図1は、本発明の実施形態の一例であり、載置台1と、絶縁層22で挟持された発熱体21で構成される発熱体層2を有するヒータユニットであって、発熱体21に電力を供給するための配線3が接続されており、該配線3は前記発熱体21との接続箇所以外の箇所7で発熱体層に接触している。発熱体が載置台の内部に形成される場合は、前記接触は載置台の載置面とは反対側の面になる。また、発熱体は、載置台の載置面とは反対側の面に直接形成してもよい、この場合は、絶縁層は、外側の1層のみとなる。
配線3を発熱体21との接続箇所以外の箇所で、発熱体層あるいは載置台と接触させることにより、熱逃げが少なくなりクールスポットを解消することができる。
図2は本発明の他の実施形態の一例であり、載置台1と該載置台1を支持する支持板5との間に発熱体層2が存在する。発熱体層2は絶縁層22で挟持された発熱体21で構成されている。この発熱体層2の給電部位には給電のための配線3が接続され、支持板5の前記接続箇所と面方向に重複しない異なる領域に設けられた貫通孔6から取り出される。また、図3に示すように、配線3を支持板5の載置台とは反対側の面に接触させた構造にすることが好ましい。
このように、給電部位と取り出し用の貫通孔の位置を平面方向に異なる位置にすることによって、抵抗発熱体の局所的な発熱密度を変更しなくても、面内温度分布を向上させるとともに、被処理物を連続的に処理した際の温度特性の再現性を向上させることができる。なお、抵抗発熱体の発熱密度を局所的に変更すれば、更なる温度分布並びに温度特性の再現性を向上させることができる。また、支持板は、図2に示すように給電部位をできるだけ覆うようにすることが好ましい。
更に、図4に示すように、必要ならば冷却ブロック10を備え、この冷却ブロックと支持板との間に介在層を設け、この冷却ブロックをヒータユニットに対し相対的に当接/分離可能にする機構を取り入れることも出来る。尚、図4の(a)は分離時、(b)は当接時を示す。
以下、本発明の実施の形態を図2の実施形態で詳細に説明する。
載置台と支持板との間には少なくとも1層以上の発熱体層を有したヒータが介在され、この発熱体はステンレスやニッケル−クロム箔をエッチングして作られる発熱体回路を例えば渦巻状に配設する。ここで、前記発熱回路は面内で相対的に密度変化を与えることができる。例えば被処理物の反りなどによる平面形状により、載置面と被処理物との間に空隙が生じることが予測される場合、当該領域の発熱密度を高く設計することで、面内温度分布を向上することができる。また、ヒータユニットは載置面の被処理物が搭載される領域外やヒータ基板側面部から放熱するため、その放熱を補うために外周部の発熱密度を高く設計することでも、面内温度分布を向上することができる。このような局所的な発熱密度の設計は、前述のとおり一つの発熱回路内で設計することができる他、面内に複数の発熱回路を、例えば内周と外周に分けたり、内周や外周をθ方向に分割したりすることでも実現可能である。この場合、分割した領域毎の検知や制御を目的とした後述の温度センサを実装することができる。
また、ヒータ層は単層ではなく複数層設けることができる。例えば制御を目的としたヒータ層と厚み方向に異なる面に、温度変更時にのみ電力を供給するためのヒータ層を設けることができる。この場合、二つのヒータ層の間には、電気的な絶縁を目的としたシートを介在させるとともに、発熱時に発生した熱や冷却時の熱伝達を速やかに実現するため、均熱板や支持板との間に空隙が生じないように配置することが重要である。空隙が生じている場合、ヒータを加熱時に空隙部が膨張し、ヒータ層の剥離や絶縁破壊の原因となる上、熱媒体がない状態となり異常発熱の原因にもなる。このようなヒータ層を複数設けるユニット構成については、例えば載置台と支持板との間にヒータ層を設けたり、支持板の載置台側の反対側の面にヒータ層を設けたりするなど、そのヒータを配設する位置は任意に設計できる。
尚、載置台や支持板が導電性の場合はヒータ層との絶縁を目的とした絶縁層を介在する。そうして、必要に応じ発熱体層と絶縁層を介在させ、比較的強度のある支持板と前記載置台との間で、たとえば連結のためのねじ等を用いて機械接合される。ここで、絶縁層は可能な限り高熱伝導率のものを使用することが望ましい。絶縁層の熱伝導率が高ければ、発熱体や構造、環境などによって生じる温度分布を小さくすることができ、均熱性の高いヒータを提供することができるからである。絶縁層の熱伝導率が低いものを選択する場合、その厚みは絶縁性が確保される範囲で極力薄い方が好ましい。何故ならば、絶縁層が薄ければ熱抵抗となる層が薄いことになるため、速やかな熱伝達が期待されるからである。
