JP5361338B2 - 接着剤 - Google Patents

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Description

本発明はポリエステル樹脂組成物に関し、特に、電化製品や自動車関連製品などの配線材用の接着剤として用いることができるポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、その優れた機械的強度、熱安定性、疎水性、耐薬品性を活かして、繊維、フィルム、成形材料等として各種分野で広く利用されている。
またポリエステル樹脂は、その構成成分であるジカルボン酸及びグリコールの種類を変更することにより、種々の特徴を有する共重合ポリエステル樹脂を得ることが可能である。このため、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。このような共重合ポリエステル樹脂は、一般的に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金属箔に対して、優れた密着性を有する。さらに、電気絶縁性、難燃性、柔軟性(屈曲部での耐剥離性)などの特性を有する。
これらの特性を利用して、例えば、デジタル家電あるいは自動車用の配線材として利用可能なフレキシブルフラットケーブル等に、ポリエステル系接着剤が広く用いられている。
フレキシブルフラットケーブルとしては、基材層と接着剤層の2層を有したインシュレーションフィルムを用い、2枚のインシュレーションフィルムの接着剤側同士を互いに向かい合わせ、それらの間に導線を挟みこんで貼り合わせた構造を挙げることができる。そのインシュレーションフィルムの基材層としては、ポリエチレンテレフタレートを用いたものが一般的である。その接着剤層には、接着性の高いポリエステル樹脂組成物よりなる接着剤が好適に用いられる。
接着剤層に接着性を付与させるためには、一般に、ポリエステル樹脂組成物としてガラス転移点が室温より低い素材を使用することが挙げられる。しかし、ガラス転移点が室温より低い素材は、上記のように接着性を付与することができるが、使用条件によって、室温より高い温度にまで熱が籠もるような状況下では、ガラス転移点が低いことによる弊害として、フレキシブルフラットケーブルの接着剤層がタック性を帯びて、ブロッキングしたり、流動したり、場合によって絶縁破壊や導体ショートを起こしたりする危険性がある。
特に近年のように家電製品などの薄型化、小型化が進行すると、液晶のバックライトからの放熱、CPUからの放熱などの、様々な熱源からの影響が無視できなくなる。このため、接着剤層には、上記のブロッキングや耐流動特性に対する性能、つまりブロッキングに対してはアンチブロッキング性、耐流動特性に対しては耐熱性が求められ、それらの特性の要求が高まってきている。
アンチブロッキング性や耐熱性を向上させるため、接着剤層を構成する樹脂に、例えば硬化剤を配合して架橋構造とすることで、分子を動きにくくする方法が、一般的に執られている。しかし、硬化剤を使用すると、ハンドリング性や接着性が低下しやすいという問題がある。あるいは、ガラス転移点の低いポリエステル樹脂にガラス転移点の高いポリエステル樹脂を配合することが提案されている(特許文献1)。しかし、この場合も、従来の薄型化、小型化されておらず耐熱性能に対する要求がさほど大きくなかった時は支障なかったが、上述のような近年の耐熱性に関する高い要求性能を満足するものではない。
特開2008−019375号公報
本発明は、ガラス転移点の低いポリエステル樹脂とガラス転移点の高いポリエステル樹脂とを含有するとともに、銅やアルミニウム等の金属への密着性に優れかつUL60℃定格以上の耐熱型の、ポリエステル系のフレキシブルフラットケーブルに適した接着剤とすることができるポリエステル樹脂組成物に関して、主剤であるガラス転移点の低い方のポリエステル樹脂の接着性などの特徴を損ねることなく、アンチブロッキング性、耐熱性を飛躍的に向上できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)有機溶剤と、有機溶剤中に固形分濃度30質量%となるように溶解させたポリエステル樹脂組成物とを含み、
ポリエステル樹脂組成物が、酸価2.0〜30mgKOH/gおよびガラス転移点30℃以下のポリエステル樹脂(A)と、酸価2.0〜30mgKOH/gおよびガラス転移点50℃以上のポリエステル樹脂(B)とを含有し、ポリエステル樹脂(B)が、酸成分として少なくともテレフタル酸とイソフタル酸とのどちらか一方を含有し、かつアルコール成分としてビスフェノール骨格を有する多価アルコールを1〜70モル%含有し、樹脂(A)と樹脂(B)との配合比が(A)/(B)=90/10〜50/50(質量比)であり、
有機溶剤がトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶液であることを特徴とする接着剤
(2)ポリエステル樹脂(B)が、側鎖に、炭素数1以上の炭化水素を、モノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコール、ポリエステル樹脂(B)の全アルコール成分に対し、1〜70モル%含ことを特徴とする(1)の接着剤
)上記(1)または(2)の接着剤を用いて形成される樹脂層を有し、かつ2層以上の樹脂層を含有することを特徴とする積層体。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、銅やアルミニウム等の金属への密着性に優れかつ密着性を維持しつつ優れたアンチブロッキング性と耐熱性を有した接着剤とすることが可能であり、特にUL60℃定格以上の耐熱型のポリエステル系のフレキシブルフラットケーブルに好適に利用することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移点が30℃以下であることが必要であり、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移点が30℃を超えると、導体への接着強力が低下する。ガラス転移点の下限は特に規定されないが、−40℃以上であることが好ましく、−30℃以上であることがより好ましく、−20℃以上がさらに好ましい。ガラス転移点が−40℃よりも低温であると、粘着性が強い樹脂となり取り扱いにくい。
