JP5334158B2 - 窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
また、上記発光層に接する側とは反対側における上記第一n型窒化物半導体層の表面は、凹凸形状を有していることが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法は、第一基板上に第一n型窒化物半導体層と、発光層と、p型窒化物半導体層とをこの順に積層する工程(A)と、
上記p型窒化物半導体層の表面に、絶縁層を形成する工程(B)と、
上記絶縁層の一部を除去して、上記絶縁層と接する電極層の表面の一部を露出させる工程(C)と、
上記絶縁層の表面全体に、接合層と導電性基板とをこの順に積層する工程(D)と、
上記第一基板の一部または全部を除去する工程(E)と、
上記工程(A)〜(E)によって得られたチップを分割することにより複数の窒化物半導体発光素子を得る工程(F)とを含むことを特徴とする。
(実施の形態1:窒化物半導体発光素子)
図1は、本発明の好ましい実施の形態1の窒化物半導体発光素子1の概略断面図である。図1に示されるように、実施の形態1の窒化物半導体発光素子1は、第二電極9と、導電性基板2と、接合層3と、絶縁層5と、電極層6と、電流阻止層7と、p型窒化物半導体層43,44と、発光層42と、第一n型窒化物半導体層41と、第一電極8とをこの順で含むことを特徴としている。また、上記絶縁層5は、電極層6の接合層3側の表面の一部と電極層6の側面全面と、接合層3の側におけるp型窒化物半導体層44の外周部と接していることを特徴とする。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる導電性基板2は、たとえば、金属、合金、Si、GaP、GaAs、SiC、導電性ダイヤモンド等の材料を用いることが好ましい。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる接合層3は、導電性基板2と接しており、絶縁層5からみて、p型窒化物半導体層43、44とは反対側に位置している層である。この接合層3によって、導電性基板2と窒化物半導体層4とを接着する。
本発明の第一貼付金属層31に含まれる密着層33は、第一共晶接合層35または第一拡散防止層34と、絶縁層5との密着強度をよくするための層である。第一共晶接合層35および第一拡散防止層34に用いられる金属の種類によっては、絶縁層5と密着しにくい場合があり、このような場合に絶縁層5表面で膜剥がれが起こり、結果として窒化物半導体発光素子の信頼性が悪くなる場合があった。しかしながら、本発明のように密着層33を設けることによって、絶縁層5と第一貼付金属層31との密着性を向上することができるようになることから上記の問題を効果的に防止でき、より信頼性の高い窒化物半導体発光素子を提供することができるようになった。
本発明の第一貼付金属層31に含まれる第一拡散防止層34は、金属の拡散を防止するための層である。この層を設けることによって、電極層6に含まれる金属が密着層33内の金属に拡散して接合強度の低下を防止できる他、密着層33に含まれる金属が電極層6に含まれる反射層61に拡散することによる反射層61の反射率の低下も防ぐことができる。さらに、第一拡散防止層34を設けることによって窒化物半導体層4に金属が拡散して素子特性が低下することをも防ぐことができ、窒化物半導体発光素子の信頼性をより高めることもできる。
本発明の第一貼付金属層31に含まれる第一共晶接合層35は、導電性基板2と窒化物半導体層4との接着強度を保つための層である。第一共晶接合層35を設けることによって、より信頼性の高い窒化物半導体発光素子を提供することができる。
本発明の第二貼付金属層32に含まれる第二共晶接合層36は、導電性基板2と窒化物半導体層4との接着強度を保つための層であって、上述した第一共晶接合層35の面と貼り合わせられる層である。この第二共晶接合層36に用いられる材料、層構造、層厚は、上述した第一共晶接合層35に用いられる材料、層構造、層厚と同一のものを適宜選択することができる。
本発明の第二貼付金属層32に含まれる第二拡散防止層37は、第一拡散防止層34と同一の目的で設けられる層であり、この第二拡散防止層37に用いられる材料、層構造、層厚は、上述した第一拡散防止層34に用いられる材料、層構造、層厚と同一のものを適宜選択することができる。
