JP5373489B2 - 溶鉄容器のポーラスプラグの洗浄方法 - Google Patents
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Description
このように、取鍋のポーラスプラグを洗浄する技術として、特許文献1や特許文献2に示されるものがある。
特許文献2では、溶融金属容器開閉ノズルにおいて、ガス吹き込み上ノズルの内部で凝固した金属を酸素吹付により発熱せしめて溶解し、除去する際に、5〜30リットル/分の流量で不活性ガスを上ノズルに配したポーラスれんがから吹き込んでいる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ポーラスプラグに通気させる不活性ガスの流量を確実に保証することができる溶鉄容器のポーラスプラグの洗浄方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、製鋼工程にて使用する溶鉄容器のポーラスプラグに、一方から不活性ガスを吹き込むと共に他方から酸素ガスを吹き付けることで、溶鉄容器のポーラスプラグを洗浄する方法において、前記ポーラスプラグの洗浄を行うに際し、酸素ガスを吹き付ける吹き付け工程と、酸素ガスの停止を行う酸素停止工程と、酸素ガスの吹きつけを再開する吹き付け再開工程とを行うものとしており、前記ポーラスプラグに対する不活性ガスの目標通気量をHXとして吹き付け工程を行った際に、ポーラスプラグに流れる不活性ガスの流量が不活性ガスの通気開始から0.5HXに達するまでの時間T1がT1≦60秒である場合には、前記酸素停止工程に移行し、T1>60秒である場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換し、前記酸素停止工程を行った際に、ポーラスプラグに流れる不活性ガスの流量が0.8HXに達するまでの時間T2がT2≦120秒である場合には、前記吹き付け再開工程に移行し、T2>120秒である場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換し、前記不活性ガスの流量が0.8HXに達してから120秒後の通気量をLとして吹き付け再開工程を行った際に、L≧HXである場合には、ポーラスプラグの洗浄を終了し、L<HXである場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換する。
溶鉄容器(取鍋)は、一般的に製鋼工程において、転炉からの溶鋼を受鋼して二次精錬工程へ搬送したり、二次精錬工程を終了した溶鋼を連続鋳造工程に搬送するのに用いられる。この取鍋は、例えば、250ton〜260tonクラスのものであって、鉄皮の内側に耐火物が施工されたものであり、底部にはポーラスプラグが設けられている。このポーラスプラグは、例えば、溶鋼の成分調整や溶鋼の温度を調整するような取鍋精錬を行う際に、内部に装入した溶鋼に対して不活性ガスを吹き込むのに用いられる。
図1に示すように、一般的な取鍋1の底部に設けられるポーラスプラグ2は、鉄(鉄板)により次第に径が大きくなる筒状に形成されたケース3と、このケース3の内壁の略全面に設けられた被膜層(例えば、キャスタブル)4と、この被膜層4の一方側(上側)であって当該被膜層4の内側に設けられた筒状の第1コア(上コア)5と、被膜層4の他方側(下側)であって当該被膜層4の内側に設けられた筒状の第2コア(下コア)6と、第2コアに連結されたガス通気路(例えば、中空状の鉄棒)7とを備えている。このポーラスプラグ2は、ガス通気路7へ不活性ガスを通気させると下コア6の内部及び上コア7の内部に不活性ガスが通過する構造である。
このようなポーラスプラグ2を使用すると、上コア5内に地金等が浸潤することになり、不活性ガスの流量が低下する場合がある。そのため、連続鋳造設備のタンディッシュに溶鋼を注入した後、溶鋼が空となった取鍋1を取鍋整備場に搬送し、当該取鍋整備場にてポーラスプラグ2の洗浄を行う。
図2は、ポーラスプラグ2の洗浄の状態を示したものである。
図2に示すように、取鍋整備場では、ポーラスプラグ2を使用した取鍋1を横倒した後、ポーラスプラグ2の外側端(取鍋の底部外側)に不活性ガスを供給するための第1配管10を接続する。この第1配管10の中途部には、不活性ガスの流量を測定する流量計11が設けられている。
