JP5500105B2 - 燃料電池システム、燃料電池の運転方法及び電解質の乾燥度合い推定方法 - Google Patents

燃料電池システム、燃料電池の運転方法及び電解質の乾燥度合い推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池(以下、単に「燃料電池」と言う。)は、電荷担体としてプロトン、プロトンを伝導させる電解質として固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」と言う。)が採用されることが多いが、電解質膜が適量の水分を含んでいなければ発電能力が低下してしまう。そこで、電解質膜の水分量を制御するための技術として、燃料ガスが燃料電池内を通過することで生じる圧力損失(以下「アノード圧損」とも言う。)が、燃料電池の温度(セル温度)上昇に対し、急激に低下した場合に「電解質膜が乾燥した」と推定し、この推定に基づいて電解質膜の乾燥を抑制すること(乾燥抑制)についての技術が開示されている(特許文献1)。
特開2009−9891号公報
上記従来技術には、電解質膜の乾燥抑制が必ずしも適切でないという課題があった。なぜなら、セル温度の変化に対するアノード圧損の変化は、電解質膜の乾燥度合いとの相関が強いとは言えない場合があり、上記変化に基づく「電解質膜が乾燥した」という推定は、精度が良くないことが考えられるからである。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために、より適切に電解質の乾燥を抑制できる燃料電池システム、燃料電池の運転方法及び電解質の乾燥度合い推定方法の提供を目的とする。
本発明は、先述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]電荷担体を伝導させる電解質を有する燃料電池を用いて発電を行う燃料電池システムであって、前記燃料電池に供給される燃料ガスの供給流量を一時的に増加させる供給流量増加部と、前記燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、前記供給流量増加部によって一時的に供給流量が増加した際の変化である一時的な変化に基づいて、前記電解質の乾燥を抑制する乾燥抑制部とを備える燃料電池システム。
この適用例によれば、従来よりも適切に電解質の乾燥抑制ができる。なぜなら、一時的に供給流量が増加した際におけるアノード圧損の一時的な変化は、セル温度の変化に対するアノード圧損の変化よりも電解質の乾燥度合いとの相関が強いからである。
[適用例2]前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が大きいほど強く乾燥を抑制する適用例1に記載の燃料電池システム。
電解質が乾燥しているほどアノード圧損が増加する場合、この適用例のような構成を採用することができる。なお、上記変化の値は、正負の値を取り得るものであり、値の大小比較は、絶対値の比較ではなく正負を考慮して行う。
[適用例3]前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が正である場合は、負である場合よりも強く乾燥を抑制する適用例1又は2に記載の燃料電池システム。
この適用例によれば、乾燥抑制を強くするか否かの判定基準を、一時的な変化のゼロ点に定めているので、乾燥抑制部による場合分けの判定が簡易になる。
[適用例4]前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことを、前記燃料電池を運転するために取得する物理量に基づいて検出する検出部を備え、前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことが前記検出部によって検出された場合は、前記供給流量増加部は動作せず、前記乾燥抑制部は、前記一時的変化の値が正である場合よりも弱く乾燥を抑制する適用例3に記載の燃料電池システム。
この適用例によれば、燃料ガスの供給流量を一時的に増加させる回数を減らすことができる。燃料ガスの供給流量は、燃料電池の運転状態に基づいて要請される値にするのが望ましく、一時的に増加させる回数を減らすことで、その望ましい状態に近づけることができる。
