力の変動がある程度大きくなったとき)にはじめて蓄電装置の充放電を行う構成とすることが考えられる。
しかしながら、発電電力が所定の条件を満たしたときに蓄電装置の充放電を行う構成では、発電電力データの検出時間間隔の長さに関して、以下のような問題点がある。すなわち、発電電力データの検出時間間隔が長い場合には、発電電力の変動を適切に検出することが困難となり、その結果、適切なタイミングで充放電を行うことが困難となってしまう。この場合、電力系統への出力電力の変動を十分に抑制することができず、電力系統の周波数などへの悪影響を十分に抑制することができないという問題点がある。また、発電電力データの検出時間間隔を短くした場合、発電電力の変動を適切に検出することが可能である一方、所定の期間の発電電力データに基づいてたとえば移動平均法により目標出力電力を算出する場合には、算出に必要な発電電力のデータ数が多くなってしまう。そのため、発電電力データを記憶するための記憶容量が大きく、かつ高速演算が可能なCPUを有する制御装置が必要となり、システム価格が高額になってしまうなどの問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、目標出力電力の算出に必要な検出電力のデータ数が増大するのを抑制し、かつ、発電装置による発電電力の変動に起因する電力系統への影響を抑制することが可能な電力供給システム、電力供給方法および電力供給システムの制御プログラムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の電力供給システムは、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、少なくとも1つの蓄電池を含んだ蓄電装置と、発電装置と電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを取得する検出部と、検出電力データに基づき電力系統に出力される目標出力電力を算出するとともに、目標出力電力に応じて蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部とを備え、充放電制御部は、所定の第1時間間隔毎に検出部から第1検出電力データを取得するとともに、第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に検出部から第2検出電力データを取得し、第2検出電力データに基づいて蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行い、充放電制御を行う際には、第1検出電力データに基づいて目標出力電力を算出して蓄電装置の充放電制御を行う。
本発明の電力供給方法は、再生可能エネルギーを利用して発電装置により発電する工程と、蓄電装置に電力を蓄電する工程と、発電装置と電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを検出部により取得する工程と、検出電力データに基づき電力系統に出力される目標出力電力を算出するとともに、目標出力電力に応じて蓄電装置の充放電を制御する工程とを含み、充放電制御工程において、所定の第1時間間隔毎に検出部により第1検出電力データを取得するとともに、第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に検出部により第2検出電力データを取得し、第2検出電力データに基づいて蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行い、充放電制御を行う際には、第1検出電力データに基づいて目標出力電力を算出して蓄電装置の充放電制御を行う。
本発明の電力供給システムの制御プログラムは、コンピュータを、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置および蓄電装置の少なくとも一方からの電力を電力系統に出力させる電力供給システムの充放電制御部として機能させるための制御プログラムであって、コンピュータに、発電装置と電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを検出する検出部から所定の第1時間間隔毎に第1検出電力データを取得させ、第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に第2検出電力データを取得させ、第2検出電力データに基づいて蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行わせ、充放電制御を行う際には、第1検出電力データに基づいて目標出力電力を算出させて蓄電装置の充放電制御を行わせる。
本発明によれば、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔で取得した第2検出電力データに基づいて蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行うことによって、第1時間間隔で取得した第1検出電力データに基づいて検出電力の変動を検出する場合よりも検出電力の変動をより早く検出することができる。これにより、より早い適切なタイミングで蓄電装置の充放電を行うことができるので、電力系統側への出力電力の変動をより効果的に抑制することができ、その結果、電力系統の周波数などへの悪影響をより効果的に抑制することができる。また、充放電制御を行う際に、第1時間間隔で取得した第1検出電力データに基づいて目標出力電力を算出して蓄電装置の充放電制御を行うことによって、第2検出電力データを用いて目標出力電力を算出する場合と比べて目標出力電力の算出に必要な検出電力データ数が増大してしまうことを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による電力供給システム1の構造を説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による電力供給システム1の構造を説明する。
図1に示すように、電力供給システム1は、太陽電池からなる発電装置2および電力系統50に接続されている。電力供給システム1は、発電装置2により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置3と、発電装置2により発電された電力および蓄電装置3により蓄電された電力を電力系統50側に出力するインバータを含む電力出力部4と、蓄電装置3の充放電を制御する充放電制御部5とを備えている。なお、発電装置2は、再生可能エネルギーを利用した発電装置であればよく、例えば風力発電装置等を用いてもよい。
発電装置2と電力出力部4とを接続する直流側母線6には、DC−DCコンバータ7が直列的に接続されている。DC−DCコンバータ7は、発電装置2により発電された電力の直流電圧を一定の直流電圧(第1実施形態では、約260V)に変換して電力出力部4側に出力する。また、DC−DCコンバータ7は、いわゆるMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御機能を有している。MPPT制御機能とは、発電装置2により発電された電力が最大となるように発電装置2の動作電圧を自動的に調整する機能である。発電装置2とDC−DCコンバータ7との間には、発電装置2に向かって電流が逆流するのを防止するためのダイオード(図示せず)が設けられている。
