JP2009295611A - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体発光素子において、素子駆動用の配線配置による光取り出しロス低減を可能とし、しいては素子面積の縮小によるパッケージの小型化を可能とする。
【解決手段】サファイア基板4、バッファ層、N型ドーパントがドープされたAlGaNからなるN型窒化物半導体層3,ノンドープInGaNからなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlGaNからなるP型窒化物半導体層1がこの順序で積層され、サファイア基板4に傾斜面を形成し、その傾斜面に形成された反射膜8bにより結晶成長基板の側面から光を取り出す。
【選択図】図1
【解決手段】サファイア基板4、バッファ層、N型ドーパントがドープされたAlGaNからなるN型窒化物半導体層3,ノンドープInGaNからなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlGaNからなるP型窒化物半導体層1がこの順序で積層され、サファイア基板4に傾斜面を形成し、その傾斜面に形成された反射膜8bにより結晶成長基板の側面から光を取り出す。
【選択図】図1
Description
本発明は従来にない光取り出し方法による半導体発光素子の製造方法及びその製造方法を用いた半導体発光素子に関する。
従来から窒化物半導体発光素子は、結晶成長基板上に窒化物半導体層を順次積層して形成され、積層した半導体層の最表面にあたる面が光取り出し面とされ、あるいはフリップチップマウント実装方法によって結晶成長基板側から光を取り出す構造であるが、しかしながら半導体発光層に対し垂直方向を中心とした放射状に光が取り出されるのみであった。光取り出し面である窒化物半導体層の最表面に各種電極形成などを行なう必要があるために、光取り出し面としての有効領域を減少せざるをえなかった。また、発光素子の通電駆動時に発生する熱によって素子寿命などの信頼性に悪影響を及ぼしていた。
特許文献1には発光ダイオードの素子構造及び素子の作製方法が開示されている。その内容よると、半導体発光素子結晶成長面に対して裏面にあたる基板面に対してテーパ状溝加工を行なう事で、最終的に素子形状として結晶成長基板の側面形状が傾斜する事としている。しかしながら光を取り出す方向としては半導体結晶層に対し垂直方向を中心とした放射状に光が取り出されるだけにとどまる。このように特許文献1に記載されるような従来の技術では、素子側面から主な光が取り出すことができない事から必然的に素子搭載に必要な面積が大きくなり、素子駆動用の配線配置および光取り出し方向の制約から、結果的にパッケージングの小型化、至っては搭載機器の小型薄型化に適さない。
特開2005−302804号公報
従来の半導体発光素子では半導体発光層に対し垂直方向を中心とした放射状に光が取り出される構造により、素子搭載に必要な面積も大きくパッケージングにおける制約が大きかった。例えば液晶方式表示機器におけるバックライトユニットとして、より小型化された光源ユニットが求められていた。具体的には昨今における液晶テレビの筐体薄型化技術の進歩には目覚しいものがあるが、一般的な冷陰極管バックライト方式では筐体薄型化に不向きであった。
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意検討を行った結果、結晶成長基板側面から光を取り出せる構造とする事で、これまでの半導体結晶層に対して垂直方向から光を取り出す構造の課題であった素子駆動用の配線配置による光取り出しロス低減を可能とし、しいては素子面積の縮小によるパッケージの小型化を可能とする事を見出し、本発明に達した。
すなわち、本発明の半導体発光素子は、結晶成長基板の上に少なくとも1層の半導体結晶層が形成され、前記結晶成長基板の側面から光を取り出す構造を特徴としている。
ここで、本発明の半導体発光素子は、前記半導体結晶層が窒化物系半導体結晶からなることを特徴としている。
また、前記窒化物系半導体からなる半導体発光素子は、その結晶成長基板の1つ以上の側面において、断面形状が半導体結晶層成長面に対し90度以下の鋭角となる傾斜面である事を特徴としている。成長基板の側面を傾斜させる事で、発光層から放出された光を基板側面へ導く事が可能となり、基板側面からの光取出しが向上する。
また、前記結晶成長基板の傾斜側面に反射膜を備える構造とすることが望ましい。反射膜を備える事で、発光層から放出された光をより効率的に基板側面へ導く事が可能となり、基板側面からの光取出しが向上する。
また、前記結晶成長基板の側面は、その断面形状が半導体結晶層成長面に対し90度以下の鋭角となる傾斜面と、90度以上の鈍角となる傾斜面が組み合わされた構造としても良い。傾斜面を増やす事で、発光層から放出された光をより効率的に基板側面へ導く事が可能となり、基板側面からの光取出しが向上する。
また、前記半導体結晶層には反射膜を備える構造とする事が望ましい。半導体結晶層に反射膜を備える事で、発光層から半導体側へ放出された光を基板側に反射させ、基板側面からの光取出しを向上することが可能となる。
また、前記半導体発光素子は、傾斜面および半導体結晶層に備えられた反射膜は保護膜によって覆われる事が望ましい。反射膜を大気に露出しない構造とする事で、反射金属膜の劣化を防止することができる。更には、反射金属膜にマイグレーションを起こしやすいAgなどを用いる場合、保護膜で覆う事でマイグレーションを抑制し、信頼性を向上することができる。
また、前記半導体発光素子は、傾斜面の反射膜および保護膜は透光性樹脂で覆われた構造とする事を特徴としている。
また、前記半導体発光素子は、傾斜面の反射膜および保護膜は金属層で覆われた構造としても良い。
また、前記半導体発光素子は、金属層側に通電駆動のためのボンディング用金属電極が1つ以上形成された構造とする事が望ましい。
また、前記半導体発光素子は、金属層側に設けられたボンディング用金属電極と反射膜を介して半導体結晶層を通電駆動する構造を特徴としている。
また、前記半導体発光素子は、通電駆動のためのボンディング用金属電極が形成される半導体結晶面側に、反射膜と絶縁膜が備えられた構造である事を特徴としている。
また、前記半導体発光素子は、主な光を取り出す面である結晶成長基板側面に凹凸形状が形成されている構造とする事が望ましい。基板側面からの光取出しを向上させるためである。
また、結晶成長基板は窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、透光性セラミックスからなる群から選ばれた少なくとも一種の透光性を有した材料からなる基板である事を特徴としている。
また、半導体発光素子結晶成長基板の側面から光を取り出す構造における傾斜面は、光取り出し面よりも平坦性が高い事を特徴としている。
また、半導体発光素子結晶成長基板の側面から光を取り出す構造は、レーザ照射の工程とダイシングの工程によって作製する事を特徴とする。本半導体発光素子については、レーザ照射の工程とダイシングの工程を含んで結晶成長基板の側面に傾斜面を形成する事を特徴としている。この理由についてであるが、レーザ照射を行った上でダイシングを行う事により、ダイシング刃の磨耗量抑制による溝部の平坦な傾斜面を安定した形状で形成する事が可能となる為である。
