JP5374940B2 - 異方性膜用化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)などの発光型の表示素子、タッチパネルなどの入出力素子に具備される偏光膜等に有用な異方性膜用化合物に関するものである。
近年、LCDなどの平面型ディスプレイはテレビ受像機に広く用いられるようになり、従来のCRTを用いたテレビに置き換わろうとしている。また、現在のテレビシステムであるNTSCの色再現性は、CRTの蛍光体の特性を基準に決められたものであり、実在する物体の色の約半分しか表現できないという問題があった。一方、デジタルカメラやカムコーダーなどの撮像装置は、NTSCで定義された範囲よりも広範囲な色表現(色再現)が近年可能となり、その情報をより正確に再現する拡張色空間に対応したディスプレイが望まれている。
このような背景において、LCDなどのCRTに代わる平面型ディスプレイは、原理上CRTよりも高彩度色の表現が可能なデバイスであり、平面型ディスプレイが有する高機能性を生かした新動画用拡張色空間の規格化が進められてきた。その結果、国際規格IEC61966−2−4として「動画用拡張色域YCC色空間(Extended-gamut YCC color space for video application-xyYCC)」が発行された。
xyYCC色空間は、実在する物体色のほぼ全てが表現できる規格であり、これにより色鮮やかな物体の素材感や立体感までも表現できるようになった。
しかし、拡張された色空間情報を従来のLCDで表示しようとした場合、LCDに使用される各種部材の特性が充分でないため、xyYCC色空間に対応したディスプレイを構築するために幾つかの改良が進められている。
その例として、
(1)RGB3原色の色純度が良好なバックライトの採用、
(2)RGB3原色に補色を加えたマイクロカラーフィルターの採用
などが挙げられる。
(1)の代表的な手段としてはLEDの採用や冷陰極管に用いられる蛍光体の発光波長の最適化であり、(2)ではイエロー、シアンを追加したマイクロカラーフィルターの採用が挙げられる(特許文献1、2参照)。
このように、LCDの色再現性を支配する因子は、発光に関係する部材や可視光波長域に吸収を有する部材であるが、マイクロカラーフィルターと同様に可視光波長域に吸収を有する偏光フィルム(偏光膜)については、まだ充分な検討が進められていない状況にある。
xyYCC拡張色空間への対応には、バックライトやマイクロカラーフィルターの改良内容から推定されるように、可視光線の両端部に当たる短波長領域と長波長領域の特性を改善することが必要である。
しかしながら、従来の偏光フィルムは、可視光波長領域における吸光度や二色性などの光学特性が一定でないため、特定の波長や色におけるコントラスト比が低下する問題があった。特に、青色光の補色である短波長領域の二色性が低いために、青色光の色純度が低下し、色再現性が十分に得られないことがあった。
また、拡張色空間対応ディスプレイ以外においても、液晶プロジェクタや車載用液晶パネルの場合には、高温時の耐久性の問題からヨウ素ではなく、可視光波長領域全体で二色性を有する有機化合物が用いられている。しかし、短波長に吸収を有する化合物は、分子構造の一般的な特徴として、長波長に吸収を有する化合物よりもπ共役の広がりが小さい、つまり分子長が短い傾向がある。通常、二色性化合物において十分なアスペクト比を得るためには、分子長が長いことが必要とされるため、特に短波長に吸収を有する化合物を二色性化合物として用いようとすると、これらを両立することが難しい。これに起因して、これまでに使用されてきた偏光フィルムでは短波長領域の二色性が低く、こちらにおいても短波長領域で高い二色性を有する化合物の開発が望まれていた。また、これらの用途においては、額縁故障あるいは額縁むらと呼ばれる温湿度変化に伴うフィルムの収縮などに起因する欠陥が生じる問題があるために、高温時の耐久性が必要とされること、また、この問題を解決する変性ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール誘導体)などの高分子材料と二色性物質の組み合わせが重要となってきていることからも、新規の二色性化合物の開発が望まれている。
特開2007−73290号公報 特開2007−25285号公報
本発明は、広範囲な色表現が可能な偏光膜に有用な、主に短波長領域に吸収を有する異方性膜用化合物を提供することを課題とする。
また、本発明は耐久性に優れた異方性膜用化合物を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、遊離酸の形が下記式(1)で表される異方性膜用化合物が上記課題を解決できることがわかり、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下記式()で表されることを特徴とする異方性膜用化合物(請求項1)、に存する。
Figure 0005374940
〔式()中、Lは、−(CH=CH)r−基を表す。rは、1〜5の整数を表す。
Arは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Ar の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR α 基、−NR β γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;水酸基より選ばれる。
α 〜R γ はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;または−COR δ 基を表し、
δ は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
pおよびkは、それぞれ独立に、0または1を表すが、pおよびkがともに0になることはない。
は、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、−NH 基、−NHR 85 基、または−NR 86 87 基を有していてもよいフェニル基を表し、
85 〜R 87 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 88 基を表し、
85 〜R 87 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、または水酸基を有していてもよいフェニル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
88 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Ar はAr と同義である。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
の該フェニル基、該ナフチル基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、スルホ基;カルボキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;アルコキシ基、フェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR 85 基;−NR 86 87 基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいスルファモイル基;アルコキシ基、水酸基、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいフェニル基;アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基または水酸基を有していてもよいアリールオキシ基;−O−COR 89 基より選ばれる。R 85 〜R 87 は前記X におけるR 85 〜R 87 と同義であり、R 89 はR 88 と同義である。
nは0〜3の整数を表す。)〕
本発明はまた、遊離酸の形が、下記式(9)で表されることを特徴とする化合物(請求項9)、に存する。
Figure 0005374940
〔式(9)中、Ar21は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
hは1〜5の整数を表す。
tは0〜3の整数を表す。
21は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、−NH 基、−NHR 85 基又は−NR 86 87 基を有していてもよいフェニル基を表す。
85 〜R 87 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 88 基を表し、
85 〜R 87 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、または水酸基を有していてもよいフェニル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
88 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
22は、水素原子、ニトロ基、−NH 基、−NHR 95 基、−NR 96 97 または下記式(9−a)で表される基を表す。ただし、X22が水素原子、ニトロ基、−NH 基、−NHR 95 基及び−NR 96 97 のとき、tは0でない。
95 〜R 97 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 98 基を表し、
95 〜R 97 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基または水酸基を有していてもよいフェニル基;アルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
98 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Figure 0005374940
(式(9−a)中、Ar22は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Ar 21 及びAr 22 の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR α 基、−NR β γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;水酸基より選ばれる。
α 〜R γ はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;または−COR δ 基を表し、
δ は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
22は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
22該フェニル基、該ナフチル基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、スルホ基;カルボキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;アルコキシ基、フェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR 85 基;−NR 86 87 基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいスルファモイル基;アルコキシ基、水酸基、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいフェニル基;アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基または水酸基を有していてもよいアリールオキシ基;−O−COR 89 基より選ばれる。R 85 〜R 87 は前記R 21 におけるR 85 〜R 87 と同義であり、R 89 はR 88 と同義である。
uは0〜3の整数を表す。)〕
本発明によれば、偏光膜などの異方性膜に有用な、主に短波長領域で二色性が高く、耐久性に優れた化合物を提供することができる。
以下に本発明の異方性膜用化合物の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
本発明の異方性膜用化合物が適用される異方性膜とは、色素等の化合物を含有する膜の厚み方向および任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。
本明細書において単に異方性膜という場合には、本発明の異方性膜用化合物を含有する層を指し、通常、この層にはさらに低分子材料および/または高分子材料を含有するが、例えば本発明の異方性膜用化合物のみから構成される層であってもよい。
本発明の異方性膜用化合物は、いわゆる色素としての機能も有する化合物であって、本発明の異方性膜用化合物を含有する異方性膜は、色素膜としても機能し得るものである。なお、ここでいう色素とは、一般に、可視光波長領域において吸収を有する化合物を意味する。
本発明の異方性膜用化合物を用いて製造された異方性膜は、主たる効果として吸収異方性を有する機能性膜に用いられることが好ましく、偏光膜に用いられることがより好ましい。
以下、本発明の異方性膜用化合物について詳述する。
なお、本発明において置換基を有していてもよいとは、置換基を1または2以上有していてもよいことを意味する。
また、本明細書において「置換基の炭素数」という場合には、その置換基中に含まれる炭素原子の数を表し、その置換基がさらなる置換基を有している場合には、さらなる置換基に含まれる炭素数も含めたすべての炭素数である。
1.異方性膜用化合物
1−1.式(1)で表される化合物
本発明の異方性膜用化合物は、遊離酸の形が、下記式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0005374940
