JP5425962B2 - 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法 - Google Patents

加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5425962B2
JP5425962B2 JP2012085582A JP2012085582A JP5425962B2 JP 5425962 B2 JP5425962 B2 JP 5425962B2 JP 2012085582 A JP2012085582 A JP 2012085582A JP 2012085582 A JP2012085582 A JP 2012085582A JP 5425962 B2 JP5425962 B2 JP 5425962B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
silver particles
paste
acid
carboxylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012085582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013216919A (ja
Inventor
実 一色
涼子 増田
靖啓 小林
英知 浅見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Handa Co Ltd
Original Assignee
Nihon Handa Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Handa Co Ltd filed Critical Nihon Handa Co Ltd
Priority to JP2012085582A priority Critical patent/JP5425962B2/ja
Publication of JP2013216919A publication Critical patent/JP2013216919A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5425962B2 publication Critical patent/JP5425962B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Description

本発明は、低級の多価カルボン酸またはその誘導体により被覆された加熱焼結性銀粒子の製造方法;低級の多価カルボン酸またはその誘導体により被覆された加熱焼結性銀粒子と高誘電率の揮発性分散媒からなり、加熱により焼結して優れた強度と電気伝導性と熱伝導性を有する固形状銀となるペースト状銀粒子組成物;該ペースト状銀粒子組成物からの固形状銀の製造方法;該ペースト状銀粒子組成物を使用しての金属製部材の接合方法;該ペースト状銀粒子組成物を使用してのプリント配線板の製造方法;および該ペースト状銀粒子組成物を使用しての電気回路接続用バンプの製造方法に関する。
銀粉末を熱硬化性樹脂組成物中に分散させてなる導電性ペーストは、加熱により硬化して導電性被膜が形成されるので、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極、特にアモルファスシリコン半導体を用いた高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に使用されている。
近年チップ部品の高性能化によりチップ部品からの発熱量が増え、電気伝導性はもとより、熱伝導性の向上が要求されるので、銀粒子の含有率を可能な限り増加して電気伝導性、熱伝導性を向上しようとすると、ペーストの粘度が上昇し、作業性が著しく低下するという問題がある。
このような問題を解決するため、本発明者らは、銀粉末と揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物は加熱すると該揮発性分散媒が揮発し銀粉末が焼結して、極めて高い導電性と熱伝導性を有する固形状銀となり、金属製部材の接合や、導電回路の形成に有用なことを見出して国際出願した(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、電子機器、電子部品、チップ部品等およびこれらを構成する材料の耐熱性の制約から、低温度、例えば200℃以下の温度でペースト状組成物が焼結し、かつ、基材への接着性を有することを求められる場合が増えてきている。
しかし、特に低温度で焼結した場合に硬化性および接着性の発現が十分ではなく、この原因として銀粒子の凝集防止の目的で用いられている高級脂肪酸、高級脂肪酸塩等の銀粒子の被覆剤に問題があることに気がついた。そこで、これらの高級脂肪酸、高級脂肪酸塩を、より低級の脂肪酸やより低級の脂肪酸塩に置換して、低温度で焼結が可能な加熱焼結性銀粒子を製造する方法、該加熱焼結性銀粒子と揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物、該ペースト状銀粒子組成物を加熱して、該揮発性分散媒が揮発し銀粉末が焼結して、極めて高い導電性と熱伝導性を有する固形状銀となり、金属製部材の接合や、導電回路の形成に有用なことを見いだして特許出願した(特許文献3)。
しかし、該加熱焼結性銀粒子と揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物を金属製部材の接合に使用した場合に接着強度が不十分であるという問題がある。
ペースト状銀粒子組成物に使用される銀は微細粒子であるため、銀粒子同士の凝集を防ぐためその表面は有機物で被覆されている。特許文献4では、銀粉末の凝集を防止するために、銀粉末生成過程で高級脂肪酸を共存させることにより高級脂肪酸で被覆された銀粉末を製造している。具体的には硝酸銀水溶液にホルマリン、水酸化ナトリウム等の還元剤とステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸を添加して攪拌した後、これらの高級脂肪酸で被覆された銀粉末を分離している。
しかし、該銀粒子は、低温度での焼結では除去しにくい高級脂肪酸で被覆されているため、該銀粒子と揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物を金属製部材の接合に使用した場合に接着強度が不十分であるという問題がある。
特許文献5では、酸化銀を還元して銀粒子を製造する際に高級脂肪酸塩(例、オレイン酸ナトリウム)を共存させることにより高級脂肪酸塩で被覆された銀粒子を製造しており、製造した高級脂肪酸塩被覆銀粒子をボールミルによりフレーク化している。
特許文献6では、銀粒子をボールミルによりフレーク化する際に界面活性剤(例、ジオレイン酸ポリエチレングリコール)および/または高級脂肪酸(例、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸)を添加している。
しかし、該フレーク状銀粒子は低温度で除去しにくい高級脂肪酸でおよび/または高級脂肪酸塩で被覆されているため、該銀粒子と揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物を金属製部材の接合に使用した場合に接着強度が不十分であるという問題がある。
特許文献7には、「多価カルボン酸(例、アジピン酸、コハク酸、ジグリコール酸、グルタル酸またはマレイン酸)を材料銀粉に対して0.01質量%〜0.5質量%被覆させた粒状銀粉」、「溶媒に溶解させた状態で多価カルボン酸を材料銀粉に対して0.01質量%〜0.5質量%添加させ、多価カルボン酸を添加させた材料銀粉を粉砕・解砕機で粉砕・解砕しながら混合させて前記多価カルボン酸を前記材料銀粉に被覆させ、前記溶媒を除去して粒状銀粉を得る、粒状銀粉の製造方法」および「該粒状銀粉を含有する樹脂硬化性導電性ペースト」が開示されている。材料銀粉は湿式還元法により製造した銀粉のみ説明されている。しかしながら、湿式還元法による製造過程において生成した銀粉は、その表面を脂肪酸で即刻に被覆しないと、粒径の大きな銀粉が多量の生成し、得られた銀粉の粒度分布が不安定となり、銀粉の収率が低下するという問題がある。更に、上記の製造方法では粒径の微小な銀粉を製造することが困難であるという問題がある。また、多価カルボン酸が0.5質量%を超えると、樹脂硬化性導電性ペーストの導電性が低下する問題がある。また、該樹脂硬化性導電性ペーストの硬化物の体積抵抗率は1×10−5Ω・cmを越えており、導電性が低いという問題がある。
特許文献8には、窒素環境下においても実用性を有した接合強度を発揮する接合体を形成可能にするため、平均一次粒子径が1〜200nmであって炭素数8以下の有機物質(例、ヘキサン酸、ヘプタン酸、アジピン酸、ソルビン酸、マロン酸)で被覆されている銀ナノ粒子、カルボキシル基を2つ以上有するフラックス成分(例、オキシジ酢酸)および分散媒からなる接合材が開示されている。しかし、溶剤を含むペースト状の該接合材に、単にカルボキシル基を2つ以上有するフラックス成分を含有させただけでは、もともと該銀ナノ粒子の表面を被覆している有機物質が該接合材中に残存してしまうため、低温度での焼結による接合が充分ではないという問題がある。
国際公開第2006/126614号 国際公開第2007/034833号 特開2009−289745号公報 特開昭54−121270号公報 特開2001-49309号公報 特開2003−55701号公報 特開2011−140714号公報 特開2011−240406号公報
本発明者らは、上記問題のない銀ペースト、すなわち、比較的低温度で焼結し、かつ、接着強さ、硬さ、電気伝導性および熱伝導性が優れた固形状銀となる、ペースト状銀粒子組成物を開発すべく鋭意研究した結果、1価の脂肪酸若しくはその誘導体で被覆された銀粒子の該脂肪酸若しくはその誘導体を、より低級の炭素原子数2〜4の多価カルボン酸に置換することが有効なことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、加熱すると銀粒子が比較的低温度で容易に焼結して接着強さ、硬さ、電気伝導性および熱伝導性が優れた固形状銀となる加熱焼結性銀粒子の製造方法;加熱すると銀粒子が比較的低温度で容易に焼結して接着強さ、硬さ、電気伝導性および熱伝導性が優れた固形状銀となるペースト状銀粒子組成物;ペースト状銀粒子組成物から強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀を製造する方法;該ペースト状銀粒子組成物を使用して金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合する方法;基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を有するプリント配線板を製造する方法;および、電気伝導性と熱伝導性が優れた電気回路接続用バンプを製造する方法を提供することにある。
