JP5300241B2 - 高出力リチウムイオン電池用正極電極 - Google Patents

高出力リチウムイオン電池用正極電極 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の電極に関する。より詳しくは、電気自動車、燃料電池車やハイブリッドカー等の車両モータ等の駆動用電源として用いられる高出力電池用電極およびこれを用いた高出力リチウムイオン二次電池に関する。
現在、各種電子機器および電動機器の電源として、長時間連続して使用でき、再充電可能な各種二次電池の研究が進められている。中でも、ニカド電池やニッケル水素電池と比べて、エネルギー密度、出力密度が高いリチウムイオン二次電池は、小型軽量化が図れることから活発な研究開発がなされ、携帯電話やノート型パソコン等の携帯用電子機器の電源として実用化されている。
また、地球環境汚染および地球温暖化の問題に適応するものとして電気自動車、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッド車などへの関心が高まっており、これらの動力源としてリチウムイオン二次電池の適用が期待されている。これは、リチウムイオン二次電池では、エネルギー密度の高いため、同じ重量又は体積のニカド電池やニッケル水素電池で比較した場合、充電1回当たりの走行距離が長くなるためである。また同じ容量の電池なら、ニカド電池やニッケル水素電池に比べ、重量で半分、体積で20〜50%の小型軽量化が図れるためである。また、リチウムイオン二次電池の電圧は、ニカド電池やニッケル水素電池の3倍あり、ニッケル水素電池でリチウムイオン二次電池と同じ出力を発揮しようとすると、3倍の電池を直列でつながなければならない。また直列につなぐ数が多くなると制御が複雑になる。そのため電気自動車等への適用にあたって、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池等に比して、高出力密度を得るために電池を複数個直列に結合して組電池を形成したときの制御が容易であり、安定性に優れるといった利点も有している。また、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池等に比して、自己放電が少なく、メモリ効果がないため、サイクル特性に優れるといった利点も有している。
しかしながら、プラグインハイブリッド車や電気自動車の普及を考えると、自動車用の電池性能は、リチウムイオン二次電池を用いてもなお、ガソリンエンジンやディゼルエンジン性能に比べると、まだまだ力不足と言わざるを得ないものである。
そのため、リチウムイオン二次電池の持つ優れた特性であるエネルギー密度、出力密度、サイクル特性等につき、更なる特性の向上を図るべく技術開発が進められている。そうしたなか、特許文献1には、リチウムイオン二次電池において、活物質の平均粒径を5μm以下で、かつ活物質層の厚さを20〜80μmに規定することによる高出力密度化のための要素技術が提案されている。
特開2002−151055号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、ジェットミルなどによる粉砕によって平均粒子径5μm以下の小粒径材料の正極活物質を得る場合、狙った粒径以外に大量の微粉が発生する。詳しくは、図9に示すように、狙った粒径ピーク以外に、これと同程度の微粉ピークができてしまう。こうした大量の微粉を含む小粒径材料は、平均粒子径10〜20μm程度の通常材料と比較して、その比表面積が非常に大きくなる。通常であれば、小粒径にすることで反応面積(表面積)が増えるため抵抗は下がる。しかしながら、微粉(粒径0.1μm以下)程度まで粒径を小さくしすぎると、導電助剤の粒径と近くなってくるため、活物質(特に微粉)表面を導電助剤で被覆する(導電性をもたせる)のが困難となる。そのため通常の電極組成よりも活物質重量割合を低くし、導電助剤重量割合を高くしても、導電助剤が足りなくなり抵抗の低減が十分でなく、高出力な電池用電極が得られ難いことがわかった(後述する比較例1〜5と実施例1〜6を対比参照のこと)。
そこで本発明の目的は、電池用電極としたときに大電流放電を行っても充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる電池用電極を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、粉砕した小粒径材料の正極活物質につき粒度分布を制御し、更に正極活物質層内の活物質量を調整し、電池の出力特性を確認し完成したものである。
すなわち、本発明は、平均粒子径5μm以下で、メインのピーク面積(以下、狙い粒径のピーク面積とも称する)が全体面積の70%以上に粒度分布が制御された小粒径の正極活物質を通常の電極組成よりも低い活物質重量割合が90%未満の範囲で用いてなる、高出力電池用の電極である。
本発明によれば、電池抵抗が低く出力特性に優れた電池用電極を提供することができる。その結果、大電流放電を行っても充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる高出力リチウムイオン二次電池を提供できる。

本発明の電池用電極は、粉砕した小粒径活物質の粒度分布を更に制御し、正極活物質層内の活物質量を調整することで、微粉が大幅に除去された粒径が小さく粒度分布の幅が狭い活物質を通常の電極組成よりも活物質重量割合を低く配合するものである。具体的には、微粉を減少するように粒度分布が制御された平均粒子径5μm以下の小粒径正極活物質を正極活物質層中に90質量%未満配合して用い、高出力なリチウムイオン二次電池用電極を得る事に関するものである。より詳しくは、上記したように、正極活物質の粒度分布測定において、平均粒子径が5μm以下、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積が全体の面積に対して70%以上であり、正極活物質層の活物質重量割合が90%未満であることを特徴とする電池用電極である。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、かかる電池用電極を用いたことを特徴とするものである。
本発明の電池用電極では、平均粒子径5μm以下の小粒径材料を用いているにも拘らず、狙った粒径以外に大量の微粉が発生する問題を解消することができる。そのため、本発明の小粒径の活物質は、粉体としての取り扱い性(粉塵の発生や飛散が抑えられる)、スラリー作製性(凝集による沈降や粗大粒子化・塊状物の形成が抑えられる)、電極の結着性(集電体と電解質層との界面の結着力が向上する)等に優れる。その結果、集電体と活物質層の界面における抵抗を小さくでき、機械的強度、耐久性にも優れた電池用電極を提供できる。また本発明の小粒径の活物質は、通常材料と比較して、その比表面積が大きいにも拘らず、内部抵抗が低く、高出力な電池用電極を提供することができる。その結果、大電流放電を行うっても、充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる高出力のリチウムイオン二次電池を提供することができる。また、微粉の活物質は、充放電サイクルを繰り返す過程で、電極から溶離するなどして、不可逆的容量化しやすいため、かかる微粉活物質量を大幅に低減することで、より高エネルギー密度で、サイクル耐久性のよい電池を構築できる点でも優れている。
<第1〜2実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の実施形態(第1実施形態)及びこれを用いてなるリチウムイオン二次電池の実施形態(第2実施形態)を説明する。但し、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、電極の内部抵抗が低く(図11、12参照)、大電流放電を行っても十分に高い出力特性を発現できることから、電気自動車、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッド車等の車両動力源として好適に利用できる。更に携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
すなわち、本発明の対象となるリチウムイオン二次電池は、上記した本発明の電池用電極を主要な構成部材(構成要件)として備えていればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造は、電池外装材にアルミニウムを含むラミネートフィルムと組み合わせることで、該ラミネートフィルムの簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点でも有利である。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、上述した内部並列接続タイプ(非双極型)および内部直列接続タイプ(双極型)のいずれの電極構造にも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、電解液を含まない高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本発明の電池用電極を用いてなる内部並列接続タイプ(非双極型)及び内部直列接続タイプ(双極型)の扁平型で積層型のリチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明する。ただし、本発明は決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本発明のリチウムイオン二次電池の代表的な一実施形態である、内部並列接続タイプ(非双極型)の扁平型で積層型のリチウムイオン二次電池(以下、単にリチウムイオン二次電池ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10では、電池外装材22に高分子に金属を複合したラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素17を収納し密封した構成を有している。これにより、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素17が、電池外装材22の内部に封止された構造を有する。
ここで、発電要素17は、正極集電体11の両面に正極活物質層12が形成された正極(正極板とも称する)、電解質層13、および負極集電体14の両面に負極活物質15が形成された負極(負極板とも称する)を積層した構成を有している。
この際、一の正極板片面の正極活物質12と前記一の正極に隣接する一の負極板片面の負極活物質層15とが電解質層13を介して向き合うようにして、正極、電解質層13、負極の順に複数積層されている。この正極、電解質層13、負極の順に積層された一組(電池の最小ユニット)を単電池層(以下、電池単位ないし単セルともいう)16と称する。より詳しくは、隣接する正極集電体11、正極活物質層12、電解質層13、負極活物質層15及び負極集電体14の順に積層された一組(電池の最小ユニット)が、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
なお、発電要素(以下、電池要素ないし積層体ともいう)17の両最外層に位置する最外層負極集電体14aには、いずれも片面のみに負極活物質層15が形成されている。なお、図1と正極と負極の配置を変えることで、発電要素17の両最外層に最外層正極集電体(図示せず)が位置するようにし、該最外層正極集電体の場合にも片面のみに正極活物質層が形成されているようにしてもよい。
また、上記の各電池用電極(正極及び負極)と導通される正極タブ18および負極タブ19が、正極端子リード20および負極端子リード21を介して各電極の正極集電体11及び負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられている。これにより正極タブ18および負極タブ19は、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材22の外部に露出される構造を有している(図3も参照のこと)。