本発明によって得られた半導体発光素子においては結晶成長基板側面の1つ以上を傾斜した面として加工し、傾斜面に備えられた反射膜によって半導体結晶層からの発光が反射することで、傾斜された面と異なる他方の結晶成長基板側面から光を取り出すことができる。また本発明による半導体発光素子をバックライトユニット用途などに用いる事で一般的な冷陰極管バックライト方式と比較してパッケージングを小型化あるいは高密度化できるために、すなわち機器の小型薄型化を可能にする。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<半導体発光素子>
本発明の半導体発光素子を図1を用いて説明する。
本発明の半導体発光素子を図1を用いて説明する。
本発明は、結晶成長基板4上に順次積層された、N型窒化物半導体層3と、活性層2と、P型窒化物半導体層1と、1つ以上の素子側面には傾斜した面を有している窒化物半導体発光素子であることを特徴としている。本発明は結晶成長基板4側面に1つ以上の傾斜面と反射膜8bを形成することで半導体結晶層から発せられる光を反射によって効果的に他方の結晶成長基板側面から取り出すことができる構造を見いだしたことによるものである。
また、本発明において、窒化物半導体発光素子とは、少なくとも発光層が窒化物半導体層からなる素子のことをいう。
また、本発明の窒化物半導体発光素子は、反射層や拡散防止層などの層を含んでいても
よいことは言うまでもない。
よいことは言うまでもない。
<傾斜面>
本発明において、素子側面の1つ以上に形成された斜面は、断面での位置関係からすると半導体結晶成長面に対して鋭角をなす配置形成されたものであるか、好ましくは前記の半導体結晶成長面に対して鋭角をなす配置に加えて半導体結晶成長面に対して鈍角をなす配置形成されたものを兼ね備えた形状であることが望ましい。
本発明において、素子側面の1つ以上に形成された斜面は、断面での位置関係からすると半導体結晶成長面に対して鋭角をなす配置形成されたものであるか、好ましくは前記の半導体結晶成長面に対して鋭角をなす配置に加えて半導体結晶成長面に対して鈍角をなす配置形成されたものを兼ね備えた形状であることが望ましい。
つまりは本発明の傾斜面をもった半導体発光素子の断面形状は好ましくはくさび型となる。
<傾斜面の形成方法>
本発明において傾斜面を形成する手法として、結晶成長基板4側面にダイシングによって傾斜面形成する事が望ましいが、ダイシング溝形成領域に対し、あらかじめレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なったのちに、ダイシングによって溝側面が平坦な傾斜面となるように加工すると、結晶成長基板4に対するダイシング切削量が少なくなることによってダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、溝部の平坦な傾斜面が安定した形状で形成できるのでより望ましい。このレーザ照射方法については同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、傾斜面形成領域における溝の最深部は5回照射し、再浅部は1回照射と段階的に行なうことによって形成することができるが、レーザ照射装置の仕様によって照射方法が異なる事は言うまでも無い。またこのときレーザ照射よって結晶成長基板に形成された変質層は、ダイシングによって除去されている。このときダイシング刃は断面形状がV文字形状となったものを用いることによって、ダイシング溝は断面が概ねV文字形状となるよう形成し、V文字溝の1側面の角度が光取り出しに用いる反射膜が形成される傾斜面となるが、半導体結晶層の素子パターン形状と結晶成長基板厚さによって任意の反射角度となるように傾斜面を形成してもよい。
本発明において傾斜面を形成する手法として、結晶成長基板4側面にダイシングによって傾斜面形成する事が望ましいが、ダイシング溝形成領域に対し、あらかじめレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なったのちに、ダイシングによって溝側面が平坦な傾斜面となるように加工すると、結晶成長基板4に対するダイシング切削量が少なくなることによってダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、溝部の平坦な傾斜面が安定した形状で形成できるのでより望ましい。このレーザ照射方法については同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、傾斜面形成領域における溝の最深部は5回照射し、再浅部は1回照射と段階的に行なうことによって形成することができるが、レーザ照射装置の仕様によって照射方法が異なる事は言うまでも無い。またこのときレーザ照射よって結晶成長基板に形成された変質層は、ダイシングによって除去されている。このときダイシング刃は断面形状がV文字形状となったものを用いることによって、ダイシング溝は断面が概ねV文字形状となるよう形成し、V文字溝の1側面の角度が光取り出しに用いる反射膜が形成される傾斜面となるが、半導体結晶層の素子パターン形状と結晶成長基板厚さによって任意の反射角度となるように傾斜面を形成してもよい。
<結晶成長基板>
本発明において、結晶成長用基板4としては、たとえば、窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、透光性セラミックスからなる群から選択された少なくとも1種からなる基板を用いることができる。
本発明において、結晶成長用基板4としては、たとえば、窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、透光性セラミックスからなる群から選択された少なくとも1種からなる基板を用いることができる。
<半導体結晶層>
本発明において、半導体結晶層はP型ドーパントがドープされたP型窒化物半導体層1、ノンドープの活性層2およびN型ドーパントがドープされたN型窒化物半導体層3からなる。
本発明において、半導体結晶層はP型ドーパントがドープされたP型窒化物半導体層1、ノンドープの活性層2およびN型ドーパントがドープされたN型窒化物半導体層3からなる。
本発明において、P窒化物半導体層1としては、たとえば、InyAlzGa1-y-zN(0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z≦1)の式で組成が表わされる窒化物系半導体にp型ドーパントを拡散させたものを用いることができる。
本発明において、N型窒化物半導体層3としては、たとえば、InwAlxGa1-w-xN(0≦w≦1、0≦x≦1、0≦w+x≦1)の式で組成が表わされる窒化物系半導体にn型ドーパントを拡散させたものを用いることができる。
本発明において、p型のドーパントとしては、従来から公知の材料を用いることができ、たとえば、Mg、Zn、CdおよびBeからなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。また、本発明において、n型のドーパントとしては、従来から公知の材料を用いることができ、たとえば、Si、O、Cl、S、CおよびGeからなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