ポリエステル樹脂(A)は、結晶性であっても非晶性であっても、汎用有機溶剤に固形分濃度10質量%以上の濃度で溶解するのであれば差し支えない。ここで、汎用有機溶剤とは、非ハロゲン系、非エーテル系の溶剤のことをいい、たとえば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソなどの芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどのエステル系溶剤;セロソルブアセテート、メトキシアセテートなどのアセテート系溶剤;またはそれら溶剤を2種類以上混合したもの等を指す。ただし、上記で例示した個々の化合物だけに限定されるものではない。
ポリエステル樹脂(A)は、軟化点が55℃以上であることが好ましい。この軟化点は、65℃以上であることがより好ましく、75℃以上であることがさらに好ましく、85℃以上であることがもっとも好ましい。軟化点が55℃未満では、所要の耐熱性を得にくい。耐熱性が低いと、フレキシブルフラットケーブルに用いた場合に、高温化に曝されるような環境下では、樹脂が動き出し、それにより導体が剥離して、絶縁破壊を起す場合がある。
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、導体接着性を維持する観点から、2.0〜30mgKOH/gが好ましく、2.0mgKOH/g未満でも、30mgKOH/gを超えても導体接着性が低下することがある。
また、ポリエステル樹脂組成物の溶解性と接着性を高める観点から、ポリエステル樹脂(A)が、側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールを含有していてもよい。その含有量としては、アルコール成分に対し1〜70モル%の範囲であることが好ましく、10〜65モル%含有していることがより好ましく、30〜60モル%含有していることがさらに好ましい。
側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールとしては、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル-プロパンジオール、3−メチル−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコールなどを好ましく用いることができる。
本発明に使用するポリエステル樹脂(B)は、ガラス転移点が50℃以上であることが必要である。このガラス転移点は、55℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、65℃以上であることがさらに好ましく、70℃以上であることがもっとも好ましい。ガラス転移点が50℃未満では、アンチブロッキング性が低下する。すると、本発明のポリエステル樹脂組成物を接着剤として、基材フィルムに顔料などのフィラーと当該接着剤との混合物をコートして得られるインシュレーションフィルムを巻き取って保管する際に、ブロッキングを起こす可能性がきわめて高い。
ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の配合比率は、質量比で、(A)/(B)=90/10〜50/50(質量比)であることが必要であり、80/20〜60/40であることが好ましい。(A)/(B)が90/10〜100/0(ただし90/10は含まない)の範囲であると、接着剤としてのアンチブロッキング性が低下し、本発明のポリエステル樹脂組成物を接着剤として、基材フィルムに顔料などのフィラーと当該接着剤との混合物をコートして得られるインシュレーションフィルムを巻き取って保管する際に、ブロッキングを起こす可能性がきわめて高い。また、耐熱性も不足する。反対に(A)/(B)が50/50〜0/100(ただし50/50は含まない)の範囲であると、導体への接着性が低下するという不都合がある。
ポリエステル樹脂(B)は、酸成分として少なくともテレフタル酸とイソフタル酸とのどちから一方を含有することが必要である。テレフタル酸を含有することが好ましく、両方含有することがさらに好ましい。そのどちらも含有しないと、ガラス転移点や軟化点が下がり、耐熱性が下がるとともにアンチブロッキング性が低下する。テレフタル酸の含有量は、接着強度の点で、酸成分に対して20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましい。イソフタル酸の含有量は、アンチブロッキング性の点で、酸成分に対して80モル%未満であることが好ましく、60モル%未満であることがより好ましく、40モル%未満であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(B)は、アルコール成分に、ビスフェノール骨格を有する多価アルコールを1〜70モル%含有することが必要である。その含有率は、5〜60モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、15〜40モル%であることが最も好ましい。ビスフェノール骨格を有する多価アルコールの含有率が1モル%未満であると、アンチブロッキング性、耐熱性が低下する。一方、その含有率が70モル%を超えると、本発明のポリエステル樹脂組成物を有機溶剤に溶解させた場合に、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル(B)とが二層に相分離しやすくなり、溶液の分散性が低下し、平均粒径が大きいものとなって、導体接着性、アンチブロッキング性共に低下する。
