JP2007227442A - ウェハ保持体およびそれを搭載したウェハプローバ - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波をウェハに対して遮断することで、ノイズの少ない、もしくはノイズのほとんどないプロービングを実現できるウェハ保持体およびそれを搭載したウェハプローバ装置を提供する。
【解決手段】ウェハ保持体は、ウェハを載置するチャックトップ1と、チャックトップ1を加熱する抵抗発熱体3を有し、抵抗発熱体3の少なくとも一部が絶縁層で覆われており、絶縁層の前記抵抗発熱体3の反対側に、導電層2を有する。この導電層2は、検査に悪影響を与える電磁波を遮断する。また、絶縁層は、抵抗発熱体3の全面を覆い、導電層2が、絶縁層を含む抵抗発熱体3の全面を覆うことが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】ウェハ保持体は、ウェハを載置するチャックトップ1と、チャックトップ1を加熱する抵抗発熱体3を有し、抵抗発熱体3の少なくとも一部が絶縁層で覆われており、絶縁層の前記抵抗発熱体3の反対側に、導電層2を有する。この導電層2は、検査に悪影響を与える電磁波を遮断する。また、絶縁層は、抵抗発熱体3の全面を覆い、導電層2が、絶縁層を含む抵抗発熱体3の全面を覆うことが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ウェハ載置面に半導体ウェハを載置し、プローブカードをウェハに押し当ててウェハの電気的特性を検査するためのウェハプローバに使用されるウェハ保持体およびヒータユニット、それらを搭載したウェハプローバに関するものである。
従来、半導体の検査工程では、被処理物である半導体基板(ウェハ)に対して加熱処理が行われる。すなわち、ウェハを通常の使用温度よりも高温に加熱して、不良になる可能性のある半導体チップを加速的に不良化させて取り除き、出荷後の不良の発生を予防するバーンインが行われている。バーンイン工程では、半導体ウェハに半導体回路を形成した後、個々のチップに切断する前に、ウェハを加熱しながら各チップの電気的な性能を測定して、不良品を取り除いている。このバーンイン工程において、スループットの向上のために、プロセス時間の短縮が強く求められている。
このようなバーンイン工程では、半導体基板を保持し、半導体基板を加熱するためのヒータが用いられている。従来のヒータは、ウェハの裏面全面をグランド電極に接触させる必要があるので、金属製のものが用いられていた。金属製の平板ヒータの上に、回路を形成したウェハを載置し、チップの電気的特性を測定する。測定時は、通電用の電極ピンを多数備えたプローブカードと呼ばれる測定子を、ウェハに数10kgfから数百kgfの力で押さえつけるため、ヒータが薄いと変形してしまい、ウェハとプローブピンとの間に接触不良が発生することがある。そのため、ヒータの剛性を保つ目的で、厚さ15mm以上の厚い金属板を用いる必要があり、ヒータの昇降温に長時間を要し、スループット向上の大きな障害となっていた。
また、バーンイン工程では、チップに電気を流して電気的特性を測定するが、近年のチップの高出力化に伴い、電気的特性の測定時に、チップが大きく発熱し、場合によっては、チップが自己発熱によって、破壊することがあるので、測定後には、急速に冷却することが求められる。また、測定中は、できるだけ均熱であることが求められている。そこで、金属の材質を、熱伝導率が403W/mKと高い銅(Cu)が用いられていた。
そこで、特許文献1では、厚い金属板の代わりに、薄くても剛性が高く、変形しにくいセラミックス基板の表面に薄い金属層を形成することにより、変形しにくくかつ熱容量が小さいウェハプローバが提案されている。この文献によれば、剛性が高いので接触不良を起こすことがなく、熱容量が小さいので、短時間で昇温及び降温が可能であるとされている。そして、ウェハプローバを設置するための支持台として、アルミニウム合金やステンレスなどを使用することができるとされている。
