JP2016113615A - ポリエステル樹脂およびそれを用いた積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品の製造工程等で用いられる保護フィルムにおいて、特に着色された離型ライナーでの着色層/ポリエステル樹脂被膜界面での接着強度を向上させ、保護フィルムの製造時高温加工時でも、接着強度が低下せずに、識別性を向上し、着色剤の脱離を抑制した離型ライナーにできる、接着強度と耐熱性のバランスに優れ、着色層に対する接着強度が向上したポリエステル樹脂の提供。【解決手段】水酸基価3〜30mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)40℃未満のポリエステル樹脂で、ポリエステル樹脂を構成する酸成分としてイソフタル酸10〜70モル%、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸10〜50モル%、オキシカルボン酸5〜30モル%を含有するポリエステル樹脂。Tg0℃未満のポリエステル樹脂(a)とTg0〜40℃未満であるポリエステル樹(b)とからなり、(a)/(b)=90/10〜10/90(質量比)であるポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、接着強度と耐熱性のバランスに優れたポリエステル樹脂に関する。
近年、半導体をはじめ液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)構成部材、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)構成部材等では、製造工程における破損や傷つき防止のために、部材表面の保護フィルムが多く用いられている。
このような保護フィルムには接着剤が塗布されており、保護フィルムとして使用される直前まで接着剤面は離型ライナーで保護されている。離型ライナーの識別性を高め貼り付け不良やはがし忘れを検知しやすくするために白色等に着色されたフィルムが使用されている。
白色に着色された離型ライナーの構成としては、白色PETフィルムからなるライナー基材/剥離層の積層構造や、透明PETフィルムからなるライナー基材/白色印刷層/剥離層の積層構造で用いられている(例えば、特許文献1)。
特開2009−263400号公報
本発明者らは、上記特許文献1に記載された離型ライナーの構成によると、以下のような問題があることを見出した。
すなわち、保護フィルムから離型ライナーを剥離した際、ライナー基材から剥離層とともに印刷層が脱離し、印刷層に含有する着色剤によって周囲を汚染するという問題があった。一方、着色剤を練り込んだ白色PETフィルム等は、高価なものであり経済的な負担が高かった。
着色剤の離脱を抑制する方法としては、ライナー基材/印刷層において、印刷層にさらに他基材を積層し、印刷層を二つの基材で完全に挟み込んだ状態とすることで、印刷層からの着色剤の脱離を抑制することが考えられる。ところが、印刷層に対し、十分な接着力を持って他基材を貼り合わせることも難しかった。例えば、特開平4−164957号公報や特開2004−123980号公報に挙げられるようなポリエステル樹脂系の接着剤を用い、ライナー基材/印刷層/接着剤層/基材/剥離層のような構成とした場合、印刷層/接着剤層間で容易に剥離してしまうという問題があった。
さらには上記構成の離型ライナーに対し、接着剤層を介し保護フィルムを積層する場合、高温加工によって、上記離型ライナーの印刷層/接着剤層間の接着力が低下し、剥離することもあった。
本発明は、接着強度と耐熱性のバランスに優れ、特に着色層に対する接着強度が向上したポリエステル樹脂を得ることを目的とする。
本発明者は上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)水酸基価3〜30mgKOH/g、ガラス転移温度40℃未満のポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂を構成する酸成分としてイソフタル酸10〜70モル%、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸10〜50モル%、オキシカルボン酸5〜30モル%を含有するポリエステル樹脂。
(2)ポリエステル樹脂が、ガラス転移温度0℃未満であるポリエステル樹脂(a)およびガラス転移温度0℃以上40℃未満であるポリエステル樹脂(b)からなり、(a)/(b)=90/10〜10/90(質量比)であることを特徴とする(1)のポリエステル樹脂。
(3)(1)または(2)のポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解して得られる樹脂溶液。
(4)さらに硬化剤を含有する(3)の樹脂溶液。
(5)硬化剤が、イソホロンジイソシアネートである(4)の樹脂溶液。
(6)(3)〜(5)の樹脂溶液から得られる被膜。
(7)(第一の基材)/(着色層)/((6)の被膜)/(第二の基材)の順に積層された積層体。
(8)着色層が形成された第一の基材と、(6)の被膜が形成された第二の基材を貼り合せることを特徴とする(7)の積層体の製造方法。