絶縁層は例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、セラミックス繊維シート、マイカなどから選択することが出来る。シリコーン樹脂は柔軟性を活かしたヒータ特性の向上に寄与することができ、フッ素樹脂やポリイミド樹脂、セラミックス繊維シート、マイカなどは200℃を越える温度域であっても用いることが出来る。更に、マイカは500℃を越える温度域であっても用いることができる上、電気絶縁性に優れることから高温域で用いるのに好適である。この場合、マイカと発熱体は熱圧着により一体化させることが出来る。一体化することにより、各々の密着性が増し、界面の熱抵抗を下げることができ、すなわち局所的な熱抵抗を排除することで支持板の熱伝導、熱容量の効果を最大限に引き出すことが可能となる。更に、一体化によって発熱体が熱的な環境負荷により膨張収縮を繰り返す中で、平面方向に対する位置ずれなどが生じにくくなり、信頼性の高いヒータを製造することが出来る。
また、ヒータパターンのライン間スペースとなる空隙が熱抵抗の原因に成り得るため、この空隙を充填することが重要となる。この場合、上述した柔軟な絶縁層で充填することが出来れば良いが、パターンのライン&スペースが密になればなるほど、その実現は困難となる。そのため、絶縁層とパターン間、パターン間の空隙には接着成分で充填することが出来る。前記接着成分は、熱可塑あるいは熱硬化性ポリイミド樹脂を含有したフィルム、ワニスなどが有効である。これらを絶縁層とパターン間に配置して最適な温度、圧力条件で熱圧着することで、良好な熱接触を維持したヒータ層を製造することが出来る。
また、載置台や支持板の厚さを薄くして熱容量を低減し、温度変更に掛かる所要時間を低減する、即ち温度変更の高速化を図りながら、基板厚さが薄くなることによって、面内の温度均一性を阻害することのないように、均熱板と発熱体層の背面に、特に熱伝導率が高く、剛性に優れた支持板、(例えばアルミニウム板 100−240W/m・K、銅板 400W/m・K、またはそれらの何れかを含む合金 200−700W/m・Kなどの金属や、窒化アルミニウム 100−200W/m・K、炭化ケイ素 200−300W/m・Kなどのセラミックス、またはこれらセラミックスと金属からなるセラミックス金属複合材など)を備え、載置台と支持板が互いの熱膨張差で平面度変化を発生させることのないよう連結ねじにベアリングを備えることで、縦方向に軸力を加え、良好な熱伝達を保ちながら、横方向には熱膨張差を吸収できるようベアリングで滑らせることができるようにすることが望ましい。
ここで、載置台の裏面に発熱体回路を例えば渦巻状に配設したうえで電気絶縁膜をコーティングしても良いし、前記絶縁層と発熱体層からなるヒータを接着しても良い。何れの場合も、接着成分を含む熱膨張係数と載置台の熱膨張係数が略同一の素材を選択することが好ましい
本発明の載置台には、温度変更時間を早めるためにヒータ熱容量を低減することを目的にプレート厚みを薄くしていくことが必要となる。この場合、面方向の熱拡散が不十分となり温度分布異常が発生し易くなり、それを補うだけの熱伝導率の高い材料であることが好ましい。
載置台の主成分は窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、またはこれらセラミックスと金属からなるセラミックス金属複合材、銅、アルミニウム、ニッケル、シリコンからなる群から選択することが好ましい。
特に、上述の理由により銅やアルミニウムが好ましい。セラミックスを用いた場合は加工精度が優れるなどの利点があるものの、加工コストが金属に比較して高いため、特に被処理物が載置される載置台は被処理物の固定用ガイド、温度センサの取り付け穴など加工内容が多岐に渡るため、これらをセラミックスに加工することはコストの観点から好ましくない。一方で、銅やアルミニウムといった金属材料は、上述の通りセラミックスに比較して熱伝導率が高いため、プレート厚が薄くなっても温度ばらつきなどの熱特性に関してセラミックスを用いたときよりも高い性能が期待できる。また、何れも汎用的な材料のため、加工に際しても特別な設備は不要であり、低コスト加工が可能となる。
