JP5459564B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、モータ(とくにブラシレスモータ)を駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスモータのためのモータ制御装置は、モータの電機子巻線を流れる電流を検出する電流検出部と、モータのロータ回転位置を検出する回転位置検出部と、d軸目標電流およびq軸目標電流を演算するdq軸目標電流演算部と、検出された電機子巻線電流およびロータ回転位置に基づいてd軸電流およびq軸電流を求めるdq軸電流演算部と、d軸電圧指令値演算部と、q軸電圧指令値演算部とを備えている。d軸電圧指令値演算部は、d軸目標電流とd軸電流との間のd軸偏差を低減するように、d軸偏差のPI演算に基づいてd軸電圧指令値を求める。q軸電圧指令値演算部は、q軸目標電流とq軸電流との間のq軸偏差を低減するように、q軸偏差のPI演算に基づいてq軸電圧指令値を求める。こうして求められたd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値、ならびに検出されたロータ回転位置に基づいて、モータ制御装置は、電機子巻線に電圧を印加する。これにより、ロータの回転力が発生する。
一方、PI演算値に対して非干渉化制御量を加算する非干渉化制御が知られている(特許文献1参照)。非干渉化制御とは、ロータの回転に伴ってモータ内部で生じる速度起電力を補償するように電圧指令値を定める制御である。非干渉化制御を行うことによって、速度起電力による応答性や追従性の低下を効果的に抑制できると期待されている。
特開2001−187578号公報
モータ内部で生じる速度起電力は、回転角速度および電流に依存する。したがって、これを補償するための非干渉化制御量も同様に回転角速度および電流に依存する。より具体的には、d軸非干渉化制御量は回転角速度およびq軸電流に依存し、q軸非干渉化制御量は回転角速度およびd軸電流に依存する。
ところが、モータの各相の電機子巻線の電流が検出されてから、これがd軸電流およびq軸電流に変換され、さらにd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値が出力するまでには、座標変換やPI演算などのための演算時間が必要である。また、ロータ回転角が検出されてから、それに基づいて回転角速度を演算する時間も必要である。この間にもロータは回転するので、それに伴ってd軸およびq軸が回転することになる。その結果、d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値が出力されるときには、d軸およびq軸の方向が、モータ電流等の検出時のd軸およびq軸の方向からずれてしまっている。したがって、モータ電流等検出時のd軸およびq軸の方向に対応する非干渉化制御量を用いても、必ずしも、適切な電圧指令値を出力することができない。とくに、回転角速度が大きいときに、この問題が顕在化する。そのため、非干渉化制御が必ずしも期待どおりの効果を生じないうえ、モータ電流が変動的になり、振動や異音が生じるおそれがある。
そこで、この発明の目的は、演算時間の遅れを補償した非干渉化制御を行うことによって、モータの応答性および追従性を効果的に向上することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、モータを駆動するためのモータ駆動電圧を所定の演算周期毎に更新して出力するモータ制御装置であって、前記モータ(1)を駆動するための基本駆動値を演算する基本駆動値演算手段(51a,52a)と、前記モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を演算する非干渉化制御量演算手段(51b,52b)と、この非干渉化制御量演算手段によって演算される非干渉化制御量を補正するための補正値を演算する補正値演算手段(51e,52e)と、前記非干渉化制御量演算手段によって演算される前記非干渉化制御量、および前記補正値演算手段によって演算される前記補正値によって、前記基本駆動値演算手段により演算される前記基本駆動値を修正してモータ駆動電圧を得る修正手段(51c,51d,52c,52d)と、この修正手段での修正によって得られるモータ駆動電圧に基づいて前記モータを駆動する駆動手段(20,21,13)と、前記演算周期毎に、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段(11,17)とを含み、前記補正値演算手段が、前記モータ駆動電圧から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回の演算周期と前回の演算周期との間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものである、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、非干渉化制御量および補正値によって基本駆動値を修正してモータ駆動電圧が求められるようになっている。前記補正値を適切に定めることによって、演算時間分の遅れに起因する非干渉化制御量の誤差を補償することができる。これにより、応答性および追従性に優れたモータ制御が可能になり、非干渉化制御本来の効果を充分に享受することができる。
モータ駆動電圧(たとえば、電圧指令値)が出力されると、その結果としてのモータ電流が検出される。モータを含む電気回路の電気抵抗に当該モータ電流を乗じると、モータに実際に印加されたモータ電圧が求まる。このモータ電圧とモータ駆動電圧との差が、制御上の誤差となる。そこで、この発明では、モータ駆動電圧とモータ電圧(電気抵抗および検出電流の積)との差を、非干渉化制御量の誤差を補償するための補正値とするようにしている。これにより、効果的な非干渉化制御が可能になる。