ビスフェノール骨格を有する多価アルコールとしては、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールFのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールSのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールCのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールEのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールP−APのポリアルキレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールZのポリアルキレンオキサイド付加重合体などが挙げられる。中でも、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加重合体、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体が好ましく用いられる。その付加数は、ビスフェノール骨格1モルに対し2〜100であることが好ましく、2〜60であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましく、2〜10であることが最も好ましい。付加数が100を超えると、ガラス転移点が低下して、アンチブロッキング性が低下するため、好ましくない。
ビスフェノール骨格を有する多価アルコールを用いる理由は、樹脂のガラス転移点および軟化点を上昇させて、アンチブロッキング性、耐熱性を高める作用を付与するためである。のみならず、ビスフェノール骨格を有する多価アルコールを用いると、本発明のポリエステル樹脂を汎用有機溶剤に溶解させたときにポリエステル樹脂(B)がポリエステル樹脂(A)に対して非相溶状態となり、溶液中で非相溶系を形成し、微細な粒子様に濁った分散液となる傾向がある。この場合に、たとえ均一に相溶化し透明溶液になったとしても所要の性能を発揮するが、相溶化せずに微細に分散した状態の液であれば、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)のそれぞれの特性が平均化されて弱められることがなくなるため、接着性とアンチブロッキング性との両性能を発揮することを期待することができる。
上述の分散液における分散体の粒子径は、小さいほどよい。本発明のポリエステル樹脂組成物を、たとえばトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に固形分濃度30質量%になるように溶解させた場合に、その分散体の粒子のメディアン径が500μm以下であることが好ましい。300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましく、150μm以下であることが最も好ましい。粒子のメディアン径が大きくなると、本発明のポリエステル樹脂組成物のアンチブロッキング性や接着性が低下したり、汎用有機溶剤に溶解させた場合に2層に分離しやすく取り扱いにくくなったりする。粒子のメディアン径の下限は、特に設けない。粒子が存在しないか、希薄な場合は、外観上透過率が高く透明な液体となる。その場合は、そもそも平均粒径の測定そのものが困難になるが、前述の通り特性の平均化によって導体接着性とアンチブロッキング性が低下する傾向がある。
粒度分布は、1山型でも2山型でもそれ以上の山があっても支障ないが、最も粒径の大きい山のピークトップが500μm未満であることが好ましく、300μm未満であることがより好ましく、200μm未満であることがさらに好ましく、150μm未満であることが最も好ましい。
分散体の平均粒子径を小さくする方法としては、ポリエステル(B)の酸価をある特定の範囲とすること、ビスフェノール骨格を有する多価アルコールや側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールをポリエステル樹脂(B)に一定の割合で導入すること等が有効である。
それらを施さないと、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を配合して汎用有機溶剤に溶解させた場合に、溶解当初は分散しているが、静置しておくと、微細に分散していた粒子が次第に集まって成長し、比重の高いポリエステル樹脂(B)のミセルが次第に沈降し、相分離するに至る。その場合は、溶解後直ぐの相分離する前の段階で用いるか、気泡が入らないように撹拌しつつ用いる必要があるため、取り扱い難い。また、相分離しなくとも粒子が大きくなりがちであり、上述の通り所望とする性能が得られないことが多い。したがって、上述の処方によって、微細に分散した粒子が大きくならないようにすることが重要である。
ポリエステル樹脂(B)の酸価は、2.0〜30mgKOH/gであることが好ましく、2.5〜25mgKOH/gであることがより好ましく、3.0〜20mgKOH/gであることがさらに好ましく、3.5〜15mgKOH/gであることがいっそう好ましく、4.0〜10mgKOH/gであることが最も好ましい。酸価が2.0mgKOH/g未満であると、本発明のポリエステル樹脂混合物を汎用有機溶剤に溶解させた溶液の平均粒子径が大きくなり、液が2層に分離し、導体接着性、アンチブロッキング性共に低下するため好ましくない。一方、酸価が30mgKOH/gを超えると、導体接着性が低下するため好ましくない。
