JP5471731B2 - 鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 - Google Patents
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Description
本発明者らは、上記問題点に対して、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、耐汚染性及び耐擦傷性を有する鋼板用化粧シートとして、2軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材上に、ウレタン系樹脂組成物からなるプライマー層と電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させた表面保護層をこの順に積層した鋼板用化粧シートを提案した(特許文献3参照)。
一方、ブレインストーミング等の上記のようなインタラクティブな会議運営が必要ではない場合、映写スクリーンをホワイトボードのような筆記ボードとして、使用することが有効である。
このような映写スクリーン及びホワイトボードとして、多種の機能を集約した機材は、1つの機材で種々の用途に用いることができるという観点から極めて有用であり、また会議室の省スペース化という観点からも有効である。
パターン印刷シートとしては、例えば、ディスプレイ装置の前面に装着される透明シートであって、入力用電子ペン等による入力軌跡の位置を示すための位置情報を提供可能なドットパターンが印刷された透明シート(特許文献4参照)、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、印刷面の裏側から赤外線を照射し、赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である赤外線反射パターン印刷透明シート(特許文献5参照)などが提案されている。
なお、前記特許文献4には、書込対象物のひとつとしてホワイトボードが開示されているが、印刷シートのドットパターンを、ホワイトボードと略同じである白色又は透明のインクによって印刷すればよいと記載されるのみで(特許文献4段落0016参照)、具体的な方法については何ら開示がなく、達成手段が開示されているとは言えない。
すなわち、白色系のホワイトボードシートを用いると、その下に存在するドットパターンを読み取ることができず、書き込みを行ない、それをリアルタイムでデジタル情報として取り込むという基本的な機能が損なわれる。
一方、透明のホワイトボードシートを用いる場合には、ホワイトボードとしての機能を持たせるために、表面の艶が高いものを用いることが必要であるが、シートの光反射によって、電子ペンでの読み取り適性が低下する。さらには、表面の艶が高いと、映写スクリーンとしての機能を満足させることができないために、ホワイトボードと映像スクリーンの兼用シートとして用いることはできない。
該パターン印刷シートを用いた映写スクリーンは、プロジェクター等を通して、文字データ、画像データ等を投影する機能を有し、書き込みを行ない、該書き込みをリアルタイムでデジタル情報として取り込み、映写スクリーンに反映させる機能を有し、かつホワイトボードとしての機能を同時に有する。
一方、近年は外光を取り入れた環境のオフィスが増加しており、このような場所での使用において耐候処理を施していないシートを長期間使用した場合、シートの変色や表面層の剥離などの問題が生じることが懸念される。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、耐候性付与層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートであって、基材が2軸延伸ポリエステルフィルムであり、耐候性付与層が紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなり、プライマー層がウレタン系樹脂組成物からなり、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が以下の条件の引張試験により測定した破断伸び率が25%〜45%である鋼板用化粧シート、
引張試験;厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定する、
(2)基材と耐候性付与層の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層を有し、該印刷層を構成するインキが着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、鋼板用化粧シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である上記(1)に記載の鋼板用化粧シート、及び
(3)上記(1)又は(2)に記載の鋼板用化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板、
を提供するものである。
本発明の鋼板用化粧シート10は、基材11上に、耐候性付与層12、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に積層してなり、所望により、基材11と耐候性付与層12の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層15を有する。
2軸延伸されたポリエステル樹脂フィルムを基材11として用いることで、後に詳述する表面保護層14の伸びを抑制することができ、表面保護層14のクラック発生を抑制することができる。
引張強度が150MPa以上であると、高剛性であるため、曲げ加工部において発生する局部的な伸びが抑制でき、その上層の表面保護層の伸びも抑制することができる。
上記添加剤のうち、特に基材11の弾性及び伸び率を向上させ、耐衝撃性を付与し、折り曲げ加工を施した際に、表面保護層に亀裂や割れを生じさせないとの観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機充填剤を含有することが好ましい。
これらの無機充填剤の含有量は、基材11に対して1〜60質量%の範囲が好ましい。
また、紫外線吸収剤及び光安定剤については、後に詳述する本発明の耐候性付与層12を構成する樹脂組成物に添加し得るものと同様のものを使用することができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
ポリウレタン系樹脂層としては、通常のウレタン樹脂のほかウレタン尿素樹脂なども使用できる。また、塗布量としては、通常、0.01〜0.5g/m2程度であり、好ましくは0.03〜0.3g/m2である。
また、該ポリウレタン系樹脂層は架橋されていることが好ましく、架橋剤としては、メラミン系架橋剤やエポキシ系架橋剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、後述するシート性能を損なわない限り、無機系及び有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが好ましく挙げられる。
