JP5424328B2 - 機械部品、及び時計 - Google Patents
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Description
また、ツメは摺動部分を有するため、硬い材料で形成することが求められるが、一方、アンクルには軽量であることが求められるため、アンクルとツメを別材料で形成して接合する方法が採用されていた。
しかし、セラック・ボンドは、ムーブメントの洗浄に用いられる化学物質に敏感であり、ムーブメントの洗浄により生じたセラック・ボンドの粒子が脱進機に影響し、正常な動作を妨げることがあった。また、セラック・ボンドは天然物質なので品質の耐久性に難点を有していた。また、セラック・ボンドを用いてツメをアンクルに固定するには、熟練した作業が必要とされていた。
そこで、セラック・ボンドを使用しないツメとアンクルとの接合方法として、形状記憶合金を用いた方法(例えば、特許文献1参照)、あるいはツメとなる人工ルビーなどの周りを電鋳で固めた方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2の方法でも、平坦な領域でツメとアンクルとが接合しているため外れやすく、しっかりとズレを防止するためには更に接着剤などで固定する必要があった。
請求項2に記載の発明では、前記第1の部材は長手方向に交差する面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を有し、前記第2の部材は前記長手方向に交差する面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部に噛み合う形で密着接合することを特徴とする請求項1に記載の機械部品を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記第1の部材は、シリコンからなる請求項1又は請求項2に記載の機械部品を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記第1の部材の少なくともがんぎ車との接触部分に硬化膜を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機械部品を提供する。
請求項5に記載の発明では、前記第1の部材の厚さよりも前記第2の部材の厚さが薄い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の機械部品を提供する。
請求項6に記載の発明では、請求項1から請求項5のいずれか1つの請求項に記載の機械部品を有する時計を提供する。
本実施形態の時計用部品では、アンクルに固定されるツメに少なくとも1つの凸部又は凹部を設け、この凸部又は凹部に噛み合うようにアンクルのウデを密着接合させる。すなわち、ツメの凸部にウデの凹部が噛み合うように密着接合させ、又は、ツメの凹部にウデの凸部が噛み合うように密着接合させる。
ツメの凸部又は凹部により形成される面と、これに噛み合うように密着接合したウデの面とによって、面と平行な方向以外の方向に対する衝撃に対して、ツメがウデからずれたり傾いたりすることが防止される。
すなわち、ツメの厚さ方向に沿った溝(凸凹202)が長手方向に複数形成され、また、ツメの長手方向に沿った溝(凸凹201)が厚さ方向に複数段形成されている。
なお、ツメの厚さ方向は、アンクルの動作面と垂直な方向で、がんぎ車の軸方向と一致する。
ツメに形成した長手方向に沿った溝210は、がんぎ車の歯と噛み合うツメの先端部にも形成している。これにより、がんぎ車との摺動部分の接触面積が減少して抵抗を減らすと共に、保油性を高めることができる。
また、ツメとアンクルとを噛み合うように密着接合して連続した工程で形成し、ツメとアンクルとの位置整合精度を向上させた。
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態の構造を有するツメ101及びアンクル102の斜視図である。
図1(a)に示すように、アンクル102は、ツメ101と反対方向に伸びたサオ103、ツメ101を保持するウデ104からなり、ウデ104の先端部に一定の角度で内側を向いてツメ101が噛み合うように密着接合している。
図2(a)に示すように、ツメ101の側面には、長手方向に交差する面に対向する面を備えた複数の凸凹202(以下、厚さ方向の凸凹202とする)があり、ギザギザ状の形状をもって、アンクル102と噛み合うように密着接合している。
この図2(b)に示すように、本実施形態では後述する、フォトレジストの露光現像によりツメ101の厚さ方向から見た面の形状を形成するので、厚さ方向の凸凹202の形状は、自由に形成することができる。
このように、ツメ101とアンクル102が複数の凸凹部を介して互いに噛み合うように密着接合しているため、ツメ101の長手方向に垂直な向きの力、及びツメ101の長手方向に水平な向きの力がかかっても、これらに対抗してツメ101のアンクル102からのズレを防止することが可能である。
図3(a)に示すように、ツメ101には、厚さ方向の凸凹202があり、ギザギザ状の形状をしている。また、長手方向の凸凹201があり、スジ状の形状をしている。ここではツメ101の全周に渡り、長手方向の凸凹201がある例を示している。
ギザギザ状の厚さ方向の凸凹202及びスジ状の長手方向の凸凹201を有する部分でアンクル102と噛み合うように密着接合する。
このため、水平、あるいは垂直を含むあらゆる方向からの衝撃を受けてもツメ101がアンクル102から外れたり、ずれたりすることがない。
なお、図3(b)においては、細かく解りにくくなるため、ツメ101の厚さ方向の凸凹202と長手方向の凸凹201などの図示は省略した図とした。
図4(a)〜図5(k)は、第1の実施形態の時計用部品を製造する工程を示す模式的断面図、図4(l)〜図5(n)は、第1の実施形態の製造工程中要所における平面図である。
次に、図4(b)に示すようにシリコンデバイス形成層303上に第1のフォトレジスト304を塗布する。