本発明の第二貼付金属層32に含まれる第一オーミック層38は、導電性基板2と接合層3とがオーミックコンタクトになる層であって、窒化物半導体発光素子の駆動電圧を低減するための層である。この第一オーミック層38に用いられる材料としては金属、合金または導電性酸化物であれば従来公知のものを採用することができ、たとえば、Ti、Au、Al、またはこれらの合金、ITO等を用いることができる。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる絶縁層5は、接合層3と窒化物半導体層4との間に位置する層である。本発明の窒化物半導体発光素子は、絶縁層5の表面内にp型窒化物半導体層44の外周部が接し、絶縁層5の外周部が窒化物半導体発光素子のチップ端部となっていることを特徴とする。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる電極層6は、図1に示されるように、絶縁層5からみて、p型窒化物半導体層44側に位置しており、反射層61および密着保護層62のうち少なくとも一層を含む層である。以下に、反射層61と密着保護層62について説明する。
本発明の電極層6に含まれる反射層61は、発光層42の主たる発光波長に対して高反射率を有する層である。この層を設けることによって、窒化物半導体発光素子1の光取り出し効率を向上させることができる。すなわち、発光層42から放射した光は、第一n型窒化物半導体層41を通って窒化物半導体層4の外部に直接取り出される光と、一旦電極層6側に放射されて当該反射層61によって反射された後に外部に取り出される光とがあり、これらの光の合計を高くすることで光取り出し効率を向上できることから、この反射層61を高反射率にすることによっても、光取り出し効率を向上させることができる。なお、「高反射率を有する」とは、窒化物半導体発光素子の主たる発光波長に対して、70〜100%程度の反射率を有することを意味する。また、反射層は、金属または合金の単層構造または多層構造からなる。
本発明の電極層6に含まれる密着保護層62は、p型窒化物半導体層43、44とオーミックコンタクトになる金属、合金または導電性酸化物を含む層である。この密着保護層62を設けることにより、電極層6とp型窒化物半導体層44とがオーミック接合になり、もって窒化物半導体発光素子1の駆動電圧を低減することができる。また、この密着保護層62は、単層構造に限られるものではなく、多層構造をとることもできる。
本発明の窒化物半導体発光素子1は、p型窒化物半導体層43,44の、発光層42側とは反対側の面上であって、第一電極8が設置される位置の概略真下に当たる位置に電流阻止層7が形成されている。この位置に電流阻止層7を設けることによって、効率的に発光領域に電流を注入でき、高発光効率の発光素子を得ることができる。
本発明の窒化物半導体発光素子1のp型窒化物半導体層44と絶縁層5との間に、第二n型窒化物半導体層(図示せず)を設けることもできる。この層は電流拡散層としての役目を果たすことから、この層を設けることによって、窒化物半導体発光素子1に電極層6を設けなくてもよいというメリットがある。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれるp型窒化物半導体層43,44は、p型AlGaN層とp型GaN層とからなる層である。これらp型AlGaN層とp型GaN層との厚さは特に限定されるものではなく、たとえば、それぞれ10〜100nm、50〜1000nmとすることができる。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる発光層42は、GaNからなるバリア層とInqGa1-qN(0<q<1)からなるウェル層とを含む層である。これらバリア層とウェル層の厚さは特に限定されるものではなく、たとえば、それぞれ3〜30nm、0.5〜5nmとすることができる。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる第一n型窒化物半導体層41は、n型GaNからなる層であって、光取り出し面を有する層である。ここで、光取り出し面とは、第一n型窒化物半導体層41の側面以外の面のうち発光層42と接する側の面とは反対側の面のことをいう。
本発明は窒化物半導体発光素子1はチップを分割するときのために、チップ分割溝13を有する。つまり、窒化物半導体層4の端面と絶縁層5、接合層3および導電性基板2の端面とは同一平面内に存在せずに、窒化物半導体層4の端面のみが窒化物半導体発光素子の内側にあるという構造になっている。さらに言えば、窒化物半導体層4の外周が、絶縁層5の外周よりも小さくなっており、さらに導電性基板2の外周よりも小さくなっている。このような構造にすることによって、PN接合部でショートするという不具合を防止することができる。