また、蓄電装置3は、直流側母線6に対して発電装置2と並列的に接続された蓄電池31と、蓄電池31の充放電を行う充放電部32とを含んでいる。蓄電池31としては、自然放電が少なく、充放電効率の高い二次電池(たとえば、Li−ion蓄電池、Ni−MH蓄電池など)が用いられている。また、蓄電池31の電圧は約48Vである。
充放電部32は、DC−DCコンバータ33を有しており、直流側母線6と蓄電池31とはDC−DCコンバータ33を介して接続されている。DC−DCコンバータ33は、充電時には、蓄電池31に供給する電力の電圧を、直流側母線6の電圧から蓄電池31を充電するのに適した電圧まで降圧させることにより、直流側母線6側から蓄電池31側に電力を供給する。また、DC−DCコンバータ33は、放電時には、直流側母線6側に放電させる電力の電圧を、蓄電池31の電圧から直流側母線6の電圧付近まで昇圧させることにより、蓄電池31側から直流側母線6側に電力を放電させる。
充放電制御部5は、メモリ5aおよびCPU5bを備える。充放電制御部5は、DC−DCコンバータ33を制御することにより、蓄電池31の充放電制御を行う。充放電制御部5は、発電装置2の発電電力に関わらず電力系統50へ出力する電力値を平滑化するために、電力系統50へ出力する目標出力電力を設定する。充放電制御部5は、発電装置2の発電電力に応じて、電力系統50へ出力する電力量が目標出力電力となるように、蓄電池31の充放電量を制御する。すなわち、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が目標出力電力よりも大きい場合には、過剰分の電力を蓄電池31に充電するようにDC−DCコンバータ33を制御するとともに、発電装置2の発電電力が目標出力電力よりも小さい場合には、不足分の電力を蓄電池31から放電するようにDC−DCコンバータ33を制御する。
また、充放電制御部5は、DC−DCコンバータ7の出力側に設けられた発電電力検出部8からの発電装置2の発電電力データを取得する。発電電力検出部8は、発電装置2の発電電力を検出して、発電電力データを充放電制御部5に送信する。充放電制御部5は、発電電力データを所定の検出時間間隔(たとえば、30秒以下)毎に取得する。
ここでは、充放電制御部5は、2つの異なる検出時間間隔で発電装置2の発電電力データを取得している。具体的には、目標出力電力を算出するための発電電力データを取得する検出時間間隔(「第1時間間隔Ta」と呼ぶ)と、発電電力の変化量を算出するための発電電力データを取得する検出時間間隔(「第2時間間隔Tc」と呼ぶ)である。図2に示すように、充放電制御部5は、第1時間間隔Taとして、30秒毎に発電装置2の発電電力データを取得している。この30秒毎の発電電力データは、所定の期間(第1実施形態では、後述するサンプリング期間の20分)分がメモリ5aに逐次記憶される。また、充放電制御部5は、第2時間間隔Tcとして、10秒毎に発電電力データを取得している。この10秒毎の発電電力データは、最新の2つのデータのみがメモリ5aに記憶される。
第2時間間隔Tcは、第1時間間隔Taよりも短いとともに、第1時間間隔Taの長さは第2時間間隔Tcの2倍以上の整数倍となるように設定されている。また、第1時間間隔Taによる発電電力データの検出タイミングは第2時間間隔Tcによる発電電力データの検出タイミングと重なるように設定されている。なお、第2時間間隔Tcは、長すぎても短すぎても発電電力の変化を適切に検出することができないので、発電装置2の発電電力の変動周期などを勘案して適正な値に定める必要がある。第1実施形態では、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期よりも短くなるように第2時間間隔Tcを設定している。
また、充放電制御部5は、電力出力部4の出力電力を取得することにより、実際に電力出力部4から電力系統50側に出力された電力と目標出力電力との差を認識することによって、電力出力部4からの出力電力が目標出力電力となるように充放電部32の充放電をフィードバック制御することが可能である。
次に、充放電制御部5による蓄電池31の充放電制御について説明する。上述したように、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力と蓄電池31の充放電量との合計が目標出力電力となるように蓄電池31の充放電を制御する。この目標出力電力は、第1時間間隔Taで取得された発電電力データに基づいて、移動平均法を用いて算出される。なお、移動平均法とは、たとえばある時点の目標出力電力を、その時点より過去の期間の発電装置2の発電電力の平均値とする算出方法である。以下、目標出力電力の算出に用いる発電電力データを取得するための期間をサンプリング期間と呼ぶ。サンプリング期間の具体的な値としては、たとえば、図3に示すような「負荷変動の大きさ−変動周期」特性を有する電力系統においては約10分以上約30分以下の期間であり、第1実施形態では、サンプリング期間を約20分としている。この場合、充放電制御部5は、約30秒置きに発電装置2の目標出力電力の算出用の発電電力データを取得するので、過去20分の期間に含まれる40個の発電電力データの平均値を目標出力電力として算出している。
ここで、第1実施形態では、充放電制御部5は、充放電制御を常に行うわけではなく、特定の条件を満たした時にのみ充放電制御を行う。すなわち、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力をそのまま電力系統50に出力しても電力系統50側への悪影響が小さい場合には充放電制御を行わず、悪影響が大きい場合にのみ充放電制御を行う。具体的には、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(以下、「制御開始発電電力」と呼ぶ)以上で、かつ、発電装置2の発電電力の変化量が所定の変化量(以下、「制御開始変化量」と呼ぶ)以上である場合に、充放電制御を行う。
充放電制御部5は、第2時間間隔Tc毎に検出された発電装置2の発電電力が制御開始発電電力未満の状態から制御開始発電電力以上の状態になった場合に、発電装置2の発電電力の変化量の検出を開始する。そして、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力以上の状態で、第2時間間隔Tc毎に検出された発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量以上になった時に、はじめて充放電制御を開始する。発電装置2の発電電力が制御開始発電電力以上になった場合にも、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量を超えない場合には充放電制御は行わない。また、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量を超えないまま、第2時間間隔Tc毎に検出された発電装置2の発電電力が制御終了発電電力未満になった場合には、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力の変化量の検出を停止する。
