野菜の鮮度低下に対する影響因子としては、温度、湿度、環境ガス、微生物、光などが上げられる。野菜は生き物であり、呼吸と蒸散作用が行われており、鮮度を維持するには呼吸と蒸散作用の抑制が必要となる。低温障害をおこす野菜など一部の野菜を除き、多くの野菜は低温で呼吸が抑制され、高湿により蒸散を防止することができる。
近年、家庭用冷蔵庫では野菜の保存を目的とし、密閉された野菜専用容器が設けられ、野菜を適正な温度に冷却するとともに、庫内を高湿化し、野菜の蒸散を抑制するよう制御されている。また、庫内高湿化の手段として、ミストを噴霧する手段を用いたものもある。
従来、この種のミスト噴霧機能を備えた冷蔵庫は、野菜室内が低湿時に超音波霧化装置にてミストを生成噴霧し野菜室内を加湿し、野菜の蒸散を抑制しているものである(例えば、特許文献1参照)。
図16は、特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の野菜室を左右に切断した縦断面を示す要部縦断面図である。また、図17は、同従来の冷蔵庫の野菜室に設けた超音波霧化装置の要部を示す拡大斜視図である。
図16に示すように、野菜室31は冷蔵庫本体30の本体ケース36の下部に設けられ、その全面開口は開閉自在に引き出される引出し扉32により閉止されるようになっている。また、野菜室31は仕切り板2によりその上方の冷蔵室(図示せず)と仕切られている。
引出し扉32の内面に固定ハンガ33が固定され、この固定ハンガ33に野菜等の食品を収納する野菜ケース1が搭載されている。野菜ケース1の上面開口は蓋3により封止されるようになっている。野菜ケース1の内部には解凍室4が設けられ、解凍室4には超音波霧化装置5が備えられている。
また、図17に示すように、超音波霧化装置5には霧吹出し口6と貯水容器7と湿度センサー8とホース受け9が備えられている。貯水容器7は、ホース受け9により除霜水ホース10に接続されている。除霜水ホース10には、その一部に除霜水を清浄するための浄化フィルター11が備えられている。
以上のように構成された冷蔵庫において、以下その動作について説明する。
熱交換冷却器(図示せず)より冷却された冷却空気は、野菜ケース1及び蓋3の外面を流通することで、野菜ケース1が冷却され、内部に収納された食品が冷やされる。また、冷蔵庫運転時に冷却器から発生する除霜水は、除霜水ホース10を通過する時に浄化フィルター11によって浄化されて、超音波霧化装置5の貯水容器7に供給される。
次に湿度センサー8によって、庫内湿度が90%以下と検知されると、超音波霧化装置5が加湿を開始し、野菜ケース1内の野菜等を新鮮に保持するための適度な湿度に調湿することができる。
一方、湿度センサー8によって庫内湿度が90%以上であると検知された場合、超音波霧化装置5は過度な加湿を停止する。その結果、超音波霧化装置5により、野菜室内をすばやく加湿することができ、野菜室内は常に高湿度となり、野菜等の蒸散作用が抑制され、野菜等の鮮度を保持することができる。
また、加湿の方法としては、別の形態で構成されたものもある(例えば、特許文献2参照)。
図18は、特許文献2に記載された従来の冷蔵庫の冷蔵室と野菜室を左右に切断した縦断面を示す要部縦断面図、図19は、同従来の冷蔵庫の野菜室に設けられた加湿手段の縦断面を示す要部拡大断面図である。
図18において、51は冷蔵庫である。52は冷蔵室(冷蔵温度帯室の一つ)である。53はこの冷蔵室の回転扉である。54は野菜室(冷蔵温度帯室の一つ)である。55は引出し扉である。56は冷凍室である。57は引出し扉である。58は仕切り板であり、この仕切り板58は冷蔵室52と野菜室54とを仕切る。59は孔であり、冷蔵室52からの冷気が野菜室54に流入するためのものである。
60は野菜容器である。この野菜容器60は引出し扉57と共に引き出される。61は野菜容器蓋であり、冷蔵庫本体側に固定されている。この野菜容器蓋61は、引出し扉57を閉じた時に野菜容器60に蓋をするものである。62は超音波加湿手段である。この超音波加湿手段62は、野菜容器60の内部に水分を蒸散させる。63は冷却器である。この冷却器は、冷蔵温度帯室用の冷却器であり、冷蔵室52及び野菜室54を冷却する。
また、図示は省略したが、この冷蔵庫は、冷凍温度帯室用の冷却器も備え、冷凍室56を冷却している。64は冷蔵温度帯室用の冷気循環ファンである。このファン64の運転により、冷却器63からの冷気が冷蔵室52及び野菜室54を循環する。この加湿手段62は、野菜容器蓋61の孔65に設けられ、吸水材66と超音波発振器67とからなる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
冷蔵室52と野菜室54の温度が高くなると、冷却器63には冷媒が流れ、冷気循環ファン64が駆動される。これにより、冷却器63の周辺冷気は、図18に矢印で示されるように、冷蔵室52、孔59、野菜室54を介して冷却器63に戻る。これにより、冷蔵室52及び野菜室64が冷却される。この状態を冷却モードと言う。
次に、冷蔵室52と野菜室54がほぼ冷却されると、冷却器63への冷媒の供給を停止する。しかし、ファン64は続けて運転する。これにより、冷却器63に付着した霜の溶融にて、冷蔵室52と野菜室54が加湿される。この状態を加湿モード(所謂「潤い運転」)と言う。
この加湿モードを所定時間(数分間)継続したのちに、ファン64を止めて,運転停止モードとなる。この後、冷蔵室52と野菜室54の温度が高くなると、再び冷却モードとなる。
次に、図19に示す超音波加湿手段62について説明する。
吸水材66は、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等の吸水性の材料からなる。従って、前述の加湿モード時には、流れる空気中の水分を吸着する。そして、冷却モード中の後半において、超音波発振器67を駆動する。これにより、吸水材66中の水分が外部に排出される。これにより、野菜容器の内部が加湿される。尚、冷却モード中の後半において、超音波発振器67を駆動するのは、野菜室54の湿度低下による乾燥を防止することを目的としている。
このように、吸水材66とこの吸水材66を振動させる超音波発振器67とを備えている。従って、加湿のための水タンク及び給水配管が不要となる。
また、加湿モードを備える冷蔵庫において、この加湿モード以外の時に超音波加湿手段62を動作させている。従って、庫内の湿度の変動を抑えることができる。
また、冷却器63に冷媒を流して冷気循環ファン64を運転することにより庫内を冷却する冷蔵庫において、この冷却時に超音波加湿手段62を動作させている。このように、乾燥しやすい冷却時に加湿しているので、庫内の湿度の変動を抑えることができる。
また、超音波加湿手段62は、吸水材66とこの吸水材66を振動させる超音波発振器67とを備え、吸水材66は野菜容器蓋61の上方の空気中から水分を吸水し、超音波発振器67はこの吸水材66に含まれる水分を野菜容器61内に放出するために吸水材66を振動させる。従って、野菜容器60内を加湿することができる。
また、静電霧化を利用した液体噴霧装置としては、空気清浄機の形態で構成されたものもある(例えば、特許文献3参照)。
図20は、特許文献3に記載された従来の消臭剤噴霧装置を示す概略構成図、図21は、同従来の消臭剤噴霧装置の一形態を示す概略斜視図、図22は、同従来の消臭剤噴霧装置の別形態を示す概略構成図である。
図20は、特許文献3に記載された消臭剤噴霧装置の概要構成を示し、液状の消臭剤を噴射するノズル71と、これにて噴射される消臭剤に静電気を帯電させて霧化するために高電圧の電界を形成する帯電部72と、その帯電部72を帯電させる高電圧電源76とからなる。この例の帯電部72は、ノズル71から噴射される消臭剤の水柱73を、帯電電極74にて誘電帯電法により静電霧化し、つまり高電圧の電界を通過させることにより粒径を小さくして、帯電した微粒子の水滴75として噴霧する。