側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールは、上述の通り粒子の平均粒子径を小さくすることに寄与するが、本発明のポリエステル樹脂組成物を接着剤として用いるときの導体への接着性を高める点においても、ポリエステル樹脂(B)がこれを含有していることが好ましい。その含有量としては、アルコール成分に対し1〜70モル%の範囲であることが好ましく、10〜65モル%の範囲であることがより好ましく、30〜60モル%の範囲であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂(B)において、側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールが70モル%を超えると、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との相溶性が過剰となって、導体接着性が低下する傾向がある。
側鎖に炭素数1以上の炭化水素をモノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコールとしては、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−プロパンジオール、3−メチル−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコールなどが好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂(B)の軟化点は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。軟化点が100℃未満であると、アンチブロッキング性または耐熱性が低下する。
本発明のポリエステル樹脂(B)を構成するモノマーとしては、酸成分としては、たとえばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ−イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,3,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、シュウ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の多価カルボン酸またはその無水物を、必要に応じ用いてもよい。ただし、酸成分は、上記に限定されるものではない。
また、上述の多価アルコール以外に用いることができるアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオールなどを挙げることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコールを好ましく用いることができる。
また、ヒドロキシカルボン酸類として、例えばテトラヒドロフタル酸、乳酸、オキシラン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、及び、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等を必要に応じ使用しても差し支えない。
以上のモノマーは、必ずしも1種類で用いる必要はなく、樹脂に対し付与したい特性に応じて複数種以上混合して用いて差し支えない。
ポリエステル樹脂(B)には、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、リン酸、リン酸エステル等の熱安定剤;ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物のような酸化防止剤;タルクやシリカ等の滑剤;酸化チタン等の顔料;充填剤;帯電防止剤;発泡剤等の、従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。
ポリエステル樹脂(A)は、数平均分子量が10000〜100000であることが好ましく、15000〜60000であることがより好ましく、20000〜40000であることがさらに好ましい。数平均分子量が10000より低いと凝集力が低下して導体との接着力が低下しやすく、また数平均分子量が100000より高くなると溶剤溶解性が低下しやすい。一方、ポリエステル樹脂(B)は、数平均分子量が、4000〜20000であることが好ましく、5000〜16000であることがより好ましく、6000〜12000であることがさらに好ましく、7000〜10000であることが最も好ましい。分子量が低すぎると凝集力が低下して導体との接着力が低下しやすく、分子量が高すぎると溶液が増粘して塗膜の表面平滑性が低下しやすい。
ポリエステル樹脂(B)の製造方法について説明する。
必要な原料を反応缶に投入した後、180℃以上の温度でエステル化反応を4h以上行い、その後、公知の方法により重縮合させることで、ポリエステル樹脂(B)を製造することができる。例えば、130Pa以下の減圧下で220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めることで、共重合ポリエステル樹脂を得ることができる。
エステル化反応および重縮合反応の際には、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物;酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩;三酸化アンチモン;ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物などを触媒として用いることができる。その際の触媒使用量は、酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4であることが好ましい。
また、前述の重縮合反応の終了後、多塩基酸成分やその無水物等を所定量添加し反応させることで、末端水酸基をカルボキシル基に変性したり、エステル交換反応により分子中鎖にカルボキシル基を導入したりすることで、適度の酸価を付与することができる。
