JP5708158B2 - ホワイトボード用化粧シート及びそれを用いたホワイトボード用化粧板 - Google Patents
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Description
一般にホワイトボードのような筆記ボードは、水性ペンによる筆記と消去が可能であるために、その表面は平滑であることが求められる。一方、反射型スクリーンは光を反射し、しかも反射された光が像として見やすいために防眩性を備えていることが要求される。
このため従来の反射型スクリーン兼用筆記ボードは、芳香族ポリエステルやフッ素樹脂など、水性インクに対しぬれ性の少ない或いは易消去性の樹脂層を、基材上に設けることにより、水性インクによる筆記/消去性を付与するとともにボード表面の光沢度を抑え、防眩性を図っている。ボード表面の光沢度を抑えるために、通常、表面樹脂層中に顔料や光拡散剤が添加される。
しかし表面に顔料等を含む層を形成した場合、顔料と顔料との間にインクが染み込みやすく、一度染み込んでしまうと拭取ってもインクを消去できないという問題があった。また顔料を含有せしめた場合には、ボード表面の凹凸の微細な調整が困難であり、インク消去性と防眩性を両立させることができる表面の凹凸を形成することが困難であった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、ホワイトボードとしてのマーカー消去性を有し、マーカーを消去した際に発生するマーカー中に含まれる剥離剤の残り(ゴースト)を軽減させると共に、耐擦傷性とプロジェクターによる映写機能を付与したホワイトボードとして好適な化粧シートを提供することを課題とする。
[1]フィルム基材と、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなる表面保護層を有する化粧シートであって、
(1)前記表面保護層が、レベリング剤としてアクリル骨格を有する樹脂を、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜4.0質量部の割合で含有し、
(2)該アクリル骨格を有する樹脂の構成単位として、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、且つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ばれる少なくとも一種を含むポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする化粧シート、
[2]前記フィルム基材と表面保護層との間に、全面白色層及び/又はプライマー層を有する、上記[1]に記載の化粧シート、
[3]前記表面保護層が凹凸形状を有し、60°表面光沢値が5〜30である、上記[1]又は[2]に記載の化粧シート(表面光沢値の測定方法: グロスメーターを使用し、入射光=60°の条件で測定する。)、及び
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧シートを基板に積層した化粧板
を提供するものである。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、フィルム基材と、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなる表面保護層を有する化粧シートであって、
(1)前記表面保護層が、レベリング剤としてアクリル骨格を有する樹脂を、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜4.0質量部の割合で含有し、
(2)該アクリル骨格を有する樹脂の構成単位として、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、且つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ばれる少なくとも一種を含むポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする。
本発明の化粧シートにおけるフィルム基材としては熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。この熱可塑性樹脂フィルムとしては、特に制限はなく例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなど、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルの単独若しくは共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂を素材とするフィルムを用いることができる。これらのフィルムは、チタン白などの白色顔料を練り込んだ白色フィルムが好ましいが、白色に限定されるものではない。
当該フィルム基材の厚さは特に限定されないが、通常50〜300μm程度、好ましくは80〜200μmである。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、フィルム基材1の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
(全面白色層)
全面白色層2を設ける場合には、前述したフィルム基材1表面に設けることが好ましい。当該全面白色層2は、白色ベタ層であり、例えばチタン白(酸化チタン)を50質量%程度以上含有する白色インキを、従来公知の塗布法により、フィルム基材1表面に、層の厚さが1〜5μm程度になるように塗布(塗布量1〜5g/m2程度)することにより形成することができる。この全面白色層2を形成することにより、色調整が好適にできるようになり、得られる化粧シートの白色度が強調される。