しかし、特許文献1に記載されているように、ウェハプローバをその最外周のみで支持すると、プローブカードの押圧によって、ウェハプローバが反ることがあるので、多数の支柱を設けるなどの工夫が必要であった。
更に、近年、半導体プロセスの微細化に伴い、プロービング時の単位面積あたりの荷重が増加するとともに、プローブカードとプローバとの位置合わせの精度も求められている。プローバは、通常、ウェハを所定の温度に加熱し、プロービング時に所定の位置に移動し、プローブカードを押し当てるという動作を繰り返す。このとき、プローバを所定の位置にまで動かすために、その駆動系に関しても高い位置精度が要求されている。
しかしながら、ウェハを所定の温度、すなわち100〜200℃程度の温度に加熱した際、その熱が駆動系に伝わり、駆動系の金属部品類が熱膨張し、これにより精度が損なわれるという問題点がある。更にはプロービング時の荷重の増加により、ウェハを載置するプローバ自体の剛性も要求されるようになってきた。すなわち、プローバ自体がプロービング時の荷重により変形すると、プローブカードのピンがウェハに均一に接触できなくなり、検査ができなくなる、あるいは最悪、ウェハが破損するという問題点がある。このため、プローバの変形を抑えるため、プローバが大型化してしまい、その重量が増加し、この重量増が駆動系の精度に影響を及ぼすという問題点があった。また更には、プローバの大型に伴い、プローバの昇温及び冷却時間が非常に長くなり、スループットが低下するという問題点も存在していた。
更に、近年の半導体の検査においては、微小電流値を測定することがある。この場合、ウェハを加熱するための抵抗発熱体やウェハの近傍に存在する電気機器よりでる電磁波によって、半導体の検査に影響がでることがあった。
特開2001−033484号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、従来のウェハ保持体は、所定の温度にチャックトップを加熱するために、チャックトップ内部もしくは近傍に通電による抵抗発熱体を設置している。しかし、この抵抗発熱体を使用して、チャックトップやウェハを加熱すると、抵抗発熱体より発せられる電磁波によって検査時の微小電流(ピコアンペア(pA)以下レベルの電流)の測定に影響を及ぼすことがある。本発明は、この抵抗発熱体などから発せられる電磁波をウェハに対して遮断することで、ノイズの少ない、もしくはノイズのほとんどないプロービングを実現できるウェハ保持体およびそれを搭載したウェハプローバ装置を提供することを目的とする。
本発明のウェハ保持体は、ウェハを載置するチャックトップと、該チャックトップを加熱する抵抗発熱体を有し、該抵抗発熱体の少なくとも一部が絶縁層で覆われており、該絶縁層に、導電層が形成されていることを特徴とする。この導電層は、検査に悪影響を与える電磁波を遮断する。また、絶縁層は、前記抵抗発熱体の全面を覆い、導電層が、絶縁層を含む抵抗発熱体の全面を覆うことが好ましい。
また、前記導電層は、鉄またはニッケルを主成分とすることが好ましい。また、鉄とニッケルの合計量は、90重量%以上であることが好ましい。
このようなウェハ保持体を備えたヒータユニットは、および該ヒータユニットを備えたウェハプローバは、抵抗発熱体などから発せられる電磁波等のノイズの影響を低減することができる。
本発明によれば、プロービング時、抵抗発熱体などから発せられる電磁波などのノイズを大幅に低減することで、ノイズが少なく、微小電流を測定することのできるウェハ保持体、及びウェハプローバを提供することができる。
本発明においては、図1に示すように、チャックトップ1のウェハ載置面の反対側に、絶縁層を形成した抵抗発熱体(ヒータ)3を設置し、その上に導電層2を形成する。導電層は、図1に示すように、抵抗発熱体の両側に形成してもよいが、どちらか片側だけに形成してもよい。また、図4に示すように、抵抗発熱体の両面とさらに側面にも導電層を形成することもできる。側面にも導電層を形成すれば、電磁波の遮断効果をより高めることができる。