支持板の主成分は窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、またはこれらセラミックスと金属からなるセラミックス金属複合材、銅、アルミニウム、ニッケル、シリコンからなる群から選択することが好ましい。
支持板は厚みの薄い載置台を支持する機能を有していないといけないため、剛性の高いセラミックス、またはこれらセラミックスと金属からなるセラミックス金属複合材が好ましい。セラミックスは金属に比較して加工コストが高いものの、支持板となれば被処理物の固定用ガイドなどの取り付けは不要で、支持板に求められる加工は極めてシンプルになるため、セラミックスやセラミックス金属複合材においても比較的安価に供給することができる。支持板には薄い載置台が温度変化によって変形した場合においても、その変形の影響を受けずに平面度を保ち、載置台を支持板に沿わせ、載置台の平面度も維持できるようにすることが好ましく、これには高い剛性となるべく低い熱膨張係数を有した材料が求められる。
支持板には、給電のための配線を挿通する貫通孔を設ける。この貫通孔は、大きすぎれば対流など熱逃げの因子となるので、極力小さい方が好ましい。給電配線の直径の20倍以下で且つ直径20mm以下の貫通孔にすることが好ましい。20mmを超えると、貫通孔からの熱逃げや対流が活性化し、クールスポットの原因となる。また、給電配線の直径の20倍を超える直径にした場合も同様にクールスポットの原因となるので、好ましくない。
載置台には、ヒータ温度をモニタ、制御するための温度センサが取付けられる。前述の通り載置台を薄くしていくと、温度センサを挿入するだけの厚みの確保が難しくなり、載置台への温度センサの挿入深さが浅すぎると、制御温度と被処理物の実際温度の乖離が生じてしまう。そのため、温度センサは微小なセラミックス基板に抵抗体が形成され、その表面を絶縁被覆されたものを用い、これを厚み方向に挿入するのではなく、面方向に沿わせるように配置し、その上から載置台と略同一の素材でキャップし、各々は接着剤で固定される構造とすることが好ましい。このような構造とすることで、載置台の厚みが薄くても実際温度との乖離が少ない温度センサの取り付けが可能となる。
ヒータ層としては、これに給電するための配線が必要となる。従来のような給電端子は部品点数増やコスト増、また局所的なクールスポットになるなど熱特性の観点から望ましくなく、配線の導線部を直接、または間接的に発熱体の給電部に接続することが好ましい。後者の場合、例えばNi箔を発熱体層に抵抗溶接またはロウ付けなどの手段で接続し、この面上に配線(ケーブル)の導線部を同じく溶接またはロウ付けなどの手段で接続することが出来る。
上記配線は、支持板の載置台とは反対側の面に少なくとも1ヶ所以上接触させることが好ましい。接触させることにより、熱逃げが少なくなりクールスポットを解消することができる。
更に、必要であれば冷却ブロックを備えることができる。冷却ブロックにはエアシリンダなどからなる昇降機構をもって上下に駆動することができ、支持板に対して、当接/分離できるようしても良い。エアシリンダなどの昇降機構においては、ヒータの設置環境や許容される重量や寸法などの制約下で、なるべく支持板への接触推力を大きくすることが好ましい。このようにすることで、冷却ブロックと支持板の当接面に生じる熱抵抗を小さくすることができ、冷却所要時間が短縮させることは勿論、局所的な熱抵抗を排除することで面内温度分布を向上することが可能となるためである。好ましくは、エアシリンダなどの昇降機構の推力が、冷却ブロックの重量以上であることである。また、エアシリンダの昇降機構に加え、冷却ブロックが支持板に当接した直後に真空吸着により両プレートの密着性を上げることでも速やかに冷却することができる。
冷却ブロックには、被処理物を支持するための支持ピンや給電配線、温度センサを挿通するための貫通孔が設けられてある。
冷却ブロックの主成分は熱伝導性の良い銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、またはこれらを主成分とする合金またはステンレスからなる群から選択することが好ましい。特に銅は熱容量が大きいため、当接/分離する構造に於いては被冷却物から奪う熱量が大きく、高速に冷却するのに好適である。また、この冷却ブロックには必要に応じて表面処理を行うことができる。表面処理は特に耐食性、耐酸化性の高いNiめっきが望ましい。ところで、比重が高く重量が大きくなる銅では重量制限がある場合やハンドリングの観点から好ましくないケースがある。このような場合はアルミニウムを用いることで前述の問題は解消される。