より具体的には、前記モータ制御装置、所定の演算周期毎に前記モータ駆動電圧を更新して出力するものであ、前記モータ電流検出手段、前記演算周期毎に前記モータに流れるモータ電流を検出するものであり、前記補正値演算手段、前回の演算周期におけるモータ駆動電圧から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と今回の演算周期に前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回および前回の演算周期の間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものである。
前回の演算周期においてモータ駆動電圧(たとえば、電圧指令値)が出力されると、その結果としてのモータ電流が今回の演算周期で検出される。モータを含む電気回路の電気抵抗に当該モータ電流を乗じ、さらに今回および前回の演算周期の間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値(電流微分項)を加えると、今回の演算周期でモータに印加されているモータ電圧が求まる。このモータ電圧と前回の演算周期に出力されたモータ駆動電圧との差が、制御上の誤差となる。この誤差は、演算周期分の遅れに起因して非干渉化制御量がその適値からずれたことに主として起因する誤差である。この誤差は、前演算周期から今演算周期までの間と、今演算周期から次演算周期までの間とで大きく相違しないと考えられる。そこで、前回のモータ駆動電圧と今回のモータ電圧(電気抵抗および検出電流の積とモータ電流変化量およびモータ巻線インダクタンスの積との和)との差を、非干渉化制御量の誤差を補償するための補正値とする。これにより、モータ駆動電圧が更新されるまでの遅れ時間における非干渉化制御量の時間変化を予測した適切なモータ駆動電圧が得られる。つまり、モータ駆動電圧が更新される時点において妥当となる非干渉化制御を行うことができる。その結果、演算時間による遅れを効果的に補償することができるので、非干渉化制御本来の効果を達成できる。
また、この発明では、モータ電圧を求める際に、電気抵抗および検出電流の積だけでなく、今回および前回のモータ電流変化量とインダクタンスとの積も加味されている。この積は、電流微分項に対応する。この電流微分項を加味することで、モータ電圧が一層正確に求まるので、それに応じて、演算時間の遅れに起因する非干渉化制御量の誤差をより効果的に補償することができる。
前回の演算周期に出力されたモータ駆動電圧に代えて、今回の演算周期におけるモータ駆動電圧を用いてもよい
前記補正値演算手段は、前回または今回の演算周期におけるモータ駆動電圧から、前記電気抵抗と今回の演算周期に前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回および前回の演算周期の間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものであることが好ましい。
前記基本駆動値演算手段は、d軸基本駆動電圧およびq軸基本駆動電圧を演算するものであってもよい。この場合に、前記非干渉化制御量演算手段は、d軸非干渉化制御量およびq軸非干渉化制御量を演算するものであり、それに応じて、前記補正値演算手段は、d軸補正値およびq軸補正値を演算するものであることが好ましい。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 dq軸電圧指令値演算部の詳しい構成例(参考形態)を説明するためのブロック図である。 d軸電流およびq軸電流の検出と、dq座標軸の回転との関係を示す図である。 電流値取得および電圧指令値更新の各タイミングを例示する図解図である。 モータ制御装置によるモータの制御手順を説明するためのフローチャートである。 d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値の演算手順を示すフローチャートである。 他の参考形態に係るdq軸電圧指令値演算部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施形態に係るモータ制御装置に適用されるdq軸電圧指令値演算部の構成を示すブロック図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ7と、車両の速度を検出する車速センサ8と、車両の舵取り機構3に操舵補助力を与えるモータ1と、このモータ1を駆動制御するモータ制御装置10とを備えている。モータ制御装置10は、トルクセンサ7が検出する操舵トルクおよび車速センサ8が検出する車速に応じてモータ1を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。モータ1は、たとえば、三相ブラシレスDCモータである。
モータ制御装置10は、電流検出部11、信号処理部としてのマイクロコンピュータ12、および駆動回路13を有する。このモータ制御装置10に、モータ1内のロータの回転位置を検出するレゾルバ2(回転位置センサ)とともに、前述のトルクセンサ7および車速センサ8が接続されるようになっている。
電流検出部11はモータ1の電機子巻線を流れる電流を検出する。より具体的には、電流検出部11は、3相(U相、V相およびW相)の電機子巻線における相電流をそれぞれ検出する電流検出器11u,11v,11wと、電流検出器11u,11v,11wによる電流検出信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換するA/D変換器11u′,11v′,11w′とを有する。
