JP2019050684A - パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

パワーステアリング装置の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019050684A
JP2019050684A JP2017174105A JP2017174105A JP2019050684A JP 2019050684 A JP2019050684 A JP 2019050684A JP 2017174105 A JP2017174105 A JP 2017174105A JP 2017174105 A JP2017174105 A JP 2017174105A JP 2019050684 A JP2019050684 A JP 2019050684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
angular velocity
correction
electric
phase
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017174105A
Other languages
English (en)
Inventor
裕幸 太田
Hiroyuki Ota
裕幸 太田
杉山 吉隆
Yoshitaka Sugiyama
吉隆 杉山
督己 加島
Tokumi Kashima
督己 加島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2017174105A priority Critical patent/JP2019050684A/ja
Publication of JP2019050684A publication Critical patent/JP2019050684A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

【課題】操舵機構に操舵力を付与する電動モータを有するパワーステアリング装置において、軸誤差によって電動モータのトルク制御の精度が低下することを抑制する。【解決手段】制御装置は、電動モータに流れる電流値に基づき電動モータに発生する誘起電圧の位相である制御位相を推定し、回転位置センサの出力信号である実軸位相と制御位相の差である軸誤差を演算し、軸誤差に基づき実軸位相の角速度である電気角速度を補正し、電気角速度に基づき電動モータのステータに出力する指令信号を演算する。【選択図】図4

Description

本発明は、操舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与する電動モータを有するパワーステアリング装置の制御装置に関する。
特許文献1には、電動パワーステアリング装置を制御する制御装置であって、電動モータの中性点電位に基づき回転子の位置を推定する回転位置推定部と、前記電動モータの回転子の位置を検出する回転位置検出器とを有し、前記回転位置検出器によって検出された位置信号が異常であるときに、前記回転位置推定部によって推定された回転子の位置に基づき前記電動モータの指令信号を演算する制御装置が開示されている。
特開2017−017786号公報
パワーステアリング装置の電動モータとして広く用いられている永久磁石同期電動機の制御においては、回転子の位置を検出するセンサの取り付け位置のばらつきや永久磁石の着磁ばらつきなどによって、実軸と制御軸とのずれである軸誤差が発生し、ベクトル制御によるトルクの制御精度が低下する場合があった。
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操舵機構に操舵力を付与する電動モータを有するパワーステアリング装置において、軸誤差によってトルク制御(ベクトル制御)の精度が低下することを抑制できる制御装置を提供することにある。
本発明によれば、その1つの態様において、制御装置は、電動モータに流れる電流値に基づき前記電動モータに発生する誘起電圧の位相である制御位相を推定し、回転位置センサの出力信号である実軸位相と前記制御位相の差である軸誤差を演算し、前記軸誤差に基づき前記実軸位相の角速度である電気角速度を補正し、前記電気角速度に基づき前記電動モータのステータに出力される指令信号を演算する。
本発明によれば、軸誤差によってトルク制御(ベクトル制御)の精度が低下することを抑制できる。
電動パワーステアリング装置のシステム概略図である。 本発明に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 モータ制御器の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の電気角速度調整器の構成を示すブロック図である。 軸誤差を説明するための図である。 第2実施形態の補正出力制御器を示すブロック図である。 補正出力制御器の切り替え動作を説明するための線図である。 軸誤差に基づく補正を停止するときの補正量の変化を例示するタイムチャートである。 軸誤差に基づく補正を開始するときの補正量の変化を例示するタイムチャートである。 第3実施形態の電気角速度調整器の構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係るパワーステアリング装置の制御装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、車両用のパワーステアリング装置200のシステム構成図である。
パワーステアリング装置200において操舵輪を転舵する操舵機構210は、ステアリングホイール201、ステアリングシャフト202(操舵軸)、ピニオン軸203、ラック軸204を有する。
操舵機構210においては、車両の運転者がステアリングホイール201を左右に回転させると、操舵トルクがステアリングシャフト202を介してピニオン軸203に伝達され、次いで、ピニオン軸203の回転運動がラック軸204の直線運動に変換されることで、ラック軸204の両端に連結された操舵輪(図示省略)の操舵を行う。
操舵トルクセンサ206は、ピニオン軸203に設けられ、ステアリングホイール201の操舵トルクを検出する。
電動モータ1は、操舵トルクを補助するアシストトルク(補助操舵力)を操舵機構210に付与する。
減速機構205は、電動モータ1が発生するアシストトルクを操舵輪に伝達して、運転者の操舵を補助する。
回転位置センサ207は、電動モータ1のロータ(回転子)の回転位置を検出するセンサである。
なお、後で詳述するように、回転位置センサ207は、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209を一体的に備える所謂デュアルセンサである。
制御装置10は、マイクロプロセッサを有し、車速情報や操舵トルクセンサ206が検出した操舵トルクなどに応じたトルク指令値τ*の信号、更に、回転位置センサ207の出力信号である実軸位相の信号などに基づき、電動モータ1のステータ(固定子)に出力する指令信号を演算し、当該指令信号の出力によって電動モータ1のトルクを制御する。
図2は、制御装置10の構成図である。