なお、検出部が検出基準とする物理量は、例えば、燃料電池の温度、燃料電池の電気的抵抗値、アノード圧損の経時変化などが考えられる。これら物理量について、電解質の乾燥度合い以外から受ける影響を考慮してなお「圧力損失が増加する場合よりも弱い乾燥抑制がされるべき」と推定できるように基準を定めるのが望ましい。
[適用例5]前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことが前記検出部によって検出された場合は、前記一時的な変化の値が負である場合と同等の強さで乾燥を抑制する適用例4に記載の燃料電池システム。
この適用例によれば、「一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥を抑制されるべきである」と、乾燥抑制部によって判定された場合と、判定部によって判定された場合とで同等の強さで乾燥を抑制するので、構成を簡潔にできる。
下記のような方法によっても、先述した適用例と同等の効果を得ることができる。
[適用例6]電荷担体を伝導させる電解質を有する燃料電池を用いて発電を行う燃料電池の運転方法であって、燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、該燃料ガスの供給流量を一時的に増加させた際の変化に基づいて、前記電解質の乾燥を抑制する燃料電池の運転方法。
[適用例7]電荷担体を伝導させるために燃料電池に用いられる電解質の乾燥度合い推定方法であって、燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、該燃料ガスの供給流量を一時的に増加させた際の変化に基づいて、前記電解質の乾燥度合いを推定する電解質の乾燥度合い推定方法。
燃料電池自動車20の概略図。 乾燥抑制処理を示すフローチャート。 乾燥抑制処理の実行によるカソード背圧、セル温度、アノード圧損及び燃料電池の内部抵抗値の経時変化を示すグラフ。
本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は本発明が適用された燃料電池自動車20の概略を示す図である。
[1.ハードウェア構成]
図示するように、この燃料電池自動車20は、車体22に燃料電池システム30及び燃料電池自動車20の前輪駆動用のモーター170を搭載する。この燃料電池システム30は、前輪駆動用のモーター170等に電力を供給するためのものであり、燃料電池100、水素ガス供給系120、空気供給系140、冷却系160、二次電池172及びDC−DCコンバーター174を備える。
燃料電池100は、電解質膜の両側にアノードとカソードとによる両電極を接合させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を備えるセルを積層して構成され、前輪FWと後輪RWとの間において車体22の床下に配置される。この燃料電池100は、水素ガス供給系120から供給される水素と、空気供給系140から供給される空気中の酸素との電気化学反応によって発電し、その発電電力によってモーター170を駆動する。燃料電池100の発電による電流は電流センサー102によって計測され、その計測結果は電流センサー102から後述の制御装置200へ出力される。
水素ガス供給系120は、水素ガスタンク110、水素供給経路121、供給用開閉バルブ124、減圧バルブ125及び水素供給機器126を備える。水素ガスタンク110は内部に水素ガスを貯蔵しており、水素供給経路121は水素ガスタンク110と燃料電池100とをつなぐガス経路である。一方、水素供給機器126は、水素ガスタンク110内の水素ガスを水素供給経路121経由で燃料電池100に供給する。また、供給用開閉バルブ124は、水素供給経路121を開閉する機能を持ち、減圧バルブ125は、水素供給経路121内を減圧する機能を持つ。
水素ガス供給系120は更に、水素ガス循環経路122、放出経路123、水素ガス循環ポンプ127及び水素ガス流量センサー128を備える。放出経路123は、燃料電池100によって消費されなかった水素ガス(アノードオフガス)を、大気放出するための経路である。一方、水素ガス循環経路122は、アノードオフガスを水素供給経路121に戻して循環させるための経路であり、この循環は、水素ガス循環ポンプ127が実行する。水素ガス流量センサー128は、循環する水素ガスの流量を測定するセンサーであり、放出用開閉バルブ129は、水素ガス循環経路122と放出経路123との間の経路を開閉するバルブである。なお、放出経路123は、後述する空気供給系140においても、空気を放出する経路として用いられる。