図21はその一例で、ノズル71の一部を円筒形の帯電電極74内に突入させ、高電圧電源76によりノズル71をプラス極、帯電電極74をマイナス極として高電圧を印加し、ノズル71から噴射される消臭剤の微粒子の水滴75をマイナスに帯電させて静電霧化する。
このようにマイナスに帯電させた場合には、マイナスイオン効果も発揮できる。消臭剤に、ビタミンC等の酸化防止剤や殺菌剤を混合し、これらを同時に静電霧化して噴霧することにより、酸化防止剤にて空気中に滞留している活性酸素を除去したり、殺菌剤にて殺菌したりすることができる。
高電圧電源76として交流高電圧電源を用いれば、プラス・マイナスの両極性の電荷を微粒子の水滴75に帯電させて、これにて除電することができる。帯電電極74による帯電部74の先に、接地された静電吸着部(図示せず)を設置すれば、消臭剤の水滴75と同時に空気中の浮遊微粒子等を静電気にて吸着回収することができる。
図22に示すように、ノズル71自体に高電圧を直接印加すれば、ノズル71自体を帯電部として、消臭剤をノズル71にて噴霧と同時に直接帯電させることができる。図21の構造および図22の構造のいずれも、空気清浄機に内蔵して使用することができる。
特開平6−257933号公報
特開2004−125179号公報
特開2005−270669号公報
請求項1に記載の発明は、ノズルの先端部に供給された水に電圧を印加するための霧化電極と対向電極とを有し貯蔵室内に微細ミストを噴霧させる静電霧化装置と、前記霧化電極と前記対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部と、前記静電霧化装置に水を供給する水供給手段と、前記静電霧化装置から噴霧される微細ミストの霧化量を判定するための霧化量判定手段と、霧化量判定手段からの信号によって前記静電霧化装置の霧化量を調整する制御手段とを備えたものであり、静電霧化装置から噴霧される微細ミストの霧化量を判定し、その結果によって静電霧化装置の霧化量を調整することにより、貯蔵室内を高湿度に維持すると同時に貯蔵室内の異常結露を防止し、適切な量のミスト噴霧を行うことで、野菜の保鮮性を向上させた冷蔵庫を提供することができる。
また、霧化量を把握することで、微細ミストによる噴霧を行いながら野菜室に対する霧化量が調整できるので、過剰噴霧を防止し、野菜の保鮮性の向上、野菜室の抗菌、除菌性能の向上できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、霧化量判定手段を、電圧印加部が放電する時の電流を検出する放電電流検出手段で構成し、制御手段が、前記放電電流検出手段によって検知された信号に基づいて電圧印加部の電圧を制御する制御回路を備えるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値から霧化量を判定し電圧印加部の電圧を制御することにより、制御回路のみで対応できるので、部品の追加が必要なく、簡単で安価に構成できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の上限値である第一の値より大きくなった場合、電圧印加部が霧化電極と対向電極との間に印加する電圧を強制的に減少させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の上限値である第一の値より大きくなった場合は、微細ミストを発生させる霧化電極と対向電極との間に印加する電圧を強制的に減少させて、電流値を下げ、霧化量を減らし、貯蔵室内の霧化量の過剰噴霧を防ぎ、貯蔵室内の霧化量の適正化を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の下限値である第三の値より小さくなった場合、電圧印加部が霧化電極と対向電極との間に印加する電圧を強制的に増加させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の下限値である第三の値より小さくなった場合は、微細ミストを発生させる霧化電極と対向電極との間に印加する電圧を強制的に増加させることにより、霧化量を増やし、貯蔵室内への霧化量の適正化を図ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、霧化量判定手段を、電圧印加部が放電する時の電流を検出する放電電流検出手段で構成し、制御手段が、前記放電電流検出手段によって検知された信号に基づいて水供給手段の水供給量を制御する制御回路を備えるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値から霧化量を判定し水供給手段の水供給量を制御することにより、制御回路のみで対応できるので、部品の追加が必要なく、簡単で安価に構成できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、水供給手段が、送水ポンプを有し、制御回路が前記送水ポンプの送水量を制御するものであり、送水ポンプにより水量を簡単に調整することが可能であり、また、水をくみ上げることができるので給水タンクなどの水源の位置を静電霧化装置より下に配置することが可能になるので設計の自由度が増加する。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、水供給手段が、水の流路を開閉する開閉弁を有し、制御回路が前記開閉弁の開閉を制御するものであり、水の流路を開閉する開閉弁により簡単に水量が調整することができると同時に、簡単でかつ安価に構成することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか一項に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の上限値である第一の値より大きくなった場合、水供給手段により静電霧化装置への水供給量を減少させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の上限値である第一の値より大きくなった場合は、水供給手段により静電霧化装置への水供給量を減少させて、霧化量を減らし、貯蔵室内の霧化量の過剰噴霧を防ぎ、貯蔵室内の霧化量の適正化を図ることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項5から8のいずれか一項に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の下限値である第三の値より小さくなった場合、水供給手段により静電霧化装置への水供給量を増加させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の下限値である第三の値より小さくなった場合は、水供給手段により静電霧化装置への水供給量を増加させて、霧化量を増やし、貯蔵室内への霧化量の適正化を図ることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項2から9のいずれか一項に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の上限値より所定値大きい第二の値より大きくなった場合、静電霧化装置を停止させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の上限値より所定値大きい第二の値より大きくなった場合は、静電霧化装置を停止させることにより、安全性を高めることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項2から10のいずれか一項に記載の発明において、放電電流検出手段で検出した電流値が、適正範囲の下限値より所定値小さい第四の値より小さくなった場合、静電霧化装置を停止させるものであり、放電電流検出手段で検出した電流値が適正範囲の下限値より所定値小さい第四の値より小さくなった場合、静電霧化装置を停止させることにより、欠水状態での霧化動作を防止し、安全性を高めるとともに、消費電力を低減することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の発明において、霧化電極部を冷却することにより周囲の空気から結露させて水を生成するものであり、冷蔵庫にタンクなどの貯留水を保持する必要がなく、また、メンテナンスなどが不要となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫を左右に切断した場合の左側の縦断面を示す縦断面図である。図2は、同実施の形態の冷蔵庫における野菜室を左右に切断した場合の左側の縦断面を示す要部拡大断面図である。図3は、同実施の形態の冷蔵庫における静電霧化装置に関連する制御構成を示すブロック図である。図4は、同実施の形態の冷蔵庫における静電霧化装置により発生するミストの粒子径と粒子個数との関係を示す特性図である。
