JP5313729B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に係り、特にステアリング系のダンピング力を路面状態に応じて可変制御する技術に関する。
アシストモータによって補助操舵力を発生させる電動パワーステアリング装置においては、運転者の操舵トルクに基づいて基本補助操舵力を設定するとともに、ステアリングホイールの回転速度(操舵角速度)に基づいて操舵を抑制する方向のダンピング力を設定することで、操舵フィーリングの向上を図ったものがある。しかしながら、このような電動パワーステアリング装置は、相互に関連のないパラメータである操舵トルクと操舵角速度とによって補助操舵力を設定するため、例えば低μ路を走行する場合には、路面反力の低下によって操舵トルクが減少し、基本補助操舵力が小さくなる一方、ダンピング力は変化しないことから、基本補助操舵力に対してダンピング力が過剰となって操舵操作性や操舵フィーリングが損なわれることがある。
ダンピング力が基本補助操舵力に対して過剰となることを防止すべく、路面反力が低下する低μ路走行時には、モータ反力を付与して路面反力を補償し、操舵トルクの減少を抑制したものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の発明によれば、低μ路において基本補助操舵が通常の値に維持されるため、ダンピング力が過剰となることが防止される。
特開平11−147482号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、路面状態に応じた操舵トルクの変化を抑制するため、運転者は操舵トルクの変化から路面状態の変化を感知することができないという問題がある。
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであって、路面状態に応じた操舵トルクの変化を抑制することなく、路面状態に応じてダンピング力を可変制御することにより、操舵操作性や操舵フィーリングを損なうことなく、路面状態の変化を感知することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明は、車両に搭載され、アクチュエータ(9)によって補助操舵力を発生させる電動パワーステアリング装置(1)であって、ステアリングホイール(2)の操舵速度を検出する操舵速度検出手段(11)と、前記ステアリングホイールの操作によって発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(12)と、前記操舵トルクに基づいてベース補助操舵力を設定するベース補助操舵力設定手段(22)と、前記操舵速度に基づいて操舵を減衰するダンピング力を設定するダンピング力設定手段(31)と、前記車両の走行路面の路面状態を推定する路面状態推定手段(33,34,35)と、前記路面状態に応じて前記ダンピング力を補正するダンピング力補正手段(33,34,35)と、前記ベース補助操舵力と前記ダンピング力とに基づいて前記補助操舵力を設定する補助操舵力設定手段(21)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、路面状態に応じてダンピング力を可変制御するため、ダンピング力が補助操舵力に対して過剰になることが防止される。
第2の発明は、車両に搭載され、アクチュエータ(9)によって補助操舵力を発生させるとともに、ラックアンドピニオン式操舵装置に用いられる電動パワーステアリング装置(1)であって、ステアリングホイール(2)の操舵速度を検出する操舵速度検出手段(11)と、前記ステアリングホイールの操作によって発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(12)と、前記操舵トルクに基づいてベース補助操舵力を設定するベース補助操舵力設定手段(22)と、前記操舵速度に基づいて操舵を減衰するダンピング力を設定するダンピング力設定手段(31)と、ラック軸の軸方向に加わる負荷をラック軸力として推定するラック軸力推定手段(33)と、前記ラック軸力に基づいて前記ダンピング力を補正するダンピング力補正手段(42)と、前記ベース補助操舵力と前記ダンピング力とに基づいて前記補助操舵力を発生する補助操舵力設定手段(21)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、路面状態と相関があるラック軸力に基づいてダンピング力を可変制御するため、ダンピング力が補助操舵力に対して過剰になることが防止される。