ポリエステル樹脂(A)も、同様な方法で得ることができる。
本発明によれば、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを所定量配合し、特に限定するものではないが、たとえば前述の非エーテル系かつ非ハロゲン系の汎用有機溶剤から可溶な溶剤を選択して、溶解物とすることができる。その時の固形分濃度は、20〜50質量%であることが好ましい。
また樹脂濃度は全体の10〜40質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
溶液粘度は、B型粘度計で25℃で測定した場合、5000mPa・s以下であることが好ましく、4000mPa・s以下であることがより好ましく、3000mPa・s以下であることがさらに好ましく、2000mPa・s以下であることが最も好ましい。5000mPa・sを超える場合は、加温した状態で使用する必要が生じて、取り扱いに不具合を生じることがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて難燃剤を添加することができる。難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物;トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル;赤燐;トリアジン、メラミンイソシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤;二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃助剤;シリコーンパウダーなどがある。環境負荷を低減するために、非ハロゲン、非燐、脱重金属の観点から、難燃剤を選択するのが好ましい。ただし、難燃剤は、上記のものに限定されない。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ樹脂、酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシナネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシナネート等のイソシアネート類およびそのブロックイソシアネート;ウレトジオン類、β−ヒドロキシアルキルアミド等の硬化剤;トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の硬化触媒;二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の顔料;タルク;ポリエチレンワックス;パラフィンワックス;タッキファイヤー等を使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は前述のように溶剤型接着剤とすることができるが、その溶剤型接着剤を公知のコーティング法で基材フィルムにコートし、乾燥することで、積層体を得ることができる。コーターとしては、例えば、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フローコーターなどを用いることができる。これらのコーターを用いたコーティング法では、接着層の厚さを任意に制御することができる。また、複数回のコーティングによって接着性樹脂を積層してもよい。
フレキシブルフラットケーブルは、たとえば次のようにして製造することができる。
すなわち、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルにて形成された肉厚10〜200μm程度の基材フィルムに、本発明のポリエステル樹脂組成物を含む接着剤を2〜100μm程度の乾燥肉厚になるように塗布し、80〜150℃でフィルムを乾燥してインシュレーションフィルムを作成する。そして、2枚のインシュレーションフィルムの接着剤層の面どうしの間に、肉厚20〜100μm程度のスズ鍍金銅等の導体を挟み込み、ヒートシーラーで150〜180℃程度の温度で0.2〜0.8MPaの圧力で1〜20秒程度処理することで、フレキシブルフラットケーブルを製造することができる。
必要に応じて、インシュレーションフィルムにプライマー層を設けてもよい。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例、参考例、比較例における各種物性値は、下記の方法によって測定した。
(1)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析により求めた。詳しくは、島津製作所社製の送液ユニット LC−10ADvp型、および紫外−可視分光光度計 SPD−6AV型を使用した。検出波長は254nm、溶媒はテトラヒドロフランを用いた。ポリスチレン換算とした。
(2)ガラス転移点(Tg)
JIS−K7121にしたがって、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製 ダイヤモンドDSC)を用いて10℃/minの昇温速度でスキャンさせたチャートから、ガラス転移点(Tg)(補外ガラス転移開始温度(℃))を読み取った。
(3)軟化点(Ts)
TAインスツルメンツ社製の熱機械分析装置(TMA)を用い、樹脂を2mm前後の厚みに切断し、直径3mmφのプローブを樹脂にのせ、窒素雰囲気下で177mNの力をかけて、−50℃から2℃/minの昇温速度で昇温させた場合の変曲点について引いた接線を交点の温度をTsとした。
(4)ポリエステルの組成
日本電子社製 NMR測定装置 JNM−LA400型を用いて、1H−NMR測定を行い、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(5)溶解性
