JP5341283B1 - 起泡性水中油型乳化物用油脂および該油脂を含んでなる起泡性水中油型乳化物 - Google Patents
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Abstract
[解決手段]特定の種類のトリグリセリドを特定の含有量で有する混合油脂からなる起泡性水中油型乳化物用油脂、又は、前記混合油脂と、特定のHLB値を有し、かつ結合する脂肪酸の特定量以上が飽和脂肪酸であるショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルとを、特定の量で配合してなる起泡性水中油型乳化物用油脂組成物により達成される。
Description
第1のトリグリセリドを25質量%以上60質量%以下、第2のトリグリセリドを3質量%以上15質量%以下、第3のトリグリセリドを3質量%以上40質量%以下、及び第4のトリグリセリドを0.6質量%以上10質量%以下含有する混合油脂であって、前記混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、飽和脂肪酸の含有量が60質量%以上である混合油脂からなる、起泡性水中油型乳化物用油脂が提供される。
ただし、第1のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38であるトリグリセリドであり、第2のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が44〜46であるトリグリセリドであり、第3のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Xとが結合したH2X型及びHX2型のトリグリセリドであり、第4のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hが結合したHHH型トリグリセリドである。
前記混合油脂の全量に対して、第1の油脂の含有量が、50質量%以上93.9質量%以下であり、第2の油脂の含有量が、5質量%以上45質量%以下である、起泡性水中油型乳化物用油脂が提供される。
上記混合油脂の全量(100質量部)に対して、
HLB値が0以上4以下であるショ糖脂肪酸エステル、及び/又は、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルを、0.01質量部以上2質量部以下混合した混合物である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物が提供される。
上記の起泡性水中油型乳化物用油脂又は起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相中に含んでなる、起泡性水中油型乳化物、およびそれを含んでなる食品が提供される。
上記の混合油脂と、
HLB値が0以上4以下であるショ糖脂肪酸エステル、及び/又は、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルと
を混合する工程を含んでなる、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造方法が提供される。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに、3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1、2、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。なお、トリグリセリドの構成脂肪酸の略称として、以下を用いる。H:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、X:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸。
本発明において、起泡性水中油型乳化物用油脂は、以下に説明する混合油脂からなるものである。
1.混合油脂
混合油脂は、第1のトリグリセリド〜第4のトリグリセリドを有するものである。混合油脂は、第5のトリグリセリドをさらに有してもよい。
第1のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38である。第1のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、25質量%以上60質量%以下であり、好ましくは30質量%以上55質量%以下、より好ましくは35質量%を超えて50質量%以下、さらに好ましくは37質量%以上45質量%以下である。なお、第1のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第1のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の口どけを良好にすることができる。
第2のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が44〜46である。第2のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、3質量%以上15質量%以下であり、好ましくは5質量%以上13質量%以下、より好ましくは7質量%以上12質量%以下である。なお、第2のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第2のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を良好にすることができる。
第3のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Xとが結合したH2X型及びHX2型のトリグリセリドである。H2X型及びHX2型のトリグリセリドにおいては、脂肪酸残基の結合位置は問わない。例えば、H2X型トリグリセリドは、HXH型、HHX型及びXHH型のトリグリセリドを指す。飽和脂肪酸Hの炭素数は16〜18であるのが好ましく、不飽和脂肪酸Xの炭素数は16〜18であるのが好ましい。また、好ましい態様によれば、H2X型/HX2型≧0.7、好ましくはH2X型/HX2型≧1.0、より好ましくはH2X型/HX2型≧1.3であり、H2X型トリグリセリドは、H2X型中、HXH型/H2X型≧0.3、好ましくはHXH型/H2X型≧0.5、より好ましくはHXH型/H2X型≧0.7である。第3のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、3質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下、より好ましくは7質量%以上25質量%以下である。なお、第3のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第3のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を良好にすることができる。
