JP5396734B2 - 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、および表示装置 - Google Patents
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Description
その一方で、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。このような有機半導体材料は、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー代表されるフレキシブルディスプレイ等のディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
しかしながら、このような構造を有する半導体素子は種々の問題点が指摘されている。まず、絶縁層という新たな構成を採用しなければならないため、製造工程が煩雑になるという問題点があった。また、上記絶縁層は上記有機トランジスタを覆うように形成されることが必須になっているが、上記有機トランジスタに用いられる有機半導体材料は有機溶媒等に浸食されやすいため、上記絶縁層を形成する際に有機トランジスタが損傷してしまい、製造される半導体素子の性能が著しいく低下してしまうという問題点があった。さらに、上記構造を有する半導体素子においては、上記絶縁層上に表示電極が形成されることになるが、有機トランジスタの存在や表示電極と有機トランジスタを通電させるために絶縁層に形成された貫通孔の存在等により、絶縁層の表面に凹凸が形成されてしまうため、平坦な表面を有する表示電極を形成することが困難であるという問題点があった。
また本発明によれば、上記有機トランジスタ上に絶縁層等を形成する必要がないため、製造工程において有機トランジスタの特性が低下してしまうことが少なくなる。さらに上記有機トランジスタと、上記表示電極との間に上記絶縁性フィルムが存在するため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても両者が短絡することを物理的に防止することができる。これらのことより、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、上記表示電極が凹凸の無い平坦な絶縁性フィルムの表面上に形成されることになるため、表示電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。したがって、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することができる。
また本発明によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムのそれぞれ反対側の表面上に形成されるため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても、製造過程において有機トランジスタと表示電極とが短絡することを物理的に防止することができる。このため、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、予め絶縁性フィルムと電極層とが積層された構成を有する有機半導体素子用基板を用いることにより、電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。このため、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を簡易な工程で製造することができる。
まず、本発明の有機半導体素子について説明する。上述したように本発明の有機半導体素子は、絶縁性材料からなり、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とを有し、上記表示電極と、上記有機トランジスタとが上記絶縁性フィルムの貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とするものである。
このような例において、本発明の有機半導体素子10は、上記有機トランジスタ2と上記表示電極3とが上記絶縁性フィルム1の互いに反対側の表面上に形成されており、かつ、上記有機トランジスタ2と上記表示電極3が上記絶縁性フィルム1に形成された貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とするものである。
なお、図1においては上記有機トランジスタ2と表示電極3とが、上記絶縁性フィルムの1の貫通孔内に形成された通電部5を通じて接続されている。
また本発明によれば、上記有機トランジスタ上に絶縁層等を形成する必要がないため、製造工程において有機トランジスタの特性が低下してしまうことが少なくなる。さらに上記有機トランジスタと、上記表示電極との間に上記絶縁性フィルムが存在するため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても両者が短絡することを物理的に防止することができる。これらのことより、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、上記表示電極が凹凸の無い平坦な絶縁性フィルムの表面上に形成されることになるため、表示電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。したがって、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することができる。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
まず、本発明に用いられる絶縁性フィルムについて説明する。本発明に用いられる絶縁性フィルムは、絶縁性材料からなるものであり、かつ後述する有機トランジスタと表示電極とを通電するように接続することが可能な貫通孔が形成されたものである。
以下、このような絶縁性フィルムについて説明する。
ここで、本発明に用いられる絶縁性フィルムは、フィルムとしての形態を有するものを意味し、自己支持性を有さない塗膜の形態として形成されたものは、たとえ絶縁性材料からなるものであっても本発明における絶縁性フィルムには該当しないものとする。このため、本発明に用いられる絶縁性フィルムは両表面が平坦なものであり、後述する有機トランジスタおよび表示電極は、当該平坦な表面上に形成されたものになる。
次に、本発明に用いられる表示電極について説明する。本発明に用いられる表示電極は、上述した絶縁性フィルム上であって、後述する有機トランジスタが形成された表面とは反対側の表面上に形成されるものである。また本発明に用いられる表示電極は、上記絶縁性フィルムが備える貫通孔を通して、後述する有機トランジスタと通電するように形成されたものである。