抵抗発熱体の構成としては、種々の構造をとることができる。例えば、図2に示すように、抵抗発熱体31を例えばマイカなどの絶縁体32で挟み込んだものが発熱体の構造として簡便であるので好ましい。抵抗発熱体は、金属材料を使用することができる。例えば、ニッケルやステンレス、銀、タングステン、モリブデン、クロムおよびこれらの金属の合金の、例えば金属箔を用いることができる。これらの金属の中では、ステンレスとニクロムが好ましい。ステンレスあるいはニクロムは、発熱体の形状に加工する時、エッチングなどの手法により、抵抗発熱体回路パターンを比較的に精度良く形成することができる。また、安価であり、耐酸化性を有するので、使用温度が高温であっても長期間の使用に耐えることができるので好ましい。
また発熱体を挟み込む絶縁体としては、耐熱性を有する絶縁体であれば特に制約はない。例えば上記のようにマイカや、シリコン樹脂やエポキシ樹脂、フェノール樹脂など特に制約はない。またこのような絶縁性の樹脂で発熱体を挟み込む場合、発熱体で発生した熱をよりスムーズにチャックトップに伝えるために、樹脂中にフィラーを分散させることができる。樹脂中に分散するフィラーの役割は、シリコン樹脂等の熱伝導を高める役割があり、材質としては、樹脂との反応性が無ければ特に制約はなく、例えば窒化硼素や、窒化アルミニウム、アルミナ、シリカなどの物質を上げることができる。発熱体は、搭載部にネジ止め等の機械的手法で固定することができる。
絶縁層で覆われた抵抗発熱体に対して、絶縁層の上に導電層を形成する。導電層は、導電材料であれば、少なからず電磁波を遮断することができる。また全面に被覆しなくとも、絶縁層の一部分に被覆することも可能であるし、メッシュのような形状で被覆することも可能である。しかし、特に近年では少しの電磁波であってもプロービングに影響を及ぼす、すなわちノイズの影響を受けるため、抵抗発熱体の全面を導電層によって被覆することが好ましい。またこれらの事情に鑑みて、導電層の材質は透磁率の高い材料が好ましい。具体的には、鉄やニッケルなどの合金や、更にこれらにコバルトやモリブデンを添加したものが好適である。これらの材料で被覆することで、抵抗発熱体で発せられた電磁波はほとんど遮断することができる。またこの導電層にアース線を接続することでほぼ完璧に電磁波を遮断することができるため好ましい。また、導電層に含有される鉄とニッケルの合計量が、90重量%以上であれば、磁気的な特性も優れており、抵抗発熱体に加えられる電源が、交流、直流に関係なくノイズを遮断することができる。
この導電層の形成方法に関しては特に制約はないが、絶縁層上にスパッタや蒸着によって形成することも可能であるし、前記金属を箔形状にして覆うことも可能である。このようにすることで抵抗発熱体から発せられる電磁波を遮断することができるのである。また、このような機能を備えたウェハ保持体においては、微小電流を測定するウェハプローバにも好適に使用することができる。
また、抵抗発熱体を、スクリーン印刷などの手法でチャックトップ上や後述する冷却モジュール上に形成してもかまわない。この場合、チャックトップや冷却モジュールが絶縁体でない場合には、発熱体を形成する面にガラスなどの絶縁層を形成した後、発熱体を形成すればよい。発熱体の材質としては特に制約はないが、銀や白金、パラジウムおよびこれらの合金や混合物などが上げられる。
また、この場合の導電層は、上記抵抗発熱体を形成した基板を覆うように導電層を蒸着や、金属箔で被覆した後、その上に改めてチャックトップ基板を設置してもよい。但し若干構造は複雑にはなる。
チャックトップの材料としては、特に制約はないが、ウェハ載置面の均熱性を向上させるために、熱伝導率の高いものが好ましく、好適には15W/mK以上であることが好ましい。15W/mK未満である場合、チャックトップ上に載置するウェハの温度分布が悪くなり好ましくない。このため熱伝導率が15W/mK以上であれば、プロービングに支障の無い程度の均熱性を得ることができる。このような熱伝導率の材料としては、純度99.5%のアルミナ(熱伝導率30W/mK)を挙げることができる。特に好ましくは170W/mK以上である。このような熱伝導率を有する材料としては、窒化アルミニウム(170W/mK)、Si−SiC複合体(170W/mK〜220W/mK)などがある。この程度の熱伝導率になると、均熱性に非常に優れたチャックトップとすることができる。