第3の発明は第2の発明において、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段(11)と、前記ラック軸に作用する標準的な負荷を標準ラック軸力として前記車速および前記操舵角に対応させて予め記憶しておくとともに、前記車速検出手段により検出された前記車速および前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角に対応する標準ラック軸力を設定する標準ラック軸力算出手段(33)とを備え、前記標準ラック軸力よりも前記ラック軸力が小さい場合、前記ダンピング力補正手段は、前記標準ラック軸力と前記ラック軸力との差が大きくなるほど、前記ダンピング力を小さくすることを特徴とする。
この構成によれば、ラック軸力と標準ラック軸力との差に基づいてダンピング力を補正することで、ダンピング力を路面μに応じて制御することができる。
第4の発明は第2の発明において、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段(11)と、前記操舵角の変化量に対する前記ラック軸力をラック軸力ゲインとして算出するラック軸力ゲイン設定手段(41)とを有し、前記ダンピング力補正手段は、前記ラック軸力ゲインに基づいて前記ダンピング力を補正することを特徴とする。
この構成によれば、標準ラック軸力を設定する必要がないため、構成が簡素となる。
第5の発明は第4の発明において、前記ダンピング力補正手段は、前記ラック軸力ゲインが小さくなるほど、前記ダンピング力を小さくすることを特徴とする。
この構成によれば、ラック軸力ゲインを路面μに対応させて、ダンピング力を可変制御することができる。
第6の発明は第2〜第5の発明において、前記ラック軸力推定手段は、前記ステアリングホイールの操舵方向と、前記補助操舵力との方向とが一致するときに、前記ラック軸力を推定することを特徴とする。
この構成によれば、操舵トルクが安定しているときにラック軸力を推定するため、ラック軸力を高精度に推定することができる。
以上の構成によれば、路面状態に応じてダンピング力を可変制御するため、ダンピング力が補助操舵力に対して過剰になることが防止される。
第1実施形態に係る車両用操舵装置を示す模式図である。 第1実施形態に係るステアリング制御装置を示すブロック図である。 図2のダンピング補償電流設定部を示すブロック図である。 第1実施形態に係るダンピング補正係数を示すデータマップである。 第1実施形態に係るダンピング補償電流の設定手順を示すフローチャートである。 ステアリングホイールに加わる復元力を示すグラフである。 第2実施形態に係るダンピング補償電流設定部を示すブロック図である。 路面状態と、操舵角と、ラック軸力との関係を示すグラフである。 第2実施形態に係るダンピング補正係数を示すデータマップである。 第2実施形態に係るダンピング補償電流の設定手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の電動パワーステアリング装置1を車両用操舵装置に適用した2つの実施形態について詳細に説明する。
以下、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用操舵装置を示す模式図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2にステアリングシャフト3を介して連結されたピニオン4と、ピニオン4に噛み合って車幅方向に往復動するラック軸5とを有するラックアンドピニオン機構を備えている。ラック軸5の両端には、タイロッド6を介して操向車輪としての左右の前輪7を軸支するナックルアーム8が連結されており、ステアリングホイール2の回転操作に応じて左右の前輪7が転舵されるようになっている。ラック軸5にはアシストモータ(アクチュエータ)9が同軸に装着されており、このアシストモータ9が発生するトルクによって運転者の操舵力が軽減される。
ステアリングシャフト3には、ステアリングホイール2の操舵角θを検出する操舵角センサ11が設けられ、ピニオン4の近傍には、ピニオン4に作用する操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)12が設けられている。また、車体の適所には、車速Vを検出する車速センサ13とが設けられている。また、アシストモータ9には、モータ回転角φを検出するレゾルバ15と、アシストモータ9に流れるモータ電流Iを検出するモータ電流センサ16とが設けられている。