この目的は、
「[1] 平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[1-1] 該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)が、該1価脂肪酸(a1)の塩、エステルまたはアミドであることを特徴とする、[1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[1-1-1] 塩が、金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩であることを特徴とする、[1-1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[1-2] 該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)が、該カルボン酸(b1)の非金属塩、エステル、アミドまたは無水物であることを特徴とする、[1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[1-2-1] 非金属塩が、アンモニウム塩またはアミン塩であることを特徴とする、[1-2]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[2] 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)のアンモニウム塩により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、[1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[3] 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸のアルカリ金属塩(a2)で被覆された銀粒子の該アルカリ金属塩(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、[1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[4] 多価カルボン酸(b1)が2価脂肪族カルボン酸であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[5] 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、[1]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[5-1] 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、[2]〜[4]のいずれかに記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。」により達成される。
この目的は、
「[6] (A)平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換した銀粒子と、(B)誘電率が20〜90の揮発性分散媒とからなり、加熱により該揮発性分散媒が揮散し該銀粒子同士が焼結することを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物。
[6-1] 該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)が、該1価脂肪酸(a1)の塩、エステルまたはアミドであることを特徴とする、[6]に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
[6-1-1] 塩が、金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩であることを特徴とする、[6-1]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[6-2] 該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)が、該カルボン酸(b1)の非金属塩、エステル、アミドまたは無水物であることを特徴とする、[6]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[6-2-1] 非金属塩が、アンモニウム塩またはアミン塩であることを特徴とする、[6-2]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[7] 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)のアンモニウム塩により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、[6]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[8] 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸のアルカリ金属塩(a2)で被覆された銀粒子の該アルカリ金属塩(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、[6]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[9] 多価カルボン酸(b1)が2価脂肪族カルボン酸であることを特徴とする、[6]〜[8]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物。
[10] 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、[6]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[10-1] 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、[7]〜[9]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物。」により達成される。
この目的は、
「[11] [6]〜[9]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物を70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させて該銀粒子同士を焼結し、焼結後の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が50W/m・K以上となることを特徴とする、固形状銀の製造方法。
[11-1] [10]に記載のペースト状銀粒子組成物を70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させて該銀粒子同士を焼結し、焼結後の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が50W/m・K以上となることを特徴とする、固形状銀の製造方法。」により達成される。
この目的は、
「[12] [6]〜[9]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材の接合方法。
[12-1] [10]に記載のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材の接合方法。
[13] 金属製部材が金属製基板または電子部品の金属部分であることを特徴とする、[12]に記載の金属製部材の接合方法。」により達成される。
この目的は、
「[14] [6]〜[9]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物を、接着剤が塗布された基板上に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、接着剤上に銀配線を形成することを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
[14-1] [10]に記載のペースト状銀粒子組成物を、接着剤が塗布された基板上に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、接着剤上に銀配線を形成することを特徴とする、プリント配線板の製造方法。」により達成される。
この目的は、
「[15] [6]〜[9]のいずれかに記載のペースト状銀粒子組成物を、半導体素子上の電気回路接続用パッド部または基板上の電気回路接続用電極部にドット状に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、半導体素子上または基板上に銀製バンプを形成することを特徴とする、電気回路接続用バンプの製造方法。
[15-1] [[10]に記載のペースト状銀粒子組成物を、半導体素子上の電気回路接続用パッド部または基板上の電気回路接続用電極部にドット状に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、半導体素子上または基板上に銀製バンプを形成することを特徴とする、電気回路接続用バンプの製造方法。」により達成される。
本発明の加熱焼結性銀粒子の製造方法によると、比較的低温度での加熱により、特には70℃以上300℃以下での加熱により、銀粒子(A)同士が焼結して接着強さと硬さと電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀となる銀粒子を容易に製造することができる。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、揮発性分散媒(B)が揮散し、特には70℃以上300℃以下での加熱により、銀粒子(A)同士が焼結して接着強さと硬さと電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀となる。
本発明の固形状銀の製造方法によると、比較的低温度での加熱により揮発性分散媒(B)が揮散し、特には70℃以上300℃以下での加熱により、銀粒子(A)同士が焼結して接着強さと硬さと電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀を製造することができる。
本発明の金属製部材の接合方法によると、比較的低温度での加熱により、特には70℃以上300℃以下での加熱により、揮発性分散媒(B)が揮散し銀粒子(A)同士が焼結して複数の金属製部材同士を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合させることができる。