また本発明のチャックトップは金属も使用することができる。このため上記の材料に加えて、銅やアルミニウム、ニッケル、ステンレス、タングステンやモリブデンなどの金属を使用することができる。
また、チャックトップは、ウェハを真空チャックによって保持するため、ウェハ載置面に溝加工や平面度、あるいは表面粗さなどを制御した加工を行う必要がある。平面度は50μm以下が好ましく、表面粗さはRaで0.1μm以下が好ましい。これらを満たす材料としては、銅、アルミニウムなどの金属を主成分とするものや、これらの金属に炭化ケイ素や窒化アルミニウムを加えた金属とセラミックスの複合体を挙げることができる。また、チャックトップのウェハ載置面には、金属層を形成する必要がある場合、ニッケルや金等のメッキや、蒸着、スパッタなどの方法で、金属層を形成することができる。
チャックトップのウェハ載置面に導体層を形成する目的としては半導体製造工程で通常使用される腐食性のガス、酸、アルカリの薬液、有機溶剤、水などから載置台を保護し、且つ載置台に載置するウェハとの間に載置台より下部からの電磁ノイズを遮断するため、アースに落とす役割がある。
前記導体層の形成方法としては、特に制約はなく、導体ペーストをスクリーン印刷によって塗布した後焼成する、あるいは蒸着やスパッタ等の手法、あるいは溶射やメッキ等の手法が挙げられる。これらのうちでも、特に溶射法とメッキ法が好ましい。これらの手法においては、導体層を形成する際に、熱処理を伴わないため、載置台自体に、熱処理による反りが発生しないこと、またコストが比較的安価であるために特性の優れた安価な導体層を形成することができる。特にメッキ膜は、溶射膜に比較して緻密で電気伝導率の高い膜が得られやすいため特に好ましい。これらメッキや溶射に使用する材料としては、ニッケルや金が上げられる。これらの材料は比較的熱伝導率も高く、耐酸化性にも優れているため好ましい。
前記導体層の表面粗さはRaで0.5μm以下であることが好ましい。面粗さが0.5μmを超えると、発熱量の大きな素子の測定をする場合、プロービング時に素子自身の自己発熱により発生する熱を導体層及び載置台から放熱することができず素子自身が昇温されて熱破壊してしまうことがある。面粗さはRaで0.02μm以下であるとより効率よく放熱できるため好ましい。
また、チャックトップ上に例えば熱伝導率の高い銅や金、銀のメッキ膜を形成することもできる。例えばメッキ膜厚を100μm以上とすれば、載置面の温度分布を比較的均一にすることができるため好ましい。この場合、チャックトップとその上部に形成するメッキ膜との密着性を確保するために、例えばニッケルメッキを形成した後、上記のような銅や金、銀をメッキすることも可能である。また、例えば熱伝導率の高い銅のメッキ膜を形成した後、耐酸化性、耐薬品性を付与するために、金メッキを施すことも可能である。
メッキ膜の厚みとしては、均熱性を向上させるために、100μm以上であることが好ましい。これ以下のメッキ厚では、ウェハ載置面の温度を均一化する効果が薄くなる。メッキ膜の膜厚の上限については特に制約はない。このようにメッキ膜を形成した後、ウェハを吸着するための溝加工や、穴あけ加工を実施し、載置面を研磨することでウェハ載置面を形成することができる。この場合の加工は、載置面の加工に関しては特にメッキ膜を加工するため、メッキ厚の分だけ保持部材の溝加工の深さを減少させることができるので、チャックトップそのものを加工する場合に比較して、低コストで加工することができる。メッキ膜の厚みは、溝加工の深さより厚い方が好ましい。
また、チャックトップ上に熱伝導率の高い銅や金、銀を溶射膜によって形成することも可能である。この場合の膜厚に関しても、上記のメッキの場合と同様に100μm以上であることが好ましい。溶射の場合においても、載置面の加工費をメッキの場合と同様安価にすることができるため好ましい。またメッキと溶射を組み合わせることも可能であることはいうまでもない。
ウェハの載置方法に関しては特に制約はないが、ウェハプローバの場合、図3に示すように、チャックトップに同心円状の溝11を形成し、その溝を使用して真空チャックすることが一般的である。上記のようなウェハ保持体は、冷却速度にも優れている。