後にツメ101となるシリコンデバイス形成層303上の第1のフォトレジスト304は、後にアンクル102と噛み合うように密着接合する領域に、ツメ101の長手方向に交差する面に対向する面を備えた複数の凸凹202を有する形状をもつ。
シリコンデバイス形成層303からなり、ツメ101の長手方向に平行な面に対向する面を備えた複数の凸凹201及び後にアンクル102と噛み合うように密着接合する部分にツメ101の長手方向に交差する面に対向する面を備えた複数の凸凹、すなわち厚さ方向の凸凹202を有したツメ101となる。
次に、図5(g)に示すように、第2のフォトレジスト404を電極401と埋め込み酸化膜302上に塗布する。このとき、第2のフォトレジスト404の厚さは、ツメ101の高さとほぼ同程度であることが望ましい。
次に、図5(i)に示すように、露出した電極401をベースに電鋳工程を行い、電鋳物501を成長させる。電鋳物はニッケル、銅、コバルト、金などの金属材料や、Ni−W、Ni−Bなどの合金、あるいはNi-Al2O3、Ni-SiCなどの複合物であっても良い。なお、電鋳工程については、後に図19を用いて更に詳しく説明する。
次に図5(k)に示すように、第2のフォトレジスト404、電極401、埋め込み酸化膜302、及びシリコン基板301などの不要部を除去する。
これによって、ツメ101とアンクル102が噛み合うように密着接合した時計用部品が完成する。
電鋳物501からなるサオ103やウデ104、によって構成されるアンクル102のウデ104の先端に噛み合うように密着接合して、シリコンからなるツメ101が形成されている。
ギザギザ状のツメ101の厚さ方向の凸凹202と長手方向の凸凹201を有する部分でアンクル102と噛み合うように密着接合しているため、水平、あるいは垂直を含むあらゆる方向からの衝撃を受けてもツメ101がアンクル102から外れたり、ずれたりすることがない。
図6(a)〜図6(g)を用いて、図4(d)で示した、ツメ101の形成工程を詳細に説明する。
次に、図6(b)に示すように、第1のフォトレジスト304をマスクにして等方性エッチングにより、シリコンデバイス形成層303を所定の深さエッチングする。一回のエッチング深さT1を制御することにより、横方向の掘れ量が変り、後に完成するスジ状の長手方向の凸凹201の大きさを変えることが可能である。
次に、図6(d)に示すように、エッチング底面に形成された保護膜305のみを異方性エッチングによって除去し、側面の保護膜305は残した状態であらためてシリコンデバイス形成層303をエッチング底面に露出させる。
この際、側面は保護膜305に覆われているためエッチングされず、底面側のみ等方的にエッチングが進行する。
SOI基板310の埋め込み酸化膜302に到達するまで、図6(b)から図6(d)の工程を繰り返し行うことによって、図6(f)に示すように側面に複数の凸凹状の形状をもつシリコンデバイス形成層303が形成される。
図7(a)〜図8(k)は、第2の実施形態の時計用部品を製造する工程を示す模式的断面図、図7(l)、(m)、図8(n)は、第2の実施形態の製造工程中要所における平面図である。
第1の実施形態と異なる点は、SOI基板310に代えて、図7(a)に示したように、シリコン基板301上にメタル層601を有し、メタル層601上に、シリコンデバイス形成層303を有するS−M−S基板320、あるいは図7(k)に示すようなメタル層601上に、シリコンデバイス形成層303を有するS−M基板330を準備した点である。
図7(b)〜図7(d)に示す工程は、先に図6(a)〜図6(g)で詳細に説明したとおりである。この工程によって、ツメ101の長手方向の凸凹201が形成される。
次に図7(e)に示すように、第1のフォトレジスト304を除去してツメ101が完成する。この状態を上方から見た平面図を図7(m)に示す。
図4、図5に示した第1の実施形態の場合と異なり、電鋳形成用のベースとなる電極の役目は、メタル層601によって担われるため、第2の実施形態では、図5(f)に示した電極401の形成工程を省略することができる。
サオ103やウデ104、からなるアンクル102のウデ104の先端に噛み合う形で密着接合したツメ101が形成されている。
第1の実施形態と同様に、ギザギザ状の厚さ方向の凸凹202と、ツメ101の長手方向の凸凹201を有する部分でアンクル102と噛み合うように密着接合しているため、水平、あるいは垂直を含むあらゆる方向からの衝撃を受けてもツメ101がアンクル102から外れたり、ずれたりすることがない。
図9(a)は、ツメ101の第3の実施形態を示す平面図、図9(b)は、ツメ101の第3の実施形態を示す側面図である。
図9(a)に示すように、ツメ101は上方から見ると、アンクル102と噛み合うように密着接合する部分に厚さ方向の凸凹202が形成されている。また、図9(b)に示すように、厚さ方向の凸凹202の部分にのみ長手方向の凸凹201が形成されている。
図9(a)及び図9(b)に示した第3の実施形態では、長手方向の凸凹201が、アンクルと噛み合う形で密着接合する厚さ方向の凸凹202にのみ形成される場合を示しており、アンクル102からツメ101が抜け落ちないようにするためには、少なくとも厚さ方向の凸凹202に、長手方向の凸凹201が形成されていれば良いことを示している。
図10(a)は、ツメ101の第4の実施形態を示す平面図、図10(b)は、ツメ101の第4の実施形態を示す側面図である。
図10(a)に示すように、ツメ101は上方から見ると、アンクル102と噛み合うように密着接合する部分に厚さ方向の凸凹202が形成されている。また、図10(b)に示すように、厚さ方向の凸凹202にのみ長手方向の凸凹201が形成されており、厚さ方向の凸凹202以外の領域にはDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701が形成されている。