冷却ブロックの支持板との当接面には厚み方向にクッション性を有した介在層を設けることができる。介在層は冷却ブロックの支持板に当接する面に配置しても、支持板の冷却ブロックと当接する面に配置しても、或いはその両面でも構わないが、好ましくは冷却ブロックの支持板と当接する面である。これは、背面板の冷却ブロックと当接する面では常に一定の熱負荷が加わることにより、熱履歴による介在層の損耗やヒータの使用温度によっては連続的な耐熱性の観点から、介在層やその取付方法が限定されてしまうためである。
介在層は発泡金属あるいは金属メッシュ、グラファイトシート、フッ素樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂等の耐熱性を有する材料が好ましい。この介在層は熱伝導率が高いことが望ましい。特に熱伝導率は1W/m・K以上であることが好ましい。1W/m・K未満であれば、熱抵抗が大きくなり冷却速度が遅くなってしまうためである。例えばカーボンなどの熱伝導フィラーを含有した樹脂を用いることで、熱抵抗が小さくなり高速に冷却するには好適である。更に、介在層は柔軟性を有していることが好ましい。柔軟性がなければ、冷却ブロックをヒータユニットの支持板に当接させた際、各当接面の平面度などを充分に吸収することができず、局所的に空隙が残ることで冷却時の温度ばらつきを抑えることが出来なくなるからである。これらにより、柔軟性を有し、支持板および冷却ブロックの当接面の平面度や、機械加工によって発生する部分的な凹凸、突起、傷、ばり、かえり、異物などの表面状態を吸収することができる材質として、上述の中でも特にシリコーン樹脂が好ましい。
介在層の厚みは支持板の冷却ブロックと当接する面の平面度と、冷却ブロックの支持板と当接する面の平面度の和よりも厚いことが好ましく、且つ0.1mm〜3mm以内であれば尚良い。0.1mmを下回ると、支持板の冷却ブロックと当接する面の平面度および冷却ブロックの支持板と当接する面の平面度の総和を0.1mm未満にしなければ局所的な空隙を生じさせることになり好ましくない上、このようにシビアな管理が必要であることは、機械加工精度やコストの観点から量産性に優れず、また介在層そのものが薄すぎてハンドリングが困難になるなど、安定して製造することに支障をきたすためである。また、3mmを越えると冷却時の熱抵抗が増え過ぎ、冷却速度が遅くなる上、ユニットをコンパクトにする上で律速となり得るためである。
支持板の冷却ブロックと当接する面の平面度と、冷却ブロックの支持板と当接する面の平面度は各々0.5mm以下にすることが好ましい。0.5mmを越えると介在層との接触性の維持が困難なことと、接触性を維持するために介在層を厚くすることがかえって熱抵抗を増大させ、冷却速度が遅くなる恐れがあるためである。尚、支持板の冷却ブロックと当接する面の平面度と、冷却ブロックの支持板と当接する面の平面度の総和が0.1mm以下であれば好適である。このようにすることにより、介在層の厚みは理論上0.1mmまで薄くすることができ、そうすることで熱抵抗が小さく高速で冷却できるようになるためである。
更に、介在層の配置領域は冷却ブロックの支持板との当接面の面積の10%以上90%以下であることが好ましい。これは10%未満であれば当接面積が小さくなりすぎて冷却速度が遅くなるためである。また、90%を越える場合においては、面内で必要な分布を形成することが困難になるためである。
介在層の取付方法としては、固定できれば特に制約はないが、例えば接着剤、両面テープ、粘着性樹脂などの群から選択して接着により取り付けることができる。何れも、薄く熱伝導率が高く熱抵抗が小さいものが望ましい。また、シートなど一定の寸法を有したものに関しては、ねじ止めなどにより機械的に固定しても構わない。
冷却ブロックの直下には、冷却ステージを配置して前記冷却ブロックがヒータユニットに当接していない状態において、冷却ブロックを連続的に室温近傍で保持することが好ましい。このようにすることで、冷却ブロックを当接する際にヒータ温度との温度差を十分に保つことが出来、冷却速度を向上することができる。冷却ステージには、被処理物を支持するための支持ピンや給電配線、温度センサを挿通するための貫通孔が設けられてある。