本発明におけるウェハ保持体においては、図1に示すように、チャックトップ1を支持する支持体4を有することができる。特に、本発明のウェハ保持体をウェハプローバに適用する場合においては、支持体を有することが好ましい。すなわち、この場合の支持体の役目は、発熱体で発生した熱を駆動部に伝えないこと、すなわち位置精度を保持する役割がある。このため支持体の熱伝導率は、40W/mK以下であることが好ましい。支持体の熱伝導率が40W/mKを超えると、チャックトップに加えられた熱が、容易に支持体に伝わり、駆動系の精度に影響を及ぼすため好ましくない。
近年ではプロービング時の温度として150℃以上という高温が要求されるため、支持体の熱伝導率は10W/mK以下であることが特に好ましい。またより好ましい熱伝導率は5W/mK以下である。この程度の熱伝導率になると、支持体から駆動系への熱の伝達量が大幅に低下するためである。
支持体のヤング率は200GPa以上であることが好ましい。支持体のヤング率が200GPa未満である場合には、支持体自体が変形することがあるため好ましくない。断熱効果が期待できない。また、より好ましいヤング率は300GPa以上である。300GPa以上のヤング率を有する材料を用いれば、支持体の変形も大幅に低減することができるため、支持体をより小型化、軽量化できるため特に好ましい。
これらを満たす具体的な支持体の材質は、ムライトもしくはアルミナ、ムライトとアルミナの複合体(ムライト−アルミナ複合体)であることが好ましい。ムライトは熱伝導率が小さく断熱効果が大きい点が、アルミナはヤング率が大きく、剛性が高い点で好ましい。ムライト−アルミナ複合体は熱伝導率がアルミナより小さく且つヤング率がムライトより大きく、総合的に好ましい。
支持体の形状としては特に制約はなく、チャックトップを外周部、内周部で保持し、チャックトップが撓まない構造とすればよい。
チャックトップの下部には冷却モジュールを設置することができる。冷却モジュールは、ウェハやチャックトップを冷却する場合や、常温以下の温度で使用する場合に用いるものである。
冷却モジュールは、可動式であってもよいし、チャックトップに固定されていてもよい。可動式の場合は、加熱する際は、冷却モジュールをチャックトップから離間させることで、効率よく短時間で昇温することができ、冷却する際にチャックトップに当接させることで急速に冷却することができる。冷却モジュールを可動式にする手法としては、エアシリンダーや油圧装置などの昇降手段を用いればよく、特に制約はない。このようにすることで、ウェハやチャックトップの昇温速度を遅くさせずに、冷却速度を大幅に向上させ、スループットを増加させることができるため好ましい。またこの手法においては、冷却モジュールに、プロービング時のプローブカードの圧力が全くかからないため、冷却モジュールの圧力による変形もなく、更には、チャックトップに冷気を吹き付ける空冷に比べ冷却能力も高いため好ましい。
また、ウェハやチャックトップの冷却速度を優先する場合は、冷却モジュールをチャックトップに固定しても良い。また、ウェハ保持体を常温より低い温度で使用する場合は、冷却モジュールをチャックトップに固定した方が効果的に冷却できるので好ましい。この時、チャックトップと冷却モジュールの間に、変形能と耐熱性を有し、かつ熱伝導率の高い軟性材を挿入することもできる。チャックトップと冷却モジュールの間に互いの平面度や反りを緩和できる軟性材を備えることで、接触面積をより広くすることができ、本来備える冷却モジュールの冷却能力をより発揮することが出来るので、冷却速度を高めることができる。軟性材としては、耐熱性を有するもの、例えば、シリコン樹脂やエポキシ、フェノール、ポリイミドなどの耐熱製樹脂や、これらの樹脂に熱伝導性を向上させるためにBNやシリカ、あるいはAlNなどのフィラーを分散させたものや、発泡金属などを例示することができる。