図11(a)〜図11(f)は、第3の実施形態に示した厚さ方向の凸凹202のみに長手方向の凸凹201を有するツメ101を形成する工程を示す模式的断面図、図11(g)〜図11(i)は、第3の実施形態に示した厚さ方向の凸凹202のみに長手方向の凸凹201を有するツメ101を形成する工程の要所における平面図である。
図11(a)及び図11(b)は、保護膜305の作成工程を示す図であり、図11(a)は厚さ方向の凸凹202を、図11(b)は厚さ方向の凸凹202以外の領域を示す模式的断面図である。図11(a)に示すように厚さ方向の凸凹202には保護膜305が形成されており、図11(b)に示すように厚さ方向の凸凹202以外の領域には保護膜305は形成されていない。
図11(g)はこのときの上方から見た平面図である。
図11(c)に示すように厚さ方向の凸凹202には保護膜305が形成されており、アニール工程を経ても形状の変化はない。
一方、図11(d)に示すように厚さ方向の凸凹202以外の領域には保護膜305は形成されておらず、900度C〜1400度Cの高温のアニール工程によりシリコン原子の自己拡散が起き、表面が平坦化されて長手方向の凸凹201が無くなっている。
図11(e)及び図11(f)は、保護膜305を除去した工程を示す図であり、図11(e)は厚さ方向の凸凹202を、図11(f)は厚さ方向の凸凹202以外の領域を示す模式的断面図である。図11(e)に示すように厚さ方向の凸凹202には長手方向の凸凹201が残り、一方、図11(f)に示すように厚さ方向の凸凹202以外の領域の表面は平坦化されて長手方向の凸凹201が無くなっている。図11(i)はこのときの上方から見た平面図である。
アンクル102からツメ101が抜け落ちないようにするためには、厚さ方向の凸凹202に、長手方向の凸凹201が形成されていれば良いという第3の実施形態を示している。
図12(a)は、ツメ101の第5の実施形態を示す平面図、図12(b)は、ツメ101の第5の実施形態を示す側面図である。
図12(a)に示すように、ツメ101は上方から見ると、アンクル102と噛み合う形で密着接合する部分に厚さ方向の凸凹202が形成されている。また、図12(b)に示すように、長手方向の凸凹201が形成され、ツメ101全体はDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701で覆われている。
ここで、ツメ101はシリコンで形成されているため、硬化膜701を形成するための高温(例えば1000度C以上)に耐えることができる。
図13(a)は、ツメ101の第6の実施形態を示す平面図、図13(b)は、ツメ101の第6の実施形態を示す側面図である。
図13(a)に示すように、ツメ101は上方から見ると、アンクル102と噛み合う形で密着接合する部分に厚さ方向の凸凹202が形成されている。また、図13(b)に示すように、長手方向の凸凹201が形成され、厚さ方向の凸凹202以外の領域のみがDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701で覆われている。
ここで、ツメ101はシリコンで形成されているため、硬化膜701を形成するための高温(例えば1000度C以上)に耐えることができる。
図14(a)〜図15(g)は、第6の実施形態に示した、厚さ方向の凸凹202以外の領域のみがDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701で覆われているツメ101を形成する工程を示す模式的断面図、図14(h)〜図15(k)は、第6の実施形態に示した厚さ方向の凸凹202以外の領域のみがDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701で覆われているツメ101を形成する工程の要所における平面図である。
図14(b)及び図14(c)は、保護膜305の作成工程を示す図であり、図14(b)は厚さ方向の凸凹202を、図14(c)は厚さ方向の凸凹202以外の領域を示す模式的断面図である。図14(b)に示すように厚さ方向の凸凹202には保護膜305が形成されており、図14(c)に示すように厚さ方向の凸凹202以外の領域には保護膜305は形成されていない。図14(i)はこのときの上方から見た平面図である。
図15(d)及び図15(e)は、アニール工程後の硬化膜701の形成工程を示す図であり、図15(d)は厚さ方向の凸凹202を、図15(e)は厚さ方向の凸凹202以外の領域を示す模式的断面図である。
図15(j)はこのときの上方から見た平面図である。
図15(f)及び図15(g)は、保護膜305を除去した工程を示す図であり、図15(f)は厚さ方向の凸凹202を、図15(g)は厚さ方向の凸凹202以外の領域を示す模式的断面図である。
図示は省略するが、図15(g)に示した第6の実施形態の保護膜305を除去する工程の後、図5(f)〜図5(k)に示した工程と同様の工程を経ることで、厚さ方向の凸凹202以外の領域のみがDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどからなる硬化膜701で覆われているツメ101と噛み合う形で密着接合したアンクルを形成することができる。
図16(a)〜図17(l)は、第7の実施形態の時計用部品を製造する工程を示す模式的断面図、図16(m)(n)、図17(o)は、第7の実施形態の製造工程中要所における平面図である。
図16(a)〜図16(e)に示した工程は、図4(a)〜図4(e)に示した第1の実施形態と同様の工程であるので、同一の符号を付記して説明に代える。
次に、図17(g)に示すように、ツメ101に隣接する第2のフォトレジスト404上に電極401を形成する。電極401はクロム、金、銅、チタンなどの導電性の金属材料からなる。
続いて、図17(i)に示すように、後にアンクル102が形成される部分に第3のフォトレジスト504が残らないように、第3のフォトレジスト504を露光現像する。
この後の電鋳工程は、図5(i)〜図5(j)に示した第1の実施形態と同様なので、同一の符号を付記して説明に代える。