冷却ステージの主成分は熱伝導性の良い銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、またはこれらを主成分とする合金またはステンレスからなる群から選択することが好ましい。特にアルミニウムは優れた熱伝導率に加え、比重が小さくデバイスの軽量化にも好適である。
冷却ステージの冷却ブロックを載置する面と反対側の面にリング状のザグリを設け、この中に例えば渦巻き状に成形した、冷媒を流通させるための銅パイプを設置することができる。このパイプは、冷却ステージとの良好な熱伝達を保つため、コーキング材、シーラント、接着剤などによりパイプ表面とステージ表層とを接着固定すると尚良い。
銅パイプの終端には、ステンレス製の継ぎ手を取り付け、ここに水などの冷媒を流通させることで冷却ブロックの温度を一定に保つことが出来る上、冷却終了に伴い下降してきた冷却ブロックについて、次プロセスへ移るために速やかに冷却することができる。
以上に示した本発明によるヒータユニットは、半導体製造・検査装置、またはフラットディスプレイパネルの製造・検査装置に搭載することが好ましい。そのようにすることによって、従来の装置よりも高速に昇降温させることができ、かつヒータの温度分布がより均一になり、半導体やフラットディスプレイパネルの性能、歩留まり、信頼性の向上が図れる。また、従来の装置よりも熱処理工程の所要時間が短縮化され、半導体やフラットディスプレイパネルの生産性向上が図れる。
載置台として、直径320mm、厚み4mmの窒化アルミニウム焼結体を用意した。この窒化アルミニウム焼結体の載置面とは反対側の面に、タングステン印刷によって発熱体を形成し、その表面をガラス印刷により絶縁層を形成した。これを単層のヒータユニットと称する。
上記発熱体の終端部分には絶縁層を形成しないで、給電用の配線を接続できるようにした。すなわち、発熱体の終端部分にNi箔を抵抗溶接によって接続し、このNi箔に配線を抵抗溶接によって接続した。この配線を図1に示すように前記接続箇所以外の箇所7で絶縁層に接触させ、ヒータユニットの下部に取り出す構造とした。なお、前記接触部分は、接着剤によって配線を絶縁層に固定した。
発熱体と配線の接続箇所を基点として、直径20mm以内の領域における発熱体の発熱密度を、前記接触箇所を基点とする直径20mm以内の領域における発熱体の発熱密度と同等になるようにした。
次に冷却ブロックとして、直径320mm、厚さ12mmのAlプレートを用意した。これには給電配線や温度センサ、ウェハ支持ピンを挿通させるための貫通孔などを設けた。また、冷却ブロックの絶縁層と当接する面に介在層を配置した。該介在層はシリコーン樹脂シートで厚みを0.5mmとした。
この冷却ブロックの直下に冷却ステージとして、直径330mm、厚さ12mmのAlプレートを用意した。これには冷却ブロックと同じく、給電配線や温度センサ、ウェハ支持ピンを挿通させるための貫通孔を設けた。更に、冷却プレートの前記冷却ブロックとは反対側の面にリング状のザグリを設け、この中に渦巻状に成形したCuパイプを冷媒を流通する目的で設置した。Cuパイプの終端にはステンレス製の継ぎ手を取り付け、ここに冷媒として水を流通させた。この水はチラーにより30℃に保持される仕組みとした。
この冷却ステージに所定形状の容器を取り付け、前記冷却ブロックにはヒータユニットの絶縁層に当接、分離可能とするためエアシリンダを取り付けた。また、前記ヒータユニットは冷却ステージに鍔付きボルトで連結した。ここで、容器の枠部の真円度を機械加工により0.1mm以下まで仕上げた。更に、ヒータユニットを容器の中心にセットし、ヒータユニットとの同軸度を0.1mm以内になるようにした。このようにすることにより、ヒータユニットの熱が局所的に容器に奪われて均熱性を阻害するようなことをなくした。容器は上記ヒータユニットならびに冷却ブロックを取り付けても歪まないように機械的強度のあるステンレス製とした。
また、比較のために発熱体の終端部分に雌ネジを設け、電極端子として金属製の雄ネジを雌ネジに機械的に結合し、雄ネジに配線をかしめによって接続し、この配線をヒートユニットの直下にとり出す構造(図5参照)のヒータユニットも作製した。