本発明の窒化物半導体発光素子1に含まれる第一電極8および第二電極9は、図1に示されるように、第一n型窒化物半導体層41上に形成された外部接続用の第一電極8と、導電性基板2の接合層3側とは反対側の面に形成された外部接続用の第二電極9とを有する。
また、図1に示されるように、本実施の形態の窒化物半導体層4に含まれるp型窒化物半導体層43、44、発光層42および第一n型窒化物半導体層41の側面は、いずれも素子端部近傍においてテーパー構造である。すなわち、第一n型窒化物半導体層41からp型窒化物半導体層44に向かって、各層の面積が次第に大きくなる構造である。
次に、図2〜7を参照しながら、上記実施の形態1の窒化物半導体発光素子1の好ましい製造方法を実施の形態1−1〜1−6によって詳細に説明する。図2〜7は、本発明の製造方法の好ましい一例を示す概略工程を断面図である。
実施の形態1−1によって製造される窒化物半導体発光素子1は、
第一基板上に第一n型窒化物半導体層と、発光層と、p型窒化物半導体層とをこの順に積層する工程(以下、「工程(A)」という)と、
上記p型窒化物半導体層の表面に、絶縁層を形成する工程(以下、「工程(B)」という)と、
上記絶縁層の一部を除去して、該絶縁層と接する電極層の表面の一部を露出させる工程(以下、「工程(C)」という)と、
上記絶縁層の表面全体に、接合層と導電性基板とをこの順に積層する工程(以下、「工程(D)」という)と、
上記第一基板の一部または全部を剥離する工程(以下、「工程(E)」という)と、
上記(A)〜(E)によって得られたチップを分割することにより複数の窒化物半導体発光素子を得る工程(以下、「工程(F)」という)と
を含むことを特徴とする。
以下に各工程(A)〜(F)について詳細に説明する。
まず、本実施の形態の窒化物半導体発光素子の製造工程における工程(A)は、図2に示されるように、第一基板10にサファイア基板を用いてこの第一基板10上に、当該分野において通常用いられる手段により、AlrGa1-rN(0≦r≦1)からなるバッファ層12を形成し、その後にn型GaN層である第一n型窒化物半導体層41、GaNからなるバリア層およびInqGa1-qN(0<q<1)からなるウェル層を含む発光層42、p型AlGaN層およびp型GaN層からなるp型窒化物半導体層43、44をこの順に成長させる工程である。
次に、工程(B)は、図3に示されるように、上述の工程(A)によって形成されたp型窒化物半導体層44の表面上に絶縁層5を全面、もしくは電極層6がある場合は電極層6の表面全面および電極層6の側面全面およびp型窒化物半導体層44表面のうち電極層6が形成されていない部分に形成する工程である。
次に、工程(C)は、図3に示されるように、電極層6の表面に形成された絶縁層5の一部をエッチングにより除去して、絶縁層5に接する電極層6の表面の一部を露出させる工程である。
次に、工程(D)は、図4(b)に示されるように、絶縁層5上および露出した電極層6上に、接合層3および導電性基板2をこの順に積層する工程である。本工程(D)においては、まず図4(b)に示されるように、絶縁層5および露出した電極層6上に、第一貼付金属層31に含まれる、密着層33、第一拡散防止層34および第一共晶接合層35をこの順でスパッタや蒸着により形成する。他方、図4(a)に示されるように、たとえばSi基板のような導電性基板2上に、当該分野において通常用いられる手段により、第二貼付金属層32に含まれる、第一オーミック層38、第二拡散防止層37および第二共晶接合層36を形成した後、第一共晶接合層35と第二共晶接合層36とを接して、減圧雰囲気下、加熱圧着することにより接合して接合層3を形成する。この接合するときの減圧度は10Pa以下であることが好ましい。このように減圧雰囲気下にすることにより、ボイドの発生を抑制することができる。
次に、工程(E)は、図5に示されるように、第一基板10の窒化物半導体層4が形成されていない側から、たとえば355nmや266nmのレーザ光Pを照射することにより、バッファ層の全部または大部分および第一n型窒化物半導体層41の一部を分解することにより第一基板10を除去する工程である。
最後に、図7に示されるように、一定のピッチで絶縁層が露出しているチップ分割溝13のいずれかの位置(図7における点線は、その最も好ましい位置を示す)で、窒化物半導体発光素子のウェハをチップに分割する。
実施の形態1−2は、実施の形態1−1の上記工程(A)に加えて、p型窒化物半導体層44の積層後に、さらに第二n型窒化物半導体層を積層する工程(以下、「工程(A1)」という)を含むことを特徴とする。以下に工程(A1)について説明する。