第4のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hが結合したHHH型トリグリセリドである。第4のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、0.6質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは1質量%以上8質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上6質量%以下であり、最も好ましくは2質量%以上4質量%以下である。なお、第4のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第4のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性と耐熱性を良好にすることができる。
第5のトリグリセリドは、第1のトリグリセリド〜第4のトリグリセリド以外であればよく、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数は特に限定されない。第5のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、0質量%以上68質量%以下であり、好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。なお、第5のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
本発明において、混合油脂中の飽和脂肪酸の含有量は、混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上95質量%以下、より好ましくは80質量%以上90質量%以下である。飽和脂肪酸の含有量が上記範囲程度であれば、起泡性水中油型乳化物のホイップ作業性を良好にすることができる。
本発明の好ましい態様によれば、混合油脂中のトランス脂肪酸の含有量は、混合油脂中の全てのトリグリセリドを構成する脂肪酸の全量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であるのがよい。トランス脂肪酸の含有量が上記範囲程度であれば、栄養学的に好ましい。
第1の油脂は、第1の油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、ラウリン酸を30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上60質量%以下含有するものである。ラウリン酸が上記範囲程度含まれていれば、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かすことができる。また、混合油脂の全量に対して、第1の油脂の含有量は、50質量%以上93.9質量%以下、好ましくは60質量%以上93質量%以下、より好ましくは65質量%以上90質量%以下である。第1の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加および/または分別して得られる加工油脂、例えば、パーム核油、ヤシ油、およびこれらを水素添加および/または分別して得られる加工油脂等が挙げられる。なお、第1の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。特にパーム核油を分別した固体部である、パーム核ステアリンもしくはその水素添加油を、好ましくは30質量%以上90質量%以下、より好ましくは40質量%以上85質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上80質量%以下、使用するのが好ましい。前記パーム核ステアリンもしくはその水素添加油は、油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、ラウリン酸を50質量%以上60質量%以下含有するものが好ましい。
第2の油脂は、第2の油脂中のトリグリセリド全量に対して、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hと炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Xとが結合したH2X型及びHX2型のトリグリセリド(H2X型とHX2型の合計)(第3のトリグリセリド)を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上100質量%以下含有するものである。ここで、H2X型及びHX2型のトリグリセリドにおいては、脂肪酸残基の結合位置は問わず、例えば、H2X型トリグリセリドは、HXH型、HHX型及びXHH型のトリグリセリドを指す。飽和脂肪酸Hの炭素数は16〜18であるのが好ましく、不飽和脂肪酸Xの炭素数は16〜18であるのが好ましい。また、好ましい態様によれば、H2X型/HX2型≧0.7、好ましくはH2X型/HX2型≧1.0、より好ましくはH2X型/HX2型≧1.3であり、H2X型トリグリセリドは、H2X型中、HXH型/H2X型≧0.3、好ましくはHXH型/H2X型≧0.5、より好ましくはHXH型/H2X型≧0.7である。特定の構成を有するH2X型及びHX2型のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を改良することができる。また、混合油脂の全量に対して、第2の油脂の含有量は、5質量%以上45質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上35質量%以下である。第2の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加、分別、およびエステル交換のうち選択される1以上の処理を施した加工油脂、例えば、パーム油を分別して得られる中融点部(ヨウ素価32以上48以下)が挙げられる。また、他の態様によれば、第2の油脂は、パーム分別低融点部(ヨウ素価50以上80以下)のエステル交換油が好ましい。なお、第2の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