本発明によれば、接着強度と耐熱性のバランスに優れ、特に着色層に対する接着強度が向上したポリエステル樹脂を得ることができる。このようなポリエステル樹脂は、電子部品の製造工程等で用いられる保護フィルムの離型ライナーにおいて、着色層/ポリエステル樹脂被膜界面での接着強度が向上するばかりでなく、保護フィルムの製造時に高温加工された場合であっても、接着強度が低下することがないため、識別性が向上し、着色剤の脱離の抑制された離型ライナーとすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、構成する酸成分としてイソフタル酸、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸、オキシカルボン酸を必須の成分とする。
ポリエステル樹脂を構成する酸成分として、酸成分の合計100モル%に対しイソフタル酸を10〜70モル%含有する必要があり、20〜50モル%含有することが好ましく、30〜40モル%含有することがより好ましい。イソフタル酸の含有量が10モル%未満であると接着強度が低下し、70モル%を超えると耐熱性が低下する。
また、ポリエステル樹脂を構成する酸成分として、酸成分の合計100モル%に対し炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸を10〜50モル%含有する必要があり、10〜40モル%含有することが好ましく、10〜30モル%含有することがより好ましい。炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸が10モル%未満であると接着強度が低下し、50モル%を超えると耐熱性が低下する。炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定はされないが、アジピン酸(炭素数6)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ドデカン二酸(炭素数12)等が好ましく挙げられる。
オキシカルボン酸は、酸成分およびグリコール成分のいずれの性質をも合わせもつ成分であり、ラクトン類もオキシカルボン酸に含める。そのような成分としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等の脂肪族オキシカルボン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、シリング酸、プロトカテク酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、クマリン、プソラレン、アンゲリシン、ベルガプテン等の芳香族ラクトン等の芳香族オキシカルボン酸が挙げられる。
中でも、重合性だけでなく接着強度と耐熱性向上の観点から脂肪族オキシカルボン酸が好ましく、さらには、接着強度と耐熱性をより高度にバランスよく維持することができる側鎖のない脂肪族オキシカルボン酸がより好ましい。側鎖のない脂肪族オキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられ、その中でもε−カプロラクトンがもっとも好ましい。
オキシカルボン酸は、ポリエステル樹脂全体に対して5〜30モル%含有する必要があり、10〜25モル%含有することが好ましく、15〜20モル%含有することがより好ましい。オキシカルボン酸の含有量が5モル%未満では接着強度が低下し、30モル%を超えると耐熱性が低下し好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂で用いる他の酸成分としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ-イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,3,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、シュウ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などや、またはその無水物が挙げられる。なかでも、耐久性などの観点から、テレフタル酸、イソフタル酸を含むことが好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポリエステル樹脂で用いるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ブチルエチルプロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3プロパンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−フェニレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコールが好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分として、1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールを用いる場合、グリコール成分の合計100モル%に対して、5〜80モル%含有することが好ましく、20〜80モル%含有することがさらに好ましく、30〜80モル%含有することがより好ましく、40〜80モル%以上含有することがさらに好ましい。1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールの含有量が5モル%未満であると結晶性が低下して耐熱性が低下することがあり、80モル%を超えると結晶性が高くなりすぎて接着強度が低下することがある。