固定方法については特に制約はないが、例えばネジ止めや、クランプといった機械的な手法で固定することができる。またネジ止めでチャックトップと冷却モジュールを固定する場合、ネジの個数を3個以上、更には6個以上とすることで両者の密着性が高まり、冷却能力がより向上するため好ましい。また、本構造の場合においては、保持部材と冷却モジュールが固定されているため、冷却速度を可動式の場合に比較して、速くすることができる。
更に、チャックトップと冷却モジュールを一体化することも可能である。この場合、一体化する際に使用する保持部材および冷却モジュールの材質としては、特に制約はないが、冷却モジュール内に冷媒を流すための流路を形成する必要があることから、チャックトップと、冷却モジュール部との熱膨張係数差は小さい方が好ましく、当然のことながら、同材質であることが好ましい。
チャックトップと冷却モジュールを一体化する場合、使用する材質としては、上記の保持部材の材質として記載したセラミックスや、セラミックスと金属の複合体を使用することができる。チャックトップのウェハ載置面の反対面側には、冷却するための流路を形成し、更に該チャックトップと同材質の基板を、例えば、ロウ付けや、ガラス付けなどの手法で一体化することで、冷却モジュールが一体化されたチャックトップを作製することができる。また当然のことながら、貼り付ける側の基板側に流路を形成しても良いし、両方の基板に流路を形成しても良い。また、ネジ止めにより一体化することも可能である。この場合、形成した流路から、O−リングなどを用いて、冷媒等が流れ出さないように工夫する必要がある。
このように、チャックトップと冷却モジュールを一体化させることによって、上記に記載したようにチャックトップに冷却モジュールを固定した場合よりも更に素早くウェハや載置台、保持部材を冷却することができる。
また、チャックトップの材質が金属である場合、表面の酸化や変質が発生しやすい場合、または、電気導電性が高くない場合には、ウェハ載置面の表面に改めて導体層を形成することができる。この手法に関しては、上記に記載したように、ニッケル等の耐酸化性を有するメッキを施したり、溶射との組合せによって導体層を形成することができる。
冷却モジュールの材質としては特に制約はないが、アルミニウムや銅及びその合金は、熱伝導率が比較的高いため、急速にチャックトップの熱を奪うことができるため、好ましく用いられる。またステンレスやマグネシウム合金、ニッケル、その他の金属材料を使用することもできる。又、この冷却モジュールに、耐酸化性を付与するために、ニッケルや金、銀といった耐酸化性を有する金属膜をメッキや溶射等の手法を用いて形成することができる。
また冷却モジュールの材質としてセラミックスを使用することもできる。この場合の材質としては、特に制約はないが、窒化アルミニウムや炭化珪素は熱伝導率が比較的高いため、チャックトップから素早く熱を奪うことができるため好ましい。また窒化珪素や酸窒化アルミニウムにおいては、機械的強度が高く、耐久性に優れているため好ましい。またアルミナやコージェライト、ステアタイトなどの酸化物セラミックスは比較的安価であるため好ましい。以上のように冷却モジュールの材質は、種々選択できるため、用途によって材質を選択すればよい。これらの中では、アルミニウムにニッケルメッキを施したものや、銅にニッケルメッキを施したものが耐酸化性にも優れ、また熱伝導率も高く、価格的も比較的安価であるため、好ましい。
また、この冷却モジュールの内部に、冷媒を流すことも可能である。このようにすることで冷却モジュールに伝達された熱を素早く冷却モジュールから取り除くことができるため、更にウェハ保持体の冷却速度を向上できるため好ましい。また、チャックトップを常温より低い温度で使用する場合には、冷媒を流すことが必要である。冷却モジュール内に流す冷媒としては、水や、フロリナートなどが選択でき、特に制約はないが、比熱の大きさ、価格を考慮すると水が最も好ましい。また上記冷媒が液体の場合は、万が一装置から漏れることがありうるため、窒素や大気などの気体を流すことも可能である。
好適な例としては、2枚のアルミニウム板を用意し、その一方のアルミニウム板に水を流す流路を機械加工等によって形成する。アルミニウム板の耐食性、耐酸化性を向上させるために、ニッケルメッキを全面に施す。そして、もう一方のニッケルメッキを施したアルミニウム板を張り合わせる。このとき流路の周囲には水が漏れないように例えばO-リング等を挿入し、ネジ止めや溶接によって2枚のアルミニウム板を張り合わせる。