図5(a)は、同実施の形態の冷蔵庫における萎れかけた野菜に対する水分含有量の復元効果とミスト噴霧量の関係及び、野菜の外観官能評価値とミスト噴霧量の関係を示す特性図、図5(b)は、同実施の形態の冷蔵庫におけるビタミンC量の変化を従来例と比較した特性図、図5(c)は、同実施の形態の冷蔵庫における静電霧化装置の農薬除去性能を示す特性図、図5(d)は同実施の形態の冷蔵庫における静電霧化装置の除菌性能を示す特性図である。
図6は、同実施の形態の冷蔵庫における制御を示すフローチャート、図7は、図6のフローチャートにおいて霧化量判定のステップに移行した場合の制御を示すフローチャートである。
図1、図2、図3において、冷蔵庫101は、箱体本体(断熱箱体)102と、貯蔵室の区画をつくるための仕切り103a,103b,103cと、それら区画を閉空間にするための扉104とにより断熱区画され、上から冷蔵室105、切替室106、野菜室107、冷凍室108の異なる温度の貯蔵空間になっている。その中で、野菜室107は、扉104の開閉がなければ、湿度約80%R.H以上(食品収納時)、4〜6℃に冷却されている。
また、冷蔵庫101を冷却するための冷凍サイクルは、圧縮機111、凝縮器、膨張弁やキャピラリチューブなどの減圧装置(図示せず)、蒸発器112を、配管で順次環状に連接してなり、冷媒が循環するように構成される。
さらに、蒸発器112で生成された低温空気を各貯蔵室空間に搬送、もしくは貯蔵室空間で熱交換された空気を蒸発器112に回収するための風路113があり、風路113は各貯蔵室と仕切り114で断熱されている。
さらに、野菜室107の中には、噴霧手段である静電霧化装置115と、この噴霧手段(静電霧化装置115)に水を供給するための水回収部116、野菜の気孔を制御するための照射手段117が構成されている。
静電霧化装置115は、水回収部116からの水を保持するための霧化用タンク118と、野菜室107へ噴霧するためのノズル状になったノズル先端部119と、そのノズル先端部119近傍の水に接するところには霧化電極120が構成され、噴霧するノズル先端部119の開口部の近傍に一定距離を保つように対向電極121、その対向電極121を保持するための対向電極ホルダー122が取り付けられている。さらに、高電圧を発生する電圧印加部135のマイナス極側が霧化電極120と、プラス極側が対向電極121とそれぞれ電気的の接続されている。また、静電霧化装置115は、取り付け部材の接続部123により仕切り114もしくは、水回収カバー128に取り付けられている。
ノズルの先端部119に供給・付着した液体(水)は、霧化電極120と対向電極121間にかかる高電圧の静電エネルギーにより水滴が微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmから数μmの微粒子に霧化され、野菜室107に噴霧される。
水回収部116は、仕切り103bの底部、野菜室108の上部に設置され、アルミやステンレスなどの高熱伝導性金属もしくは樹脂で構成された冷却板125と、冷却板125の一面には例えばニクロム線で構成された加熱ヒータや面状発熱体、PTCヒータなどの加熱手段126が当接される。そして、冷却板125の温度調整するために冷却板温度検知手段127の検知温度により加熱手段126の通電率を決定し、冷却板125の温度制御を行う。そして、その下部には、冷却板125で結露した水を受けるための水回収カバー128が設置されている。
照射手段117は、中心波長が470nmの青色光を含む光を照射する、例えば青色LED133であり、また光の拡散性向上と部品保護のための拡散板134で構成されている。
図3において、静電霧化装置115は、霧化電極120と対向電極121との間に電圧印加部135から高電圧が印加される。その印加したときの電流値を信号S1として放電電流検出手段136が検知し、その信号を制御手段である霧化装置制御回路137に信号S2として入力し、霧化量判定手段138にて霧化状況を把握し、信号S3として電圧印加部135の出力電圧等を調整している。また、この制御手段によって霧化装置制御回路137と冷蔵庫101本体の制御回路139と通信を行い、照射手段117の動作の判定も行う。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、野菜室107に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によって、やや萎れかけた状態のものが含まれ、その保存環境は、外気温度の変動や扉開閉の影響、冷凍サイクルの運転状態により変動し、さらに保存環境が厳しく、蒸散が促進され萎れやすくなっている。
そこで、扉104の開閉や野菜の呼吸などで貯蔵室(野菜室107)内に生成した水蒸気を結露により液体にし、静電霧化装置115を運転することにより、微細ミストを野菜室107に噴霧し、庫内をすばやく加湿する。
野菜室107内の余分な水蒸気を冷却板125に結露させ、冷却板125の付着した水滴が成長し、自重により水回収カバー128に滴下し、水回収カバー128を流れて、静電霧化装置115の霧化用タンク118に貯留される。そして、結露水は静電霧化装置115のノズル先端部119から霧化され、野菜室107に噴霧される。
この時、静電霧化装置115のノズル先端部119近傍の霧化電極120を負電圧側とし、対向電極121を正電圧側として、電圧印加部135によりこの電極間に高電圧(例えば10kV)を印加させる。このとき、例えば15mmの距離に隔てられた電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極120近傍のノズル先端部119から霧化し、目視できない約1μm以下の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、2〜10kVと非常に高圧であるが、そのときの放電電流値はμAレベルであり、入力としては1〜3Wと非常に低入力である。しかし、発生する微細ミストは、1g/h程度であり十分に野菜室107に霧化・高湿化することができる。
さらに、放電電流値が信号S1として放電電流検出手段136に入力されると、この電流値をCPU等で演算しやすいデジタルやアナログの電圧信号S2に変換して霧化量判定手段138に出力する。次に霧化量判定手段138では放電電流値を霧化量に換算し(実験的に相関があることを見出した)、所定の霧化量以下になるように制御信号S3を電圧印加部135に出力する。最後に電圧印加部135では印加する電圧値を変更し、高電圧を発生させる。以降放電電流値を見ながらフィードバック制御を行う。
図4に示すように、ノズル先端部119から噴霧されるミストは数十nmと数μm程度にピークを2つもったミストであり、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促し、また、マイクロレベルの微細ミストは、ラジカル量は少ないものの野菜表面に付着し、野菜表面周辺を保湿することができる。