マイクロコンピュータ12は、プログラム処理(ソフトウェア処理)によって実現される複数の機能処理部を備えており、所定の演算周期毎に繰り返し処理を実行するようになっている。これらの複数の機能処理部には、基本目標電流演算部15、dq軸目標電流演算部16、dq軸電流演算部17、d軸偏差演算部18d、q軸偏差演算部18q、dq軸電圧指令値演算部19、電圧指令値座標変換部20、PWM(パルス幅変調)制御部21、および回転角速度演算部22が含まれている。
駆動回路13は、インバータ回路で構成され、PWM制御部21によって制御されることにより、車載バッテリ等の電源からの電力をモータ1のU相、V相およびW相電機子巻線に供給する。この駆動回路13とモータ1の各相の電機子巻線との間において流れる相電流が電流検出器11u,11v,11wにより検出されるようになっている。
基本目標電流演算部15は、トルクセンサ7により検知される操舵トルクと、車速センサ8により検出される車速とに基づいて、モータ1の基本目標電流Iを演算する。基本目標電流Iは、たとえば、操舵トルクの大きさが大きいほど大きく、車速が小さい程大きくなるように定められる。
基本目標電流演算部15により演算された基本目標電流Iはdq軸目標電流演算部16に入力される。dq軸目標電流演算部16は、d軸方向の磁界を生成するためのd軸目標電流I と、q軸方向の磁界を生成するためのq軸目標電流I とを演算する。d軸とは、モータ1のロータの有する界磁の磁束方向に沿う軸であり、q軸とは、d軸およびロータ回転軸に直交する軸である。dq軸目標電流演算部16における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。
電流検出部11から出力される相電流Iu,Iv,Iwはdq軸電流演算部17に入力される。dq軸電流演算部17は、レゾルバ2により検出されたロータ回転位置に基づいて、相電流Iu,Iv,Iwを座標変換することにより、d軸電流Iおよびq軸電流Iを演算する。dq軸電流演算部17における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。
d軸偏差演算部18dは、d軸目標電流I とd軸電流Iとの間のd軸偏差δIを求める。同様に、q軸偏差演算部18qは、q軸目標電流I とq軸電流Iとの間のq軸偏差δIを求める。
dq軸電圧指令値演算部19は、d軸偏差δIに対応するd軸電圧指令値V とq軸偏差δIに対応するq軸電圧指令値V とを求める。
電圧指令値座標変換部20は、レゾルバ2により検出されたロータ回転位置に基づいて、d軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V の座標変換を行い、U相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線にそれぞれ印加すべき印加電圧指令値Vu,Vv,Vwを演算する。電圧指令値座標変換部20における演算は公知の演算式を用いて行えばよい。
PWM制御部21は、印加電圧指令値Vu,Vv,Vwに対応するデューティ比を有するパルス信号である各相のPWM制御信号を生成する。これにより、d軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V に対応する電圧が駆動回路13から各相の電機子巻線に印加され、ロータの回転力が発生する。
回転角速度演算部22は、レゾルバ2により検出されたロータ回転位置の時間変化(微分)を演算することによって、回転角速度ω(rad/sec)を求める。この回転角速度ωは、dq軸電圧指令値演算部19に入力されるようになっている。
図2は、dq軸電圧指令値演算部19の詳しい構成例(参考形態)を説明するためのブロック図である。
dq軸電圧指令値演算部19は、d軸電圧指令値演算部51およびq軸電圧指令値演算部52を有する。d軸電圧指令値演算部51は、d軸偏差δIを低減するように、d軸偏差のPI演算(以下「d軸PI演算」という。)等に基づいてd軸電圧指令値V を求める。q軸電圧指令値演算部52は、q軸偏差δIを低減するように、q軸偏差のPI演算(以下「q軸PI演算」という。)等に基づいてq軸電圧指令値V を求める。
d軸電圧指令値演算部51は、d軸PI演算部51a、d軸非干渉化制御量演算部51b、d軸第1加算部51c、d軸第2加算部51d、およびd軸補正値演算部51eを有する。
d軸PI演算部51aは、d軸偏差のPI演算によりd軸PI演算値Vdoを演算し、このd軸PI演算値Vdoをd軸第1加算部51cに出力する。
d軸非干渉化制御量演算部51bは、回転角速度演算部22により求められる回転角速度ωと、dq軸電流演算部17により求められるq軸電流Iとに基づき、d軸非干渉化制御量D(=−ωL)を求める。Lはモータ1の電機子巻線のq軸自己インダクタンスであり、予め測定済みの定数である。
d軸第1加算部51cは、d軸PI演算値Vdoにd軸非干渉化制御量Dを加算する。
d軸第2加算部51dは、d軸第1加算部51cの加算結果(=Vdo+D)に対して、d軸補正値演算部51eが演算するd軸補正値ΔDを加算して、d軸電圧指令値V (=Vdo+D+ΔD)を出力する。
d軸補正値演算部51eは、d軸非干渉化制御量Dを補正するためのd軸補正値ΔDを求めるものである。この参考形態では、d軸補正値演算部51eは、今演算周期におけるd軸非干渉化制御量D(n)(n=1,2,3,…)と前演算周期におけるd軸非干渉化制御量D(n-1)との差をd軸補正値ΔD(=D(n)−D(n-1))として求める偏差演算部51fを有している。なお、図中、Z−1は信号の前回値を表す。