あるいは2枚の銅(無酸素銅)板を用意し、その一方の銅板に水を流す流路を機械加工等によって形成する。もう一方の銅板と、冷媒出入り口のステンレス製のパイプとを同時にロウ付け接合する。接合した冷却版を耐食性、耐酸化性を向上させるために、ニッケルメッキを全面に施す。また、別の形態としては、アルミニウム板もしくは銅板等の冷却板に冷媒を流すパイプを取り付けることで冷却モジュールとすることができる。この場合パイプの断面形状に近い形状のザグリ溝を冷却板に形成しパイプを密着させることで更に冷却効率を上げることができる。また、冷却パイプと冷却板の密着性を向上させるために介在層として熱伝導性の樹脂やセラミックス等を挿入してもよい。
また、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高いプレートに、銅などの金属パイプを取り付け、そのパイプ内に冷媒を流すことも可能である。この場合、プレートにパイプを取り付ける方法に制約はないが、ロウ付けや、金属バンドによるネジ止めなどの手法をあげることができる。またプレートに座繰り加工を施し、その中にパイプを取り付けることで、パイプとプレートの接触面積を増加させ、冷却効率を向上させることができる。また、パイプとプレートの間に熱伝導性のシートを挿入させることで冷却効率を向上させることもできる。
チャックトップを支持する支持体の支持面には、断熱構造を有することが好ましい。この断熱構造としては、支持部材に切り欠き溝を形成し、チャックトップと支持体の接触面積を小さくすることで断熱構造を形成することができる。また、チャックトップに切り欠き溝を形成し、断熱構造を形成することも可能である。この場合、チャックトップのヤング率が200GPa以上有していることが必要である。すなわち、チャックトップにはプローブカードの圧力が加わるため、切り欠きが存在すると、ヤング率が小さい材料である場合には、その変形量がどうしても大きくなり、変形量が大きくなると、ウェハの破損や、チャックトップ自身の破損につながることがある。しかし、支持体に切り欠きを形成すれば上記のような問題は発生しないため、好ましい。切り欠きの形状としては同心円状の溝を形成したものや、放射線状に溝を形成したもの、あるいは、突起を多数形成したものなど、形状には特に制約はない。但し、いずれの形状においても対称な形状にする必要がある。形状が対称でない場合は、チャックトップに掛かる圧力を均一に分散することができなくなり、チャックトップの変形や、破損に影響するため好ましくない。
また、断熱構造の形態として、チャックトップと支持部材の間に、複数の柱状部材を設置することが好ましい。配置は同心円状に均等あるいはそれに類似した配置で8個以上あることが好ましい。特に近年ではウェハの大きさが8〜12インチと大型化しているため、これよりも少ない数量では、柱状部材間の距離が長くなり、プローブカードのピンをチャックトップに載置されているウェハに押し当てた際、柱状部材間で撓みが発生しやすくなるため、好ましくない。一体型である場合に比べ、チャックトップとの接触面積が同一の場合、チャックトップと柱状部材、柱状部材と支持部材の2つの界面を形成することができるため、その界面が熱抵抗層となり、熱抵抗層を2倍に増加できるため、チャックトップで発生した熱を効果的に断熱することが可能となる。この柱状部材の形状としては円柱状であっても良いし、三角柱、四角柱、さらにはどのような多角形あるいはパイプ形状であっても良く、その形状に対しては特に制約はない。いずれにしろ、このように柱状部材を挿入することによってチャックトップから支持体への熱を遮断することができる。
前記断熱構造に使用する柱状部材の材質は、熱伝導率が30W/mK以下であることが好ましい。これよりも熱伝導率が高い場合、断熱効果が低下するため、好ましくない。柱状部材の材質としてはSi3N4、ムライト、ムライト−アルミナ複合体、ステアタイト、コージライト、ステンレス、ガラス(繊維)、ポリイミドやエポキシ、フェノールなどの耐熱樹脂やこれらの複合体を使用することができる。