本発明において、活性層2としては、たとえば、InuAlvGa1-u-vN(0≦u≦1、0≦v≦1、0≦u+v≦1)の式で組成が表わされる窒化物系半導体を用いることができる。また、本発明に用いられる活性層は、MQW(多重量子井戸)構造またはSQW(単一量子井戸)構造のいずれであってもよい。
本発明において、N型窒化物半導体層3、P型窒化物半導体層1および活性層2の積層方法としては、従来から公知の方法を用いることができ、たとえばLPE法(液相エピタキシー法)、VPE法(気相エピタキシー法)、MOCVD法(有機金属気相成長法)、MBE法(分子線エピタキシー法)、ガスソースMBE法またはこれらの方法を組み合わせた方法などを用いることができる。
<反射膜>
本発明において、反射膜8a,8bとは、発光層からの光を反射する機能を有する膜のことをいう。反射膜としては例えばAg、Al、あるいはそれらを含む合金などを用いることができる。
本発明において、反射膜8a,8bとは、発光層からの光を反射する機能を有する膜のことをいう。反射膜としては例えばAg、Al、あるいはそれらを含む合金などを用いることができる。
本発明において、反射膜の積層方法としては、従来から公知の方法を用いることができ、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法などを用いることができる。
<絶縁膜>
本発明において、絶縁膜9a,9bとしてはSiO2、Si3N4、AlO3、ZrO2などを用いることができる。
本発明において、絶縁膜9a,9bとしてはSiO2、Si3N4、AlO3、ZrO2などを用いることができる。
<透光性樹脂>
本発明において、透光性樹脂10としてはシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネートなどを用いることができる。
本発明において、透光性樹脂10としてはシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネートなどを用いることができる。
<金属層>
本発明において、金属層14(図27)としてはCu、Ni、Au、Pd、Pt、Rh、Crなどを用いることができる。
本発明において、金属層14(図27)としてはCu、Ni、Au、Pd、Pt、Rh、Crなどを用いることができる。
<ボンディング用金属電極>
本発明において、ボンディング用金属電極5,6としてはTi、Au、Ni、Al、Pd、Pt、W、Crなどを用いることができる。
本発明において、ボンディング用金属電極5,6としてはTi、Au、Ni、Al、Pd、Pt、W、Crなどを用いることができる。
<実施の形態1>
図1に、本発明の窒化物半導体発光素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本発明の窒化物半導体発光素子においては、結晶成長基板としてのサファイア基板4、バッファ層(図示せず)、N型ドーパントがドープされたAlaGa1-aN(0≦a≦1)からなるN型窒化物半導体層3、ノンドープのInbGa1-bN(0<b<1)からなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlcGa1-cN(0≦c≦1)からなるP型窒化物半導体層1がこの順序で順次積層されている。そして、P型窒化物半導体層1上にはP型用オーミック電極5が形成されている。
図1に、本発明の窒化物半導体発光素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本発明の窒化物半導体発光素子においては、結晶成長基板としてのサファイア基板4、バッファ層(図示せず)、N型ドーパントがドープされたAlaGa1-aN(0≦a≦1)からなるN型窒化物半導体層3、ノンドープのInbGa1-bN(0<b<1)からなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlcGa1-cN(0≦c≦1)からなるP型窒化物半導体層1がこの順序で順次積層されている。そして、P型窒化物半導体層1上にはP型用オーミック電極5が形成されている。
図2〜図13を参照して、本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法の好ましい一例について説明する。
(半導体結晶層、オーミック電極の形成)
まず、図2に示すようにサファイア基板4上に、GaNからなるバッファ層が形成され(図示せず)、N型窒化物半導体層3、活性層2およびP型窒化物半導体層1がMOCVD法によって順次積層され、P型窒化物半導体層1上にオーミック電極5が形成されている。
まず、図2に示すようにサファイア基板4上に、GaNからなるバッファ層が形成され(図示せず)、N型窒化物半導体層3、活性層2およびP型窒化物半導体層1がMOCVD法によって順次積層され、P型窒化物半導体層1上にオーミック電極5が形成されている。
(N型窒化物半導体層の露出)
次にエッチング用マスクを作製しドライエッチングを行なうことによって、エッチング用マスクの非被覆部はP型窒化物半導体層1と活性層2とN型窒化物半導体層3の一部がドライエッチングにより除去され、N型窒化物半導体層3が露出しN電極形成面となる。その後に有機溶剤によりエッチング用マスクの除去を行ない、図3に示す構造を得る。
次にエッチング用マスクを作製しドライエッチングを行なうことによって、エッチング用マスクの非被覆部はP型窒化物半導体層1と活性層2とN型窒化物半導体層3の一部がドライエッチングにより除去され、N型窒化物半導体層3が露出しN電極形成面となる。その後に有機溶剤によりエッチング用マスクの除去を行ない、図3に示す構造を得る。
(絶縁膜の形成)
次に図4に示すようにP型窒化物半導体層と活性層及びN型窒化物半導体層が露出している半導体結晶層側面を電気的に絶縁するためにSiO2を300nmの厚さで成膜し、P型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層のそれぞれボンディング用金属電極の形成領域と反射膜を形成する領域のSiO2を部分的に除去することで絶縁膜9aとなり、素子通電時に短絡しない構造となる。SiO2の除去方法についてはフォトリソグラフィにてレジストマスクを作製し、フッ酸系エッチャントを用いたウェットエッチングを行ない、そののちレジストマスクを有機溶剤で除去する。
次に図4に示すようにP型窒化物半導体層と活性層及びN型窒化物半導体層が露出している半導体結晶層側面を電気的に絶縁するためにSiO2を300nmの厚さで成膜し、P型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層のそれぞれボンディング用金属電極の形成領域と反射膜を形成する領域のSiO2を部分的に除去することで絶縁膜9aとなり、素子通電時に短絡しない構造となる。SiO2の除去方法についてはフォトリソグラフィにてレジストマスクを作製し、フッ酸系エッチャントを用いたウェットエッチングを行ない、そののちレジストマスクを有機溶剤で除去する。
(反射膜の形成)
次にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを作製する。このとき、レジストマスクの開口部はSiO2(絶縁膜)形成領域よりも小さくなり、後の工程において反射膜が形成される。また、ボンディング用金属電極が形成される領域には反射膜が形成されないようにレジストマスクで覆う。
次にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを作製する。このとき、レジストマスクの開口部はSiO2(絶縁膜)形成領域よりも小さくなり、後の工程において反射膜が形成される。また、ボンディング用金属電極が形成される領域には反射膜が形成されないようにレジストマスクで覆う。
次に真空蒸着法によりAgを200nmの厚さで成膜したのち、リフトオフ法によって反射膜8aがパターン形状をなして現われ、反射膜形状はSiO2形成領域よりも小さくなり、後の工程においてSiO2(絶縁膜)で反射膜8aを封止することができる。
(絶縁膜の形成)
次に絶縁膜9bとしてSiO2を300nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このとき反射膜8aは絶縁膜9aおよび9bによって封止され、大気に露出しない構造となる。
次に絶縁膜9bとしてSiO2を300nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このとき反射膜8aは絶縁膜9aおよび9bによって封止され、大気に露出しない構造となる。
(P型ボンディング用金属電極およびN型ボンディング用金属電極の形成)
次にP型ボンディング用金属電極6(図6)およびN型ボンディング用金属電極7(図6)を形成するためにレジストマスクを作製する。このときレジストマスクの開口部は先に反射膜のパターン形成を行なった開口部より小さく形成し、反射膜が露出しない構造となる。こうして形成したレジストマスクによってボンディング用金属電極形成領域のSiO2をフッ酸系エッチャントによるウェットエッチングで除去する。このとき反射膜8の形成領域はSiO2形成領域より小さい事によって反射膜8aは絶縁膜9aと9bであるSiO2層に挟み込まれて封止されることで大気に露出しない構造となるために、反射膜の劣化が防止された図5に示す構造を得る事ができる。
次にP型ボンディング用金属電極6(図6)およびN型ボンディング用金属電極7(図6)を形成するためにレジストマスクを作製する。このときレジストマスクの開口部は先に反射膜のパターン形成を行なった開口部より小さく形成し、反射膜が露出しない構造となる。こうして形成したレジストマスクによってボンディング用金属電極形成領域のSiO2をフッ酸系エッチャントによるウェットエッチングで除去する。このとき反射膜8の形成領域はSiO2形成領域より小さい事によって反射膜8aは絶縁膜9aと9bであるSiO2層に挟み込まれて封止されることで大気に露出しない構造となるために、反射膜の劣化が防止された図5に示す構造を得る事ができる。
次に図6に示すように、真空蒸着法によってTi−Auを厚さ1000nmに成膜し、リフトオフ法によってP型ボンディング用金属電極6とN型ボンディング用金属電極7が形成される。
(傾斜面の形成)
次に図7に示すように、ラッピングによって基板厚みを100μmに加工したのち、基板面側の傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を20μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。後に傾斜面となる素子パターン境界付近である低部領域は5回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、段階的に深さを持った溝加工を行なうことができる。
次に図7に示すように、ラッピングによって基板厚みを100μmに加工したのち、基板面側の傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を20μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。後に傾斜面となる素子パターン境界付近である低部領域は5回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、段階的に深さを持った溝加工を行なうことができる。
次に図8に示すように基板面側に形成された段階的な深さを持つ溝に対しダイシングによる傾斜面形成を行なう。このときに用いるダイシング刃13aは先端角度が120度のものを用いる。この先端角度が傾斜面を形成する角度に反映されるために断面形状はV文字型となっていることが望ましく、またこのダイシング加工によって得られた断面形状がV文字型溝の片側1側面が最終的な素子形状における傾斜面となり、各素子の傾斜面は半導体結晶層成長面に対し約30度の傾斜を持つ。本例においては約30度の傾斜面を得る手法について記載したが、素子パターン形状およびサイズ設計において有効な傾斜角度が異なる為、角度を限定するものではない。
すなわち向かい合った2つの素子パターンの中間位置に対し1本のV文字型溝加工を行ない、光取り出し面となる領域にV文字型溝加工は行なわないようにすると、2素子パターン毎に1本のV文字型溝加工がなされた状態となり、V文字型溝に対し左右対称配置となる。
またレーザ照射後にダイシングによって溝側面が平坦な傾斜面となるように加工すると、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなることによってダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、平坦な傾斜面が安定して形成できるのでより望ましい。またこのときレーザ照射によって結晶成長基板に変質層が形成されていたが、ダイシング加工によって除去されている。
(反射膜の形成)
次にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部ではのちに保護膜を形成し、反射膜を封止するためにレジストマスクで覆われている。
次にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部ではのちに保護膜を形成し、反射膜を封止するためにレジストマスクで覆われている。
次に図9に示すように真空蒸着法によりAgを300nmの厚さで成膜したのち、リフトオフ法によって反射膜8bがパターン形状をなして現われる。
(絶縁膜の形成)
次に図10に示すように絶縁膜9cとしてSiO2を500nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このときダイシングV文字溝の最深部である頂点は反射膜を形成していない為に、また反射膜8bは絶縁膜9cであるSiO2膜よりも面積が小さく形成されていることによって封止され、大気に露出しないために、反射膜の劣化が防止された構造を得ることができる。
次に図10に示すように絶縁膜9cとしてSiO2を500nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このときダイシングV文字溝の最深部である頂点は反射膜を形成していない為に、また反射膜8bは絶縁膜9cであるSiO2膜よりも面積が小さく形成されていることによって封止され、大気に露出しないために、反射膜の劣化が防止された構造を得ることができる。
(透光性樹脂の形成)