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分として、ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物を用いる場合、グリコール成分の合計100モル%に対して、0.1〜10モル%含有することが好ましい。ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物が0.1モル%未満であると耐熱性が低下し、10モル%を超えると、接着強度が低下する。ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSが好ましく用いられ、ビスフェノールAが特に好ましい。
ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分として、ポリアルキレングリコールを用いる場合、グリコール成分の合計100モル%に対し、0.1〜10モル%含有することが好ましく、0.5〜7モル%含有することがより好ましく、1〜4質量%含有することがさらに好ましい。ポリアルキレングリコールが0.1モル%未満であると接着強度が低下し、10モル%を超えると耐熱性が低下する。
前記ポリアルキレングリコールは、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
また、ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の水酸基価は、3〜30mgKOH/gであることが必要であり、4〜20mgKOH/gであることが好ましく、5〜10mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基が3mgKOH/g未満であると耐熱性が低下し、30mgKOH/gを超えると接着強度が低下する傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、40℃未満であることが必要であり、20℃未満が好ましく、0℃未満がさらに好ましく、−10℃未満が最も好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であると、接着強度が低下する。ガラス転移温度の下限は特に規定はないが、−50℃以上であることが好ましく、−40℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が−50℃よりも低温であると、得られる被膜の動摩擦係数μkが増大する傾向がある。
本発明のポリエステル樹脂は、数平均分子量が4000〜30000であることが好ましく、5000〜25000であることがより好ましく、6000〜20000であることがさらに好ましい。数平均分子量が4000未満であると凝集力が低下し接着力が低下しやすく、30000を超えると樹脂溶液の溶液粘度が高くなり、取扱い性が低下するばかりでなく、得られる被膜の静摩擦係数μsが減少する傾向がある。
つぎにポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
必要な原料を反応缶に投入した後、180℃以上の温度でエステル化反応を4時間以上行った後、公知の方法により重縮合させることにより製造することができ、例えば、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得ることができる。
エステル化反応および重縮合反応の際には、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物を用いて重合をおこなうことができる。その際の触媒使用量は、酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルであることが好ましい。
また、前述の重縮合反応を終了後、多塩基酸成分やその無水物等を所定量添加し反応させることで、末端水酸基をカルボキシル基に変性したり、エステル交換反応により分子中鎖にカルボキシル基を導入することで適度に酸価を付与することができる。