上記工程(A1)は、工程(A)によって第一基板10上に、バッファ層12、第一n型窒化物半導体層41、発光層42およびp型窒化物半導体層43,44をこの順に成長させた後、さらにp型窒化物半導体層43,44上に第二n型窒化物半導体層を成長させる工程である。
実施の形態1−3は、上記工程(B)を行なう前に、p型窒化物半導体層44の露出表面に電極層6を形成する工程(以下、「工程(G)」という)を加えることを特徴とする。以下に工程(G)について説明する。
図2に示されるように、上記実施の形態1−1の工程(A)におけるp型窒化物半導体層44の積層後または上記実施の形態1−2の工程(A1)における第二n型窒化物半導体層の積層後、p型窒化物半導体層44上または第二n型窒化物半導体層に反射層61および密着保護層62を含む電極層6を蒸着により形成する。
実施の形態1−4は、実施の形態1−1の、上記工程(E)と上記工程(F)との間に、窒化物半導体層4の露出表面に、略一定間隔で絶縁層5が露出する程度の深さのチップ分割溝13が形成されるように、窒化物半導体層4を除去する工程(以下、「工程(H)」という)を加えることによって窒化物半導体発光素子が製造される。以下に工程(H)について説明する。
図6に示されるように、窒化物半導体層4の表面を略一定間隔でドライエッチングすることによって、窒化物半導体層4の一部を除去し、絶縁層5の表面が露出するようにチップ分割溝13を形成する。本工程(H)により、第一n型窒化物半導体層41、発光層42およびp型窒化物半導体層43、44からなる窒化物半導体層4部分は、一定のピッチで途切れた状態となる。このチップ分割溝13の部分で、後の工程(F)によってチップ分割される。
実施の形態1−5は、上記工程(E)または上記工程(H)の後に、第一n型窒化物半導体層の一部を除去するとともに、上記第一n型窒化物半導体層に表面凹凸を形成する工程(以下、工程(I)という)を加えることを特徴とする。以下に工程(I)について説明する。
図7に示されるように、第一n型窒化物半導体層41表面を、KOHやテトラメチルアンモニウム等の強アルカリ液でエッチングすることにより、上記第一n型窒化物半導体層41の一部を除去するとともに、上記第一n型窒化物半導体層41に表面凹凸を形成する。この表面凹凸を第一n型窒化物半導体層41上に形成することで、光が散乱され、光取り出し効率が向上する。
実施の形態1−6は、実施の形態1−4において、上記工程(E)と工程(H)との間に、第一n型窒化物半導体層の一部を除去する工程(以下、工程(J)という)を加えることによって窒化物半導体発光素子が製造される。以下に工程(J)について説明する。
工程(J)は、工程(E)と工程(H)の間に、第一n型窒化物半導体層41の一部を除去する工程である。ここで、第一n型窒化物半導体層41を除去する量は、バッファ層側から約1μm程度の深さで、概略均一にエッチングするのが好ましい。なぜなら、レーザー光を照射することで、第一基板を剥離した界面近傍の第一n型窒化物半導体層には、多くのダメージを含んだダメージ層を形成し、このダメージ層が光を吸収するため、光取り出し効率の低下の要因となってしまう。しかし、本工程のエッチングによって、ダメージ層を除去してやることで、光取り出し効率を向上させることができる。
なぜなら、チップ分割溝底面には絶縁層が露出しており、工程(J)のドライエッチングでわずかに絶縁層がエッチングされ、その下の金属層が露出してしまう可能性があるためである。
図8は、本発明の別の好ましい実施の形態2の窒化物半導体発光素子81を示す概略断面図である。本実施の形態の窒化物半導体発光素子81は、導電性基板82と、接合層83と、絶縁層85と、電極層86と、p型窒化物半導体層843,844と、発光層842と、第一n型窒化物半導体層841と、をこの順で含み、当該絶縁層85は、電極層86の接合層83側の面の一部と、電極層86の側面全面と、接合層83の側におけるp型窒化物半導体層844の外周部と接していることを特徴とする。
本実施の形態2の窒化物半導体発光素子81において、導電性基板82には、メッキにより層形成が可能である材料が用いられる。このような材料としては、たとえばNi、Cu、Sn、Au、Agのいずれかを主成分とする金属または合金を挙げることができる。
本実施の形態2における接合層83は、密着層とメッキ下地層を含む。以下、メッキ下地層について説明する。
本発明の窒化物半導体発光素子81の接合層83にメッキ下地層を設け、これを介して導電性基板82のメッキを行なうことにより、導電性基板82を歩留まりよく形成することができる。ここで、メッキ下地層を構成する金属または合金としては、従来より公知のものを採用することができ、たとえばAu、Ni、Pd、Cu、これらを含む合金等を挙げることができる。またメッキ下地層の厚さは、特に制限されるものではなく、当該分野において通常用いられている厚さを採用することができ、たとえば10〜5000nm程度とすることができる。