次に透光性樹脂10として透明シリコーン系樹脂を溝加工及び反射膜と絶縁膜が形成された結晶成長基板面の全面に塗布し、150℃設定されたN2雰囲気オーブン内でのベーキングを120分行なうことによって樹脂を硬化する。
次に透光性樹脂10として透明シリコーン系樹脂を溝加工及び反射膜と絶縁膜が形成された結晶成長基板面の全面に塗布し、150℃設定されたN2雰囲気オーブン内でのベーキングを120分行なうことによって樹脂を硬化する。
(分離溝の形成)
次に図11に示すように樹脂コーティングされた結晶成長基板側から各素子へ分離する領域にレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき素子分離領域に対し透明樹脂ごとレーザスクライブ法による溝加工を行なう事によって、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなり、ダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、安定して素子分離できるのでより望ましい。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を400mW、照射径を5μmとして、素子分割領域に対してレーザ照射を行なう。また、前工程において透明シリコーン系樹脂を形成したが、レーザ照射装置の構造によって素子パターンの認識が可能である場合は透光性樹脂でなく非透光性であってもよい。具体的にはレーザ照射面の裏側となる半導体結晶層側の素子パターンを認識するモニタリング機構を備えた仕様の装置であれば、透光性樹脂である必要はないことは言うまでも無い。
次に図11に示すように樹脂コーティングされた結晶成長基板側から各素子へ分離する領域にレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき素子分離領域に対し透明樹脂ごとレーザスクライブ法による溝加工を行なう事によって、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなり、ダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、安定して素子分離できるのでより望ましい。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を400mW、照射径を5μmとして、素子分割領域に対してレーザ照射を行なう。また、前工程において透明シリコーン系樹脂を形成したが、レーザ照射装置の構造によって素子パターンの認識が可能である場合は透光性樹脂でなく非透光性であってもよい。具体的にはレーザ照射面の裏側となる半導体結晶層側の素子パターンを認識するモニタリング機構を備えた仕様の装置であれば、透光性樹脂である必要はないことは言うまでも無い。
(素子形状への分断)
次に図12に示すようにダイシングを行ない各素子形状に分断する。このときレーザ照射時に生成された結晶成長基板の変質層は、ダイシングによって除去されている。またこのとき光取り出し面となる領域については、用いるダイシング刃13bは傾斜面形成における溝加工時と比較して粒度の粗いものを使用することで、その切断面である結晶成長基板側面には微細な凹凸形状が形成できるために、効果的に光を取り出すことができる。具体的には、ダイシング刃に埋め込まれたダイヤモンド粒径は傾斜面形成加工時と比較して50%以上500%以下の大きいものを用いる。
次に図12に示すようにダイシングを行ない各素子形状に分断する。このときレーザ照射時に生成された結晶成長基板の変質層は、ダイシングによって除去されている。またこのとき光取り出し面となる領域については、用いるダイシング刃13bは傾斜面形成における溝加工時と比較して粒度の粗いものを使用することで、その切断面である結晶成長基板側面には微細な凹凸形状が形成できるために、効果的に光を取り出すことができる。具体的には、ダイシング刃に埋め込まれたダイヤモンド粒径は傾斜面形成加工時と比較して50%以上500%以下の大きいものを用いる。
またこのとき光取り出し面でない領域についてはダイシング刃13cの粒度を大きくしない。
このようにして作製された手法によって図1に示す本発明の窒化物系半導体発光素子を得ることができる。
以上のように本発明である手法によって作製された窒化物系半導体発光素子を通電駆動すると、図1に示すように半導体素子側面の1つ以上が傾斜された面でかつ反射膜を備えた構造によって、半導体結晶層から発した光は反射して素子側面の傾斜されていない光取り出し方向11の面から光を取り出すことができるという、従来に無い構造の窒化物系半導体発光素子を得ることができ、ひいては搭載機器の小型化に貢献する。また、反射膜は封止され大気中に露出しない構造であるために、信頼性は向上する。
<実施の形態2>
図13に、本発明の窒化物半導体発光素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本発明の窒化物半導体発光素子においては、結晶成長基板であるサファイア基板4、バッファ層(図示せず)、N型ドーパントがドープされたAlaGa1-aN(0≦a≦1)からなるN型窒化物半導体層3、ノンドープのInbGa1-bN(0<b<1)からなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlcGa1-cN(0≦c≦1)からなるP型窒化物半導体層1がこの順序で順次積層されている。そして、P型窒化物半導体層1上にはP型用オーミック電極5が形成されている。
図13に、本発明の窒化物半導体発光素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本発明の窒化物半導体発光素子においては、結晶成長基板であるサファイア基板4、バッファ層(図示せず)、N型ドーパントがドープされたAlaGa1-aN(0≦a≦1)からなるN型窒化物半導体層3、ノンドープのInbGa1-bN(0<b<1)からなる活性層2およびP型ドーパントがドープされたAlcGa1-cN(0≦c≦1)からなるP型窒化物半導体層1がこの順序で順次積層されている。そして、P型窒化物半導体層1上にはP型用オーミック電極5が形成されている。
本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法の好ましい一例について説明する。
(半導体層、オーミック電極の形成)
まず、図14の模式的断面図に示すように、サファイア基板4上に、GaNからなるバッファ層が形成され(図示せず)、N型窒化物半導体層3、活性層2およびP型窒化物半導体層1がMOCVD法によって順次積層されており、P型窒化物半導体層1上にP型用オーミック電極5が形成されている。
(半導体層、オーミック電極の形成)
まず、図14の模式的断面図に示すように、サファイア基板4上に、GaNからなるバッファ層が形成され(図示せず)、N型窒化物半導体層3、活性層2およびP型窒化物半導体層1がMOCVD法によって順次積層されており、P型窒化物半導体層1上にP型用オーミック電極5が形成されている。
(傾斜面の形成)