本発明のポリエステル樹脂には、必要に応じ難燃剤を添加することができるが、これらに限定されるものではない。難燃剤としては、例えば、下記に限定するものではないが、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル、赤燐、また、トリアジン、メラミンイソシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤、二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃助剤、シリコーンパウダーなどがある。環境負荷を低減するために、非ハロゲン、非燐、脱重金属の観点から難燃剤を選択するのが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、耐熱性を維持しながらも低温でヒートシールしても十分な接着強度が発現できるように、必要に応じてガラス転移温度の異なる2種類の樹脂を混合することができる。すなわち、ガラス転移温度0℃未満のポリエステル樹脂(a)とガラス転移温度0℃以上40℃未満のポリエステル樹脂(b)との混合物とすることができる。その場合に、(a)/(b)=90/10〜10/90(質量比)が好ましい。
ポリエステル樹脂(a)はガラス転移温度が0℃未満である必要があり、−10℃未満であることが好ましく、−20℃未満であることが更に好ましい。0℃を超えると、接着強度が低下する。
また、ポリエステル樹脂(a)は非晶性でも結晶性でもよいが、結晶性樹脂である方が耐熱性の観点から好ましい。
次に、ポリエステル樹脂(b)はガラス転移温度が0℃以上40℃未満であることが必要である。ガラス転移温度が0℃未満であると、対熱性が低下し、ガラス転移温度が40℃以上では接着強度が低下する場合がある。
また、ポリエステル樹脂(b)は、非晶性樹脂である方が溶剤への溶解性と接着強度の観点から好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂には必要に応じて、リン酸、リン酸エステル等の熱安定剤、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物のような酸化防止剤、タルクやシリカ等の滑剤、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。
上記ポリエステル樹脂組成物は、被膜を形成するため、有機溶剤等に溶解し、樹脂溶液として用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂は結晶性であっても非晶性であってもよく、有機溶剤に固形分濃度20質量%以上の濃度で溶解すればよく、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%であることが好ましい。用いる有機溶剤は特に限定されず、たとえば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソなどの芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどのエステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテートなどのアセテート系溶剤、またはそれら溶剤を2種類以上混合したもの等が挙げられる。
ポリエステル樹脂として、前記ポリエステル樹脂(a)、(b)を混合して用いる場合も、上記と同様の方法にて有機溶剤に溶解し樹脂溶液とすることができる。ポリエステル樹脂(a)とポリエステル樹脂(b)を用いる場合は、各々を所定量計量し同時に有機溶剤に溶解する方法、あるいは別々に計量し、それぞれを有機溶剤に溶解した後、それぞれの樹脂溶液を混合する方法等が挙げられるが、特に限定はされない。
前記樹脂溶液の溶液粘度は、B型粘度計で25℃で測定した場合、10000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることがより好ましく、3000mPa・s以下であることさらに好ましく、1000mPa・s以下であることが最も好ましい。10000mPa・sを超えた場合、粘ちょうな樹脂溶液となり取り扱いにくい。
本発明の樹脂溶液には、さらに硬化剤を含有させることができる。
用いることのできる硬化剤としては、脂肪族または脂環族イソシアネート類であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシナネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類、および、それらイソシアネート類のビューレットタイプ、シアヌレートタイプ、アダクトタイプ等のポリイソシアネート等があるが、なかでも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、または、それらのポリイソシアネートタイプが好ましく用いられる。
硬化剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。硬化剤の含有量が1質量部未満では、耐熱性に寄与せず、30質量部を超えると接着強度が低下し、さらに、ポリエステル樹脂が硬化収縮し、基材表面に皺が発生して外観を損ねる場合がある。
本発明の積層体を得る一例を下記に述べる。
積層体は、次の例示に限定されるものではないが、本発明の態様を最も好ましく説明するため、離型ライナー付き保護フィルムを例に挙げて説明をする。