(実施の形態2−1)
次に、上記実施の形態2の窒化物半導体発光素子81の好ましい製造方法を本実施の形態2−1にて説明する。なお、実施の形態2−1の窒化物半導体発光素子81の製造方法のうち、工程(C)までは、実施の形態1−1の窒化物半導体発光素子1の製造方法と同じであることから工程(D−1)以降を説明する。
上記第一基板の一部または全部を除去する工程(以下、「工程(E)」という)と、
上記工程(E)によって得られたチップを分割することにより複数の窒化物半導体発光素子を得る工程(以下、「工程(F)」という)と
を含む製造方法である。
工程(D−1)は、絶縁層85上および露出した電極層86上に、接合層83である密着層と、メッキ下地層とをこの順で形成し、さらに導電性基板82をメッキにより形成する。メッキの方法は、無電解メッキであってもよく、電解メッキであってもよい。
次に、工程(F)のチップ分割は、レーザスクライブによる分割が好ましい。導電性基板82に粘性が高い材料を用いる場合、ダイヤモンドスクライブやダイシングでは不適切な場合があるためである。
実施例1の窒化物半導体発光素子1を以下の方法により作製した。図2〜7を参照しつつ概略的に説明する。
まず、図2に示されるように、サファイアからなる第一基板10上に、厚さ50nmのAlrGa1−rN(0≦r≦1)からなるバッファ層12、厚さ5μmのn型GaN層からなる第一n型窒化物半導体層41、GaNからなるバリア層およびInqGa1−qN(0<q<1)からなるウェル層を含む、厚さ100nmの発光層42、厚さ30nmのp型AlGaN層および厚さ200nmのp型GaN層からなるp型窒化物半導体層43、44をこの順に成長させた。次に、100μmφの開口部があるフォトレジストマスクを400μmピッチで形成し、Arガスを含むプラズマ中にp型窒化物半導体層44の表面を30秒間さらし、高抵抗化することによって電流阻止層7を形成した。
次に、図2に示されるように、p型窒化物半導体層44表面全体に、電極層6として反射層61としてAg層を厚さ300nmで形成し、さらに密着保護層62としてTi層を10nmを蒸着により形成した。次に、1辺320μmの概略正方形の中心に、上記電流阻止層7が配置されるようにアライメントし、フォトレジストマスクを400μmのピッチで形成した後、酢酸と硝酸を混合したエッチング液で、露出している部分の電極層6をエッチングした。
次に、フォトレジストを除去した後、絶縁層5としてSiO2層を全面、すなわち、電極層6表面と電極層6の側面とp型窒化物半導体層44の表面とを覆うように形成した。
次に、図3に示されるように、電極層6の表面に形成された絶縁層5の一部をエッチングにより除去して、上記電流阻止層7の領域内に収まる範囲で電極層6表面の一部を露出させた。
次に、図4(b)に示されるように、絶縁層5上および露出した電極層6上に、密着層33としてTi層を厚さ100nmで形成し、さらに第一拡散防止層34としてPt層を厚さ100nmでスパッタにより形成し、最後に第一共晶接合層35としてAu層を厚さ1μmで蒸着して、第一貼付金属層31を形成した。
次に、図5に示されるように、第一基板10の裏面から、355nmのレーザ光Pを照射して、バッファ層(図示せず)と第一n型窒化物半導体層41の一部とを分解して第一基板10を除去した。
次に、図6に示されるように、1辺340μmの概略正方形のフォトレジストマスクを400μmピッチで形成し、フォトレジストマスクで覆われていない部分の第一n型窒化物半導体層41、発光層42およびp型窒化物半導体層43、44をドライエッチングにより、除去し絶縁層5を露出させ、チップ分割溝13を形成した。ここで、340μmの概略正方形のフォトレジストマスクは、1辺320μmの概略正方形の電極層6が内側に納まるようにアライメントした。
次に、図7に示されるように、フォトレジストマスクを除去した後、KOHによりエッチングすることで第一n型窒化物半導体層41に表面凹凸を形成した。上記工程(H)でチップ分割溝13を形成してからKOHによるエッチングを行なったため、PN接合部にも凹凸が形成され、さらに光取り出し効率を向上させることができた。
最後に、図7に示されるように、400μmのピッチで絶縁層5が露出している部分(図7における点線の位置)で、レーザスクライブ法により、上記ウェハをチップに分割して、窒化物半導体発光素子1を得た。
実施例2
<工程(A)>