以下、このような表示電極について説明する。
なお、本発明における表示電極は平坦な表面を有する絶縁性フィルム上に形成されているため、特別な技術を用いることなく、容易に平坦な表面を有する表示電極を形成することができるという利点を有する。
次に、本発明に用いられる有機トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機トランジスタは、上記絶縁性フィルムの上記表示電極が形成された表面とは反対側の表面上に形成されるものである。また本発明に用いられる有機トランジスタは、上記絶縁性フィルムが備える貫通孔を介して、上記表示電極と通電するように形成されたものである。
以下、このような有機トランジスタについて詳細に説明する。
本発明の有機半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成され、当該絶縁性フィルムに形成された貫通孔を通じて、有機トランジスタと表示電極とが通電するように接続されていることを特徴とするものであるが、上記有機トランジスタと表示電極とが上記貫通孔を通して接続されている態様としては、有機トランジスタと表示電極とが通電するような態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、当該貫通孔を貫くように通電部が形成され、当該通電部に有機トランジスタおよび表示電極が接続されることにより、有機トランジスタと表示電極とが通電するように接続されていることが好ましい(図1、図2参照)。
なお、上記通電部として絶縁性フィルムに設けられた貫通孔を閉塞させることなく、当該貫通孔の内側の表面上のみに形成されたものを用いる場合、貫通孔に内側の表面上に形成される通電部の厚みは特に限定されないが、より低い電気抵抗で有機トランジスタと表示電極と接続させるという観点からは、100nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、200nm〜5μmの範囲内であることがより好ましく、500nm〜5μmの範囲内であることがさらに好ましい。
例えば、有機トランジスタに用いられる有機半導体材料が有機溶媒等に浸食されやすく、有機半導体層上に新たに絶縁層を形成することで製造される半導体素子の性能が著しく低下する場合には、封止材を上記有機トランジスタの周囲もしくは有機トランジスタを形成した基材周囲に塗工し、不活性ガス雰囲気中にてガスバリア性を有する高分子フィルムもしくはガラス等を貼り合わせる方法を選択することができる。つまり、上記の貼り合せによるパッシベーション層を用いて、有機半導体素子を集積化した有機半導体素子アレイを封止した場合、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることから、張り合わせに用いるガスバリア性を有する高分子フィルムもしくはガラス等を表示電極形成のために別途加工することなく、高開口率な表示電極を有する有機半導体装置を製造することができる。
本発明の有機半導体素子は、一般的に有機トランジスタが用いられた有機半導体素子を製造する方法として公知の方法を適宜選択して用いることによって製造することができる。もっとも、本発明の有機半導体素子は、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において詳述する有機半導体素子の製造方法を用いることによって、より簡易な工程で製造することが可能である。
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。上述したように本発明の有機半導体素子の製造方法は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層に接続するように導電性材料からなる通電部を形成する、通電部形成工程と、上記有機半導体素子用基板の上記絶縁性フィルム上であり、かつ上記通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する有機トランジスタ形成工程とを有することを特徴とするものである。
また本発明によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムのそれぞれ反対側の表面上に形成されるため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても、製造過程において有機トランジスタと表示電極とが短絡することを物理的に防止することができる。このため、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、予め絶縁性フィルムと電極層とが積層された構成を有する有機半導体素子用基板を用いることにより、電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。このため、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を簡易な工程で製造することができる。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる絶縁性フィルム貫通工程について説明する。本工程は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する工程である。
以下、このような絶縁性フィルム貫通工程について説明する。
まず、本工程に用いられる有機半導体素子用基板について説明する。本工程に用いられる有機半導体素子用基板は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有するものである。
ここで、上記電極層は、本発明によって製造される有機半導体素子において表示電極として用いられるものである。
ここで、本発明に用いられる絶縁性フィルムは、上記「A.有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、本発明に用いられる電極層は、絶縁性フィルム表面の全面に形成される場合があることを除いては、上記「A.有機半導体素子」の項において説明した表示電極と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、本工程において上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法について説明する。本工程において上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法としては、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。したがって、本工程は上記絶縁性フィルムに貫通孔が形成され、かつ上記電極層には全く孔が形成されない場合であってもよく、あるいは上記絶縁性フィルムに貫通孔が形成され、かつ上記電極層にも貫通していない孔が形成される場合であってもよい。