q軸電圧指令値演算部52は、q軸PI演算部52a、q軸非干渉化制御量演算部52b、q軸第1加算部52c、q軸第2加算部52d、およびq軸補正値演算部52eを有する。
q軸PI演算部52aは、q軸偏差のPI演算によりq軸PI演算値Vqoを演算し、このq軸PI演算値Vqoをq軸第1加算部52cに出力する。
q軸非干渉化制御量演算部52bは、回転角速度演算部22により求められる回転角速度ωと、dq軸電流演算部17により求められるd軸電流Iとに基づき、q軸非干渉化制御量D(=ωL+ωΦ)を求める。Lはモータ1の電機子巻線のd軸自己インダクタンスであり、Φはロータの界磁の電機子巻線鎖交磁束数の最大値の(3/2)1/2倍である。d軸自己インダクタンスLは予め測定済みの定数である。
q軸第1加算部52cは、q軸PI演算値Vqoにq軸非干渉化制御量Dを加算する。
q軸第2加算部52dは、q軸第1加算部52cの加算結果(=Vqo+D)に対して、q軸補正値演算部52eが演算するq軸補正値ΔDを加算して、q軸電圧指令値V (=Vqo+D+ΔD)を出力する。
q軸補正値演算部52eは、q軸非干渉化制御量Dを補正するためのq軸補正値ΔDを求めるものである。この参考形態では、q軸補正値演算部52eは、今演算周期におけるq軸非干渉化制御量D(n)と前演算周期におけるq軸非干渉化制御量D(n-1)との差をq軸補正値ΔD(=D(n)−D(n-1))として求める偏差演算部52fを有している。図中、Z−1は信号の前回値を表す。
図3は、d軸電流およびq軸電流の検出と、dq座標軸の回転との関係を示す図である。モータ1の内部で生じる速度起電力は、d軸については、−ωLと表され、q軸については、ωL+ωΦと表される。したがって、これらを補償するd軸非干渉化制御量Dは−ωLと表され、q軸非干渉化制御量DはωL+ωΦと表される。
一方、電流検出部11によって電流が検出されてから、この検出された電流に対応する駆動値であるd軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V が出力されるまでには、回転角速度ωの演算、座標変換、PI演算その他の演算のための時間が必要である。より具体的には、マイクロコンピュータ12は、所定の演算周期(たとえば、0.001秒)毎にd軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V を更新して出力する。したがって、電流検出部11によって電流が検出されてから、d軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V が当該検出された電流に対応する値に更新されるまでには、遅れ時間が生じる。この遅れ時間の間にもロータが回転しているので、それに応じてd軸およびq軸が回転することになる。
図3に示すように、d軸71およびq軸72が前記遅れ時間の間に角度変化量θだけ回転してd軸71′およびq軸72′に回転移動する場合を想定する。この場合、回転前のd軸71およびq軸72に対応して求められたd軸電流Iおよびq軸電流Iに基づいて非干渉化制御量D,Dが演算される。しかし、この演算された非干渉化制御量D,Dが適用されるのは、dq座標軸がd軸71′およびq軸72′の位置まで回転した時点である。したがって、非干渉化制御量D,Dは適値からずれており、これをそのまま適用すれば、電圧指令値V ,V もまた適値からずれていることになる。
そこで、この参考形態では、d軸PI演算値Vdoにd軸非干渉化制御量Dを加算し、この加算結果をd軸補正値ΔDで補正してd軸電圧指令値V を得ている。同様に、q軸PI演算値Vqoにq軸非干渉化制御量Dを加算し、この加算結果をq軸補正値ΔDで補正することにより、q軸電圧指令値V を得ている。
図4は、電流値取得および電圧指令値更新の各タイミングを例示する図解図である。演算周期の初期の所定のタイミングでA/D変換器11u′、11v′,11w′から検出電流値が取得され、かつ、レゾルバ2からロータ回転位置(モータ角)が取得される。そして、演算周期の後半の所定のタイミングで電圧指令値V ,V が更新される。この電圧指令値V ,V は、次の演算周期で更新されるまでは変化しない。
この図4から理解されるように、電流およびロータ回転位置の検出から電圧指令値V ,V の更新タイミングまでには、演算周期のほぼ1周期分の遅れが生じる。したがって、1演算周期分だけ先の非干渉化制御量D,Dを予測し、この予測された非干渉化制御量D,Dに基づいてPI演算値Vdo,Vqoを補正することができれば、電圧指令値V ,V はその更新タイミングにおいて適値を有することができる。
この参考形態では、前演算周期(n−1)と今演算周期(n)の非干渉化制御量の誤差がほぼ等しい(大きく相違しない)と仮定する。すなわち、次式(1)(2)が成立すると仮定する。
(n+1)−D(n)≒D(n)−D(n-1)=ΔD(n) …(1)
(n+1)−D(n)≒D(n)−D(n-1)=ΔD(n) …(2)
この予測された非干渉化制御量の誤差ΔD(n),ΔD(n)によって、非干渉化制御量D(n),D(n)を補正すれば、電圧指令値V ,V はその更新タイミングにおいて適値を有することができる。すなわち、次式(3)(4)のとおりであり、これは、図2の構成における第2加算部51d,52dの出力にほかならない。
=Vdo+D(n)+ΔD …(3)
=Vqo+D(n)+ΔD …(4)