本発明のプリント配線板の製造方法によると、比較的低温度での加熱により、特には70℃以上300℃以下での加熱により、揮発性分散媒(B)が揮散し銀粒子(A)同士が焼結して耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を有するプリント配線板を製造することができる。また、前記接合方法によりチップ等を該プリント配線板に搭載することにより、回路板を製造することができる。
本発明の電気回路接続用バンプの製造方法によると、半導体素子上または基板上に電気伝導性と熱伝導性が優れた銀製バンプを効率よく簡易に形成することができる。
実施例1における、置換前の銀粒子についての大気中における示差熱分析(昇温速度10℃/分)チャートである。 実施例1における、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析(昇温速度10℃/分)チャートである。 実施例6における、置換前の銀粒子についての大気中における示差熱分析(昇温速度10℃/分)チャートである。 実施例6における、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析(昇温速度10℃/分)チャートである。 実施例における接着強さ測定用試験体Aの平面図である。銀基板1上にペースト状銀粒子組成物2をメタルマスクで印刷塗布し、銀チップ3を搭載後、加熱して銀基板1と銀チップ3を接合させて接着強さを測定するものである。 図5におけるX-X線方向の側面図である。
本発明の加熱焼結性銀粒子の製造方法は、平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、示差熱分析において、初期の銀粒子の焼結による発熱ピークが検出されなくなるまで置換することを特徴とする。置換の結果、表面が炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該多価カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により被覆された加熱焼結性銀粒子が製造される。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、(A)平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、示差熱分析において、初期の銀粒子の焼結による発熱ピークが検出されなくなるまで置換された銀粒子と、(B)誘電率が20〜90の揮発性分散媒とからなり、加熱により該揮発性分散媒が揮散し該銀粒子同士が焼結するペースト状銀粒子組成物であることを特徴とする。
平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の脂肪酸(a1)または脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子における銀粒子の形状は、球状,針状,角状,樹枝状,繊維状,フレーク状(片状),粒状,不規則形状,涙滴状が例示され(JIS Z2500:2000参照)、さらには楕円球状,海綿状,ぶどう状,紡錘状,略立方体状,六角板状,柱状,棒状,多孔状,塊状,けい角状,丸み状が例示されるが、製造容易性、調達容易性の点で、球状、粒状およびフレーク状であることが好ましい。
ここで言う球状とは、ほぼ球に近い形状である(JIS Z2500:2000参照)。必ずしも真球状である必要はなく、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(球状係数あるいは真球度と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあるものが好ましい。
粒状とは、不規則形状のものではなくほぼ等しい寸法をもつ形状である(JIS Z2500:2000参照)。
フレーク状(片状)とは、板のような形状であり(JIS Z2500:2000参照)、鱗のように薄い板状であることから鱗片状とも言われるものである。
ここで言うフレーク状の銀粒子のアスペクト比は、[粒子の平面方向の平均長さ(μm)]/[粒子の平均厚さ(μm)]の値であって、2〜200の範囲にあるものが好ましく、5〜50の範囲であることがより好ましい。アスペクト比の算出において平面方向の平均長さの値は、例えば、走査型電子顕微鏡により倍率1000〜10000倍程度で観察し、その観察像の中にある20個以上の銀粒子の平面方向の長さを測定して、その平均値として得ることができる。また、平均厚さの値は、例えば、フレーク状の銀粒子をエポキシ樹脂等の硬化性樹脂で固めた試料を製造し、その試料の断面を走査型電子顕微鏡により倍率5000〜20000倍程度で観察して、その観察像の中にある20個以上の銀粒子の厚さを測定して、その平均値として得ることができる。いずれの形状であっても粒度分布は限定されない。
本発明の加熱焼結性銀粒子の製造方法における、表面が炭素原子数5〜24の脂肪酸(a1)または脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の平均粒径は、加熱焼結性の点で0.01μm〜20μmである。
この平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる一次粒子の平均粒径(メディアン径D50)である。平均粒径が20μmを越えると銀粒子同士の焼結性が低くなり、優れた強度と電気伝導性、熱伝導性、接着性を得にくい。そのため平均粒子径は20μm以下が好ましく、10μm以下であることがより好ましい。また、0.01μm未満の場合、銀粒子の表面活性が強すぎてペースト状銀粒子組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.01μm以上であることが好ましい。なお、メディアン径D50は、レーザー回折法50%粒径と称されたり(特開2003−55701参照)、体積累積粒径D50と称されてもいる(特開2007−84860参照)。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、金属粒子にレーザービームを照射し、その金属粒子の大きさに応じて様々な方向へ発せられる回折光や散乱光のレーザー光の強度を測定することにより一次粒子の粒径を求めるという汎用の測定方法である。数多くの測定装置が市販されており(例えば、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD、日機装株式会社製レーザー回折散乱式粒度分布測定装置マイクロトラック)、これらを用いて容易に平均粒径(メディアン径D50)を測定することができる。なお金属粒子の凝集が強い場合には、ホモジナイザーにより一次粒子の状態に分散してから測定することが好ましい。
銀粒子の製法は、特に限定されず、還元法・粉砕法・電解法・アトマイズ法・熱処理法・それらの組合せによる製法が例示されるが、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)による置換効果の点で、特に還元法であることが好ましい。
銀粒子の表面を予め被覆している炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)は、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
銀粒子の表面を予め被覆している炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)中の炭素原子数5〜24の脂肪酸(a1)は、銀粒子の平均粒径が0.1μm未満では炭素原子数5〜16の1価脂肪酸が好適であり、銀粒子の平均粒径が0.1μm以上では炭素原子数17〜24の1価脂肪酸が好適である。
炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)の誘導体(a2)は、該1価脂肪酸の塩が好ましく、金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が例示される。その他に該1価脂肪酸のエステル、該1価脂肪酸のアミドが例示される。
該1価脂肪酸金属塩の金属塩として、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩)、アルミニウム塩、遷移金属塩が例示されるが、アルカリ金属塩が好ましい。該1価脂肪酸のアミン塩のアミンとして、1級アルキルアミン(例えば、エチルアミン、プロピルアミン)、1級フェニルアミン、2級アルキルアミン(例えば、ジエチルアミン)、3級アルキルアミンが例示される。これらアルキルアミンの炭素原子数は1〜6が好ましい。該1価脂肪酸のエステルとして、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、フェニルエステルが例示される。これらアルキルエステルのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。該1価脂肪酸アミドのアミドとして、単なるアミド、N-アルキルアミド(例えば、N-エチルアミド)、N,N’-ジアルキルアミド(例えば、N,N’-ジエチルアミド)、N-フェニルアミドが例示される。これらアルキルアミドのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。
銀粒子表面を予め被覆している1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を置換するための炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)は、2価カルボン酸が好ましく、ついで3価カルボン酸が好ましい。そのようなカルボン酸として、多価脂肪族カルボン酸が好ましく、特には2価脂肪族カルボン酸が好ましく、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)が例示される。なお、銀表面がこれらの多価脂肪酸(b1)により被覆された銀粒子は通常、親水性を示す。
表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を置換するための、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)の誘導体(b2)は、置換効果の点で該カルボン酸の非金属塩が好ましく、非金属塩としてアンモニウム塩、アミン塩が例示される。
さらには、該カルボン酸のエステル、アミド、無水物が例示される。該カルボン酸のアミン塩のアミンとして、1級アルキルアミン(例えば、エチルアミン、プロピルアミン)、1級フェニルアミン、2級アルキルアミン(例えば、ジエチルアミン)、3級アルキルアミンが例示される。これらアルキルアミンのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。