制御開始発電電力は、たとえば雨天時の発電電力よりも多い発電電力であり、具体的な数値としては、たとえば、発電装置2の定格出力の10%である。また、制御開始変化量は、たとえば快晴時(雲が殆どない晴天)の昼間の時間帯における検出時間間隔毎(第2時間間隔Tc)の最大変化量よりも多い変化量であり、具体的な数値としては、たとえば、変化前の発電電力の4%である。また、発電電力の変化量とは、第2時間間隔Tcで取得した発電電力データに基づいて算出した変化量である。発電電力の変化量は、第2時間間隔Tc毎に検出される連続する2つの発電電力データの差分を算出することにより取得される。
なお、上記の具体的な数値(変化前の発電電力の4%および定格出力の10%)については、検出時間間隔を変えた場合には、その検出時間間隔に応じて制御開始発電電力および制御開始変化量を設定する必要がある。
ここで、図2を参照して、電力供給システム1の充放電制御の開始タイミングについて、発電電力推移の一例を示して説明する。
充放電制御部5は、第1時間間隔Ta毎に発電電力データを取得するとともに、第2時間間隔Tc毎にも発電電力データを取得する。図2は、第1時間間隔Ta毎に取得した発電電力データおよび第2時間間隔Tc毎に取得した発電電力データをそれぞれ目標算出用データおよび変化算出用データとして示している。
充放電制御部5は、変化算出用データの大きさを監視するとともに、連続する変化算出用データの差分をとることにより発電電力の変化量を監視する。そして、充放電制御部5は、第2時間間隔Tc毎に充放電制御を開始するか否か、すなわち発電電力が制御開始発電電力以上であるか否か、および、発電電力の変化量が制御開始変化量以上であるか否かを判断する。
ここで、時刻t0〜時刻t1において、発電電力の大きな低下(制御開始変化量以上の変化)があった場合、充放電制御部5は、時刻t1において充放電制御を開始すると判断する。すなわち、充放電制御部5は、第1時間間隔Taの検出タイミング(時刻t2)の前の時点で充放電制御の開始を判断する。充放電制御部5が充放電制御の開始を決定した後、最初の第1時間間隔Taの取得タイミング(この例では、時刻t2)において、実際に充放電制御が開始される。
時刻t2において充放電制御を開始する場合、時刻t2における目標出力電力は時刻t3以前の過去20分の目標算出用データに基づいて算出される。そのため、充放電制御部5は、その目標出力電力を電力出力部4から出力するように、時刻t2の目標出力電力と時刻t2において検出した発電電力との差分の電力分だけ蓄電装置3から充放電を行う。この充放電電力は、時刻t2において算出された値が時刻t2から次の目標出力電力の設定タイミング(時刻t4)まで一定である。図2の場合、時刻t2における目標出力電力は発電電力よりも大きいので、放電となる。この後は、第1時間間隔Ta後の時刻t4において時刻t2において算出した目標出力電力に基づいて充放電が行われ、その後も第1時間間隔Ta毎に目標出力電力が設定されて充放電が行われる。
また、充放電制御部5は、充放電制御を開始した後、一定の制御期間の経過後に充放電制御を停止する。制御期間は、少なくとも負荷周波数制御で対応する変動周期範囲を基に決定したサンプリング期間以上の期間である。制御期間は短すぎると負荷周波数制御で対応する変動周期範囲の抑制効果が薄くなり、長すぎると充放電回数の頻度が増えることから蓄電池寿命が短くなる傾向にあり、適切な時間を設定する必要がある。第1実施形態では、制御期間は30分間に設定されている。
また、制御期間中に制御開始変化量以上の発電電力の変化を所定回数(第1実施形態では、3回)検出した場合には、充放電制御部5は、制御期間を延長する。この延長は、3回目の発電電力変化を検出した時点で、新たに30分の制御期間を設定することにより行われる。制御期間が延長された場合、3回目の検出時点(延長開始時点)から制御開始変化量以上の発電電力の変化を新たに3回検出しない場合には、3回目の検出時点(延長開始時点)から30分後に充放電制御が停止される。3回目の検出時点(延長開始時点)から制御開始変化量以上の発電電力の変化を新たに3回検出した場合には、制御期間が再度30分延長される。
また、充放電制御部5は、制御期間中に、発電装置2の発電電力が制御終了発電電力未満になった場合には、制御期間の経過前であっても、充放電制御を停止するように構成されている。なお、制御終了発電電力は、制御開始発電電力以下の値であり、第1実施形態では、制御開始発電電力の半分の値としている。
ここで、充放電制御部5による蓄電池31の充放電制御により変動抑制を主に行う変動周期範囲について説明する。
図3に示すように、変動周期によって対応可能な制御方法が異なっており、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期が領域D(ハッチングで示す領域)に示されている。また、EDCにより対応可能な変動周期は領域Aに示されている。なお、領域Bは、負荷変動などによる影響を電力系統50自体の自己制御性により自然に吸収する領域である。また、領域Cは、各発電所の発電機のガバナフリー運転により対応が可能な領域である。ここで、領域Dと領域Aとの境界線が負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の上限周期T1となり、領域Cと領域Dとの境界線が負荷周波数制御により対応可能な変動周期の下限周期T2となる。この上限周期T1および下限周期T2は、図3より固有の周期ではなく、負荷変動の大きさなどによって変化する数値であることが分かる。さらに、構築された電力網によって図示されている変動周期の時間も変化する。第1実施形態では、EDC、電力系統50自体の自己制御性およびガバナフリー運転などによって対応できない領域D(LFCにより対応可能な領域)の範囲内に含まれる変動周期(変動周波数)を有する変動に着目し、抑制することを目的としている。
次に、図4を参照して、電力供給システム1の充放電制御開始前の制御フローについて説明する。
充放電制御部5は、発電装置2の発電電力を第1時間間隔Ta毎(30秒毎)および第2時間間隔Tc毎(10秒毎)に検出している。そして、ステップS1において、充放電制御部5は、第2時間間隔Tc毎に取得した発電電力が制御開始発電電力以上になったか否かを判断する。発電電力が制御開始発電電力以上にならなかった場合には、この判断が繰り返される。発電電力が制御開始発電電力以上になった場合には、ステップS2において、充放電制御部5は、発電電力の変化量の監視を開始する。すなわち、充放電制御部5は、第2時間間隔Tc毎に取得した連続する2つの発電電力の差分を発電電力の変化量として算出する。