〔式(1)中、Lは、−(CH=CH)r−基または−(C≡C)s−基を表す。rおよびsは、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。
Arは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
mは0〜3の整数を表す。
pおよびkは、それぞれ独立に、0または1を表すが、pおよびkがともに0になることはない。
は、水素原子または有機基を表す。
は、水素原子、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または下記式(1−a)で表される基を表す。ただし、Xが水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、mは0でない。
Figure 0005374940
(式(1−a)中、Arは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
nは0〜3の整数を表す。)〕
本発明の異方性膜用化合物は、スチルベン部位とアルケニルアミドあるいはアルキニルアミド部位を併せて有するアゾ化合物である。スチルベン部位とアルケニルアミドあるいはアルキニルアミド部位は、剛直で直線性の高い構造でありながら、アゾ化合物のπ電子共役系の伸張への寄与が小さいため、本発明の異方性膜用化合物は、短波長領域に吸収を有しながらも大きいアスペクト比を得ることができ、高い二色性を示す。本発明の異方性膜用化合物は、短波長領域のみならず、それ以外の領域に吸収をもつ化合物としても高い二色性を示す。
<ArおよびAr
式(1)におけるArおよび式(1−a)におけるArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
該フェニレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基などが挙げられるが、分子直線性の観点から1,4−フェニレン基が好ましい。
該ナフチレン基としては、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられるが分子直線性の観点から、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基が好ましく、1,4−ナフチレン基がさらに好ましい。
該複素環基は2価の複素環基であって、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。該複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子が挙げられるが、窒素原子が特に好ましい。該複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても、異なっていてもよい。
該複素環基が単環の複素環由来の基の場合には、分子直線性の観点から、下記式(1−a0)のように、2,5位または3,6位で結合する2価の含窒素芳香族6員環が好ましく、2,5−ピリジンジイル基が特に好ましい。
Figure 0005374940
〔式(1−a0)中、Q〜Qは、それぞれ独立に炭素原子または窒素原子を表すが、Q〜Qの1個または2個が窒素原子であり、残りは炭素原子であり、Q〜Qの炭素原子は置換基を有していてもよい。〕
該複素環基が二環性の複素環由来の基の場合には、分子直線性の観点から下記式(1−a1)で表されるように、連結位置がベンゼン環部位の互いにパラ位にある2価の複素環基が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(1−a1)中、環αは5または6員環の複素環である。環αは式(1−a1)中のベンゼン環と結合して、縮合環を形成する。式(1−a1)で表される基は置換基を有していてもよい。〕
式(1−a1)で表される結合環基としては、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、フタラジンジイル基、キノキサリンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、フタルイミドジイル基等であって、5,8−キノリンジイル基、5,8−イソキノリンジイル基、5,8−フタラジンジイル基、および5,8−キノキサリンジイル基が特に好ましい。
ArおよびArとしては、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基または上記式(1−a1)で表される基が特に好ましい。
{ArおよびArの置換基}
ArおよびArの置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基が挙げられる。
以下にArおよびArが有していてもよい置換基の具体例を挙げる。
置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
置換基を有していてもよいアルコキシ基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよいアルコキシ基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が好ましい。
置換基を有していてもよいアミノ基は、通常、−NH、−NHRα、−NRβγで表され、Rα〜Rγはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該アルキル基および該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
該アシル基は、−CORδで表され、Rδは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。該アルキル基および該アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該アルキル基、該アルコキシ基および該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
ArおよびArの置換基としては、分子直線性、水への溶解性、水素結合等による高分子基材への染着性の点から、置換基を有さないか、或いは置換基としてメチル基、メトキシ基、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基、カルボキシ基、スルホ基、フッ素原子、水酸基、アミノ基またはアセチルアミノ基を有することが好ましく、置換基を有さないか、置換基としてカルボキシ基、スルホ基、メチル基、メトキシ基を有することが特に好ましい。
ArおよびArは、それぞれ、これらの置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよいが、置換基は3つ以下が好ましく、2つ以下が特に好ましい。これらの置換基を2つ以上有する場合には、置換基は環の隣り合う原子に置換しない方が好ましい。
{好ましいArおよびAr
ArおよびArは、分子直線性、水への溶解性、水素結合等による高分子基材への染着性の点から、それぞれ独立に、特に置換基を有していてもよいフェニレンまたは置換基を有していてもよいナフチレン基が好ましく、とりわけ、無置換のフェニレン基、無置換の1,4−ナフチレン基、或いは、置換基として、カルボキシ基、スルホ基、メチル基、メトキシ基、水酸基、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基を有するフェニレン基、或いは、置換基としてカルボキシ基、スルホ基、水酸基を有する1,4−ナフチレン基、または、置換基としてカルボキシ基、スルホ基、水酸基を有する2,6−ナフチレン基が好ましい。
<L
は−(CH=CH)r−基または−(C≡C)s−基を表す。
rおよびsは、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。rとしては、化合物の安定性の点から、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。また、sとしては、化合物の安定性の点から、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。さらに、分子直線性の観点からは、Lは、−(CH=CH)r−基であることが好ましく、とりわけ−(CH=CH)−基であることが好ましい。
<B
式(1−a)におけるBは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
が複素環基である場合、該複素環基は1価の複素環基であり、好ましくは炭素数が通常3以上、通常15以下、好ましくは12以下の複素環基である。
この複素環基としては、具体的には、ピリジン環、ピラゾール環、ピリドン環、キノロン環、キノリン環またはインド−ル環由来の基などが挙げられ、好ましくはピリジン環、キノロン環、キノリン環、ピラゾール環またはピリドン環由来の基である。
{Bの置換基}
が有していてもよい置換基としては、スルホ基、カルボキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいカルボニルオキシ基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
置換基を有していてもよいアルコキシ基は、炭素数が通常1以上、通常15以下、好ましくは13以下、さらに好ましくは9以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基、カルボキシメトキシ基等の置換基を有していてもよいアルコキシ基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が好ましい。
置換基を有していてもよいアミノ基は、通常、−NH、−NHR85、−NR8687で表される。R85〜R87はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常12以下、好ましくは8以下である。R85〜R87のアルキル基、フェニル基に置換していてもよい基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、水酸基などが挙げられる。
該アシル基は、−COR88で表され、R88は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。該アルキル基および該アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは5以下である。該アルケニル基および該アルキニル基は、それぞれ、炭素数が通常2以上、通常18以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常18以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは9以下である。該芳香族複素環基は、炭素数が通常3以上、通常10以下、さらに好ましくは6以下であり、具体的には、置換基を有していてもよいピリジル基などが挙げられる。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基、該フェニル基および該芳香族複素環基に置換していてもよい基としては、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、および置換されていてもよいフェニル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ベンジルアミノ基、4−カルボキシベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、4−スルホフェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリロイルアミノ基、クロトノイルアミノ基、3−カルボキシ−アクリロイルアミノ基、シンナモイルアミノ基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該カルバモイル基に置換していてもよい基としては、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいスルファモイル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該スルファモイル基に置換していてもよい基としては、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいスルファモイル基の具体例としては、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいフェニル基は、炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該フェニル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、3−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールオキシ基を構成するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい、アリール基に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、水酸基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−ナフトキシ基、p−トリルオキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−カルボキシフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルボニルオキシ基は、−O−COR89で表され、R89は上記R88と同様であり、好ましいものもR88と同様である。