水素ガス供給系120には更に、上記の水素ガスの経路に圧損センサー190が設けられている。圧損センサー190は、水素ガスについて、燃料電池100に供給直前・直後の圧力差を、つまり燃料電池100を通過することによって生じる圧力損失(アノード圧損)を測定するものである。
一方、空気供給系140は、コンプレッサー130、空気供給経路141、排出流量調整バルブ143、加湿装置145及び空気流量センサー147を備える。空気供給系140は、大気と燃料電池100のカソードとをつなぐ経路であり、この経路は、コンプレッサー130が大気から取り込んだ空気を、空気供給経路141を通じて燃料電池100に供給する。加湿装置145は、空気供給経路141上においてコンプレッサー130と燃料電池100との間に配置されており、燃料電池100に供給される空気を加湿する。一方、排出流量調整バルブ143は、水素ガス供給系120と放出経路123との間をつなぐ経路上に配置され、燃料電池100によって消費されなかった空気(カソードオフガス)の排出圧力(カソード背圧)及び排出量を調整するバルブである。
上記の排出流量調整バルブ143から排出された空気は、加湿装置145を経て、先述の放出経路123に流入する。この加湿装置145は、気液分離機器として構成されている。つまり、加湿装置145は、カソードオフガスから水分を分離し、その分離した水分を空気供給経路141内の空気に混合するように、なおかつ、カソード背圧が高いほど分離・混合する水分量が多くなるように構成されている。よって、燃料電池100に供給される空気の湿度調整は、排出流量調整バルブ143によるカソード背圧調整によって実現できる。この供給空気の湿度調整は、後述する乾燥抑制制御において利用される。
一方、冷却系160は、ラジエーター150、冷却水循環経路161、バイパス162、三方流量調整弁163、冷却水循環ポンプ164及び温度センサー166を備える。冷却水循環経路161は、燃料電池100とラジエーター150との間で冷却水を循環させるための経路であり、この循環は冷却水循環ポンプ164が行う。このようにして循環する冷却水は、燃料電池100内において吸熱し、ラジエーター150において放熱することで、燃料電池100を冷却する(セル温度を低下させる)。また、バイパス162は、燃料電池100から流出した冷却水を、ラジエーター150を通過させずに再度、燃料電池100に流入させるための経路である。一方、三方流量調整弁163は、バイパス162を通過する冷却水の流量を調整する弁である。
次に、電気系統について説明する。電気系統としては、燃料電池100の他、先述した二次電池172及びDC−DCコンバーター174が備えられている。二次電池172は、DC−DCコンバーター174を介して燃料電池100に接続されており、燃料電池100による発電電力を充電することや、充電電力を他の機器へ供給することができる。二次電池172には残容量検出センサー176が接続されている。DC−DCコンバーター174は、燃料電池100の発電の制御、二次電池172の充放電の制御、モーター170への電圧印加を行う。
制御装置200は、CPUやROM、RAM等を備えたいわゆるマイクロコンピューターで構成される。この制御装置200は、アクセル180や先述した種々のセンサーからの信号入力を取得し、その取得した信号に基づいてDC−DCコンバーター174やその他種々のバルブや機器等を先述したように制御することにより、燃料電池システム30を運転する。
[2.乾燥抑制処理]
制御装置200による上記種々の制御は、対応する処理(プログラム)を実行することによって実現されるが、既知の処理についての説明は省略し、以下、乾燥抑制処理を説明する。乾燥抑制処理は、燃料電池100の一部を構成する電解質膜の乾燥抑制を目的とし、燃料電池システム30による発電が行われている間、制御装置200が主体となって繰り返し実行する処理である。