これによって、ツメ101とアンクル102が噛み合う形で密着接合した時計用部品が完成する。図17(l)に示したように、電鋳物501よりなるアンクル102の厚さは、ツメ101の厚さに比べて薄くなっている。
サオ103やウデ104、からなるアンクル102のウデ104の先端に噛み合う形で密着接合してツメ101が形成されており、第7の実施形態ではアンクル102の厚さがツメ101の厚さに比べて薄くなっていることが特徴である。
ここで、アンクル102の厚さ、及びツメ101の厚さとは、図17(l)に示したアンクル102とツメ101の断面図の縦方向の長さを示し、厚さ方向とは、図17(o)に示した平面図における紙面に対して垂直の方向に見た方向を言う。
アンクル102の厚さをツメ101の厚さに比べて薄くしたことにより、摺動部分となるツメ101の強度を十分保ちながら、一方でアンクル102の軽量化を図ることができる。
図18(g)〜図18(k)は、第8の実施形態の時計用部品を製造する工程を示す模式的断面図、図18(l)は、図18(k)に示した工程終了後の平面図である。
第8の実施形態は、アンクル102に軽量化のための抜き部712が形成されていることが特徴である。
図4(a)〜図5(n)に示した第1の実施形態と異なる点は、図18(h)に示すように、後にアンクル102が形成される部分に第2のフォトレジストが残らないように、第2のフォトレジスト404を露光現像する際に、アンクル102の軽量化を図るため、アンクル102の適当な部分に抜き部712を形成するように、第2のフォトレジスト404の一部として、抜き部用レジスト711を残すようにする点である。
その他の点は、図4(a)〜図5(k)に示した工程と同一であるため、同一の符号を付記して説明に代える。
これによって、アンクル102の必要な強度を保ちながら軽量化が図られ、精度の高い運動性能や耐久性の向上に寄与することができる。
図19(a)及び図19(b)は、図5(i)などに示した電鋳工程を説明する模式図である。
図19(a)に示すように、治具904に保持され、電鋳によって金属成長を行いたくない箇所にレジスト907が形成された、電極906を有する基板905と、例えばニッケルなどの電鋳したい金属材料によって形成された陽極902が電鋳液903の中に対向するようにして配置される。そして、陽極902と電極906とは外部にて電源901を介して接続され、電極906に対して陽極902側に高い電圧がかかるよう設定される。 これにより、図14(b)に示すように、電鋳液903に陽極902から電鋳に必要な金属がイオン化して、負極となる電極906上に析出した金属908が成長する。
時計880における動作は、ここでは図示しない香箱歯車の回転を二番車、三番車、四番車などからなる増速輪列を介して増速された後、図20に示したがんぎ車809に伝達され、アンクル102を介しててんぷ808に伝達されることで行われる。
また、細かいため図20での図示は省略するが、アンクル102にはツメ101が固定されており、がんぎ車809が適正に動作するために重なり量を適正に調整できるように、その固定には特段の高い精度が要求される。
また、ツメ101に設けられた長手方向の凸凹201により、がんぎ車809の歯と噛み合う摺動部分の接触面積が減少し抵抗が減るとともに、保油性が高められ耐久性が向上する。
また、ツメ101をシリコンで形成したことによって、硬化膜形成時の高温に耐えることができるため、ツメ101にDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどの硬化膜を形成することができ、耐久性が更に向上する。
このように、耐衝撃性、耐久性に優れ、動作精度の高い時計を得ることが可能になる。
第9の実施の形態では、ツメの長手方向に沿って(即ち、長手方向に延びる)凸部又は凹部を単数形成する。
図21(a)は、ツメの長手方向に沿って凸部201aを形成した例である。
ツメの厚さ方向には、第1の実施の形態と同様に当該方向に沿った溝(厚さ方向の凸凹202)がギザギザ状に形成されており、ツメの長手方向には、当該方向に沿った凸部201aが形成されている。
凸部201aは、長手方向の全長に渡って形成されており、厚さ方向の凸凹202の嶺線も凸型形状となっている。
このため、水平、あるいは垂直を含むあらゆる方向からの衝撃を受けてもツメ101がアンクル102から外れたり、ずれたりすることがない。
なお、凸部201aの表面に第1の実施の形態と同様に長手方向にスジ状の凹凸を形成することも可能である。この場合、スジ状の凹凸によって潤滑油の保持能力を高めることができる。
ツメの厚さ方向には、第1の実施の形態と同様に当該方向に沿った溝(厚さ方向の凸凹202)がギザギザ状に形成されており、ツメの長手方向には、当該方向に沿った凹部201bが形成されている。
凹部201bは、長手方向の全長に渡って形成されており、厚さ方向の凸凹202の嶺線も凹型形状となっている。
このため、水平、あるいは垂直を含むあらゆる方向からの衝撃を受けてもツメ101がアンクル102から外れたり、ずれたりすることがない。
なお、凹部201bは、凹形状をしているため潤滑の保持能力が高い。
また凹部201bの表面に第1の実施の形態と同様に長手方向にスジ状の凹凸を形成することも可能である。この場合、スジ状の凹凸によって潤滑油の保持能力を更に高めることができる。
ここでは、機械部品の一例として、歯車110を用いて説明する。
図22(a)は、歯車110の斜視図であり、図に示したように、歯車110は、歯部112と、回転軸に対して歯部112を保持する円板状のベース部113から構成されている。
第1の実施の形態のツメ101と同様に、歯部112は、シリコンデバイス形成層303をエッチングすることにより形成され、ベース部113は、電鋳によって電鋳物を成長させることにより形成される。