なお、本願では、ロータ(回転子)の磁束方向の位置であるd軸と、そこから回転方向に電気的に90度進んだq軸とからなる回転座標系をd−q軸(実軸)とし、制御上の仮想回転子位置dc軸と、そこから回転方向に電気的に90度進んだqc軸とからなる回転座標系をdc−qc軸(制御軸)とする。
電動モータ1は、U相コイルLu、V相コイルLv、及び、W相コイルLwを備えたステータ1aと、該ステータ1aの中央部に形成した空間に回転可能に設けられたマグネット型のロータ1b(永久磁石回転子)とを有する、3相の永久磁石同期電動機である。
インバータ回路2は、電動モータ1の3相(U相、V相、W相)をそれぞれに駆動する3組のスイッチング素子を備えた3相ブリッジ回路であり、電動モータ1と直流電源3とに接続される。インバータ回路2の複数のスイッチング素子として、例えばMOSFETなどの半導体スイッチング素子が用いられる。
直流電源3は、インバータ回路2に電力を供給する直流電源である。
直流母線電流センサ4は、インバータ回路2への供給電流IDCを検出して、モータ制御器5に出力する電流検出器である。
制御装置10は、直流母線電流センサ4が出力する供給電流IDCの信号を受信する受信部10A(モータ電流信号受信部)を備える。
モータ制御器5は、トルク指令値τ*に一致するモータトルクを発生させるために電動モータ1をベクトル制御するものであり、指令信号としてのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号をインバータ回路2に出力する。
なお、ベクトル制御とは、交流電流機に流れる電流を、トルクを発生する電流成分と、磁束を発生する電流成分とに分解し、それぞれの電流成分を独立に制御する方式である。
モータ制御器5は、電動モータ1への印加電圧である電圧指令値Vd*,Vq*と、トルクに寄与する電流Iqc(qc軸成分)及び磁束に寄与する電流Idc(dc軸成分)を、電気角速度調整器6に出力する。
電流Iqc,Idcは、後述するように、3相交流電流を回転子位相θdcに基づき座標変換して得られる電流成分である。
電気角速度調整器6は、電圧指令値Vd*,Vq*と、制御上で仮定しているdc−qc軸上の電流Idc,Iqcと、電気角速度ω1cと、モータ定数を用いて、電動モータ1の回転子位置を基準とした実軸(d−q軸)と、制御上で仮定している制御軸(dc−qc軸)とのずれである軸誤差Δθdc(誤差角)を演算する。
そして、電気角速度調整器6は、軸誤差Δθdcがゼロとなるように補正された電気角速度ω1cの信号をモータ制御器5に出力する。
なお、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1cの補正については、後で詳細に説明する。
回転位置センサ207は、電動モータ1の回転子位置(ロータの回転位置)を検出するセンサとして、相互に独立に動作する第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209を備えたデュアルセンサである。
ここで、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209は、1つのセンサチップパッケージ207A内に一体的に設けられている。
第1回転位置センサ208は、電動モータ1のロータ1bに設けられたマグネットの磁界を検出する第1磁気検出素子208Aを有し、電動モータ1の回転子位相を示す信号θsc1(第1実軸位相の信号)を出力する。
また、第2回転位置センサ209は、電動モータ1のロータ1bに設けられたマグネットの磁界を検出する第2磁気検出素子209Aを有し、電動モータ1の回転子位相を示す信号θsc2(第2実軸位相の信号)を出力する。
制御装置10は、第1回転位置センサ208が出力する信号θsc1を受信する受信部10B(第1実位相信号受信部)と、第2回転位置センサ209が出力する信号θsc2を受信する受信部10C(第2実位相信号受信部)とを備える。
位相/速度演算器7は、回転位置センサ207(第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209)が検出した電動モータ1の回転子位相θsc1,θsc2に基づき、電動モータ1の電気角速度ω1sc1,ω1sc2を算出して電気角速度調整器6に出力する。
図3は、モータ制御器5の構成図である。
モータ制御器5は、ベクトル制御器20、dq/3相座標変換器21、パルス幅変調器22、3相/dq座標変換器23、位相演算器24、電流再現器25を有する。
ベクトル制御器20は、電気角速度調整器6の出力である電気角速度ω1c、3相/dq座標変換器23の出力であるdc−qc軸上の電流Idc,Iqc、及び、トルク指令値τ*を入力し、電動モータ1が電流指令値Iq*に相当するトルクを発生するようにdc−qc軸上の電圧指令値Vd*,Vq*をdq/3相座標変換器21に出力する。
dq/3相座標変換器21は、dc−qc軸上の電圧指令値Vd*,Vq*を回転子位相θdcに基づいて3相交流電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換し、この3相交流電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をパルス幅変調器22に出力する。
パルス幅変調器22は、3相交流電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をインバータ回路2のスイッチング素子をオン/オフさせる信号とするパルス幅変調(PWM)を行い、パルス幅変調(PWM)された指令信号をインバータ回路2に出力し、ステータ1aの3つのコイルに流れる電流を制御する。
電流再現器25は、直流母線電流センサ4が出力する供給電流IDCの信号を受け、PWM信号に応じた電流検出期間での供給電流IDCのサンプリングによってU相,V相,W相の各電流Iuc,Ivc,Iwcを再現し、再現した各相の電流(Iuc,Ivc,Iwc)を3相/dq座標変換器23に出力する。
3相/dq座標変換器23は、3相交流電流Iuc,Ivc,Iwcと回転子位相θdcに基づいて、トルクに寄与する電流Iqc(q軸電流成分)と磁束に寄与する電流Idc(d軸電流成分)をベクトル制御器20に出力する。
位相演算器24は、電気角速度調整器6の出力である電気角速度ω1cから回転子位相θdcを算出し、dq/3相座標変換器21及び3相/dq座標変換器23に出力する。
次に、モータ制御器5の基本動作について説明する。
モータ制御器5は、永久磁石同期電動機のトルクを線形化する手法である公知のベクトル制御によって電動モータ1を駆動制御する。
ここで、d−q軸(実軸)とdc−qc軸(制御軸)とのずれである軸誤差Δθdcをゼロに制御することで、dc−qc軸をd−q軸に一致させることができ、高精度なベクトル制御を実現することができる。
ベクトル制御器20は、トルク指令値τ*に基づき、トルクに寄与する電流指令値Iq*と磁束に寄与する電流指令値Id*を演算する。
なお、電流指令値Id*は、非突極型の永久磁石同期電動機であれば、通常ゼロに設定される一方、突極構造の永久磁石同期電動機である場合や、弱め界磁制御や効率最大化制御が行われる場合においては、電流指令値Id*はゼロ以外に設定される。