次に、本発明に用いられる通電部について説明する。本工程は上記絶縁性フィルム貫通工程において上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層に接続されるように導電性材料からなる通電部を形成する工程である。
次に、本発明に用いられる有機トランジスタ形成工程について説明する。本工程は、上記有機半導体素子用基板の上記絶縁性フィルム上であり、かつ上記通電部形成工程において形成された通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する工程である。
ここで、本工程に用いられる有機トランジスタの形成方法としては、一般的に有機トランジスタを形成する方法として公知の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも上記絶縁性フィルム貫通工程、通電部形成工程、および有機トランジスタ形成工程を有するものであるが、必要に応じて他の任意の工程を有してもよいものである。このような他の工程としては本発明によって製造される有機半導体素子の用途等に応じて、所望の機能を有する有機半導体素子を製造するために必要な工程を適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好ましく用いられる任意の工程としては、上記有機トランジスタ形成後に実施され、上記有機トランジスタを覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程や、上記有機半導体素子用基板の電極層をパターニングすることにより表示電極を形成する、電極層パターニング工程等を挙げることができる。
なお、パッシベーション層を形成するために用いられる材料については、上記「A.有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の有機半導体素子の製造方法によって製造される有機半導体素子は、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とが、上記通電部を介して通電するように接続された構成を有するものとある。このような有機半導体素子については、上記「A.有機半導体素子」の項において説明した本発明に係る有機半導体素子と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、上記本発明の有機半導体素子が用いられたことを特徴とするものである。
また、本発明の有機半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることから、高い開口率を実現することが可能なものである。したがって、本発明の表示装置としてはアクティブマトリクスが採用されたものであることが好ましい。
1.貫通孔形成工程
大きさ150mm×150mmの片面銅箔ポリイミド(Cu厚み:ポリイミド厚み=9μm:25μm)を有機半導体素子用基板として用い、ポリイミド側からYAGレーザーを照射し、50μmφの貫通孔をポリイミドのみに形成した。
次いで、貫通孔底面の銅から銅電解メッキにより銅を析出成長させて貫通孔内に通電部を形成した。このときに析出成長させた銅は貫通孔を閉塞させるように成長し、接触式段差計の測定結果によると貫通孔底の銅箔面より23μmの高さまで銅が析出成長していた。
次に、銅箔面上にフォトレジストをスピンコートした。その後、基材を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cm2でパターン露光した。次に、表示電極とする部分以外のフォトレジストを除去するために現像工程を行い、その後、エッチング工程にて現像工程で露出した部分の銅を除去した。次いで、現像工程とエッチング工程にて形成した表示電極上のレジストをレジスト剥離液にて剥離し、450μm角の表示電極を形成した。
(ゲート電極形成工程)
次に、上記表示電極と反対側のポリイミド表面にアルミニウムをスパッタ法により成膜し、膜厚150nmのアルミニウム層を形成した。次いで、上記アルミ二ウム層上にフォトレジストをスピンコートした。その後、100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cm2でパターン露光した。次に、ゲート電極とする部分以外のフォトレジストを除去するために現像工程を行い、その後、エッチング工程にて現像工程で露出した部分のアルミニウムを除去した。次いで、現像工程とエッチング工程にて形成したゲート電極パターン上のレジストをレジスト剥離液にて剥離し、ゲート電極を形成した。
次に、上記有機半導体素子用基板のポリイミド表面にゲート絶縁層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。次に、ゲート電極以外の部分を除去するために現像工程を行い、その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚1.1μmのゲート絶縁層を形成した。
上記ゲート絶縁層形成後、ゲート絶縁層を形成した表面上に、ソース・ドレイン電極形状の開口部を有するスクリーンマスクを用い、Agナノペースト(藤倉化成製)をスクリーン印刷し、ソース・ドレイン電極を形成した。このとき用いたスクリーンマスクのドレイン電極の開口部は、上記貫通孔形成工程でポリイミドフィルムに形成した貫通孔の領域まで開口部を有しているため、ソース・ドレイン電極形成と同時に貫通孔内の通電部とドレイン電極とを導通させた。このときスクリーン版は、500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。印刷条件は、印圧0.185MPa、クリアランス2.6mm、スキージスピード200mm/secで行った。その後、上記有機半導体素子用基板を150℃で30min焼成した。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は70μmであった。またソース・ドレイン電極の膜厚は2μmであった。
次に、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された有機半導体素子用基板にインクジェット法を用いチオフェン系の高分子有機半導体をソース電極とドレイン電極とのチャネル間に吐出し、有機半導体層を形成した。高分子有機半導体は固形分0.5wt%、溶剤デカヒドロナフタレンを含む溶液を用いた。その後、上記有機半導体素子用基板を160℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、160℃で10min保持した後、6℃/minのレートで室温まで徐冷を行った。有機半導体層の厚みは約100nmであった。