第3の油脂は、第3の油脂中のトリグリセリド全量に対して、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hが結合したHHH型トリグリセリド(第4のトリグリセリド)を80質量%以上、好ましくは90質量%以上100質量%以下含有するものである。HHH型トリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性と耐熱性を良好にすることができる。また、混合油脂の全量に対して、第3の油脂の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5質量%以上7質量%以下、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。第3の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加、分別、およびエステル交換のうち選択される1以上の処理を施した加工油脂、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、胡麻油、綿実油、米油、パーム油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、紫蘇油、エゴマ油、牛脂、豚脂、魚油等の、極度硬化油が挙げられる。極度硬化油とは、上記油脂をヨウ素価10以下まで硬化(水素添加)した油脂である。極度硬化油のヨウ素価は5以下であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。なお、第3の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
第4の油脂は、第4の油脂中のトリグリセリド全量に対して、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が44〜46であるトリグリセリド(第2のトリグリセリド)を25質量%以上含有するものである。第4の油脂は、油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対してラウリン酸を30質量%以上含有する油脂(油脂A)と、油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して炭素数16〜24の脂肪酸を90質量%以上含有する油脂(油脂B)とのエステル交換油であることが好ましい。該エステル交換油は、油脂Aと油脂Bとを質量比で、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3、さらに好ましくは4:6〜6:4で混合した混合油のエステル交換油であることが好ましい。油脂Aと油脂Bとの混合質量比が上記範囲程度であれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を良好にすることができる。また、混合油脂の全量に対して、第4の油脂の含有量は、1質量%以上30質量%以下、好ましくは3質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。第4の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加および/または分別して得られる加工油脂のエステル交換油脂、例えば、パーム核油とパーム油の混合油のエステル交換油脂、パーム核極度硬化油とパーム極度硬化油の混合油のエステル交換油脂等が挙げられる。なお、第4の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
第5の油脂は、第1の油脂〜第4の油脂以外であればよく、第5の油脂中のトリグリセリドに結合する脂肪酸の炭素数は特に限定されない。混合油脂の全量に対して、第5の油脂の含有量は、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは0質量%以上10質量%以下である。第5の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加および/または分別して得られる加工油脂、例えば、ナタネ油、コーン油、大豆油、米油、魚油、紅花油、オリーブ油、胡麻油、綿実油、乳脂、およびバター等が挙げられる。特に、油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)を70質量%以上含有する油脂が好ましい。なお、第5の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
本発明において、油脂組成物は、上記混合油脂と、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルとを含んでなるものである。油脂組成物は、香料、食品用乳化剤等の油溶性成分をさらに含んでもよい。食品用乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤であり、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート及びレシチン等が挙げられる。
本発明において、油脂組成物は、上記混合油脂100質量部に対して、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを、0.01質量部以上2質量部以下混合した混合物である。上記のその他油溶性成分を含む場合、上記混合油脂100質量部に対して、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを含め、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。
本発明において、ショ糖脂肪酸エステルは、HLB値が0以上4以下、好ましくは0.5以上3.5以下、より好ましくは1超過3未満、さらに好ましくは1.5以上2.5以下のものを用いる。また、ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、混合油脂の全量(100質量部)に対して、0.01質量部以上2質量部以下、好ましくは0.02質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、さらに好ましくは0.07質量部以上0.5質量部以下、さらにより好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。ショ糖脂肪酸エステルを、上記程度の含有量で混合油脂に加えることで、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が高く、起泡性や保形性等のホイップ特性を向上することができる。さらに、ショ糖脂肪酸エステルの含有量を0.07質量部以上にすることで、エージング時間をより短縮することができる。また、HLB値が1.5以上2.5以下であると、ショ糖脂肪酸エステルの添加量を低減することができ、エージング時間をより短縮することができる。