3相/dq座標変換器23は、電動モータ1の交流電流検出値である3相交流Iuc,Ivc,Iwcと回転子位相θdcに基づいて、トルクに寄与する電流Iqc(q軸電流成分)と磁束に寄与する電流Idc(d軸電流成分)を求める。
そして、ベクトル制御器20は、トルクに寄与する電流指令値Iq*と磁束に寄与する電流指令値Id*にそれぞれの電流Iqc,Idcが一致するように電流制御を行って、dc−qc軸上の電圧指令値Vd*,Vq*を求める。
dq/3相座標変換器21は、電圧指令値Vd*,Vq*を回転子位相θdcに基づいて3相交流電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。なお、ベクトル制御器20は、dc−qc軸上の電圧指令値Vd*,Vq*を、電流制御の結果とdq軸の干渉項を補償する非干渉制御の結果とを組み合せて演算することができる。
パルス幅変調器22は、3相交流電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づきインバータ回路2のスイッチング素子をオン/オフさせるパルス幅変調制御を行い、3相交流電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に相当する電圧を電動モータ1の各相(U相、V相、W相)に印加する。
そして、モータ制御器5は、電動モータ1の各相への通電を順次切り替えることで各相に電流を供給して、電動モータ1を回転駆動する。
なお、図2のシステム構成では、直流母線電流を検出するが、3相交流電流をそれぞれに検出するシステムとすることができる。
次に、図2に示した電気角速度調整器6を詳細に説明する。
「第1実施形態」
図4は、電気角速度調整器6の第1実施形態を示すブロック図である。
電気角速度調整器6は、加算器601、補正出力制御器602、電気角速度補正演算器603、加減算器604、軸誤差演算器605、指令値出力器606、角速度信号切替器607、及び、センサ状態判断器608を有する。
軸誤差演算器605(第1軸誤差演算部及び第2軸誤差演算部)は、電圧指令値Vd*,Vq*、電気角速度ω1c、電流Iqc,Idcを入力し、実軸(d−q軸)と制御軸(dc−qc軸)とのずれである軸誤差Δθdcを演算する。
つまり、軸誤差演算器605は、モータ電流に基づき推定される誘起電圧の位相である制御位相と、回転位置センサ207の検出出力に基づき求められる実軸位相との差である軸誤差Δθdcを演算する。
ここで、電流再現器25、3相/dq座標変換器23を含むモータ制御器5(制御位相推定部)は、電流値の信号に基づき電動モータ1に発生する誘起電圧の位相である制御位相を推定し、推定結果を電気角速度調整器6に出力する。
加減算器604は、軸誤差演算器605で求められた軸誤差Δθdcと、指令値出力器606から出力される軸誤差Δθdcの指令値(=0)との偏差を演算して、電気角速度補正演算器603に出力する。
電気角速度補正演算器603は、軸誤差演算器605で求められた軸誤差Δθdcが指令値(=0)に一致するように、電気角速度ω1cを補正するための補正量Δω1cを演算する。
つまり、電気角速度補正演算器603は、軸誤差Δθdcがゼロに近づくように電気角速度ω1cを補正するものであり、実軸(d−q軸)と制御軸(dc−qc軸)とのずれが解消されることで、電動モータ1のトルクをトルク指令値τ*に高精度に制御できるようになる。
したがって、パワーステアリング装置200においては、所望のアシストトルクを精度よく発生させることができ、操舵性能を向上させることができる。
加算器601は、回転位置センサ207の出力信号に基づき求められた電気角速度ω1scに、電気角速度補正演算器603が出力する補正量Δω1cを加算し、加算結果を補正後の電気角速度ω1cとしてモータ制御器5及び軸誤差演算器605に出力する。
つまり、電気角速度補正演算器603と加算器601とで、軸誤差Δθdcに基づき電気角速度ω1scを補正する電気角速度補正部(第1電気角速度補正部及び第2電気角速度補正部)が構成され、加算器601からの電気角速度ω1cを受けるモータ制御器5は、電気角速度ω1cに基づき電動モータ1のステータ1aに出力する指令信号を演算する演算部(指令信号演算部)としての機能を備える。
補正出力制御器602は、回転位置センサ207が検出した電気角速度ω1scと閾値ω1sc_th(第1所定速度)との比較結果に基づき、電気角速度補正演算器603からの補正量Δω1cを加算器601に出力するか否か、換言すれば、軸誤差Δθdcの演算結果に基づく電気角速度ω1scの補正処理を実施するか否かを制御する。
詳細には、補正出力制御器602は、電気角速度ω1scが閾値ω1sc_thを下回るとき、補正量Δω1cの加算器601への出力を停止して、軸誤差Δθdcの演算結果に基づく電気角速度ω1scの補正をキャンセルし、軸誤差Δθdcの演算結果に基づく補正が施されていない電気角速度ω1cに基づきモータ制御器5によるベクトル制御を行わせる。
一方、補正出力制御器602は、電気角速度ω1scが閾値ω1sc_th以上であるとき、補正量Δω1cを加算器601に出力して軸誤差Δθdcの演算結果に基づく電気角速度ω1scの補正を行わせ、軸誤差Δθdcの演算結果に基づく補正が施された電気角速度ω1cに基づきモータ制御器5によるベクトル制御を行わせる。
つまり、電気角速度ω1scの閾値ω1sc_thは、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を実施する下限の角速度である。
軸誤差Δθdcの演算精度は電気角速度ω1scが低くなると低下するため、補正出力制御器602は、十分に高い精度で軸誤差Δθdcが演算できる条件であるか否かを電気角速度ω1scと閾値ω1sc_thとの比較に基づき判断する。
そして、補正出力制御器602は、電気角速度ω1scが閾値ω1sc_thを下回るときに、軸誤差Δθdcの演算精度の低下により電気角速度ω1scを正しく補正することができないと判断して、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止させる。
一方、補正出力制御器602は、電気角速度ω1scが閾値ω1sc_th以上であるときに、軸誤差Δθdcの演算精度が十分に高く電気角速度ω1scを正しく補正することができると判断して、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を実施させる。
なお、電気角速度補正演算器603は、補正出力制御器602が軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止させている補正停止状態において補正量Δω1cの訂正動作を停止し、補正出力制御器602が軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を再開させるときに、初期値(=0)に設定された補正量Δω1cの軸誤差Δθdcに基づく訂正動作を開始することができる。