次にラッピングによって基板厚みを100μmに加工したのち、傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を20μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。素子パターンの境界付近である傾斜面の低部領域は5回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、多段的に深さを持った溝加工を行なうことができる。こうして得られた構造を図15に示す。
次にラッピングによって基板厚みを100μmに加工したのち、傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を20μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。素子パターンの境界付近である傾斜面の低部領域は5回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、多段的に深さを持った溝加工を行なうことができる。こうして得られた構造を図15に示す。
次に図16に示すように結晶成長基板面側に形成された段階的な深さを持つ溝に対しダイシングによる傾斜面形成を行なう。このときに用いるダイシング刃は先端角度が120度のものを用いる。この先端角度が傾斜面を形成する角度に反映されるために断面形状はV文字型となっていることが望ましく、またこのダイシング加工によって得られたV文字型溝の片側1側面が最終的な素子形状における傾斜面となり、各素子の傾斜面は半導体結晶層成長面に対し約30度の傾斜を持つ。
すなわち向かい合った2つの素子パターンの中間位置に対し1本のV文字型溝加工を行ない、光取り出し面となる領域にV文字型溝加工は行なわないようにすると、2素子パターン毎に1本のV文字型溝加工がなされた状態となり、V文字型溝に対し左右対称配置となる。
またレーザ照射後にダイシングによって溝側面が平坦な傾斜面となるように加工すると、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなることによってダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、平坦な傾斜面が安定して形成できるのでより望ましい。またこのときレーザ照射によって結晶成長基板に変質層が形成されていたが、ダイシング加工によって除去されている。
(反射膜の形成)
次にフォトリソグラフィ法により反射膜形状を作製するためのマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部である頂点はのちに保護膜を形成するためにマスクは開口している。
次にフォトリソグラフィ法により反射膜形状を作製するためのマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部である頂点はのちに保護膜を形成するためにマスクは開口している。
次に図17に示すように真空蒸着法によりAgを300nmの厚さで成膜したのち、リフトオフ法によって反射膜がパターン形状をなして現われる。
(保護膜の形成)
次に図18に示すように保護膜としてSiO2を500nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このとき反射膜はSiO2により封止され大気中に露出しない構造となる。
次に図18に示すように保護膜としてSiO2を500nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。このとき反射膜はSiO2により封止され大気中に露出しない構造となる。
(透光性樹脂の形成)
次に図19に示すように透明シリコーン系樹脂を溝加工及び反射膜と保護膜が形成された結晶成長基板面の全面に塗布し、150℃設定されたN2雰囲気オーブン内でのベーキングを120分行なうことによって樹脂を硬化する。透光性樹脂を形成することによって、後の工程においても十分な強度を持たせることができる。
次に図19に示すように透明シリコーン系樹脂を溝加工及び反射膜と保護膜が形成された結晶成長基板面の全面に塗布し、150℃設定されたN2雰囲気オーブン内でのベーキングを120分行なうことによって樹脂を硬化する。透光性樹脂を形成することによって、後の工程においても十分な強度を持たせることができる。
(N型窒化物半導体層の露出)
次にエッチング用マスクを作製しドライエッチングを行なうことによって、エッチング用マスクの非被覆部はP型窒化物半導体層1と活性層2とN型窒化物半導体層3の一部がドライエッチングにより除去され、N型窒化物半導体層3が露出しN電極形成面となる。その後に有機溶剤によりエッチング用マスクの除去を行なう。
次にエッチング用マスクを作製しドライエッチングを行なうことによって、エッチング用マスクの非被覆部はP型窒化物半導体層1と活性層2とN型窒化物半導体層3の一部がドライエッチングにより除去され、N型窒化物半導体層3が露出しN電極形成面となる。その後に有機溶剤によりエッチング用マスクの除去を行なう。
(傾斜面の形成)
次に傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を10μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。素子パターンの境界付近である傾斜面の低部領域は3回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、多段的に深さを持った溝加工を行なうことができる。
次に傾斜面形成領域に対し、レーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき同一照射箇所に対し、複数回レーザ照射を行なう回数によって段階的に溝深さを変えることができ、のちにおけるダイシング加工において安定した傾斜面を得ることができる。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を10μmとして、傾斜面形成領域に対してレーザ照射を行なう。素子パターンの境界付近である傾斜面の低部領域は3回照射し、高部領域は1回照射と段階的に変化させて照射することによって、多段的に深さを持った溝加工を行なうことができる。
次に半導体結晶層側の加工領域に対しダイシングによる傾斜面形成を行なう。このときに用いるダイシング刃は先端角度が90度のものを用いる。この先端角度が傾斜面を形成する角度に反映されるために断面形状はV文字型となっていることが望ましく、またこのダイシング加工によって得られたV文字型溝の片側1側面が最終的な素子形状における傾斜面となり、各素子の傾斜面は半導体結晶層成長面に対し約45度の傾斜を持つ。
すなわち向かい合った2つの素子パターンの中間位置に対し1本のV文字型溝加工を行ない、光取り出し面となる領域にV文字型溝加工は行なわないようにすると、2素子パターン毎に1本のV文字型溝加工がなされた状態となり、V文字型溝に対し左右対称配置となる。こうして得られた構造を図20に示す。
(絶縁膜の形成)
次に図21に示すようにP型窒化物半導体層と活性層及びN型窒化物半導体層が露出している端面を電気的に絶縁するためにSiO2を300nmの厚さで成膜し、P型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層のそれぞれボンディング用金属電極を形成する部分と反射膜を形成する領域のSiO2を除去する。SiO2の除去方法についてはフォトリソグラフィにてレジストマスクを作製し、フッ酸によるウェットエッチングで行ない、そののちレジストマスクを有機溶剤で除去する。