本発明においては、紫外線吸収能が高く、また紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
耐候性付与層12における光安定剤の含有量は0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.1質量%以上であると、鋼板用化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、10質量%以下であればブリードアウトの問題がない。以上の観点から、耐候性付与層12における光安定剤の含有量は0.5〜5質量%の範囲であることがさらに好ましい。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、従来公知の熱可塑性ウレタン樹脂から選択することができる。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、アクリル系、ポリカーボネート系等の熱可塑性ウレタン樹脂を単独使用又は混合使用することができる。
より具体的には、例えば、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものが好適に挙げられる。また、水分等で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート基を持たない飽和熱可塑性ウレタン樹脂も好適である。
ここで用いられるポリオールとしては、後述するプライマー層に用いられるウレタン系樹脂組成物で使用されるポリオールと同様のものを用いることができる。
また、ポリイソシアネートについても、後述するプライマー層に用いられるウレタン系樹脂組成物で使用されるジイソシアネートを用いることができる。
微粒子としては、特に制限はなく、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機粒子、アクリルビーズなどの有機粒子が挙げられる。これらのうち、ブロッキング防止の観点及び製造コストの点などから、表面未処理のシリカが好ましい。
該プライマー層13を設けることで、時間経過に伴う、加工性、耐汚染性及び耐擦傷性の低下を抑制することができる。
なお、後述するパターン状印刷層を有する場合には、上記の密着性向上に加えて、最終製品としてのドット読み取り性の観点から、プライマー層13は無色、若しくは半透明乳白色であることが好ましい。
ウレタン系樹脂組成物は柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており、このような特定のプライマー層13を設けることで、曲げ加工時に表面保護層14にかかる衝撃、引張力又はせん断力を緩和することができ、表面保護層14におけるクラックの発生を抑制することができる。
以上の観点から、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率は400%以上がさらに好ましく、500%以上がさらに好ましい。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、例えば、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものが好適に挙げられる。また、水分等で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート基を持たない飽和熱可塑性ウレタン樹脂も好適である。
一方、耐水性が特に要求される場合などは、上記伸び率を満足しつつ、ある程度架橋構造を有するウレタン樹脂が好適であり、特に強靭性が要求される場合には、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンが好適である。
ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボーネートポリオール等が挙げられ、より具体的には、ポリエステルポリオールとして、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルジオールが挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(テトラメチレンエーテル)等のポリエーテルジオールが挙げられ、また、ポリカーボネートポリオールとしては、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。その他、アクリルポリオール、ウレタンポリオール、フッ素系ポリオール、アクリルシリコーン系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用する。
また、プライマー層における該微粒子の含有量は、プライマー層を構成する樹脂の固形分100質量部に対して0.5〜7質量部であることが好ましい。該微粒子の含有量が0.5質量部以上であると、十分にブロッキング性能を付与することができ、7質量部以下であると鋼板用化粧シートの曲げ加工性が良好となる。以上の観点から、プライマー層における該微粒子の含有量は、1〜4質量部の範囲であることがさらに好ましい。
また、プライマー層14の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
印刷層15の形成に用いられるインキとしては、バインダーに上記着色剤を含有し、さらに体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、本発明における規則性を有するパターンは、特許文献4にも例示されており、例えばドットの形状を複数設定し、平面内に於いて、所定範囲内に配置されたこれら複数形状のドットの組み合わせをパターン化したもの、縦横に配置した罫線の太さを変えて、所定範囲内の前記罫線の重なり部分の大きさの組み合わせをパターン化したようなもの、x、y座標の値を直接ドットの縦横の大きさと結びつけたもの等が挙げられるが、特に簡素で好適なものとしては、縦横に等間隔に並ぶ基準点を設定して、この基準点に対して上下左右に変位したドットを配置し、これらドットの当該基準点からの相対的な位置関係を利用する方法が挙げられる。この方法はドットのサイズを小さく一定にできるため入力装置の高分解能化に有利である。
一方、十分な耐汚染性を得るためには、破断伸び率が45%以下であることが必要である。以上の観点から破断伸び率は35%以下であることが好ましい。
引張試験の方法としては、厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定するものである。硬化の条件としては、用いる電離放射線樹脂に応じ、完全硬化する条件を選択すればよい。また、引張試験に用いる装置としては、例えば、ORIENTEC社製「RTC-1250A」を用いることができる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
このような60度光沢度の条件を満たし、かつ後述する性能を損なわない限りフィラーの材質は特に限定されず、無機フィラー及び有機フィラーのいずれを用いることもできる。