本発明において、ソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が3.5以上6.5以下、好ましくは3.7以上6.0以下、より好ましくは4.0以上5.5以下のものを用いる。また、ソルビタン脂肪酸エステルにおいて、結合する脂肪酸の80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上が飽和脂肪酸である。さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、混合油脂の全量(100質量部)に対して、0.01質量部以上2質量部以下、好ましくは0.02質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、さらに好ましくは0.07質量部以上0.5質量部以下、さらにより好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。ソルビタン脂肪酸エステルを、上記程度の含有量で油脂組成物に加えることで、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が高く、起泡性や保形性等のホイップ特性を向上することができる。さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量を0.07質量部以上にすることで、エージング時間をより短縮することができる。また、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であることで、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量を低減することができ、エージング時間をより短縮することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、液相と固相の相転移(融解・凝固)の際に生じる熱量変位(吸熱・発熱)に特徴があり、示差走査熱量測定(METTLER TOLEDO社DSC1)装置を用いて測定した場合に、特定の転移熱曲線(DSC曲線)を有するのがよい。好ましい態様によれば、油脂組成物は、融解状態(例えば、60℃、好ましくは60℃以上80℃以下)から−5℃/分の冷却速度で冷却した時に、冷却が7℃に達した時点までの発熱量が、全体の発熱量に対して60%以上、好ましくは70%以上である。また、より好ましい態様によれば、冷却が10℃に到達した時点までの発熱量が、全体の発熱量に対して45%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。冷却が7℃または10℃に到達した時点までの発熱量が上記程度であれば、起泡性水中油型乳化物を製造した場合に、冷却に要する時間を短縮し、エージング工程を短縮することができ、コストを改善できる。
本発明の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、上記の混合油脂を溶解し、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルと必要に応じて油溶性成分を公知の方法で均一に分散、溶解することによって製造することができる。また、他の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、第1の油脂と、第2の油脂とを溶解して混合し、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを公知の方法で均一に分散、溶解することによって製造することができる。好ましくは第3〜第5の油脂や必要に応じて油溶性成分をさらに混合してもよい。なお、上記の混合油脂の全量(100質量部)に対して、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量部以上2質量部以下、好ましくは0.02質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、さらに好ましくは0.07質量部以上0.5質量部以下、さらにより好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下混合するのがよい。特に、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの含有量を0.07質量部以上にすることで、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を特定のDSC曲線を有するものに調整することができる。
本発明の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物は、上記の起泡性水中油型乳化物用油脂又は起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相に含むものである。起泡性水中油型乳化物は、上記の起泡性水中油型乳化物用油脂又は起泡性水中油型乳化物用油脂組成物と、水と、さらにその他の成分とを含むものである。その他の成分としては、例えば、起泡性水中油型乳化物に一般的に使用される食品、乳化剤、香料、タンパク質(乳固形分)、増粘剤、糖類(澱粉及びその分解物を含む)、安定化剤、抗酸化剤、および色素等が挙げられる。起泡性水中油型乳化物中の起泡性水中油型乳化物用油脂又は起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の配合量は、15質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下、より好ましくは25質量%以上35質量%以下である。水の配合量は、20質量%以上80質量%以下、好ましくは30質量%以上75質量%以下、より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。その他の成分の配合量は、0.1質量%以上65質量%以下、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上35質量%以下である。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、各種用途に用いることができる。各種用途としては、例えば、ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー、および調理用の食用クリーム等があげられる。本発明の起泡性水中油型乳化物を用いた食品としては、例えば、ホイップクリームを用いたチルドデザートや和洋生菓子等が挙げられる。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造方法には、公知の方法を用いることができる。一例としては、本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂又は起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を融解し、油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて調製した水相も調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させた乳化物を均質化処理することにより製造することができる。また、必要に応じて殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよく、また前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を行うこともできる。均質化処理の後は、冷却、エージングの工程をとることが好ましい。本発明の製造方法においては、上記のショ糖脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを上記範囲内で油相に含む起泡性水中油型乳化物を用いることで、製造工程中の冷却工程(エージング工程)を短縮することができる。