実施例2の窒化物半導体発光素子201の製造方法は、図9に示されるように、まず、サファイアからなる第一基板(図示せず)上に、厚さ50nmのAlrGa1−rN(0≦r≦1)からなるバッファ層(図示せず)、厚さ5μmのn型GaN層からなる第一n型窒化物半導体層241、GaNからなるバリア層およびInqGa1−qN(0<q<1)からなるウェル層を含む、厚さ100nmの発光層242、厚さ30nmのp型AlGaN層と厚さ200nmのp型GaN層とからなるp型窒化物半導体層243、244をこの順に成長させた。
さらに、上記p型窒化物半導体層244上に、厚さ200nmのn型GaN層からなる第二n型窒化物半導体層245を成長させた。
次に、100μmφの開口部があるフォトレジストマスクを400μmピッチで形成し、ドライエッチングによって開口部内の第二n型窒化物半導体層245を除去した後、さらにp型窒化物半導体層243,244の途中までをエッチングにより除去した。
次に、SiO2からなる絶縁層205を全面に形成し、フォトレジストマスクで上記の100μmφ開口部以外の第二n型窒化物半導体層245がある領域の絶縁層205の一部をエッチングにより除去して第二n型窒化物半導体層245を露出させた。このときSiO2からなる絶縁層205はフッ酸を含む薬液によるウェットエッチングでも、フッ素ガス(例えばCHF3)を含むガスによるドライエッチングでもエッチングすることができ、どちらを使った場合も、第二n型窒化物半導体層245は良好なエッチングストップ層として機能する。また、p型窒化物半導体層243,244が露出した領域をSiO2で覆った領域が電流阻止層207として機能する。本実施例では、電流阻止層の部分はp型窒化物半導体層243までエッチングしてSiO2層で覆ったが、第一n型窒化物半導体層241までエッチングしてそこまでをSiO2で覆うことによっても、同様の効果を得ることができる。
次に、絶縁層205上および露出した第二n型窒化物半導体層245上に、密着層233としてTi層を厚さ100nmで形成し、さらに第一拡散防止層234としてPt層を厚さ100nmでスパッタにより形成し、最後に第一共晶接合層235としてAu層を厚さ1μmで蒸着し、第一貼付金属層231を形成した。
次に、第一基板の裏面から、355nmのレーザ光を照射してバッファ層と第一n型窒化物半導体層241の一部を分解することにより第一基板を除去した。以降は、実施例1と同じである。
実施例3
窒化物半導体発光素子81の製造方法を図8に基づき説明する。
工程(C)における絶縁層85の形成までは、実施例1と同様の手順で行なった。すなわち、第一基板(図示せず)上に第一n型窒化物半導体層841と、発光層842と、p型窒化物半導体層843,844とからなる窒化物半導体層84を形成し、その後電流阻止層87を形成した後に、反射層861と密着保護層862とからなる電極層86および絶縁層85を形成した。
工程(C)の後に、メッキ下地層として厚さ200nmのAu層を蒸着により形成し、電解メッキ法を用いて、導電性基板82として厚さ100μmのCu層を形成した。
次に、第一基板10の裏面から355nmのレーザ光Pを照射して、バッファ層と第一n型窒化物半導体層841の一部を分解して第一基板を除去した。工程(E)より後は、実施例1と同様の手順によって、実施例3の窒化物半導体発光素子を得た。
Claims (22)
- 導電性基板と接合層と窒化物半導体層とをこの順に含む窒化物半導体発光素子であって、前記接合層と前記窒化物半導体層との間にはさらに絶縁層を有し、前記絶縁層の表面内に、前記窒化物半導体層の前記接合層側の面の外周部が接しており、
前記絶縁層と前記窒化物半導体層との間にはさらに電極層を含み、前記絶縁層は、前記電極層の前記接合層側の表面の一部、前記電極層の側面および前記窒化物半導体層の前記電極層と接する側の面の外周部であって前記窒化物半導体層の前記電極層と接する側の面の前記電極層が形成されていない部分と接していることを特徴とする窒化物半導体発光素子。 - 前記窒化物半導体層は、少なくとも、p型窒化物半導体層と、発光層と、第一n型窒化物半導体層とを前記導電性基板側からこの順に含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記窒化物半導体層の外周は、前記絶縁層の外周よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記窒化物半導体層の外周は、前記導電性基板の外周よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記窒化物半導体層の側面は、テーパー形状であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記発光層に接する側とは反対側における前記第一n型窒化物半導体層の表面は、凹凸形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記電極層は、前記絶縁層と接する側の表面に前記絶縁層との密着性を保つための密着保護層を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記接合層は、第一貼付金属層と第二貼付金属層とを含み、