置換基を有していてもよいカルボニルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−カルボキシ−アクリロイルアミノ基、3−スルホベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
{Bの置換基の数、位置}
のフェニル基は上記の置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよいが、置換基は3つ以下が好ましい。置換基の置換位置は、置換基が1つの場合にはアゾ基に対して4位に、2つ以上の場合には、そのうち最も嵩高い基がアゾ基に対して4位に置換していることが好ましい。
のナフチル基は上記の置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよいが、置換基は3つ以下が好ましい。置換基の置換位置は、1−ナフチル基の場合、置換基が1つの場合にはアゾ基が置換した位置を1位として4位に、2つ以上の場合には、そのうち最も嵩高い基がアゾ基が置換した位置を1位として4位に置換していることが好ましく、2−ナフチル基の場合、置換基が1つの場合にはアゾ基が置換した位置を2位として6位に、2つ以上の場合には、そのうち最も嵩高い基がアゾ基が置換した位置を2位として6位に置換していることが好ましい。
該Bの芳香族複素環基はこれらの置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよいが、置換基は3つ以下が好ましい。
{好ましいB
は、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基が好ましく、とりわけ、分子直線性の観点からは、置換基として、メチル基、メトキシ基、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、シンナモイルアミノ基、3−カルボキシ−アクリロイルアミノ基のうちの1〜3つを有するフェニル基およびナフチル基が好ましい。
<X
は水素原子または有機基を表す。本発明で言う有機基とは炭素原子を含む基を言い、具体的には、置換基を有していてもよいアルキル基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
該置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは5以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基およびカルボキシ基などが挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
該置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基は、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該アルコキシカルボニル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、フェニル基、およびカルボキシ基などが挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
該置換基を有していてもよいフェニル基は、炭素数が通常6以上、通常15以下、好ましくは12以下である。該フェニル基に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基および置換基を有していてもよいアミノ基などが挙げられる。該置換基を有していてもよいアミノ基の具体例は上記Bの置換基として挙げたものと同様である。該置換基を有していてもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、4−ニトロフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基が挙げられる。
該置換基を有していてもよいナフチル基は、炭素数が通常10以上、通常15以下、好ましくは12以下である。該ナフチル基に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、およびカルボキシ基などが挙げられる。該置換基を有していてもよいナフチル基の具体例としては、2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基等の置換基を有していてもよいナフチル基が挙げられる。
該置換基を有していてもよい複素環基は、1価の複素環基で、通常芳香族複素環基であり、炭素数が通常3以上、通常10以下、好ましくは6以下の芳香族複素環基である。該複素環基に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フェニル基およびカルボキシ基などが挙げられる。該置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、ピリジン環、キノリン環、フラン環由来の基などが挙げられ、好ましくはフラン環由来の基である。
{好ましいX
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、カルボキシ基または水素原子が好ましく、とりわけ、化合物の水溶性の観点からはカルボキシ基が好ましい。二色性および化合物の安定性の観点からは、無置換のフェニル基、または、置換基としてニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、水酸基、シンナモイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基のうち1つを有するフェニル基が好ましい。
<LとXの好ましい組み合わせ>
上記したLとXの組み合わせの中でも、Lが−CH=CH−基であり、Xが置換基を有していてもよいフェニル基であることが、二色性および化合物安定性の観点から好ましく、Xはフェニル基であることがさらに好ましい。また、水溶性の観点からは、Lが−CH=CH−基であり、Xがカルボキシ基であることが好ましい。
これらのうち、さらに好ましい化合物の具体例については、1−2〜4の項においてさらに詳述する。
<X
は水素原子、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または下記式(1−a)で表される基を表す。
Figure 0005374940
の置換基を有していてもよいアミノ基は、通常、−NH、−NHR95、−NR9697で表される。R95〜R97はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。
該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常18以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは9以下である。
95〜R97のアルキル基、フェニル基に置換していてもよい基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、水酸基などが挙げられる。
該アシル基は、−COR98で表され、R98は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。該アルキル基および該アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下である。該アルケニル基および該アルキニル基は、それぞれ、炭素数が通常2以上、通常18以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常18以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは9以下である。該芳香族複素環基は、炭素数が通常3以上、通常10以下、さらに好ましくは6以下であり、具体的には、置換基を有していてもよいピリジル基などが挙げられる。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基、該フェニル基および該芳香族複素環基に置換していてもよい基としては、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、および置換されていてもよいフェニル基などが挙げられる。
の置換基を有していてもよいアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ベンジルアミノ基、4−カルボキシベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、4−スルホフェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリロイルアミノ基、クロトノイルアミノ基、3−カルボキシ−アクリロイルアミノ基、シンナモイルアミノ基などが挙げられる。
としては、二色性の観点からは、分子長が長い上記式(1−a)で表される基が好ましい。
<m>
mは0〜3の整数を表す。ただし、上記Xが水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、mは0でない。
目的とする色調により好ましいmの値は異なるが、主に短波長領域に吸収を有する化合物としては、mは好ましくは0〜2であり、さらに好ましくは、0〜1である。
上記Xが水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、mは0でないが、これは、遊離酸の形が式(1)で表される化合物が可視光波長領域に吸収を有するには、分子中に1以上のアゾ基が必要なためである。
<n>
nは、0〜3の整数を表す。目的とする色調により好ましいnの値は異なるが、主に短波長領域に吸収を有する化合物としては、nは好ましくは0〜1である。
<p、k>
pおよびkはそれぞれ独立に、0または1を表すが、pおよびkがともに0になることはない。pおよびkは、水への溶解度の観点から、ともに1であることが好ましい。
<分子量>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用化合物の分子量としては、遊離酸の形で、500以上が好ましく、また、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下が特に好ましい。
<水溶性>
本発明の異方性膜用化合物は、通常、水溶性の化合物である。
<塩型について>
本発明の異方性膜用化合物は、遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の化合物と遊離酸型の化合物が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)塩型で得られた化合物の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、化合物を遊離酸の形で酸析せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で化合物の酸性基を中和して塩交換する方法。
2)塩型で得られた化合物の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば塩化ナトリウム、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた化合物の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、化合物を遊離酸の形で酸析せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で化合物の酸性基を中和して塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた化合物の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
本発明の異方性膜用化合物の酸性基が遊離酸型をとるか、塩型を取るかは、化合物のpKaと化合物溶液のpHに依存する。そのため、本発明の異方性膜用化合物の酸性基は、遊離酸型、いずれかの塩型、酸性基が2つ以上ある場合には遊離酸型と塩型の混合または2種類以上の塩型の混合など、さまざまな型を取りうる。特に、異方性膜中でのアゾ化合物の酸性基は、後述する異方性膜用組成物の好ましいpHや異方性膜用化合物を含んだ基材の解離性の塩を含む溶液での処理の影響を受けて、異方性膜を作成する工程で用いたものとは異なる塩型をしていることもありうる。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、または有機アミンの塩が挙げられる。
有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。
これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、組成物中に複数種混在していてもよい。
本発明の異方性膜用化合物の酸性基の好ましい型としては、化合物の製造工程、後述する異方性膜用組成物の内容や好ましいpHなどによって異なるが、水に対して高溶解度が必要な場合(例えば、基材への化合物移行能を高めるため、異方性膜用組成物中において高い化合物濃度が必要な場合など)には、リチウム塩、トリエチルアミン塩、水溶性基が置換した有機アミン塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。一方、水に対して低溶解度が必要な場合(例えば、化合物製造工程において化合物溶液から該化合物を析出させたい場合など)には、遊離酸の型、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。
遊離酸の形が前記式(1)で表される異方性膜用化合物の具体例としては、後記式(2)〜(8)に記載の異方性膜用化合物の具体例が挙げられるが、その他にも例えば以下のような異方性膜用化合物が挙げられる。
Figure 0005374940