図5は、モータ制御装置10によるモータ1の制御手順を説明するためのフローチャートである。まず、マイクロコンピュータ12は、トルクセンサ7、車速センサ8、電流検出器11u,11v,11wおよびレゾルバ2による検出値を読み込む(ステップS1)。基本目標電流演算部15は、検出された操舵トルクおよび車速に基づき、目標電流Iを演算する(ステップS2)。dq軸目標電流演算部16は、その目標電流Iに対応するd軸目標電流I とq軸目標電流I とを演算する(ステップS3)。dq軸電流演算部17は、検出された相電流Iu,Iv,Iwに対応するd軸電流Iおよびq軸電流Iを演算する(ステップS4)。d軸目標電流I とd軸電流Iとから、d軸偏差演算部18dにおいて、d軸偏差δIが演算され、q軸目標電流I とq軸電流Iから、q軸偏差演算部18qにおいて、q軸偏差δIが演算される(ステップS5)。また、回転角速度演算部22は、レゾルバ2によって検出されるロータ回転位置に基づいて、回転角速度ωを演算する(ステップS6)。
次に、dq軸電圧指令値演算部19において、d軸電圧指令値V とq軸電圧指令値V とが演算される(ステップS7)。そして、電圧指令値座標変換部20において、d軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V に対応するU相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線への印加電圧指令値Vu,Vv,Vwが演算される(ステップS8)。これらの印加電圧指令値Vu,Vv,Vwに対応するPWM制御信号がPWM制御部21から駆動回路13に与えられる。これより、モータ1が駆動される(ステップS9)。そして、制御を終了するか否かを例えばイグニッションスイッチのオン・オフにより判断し(ステップS10)、終了しない場合はステップS1に戻る。
図6は、d軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V の演算手順を示すフローチャートである。まず、d軸PI演算およびq軸PI演算によりd軸PI演算値Vdoおよびq軸PI演算値Vqoがそれぞれ求められる(ステップS101)。一方、d軸非干渉化制御量演算部51bにおいて今演算周期(n)のd軸非干渉化制御量D(n)が求められ、q軸非干渉化制御量演算部52bにおいて今演算周期(n)のq軸非干渉化制御量D(n)が求められる(ステップS102)。また、d軸補正値演算部51eにおいて、今演算周期(n)にけるd軸非干渉化制御量D(n)と前演算周期(n−1)におけるd軸非干渉化制御量D(n-1)との差であるd軸補正値ΔDが求められる(ステップS103)。同様に、q軸補正値演算部52eにおいて、今演算周期(n)におけるq軸非干渉化制御量D(n)と前演算周期(n−1)におけるq軸非干渉化制御量D(n-1)との差であるq軸補正値ΔDが求められる(ステップS103)。そして、d軸PI演算値Vdoにd軸非干渉化制御量D(n)が加算され、その加算結果にd軸補正値ΔDを加算してd軸電圧指令値V が求められる(ステップS104)。同様に、q軸PI演算値Vqoにq軸非干渉化制御量D(n)が加算され、その加算結果にq軸補正値ΔDを加算してq軸電圧指令値V が求められる(ステップS104)。こうして求められたd軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V が出力される。また、今演算周期(n)における非干渉化制御量D(n),D(n)は、次の演算周期(n+1)における補正値ΔD,ΔDの演算(ステップS103)のために、マイクロコンピュータ12に備えられたメモリ(図示せず)に記憶される(ステップS105)。
以上の構成によれば、モータ電流等の検出時点から電圧指令値更新時点までの遅れ時間における非干渉化制御量D,Dの変化が予測され、この予測に対応する補正値ΔD,ΔDで補正した電圧指令値V ,V が出力される。したがって、これらの電圧指令値V ,V は、それらが更新される時点において適切な非干渉化制御量を反映した値となる。その結果、非干渉化制御によって応答性および追従性を向上することができる。しかも、適切な電圧指令値V ,V が設定される結果、モータ電流が変動的になることを抑制できるので、制御の安定性を確保することができる。これにより、振動や異音を抑制しつつ動特性を向上できるので、電動パワーステアリング装置における操舵フィーリングを向上することができる。
図7は、他の参考形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図であり、前述の図2に示した構成に代えて用いることができるdq軸電圧指令値演算部19の構成が示されている。この図7において、前述の図2に示された各部と同等の機能部分には同一の参照符号を付して示す。
この参考形態では、d軸補正値演算部51eは、前演算周期(n−1)におけるd軸電圧指令値V (n-1)と、今演算周期において検出されたd軸電流I(n)と、モータ1および駆動回路13を含む電気回路の電気抵抗Rとを用いて、d軸補正値Cを演算する。より具体的には、d軸補正値演算部51eは、d軸電流I(n)および電気抵抗Rの積を求める乗算部51gと、この乗算部51gの出力と前演算周期におけるd軸電圧指令値V (n-1)との差をd軸補正値C(=V (n-1)−R・I(n))として求める偏差演算部51hとを有している。この偏差演算部51hが求めたd軸補正値Cが、d軸減算部51d′に与えられるようになっている。図中、Z−1は信号の前回値を表す。
同様に、q軸補正値演算部52eは、前演算周期(n−1)におけるq軸電圧指令値V (n-1)と、今演算周期において検出されたq軸電流I(n)と、モータ1および駆動回路13を含む電気回路の電気抵抗Rとを用いて、q軸補正値Cを演算する。より具体的には、q軸補正値演算部52eは、q軸電流I(n)および電気抵抗Rの積を求める乗算部52gと、この乗算部52gの出力と前演算周期におけるq軸電圧指令値V (n-1)との差をq軸補正値C(=V (n-1)−R・I(n))として求める偏差演算部52hとを有している。この偏差演算部52hが求めたq軸補正値Cが、q軸減算部52d′に与えられるようになっている。図中、Z−1は信号の前回値を表す。