そして、ステップS3において、充放電制御部5は、制御開始変化量以上の発電電力の変化があったか否かを判断する。制御開始変化量以上の発電電力の変化がない場合には、ステップS2に戻り、充放電制御部5は発電電力の変化量の監視を継続する。また、制御開始変化量以上の発電電力の変化があった場合には、充放電制御部5は充放電制御を開始する。なお、図4には記載していないが、充放電制御部5は、たとえばステップS2において発電電力の変化量を監視する際に発電電力の絶対値を確認し、発電電力が制御終了発電電力を下回った場合にはステップS1に戻るようにもしている。
次に、図5を参照して、充放電制御の開始後の制御フローについて詳細に説明する。
充放電制御を開始した後、充放電制御部5は、ステップS11において、充放電制御を開始した時点からの経過時間のカウントを開始する。
次に、ステップS12において、充放電制御部5は、第1時間間隔Ta毎に取得した直前の40個の発電電力データを用いて移動平均法により目標出力電力を算出して設定する。
そして、ステップS13において、充放電制御部5は、S12において設定した目標出力電力と、目標出力電力の算出後の最初に検出される第1時間間隔Ta毎の発電電力との差を算出する。そして、ステップS14において、充放電制御部5は、充放電部32に対して過不足分の充放電を指示する。すなわち、目標出力電力が発電電力よりも大きい場合には、目標出力電力に対して発電装置2の発電電力では足りない分を蓄電池31により補うように、充放電制御部5はDC−DCコンバータ33に対して放電を指示する。また、目標出力電力が発電電力よりも小さい場合には、発電装置2の発電電力から目標出力電力を差し引いて余る分を蓄電池31に充電するように、充放電制御部5はDC−DCコンバータ33に対して充電を指示する。
そして、ステップS15において、目標出力電力(発電装置2の発電電力+蓄電池31の充放電電力)が電力出力部4から電力系統50側に出力される。
また、ステップS16において、充放電制御部5は、制御開始発電電力以上の発電電力であって、かつ、所定の変化量(制御開始変化量)以上の発電電力の変化が制御期間(30分)中に所定回数(第1実施形態では、3回)あったか否かを判断する。制御開始変化量以上の発電電力の変化が3回あった場合には、この後も発電電力の変化が継続する可能性が高いので、充放電制御部5は、ステップS17において、経過時間のカウントをリセットするとともに、充放電制御の期間を延長する。この場合、ステップS11に戻り、充放電制御部5は、新たに経過時間のカウントを開始する。
また、制御開始変化量以上の発電電力の変化が3回未満の場合には、ステップS18において、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(制御終了発電電力)以上であるか否かを判断する。そして、制御終了発電電力以上である場合には、ステップS19において、充放電制御部5は、充放電制御を開始してから、または、充放電制御期間を延長してから制御期間(30分)を経過したか否かを判断する。制御期間が経過した場合には、充放電制御部5は充放電制御を停止する。制御期間が経過していない場合には、ステップS12に戻り、充放電制御が継続される。
また、ステップS18において発電電力が制御終了発電電力未満であると判断された場合には、充放電制御部5は、制御期間が経過していない場合であっても、充放電制御を停止する。なお、ステップS18は、フローのどこに入れてもよい。
第1実施形態の電力供給システムは、上記構成により以下の効果を得ることができる。
充放電制御部5は、第1時間間隔Taよりも短い第2時間間隔Tcで取得した発電電力データに基づいて蓄電装置3の充放電制御を行うか否かの判断を行う。このように構成することによって、第1時間間隔Taで取得した発電電力データに基づいて発電電力の変動を検出する場合よりも発電電力の変動をより早く正確に検出することができる。これにより、より早い適切なタイミングで蓄電装置3の充放電を行うことができるので、電力系統50側への出力電力の変動をより効果的に抑制することができ、その結果、電力系統50の周波数などへの悪影響をより効果的に抑制することができる。
また、充放電制御部5は、充放電制御を行う際に、第1時間間隔Taで取得した発電電力データに基づいて目標出力電力を算出して蓄電装置3の充放電制御を行う。このように構成することによって、第2時間間隔Tcで取得した発電電力データを用いて目標出力電力を算出する場合と比べて目標出力電力を算出するための発電電力データ数が多くなってしまうことを抑制することができるので、メモリ5aの記憶容量が大きくなるのを抑制することができる。
また、充放電制御部5は、第2時間間隔で取得した発電電力データに基づいて発電電力の変化量を算出するとともに、発電電力の変化量が制御開始変化量以上であるか否かを判断することにより、蓄電装置3の充放電制御を行うか否かの判断を行う。このように短い時間間隔で発電電力の変化量を算出することにより、より適切なタイミングで発電電力の変動を検出することができる。そのため、発電電力の変動が大きいために平滑化を行う必要のある状態であることをより適切なタイミングで認識し、蓄電装置3の充放電制御を行うことができる。
また、充放電制御部5は、発電電力の変化量が制御開始変化量以上になった場合に、蓄電装置3の充放電制御を開始する。このように構成すれば、発電電力の変動が小さい状態では充放電制御を行わないことにより蓄電装置3の負担を軽減することができ、発電電力の変動が大きくなった場合には適切なタイミングで充放電制御を開始することができる。
また、充放電制御部5は、メモリ5aに記憶された第2時間間隔で取得した2つの発電電力データに基づいて、発電電力の変化量を算出する。そして、充放電制御部5は、蓄電装置3の充放電制御を行う際に、メモリ5aに記憶された第1時間間隔で取得したサンプリング期間分の発電電力データに基づいて、電力系統50側に出力する目標出力電力を移動平均法により算出する。このように構成すれば、目標出力電力を算出するための発電電力データを所定の個数分(サンプリング期間を第1時間間隔で割った値)だけメモリ5aに記憶することに加えて、発電電力の変化量を算出するための第2時間間隔毎に取得した2つの発電電力データをメモリ5aに記憶するだけで、発電電力の変動をより適切に検出して適切なタイミングで充放電制御を行うことができる。これにより、目標出力電力を算出するための発電電力の検出時間間隔を単純に短くする場合と異なり、メモリ5aに記憶させる発電電力データをそれほど増加させることなく、発電電力の変動をより適切に検出して正確なタイミングで充放電制御を行うことができる。
また、充放電制御部5は、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の下限周期以上の期間に設定されたサンプリング期間の範囲内の発電電力データに基づいて算出した目標出力電力となるように充放電を制御する。このように構成すれば、特に、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の成分を減らすことができる。これにより、電力系統50に影響を与えることを抑制することができる。