1−2.式(2)および式(3)で表される化合物
遊離酸の形が上記式(1)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(2)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(2)中、Ar、B、L、X、k、nおよびpは、それぞれ上記式(1)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(2)で表される異方性膜用化合物の中でも、さらに、遊離酸の形が下記式(3)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(3)中、Ar、B、L、Xおよびnは、それぞれ上記式(2)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(2)または(3)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(3−I)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(3−I)中、X、B、Arおよびnは上記式(3)におけると同義である。〕
また、遊離酸の形が下記式(3−II)で表される異方性膜用化合物も好ましい。
Figure 0005374940
〔式(3−II)中、X32は水素原子または有機基を表す。B32は置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。X、Arおよびnは上記式(3−I)におけると同義である。〕
<X32
32は水素原子または有機基を表し、その具体例および好適例は、前述のXの具体例および好適例として挙げたものと同様である。X32はXと同一でも、異なっていてもよいが、合成の容易さの観点からは、同一であることが好ましい。
<B32
32は置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、その具体例および好適例、並びにB32のフェニレン基、ナフチレン基、複素環基が有していてもよい置換基の具体例および好適例は、前述のArおよびArにおけると同様である。
遊離酸の形が上記式(2)または(3)で表される異方性膜用化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例は、遊離酸の形で記載する。
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
1−3.式(4)、式(5)および式(6)で表される化合物
遊離酸の形が上記式(1)で表される異方性膜用化合物の中で、遊離酸の形が下記式(4)で表される異方性膜用化合物も好ましく用いられる。
Figure 0005374940
〔式(4)中、Ar、Ar、B、L、X、k、nおよびpは、それぞれ上記式(1)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(4)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(4−I)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(4−I)中、X、Ar、Ar、Bおよびnは上記式(4)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(4)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(5)で表される異方性膜用化合物も好ましい。
Figure 0005374940
〔式(5)中、B12は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
は−(CH=CH)r'−基または−(C≡C)s'−基を表す。r'およびs'はそれぞれ独立に1〜5の整数を表す。
は水素原子または有機基を表す。
Ar、L、X、pおよびkは、それぞれ上記式(4)におけると同義である。〕
<L
式(5)において、Lは、−(CH=CH)r'−基または−(C≡C)s'−基を表し、r'およびs'は、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。これらの具体例および好ましい例としては、前記Lの具体例および好ましい例として挙げたものと同様である。
<B12
式(5)において、B12は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。これらの具体例および好ましい例としては、前記ArおよびArの具体例および好ましい例として挙げたものと同様である。
<X
式(5)において、Xは水素原子または有機基を表す。Xの具体例および好ましい例としては、前記Xの具体例および好ましい例として挙げたものと同様である。
遊離酸の形が上記式(5)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(6)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(6)中、Ar11は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。
13は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。
およびXは、それぞれ上記式(5)におけると同義である。〕
<Ar11
式(6)において、Ar11は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。Ar11の好ましい置換基の例は、Arにおける置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基の場合と同様である。
<B13
式(6)において、B13は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。B13の好ましい置換基の例は、Arにおける置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基の場合と同様である。
遊離酸の形が上記式(4)、式(5)または式(6)で表される異方性膜用化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例は、遊離酸の形で記載する。
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
1−4.式(7)および式(8)で表される化合物
遊離酸の形が上記式(1)で表される異方性膜用化合物の中で、遊離酸の形が下記式(7)で表される異方性膜用化合物も好ましく用いられる。
Figure 0005374940
〔式(7)中、X12は、水素原子、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
およびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
jは0〜2の整数を表す。
、X、kおよびpは、それぞれ上記式(1)におけると同義である。〕
<X12
式(7)において、X12は、水素原子、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
置換基を有していてもよいアミノ基は、通常、−NH、−NHR51、−NR5253で表され、R51〜R53はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。
該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常18以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは9以下である。
該アシル基は、−COR54で表され、R54は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R54としての該アルキル基および該アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。R54としての該アルキル基、該アルコキシ基および該フェニル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基(通常、炭素数1〜4)、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、アミノ基(具体的には上記−NH、−NHR51、−NR5253で表されるようなアミノ基)およびハロゲン原子などが挙げられる。
上記R51〜R53のアルキル基、フェニル基またはアシル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
12としては、特に、水素原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンゼン環に置換基を有していてもよいベンゾイルアミノ基が好ましい。
<AおよびA
式(7)において、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
およびAの具体例および好適例は、前述のArおよびArの具体例および好適例として挙げたものと同様である。
<j>
式(7)において、jは0〜2の整数を表す。目的とする色調により好ましいjの値は異なるが、主に短波長領域に吸収を有する化合物としては、jは好ましくは0〜1である。
遊離酸の形が上記式(7)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(8)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(8)中、X、X12、A、A、Lおよびjは、それぞれ上記式(7)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(8)で表される異方性膜用化合物の中でも、遊離酸の形が下記式(8−I)で表される異方性膜用化合物が好ましい。
Figure 0005374940
〔式(8−I)中、X12、A、A、Xおよびjは上記式(8)におけると同義である。〕
遊離酸の形が上記式(7)または式(8)で表される異方性膜用化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例は、遊離酸の形で記載する。
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
Figure 0005374940
2.式(9)で表される化合物
本発明の化合物は、遊離酸の形が、下記式(9)で表される新規化合物であり、異方性膜用化合物としての用途に好適である。
Figure 0005374940
〔式(9)中、Ar21は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
hは1〜5の整数を表す。
tは0〜3の整数を表す。
21は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、カルボキシ基または水素原子を表す。
22は、水素原子、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または下記式(9−a)で表される基を表す。ただし、X22が水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、tは0でない。
Figure 0005374940
(式(9−a)中、Ar22は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
22は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
uは0〜3の整数を表す。)〕
<Ar21およびAr22
Ar21および式(9−a)におけるAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、その具体例および好適例、並びに、Ar21およびAr22のフェニレン基、ナフチレン基、複素環基が有していてもよい置換基の具体例および好適例は、それぞれ独立に、前述のArおよびArにおけると同様である。
<B22
式(9−a)におけるB22は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、その具体例および好適例、並びに、B22のフェニル基、ナフチル基、複素環基が有していてもよい置換基の具体例および好適例、置換基の数や置換基の位置は前述のBにおけると同様である。
<R21
21は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、カルボキシル基または水素原子を表し、このうち、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアルキル基の具体例および好適例、並びに、R21のフェニル基、アルキル基が有していてもよい置換基の具体例および好適例は、前述のXにおけると同様である。
<X22
22は、水素原子、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、または下記式(9−a)で表される基を表す。
Figure 0005374940
22の具体例および好適例、並びにX22の置換基を有していてもよいアミノ基の具体例および好適例、並びに、アミノ基が有していてもよい置換基の具体例および好適例は、前記Xの置換基を有していてもよいアミノ基におけると同様である。
<t>
tは0〜3の整数を表す。ただし、上記X22が水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、tは0でない。
目的とする色調により好ましいtの値は異なるが、主に短波長領域に吸収を有する化合物としては、tは好ましくは0〜2であり、さらに好ましくは、0〜1である。