さて、ポーラスプラグ2の洗浄を行うにあたっては、第1配管10に不活性ガスを連続的に供給してポーラスプラグ2に不活性ガスを通気させる。このように、ポーラスプラグ2に通気させた状態で、第2配管14に酸素ガスを供給して洗浄管12から酸素ガスを吹き、この酸素ガスを用いてポーラスプラグ2を取鍋1の内側から洗浄する。
例えば、ガス吹き攪拌取鍋精錬(CAS)などの取鍋精錬の初期には、ポーラスプラグ2からArガス(アルゴンガス)を供給し、図3のAに示すように、Arガスにより溶鋼上のスラグを移動させてスラグを分離させ(割れ)、そのスラグを割った部分に、ガス吹き攪拌取鍋精錬を行う浸漬管を挿入する。
ここで、取鍋精錬時に使用する不活性ガスはArガスであり、洗浄の際に使用する不活性ガスは、N2(窒素ガス)であり、不活性ガスの種類が異なる。そこで、窒素ガスをArガスに置き換えるために、N2ガスとArガスの粘性比(1.22)、溶鋼静圧(2.3kg/cm2)、ガス吹き攪拌精錬時にポーラスプラグ2に供給する最大ガス圧力(8.8kg/cm2)、及び、洗浄の際にポーラスプラグ2に供給する不活性ガスの圧力(4kg/cm2)を考慮して、洗浄の際にポーラスプラグ2に供給する不活性ガスの流量は、420Nl/minとした。
さて、酸素ガスに関しては、酸素ガスを吹き付ける吹き付け工程と、酸素ガスの停止を行う酸素停止工程と、酸素ガスの吹きつけを再開する吹き付け再開工程との3つの段階に分けている。
即ち、本発明では、不活性ガスをポーラスプラグ2に連続的に供給するが、酸素ガスについては、切換弁15を開状態にして酸素ガスを供給することでポーラスプラグ2に向けて酸素ガスを所定時間吹き付け(吹き付け工程)、その後、切換弁15を閉状態にして酸素ガスの供給を停止することで酸素ガスの吹き付けを所定時間停止し(酸素停止工程)、さらに、切換弁15を開状態にして酸素ガスの供給を再開することでポーラスプラグ2に向けて酸素ガスの吹きつけを行っている(吹き付け再開工程)。
図5は、各工程における流れをフローチャートである。図6は、ポーラスプラグ2に流れる不活性ガスの通気時間及びそのポーラスプラグ2に流れる不活性ガスの流量における各パターンを示したものである。
図5に示すように、吹き付け工程では、第1配管10に窒素ガスを供給してポーラスプラグ2に窒素ガスを通気させる(S1)。また、吹き付け工程では、窒素ガスを通気させた状態にて、切換弁15を開状態にして洗浄管12に酸素ガスを供給し、洗浄管12の先端からポーラスプラグ2に向けて酸素を吹き付けることにより、ポーラスプラグ2を洗浄する(S2)。
そして、T1≦60秒である場合には、図6の実線のように酸素停止工程に移行する(S5)。ただし、吹き付け工程において、60秒以内にポーラスプラグ2に流れる窒素ガスの流量が0.8HXを超えると酸素停止工程へは省略される。また、吹き付け工程において、60秒以内にポーラスプラグ2に流れる窒素ガスの流量が目標通気量HXに達するとポーラスプラグ2の洗浄は完了する。
窒素ガスの通気開始から0.5HXに達するまでの時間T1がT1>60秒であるときは、ポーラスプラグ2を酸素ガスにより洗浄したとしても、ポーラスプラグ2の通気性が悪く、ポーラスプラグ2に浸潤した地金量が多い。その結果、このまま、酸素ガスによる洗浄を継続してもポーラスプラグ2に通気する窒素ガスが目標通気量HXに達することは不可能と考えられる。そこで、本発明では、T1>60秒である場合には、ポーラスプラグ2の洗浄を中断してポーラスプラグ2を交換することにしている。
一方、T2>120秒である場合には、図6の破線のように、ポーラスプラグ2の洗浄を中断して当該ポーラスプラグ2を交換する(S11)。即ち、T2>120秒である場合は、切換弁15を閉状態にしてポーラスプラグ2への酸素供給を停止すると共に、ポーラスプラグ2に供給している窒素ガスの供給も停止する。そして、ポーラスプラグ2を取鍋1から取り外して、新しいポーラスプラグ2に交換する。
このような吹き付け再開工程において、流量計11にてポーラスプラグ2に通気する窒素ガスの流量を監視する(S13)。そして、不活性ガスの流量が0.8HXに達してから120秒後の通気量をLとしたときに、吹き付け再開工程にてL≧HXであるか否かを判定する。
即ち、吹き付け再開工程を開始してから120秒後のポーラスプラグ2に流れる通気量をLとしたとき、120秒後の通気量Lが目標通気量HXに達したか否かを判定する(S14)。