ポリエステル樹脂(A)または(B)を固形分濃度10質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解し、目視で溶解性を評価した。すなわち、均一に溶解したものを溶解性良好(○)と評価し、それ以外を不溶(×)と評価した。
(6)導体接着性
ポリエステル樹脂組成物を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、その溶解液を肉厚0.3mmの銅板にバーコーターを用いて塗布し、120℃で2分間熱処理して、乾燥肉厚20μmの接着層を有するラミネート用シートを作製した。このラミネート用シートに肉厚38μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの非コロナ面を重ね、温度180℃、圧力100kPaで1分間プレスし、ラミネートした。得られたラミネートシートを25mm幅に成形し、23℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
表1に示すように、25N/25mm幅以上である場合を優秀(◎)と評価し、17N/25mm幅以上かつ25N/25mm幅未満である場合を良好(○)と評価し、14N/25mm幅以上かつ17N/25mm幅未満である場合をやや不良(△)と評価し、14N/25mm幅未満である場合を不良(×)と評価した。
Figure 0005361338
(7)耐熱性
上記(6)の場合と同様にラミネートシートを25mm幅に成形し、60℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。同様の試験を23℃の条件でも行い、23℃のときの剥離強度と60℃のときの剥離強度との対比による強度保持率を求めて、耐熱性を評価した。
表1に示すように、強度保持率が90%以上である場合を優秀(◎)と評価し、70%以上90%未満である場合を良好(○)と評価し、50%以上70%未満をやや不良(△)と評価し、50%未満である場合を不良(×)と評価した。
(8)アンチブロッキング性
ポリエステル樹脂組成物を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、その溶解液を肉厚38μmのPETフィルムのコロナ面にバーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間熱処理して、乾燥肉厚15μmの接着層を有するラミネート用シートを作製した。このシートの接着剤面に肉厚38μmのPETフィルムの非コロナ面を重ね、圧力50hPaで60℃で24時間プレスした。その後、25mm幅に成形し、23℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
表1に示すように、剥離強度が3N/25mm幅未満である場合を優秀(◎)と評価し、3N/25mm幅以上かつ8N/25mm幅未満である場合を良好(○)と評価し、83N/25mm幅以上かつ11N/25mm幅未満である場合をやや不良(△)と評価し、11N/25mm幅以上である場合を不良(×)と評価した。
(9)溶液の粒度分布
ポリエステル樹脂組成物を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、堀場製作所社製のレーザ回折式粒度分布測定装置LA−500を用い、メディアン径を測定した。
(10)溶液特性
ポリエステル樹脂組成物を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、透明なガラス瓶の中で溶液を2時間および24時間静置し、層分離するかどうか目視で確認した。2時間で層分離した場合を不良(×)と評価し、2時間では層分離しなかったが24時間で層分離した場合をやや不良(△)と評価し、24時間以上層分離しなかったものを良好(○)と評価した。
(11)酸価
試料0.5gにジオキサン/水(9/1 体積比)を加え、加熱還流後、クレゾールレッドを指示薬とし、KOHメタノール溶液(濃度:100mol/m )で滴定し、その滴定量から酸価を求めた。
(12)総合評価
合格(○)あるいは不合格(×)と評価した。
次にポリエステル樹脂の合成例を説明する。
[合成例A1]
テレフタル酸62モル%、イソフタル酸10モル%、セバシン酸28モル%、エチレングリコール53モル%、ネオペンチルグリコール47モル%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の撹拌機で100rpmの回転数で撹拌しながら、0.25MPaの制圧下で250℃で5時間エステル化を行った。次に、重縮合缶へ移送して、重合触媒を投入し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、その後、所定の分子量に到達するまで260℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A1)を得た。得られた樹脂(A1)は、数平均分子量が26000、Tgが9℃、酸価が2.5mgKOH/g、Tsが63℃であった。
[合成例B1]
表2の組成になるように、原料をエステル化反応缶に投入した。それ以外はポリエステル樹脂(A1)の場合と同様にして、重縮合反応を行った後、酸変性用の原料として無水トリメリット酸を1モル%投入し、常圧で1時間撹拌し、ポリエステル樹脂(B1)を得た。得られた樹脂(B1)は、数平均分子量が11000、Tgが65℃、酸価が7.1mgKOH/g、Tsが114℃であった。
[合成例A2〜A3、合成例B2〜B13]
酸変性用の原料として無水トリメリット酸を使用している場合はB1に準じ、それ以外はA1に準じて、樹脂を合成した。
ポリエステル樹脂(A1)〜(A3)、ポリエステル樹脂(B1)〜(B13)の詳細を表2に示す。
Figure 0005361338
実施例1
ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B1)とを、表3に示す配合比率でガラス瓶に投入し、さらに、樹脂(A1)と樹脂(B1)との合計の樹脂固形分の濃度が30質量%になるように、トルエン:メチルエチルケトンが質量比で8:2である混合溶剤を投入した。次に瓶を密栓し、ペイントシェイカーを用いることにより、樹脂を溶剤に溶解させた。
その結果、溶液は層分離しなかった。すなわち、溶液特性は良好(○)であった。この溶液にて形成される接着剤の導体接着強力は26N/25mm幅であり、導体接着性は優秀(◎)であった。60℃における導体接着強力は24N/25mm幅であり、したがって強度保持率は92%となり耐熱性は優秀(◎)であった。アンチブロッキング性は、剥離強力が4N/25mm幅と小さく、良好(○)であった。メディアン径は61μmであった。
さらに、上記の溶液100質量部に対して、添加物としてヘキサブロモベンゼンを15質量部、三酸化アンチモンを5質量部、二酸化チタンを7質量部、二酸化珪素を2質量部、水酸化アルミニウムを1質量部を加えて均一になるまで撹拌することで、添加物入りの接着剤を得た。
この接着剤を、肉厚25μmのPETフィルムに塗布し、120℃で2分間乾燥することで、厚み50μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムを用いて、導体接着性、耐熱性、アンチブロッキング性を評価したところ、いずれも、添加物を含まない接着剤の評価結果と同等であった。
実施例2〜7および9、ならびに参考例8および10
ポリエステル樹脂(A)および(B)を、表3に示す種類および配合比率にした。それ以外は実施例1と同様として接着剤を作製し、評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0005361338
表3に示すように、実施例1〜7は、いずれも、導体接着性、耐熱性、アンチブロッキング性のすべてにおいて優れたものであった。
参考例8は、ポリエステル樹脂(B12)の酸価が高すぎ、凝集力が低下したためか、導体接着力がやや低いものとなったものの、大きな支障がでる物性ではなく、総合評価は合格(○)であった。
実施例9は、ポリエステル樹脂(B13)のプロピレングリコール(炭素数1以上の炭化水素を、モノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコール)の含有量が80モル%と多くなり、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを配合し溶解させた溶液の相溶性がよくなったためか、導体接着力がやや低いものとなったものの、それ以外は特に問題なく、総合評価は合格(○)であった。
参考例10は、ポリエステルB7の酸価が低く、その溶解特性は、2時間目では層分離していなかったが24時間目で層分離しており、やや不良(△)であった。また、メディアン径も221μmとやや大きめであった。しかし、それ以外は問題がなく、総合評価は合格(○)であった。
比較例1〜7
ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)を、表4に示す種類および配合比率にした。それ以外は実施例1と同様として接着剤を作製し、評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0005361338
比較例1は、ポリエステル樹脂(A)の配合比率が本発明の範囲よりも少なく、このため導体接着性が低下した。比較例2は、ポリエステル樹脂(B)の配合比率が本発明の範囲よりも少なく、このためアンチブロッキング性および耐熱性が低下した。比較例3は、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点が本発明の範囲よりも高く、このため導体接着性が低下した。比較例4は、ポリエステル樹脂(B)にビスフェノールA骨格を有するモノマーが導入されておらず、このため耐熱性およびアンチブロッキング性が低下した。比較例5は、ポリエステル樹脂(B)のTgが低く、このため耐熱性およびアンチブロッキング性が低下した。比較例6は、ポリエステル樹脂BのビスフェノールA骨格を有するモノマーの含有量が多すぎて、添加物が入っていない段階の接着剤が層分離しやすく、メディアン径が大きくなり、このため導体接着性およびアンチブロッキング性が低下した。
比較例7は、ポリエステル樹脂(B)がテレフタル酸、イソフタル酸ともに含有しておらず、したがって軟化点の低い樹脂となり、このため耐熱性およびアンチブロッキング性が低下した。

Claims (3)

  1. 有機溶剤と、有機溶剤中に固形分濃度30質量%となるように溶解させたポリエステル樹脂組成物とを含み、
    ポリエステル樹脂組成物が、酸価2.0〜30mgKOH/gおよびガラス転移点30℃以下のポリエステル樹脂(A)と、酸価2.0〜30mgKOH/gおよびガラス転移点50℃以上のポリエステル樹脂(B)とを含有し、ポリエステル樹脂(B)が、酸成分として少なくともテレフタル酸とイソフタル酸とのどちらか一方を含有し、かつアルコール成分としてビスフェノール骨格を有する多価アルコールを1〜70モル%含有し、樹脂(A)と樹脂(B)との配合比が(A)/(B)=90/10〜50/50(質量比)であり、
    有機溶剤が、トルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶液であることを特徴とする接着剤
  2. ポリエステル樹脂(B)が、側鎖に、炭素数1以上の炭化水素を、モノマー1分子に対して1つ以上結合した脂肪族多価アルコール、ポリエステル樹脂(B)の全アルコール成分に対し、1〜70モル%含ことを特徴とする請求項1記載の接着剤
  3. 請求項1または2記載の接着剤を用いて形成される樹脂層を有し、かつ2層以上の樹脂層を含有することを特徴とする積層体。
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