上記X22が水素原子、ニトロ基、または置換基を有していてもよいアミノ基のとき、tは0でないが、これは、遊離酸の形が式(9)で表される化合物が可視光波長領域に吸収を有するには、分子中に1以上のアゾ基が必要なためである。
<u>
uは、0〜3の整数を表す。目的とする色調により好ましいuの値は異なるが、主に短波長領域に吸収を有する化合物としては、uは好ましくは0〜1である。
<h>
hは1〜5の整数を表す。hは好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
<hとR21の好ましい組み合わせ>
上記したhとR21の組み合わせの中でも、hが1で、R21が置換基を有していてもよいフェニル基であることが、二色性および化合物安定性の観点から好ましく、R21はフェニル基であることがさらに好ましい。また水溶性の観点からは、hが1で、R21がカルボキシ基であることが好ましい。
<Xとtの好ましい組み合わせ>
遊離酸の形が上記式(9)で表される化合物の中でも、Xおよびtが次の組み合わせである化合物が好ましい。
(I)tが0で、X22が前記式(9−a)で表される基である化合物が好ましい。この場合、hが1であることが好ましい。R21はカルボキシ基、または置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、カルボキシ基または無置換のフェニル基であることが特に好ましい。
(II)tが1で、X22が前記式(9−a)で表される基である化合物が好ましい。この場合、hが1であることが好ましい。R21はカルボキシ基、または置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、カルボキシ基または無置換のフェニル基であることが特に好ましい。
(III)tが1〜3で、X22が水素原子、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基である化合物が好ましい。この場合、hが1であることが好ましい。X22は、分子直線性の観点から、ニトロ基、アミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基または4−フェニルベンゾイルアミノ基であることが好ましい。
<分子量>
遊離酸の形が前記式(9)で表される本発明の化合物の分子量としては、遊離酸の形で、500以上、また、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下が特に好ましい。
<水溶性>
遊離酸の形が前記式(9)で表される本発明の化合物は、通常、水溶性の化合物である。
<塩型について>
遊離酸の形が前記式(9)で表される本発明の化合物は、遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の化合物と遊離酸型の化合物が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、塩の種類、その好適例等については、前述の本発明の異方性膜用化合物における塩型についての記載の通りである。
<具体例>
遊離酸の形が前記式(9)で奏される本発明の化合物の具体例としては、遊離酸の形が上記式(1)から(8)で表される異方性膜用化合物の具体例として例示したもののうち、式(9)の条件を満たすものが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
3.化合物の合成方法
遊離酸の形が前記式(1)〜(8)で表される本発明の異方性膜用化合物、および遊離酸の形が前記式(9)で表される本発明の化合物は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。
3−1.式(2)および式(3)で表される化合物の合成方法
例えば、遊離酸の形が前記(2−1)で示される化合物は、下記〈1〉〜〈3〉の工程に従って製造することができる。
〈1〉4−アミノ−4´−ニトロスチルベン−2,2´−ジスルホン酸ナトリウムをN−メチル−2−ピロリドンに室温にて溶解し、桂皮酸クロリドと炭酸ナトリウムを添加、室温にて2時間アシル化を行う。反応終了後、水に排出し、塩析によりアシル化物を取り出す。
〈2〉得られたアシル化物を水に溶解し、60〜70℃に昇温、水硫化ナトリウムを添加し、還元反応を行う。反応終了後、室温まで降温し、塩析により還元された化合物を取り出す。
〈3〉得られた化合物を常法{例えば細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁〜第409頁参照}に従ってジアゾ化し、フェノールにカップリングさせることにより遊離酸の形が前記(2−1)で示される化合物をナトリウム塩として得る。
なお、遊離酸の形が前記式(9)で表される本発明の化合物についても、同様の方法で合成することができる。
3−2.式(4)、式(5)および式(6)で表される化合物の合成方法
例えば、下記式(4−4a)で示される化合物は、下記(A)、(B)の工程で製造することができる。
Figure 0005374940
(A)4,4'−ジアミノスチルベン−2,2'−ジスルホン酸を、常法{例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁〜第409頁参照}に従ってテトラゾ化し、8−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,7−クレーブ酸)と酸性条件下でカップリングを行った後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、下記式(4−4b)で表される化合物を得る。
Figure 0005374940
(B)上記化合物(4−4b)と桂皮酸クロリドを、N−メチル−2−ピロリドン中、炭酸ナトリウムの存在下で反応させることにより、目的の上記式(4−4a)で表される化合物を得る。
3−3.式(7)および式(8)で表される化合物の合成方法
例えば、遊離酸の形が前記式(7−1)で示される化合物は、下記の(i)〜(iv)の工程で製造することができる。
(i) 4−アミノ−4´−ニトロスチルベン−2,2´−ジスルホン酸を、常法{例えば、細田豊著「新染料化学」昭和48年12月21日,技報堂発行,p.396〜p.409参照}に従って、ジアゾ化し、アニリン−ω−メタンスルホン酸とカップリング反応を行う。
(ii) 次に、可性ソーダを添加し、60〜70℃で加水分解反応を行う。その後、反応液を塩析濾過してモノアゾ化合物を得る。
(iii) 得られたモノアゾ化合物をN−メチル−2−ピロリドンに分散し、脱酸剤として炭酸ナトリウムを加え、70〜80℃に昇温し、ケイ皮酸クロリドを添加してアシル化を行う。
(iv) 反応終了後、水に排出し、塩析濾過することにより遊離酸の形が前記式(7−1)で示される化合物をナトリウム塩として得る。
4.異方性膜用組成物
異方性膜を製造するにあたって、異方性膜用組成物を用いることができる。
異方性膜用組成物は、本発明の異方性膜用化合物と、通常さらに溶剤を含有し、本発明の化合物が溶剤に溶解もしくは分散されたものである。
なお、異方性膜用組成物中または以下に詳述する異方性膜において、本発明の異方性膜用化合物は1種を単独で使用することができるが、本発明の異方性膜用化合物を2種以上組み合わせて使用したり、ヨウ素や公知の二色性化合物等の他の二色性物質を組み合わせて使用することもできる。さらに、製造される異方性膜に所望の性能を与えたり、製造に好適な組成物とするために、種々の溶剤、添加剤等を適宜組み合わせて使用することができる。更には配向を低下させない程度に紫外線吸収化合物や近赤外線吸収化合物などの他の化合物と混合して用いることができる。これにより、異方性膜の耐久性の向上、色相の補正、偏光性能の向上を図ると共に、各種の色相を有する異方性膜を製造することができる。
異方性膜用組成物に用いる溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶剤等の単独または2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらの溶剤に本発明の異方性膜用化合物を溶解する場合の濃度としては、化合物の溶解性や会合状態の形成濃度にも依存するが、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
また、異方性膜用組成物は、本発明の異方性膜用化合物の溶解性向上等のため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用可能である。その添加濃度は通常0.01重量%以上、10重量%以下が好ましい。
さらに、本発明に係る異方性膜用組成物は、基材への染着性などの向上ため、必要に応じて添加剤を用いることができる。具体的には、浅原照三編「新染料加工講座 第7巻 染色II」共立出版株式会社、1972年6月15日発行、233頁から251頁や山下雄也、根本嘉郎共著「高分子活性剤と染色助剤の界面化学」株式会社誠文堂新光社、1963年9月5日発行、94頁から173頁などに記載の繊維用染色に用いられる染色助剤、およびその手法や前述の界面活性剤、アルコール類、グリコール類、尿素、塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩などである。その添加濃度は通常0.01重量%以上、10重量%以下が好ましい。
5.異方性膜
本発明の異方性膜用化合物を用いて異方性膜を製造することができる。
この異方性膜は、本発明の異方性膜用化合物の他に、必要に応じてその他の化合物、例えば、公知の青色二色性染料、ヨウ素等や上記のような界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。もちろん、本発明の異方性膜用化合物で表される化合物同士を組み合わせて含有していてもよい。
異方性膜の作製方法としては、次の(a)〜(d)の方法などが挙げられる。
(a)延伸したポリビニルアルコールなどの高分子基材を、本発明の異方性膜用化合物を含有する溶液(異方性膜用組成物)等で染色する方法
(b)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、本発明の異方性膜用化合物を含有する溶液(異方性膜用組成物)等で染色した後、延伸する方法
(c)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、本発明の異方性膜用化合物を含有する溶液(異方性膜用組成物)等の溶液に溶解し、フィルム状に成膜した後に延伸する方法
(d)本発明の異方性膜用化合物を適当な溶剤に溶解して、成膜用(異方性膜形成用)組成物を調製し、この成膜用組成物を用いてガラス板などの各種基材表面に湿式成膜法にて成膜し、組成物中に含まれる異方性膜用化合物を配向・積層させる方法
本発明においては上記(a)〜(d)のいずれを用いてもよいが、(a)〜(c)を用いるのが特に好ましい。
以下に、本発明の異方性膜用化合物を用いて異方性膜を製造する方法について説明するが、特に、本発明の異方性膜用化合物において好ましく用いられる上記(a)〜(c)の方法により異方性膜を作製する場合の組成物について詳述する。
なお、上記(d)の方法により異方性膜を作製する方法や、その場合に用いられる組成物については、公知の方法および組成物を適宜用いることができるが、例えば、国際公開第2006/107035号パンフレット等に記載の方法および組成物等が挙げられる。
本発明の異方性膜用化合物を用いて、異方性膜を形成する場合、例えば前記(a)〜(c)のいずれの方法においても、本発明の異方性膜用化合物を適当な溶剤に溶解して使用する。溶剤としては、前記異方性膜用組成物に含有する溶剤が挙げられる。
なお、前記(a)、(b)の方法における本発明の異方性膜用化合物を含有する溶液で染色する基材や、前記(c)の方法において本発明の異方性膜用化合物とともに延伸されてなる基材としては、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールなど、本発明の異方性膜用化合物との親和性の高い高分子材料が好ましい。
ポリビニルアルコールの種類としては、一般的に高分子量かつ高ケン化度のものが、偏光度や二色性などの光学特性の観点から好ましいが、温湿度による収縮による欠陥を抑止することや光学特性と耐環境性能の両立を図るなどの目的から、二色性物質の種類とポリビニルアルコールのケン化度や変性度(疎水性共重合成分比)を適宜調整したポリビニルアルコール誘導体を選択することができる。
高分子材料と本発明の異方性膜用化合物の相互作用を制御する具体的手法としては、高分子材料と本発明の異方性膜用化合物の各々にプロトン供与性の−OH,−NH,−NHR,−NHCO−,−NHCONH−などに対し、プロトン受容性の−N=N−,−OH,−NH,−NRR′,−OR,−CN,−C≡C−およびフェニル基やナフチル基などの芳香環を官能基として組み合わせることにより、有効なものにすることができる(RおよびR′は任意の置換基である)。さらに官能基の密度を調整することで、二色性や染着性の向上に効果が得られる。
前記(a)〜(c)の方法における、染色および成膜並びに延伸は、一般的な下記の方法で行うことができる。
上記の異方性膜用組成物および必要に応じて塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩、界面活性剤等の染色助剤を加えた染浴中に、通常35℃以上、通常80℃以下で、通常10分以下、高分子フィルムを浸漬して染色し、次いで必要に応じてホウ酸処理し、乾燥する。あるいは、高分子重合体を水および/またはアルコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド等の親水性有機溶媒に溶解し、本発明に係る異方性膜用組成物を添加して原液染色を行い、この染色原液を流延法、溶液塗布法、押出法等により成膜して染色フィルムを作成する。溶媒に溶解させる高分子重合体の濃度としては、高分子重合体の種類によっても異なるが、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上程度で、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下程度である。また、溶媒に溶解する本発明の異方性膜用化合物の濃度としては、高分子重合体に対して通常0.1重量%以上、好ましくは0.8重量%以上程度で、通常5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下程度である。