また、第1時間間隔が第2時間間隔の整数倍であり、第2時間間隔の発電電力検出タイミングが第1時間間隔の発電電力検出タイミングと重なるように構成されている。このように構成すれば、発電電力の検出頻度(第1時間間隔の検出頻度と第2時間間隔の検出頻度との和)を最小限にすることができるので、容易に発電電力データを取得して充放電制御を行うか否かの判断を行うことができる。
次に、移動平均法のサンプリング期間について検討した。
図6は、発電電力データの取得期間であるサンプリング期間を10分とした場合のFFT解析結果と、サンプリング期間を20分とした場合のFFT解析結果を示す。図6に示すように、サンプリング期間が10分の場合には、変動周期が10分未満の範囲における変動が抑制されている一方、変動周期が10分以上の範囲における変動があまり抑制されていない。また、サンプリング期間が20分の場合には、変動周期が20分未満の範囲における変動が抑制されている一方、変動周期が20分以上の範囲における変動はあまり抑制されていない。したがって、サンプリング期間の長さと、充放電制御により抑制できる変動周期との間には良好な相関関係があることがわかる。このため、サンプリング期間の設定により効果的に変動周期を抑制できる範囲が変わることがいえる。そこで、本システムで主に注目している負荷周波数制御により対応可能な変動周期の部分を抑制するためには、サンプリング期間を負荷周波数制御で対応する変動周期以上、特にT1〜T2の後半付近(長周期付近)からT1以上の範囲の期間とすることが好ましい。たとえば、図3の例では20分以上のサンプリング期間とすることにより、負荷周波数制御で対応する変動周期の殆どを抑制することができる。ただし、サンプリング期間を長くすると、必要な蓄電池容量が大きくなる傾向があり、T1よりもあまり長くないサンプリング期間を選択することが好ましい。
次に、図7〜図10を参照して、電力供給システム1を用いることによる効果を検証したシミュレーション結果について詳細に説明する。
図7は、図2と同じ発電電力推移に対して、比較例による電力供給システムの充放電制御を行った場合の出力電力を示す。図8は、発電装置の1日の実際の発電電力推移に対して、実施例1による充放電制御および比較例による充放電制御を行ったシミュレーション結果を示す。図9および図10は、図8の一部の拡大図を示す。
なお、実施例1は、上記実施形態と同様に、充放電制御の開始を第2時間間隔Tcで取得した発電電力データに基づいて算出した変化量に基づいて判断し、第1時間間隔Taで取得した発電電力データに基づいて目標出力電力を算出する構成とした。また、比較例は、第1時間間隔Taで取得した発電電力データに基づいて、変化量の算出、充放電制御の開始の判断および目標出力電力の算出を行う構成とした。なお、このシミュレーションでは、実施例1の第1時間間隔Taを30秒とし、第2時間間隔Tcを5秒とした。
まず、図2および図7を参照して、比較例による電力供給システムの充放電制御について詳細に説明する。
図7に示すように、比較例では、第1時間間隔Ta毎に取得した発電電力データに基づいて変化量を算出しているため、実施例1(図2参照)に比べて変化量の検出精度が低くなっている。また、比較例では実施例1と同様に発電電力の変動が大きい場合に充放電制御を開始する構成であるが、比較例では時刻t2になってはじめてその変化を検出する。したがって、その変化に基づいて充放電制御の開始を決定するので、比較例では、時刻t2においては充放電制御は開始されず、実際の充放電制御は時刻t2から第1時間間隔Taだけ後の時刻t4に充放電制御が開始されることになる。このため、比較例では、大きな変化の検出時点(時刻t2)においてはその変化を平滑化するための充放電が行われないので、変化後の発電電力がそのまま電力系統に出力されることになる。したがって、図7に示すように、比較例では時刻t2において変動が残ったままの発電電力が電力系統に出力されてしまう。その一方、実施例1(図2参照)では、時刻t2の前の時点(時刻t1)において充放電制御の開始の判断ができるので、比較例の充放電制御の開始タイミング(時刻t4)よりも早いタイミング(時刻t2)において充放電制御を開始することができる。
また、実施例1では、短い時間間隔(第2時間間隔Tc)で発電電力の変化量を監視しているので、長い時間間隔(第1時間間隔Ta)で変化量を監視するよりも実際の発電電力の変化をより適切に検出することができる。たとえば、長い時間間隔で変化量を監視した場合には、2つの発電電力検出時点の間における変動については検出できないので、発電電力の検出時点の後に大きな変動があり、次の検出時点までに戻ったような場合には、その発電電力の大きな変動を検出することができず、充放電制御を適切なタイミングで開始することができない。その一方、実施例1では発電電力の変化をより正確に検出することができるので、適切なタイミングで充放電制御を開始することができる。
以上のような効果を、図8〜図10に示すシミュレーション結果を参照して説明する。
図8に示すように、実施例1および比較例のいずれの構成においても、実際の発電電力の変動を平滑化できている。ここで、図9の期間Aに示すように、比較例では平滑化を行っていないが実施例1では平滑化を行っている期間がある。これは、比較例よりも実施例1の方が発電電力の変化量をより適切に検出しているため、検出時間間隔の大きい比較例では所定の制御開始変化量以上にならず充放電制御を開始することができなかったが、検出時間間隔の短い実施例1では制御開始変化量以上であると判断して充放電制御を開始したためである。また、図10の期間Bに示すように、比較例では平滑化を行っていないが実施例1では平滑化を行っている期間がある。これは、図2および図7に示したように、実施例1では比較例よりも細かく発電電力の変化量を監視しているため、実施例1では、比較例よりも1つの第1時間間隔Ta分だけ早く充放電制御を開始することができるためである。第1時間間隔Ta分だけ早く充放電制御ができた結果、図10に示すように制御開始時の変化量は実施例1の方が小さくなっており、より平滑化の効果が高いことがわかる。
(第2実施形態)
次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態による電力供給システム200について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態の充放電制御を行うことに加えて、負荷210の稼動状況に応じて蓄電池31の充放電を制御する例について説明する。
次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態による電力供給システム200について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態の充放電制御を行うことに加えて、負荷210の稼動状況に応じて蓄電池31の充放電を制御する例について説明する。