図2は、本発明のリチウムイオン二次電池の他の代表的な一実施形態である内部直列接続タイプ(双極型)の扁平型で積層型のリチウムイオン二次電池(以下、単に双極型リチウムイオン二次電池とも称する)の全体構造を模式的に表わした概略断面図である。
図2に示すように、本実施形態の双極型リチウムイオン二次電池30でも、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素37が、電池外装材42の内部に封止された構造を有する。本実施形態の発電要素37は、1枚または2枚以上で構成される双極型電極(=電池用電極)34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極活物質層32と負極活物質層33とが対向するようになっている。ここで、双極型電極34は、集電体31の片面に正極活物質層32を設け、もう一方の面に負極活物質層33を設けた構造を有している。すなわち、双極型二次電池30では、集電体31の片方の面上に正極活物質層32を有し、他方の面上に負極活物質層33を有する双極型電極34を、電解質層35を介して複数枚積層した構造の発電要素37を具備してなるものである。
本実施形態でも、隣接する集電体31、正極活物質層32、電解質層35、負極活物質層33及び集電体31の順に積層された一組(電池の最小ユニット)が、一つの単電池層36を構成する。従って、双極型リチウムイオン二次電池30は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層35からの電解液の漏れによる液絡を防止するために単電池層36の周辺部にはシール部(絶縁層)43が配置されている。該シール部(絶縁層)43を設けることで隣接する集電体31間を絶縁し、隣接する双極型電極34間の接触による短絡を防止することもできる。
なお、発電要素37の最外層に位置する正極側電極34a及び負極側電極34bは、双極型電極構造でなくてもよく、集電体31a、31b(または端子板)に必要な片面のみの正極活物質層32または負極活物質層33を配置した構造としてもよい。発電要素37の最外層に位置する正極側の最外層集電体31aには、片面のみに正極活物質層32が形成されているようにしてもよい。同様に、発電要素37の最外層に位置する負極側の最外層集電体31bには、片面のみに負極活物質層33が形成されているようにしてもよい。
また、双極型リチウムイオン二次電池30では、上下両端の正極側最外層集電体31a及び負極側最外層集電体31bにそれぞれ正極タブ38および負極タブ39が、必要に応じて正極端子リード40及び負極端子リード41を介して接合されている。但し、正極側最外層集電体31aが延長されて正極タブ38とされ、電池外装材42であるラミネートシートから導出されていてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bが延長されて負極タブ39とされ、同様に電池外装材42であるラミネートシートから導出される構造としてもよい。
また、双極型リチウムイオン二次電池30でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素37部分を電池外装材42に減圧封入し、正極タブ38及び負極タブ39を電池外装材42の外部に取り出した構造とするのがよい。この双極型リチウムイオン二次電池30の基本構成は、複数積層した単電池層36が直列に接続された構成ともいえるものである。
上記した通り、リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池の各構成要件および製造方法に関しては、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記した図1に示すリチウムイオン二次電池の各構成要件を中心に、以下説明する。ただし、双極型リチウムイオン二次電池の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件及び製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることは言うまでもない。また、本発明のリチウムイオン二次電池および/または双極型リチウムイオン二次電池を用いて、モジュール(通常、組電池モジュールとも称されることもある。以下では、単に組電池ともいう)や車両を構成することもできる。
[電池用電極のうちの正極]
本発明の特徴的な構成である電池用電極、特に集電体と、該集電体上に形成された正極活物質を含む正極活物質層とを有する正極につき、説明する。
かかる正極は、正極活物質の粒度分布測定において、(1)平均粒子径が5μm以下、(2)正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積が全体の面積に対して70%以上であり、(3)正極活物質層の活物質重量割合が90%未満であることを特徴とするものである。
以下、本発明の特徴的な構成要件につき、上記(1)〜(3)の要件を中心に詳しく説明する。
(1)平均粒子径
本発明の電池用電極(正極)では、正極活物質の粒度分布測定において、平均粒子径が5μm以下、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは1〜3μmの範囲である。これは、正極活物質の平均粒子径が5μmよりも大きいと、大電流放電時は膜厚方向の電極内電解液(電解質)中のリチウムイオンの輸送よりも活物質粒子内のリチウムイオン拡散が律速段階となってしまい、出力密度低下の原因となるためである。一方、正極活物質の平均粒子径が5μm以下といった活物質粒子径が小さい条件下では、大電流放電時は膜厚方向の電極内電解液(電解質)中のリチウムイオンの輸送が律速段階になっていると考えられる。そのため、後述するよう活物質重量割合を90%未満にすることにより、電極内の電解液量が増え、膜厚方向の電極内電解液(電解質)中のリチウムイオンの輸送力が増し、より出力密度を向上させることができる。逆に正極活物質の平均粒子径が5μmよりも大きい条件下では、活物質粒子内のリチウムイオン拡散が律速段階となっているため、電極内電解液(電解質)量をいくら増加させても出力密度の向上は図れず、活物質の量が減少するため却って出力密度が低下する。なお、正極活物質の平均粒子径の下限値は、特に規定するものではないが、実際的には0.1μm以上であることが適当である。これよりも正極活物質の平均粒子径が小さい場合には、上述した微粉に近い挙動を呈するようになるおそれがあるためである。
正極活物質の平均粒子径は、正極活物質の粒度分布の測定結果に基づき算出することができる(図6〜10参照のこと)。かかる粒度分布の測定は、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置、例えば、日機装株式会社のマイクロトラック粒度分布測定装置(型式HRA9320−X100)などを用いて行うことができる。本発明でも、粒度分布の測定結果に基づき算出する場合、「粒子径」を定義する必要がある。ほとんどの活物質粒子の形状は、球や立方体といった単純かつ定量的に表現できるものではなく、複雑かつ不規則であり、直接的に粒子径を定義することはできないためである。そこで、通常、一般的に用いられている「球相当径」という間接的な定義を用いる。これは、ある測定原理で、特定の粒子を測定した場合、同じ結果(測定量またはパターン)を示す球体の直径をもって、その被測定粒子の粒子径とするというものである。例えば、上記「レーザ回折・散乱法」の場合には、直径1μmの球と同じ回折・散乱光のパターンを示す被測定粒子の粒子径は、その形状に関わらず1μmとして定義するものである。また、「沈降法」の場合には、被測定粒子と同じ物質の直径1μmの球と同じ沈降速度をもった被測定粒子の粒子径を1μmとして定義するものである。他の測定法の場合でも、同様に定義すればよい。
(2)正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積
本発明の電池用電極(正極)では、正極活物質の粒度分布測定において、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積が、全体の面積に対して70%以上である。これは、ジェットミルなどによる粉砕によって上記(1)の平均粒子径5μm以下の小粒径材料の正極活物質を得ようとした場合、狙った粒径以外に大量の微粉が発生する。本発明では、粉砕により狙った粒径以外に大量に発生した微粉を後述する熱処理や分級処理により取り除いて、更なる粒度分布の制御を行うものである。この大量の微粉除去による粒度分布制御によって、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積を、全体の面積に対して上記に規定する範囲とすることができるものである。即ち、極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積を全体の面積に対して70%以上とすることにより、狙った粒径以外に大量に発生した微粉が取り除かれ、粒子径が小さく尚且つ粒度分布の幅も非常に狭い範囲とすることができる。そのため、電池の出力特性を大幅に向上でき、大電流放電を行っても充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる電池用電極とすることができる。
ここで、正極活物質の「狙い粒径」とは、粉砕等の手段によって得ようとする平均粒径になる1山の分布をもつ粒子群をいう。よって、「狙い粒径」以外の(微粉)粒径とは、粉砕等の手段によって得ようとする平均粒径以外の分布をもつ粒子群をいう。「正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積」とは、メイン(狙い粒径の粒度分布曲線(粒度に対する頻度分布)を積分したものをいう。また、「全体の面積」とは、正極活物質全体の粒度分布曲線を積分したものをいう。これは、正極活物質の粒度分布測定により計測された正極活物質全体の粒度分布曲線が占める面積として求めてもよい。あるいは正極活物質の粒度分布測定により算出された、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積と、正極活物質のメイン以外のピーク面積(以下、狙い粒径以外のピーク面積とも称する)との総和として求めてもよい。
この「正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積」と「全体の面積」につき、実施例1で用いた正極活物質を例にとり具体的に説明する。
まずは、実施例1で示すように、平均粒子径1.2μmを狙って、粒度分布の制御=再焼成(熱処理)を行った後の正極活物質につき、粒度分布の測定を行う。ここで、粒度分布の測定には、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置(詳しくは、日機装株式会社のマイクロトラック粒度分布測定装置:型式HRA9320−X100)を用いた。得られた計測データにより、図6に示す実際の粒度分布曲線Aが求まる。