これらの操舵角センサ11、操舵トルクセンサ12、車速センサ13、レゾルバ15、モータ電流センサ16の各出力信号は、電動パワーステアリング装置1の動作を統括的に制御するステアリング制御装置(EPS−ECU)21に入力される。
ステアリング制御装置21は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、各センサ11〜15の出力信号に基づき、アシストモータ9を駆動制御するための制御目標値(目標電流It)を決定し、アシストモータ9の駆動回路19に入力する。駆動回路19は、FETのブリッジ回路等から構成されており、ステアリング制御装置21が決定した目標電流Itに基づきアシストモータ9に電力を供給し、これによりアシストモータ9の出力トルクが制御され、補助操舵力がラック軸5に加えられる。
図2は、実施形態に係るステアリング制御装置21を示すブロック図である。図2に示すように、ステアリング制御装置21は、ベース電流設定部(ベース補助操舵力設定手段)22と、イナーシャ補償電流設定部23と、ダンピング補償電流設定部25と、加算器26と、減算器28とを有し、各センサ11〜16の出力信号に基づいて算出したアシストモータ9の目標電流Itを駆動回路19に出力する。
ベース電流設定部22は、運転者によるステアリングホイール操作を検出し、その操作量に応じて、目標電流Itのもとになるベース電流Iaを算出する。ベース電流設定部22は、操舵トルクセンサ12で検出された操舵トルクおよび車速センサ13で検出された車速に基づき、周知の方法を用いてベース電流Iaを算出する。このベース電流Iaは、加算器26、および減算器28に順に入力されて補正される。
イナーシャ補償電流設定部23は、アシストモータ9およびステアリングシステムの慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Ibを算出する。イナーシャ補償電流設定部23は、操舵トルクセンサ12で検出された操舵トルクTの時間微分値を算出し、当該操舵トルクTの時間微分値および車速センサ13で検出された車速Vに基づき、周知の方法を用いてイナーシャ補償電流Ibを算出する。このイナーシャ補償電流Ibは加算器26に入力されてベース電流Iaの補正に用いられる。
ダンピング補償電流設定部25は、操舵をダンピング(減衰)するためのダンピング補償電流Idを設定する。ダンピング補償電流Idは減算器28に入力されてベース電流Iaの補正に用いられる。
ベース電流設定部22によって設定されたベース電流Iaは、加算器26および減算器28を経る際に、イナーシャ補償電流Ib、ダンピング補償電流Idによって補正されて目標電流Itとなる。
次に、ダンピング補償電流設定部25について詳述する。図3は、図2のダンピング補償電流設定部25を示すブロック図である。ダンピング補償電流設定部25は、ダンピング補償電流ベース値設定部(ダンピング力設定手段)31と、往き戻り判定部32と、ラック軸力推定部(ラック軸力推定手段)33と、標準ラック軸力設定部(標準ラック軸力算出手段)34と、ダンピング補正係数設定部35と、メモリ36と、乗算器37とを備えている。
ダンピング補償電流ベース値設定部31は、操舵角センサ11で検出された操舵角θを微分することによって算出した操舵角速度ωに基づき、発生させるダンピング力に対応したダンピング補償電流ベース値Idbを設定する。ダンピング補償電流ベース値Idbは、操舵角速度ωに基づいて所定の演算式やデータマップ等を用いて設定されてよい。このダンピング補償電流ベース値Idbは、乗算器37に入力される。
往き戻り判定部32は、操舵角センサ11で検出された操舵角θを微分することによって算出した操舵角速度ωと、操舵トルクTとに基づいて、各値の符号からステアリングホイール2の回転方向と操舵トルクTの方向とが一致するか否かを判定する。一致する場合を往き操舵、一致しない場合を戻り操舵とし、往き操舵の場合には、その判定結果Sをラック軸力推定部33に出力する。
ラック軸力推定部33は、ラック軸5の軸方向に加わる荷重をラック軸力Frとして推定する。ラック軸5の軸方向に加わる荷重としては、運転者のステアリングホイール操作による操舵力と、アシストモータ9による操舵アシスト力と、路面から受ける路面反力とがある。路面μが低くなるほど路面反力は小さくなるため、ラック軸力Frは小さくなる。このラック軸力Frの推定は、往き戻り判定部32から入力された往き判定結果Sに基づいて、往き操舵が行われている場合にのみ実施される。ラック軸力推定部33は、操舵トルクTと、モータ電流Iと、レゾルバ15で検出されたモータ回転角φを微分することによって算出されたモータ回転速度ωmとに基づき、周知の方法を用いてラック軸力Frを算出する(例えば、特開平11−49000参照)。ラック軸力推定部33は、ラック軸力Frを推定した場合には、ラック軸力Frをダンピング補正係数設定部35に出力する。