この時、野菜表面は細かい水滴が付着しているが、空気と接する面も存在するため呼吸の障害にならず、水腐れは起さない。よって、野菜室107は高湿度となると同時に、野菜表面の湿度と貯蔵室(野菜室107)内の湿度が平衡状態となり、野菜表面からの蒸散を防止することができ、付着したミストは野菜や果物の表面の細胞の隙間から組織内に浸透し、萎れた細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキットとした状態になる。
静電霧化装置115が運転しているときは、照射手段117が点灯し、野菜室107内に保存されている野菜や果物に照射する。照射手段117は、中心波長が470nmの青色光を含む光を照射する、例えば青色LED133や青色光のみ透過する材料で覆われたランプなどで、この時照射される青色光の光量子は約10μmol/(m2・s)の微弱な光である。
微弱な青色光を照射された野菜や果物は、表皮表面に存在する気孔が、青色光の光刺激によって、通常の状態に比べ気孔の開度が大きくなる。これにより、気孔内の空間が膨張し、空間内の見かけ上の相対湿度は減少し、平衡状態がくずれ、水分を吸収しやすい状況になる。そこで、野菜や果物表面に付着したミストが、気孔開孔状態の野菜や果物の表面から組織内に浸透し、水分が蒸散して萎んだ細胞内にさらに水分を供給することにより、野菜がシャキットした状態に復帰し、新鮮さが復活する。
図5(a)は、萎れかけた野菜に対する水分含有量の復元効果と霧化量の関係及び、野菜の外観官能評価値とミスト噴霧量の関係を示した特性図である。本実験は70リットルの野菜室において行った為、以下の噴霧量はすべて70リットル当たりの噴霧量を示す。
図5(a)より、光照射ありの場合で野菜の水分含有復元効果が50%以上となる範囲は、0.05〜10g/h(1リットル当たり=0.0007〜0.14g/h・l)の範囲であった。
ミストの霧化量が少なすぎると、野菜が気孔から外部へ放出する水分量を下回ってしまい、野菜内部への水分供給を行うことができなくなる。また、ミストと開孔状態の気孔との接触頻度が低下し、野菜の内部に水が浸透できにくくなると考えられる。
実験では、このような噴霧量の下限値が0.05g/hであることがわかった。
一方、ミストの霧化量が多すぎると、野菜内部の水分含有許容量を超えてしまい、野菜内部に取り込まれない水分は野菜の外部に付着してしまい、この水分によって野菜表面の一部から水腐れが生じてしまい、野菜が痛んでしまう現象が発生する。
このような野菜表面に余分な水分が付着し、野菜が水腐れ等の品質劣化を起こす範囲は10g/h以上であり、実験としては不適であった。よって、10g/h(1リットル当たり=0.15g/h・l)以上の実験結果については、野菜の品質劣化によって採用できない為、省略する。
光照射ありの場合で野菜の水分含有復元効果が70%以上となる範囲は、0.1〜10g/h(1リットル当たり=0.0015〜0.14g/h・l)であった。このようにミストの噴霧量の下限値が0.1g/h程度以上に多くなると、開孔状態の気孔との接触頻度が十分に多くなり、野菜内部へのミストの浸透が活発に行われると考えられる。
光照射なしの場合については、野菜の水分含有復元効果が50%以上となる範囲はなく、すべての噴霧量で10%未満の水分含有量復元率である。図のように、光照射なしの場合については、気孔が十分に開いていない為、粒子径が十分に小さくないと野菜の内部に水分が浸透しないと考えられる。
図5(b)は、本発明の微細ミストを噴霧したときの投入時のビタミンC濃度を100にしたときのビタミンC量の変化を示した特性図である。本実験は70リットルの野菜室に平均的な野菜量(約6kg、15種類)を収納、3日間保存し、約0.5g/hの微細ミストを噴霧したときのブロッコリーのビタミンC量の変化量を既存冷蔵庫と比較したものである。
一般に冷蔵庫の野菜室の環境下においては、高湿・低温にすれば、ビタミンC量の減少量は抑制できるが、経過日数に比例してビタミンC量は減少する。そのため、ビタミンC量を維持、もしくは増加させるには、抗酸化や光などの刺激を野菜に与える必要がある。
そこで、本発明においては、静電霧化で発生するOHラジカルや低濃度オゾンにより野菜を刺激し、ビタミンC量を増加させた。
図5(b)に示すとおり、従来品では、3日後には、投入時より約6%程度ビタミンC量が減少していたが、本発明品では、3日後には約4%程度、ブロッコリーのビタミンC濃度が上昇している。これより、野菜がOHラジカルやオゾンによる刺激によりビタミンC量が増加していることがわかる。
また、図5(c)は、微細ミストを噴霧したときの農薬除去効果とミスト噴霧量との関係を示す特性図である。この実験にはマラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個を用い、本発明の微細ミストを約0.5g/hで12時間噴霧し、除去処理する。そして処理後の残留マラチオン濃度をガスクロマトグラフィ(GC)にて測定することで、除去率を算出する。
図5(c)より明らかなように、マラチオン除去率を50%程度とするためには、噴霧量は0.0007g/h・L以上である必要があり、農薬除去効果は噴霧量の増加とともに向上している。
また、0.07g/h・Lを超える噴霧量になると、農薬除去効果はあるものの発生するオゾン濃度が0.03ppmを越えるため、家庭用冷蔵庫への適用は人体の安全性の観点から難しい。なお、オゾン濃度0.03ppmとはオゾン臭くないレベルであり、野菜に対する組織損傷などの悪影響を生じることなく、農薬分解効果を持つオゾン濃度の上限値である。このように噴霧量の適正範囲は0.0007g/h・L以上0.07g/h・L以下である。
さらに、図5(d)は、微細ミストを噴霧したときの除菌効果を示す特性図である。この実験には、大腸菌をあらかじめ70Lの容器内にいれ、本発明の微細ミストを1g/h噴霧し、大腸菌数の減少率の経過を測定したものである。なお、比較対象には、超音波霧化装置で同量噴霧した場合の結果を示している。
図5(d)より、明らかに従来品より本発明品の除菌率が高く、7日後には、99.8%滅菌できている。これにより、野菜および容器などが清潔に維持することが可能である。
これらの動作の詳細について図6と図7の制御フローチャートで説明する。
ステップ501により高湿化モードに入ると、ステップ502で静電霧化装置115をONし、噴霧時間t1を設定、タイマーt2をスタートさせ、野菜室107にミストを噴霧する。次にステップ503の照射手段117をONさせる。これにより青色LED133が点灯し、野菜の気孔開度が増加する。これにより、野菜の表面に付着したミストを気孔や細胞隙から野菜内部に取り込みやくなる。
そして、ステップ504によりタイマーt2が設定時間t1を越えたら静電霧化装置115をOFFし、t2をリセットし、次に停止時間t3を設定し、タイマーt4をスタートさせる。このとき、ステップ506により照射手段117はOFFにする。そしてステップ507によりタイマーt4が停止時間t3を越えたとき、タイマーt4をリセットし、再びステップ502に移行する。
ここで、ステップ504でタイマーt2が噴霧時間t1より少ない場合、図7に示すステップ508の霧化量判定モードに移行する。
ステップ508に移行すると、始めにステップ509のように検知電流値iを読み込み判定する。検知電流値iがあらかじめプログラムされた第1の値i1以下で第3の値i3以上の場合、ステップ510のように霧化電極120近傍にあるノズル先端部119から噴霧される微細ミストの霧化量は適正値と判断し、Δt秒間待機後、再びステップ509に移行し判定を繰り返す。
もし、このとき、検知電流値iが第3の値i3以上、第1の値i1以下でなければ、ステップ512移行し、霧化電極120と対向電極121との間にかかる印加電圧の可変により電流値、入力を制御する。
まず、ステップ512で検知電流値iが第1の値i1より大きいと判定した場合、ステップ513に移行する。このステップ513で検知電流が第2の値i2より小さければ、霧化電極120と対向電極121との間にかかる印加電圧をあらかじめ設定していた電圧ΔVだけ低減することにより、電流値、入力を低減し、空気放電を抑え、霧化量を抑制する。