表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、示差熱分析において、初期の銀粒子の焼結による発熱ピークが検出されなくなるまで置換することにより加熱焼結性銀粒子が製造される。
置換方法は、特に限定されず、例えば、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)の液中に浸漬するという方法がある。この際、液を攪拌機、振とう機、超音波振動機等により攪拌あるいは振とうしてもよい。
この際、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)が常温で固体の場合は、水または低級アルコールに溶解するか、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の有機溶剤に溶解して使用することが好ましい。炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)と、水、低級アルコールまたは有機溶剤の混合比率は、炭素原子数2〜24の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)を溶解さえできればよく、特に限定されない。
上記浸漬時の温度は、特に限定されないが、銀粒子同士の凝集を抑制するため、常温以下であることが好ましい。浸漬時間は、銀粒子表面を被覆していた炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を除去するのに十分な時間であればよく、特に限定されない。ついで、上記浸漬液または混合物を濾過するなどにより、銀粒子を分離する。
このようにして分離した銀粒子は、表面が炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により被覆されているが、過剰の、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)が付着している場合は、銀粒子の安定性の向上のため、こうした過剰物を除去することが好ましい。また、予め銀粒子表面を被覆していた炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)も残存していることがあり、該銀粒子の低温度での焼結性の向上のため、これらも除去することが好ましい。
そのためには、分離した銀粒子を水、揮発性有機溶剤、あるいは水と揮発性有機溶剤により洗浄することが好ましく、そのための有機溶剤として、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフランが例示される。これらの有機溶剤は沸点が低く、揮発性が高いため、常温における風乾や減圧乾燥により、容易に除去できるからである。また、銀粒子が還元法で製造されたものである場合は、銀粒子に付着していた有機系還元剤もあわせて除去されるという利点がある。
かくして得られた銀粒子表面を被覆している、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)の量は、銀粒子の焼結性と焼結してできた固形状銀の強度と電気伝導性と熱伝導性の点で、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、特には、0.1〜2.5質量%であることが好ましい。
銀粒子を被覆している炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)の量は通常の方法で測定できる。炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子を空気気流中で500℃に加熱して、銀粒子に付着している炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)を酸化分解、揮発、あるいは燃焼により除去して重量減少を測定するという熱重量分析が例示される。別の方法として、銀粒子を酸素気流中で加熱して銀粒子に付着している炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)中の炭素を炭酸ガスに変えて赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法が例示される。これらの場合、銀粒子表面や銀粒子中の有機系還元剤との合計量が定量されるが、有機還元剤の残留量はごく微量なので、無視することができる。
表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子は、銀粒子表面が酸化されていてもよい。しかし、酸化銀の割合が高いと加熱時に多量の酸素が発生し、焼結してできた固形状銀中にボイドが発生する原因となる恐れがあるため、表面が酸化銀である割合は銀粒子の全表面の50%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、更には2%以下が好ましい。特にメモリやCPUのような大型チップ接続のため比較的大きな接合面積で半密閉系となるダイボンド剤のような使用例では、酸化銀の存在はボイド発生により接着強さの低下の原因となるので、10%以下が好ましい。
なお、無処理の銀粒子を炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で直接処理すると銀粒子が凝集するので、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子粉末を製造することができない。
炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子は、加熱焼結性が高いため、ペースト状銀組成物とするまでは、できるだけ熱を加えないほうが良い。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、(A)平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、示差熱分析において、初期の銀粒子の焼結による発熱ピークが検出されなくなるまで置換した銀粒子と、(B)誘電率が20〜90の揮発性分散媒とからなり、加熱により該揮発性分散媒が揮散し該銀粒子同士が焼結することを特徴とする。このペースト状銀粒子組成物は、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子(A)と誘電率が20〜90の揮発性分散媒(B)との混合物であり、粉末状の銀粒子(A)が揮発性分散媒(B)の作用によりペースト化している。ペースト化することによりシリンダーやノズルから細い線状に吐出でき、またメタルマスクによる塗布が容易であり、電極の形状に適用しやすくなる。なお、ペースト状は、クリーム状やスラリー状を含むものである。
誘電率が20〜90の揮発性分散媒を使用するのは、該揮発性分散媒と炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子を混合して本発明のペースト状銀粒子組成物を製造したときに、該銀粒子が分散しやすく凝集を防ぐ効果があるためである。揮発性分散媒は、より好ましくは誘電率が30〜80である。なお、誘電率は常温で測定した値である。
非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒を使用するのは、加熱により銀粒子(A)が焼結する際に分散媒が前もって揮散すると銀粒子(A)が焼結しやすく、その結果固形状銀の強度と電気伝導性や熱伝導性が大きくなりやすいからである。揮発性分散媒は、銀粒子(A)表面を変質させず、その沸点は60℃以上であり、300℃以下であることが好ましい。沸点が60℃未満であるとペースト状銀粒子組成物を調製する作業中に溶媒が揮散しやすく、沸点が300℃より大であると、銀粒子(A)が焼結後も揮発性分散媒が残留しかねないからである。
そのような揮発性分散媒(B)として、水、ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール系溶剤、ジメチルスルホキシド等の含イオウ系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エーテル結合を有するアルキルアミド等のアミド系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、テトラメチル尿素等の尿素系溶剤などが例示されるが、ジメチルスルホキシド、エーテル結合を有するアルキルアミドが好ましい。なお、揮発性分散媒(B)は2種類以上を併用しても良く、また、併用した揮発性分散媒(B)の誘電率が20〜90の範囲であれば、誘電率が20未満の揮発性分散媒または誘電率が90を越える揮発性分散媒を用いても良い。
揮発性分散媒(B)の配合量は、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子(A)をペースト状にするのに十分な量でよく、目安として加熱焼結性である銀粒子(A)100質量部あたり、5〜20質量部であり、好ましくは6〜14質量部である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、本発明の目的に反せず効果を損なわない限り加熱焼結性である銀粒子(A)以外の還元銀、アトマイズ銀、銀コロイド、銀合金、表面銀コート粉、金,銅,スズ,ハンダ合金等の金属系または非金属系の粉体、金属化合物や金属錯体、銀粒子や粉体の分散性向上剤(分散剤)、チクソ剤、安定剤、着色剤等の添加物を含有しても良い。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱することにより揮発性分散媒(B)が揮散し、加熱焼結性である銀粒子(A)同士が焼結することにより強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状の銀となり、かつ、接触している基板等に接着性を発現する。この際、揮発性分散媒(B)が揮散し、ついで加熱焼結性である銀粒子(A)同士が焼結してもよく、揮発性分散媒の揮散と共に加熱焼結性である銀粒子(A)が焼結してもよい。銀は本来大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有するため、本発明の該銀粒子同士の焼結物も大きな強度ときわめて高い電気伝導性と熱伝導性を有する。この際の加熱温度は、揮発性分散媒が揮散し、銀粒子(A)が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上である。しかし、400℃を越えると揮発性分散媒(B)が突沸的に蒸発して固形状銀の形状に悪影響が出る恐れがあるため、400℃以下であることが必要であり、好ましくは220℃以下であり、より好ましく180℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下である。
炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子(A)が焼結してできた固形状銀の電気伝導性は、体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であることがより好ましく、熱伝導性が50W/m・K以上であることが好ましい。加熱焼結性である銀粒子(A)が焼結してできた固形状銀の形状は特に限定されず、シート状、フィルム状、テープ状、線状、円盤状、ブロック状、スポット状、不定形状が例示される。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、70℃以上300℃以下で加熱すると揮発性分散媒(B)が揮散し加熱焼結性である銀粒子(A)が焼結することにより、強度と電気伝導性、熱伝導性が優れ、接触していた金属製部材、例えば金基板、金メッキ基板、銀基板、銀メッキ金属基板、銅基板、パラジウム基板、パラジウムメッキ金属基板、プラチナ基板、プラチナメッキ金属基板、アルミニウム基板、ニッケルメッキ基板、スズメッキ金属基板等の金属系基板ないし金属製基板、電気絶縁性基板上の電極等金属部分への接着性を有する固形状銀となるので、金属系基板や金属部分を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の接合に有用である。そのような接合として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;ダイオード、トランジスタ、メモリ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合;高発熱の半導体チップと冷却板との接合が例示される。
本発明のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、複数の金属製部材同士を強固に接合させることができる。
本発明のペースト状銀粒子組成物を加熱して生成した銀粒子(A)の焼結物の洗浄は不要であるが、水や有機溶媒で洗浄してもよい。特に揮発性分散媒(B)が親水性溶剤である場合は水で洗浄することができ、アルコール等の有機溶媒による洗浄の場合のようなVOC発生の問題がない。本発明のペースト状銀粒子組成物の各成分は不純物が少ないため洗浄が容易である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱すると揮発性分散媒(B)が揮散し、加熱焼結性である銀粒子(A)同士が焼結することにより大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有する固形状の銀となる。したがって、硬化性接着剤、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤を塗布したプリント配線用基板、あるいはプライマー組成物を塗布し、ついで硬化性接着剤を塗布したプリント配線用基板に、該接着剤が硬化する前に、該ペースト状銀粒子組成物を塗布して70℃以上300℃以下で加熱することにより、耐摩耗性と基板への接着性に優れた銀配線を形成することができる。かくして、プリント配線板を製造することができる。
本発明のペースト状銀粒子組成物を適用する方法は特に制限されず、ディスペンシング、印刷(例えばスクリーン印刷)、メタルマスク塗布、噴霧、はけ塗り等がある。また、チップ等を該プリント配線板に搭載することにより、回路板を製造することができる。
加熱温度は、揮発性分散媒(B)が揮散し、銀粒子(A)が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上である。しかし、300℃を越えると揮発性分散媒(B)が突沸的に蒸発して固形状銀の形状に悪影響が出る恐れがあるため、300℃以下であることが必要であり、好ましくは220℃以下であり、より好ましく180℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱すると揮発性分散媒(B)が揮散し、銀粒子(A)同士が焼結することにより大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有する固形状の銀となる。したがって、該ペースト状銀粒子組成物を、半導体素子上の電気回路接続用パッド部または基板上の電気回路接続用端部にドット状に塗布して加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子(A)同士を焼結して、半導体素子上または基板上に銀製バンプを形成することができる。かくして電気回路接続用のバンプを製造することができる。
ここで、半導体素子として、ダイオード、トランジスタ、メモリ、CPUが例示される。
該ペースト状銀粒子組成物をドット状に塗布する方法として、滴下、ディスペンシング、印刷(例えばスクリーン印刷)、メタルマスク塗布が例示される。
加熱温度は、揮発性分散媒(B)が揮散し、銀粒子(A)が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上である。しかし、300℃を越えると揮発性分散媒(B)が突沸的に蒸発して固形状銀の形状に悪影響が出る恐れがあるため、300℃以下であることが必要であり、好ましくは220℃以下であり、より好ましく180℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、揮発性分散媒(B)を含有するので、密閉容器に保存することが好ましい。長期間保存後に使用するときは、容器を振とうしてから、あるいは容器内を攪拌してから使用することが好ましい。保存安定性を向上する目的で冷蔵保管をしても良く、保管温度として10℃以下が例示されるが、密閉容器内では揮発性分散媒(B)が凝固しない温度であることが好ましい。密閉容器にシリンジを使用した場合は、ディスペンサーを用いて微少量の吐出ができる。
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味する。フレーク状の銀粒子のアスペクト比、置換前と置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析(DTA)、置換後の銀粒子表面の被覆剤{炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)}の量、ペースト状銀粒子組成物を加熱して焼結することにより生成した固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率および熱伝導率は、下記の方法により25℃で測定した。
[フレーク状の銀粒子のアスペクト比]
フレーク状の銀粒子を走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で観察し、その観察像の中にある20個の銀粒子の平面方向の長径および短径を測定して、その平均値を平面平均粒径とし、また、フレーク状の銀粒子の厚さの平均値を測定して、その平均厚さとした。そして、[平面平均粒径(μm)]/[平均厚さ(μm)]によりアスペクト比を算出した。
[置換前と置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析(DTA)]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、大気中で置換前と置換後の銀粒子を昇温速度10℃/分にて室温(約25℃)から400℃まで昇温してDTA曲線をとった。
[置換後の銀表面の被覆剤量]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、大気中で置換前と置換後の銀粒子を昇温速度10℃/分にて室温(約25℃)から400℃まで昇温して、初期からの減量率を被覆剤量として算出した。
[硬さ]
幅50mm×長さ50mm×厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する500μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布し、180℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱してフィルム状の銀とした。フィルム状の銀についてJIS Z 2244に準じた方法により硬さを測定した。
[接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)1上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いてペースト状銀粒子組成物を塗布し、その上に幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)3を搭載後、180℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱して接合した。かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ3の側面を接着強さ試験機により押厚速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さとした。なお、該試験体4個を測定し、その平均値を接着強さとした。
[体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する500μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布し、180℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱してフィルム状の銀とした。フィルム状の銀についてJIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
[熱伝導率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布し、180℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱して板状の銀とした。板状の銀について熱定数測定装置を用いたレーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/mK)を測定した。
[参考例]
表面を被覆している炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)で置換した銀粒子(A)を製造する方法は、次のとおりである。