標準ラック軸力設定部34は、路面が標準状態(例えば、高μ路である乾燥アスファルト路)であると仮定した場合の任意の車速Vおよび操舵角θにおけるラック軸力を標準ラック軸力Frsとして設定する。標準ラック軸力設定部34は、車速Vおよび操舵角θに対応して標準ラック軸力Frsが設定されたデータマップを、車速Vおよび操舵角θに基づいて参照することによって標準ラック軸力Frsを設定する。この標準ラック軸力Frsは、ダンピング補正係数設定部35に出力される。
ダンピング補正係数設定部35は、ダンピング補償電流ベース値Idbを補正するための補正係数K1を設定する。ダンピング補正係数設定部35は、標準ラック軸力設定部34が設定した標準ラック軸力Frsから、ラック軸力推定部33が推定したラック軸力Frを減じることによって、ラック軸力差ΔFrを算出し、図4に示すデータマップを参照して、ラック軸力差ΔFrに対応するダンピング補正係数K1を設定する。図4は、第1実施形態に係るダンピング補正係数K1を示すデータマップである。図4に示すように、ダンピング補正係数K1は0〜1の範囲の数値であり、ラック軸力差ΔFrが増加するに従って減少するように設定されている。すなわち、ラック軸力Frは路面μが小さくなるに従って小さくなるため、路面μが小さくなるほど補正係数K1が小さくなるように設定されている。
ダンピング補正係数K1は、乗算器37に出力されるとともに、メモリ36に記憶される。ダンピング補正係数設定部35は、ラック軸力Frをラック軸力推定部33から受け取らない場合には、ダンピング補正係数K1の算出処理を行わず、メモリ36に記憶されたダンピング補正係数K1を乗算器37に出力する。
乗算器37は、ダンピング補償電流ベース値Idbにダンピング補正係数K1を乗じてダンピング補償電流Idを算出する。ダンピング補償電流Idは、減算器28に入力される。
上述したダンピング補償電流設定部25は、図5に示すフローチャートに従ってダンピング補償電流Idを算出する。図5は、第1実施形態に係るダンピング補償電流の設定手順を示すフローチャートである。最初に、ダンピング補償電流ベース値設定部31において、操舵角速度ωに基づいてダンピング補償電流ベース値Idbが設定される(S1)。次に、往き戻り判定部32において往き操舵であるか否かが判定される(S2)。
往き操舵である場合には、ラック軸力推定部33においてラック軸力Frが算出される(S3)とともに、標準ラック軸力設定部34において標準ラック軸力Frsが設定される(S4)。そして、ダンピング補正係数設定部35においてラック軸力Frと標準ラック軸力Frsとからラック軸力差ΔFrが算出され(S5)、ラック軸力差ΔFrに基づいてダンピング補正係数K1が設定される(S6)。そして、乗算器37において、ダンピング補償電流ベース値Idbにダンピング補正係数K1が乗じられてダンピング補償電流Idが算出される(S7)。
ステップS2における判定が往き操舵でない場合には、ラック軸力Fr、ラック軸力差ΔFr、ダンピング補正係数K1の設定は行わずにステップS7に進み、メモリ36に記憶された前回のダンピング補正係数K1をダンピング補償電流ベース値Idbに乗じることによってダンピング補償電流Idを算出する。なお、ダンピング補正係数K1の初期値には1が設定されており、ダンピング補正係数K1の設定が一度も行われていない場合にはダンピング補償電流ベース値Idbに1が乗じられる。
以上のように構成した第1実施形態の効果について説明する。第1実施形態では、ラック軸力Frに基づいてダンピング補償電流Idを設定するため、路面状態に応じてダンピング力を設定することが可能となる。ラック軸力Frは路面反力に応じて変化するため、ラック軸力Frから路面状態(路面μ)を推定することが可能である。ラック軸力Frを推定するラック軸力推定部33と、標準ラック軸力Frsを設定する標準ラック軸力設定部34と、ラック軸力Frと標準ラック軸力Frsとを比較してラック軸力差ΔFrを算出するダンピング補正係数設定部35とは、路面状態推定部として機能する。
ラック軸力Frは、路面反力が小さい低μ路では小さく、路面反力が大きい高μ路ではで大きいため、ラック軸力Frが小さい場合(すなわち、低μ路の場合)にダンピング補償電流Idを小さくし、ラック軸力Frが大きい場合(すなわち、高μ路の場合)にダンピング補償電流Idを大きくすることによって、路面状態に応じてダンピング力を設定することができる。