上記のようにして染色および成膜して得られた未延伸フィルムは、適当な方法によって一軸方向に延伸する。延伸処理することによって本発明の異方性膜用化合物分子が配向し、二色性が発現する。一軸に延伸する方法としては、湿式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にてロール間圧縮延伸を行う方法等があり、いずれの方法を用いて行ってもよい。延伸倍率は2倍以上、9倍以下にて行われるが、高分子重合体としてポリビニルアルコールおよびその誘導体を用いた場合は3倍以上、6倍以下の範囲が好ましい。
延伸配向処理したあとで、該延伸フィルムの耐久性向上と偏光度向上の目的でホウ酸処理を実施する。ホウ酸処理により、異方性膜の光線透過率と偏光度が向上する。ホウ酸処理の条件としては、用いる親水性高分子重合体および本発明の異方性膜用化合物の種類によって異なるが、一般的にはホウ酸濃度としては、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上程度で、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下程度である。また、処理温度としては通常30℃以上、好ましくは50℃以上で、通常80℃以下の範囲にあることが望ましい。ホウ酸濃度が1重量%未満であるか、処理温度が30℃未満の場合は、処理効果が小さく、また、ホウ酸濃度が15重量%を超えるか、処理温度が80℃以上を超える場合は異方性膜がもろくなることがある。
(a)〜(c)の方法により得られる異方性膜の膜厚は通常50μm以上、特に80μm以上で、200μm以下が好ましく、特に100μm以下であることが好ましい。
本発明の異方性膜用化合物は、短波長領域における二色性の改良に特に優れた効果を示し、さらに、短波長領域のみならず吸収のある領域全体において高い二色性を示すものである。ここで、短波長領域とは、通常380nm〜500nm付近の領域を指し、本発明の異方性膜用化合物はこの領域において吸収を有し、高い二色性を発現することを一つの特徴としている。ただし、該化合物はより長波長側にも吸収を有していてもよく、また、吸収の極大値は短波長領域にあってもよいし、短波長領域になくてもよい。上記領域に吸収を有し、高い二色性を発現するものであれば、好ましく用いることができる。
本発明の異方性膜用化合物を含有する異方性膜は、光吸収の異方性を利用し、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能するほか、膜形成プロセスと基材や本発明の異方性膜用化合物を含有する組成物の選択により、屈折率異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に適用可能な偏光素子とすることができる。
該異方性膜を偏光素子として使用する場合、前記(a)〜(c)に代表される方法で作成された異方性膜そのものを使用してもよく、また該異方性膜上に保護層、粘着層、反射防止層、位相差層など、様々な機能をもつ層を積層形成し、積層体として使用してもよい。
本発明の異方性膜を基板上に形成して偏光素子として使用する場合、形成された異方性膜そのものを使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開平2−59703号公報、特開平4−230704号公報などに記載の延伸処理を施したり、特開平7−230007号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
本発明の異方性膜用化合物を用いた異方性膜は、広範囲な色表現が可能で、高耐熱性の偏光素子を得ることができるという点から、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイだけでなく液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に好適にも使用することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、二色比は、プリズム偏光子を入射光学系に配した分光光度計で異方性膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
[実施例1]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部をN−メチルピロリドン90重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、および桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取した。このものを水115重量部に懸濁させ、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、塩析により下記式(2−1a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−1a)で表される化合物のナトリウム塩5重量部を水100重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム0.73重量部を加えてジアゾ化し、フェノール0.94重量部とアルカリ性条件下カップリングし、塩析することにより、目的とする下記式(2−1)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は386nmであった。
Figure 0005374940
[実施例2]
実施例1と同様に、4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウムを桂皮酸でアシル化し、同様に水硫化ナトリウムで還元反応を行って、前記式(2−1a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。次いで、同様にジアゾ化反応を行い、o−クレゾール1.08重量部とアルカリ性条件下にカップリングし、塩析することにより、目的とする下記式(2−2)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は389nmであった。
Figure 0005374940
[実施例3]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部を水90重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1.5重量部を加えてジアゾ化し、フェノール1.9重量部とアルカリ性条件下カップリングし、塩析することにより、下記式(2−3a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−3a)で表される化合物のナトリウム塩5重量部を水100重量部溶解した。次いで水酸化ナトリウム4重量部とジメチル硫酸2重量部を加え、90℃で6時間反応した。反応終了後、塩析することにより生じた沈殿を濾取した。このものを水100重量部に懸濁させ、水硫化ナトリウム(70%品)1.2重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、塩析により下記式(2−3b)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−3b)で表される化合物のナトリウム塩5.3重量部をN−メチルピロリドン50重量部に溶解し、炭酸ナトリウム0.6重量部、および桂皮酸クロリド2.5重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−3)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は363nmであった。
Figure 0005374940
[実施例4]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部を水90重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1.5重量部を加えてジアゾ化し、アニリン−ω−メタンスルホン酸ナトリウム4.2重量部と酸性条件下、カップリングした。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加し、60℃に昇温し、強アルカリ性で加水分解反応を行った。反応終了後、塩酸で中性にした後、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、塩析することにより、下記式(2−6a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−6a)で表される化合物のナトリウム塩4.7重量部をN−メチルピロリドン50重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、および桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−6)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は400nmであった。
Figure 0005374940
[実施例5]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部を実施例4と同様にジアゾ化し、m−トルイジン2.2重量部と酸性条件下、カップリングした。反応終了後、このものを水150重量部に懸濁し、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、塩析することにより、下記式(2−60a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−60a)で表される化合物のナトリウム塩4.9重量部をN−メチルピロリドン50重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−60)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は407nmであった。
Figure 0005374940
[実施例6]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部を実施例4と同様にジアゾ化し、1−アミノナフタレン−8−スルホン酸(ペリ酸)4.5重量部と酸性条件下、カップリングした。反応終了後、塩析により化合物を取り出した。このものを水250重量部に懸濁し、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、塩析することにより、下記式(2−25a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−25a)で表される化合物のナトリウム塩6.3重量部をN−メチルピロリドン80重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、および桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で1時間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−25)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は420nmであった。
Figure 0005374940
[実施例7]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9重量部を実施例4と同様にジアゾ化し、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7クレーブ酸)4.5重量部と酸性条件下、カップリングした。反応終了後、塩析により化合物を取り出した。このものを水250重量部に懸濁し、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で1時間反応した。反応終了後、塩析することにより、下記式(2−26a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−26a)で表される化合物のナトリウム塩6.3重量部をN−メチルピロリドン80重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、および桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で1時間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−26)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は415nmであった。
Figure 0005374940
[実施例8]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9