図11に示すように、電力供給システム200は、発電装置2と、蓄電装置3と、電力出力部4と、充放電制御部201と、DC−DCコンバータ7と、発電電力検出部8とを備えている。また、電力出力部4と電力系統50との間の交流側母線9には分電盤202が設けられている。分電盤202を介して3つの負荷210、220および230が交流側母線9に接続されている。ここで、負荷210は、負荷周波数制御(LFC)で対応する変動周期の下限周期T2〜上限周期T1の時間(約2分〜約20分)内で使用されることが多く、かつ、消費電力の比較的大きい負荷であり、たとえば、IHヒータなどである。また、負荷220および負荷230は、消費電力の小さい照明等の負荷またはオン/オフを切り替えることの少ない負荷等である。
第2実施形態では、分電盤202と負荷210との間に、負荷210の稼動状況を検知するセンサ203が設けられている。充放電制御部201は、負荷210が使用されている(オン)か使用されていない(オフ)かをセンサ203の出力信号に基づいて判断することが可能である。充放電制御部201は、第1実施形態の充放電制御を行うことに加えて、負荷210のオン/オフが切り替えられることに伴って生じる電力系統50に出入りする電力の変化を抑制するように蓄電池31の充放電を制御する。すなわち、負荷210がオフからオンになったと判断した場合には、負荷210の消費が加わる分、電力供給システム200から電力系統50に逆潮流する電力(売電力)が減るか、電力系統50から電力供給システム200に入る電力(買電力)が増加する。そのため、充放電制御部201は、売電力の減少分または買電力の増加分を抑制するように蓄電池31から放電する。同様に、負荷210がオンからオフになったと判断した場合には、負荷210の消費が減る分、売電力が増加するか、買電力が減少するので、充放電制御部201は、買電力の減少分または売電力の増加分を抑制するように蓄電池31の充電を行う。
上記のように、充放電制御部201は、発電装置2と電力系統50との間の交流側母線9に接続された負荷210の稼動状況の変化を検出するとともに、負荷210の稼動状況の変化に伴って生じる電力系統50に出入りする電力の変化を抑制するように、蓄電装置3の充放電制御を行う。このように構成すれば、たとえば逆潮流が発生している状況下において負荷210が稼動することにより負荷210の消費電力の分だけ電力系統50側に出力される電力が減少する場合に、その減少分の少なくとも一部を蓄電装置3から放電することができる。また、負荷210が停止することにより負荷210の消費電力の分だけ電力系統50側に出力される電力が増加する場合には、その増加分の少なくとも一部を蓄電装置3に充電することができる。これにより、負荷210の稼動状況の変化に伴って電力系統50に出入りする電力が変動することを抑制することができるので、電力系統50に与える影響を抑制することができる。
また、第2実施形態の構成においても、電力系統50に出入りする電力の変動をより適切に抑制することができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図12〜図16を参照して、本発明の第2実施形態の効果を検証したシミュレーション結果について説明する。
このシミュレーションでは、発電装置2の発電電力推移に対して、第2実施形態による制御を行った場合の電力系統50側に出力される電力推移を検証した。第2実施形態による制御として、実施例2は、第1実施形態の充放電制御を行いながら、負荷210のオン/オフが切り替えられた場合に、負荷210がオンである期間の間継続して蓄電池31の放電を行った。すなわち、実施例2は、第1実施形態で算出される蓄電池31の充放電電力に、負荷210がオンである期間の間負荷210の消費電力分の放電電力を加算するように充放電を行った。
また、第2実施形態による制御として、実施例3は、第1実施形態の充放電制御を行いながら、負荷210のオン/オフが切り替えられた場合に、切替直後に、第1実施形態で算出される蓄電池31の充放電電力に負荷210の消費電力分の放電電力(オン時)または充電電力(オフ時)を加算するように充放電を行い、その後、切替直後に加算した電力を5分間かけて徐々に0へと近づけていくように蓄電池31を制御した。
また、実施例4は、第1実施形態の制御のみを行った。図12および図13は、実施例2、3および4の制御を行った場合に電力出力部から出力される電力の推移を示す。図14および図15は、実施例2、3および4の制御を行った場合に電力系統50側に逆潮流される電力の推移(正確には、負荷210と負荷220との間を通過する電力の推移)を示す。
図12に示すように、実施例2は、負荷210がオンされてからオフされるまでの期間Aにおいて、実施例4に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力に負荷210の消費電力分を加えた電力を出力している。したがって、実施例2の期間Aにおいては、蓄電池31からは実施例4に比べて負荷210の消費電力分の放電電力を加算するように充放電制御が行われている。期間A以外の期間は実施例2と実施例4とは同じ推移である。
また、図13に示すように、実施例3は、負荷210がオンされてから5分間の期間Bにおいて、期間Bの開始時に実施例4に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力に負荷210の消費電力分を加えた電力を出力し、それから徐々に実施例4と同じ出力へと減らしている。この際、実施例3の期間Bにおいては、負荷210のオン時に負荷210の消費電力分の放電電力を加算するように蓄電池31の充放電電力が算出され、この加算した分の放電電力が5分かけて徐々に0へと減少していく。
また、負荷210がオフされてから5分間の期間Cにおいて、実施例3は、期間Cの開始時に実施例4に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力から負荷210の消費電力分を差し引いた電力を出力し、それから徐々に実施例4と同じ出力へと増やしている。この際、実施例3の期間Cにおいては、負荷210のオフ時に負荷210の消費電力分の放電電力を差し引くように蓄電池31の充放電電力が算出され、この差し引いた分の放電電力が5分かけて徐々に0へと近づいていく。
ここで、図14および図15に示すように、実施例4では、電力出力部4から出力された電力から負荷210での消費分が減少するために、負荷210のオン時およびオフ時において、電力系統50に出力される電力に急激な変動が生じている。その一方、実施例2および実施例3では、実施例4で大きな変動となっている期間A〜Cにおいて、急激な変動なく滑らかに推移している。したがって、実施例2および3は、実施例4よりも電力系統50に与える影響が少ないことがわかる。
また、図16に示すように、実施例2および3では、実施例4に比べて全体的に周波数変動を抑制している。また、実施例2および実施例3は略同じレベルで周波数変動を抑制している。ここで、図12および図13に示したように、実施例3は実施例2のように、負荷210で消費される電力分の放電電力を常時加算する必要がなく、期間Bでは負荷210で消費される電力分を加算する一方で期間Cでは負荷210で消費される電力分を減算するように制御するために、蓄電池31の充放電が充電あるいは放電の一方向に傾きにくい。その結果、蓄電池31の放電深度を抑制することができるなど、蓄電池31の長寿命化・低容量化に有利であり、実施例3は実施例2よりも有効であることがわかる。