図6は、ステアリングホイールに加わる復元力を示すグラフであり、(a)は第1実施形態に係る車両用操舵装置を搭載した車両が高μ路を走行するときの復元力を示し、(b)は第1実施形態に係る車両用操舵装置を搭載した車両が低μ路を走行するときの復元力を示し、(c)は従来の車両用操舵装置(ダンピング力の補正をしない)を搭載した車両が低μ路を走行するときの復元力を示す。図6(a)および(b)に示すように、高μ路から低μ路に変化した場合、路面反力が低下して操舵トルク勾配が小さくなる。その際、ダンピング力は、路面μに応じて変化するラック軸力を基にして設定されるため、復元力のヒステリシスは小さくなる。そのため、操舵トルクTが0となる操舵角θ0は、低μ路の走行時と高μ路の走行時とにおいて概ね一定に維持することができる。そのため、低μ路においても、ステアリングはセルフアライニングにより中立点まで復帰することができる。
一方、図6(c)に示すように、ダンピング力の補正を行わない場合、操舵トルク勾配が小さくなるにもかかわらずダンピング力が大きいままであるためヒステリシスが大きく、操舵トルクTが0となる操舵角θ0は高μ路走行時に比較して大きくなる。つまり、操舵角が大きい時点で操舵トルクが0となり、ステアリング2が中立点に復帰できない現象が発生する。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較してダンピング補償電流設定部の構成のみが異なる。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、第2実施形態に係るダンピング補償電流設定部40を示すブロック図である。図7に示すように、ダンピング補償電流設定部40は、ダンピング補償電流ベース値設定部31と、往き戻り判定部32と、ラック軸力推定部33と、ラック軸力ゲイン設定部(ラック軸力ゲイン設定手段)41と、ダンピング補正係数設定部42と、メモリ36と、乗算器37とを備えている。ダンピング補償電流ベース値設定部31と、往き戻り判定部32と、ラック軸力推定部33と、メモリ36と、乗算器37とは第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
ラック軸力ゲイン設定部41は、操舵角θと、ラック軸力推定部33によって推定されたラック軸力Frとに基づき、操舵角θの変化量に対するラック軸力Frの変化量をラック軸力ゲインGrとして設定する。図8は、路面状態と、操舵角と、ラック軸力との関係を示すグラフである。図8に示すように、操舵角θが増大すると、車両の進行方向に対して前輪7が転舵されることによりタイヤに発生する横力が増加し、前輪7に車幅方向の力が加わるため、ラック軸力Frが増加する。このとき、操舵角θが同一であれば、路面の摩擦係数が高いほど前輪7に加わる車幅方向の力は増大する。よって、操舵角θの変化量に対するラック軸力Frの変化量(すなわち、図8の各直線の傾き)であるラック軸力ゲインGrは、路面状態に応じて変化し、高μ路であるほど大きくなる。ラック軸力ゲイン設定部41は、ラック軸力Frが入力されてラック軸力ゲインGrを設定した場合に、ラック軸力ゲインGrをダンピング補正係数設定部42に出力する。
ダンピング補正係数設定部42は、ダンピング補償電流ベース値Idbを補正するための補正係数K2を設定する。ダンピング補正係数設定部42は、図9に示すデータマップを参照して、ラック軸力ゲインGrに対応するダンピング補正係数K2を設定する。図9は、第2実施形態に係るダンピング補正係数K2を示すデータマップである。図9に示すように、ダンピング補正係数K2は0〜1の範囲の数値であり、ラック軸力ゲインGrが減少するに従って減少するように設定されている。また、ラック軸力ゲインGrによる路面推定の誤差を考慮して、路面が標準状態であるときのラック軸力ゲインGrsから値α’低下した状態から、ダンピング補正係数K2が1より小さくなるようにデータマップは設定されている。
ダンピング補正係数K2は、乗算器37に出力されるとともに、メモリ36に記憶される。ダンピング補正係数設定部42は、ラック軸力Grをラック軸力ゲイン設定部41から受け取らない場合には、ダンピング補正係数K2の算出処理を行わず、メモリ36に記憶されたダンピング補正係数K2を乗算器37に出力する。
第2実施ケ形態に係るダンピング補償電流設定部40は、図10に示すフローチャートに従ってダンピング補償電流Idを算出する。図10は、第2実施形態に係るダンピング補償電流の設定手順を示すフローチャートである。最初に、ダンピング補償電流ベース値設定部31において、操舵角速度ωに基づいてダンピング補償電流ベース値Idbが設定される(S11)。次に、往き戻り判定部32において往き操舵であるか否かが判定される(S12)。