次に図21に示すようにP型窒化物半導体層と活性層及びN型窒化物半導体層が露出している端面を電気的に絶縁するためにSiO2を300nmの厚さで成膜し、P型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層のそれぞれボンディング用金属電極を形成する部分と反射膜を形成する領域のSiO2を除去する。SiO2の除去方法についてはフォトリソグラフィにてレジストマスクを作製し、フッ酸によるウェットエッチングで行ない、そののちレジストマスクを有機溶剤で除去する。
(反射膜の形成)
次にフォトリソグラフィ法により反射膜形状を作製するためのマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部である頂点はのちに絶縁膜を形成するためにマスクは開口している。このとき素子通電時に短絡の原因となる為、ボンディング電極形成領域には反射膜が形成されないようにする。
次にフォトリソグラフィ法により反射膜形状を作製するためのマスクを作製する。ダイシングによって形成されたV文字溝の最深部である頂点はのちに絶縁膜を形成するためにマスクは開口している。このとき素子通電時に短絡の原因となる為、ボンディング電極形成領域には反射膜が形成されないようにする。
次に真空蒸着法によりAgを200nmの厚さで成膜したのち、リフトオフ法によって反射膜がパターン形状をなして現われ、反射膜形状はSiO2形成領域よりも小さくなり、後の工程においてSiO2で反射膜を封止することができる。
(絶縁膜の形成)
次に絶縁膜としてSiO2を300nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。
次に絶縁膜としてSiO2を300nmの厚さでプラズマCVD法によって成膜する。
このとき反射膜は図22に示すように絶縁膜によって封止され、大気に露出しない構造となり、また半導体結晶層側の傾斜面に形成された反射膜は、先に形成した基板側傾斜面の反射膜とつながった構造となるため、効率よく反射することができ、光の取り出しは向上する。
(P型ボンディング用金属電極およびN型ボンディング用金属電極の形成)
次に図23に示すようにP型ボンディング用金属電極およびN型ボンディング用金属電極を形成するためにレジストマスクを作製する。このときレジストマスクの開口部は先に反射膜のパターン形成を行なった開口部より小さく形成し、反射膜が露出しない構造となる。こうして形成したレジストマスクによってボンディング用金属電極形成領域のSiO2をフッ酸系エッチャントによるウェットエッチングで除去する。このとき反射膜8の形成領域はSiO2形成領域より小さい事によって挟み込まれて封止されることで大気に露出しない構造となるために、反射膜の劣化が防止された構造を得る事ができる。
次に図23に示すようにP型ボンディング用金属電極およびN型ボンディング用金属電極を形成するためにレジストマスクを作製する。このときレジストマスクの開口部は先に反射膜のパターン形成を行なった開口部より小さく形成し、反射膜が露出しない構造となる。こうして形成したレジストマスクによってボンディング用金属電極形成領域のSiO2をフッ酸系エッチャントによるウェットエッチングで除去する。このとき反射膜8の形成領域はSiO2形成領域より小さい事によって挟み込まれて封止されることで大気に露出しない構造となるために、反射膜の劣化が防止された構造を得る事ができる。
次に真空蒸着法によってTi−Auを厚さ1000nmに成膜し、リフトオフ法によってP型ボンディング用金属電極とN型ボンディング用金属電極が形成される。こうして得られた構造を図24に示す。
(分離溝の形成)
次に図25に示すように半導体結晶層側から各素子分離する領域にレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき素子分離領域に対し透明樹脂ごとレーザスクライブ法による溝加工を行なう事によって、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなり、ダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、安定して素子分離できるのでより望ましい。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を5μmとして、素子分割領域に対してレーザ照射を行なう。
次に図25に示すように半導体結晶層側から各素子分離する領域にレーザスクライブ法を用いた溝形状加工を行なう。このとき素子分離領域に対し透明樹脂ごとレーザスクライブ法による溝加工を行なう事によって、結晶成長基板に対するダイシング切削量が少なくなり、ダイシング刃の磨耗量が抑制されるために、安定して素子分離できるのでより望ましい。例えば、YAG−THGレーザ(波長355nm)照射装置において、変調周波数を200kHz、出力を300mW、照射径を5μmとして、素子分割領域に対してレーザ照射を行なう。
(素子形状への分断)
次に図26に示すようにダイシングを行ない各素子形状に分断する。このときレーザ照射時に生成された結晶成長基板側面の変質層は、ダイシングによって除去されている。またこのとき光取り出し面となる領域について、用いるダイシング刃は傾斜面形成における溝加工時と比較して粒度の粗いものを使用することによって、その結晶成長基板側面には微細な凹凸形状が形成できるために、効果的に光を取り出すことができる。具体的には、ダイシング刃に埋め込まれたダイヤモンド粒径は傾斜面形成加工時と比較して50%以上500%以下の大きいものを用いる。
次に図26に示すようにダイシングを行ない各素子形状に分断する。このときレーザ照射時に生成された結晶成長基板側面の変質層は、ダイシングによって除去されている。またこのとき光取り出し面となる領域について、用いるダイシング刃は傾斜面形成における溝加工時と比較して粒度の粗いものを使用することによって、その結晶成長基板側面には微細な凹凸形状が形成できるために、効果的に光を取り出すことができる。具体的には、ダイシング刃に埋め込まれたダイヤモンド粒径は傾斜面形成加工時と比較して50%以上500%以下の大きいものを用いる。
またこのとき光取り出し面でない領域についてはダイシング刃の粒度を大きくしない。
このようにして作製された手法によって図13に示す本発明の窒化物半導体発光素子を得ることができる。
このようにして作製された手法によって図13に示す本発明の窒化物半導体発光素子を得ることができる。
以上のように本発明である手法によって作製された窒化物系半導体発光素子を通電駆動すると、半導体素子側面の1つ以上が傾斜された面でかつ反射膜を備えた構造によって、半導体結晶層から発した光は反射して素子側面の傾斜されていない面から光を取り出すことができるという、従来に無い構造の窒化物系半導体発光素子を得ることができる。
<実施の形態3>