次に、得られた計測データを、下記の条件(データ解析ソフト)を用いてピーク分離(ピーク数:2、ピーク位置:各ピークの最大ピーク近傍で指定)をかける。すると、メインのピーク(以下、狙い粒径のピークとも称する)と、メイン以外のピーク(以下、狙った粒径以外のピークとも称する)=粉砕により大量に発生した微粉を再焼成で取り除いた後に残る微粉によるピーク(粒度分布曲線)とに分けることができる。これにより、図6に示すメインのピーク(狙い粒径のピーク(粒度分布曲線)Xと、メイン以外のピーク(狙った粒径以外のピーク(粒度分布曲線)Yが求まる。メインのピーク(狙い粒径のピーク(粒度分布曲線)Xは、狙い粒径に最も近い位置にピークを持つ1つの粒度分布曲線をいう。メイン以外のピーク(狙った粒径以外のピーク(粒度分布曲線)Yは、メインのピーク(狙い粒径のピークよりも狙い粒径から離れた位置にピークを持つ1つの粒度分布曲線をいう。この際、平均粒子径5μm以下まで粉砕し、熱処理や分級処理を行うことで、図6〜8に示すように、メイン以外のピーク(狙った粒径以外のピークは、メインのピーク(狙った粒径のピークよりも、より粒径の小さい小粒径(微粉)側になる。
次に、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積は、上記により求めたメインのピーク(狙い粒径のピーク(粒度分布曲線)Xが占める面積Sとして求まる。また、全体の面積は、正極活物質の粒度分布測定により計測された正極活物質全体の粒度分布曲線Aが占める面積Sとして求まる。あるいは正極活物質の粒度分布測定により算出された、正極活物質のメインのピーク(狙い粒径のピーク(粒度分布曲線)Xが占める面積Sと、正極活物質のメイン以外のピーク(狙い粒径以外のピーク(粒度分布曲線)Yが占める面積Sとの総和(面積S+面積S)としても求まる。このことからS=(S+S)が成立する。以上により、実施例1では、正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積が、全体の面積Sに対して、S/S(=S+S)×100=71.3%として求まることになる。なお、比較例2では、活物質を合成し、乾燥・焼成しただけで、粉砕していない。そのため、大量の微粉が発生せず、実際の粒度分布曲線Aが、そのままメインのピーク(狙い粒径のピーク(粒度分布曲線)Xとして求められたものである(図10参照のこと)。
設定条件(データ解析ソフト)を以下に示す。
・データ:Date1_B
・モデル:Gauss
・モデル式:y=y0+(A/(W*sqrt(PI/2)))*exp(−2*((x−xc)/W^2)
・重み付け法
・y 重み付けなし
・データ解析ソフト:OriginPro7.5J
(3)正極活物質層の活物質重量割合
本発明の電池用電極(正極)では、正極活物質層の活物質重量割合が90%未満、好ましくは60%以上90%未満、より好ましくは70%以上90%未満、特に好ましくは80%以上90%未満である。正極活物質層の活物質重量割合を90%未満とすることで、電極内の抵抗を大幅に低減することができ(下記図12参照)、より高出力の電極を得ることができる。これは、電極内の電解液量及び導電剤量が増え、膜厚方向の電極内電解液(電解質)中のリチウムイオンの輸送力が増し、活物質表面への導電剤接触(被覆)率も増し、抵抗を大幅に低減が低下することで、出力密度を向上できると考えられる。なお、正極活物質層の活物質重量割合の下限値は、特に規定するものではないが、実際的には80%以上であることが適当である。これよりも正極活物質層の活物質重量割合が小さい場合には、エネルギー密度(電池容量)が低下し、大電流放電を所望の時間供給するのが困難となるおそれがあるためである。
(4)正極活物質の材質(化学組成)
本発明の電池用電極(正極)に用いることのできる正極活物質の材料(材質)としては、特に制限されるものではなく、電池の種類・形態・用途等に応じて適宜選択すればよい。
正極活物質としては、エネルギー密度に優れる、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物などが使用できる。またコストや安全性に優れる、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物なども使用できる。この他、オリビン系のLiFePO、LiMnPO、LiCoPOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。また上記複合酸化物の中には、LiとNi、Mn、Coなど複数の金属とを含んだ複合酸化物なども含まれる。さらに、例えば、コストや安全性に優れるMnやFeを用いてLiとMn、LiとFeを組み合わせた化合物のように2種以上の正極活物質を併用してもよい。容量、出力特性に優れた電池を構成できることから、正極活物質として遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)を用いるのが望ましい。さらに、物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径(「狙い粒径」)が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径(「狙い粒径」)同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。こうした場合でも、ブレンド後の正極活物質全体について、本発明の電池用電極(正極)の上記した特徴的な構成要件を満足すれば十分に適用可能である。
好ましくは、化学組成が下記一般式(1)
で表されるスピネル型リチウムマンガン酸化物である。ここで、MはAl、Co、Ni、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。更に一般式(1)の酸化物は、最大粒子径D100が15μm以下であり、(400)面のX線回折による半価幅が0.30以下、(400)面のピーク強度I400の(111)面ピーク強度I111に対する比I400/I111が0.33以上のものがより好ましい。かかる要件を満足することで、結晶粒径が小さく、結晶構造に乱れがなく、大電流条件でも大きな放電容量を与えることができる。そのため、かかる酸化物を正極活物質として利用することで、短時間で大電流放電を可能にできる二次電池を提供できる。
一般式(1)の酸化物は、基本物質であるスピネルLiMnのMnの一部を第三の金属元素Mに置換したものも含まれ、また、Mnに対してLiをやや過剰に含むものも含まれる。この金属素Mは、電池内部へのマンガン成分の溶出抑制や高温特性の改善に効果があるものとして選択され、Al、Co、Ni、Mg、Zr及びTiから選ばれた元素の1種または2種以上を充当することができる。金属元素のMの置換量は、一般式(1)において0≦y≦0.2の範囲とする。Mの置換量が多すぎると、これらを正極活物質として利用した二次電池の放電容量が低下する傾向にあるためであり、放電容量の極端な低下は好ましくないため、y≦0.2に制限する。また、一般式(1)の酸化物においては、Mn(置換された金属元素Mを含む)に対するLiの原子比の範囲は、0.33〜1とする。この範囲にあることで電池の放電容量を実用上確保することが可能となるためである。
また、上記一般式(1)の酸化物の最大粒子径D100は、15μm以下、好ましくは10μm以下である。ここで、最大粒子径とは、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置により、計測された粒度分布において、累積値が100%を示す粒子径をいう。日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置(型式HRA9320−X100)等を用いて測定することができる。この最大粒子径D100は、電極の薄膜化を考慮すると極力小さくすることが望ましいが、現実の塗工厚さを考慮すると最大粒子径D100が15μm以下で十分である。このような超微粉への粉砕は、例えば、ジェットミルを用いて粉砕することによって達成することができる。
また、一般式(1)の酸化物では、結晶の(400)面のX線回折による半価幅が0.30以下、かつ(400)面のピーク強度I400の(111)面ピーク強度I111に対する比I400/I111が0.33以上であるのが望ましい。かかる要件を満足することで、結晶構造の乱れが極めて小さくなる。正極活物質材料として相対的に結晶性が高く、電池特性に優れるという利点がある。なお、半価幅とは、回折ピークの1/2の高さにおけるピーク幅をいう。一般式(1)の酸化物のピーク強度比I400/I111は、44°付近のピーク高さと18°付近のピーク高さの比である。
(5)正極活物質の製造方法(粒度分布の制御の仕方を含む)
本発明の電池用電極(正極)に用いることのできる正極活物質の作製方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の作製方法を適宜利用して行うことができる。以下に、上記した一般式(1)の酸化物を例にとり、その作製方法を説明する。
まず、正極活物質(一般式(1)の酸化物)を化学的に合成する(合成工程)。
この工程は、既存の正極活物質を製造する工程によればよい。ここでは既存のスピネル型リチウムマンガン酸化物を製造する工程によればよく、特に制限されない。例えば、特開平10−255798号公報に記載されているような、水酸化リチウム塩と硝酸マンガンを、カチオン担持体として非イオン水溶性高分子物質の存在下に反応せしめてリチウムマンガン酸化物を得、これを乾燥・焼成するという方法をとってもよい。また、マンガン原料を電解二酸化マンガン(EMD)とするのが、正極活物質を経済的に合成するでき有利である。特に粉砕された電解二酸化マンガン(EMD)と水酸化リチウム等のリチウム原料を混合後、焼成する方法をとるときは、内部空隙の少ない正極活物質を経済的に合成することができ、より一層有利である。ただし、本発明では、上記スピネル型リチウムマンガン酸化物に何ら制限されるものではなく、既存の正極活物質の合成する方法を適宜利用して、所望の正極活物質を合成することができる。
この工程で得られる正極活物質の形態は、合成方法により異なるが、乾燥・焼成を経ることで凝集ないし塊状化されて、通常、平均粒子径10〜50μm程度の大粒径の塊状物ないし凝集体(バルク)となっている。
次いで、前記合成工程で得られた正極活物質(活物質バルク)を、平均粒子径5μm以下になるように粉砕する(粉砕工程)。なお、再焼成(熱処理)による粒度分布の制御を行う場合には、再焼成温度が高くなるに従って平均粒子径も大きくなる傾向にある。例えば、粉砕により平均粒子径0.9μmのもの(比較例1)が、600℃で再焼成することにより平均粒子径1.2μmになる(実施例1)。また、活物質の化学組成が違えば、実施例2に示すように他の条件を同じにして正極活物質を作製しても、得られる活物質の平均粒子径は異なる。更に、粉砕後の平均粒子径が違えば、他の条件を同じにして正極活物質を作製しても、得られる活物質の平均粒子径は異なる。同様に、分級による粒度分布の制御を行う場合にも、分級処理により除去する微粉側の量が増加するに従って、分級後の活物質の平均粒子径も大きくなる傾向にある(実施例1、3、比較例1を対比参照のこと)。したがって、本粉砕工程では、こうした事項を十分勘案して、平均粒子径を狙い粒径よりも小さくなるように粉砕しておくのが好ましい。
粉砕する手段は、特に制限する必要はないが、超微粉砕機として知られるジェットミルを用いると上記に規定する要件を満足する粉砕を容易に行うことができる点で優れている。上記平均粒子径の要件を満足することの確認には、上述したようなレーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置などを用いて行うことができる。
この工程で得られる活物質の形態は、粉砕手段などにもよるが、粒度分布制御工程により得られる活物質の平均粒子径が本発明の要件を満足するように粉砕することで、上述したように狙い粒径以外に大量の微粉を含んだ小粒径の粉末となっている。