歯部112のベース部113との接合部分には、歯車110の径方向114(長手方向に該当する)に円弧状の断面を有する凸部116が厚さ方向115の全長に渡って形成されており、一方、ベース部113の歯部112との接合部分には凸部116と密着接合する凹部が形成されている。なお、凸部116は、厚さ方向115の全長でなく一部であっても良い。
凸部116の円弧形状は、当該円弧形状の中心線が、ベース部113の凹部の内部(凹部の中心線より歯車110の中心側)に存在するように形成されており、このため、歯部112は、ベース部113から歯車110の径方向114に離脱しない。
このように、歯部112は、径方向114、及び厚さ方向115に移動しないため、歯部112は、ベース部113に対して固定されており、1つの機械部品として機能を発揮することができる。
即ち、SOI基板310の表面に第1のフォトレジスト304を塗布し、これを歯部112の形状にパタニングする。
そして、SOI基板310を埋め込み酸化膜302に達するまでエッチングし、第1のフォトレジスト304を除去すると歯部112が形成される。
この際に、例えば、図6の各図で説明した方法を用いて凸部116の周囲にスジ状の凹凸を形成することができる。
次に、当該露出した電極401に電鋳によって電鋳物を成長させ、歯部112とベース部113が密着接合した構造物が形成される。
その後、歯部112とベース部113以外の部分を除去し、歯車110を完成させる。
歯車110の大きさは、特に限定しないが、第1の実施の形態の時計部品のように小型で精度を必要とする場合に特に有効である。
また、歯車110は、機械部品の一例であって、他の形態の機械部品に対しても、他の部品と接する部分をエッチングで作り、この部分を保持する部分を電鋳で作成することができる。
本実施の形態に係る機械部品は、第10の実施の形態と同様に歯車110を例として説明する。
図23(a)は、歯車110の正面図であり、歯車110は、第10の実施の形態と同様に、シリコンデバイス形成層303をエッチングして形成された歯部112と電鋳による電鋳物で形成されたベース部113によって構成されている。
歯部112のベース部113との接合部分には、歯車110の径方向114に伸びる凸部116が厚さ方向115の全長に渡って形成されており、一方、ベース部113の歯部112との接合部分には凸部116と密着接合する凹部が形成されている。なお、凸部116は、厚さ方向115の全長でなく一部であっても良い。
凸部116の側面には、図示したように、厚さ方向115に第1の実施の形態の厚さ方向の凸凹202と同様の凹凸が形成されており、ギザギザ状の形状をしている。このため、歯部112は、ベース部113から歯車110の径方向114に離脱しない。
このように、歯部112は、径方向114、及び厚さ方向115に移動しないため、歯部112は、ベース部113に対して固定されており、1つの機械部品として機能を発揮することができる。
本実施の形態の歯車110も、第1の実施の形態のアンクル102と同様の方法で製造することができる。
この場合、厚さ方向115の凹凸は第1のフォトレジスト304のパタニングで形状を規定することとなる。
本実施の形態のアンクル102の構造(形状)は、第1の実施の形態と同様であるが、本実施の形態では、アンクル102の製造において、ツメ101、軸穴130、及び剣先穴131を同一工程で形成する。
ツメ101に対する軸穴130の位置精度は、時計精度を確保するために重要であり、これらを同一工程で同時に形成することにより高い位置精度を実現することができる。
また、軸穴130の形成と同時に他の穴(剣先穴131など)も形成することにより、これらの穴を形成する工数を低減することができる。
図25(a)〜(e)、(f)、(g)は、それぞれ、図4(a)〜(e)、(l)、(m)に対応しており、図4の説明と重複する部分については、説明を簡略化、又は省略する。
まず、図25(a)に示すように、SOI基板310を用意する。
次に、図25(b)に示すように、シリコンデバイス形成層303の上面に第1のフォトレジスト304を一様に塗布する。
図25(f)は、平面図であり、図25(c)では、軸穴130、及び剣先穴131の形状となる部分の第1のフォトレジスト304を省略してある。
これにより、ツメ101と、図示しないが、軸穴130と剣先穴131の型となる軸穴円柱部分と剣先穴円柱部分が埋め込み酸化膜302上に形成される。
なお、長手方向の凸凹201の形成方法は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態では、軸穴円柱部分1000、剣先穴円柱部分1001を円柱形状とするが、第1のフォトレジスト304のパタニングにより、四角柱形状や三角柱形状、あるいは楕円柱形状など、各種の形状に形成することができる。
即ち、埋め込み酸化膜302の上に電極401を形成し、第2のフォトレジスト404を塗布してアンクル102の形状にパタニングする。
そして、電極401状に電鋳によって電鋳物を成長させると、ツメ101の厚さ方向の凸凹202に密着接合するようにウデ104が形成され、また、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001の周囲に密着接合するように電鋳物が形成される。
その後、ツメ101とアンクル102を取り出して、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001を除去すると、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001が存在していた部分に軸穴130と剣先穴131が形成される。
また、ツメ101をフォトレジストでカバーした後、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001をエッチングで溶かして除去したり、あるいはレーザー照射して除去したりすることもできる。
本実施の形態では、このようにして形成された軸穴130と剣先穴131をそのまま使用する。
また、軸穴130と剣先穴131を下穴としてドリルで穴を開けても良い。