また、ステップ513で検知電流値iが第2の値i2より大きい場合は、電流値が大きいため、空気放電が促進され、霧化量が上限を超えたと考えられ、この場合、噴霧量が多い状態か、もしくはノズル先端部119の霧化電極120近傍に水がないと考えられ、静電霧化装置115および冷蔵庫101の安全性を確保するため霧化電極120と対向電極121との間にかかる印加電圧をゼロにし、ステップ516で静電霧化装置115を停止させる。次に、ステップ517で照射手段117を停止し、ステップ505へ移行する。
また、ステップ512で検知電流値iが第3の値i3より小さい場合、ステップ519に移行する。ステップ519で検知電流値iが第4の値i4より小さい場合は、制御回路に断線などのなんらかの異常が発生したと考えられるので、ステップ520より静電霧化装置115、照射手段117を停止させ、ステップ505へ移行する。ただし、この場合、回路内の記憶装置に異常のフラグを書き込み、フラグ書き込みの累積回数が、ある設定回数以上になれば、冷蔵庫本体に取り付けられる報知手段(図示なし)を動作させ、使用者に知らせることを行ってもよい。
ステップ519で検知電流値iが第4の値i4以上であれば、霧化電極120と対向電極121との間にかかる印加電圧を増加させ、入力、静電エネルギーを増加させ、霧化量を増加させる。これにより抗菌性、殺菌性を高めるとともに、野菜の保鮮の向上ができる。
以上のように、本実施の形態1においては、ノズル先端部119に供給された水に電圧を印加するための霧化電極120と対向電極121とを有し貯蔵室(野菜室107)内に微細ミストを噴霧させる静電霧化装置115と、霧化電極120と対向電極121との間に高電圧を印加する電圧印加部135と、静電霧化装置115に水を供給する水供給手段(水回収部116と水回収カバー128)と、静電霧化装置115から噴霧される微細ミストの霧化量を判定するための霧化量判定手段138と、霧化量判定手段138からの信号によって静電霧化装置115の霧化量を調整する制御手段とを備え、霧化量判定手段138を、電圧印加部135が放電する時の電流を検出する放電電流検出手段136で構成し、前記制御手段を、放電電流検出手段136によって検知された信号に基づいて電圧印加部135の電圧を制御する霧化装置制御回路137で構成したことにより、霧化部であるノズル先端部119での霧化量を電流値で把握し、電流値を制御することにより霧化量を適正化できるので貯蔵室(野菜室107)に噴霧する霧化量の安定化、野菜の保鮮性の向上、貯蔵室(野菜室107)および野菜の除菌、さらに野菜表面の農薬の分解、ビタミンCなどの栄養素の増加ができ、また他の検知手段を使わないので小型化、安価にできる。
また、貯蔵室(野菜室107)内を高湿度に維持すると同時に貯蔵室(野菜室107)内の異常結露を防止し、適切な量のミスト噴霧を行うことで、野菜の保鮮性を向上させた冷蔵庫を提供することができる。また、霧化量を把握することで、微細ミストによる噴霧を行いながら野菜室107に対する霧化量が調整できるので、過剰噴霧を防止し、野菜の保鮮性の向上、野菜室107の抗菌、除菌性能の向上できる。また、放電電流検出手段136で検出した電流値から霧化量を判定し電圧印加部135の電圧を制御することにより、制御回路のみで対応できるので、部品の追加が必要なく、簡単で安価に構成できる。
また、本実施の形態1では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より大きくなった場合、電圧印加部135が霧化電極120と対向電極121との間に印加する電圧を強制的に減少させるので、貯蔵室(野菜室107)での霧化量を低減でき、貯蔵室(野菜室107)内の霧化量の過剰噴霧を防ぎ、安全性を高めることができる。また、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の下限値である第3の値i3より小さくなった場合、電圧印加部135が霧化電極120と対向電極121との間に印加する電圧を強制的に増加させるので、貯蔵室(野菜室107)での霧化量を増加させ、適正霧化量を野菜室に噴霧するとともに抗菌や殺菌能力の向上、農薬分解性能の向上が可能になる。したがって、貯蔵室(野菜室107)の霧化量の適正化を図ることができる。
また、本実施の形態1では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より所定値大きい第2の値i2より大きくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間に印加する電圧をゼロにして静電霧化装置115を停止させることにより、さらに安全性を高めることができる。
また、本実施の形態1では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の下限値である第3の値i3より所定値小さい第4の値i4より小さくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間に印加する電圧をゼロにして静電霧化装置115を停止させることにより、欠水状態での霧化動作を防止して、安全性を高めるとともに、無駄な放電を防止し、消費電力を低減することができる。
さらに、本実施の形態1では、結露水を使用しているので、水道水などに混入しているミネラルなどは微小であり、ノズル先端部119の目詰まりになる要因が取り除かれており、寿命信頼性が向上する。
なお、本実施の形態1において、扉開閉スイッチを用いて、扉104が開と判定したときは、静電霧化装置115の電源をOFFする。これにより、開放空間でのミスト噴霧がないため、噴霧効率が向上し、また、電位差を発生しないので、安全に食品に触ることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の野菜室を左右に切断した場合の左側の縦断面を示す要部拡大断面図である。図9は、同実施の形態の冷蔵庫の静電霧化装置に関連する制御構成を示すブロック図である。図10は、同実施の形態の冷蔵庫における制御を示すフローチャート、図11は、図10のフローチャートにおいて霧化量判定のステップに移行した場合の制御を示すフローチャートである。
なお、本実施の形態では、実施の形態1と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1と同一部分については詳細な説明を省略する。
図8において、静電霧化装置115には霧化用タンク118があり、水回収部116の一部である水回収カバー128と霧化用タンク118は、霧化用タンク118送水する量を調整するための電磁弁などの開閉弁154を介して、樹脂などで構成されたパイプ状の流路155で接続されている。
また、図9において、霧化電極120と対向電極121との間に電圧印加部135から高電圧が印加される。その印加したときの電流値を信号S1として放電電流検出手段136が検知し、その信号を制御手段である霧化装置制御回路137に信号S2として入力し、霧化量判定手段138にて霧化量を把握し、信号S3として電圧印加部135の出力電圧等を調整している。また、この制御手段によって霧化装置制御回路137と冷蔵庫101本体の冷蔵庫制御回路139と通信を行い、照射手段117、開閉弁154の動作の判定も行う。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
水回収カバー128で回収した水滴は徐々に成長し、水回収カバー128の内面に沿って流水し、流路155に流れる。そして、開閉弁154が開のとき、水回収カバー128に貯留した水は、霧化用タンク118に流れ、霧化部であるノズル先端部119近傍の霧化電極120と対向電極121との間に高電圧を印加することにより、微粒化され、さらに水滴は帯電しているので、レイリー***によりさらに微粒化され、きわめて細かいナノレベルの粒子をもった微細ミストが野菜室107に噴霧される。この時、開閉弁154は開閉時間の間隔で水量を調整することができるので供給量を調整することができ、霧化量を調整することができる。