なお、粉砕により得られる粉砕物の最大粒子径D100は特に制限されるものではない。ただし、上記した平均粒子径と同様に、最大粒子径D100も粉砕後よりも再焼成(熱処理)後の方が大きくなる傾向にあることを勘案して、適宜決定すればよい。なお、分級処理では、最大粒子径D100は変わらないため、必要に応じて、粉砕後の最大粒子径D100を15μm以下としてもよい。あるいは粉砕物の最大粒子径D100は特に制限せず、正極活物質層の厚さを薄くして用いる場合に限り、次の粒度分布制御工程において多段階の分級処理を施し、微粉のほか、粗粉のうち粒径の大きい側の数%〜数十%分(重量割合)も取り除いてもよい。これにより、小粒径で粒度分布の幅が狭くより粒度の揃った活物質を提供できる。そのため活物質粒子が正極活物質層の厚さを制限することもなく、正極活物質層の薄膜化を促進することができる。なお、取り除いた粒度の大きな粗粉は、次ロット以降の粉砕工程に戻すなどして有効利用を図るのが望ましい。
次いで、上記粉砕工程で得られた、大量の微粉を含んだ小粒径活物質は、粒度分布の制御を行う(粒度分布制御工程)。
粒度分布の制御は、粉砕により大量に発生した微粉を取り除くために行うものである。即ち、本発明の粒度分布の制御は、合成された活物質を平均粒子径5μm以下に粉砕した小粒径材料(大量の微粉を含む粉砕物)につき成されるものといえる。言い換えれば、本発明の粒度分布制御の実施時期は、上記粉砕工程後であり、微粉を含む粉砕物が対象である。
かかる粒度分布の制御としては、(A)熱処理、(B)分級処理、(C)熱処理と分級処理の併用のいずれかにより行うことができる。ただし、これらに制限されるではなく、この工程での目的を達成できるものであればよい。
(A)熱処理
上記(A)の熱処理による粒度分布の制御では、再焼成(熱処理)によって粉砕によって発生した微粉を取り除くものである。詳しくは、再焼成(熱処理)する事によって、発生した微粉は、粗粉(上記した「狙い粒径」の小粒径の粉末)との融合などによる粒子成長によって減少させることができる。これにより、上記に規定した構成要件を満足する粒度の揃った正極活物質を得ることができる。この際、全体の平均粒子径が大きくなる。また、粉砕によって受けた結晶構造の乱れを回復することもできる。
上記再焼成条件は、上記粗粉が溶融され難く(粗粉同士の融合による平均粒子径の急激な増加を抑え)、微粉を溶融して粗粉と融合して所望の平均粒子径とメインのピーク面積(狙い粒径ピーク面積に制御でき、活物質の化学組成に影響しない温度、時間、雰囲気を適宜選択すればよい。
具体的には、活物質の化学組成、粗粉(「狙い粒径」)サイズ、微粉の発生量などによっても異なるが、再焼成温度としては、通常500〜750℃、好ましくは600〜700℃の範囲とするのが望ましい。再焼成温度が上記範囲内であれば、粗粉の溶融を抑えて、粗粉同士の融合による塊状の大粒子の発生を防止できる。加えて、微粉を溶融させて粗粉と融合させ、微粉量を大幅に低減することができる(図6〜10を対比参照)。また、粉砕工程で粉砕物(粗粉及び微粉)に生じた結晶構造の乱れを回復することができる。なお、再焼成温度が500℃未満では融合などによる微粉の減少が不十分となったり、結晶構造の乱れの回復が不十分となるおそれがあり、一方、750℃を越えると粒子の成長が大きくなりすぎるおそれがある。ただし、上記再焼成温度が上記温度範囲を外れる場合であっても、粗粉同士の融合を抑え、微粉を溶融させて粗粉と融合し得る温度であれば、本発明の再焼成(熱処理)に適用できることはいうまでもない。
再焼成時間は、上記再焼成温度によっても異なるが、通常1〜24時間、好ましくは5〜24時間の範囲とするのが望ましい。再焼成時間が上記範囲内であれば、粗粉の溶融を抑えて、粗粉同士の融合による塊状の大粒子の発生を防止できる。加えて、大量発生した微粉を溶融させて粗粉と融合させ、微粉量を大幅に低減することができる(図6〜10を対比参照)。また、粉砕工程で粉砕物(粗粉及び微粉)に生じた結晶構造の乱れを回復することができる。なお、上記再焼成時間が上記範囲を外れる場合であっても、粗粉の溶融を抑え、微粉を溶融させて粗粉と融合し得る時間であれば、本発明の熱処理に適用可能であることはいうまでもない。
再焼成雰囲気は、酸化性雰囲気、大気雰囲気であればよい。好ましくは、製造コストに優れる大気雰囲気である。
(B)分級処理
次に、上記(B)の分級処理による粒度分布の制御では、サイクロン分級器などを用いて分級処理することによって粉砕によって発生した微粉を取り除くものである。詳しくは、サイクロン分級器(遠心分級装置)などの分級器を用いて微粉と粗粉(上記した「狙い粒径」の小粒径の粉末)を分け、微粉を除去し、粗粉のみを回収することができる。これにより、上記に規定した構成要件を満足する粒度の揃った正極活物質を得ることができる。かかる分級処理により回収された活物質の平均粒子径は、分級処理前の活物質より大きくなる。
なお、既に説明したように、必要に応じて、多段階の分級処理により、微粉のほか、粗粉のうちの粒径の大きな側を、多段に設置したサイクロン分級器を用いた分級により取り除いてもよい。
上記分級処理に用いることのできる分級器としては、上記したように微粉と粗粉とに分級し得るものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、サイクロン分級器、強制うず型遠心分級機、慣性分級機などを用いることができる。
(C)熱処理と分級処理の併用
3)熱処理+分級
更に、上記(C)の熱処理と分級処理の併用による粒度分布の制御では、粉砕によって生じた微粉の除去を、分級と熱処理を組み合わせて行ってもよい。併用することで、単独の場合よりも、粒度分布の幅が狭い粒度の揃った小粒径の正極活物質を得ることができる。組み合わせて行う場合の処理の順序としては特に制限されず、分級処理後に熱処理を行う形態、熱処理後に分級処理を行う形態、熱処理と分級処理を同時に処理を行う形態のいずれでもよい。分級処理後に熱処理を行う形態の場合には、最初に大量の微粉の殆どを分級により粗粉と分別除去することができる。そのため、その後の熱処理により、粗粉側に残る微粉の略全量を粗粉と融合させることができ、粒度分布の幅が狭い粒度の揃った「狙い粒径」の小粒径の活物質粉末を得ることができる。
一方、熱処理後に分級処理を行う形態の場合にも、最初の熱処理で大量の微粉の殆どを粗粉と融合させることで、合成工程で得られた活物質量を最大限活かしながら、それでも除去できなかった微粉のみを分級処理により除去することができる。そのため、粒度分布の幅が狭い粒度の揃った「狙い粒径」の小粒径の活物質粉末を得ることができ、なおかつ分級による廃棄ロス量を最小限に留めることができる。また、この場合には、分級処理で分別された微粉を廃棄せずに、次ロットの粉砕後の粉砕物に戻すことも可能である。
また、熱処理と分級処理を併用する際の再焼成条件に関しても、上記(a)に記載した範囲内で行うことができる。
得られた正極活物質につき、平均粒子径や正極活物質のメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積の全体の面積に対する割合、最大粒子径や半価幅や強度比I400/I111の要件を満足することの確認には、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置などを用いて行うことができる。
以下に、スピネル型リチウムマンガン酸化物を用い、上記再焼成温度の範囲内にて熱処理することで、粉砕工程で粗粉に生じた結晶構造の乱れが回復できることの確認実験法につき、具体例を挙げて説明する。
まず、一般式(1)の化学組成を満足するように原料を混合する。詳しくは、原子比でLi:Mn:Al:Co=1.1:1.82:0.04:0.04の比となるように、炭酸リチウム、EMD(電解二酸化マンガン):四酸化三コバルト及び水酸化アルミニウムを、精密混合器を用いて乾式混合した。
次に、所定の温度で焼成する。詳しくは、800℃で20時間大気中において焼成して組成式がLi1.1Mn1.82Al0.04Co0.04となるスピネル型リチウムマンガン酸化物を合成した。なお、合成により得られたスピネル型リチウムマンガン酸化物等の正極活物質の化学組成の同定は、X線回折(XRD)、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析を用いて分析することができる。
その次に、得られた酸化物を所望の平均粒子径及び最大粒子径になるまで粉砕する。詳しくは、得られたスピネル型リチウムマンガン酸化物をジェットミルを用いて、平均粒子径5μm以下で、最大粒子径D100が15μm以下、具体的には5μm以下になるように粉砕した。
最後に、得られた粉砕物からサンプルを切り出し、それぞれ350〜800℃の各温度ごとに大気雰囲気下において20時間再焼成した。
続いて、再焼成で得られた酸化物の最大粒子径D100、(400)面のX線回折による半価幅、(400)面のピーク強度I400の(111)面ピーク強度I111に対する比I400/I111を測定する実験を行った。図13は、上記実験の結果を再焼成温度と特性値との関係図として整理した結果である。
図13から明らかなように、再焼成温度が500℃未満では、(400)面のX線回折による半価幅の低下が認められず、(400)面のピーク強度I400の(111)面ピーク強度I111に対する比I400/I111の上昇も認められない。これは、再焼成温度が500℃未満では、粉砕によって受けた結晶構造の乱れの回復が不十分であるためであると推測される。一方、再焼成温度が750℃を超えると、上記半価幅の低下及び強度比I400/I111の上昇は十分大きいが、最大結晶粒径が15μmを超えるようになる。そのため、塗工厚さ(正極活物質層厚さ)を薄くすることが困難となるおそれがある。したがって、本発明の微粉除去目的に適した再焼成温度のうち、500〜750℃の範囲、好ましくは600〜700℃の範囲とすることで、粉砕によって受けた結晶構造の乱れを回復できるなどの相乗効果を発現できる。
上記粒度分布制御工程により得られた活物質は、二次電池の正極活物質として提供される。
以上、本発明の第1実施形態である高出力な電池用電極につき、その効果を以下に纏める。
1)本発明の第1実施形態においては、上記(1)〜(3)の要件を有することで、電池抵抗が低く出力特性に優れた電池用電極を提供することができる。それにより、大電流放電を行っても充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる高出力リチウムイオン二次電池用の電極(正極)を提供できる。
2)熱処理による粒度分布の制御が成された正極活物質を用いることで、粉砕で発生した微粉を粗粉との融合で粒子成長させて減少・除去することができる。これにより、請求項1の要件を満足する小粒径の正極活物質を得ることができる。また、粉砕によって受けた結晶構造の乱れを回復することもできる。
3)分級処理による粒度分布の制御が成された正極活物質を用いることで、微粉と粗粉を分け、微粉を除去し、粗粉のみを回収することができる。これにより、請求項1の要件を満足する小粒径の正極活物質を得ることができる。
4)熱処理と分級処理による粒度分布の制御が成された正極活物質を用いることで、単独の場合よりも、粒度分布の幅が狭い粒度の揃った「狙い粒径」の小粒径の活物質粉末を得ることができる。
5)上記した物性値(最大粒子径、(400)面の半価幅、ピーク強度比I400/I111)を有する一般式(1)の酸化物を活物質に用いることで、結晶粒径が小さく、結晶構造に乱れがなく、大電流条件でも大きな放電容量を与えることができる。そのため、かかる酸化物を正極活物質として利用することで、短時間で大電流放電を可能にできる二次電池を提供できる。
6)正極活物質の主な原料として電解二酸化マンガンを用いることで、正極活物質を経済的に合成することができる。
以上が、本発明の電池用電極(正極)の特徴的な構成要件に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本発明の電池用電極(正極)の他の構成要件につき、簡単に説明する。ただし、本発明は、がこれらに制限されるものではない。
(集電体)
集電体は、非双極型電池の場合は正極集電体として高電位で溶出しない金属を用いる必要がある。特に本発明ではアルミニウム箔を用いる事が好ましい。負極集電体としては低電位においてリチウムと合金化しないものが必要である。本発明では銅箔を用いる事が好ましい。双極型電池の集電体としては上記の条件の両方を満たす材料、もしくは正極側、負極側の条件を満たす材料をクラッド化したものを用いる必要がある。正極集電体としては、アルミニウムなどが特に好ましい。負極集電体としては、銅などが特に好ましい。バイポーラ電極の集電体としては、ステンレスなどが特に好ましい。