即ち、埋め込み酸化膜302の上に電極401を形成し、第2のフォトレジスト404を塗布してアンクル102の形状にパタニングする。
そして、電極401上に電鋳によって電鋳物を成長させると、ツメ101の厚さ方向の凸凹202に密着接合するようにウデ104が形成され、また、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001の周囲に密着接合するように電鋳物が形成される。
その後、アンクル102とアンクル102を取り出して、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001を除去すると、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001が存在していた部分に軸穴130と剣先穴131が形成される。
また、ツメ101をフォトレジストでカバーした後、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001をエッチングで溶かして除去しても良い。
本実施の形態では、このようにして形成された軸穴130と剣先穴131をそのまま使用する。
また、軸穴130と剣先穴131を下穴としてドリルで穴を開けても良い。
まず、図26(h)のように、軸穴円柱部分1000を第4のフォトレジスト306でで根元まで(即ち、埋め込み酸化膜302まで)覆う。なお、図26(m)は、図26(h)の平面図である。
これは、埋め込み酸化膜302の上に第4のフォトレジスト306を軸穴円柱部分1000の上端を覆うまで一様に塗布し、軸穴円柱部分1000の端部との周囲がエッチングにより残るように露光し、エッチングすることにより行うことができる。
第4のフォトレジスト306は、埋め込み酸化膜302まで形成されているため、軸穴円柱部分1000と電極401は、接続していない。
次に、図26(j)に示したように、電極401の上面に第2のフォトレジスト404を塗布し、次いで、図26(k)のように、第2のフォトレジスト404がアンクル102の形に残るように露光して除去する。
次に、図27(n)に示したように、ツメ101やアンクル102が所望の厚さとなるように上面を研削、研磨して平坦化を行い表面を鏡面に仕上げる。
次に、図27(p)に示したように、第4のフォトレジスト306を除去すると、軸穴円柱部分1000が電鋳物501から離れ、図27(q)に示したように、軸穴130が形成される。
図28(a)〜(e)、(k)〜(m)は、それぞれ、図7(a)〜(e)、(k)〜(m)に対応しており、図7の説明と重複する部分については、説明を簡略化、又は省略する。
まず、第2の実施の形態の時計用部品の製造方法と同様に、シリコン基板上301にメタル層601を有し、更にその上にシリコンデバイス形成層303を有するS−M−S基板320を用意する。
次に、図28(b)に示すように、シリコンデバイス形成層303の上面に第1のフォトレジスト304を一様に塗布する。
図28(l)は、平面図であり、図28(c)では、軸穴130、及び剣先穴131の形状となる部分の第1のフォトレジスト304を省略してある。
これにより、ツメ101と、図示しないが、軸穴130と剣先穴131に相当する軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001がメタル層601上に形成される。
なお、長手方向の凸凹201の形成方法は、第1の実施の形態と同様である。
次に、図28(e)に示すように、第1のフォトレジスト304を除去してツメ101、及び軸穴130と剣先穴131の型となる軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001が完成する。この状態を上方から見た平面図を図28(m)に示す。
即ち、メタル層601が電極として作用するため、メタル層601の上に第2のフォトレジスト404を塗布してアンクル102の形状にパタニングする。
そして、メタル層601を電極としてその上に電鋳で電鋳物を成長させると、ツメ101の厚さ方向の凸凹202に密着接合するようにウデ104が形成され、また、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001の周囲に密着接合するように電鋳物が形成される。
その後、ツメ101とアンクル102を取り出して、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001を除去すると、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001が存在していた部分に軸穴130と剣先穴131が形成される。
又は、図26、27と同様にして形成しても良い。
覆った場合は、アニール工程後に軸穴円柱部分1000、剣先穴円柱部分1001の表面の凹凸が残り、覆わない場合は平坦化される。
第6の実施の形態の場合は、ツメ101の厚さ方向の凸凹202以外の部分だけ硬化膜701で覆い、ツメ101の長手方向の凸凹201部分、及び、軸穴円柱部分1000と剣先穴円柱部分1001は硬化膜701で覆わない。
すると、ツメ101、軸穴円柱部分1000、剣先穴円柱部分1001よりも薄いアンクル102が形成される。そして、軸穴円柱部分1000、剣先穴円柱部分1001、及びその他の不要部分を除去すると、ツメ101よりもアンクル102の薄い時計用部品が得られる。
第8の実施の形態では、抜き部712を有する時計用部品において、ツメ101と軸穴130、剣先穴131(軸穴130の型、剣先穴131の型)を同一工程で形成することができる。
これにより、他の機械部品のエッチングで形成する部分と電鋳物の穴部(穴分の型)を同一工程で形成することができる。
例えば、図22(a)の歯部112とベース部113の軸穴を同一工程で形成して軸穴精度の向上を図ることができ(第12の実施の形態、第13の実施の形態)、また、歯部112の表面をアニール工程により平坦化したり(第3の実施の形態)、歯部112に硬化膜701を形成したり(第6の実施の形態)、歯部112よりベース部113を薄くしたり(第7の実施の形態)、ベース部113に抜き部712を設けたり(第8の実施の形態)することができる。