本発明の化粧シートにおいて、プライマー層3を設ける場合には、前述の全面白色層2上に設けることが好ましい。当該プライマー層3は、後で説明する表面保護層4とフィルム基材1との層間密着強度を高めるために設けられる層である。当該プライマー層3は、例えばアクリルポリオール系樹脂と、イソシアネート系硬化剤との組み合わせを含む2液硬化型プライマーインキを、従来公知の塗布法により、全面白色層2上に、層の厚さが1〜5μm程度になるように塗布(塗布量1〜5g/m2程度)することにより形成することができる。
本発明の化粧シートにおいて、前述した所望により設けられるプライマー層3上に形成される表面保護層4は、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物であって、レベリング剤としてアクリル骨格を有する樹脂を、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜4.0質量部の割合で含有する。
ここで、レベリング剤とは、表面保護層の表面エネルギーを下げるために電離放射線硬化性樹脂組成物に加えられる添加剤を指し、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、上記電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係る電離放射線硬化性樹脂は、平均官能基数が1.0〜8.0であり、数平均分子量が500〜4000であることが好ましく、平均官能基数が2.0〜5.0であり、数平均分子量が1000〜3000であることがより好ましい。ここで、数平均分子量は、後述するレベリング剤と同様なGPC法により標準ポリスチレン換算で得られた値である。なお、官能基数1とは単官能を意味する。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明の化粧シートにおいて、表面保護層4に含まれるレベリング剤は、当該化粧シートをホワイトボード化粧シートとして用いる場合、優れた筆記消去性、特に繰り返し消去性と、表面意匠安定性を付与するために用いられる。
本発明においては、このレベリング剤として、アクリル骨格を有する樹脂であって、構成単位として、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、且つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ばれる少なくとも一種を含むポリ(メタ)アクリレートを用いる。
本発明においては、アクリル骨格を有する樹脂の構成単位として、前記ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ばれる少なくとも一種を含む。
また、アクリル骨格を有する樹脂の構成単位である芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン及びα−メチルスチレンなどを挙げることができる。
なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
また、表面保護層4における当該レベリング剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜4.0質量部であることを要し、0.2〜2.0質量部であることが好ましい。0.1質量部未満では、筆記消去性、特に繰り返し消去性と、表面意匠安定性を付与することができない。4.0質量部を超えるとマーカー残存率が高くなり好ましくない。
架橋剤としては、例えばフッ化アクリレート、シリコーンアクリレート、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。これらのうち、特にフッ化アクリレート及びシリコーンアクリレートが好ましい。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
前述した電子線硬化性樹脂である重合性モノマーや重合性オリゴマー、レベリング剤であるアクリル骨格を有する樹脂(ポリ(メタ)アクリレート)及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電子線硬化性樹脂組成物からなる塗布液を調製する。この塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、フィルム基材1の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗布液を、フィルム基材1上に設けられたプライマー層3の表面に、硬化後の厚さが1〜20μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、フィルム基材として電子線により劣化するフィルム基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、フィルム基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGyの範囲で選定される。
表面保護層に凹凸を形成する方法としては、エンボスによる凹凸の形成方法を採用することが好ましい。この場合、電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射して架橋硬化させたのち、これに所定の凹凸模様が形成されたエンボスロール又はエンボス板を圧接させて表面保護層の表面に凹凸を設ける。圧接の際には、必要に応じ加熱しても良い。