集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度である。体積効率、重量効率、強度の観点から、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmの範囲である。但し、本発明の作用効果に影響を与えない範囲内であれば、上記厚さの範囲を外れてもよいことはいうまでもない。
(正極活物質層)
正極活物質層の構成は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、特に限定されず、公知の正極活物質層が適用可能である。正極活物質層には、正極活物質が含まれる。かかる正極活物質に関しては、上述した通り本発明の電池用電極(正極)の特徴的な構成要件を具備するものであればよく、電池の種類・形態等に応じて上述した正極活物質の中から適宜選択すればよい。よって、ここでの説明は省略する。
正極活物質層(集電体の片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度である。電気自動車やハイブリッドカー等の車両モータの駆動用電源等、高出力電池に適用する場合には、正極活物質層の厚さは、10〜150μmの範囲が好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲である。
また正極活物質層の空隙率は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常20〜40%の範囲である。空隙率が上記範囲内の場合には、活物質量に対応した電解質(特に電解液)量の確保を十分に行うことができる。その結果、抵抗の低減効果をより一層向上させることができ、出力密度の更なる向上を図ることができる。空隙率の制御には、集電体上にスラリーないしぺーストを塗布・乾燥する方法などにより形成された正極活物質層を、プレス機を用いてプレスすることにより行うことができる。プレス操作により、表面の平滑性および厚さの均一性を向上させることもできる。プレス操作は冷間でプレスロールする方法または熱間でプレスロールする方法のいずれの方法でもよい。プレス圧力は線圧で200〜1000kg/cmで行うことが望ましい。空隙率の測定は、例えば、単位面積当たりの重量測定、厚さ測定、材料の真密度測定などにより行うことができる。
正極活物質層には、活物質以外にも、電子伝導性を高めるための導電材(以下、導電助剤とも称する)、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などが含まれ得る。
上記導電材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤を含ませることによって、電極で発生した電子の伝導性を高めて、電池性能を向上させることができる。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFともいう)、スチレンブタジエンゴム、ポリイミドなどが挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性高分子(固体高分子電解質)などが挙げられる。
使用されるリチウム塩は、電池の種類に応じて選択すればよい。電解質支持塩(リチウム塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩などが使用できる。これらは1種単独で用いてもよいし併用してもよい。また、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩なども使用できる。これらは1種単独で用いてもよいし併用してもよい。更に上記無機酸陰イオン塩と有機酸陰イオン塩の混合物なども使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
正極活物質層では、上記(2)の活物質重量割合を満足すればよく、他の構成材料(導電材、バインダ、電解質、電解質支持塩など)の配合量については、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性等を考慮して適宜決定するのが望ましい。
特に導電助剤は、活物質重量割合を低くした上で、その重量割合を高くした方が平均粒子径5μm以下の小粒径活物質表面に被覆させることができ、電池の抵抗をより一層低減することができる(実施例1〜6と比較例3〜5の導電助剤量を対比参照)。かかる観点から上記導電助剤の重量割合は、5%超〜20%、好ましくは5〜10%の範囲である。
集電体上に正極活物質層を形成する方法としては、特に制限されるものではない。例えば、上記した正極活物質層の構成材料にスラリー等の粘度調整溶媒を適量添加して調製した、通常の正極活物質を含むスラリーないしペーストを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法などの方法によっても形成することができる。スラリー等の粘度調整溶媒としは、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)等が挙げられる。なお、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティング、溶射などの方法は、粒度分布制御した正極活物質に影響しない範囲内であれば、利用してもよい。
以上が、本発明のリチウムイオン二次電池の特徴的な構成要件であるの電池用電極(正極)に関する説明であり、他の電池構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本発明のリチウムイオン電池の特徴的な構成要件以外の他の構成要件に関し、図1及び図2に示す非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池に関し、非双極型リチウムイオン二次電池を中心に説明する。ただし、本発明は、がこれらに制限されるものではない。
[電池用電極のうちの負極]
本発明の電池用電極(負極)は、集電体と、該集電体上に形成された負極活物質を含む負極活物質層とを有する。
(集電体)
集電体は、正極の集電体で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
(負極活物質層)
負極活物質層の構成は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、特に限定されず、公知の負極活物質層が適用可能である。負極活物質層には、負極活物質が含まれる。
負極活物質の材料(材質)としては、特に制限されるものではなく、電池の種類に応じて適宜選択すればよい。
具体的には、負極活物質としては、通常リチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質なら何でもよく、具体的には、カーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物を好適に用いることができる。上記負極活物質材料であるカーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物としては、特に制限されるものではない。カーボンとしては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンファイバ、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)などの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等などが挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、さらにこれらに他の元素を添加したリチウム合金;リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)などのリチウム−移金属複合酸化物などが挙げられる。これら負極活物質材料は1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての負極活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
負極活物質層(集電体の片面)の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度である。電気自動車やハイブリッドカー等の車両モータの駆動用電源等、高出力電池に適用する場合には、負極活物質層の厚さは、10〜150μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲である。
負極活物質層の空隙率は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常20〜50%、好ましくは30〜40%の範囲である。空隙率が上記範囲内の場合には、活物質量に対応した電解質(特に電解液)量の確保を十分に行うことができる。その結果、抵抗の低減効果をより一層向上させることができ、出力密度の更なる向上を図ることができる。空隙率の制御には、集電体上にスラリーないしぺーストを塗布・乾燥する方法などにより形成された負極活物質層を、プレス機を用いてプレスすることにより行うことができる。プレス操作により、表面の平滑性および厚さの均一性を向上させることもできる。プレス操作は冷間でプレスロールする方法または熱間でプレスロールする方法のいずれの方法でも良い。熱間でプレスロールする方法の場合は、電解質支持塩や重合性ポリマーが分解する温度以下で行うのが望ましい。プレス圧力は線圧で200〜1000kg/cmで行うことが望ましい。空隙率の測定は、例えば、単位面積当たりの重量測定、厚さ測定、材料の真密度測定などにより行うことができる。
負極活物質層には、活物質以外にも、電子伝導性を高めるための導電材(導電助剤)、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などが含まれ得る。これらの負極活物質層の活物質以外の構成材料に関しては、正極活物質層の活物質以外の構成材料と同様であり、既に説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
負極活物質層の活物質重量割合としては、特に制限されるものではないが、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性、上記した正極活物質層の活物質重量割合等を考慮して決定することが好ましい。具体的には、負極活物質層の活物質重量割合は、通常80〜98%、好ましくは90〜95%の範囲とするのが望ましい。
負極活物質層の活物質以外の他の構成材料(導電材、バインダ、電解質、電解質支持塩など)の配合量については、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性等を考慮して適宜決定するのが望ましい。
集電体上に負極活物質層を形成する方法としては、特に制限されるものではない。例えば、上記正極と同様にして調製した、通常の負極活物質を含むスラリーないしペーストを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法によっても形成することもできる。こうした形成法に適した負極活物質としては、チタン酸リチウムのほか、カーボン、リチウム金属、リチウムアルミ合金、リチウムスズ合金、リチウムケイ素合金などが好適に利用可能である。
[電解質層]