前記支持部材と、チャックトップもしくは柱状部材との接触部分の表面粗さはRa0.1μm以上であることが好ましい。表面粗さがRa0.1μm未満である場合、支持部材と、チャックトップもしくは柱状部材との接触面積が増加すると共に、両者の間の隙間が相対に小さくなるため、Ra0.1μm以上の場合に比較して熱の伝達量が大きくなるため好ましくない。また、表面粗さの上限は特にはない。但し、表面粗さRaが5μm以上の場合、その表面を処理するためのコストが高くなることがある。表面粗さをRa0.1μm以上にするための手法としては、研磨加工や、サンドブラスト等による処理を行うと良い。但しこの場合においては、その研磨条件やブラスト条件を適切化し、Ra0.1μm以上に制御する必要がある。また、前記断熱構造を、支持部材と台座の間に形成することも可能である。いずれにしろ、このような構造をとることで、効果的な断熱構造とすることができる。
また、上記のようなウェハ保持体を、ウェハ検査に使用するウェハ保持体に搭載すると、均熱性、断熱性に優れた装置とすることができ、更にコストも安価であるため、好ましい。
直径310mm、厚み10mmのSi−SiC複合体を図3に示す形状に加工し、表面にNiメッキを施しウェハ載置面を研磨し、Ra=0.1μm以下に仕上げた。これに発熱体として、厚み50μmのステンレス箔を、BN粉末を分散させたシリコン樹脂で挟み込んだ。そして発熱体の表面に、表1に示す金属箔およびステンレス箔を設置することで形成した。更に、導電層をアースした。
厚み100μmの表1に示す材質の金属箔を、表2に示す位置に設置して、ウェハ保持体とした。なお、表2において、発熱体全面とは、図4に示すように発熱体の上下に加えて側面にも導電層を設置したことを示す。このウェハ保持体を用いて、150℃で微小電流のプロービングを実施した。なお支持体にはアルミナを使用した。プロービングの結果を表2に示す。なおプロービング結果は、全くノイズの発生がなく、良好なプロービングが実施できたものを◎、若干のノイズの影響は出るものの、比較的良好なプロービングが実施できたものを○、ノイズの発生はあるものの、プロービングは実施できたものを△、ノイズの発生が多く、プロービングに支障をきたしたものを×で示した。
以上の結果から、発熱体全面に導電層を設置すれば、導電層の材質によっては、全く問題のないプロービングができることが判る。また、発熱体の片側にのみ導電層を設置する場合は、発熱体のチャックトップ側に設置した方が良好なプロービングができる。
本発明によれば、プロービング時、抵抗発熱体などから発せられる電磁波などのノイズを大幅に低減することで、ノイズが少なく、微小電流を測定することのできるウェハ保持体、及びウェハプローバを提供することができる。
1 チャックトップ
2 導電層
3 発熱体
11 溝
31 抵抗発熱体
32 絶縁体
2 導電層
3 発熱体
11 溝
31 抵抗発熱体
32 絶縁体
Claims (6)
- ウェハを載置するチャックトップと、該チャックトップを加熱する抵抗発熱体を有し、該抵抗発熱体の少なくとも一部が絶縁層で覆われており、該絶縁層に、導電層が形成されていることを特徴とするウェハ保持体。
- 前記絶縁層は、前記抵抗発熱体の全面を覆い、前記導電層が絶縁層を含む抵抗発熱体の全面を覆うことを特徴とする請求項1に記載のウェハ保持体。
- 前記導電層が、鉄またはニッケルを主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載のウェハ保持体。
- 前記導電層の主成分が鉄及びニッケルであり、その含有量の合計が、90重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウェハ保持体。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載したウェハ保持体を備えたことを特徴とするヒータユニット。
- 請求項5に記載のヒータユニットを備えたウェハプローバ。
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