あるいは、未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物層を、所定の凹凸が形成された賦型材で型付けした状態で、電離放射線を照射して架橋硬化させ、その後、賦型材から剥離することにより、表面保護層の表面に凹凸を形成しても良い。
本発明の化粧シートは、ホワイトボードとしてのマーカー消去性を有し、マーカーを消去した際に発生するマーカー中に含まれる剥離剤の残り(ゴースト)を軽減させると共に、耐擦傷性とプロジェクターによる映写機能が付与されており、映写スクリーン兼用ホワイトボード用シートとして好適であるが、用途はホワイトボードに限定されず、本発明の化粧シートの用途として、本発明の化粧シートを基板に積層した各種化粧板が挙げられる。なお、化粧シートのフィルム基材1側と基板とが対向するように積層され、化粧板が得られる。
(基板)
本発明の化粧シートを貼り付けるための基板は、特に限定されず、板状体であればどのような基板も使用できるが、例えば、鋼板、アルミニウム板等の金属板;杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の木質単板、木質合板、早成樹合板、パーチクルボード、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)等の木質基板;ガラス基板;石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系基板;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂等の、プラスチック単板、プラスチック多層板、繊維強化プラスチック(FRP)板等のプラスチック板;ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体;などが例示される。
<化粧シートの評価方法>
(1)シート表面光沢値(60°グロス値)
各実施例及び比較例にて製造した化粧シートについて、表面光沢値をグロスメーター(Gardner社製「micro−TRI−gloss」)を使用し、入射光=60°の条件で測定した。
(2)プロジェクター映写性試験
各実施例及び比較例にて製造した化粧シートについて、シートを垂直面にシワ無く張り合わせた状態で、プロジェクターとして「CANON製LV7365」を用い、ホットスポット、光のぎらつき、色のくすみの有無を目視にて確認、それぞれの評価を以下の評価基準で行った。
ホットスポット:
○:プロジェクターの照射光(ホットスポット)がほとんど確認されないもの
△:プロジェクターの照射光(ホットスポット)がぼやけた状態で確認されるが、まぶしさは感じないもの
×:プロジェクターの照射光(ホットスポット)が確認され、若干まぶしさを感じるもの
色くすみ:
○;白色の光を投影した際に、原色どおりの色調が再現されるもの
△:白色の光を投影した際に、映写幕での色調が若干グレーになるもの
×:白色の光を投影した際に、映写幕での色調がグレーになるもの
ホワイトボードマーカーとしてサンフォード製「エキスポ ローオーダー 太字 黒」を用い、化粧シート表面に描画した後、マーカーのはじきの程度を下記基準にて判定する。
○:化粧シート上にマーカーが弾かないもの
×:化粧シート上にマーカーが弾くもの
(4)マーカー消去性(易消去性)
ホワイトボードマーカーとして、ぺんてる株式会社製「ホワイトボードマーカー ノックル 太字丸芯 黒」を用い、化粧シート表面に描画した後、室温環境下で24時間乾燥させる。次にイレーサーとして株式会社マグエックス製「マグネットイレーサー」を用い、荷重20g/cm2にて2往復回消去した後のマーカーの残存状態について、下記基準にて判定する。
○:化粧シート上にマーカーが殆ど残らないもの
△:化粧シート上のマーカー残存率が50%以下のもの
×:化粧シート上のマーカー残存率が50%以上のもの
(5)マーカー消去性(ゴースト残り)
ホワイトボードマーカーとして、ぺんてる株式会社製「ホワイトボードマーカー ノックル 太字丸芯 黒」を用い、化粧シート表面に描画した後、室温環境下で1分間乾燥させる。次にイレーサーとして株式会社マグエックス製「マグネットイレーサー」を用い消去した後のマーカー中に含まれる剥離剤の残存状態(ゴースト)について、下記基準にて判定する。
○:化粧シート上にマーカー剥離剤が殆ど残らないもの
×:化粧シート上のマーカー剥離剤が残るもの
(6)耐傷性(耐摩耗性)
摩耗基材としてメラミンイレーサー(OHTO(株)製 激落ちイレーサー)を使用し、荷重500gにて15000往復回シート表面を摩耗させた際の傷発生の有無を、下記基準にて目視で評価する。
○:シート表面に傷が生じないもの
×:シート表面に傷が生じるもの
東ソー(株)製高速GPC装置を用いた。用いたカラムは東ソー(株)製、商品名「TSKgel αM」であり、溶媒は、クロロホルムを用い、カラム温度40℃、流速0.5cm3/minで測定を行った。尚、本発明における分子量及び分子量分布は標準ポリスチレン換算を行った。