なお、これらの無機フィラーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、硬化性樹脂の硬化後のフィラーの安定性の観点から、硬化性樹脂中の反応基を有する化学組成を有したものが望ましい。
さらに、映写スクリーンとしての機能を十分に得るとの観点から、有機フィラーは不定形のフィラーであることが好ましく、十分な吸油量を有するものが望ましい。
なお、これらの有機フィラーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
より具体的な好適範囲としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、通常、1〜50質量部の範囲であり、特に、有機フィラーの場合には、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲が好ましく、無機フィラーの場合には、5〜30質量部の範囲が好ましい。
入力端末で読み取った連続的な撮像データから位置情報が算出され、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供される。なお、これらの処理装置としては、特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリ等の部材を具備していれば良い。
また、読取データ処理装置は、入力端末に内蔵されていてもよいし、また、外部の情報処理装置に内蔵されていてもよい。
隠蔽層31を構成する材質としては特に限定されず、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。これらのうち、表面保護層14のクラック発生を抑制するとの観点からは、基材11と同様の2軸延伸PETフィルム等のポリエステルフィルムを用いるのが好適である。また、隠蔽性、意匠性、クッション性、さらには環境を考慮すると、オレフィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムが好ましい。
隠蔽層31を構成するフィルムの厚さとしては、特に制限はないが25〜100μmの範囲が好ましい。25μm以上であると十分な隠蔽効果が得られ、100μm以下であると曲率の関係で表面保護層14が必要以上に伸ばされることがなく、クラック発生をより抑制することができる。
また、隠蔽層31の形成方法は特に制限はないが、基材11全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
接着剤層33の厚さは特に制限はないが、通常、乾燥後の厚さが3〜50μmの範囲である。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
また、溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚で0.1〜10μm程度である。
また、鋼板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜1mm程度である。なお、被着体である鋼板は隠蔽性を付与するために、鋼板に直接着色してコーティング層を設けてもよい。
また、架橋剤を添加することもでき、具体的にはイソシアネート系や金属キレート、エポキシ系、およびメラミン系が挙げられる。
該接着剤又は粘着剤の厚さについては、特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。
(評価方法)
(1)曲げ加工性
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、JIS K6744に準拠し、試験温度25±5℃、外側半径1.50mmでの90度曲げ試験を実施した後、曲げ試験を行った試験体を以下の評価基準で評価した。
◎;クラックは全く発生しなかった。
○;表面保護層にマイクロサイズのクラックが発生したが、表面意匠を損なうほどではなかった。
△;表面保護層にマイクロサイズのクラックが発生し、時間経過と共にクラックが拡大した。
×;曲げ加工時点でクラックが発生した。
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、表面の艶をグロスメーター(Gardner社製「micro−TRI−gloss」)を使用し、入射光60度の条件で測定した(60度光沢度)。
(3)耐候性
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、スガ試験機(株)製「紫外線オートフェードメーター U48AU」を用いシート表面に対して48時間促進耐侯劣化処理を施こした後、シート表面に対して桝目状(2mm角、100個)に傷をつけた。次にシート表面のシリコーン成分を除去した後、JIS K5600に準拠して剥離試験を実施し、その表面状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
○:表面保護層の欠落が殆ど生じなかった。
×:表面保護層の欠落が生じた。
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、ぺんてる(株)製ホワイトボードマーカー「EMWLM−B」で筆記し、常温常湿環境下で1分間放置した後に、マグエックス製ホワイトボードイレーサーにて拭き取り、マーカーの消え残りの有無を目視にて確認した。
◎;1回の消去でマーカーが完全に拭き取れた。
○:複数回の消去(5回以内)でマーカーが完全に拭き取れた。
△:複数回の消去(5回以内)でマーカーが殆ど拭き取れた。
×;マーカーが拭き取れなかった。
各実施例及び比較例の製造過程における中間シート20の表面と裏面を重ね合わせた状態で、24℃の環境下で、72時間、2kg/cm2の荷重をかけた後の中間シート間の密着の有無を確認した。
○:基材同士が全く密着しなかった。
△:基材同士が若干密着した。
(1)鋼板用化粧シートの製造
基材11としての厚さ50μmの2軸延伸透明PETフィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4300」)の表面側に、水性アクリル樹脂(インクテック(株)製オーデKR991墨、オーデミキサーを質量比10:90で混合したもの)を用いてフレキソ印刷法にてアノトパターンを印刷した(パターン状印刷層15)。
次にパターン状印刷層15の表面に、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体(イソシアネート系硬化剤を6質量%含有)にトリアジン系紫外線吸収剤7質量%(チバジャパン製チヌビン479を4%、チヌビン400を3%含有)、及びヒンダードアミン系光安定剤(チバジャパン製チヌビン400)2質量%を添加した樹脂組成物を塗工し、耐候性付与層12(塗工量;1.0g/m2)を形成した。
基材11上にパターン状印刷層15、耐候性付与層12、及びプライマー層13を塗布したものを中間シート20と称する。