ビーカに、炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)で被覆された銀粒子100部と、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1){25℃で液体の場合はそのまま用いた。25℃で固体の場合はエタノール(関東化学株式会社製の試薬)により30質量%の溶液にして用いた}100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)、またはそれらのエタノール溶液)をできるだけ取り除いてから、エタノール(関東化学株式会社製の試薬)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に銀粒子を洗浄した。これを3回繰返してから銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[実施例1]
参考例の製造方法において、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子(平均粒径が2μmであり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が20であり、有機物量(注:オレイン酸と微量の有機系還元剤の合計量である)が0.6質量%である)と、炭素原子数3で2価のカルボン酸であるマロン酸(関東化学株式会社製の試薬)を用いて、銀粒子の表面を被覆しているオレイン酸(炭素原子数18)をマロン酸に置換した銀粒子(A)を得た。
オレイン酸がマロン酸に置換されたことを確認するため、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行ない、置換前については図1に、置換後については図2に分析結果を示した。図1によると、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは242.7℃である(234.5℃のピークは、オレイン酸の熱分解によるピークである)。図2によると、置換後の銀粒子(A)の焼結による発熱ピークは205.0℃であり、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピーク(242.7℃)は検出されていないことがわかった。したがって、オレイン酸はマロン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子(A)表面の被覆剤量は、0.2質量%であった。
この銀粒子(A)50部に、誘電率が49であるジメチルスルホキシド(関東化学株式会社製の試薬)3.5部を添加し、へらを用いて均一になるまで混合することによりペースト状銀粒子組成物を調製した。このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例2]
実施例1において、マロン酸の代わりに炭素原子数4で2価のカルボン酸であるコハク酸(関東化学株式会社製の試薬)を用いた以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
オレイン酸がコハク酸に置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子(A)では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、オレイン酸はコハク酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子(A)表面の被覆剤量は、0.2質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例3]
実施例1において、ジメチルスルホキシドの代わりに、誘電率が37であるアセトニトリル(関東化学株式会社製の試薬)を使用した以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例4]
実施例1において、ジメチルスルホキシドの代わりに、誘電率が80である蒸留水(関東化学株式会社製の試薬)を使用した以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例5]
実施例1において、マロン酸の代わりに、炭素原子数2で2価のカルボン酸のシュウ酸塩であるシュウ酸アンモニウム(関東化学株式会社製の試薬)を用いた以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
オレイン酸がシュウ酸アンモニウムに置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子(A)では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、オレイン酸はシュウ酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀表面の被覆剤量は、0.1質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表2にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例6]
参考例の製造方法において、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数6の1価飽和脂肪酸であるヘキサン酸で被覆された略球状の銀粒子(レーザー回折法により得られる1次粒子の平均粒径(メディアン径D50)が0.02μmであり、有機物量(注:ヘキサン酸と微量の有機系還元剤の合計量である)が3質量%である)と、炭素原子数3で2価のカルボン酸であるマロン酸(関東化学株式会社製の試薬)を用いて、銀粒子の表面を被覆しているヘキサン酸(炭素原子数6)をマロン酸に置換した銀粒子(A)を得た。
ヘキサン酸がマロン酸に置換されたことを確認するため、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行ない、置換前については図3に、置換後については図4に分析結果を示した。図3によると、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは252.7℃である(145.2℃のピークは、ヘキサン酸の熱分解によるピークである)。図4によると、置換後の銀粒子(A)の焼結による発熱ピークは194.7℃であり(137.5℃のピークは、マロン酸の熱分解によるピークである)、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピーク(252.7℃)は検出されていないことがわかった。したがって、ヘキサン酸はマロン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子(A)表面の被覆剤量は、1.5質量%であった。
この銀粒子(A)50部に、誘電率が49であるジメチルスルホキシド(関東化学株式会社製の試薬)12部を添加し、へらを用いて均一になるまで混合することによりペースト状銀粒子組成物を調製した。このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表2にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例7]
実施例1において、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子の代わりに、市販の還元法で製造され、表面が、炭素原子数18の1価飽和脂肪酸であるステアリン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子を用いた以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
ステアリン酸がマロン酸に置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子(A)では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、ステアリン酸はマロン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子(A)表面の被覆剤量は、0.3質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表2にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[実施例8]
実施例7において、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子の代わりに、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価飽和脂肪酸であるオレイン酸のカリウム塩で被覆されたフレーク状の銀粒子を用いた以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
オレイン酸カリウムがマロン酸に置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子(A)では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、オレイン酸カリウムはマロン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子(A)表面の被覆剤量は、0.3質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表2にまとめて示した。硬さ測定に使用したフィルム状銀は、固体状であるに十分な硬さを有していた。以上の結果より、このペースト状銀粒子組成物が、強固な固形状銀を製造するのに有用なこと、金属製部材を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接合するのに有用なこと、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀配線を形成するのに有用なこと、および半導体素子上または基板上に銀バンプを形成するのに有用なことがわかった。
[比較例1]
実施例1において、参考例の製造方法を使用せず、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子をそのまま使用した以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表3にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[比較例2]
実施例1において、マロン酸の代わりに炭素原子数6で2価のカルボン酸であるアジピン酸(関東化学株式会社製の試薬)を用いた以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