まず、離型ライナーは、ライナー基材(以下、第一の基材という)に対し着色層を形成する(工程1)、ライナー基材とは異なる他基材(以下、第二の基材という)に対し、本発明の被膜を形成する(工程2)、続けて、着色層が形成された第一の基材と、被膜が形成された第二の基材を、(第一の基材)/(着色層)/(被膜)/(第二の基材)の順になるように、(着色層)/(被膜)界面を熱圧着する(工程3)ことにより製造することができる。なお、第二の基材の被膜成形の反対面には、予めシリコーン層等の剥離層が設けられていることが好ましい。
一方、別途準備した保護フィルム基材の片面に対し、粘着層を形成しながら、前記離型ライナーの第二の基材面を貼り合わせる(工程4)ことで、[離型ライナー] {(第一の基材)/(着色層)/(被膜)/(第二の基材)/(剥離層)}//[保護フィルム]{(粘着層)/(保護フィルム基材)}とすることができる。
上記工程1における着色層の形成は、第一の基材に対し、公知の方法で着色剤およびバインダー成分とからなる着色樹脂を塗布することで行うことができる。
前記着色剤としては、公知のものを用いることができ、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化鉄、紺青、群青、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン粉等が隠蔽性、耐候性、分散性の観点から好ましく、なかでも酸化チタンとカーボンブラックが隠蔽性に優れるため好ましい。上記無機粒子に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク等の無機粒子を体質顔料として混合してもよい。
着色剤の含有量は、適宜調整すればよいが、ポリエステル樹脂100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、2〜9質量部であることがより好ましく、3〜8質量部であることがさらに好ましい。着色剤の含有量が1質量部未満では隠蔽性が劣り、10質量部を超えると分散性が低下したり接着強度が損なわれる。
バインダー成分としては、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系等の樹脂成分を使用できるが、なかでもアクリル系の樹脂成分が好ましい。また、アクリル系樹脂バインダーとしては、そのガラス転移温度が−40〜50℃のものが好ましい。アクリル系樹脂バインダーは溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の重合方法で製造することができる。
上記工程2における被膜の形成は、第二の基材に対し、下記コーターを用い、前述の樹脂溶液を塗布、乾燥することで行うことができる。
コーターとしては、例えば、バーコーター、コンマコーター、スロットダイコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、グラビアリバースコーター、フローコーターなどを用いることができるが、なかでも、マイクログラビアコーターが低粘度の樹脂溶液で安定した被膜を形成することができるので、上記の場合に適している。用途や膜厚等により任意に選択し制御することができる。また、複数回に分けて塗布してもよい。
また、塗布後の乾燥条件は、用いる樹脂溶液の種類、固形分濃度、塗布量、さらには第二の基材で用いる材質によって異なるが、例えば、第二の基材としてPETフィルムを用い、乾燥厚み5μmの被膜を形成する場合、温度80〜130℃の範囲で、数十秒〜数分の範囲で行うことができる。
本発明のポリエステル樹脂から得られる被膜は、上記方法により被膜の形成を行うことで、後述する特定の摩擦係数を有する被膜とすることができる。このような摩擦係数とすることで工程3において、熱圧着の操業性が向上する。
前記熱圧着の条件としては、工程1で用いる着色層形成のためのバインダー成分の種類等により異なるが、熱圧着温度は100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。バインダー成分としてアクリル樹脂系バインダーを用いた場合、80℃で行うことができる。熱圧着の具体的な方法としては、例えば、ラミネーター等を用い加温した熱ロールで挟み込んで連続的に行うことができる。
本発明のポリエステル樹脂は、樹脂基材に形成した被膜表面の静摩擦係数μsは0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。静摩擦係数μsが0.5未満であると、初期タック性が低下し、工程3における熱圧着で、被着体同士に圧力が十分かからず、接着強度が低下するため好ましくない。特に着色層が白色である場合、酸化チタン等の着色剤を多く含有させるため、着色層を形成しない場合よりも接着強度が低下する傾向がある。そのような場合であっても、被着体同士に十分に圧力を加え熱圧着することで、着色層/被膜間の接着強度を高めることができる。
一方、静摩擦係数μsと動摩擦係数μkの差(μs−μk)は0.2以上である必要があり、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましい。静摩擦係数μsと動摩擦係数μkの差(μs−μk)が0.2以下であると、熱圧着をロールToロールで行う場合、ブロッキングを生じたり、ラミネーター等のロールでの滑り不良が生じ、操業性が低下するため好ましくない。以上のことから、動摩擦係数μkは、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましく、0.5以下が最も好ましい。