厚さ60μmの白色ポリプロピレンフィルム(三菱化学MKV(株)製「PB−013」(商品名)、基材31)の裏面に、鋼板接着用プライマー32として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂(DICグラフィックス製「WBSプライマー」)を1.2g/m2塗工し、本発明の鋼板用化粧シートと鋼板とを接着させるための中間シート30を準備した。
次に、上記(1)で製造した鋼板用化粧シート10の裏面と該中間シート30の表面を接着剤であるポリエステルウレタン樹脂(大日精化工業(株)製「E−295L」(商品名)、接着剤層33)を介してラミネートした。
次いで、ウレタン系の接着剤を用いて(図示せず)、前記鋼板接着用プライマーを介して、厚さ0.6mmの亜鉛メッキ鋼板40に貼付し、本発明の化粧鋼板50を得た。該化粧鋼板について上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、耐候性付与層12を形成するための樹脂組成物中に、さらに粒径5μmの表面未処理シリカを、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体100質量部に対して、7質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例2において、表面未処理シリカの含有量を25質量部としたこと以外は実施例2と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、電子線硬化性樹脂組成物中の平均粒径5μmの尿素系樹脂からなるフィラーに代えて、平均粒径3μmの尿素系樹脂からなるフィラーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例4において、耐候性付与層12を形成するための樹脂組成物中に、さらに粒径5μmの表面未処理シリカを、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体100質量部に対して、7質量部添加したこと以外は、実施例4と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、耐候性付与層12を設けなかったこと、プライマー層13中にシリカを添加しなかったこと、及び表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を1質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例1において、表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を12質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例1において、表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を6質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、耐候性付与層12を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例4において、プライマー層13中の表面未処理シリカの含有量を8質量部に代えたこと以外は、比較例4と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
さらには、本発明の鋼板用化粧シートの背面部に、プラスチックフィルム、木製合板、鋼板、マグネットシート、吸着シートを張り合わせて使用することもできる。プラスチックフィルム、木製合板、鋼板等の機材と組み合わせることで、従来の移動式ホワイトボードやパーテーション、壁面等の建材製品の一部として利用することが可能である。
またマグネットシートや吸着シートを張り合わせた場合には、すでに設置されている黒板や、壁に対してこれまでに述べた様な性能を付与することができるとともに、シート形状であるため容易に人が持ち運びでき、空間の制限にとらわれない利用が可能である。
さらに、本発明の鋼板用化粧シートは、電子ペンとしての使用を行わずに、映写兼用ホワイトボードシートとしても利用可能である。
11:基材
12:耐候性付与層
13:プライマー層
14:表面保護層
15:パターン状印刷層
20:中間シート
30:中間シート
31:隠蔽層
32:鋼板接着用プライマー
33:接着剤層
40:亜鉛メッキ鋼板
50:化粧鋼板
Claims (9)
- 基材上に、耐候性付与層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートであって、基材が2軸延伸ポリエステルフィルムであり、耐候性付与層が紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなり、プライマー層がウレタン系樹脂組成物からなり、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物の平均官能基数が3.1〜4.5であり、該表面保護層が有機フィラーからなる艶消し剤を含有し、該艶消し剤の含有量が該電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜50質量部であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が以下の条件の引張試験により測定した破断伸び率が25%〜45%である鋼板用化粧シート。
引張試験;厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定する。 - 前記耐候性付与層を構成する樹脂組成物中に平均粒径が1〜10μmの微粒子を含み、該微粒子の含有量が樹脂の固形分100質量部に対して1〜28質量部である請求項1に記載の鋼板用化粧シート。
- 前記プライマー層を構成する樹脂組成物中に平均粒径が0.5〜10μmの微粒子を含み、該微粒子の含有量が樹脂の固形分100質量部に対して1〜7質量部である請求項1又は2に記載の鋼板用化粧シート。
- 表面の60度光沢値が8〜40である請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
- 前記有機フィラーが平均粒径0.5〜10μmの尿素系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
- 基材と耐候性付与層の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層を有し、該印刷層を構成するインキが着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、鋼板用化粧シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
- 前記基材の耐候性付与層の反対側にさらに隠蔽層を積層してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板。
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