この2種類のヒータユニットについて、冷却ブロックがヒータユニットに分離した状態でヒータに通電、室温から130℃まで加熱した。この際、公知のウェハ温度計をヒータユニットのウェハ載置面に載置し、130℃に到達した時点での均熱レンジ、即ち面内の最大温度と最小温度との差と、130℃到達後300秒経過後の均熱レンジを計測した。この結果を表1に示す。
比較例1では130℃到達時の均熱レンジが5.2℃、また300秒経過後の均熱レンジは0.64℃となり、その時の温度分布は電極近傍が低い結果となった。これは、電極端子からの熱逃げにより、当該箇所が他領域に比較して相対的にクールスポットになったことが原因と考えられる。
これに対し、実施例1では比較例1のような現象は確認されず、130℃到達時の均熱レンジも、300秒後の均熱レンジも共に大きく改善された。また、面内温度分布としては、発熱体と配線の接続箇所近傍が他領域に比較して相対的に僅かに低い分布となったが、全体の均熱レンジが0.2℃であることから、軽微なものであり、その他には局所的なクールスポット、ホットスポットは確認されなかった。この僅かに低い温度分布は、ケーブルからの熱逃げによるものと想定されるが、電極端子をネジ止めしている構造と比較して改善が確認された。
比較例1との相違点として、電極端子を取り付けずに直接配線を取り付けている点で、熱逃げの原因となる熱容量の塊が存在しなくなったことが挙げられる。これにより、電極端子が熱を持って外部に放熱、すなわち熱逃げを起こすということが改善されたものと考えられる。
更に、比較例1では電極端子に配線を接続し、ヒータユニットの直下に取り出す構造としているため、配線が電極端子からの熱逃げを助長する熱媒体として機能している。これに対し、実施例1では、配線をヒータユニットの直下に取り出す前に、発熱体との接続箇所以外の箇所で絶縁層と接触させているので、配線からの熱逃げが遮断されたものと考えられる。これにより、均熱レンジ、面内温度分布ともに改善されたものと考えられる。
載置台としてタフピッチ銅を、支持板としてセラミックス金属複合材を用意した。発熱体としてステンレス箔をエッチングによりパターニングしたものとした。この発熱体をポリイミドシートで挟持して絶縁を施した。絶縁を施した発熱体を、載置台と支持板の間に挟み込んだ構造とした。また、これらを平面方向へ載置台と支持板の熱膨張吸収のためのベアリングとねじを用いて機械的に結合した。以後、これを積層ヒータユニットと称する。尚、載置台と支持板の直径は各々320mmとし、厚さは各々3mmとした。また、タフピッチ銅にはNiめっきを施した。
前記発熱体の終端には、Ni箔を抵抗溶接して接続し、このNi箔に配線を抵抗溶接によって接続した。図2に示すように、前記支持板には、発熱体と配線との接続箇所とは、平面方向に重複しない箇所に貫通孔を設け、この貫通孔から配線をヒータユニットの下に取り出すようにした。
冷却ブロックと冷却ステージは、実施例1と同様にして、上記積層ヒータユニットと組み合わせた。
比較のために給電端子を絶縁物を介して載置台にネジ止めし、発熱体と接続した。支持板には端子が取り出せるように端子の直下に貫通孔を設け、前記端子に配線をかしめ、この配線をヒータユニットの直下に取り出す構造とした。
この2種類のヒータユニットについて、実施例1と同様に最大温度と最小温度との差(均熱レンジ)と、130℃到達後300秒経過後の均熱レンジを計測した。この結果を次の通り示す。
比較例2では130℃到達時の均熱レンジが5.7℃、また300秒経過後の均熱レンジは0.66℃となり、その時の温度分布は電極近傍が低い結果となった。これは、比較例1と同様に、電極端子からの熱逃げにより、当該箇所が他領域に比較して相対的にクールスポットになったことが原因と考えられる。
これに対し、実施例2では比較例のような現象は確認されず、130℃到達時の均熱レンジも、300秒後の均熱レンジも共に大きく改善された。また、面内温度分布としては、発熱体と配線の接続箇所近傍が他領域に比較して相対的に僅かに低い分布となったが、全体の均熱レンジが0.19℃であることから、軽微なものであり、その他には局所的なクールスポット、ホットスポットは確認されなかった。この僅かに低い温度分布は、配線からの熱逃げによるものと想定されるが、電極端子をネジ止めしている構造と比較して改善が確認された。