また、電気角速度補正演算器603は、補正出力制御器602が軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止するときに、補正量Δω1cを補正停止前の値に保持し、補正出力制御器602が軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を再開させるときに、それまで保持していた補正量Δω1cの値を初期値として補正量Δω1cの訂正動作を再開することができる。
角速度信号切替器607(電気角速度切替制御部)は、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209についての異常診断の結果に基づいて、第1回転位置センサ208の検出出力に基づく電気角速度ω1sc1と、第2回転位置センサ209の検出出力に基づく電気角速度ω1sc2とのいずれか一方を、加算器601及び補正出力制御器602に出力する。
角速度信号切替器607は、第1回転位置センサ208が正常であれば、第1回転位置センサ208の検出出力に基づく電気角速度ω1sc1を加算器601及び補正出力制御器602に出力する。
一方、角速度信号切替器607は、第1回転位置センサ208に異常が生じ第2回転位置センサ209が正常であれば、電気角速度ω1sc1に代えて、第2回転位置センサ209の検出出力に基づく電気角速度ω1sc2を加算器601及び補正出力制御器602に出力する。
つまり、角速度信号切替器607は、冗長化した回転位置センサ208,209のいずれか1つが故障した場合でも、正常に機能している残りの回転位置センサに切り替えて、電動モータ1を継続的に駆動させる。
したがって、第1回転位置センサ208と第2回転位置センサ209とのいずれか1つが故障した場合でも、パワーステアリング装置200のアシストトルクを発生させることができ、センサ故障によって運転者による操舵負荷が増すことを抑制できる。
また、回転子位置の検出に用いられるセンサが第1回転位置センサ208から第2回転位置センサ209に切り替えられても、第2回転位置センサ209の出力に基づく制御状態で発生する軸誤差Δθdcに応じて電気角速度ω1sc2が補正されるため、第1回転位置センサ208の出力に基づく制御状態と同等の高い精度でベクトル制御(トルク制御)を行わせることができる。
センサ状態判断器608(回転位置センサ状態判断部)は、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209について異常の有無をそれぞれ診断し、診断結果の信号を角速度信号切替器607に出力する。
なお、センサ状態判断器608は、回転位置センサ208,209の異常診断方法として公知の種々の方法を採用でき、例えば、第1回転位置センサ208の検出出力信号と第2回転位置センサ209の検出出力信号とを比較して、異常の有無を診断できる。
以下では、上記構成の電気角速度調整器6の機能を詳細に説明する。
図5は、軸誤差Δθdcを説明するための図である。
図5に示したように、軸誤差Δθdcは、電動モータ1のd−q軸(実軸)から観測したdc−qc軸(制御軸)とのずれ(誤差角)であり、軸誤差演算器605は、数1にしたがって軸誤差Δθdcを演算する。
数1において、R*は巻線抵抗設定値、Lq*はq軸インダクタンス設定値、Vd*,Vq*はdc−qc軸上での電圧指令値、Iqc,Idcはdc−qc軸上での電流値、ω1cは電気角速度である。
なお、数1は、非突極型の永久磁石同期電動機を想定した式であるが、突極型の場合にも、同様の演算式で軸誤差Δθdcを演算できることが知られている。
次に、軸誤差Δθdcが発生した場合の電動モータ1の出力トルクτmについて説明し、軸誤差Δθdcをゼロにする必要性について説明する。
実軸(d−q軸)上における電動モータ1の出力トルクτmは、以下の数2で表すことができる。
数2において、Pmは極対数、Keは誘起電圧定数、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Idは実軸(d−q軸)上でのd軸電流、Iqは実軸(d−q軸)上でのq軸電流である。
また、軸誤差Δθdcが発生しているときの制御軸(dc−qc軸)から実軸(d−q軸)への座標変換行列は、数3になる。
そして、軸誤差Δθdcが発生している状態で電流制御を行うと、実軸(d−q軸)上でのd軸電流Idとq軸電流Iqは、数4のように示すことができる。
したがって、軸誤差Δθdcが発生しているときの電動モータ1の出力トルクτmは、数2に数4を代入した数5によって演算される。
数5から、軸誤差Δθdcが発生すると、電動モータ1の出力トルクτmがトルク指令値τ*と乖離することが分かり、軸誤差Δθdcをゼロに近づけることができれば、トルク指令値τ*に近い出力トルクτmが得られることになる。
電気角速度補正演算器603は、フィードバックによって軸誤差Δθdcを指令値(=0)と比較し、軸誤差Δθdcをゼロに近づけるように、電気角速度ω1cを補正するための補正量Δω1cを訂正するフィードバック制御を行う。
電気角速度補正演算器603は、補正量Δω1cを訂正する制御動作として、比例動作(P動作)と積分動作(I動作)とを組み合わせたPI制御を実施する。
ただし、補正量Δω1cの制御動作をPI制御に限定するものではなく、比例動作(P動作)だけのP制御、或いは、比例動作(P動作)と微分動作(D動作)とを組み合わせたPD制御、比例動作(P動作)、積分動作(I動作)、微分動作(D動作)を組み合わせたPID制御を適用できる。
また、軸誤差演算器605は、軸誤差Δθdcを、電圧指令値Vd*,Vq*、制御軸(dc−qc軸)上での電流Iqc,Idc、及び、電気角速度ω1cに基づき演算するが、軸誤差Δθdcに相当する状態量を求める構成とすることができる。
例えば、磁極位置を推定するために高調波を注入し、磁極位置を推定してから軸誤差Δθdcを求める構成とすることができる。
以下で、電気角速度調整器6の動作を更に具体的に説明する。
例えば、第1回転位置センサ208が正常であると判断され、かつ、閾値ω1sc_th以上の電気角速度ω1cでモータ1が駆動されていると仮定する。
このときに、軸誤差演算器605で求められた軸誤差Δθdcが正の場合、図5に示した関係のように、制御軸(dc−qc軸)が実軸(d−q軸)よりも進んでいることになる。
そこで、電気角速度調整器6は、第1回転位置センサ208の検出出力から算出した電気角速度ω1sc1に補正量Δω1c(Δω1c<0)を加えて電気角速度ω1cを減少補正し、軸誤差Δθdcを減少させる(ゼロに近づける)。
逆に、軸誤差演算器605で求められた軸誤差Δθdcが負の場合、制御軸(dc−qc軸)が実軸(d−q軸)よりも遅れていることになる。
この場合、電気角速度調整器6は、第1回転位置センサ208の検出出力から算出した電気角速度ω1sc1に補正量Δω1c(Δω1c>0)を加えて電気角速度ω1cを増大補正し、軸誤差Δθdcを減少させる(ゼロに近づける)。
以上のように、電気角速度調整器6は、軸誤差Δθdcの検出結果に基づいて補正量Δω1cを変更し、電気角速度ω1cを補正量Δω1cで補正することで軸誤差Δθdcをゼロ付近に収束させる。
これにより、実軸(d−q軸)と制御軸(dc−qc軸)とが略一致したベクトル制御を実現でき、電動モータ1の出力トルクτmをトルク指令値τ*に高精度に制御できる。