一方、L<HXである場合には、図6の破線のように、ポーラスプラグ2の洗浄を中断してポーラスプラグ2を交換する(S16)。即ち、L<HXである場合は、切換弁15を閉状態にしてポーラスプラグ2への酸素供給を停止すると共に、ポーラスプラグ2に供給している窒素ガスの供給も停止し、ポーラスプラグ2を取鍋1から取り外して、新しいポーラスプラグ2に交換する。
つまり、吹き付け工程にてポーラスプラグ2に窒素ガスを供給してから吹き付け再開工程にて窒素ガスを供給するまでの供給時間は、最大でも300秒とする必要があると共に、ポーラスプラグ2の有効長さを考慮すると酸素ガスによるポーラスプラグ2の洗浄時間は最大でも180秒とする必要があることから、吹き付け再開工程にて120秒以上ポーラスプラグ2に窒素ガスを供給することができない。そのため、吹き付け再開工程においては、120秒後の通気量Lが目標通気量HX以上に達した場合をポーラスプラグ2の洗浄終了とし、通気量Lが目標通気量HX未満である場合には、ポーラスプラグ2の交換を行うことにしている。
表1は、溶鉄容器のポーラスプラグ2の洗浄方法の実施条件を示したものである。表2は、表1の実施条件に基づき本発明の洗浄方法を行った実施例をまとめたものである。表3は、表1の実施条件に基づき本発明とは異なる他の洗浄方法を行った比較例をまとめたものである。
実施例1〜実施例18では、吹き付け工程において、ポーラスプラグ2に流れる不活性ガスの流量が不活性ガスの通気開始から0.5HXに達するまでの時間T1がT1≦60秒であり、酸素停止工程において、ポーラスプラグ2に流れる不活性ガスの流量が0.8HXに達するまでの時間T2がT2≦120秒であり、吹き付け再開工程において、0.8HXに達してから120秒後の通気量L≧HXであった。
また、比較例23〜比較例27では、吹き付け工程において0.5HXに達するまでの時間T1は60秒以内であったが、酸素停止工程にて不活性ガスの流量が0.5HXしてから0.8HXに達するまでの時間T2が120秒以上であった。そのため、最終的に、吹き付け再開工程を行ったとしても、ポーラスプラグ2に供給した流量を目標通気量HX以上にすることができなかった(L/HXが100%未満、評価「×」)。
比較例19〜比較例33に示すように、吹き付け工程、酸素停止工程、吹き付け再開工程において、本発明の条件を満たさなければ、最終的に、ポーラスプラグ2を洗浄したとしても、ポーラスプラグ2に通気させる不活性ガスの流量を実操業に必要な流量にすることができなかった。吹き付け工程、酸素停止工程、吹き付け再開工程の各工程において、条件(T1≦60秒、T2≦120秒、L≧HX)を満たさない場合は、ポーラスプラグ2の洗浄を中断してポーラスプラグ2を交換することになる。
2 ポーラスプラグ
3 ケース
4 被膜層
5 上コア
6 下コア
7 ガス通気路
10 第1配管
11 流量計
12 洗浄管
13 可撓管
14 第2配管
15 切換弁
Claims (1)
- 製鋼工程にて使用する溶鉄容器のポーラスプラグに、一方から不活性ガスを吹き込むと共に他方から酸素ガスを吹き付けることで、溶鉄容器のポーラスプラグを洗浄する方法において、
前記ポーラスプラグの洗浄を行うに際し、酸素ガスを吹き付ける吹き付け工程と、酸素ガスの停止を行う酸素停止工程と、酸素ガスの吹きつけを再開する吹き付け再開工程とを行うものとしており、
前記ポーラスプラグに対する不活性ガスの目標通気量をHXとして吹き付け工程を行った際に、ポーラスプラグに流れる不活性ガスの流量が不活性ガスの通気開始から0.5HXに達するまでの時間T1がT1≦60秒である場合には、前記酸素停止工程に移行し、T1>60秒である場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換し、
前記酸素停止工程を行った際に、ポーラスプラグに流れる不活性ガスの流量が0.8HXに達するまでの時間T2がT2≦120秒である場合には、前記吹き付け再開工程に移行し、T2>120秒である場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換し、
前記不活性ガスの流量が0.8HXに達してから120秒後の通気量をLとして吹き付け再開工程を行った際に、L≧HXである場合には、ポーラスプラグの洗浄を終了し、L<HXである場合には、ポーラスプラグの洗浄を中断して当該ポーラスプラグを交換することを特徴とする溶鉄容器のポーラスプラグの洗浄方法。
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