油脂原料を、表1、2に示す配合で混合し、例1〜12の起泡性水中油型乳化物用油脂を製造した。
第1の油脂
・パーム核ステアリン(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が49.3質量%、総炭素数44〜46が9.0質量%、ラウリン酸54.9質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド0.3質量%、HHH型トリグリセリド0.5質量%、飽和脂肪酸92.7質量%、トランス脂肪酸0質量%、ヨウ素価7)
・パーム核ステアリン極度硬化油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が50.3質量%、総炭素数44〜46が8.8質量%、ラウリン酸54.7質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド0質量%、HHH型トリグリセリド1.4質量%、飽和脂肪酸100質量%、トランス脂肪酸0質量%、ヨウ素価1以下)
・パーム核油(日清オイリオグループ株式会社製造品、総炭素数36〜38が37.4質量%、総炭素数44〜46が12.1質量%、ラウリン酸47.1質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド3.1質量%、HHH型トリグリセリド1.0質量%、飽和脂肪酸80.5質量%、トランス脂肪酸0.1質量%、ヨウ素価19)
・ヤシ油(日清オイリオグループ株式会社製造品、総炭素数36〜38が36.0質量%、総炭素数44〜46が6.9質量%、ラウリン酸47.9質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド1.7質量%、HHH型トリグリセリド0.2質量%、飽和脂肪酸91.6質量%、トランス脂肪酸0.0質量%、ヨウ素価8)
第2の油脂
・パーム中融点部(日清オイリオグループ株式会社製造品、総炭素数36〜38が0質量%、総炭素数44〜46が0.6質量%、ラウリン酸0.2質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド92.7質量%、HHH型トリグリセリド1.8質量%、飽和脂肪酸55.0質量%、トランス脂肪酸0.5質量%、ヨウ素価45、H2X型トリグリセリド70.0質量%、HXH型トリグリセリド59.9質量%)
・エステル交換油1(パームオレインのランダムエステル交換油、日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が0質量%、総炭素数44〜46が1.0質量%、ラウリン酸0.2質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド70.7質量%、HHH型トリグリセリド10.7質量%、飽和脂肪酸46.8質量%、トランス脂肪酸0.5質量%、ヨウ素価56、H2X型トリグリセリド36.5質量%、HXH型トリグリセリド12.2質量%、)
第3の油脂
・パーム極度硬化油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が0質量%、総炭素数44〜46が0.8質量%、ラウリン酸0.2質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド0質量%、HHH型トリグリセリド94.3質量%、飽和脂肪酸99.0質量%、トランス脂肪酸0質量%、ヨウ素価1未満)
第4の油脂
・エステル交換油2(パームステアリン極度硬化油50質量部とパーム核オレイン極度硬化油50質量部との混合油のランダムエステル交換油、日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が7.8質量%、総炭素数44〜46が29.5質量%、ラウリン酸20.3質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド1.2質量%、HHH型トリグリセリド36.3質量%、飽和脂肪酸98.5質量%、トランス脂肪酸0質量%、ヨウ素価2)
・エステル交換油3(パーム油60質量部とパーム核油40質量部との混合油のランダムエステル交換油、日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が5.8質量%、総炭素数44〜46が30.2質量%、ラウリン酸18.8質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド22.4質量%、HHH型トリグリセリド4.1質量%、飽和脂肪酸62.6質量%、トランス脂肪酸0.5質量%、ヨウ素価39、H2X型トリグリセリド15.3質量%、HXH型トリグリセリド5.1質量%)
第5の油脂
・ナタネ油(日清オイリオグループ株式会社製造品、総炭素数36〜38が0質量%、総炭素数44〜46が0質量%、ラウリン酸0質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド15.6質量%、HHH型トリグリセリド0質量%、飽和脂肪酸6.8質量%、トランス脂肪酸1.5質量%、ヨウ素価114、H2X型トリグリセリド0質量%)
表1、2に示す例1〜12の起泡性水中油型乳化物用油脂(混合油脂)について、それぞれ以下の分析を行った。
混合油脂に含まれるトリグリセリドについて、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が(1)総炭素数が36〜38のトリグリセリド量と(2)総炭素数が44〜46のトリグリセリド量、(3)H2X型及びHX2型のトリグリセリド量、及び(4)HHH型トリグリセリド量をガスクロマトグラフ法(AOCS Ce5−86準拠、測定装置:Agilent Technologies 6890)により測定した。
混合油脂に含まれる飽和脂肪酸量について、脂肪酸組成は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠、測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890)により測定した。