また、回転位置センサ207は、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209を備えたデュアルセンサ構成で、この冗長化した回転位置センサ208,209のいずれか1つが故障した場合でも、角速度信号切替器607が正常に機能している残りの回転位置センサに切り替えることで、電動モータ1を継続的に駆動できる。
更に、第1回転位置センサ208が故障し、モータ制御器5が制御に用いる電気角速度ω1cが電気角速度ω1sc1から電気角速度ω1sc2に切り替わったとしても、切り替わり前と同様に、電気角速度ω1cを補正するように電気角速度補正演算器603が動作するので、ベクトル制御に用いる回転位置センサ208,209の切り替え前後で(換言すれば、第1回転位置センサ208の故障発生前後で)、ベクトル制御の制御性能を維持することができる。
したがって、第1回転位置センサ208が故障し、第2回転位置センサ209に切り替えられたときに、運転者が、パワーステアリング装置の操舵力が変化することによる切り替えショックを感じることを抑止できる。
また、電気角速度補正演算器603は、軸誤差Δθdcをゼロに近づけるために補正量Δω1cを訂正するフィードバック制御において、PI制御によって補正量Δω1cを訂正するので、積分動作によってオフセットを除去でき、また、積分ゲインの適合によって高い速応性及び安定性で軸誤差Δθdcをゼロ付近に収束させることができ、係る作用によってもセンサ切り替え時のショックを抑制できる。
更に、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209は、1つのセンサチップパッケージ207A内に一体的に設けられるから、個別のセンサチップパッケージに収容された2つのセンサを備える場合よりも、センサ間の出力特性の差を小さくできる。
また、補正出力制御器602は、軸誤差Δθdcの演算精度が確保できる電気角速度ω1cが閾値ω1sc_thよりも高い領域で、補正量Δω1cによる電気角速度ω1scの補正を実施させるから、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正が高精度に行われ、モータ制御器5は、電動モータ1の出力トルクτmをトルク指令値τ*に高精度に制御できる。
一方、補正出力制御器602は、電気角速度ω1cが閾値ω1sc_thよりも低く軸誤差Δθdcの演算精度が低下するときに、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止するから、誤差を有する軸誤差Δθdcに基づき誤って電気角速度ω1scが補正されて、電動モータ1の出力トルクτmの制御精度を低下させてしまうことを抑止できる。
「第2実施形態」
図4に示した第1実施形態において、電気角速度調整器6の補正出力制御器602は、電気角速度ω1scが1つの閾値ω1sc_thよりも高いか低いかによって補正量Δω1cによる補正を行わせるか否かを切り替える。
この場合、閾値ω1sc_th付近の電気角速度ω1scで電動モータ1が駆動されると、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正状態(補正量Δω1cの出力状態)と、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正停止状態(補正量Δω1cの出力停止状態)とが頻繁に切り替わり、ベクトル制御が不安定になり易い。
そこで、第2実施形態では、補正状態と補正停止状態とが頻繁に切り替わることを、補正状態と補正停止状態との切り替え動作にヒステリシスをもたせることで抑止し、ベクトル制御を安定化させるものである。
そして、補正出力制御器602が、補正/補正停止の切り替え判断に2つの異なる閾値を用いることで、切り替え動作にヒステリシスを有するようにした点が第1実施形態と異なる。
図6は、第2実施形態における電気角速度調整器6の補正出力制御器602Aの構成を示す図である。
図6に示したように、補正出力制御器602Aは、補正状態と補正停止状態との切り替え判断に用いる電気角速度ω1scの閾値として、第1閾値ω1sc_upと、第1閾値ω1sc_upよりも低い第2閾値ω1sc_down(ω1sc_down<ω1sc_up)とを備える。
図7は、補正出力制御器602Aによる切り替え動作を説明するための図である。
補正出力制御器602Aは、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止している状態で、電気角速度ω1scが第1閾値ω1sc_up(第1所定速度)を超えるようになると、軸誤差Δθdcに基づく補正条件の成立を判断して、軸誤差Δθdcに基づき補正量Δω1cを演算して電気角速度ω1scを補正する状態に切り替える。
係る補正状態から、電気角速度ω1scが低下し第1閾値ω1sc_up以下になっても、補正出力制御器602Aは、補正状態(補正量Δω1cの出力状態)を継続し、電気角速度ω1scが第2閾値ω1sc_down(第2所定速度)を下回るようになると、軸誤差Δθdcに基づく補正条件の不成立を判断して、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止させる状態に切り替える。
補正出力制御器602Aは、上記のようにヒステリシス特性を有するから、例えば、軸誤差Δθdcに基づく補正を停止している状態で電気角速度ω1scが第1閾値ω1sc_upを超え、軸誤差Δθdcに基づく補正を実施する状態に切り替わった後、第1閾値ω1sc_up付近の電気角速度ω1scで電動モータ1が駆動されても、軸誤差Δθdcに基づく補正状態に保持されることになる。
同様に、軸誤差Δθdcに基づく補正状態で電気角速度ω1scが第2閾値ω1sc_downを下回るようになって、軸誤差Δθdcに基づく補正が停止される状態に切り替わった後、第2閾値ω1sc_down付近の電気角速度ω1scで電動モータ1が駆動されても、軸誤差Δθdcに基づく補正の停止状態が保持されることになる。
したがって、第2実施形態の補正出力制御器602Aを備える電気角速度調整器6では、補正状態と補正停止状態とが頻繁に切り替わることが抑止され、ベクトル制御が安定化する。
ここで、補正出力制御器602Aは、電気角速度ω1scが第2閾値ω1sc_downを下回るようになって、軸誤差Δθdcに基づく補正を停止させる条件が成立したとき、電気角速度ω1scに加える(加算器601に出力する)補正量Δω1cを、電気角速度補正演算器603による演算値からゼロに向けて漸減させる処理を開始させ、その後、補正量Δω1cがゼロに達した時点で軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を終了させることができる。
つまり、電気角速度ω1scの条件に応じて軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を終了させるときに、加算器601から出力される補正後の電気角速度ω1cがステップ的に変化せずに徐々に変化して補正なしのレベルに収束するように、電気角速度調整器6を構成することができる。
なお、本願における補正量Δω1cの漸減とは、補正量Δω1cをゼロに向けて徐々に変化させることであり、換言すれば、補正量Δω1cの絶対値を徐々に小さくすることである。