重量部を実施例4と同様にジアゾ化し、5−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,6−クレーブ酸)4.5重量部と酸性条件下、カップリングした。反応終了後、塩析により化合物を取り出した。このものを水250重量部に懸濁し、水硫化ナトリウム(70%品)2.4重量部を加え、60℃で1時間反応した。反応終了後、塩析することにより、下記式(2−27a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(2−27a)で表される化合物のナトリウム塩6.3重量部をN−メチルピロリドン80重量部に溶解し、炭酸ナトリウム1.6重量部、および桂皮酸クロリド5.0重量部を加え、60℃で1時間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(2−27)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は415nmであった。
Figure 0005374940
[実施例9]
蒸留水100重量部に、下記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩0.05重量部と無水硫酸ナトリウム0.02重量部を加えて攪拌溶解し、染色液とした。ポリビニルアルコールフィルム(OPLフィルム、日本合成化学工業社製、膜厚75μm)を、50℃のこの染色液に1分間浸漬して染色し、50℃の水浴で余剰の染料を洗浄した後、50℃の4重量%ホウ酸水溶液中で6倍に延伸した。延伸後、室温の水浴中で余剰のホウ酸を洗浄し、送風乾燥することで厚さ30μmの異方性膜を得た。
この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例10]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−2)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例11]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−3)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例12]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−6)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例13]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−60)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例14]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−25)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例15]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−26)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例16]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(2−27)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 0005374940
[比較例1]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、脱塩精製した東京化成社製「クリソフェニン(CI−24895)(下記構造式)」を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、二色性が不十分であることが分かった。
Figure 0005374940
[比較例2]
前記式(2−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(B−1)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例9と同様の方法を用いて異方性膜を得た。この異方性膜の最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、二色性が不十分であることが分かった。
Figure 0005374940
Figure 0005374940
[実施例17]
4,4'−ジアミノスチルベン−2,2'−ジスルホン酸23重量部を水500重量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム10重量部を加えてジアゾ化し、8−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,7−クレーブ酸)27重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(4−4’)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(4−4’)で表される化合物のナトリウム塩9重量部をN−メチルピロリドン200重量部に懸濁し、炭酸ナトリウム3重量部、桂皮酸クロリド5重量部を加え、60℃で2時間反応し、目的とする、下記式(4−4)で表される化合物をナトリウム塩として得た。この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は444nmであった。
Figure 0005374940
[実施例18]
4,4'−ジアミノスチルベン−2,2'−ジスルホン酸29重量部を水625重量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム11重量部を加えてジアゾ化し、5−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,6−クレーブ酸)34重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(4−5’)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(4−5’)で表される化合物のナトリウム塩9重量部をN−メチルピロリドン200重量部に懸濁し、炭酸ナトリウム3重量部、桂皮酸クロリド5重量部を加え、60℃で2時間反応し、目的とする下記式(4−5)で表される化合物をナトリウム塩として得た。この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は434nmであった。
Figure 0005374940
[実施例19]
4−アミノ−4'−ニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸二ナトリウム33重量部を水670重量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム7重量部を加えてジアゾ化し、m−トルイジン8重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(4−29a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(4−29a)で表される化合物のナトリウム塩30重量部をN−メチルピロリドン600重量部に懸濁し、炭酸ナトリウム9重量部、桂皮酸クロリド13重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応後、食塩水を系に加え、生じた沈殿を濾取した。このケーキを水1250重量部に懸濁させ、水硫化ナトリウム(70%品)を8重量部加え、60℃で1時間反応することにより下記式(4−29b)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記下記式(4−29b)で表される化合物のナトリウム塩31重量部を水300重量部とN−メチルピロリドン160重量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム2重量部を加えてジアゾ化し、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(1,7−クレーブ酸)6重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(4−29c)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記下記式(4−29c)で表される化合物のナトリウム塩10重量部を水70重量部とN−メチルピロリドン160重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1重量部を加えてジアゾ化し、m−クレゾール2重量部とアルカリ性条件下、カップリングすることにより、目的とする下記式(4−29)で表される化合物をナトリウム塩として得た。この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は461nmであった。
Figure 0005374940
[実施例20]
蒸留水100重量部に、前記式(4−4)で表される化合物のナトリウム塩0.05重量部と無水硫酸ナトリウム0.02重量部を加えて攪拌溶解し、染色液とした。日本合成化学工業社製のポリビニルアルコールフィルム(OPLフィルム)を、50℃のこの染色液に表2に記載した時間浸漬して染色し、50℃の水浴で余剰の染料を洗浄した後、50℃の4重量%ホウ酸水溶液中で6倍に延伸した。延伸後、室温の水浴中で余剰のホウ酸を洗浄し、送風乾燥することで厚さ30μmの異方性膜を得た。
この異方性膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
[実施例21]
前記式(4−4)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、前記式(4−5)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例20と同様の方法を用いて異方性膜を得た。
この異方性膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
[実施例22]
前記式(4−4)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、前記式(4−29)で表される化合物のナトリウム塩を用い、表2に記載した染色時間としたこと以外は、実施例20と同様の方法を用いて異方性膜を得た。
この異方性膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
[比較例3]
前記式(4−4)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、脱塩精製した東京化成社製「クリソフェニン(CI−24895)」を用いたこと以外は、実施例20と同様の方法を用いて異方性膜を得た。
この異方性膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、二色性が不十分であることが分かった。
Figure 0005374940
[実施例23]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9
重量部を水90重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1.5重量部を加えてジアゾ化し、アニリン−ω−メタンスルホン酸ナトリウム4.2重量部と酸性条件下カップリングした。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加し、60℃に昇温し強アルカリ性で加水分解反応を行った。反応終了後、塩酸で中性にした後、塩析することにより、下記式(7−1a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(7−1a)で表される化合物のナトリウム塩5.2重量部をN−メチルピロリドン50重量部に溶解し、炭酸ナトリウム0.6重量部、および桂皮酸クロリド2.5重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(7−1)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は397nmであった。
Figure 0005374940
[実施例24]
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム8.9
重量部を水90重量部に溶解した。塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1.5重量部を加えてジアゾ化し、アニリン−ω−メタンスルホン酸ナトリウム4.2重量部と酸性条件下カップリングした。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加し、60℃に昇温し強アルカリ性で加水分解反応を行った。反応終了後、塩酸で中性にした後、塩析することにより、下記式(7−2a)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
Figure 0005374940
上記式(7−2a)で表される化合物のナトリウム塩5.2重量部をN−メチルピロリドン50重量部に溶解し、炭酸ナトリウム0.6重量部、および桂皮酸クロリド2.5重量部を加え、60℃で30分間反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取した。このものを水100重量部に懸濁させ、水硫化ナトリウム(70%品)1.2重量部を加え、60℃で30分反応した。反応終了後、水に排出し、塩析することにより生じた沈殿を濾取することにより、目的とする下記式(7−2)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中の極大吸収波長(λmax)は403nmであった。
Figure 0005374940
[実施例25]