電解質層は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、液体、ゲル、固体のいずれの相であってもよい。電池性能、特に電解質中のLiのイオン伝導性を考慮すると、電解質層は、液体電解質を用いるのが望ましい。また電池が破損した際の安全性や液絡の防止を考慮すると、電解質層は、ゲルポリマー電解質層、全固体電解質層のような固体電解質を用いるのが好ましい。電解質層として固体電解質(詳しくは、高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含めるものとする)を用いることにより漏液を防止することが可能となり、液絡を防ぎ信頼性の高いリチウムイオン電池を構成できるからである。電解質層としてゲルポリマー電解質層(高分子ゲル電解質)を用いることで、電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる。ゲル電解質のホストポリマーとしては、PEO、PPO、PVdF、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF−HFP)、PAN、PMA、PMMAなどが挙げられる。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。
上記ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)は、PEO、PPOなどの全固体型高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含ませることにより作製される。PVdF、PAN、PMMAなど、リチウムイオン伝導性をもたない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものもゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)にあたる。ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)を構成するポリマーと電解液との比率は、特に限定されない。ポリマー100%を全固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべてゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)の概念に含まれる。また、セラミックなどの無機固体などイオン伝導性を持つ無機固体型電解質も全固体型電解質にあたる。よって、上記高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含めて固体電解質とする。
電解質層としては、具体的には、従来公知の材料として、(a)高分子ゲル電解質、(b)全固体高分子電解質、(c)液体電解質または(d)これら電解質を含浸させたセパレータを用いることができる。
(a)ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)
ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)とは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいう。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、導電性高分子膜などの集電体層への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。
高分子ゲル電解質として用いるポリマーマトリックス(高分子)ないしゲル電解質のホストポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましい。中でもPEO、PPOおよびそれらの共重合体、あるいは、PVdF−HFPを用いることが望ましい。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質(塩)を溶媒に溶かしたものである。電解質(塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩;LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩等が望ましい。これらは1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用して用いてもよい。溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびそれらの混合物が望ましい。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本発明では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
(b)全固体型電解質(全固体高分子電解質、高分子固体電解質、無機固体型電解質)
電解質として全固体型電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体層への電解質の流出がなくなり各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる点で優れている。
全固体高分子電解質としては、例えば、PEO、PPO、これらの共重合体などの公知の固体高分子電解質、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。
(c)液体電解質(電解液)
電解液とは、電解質(塩)を溶媒に溶かしたものが挙げられる。電解質(塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩;LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩などが望ましい。これらは1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用して用いてもよい。溶媒としては、EC、PC、GBL、DMC、DECおよびそれらの混合物が望ましい。
(d)上記電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)
セパレータに含浸させることのできる電解質としては、既に説明した(a)〜(c)と同様のものを用いることができる。
上記セパレータとしては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。
多孔性シートとしては、例えば、微多孔質セパレータを用いることができる。該ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。
上記セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。電気自動車やハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。上記セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その空孔率は20〜80%であることが望ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
[シール部]
シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)は、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止するために単電池層の周辺部に配置されている。双極型リチウムイオン二次電池では、電解質層の漏れによる液絡を防止するために有効に活用されている。該シール部としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
[正極および負極タブ]
本発明の非双極型および双極型リチウムイオン電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に、あるいは最外層集電体に、電気的に接続されたタブ(正極タブおよび負極タブ)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図1に示すように各正極集電体に電気的に接続された正極タブと各負極集電体に電気的に接続された正極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。あるいは図2に示すように正極用最外層集電体に電気的に接続された正極タブと、負極用最外層集電体に電気的に接続された負極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブ(正極タブおよび負極タブ)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などであり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、各集電体あるいは最外層集電体を延長することにより正極および負極タブとしてもよいし、別途準備した正極および負極タブを各集電体あるいは最外層集電体に接続してもよい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、各集電体あるいは最外部の集電体から出力電極端子となる正極タブ及び負極タブを直接取り出す場合には、正極および負極リードは用いなくてもよい。
正極および負極リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができほか、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた発電要素(電池要素)を覆うことができる袋状のケースを用いることができる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルムなど、高分子に金属を複合したラミネートフィルムを用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図3は、本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な非双極型あるいは双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図3に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、図1あるいは図2に示す二次電池10、30の発電要素17、37に相当するものであり、正極活物質層12、32、電解質層13、35および負極活物質層15、33で構成される単電池層16、36が複数積層されたものである。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、図1、2に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図3に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図3に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
本発明の二次電池は、電気自動車、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、ハイブリッド燃料電池車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
以上、本発明の第2実施形態である高出力な電池用電極を用いてなる高出力リチウムイオン二次電池につき、その効果を以下に纏める。
本発明の第2実施形態においては、大電流放電を行っても充電されたエネルギーを電池外に十分に取り出すことができる高出力リチウムイオン二次電池を提供できる。
<第3実施形態>
[モジュール(組電池)]