このように、補正状態と補正停止状態との切り替え判断にヒステリシス特性をもたせるとともに、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を終了させるときに、電気角速度ω1scに加えられる補正量Δω1cがステップ的にゼロにならずに徐々にゼロにまで変化するようにすれば、ベクトル制御をより安定させることができる。
図8は、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正状態で、電気角速度ω1scが第2閾値ω1sc_downを下回るようになって、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止させるときの補正量Δω1cの変化を示す。
この場合、補正出力制御器602Aは、電気角速度ω1scが第2閾値ω1sc_downを下回るようになって軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を停止する条件の成立(補正条件の不成立)を判断すると、補正量Δω1cを電気角速度補正演算器603による演算値からゼロにまで漸減させる処理を開始し、補正量Δω1cで補正された電気角速度ω1cが徐々に補正なしのレベルにまで変化するようにする。
上記の漸減処理において、補正出力制御器602Aは、加算器601に出力する補正量Δω1cの絶対値を、電気角速度補正演算器603による演算値を初期値として一定速度で減らし、補正量Δω1cがゼロに達した時点で減算処理を停止し、その後は、加算器601に出力する補正量Δω1cを、実質的に補正が実施されないゼロに保持する。
ここで、電気角速度ω1scが第1閾値ω1sc_upを超えるようになって、補正出力制御器602Aが補正量Δω1cの出力を再開させるときに、電気角速度補正演算器603が、補正量Δω1cを軸誤差Δθdcに基づき初期値(=0)から訂正する場合は、補正が開始されるときに補正量Δω1cが初期値(=0)から漸増することになる。
このため、補正開始に伴って加算器601から出力される電気角速度ω1c、つまり、ベクトル制御に用いる電気角速度ω1cがステップ的に変化し、ベクトル制御の安定性が損なわれることが抑止される。
一方、電気角速度補正演算器603が、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正が停止されている状態で、補正停止前の補正量Δω1cを保存し、補正が再開されるときにそれまで保持していた値を初期値として補正量Δω1cの訂正動作を再開する場合、補正出力制御器602Aは、加算器601に出力する補正量Δω1cをゼロから電気角速度補正演算器603の演算値にまで漸増させる処理を実施することができる。
上記の漸増処理において、補正出力制御器602Aは、加算器601に出力する補正量Δω1cをゼロから一定速度で増やし、補正量Δω1cが電気角速度補正演算器603による演算値に達した時点で、電気角速度補正演算器603による演算値をそのまま出力する状態に切り替えることができる。
図9は、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正が停止されている状態で、電気角速度ω1scが第1閾値ω1sc_upを超え、補正出力制御器602Aが軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を開始させるときに、補正量Δω1cが漸増する様子を示す。
この場合、電気角速度ω1scが第1閾値ω1sc_upを超えるようになって、補正出力制御器602Aが、軸誤差Δθdcに基づく電気角速度ω1scの補正を開始する条件を判断すると、加算器601に出力する補正量Δω1cはゼロから漸増し、軸誤差Δθdcに対応するレベルに収束することになる。
「第3実施形態」
図10は、第3実施形態における電気角速度調整器6Aの構成を示すブロック図である。
第1実施形態の回転位置センサ207は、第1回転位置センサ208と第2回転位置センサ209とを有してなる所謂デュアルセンサであるが、図10に示した第3実施形態の回転位置センサ207Bは、例えばレゾルバやエンコーダなどのシングルセンサで構成される。
また、第3実施形態では、回転位置センサ207Bが1つの検出素子を有したシングルセンサであるため、電気角速度調整器6Aは、図4に示した第1実施形態の電気角速度調整器6が備える角速度信号切替器607を備えていない。
このような構成において、回転位置センサ207Bの検出出力が製品ばらつきや温度特性によってばらついても、ベクトル制御に用いる電気角速度ω1cのデータが、電気角速度補正演算器603が軸誤差Δθdcに応じて演算した補正量Δω1cで補正されるため、回転位置センサ207Bの検出結果をそのまま用いるよりも、精度の高いベクトル制御(トルク制御)を実現できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
更に、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、図10に示したシングルセンサである回転位置センサ207Bを備える構成と、図7に示した、補正/補正停止の切り替え動作にヒステリシスを有する補正出力制御器602Aとを組み合わせて電気角速度調整器6を構成することができる。
また、電気角速度ω1cが低い領域でも軸誤差Δθdcを十分な精度で演算できる場合は、補正出力制御器602、602Aを設けずに、補正/補正停止の切り替え処理を省略することができる。
また、電気角速度補正演算器603と加算器601との間に設けた補正出力制御器602、602Aによって、軸誤差Δθdcに基づく補正の実行/停止を切り替える構成に限定されず、結果的に、電気角速度ω1cが低い領域では、軸誤差Δθdcに基づく補正が施されていない電気角速度ω1cに基づきモータ制御(ベクトル制御)が行われ、電気角速度ω1cが高い領域では、軸誤差Δθdcに基づく補正が施された電気角速度ω1cに基づきモータ制御(ベクトル制御)が行われる構成を適宜採用できる。
例えば、図4の電気角速度調整器6においては、軸誤差Δθdcに応じて演算した補正量Δω1cの加算器601への出力/停止を切り替えることで、軸誤差Δθdcに基づく補正の実行/停止を切り替える構成としたが、補正量Δω1cで補正した電気角速度ω1cと補正していない電気角速度ω1scとのいずれか一方を、電気角速度ω1scの大小に応じて選択的に出力させる構成とすることができる。
また、軸誤差Δθdcの指令値(目標値)は、ゼロに限定されず、電気角速度補正演算器603は、軸誤差Δθdcがゼロを含む所定範囲内に収束するように補正量Δω1cを演算することができる。
また、制御装置10は、電気角速度調整器6として、第1回転位置センサ208の出力を用いる第1調整器と、第2回転位置センサ209の出力を用いる第2調整器とを有し、第1回転位置センサ208及び第2回転位置センサ209の故障診断の結果に基づき、2つの調整器のうちの一方の出力を選択し、モータ制御器5(ベクトル制御器20及び位相演算器24)に入力させることができる。