実施の形態2と同様の手法によって作製を行なうが、実施の形態3においては透明性樹脂コーティングを行なわずに、湿式めっき法により金属層を形成する。実施の形態2において透明性樹脂をダイシングによって除去した部分、すなわち各素子に分割加工するべき領域には金属層を形成しない。そのためにフォトリソグラフィを行ない、レジストマスクによって金属めっきしない領域を形成する。金属めっき後にはレジストマスクは有機溶剤によって容易に除去される。こうして得られた窒化物系半導体発光素子を通電駆動すると、半導体素子側面の1つ以上が傾斜された面でかつ反射膜を備えた構造によって、半導体結晶層から発した光は反射して素子側面の傾斜されていない面から光を取り出すことができ、かつめっきによって形成した金属層は通電駆動時に半導体結晶層からの発熱を効果的に放散することが出来るために、素子信頼性が飛躍的に向上する従来に無い構造の窒化物系半導体発光素子を得ることができる。
実施の形態2と同様の手法によって作製を行なうが、実施の形態3においては透明性樹脂コーティングを行なわずに、湿式めっき法により金属層を形成する。実施の形態2において透明性樹脂をダイシングによって除去した部分、すなわち各素子に分割加工するべき領域には金属層を形成しない。そのためにフォトリソグラフィを行ない、レジストマスクによって金属めっきしない領域を形成する。金属めっき後にはレジストマスクは有機溶剤によって容易に除去される。こうして得られた窒化物系半導体発光素子を通電駆動すると、半導体素子側面の1つ以上が傾斜された面でかつ反射膜を備えた構造によって、半導体結晶層から発した光は反射して素子側面の傾斜されていない面から光を取り出すことができ、かつめっきによって形成した金属層は通電駆動時に半導体結晶層からの発熱を効果的に放散することが出来るために、素子信頼性が飛躍的に向上する従来に無い構造の窒化物系半導体発光素子を得ることができる。
<実施の形態4>
実施の形態3と同様の手法によって作製を行なうが、実施の形態4においては図14に示すように形成された金属層側にN型ボンディング用金属電極を形成する。半導体結晶層側に形成されたP型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層は絶縁膜によって電気的に導通しない構造となっているために、N型窒化物半導体層から反射膜および金属層を介した電流経路によって通電駆動することができる。N型窒化物半導体層にボンディング用金属電極を形成する必要が無くなることによって、半導体結晶層の発光領域を拡大して設計する事ができるために、結果的に光出力が増大する。
実施の形態3と同様の手法によって作製を行なうが、実施の形態4においては図14に示すように形成された金属層側にN型ボンディング用金属電極を形成する。半導体結晶層側に形成されたP型窒化物半導体層とN型窒化物半導体層は絶縁膜によって電気的に導通しない構造となっているために、N型窒化物半導体層から反射膜および金属層を介した電流経路によって通電駆動することができる。N型窒化物半導体層にボンディング用金属電極を形成する必要が無くなることによって、半導体結晶層の発光領域を拡大して設計する事ができるために、結果的に光出力が増大する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 P型窒化物半導体層、2 活性層、3 N型窒化物半導体層、4 結晶成長基板、5 P型用オーミック電極、6 P型ボンディング用金属電極、7 N型ボンディング用金属電極、8a,8b,8c 反射膜、9a,9b 絶縁膜、10 透光性樹脂、11 光取り出し方向、12 レーザ照射方向、13 ダイシング刃、14 金属層。
Claims (16)
- 半導体発光素子において、結晶成長基板の上に少なくとも1層の半導体結晶層が形成され、前記結晶成長基板の側面から光を取り出す構造を特徴とする半導体発光素子。
- 前記半導体結晶層が窒化物系半導体結晶からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 結晶成長基板の1つ以上の側面は、断面形状が半導体結晶層成長面に対し90度以下の鋭角となる傾斜面である事を特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
- 結晶成長基板の傾斜面には反射膜が備えられ、反射膜によって半導体結晶層からの発光が反射することで結晶成長基板の他の側面から光を取り出す構造である事を特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子。
- 結晶成長基板の側面は、断面形状が半導体結晶層成長面に対し90度以下の鋭角となる傾斜面と、90度以上の鈍角となる傾斜面が組み合わされた構造である事を特徴とする請求項3または4に記載の半導体発光素子。
- 半導体結晶層には反射膜が備えられ、半導体結晶層からの発光を結晶成長基板側へ向け反射する構造である事を特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 傾斜面および半導体結晶層に備えられた反射膜は絶縁膜によって覆われており、反射膜は大気に露出しない構造である事を特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 傾斜面の反射膜および絶縁膜は透光性樹脂で覆われた構造である事を特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 傾斜面の反射膜および絶縁膜は金属層で覆われた構造である事を特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 金属層側に通電駆動のためのボンディング用金属電極が1つ以上形成された構造を特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子。
- 金属層側に設けられたボンディング用金属電極と反射膜を介して半導体結晶層を通電駆動する構造を特徴とする請求項9または10に記載の半導体発光素子。
- 通電駆動のためのボンディング用金属電極が形成される半導体結晶層面側には、反射膜と絶縁膜が備えられた構造である事を特徴とする請求項3から11のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 主な光を取り出す面である結晶成長基板側面に凹凸形状が形成されている構造である事を特徴とする請求項3から12のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 結晶成長基板は窒化ガリウム、サファイア、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、透光性セラミックスからなる群から選ばれた少なくとも一種の透光性を有した材料からなる基板である事を特徴とする請求項3から13のいずれかに記載の半導体発光素子。
- 半導体発光素子結晶成長基板の側面から光を取り出す構造における傾斜面は、光取り出し面よりも平坦性が高い事を特徴とする請求項3から14のいずれかに記載の半導体発光素子。
- レーザ照射の工程とダイシングの工程を含んで結晶成長基板の側面に傾斜面を形成する事を特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
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