往き操舵である場合には、ラック軸力推定部33においてラック軸力Frが算出され(S13)、続いてラック軸力ゲイン設定部41においてラック軸力ゲインGrが設定され(S14)、そしてダンピング補正係数設定部42において、ラック軸力ゲインGrに基づいてダンピング補正係数K2が設定される(S15)。そして、乗算器37において、ダンピング補償電流ベース値Idbにダンピング補正係数K2が乗じられてダンピング補償電流Idが算出される(S16)。
ステップS12における判定が往き操舵でない場合には、ラック軸力Fr、ラック軸力ゲインGr、ダンピング補正係数K2の設定は行わずにステップS16に進み、メモリ36に記憶された前回のダンピング補正係数K2をダンピング補償電流ベース値Idbに乗じることによってダンピング補償電流Idを算出する。なお、ダンピング補正係数K2の初期値には1が設定されており、ダンピング補正係数K1の設定が一度も行われていない場合にはダンピング補償電流ベース値Idbに1が乗じられる。
第2実施形態のように構成することによって、ラック軸力Frを標準ラック軸力Frsと比較する必要がなくなるため、標準ラック軸力Frsが設定されたデータマップを用意する必要が省かれる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、本実施形態ではラック軸力Frをモータ電流Iと、操舵トルクTと、モータ回転速度ωmとに基づいて推定したが、ラック軸力を検出するセンサをラック軸5に設けてラック軸力を実測してもよい。
1・・電動パワーステアリング装置、2・・ステアリングホイール、5・・ラック軸、9・・アシストモータ(アクチュエータ)、11・・操舵角センサ、12・・操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)、13・・車速センサ、15・・レゾルバ、16・・モータ電流センサ、21・・ステアリング制御装置(補助操舵力設定手段)、22・・ベース電流設定部(ベース補助操舵力設定手段)、23・・イナーシャ補償電流設定部、25,40・・ダンピング補償電流設定部、31・・ダンピング補償電流ベース値設定部(ダンピング力設定手段)、33・・ラック軸力推定部(ラック軸力推定手段)、34・・標準ラック軸力設定部(標準ラック軸力算出手段)、35,42・・ダンピング補正係数設定部、41・・ラック軸力ゲイン設定部(ラック軸力ゲイン設定手段)、

Claims (3)

  1. 車両に搭載され、アクチュエータによって補助操舵力を発生させるとともに、ラックアンドピニオン式操舵装置に用いられる電動パワーステアリング装置であって、
    ステアリングホイールの操舵速度を検出する操舵速度検出手段と、
    前記ステアリングホイールの操作によって発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵トルクに基づいてベース補助操舵力を設定するベース補助操舵力設定手段と、
    前記操舵速度に基づいて操舵を減衰するダンピング力を設定するダンピング力設定手段と、
    ラック軸の軸方向に加わる負荷をラック軸力として推定するラック軸力推定手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵角と前記ラック軸力とに基づいて前記操舵角の変化量に対する前記ラック軸力の変化量であるラック軸力ゲインを算出するラック軸力ゲイン設定手段と、
    前記ラック軸力ゲインに基づいて前記ダンピング力を補正するダンピング力補正手段と、
    前記ベース補助操舵力と前記ダンピング力とに基づいて前記補助操舵力を設定する補助操舵力設定手段と
    を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記ダンピング力補正手段は、前記ラック軸力ゲインが小さくなるほど、前記ダンピング力を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記ラック軸力推定手段は、前記ステアリングホイールの操舵方向と、前記補助操舵力との方向とが一致するときに、前記ラック軸力を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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