本発明において、所定のモノマー成分を用い、所定のガラス転移温度を有したポリエステル樹脂とし、数平均分子量等を制御することで、上記摩擦係数を有する被膜の形成が容易となる。特に、所定のガラス転移温度とすることで動摩擦係数μkが低減する傾向が高く、数平均分子量を制御することで、得られる被膜の表面平滑性が変化し、静摩擦係数μsを調整することができる。したがって、上記調整を行うことで、静摩擦係数を増大させつつ動摩擦係数μkは増大させず、静摩擦係数μsと動摩擦係数μkの差(μs−μk)を所定の範囲に制御することができる。
上記のように、得られる被膜の静止摩擦係数および動摩擦係数の制御を行うことによって、工程3において熱圧着の操業性が向上する。具体的には、静摩擦係数が増大し被膜の初期タック性が高まることで、熱圧着時に被着体同士に十分な圧力が加わり接着強度が向上する。また、動摩擦係数が低減することで、特にロールToロールで熱圧着を行う場合、ブロッキングを生じたり、ロールでの滑り不良を抑制することができる。
さらに、工程3の後、工程4において、離型ライナーと保護フィルムの貼り合わせが行われ、離型ライナー付き保護フィルムが得られる。工程4の具体的な流れを例示すると、工程3で得られた離型ライナーの第二の基材面に対し、好ましくは、剥離層が形成された第二の基材の剥離層面に対し、粘着層を形成する。粘着層は公知の粘着剤を用いて形成可能であり、例えば。アクリル系粘着剤あるいはゴム系粘着剤等が用いられる。前記粘着剤溶液は、ラミネーター等を用い、乾燥後の粘着層の厚みが10〜30μm程度の厚みとなるように塗工され、該粘着層に対し、保護フィルム基材が熱圧着される。
ところが、工程4の熱圧着によって、再び加熱加工が行われることで、工程3において接着された着色層/被膜間で剥離(デラミネーション)が生じることがある。
本発明で得られる被膜は、そのような場合であっても接着強度の低下を生じることのない耐熱性を有する。
本発明のポリエステル樹脂は、接着強度と耐熱性のバランスに優れ、特に着色層に対する接着強度が向上したものである。このようなポリエステル樹脂は、各種被膜として用いることができ、例えば印刷が施された基材の貼り合わせに用いる接着剤として好適に用いることができる。特に隠蔽性を高めため、無機顔料を高充填した着色層に対しての接着強度、さらには、加熱時の接着強度の低下を抑制できるため、各種装飾シート等の積層体として使用可能である。なかでも、離型ライナー、フレキシブルフラットケーブル等で好適に用いることができる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。
なお、(1)〜(5)の各特性については、単一のポリエステル樹脂、または2種のポリエステル樹脂からなる混合樹脂のいずれかを用いて測定または分析を行った。混合樹脂については、十分に混合したものを用いた。
1.評価方法
(1)ポリエステル樹脂、または混合樹脂の数平均分子量
送液ユニット(島津製作所社製、「LC−10ADvp型」)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製、「SPD−6AV型」)を用い、GPC分析により求めた。なお、分析条件は検出波長が254nmであり、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリスチレン換算により求めた。
(2)ポリエステル樹脂、または混合樹脂のガラス転移温度
JIS−K7121にしたがって、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製「ダイヤモンドDSC型」、検出範囲−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。なお、ガラス転移温度が2つ検出されるものについては、低い方の値を該ポリエステル樹脂または混合樹脂のガラス転移温度とした。
(3)ポリエステル樹脂、または混合樹脂の共重合組成
NMR測定装置(日本電子社製「JNM−LA400型」)を用いて、H−NMR測定を行い、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(4)ポリエステル樹脂、または混合樹脂の酸価
試料0.5gにジオキサン/水=9/1(容積比)混合溶媒を加え加熱還流後、クレゾールレッドを指示薬とし、0.1N−KOHメタノール溶液で滴定し、酸価を求めた。
(5)ポリエステル樹脂、または混合樹脂の水酸基価
試料3gに無水酢酸、ピリジンを加え加熱還流後、蒸留水を加え加熱還流、さらに、ジオキサンを加え加熱還流撹拌する。クレゾールレッド・チモールブルーを指示薬として、
0.5N−KOHメタノール溶液で滴定し、水酸基価を求めた。
(6)樹脂被膜形成フィルムの作製
後述する製造例で得られたポリエステル樹脂(a)、(b)をそれぞれ用いた。ポリエステル樹脂(a)を単独で、またはポリエステル樹脂(a)、(b)を所定比率で混合し、樹脂固形分の濃度が20質量%になるようにトルエンとメチルエチルケトンの質量比8:2の混合溶剤を投入し、密栓しペイントシェイカーで溶解し、樹脂溶液とした。また必要に応じて硬化剤を混合した。