(第3実施形態)
次に、図17を参照して、本発明の第3実施形態による電力供給システム300について説明する。第1実施形態では、発電電力に基づいて充放電制御を行う例を示した。一方、この第3実施形態では、電力系統50に出入りする電力(買電力または売電力)に基づいて充放電制御を行う例について説明する。
次に、図17を参照して、本発明の第3実施形態による電力供給システム300について説明する。第1実施形態では、発電電力に基づいて充放電制御を行う例を示した。一方、この第3実施形態では、電力系統50に出入りする電力(買電力または売電力)に基づいて充放電制御を行う例について説明する。
図17に示すように、電力供給システム300は、発電装置2と、蓄電装置3と、電力出力部4と、充放電制御部301と、DC−DCコンバータ7と、発電電力検出部8とを備えている。また、電力出力部4と電力系統50との間の交流側母線9には分電盤202を介して3つの負荷210、220および230が接続されている。
また、交流側母線9の分電盤202よりも電力系統50側には電力供給システム300から電力系統50に売却する電力を計量する電力メータ310と、電力系統50から購入する電力を計量する電力メータ320とが設けられている。電力メータ310および電力メータ320のそれぞれには、電力センサ302および電力センサ303が設けられており、電力系統50と電力供給システム300とを出入りする電力のデータ(売電電力データまたは買電電力データ)を検出する。
充放電制御部301は、電力センサ302および303から買電電力データまたは売電電力データを所定の検出時間間隔毎(たとえば、30秒以下)に取得する。充放電制御部301は、売電電力−買電電力(売電電力および買電電力はゼロ以上の値)の値を出入電力データとして算出する。第3実施形態においても第1実施形態と同様に、充放電制御部301は、出入電力データを第1時間間隔Ta毎および第2時間間隔Tc毎に取得する。また、充放電制御部301は、過去の出入電力データに基づいて目標出力電力を算出するとともに、実際の出入電力と目標出力電力との差の少なくとも一部を補償するように蓄電池31の充放電を行う。すなわち、充放電制御部301は、実際の出入電力が目標出力電力よりも大きい場合には、過剰分の電力の少なくとも一部を蓄電池31に充電するようにDC−DCコンバータ33を制御するとともに、実際の出入電力が目標出力電力よりも小さい場合には、不足分の電力の少なくとも一部を蓄電池31から放電するようにDC−DCコンバータ33を制御するように構成されている。
また、充放電制御部301は、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(制御開始発電電力)以上で、かつ、出入電力(買電電力または売電電力)の変化量が所定の変化量(制御開始変化量)以上である場合に、充放電制御を開始するように構成されている。また、出入電力の変化量は、第2時間間隔Tc毎の出入電力データに基づいて算出する。また、目標出力電力は、第1時間間隔Ta毎の出入電力データに基づいて算出する。第3実施形態の制御開始変化量は、快晴時(雲が殆どない晴天)の昼間の時間帯における検出時間間隔毎の最大変化量よりも多い変化量とし、さらに第2時間間隔Tc、負荷量なども考慮して設定する。特に第3実施形態では、出入電力(=売電電力−買電電力)が正負の値をとるために、単純に第1実施形態などで示した発電電力の変化量と変化前の発電電力とを比較する方法ではなく、たとえば発電装置2の定格出力、負荷の定格消費電力などを加味して、変化量の絶対値で制御する方法、あるいは、出入電力(=売電電力−買電電力)に負荷量に応じて適切な電力を加算する方法が望ましい。第3実施形態では、制御開始変化量は発電装置2の定格出力の2%とした。
なお、サンプリング期間、目標出力電力の算出方法、待機時間などの充放電制御に関する設定は、第1実施形態と同様である。
図18は、ある1日の発電装置2の発電電力の推移と、同じ日の出入電力(=売電電力−買電電力)の推移とを示す。出入電力の推移は、発電電力推移から負荷(負荷210、220および230)の消費電力を差し引いたものにほぼ相当する。図18に示すように、一般家庭においては1日を通して負荷の消費電力の急激な変動の頻度は高くないので、発電電力の推移と出入電力の推移とは略同じように変動している。したがって、出入電力に基づいて充放電制御を行うことにより、出入電力の変動を抑制し、電力系統50に影響を抑制することが可能である。
第3実施形態では、上記のように、充放電制御部301は、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力以上で、かつ、電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量以上である場合に、蓄電装置3の充放電制御を行う。このように構成すれば、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力よりも小さい場合や、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力よりも大きくても電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量よりも小さい場合には充放電制御を行わないので、蓄電装置3の充放電回数を減らすことができる。これにより、蓄電装置3の長寿命化を図ることができる。また、第1実施形態と同様に、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力より小さい場合、および、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力よりも大きくても電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量よりも小さい場合には、充放電制御を行わない場合であっても、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響が小さいことを見出した。したがって、第3実施形態では、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響を抑制しながら、蓄電装置3の長寿命化を図ることができる。なお、制御開始発電電力は第1実施形態などに比べて高く設定することが望ましい。具体的には負荷量に応じて設定する必要があるが、たとえば負荷での消費量が200W前後で推移している場合には、第1実施形態などで設定した発電装置2の定格出力の10%に200Wを加算するように設定する。
また、第3実施形態の構成においても、電力系統50に出入りする電力の変動をより適切に抑制することができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、蓄電池としてLi−ion電池やNi−MH電池を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、他の二次電池を用いてもよい。また、本発明の「蓄電装置」の一例として、蓄電池の代わりにキャパシタを用いてもよい。