オレイン酸がアジピン酸に置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、オレイン酸はアジピン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀表面の被覆剤量は、0.3質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表3にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[比較例3]
実施例1において、参考例の製造方法を用いず、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18で1価脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子に、炭素原子数3で2価のカルボン酸であるマロン酸(関東化学株式会社製の試薬)を、銀粒子に対して0.5質量%となる量を添加した以外は実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表3にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[比較例4]
実施例1において、ジメチルスルホキシドの代わりに、誘電率が15であるシクロヘキサノール(関東化学株式会社製の試薬)を使用した以外は同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。オレイン酸がマロン酸に置換された銀粒子は、シクロヘキサノール中での分散性が低下してやや凝集していた。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れが認められた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表3にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[比較例5]
実施例6において、参考例の製造方法を使用せず、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数6の1価脂肪酸であるヘキサン酸で被覆された略球状の銀粒子をそのまま使用した以外は実施例6と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表4にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[比較例6]
実施例6において、マロン酸の代わりに炭素原子数4で1価のカルボン酸であるブタン酸(関東化学株式会社製の試薬)を用いた以外は実施例6と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
ヘキサン酸がブタン酸に置換されたことを確認するため、実施例1と同様に、置換前と置換後の銀粒子について大気中における示差熱分析を行なった。置換後の銀粒子では、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークは検出されていないことがわかった。したがって、ヘキサン酸はブタン酸に置換されたことが確認できた。また、置換後の銀粒子表面の被覆剤量は、1.2質量%であった。
このペースト状銀粒子組成物は、銀粒子が凝集しており、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れがあり、良好な形状に塗布できなかった。このため、ペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率の測定はできなかった。
[比較例7]
比較例1において、参考例の製造方法を使用せず、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子の代わりに、市販の還元法で製造され、表面が炭素原子数18の1価飽和脂肪酸であるステアリン酸で被覆されたフレーク状の銀粒子をそのまま使用した以外は比較例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物は、メタルマスクでの塗布においてダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。このペースト状銀粒子組成物について加熱焼結物である固形状銀の硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表4にまとめて示した。硬さ、接着強さ、体積抵抗率、熱伝導率のいずれも不十分であった。
[実施例9]
厚さが1.2mmのFRP(ガラス繊維強化エポキシ樹脂)板上に、エポキシ樹脂接着剤(住友スリーエム株式会社製、商品名SW2214)を、幅1mm×長さ50mmの開口部を有する50μm厚のメタルマスクを用いて塗布し、塗布したエポキシ樹脂接着剤に重ねて実施例1のペースト状銀粒子組成物を同様に印刷塗布した。このFRP板を150℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱してエポキシ樹脂接着剤を硬化させ、銀粒子を焼結した。
このプリント配線板上の幅1mm、長さ50mm、厚さ50μmの銀製配線回路について長さ方向の体積抵抗率を測定したところ、9×10-6Ω・cmであり、実用上十分な導電性を有していた。
[比較例8]
実施例9において、実施例1のペースト状銀粒子組成物の代わりに比較例2のペースト状銀粒子組成物を用いた以外は同様にして、幅1mm、長さ50mm、厚さ50μmのエポキシ樹脂製配線回路を作製した。実施例4と同様に、幅1mm、長さ50mm、厚さ50μmのエポキシ樹脂製配線回路について長さ方向の体積抵抗率を測定したところ、3×10-5Ω・cm以上であり、導電性は低かった。
[実施例10]
厚さが1.2mmのFRP板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂)上に形成された銅製配線回路(幅1mm、長さ50mm、厚さ30μm)の表面を金メッキした電気回路の両端部に、縦1mm、横1mm、厚さ100μmの開口部を有するメタルマスクを用いて実施例1のペースト状銀粒子組成物をドット状に印刷塗布した。このFRP板を150℃の強制循環式オーブン内で2時間加熱して銀粒子を焼結することにより、電気回路接続用バンプを製造した。
この電気回路の両端部に形成した電気回路接続用バンプ間の電気抵抗を測定したところ、0.05Ω未満であり、実用上十分な導電性を有していた。
Figure 0005425962
Figure 0005425962
Figure 0005425962
Figure 0005425962
本発明の製造方法で製造される加熱焼結性銀粒子は、ペースト状銀粒子組成物の主原料として有用である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、固形状銀の製造や金属製部材の接合に有用である。
本発明の固形状銀の製造方法および金属製部材の接合方法は、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接合、太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成、プリント回路基板上の導電性回路の形成等に有用である。
本発明の配線板の製造方法は、銀配線を有するプリント配線板を効率よく製造するのに有用である。
本発明の電気回路接続用バンプの製造方法は、半導体素子または基板上に銀製バンプを効率よく製造するのに有用である。
A 接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状銀粒子組成物(加熱して焼結後は固体状銀)
3 銀チップ

Claims (15)

  1. 平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、加熱焼結性銀粒子の製造方法。
  2. 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)のアンモニウム塩により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、請求項1に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
  3. 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸のアルカリ金属塩(a2)で被覆された銀粒子の該アルカリ金属塩(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、請求項1に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
  4. 多価カルボン酸(b1)が2価脂肪族カルボン酸であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
  5. 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、請求項1記載の加熱焼結性銀粒子の製造方法。
  6. (A)平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm〜20μmであり、表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)または該脂肪酸(a1)の誘導体(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)の誘導体(b2)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換した銀粒子と、(B)誘電率が20〜90の揮発性分散媒とからなり、加熱により該揮発性分散媒が揮散し該銀粒子同士が焼結することを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物。
  7. 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸(a1)で被覆された銀粒子の該脂肪酸(a1)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)または該カルボン酸(b1)のアンモニウム塩により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、請求項6に記載のペースト状銀粒子組成物。
  8. 表面が炭素原子数5〜24の1価脂肪酸のアルカリ金属塩(a2)で被覆された銀粒子の該アルカリ金属塩(a2)を、炭素原子数2〜4の多価カルボン酸(b1)により、完全に置換することによって、置換後の銀粒子についての大気中における示差熱分析チャートにおいて、置換前の銀粒子の焼結による発熱ピークが消失するまで置換することを特徴とする、請求項6に記載のペースト状銀粒子組成物。