以下、図2及び図3を参照しながら乾燥抑制処理を説明する。図2は乾燥抑制処理を示すフローチャート、図3(A)はカソード背圧の経時変化を示すグラフ、図3(B)はアノード圧損、セル温度及び燃料電池100の内部抵抗値の経時変化を示すグラフである。図3に示す各グラフは、燃料電池自動車20の高速登坂等によりセル温度が上昇して、電解質膜の乾燥が生じた後、乾燥抑制処理の実行により乾燥を抑制した例を模式的に示したものである。
まず、排出流量調整バルブ143のバルブ開度調整によってカソード背圧を圧力P1に設定する(ステップS210)(図3(A)参照)。カソード背圧が圧力P1の場合、通常の乾燥抑制(弱い乾燥抑制)が行われることになる。次に「セル温度が閾値Th(T)未満」及び「内部抵抗値が閾値Th(R)未満」の両方が満たされるかを判定する(ステップS220)。内部抵抗値は、DC−DCコンバーター174による燃料電池100への印加電圧と、電流センサー22から取得する電流値とから求める。なお、閾値Th(T)及び閾値Th(R)は、通常の乾燥抑制によれば十分な発電能力が得られることが担保される値が望ましく、通常の運転状態におけるセル温度及び電圧−電流特性(V−I特性)などに基づいて定められる。
ステップS220において、セル温度及び内部抵抗値の両方の条件が満足するかを判定しているのは、電解質膜の乾燥度合いを推定して、乾燥抑制を強くすべき否かを判定するためである。上記両方の条件が満足されれば、電解質膜の乾燥度合いは低く、通常の乾燥抑制で足りると推定できる。そこで、燃料電池100が通常の負荷で運転されている場合などにおいて、セル温度・内部抵抗値の両方が閾値未満の状態が続いていれば、ステップS220における判定をYESとし、通常の乾燥制御を繰り返す(ステップS210)。この期間の様子を、図3の時刻ゼロ〜t1に示した。
一方、セル温度・内部抵抗値の少なくとも1つが閾値以上になった場合(ステップS220,NO)には、電解質膜の乾燥状態をより正確に推定し、強い乾燥抑制に入るべきか否かを判定するための処理に移行する。
燃料電池車20の走行条件が高速登板などの高負荷なものに移行するなどして、セル温度または内部抵抗値が閾値以上になった場合(ステップS220,NO)、所定時間待機(ステップS230)した後、水素供給機器126を制御して、水素ガスの供給流量を一時的に増加させる(ステップS240)。この実施形態では、待機時間は、約20秒であり、水素ガスの供給流量の増加分は、増加前の供給流量の30%とし、2秒行う。
続いて、水素ガスの供給流量が一時的に増加した際におけるアノード圧損の一時的な変化(ΔP)がゼロ以上かを判定する(ステップS250)。水素ガスの供給流量が一時的に増加すると、これに応じてアノード圧損に一時的な変化が現れる。この一時的な変化は、電解質膜の乾燥の度合いに対して強い相関を持つ。具体的には、ΔPが負(圧損の一時的な低下)である場合は電解質膜が乾燥しておらず、ΔPが正(圧損の一時的な増加)である場合は電解質膜が乾燥していると推定できる。
この関係は、実験によって確かめられたものであるが、次のように説明できると考えられる。つまり、水素の供給流量が一時的に増加した場合にΔPが負になるのは、水素ガスの流路に付着していた水滴が吹き飛ばされるようにして除去されたことに起因すると考えられる。つまり、電解質膜に十分な水分が存在し、電解質膜の乾燥度合いを強める必要がないことを示すと考えられる。
一方、ΔPが正になるのは、水素ガスの流量増加による乾燥抑制効果により、水素ガスに含まれる水分が増加したことに起因すると考えられる。つまり、水素ガスがある程度の加湿がなされる余地のあるほど乾燥しており、ひいては電解質膜が乾燥していることを示すと考えられる。
そこで、ステップS250における判定がNO、つまりΔPが負の場合、通常の乾燥抑制で十分であると判定し、ステップS210に戻って、上記のステップを繰り返す。この期間の様子を、図3の時刻t1〜時刻t2に示した。
一方、高負荷運転を継続するなどの条件下で電解質膜の乾燥が進むと、乾燥抑制を強くした方が望ましい。この場合には、ステップS250における判定はYESとなり、排出流量調整バルブ143のバルブ開度調整によってカソード背圧を圧力P2(>圧力P1)に設定する(ステップS260)。カソード背圧を高めると、加湿装置145による加湿量が増えることで、強い乾燥抑制が実行される。