野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散よってより萎れやすいものである。野菜室107内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、霧化された微細ミストによって野菜の表面が潤わされる。
噴霧された微細ミストは野菜室107内を再び高湿にすると同時に野菜室107内に気孔開孔状態の野菜や果物の表面に付着し、気孔より組織内に侵入し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。特に、静電霧化により微細ミストはマイナスに帯電しており、通常、野菜はプラスに帯電しているので微細ミストが表面に付着しやすい。また、ナノレベルの粒子も存在するので細胞隙からでも水分を吸収することができる。さらに、1μm以下の粒子であるため非常に軽く、拡散性が向上することにより野菜室全体に微細ミストが広がり、保鮮性が向上し、容器に付着しても目立たないので品位を損ねることがない。
また、照射手段117により微弱な青色光を照射された野菜の気孔が、青色光の光刺激によって、通常の状態に比べ気孔の開度が大きくなる。これにより、野菜や果物表面に付着した微細ミストが気孔開孔状態の野菜や果物の表面から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内にさらに水分を供給でき、シャキットした状態に復帰し、新鮮さが復活する。
これらの動作の詳細について図10と図11の制御フローチャートで説明する。
ステップ501により高湿化モードに入ると、ステップ551で流路155内にある開閉弁154を開状態にし、水回収カバー128内に貯留されている水を静電霧化装置115へ流す。次にΔt秒後、ステップ502で静電霧化装置115をONし、噴霧時間t1を設定、タイマーt2をスタートさせ、野菜室107に微細ミストを噴霧する。次にステップ503の照射手段117をONさせる。これにより青色LED133が点灯し、野菜の気孔開度が増加する。これにより、野菜の表面に付着した微細ミストを気孔や細胞隙から野菜内部に取り込みやくなる。
そして、ステップ504によりタイマーt2が設定時間t1を越えたら静電霧化装置115をOFFし、t2をリセットし、次に停止時間t3を設定し、タイマーt4をスタートさせる。このとき、ステップ552により開閉弁154を閉状態にし、照射手段117もOFFにする。そして、ステップ507によりタイマーt4が停止時間t3を越えたとき、タイマーt4をリセットし、再びステップ502に移行する。
ここで、ステップ504でタイマーt2が噴霧時間t1より少ない場合、図10に示すステップ508の霧化判定モードに移行する。
ステップ508に移行すると、始めにステップ509のように検知電流値iを読み込み判定する。検知電流値iがあらかじめプログラムされた第1の値i1以下で第3の値i3以上の場合、ステップ561のようにノズル先端部119から噴霧されている微細ミストの霧化量は適正値と判断し、開閉弁154は開状態を継続する。
そして、Δt秒間待機後、再びステップ509に移行し判定を繰り返す。もし、このとき、検知電流値iが第3の値i3以上、第1の値i1以下でなければ、ステップ512移行し、霧化量を調整するために霧化用タンク118への送水量を制御する。
まず、ステップ512で検知電流値iが第1の値i1より大きいと判定した場合、ステップ513に移行する。このステップ513で検知電流が第2の値i2より小さければ、ステップ562で静電霧化装置115の運転は継続するものの、開閉弁154は閉に切り替える。これにより、ノズル先端部119から噴霧される霧化量が減少する。
また、ステップ513で検知電流値iが第2の値i2より大きい場合は、ノズル先端部119からの霧化量が非常に多いと考えられ、この場合、ステップ563で静電霧化装置115および冷蔵庫101の安全性を確保するため、霧化電極120と対向電極121との間の印加電圧をゼロにし、ステップ516で静電霧化装置115を停止させとともに、開閉弁154も閉に切り替える。次に、ステップ517で照射手段117を停止し、ステップ505へ移行する。
また、ステップ512で検知電流値iがi1より小さい場合、ステップ519に移行する。ステップ519で検知電流値iが第4の値i4より小さい場合は、制御回路に断線などのなんらかの異常が発生したと考えられるので、ステップ564より静電霧化装置115を停止、開閉弁154を閉、照射手段117を停止させ、ステップ505へ移行する。ただし、この場合、回路内の記憶装置に異常のフラグを書き込み、フラグ書き込みの累積回数が、ある設定回数以上になれば、冷蔵庫本体に取り付けられる報知手段(図示なし)を動作させ、使用者に知らせることを行ってもよい。
ステップ519で検知電流値iが第4の値i4以上であれば、開閉弁154の開状態を維持することによりその野菜室環境も維持する。
以上のように、本実施の形態2においては、ノズル先端部119に供給された水に電圧を印加するための霧化電極120と対向電極121とを有し貯蔵室(野菜室107)内に微細ミストを噴霧させる静電霧化装置115と、霧化電極120と対向電極121との間に高電圧を印加する電圧印加部135と、静電霧化装置115に水を供給する水供給手段(開閉弁154)と、静電霧化装置115から噴霧される微細ミストの霧化量を判定するための霧化量判定手段138と、霧化量判定手段138からの信号によって静電霧化装置115の霧化量を調整する制御手段とを備え、霧化量判定手段138を、電圧印加部135が放電する時の電流を検出する放電電流検出手段136で構成し、前記制御手段を、放電電流検出手段136によって検知された信号に基づいて開閉弁154の開閉を制御する霧化装置制御回路137および冷蔵庫制御回路139で構成したことにより、霧化部であるノズル先端部119での霧化量を電流値で把握し、開閉弁154により給水量を適正化し、霧化量を適正化できるので、貯蔵室(野菜室107)内に噴霧する霧化量の安定化、野菜の保鮮性の向上と同時に抗菌性の向上、貯蔵室(野菜室107)および野菜の除菌、さらに野菜表面の農薬の分解、ビタミンCなどの栄養素の増加および野菜室107内の結露による水腐れ防止ができ、また他の検知手段を使わないので小型化、安価にできる。
また、貯蔵室(野菜室107)内を高湿度に維持すると同時に貯蔵室(野菜室107)内の異常結露を防止し、適切な量のミスト噴霧を行うことで、野菜の保鮮性を向上させた冷蔵庫を提供することができる。また、霧化量を把握することで、微細ミストによる噴霧を行いながら野菜室107に対する霧化量が調整できるので、過剰噴霧を防止し、野菜の保鮮性の向上、野菜室107の抗菌、除菌性能の向上できる。また、放電電流検出手段136で検出した電流値から霧化量を判定し開閉弁154の開閉を制御することにより、制御回路で対応でき、水路を開閉する開閉弁154により、簡単に水量が調整することができ、簡単で安価に構成できる。