次に、形成した有機半導体層を覆うようにパッシベーション層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、基材を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2で露光した。その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚8μmのパッシベーション層を形成した。
次に、電子ペーパーを表示電極とPETフィルム全面に成膜したITO電極とで挟み、貼り合わせた。
フィルムを介してトランジスタと反対側に作製した表示電極に測定端子を接触させ、有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、貫通孔内の通電部を通じてトランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタの移動度は2.0×10−2cm2/Vsと見積もられ、ON/OFF比は6桁であり、閾値電圧は−2Vであった。測定条件はゲート電圧を50V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。また、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
また、片面銅箔ポリイミドに対してフィルムのみに貫通孔を形成したため、接触式段差計によると表示電極上の貫通孔領域での段差は認められなかった。さらに、貼り合わせた電子ペーパーのコントラスト比を測定したところ、9:1であった。
基材として厚さ25μmのポリイミドフィルムを用いて、基材上に実施例のゲート電極形成工程から有機半導体層形成工程まで同様の方法にて有機トランジスタを作製した。
その後、前記パッシベーション層形成工程にてパターン露光する以外は同様にパッシベーション層を形成した。次に、フィルムの厚み方向にて有機半導体素子の位置と重なる位置に表示電極を形成した。以下に、パッシベーション層形成工程と表示電極形成工程の詳細を示す。
ポリイミドフィルム上に形成した有機半導体素子を覆うようにパッシベーション層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、基材を120℃で2分乾燥させた後、有機半導体素子のドレイン電極領域の一部を遮光したマスクを用いて、350mJ/cm2でパターン露光した。次に、現像工程にて露光時に遮光された部分のレジストを除去し、有機半導体素子のドレイン電極の一部を露出させる貫通孔をパッシベーション層に形成した。その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚8μmのパッシベーション層を形成した。
上記パッシベーション層形成後、表示電極形状を開口部とするスクリーンマスクを用い、Agナノペースト(藤倉化成製)をスクリーン印刷し、450μm角の表示電極を形成した。このとき形成した表示電極は、上記パッシベーション工程で露出させたドレイン電極が表示電極パターン内に位置するように印刷され、ドレイン電極と表示電極とを導通させた。またスクリーン版は、500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。印刷条件は、印圧0.185MPa、クリアランス2.6mm、スキージスピード200mm/secで行った。その後、上記基材を150℃で30min焼成した。表示電極の膜厚は2μmであった。
次に、電子ペーパーを表示電極とPETフィルム全面に成膜したITO電極とで挟み、貼り合わせた。
パッシベーション層上に形成した表示電極に測定端子を接触させ、上記有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した。このとき、有機半導体トランジスタの移動度は2.0×10−2cm2/Vsと見積もられ、ON/OFF比は6桁であり、閾値電圧は−2Vであった。測定条件はゲート電圧を50V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。また、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
また、上記パッシベーション層形成工程にて、有機半導体素子のドレインの一部を露出させる貫通孔をパッシベーション層に形成し、その後にスクリーン印刷法にて表示電極を形成したため、貫通孔領域で段差がある表示電極が形成された。接触式段差計によると、パッシベーション層の厚みに相当する8μmの段差が認められた。さらに、形成した有機半導体素子上にパッシベーション層を介して表示電極を形成しているため、表示電極の貫通孔領域以外の領域でも1μmの緩やかな段差が認められた。そして、貼り合わせた電子ペーパーのコントラスト比を測定したところ、コントラスト比7:1であった。
2 … 有機トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c … ソース電極
2d … ドレイン電極
2e … 有機半導体層
3 … 表示電極
3’ … 電極層
4 … パッシベーション層
5 … 通電部
10 … 有機半導体素子
11 … 有機半導体素子用基板
Claims (1)
- 絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルム上の一方の表面のみに形成され、膜厚が100nm〜10μmの範囲内である電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、
前記有機半導体素子用基板の前記絶縁性フィルム側から、前記絶縁性フィルムは貫通し、前記電極層は貫通しないように、直径が30μm〜100μmの範囲内の貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と、
前記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、前記貫通孔を貫くように前記貫通孔を閉塞させることなく前記貫通孔の内側の表面上のみに形成され、前記電極層に接続するように導電性材料からなる通電部を形成する通電部形成工程と、
前記有機半導体素子用基板の前記絶縁性フィルム上であり、かつ前記通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する有機トランジスタ形成工程と、を有し、
前記絶縁性フィルム貫通工程が、前記絶縁性フィルムを分解することが可能な紫外線領域の波長のレーザー光を、前記貫通孔を形成する位置のみに照射する方法であることを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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