本発明のモジュール(組電池)は、本発明のリチウムイオン二次電池を複数個接続して構成したものである。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本発明のモジュール(組電池)では、本発明の非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池を用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、モジュール(組電池)を構成することもできる。
また、図4は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。
本発明に係る組電池300は、本発明のリチウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して、組電池300を形成できる。これにより、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池を提供可能となる。図4Aは、組電池の平面図、図4Aは正面図、図4Cは側面図を示している。装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型ないし双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
以上、本発明の第3実施形態である高出力リチウムイオン二次電池を複数直列及び/又は並列に接続してなるモジュールにつき、その効果を以下に纏める。
本発明の第3実施形態においては、高出力電池を直列/並列に連結してもモジュール化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。これにより高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つモジュールを提供可能となる。
<第4実施形態>
[車両]
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン二次電池またはこれらを複数個組み合わせてなるモジュール(組電池)を搭載したことを特徴とするものである。本発明の高出力電池モジュールを搭載することで、高出力、更にはエネルギー密度の車両のモータ駆動用電源を構成できる。こうした高出力モジュールを搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本発明の高出力リチウムイオン二次電池を複数個組み合わせてなるモジュールは、車両の駆動用電源として好適に用いられうる。本発明の組電池を車両、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車等の四輪車、バイク等の二輪車、三輪車等)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途は自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、ハイブリット電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図5は、本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。
図5に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本発明の組電池を搭載した車両としては、図4に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
以上、本発明の第4実施形態であるモジュールを搭載してなる車両につき、その効果を以下に纏める。
本発明の第4実施形態においては、高出力電池モジュールを搭載することで、高出力、更にはエネルギー密度の車両のモータ駆動用電源を構成できる。これにより高出力モジュールを搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。よって、以下では、本発明のリチウムイオン二次電池の代表的な製造方法につき、具体的な数値(1例)を挙げて簡単に説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、これらに何ら制限されるものでない。
電解質が電解液の電池の作製は、前記のようにして作製した正極と負極から、少し負極を大きくして切り出し、それぞれを90℃の真空乾燥機にて1日乾燥して用いる。正極と負極の間に、厚さ25μmのポリプロピレンの多孔質膜を介して最外側が負極になるようにして正極と負極を交互に積層する。次に積層された各正極と各負極をそれぞれ束ねてリードを溶接して、この積層体を正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバックに収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下シールをして電池とする。
電解質が電解液の電池の他、電解質がゲルの電池、全固体ポリマーの電池、及びここで挙げた電解質を用いた双極電池の作製は、公知になった我々の技術により実施できるのでここでは省略する。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
1.正極活物質の作製手順
(1)実施例1(比較例3、実施例4)の正極活物質の作製手順
原子比でLi:Mn=1.13:1.87の比となるように、炭酸リチウム、電解二酸化マンガンを、精密混合機で乾式混合し、大気雰囲気中で800℃20時間焼成し、焼成粉を得た。次いで、この焼成粉を、乾式微粉砕機を用いて平均粒子径5μm以下、詳しくは平均粒子径1.0μmを狙って(狙い粒径1.0μm)粉砕した。これにより最大粒子径も15μm以下、詳しくは最大粒子径3.3μmに粉砕されていた。得られた粉砕物の平均粒子径及び最大粒子径の確認は、後述する粒度分布の測定機種及び手順により行った。以下の実施例及び比較例についても、同様にして確認した。次いで、平均粒子径1.2μm程度を狙って(狙い粒径1.2μm)、粒度分布の制御=再焼成(熱処理)を行った。詳しくは、熱処理により粒度分布を制御すべく、大気雰囲気中で600℃20時間の再焼成を行ない、実施例1、比較例3及び実施例4で用いる正極活物質を得た。得られた正極活物質は、化学組成がLi1.13Mn1.87のスピネル型リチウムマンガン酸化物であった。
得られた正極活物質の化学組成の同定は、X線回折(XRD)、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析を用いて分析した。以下の実施例及び比較例についても、同様にして分析した。得られた正極活物質の平均粒子径及び最大粒子径などの測定は、後述する粒度分布の測定機種及び手順により行った。以下の実施例及び比較例についても、同様にして測定した。
(2)実施例2(比較例4、実施例5)の正極活物質の作製手順
原子比でLi:Mn:Al:Co=1.1:1.82:0.04:0.04の比となるように、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン、四酸化三コバルト及び水酸化アルミニウムを、精密混合機で乾式混合し、大気雰囲気中で800℃20時間焼成し、焼成粉を得た。次いで、この焼成粉を、乾式微粉砕機を用いて平均粒子径5μm以下、詳しくは平均粒子径1.0μmを狙って(狙い粒径1.0μm)粉砕した。これにより最大粒子径も15μm以下、詳しくは最大粒子径3.3μmに粉砕されていた。次いで、平均粒子径1.6μm程度を狙って(狙い粒径1.6μm)、粒度分布の制御=再焼成(熱処理)を行った。詳しくは、熱処理により粒度分布を制御すべく、大気雰囲気中で600℃20時間の再焼成を行ない、実施例2、比較例4及び実施例5の正極活物質を得た。得られた正極活物質は、化学組成がLi1.1Mn1.82Al0.04Co0.04のスピネル型リチウムマンガン酸化物であった。
(3)実施例3(比較例5、実施例6)の正極活物質の作製手順
原子比でLi:Mn=1.13:1.87の比となるように、炭酸リチウム、電解二酸化マンガンを、精密混合機で乾式混合し、大気雰囲気中で800℃20時間焼成し、焼成粉を得た。次いで、この焼成粉を、乾式微粉砕機を用いて平均粒子径5μm以下、詳しくは平均粒子径1.0μmを狙って(狙い粒径1.0μm)粉砕した。これにより最大粒子径も15μm以下、詳しくは最大粒子径3.3mに粉砕されていた。さらに、平均粒子径2.3μm程度を狙って(狙い粒径2.3μm)、粒度分布の制御=分級処理+再焼成(熱処理)を行った。詳しくは、最初に分級処理により粒度分布を制御すべく、サイクロン分級器にて微粉部分を20質量%除去した。次いで、熱処理により粒度分布を制御すべく、大気雰囲気中で600℃20時間の再焼成を行ない、実施例3、比較例5及び実施例6の正極活物質を得た。得られた正極活物質は、化学組成がLi1.13Mn1.87のスピネル型リチウムマンガン酸化物であった。
(4)比較例1の正極活物質の作製手順
実施例1と同様に、原子比でLi:Mn=1.13:1.87の比となるように、炭酸リチウム、電解二酸化マンガンを、精密混合機で乾式混合し、大気雰囲気中で800℃20時間焼成し、焼成粉を得た。次いで、この焼成粉を、乾式微粉砕機を用いて平均粒子径5μm以下、詳しくは平均粒子径1.0μmを狙って(狙い粒径1.0μm)粉砕した。これにより最大粒子径も15μm以下、詳しくは最大粒子径3.3μmに粉砕されていた。但し、その後の粒度分布の制御(熱処理・分級処理)は行わず、比較例1の正極活物質を得た。得られた正極活物質は、化学組成がLi1.13Mn1.87のスピネル型リチウムマンガン酸化物であった。
(5)比較例2の正極活物質の作製手順
実施例1と同様に、原子比でLi:Mn=1.13:1.87の比となるように、炭酸リチウム、電解二酸化マンガンを、精密混合機で乾式混合し、大気雰囲気中で800℃20時間焼成し、焼成粉を得た。次いで、粉砕を行わず、引き続き大気雰囲気中で600℃20時間の再焼成を行ない、比較例2の正極活物質を得た。得られた正極活物質は、化学組成がLi1.13Mn1.87のスピネル型リチウムマンガン酸化物であった。
2.粒度分布の測定機種及び手順について
上記実施例1〜6及び比較例1〜5の「正極活物質の作製手順」により得られた正極活物質の粒度分布の測定を行った。また粒度分布の測定結果より、下記表1に示す(相加)平均粒子径、正極活物質の全体の面積に対するメインのピーク面積(狙い粒径のピーク面積の割合(ピーク面積;表1、図11参照)および図6〜10に示す粒度分布曲線をそれぞれ得た。また、最大粒子径D100、半価幅及びピーク強度比I400/I111については、既に実施例2の正極活物質と同様の化学組成の活物質につき、再焼成温度を代えて実験した結果を図13に示している(図13参照のこと)。また他の実施例等の正極活物質であるLi1.13Mn1.87のスピネル型リチウムマンガン酸化物でも図13に示す結果と同様の結果が得られることが確認できた。
これらの正極活物質の粒度分布の測定は、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置、ここでは日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置(型式HRA9320−X100)を用いて行った。
3.電池の作製
上記実施例1〜6及び比較例1〜5の「正極活物質の作製手順」で得られた正極活物質をそれぞれ用いて、ラミネート電池を作製した。
実施例1
<正極の作製>
再焼成によって微粉を減らした正極活物質材料を用い、正極活物質層の活物質重量割合が80%となるように、上記実施例1の「正極活物質の作製手順」で得られた正極活物質を用いて正極を作製した。
詳しくは、まず、正極活物質80質量%、導電助剤のアセチレンブラック10質量%およびバインダのPVdF10質量%からなる固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるNMPを適量添加して、正極活物質スラリーを調製した。