  9. 多価カルボン酸(b1)が2価脂肪族カルボン酸であることを特徴とする、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のペースト状銀粒子組成物。
  10. 銀粒子の形状が球状、粒状またはフレーク状であることを特徴とする、請求項6記載のペースト状銀粒子組成物。
  11. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のペースト状銀粒子組成物を70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させて該銀粒子同士を焼結し、焼結後の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が50W/m・K以上となることを特徴とする、固形状銀の製造方法。
  12. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材の接合方法。
  13. 金属製部材が金属製基板または電子部品の金属部分であることを特徴とする、請求項12記載の金属製部材の接合方法。
  14. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のペースト状銀粒子組成物を、接着剤が塗布された基板上に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、接着剤上に銀配線を形成することを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
  15. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のペースト状銀粒子組成物を、半導体素子上の電気回路接続用パッド部または基板上の電気回路接続用電極部にドット状に塗布し、70℃以上300℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、半導体素子上または基板上に銀製バンプを形成することを特徴とする、電気回路接続用バンプの製造方法。
JP2012085582A 2012-04-04 2012-04-04 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法 Active JP5425962B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012085582A JP5425962B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012085582A JP5425962B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013216919A JP2013216919A (ja) 2013-10-24
JP5425962B2 true JP5425962B2 (ja) 2014-02-26

Family

ID=49589375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012085582A Active JP5425962B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5425962B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10000670B2 (en) 2012-07-30 2018-06-19 Henkel IP & Holding GmbH Silver sintering compositions with fluxing or reducing agents for metal adhesion
JP2014047415A (ja) * 2012-09-03 2014-03-17 Dowa Electronics Materials Co Ltd 導電膜形成用銀粉、導電性ペーストおよび導電膜の形成方法
JP6412401B2 (ja) * 2014-10-23 2018-10-24 Dowaエレクトロニクス株式会社 金属粉末およびその製造方法
JP6857125B2 (ja) 2014-12-26 2021-04-14 ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンHenkel AG & Co. KGaA 焼結性接合材料およびそれを用いた半導体装置
EP3238239A4 (en) 2014-12-26 2018-07-25 Henkel AG & Co. KGaA Sinterable bonding material and semiconductor device using the same
KR102360575B1 (ko) 2015-05-08 2022-02-09 헨켈 아이피 앤드 홀딩 게엠베하 소결성 필름 및 페이스트, 및 그의 사용 방법
JPWO2017006531A1 (ja) * 2015-07-08 2017-07-20 バンドー化学株式会社 接合用組成物及び接合方法
CN109313955B (zh) * 2016-04-28 2020-06-09 夏普株式会社 导电膏、电极连接结构及电极连接结构的制造方法
JP6267836B1 (ja) * 2016-08-10 2018-01-24 バンドー化学株式会社 金属銀微粒子の製造方法
WO2018030174A1 (ja) * 2016-08-10 2018-02-15 バンドー化学株式会社 金属銀微粒子の製造方法
CN111344813B (zh) * 2017-11-13 2023-02-28 日东电工株式会社 烧结接合用组合物、烧结接合用片、及带烧结接合用片的切割带

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5007020B2 (ja) * 2004-12-20 2012-08-22 株式会社アルバック 金属薄膜の形成方法及び金属薄膜
US7919015B2 (en) * 2006-10-05 2011-04-05 Xerox Corporation Silver-containing nanoparticles with replacement stabilizer
JP5441550B2 (ja) * 2009-07-30 2014-03-12 Dowaエレクトロニクス株式会社 金属ナノ粒子分散液
JP5486868B2 (ja) * 2009-08-06 2014-05-07 Dowaエレクトロニクス株式会社 金属ナノ粒子分散液および金属ナノ粒子分散液の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013216919A (ja) 2013-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5425962B2 (ja) 加熱焼結性銀粒子の製造方法、ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法
JP4470193B2 (ja) 加熱焼結性銀粒子の製造方法、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法
JP5558547B2 (ja) ペースト状金属微粒子組成物、固形状金属または固形状金属合金の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法
JP4353380B2 (ja) ペースト状銀粒子組成物、固形状銀の製造方法、固形状銀、接合方法およびプリント配線板の製造方法
JP4870223B1 (ja) ペースト状銀粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体
JP5509283B2 (ja) 加熱焼結性金属微粒子の製造方法、ペースト状金属微粒子組成物、固形状金属または固形状金属合金の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法
JP4795483B1 (ja) 金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体
JP4247801B2 (ja) ペースト状金属粒子組成物および接合方法
JP5301385B2 (ja) 金属製部材用接合剤、金属製部材接合体の製造方法、金属製部材接合体および電気回路接続用バンプの製造方法
JP4347381B2 (ja) 金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法および金属系被着体の接着方法
JP4685145B2 (ja) 金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体
JP5011225B2 (ja) 金属製部材用接合剤、金属製部材接合体の製造方法、金属製部材接合体、および電気回路接続用バンプの製造方法
WO2009122467A1 (ja) 金属製部材の接合方法、金属製部材接合体、および、電気回路接続用バンプの製造方法
JP4633857B1 (ja) 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法、加熱焼結性金属ペーストの製造方法、および金属製部材接合体の製造方法
JP6118489B2 (ja) ペースト状金属粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および多孔質金属粒子焼結物の製造方法
JP2010053377A (ja) 金属製部材の接合方法および金属製部材接合体の製造方法
JP2010248617A (ja) 多孔質銀製シート、金属製部材接合体の製造方法、金属製部材接合体、電気回路接続用バンプの製造方法および電気回路接続用バンプ
JP5908571B1 (ja) ペースト状金属粒子組成物、接合方法および電子装置
JP2012218020A (ja) 接合方法
JP6210562B2 (ja) 発光ダイオード装置の製造方法
JP6556302B1 (ja) ペースト状銀粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および多孔質の銀粒子焼結物と樹脂硬化物の複合物の製造方法
WO2019142633A1 (ja) 接合用組成物
JP6624620B1 (ja) ペースト状銀粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5425962

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250