1…電動モータ、1a…ステータ、1b…ロータ、2…インバータ回路、5…モータ制御器、6…電気角速度調整器、7…位相/速度演算器、10A−10C…受信部、207…回転位置センサ、207A…センサチップパッケージ、208…第1回転位置センサ、209…第2回転位置センサ、601…加算器、602…補正出力制御器、603…電気角速度補正演算器、604…加減算器、605…軸誤差演算器、606…指令値出力器、607…角速度信号切替器、608…センサ状態判断器

Claims (8)

  1. 操舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与する電動モータを有するパワーステアリング装置の制御装置において、
    第1実軸位相信号受信部であって、前記電動モータのロータの回転位置を検出する第1回転位置センサの出力信号である第1実軸位相の信号を受信する前記第1実軸位相信号受信部と、
    モータ電流値信号受信部であって、前記電動モータに流れる電流値の信号を受信する前記モータ電流値信号受信部と、
    制御位相推定部であって、前記電流値の信号に基づき前記電動モータに発生する誘起電圧の位相である制御位相を推定する前記制御位相推定部と、
    第1軸誤差演算部であって、前記第1実軸位相と前記制御位相の差である第1軸誤差を演算する前記第1軸誤差演算部と、
    第1電気角速度補正部であって、前記第1軸誤差に基づき、前記第1実軸位相の角速度の信号である第1電気角速度を補正する前記第1電気角速度補正部と、
    指令信号演算部であって、前記第1電気角速度に基づき、前記電動モータのステータに出力する指令信号を演算する前記指令信号演算部と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、第2実軸位相信号受信部と、第2軸誤差演算部と、第2電気角速度補正部と、回転位置センサ状態判断部と、電気角速度切替制御部を備え、
    前記第2実軸位相信号受信部は、前記電動モータの回転位置を検出する第2回転位置センサの出力信号である第2実軸位相の信号を受信するものであり、
    前記第2軸誤差演算部は、前記第2実軸位相と前記制御位相の差である第2軸誤差を演算するものであり、
    前記第2電気角速度補正部は、前記第2軸誤差に基づき、前記第2実軸位相の角速度の信号である第2電気角速度を補正するものであり、
    前記指令信号演算部は、前記第2電気角速度に基づき、前記電動モータの前記ステータに出力する指令信号を演算するものであり、
    前記回転位置センサ状態判断部は、前記第1回転位置センサと前記第2回転位置センサにおける異常の有無を判断するものであり、
    前記電気角速度切替制御部は、前記指令信号演算部が、前記第1電気角速度に基づき前記指令信号を演算している状態であって、前記回転位置センサ状態判断部が前記第1回転位置センサに異常有りと判断するとき、前記指令信号演算部が、前記第2電気角速度に基づき前記指令信号を演算するように切り替えることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  3. 請求項2に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記第1電気角速度補正部は、フィードバック制御であるPI制御により前記第1電気角速度を補正し、
    前記第2電気角速度補正部は、フィードバック制御であるPI制御により前記第2電気角速度を補正することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  4. 請求項2に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記第1回転位置センサは、第1磁気検出素子を有し、
    前記第1磁気検出素子は、前記電動モータの前記ロータに設けられたマグネットの磁界を検出するものであって、センサチップパッケージ内に設けられており、
    前記第2回転位置センサは、第2磁気検出素子を有し、
    前記第2磁気検出素子は、前記電動モータの前記ロータに設けられた前記マグネットの磁界を検出するものであって、前記第1磁気検出素子を収容する前記センサチップパッケージと同じ前記センサチップパッケージ内に収容されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  5. 請求項1に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記指令信号演算部は、前記第1電気角速度が第1所定速度以上のとき、前記第1電気角速度補正部によって補正された前記第1電気角速度に基づき、前記ステータに出力する指令信号を演算することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  6. 請求項5に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記指令信号演算部は、前記第1電気角速度が前記第1所定速度未満のとき、前記第1電気角速度補正部によって補正されていない前記第1電気角速度に基づき、前記ステータに出力される指令信号を演算することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  7. 請求項5に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記第1電気角速度補正部は、前記第1電気角速度が前記第1所定速度以上であって、前記第1軸誤差に基づき前記第1電気角速度を補正している状態から、前記第1電気角速度が前記第1所定速度よりも低下するとき、前記第1電気角速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度に到るまで前記第1電気角速度の補正を継続し、前記第1電気角速度が前記第2所定速度以下となったとき、前記第1電気角速度の補正を終了することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  8. 請求項1に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
    前記第1電気角速度補正部は、前記第1軸誤差に基づく前記第1電気角速度の補正を終了するとき、補正量を漸減後、前記第1電気角速度の補正を終了することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
JP2017174105A 2017-09-11 2017-09-11 パワーステアリング装置の制御装置 Pending JP2019050684A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017174105A JP2019050684A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 パワーステアリング装置の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017174105A JP2019050684A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 パワーステアリング装置の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019050684A true JP2019050684A (ja) 2019-03-28