蒸留水100重量部に、下記式(7−1)で表される化合物のナトリウム塩0.05重量部と無水硫酸ナトリウム0.02重量部を加えて攪拌溶解し、染色液とした。ポリビニルアルコールフィルム(OPLフィルム)を、50℃のこの染色液に1分間浸漬して染色し、50℃の水浴で余剰の染料を洗浄した後、50℃の4重量%ホウ酸水溶液中で6倍に延伸した。延伸後、室温の水浴中で余剰のホウ酸を洗浄し、送風乾燥することで厚さ30μmの異方性膜を得た。
この異方性膜の最大吸収波長は420nmであり、その波長での単体透過率は40.9%、二色比は49.1であり、高い二色性を有していた。
Figure 0005374940
[実施例26]
前記式(7−1)で表される化合物のナトリウム塩の代りに、下記式(7−2)で表される化合物のナトリウム塩を用いたこと以外は、実施例25と同様の方法を用いて異方性膜を得た。
この異方性膜の最大吸収波長は415nmであり、その波長での単体透過率は44.2%、二色比は37.1であり、高い二色性を有していた。
Figure 0005374940

Claims (6)

  1. 遊離酸の形が、下記式()で表されることを特徴とする、異方性膜用化合物。
    Figure 0005374940
    〔式()中、Lは、−(CH=CH)r−基を表す。rは、1〜5の整数を表す。
    Arは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    Ar の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR α 基、−NR β γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;水酸基より選ばれる。
    α 〜R γ はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;または−COR δ 基を表し、
    δ は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
    pおよびkは、それぞれ独立に、0または1を表すが、pおよびkがともに0になることはない。
    は、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、−NH 基、−NHR 85 基、または−NR 86 87 基を有していてもよいフェニル基を表し、
    85 〜R 87 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 88 基を表し、
    85 〜R 87 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、または水酸基を有していてもよいフェニル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
    88 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    Ar はAr と同義である。
    は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    の該フェニル基、該ナフチル基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、スルホ基;カルボキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;アルコキシ基、フェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR 85 基;−NR 86 87 基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいスルファモイル基;アルコキシ基、水酸基、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいフェニル基;アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基または水酸基を有していてもよいアリールオキシ基;−O−COR 89 基より選ばれる。R 85 〜R 87 は前記X におけるR 85 〜R 87 と同義であり、R 89 はR 88 と同義である。
    nは0〜3の整数を表す。)〕
  2. 上記式(4)が下記式(5)で表されることを特徴とする、請求項に記載の異方性膜用化合物。
    Figure 0005374940
    〔式(5)中、B12は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。 12 の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、上記式(4)のAr のフェニレン基、ナフチレン基及び複素環基が有していてもよい置換基より選ばれる。
    は−(CH=CH)r'−基を表す。r'は1〜5の整数を表す。
    上記式(4)のX と同義である。
    Ar、L、X、pおよびkは、それぞれ上記式(4)におけると同義である。〕
  3. 上記式(5)が下記式(6)で表されることを特徴とする、請求項に記載の異方性膜用化合物。
    Figure 0005374940
    〔式(6)中、Ar11は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。
    13は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよい1,4−ナフチレン基を表す。
    Ar 11 及びB 13 の該1,4−フェニレン基及び該1,4−ナフチレン基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、上記式(4)のAr のフェニレン基及びナフチレン基が有していてもよい置換基より選ばれる。
    およびXは、それぞれ上記式(5)におけると同義である。〕
  4. 式(7)で表されることを特徴とする異方性膜用化合物。
    Figure 0005374940
    〔式(7)中、X12は、水素原子、ニトロ基、−NH 基、−NHR 51 基;−NR 52 53 基を表す。
    51 〜R 53 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいアシル基を表し、
    51 〜R 53 の該アルキル基、該フェニル基及び該アシル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子より選ばれる。
    およびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    およびA の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR α 基、−NR β γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;水酸基より選ばれる。
    α 〜R γ はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;または−COR δ 基を表し、
    δ は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
    は、−(CH=CH)r−基を表す。rは、1〜5の整数を表す。
    pおよびkは、それぞれ独立に、0または1を表すが、pおよびkがともに0になることはない。
    は、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、−NH 基、−NHR 85 基、−NR 86 87 基を有していてもよいフェニル基を表し、
    85 〜R 87 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 88 基を表し、
    85 〜R 87 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、または水酸基を有していてもよいフェニル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
    88 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    jは0〜2の整数を表す。〕
  5. 上記式(7)が下記式(8)で表されることを特徴とする、請求項に記載の異方性膜用化合物。
    Figure 0005374940
    〔式(8)中、X、X12、A、A、Lおよびjは、それぞれ上記式(7)におけると同義である。〕
  6. 遊離酸の形が、下記式(9)で表されることを特徴とする化合物。
    Figure 0005374940
    〔式(9)中、Ar21は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    hは1〜5の整数を表す。
    tは0〜3の整数を表す。
    21は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、−NH 基、−NHR 85 基又は−NR 86 87 基を有していてもよいフェニル基を表す。
    85 〜R 87 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 88 基を表し、
    85 〜R 87 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、または水酸基を有していてもよいフェニル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
    88 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    22は、水素原子、ニトロ基、−NH 基、−NHR 95 基、−NR 96 97 または下記式(9−a)で表される基を表す。ただし、X22が水素原子、ニトロ基、−NH 基、−NHR 95 基及び−NR 96 97 のとき、tは0でない。
    95 〜R 97 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は−COR 98 基を表し、
    95 〜R 97 の該アルキル基及び該フェニル基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基または水酸基を有していてもよいフェニル基;アルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;ハロゲン原子より選ばれる。
    98 は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはフェニル基を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいアルケニル基;同左置換基を有していてもよいアルキニル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;又は同左置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    Figure 0005374940
    (式(9−a)中、Ar22は、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    Ar 21 及びAr 22 の該フェニレン基、該ナフチレン基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR α 基、−NR β γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;水酸基より選ばれる。
    α 〜R γ はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;同左置換基を有していてもよいフェニル基;または−COR δ 基を表し、
    δ は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、同左置換基を有していてもよいアルコキシ基;同左置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
    22は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
    22該フェニル基、該ナフチル基及び該複素環基が有していてもよい置換基は、それぞれ独立に、スルホ基;カルボキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;アルコキシ基、フェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;−NH 基、−NHR 85 基;−NR 86 87 基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基;炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいスルファモイル基;アルコキシ基、水酸基、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいフェニル基;アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基または水酸基を有していてもよいアリールオキシ基;−O−COR 89 基より選ばれる。R 85 〜R 87 は前記R 21 におけるR 85 〜R 87 と同義であり、R 89 はR 88 と同義である。
    uは0〜3の整数を表す。)〕
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