得られた樹脂溶液を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、120℃で1分熱風乾燥させ膜厚5μmの樹脂被膜を形成し、40℃で72時間熱処理した。
(7)着色層形成フィルムの作製
アクリル樹脂溶液(DIC社製「アクリディックA−165」、不揮発分45質量%、溶剤;トルエン、n−ブタノール)に対し、固形分比率が50質量%になるように酸化チタン(石原産業社製)を加え、ホモディスパーで撹拌し着色溶液を得た。
上記着色溶液を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、120℃で2分間熱風乾燥させ膜厚1μmの着色層を形成し、40℃で72時間熱処理した。
(8)摩擦係数
(6)で得られた樹脂被膜形成フィルムを用いた。自動摩擦摩耗解析装置(協和界面化学社製「TS−501」)を用い、上記樹脂被膜形成面に対し、線接触子に垂直荷重50gを加え、移動速度2.5mm/sで、水平方向に8mm移動させ、25℃下摩擦力を計測した。摩擦力を荷重で除し摩擦係数を求めた。
なお、線接触子の移動直後の最大の摩擦係数を静摩擦係数μs、線接触子の移動後の平均摩擦係数を動摩擦係数μkとした。
(9)接着強度
(6)で得られた樹脂被膜形成フィルム、(7)で得られた着色層形成フィルムをそれぞれ用いた。樹脂被膜形成フィルムの被膜面と、着色層形成フィルムの着色層が密着するように重ね、上下ロール表面温度80℃、線圧40N/cm、速度1m/minの条件で貼り合わせを行い、40℃の乾燥炉に72時間静置し積層体とした。
前記積層体を15mm巾の短冊状に切り出し、20℃下、剥離速度50mm/minで90度剥離試験を行った。測定はN=3とし平均値を接着強度とした。実用的には6N/cm以上であることが好ましい。
(10)耐熱性
50℃下で90度剥離試験を行うこと以外は、(9)での接着強度の測定方法と同様にして接着強力を測定した。(9)の接着強度と同等であることが最も好ましく、(9)の接着強度よりも強度低下した場合であっても、4N/cm以上であることが好ましい。
製造例1
テレフタル酸20モル%、イソフタル酸30モル%、アゼライン酸15モル%、ε−カプロラクトン35モル%、1,4−ブタンジール63モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(分子量約1000)2モル%になるように原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の攪拌機で100rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下で220℃、5時間エステル化を行った。その後、重縮合缶へ移送して、重合触媒を投入し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、所定の分子量に到達するまで240℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(a1)を得た。得られたポリエステル樹脂(a1)の数平均分子量は22000、Tgは−25℃、酸価は2.0mgKOH/g、水酸基価は4.0mgKOH/gであった。
なお、表1および後述の表2中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
AD:アジピン酸
AZ:アゼライン酸
SE:セバシン酸
ECL:ε−カプロラクトン
PHBA:4−ヒドロキシ安息香酸
GHB:4−ヒドロキシ酪酸
BD:1,4−ブタンジオール
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
HD:1,6−ヘキサンジオール
BAEO:ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル付加物(分子量約1000)
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000)
製造例2〜32
表1、表2のようにした以外は、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(a2)〜(a22)、(b1)〜(b10)を得た。また、(a11)と同様の操作を行い、数平均分子量が26000であるポリエステル樹脂(a11*)、数平均分子量が31000であるポリエステル樹脂(a11**)、数平均分子量が3700であるポリエステル樹脂(a11***)も得た。なお、ポリエステル樹脂(a11*)〜(a11***)は、数平均分子量と水酸基価以外の特性はすべてポリエステル樹脂(a11)と同じであった。水酸基価は数平均分子量に伴って変化したものである。
その結果を表1または2に示す。
実施例1
製造例1で得たポリエステル樹脂(a11)を、樹脂固形分の濃度が20質量%になるようにトルエンとメチルエチルケトンの質量比8:2の混合溶剤を投入し、密栓しペイントシェイカーで溶解し樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、各特性の評価を行った。その結果を表3に示す。