前記第二貼付金属層は、前記導電性基板とオーミックコンタクトになる第一オーミック層を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記接合層は、第一共晶接合層または第二共晶接合層のいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記接合層は、前記絶縁層と接する側の表面に前記絶縁層との密着性を保つための密着層を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記接合層は、メッキ下地層を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 第一基板上に第一n型窒化物半導体層と、発光層と、p型窒化物半導体層と、電極層とをこの順に積層する工程(A)と、
前記電極層の表面全面および側面全面、ならびに、前記p型窒化物半導体層の表面のうち前記電極層が形成されていない部分に、絶縁層を形成する工程(B)と、
前記絶縁層の一部を除去して、前記絶縁層と接する前記電極層の表面の一部を露出させる工程(C)と、
前記絶縁層の表面全体に、接合層と導電性基板とをこの順に積層する工程(D)と、
前記第一基板の一部または全部を除去する工程(E)と、
前記絶縁層を露出させるように窒化物半導体層を除去し、チップ分割溝を形成する工程(H)と、
前記工程(A)〜(E)および(H)によって得られたチップを分割することにより複数の窒化物半導体発光素子を得る工程(F)と
を含むことを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記工程(A)と前記工程(B)との間に、第二n型窒化物半導体層を積層する工程(
A1)を含むことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記工程(E)と前記工程(H)との間に、第一n型窒化物半導体層の一部を除去する工程(J)を含むことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(F)を行なう前に、第一n型窒化物半導体層の一部を除去し、前記第一n型窒化物半導体層に表面凹凸を形成する工程(I)を含むことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(E)において、前記第一基板の一部または全部の除去は、レーザ光の照射により行なうことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(F)において、チップを分割する位置は、前記チップ分割溝のいずれかの位置であることを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(I)において、前記第一n型窒化物半導体層の表面凹凸は、エッチングにより形成されることを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(H)において、絶縁層はエッチングストップ層として働くことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(D)において、前記導電性基板の積層は、前記接合層に含まれる第一共晶接合層と、前記導電性基板上に形成された第二共晶接合層とを接合することにより行なわれることを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(D)において、前記導電性基板の積層は、メッキ法により行なうことを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記工程(C)において、前記電極層は、エッチングストップ層として機能することを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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