また、本実施の形態2では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より大きくなった場合、開閉弁154は閉に切り替えて霧化部への水供給量を減少させるので、貯蔵室(野菜室107)での霧化量を低減でき、貯蔵室(野菜室107)内の霧化量の過剰噴霧を防ぎ、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態2では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より所定値大きい第2の値i2より大きくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間の印加電圧をゼロにし、静電霧化装置115を停止させとともに、開閉弁154も閉にすることにより、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態2では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の下限値である第3の値i3より所定値小さい第4の値i4より小さくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間の印加電圧をゼロにし、静電霧化装置115を停止させとともに、開閉弁154も閉にすることにより、欠水状態での霧化動作を防止して、安全性を高めるとともに、無駄な放電を防止し、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態2では、粒子径が1μm以下の極めて微細なミストであるため、拡散性が向上し、野菜室107内の結露を低減できるとともに部材の削減によるコスト低減にも繋がる。
なお、本実施の形態2において、静電霧化装置115の噴霧方向を水平方向に設置したが、静電霧化装置115を下方向に向けて設置することも可能である。この場合、上方から噴霧するので、均一に微細ミストを拡散することができる。また、貯蔵空間全体に微細ミストを噴霧できるので、ミスト(水分)の潜熱により貯蔵空間内を冷却することができる。これにより、冷蔵温度帯用の冷却器能力を小さくできるので、小型化、低コスト化が可能となる。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の冷蔵室の給水タンク周辺部から野菜室までを左右に切断した場合の左側の縦断面を示す要部拡大断面図、図13は、同実施の形態の冷蔵庫の静電霧化装置に関連する制御構成を示すブロック図である。図14は、同実施の形態の冷蔵庫における制御で霧化量判定のステップに移行した場合の制御を示すフローチャートである。
なお、本実施の形態では、実施の形態1または2と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1または2と同一部分については詳細な説明を省略する。
図12、図13において、野菜室107は、野菜ケース160に野菜や果物などの食品を収納しており、その上部には、野菜ケース160内に収納された食品からの蒸散抑制にため、庫内湿度を維持するための蓋161が構成されており、その野菜ケース160と蓋161の隙間に噴霧手段である静電霧化装置115の霧化部であるノズル先端部119が庫内に向けて構成されている。
仕切り103bには照射手段117が取り付けられており、ケース内の食品を照射できるよう蓋161の一部は切り欠かれているか、透明な材質で構成されている。
静電霧化装置115の水を供給するために冷蔵室105の中に、給水タンク162が構成され、給水タンク162と静電霧化装置115に備えられた霧化用タンク118は、フィルター164およびステッピングモータやギアやチューブ、圧電などのいずれかを用いた送水ポンプ165を介し、送水ポンプ165前後で流路163aと細管流路163bが構成され、この細管流路163bと霧化用タンク118を通じて、ノズル先端部119に水を給水しており、その一部は仕切り103a,103b、114や冷蔵庫箱体102に埋設されている。
静電霧化装置115は、霧化電極120での放電電流値を放電電流検出手段136で検知し、霧化装置制御回路137の霧化量判定手段138の出力を冷蔵庫本体の冷蔵庫制御回路139に通信し、送水ポンプ165や照射手段117の動作を決定する。なお、霧化装置制御回路137と冷蔵庫制御回路139を同一基板上で構成することでもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
給水タンク162に貯水された水は、送水ポンプ165の動作により、静電霧化装置115に流路163から水を供給するか決定する。送水ポンプ165がONのとき、あらかじめ使用者により供給された水が静電霧化装置115に向けて流れる。このとき、流路163a,163bを流れる水は、あらかじめ設置されたフィルター164に流水することにより、ごみや異物などの不純物が除去し、また、細管流路163bは密閉になっているので静電霧化装置115のノズル先端部119の目詰まりを防止するのと同時にほこり・細菌の侵入を防止でき、衛生を確保できる。
そして、細管流路163bは、仕切り114内などの断熱材の中に埋設され、氷結を防止しながら流れる。なお、ここでは図示しないが、流路外周には、温度を保障するためのヒータを細管流路163bに密接してもよい。そして、流路163bから静電霧化装置115の霧化用タンク118に水が供給され、霧化部であるノズル先端部119近傍の霧化電極120と対向電極121との間に高電圧を印加することにより、微粒化され、さらに水滴は帯電しているので、レイリー***によりさらに微粒化され、きわめて細かいナノレベルの粒子をもった微細ミストが野菜室107に噴霧される。
この時、細管流路163bは流路163aより細くすることにより微量水を制御しやすく、野菜室107の噴霧量の精度向上が可能になる。また、送水ポンプ165を用いることにより、そのステップ数やモータ回転数などの調整が容易にでき、例えば、送水ポンプ165に印加する電圧で送水量を制御でき、野菜室107の噴霧量の精度向上が可能になり、霧化量も制御できる。
これらの動作の詳細について図14の制御フローチャートで説明する。
ミスト噴霧に関して、静電霧化装置115の動作と照射手段117、送水ポンプ165の動作を判定する。
ステップ508で霧化判定を行うとき、始めにステップ509のように検知電流値iを読み込み判定する。検知電流値iがあらかじめプログラムされた第1の値i1以下で第3の値i3以上の場合、ステップ571のようにノズル先端部119から噴霧されている微細ミストの霧化量は適正値と判断し、送水ポンプ165による静電霧化装置115への給水量は適正だと判断し、その給水量を継続する。
そして、Δt秒間待機後、再びステップ509に移行し判定を繰り返す。もし、このとき、検知電流値iが第3の値i3以上、第1の値i1以下でなければ、ステップ512移行し、送水ポンプ165により給水量を制御し、静電霧化装置115の霧化量を調整する。
まず、ステップ512で検知電流値iが第1の値i1より大きいと判定した場合、ステップ513に移行する。このステップ513で検知電流が第2の値i2より小さければ、ステップ572で静電霧化装置115の運転は継続するものの、送水ポンプ165から流れる水量を低減させる。これにより、霧化用タンク118の水位が下がり、圧力ヘッド差が小さくなるのでノズル先端部119にかかる圧力が減少し、そのため霧化量が減少する。
また、ステップ513で検知電流値iが第2の値i2より大きい場合は、霧化量が多いため電流値が上がる。この場合、ステップ563で静電霧化装置115および冷蔵庫101の安全性を確保するため、霧化電極120と対向電極121間の印加電圧をゼロにし、ステップ516で静電霧化装置115を停止させとともに、送水ポンプ165の送水も停止する。次に、ステップ517で照射手段117を停止し、ステップ505へ移行する。
さて、ステップ512で検知電流値iがi1より小さい場合、ステップ519に移行する。ステップ519で検知電流値iが第4の値i4より小さい場合は、制御回路に断線などのなんらかの異常が発生したと考えられるので、ステップ574より静電霧化装置115を停止、送水ポンプ165、照射手段117を停止させ、ステップ505へ移行する。ただし、この場合、回路内の記憶装置に異常のフラグを書き込み、フラグ書き込みの累積回数が、ある設定回数以上になれば、冷蔵庫本体に取り付けられる報知手段(図示なし)を動作させ、使用者に知らせることを行ってもよい。
ステップ519で検知電流値iが第4の値i4以上であれば、送水ポンプ165の給水量をあらかじめ設定していた値だけ増加させることで霧化量も増加させ、抗菌性の向上、および農薬分解の促進を図る。