乗算部51g,52gの演算結果RI(n),RI(n)は、前演算周期(n−1)に電圧指令値V (n-1),V (n-1)が生成されて電圧指令値更新タイミングで出力された結果として、今演算周期(n)において前記電気回路の両端に生じた電圧である。したがって、d軸補正値Cおよびq軸補正値Cは、モータ電流等の検出タイミングと電圧指令値更新タイミングとのずれに起因して生じた電圧誤差に対応する。この電圧誤差は、時間軸上で隣り合う演算周期間で大きく相違しないと考えられる。
そこで、この参考形態では、PI演算値Vdo,Vqoを非干渉化制御量D(n),D(n)で補正し、さらに、d軸補正値Cおよびq軸補正値Cで補正して、d軸電圧指令値V (=Vdo+D−C)およびq軸電圧指令値V (=Vqo+D−C)が求められるようになっている。したがって、これらの電圧指令値V ,V は、それらが更新される時点において適切な値となる。その結果、モータ電流が変動的になることを抑制でき、振動や異音を抑制しつつ動特性を向上できる。
図8は、この発明の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図であり、前述の図2または図7に示した構成に代えて用いることができるdq軸電圧指令値演算部19の構成が示されている。この図8において、前述の図7に示された各部と同等の機能部分には同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、d軸補正値演算部51eは、前演算周期(n−1)におけるd軸電圧指令値V (n-1)と、今演算周期において検出されたd軸電流I(n)と、前演算周期において検出されたd軸電流I(n-1)と、モータ1および駆動回路13を含む電気回路の電気抵抗Rと、モータ1のd軸インダクタンスLとを用いて、d軸補正値Cを演算する。より具体的には、d軸補正値演算部51eは、d軸電流I(n)および電気抵抗Rの積を求める乗算部51gと、今演算周期と前演算周期とのd軸電流変化ΔI(=I(n)−I(n-1))を求めるd軸電流変化演算部51iと、このd軸電流変化演算部51iが求めたd軸電流変化ΔIにd軸インダクタンスLを乗じる乗算部51jと、乗算部51g,51jの各出力を前演算周期におけるd軸電圧指令値V (n-1)から差し引いてd軸補正値C(=V (n-1)−R・I(n)−L・ΔI)として求める偏差演算部51hとを有している。この偏差演算部51hが求めたd軸補正値Cが、d軸減算部51d′に与えられるようになっている。図中、Z−1は信号の前回値を表す。
同様に、q軸補正値演算部52eは、前演算周期(n−1)におけるq軸電圧指令値V (n-1)と、今演算周期において検出されたq軸電流I(n)と、前演算周期において検出されたq軸電流I(n-1)と、モータ1および駆動回路13を含む電気回路の電気抵抗Rと、モータ1のq軸インダクタンスLとを用いて、q軸補正値Cを演算する。より具体的には、q軸補正値演算部52eは、q軸電流I(n)および電気抵抗Rの積を求める乗算部52gと、今演算周期と前演算周期とのq軸電流変化ΔI(=I(n)−I(n-1))を求めるq軸電流変化演算部52iと、このq軸電流変化演算部52iが求めたq軸電流変化ΔIにq軸インダクタンスLを乗じる乗算部52jと、乗算部52g,52jの各出力を前演算周期におけるq軸電圧指令値V (n-1)から差し引いてq軸補正値C(=V (n-1)−R・I(n)−L・ΔI)として求める偏差演算部52hとを有している。この偏差演算部52hが求めたq軸補正値Cが、q軸減算部52dに与えられるようになっている。図中、Z−1は信号の前回値を表す。
乗算部51g,51jの各出力の和(R・I(n)+L・ΔI)は、前演算周期(n−1)にd軸電圧指令値V (n-1)が生成されて電圧指令値更新タイミングで出力された結果として、今演算周期(n)において前記電気回路の両端に生じた電圧である。第2項は、電流微分項であり、図7の参考形態では省かれていた項である。同様に、乗算部52g,52jの各出力の和(R・I(n)+L・ΔI)は、前演算周期(n−1)にq電圧指令値V (n-1)が生成されて電圧指令値更新タイミングで出力された結果として、今演算周期(n)において前記電気回路の両端に生じた電圧である。やはり、第2項は、電流微分項であり、前述の図7の参考形態では省かれていた項である。
したがって、図7の参考形態の場合と同じく、d軸補正値Cおよびq軸補正値Cは、モータ電流等の検出タイミングと電圧指令値更新タイミングとのずれに起因して生じた電圧誤差に対応する。よって、図7の参考形態の場合と同様に、電圧指令値V ,V は、それらが更新される時点において適切な値となるので、モータ電流が変動的になることを抑制でき、振動や異音を抑制しつつ動特性を向上できる。さらに、この実施形態では、電流微分項まで考慮しているので、より一層適切なモータ制御が可能になる。
以上、この発明の実施形態等について説明したが、次のような変形が可能である。たとえば、前述の参考形態および実施形態では、q軸非干渉化制御量演算部52bで求められるq軸非干渉化制御量DをωL+ωΦとしているが、これに代えて、ωLをq軸非干渉化制御量Dとして用いてもよい。
また、前述の参考形態(図2)では、PI演算値を非干渉化制御量で補正し、さらに、その補正後の値をd軸/q軸補正値で補正しているが、非干渉化制御量をd軸/q軸補正値で補正し、この補正された後の非干渉化制御量でPI演算値を補正する構成としてもよい。