(1)ツメ101とアンクル102をシリコン基板上で一体形成することができる。
(2)エッチングによってツメ101をシリコンで形成することができる。
(3)エッチングによりツメ101に厚さ方向の凹凸と長手方向の凹凸を形成することができる。
(4)ツメ101の凹凸と密着接合するようにアンクル102を電鋳によって形成することにより、ツメ101とアンクル102が一体となった時計用部品を形成することができる。
(5)ツメ101とアンクル102と同様に凹凸を有する1の部分をエッチングにより形成し、これに密着接合する他の部分を電鋳によって形成した機械部品を作成することができる。
(6)機械部品において、他の機械部品と接する部分をエッチングしたシリコンで形成し、当該部分を保持する部分を当該部分に密着接合する電鋳物で形成することにより、耐久性があり、軽量な機械部品を提供することができる。
(7)機械部品の慣性モーメントが低下するため、当該機械部品の適用される機械の動作精度を高めることができる。機械部品がツメ101とアンクル102の場合、時計の精度が向上する。
(8)ツメ101と同一工程で軸穴130、剣先穴131を形成することにより、ツメ101に対する軸穴130と剣先穴131の位置精度を高めることができ、時計の精度が向上する。
(9)ツメ101と同一工程で軸穴130、剣先穴131を形成することにより、工程を減らすことができる。
(10)少なくとも一つの凸部もしくは凹部を有するツメ101と、前記ツメ101に設けられた前記凸部もしくは前記凹部に噛み合う形で密着接合するアンクル102と、を備えた時計用部品としたため、凸部もしくは凹部に対向する方向からの衝撃に対してツメ101がアンクル102からずれたり傾いたりすることなくしっかり固定することができる。
(11)長手方向に平行な面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を有するツメ101により、がんぎ車の歯と噛み合う摺動部分の接触面積が減少して抵抗が減るとともに、保油性が高められる。
(12)ツメ101をシリコンで形成したことによって、硬化膜形成時の高温に耐えることができるため、ツメ101にDLCやサファイア、あるいはダイヤモンドなどの硬化膜を形成することができる。前記硬化膜は、前記ツメ101の少なくともがんぎ車との接触部分に形成されており、耐久性が向上する。
(13)ツメ101とアンクル102とを噛み合うように密着接合して連続した工程で形成できるため、ツメ101とアンクル102との位置整合精度が向上する。また別途アンクル102にツメ101を挿入する手間を省くことができる。
(14)小型部品をシリコンと電鋳で作成することで、小型部品を精度よく作成することができる。
ツメ101は、長手方向の凸凹201や厚さ方向の凸凹202を有し、また、歯部112は凸部116や凸部116の円筒面に凹凸部を有するため、少なくとも一つの凸部もしくは凹部を有する第1の部材として機能している。
また、アンクル102やベース部113は、それぞれ、ツメ101や歯部112の凹凸部と噛み合う形で電鋳により密着接合するように形成されているため、前記第1の部材に設けられた前記凸部もしくは前記凹部に噛み合う形で電鋳により密着接合するように形成された第2の部材として機能している。
そして、このようにして形成された時計用部品、及び歯車110は、第1の部材と第2の部材を備えた機械部品として機能している。
上面にシリコンデバイス形成層(シリコンデバイス形成層303)が形成された基板上(SOI基板310やS−M−S基板320の上)の前記シリコンデバイス形成層上に第1のレジスト(第1のフォトレジスト304)を塗布し、前記第1のレジストを後に第1の部材(ツメ101や歯部112)となる形状、及び、後に形成する第2の部材(アンクル102やベース部113)の有する穴部(軸穴130、剣先穴131、ベース部113の軸穴)の形状にあわせて第1のパタニングを行う第1のパタニング工程と、前記第1のレジストをマスクとしてエッチングを行い、前記シリコンデバイス形成層の側壁に凸部もしくは凹部(長手方向の凸凹201、厚さ方向の凸凹202など)をつけるエッチング工程と、前記第1のレジストを除去し、前記シリコンデバイス形成層からなる第1の部材と前記穴部に対応する柱状部(軸穴円柱部分1000、剣先穴円柱部分1001など)を完成させる第1の部材完成工程と、前記基板上に第2のレジストを塗布し、当該第2のレジスト(第2のフォトレジスト404)を所望の第2の部材の形状にあわせて第2のパタニングを行う第2のパタニング工程と、前記第2のパタニング工程によって露出した電極上(電極401、メタル層601の上)に電鋳により金属材料を成長させて、前記第1の部材に噛み合うように密着接合し、前記柱状部を囲む電鋳物(電鋳物501は軸穴や円柱部分1000剣先穴や円柱部分1001を囲むように成長している)による前記第2の部材を形成する第2の部材形成工程と、前記第1の部材及び前記第2の部材以外の部分を除去し、前記第1の部材及び前記第2の部材を取り出す取出工程と、を有する、機械部品の製造方法(第1の構成)。
前記基板は酸化膜の上にシリコンデバイス形成層が形成されたSOI基板であり、前記エッチング工程では、前記酸化膜に達するまで前記エッチングを行い、その後に、前記酸化膜上に前記電極となる金属層を形成する金属層形成工程を行ってから、前記第2のパタニング工程を行うことにより、前記第2のパタニングによって前記電極が露出することを特徴する第1の構成の機械部品の製造方法(第2の構成)。
前記基板は前記第2の部材形成工程で前記電極となる金属層の上に前記シリコンデバイス形成層が形成されており、前記エッチング工程では、前記金属層に達するまで前記エッチングを行って、前記電極となる金属層を露出させてから、前記第2のパタニング工程を行うことにより、前記第2のパタニングによって前記電極が露出することを特徴とする第1の構成の機械部品の製造方法(第3の構成)。