なお、表3および後述の表4中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
実施例2〜9
表3記載のポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂溶液を得て、各特性の評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例10〜13
表3記載のポリエステル樹脂に対し、各硬化剤を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂溶液を得て、各特性の評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例14〜30、比較例1〜8
表3〜5記載のように、2種のポリエステル樹脂を混合して用いた。その混合樹脂に対し、各硬化剤を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂溶液を得て、各特性の評価を行った。その結果を表3〜5に示す。
実施例1〜30で得られた樹脂被膜は、所定のポリエステル樹脂を用いたため、摩擦性や接着強度が向上した。特に着色層形成フィルムとの貼り合せにおいて、接着強度が高く、また高温下においても接着強度の低下が少なかった。また、摩擦係数が適正な範囲であったため、加工時の取扱い性も良好であった。中でも、実施例16〜30では、接着強度が向上する傾向が高かった。
実施例1〜4の対比により、用いたポリエステル樹脂の組成が同一であっても、数平均分子量が高くなることで、静摩擦係数μsが小さくなった。一方静摩擦係数μsと動摩擦係数μkの差(μs−μk)が小さくなる傾向が見られた。これらはいずれも接着強度、耐熱性は同等であった。
実施例6、10、14、15、16の対比により、以下のようなことが分かった。すなわち、ポリエステル樹脂の組成が同一であっても、硬化剤を含有させることで接着強度が向上し、その効果は、硬化剤としてジフェニルメタンジイソシアネートよりも、イソホロンジイソシアネートの方が良好である。また被膜成分に対し、着色剤を含有させた場合であっても、実用的な接着強度を有する。さらには、ポリエステル樹脂は単一で用いるよりも混合樹脂として用いる方が、接着性の向上、特に高温下における接着強度の低下に対し、その改善効果が高かった。
比較例1では、ポリエステル樹脂を構成する成分として、オキシカルボン酸を含有しなかったため、接着強度が低下した。
比較例2では、ポリエステル樹脂を構成する成分として、イソフタル酸の含有量が下限未満であったため、接着強度が低下した。
比較例3では、ポリエステル樹脂を構成する成分として、イソフタル酸の含有量が上限を超えたため、耐熱性が低下した。
比較例4では、ポリエステル樹脂を構成する成分として、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が下限未満であったため、接着強度が低下した。
比較例5では、ポリエステル樹脂を構成する成分として、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が上限を超えたため、耐熱性が低下した。
比較例6では、ポリエステル樹脂の水酸基価が上限を超えたため、接着強度が低下した。
比較例7では、ポリエステル樹脂の水酸基価が下限未満であったため、耐熱性が低下した。
比較例8では、ポリエステル樹脂のオキシカルボン酸の含有量が上限を超えていたため、耐熱性が低下した。

Claims (8)

  1. 水酸基価3〜30mgKOH/g、ガラス転移温度40℃未満のポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂を構成する酸成分としてイソフタル酸10〜70モル%、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸10〜50モル%、オキシカルボン酸5〜30モル%を含有するポリエステル樹脂。
  2. ポリエステル樹脂が、ガラス転移温度0℃未満であるポリエステル樹脂(a)およびガラス転移温度0℃以上40℃未満であるポリエステル樹脂(b)からなり、(a)/(b)=90/10〜10/90(質量比)であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 請求項1または2記載のポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解して得られる樹脂溶液。
  4. さらに硬化剤を含有する請求項3記載の樹脂溶液。
  5. 硬化剤が、イソホロンジイソシアネートである請求項4記載の樹脂溶液。
  6. 請求項3〜5いずれか記載の樹脂溶液から得られる被膜。
  7. (第一の基材)/(着色層)/(請求項6記載の被膜)/(第二の基材)の順に積層された積層体。
  8. 着色層が形成された第一の基材と、請求項6記載の被膜が形成された第二の基材を貼り合せることを特徴とする請求項7の積層体の製造方法。


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