また、図7の参考形態および図8の実施形態では、補正値C,Cを求めるために前演算周期の電圧指令値V (n-1),V (n-1)を用いているが、これらに代えて今演算周期の電圧指令値V (n),V (n)を用いてもよい。
また、図8の実施形態では、前演算周期と今演算周期との電流の差を電流変化量として求めているが、他の計算方法で電流変化量を求めてもよい。
また、前述の実施形態では、レゾルバ2でロータ回転位置を検出しているが、いわゆるセンサレス制御によってロータ回転位置を推定してもよい。そして、この推定されたロータ回転位置に基づいて回転角速度ωを演算するようにしてもよい。
また、ロータ回転位置に基づいて回転角速度ωを求める代わりに、次式(5)(6)に示すモータの方程式を利用して回転角速度ωを求めるようにしてもよい。ただし、次式(5)(6)において、pは微分演算子を表す。
−(R+pL)I=ω(−L) …(5)
−(R+pL)I=ω(Φ+L) …(6)
より具体的には、微分項を省略して、次式(7)または(8)に従って回転角速度ωを求めることができる。
ω=(V(n-1)−RI)/(−L) …(7)
ω=(V(n-1)−RI)/(Φ+L) …(8)
このような演算によって回転角速度ωを求めることにより、応答のよい回転角速度演算が可能になるので、非干渉化制御量をより的確に演算することができるようになる。
また、SPM(Surface Permanent Magnet:表面磁石貼付型)モータなどのように、LとLとの差が小さい場合には、L=Lとして非干渉化制御量等を演算してもよい。
また、前述の参考形態および実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータに関する例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータの制御に対しても適用が可能である。とくに、サーボ系で応答性や追従性が要求される用途でのモータトルク制御に応用すると効果的である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
特許請求の範囲に記載した事項のほかにも、この明細書の記載から、以下のような特徴が抽出され得る。
A1.モータ(1)を駆動するための基本駆動値を演算する基本駆動値演算手段(51a,52a)と、前記モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を演算する非干渉化制御量演算手段(51b,52b)と、この非干渉化制御量演算手段によって演算される非干渉化制御量を補正するための補正値を演算する補正値演算手段(51e,52e)と、前記非干渉化制御量演算手段によって演算される前記非干渉化制御量、および前記補正値演算手段によって演算される前記補正値によって、前記基本駆動値演算手段により演算される前記基本駆動値を修正してモータ駆動値を得る修正手段(51c,51d,52c,52d)と、この修正手段での修正によって得られるモータ駆動値に基づいて前記モータを駆動する駆動手段(20,21,13)とを含む、モータ制御装置。
なお、括弧内の英数字は、前述の参考形態または実施形態における対応構成要素等を表す。以下同じ。
この構成によれば、非干渉化制御量および補正値によって基本駆動値を修正してモータ駆動値が求められるようになっている。前記補正値を適切に定めることによって、演算時間分の遅れに起因する非干渉化制御量の誤差を補償することができる。これにより、応答性および追従性に優れたモータ制御が可能になり、非干渉化制御本来の効果を充分に享受することができる。
A2.前記モータ制御装置が、所定の演算周期毎に前記モータ駆動値を更新して出力するものであり、前記補正値演算手段が、今回の演算周期で前記非干渉化制御量演算手段によって演算された非干渉化制御量から前回の演算周期で前記非干渉化制御量演算手段によって演算された非干渉化制御量を差し引いた値を前記補正値として演算するものである、A1項に記載のモータ制御装置。
この構成によれば、今回の演算周期における非干渉化制御量と前回の演算周期における非干渉化制御量との差が前記補正値とされる。この場合、補正値は、前回の演算周期における非干渉化制御量の誤差に相当する。この誤差は、前演算周期から今演算周期までの間と、今演算周期から次演算周期までの間とで大きく相違しないと考えられる。そこで、この発明では、今回と前回との非干渉化制御量の差を補正値とし、今回の非干渉化制御量の誤差を補償するために用いている。これにより、モータ駆動値が更新されるまでの遅れ時間における非干渉化制御量の時間変化を予測した適切なモータ駆動値が得られる。つまり、モータ駆動値が更新される時点において妥当となる非干渉化制御を行うことができる。その結果、演算時間による遅れを効果的に補償することができるので、非干渉化制御本来の効果を達成できる。
A3.前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段(11,17)をさらに含み、前記補正値演算手段は、前記モータ駆動値から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引いた値を前記補正値として演算するものである、A1項に記載のモータ制御装置。
モータ駆動値(たとえば、電圧指令値)が出力されると、その結果としてのモータ電流が検出される。モータを含む電気回路の電気抵抗に当該モータ電流を乗じると、モータに実際に印加されたモータ電圧が求まる。このモータ電圧とモータ駆動値との差が、制御上の誤差となる。そこで、この発明では、モータ駆動値とモータ電圧(電気抵抗および検出電流の積)との差を、非干渉化制御量の誤差を補償するための補正値とするようにしている。これにより、効果的な非干渉化制御が可能になる。