上記で調製した正極活物質スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ20μm)上に自走型テーブルコーターを用いて目付け量8.0mg/cmで塗布し、乾燥させて、正極電極を得た。次いで、得られた正極電極を、正極活物質層の厚さが30μm、空隙率が25%となるように、プレス機を用いてプレスし、集電体にタブを接続して、試験用正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質の平均粒子径9μmのハードカーボン85質量%、導電助剤の気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)5質量%及びバインダのPVdF10質量%からなる固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒のNMPを適量添加して負極活物質スラリーを調製した。
上記で調製した負極活物質スラリーを、負極集電体としての銅箔(厚さ10μm)上に自走型テーブルコーターを用いて目付け量1.5mg/cmで塗布し、乾燥させて、負極電極を得た。次いで、得られた負極電極を、負極活物質層の厚さが15μm、負極活物質層の空隙率が35%となるように、プレス機を用いてプレスし、集電体にタブを接続して、試験用負極を作製した。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびジエチルカーボネート(DEC)を2:2:6の体積比で混合し、電解液溶媒とした。次いで、この溶媒に、リチウム塩であるLiPFを1Mの濃度になるように添加して、液体電解質(電解液)を調製した。
<ラミネート電池の作製>
上記で作製した試験用正極および試験用負極で、リチウムイオン電池用セパレータであるポリエチレン製微多孔膜(厚さ25μm)を挟持して挟持体を得た。次いで得られた挟持体を三方シール済みの外装材であるアルミラミネートパック中に挿入した。その後、前記アルミラミネートパック中に上記で調製した電解液を注入し、パックからタブが露出するようにパックを真空シールして、ラミネート電池を完成させた。
実施例2
実施例2の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
実施例3
実施例3の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
比較例1
比較例1の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
比較例2
比較例2の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
比較例3
正極活物質:導電材:バインダ=90:5:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
比較例4
実施例2の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用い、該正極活物質:導電助剤:バインダ=90:5:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
比較例5
実施例3の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用い、該正極活物質:導電助剤:バインダ=90:5:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
実施例4
正極活物質:導電助剤:バインダ=85:10:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
実施例5
実施例2の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用い、該正極活物質:導電助剤:バインダ=85:10:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
実施例6
実施例3の正極活物質の作製手順で得られた正極活物質を用い、該正極活物質:導電助剤:バインダ=85:10:5(質量比)とした以外は、実施例1と同様にしてラミネート電池を完成させた。
4.電池の性能評価(電池の抵抗測定)
上記で得られた実施例1〜6及び比較例1〜5のラミネート電池の正極及び負極タブ間の抵抗を充放電測定機を用いて測定した。得られた結果を下記表1に示すと共に、先に求めたピーク面積割合と電池抵抗との関係を図11に示し、正極活物質層の活物質重量割合と電池抵抗との関係を図12に示す。なお、下記表1及び図11、12の電池の抵抗値(%)は、比較例1の電池の抵抗を基準値(100%)として換算した値を用いた。
上記表1及び図11、12の結果より、平均粒子径5μm以下、ピーク面積70%以上、正極活物質層の活物質重量割合90%未満とすることで、電池抵抗の大幅な低減が得られることが確認できた。一方、上記要件の何れか1つでも本発明に規定する範囲を外れる場合には電池抵抗の低減が十分に図れないことが確認できた。特に、比較例1の粒度分布制御せずに大量の微粉を含みピーク面積が外れる例(特許文献1の実施例と同じ)や比較例2の粗粉砕後、粒度分布制御せずに平均粒子径が外れる例よりも活物質重量割合が外れる場合に、電池抵抗が大幅に増大することも確認できた。
本発明のリチウムイオン二次電池の代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の代表的な他の一実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係るリチウムイオン二次電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。 実施例1(比較例3、実施例4)の正極活物質の粒度分布の測定を行って得られた粒度分布曲線、及びピーク分離を行って得られた狙い粒径のピークと狙い粒径以外のピークを示す図面である。
ここで、図の横軸は、粒径(μm)を対数で表している。従って対数0[log・μm]が実数1[μm]、対数1[log・μm]が実数10[μm]、対数2[log・μm]が100[μm]となる。また、縦軸は、頻度(%)を表している。
また、図中の下段の表にあるピーク(Peak)は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)をいい、狙い粒径のピークと狙い粒径以外のピークをそれぞれ順不同でナンバリングしたものである。
図中の下段の表にある面積(Area)は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)の面積をいい、図中(片対数グラフ)におけるピーク面積[(log・μm)・(%)]を表記したものである。
図中の下段の表にあるセンター(Center)は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)の中心粒径をいい、対数[log・μm]表記となっており、実数[μm]での表示を括弧書きで併記したものである。
図中の下段の表にある幅(Width)は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)の粒径幅をいい、対数[log・μm]表記となっている。
図中の下段の表にある高さ(Height)は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)の最高頻度をいい、頻度[%]表記となっている。
以下の図7〜10の縦軸、横軸及び図中の下段の表についても同様である。但し、図10は、ピーク分離して得られたピーク(粒度分布曲線)が1つであるため、図中の下段の表は省略した。
実施例2(比較例4、実施例5)の正極活物質の粒度分布の測定を行って得られた粒度分布曲線、及びピーク分離を行って得られた狙い粒径のピークと狙い粒径以外のピークを示す図面である。 実施例3(比較例5、実施例6)の正極活物質の粒度分布の測定を行って得られた粒度分布曲線、及びピーク分離を行って得られた狙い粒径のピークと狙い粒径以外のピークを示す図面である。 比較例1の正極活物質の粒度分布の測定を行って得られた粒度分布曲線、及びピーク分離を行って得られた狙い粒径のピークと狙い粒径以外のピークを示す図面である。 比較例2の正極活物質の粒度分布の測定を行って得られた粒度分布曲線、及びピーク分離を行って得られた狙い粒径のみのピークを示す図面である。 実施例1〜3および比較例1の正極活物質の狙い粒径のピーク面積が全体の面積に対する割合(ピーク面積)と、電池の抵抗値との関係を示すグラフである。 実施例1〜6および比較例3〜5の正極活物質層の活物質重量割合と、電池の抵抗値との関係を示すグラフである。 合成された正極活物質の粉砕後の再焼成温度(熱処理温度)と特性値(最大粒子径、(400)面の半価幅、ピーク強度比I400/I111)との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 リチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
12、32 正極活物質層、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
14a 最外層負極集電体、
15、33 負極活物質層、
16、36 単電池層、
17、37、57 発電要素、
18、38、58 正極タブ、
19、39、59 負極タブ、
20、40 正極端子リード、
21、41 負極端子リード、
22、42、52 電池外装材(アルミラミネートフィルム)、
30 双極型リチウムイオン二次電池、
31 集電体、
31a 正極側の最外層集電体、
31b 負極側の最外層集電体、
34 双極型電極、
34a、34b 最外層に位置する電極、
43 シール部(絶縁層)、
50 リチウムイオン二次電池、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (5)

  1. 集電体と、前記集電体上に形成された、正極活物質を含む正極活物質層と、を有する電池用電極であって、
    前記正極活物質の粒度分布測定において、平均粒子径が5μm以下、正極活物質のメインのピーク面積が全体の面積に対して70%以上であり、前記正極活物質層の活物質重量割合が90%未満であり、
    前記正極活物質が、(400)面のX線回折による半価幅が0.17以上0.30以下であり、化学組成が一般式Li1+xMn2−x−y(ここに、MはAl、Co、Ni、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン酸化物であることを特徴とする電池用電極。
  2. 前記正極活物質が、最大粒子径D100が15μm以下であるスピネル型リチウムマンガン酸化物であることを特徴とする請求項1記載の電池用電極。
  3. 前記正極活物質が、(400)面のピーク強度I 400 の(111)面ピーク強度I 111 に対する比I 400 /I 111 が0.33以上であるスピネル型リチウムマンガン酸化物であることを特徴とする請求項1または2記載の電池用電極。
  4. 前記正極活物質の主な原料が、電解二酸化マンガンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池用電極。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の電池用電極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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