混合油脂に含まれるトランス脂肪酸量について、脂肪酸組成は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠、測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890)により測定した。
例1〜12の混合油脂30.0質量部に油溶性の乳化剤0.31質量部(レシチン、P−100)を溶解、分散させて油相を調製した。同時に、水64.54質量部に、脱脂粉乳4.8質量部、リン酸ナトリウム0.22質量部、ガム製剤0.06質量部、および水溶性の乳化剤0.07質量部(S−1170)を溶解、分散させて水相を調製した。次に、水相に油相を加え、60〜70℃に調温しながら、ホモミキサーにて予備乳化を行い、予備乳化後6.0MPaの圧力下で均質化した。その後、85℃、15分のバッチ殺菌を行い、約10℃まで冷却した。その後5℃の冷蔵庫にて約18時間エージングを行い、例13〜24の起泡性水中油型乳化物を得た。なお、例13〜24は配合の合計仕込み量が3kgで、最終的に2.5kgの起泡性水中油型乳化物を得た。
・レシチン:大豆レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ株式会社製)
・P−100:飽和脂肪酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP−100、理研ビタミン株式会社製)
・S−1170:ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−1170、三菱化学フーズ株式会社、HLB値:11、結合脂肪酸:ステアリン酸70%)
例13〜24の起泡性水中油型乳化物について、それぞれ以下の分析・評価を行った。結果は表3、4に示した。
各起泡性水中油型乳化物を100mlビーカーに60g計量し、品温を20℃に調整した。スリーワンモーター(新東科学株式会社製、攪拌翼プロペラRを先端に付けた攪拌棒を使用)を用いて160rpmで攪拌し、起泡性水中油型乳化物が凝固・増粘する(いわゆるボテる)までの時間を計測した。起泡性水中油型乳化物が凝固・増粘するまでの時間が長いほど、乳化安定性が高いことを示す。
評価基準
評価◎:20分以上
評価○:10分以上20分未満
評価△:5分以上10分未満
評価×:5分未満
各起泡性水中油型乳化物500g計量し、品温を5〜10℃に調整した。砂糖35gを加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用い、中速2(約120rpm)で8分立てまでホイップした後、手立てで10分立てまでホイップした。10分立てまでにかかる時間を計測した。
評価基準
評価◎:4分以上7分未満
評価○:7分以上10分未満
評価△:4分未満
評価×:10分以上
10分立てにした各起泡性水中油型乳化物を食して、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。
評価○:良好であった。
評価△:通常であった。
評価×:不良であった。
10分立てにした各起泡性水中油型乳化物を花型口金つきの絞り出し袋で絞りだし、静置したときの形の変化を観察した。静置条件は、(1)5℃で24時間静置、(2)−18℃で24時間静置(解凍後観察)、の2通りで評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は変形していなかった。
評価○:良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物はほとんど変形していなかった。
評価△:通常であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は多少変形していた。
評価×:不良であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は変形していた。
10分立てにした各起泡性水中油型乳化物を花型口金つきのつけた絞り出し袋で絞りだし、静置したときの離水状態を観察した。静置条件は、(1)5℃で24時間静置、(2)−18℃で24時間静置(解凍後観察)、の2通りで評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は離水し
ていなかった。
評価○:良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物はほとんど離水
していなかった。
評価△:通常であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は多少離水して
いた。
評価×:不良であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は離水していた。
例1の混合油脂100質量部に対して、ショ糖脂肪酸エステル(S−270)を0.3質量部添加した油脂組成物(例1−1)、例2の混合油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル(S−320YN)を0.3質量部添加した油脂組成物(例2−1)、例4の混合油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル(S−320YN)を0.3質量部添加した油脂組成物(例4−1)及び例10の混合油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル(S−320YN)を0.3質量部添加した油脂組成物(例10−1)を製造した。これらの油脂組成物について、融解状態から−5℃/分の冷却速度で冷却した時の相転移の際に生じる熱量変位を示差走査熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社DSC1)により測定し、DSC曲線を得た。結果を図1〜4に示す。図1〜3において、斜線部は10℃までの発熱量であり、図4において、斜線部は7℃までの発熱量である。
・S−270(商品名:リョートーシュガーエステルS−270、三菱化学フーズ株式会社、HLB値:2、結合脂肪酸:ステアリン酸70質量%)
・S−320YN(商品名:ポエムS−320YN、理研ビタミン株式会社製、HLB値:4.2、結合脂肪酸:ステアリン酸とパルミチン酸の合計で90質量%以上)
パーム核ステアリン極度硬化油40質量%、パーム核油40質量%及びパーム中融点部20質量%からなる混合油脂(例25:飽和脂肪酸量83.2質量%、総炭素数が36〜38のトリグリセリド量35.1質量%、総炭素数が44〜46のトリグリセリド量8.5質量%、H2X型及びHX2型のトリグリセリド量19.8質量%、HHH型トリグリセリド量1.3質量%)を調製し、該混合油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル(S−320YN)を0.3質量部添加した油脂組成物(例25−1)を調製した。