より具体的には、前記モータ制御装置が、所定の演算周期毎に前記モータ駆動値を更新して出力するものである場合に、前記モータ電流検出手段が、前記演算周期毎に前記モータに流れるモータ電流を検出するものであり、前記補正値演算手段が、前回の演算周期におけるモータ駆動値から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と今回の演算周期に前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引いた値を前記補正値として演算するものであることが好ましい。
前回の演算周期においてモータ駆動値(たとえば、電圧指令値)が出力されると、その結果としてのモータ電流が今回の演算周期で検出される。モータを含む電気回路の電気抵抗に当該モータ電流を乗じると、今回の演算周期でモータに印加されているモータ電圧が求まる。このモータ電圧と前回の演算周期に出力されたモータ駆動値との差が、制御上の誤差となる。この誤差は、演算周期分の遅れに起因して非干渉化制御量がその適値からずれたことに主として起因する誤差である。この誤差は、前演算周期から今演算周期までの間と、今演算周期から次演算周期までの間とで大きく相違しないと考えられる。そこで、前回のモータ駆動値と今回のモータ電圧(電気抵抗および検出電流の積)との差を、非干渉化制御量の誤差を補償するための補正値とする。これにより、モータ駆動値が更新されるまでの遅れ時間における非干渉化制御量の時間変化を予測した適切なモータ駆動値が得られる。つまり、モータ駆動値が更新される時点において妥当となる非干渉化制御を行うことができる。その結果、演算時間による遅れを効果的に補償することができるので、非干渉化制御本来の効果を達成できる。
前回の演算周期に出力されたモータ駆動値に代えて、今回の演算周期におけるモータ駆動値を用いてもよい。
A4.前記モータ制御装置が、所定の演算周期毎に前記モータ駆動値を更新して出力するものであり、前記演算周期毎に、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段(11,17)をさらに含み、前記補正値演算手段が、前記モータ駆動値から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回の演算周期と前回の演算周期との間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものである、A1項に記載のモータ制御装置。
この構成では、モータ電圧を求める際に、電気抵抗および検出電流の積だけでなく、今回および前回のモータ電流変化量とインダクタンスとの積も加味されている。この積は、電流微分項に対応する。この電流微分項を加味することで、モータ電圧が一層正確に求まるので、それに応じて、演算時間の遅れに起因する非干渉化制御量の誤差をより効果的に補償することができる。
前記補正値演算手段は、前回または今回の演算周期におけるモータ駆動値から、前記電気抵抗と今回の演算周期に前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回および前回の演算周期の間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものであることが好ましい。
前記基本駆動値演算手段は、d軸基本駆動電圧およびq軸基本駆動電圧を演算するものであってもよい。この場合に、前記非干渉化制御量演算手段は、d軸非干渉化制御量およびq軸非干渉化制御量を演算するものであり、それに応じて、前記補正値演算手段は、d軸補正値およびq軸補正値を演算するものであることが好ましい。
1…モータ、2…レゾルバ、10…モータ制御装置、11…電流検出部、12…マイクロコンピュータ、51…d軸電圧指令値演算部、51c…d軸第1加算部、51d…d軸第2加算部、51d′…d軸減算部、51e…d軸補正値演算部、52…q軸電圧指令値演算部、52c…q軸第1加算部、52d…q軸第2加算部、52d′…q軸減算部、52e…q軸補正値演算部

Claims (1)

  1. モータを駆動するためのモータ駆動電圧を所定の演算周期毎に更新して出力するモータ制御装置であって、
    前記モータを駆動するための基本駆動値を演算する基本駆動値演算手段と、
    前記モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を演算する非干渉化制御量演算手段と、
    この非干渉化制御量演算手段によって演算される非干渉化制御量を補正するための補正値を演算する補正値演算手段と、
    前記非干渉化制御量演算手段によって演算される前記非干渉化制御量、および前記補正値演算手段によって演算される前記補正値によって、前記基本駆動値演算手段により演算される前記基本駆動値を修正してモータ駆動電圧を得る修正手段と、
    この修正手段での修正によって得られるモータ駆動電圧に基づいて前記モータを駆動する駆動手段と、
    前記演算周期毎に、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段とを含み、
    前記補正値演算手段が、前記モータ駆動電圧から、前記モータを含む電気回路の電気抵抗と前記モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流との積を差し引き、さらに、今回の演算周期と前回の演算周期との間におけるモータ電流変化量にモータ巻線のインダクタンスを乗じた値を差し引いた値を前記補正値として演算するものである、
    モータ制御装置。
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