ステップS260の後は、ステップS230に戻り、ΔPがゼロ以上である期間は、ステップS230〜ステップS260を繰り返す。つまり、カソード背圧を圧力P2に維持し、強い乾燥抑制を継続することになる。この期間の様子を、図3の時刻t2〜時刻t3に示した。
その後、強い乾燥抑制やセル温度の低下などによって電解質膜の乾燥が抑制され、ΔPが負に転じると、これを検出し(ステップS250,NO)、ステップS210に戻る。つまり、カソード背圧を圧力P1に設定し、続いて、セル温度及び内部抵抗値が閾値未満かを判定する(ステップS220)。よって、セル温度又は内部抵抗値が閾値以上で(ステップS220,NO)、ΔPが負である(ステップS250,NO)期間は、水素ガスの供給流量の一時的増加を続けて、これに対するアノード圧損の一時的な変化(ΔP)の監視をしつつ、通常の乾燥抑制を実行することになる。この期間の様子を、図3の時刻t3〜時刻t4に示した。
その後、燃料電池自動車20の高速登坂が終了するなどして、セル温度及び内部抵抗値が下降し閾値を下回ると、これを検出し(ステップS220,YES)、ステップS210に戻る。従って、ステップS230以下の処理が行われなくなるので、通常の乾燥抑制を続けつつ、水素ガスの供給流量の一時的な増加を行うことはない。この期間の様子を、図3の時刻t4以降に示した。この図は、先にセル温度が閾値Th(T)を下回り、続いて内部抵抗値が時刻t4において閾値Th(R)を下回った例を示している。
以上に説明したように、水素ガスの一時的な流量増加時におけるアノード圧損の挙動を利用して、電解質膜の乾燥度合いを推定し、その推定に基づいて乾燥抑制を行うので、従来よりも適切に乾燥抑制の強さを制御することができる。
また、セル温度及び内部抵抗値についての条件に基づいて、強い乾燥抑制についての判定と処理(ステップS230〜ステップS260)を開始するので、水素ガス供給流量の一時的な増加や、アノード圧損の検出・判定などを常に行う必要がない。つまり、燃料電池100の運転のために取得する物理量であるセル温度及び内部抵抗値を利用して粗い推定をし、その推定に基づいて水素ガス供給量の一時的な増加に移行して精度の良い推定を行うことで、両者の長所を活かした構成になっている。
また、水素ガス供給流量の一時的な増加を所定時間毎に行うので(ステップS230)、水素ガスの供給量をいたずらに増加させることがない。加えて、所定時間おいてから行うことで、水素ガス供給流量の一時的な増加同士が互いに及ぼしあう影響が小さくなり、ΔPと電解質膜の乾燥度合いとの相関を保持することができる。また、ΔPの判定基準を、ゼロ以上か負かという単純なものにしているので、判定が簡素かつ確実になる。
[3.実施形態と適用例との対応関係]
ステップS210・ステップS250・ステップS260が乾燥抑制部を、ステップS220が検出部を、ステップS240が供給流量増加部を各々実現するためのソフトウェアに対応する。
[4.他の実施形態]
本発明は、先述した実施形態になんら限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内における種々の形態により実施できる。例えば、実施形態の構成要素の中で付加的なものは、実施形態から省略できる。ここで言う付加的な構成要素とは、実質的に独立している適用例においては特定されていない事項に対応する要素のことである。この他、例えば、以下のような実施形態が考えられる。
・乾燥抑制の方法は、以下の何れかでも良い。(a)水素ガスを加湿する(b)カソードガスと水素ガスの両方を加湿する(c)水素ガスの供給量を増やす(d)水素ガスの供給圧力を下げる(e)空気の供給量を減らす(f)空気の供給圧力を上げる(g)冷却系160によって冷却度合いを強くする。
・用途は、自動車搭載用でなくとも、2輪車などの輸送用機器搭載用や家庭用発電機等どのようなものでも良い。
・ΔPに基づいて、どのように乾燥抑制を制御するかは、種々考えられる。例えば、ΔPがゼロの場合、通常の乾燥抑制をしても良い。あるいは、乾燥抑制の強弱を切り替えるための基準は、実施形態のようなゼロ点ではなく、正の値でも負の値でも良い。また、判定基準を複数用意して、3段階以上で乾燥抑制の強さを切り替えることで、ΔPの大きさに応じた程度の乾燥抑制を行うようにしても良い。具体的には、ΔPが正になってから、更に乾燥が進んでいくと、ΔPが小さくなっていく現象に基づいて、乾燥抑制の強さを決定するようにしても良い。