上記例1−1、例2−1、例4−1、例10−1及び例25−1の油脂組成物31.7質量部に油溶性の乳化剤0.34質量部(レシチン、P−100)を溶解、分散させて油相を調製した。同時に、水62.78質量部に、脱脂粉乳4.8質量部、リン酸ナトリウム0.22質量部、ガム製剤0.06質量部、および水溶性の乳化剤0.10質量部(S−1170)を溶解、分散させて水相を調製した。次に、水相に油相を加え、60〜70℃に調温しながら、ホモミキサーにて予備乳化を行い、予備乳化後6.0MPaの圧力下で均質化した。その後、85℃、15分のバッチ殺菌を行い、約10℃まで冷却した。その後5℃の冷蔵庫にて約18時間エージングを行い、例26〜30の起泡性水中油型乳化物を得た。なお、例25〜27は配合の合計仕込み量が3kgで、最終的に2.5kgの起泡性水中油型乳化物を得た。乳化剤は、起泡性水中油型乳化物の製造Iと同様のものを使用した。
例26〜30の起泡性水中油型乳化物について、起泡性水中油型乳化物の分析・評価Iと同様に分析・評価を行った。結果を表5に示した。
Claims (11)
- パーム核ステアリンもしくはその水素添加油を含む、油脂の構成脂肪酸中にラウリン酸を30質量%以上含有する第1の油脂と、以下の第3のトリグリセリドを50質量%以上含有する第2の油脂とを混合してなり、以下の、第1のトリグリセリドを30質量%以上60質量%以下、第2のトリグリセリドを3質量%以上15質量%以下、第3のトリグリセリドを5質量%以上40質量%以下、及び第4のトリグリセリドを0.6質量%以上10質量%以下含有する混合油脂からなる起泡性水中油型乳化物用油脂であって、前記混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、飽和脂肪酸の含有量が60質量%以上である、起泡性水中油型乳化物用油脂。
ただし、
第1のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38であるトリグリセリド
第2のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が44〜46であるトリグリセリド
第3のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Xとが結合したH2X型及びHX2型のトリグリセリド
第4のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hが結合したHHH型トリグリセリド - 前記混合油脂が、前記第4のトリグリセリドを1質量%以上10質量%以下含量する、請求項1に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂。
- 前記混合油脂の全量に対して、第1の油脂の含有量が、50質量%以上93.9質量%以下であり、第2の油脂の含有量が、5質量%以上45質量%以下である、請求項1に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂。
- 前記混合油脂が、さらに、第4のトリグリセリドを80質量%以上含有する第3の油脂を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項3に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂。
- 前記混合油脂が、さらに、油脂中のトリグリセリド全量に対して、第2のトリグリセリドを25質量%以上含有する第4の油脂を1質量%以上30質量%以下含有する、請求項3又は4に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合油脂の全量(100質量部)に対して、
HLB値が0以上4以下であるショ糖脂肪酸エステル、及び/又は、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルを、0.01質量部以上2質量部以下混合した混合物である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合油脂の全量(100質量部)に対して、
HLB値が1.5以上2.5以下であるショ糖脂肪酸エステルを、0.01質量部以上2質量部以下混合した混合物である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合油脂の全量(100質量部)に対して、
HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルを、0.05質量部以上0.5質量部以下混合した混合物である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂又は請求項6〜8のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相中に含んでなる、起泡性水中油型乳化物。
- 請求項9に記載の起泡性水中油型乳化物を含んでなる、食品。
- パーム核ステアリンもしくはその水素添加油を含む、油脂の構成脂肪酸中にラウリン酸を30質量%以上含有する第1の油脂と、以下の第3のトリグリセリドを50質量%以上含有する第2の油脂とを混合してなり、以下の、第1のトリグリセリドを30質量%以上60質量%以下、第2のトリグリセリドを3質量%以上15質量%以下、第3のトリグリセリドを5質量%以上40質量%以下、及び第4のトリグリセリドを0.6質量%以上10質量%以下含有する混合油脂であって、前記混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、飽和脂肪酸の含有量が60質量%以上である混合油脂と、
HLB値が0以上4以下であるショ糖脂肪酸エステル、及び/又は、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルと
を混合する工程を含んでなる、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造方法。
ただし、
第1のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38であるトリグリセリド
第2のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が44〜46であるトリグリセリド
第3のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Xとが結合したH2X型及びHX2型トリグリセリド
第4のトリグリセリド:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Hが結合したHHH型トリグリセリド
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