フィルム基材1として、厚さ140μmの白色ポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製「PB020 W22」)の表側にチタン白(酸化チタン)を73質量%含有させた白色インキ(昭和インク(株)製 PERホワイト)を塗布量3g/m2で塗布し、全面白色層2を形成した。次にアクリルポリオール系樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系硬化剤からなるプライマーインキ(昭和インク(株)製「EBFプライマー」)を1.5g/m2で塗布してプライマー層3を作成した。上記全面白色層及びプライマーの厚さの総和は5μmであった。次に、プライマー層3の上に電子線硬化性アクリレート樹脂及び多官能モノマーを主体とする電子線硬化性樹脂(DICグラフィックス製 WBWハード;樹脂分=70質量%、平均官能基数=3.3、数平均分子量=約2000)、構成単位として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、スチレン及びα−メチルスチレンを有するレベリング剤のアクリル系樹脂(W−1)を、電子線硬化性樹脂の樹脂分100質量部に対して0.2質量部添加した電子線硬化性樹脂組成物をグラビアダイレクトコータ法により3.0g/m2(塗付厚み3.0μm)塗布した。
塗布後、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4とした。次いでエッチング法により生成したエンボスロールを120℃に加熱し、前もって予備ヒーターにより過熱させた上記化粧シートをこのエンボスロールとゴム圧胴で加圧しながら、表面凹凸処理を行い、表面艶(60°グロス)が20の化粧シート5を作成した。
第1表にレベリング剤のアクリル系樹脂(W−1)の性状として、構成単位と共に、Mn、Mw及びMw/Mn比を示し、第2表に上記化粧シート5の評価結果を示す。
レベリング剤として第2表に示す種類のものを用い、その添加量(電子線硬化性樹脂の樹脂分100質量部に対する質量部)を第2表に示す値とし、かつ表面保護層に対し、第2表に示すように表面処理を施すか又は施さずに、実施例1と同様な操作を行い、第2表に示す60°グロス値を有する各化粧シート5を作成した。
第1表に各種レベリング剤の性状として、構成単位と共に、Mn、Mw及びMw/Mn比を示し、第2表に上記化粧シート5の評価結果を示す。
実施例1において、レベリング剤(W−1)の添加量を5.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、60°グロス値が20の化粧シートを作成した。
この化粧シートの評価結果を第2表に示す。
レベリング剤として、第1表に示す性状を有するポリエステルアクリレート(W−4)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、60°グロス値20の化粧シートを作成した。第2表に上記化粧シートの評価結果を示す。
レベリング剤として、第1表に示す性状を有するアクリル系樹脂(W−5)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、60°グロス値が20の化粧シートを作成した。
第2表に上記化粧シートの評価結果を示す。
レベリング剤として、シリコーン、酢酸ビニル共重合体樹脂を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、60°グロス値が20の化粧シートを作成した。
第2表に上記化粧シートの評価結果を示す。
レベリング剤を用いなかった以外は、実施例1と同様な操作を行い、60°グロス値が20の化粧シートを作成した。
第2表に上記化粧シートの評価結果を示す。
レベリング剤として、本発明の要件を満たすアクリル樹脂を用い、かつその添加量が電子線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜4.0質量部の範囲にある実施例1〜8の化粧シートの各評価結果は、いずれも「◎」、「○」又は「△」であり合格であった。それに対し、レベリング剤として、本発明の要件を満たすアクリル樹脂を用いているが、その添加量が4.0質量部を超える比較例1、本発明の要件を満たさない樹脂を用いた比較例2〜4、及びレベリング剤無添加の比較例5は、いずれも化粧シートの各評価結果の中に「×」が存在し、不合格であった。
[符号の説明]
2 全面白色層
3 プライマー層
4 表面保護層
5 化粧シート
Claims (4)
- フィルム基材と、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなる表面保護層を有する化粧シートであって、
(1)前記表面保護層が、レベリング剤としてアクリル骨格を有する樹脂を、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜4.0質量部の割合で含有し、
(2)該アクリル骨格を有する樹脂の構成単位として、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、且つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ばれる少なくとも一種を含むポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とするホワイトボード用化粧シート。 - 前記フィルム基材と表面保護層との間に、全面白色層及び/又はプライマー層を有する、請求項1に記載のホワイトボード用化粧シート。
- 前記表面保護層が凹凸形状を有し、60°表面光沢値が5〜30である、請求項1又は2に記載のホワイトボード用化粧シート。
表面光沢値の測定方法: グロスメーターを使用し、入射光=60°の条件で測定する。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のホワイトボード用化粧シートを基板に積層したホワイトボード用化粧板。
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