・燃料ガスに水素以外を用いることなどにより、ΔPと電解質膜の乾燥度合いとの関係が実施形態の場合とは異なることも考えられる。このような場合は、実態に合わせて、適宜、ΔPと乾燥抑制の強さとの関係を決定すれば良い。
・先述した実施形態では、セル温度又は内部抵抗値が閾値未満との判定(ステップS220,NO)後、及びΔPが負との判定(ステップS250,NO)後においては、何れもカソード背圧を圧力P1に設定することで弱い乾燥抑制を行うが、異なる強さで乾燥抑制を行っても構わない。
・ステップS220を省略して、燃料電池の運転中は常に、水素ガスの供給流量を一時的に増加させるようにしても良い。
20…燃料電池自動車
22…車体
30…燃料電池システム
100…燃料電池
102…電流センサー
110…水素ガスタンク
120…水素ガス供給系
121…水素供給経路
122…水素ガス循環経路
123…放出経路
124…供給用開閉バルブ
125…減圧バルブ
126…水素供給機器
127…水素ガス循環ポンプ
128…水素ガス流量センサー
129…放出用開閉バルブ
130…コンプレッサー
140…空気供給系
141…空気供給経路
143…排出流量調整バルブ
145…加湿装置
147…空気流量センサー
150…ラジエーター
160…冷却系
161…冷却水循環経路
162…バイパス
163…三方流量調整弁
164…冷却水循環ポンプ
166…温度センサー
170…モーター
172…二次電池
174…DC−DCコンバーター
176…残容量検出センサー
180…アクセル
190…圧損センサー
200…制御装置

Claims (7)

  1. 電荷担体を伝導させる電解質を有する燃料電池を用いて発電を行う燃料電池システムであって、
    前記燃料電池に供給される燃料ガスの供給流量を一時的に増加させる供給流量増加部と、
    前記燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、前記供給流量増加部によって一時的に供給流量が増加した際の変化である一時的な変化に基づいて、前記電解質の乾燥を抑制する乾燥抑制部とを備える
    燃料電池システム。
  2. 前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が大きいほど強く乾燥を抑制する
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が正である場合は、負である場合よりも強く乾燥を抑制する
    請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことを、前記燃料電池を運転するために取得する物理量に基づいて検出する検出部を備え、
    前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことが前記検出部によって検出された場合は、前記供給流量増加部は動作せず、前記乾燥抑制部は、前記一時的変化の値が正である場合よりも弱く乾燥を抑制する
    請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記乾燥抑制部は、前記一時的な変化の値が正である場合よりも弱く乾燥が抑制されるべきことが前記検出部によって検出された場合は、前記一時的な変化の値が負である場合と同等の強さで乾燥を抑制する
    請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 電荷担体を伝導させる電解質を有する燃料電池を用いて発電を行う燃料電池の運転方法であって、
    燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、該燃料ガスの供給流量を一時的に増加させた際の変化に基づいて、前記電解質の乾燥を抑制する
    燃料電池の運転方法。
  7. 電荷担体を伝導させるために燃料電池に用いられる電解質の乾燥度合い推定方法であって、
    燃料ガスが前記燃料電池を通過する際に生じる圧力損失の変化であって、該燃料ガスの供給流量を一時的に増加させた際の変化に基づいて、前記電解質の乾燥度合いを推定する
    電解質の乾燥度合い推定方法。
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