比較例2との相違点として、電極端子を取り付けずに直接ケーブルを取り付けている点で、熱逃げの原因となる熱容量の塊が存在しなくなったことが挙げられる。これにより、電極端子が熱を持って外部に放熱、すなわち熱逃げを起こすということが改善されたものと考えられる。
更に、比較例2では電極端子を取り出すために、支持板の電極端子の直下に貫通孔を設けているが、これにより当該領域のプレート総厚が他領域に比較して薄くなること、貫通孔とその内径部に設置された電極端子がフィンとして機能してしまい、相乗的に熱放散することが予想される。これに対し、実施例2では、配線を発熱体終端に接続した背面には支持板がザグリを形成された状態で存在し、貫通孔が空いていないことから気流の発生を生じさせず、熱放散し難い環境である。これらの点から均熱レンジ、面内温度分布ともに改善されたものと考えられる。
そこで、比較例2をベースに発熱パターンの設計を電極近傍のみ他領域に比較して相対的に高く設計したパターンで試作した結果を比較例3として次に示す。尚、評価内容は実施例1と同様である。
130℃到達時の均熱レンジは、9.7℃、300秒後の均熱レンジは0.38℃であった。このとき、電極近傍の温度が僅かに高かった。300秒経過後の均熱レンジが改善されたものの、130℃到達時の均熱レンジは比較例2に対して更に悪化した。これは、被処理物を処理するための僅かな電力を印加している状態に均熱レンジが小さくなるように、電極端子からの熱逃げ分を相殺するように発熱密度を高く設計したパターンに起因するものと考えられる。何故ならば、ヒータそのものの温度変更を行うための印加電力と被処理物を処理するための印加電力は大きく異なり、ヒータそのものの温度変更を行うために相当な電力を印加したことによって、電極端子近傍の発熱パターンが過度に発熱することになるからである。
また、比較例3では僅かに電極端子近傍の温度が他領域に比較して相対的に高い面内温度分布になった。これは、取り付ける電極端子からの熱逃げを考慮して設計されたパターンを使用したものの、僅かな誤差が残ったためと考えられ、これらの最適化や製品、製造バラツキの最小化には、極めて困難を要するものであることが分かる。
支持板から取り出した配線を支持板の載置台と反対側の面に接着剤を用い固定した上で直下に取り出す構造としたこと以外は、実施例2と同様のヒータユニットを作成した。これらを用いて実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例2は比較例2、3に比較して大きく改善していたものの、発熱体と配線の接続箇所近傍の僅かな熱逃げが生じていたが、実施例3は130℃到達時の均熱レンジ、300秒後の均熱レンジともに改善が確認された。このときの面内温度分布は電極を含めた局所的なクールスポット、ホットスポットは確認されず、ケーブルからの熱逃げが解消されたことを確認した。
実施例3は支持板に設けた貫通孔を挿通して取り出されたケーブルを、支持板の載置台と反対側の面に接着剤を用いて固定したが、これによりユニット系外のケーブル終端からの熱放散が載置台に影響するまでの間に、支持板に接着されたことで熱的なアンカリング効果が得られたものと考えられる。
尚、このアンカリングは熱以外にも機械的な補強も兼ねていることから、ハンドリングなどによりケーブルが外れてしまう等のトラブルを回避する目的においても好適である。
実施例1、3と比較例1、3を用い、130℃に安定している状態で公知のウェハ温度計を実装し、実装後60秒経過後に取り出し、その90秒後に再度実装、60秒後に取り出し、という連続処理を行い、サイクル毎の60秒後における均熱レンジの再現性を確認した。この結果を表3に示す。
実施例1、3ともに回数を重ねる毎に均熱レンジが悪化するような傾向は見られなかった。実施例1については発熱体と配線の接続箇所近傍が僅かにクールスポットになっているものの、比較例で見られた顕著な悪化は確認されず、また実施例3は発熱体と配線接続箇所を含む局所的なクールスポット、ホットスポットは確認されることなく、1回目の均熱レンジ、面内温度分布を維持し続けた。
これに対して、比較例1、3とも回数を重ねる毎に均熱レンジが悪化していくことが確認された。またその面内温度分布は比較例1は電極近傍が回数を重ねる毎にクールスポットに、比較例3は回数を重ねる毎にホットスポットとして顕著になっていくことが確認された。前者は熱逃げの影響で、後者は発熱密度を局所的に高めた影響で生じているものと考えられる。