Family

ID=65905876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017174105A Pending JP2019050684A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 パワーステアリング装置の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019050684A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022044347A1 (ja) 2020-08-28 2022-03-03 三菱電機株式会社 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
WO2024029158A1 (ja) * 2022-08-04 2024-02-08 株式会社日立製作所 交流電動機の制御装置及びこれを備えた電気自動車、並びに電動航空機

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006166677A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Hitachi Ltd 同期モータ駆動装置及び方法
JP2009058291A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Hitachi Ltd 物理量変換センサ及びそれを用いたモータ制御システム
JP2010154588A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Nippon Yusoki Co Ltd 磁束角補正機能付きモータ制御装置
JP2017017786A (ja) * 2015-06-29 2017-01-19 日立オートモティブシステムズ株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置及び電動パワーステアリング装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006166677A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Hitachi Ltd 同期モータ駆動装置及び方法
JP2009058291A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Hitachi Ltd 物理量変換センサ及びそれを用いたモータ制御システム
JP2010154588A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Nippon Yusoki Co Ltd 磁束角補正機能付きモータ制御装置
JP2017017786A (ja) * 2015-06-29 2017-01-19 日立オートモティブシステムズ株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置及び電動パワーステアリング装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022044347A1 (ja) 2020-08-28 2022-03-03 三菱電機株式会社 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP2022039161A (ja) * 2020-08-28 2022-03-10 三菱電機株式会社 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
EP4207580A4 (en) * 2020-08-28 2024-03-06 Mitsubishi Electric Corporation ROTATING ELECTRIC MACHINE CONTROL DEVICE AND ELECTRIC POWER STEERING DEVICE
WO2024029158A1 (ja) * 2022-08-04 2024-02-08 株式会社日立製作所 交流電動機の制御装置及びこれを備えた電気自動車、並びに電動航空機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4881635B2 (ja) 永久磁石モータのベクトル制御装置
EP2110941B1 (en) Motor control apparatus and electric power steering system
US8710775B2 (en) Electric power steering apparatus
US10056854B2 (en) Motor control unit and electric power steering apparatus using the same and vehicle
WO2010001579A1 (ja) モータ制御装置およびそれを備えた車両用操舵装置
US10333440B2 (en) Motor control apparatus and electric power steering system
JP5532295B2 (ja) モータ制御装置および車両用操舵装置
JP5387878B2 (ja) モータ制御装置
JP2008172866A (ja) モータ制御装置および電気式動力舵取装置
EP2899876B1 (en) Inverter control device and inverter control method
JP2009142116A (ja) 永久磁石モータの位置センサレス制御装置
JP5276688B2 (ja) 同期機制御装置
JP4561105B2 (ja) モータ制御装置
JP5406226B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4652176B2 (ja) 永久磁石型回転電機の制御装置
JP5397664B2 (ja) モータ制御装置
JP2007135345A (ja) 磁石モータ制御装置
JP5561515B2 (ja) モータ制御装置
US8129935B2 (en) Motor control device
JP2019050684A (ja) パワーステアリング装置の制御装置
JP4775145B2 (ja) 同期モータ制御装置
JP5141955B2 (ja) モータ制御装置
JP2012235556A (ja) モータ制御装置
JP2009081915A (ja) モータ制御装置
JP7317250B2 (ja) 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211026