また、第1〜第2実施形態および実施例では、制御開始発電電力を発電装置2の定格出力の10%とし、制御開始変化量を発電装置2の変化前の発電電力の5%とした例について説明したが、本発明はこれに限らず、上記以外の数値を用いてもよい。たとえば、制御開始変化量は、発電装置の定格出力を基準にして決めてもよい。ただし、制御開始発電電力の大きさは、制御開始変化量の大きさよりも大きいことが望ましい。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、発電電力の変化量が制御開始変化量以上になった場合に、その次の目標算出タイミングから充放電制御を開始する例について説明したが、本発明はこれに限らず、発電電力の変化量が制御開始変化量以上になってから所定の待機時間を経過した後に充放電制御を開始してもよい。また、その待機時間内に発電電力が変化前の発電量の近傍の値に戻った場合には充放電制御を開始しなくてもよい。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、第2時間間隔毎に取得した発電電力の変化量に基づいて充放電制御を開始するか否かを判断した例について説明し、また、所定の制御期間を用いて充放電制御を停止する例について説明したが、本発明はこれに限らず、第2時間間隔毎に取得した発電電力の変化量に基づいて充放電制御を停止するか否かを判断してもよい。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、第2時間間隔毎に取得した発電電力の変化量に基づいて充放電制御の開始の判断を行ったが、本発明はこれに限らず、第2時間間隔毎に取得した発電電力の値そのものに基づいて充放電制御の開始の判断を行ってもよい。たとえば、第2時間間隔毎に取得した発電電力が所定の発電電力(閾値)よりも大きい場合に充放電制御の開始の判断を行ってもよい。また、充放電制御の停止に関しても同様であり、たとえば、第2時間間隔毎に取得した発電電力が所定の発電電力(閾値)よりも小さい場合に充放電制御の停止の判断を行ってもよい。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、発電電力が制御開始発電電力以上になってはじめて発電電力の変化量を監視する例について説明したが、本発明はこれに限らず、発電電力の変化量を常時監視するように構成してもよい。
また、第1〜第3実施形態および実施例では、移動平均法により目標出力電力を算出する例について説明したが、本発明はこれに限らず、サンプリング期間(たとえば、20分)内に含まれる複数の発電電力データを用いて目標出力電力を算出する場合に本発明を適用することが可能である。たとえば、目標出力電力の算出の初期において、一時的にサンプリング期間を短くしてもよい。
また、第2実施形態では、負荷210のオン/オフを検出するセンサ203の出力信号に基づいて蓄電池31の充放電を制御する例について説明したが、本発明はこれに限らず、負荷210の消費電力を検出する電力センサの出力信号に基づいて蓄電池31の充放電を制御してもよい。
Claims (5)
- 再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、
少なくとも1つの蓄電池を含んだ蓄電装置と、
前記発電装置と電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを取得する検出部と、
前記検出電力データに基づき前記電力系統に出力される目標出力電力を算出するとともに、前記目標出力電力に応じて前記蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部とを備え、
前記充放電制御部は、所定の第1時間間隔毎に前記検出部から第1検出電力データを取得するとともに、前記第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に前記検出部から第2検出電力データを取得し、前記第2検出電力データに基づいて前記蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行い、充放電制御を行う際には、前記第1検出電力データに基づいて前記目標出力電力を算出して前記蓄電装置の充放電制御を行う、電力供給システム。 - 前記充放電制御部は、前記第2検出電力データに基づいて検出電力の変化量を算出するとともに、算出した前記検出電力の変化量に基づいて、前記蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行う、請求項1に記載の電力供給システム。
- 前記充放電制御部は、前記検出電力の変化量が所定の変化量以上になった場合に、前記蓄電装置の充放電制御を開始する、請求項2に記載の電力供給システム。
- 再生可能エネルギーを利用して発電装置により発電する工程と、
蓄電装置に電力を蓄電する工程と、
前記発電装置と電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを検出部により取得する工程と、
前記検出電力データに基づき前記電力系統に出力される目標出力電力を算出するとともに、前記目標出力電力に応じて前記蓄電装置の充放電を制御する工程とを含み、
前記充放電制御工程において、
所定の第1時間間隔毎に前記検出部により第1検出電力データを取得するとともに、前記第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に前記検出部により第2検出電力データを取得し、前記第2検出電力データに基づいて前記蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行い、充放電制御を行う際には、前記第1検出電力データに基づいて前記目標出力電力を算出して前記蓄電装置の充放電制御を行う、電力供給方法。 - コンピュータを、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置および蓄電装置の少なくとも一方からの電力を電力系統に出力させる電力供給システムの充放電制御部として機能させるための制御プログラムであって、
前記コンピュータに、前記発電装置と前記電力系統との間を接続する電力線を流れる電力値である検出電力データを検出する検出部から所定の第1時間間隔毎に第1検出電力データを取得させ、前記第1時間間隔よりも短い所定の第2時間間隔毎に第2検出電力データを取得させ、前記第2検出電力データに基づいて前記蓄電装置の充放電制御を行うか否かの判断を行わせ、充放電制御を行う際には、前記第1検出電力データに基づいて目標出力電力を算出させて前記蓄電装置の充放電制御を行わせる、電力供給システムの制御プログラム。
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