以上のように、本実施の形態3においては、ノズル先端部119に供給された水に電圧を印加するための霧化電極120と対向電極121とを有し貯蔵室(野菜室107)内に微細ミストを噴霧させる静電霧化装置115と、霧化電極120と対向電極121との間に高電圧を印加する電圧印加部135と、静電霧化装置115に水を供給する水供給手段(送水ポンプ165)と、静電霧化装置115から噴霧される微細ミストの霧化量を判定するための霧化量判定手段138と、霧化量判定手段138からの信号によって静電霧化装置115の霧化量を調整する制御手段とを備え、霧化量判定手段138を、電圧印加部135が放電する時の電流を検出する放電電流検出手段136で構成し、前記制御手段を、放電電流検出手段136によって検知された信号に基づいて送水ポンプ165の送水量を制御する霧化装置制御回路137および冷蔵庫制御回路139で構成したことにより、霧化部であるノズル先端部119での霧化量を電流値で把握し、送水ポンプ165の送水量により給水量を適正化し、霧化量を適正化できるので、貯蔵室(野菜室107)内に噴霧する霧化量の安定化、野菜の保鮮性の向上と同時に抗菌性の向上、貯蔵室(野菜室107)および野菜の除菌、さらに野菜表面の農薬の分解、ビタミンCなどの栄養素の増加および野菜室107内の結露による水腐れ防止ができ、また他の検知手段を使わないので小型化、安価にできる。
また、貯蔵室(野菜室107)内を高湿度に維持すると同時に貯蔵室(野菜室107)内の異常結露を防止し、適切な量のミスト噴霧を行うことで、野菜の保鮮性を向上させた冷蔵庫を提供することができる。また、霧化量を把握することで、微細ミストによる噴霧を行いながら野菜室107に対する霧化量が調整できるので、過剰噴霧を防止し、野菜の保鮮性の向上、野菜室107の抗菌、除菌性能の向上できる。また、放電電流検出手段136で検出した電流値から霧化量を判定し送水ポンプ165の送水量を制御することにより、制御回路で対応でき、送水ポンプ165の送水量により、簡単に水量が調整することができ、簡単で安価に構成できる。
また、水供給手段が送水ポンプ165であることにより、水量を簡単に調整することが可能であり、また、水をくみ上げることができるので給水タンク162などの水源の位置を静電霧化装置115より下に配置することが可能になるので設計の自由度が増加する。
また、本実施の形態3では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より大きくなった場合、送水ポンプ165から流れる水量を低減させ霧化部への水供給量を減少させるので、貯蔵室(野菜室107)での霧化量を低減でき、貯蔵室(野菜室107)内の霧化量の過剰噴霧を防ぎ、安全性を高めることができる。また、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の下限値である第3の値i3より小さくなった場合、送水ポンプ165の給水量をあらかじめ設定していた値だけ増加させるので、霧化量を増加させて、適正霧化量を野菜室107に噴霧するとともに抗菌や殺菌能力の向上、農薬分解性能の向上が可能になる。したがって、貯蔵室(野菜室107)の霧化量の適正化を図ることができる。
また、本実施の形態3では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の上限値である第1の値i1より所定値大きい第2の値i2より大きくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間の印加電圧をゼロにし、静電霧化装置115を停止させとともに、送水ポンプ165の送水も停止させることにより、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態3では、放電電流検出手段136で検出した検知電流値iが、適正範囲の下限値である第3の値i3より所定値小さい第4の値i4より小さくなった場合、霧化電極120と対向電極121との間の印加電圧をゼロにし、静電霧化装置115を停止させとともに、送水ポンプ165の送水も停止させることにより、欠水状態での霧化動作を防止して、安全性を高めるとともに、無駄な放電を防止し、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態3では、給水タンク162から送水ポンプ165までの流路断面積より送水ポンプ165から霧化用タンク118までの流路断面積を細くしたことにより、微量水を制御しやすく、野菜室107の噴霧量の精度向上が可能になる。また、送水ポンプ165を用いることにより、そのステップ数やモータ回転数などの調整が容易にでき、例えば、送水ポンプ165に印加する電圧で送水量を制御でき、野菜室の噴霧量の精度向上が可能になる。
また、本実施の形態3では、送水ポンプ165を用いることにより、その回転数等でリニアに送水量を可変させることにより微量調整が可能であるから、精度のよい噴霧量調整ができる。
また、本実施の形態3では、給水タンク162が野菜室107外にも配置できるので野菜室107の容量が確保でき、食品が十分収納できる。
また、本実施の形態3では、給水タンク162が冷蔵室105に設置されているため、凍結の恐れがなく温度補償用ヒータも必要ない。さらに、製氷タンクとの兼用もできるので冷蔵庫の収納量を減少させることがない。
また、本実施の形態3では、ノズル先端部119より対向電極を上方に設けることにより、ミストが上方に引き寄せられ、噴霧距離が延長すると同時に、ノズル先端部119の食品を避けてミストを噴霧することができる。
なお、本実施の形態3では、対向電極121を静電霧化装置115に付随する構成にしているが、天面の蓋の一部や容器の一部に設けてもよい。この場合、無駄な突起がなくなり、収納容積が増加する。
(実施の形態4)
図15は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の野菜室とその周辺部を左右に切断した場合の左側の縦断面を示す要部拡大断面図である。
なお、本実施の形態では、実施の形態1から3と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から3と同一部分については詳細な説明を省略する。
図15において、冷蔵庫後部には蒸発器112で生成された低温空気を冷気循環用ファン201で各貯蔵室空間に搬送、もしくは貯蔵室空間で熱交換された空気を蒸発器112に回収するために風路113があり、仕切り114で仕切られている。
静電霧化装置202は、霧化電極203と、その先端部204の近傍に一定距離を保つように設けられた対向電極205、その対向電極205を保持するための対向電極ホルダー206によって構成され、プラス極側が霧化電極203、マイナス極側が対向電極205となるようにそれぞれ電気的に接続されている。先端部204に供給・付着した液体は、霧化電極203と対向電極205との間にかかる高電圧の静電エネルギーにより液滴が細分化されて野菜室107へ噴霧される。
また、静電霧化装置202は微細ミストを噴霧する先端部204が野菜室107内に向くように仕切り114に埋め込まれて設置されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置202の霧化電極203は、蒸発器112で生成された風路113内の低温空気により仕切り114を通じて熱伝導により冷却される。それにより、霧化電極203部は野菜室107内の雰囲気温度よりも低くなるため、周囲の空気からの結露により先端部204へ水が供給されるので、野菜室107へ微細ミストを噴霧することができる。
以上のように、本実施の形態4においては、霧化電極203を冷却して貯蔵室(野菜室107)内の周囲の空気を結露させて水を供給する手段とすることで、冷蔵庫にタンクなどの貯留水を保持する必要がなく、また、メンテナンスなどが不要となる。