前記第1の部材はツメであり、前記第2の部材はアンクルであり、前記機械部品は時計用部品であることを特徴とする第1の構成、又は第2の構成の機械部品の製造方法(第4の構成)。
少なくとも一つの凸部もしくは凹部を有するツメと、前記ツメに設けられた前記凸部もしくは前記凹部に噛み合う形で密着接合するアンクルと、を備えた時計用部品(第1の構成)。
長手方向に交差する面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を有するツメと、前記ツメに設けられた凸部もしくは凹部に噛み合う形で密着接合するアンクルと、を備えた第1の構成の時計用部品(第2の構成)。
長手方向に平行な面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を有するツメと、前記ツメに設けられた凸部もしくは凹部に噛み合う形で密着接合するアンクルと、を備えた第1の構成又は第2の構成に記載の時計用部品(第3の構成)。
前記ツメは、シリコンからなる第1の構成から第3の構成のいずれかの構成の時計用部品(第4の構成)。
前記ツメの少なくともがんぎ車との接触部分に硬化膜を備えた第1の構成から第3の構成のいずれかの構成の時計用部品(第5の構成)。
前記ツメの厚さよりも前記アンクルの厚さが薄い、第1の構成から第3の構成のいずれかの構成の時計用部品(第6の構成)。
第1の構成から第6の構成のいずれか1つの構成の時計用部品を有する時計(第7の構成)。
SOI基板上のシリコンデバイス形成層上に第1のレジストを塗布し、前記第1のレジストを後にツメとなる形状にあわせてパタニングする工程と、前記第1のレジストをマスクとして、前記シリコンデバイス形成層の側壁に凸部もしくは凹部をつけるようにエッチングを行う工程と、前記第1のレジストを除去し、前記シリコンデバイス形成層からなるツメを完成させる工程と、前記ツメに隣接する埋め込み酸化膜上に電極を形成した後、第2のレジストを塗布し、前記第2のレジストを所望のアンクル形状にあわせてパタニングする工程と、露出した前記電極上に電鋳により金属材料を成長させて、前記ツメに噛み合うように密着接合した電鋳物による前記アンクルを形成する工程と、不要な領域を除去し、前記ツメ及び前記アンクルを取り出す工程と、を有する、時計用部品の製造方法(第8の構成)。
第1の部材と、前記第1の部材(ツメ101や歯部112)の一部が嵌合することにより前記第1の部材と接合する第2の部材(アンクル102やベース部113)と、を用いて構成された機械部品であって、前記第1の部材と前記第2の部材の嵌合部分には、前記第1の部材と前記第2の部材のうちの一方の部材に形成された凸部が、他方の部材に形成された凹部に当接することにより、前記第1の部材と前記第2の部材の離脱を防止する凹凸部が形成されていることを特徴とする機械部品(第1の構成)。
長手方向の凸凹201、厚さ方向の凸凹202は、全ての離脱方向(厚さ方向、長手方向)に形成されているため、前記凹凸部は全ての離脱方向に対して当接するように形成されていることを特徴とする第1の構成の機械部品(第2の構成)。
第1の部材は、他の機械部品に接する箇所にシリコンで形成されていることを特徴とする第1の構成、又は第2の構成の機械部品(第3の構成)。
102 アンクル
103 サオ
104 ウデ
201 長手方向に平行な面に対向する面を備えた複数の凸凹
202 厚さ方向に交差する面に対向する面を備えた複数の凸凹
301 シリコン基板
302 埋め込み酸化膜
303 シリコンデバイス形成層
304 第1のフォトレジスト
305 保護膜
310 SOI基板
320 S−M−S基板
330 S−M基板
401 電極
404 第2のフォトレジスト
501 電鋳物
504 第3のフォトレジスト
601 メタル層
701 硬化膜
711 抜き部用レジスト
712 抜き部
808 てんぷ
809 がんぎ車
810 がんぎ車の歯
880 時計
901 電源
902 陽極
903 電鋳液
904 治具
905 基板
906 電極
907 レジスト
908 析出した金属
201a 凸部
201b 凹部
306 第4のフォトレジスト
110 歯車
112 歯部
113 ベース部
114 径方向
115 厚さ方向
116 凸部
130 軸穴
131 剣先穴
Claims (6)
- 長手方向に平行な面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を当該長手方向の全面に渡って有する第1の部材と、前記第1の部材の一端側を残して、前記第1の部材に設けられた前記凸部もしくは前記凹部に噛み合う形で電鋳により密着接合するように形成された第2の部材と、を備え、
前記第1の部材は、時計用部品のツメであり、前記第2の部材は、時計用部品のアンクルであることを特徴とする機械部品。 - 前記第1の部材は長手方向に交差する面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部を有し、前記第2の部材は前記長手方向に交差する面に対向する面を備えた凸部もしくは凹部に噛み合う形で密着接合することを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
- 前記第1の部材は、シリコンからなる請求項1又は請求項2に記載の機械部品。
- 前記第1の部材の少なくともがんぎ車との接触部分に硬化膜を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機械部品。
- 前記第1の部材の厚さよりも前記第2の部材の厚さが薄い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の機械部品。
- 請求項1から請求項5のいずれか1つの請求項に記載の機械部品を有する時計。
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